以下に、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。
図1、2に示すように、第1実施形態例に係るヒートシンク1は、裏面側で冷却対象である発熱体(図示せず)と熱的に接続される平板状のベースプレート10と、ベースプレート10表面側方向へ立設されたヒートパイプ14と、ヒートパイプ14を介してベースプレート10と熱的に接続されている第1の放熱フィン11と、第1の放熱フィン11の側端部と第1の空隙部15を介して隣接した第2の放熱フィン12と、第2の放熱フィン12の側端部と第2の空隙部16を介して隣接した第3の放熱フィン13と、を備えている。
第2の放熱フィン12は、ベースプレート10表面側と直接接することでベースプレート10と熱的に接続されている。第3の放熱フィン13は、ヒートパイプ14を介してベースプレート10と熱的に接続されている。
複数の第1の放熱フィン11から第1の放熱フィン群17が形成され、複数の第2の放熱フィン12から第2の放熱フィン群18が形成され、複数の第3の放熱フィン13から第3の放熱フィン群17が形成されている。また、第1の放熱フィン群17と第2の放熱フィン群18と第3の放熱フィン群19は、相互に、ベースプレート10上を直線状に配列されている。
ヒートシンク1では、第1の放熱フィン11は平板状である。複数の第1の放熱フィン11が、それぞれベースプレート10表面に対して略鉛直方向に略等間隔に並べられ、さらに、いずれの第1の放熱フィン11も、その表面が、ベースプレート10表面に対して略平行となるように配置されて、一つの第1の放熱フィン群17が形成されている。つまり、第1の放熱フィン群17はベースプレート10表面上に所定の高さ寸法にて設けられ、第1の放熱フィン群17のフィンピッチは略等間隔となっている。従って、それぞれの第1の放熱フィン11間には、一定幅の第1の空間11’がベースプレート10表面に対して略平行に延びている。
ヒートシンク1では、複数(図では2つ)のヒートパイプ14が、略平行かつ並列に、ベースプレート10表面側方向に立設されている。ヒートパイプ14の形状は、側面視U字状である。従って、側面視U字状のヒートパイプ14は、相互に対向する2つの直線部、すなわち、一方の直線部14aと他方の直線部14bを有し、さらに一方の直線部14aと他方の直線部14bとの間に底部14cを有している。
側面視U字状のヒートパイプ14の底部14cがベースプレート10と直接接することで、側面視U字状のヒートパイプ14がベースプレート10と熱的に接続されている。ヒートシンク1では、ベースプレート10の裏面側に形成された凹溝(図示せず)に側面視U字状のヒートパイプ14の底部14cが嵌合されることで、側面視U字状のヒートパイプ14がベースプレート10と熱的に接続されている。
また、第1の放熱フィン11は、側面視U字状のヒートパイプ14の一方の直線部14aに取り付けられている。第1の放熱フィン11が、側面視U字状のヒートパイプ14の一方の直線部14aと直接接することで、第1の放熱フィン11は側面視U字状のヒートパイプ14と熱的に接続され、ひいては、第1の放熱フィン11は側面視U字状のヒートパイプ14を介してベースプレート10と熱的に接続されている。従って、第1の放熱フィン群17は、ヒートシンク1の一方の端部側に配置されている。
ベースプレート10の表面側のうち、側面視U字状のヒートパイプ14の底部14cが取り付けられた領域、すなわち、ヒートシンク1の中央部に、第2の放熱フィン12が配置されている。第2の放熱フィン12は平板状であり、その下端部がベースプレート10表面側に取り付けられている。第2の放熱フィン12の下端部が、ベースプレート10と直接接することで、第2の放熱フィン12はベースプレート10と熱的に接続されている。第2の放熱フィン12の、前記下端部と対向する端部、すなわち、先端部は、自由端となっている。
第2の放熱フィン12のベースプレート10表面側への取り付け方法は、特に限定されず、例えば、第2の放熱フィン12の下端部をベースプレート10の表面側にはんだ付け等で接合する方法、ベースプレート10の表面側に形成された凹溝に嵌合する方法等が挙げられる。
ヒートシンク1では、複数の第2の放熱フィン12が、それぞれベースプレート10表面に沿って略等間隔に並べられており、さらに、いずれの第2の放熱フィン12も、その表面が、ベースプレート10表面に対して略鉛直となるように配置されて、一つの第2の放熱フィン群18が形成されている。また、いずれの第2の放熱フィン12も、第1の放熱フィン群17と第2の放熱フィン群18と第3の放熱フィン群19の配列方向に対して略平行方向となるように配置されている。第2の放熱フィン群18のフィンピッチは略等間隔となっている。従って、それぞれの第2の放熱フィン12間には、一定幅の第2の空間12’がベースプレート10表面に対して略鉛直に延びている。
