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JP2015164166A - 放熱器及びその製造方法 - Google Patents

放熱器及びその製造方法 Download PDF

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JP2015164166A
JP2015164166A JP2014102389A JP2014102389A JP2015164166A JP 2015164166 A JP2015164166 A JP 2015164166A JP 2014102389 A JP2014102389 A JP 2014102389A JP 2014102389 A JP2014102389 A JP 2014102389A JP 2015164166 A JP2015164166 A JP 2015164166A
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陽介 渡辺
Yosuke Watanabe
陽介 渡辺
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MIZUTANI DENKI KOGYO KK
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MIZUTANI DENKI KOGYO KK
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Abstract

【課題】放熱効率および熱伝達率を向上させることが可能な放熱器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】放熱器1は、固定溝13を有する支持基板10と、固定溝13内にそれぞれ立設して固定される放熱フィン20と、を有し、奥行き長さ方向の一方側から供給された冷却流体によって放熱フィン20の熱を空気中に放出する。放熱フィン20は、放熱面20sが、各固定溝13の奥行き長さ方向に沿う向きで所定間隔を空けて複数列固定されている。放熱器1は、固定溝13間で奥行き長さ方向の同じ列にそれぞれ固定された放熱フィン20Aの集合である放熱フィン群201と、この放熱フィン20Aに奥行き長さ方向で隣り合う放熱フィン20Bの集合である放熱フィン群202とで、支持基板10の上面部11に対する放熱フィン20A,20Bの放熱面20sの傾斜角度が異なっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、トランジスタやLSI、マイクロプロセッサなどの、使用により発熱する電子部品の冷却に用いる放熱器であって、特に、放熱フィンを備えた放熱器及びその製造方法に関する。
一般的に、一方の面に電子部品が当接される金属製の基板と、この基板の他方の面に立設される金属薄板状の放熱フィンとを備えた放熱器が知られている。このような放熱器は、電子部品で発生した熱を基板から放熱フィンに伝え、放熱フィンから空気中に放出する。さらに、近年、冷却ファン等により放熱フィン間に送り込んだ冷却流体によって、放熱フィンから熱を奪うことで、放熱器の放熱効率を向上させることが試みられている。
例えば、図25(a)に示すように、特許文献1に示す放熱器301は、支持基板310の上面部311に複数立設された放熱フィン320を有しており、放熱フィン320,320間には、冷却流体が通過可能な隙間が設定されている。この放熱器301は、放熱フィン320,320間における冷却流体の通過方向(図25(a)の矢印方向)の入口および出口の少なくとも一方の端部同士が、冷却流体の通過方向の異なる位置に設定されている。このような放熱器301によれば、図25(a)の矢印方向から放熱フィン320,320間に送り込んだ冷却流体によって、放熱フィン320,320…から熱を奪っている。
また、特許文献2には、ベース部410に立設した各フィン列の伝熱フィン420を、流体流れの主流方向(図25(b)の矢印方向)に沿って上流側から見たときに、上流側の伝熱フィン420と下流側の伝熱フィン420とが重なるように配置した放熱器401が記載されている。このような放熱器401は、上流側に配置された伝熱フィン420を通過した層流を、下流側に配置された伝熱フィン420の上流側の端面に衝突させて乱流域に遷移させている。
特開2000−022053号公報 特開2006−132841号公報
しかしながら、前記した特許文献1に記載の放熱器では、放熱フィン間における冷却流体の流れが層流域であるため、次のような問題があった。
具体的には、冷却流体が放熱フィンの表面を沿って流れることで温度境界層が形成され、熱伝達率が低下していた。つまり、放熱フィンの表面付近を通過する冷却流体は、高温になった放熱フィンから熱を奪うことで温度が上昇する。一方、放熱フィンの表面から離れたところを通過する冷却流体は、高温になった放熱フィンと接することがないので、温度の上昇が緩やかである。このように放熱フィンの表面を通過する高温の冷却流体と放熱フィンの表面から離れたところを通過する低温の冷却流体との温度差により温度境界層が形成される。そして、この温度境界層は、冷却流体の流入側から流出側に向かって連続的に成長する(高温の冷却流体が増え、低温の冷却流体が減る)。そのため、冷却流体の流出側では放熱フィンから熱を十分に奪うことができず、放熱効率の低下を招いていた。
ここで、一般的に、放熱フィンの表面からの熱伝達による放熱量は、放熱量Q[W]=熱伝達率[W/mK]×放熱フィンの表面積[m]×放熱フィンの表面と空気との温度差[K]で表される。これに基づき、例えば、特許文献1に記載の放熱器において、放熱量Qを増加し、放熱効率および熱特性を向上させるための改良方法を考える。
例えば、特許文献1に記載の放熱器において、放熱フィンの設置数を増やすと、前記式における放熱フィンの表面積(放熱面積)を増加させることができる。
しかし、一方で、冷却流体が放熱フィンの表面と摩擦することによる圧力損失が増大する。そのため、冷却装置の出力(電圧)を同一とした場合、放熱フィンの設置数を変えない場合よりも放熱フィンの設置数を増やしたときの方が、放熱フィン間を通過する冷却流体の風速が低下し、熱伝達率が低下することになる。
また例えば、特許文献1に記載の放熱器において、放熱フィンの設置数を減らした場合、放熱フィンの表面と冷却流体との摩擦による圧力損失の増大を抑制することができる。そのため、冷却装置の出力(電圧)を同一とした場合、放熱フィンの設置数を変えない場合よりも放熱フィンの設置数を減らしたときの方が、放熱フィン間を通過する冷却流体の風速を上昇させることができる。したがって、特許文献1に記載の放熱器において、放熱フィンの設置数を減らすことで、前記式における熱伝達率の向上が期待できる。
しかし、一方で、放熱フィンの表面積(放熱面積)が減少するため、放熱効率が低下する。また、冷却装置の出力を増やして冷却流体の風速を上昇させると、放熱器が振動し、振動音が発生するおそれがある。さらに、放熱器は、出来る限り製造費用を抑えることが求められていることから、冷却装置の出力を増やすことは、費用の観点から現実的でない。このように、従来の放熱器において、放熱効率および熱伝達率を向上させることには限界があった。
また、特許文献2に記載の放熱器は、前列の放熱フィン間を通過した冷却流体が後列の放熱フィンの端面(厚さ部分)の全体に衝突する。このように、冷却流体の衝突面積が大きいと、圧力損失が増大し、熱伝達率が低下することになる。
そこで、本発明は、放熱効率および熱伝達率を向上させることが可能な放熱器及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決した本発明の放熱器は、一面部の奥行き長さ方向に、所定間隔で平行に複数凹設された固定溝を有する支持基板と、複数の前記固定溝内にそれぞれ立設して固定される薄板状の放熱フィンと、を有する放熱器であって、前記放熱フィンは、放熱面が、前記固定溝の前記奥行き長さ方向に沿う向きで、前記奥行き長さ方向に所定間隔を空けて複数列固定されており、前記複数の固定溝間で前記奥行き長さ方向の同じ列にそれぞれ固定された前記放熱フィンの集合で放熱フィン群が構成されており、複数の前記放熱フィン群のうち、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記放熱フィン群同士で、前記支持基板の一面部に対する前記放熱面の傾斜角度が異なっており、前記奥行き長さ方向の一方側から見たときに、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記放熱フィン群の前記放熱フィン同士が支持基板上で交差していることを特徴とする。
かかる構成によれば、放熱器は、複数の固定溝間で奥行き長さ方向の同じ列に固定された複数の放熱フィンの集合である放熱フィン群のうち、奥行き長さ方向で隣り合う放熱フィン群同しで、支持基板の一面部に対する放熱面の傾斜角度が異なっている。また、放熱器の奥行き長さ方向の一方側から見たときに、隣り合う放熱フィン群の端面同士が支持基板上で交差している。
そのため、放熱器によれば、前列の放熱フィン群を層流域で通過した冷却流体が、後列の放熱フィン群へと流入するときに、後列の放熱フィン群を構成する放熱フィンの端面(放熱フィンの板厚部分)に衝突する。これによって、放熱器は、冷却流体を支持基板の一面側に垂直な方向にかきまぜて流れを乱すことができる。そして、放熱器によれば、冷却流体が前列の放熱フィン群を層流域で通過する過程で徐々に成長した温度境界層を、冷却流体が後列の放熱フィン群に流入するときに乱流域に遷移させることで崩すことができる。つまり、放熱器は、低温の冷却流体と高温の冷却流体とを混ぜ合わせることができるため、放熱フィンの表面に低温の冷却流体を接触させやすくすることができる。したがって、放熱器によれば、放熱フィンから冷却流体への熱伝達率を向上させることができる。
また、放熱器によれば、冷却流体が、放熱器の奥行き長さ方向の一方側(流入側・上流側)から他方側(流出側・下流側)に向かって複数列の放熱フィン群を通過する間に、複数回、温度境界層を崩すことができる。そのため、放熱器によれば、温度境界層の成長を放熱フィン群毎に断続的にすることができるので、放熱器全体における温度境界層の成長を抑制することができる。したがって、放熱器によれば、冷却流体の流入側だけでなく、冷却流体の流出側においても、放熱フィンから冷却流体への熱伝達率を向上させることができる。つまり、放熱器によれば、冷却流体の流出側においても、冷却流体が放熱フィンからの熱を効率よくうばうことができるので、放熱効率を向上することができる。
さらに、放熱器によれば、放熱フィンが薄板状であるため、冷却流体が、後列の放熱フィン群の放熱フィンの端面(放熱フィンの板厚部分)に衝突したときの圧力損失の増大を抑制することができる。
さらに、本発明は、支持基板と、前記支持基板の一面部にそれぞれ立設して固定される薄板状の複数の放熱フィンと、前記支持基板の熱を前記放熱フィンの先端側に伝達するヒートパイプと、を有する放熱器であって、前記支持基板の幅方向に互いに間隔を空けて配列された前記複数の放熱フィンの集合で放熱フィン群が形成され、前記放熱フィン群は、前記幅方向と直交する奥行き長さ方向に隣り合って複数設置され、複数の前記放熱フィン群のうち、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記放熱フィン群同士で、前記支持基板の一面部に対する前記放熱面の傾斜角度が異なっており、前記奥行き長さ方向の一方側から見たときに、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記放熱フィン群を構成する前記放熱フィン同士が支持基板上で交差しており、複数の前記放熱フィン群は、前記一面部に垂直な方向に対し放熱面が傾斜する傾斜フィン群を有し、前記ヒートパイプは、前記傾斜フィン群の基端側で前記支持基板の一面部に設置される受熱部と、前記傾斜フィン群の先端側に貫通設置される放熱部と、前記放熱部と前記受熱部とを接続する湾曲部と、を備えることを特徴とする。
さらにまた、前記したヒートパイプを有する放熱器の製造方法であって、前記傾斜フィン群を形成する複数の前記放熱フィンの先端側に前記ヒートパイプの放熱部を貫通させて、複数の前記放熱フィンを前記放熱部に所定の傾斜角度で取り付ける放熱フィン取付工程と、複数の前記放熱フィンが前記放熱部に所定の傾斜角度で取り付けられた前記ヒートパイプの受熱部と、複数の前記放熱フィンの基端部と、を前記支持基板の一面部に取り付ける支持基板取付工程と、を備えることを特徴とする。
さらにまた、本発明は、支持基板と、前記支持基板上に立設された複数の第1放熱フィンと、前記支持基板から前記第1放熱フィンの上方に延出し前記支持基板の熱を伝達する扁平型ヒートパイプと、前記第1放熱フィンの上方に配置され前記扁平型ヒートパイプ上に立設された複数の第2放熱フィンと、を備えた放熱器であって、前記支持基板の幅方向に互いに間隔を空けて配列された前記複数の第1放熱フィン及び前記複数の第2放熱フィンの集合で複数の第1放熱フィン群及び複数の第2放熱フィン群がそれぞれ形成され、前記複数の第1放熱フィン群及び前記複数の第2放熱フィン群のそれぞれは、前記幅方向と直交する奥行き長さ方向に隣り合って複数設置され、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記第1放熱フィン群同士及び前記第2放熱フィン群同士で、基準面に対する前記放熱面の傾斜角度が異なっており、前記奥行き長さ方向の一方側から見たときに、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記第1放熱フィン同士及び前記第2放熱フィン同士が交差していることを特徴とする。
本発明の放熱器によれば、放熱フィンから冷却流体への熱伝達率を向上させることができる。また、本発明の放熱器によれば、冷却流体の流出側においても放熱フィンから効率よく熱を奪うことができるので、放熱効率を向上させることができる。さらに、本発明の放熱器によれば、冷却流体が、流入側から流出側へと流れる間において、圧力損失の増大を抑制することができる。したがって、本発明の放熱器によれば、放熱器の放熱量を増加し、放熱器の熱特性を向上させることができる。