側面視U字状のヒートパイプ14の底部14cが取り付けられた領域に、第2の放熱フィン12が配置されているので、第2の放熱フィン群18は、ヒートシンク1の中央部に配置されている。また、第2の放熱フィン12は、第2の放熱フィン12間に形成された第2の空間12’が、第1の放熱フィン11間に形成された第1の空間11’と対向するように配置されている。第1の放熱フィン11の第2の放熱フィン群18側の側端部と第2の放熱フィン12の第1の放熱フィン群17側の側端部は、第1の空隙部15を介して対向している。
第2の放熱フィン12の下端部が、ベースプレート10の表面側と直接接することにより、ベースプレート10中央部の裏面側に発熱体が熱的に接続された場合に、第2の放熱フィン12のベースプレート10側、すなわち、第2の放熱フィン12の底部側からベースプレート10の反対側、すなわち、第2の放熱フィン12の自由端側へ熱伝達され、従って、第2の放熱フィン12は所望の放熱効果を発揮する。
また、図1、2に示すように、第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さは、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低い態様となっている。すなわち、第2の放熱フィン12の自由端は、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低い位置となっている。従って、第2の放熱フィン12の自由端は、第1の放熱フィン群17を構成する複数の第1の放熱フィン11のうち、少なくとも最上部に位置する第1の放熱フィン11よりもベースプレート10側に位置している。なお、「第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さ」とは、ベースプレート10表面と第1の放熱フィン群17の最上部に位置する第1の放熱フィン11との間の寸法を意味する。また、「第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さ」とは、ベースプレート10表面と第2の放熱フィン12の自由端との間の寸法を意味する。
複数の第2の放熱フィン12のうち、少なくとも1つが第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低ければよく、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低い第2の放熱フィン12の枚数は特に限定されないが、ヒートシンク1では、複数の第2の放熱フィン12は、いずれも、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低い態様となっている。また、ヒートシンク1では、複数の第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さは、いずれも、略同じとなっている。従って、ヒートシンク1では、第2の放熱フィン群18のベースプレート10表面からの高さが、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低い態様となっている。
第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さが、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低いことにより、第2の放熱フィン群18中及び第2の放熱フィン群18の風下側を流通する冷却風の圧力損失を低減できる。よって、ヒートシンク1では、第2の放熱フィン群18よりも冷却風の風下側の部位でも優れた放熱性能を発揮できる。また、第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さが、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低いことにより、第2の放熱フィン12の熱密度が向上し、結果、第2の放熱フィン12の単位面積あたりの放熱効率が向上する。さらに、第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さが、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低いことにより、ヒートシンク1を軽量化できる。
第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さに対する、第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さの割合、すなわち、ベースプレート10表面から第1の放熱フィン群17の最上部に位置する第1の放熱フィン11までの寸法に対する、第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さの割合は、第2の放熱フィン群18の風下側を流通する冷却風の圧力損失の低減と第2の放熱フィン12の放熱特性とのバランスの点から0.20~0.80が好ましく、0.30~0.70がより好ましく、0.35~0.60が特に好ましい。
図2に示すように、第2の放熱フィン12表面は第1の放熱フィン11表面に対して略直交方向に設けられているので、第1の放熱フィン11と第2の放熱フィン12は、正面視にて格子状に配置されている。また、第1の放熱フィン11間に形成された第1の空間11’の延びる方向は、第2の放熱フィン12間に形成された第2の空間12’の延びる方向に対して、略直交方向となっている。また、第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さが、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低いので、第2の放熱フィン12の自由端よりも上部では、第2の放熱フィン12は存在せず、第1の放熱フィン11と第2の放熱フィン12は、格子状に配置されてはいない。
なお、図2では、ベースプレート10の中央部に設置された発熱体と側面視U字状のヒートパイプ14との熱的接続性を向上させるために、側面視U字状のヒートパイプ14の底部14cは、ベースプレート10の中央部方向へ湾曲した態様となっている。
図1に示すように、側面視U字状のヒートパイプ14の他方の直線部14bには、平板状の放熱フィンである第3の放熱フィン13が取り付けられている。従って、ヒートシンク1の他方の端部側に、第3の放熱フィン13が配置されている。第3の放熱フィン13が、側面視U字状のヒートパイプ14の他方の直線部14bと直接接することで、第3の放熱フィン13は側面視U字状のヒートパイプ14と熱的に接続され、ひいては、第3の放熱フィン13は側面視U字状のヒートパイプ14を介してベースプレート10と熱的に接続されている。
ヒートシンク1では、複数の第3の放熱フィン13が、それぞれベースプレート10表面に対して略鉛直方向に略等間隔に並べられ、さらに、いずれの第3の放熱フィン13も、その表面が、ベースプレート10表面に対して略平行となるように配置されて、一つの第3の放熱フィン群19が形成されている。つまり、第3の放熱フィン群19はベースプレート10表面上に所定の高さ寸法にて設けられ、第3の放熱フィン群19のフィンピッチは略等間隔となっている。従って、それぞれの第3の放熱フィン13間には、一定幅の第3の空間13’がベースプレート10表面に対して略平行に延びている。
ヒートシンク1の他方の端部側に、第3の放熱フィン13が設けられているので、第3の放熱フィン群19は、ヒートシンク1の他方の端部側に配置されている。また、第3の放熱フィン13は、第3の放熱フィン13間に形成された第3の空間13’が、第2の放熱フィン12間に形成された第2の空間12’と対向するように配置されている。第2の放熱フィン12の第3の放熱フィン群19側の側端部と第3の放熱フィン13の第2の放熱フィン群18側の側端部は、第2の空隙部16を介して対向している。
図1に示すように、第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さは、第3の放熱フィン群19のベースプレート10表面からの高さよりも低い態様となっている。従って、第2の放熱フィン12の自由端は、第3の放熱フィン群19を構成する複数の第3の放熱フィン13のうち、少なくとも最上部に位置する第3の放熱フィン13よりもベースプレート10側に位置している。また、ヒートシンク1では、第3の放熱フィン群19のベースプレート10表面からの高さは、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さと略同じとなっている。なお、「第3の放熱フィン群19のベースプレート10表面からの高さ」とは、ベースプレート10表面と第3の放熱フィン群19の最上部に位置する第3の放熱フィン13との間の寸法を意味する。
ヒートシンク1では、第2の放熱フィン群18中及び第2の放熱フィン群18の風下側を流通する冷却風の圧力損失を低減できるので、第2の放熱フィン群18よりも冷却風の風下側の部位となり得る第3の放熱フィン群19も、優れた放熱性能を発揮できる。
第3の放熱フィン13表面は第2の放熱フィン12表面に対して略直交方向に設けられているので、第2の放熱フィン12と第3の放熱フィン13は、背面視にて格子状に配置されている。また、第2の放熱フィン12間に形成された第2の空間12’の延びる方向は、第3の放熱フィン13間に形成された第3の空間13’の延びる方向に対して、略直交方向となっている。また、第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さが、第3の放熱フィン群19のベースプレート10表面からの高さよりも低いので、第2の放熱フィン12の自由端よりも上部では、第3の放熱フィン13と第2の放熱フィン12は、格子状に配置されてはいない。