さらに、傾斜フィン群にヒートパイプを備えた放熱器によれば、ヒートパイプは、傾斜フィン群の基端側で支持基板の一面部に設置される受熱部と、傾斜フィン群の先端側に貫通設置される放熱部と、放熱部と受熱部とを接続する湾曲部と、を備えるので、支持基板の熱を傾斜フィン群の先端側に伝達して冷却効率を高めることができる。これに加えて、ヒートパイプの放熱部が傾斜フィン群の先端側に貫通設置されていることで、傾斜フィン群が放熱部に支持されるので、傾斜フィン群を安定させることができる。
さらにまた、前記したヒートパイプを有する放熱器の製造方法によれば、放熱フィン取付工程において、複数の放熱フィンを所定の傾斜角度でヒートパイプの放熱部に取り付けた上で、支持基板取付工程において、ヒートパイプの受熱部と放熱フィンの基端部とを支持基板の一面部に取り付けるので、傾斜フィン群を有する放熱器を容易に製造することができる。
さらにまた、扁平型ヒートパイプを備えた放熱器によれば、比較的高さ寸法が小さくフィン効率の良い放熱フィン群を多段に積層し、扁平型ヒートパイプで上段の放熱フィン群に熱を輸送するので、高効率の放熱器(ヒートシンク)を実現することができる。また、傾斜フィンを用いることで、フィンの長さ(すなわち放熱面の面積)を保ちながら放熱器の高さ寸法を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る放熱器の全体構成を示す斜視図である。 (a)は、図1に示す本発明の第1実施形態の放熱器の側面図であり、(b)は、図1に示す放熱器を冷却流体の流入側から見た一部正面図であり、(c)は、(a)に示す放熱器の変形例を冷却流体の流入側から見た一部正面図である。 (a)は、比較例の放熱器の一部を冷却流体の流入側から見た斜視図であり、(b)は、(a)に示す後列の放熱フィンの端面に衝突する冷却流体の範囲を概念的に示す図であり、(c)は、本発明の第1実施形態に係る放熱器の一部を冷却流体の流入側から見た斜視図であり、(d)は、(c)に示す後列の放熱フィンの端面に衝突する冷却流体の範囲を概念的に示す図である。 本発明の第2実施形態に係る放熱器の一部を示す斜視図である。 (a)は、図4に示す第2実施形態に係る放熱器の側面図であり、(b)は、図4に示す後列の放熱フィンの端面に衝突する冷却流体の範囲を示す概念的に示す図である。 (a)は、本発明の第3実施形態の放熱器の一部を冷却流体の流入側から見た斜視図、(b)は、(a)に示す2列目および3列目の放熱フィンの端面に衝突する冷却流体の範囲を示す概念的に示す図である。 本発明の第1から第3実施形態の変形例に係る放熱器を冷却流体の流入側か ら見た一部正面図である。 本発明の第1から第3実施形態の変形例に係る放熱器を冷却流体の流入側から見た一部正面図である。 本発明の放熱器と比較例の放熱器とにおける風速と熱抵抗との関係のシミュレーションに用いた装置の構成を説明するための図である。 (a)は、本発明の放熱器と比較例の放熱器とにおける風速と熱抵抗との測定結果の対応表を示す図であり、(b)は、(a)に示した測定結果を示すグラフである。 第4実施形態に係る放熱器の斜視図である。 図11に示すXII−XII矢視断面図である。 (a)は垂直フィンの前面図、(b)は垂直フィンの右側面図、である。 (a)は傾斜フィンの前面図、(b)は垂直フィンの右側面図、である。 支持基板の右側面図である。 第4実施形態に係る放熱器の製造方法を説明する図面であり、(a)は放熱フィン取付工程を、(b)は支持基板取付工程を、(c)は取付完了状態を、それぞれ示している。 変形例3に係る傾斜フィンの右側面図である。 変形例3に係る傾斜フィンのはんだ付け作業を説明するための断面図である。 (a)は変形例4に係る傾斜フィンの前面図、(b)は右側面図、である。 変形例4に係る傾斜フィンの取付状態を説明するための断面図である。 変形例5に係る放熱器の斜視図である。 変形例6に係る放熱器の斜視図である。 第5実施形態に係る放熱器の斜視図である。 扁平型ヒートパイプの展開図である。 (a)は、従来の放熱器の構成を説明するための図であり、従来の放熱器を上方から見下ろした一部拡大図であり、(b)は、従来の放熱器の構成を説明するための図であり、従来の放熱器を上方から見下ろした一部拡大図である。
<第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態に係る放熱器について、図1および図2を参照して説明する。以下の説明において、放熱器の上下方向(高さ方向)、前後方向(奥行き方向)、左右方向(幅方向)は、図1に示したとおりである。
図1および図2に示すように、放熱器1は、平坦な上面部(一面部)11に、奥行き長さ方向に所定間隔で平行に複数凹設された固定溝13と、固定溝13の両側に設けられたかしめ溝部14と、を有する支持基板10と、固定溝13にそれぞれ立設される金属薄板状の放熱フィン20と、を有している。ここで、奥行き長さ方向とは、図1に示した放熱器1の前後方向のことである。
この放熱器1の近傍には、冷却ファン等(図示せず)が設置されている。この冷却ファン等(図示せず)によって、図1に示すA方向から放熱器1の放熱フィン20に送り込まれた冷却流体により、放熱フィンの熱が奪われる。
以下では、放熱器1の奥行き長さ方向の一方側を流入側と呼称し、他方側を流出側と呼称する場合もある。なお、冷却ファン等(図示せず)は、放熱器1における流入側に向かって均一の流速の流体流れを発生させるように構成されている。
図1に示すように、支持基板10は、放熱器1の基台となるものであり、所定の厚みで形成される金属製の矩形状部材である。支持基板10は、前記したように、予め上面部11に凹設される固定溝13を有している。なお、支持基板10の下面部12には、半導体素子等の発熱部品(図示省略)が当接される。また、支持基板10の長さ寸法および幅寸法は、放熱器1が使用される発熱部品に合わせて適宜設定することができる。
図2(b),(c)に示すように、固定溝13は、平坦な上面部11に、支持基板10の奥行き長さ方向に沿って所定の設置間隔で形成された凹状の溝であり、底面が上面部11と略平行となっている。固定溝13の幅は、内部に固定される放熱フィン20の厚さと略同等か若干大きくなっている。
固定溝13の設置間隔(隣り合う固定溝13,13間の上面部11の幅)は、適宜設定できる。固定溝13の設置間隔は、フィンピッチと等しい。固定溝13は、例えば、押出加工により、支持基板10の上面部11に所定の設置間隔で複数凹設される。
図2(b),(c)に示すように、かしめ溝部14は、固定溝13内に放熱フィン20を嵌合固定するものである。
かしめ溝部14は、固定溝13の両側に、固定溝13に沿って凹設される溝であり、固定溝13の深さ以下で形成されている。このかしめ溝部14は、固定溝13に放熱フィン
20の下端部が嵌合された状態で、固定溝13の両側をかしめ加工することで形成される。なお、かしめ溝部14の形状は、特に限定されない。