さらに、第3の放熱フィン13表面は第1の放熱フィン11表面に対して略平行方向に設けられている。また、第3の放熱フィン13間に形成された第3の空間13’の延びる方向と第1の放熱フィン11間に形成された第1の空間11’の延びる方向とは、略平行となっている。
第1の放熱フィン11、第2の放熱フィン12、第3の放熱フィン13及びベースプレート10は、いずれも熱伝導性のよい金属材料の平板であり、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで製造されている。側面視U字状のヒートパイプ14のコンテナ材料も、第1の放熱フィン11、第2の放熱フィン12、第3の放熱フィン13及びベースプレート10と同様の金属材料で製造されている。側面視U字状のヒートパイプ14の作動流体として、密閉容器であるコンテナに対し適合性を有する流体が減圧状態で封入される。作動流体としては、例えば、水、代替フロン、パーフルオロカーボン、シクロペンタン等を挙げることができる。
冷却風は、第1の放熱フィン群17と第2の放熱フィン群18と第3の放熱フィン群19の配列方向及びベースプレート10表面に対して略平行方向であって、第1の放熱フィン群17側または第3の放熱フィン群19側からヒートシンク1へ供給される、なお、図1では、冷却風は、第1の放熱フィン群17側から第3の放熱フィン群19へ向かって、すなわち、ヒートシンク1の一方の端部から他方の端部へ向かって供給されている。ヒートシンク1では、第1の放熱フィン11と第2の放熱フィン12との間及び第2の放熱フィン12と第3の放熱フィン13との間で境界層の形成が抑制されるので、放熱フィンの放熱効率の低下を防止できる。さらに、第1の放熱フィン11と第2の放熱フィン12との間及び第2の放熱フィン12と第3の放熱フィン13との間で冷却風の撹拌が生じるので、放熱フィンと冷却風間の熱伝達率を向上させることができる。
また、図1、2に示すように、側面視U字状のヒートパイプ14のうち、一方の直線部14aと底部14cとの間の湾曲部には、第1の放熱フィン11は取り付けられておらず、他方の直線部14bと底部14cとの間の湾曲部には、第3の放熱フィン13は取り付けられていない。よって、第2の放熱フィン12の底部側とその近傍へ冷却風が円滑に供給される。
さらに、ヒートシンク1では、境界層の形成が抑制され、ヒートパイプ14の一方の直線部14aと他方の直線部14bとの間の放熱フィンの放熱効率の低下も防止できるので、側面視U字状のヒートパイプ14の底部14cの寸法を大きくすることが可能であり、結果、ベースプレート10と側面視U字状のヒートパイプ14間の熱抵抗を低減できる。
次に、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
図3に示すように、第2実施形態例に係るヒートシンク2では、第2の放熱フィン群18の部位に、さらに、遮蔽部材60を備えている。ヒートシンク2では、第2の放熱フィン群18の両横側面部と第2の放熱フィン12の自由端が、遮蔽部材60で覆われている。従って、第2の放熱フィン群18の両横側面部と第2の放熱フィン12の自由端は、遮蔽部材60によって、外部環境から遮られている。一方で、第2の放熱フィン群18の、第1の放熱フィン群17側の側端部と第3の放熱フィン群19側の側端部は、いずれも、遮蔽部材60で覆われておらず、開放されている。
ヒートシンク2では、遮蔽部材60は3つの平面部からなる正面視コ字状の部材である。第2の放熱フィン群18に遮蔽部材60を被せることで、第2の放熱フィン群18の両横側面部と第2の放熱フィン12の自由端が外部環境から遮られる。遮蔽部材60の高さは、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さ及び第3の放熱フィン群19のベースプレート10表面からの高さと、略同一となっている。
遮蔽部材60の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの熱伝導性のよい金属材料を挙げることができる。
第2の放熱フィン群18のベースプレート10表面からの高さが、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さ及び第3の放熱フィン群19のベースプレート10表面からの高さよりも低いので、冷却風は第2の放熱フィン群18の両横側面部と自由端からヒートシンク2の外部方向へ流出してしまうところ、遮蔽部材60によって、冷却風の上記流出を防止できる。従って、第2の放熱フィン群18の風下側へ効率的に冷却風を供給でき、結果、ヒートシンク2の放熱性能がさらに向上する。