図1に示すように、放熱フィン20は、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の熱伝導性の高い素材からなる矩形状の薄板部材である。
放熱フィン20は、各固定溝13,13…の奥行き長さ方向(前後方向)に沿って複数列固定されている。ここでは、図1および図2(a)に示すように、1つの固定溝13に放熱フィン20が9列固定されている。なお、奥行き長さ方向に隣り合う放熱フィン20,20間には、所定間隔が空いている。したがって、放熱フィン20の放熱面20sの奥行き長さは、固定溝13の奥行き長さの1/9以下となっている。ここで、放熱面20sとは、放熱フィン20が支持基板10に固定された状態で、上面部11よりも上方に突出する部分を指す。また、傾斜角度βとは、上面部11と放熱面20sとでなす角度(内角)を指す。
同じ固定溝13に固定された、奥行き長さ方向で隣り合って配置された放熱フィン20,20は、支持基板10の上面部11に対する放熱面20sの傾斜角度β(上面部11と放熱面20sとがなす角度)が互いに異なっている。
図1および図2(b)に示すように、放熱器1の1つの固定溝13の奥行き長さ方向で隣り合って配置された放熱フィン20,20は、1列目の放熱フィン20の放熱面20sが、上面部11に対し垂直な方向(固定溝13の幅方向中央を通って延びる法線M(図2(b)参照)方向に沿って直立している。
そして、2列目の放熱フィン20の放熱面20sが、固定溝13の両側(左右側)の上面部11のうちの左側にある上面部11に対し、所定角度β(例えばβ=−θ)だけ、法線M側に起き上がって傾斜している。具体的には、放熱面20sと固定溝13の左側にある上面部11とでなす角度βが−θとなっている。この角度βは、固定溝13の左側にある上面部11からの、放熱面20sの起き上がり角度である。
以下では、法線Mと固定溝13の左側または右側の上面部11とでなす角度はそれぞれ90度であるものとする。また、上面部11に沿った方向を0度とし、法線M方向を90度としたときに、法線Mの一方側(法線Mの左側)の領域を−とし、法線Mの他方側(法線Mの右側)の領域を+とする。
したがって、1つの固定溝13において、法線Mの左側にある上面部11と、当該上面部11側に傾斜した放熱面20sとがなす角度には−の符号を付けて表記する。同様に、1つの固定溝13において、法線Mの右側にある上面部11と、当該上面部11側に傾斜した放熱面20sとがなす角度には+の符号を付けて表記する。
図1および図2(b)に示すように、他方の放熱フィン20の放熱面20sは、下端部分が固定溝13に固定された状態で、固定溝13の左上端と、法線Mの左側にある上面部11との間の稜線部分を基点として、法線Mに対し当該上面部11側に傾斜している。
つまり、図1および図2(b)に示すように、放熱器1の固定溝13には、放熱面20sが、法線Mに沿って直立する放熱フィン20と、放熱面20sが、法線Mに対し傾斜する放熱フィン20とが、放熱器1の奥行き長さ方向に1列おきに(交互に)固定されている。
よって、複数の固定溝13,13…において、奥行き長さ方向の同じ列に固定された複数の放熱フィン20,20(放熱フィン群)…は、放熱面20s,20s…の傾斜角度が互いに等しくなっている。これとともに、1つの固定溝13において、奥行き長さ方向で隣り合って配置された固定された放熱フィン20,20は、放熱面20s,20sの傾斜角度が互いに異なっている。
図1および図2(a)に示すように、ここでは、放熱面20sが上面部11に垂直な方向(法線M)に対し傾斜して固定された放熱フィン20の集合である放熱フィン群を、「放熱フィン群201」と呼称する。同様に、放熱面20sが法線Mに沿って直立して固定された放熱フィン20の集合である放熱フィン群を、「放熱フィン群202」と呼称する。ここでは、支持基板10上に、5つの放熱フィン群201と4つの放熱フィン群202の合計9つの放熱フィン群が形成されている。
以下では、放熱フィン群201を構成する各放熱フィンを放熱フィン20Aと呼称し、放熱フィン群202を構成する各放熱フィンを放熱フィン20Bと呼称する。
図1および図2(b)に示すように、放熱器1は、前列の放熱フィン群201と後列の放熱フィン群202とにおいて、同じ固定溝13に固定された放熱フィン20A,20B同士で、放熱面20s,20sの上端部の位置がずれている。
つまり、図1および図2(b)に示すように、放熱器1を奥行き長さ方向の一方側から見たときに、1つの固定溝13に固定された、放熱フィン20Aの放熱面20sの上端部が、この固定溝13の2つ左隣の固定溝13に固定された、放熱フィン20Bの放熱面20sと重なり合っている。これによれば、冷却流体が放熱フィン群201,202を通過したときに、高い乱流促進効果を得ることができる。
また、放熱器1の変形例として、放熱フィン20Aの傾斜角度βを図1および図2(b)に示す放熱器1と異ならせた放熱器1Aを図2(c)に示した。
図2(c)に示すように、放熱器1Aを奥行き長さ方向の一方側から見たときに、1つの固定溝13に固定された、放熱フィン20Aの放熱面20sの上端部が、この固定溝13の1つ隣の固定溝13に固定された、放熱フィン20Bの放熱面20sと重なり合っている。これによれば、放熱フィン20A,20Bへの負荷を軽減しつつ、冷却流体が放熱フィン群201,202を通過したときに、乱流促進効果を得ることができる。
次に、図3を参照し、本発明の放熱器1における放熱フィン間の冷却流体の流れについて、比較例の放熱器と対比しながら説明する。
図3(a)に、比較例の放熱器101における放熱フィンの配置を表した一部側面図を示し、図3(b)に、(a)に示す放熱器101を冷却流体の流入側から見たときの一部正面図を示した。なお、比較例の放熱器101は、放熱フィンの形状以外の構成は本発明の放熱器1と同様であるものとする。
図3(a)に示すように、比較例の放熱器101は、全ての放熱フィン120の放熱面120sが、固定溝113の中央を通って延びる法線Mに沿って直立している。また、図3(b)に示すように、比較例の放熱器101を冷却流体の流入側から見たときに、前列の放熱フィン120,120の放熱面120s,120sの端面の間に、後列の放熱フィン120の放熱面120sの端面が配置された千鳥状の配列となっている。
このような放熱器101において、冷却流体は、図3(a)に示すA方向から、前列の放熱フィン120,120間に流入される。これにより、冷却流体は、放熱器101の放熱面120s,120sに沿って層流域を流れる。そして、冷却流体は、放熱器101前列の放熱フィン120,120間を通過して、後列の放熱フィン120に流入されるときに、後列の放熱フィン120における放熱面20sの端面に衝突して流れが乱されることで乱流域に遷移する。さらに、冷却流体は、放熱器101の後列の放熱フィン120の端面に衝突することで流れが分岐され、後列の放熱フィン120の両側の空間に流入する。
一方、図3(c)に示すのは、本発明の第1実施形態に係る放熱器1における放熱フィ
ンの配置を表した一部側面図であり、図3(d)に示すのは、(c)に示す放熱器1を冷却流体の流入側から見たときの一部正面図である。
本発明の第1実施形態に係る放熱器1において、冷却流体は、図3(c)に示すA方向から前列の放熱フィン群201の放熱フィン20A,20A間に流入される。これにより、冷却流体は、放熱器1の放熱面20s,20sに沿って層流域を流れる。
そして、冷却流体は、前列の放熱フィン群201の放熱フィン20A,20Aの間を通過して、後列の放熱フィン群202に流入するときに、後列の放熱フィン群202の放熱フィン20Bの端面に衝突して流れが乱されることで、乱流域に遷移する。さらに、冷却流体は、後列の放熱フィン群202の放熱フィン20Bの端面に衝突することで流れが分岐され、放熱フィン20Bの両側の空間に流入する。
このように、本発明の第1実施形態に係る放熱器1と比較例の放熱器101は、前列の放熱フィンを通過した冷却流体を、後列の放熱フィンにおける放熱面20sの端面に衝突させることで、当該冷却流体を乱流域に遷移させる点で共通する。
しかし、図3(b)に示すように、比較例の放熱器101は、全ての放熱フィン120の放熱面120sが法線Mに沿って直立(上面部111に対する傾斜角度β=90度:図示省略)している。そのため、図3(b)に示すように、前列の放熱フィン120の放熱面120sに沿って流れた冷却流体が、そのまま後列の放熱フィン120における放熱面120sの端面全体に衝突することになるので、冷却流体の衝突面積(衝突範囲)が大きくなる。具体的には、図3(b)に斜線で示した領域に冷却流体が衝突する。このように、比較例の放熱器101では、冷却流体が後列の放熱フィン120における放熱面20s端面の広範囲に衝突することで、冷却流体の圧力損失が増大するという問題がある。
また、比較例の放熱器101では、放熱面120s,120s間の狭い空間に流入された冷却流体が、放熱面120s,120sの上端側から外側の広い空間の方へと逃げやすいため、放熱面120s,120sの下端側に冷却流体を送り込みにくい。そのため、比較例の放熱器101では、放熱フィン120における放熱面120sの下端側の熱を、冷却流体によって効率よく奪うことができないという問題がある。
これに対し、第1実施形態に係る放熱器1は、図3(c)に示すように、1列目の放熱フィン20Aの放熱面20sが、固定溝13の左側にある上面部11に対し、所定角度β(例えばβ=−θ)だけ、法線M側に起き上がって傾斜している。つまり、放熱面20sと固定溝13の左側にある上面部11とでなす角度が角度β(β=−θ)となっている。一方、図3(c)に示すように、2列目の放熱フィン20の放熱面20sが、法線Mに沿って直立(上面部11に対する傾斜角度β=90度:図示省略)している。
そのため、図3(d)に示すように、冷却流体の流入側から見たときに、前列の放熱フィン群201の放熱フィン20Aの放熱面20s(放熱フィン20Aの端面部分)と、後列の放熱フィン群202の放熱フィン20Bの放熱面20s(放熱フィン20Bの端面部分)とが交差した状態となる。
これにより、第1実施形態に係る放熱器1では、図3(d)に示すように、前列の放熱フィン20Aにおける放熱面20sの上端部の位置が、2つ隣の固定溝13に固定された後列の放熱フィン20Bにおける放熱面20sの上端部の位置よりも低くなる。
そして、冷却流体は、前記したように、前列の放熱フィン20Aの放熱面20sに沿って流れる。
したがって、このような流路を通って前列の放熱フィン20Aを通過した冷却流体がそ
のまま後列の放熱フィン20Bに流入されると、放熱フィン20Bにおける放熱面20sの上端部近傍の端面には衝突しない。例えば、図3(d)に斜線で示したように、前列の放熱フィン20Aを通過した冷却流体は、後列の放熱フィン20Bにおける放熱面20sの端面全体のうち、放熱フィン20Aにおける放熱面20sの上端部よりも低い位置にある部分にのみ衝突する。なお、図3(d)では、放熱フィン20Bにおける放熱面20sの端面への冷却流体の衝突範囲のみを図示している。
このように、第1実施形態に係る放熱器1は、冷却流体が衝突する範囲を、後列の放熱フィン20Bにおける放熱面20sの端面全体のうちの一部に制限することができる。つまり、本発明の放熱器1によれば、比較例の放熱器101に比べて、冷却流体の衝突面積(衝突範囲)を小さくすることができるので、冷却流体の圧力損失を低減することができる。
また、第1実施形態に係る放熱器1は、前列の放熱フィン20Aの上端部よりも低い位置(下側)を流れた冷却流体が、そのまま後列の放熱フィン20Bに流入されることで、放熱フィン20Bの放熱面20sの下端側(根元側)に、冷却流体を送りこみやすくなる。これにより、放熱フィン20Bの放熱面20sの下端側の熱を効率よく放熱することができる。
さらに、第1実施形態に係る放熱器1は、前列の放熱フィン20Aの放熱面20sと、後列の放熱フィン20Bの放熱面20sとの上面部11に対する傾斜角度が異なるため、放熱フィン20Aを通過した冷却流体が放熱フィン20Bの端面に衝突したときに、より流れを乱しやすくすることができる。
なお、図2(c)に示す放熱器1Aにおいても、図2(b)に示す放熱器1と同様に、圧力損失を低減することができる。ただし、図2(b)に示す放熱器1の方が、図2(c)に示す放熱器1Aよりも、前列の放熱フィン20Aの傾斜角度βが大きいので、前列の放熱フィン20Aと後列の放熱フィン20Bとの交点がより下側へと下がる。そのため、図2(b)に示す放熱器1の方が、図2(c)に示す放熱器1Aに比べて冷却流体が、放熱フィン20Bにおける放熱面20sの端面部分に衝突する範囲をより小さくすることができ、より圧力損失を低減することができる。また、放熱フィン20Bにおける放熱面20sの下端側へ、冷却流体をより送り込みやすくなる。
以上説明した第1実施形態に係る放熱器1において、放熱フィン20Aにおける放熱面20sの上面部11に対する傾斜角度βは、およそ−20度〜−80度の範囲で適宜設定することができる。例えば、冷却流体の流入側から放熱器1を見たときに、1つの固定溝13に固定された、放熱フィン20Aの端面の上端部分が、この固定溝13の3つ以上隣の固定溝13に固定された、放熱フィン20Bの端面と重なり合うように、傾斜角度βが設定されていてもよい。これによれば、冷却流体の乱流促進効果がより得やすくなる。
ただし、放熱フィン20Aにおける放熱面20sの傾斜角度βは、フィンピッチと放熱フィン群201,202の放熱フィン20A,20Bの放熱面20sの長さ、得られる効果(圧力損失の減少効果、乱流促進効果)、放熱フィンへの負荷や製造費用などを考慮して適切な範囲に設定する。
つまり、放熱フィン20Aにおける放熱面20sの傾斜角度βが大きいと、圧力損失の減少や乱流促進効果が大きくなる。一方で、放熱フィン20Aへの負担が大きくなるとともに、放熱フィン20Aを形成するために必要なかしめ力が大きくなるため、その分、製造費用が高くなる。