次に、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1、第2実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、複数の第2の放熱フィン12は、いずれも、略同じ高さとなっていたが、これに代えて、図4に示すように、第3実施形態例に係るヒートシンク3では、第2の放熱フィン群18の中央部に配置された第2の放熱フィン12のみが、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低い態様となっている。すなわち、第2の放熱フィン12の配列方向中央部に配置された第2の放熱フィン12が、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低く、第2の放熱フィン12の配列方向端部(すなわち、第2の放熱フィン群18の端部)に配置された第2の放熱フィン12は、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さと略同一の高さを有している。
第2の放熱フィン群18の端部に配置された第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さに対する、第2の放熱フィン群18の中央部に配置された第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さの割合は、第2の放熱フィン群18の風下側を流通する冷却風の圧力損失の低減と第2の放熱フィン12の放熱特性とのバランスの点から0.20~0.80が好ましく、0.30~0.70がより好ましく、0.35~0.60が特に好ましい。
ヒートシンク3でも、第2の放熱フィン群18中及び第2の放熱フィン群18の風下側を流通する冷却風の圧力損失を低減できるので、第2の放熱フィン群18よりも冷却風の風下側の部位となり得る第3の放熱フィン群19も、優れた放熱性能を発揮できる。
次に、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1~第3実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
図5に示すように、第4実施形態例に係るヒートシンク4では、第3実施形態例に係るヒートシンク3の第2の放熱フィン群18の部位に、さらに、遮蔽部材60が設けられている態様となっている。ヒートシンク4では、第2の放熱フィン12の自由端が、遮蔽部材60で覆われている。従って、第2の放熱フィン群18の自由端が、遮蔽部材60によって外部環境から遮られている。一方で、第2の放熱フィン群18の、第1の放熱フィン群17側の側端部と第3の放熱フィン群19側の側端部と両横側面部は、いずれも、遮蔽部材60で覆われていない。
ヒートシンク4では、遮蔽部材60は平板状の部材である。第2の放熱フィン群18の端部に配置された第2の放熱フィン12の自由端に、遮蔽部材60を載置することで、第2の放熱フィン12の自由端が外部環境から遮られる。ヒートシンク4では、遮蔽部材60の平面視の形状、寸法は、第2の放熱フィン群18の平面視の形状、寸法と、略同一となっている。
第2の放熱フィン群18の中央部に配置された第2の放熱フィン12のベースプレート10表面からの高さが、第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さ及び第3の放熱フィン群19のベースプレート10表面からの高さよりも低いので、冷却風は第2の放熱フィン群18の中央部における自由端からヒートシンク4の外部方向へ流出してしまうところ、遮蔽部材60によって、冷却風の上記流出を防止できる。従って、第2の放熱フィン群18の風下側へ効率的に冷却風を供給でき、結果、ヒートシンク4の放熱性能がさらに向上する。
次に、本発明の第5実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1~第4実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
図6に示すように、第5実施形態例に係るヒートシンク5では、第4実施形態例に係るヒートシンク4で用いられた側面視U字状のヒートパイプ14に代えて、側面視コ字状のヒートパイプ24が用いられている。側面視コ字状のヒートパイプ24は、相互に対向する2つの直線部、すなわち、頂部側直線部24aと底部側直線部24bを有し、さらに頂部側直線部24aと底部側直線部24bとの間に直線状の側部24cを有している。ヒートシンク5では、複数(図では4つ)の側面視コ字状のヒートパイプ24が設けられている。また、2つの側面視コ字状のヒートパイプ24が、略平行かつ並列に、ベースプレート10表面側方向に立設されたものが、相互に対向して配置されている。従って、側部24cは、ヒートシンク5の中央部には立設されておらず、ヒートシンク5の一方の端部と他方の端部に立設された態様となっている。