放熱フィン20Aの傾斜角度βが小さいと、圧力損失の減少や乱流促進効果が小さくなり、後列の放熱フィン20Bにおける放熱面20sの下端部に冷却流体を送り込みにくくなるため、放熱効率が低減する。一方で、放熱フィン20Aを形成するために必要なかしめ力を小さくすることができるため、製造費用を抑えることができるとともに、放熱フィン20Aの折り曲げ基点にかかる負荷を小さくすることができる。
したがって、放熱フィン20Aにおける放熱面20sの傾斜角度βは、このような点を考慮して適切な値に設定するとよい。
放熱フィン群201,202を構成する放熱フィン20A,20Bのフィンピッチ(固定溝13の設置間隔)は、例えば、1〜2mm程度とすると好ましい。このようにすると、隣り合う放熱フィン20A,20A(20B,20B)間に適度な隙間を形成することができるとともに、支持基板10上の放熱フィンの設置数を増やすことができ、放熱面積を効果的に増やすことができる。
放熱フィン群201,202を構成する放熱フィン20A,20Bは、設置強度を確保することができる範囲で厚さができる限り薄いことが好ましい。例えば、放熱フィン20A,20Bの厚さ(端面の厚さ)を0.8mm〜1.0mm程度とすると好ましい。このように放熱フィン20A,20Bを薄肉とすることで、フィンピッチが小さくても、隣り合う固定溝13,13に固定された放熱フィン20A,20A(20B,20B)間に冷却流体を通過させるための空間を十分確保することができる。
また、放熱フィン20A,20Bの厚さを薄くすることができるので、冷却流放熱が放熱面20s,20sの端面に衝突したときの圧力損失を低減することができる。
放熱器1において、1つの固定溝13の奥行き長さ方向で隣り合って配置された放熱フィン20A,20A(20B,20B)同士の間隔は、少なくとも5mm以下とするとよい。ここでの間隔とは、前列の放熱フィンの後端面と後列の放熱フィンの前端面との距離のことである。この間隔が5mm以下であると、前列の放熱フィン群201を通過した冷却流体が、後列の放熱フィン群202に流入する間も、乱流域の状態を維持することができるので、乱流促進効果を持続的に得ることができる。
次に、第1実施形態に係る放熱器1を形成する工程のうち、特に放熱フィンの形成について、図1および図2を適宜参照して説明する。
まず、図1に示すような固定溝13が複数凹設された基板を準備する。そして、図1に示す放熱フィン20の寸法、厚さで形成した薄板部材の下端部を固定溝13に嵌合する。例えば1つの固定溝13に、9枚の薄板部材を、所定間隔を空けながら固定溝の奥行き長さ方向に沿って並べて配置する。
次に、かしめ機に取り付けた、先端が垂直断面視V字状に尖ったかしめ刃(図示せず)で、基板の固定溝13の両側を所定量圧潰して、図1に示すかしめ溝部14,14を形成する。これにより、図1に示す支持基板10が完成する。また、このようなかしめ溝部14,14の形成により、固定溝13の側壁面に対し、幅方向内側への押圧力が作用する。この固定溝13の側壁面から伝えられた押圧力によって、固定溝13内に嵌合された薄板部材の下端部が、固定溝13に堅固に圧接固定される。
そして、かしめ機に取り付けた、先端の角度が傾斜角度βと等しいかしめ刃(図示せず)により、固定溝13の奥行き長さ方向の最も手前側に配置された薄板部材から1列おきに、薄板部材の表面を支持基板10の上面部11側へと押圧する。これにより、薄板部材の表面を、固定溝13の上端部と上面部11との境界である稜線部分を基点として所定量倒すように折り曲げる。このようにして、放熱フィン20Aが形成される。また、残りの薄板部材、つまり、支持基板10上に直立して固定された薄板部材が、放熱フィン20B
となる。
このようにして、図1および図2に示すような、5つの放熱フィン群201と4つの放熱フィン群202が形成されるとともに、放熱器1が得られる。
次に、図1に示す放熱器1の全体における冷却流体の流れについて説明する。図1に示すA方向から供給された冷却流体は、最も前列の放熱フィン群201の放熱フィン20A,20A間に流入し、放熱フィン20A,20Aの壁面に沿って、放熱面20sから熱をうばいながら層流域で流れる。
そして、放熱フィン群201を通過した冷却流体は、後列の放熱フィン群202に流入する。このとき、冷却流体は、後列の放熱フィン群202の放熱フィン20Bの端面に衝突して乱流域に遷移する。これによって、温度境界層が崩されて、前列の放熱フィン20Aの放熱面20sの近傍を通過し高温となった冷却流体と、放熱面20sから離れて通過し低温のままの冷却流体とが混ぜ合わされる。
さらに、冷却流体は、放熱フィン群202の放熱フィン20B,20B間に流入し、放熱フィン20B,20Bの前端部から後端部に向かうにつれて、放熱面20sから熱をうばいながら徐々に乱流域から層流域へと変化して流れる。
そして、放熱フィン群202を通過した冷却流体は、さらに後列の放熱フィン群201に流入する。このとき、冷却流体が放熱フィン群201の放熱フィン20Aの端面に衝突して乱流域に遷移する。これによって、温度境界層が崩されて、前列の放熱フィン20Bの放熱面20sの近傍を通過し高温となった冷却流体と、当該放熱面20sから離れて通過し低温のままの冷却流体とが混ぜ合わされる。冷却流体はこのような動きを繰り返しながら、放熱器1における奥行き長さ方向の一方側から他方側へと流れる。
以上説明した第1実施形態に係る放熱器1によれば、固定溝13の奥行き長さ方向で隣り合う放熱フィン群201の放熱フィン20Aと、放熱フィン群202の放熱フィン20Bとの傾斜角度が異なっている。そのため、前列の放熱フィン20Aを通過した冷却流体が、後列の放熱フィン20Bに流入するときに、冷却流体を後列の放熱フィン20Bにおける放熱面20sの端面に衝突させることで、乱流域に遷移させることができる。
また、放熱器1によれば、放熱器1の奥行き長さ方向に放熱フィン群201,202を、所定間隔を空けて複数設けたことにより、放熱フィン群単位で温度境界層の成長を断続的にすることができる。これにより、放熱器1の全体における温度境界層の成長を抑制することができる。
さらに、放熱器1によれば、前列の放熱フィン群201を通過した冷却流体が、後列の放熱フィン群202に流入するときに、後列の放熱フィン群202の放熱フィン20Bの端面において、冷却流体が衝突する範囲を制限することができる。これにより、冷却流体の圧力損失を低減することができる。
放熱器1によれば、このようにして、放熱フィンから冷却流体への熱伝達率を飛躍的に向上させることができる。
そして、放熱器1によれば、放熱フィンの下端部(根元部分)に冷却流体を送り込みやすくなる。そのため、放熱フィンの下端部の熱も冷却流体によって放熱させることができるので、放熱効率を向上させることができる。
したがって、第1実施形態に係る放熱器1によれば、放熱量を増加し、熱特性を向上させることができる。