側面視コ字状のヒートパイプ24の底部側直線部24bがベースプレート10と直接接することで、側面視コ字状のヒートパイプ24がベースプレート10と熱的に接続されている。ヒートシンク5では、ベースプレート10の裏面側に形成された凹溝(図示せず)に側面視コ字状のヒートパイプ24の底部側直線部24bが嵌合されることで、側面視コ字状のヒートパイプ24がベースプレート10と熱的に接続されている。
ヒートシンク5の一方の端部に立設された側部24cに第1の放熱フィン11が複数取り付けられて、第1の放熱フィン群17が形成されている。また、ヒートシンク5の他方の端部に立設された側部24cに第3の放熱フィン13が複数取り付けられて、第3の放熱フィン群19が形成されている。
また、第2の放熱フィン12が複数取り付けられて形成された第2の放熱フィン群18のうち、第2の放熱フィン群18の端部に配置された第2の放熱フィン12の自由端は、平板状の遮蔽部材60を介して、側面視コ字状のヒートパイプ24の頂部側直線部24aと熱的に接続されている。従って、第2の放熱フィン群18の端部に配置された第2の放熱フィン12の自由端は、側面視コ字状のヒートパイプ24を介してベースプレート10と熱的に接続されている。
ヒートシンク5では、図示しない発熱体からベースプレート10へ伝達された熱が、ベースプレート10から第2の放熱フィン群18の底部側へ伝達されるだけでなく、側面視コ字状のヒートパイプ24によって、ベースプレート10から第2の放熱フィン群18の自由端側へも輸送される。よって、フィン面積の小さい第2の放熱フィン18を有する第2の放熱フィン群18でも、優れた放熱性能を得ることができる。
次に、本発明の第6実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1~第5実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、第3の放熱フィン13の表面がベースプレート10表面に対して略平行となるように配置されていたが、これに代えて、図7に示すように、第6実施形態例に係るヒートシンク6では、第3の放熱フィン33間に形成された第3の空間33’が、第2の放熱フィン12間に形成された第2の空間12’と対向しつつ、第3の放熱フィン33の表面がベースプレート10表面に対して平行ではないように配置されている。ヒートシンク6の第3の放熱フィン33では、第2の放熱フィン群18と対向する側の側端部33-1が、側端部33-1とは反対側の側端部33-2よりも高い位置、すなわち、第3の放熱フィン33の側端部33-2が、側端部33-1よりもベースプレート10側の位置となっている。
第3の放熱フィン33表面の、ベースプレート10表面に対する角度は特に限定されないが、第2の空間12’と第3の空間33’との間の冷却風の流通を円滑化する点から、図7では、約30°となっている。
ヒートシンク6では、複数の第3の放熱フィン33が、それぞれベースプレート10表面に対して略鉛直方向に略等間隔に並べられて、一つの第3の放熱フィン群39が形成されている。第3の放熱フィン群39はベースプレート10表面上に所定の高さ寸法にて設けられ、第3の放熱フィン群39のフィンピッチは略等間隔となっている。それぞれの第3の放熱フィン33間に形成された一定幅の第3の空間33’は、第2の放熱フィン群18から離れるのに応じてベースプレート10表面側へ向かうように延びている。なお、ヒートシンク6では、側面視U字状のヒートパイプ14は5つ設けられている。また、側面視U字状のヒートパイプ14には、底部14cの長い側面視U字状のヒートパイプ14-1と、底部14cの短い側面視U字状のヒートパイプ14-2の2種があり、底部14cの長い側面視U字状のヒートパイプ14-1と底部14cの短い側面視U字状のヒートパイプ14-2とが、相互に隣接するように、略平行かつ並列に立設されている。従って、ヒートパイプ14の一方の直線部14aは千鳥配置となり、他方の直線部14bも千鳥配置となっている。
第3の空間33’は、第2の放熱フィン群18から離れるのに応じてベースプレート10表面側へ向かうように延びている。従って、第1の放熱フィン群17側から第3の放熱フィン群39の方向へ冷却風が供給され、ヒートシンク6の風下側に背の低い被冷却部材が配置されている場合、ベースプレート10に熱的に接続された発熱体(図示せず)だけではなく、ヒートシンク6の風下側に配置された背の低い被冷却部材も、ヒートシンク6を流通した冷却風によって冷却することができる。
次に、本発明の第7実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1~第6実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
図8に示すように、第7実施形態例に係るヒートシンク7では、側面視U字状のヒートパイプ14に代えて、側面視L字状のヒートパイプ44が用いられている。従って、ヒートシンク7では、上記各実施形態例とは異なって第3の放熱フィン群を備えていない。また、第1実施形態例に係るヒートシンク1の第2の放熱フィン12の表面が、第1の放熱フィン群17と第2の放熱フィン群18と第3の放熱フィン群19の配列方向に対して略平行方向となるように第2の放熱フィン12が配置されていたのに代えて、第7実施形態例に係るヒートシンク7では、第2の放熱フィン42間に形成された第2の空間42’が、第1の放熱フィン11間に形成された第1の空間11’と対向しつつ、第2の放熱フィン42の表面は、第1の放熱フィン群17と第2の放熱フィン群48の配列方向に対して平行ではない方向に位置している。
第2の放熱フィン42表面の、上記配列方向に対する角度は特に限定されないが、第1の空間11’と第2の空間42’との間の冷却風の流通を円滑化する点から、図8では、約30°となっている。
ヒートシンク7では、複数(図では2つ)の側面視L字状のヒートパイプ44が、略平行かつ並列に、ベースプレート10表面側方向に立設されている。側面視L字状のヒートパイプ44は、1つの直線部44aと1つの底部44cを有している。
側面視L字状のヒートパイプ44の底部44cがベースプレート10と直接接することで、側面視L字状のヒートパイプ44がベースプレート10と熱的に接続されている。ヒートシンク7では、ベースプレート10の裏面側に形成された凹溝(図示せず)に側面視L字状のヒートパイプ44の底部44cが嵌合されることで、側面視L字状のヒートパイプ44がベースプレート10と熱的に接続されている。
第1の放熱フィン11は、側面視L字状のヒートパイプ44の直線部44aに取り付けられている。第1の放熱フィン11が、複数、側面視L字状のヒートパイプ44の直線部44aに取り付けられることで、第1の放熱フィン群17が形成されている。ヒートシンク7では、第1の放熱フィン群17は、ヒートシンク7の中央部から一方の端部にかけて配置されている。
また、ヒートシンク7では、いずれの第2の放熱フィン42も、その表面がベースプレート10表面に対して略鉛直となるように設けられている。第2の放熱フィン群48は、ヒートシンク7の中央部から他方の端部にかけて配置されている。
ヒートシンク7でも、第2の放熱フィン42のベースプレート10表面からの高さが第1の放熱フィン群17のベースプレート10表面からの高さよりも低いので、第2の放熱フィン群48中及び第2の放熱フィン群48の風下側を流通する冷却風の圧力損失を低減できる。従って、第1の放熱フィン群17側から第2の放熱フィン群48の方向へ冷却風が供給され、ヒートシンク7の斜め風下側に被冷却部材が配置されている場合、ベースプレート10に熱的に接続された発熱体(図示せず)だけではなく、ヒートシンク7の斜め風下側に配置された被冷却部材も、冷却風により冷却することができる。
また、放熱フィン群を2つとし、第2の放熱フィン42の表面が、第1の放熱フィン群17と第2の放熱フィン群48の配列方向に対して略平行ではない方向としても、第1の放熱フィン11と第2の放熱フィン群42との間で境界層の形成が抑制されるので、放熱フィンの放熱効率の低下を防止できる。さらに、第1の放熱フィン11と第2の放熱フィン42との間で冷却風の流れに乱れが生じることにより、放熱フィンと冷却風間の熱伝達率を向上させることができる。
次に、本発明の第8実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1~第7実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
図9に示すように、第8実施形態例に係るヒートシンク8では、ヒートパイプは設けられておらず、第1の放熱フィン51と第3の放熱フィン53が、ヒートパイプ等の熱伝導部材を介さずに、直接、ベースプレート10と熱的に接続されている。
第1の放熱フィン51は、平板状フィン部51aと該平板状フィン部51aの両端部に立設されている脚部51b、51cとからなっている。第1の放熱フィン51を複数積み重ねることにより、第1の放熱フィン群57が形成されている。第1の放熱フィン群57は、脚部51bと脚部51cとの間を冷却風が流通するように配置されている。第1の放熱フィン51の脚部51b、51cは、第1の放熱フィン群57中を流通する冷却風が第1の放熱フィン群57の横側面から第1の放熱フィン群57外へ流出してしまうことを遮る遮蔽壁としても機能する。よって、第1の放熱フィン群57では、より確実に第2の放熱フィン群18へ冷却風を供給することができる。