なお、第1実施形態では、放熱フィン20Aの放熱面20sが、固定溝13の左側にある上面部11に対し、傾斜角度β=−θだけ法線M側に起き上がって傾斜することとしたが、これに限られない。例えば、放熱フィン20Aの放熱面20sが、固定溝13の右側にある上面部11に対し、傾斜角度β=+θだけ法線M側に起き上がって傾斜していてもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る放熱器について、図4および図5を参照して説明する。第2実施形態に係る放熱器は、第1実施形態に係る放熱器の放熱フィンの構成を変更したものであるので、その他の共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図4に示すように、第2実施形態に係る放熱器1Aは、支持基板10と、放熱フィン20とを備えている。図5(a)に示すように、放熱フィン20は、1つの固定溝13に所定間隔を空けて9枚(9列)固定されている。
図5(b)に示すように、1つの固定溝13の奥行き長さ方向で隣り合う放熱フィン20,20は、1列目の放熱フィン20の放熱面20sが、固定溝13の左側にある上面部11に対し、所定角度β(例えばβ=−θ:図5(b)参照)だけ、固定溝13の中央を通る法線M側に起き上がって傾斜している。具体的には、放熱面20sと固定溝13の左側の上面部11とでなす角度(放熱面20sの傾斜角度)βが−θとなっている。
また、図5(b)に示すように、2列目の放熱フィン20の放熱面20sが、固定溝13の右側にある上面部11に対し、所定角度β(例えばβ=+θ:図5(b)参照)だけ、固定溝13の中央を通る法線M側に起き上がって傾斜している。具体的には、放熱面20sと固定溝13の右側の上面部11とでなす角度(放熱面20sの傾斜角度)βが+θとなっている。なお、傾斜角度βの表記の仕方は、第1実施形態と同様である。
ここでは、図5(a),(b)に示すように、−θ方向に傾斜した放熱フィン20の集合を放熱フィン群201とし、+θ方向に傾斜した放熱フィン20の集合を放熱フィン群202とする。以下では、放熱器1Aの放熱フィン群201,202をそれぞれ構成する放熱フィンをそれぞれ放熱フィン20A,20Bと呼称する。
ここで、図1に示した第1実施形態に係る放熱器1では、放熱フィン20Bにおける放熱面20sは、法線Mに沿って直立(上面部11に対する傾斜角度β=90度)していた。一方、図5(b)に示すように、第2実施形態に係る放熱器1Bでは、放熱フィン20Bにおける放熱面20sは、放熱フィン20Aにおける放熱面20sの傾斜方向と反対方向に傾斜している点で異なる。ここで、反対方向とは、放熱フィン20Aの放熱面20sと放熱フィン20Bの放熱面20sとが支持基板10上で互いに近づく方向・向かい合う方向のことである。
例えば、放熱フィン20Aにおける放熱面20sは、法線Mに対し、固定溝13の左側にある上面部11に近づくように傾斜しており、放熱フィン20Bにおける放熱面20sは、法線Mに対し、固定溝13の右側にある上面部11に近づくように傾斜している。なお、放熱フィン20Aと放熱フィン20Bとで、θの値は必ずしも一致していなくてもよい。放熱フィン20Aにおける放熱面20sの傾斜角度(放熱面20sと固定溝13の左側の上面部11とでなす角度)βは、およそ−20度〜−80度の範囲で適宜設定することができる。放熱フィン20Bにおける放熱面20sの傾斜角度(放熱面20sと固定溝13の右側の上面部11とでなす角度)βは+20度〜+80度の範囲で適宜設定することができる。
ここでは、図5(b)に示すように、放熱器1Aを冷却流体の流入側から見たときに、1つの固定溝13に固定された、放熱フィン20Aの放熱面20sにおける上端部が、この固定溝13の2つ隣の固定溝13に固定された、放熱フィン20Bの放熱面20sと重なり合うように、傾斜角度βが設定されている。
同様に、図5(b)に示すように、放熱器1Aを冷却流体の流入側から見たときに、1つの固定溝13に固定された、放熱フィン20Bの放熱面20sが傾斜した状態で、その上端部が、この固定溝13の2つ隣の固定溝13に固定された、放熱フィン20Aの放熱面20sと重なり合うように、傾斜角度βが設定されている。
つまり、放熱器1Bは、図5(b)に示すように、前列の放熱フィン20Aにおける放熱面20sと後列の放熱フィン20Bにおける放熱面20sとが支持基板10(図4参照)上で交差して一部が重なり合っている。
このような放熱器1Bによれば、前列の放熱フィン20Aを通過した冷却流体が、後列の放熱フィン20Bにおける放熱面20sの端面に衝突する範囲を、例えば、図5(b)に斜線で示す領域に制限することができる。なお、図5(b)では、後列の放熱フィン20Bにおける放熱面20sの端面への冷却流体の衝突範囲のみを図示している。
以上のように、放熱器1Bによれば、冷却流体の衝突面積(衝突範囲)を小さくすることができるので、冷却流体の圧力損失を低減することができる。
このような第2実施形態に係る放熱器1Bは、前記した第1実施形態に係る放熱器1(1A)の作用効果と同様の作用効果が得られる。
また、第2実施形態に係る放熱器1Bは、放熱フィン20Aの放熱面20sと、放熱フィン20Bの放熱面20sとが、支持基板10上で互いに反対方向に傾斜している。そのため、第2実施形態に係る放熱器1Bは、図1に示した第1実施形態に係る放熱器1よりも、乱流促進効果がより一層期待できる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る放熱器について、図6を参照して説明する。第3実施形態に係る放熱器は、第1,第2実施形態に係る放熱器の放熱フィンの構成を変更したものであるので、その他の共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図6(a),(b)に示すように、第3実施形態に係る放熱器1Cは、支持基板10と、放熱フィン20とを備えている。放熱器1Cの放熱フィン20は、ここでは図示を省略するが、第1実施形態と同様に、1つの固定溝13に所定間隔を空けて9枚(9列)固定されている。
図6(b)に示すように、放熱器1Cは、1つの固定溝13の奥行き長さ方向の1列目の放熱フィン20の放熱面20sが、当該固定溝13の左側の上面部11に対し、所定角度β(β=−θ:図6(b)参照)だけ固定溝13の中央を通る法線M側に起き上がって傾斜している。具体的には、放熱面20sと固定溝13の左側の上面部11とでなす角度(放熱面20sの傾斜角度)βが−θとなっている。
また、放熱器1Cは、2列目の放熱フィン20の放熱面20sが、法線Mに沿って直立している。
さらに、放熱器1Cは、3列目の放熱フィン20の放熱面20sが、固定溝13の右側の上面部11に対し、所定角度β(β=+θ:図6(b)参照)だけ法線M側に起き上がって傾斜している。具体的には、放熱面20sと固定溝13の右側の上面部11とでなす角度(放熱面20sの傾斜角度)βが+θとなっている。なお、傾斜角度βの表記の仕方は、第1実施形態と同様である。
ここでは、図6(a)に示すように、支持基板10上において、放熱面20sと固定溝13の左側にある上面部11とでなす角度βが−θである放熱フィン20の集合を、放熱フィン群201とする。また、放熱面20sが法線Mに沿って直立した(放熱面20sと上面部11とでなす角度βが90度(図示省略))である放熱フィン20の集合を、放熱フィン群202とする。さらに、放熱面20sと固定溝13の右側にある上面部11とでなす角度βが+θである放熱フィン20の集合を、放熱フィン群203とする。以下では、放熱器1Cの放熱フィン群201〜203をそれぞれ構成する放熱フィンを、それぞれ放熱フィン20A〜20Cと呼称する。