平板状フィン部51aは、ベースプレート10表面に対して略鉛直方向に略等しい間隔(すなわち、脚部51b、51cの長さの間隔)に並べられている。さらに、いずれの平板状フィン部51aも、その表面がベースプレート10表面に対して略平行となるように配置されている。ヒートシンク8では、第1の放熱フィン51の脚部51b、51cがベースプレート10と熱的に接続されている。
第3の放熱フィン53は、平板状フィン部53aと該平板状フィン部53aの両端部に立設されている脚部53b、53cとからなっている。第3の放熱フィン53を複数積み重ねることにより、第3の放熱フィン群59が形成されている。第3の放熱フィン群59は、脚部53bと脚部53cとの間を冷却風が流通するように配置されている。第3の放熱フィン53の脚部53b、53cは、第3の放熱フィン群59中を流通する冷却風が第3の放熱フィン群59の横側面から第3の放熱フィン群59外へ流出してしまうことを遮る遮蔽壁としても機能する。よって、第3の放熱フィン群59では、より確実にヒートシンク8の下流側へ冷却風を供給することができる。
平板状フィン部53aは、ベースプレート10表面に対して略鉛直方向に略等しい間隔(すなわち、脚部53b、53cの長さの間隔)に並べられている。さらに、いずれの平板状フィン部53aも、その表面がベースプレート10表面に対して略平行となるように配置されている。ヒートシンク8では、第3の放熱フィン53の脚部53b、53cがベースプレート10と熱的に接続されている。
次に、本発明のヒートシンクの使用方法例を説明する。ここでは、第1の実施形態例に係るヒートシンク1を用いて使用方法例を説明する。第1の放熱フィン群17側からヒートシンク1へ冷却風を供給する場合、冷却風の流通方向が第1の放熱フィン11の表面に対して略平行方向となるように、ヒートシンク1を設置する。また、発熱体(図示せず)を熱的に接続するベースプレート10の部位は特に限定されないが、例えば、ベースプレート10の中央部、すなわち、第2の放熱フィン12が取り付けられた部位及び側面視U字状のヒートパイプ14の底部14cが取り付けられた部位に対応する位置を挙げることができる。
次に、本発明のヒートシンクの他の実施形態例について説明する。上記第6、第7実施形態例では、遮蔽部材は設けられていなかったが、必要に応じて、第2の放熱フィン群の部位に、さらに、遮蔽部材が設けられてもよい。上記遮蔽部材としては、例えば、3つの平面部からなる正面視コ字状の部材を挙げることができ、遮蔽部材の高さとしては、第1の放熱フィン群のベースプレート表面からの高さ、第3の放熱フィン群のベースプレート表面からの高さと、略同一の高さを挙げることができる。
上記各実施形態例では、第1の放熱フィン群のベースプレート表面からの高さよりも低い第2の放熱フィンは、相互に略同じ高さであったが、これに代えて、第1の放熱フィン群のベースプレート表面からの高さよりも低ければ、異なる高さとしてもよい。
また、上記各実施形態例では、第2の放熱フィン表面は第1の放熱フィン表面に対して略直交方向に設けられていたが、第2の放熱フィン表面と第1の放熱フィン表面とが、相互に平行でなければよく、例えば、第2の放熱フィンの表面が、ベースプレート表面に対して鉛直以外の角度、すなわち、0°超~90°未満の角度(例えば、70°~90°未満)で、ベースプレート上に立設されてもよく、また、第1の放熱フィンの表面及び/または第3の放熱フィンの表面が、第2の放熱フィンの配列方向において、ベースプレート表面に対して平行ではない角度、すなわち、第2の放熱フィンの配列方向において、ベースプレート表面に対して0°超~90°未満の角度(例えば、ベースプレート表面に対して0°超~30°の角度)ように配置してもよい。
また、第1~第5、第7実施形態例に係るヒートシンクにおいては、同一形状及び同一寸法のヒートパイプについて、その直線部が、ベースプレート上に並列に立設されていたが、これに代えて、ヒートパイプを3つ以上設けて、ヒートシンク内における冷却風の流れを円滑化するために、該ヒートパイプの直線部が千鳥配置となるように設置してもよい。
上記第1~第7実施形態例では、ヒートパイプを用いたが、ヒートパイプに代えて、またはヒートパイプと共に、25℃の熱伝導率が100W/(m・K)以上の金属(例えば、アルミニウム、銅等)を用いてもよい。また、上記各実施形態例では、各放熱フィン群のフィンピッチは、いずれも等間隔であったが、放熱フィン群の放熱フィンの配列は、等間隔でなくてもよく、等間隔に配列された複数の放熱フィンのうち、一部の放熱フィンを間引いた態様の放熱フィンの配置としてもよい。一部の放熱フィンを間引いた態様とすることで、風下側へより多くの冷却風を供給できる。
また、上記各実施形態例では、第2の放熱フィンの形状は平板状であったが、ベースプレートへの接合のために、必要に応じてL字状やコ字状としてもよい。