なお、放熱フィン20Aと放熱フィン20Cとで、θの値は一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
このとき、放熱フィン20Aにおける放熱面20sの上面部11に対する傾斜角度βは、およそ−20度〜−80度の範囲で適宜設定することができ、放熱フィン20Cにおける放熱面20sの上面部11に対する傾斜角度βは、20度〜80度の範囲で適宜設定することができる。
このような放熱器1Cによれば、前列の放熱フィン群201を通過した冷却流体が後列の放熱フィン群202に流入するときに放熱フィン20Bの放熱面20sの端面において冷却流体が衝突する範囲を、例えば、図6(b)に斜線で示す領域に制限することができる。同様に、放熱フィン群202を通過した冷却流体が後列の放熱フィン群203に流入するときに、放熱フィン20Cの放熱面20sの端面において冷却流体が衝突する範囲を、例えば、図6(b)に斜線で示す領域に制限することができる。なお、図6(b)では、前後の放熱フィン20A,20Bまたは20B,20C同士が交差した部分における、後列の放熱フィン20Bまたは20Cの端面への冷却流体の衝突範囲のみを図示している。
このような第3実施形態に係る放熱器1Cは、前記した第1、第2実施形態に係る放熱器1(1A)、1Bの作用効果と同様の作用効果が得られる。
また、第3実施形態に係る放熱器1Cは、支持基板10上に3種類の放熱フィン群201,202,203が形成されており、3段階で放熱フィンの傾斜角度が変化している。そのため、第3実施形態に係る放熱器1Cは、図1,図5に示した第1,第2実施形態に係る放熱器1,1Bよりも、乱流促進効果がより一層期待できる。
<変形例1>
以上、本発明の第1〜第3実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、図7に示すのは、第1〜第3実施形態に係る放熱器の変形例に係る放熱器1Dである。変形例に係る放熱器1Dは、第1〜第3実施形態に係る放熱器1(1A),1B,1C(図1〜6参照)に対し、放熱フィン20の形状および固定溝13の形状が相違する。ここでは、第1〜第3実施形態に係る放熱器1(1A),1B,1C(図1〜6参照)と共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図7に示すように、変形例に係る放熱器1Dは、支持基板10と、放熱フィン2
0とを備えている。放熱器1Dの放熱フィン20は、ここでは図示を省略するが、第1実施形態と同様に、1つの固定溝13に所定間隔を空けて9枚(9列)固定されている。
また、図7に示すように、ここでは、放熱フィン20は、下端部で折り返されて断面視V字状となっており、折り返された一方側と他方側がそれぞれ放熱面20sとなっている。なお、この放熱フィン20の詳細は、本願出願人の既出願に係る実願2013−002518に記載のとおりである。
放熱器1Dにおける放熱フィン20のフィンピッチは、適宜設定することができるが、例えば、第1〜第3実施形態の放熱フィン20のフィンピッチと同様とすることができる。
放熱フィン20の開き角度(一方の放熱面20sと他方の放熱面20sとでなす角度)は、適宜設定することができる。ただし、放熱面積の全体を有効に活用するためには、一方の放熱面20sと他方の放熱面20sとが支持基板10上で重なり合う範囲ができる限り少なくなることが好ましいため、これを考慮して開き角度を設定するとよい。
一方の放熱面20sと他方の放熱面20sの厚さは、適宜設定することができるが、それぞれ0.5mm程度であると、放熱フィン20の強度を確保しつつ、放熱器1Dを軽量化することができるため好ましい。つまり、放熱器1Dは、放熱フィン20の片方の放熱面20sの厚さが、第1〜第3実施形態に係る放熱器1(1A),1B,1C(図1〜6参照)における放熱フィン20の放熱面20sの厚さよりも薄くなっている。これにより、放熱器1Dの重量を放熱器1(1A),1B,1C(図1〜6参照)の重量とほとんど差がない程度に抑えることができる。
放熱器1Dにおける放熱フィン20の下端部の厚さは、片方の放熱面20sの厚さの略2倍(1.0mm程度)となっている。また、支持基板10の固定溝13の幅は、放熱フィン20の下端部の厚さと略同等か若干大きくなっている。
ここでは、図7に示すように、放熱器1Dは、1つの固定溝13の奥行き長さ方向の1列目の放熱フィン20Aの放熱面20sが、当該固定溝13の左側の上面部11に対し、所定角度β(β=−θ)だけ、固定溝13の中央を通る法線方向に起き上がって傾斜している。具体的には、放熱面20sと固定溝13の左側の上面部11とでなす角度(放熱面20sの傾斜角度)βが−θとなっている。
また、放熱器1Dは、2列目の放熱フィン20の放熱面20sが、固定溝13の左側の上面部11に対し、所定角度β(β=+θ)だけ、固定溝13の中央を通る法線方向に起き上がって傾斜している。具体的には、放熱面20sと固定溝13の右側の上面部11とでなす角度(放熱面20sの傾斜角度)βが+θとなっている。なお、傾斜角度βの表記の仕方は、第1実施形態と同様である。
このような放熱器1Dによれば、放熱フィン20が断面視V字状となっており、2つの放熱面20s,20sを備えるため、第1〜第3実施形態に係る放熱器1(1A),1B,1Cの放熱フィン20に比べて、放熱面積を2倍近くまで増やすことができる。
また、放熱器1Dによれば、放熱フィン20の下端部が、上端部側へ折り返されているため、下端部を固定溝13内に嵌合すると、固定溝13内で折り返された部分がスプリングバックして固定溝13の側壁面を幅方向外側へと押圧する。これにより、放熱フィン20と固定溝13(支持基板10)との密着度をより向上させることができる。そのため、放熱器1Dによれば、支持基板10から放熱フィン20への熱伝達率をより向上させることができる。
<変形例2>
また、例えば、図8に示すのは、第1〜第3実施形態に係る放熱器の変形例に係る放熱器1Eである。変形例に係る放熱器1Eは、第1〜第3実施形態に係る放熱器に対し、放熱フィン20が、下端部に折り返し部23を有する点および固定溝13の形状が相違する。
図8に示すように、折り返し部23は、放熱フィン20の下端部を長さ方向全体に亘って、上端部に向かって所定量折り返してなる。ここで、折り返し部23は、折り返し高さが固定溝13の深さよりも大きいことが望ましい。これによって、かしめ溝部14,14の形成により固定溝13の側壁面に幅方向内側への押圧力が作用したとしても、固定溝13の変形を防止し、内部に嵌合された放熱フィン20の姿勢を良好に維持することができる。なお、この放熱フィン20の詳細は、本願出願人の既出願に係る登録実用新案公報第3149894号に記載のとおりである。
放熱フィン20は、放熱面20sの厚さが、0.5〜0.6mm程度であると、放熱フィン20の強度を確保しつつ、放熱器1Eを軽量化することができるため好ましい。放熱フィン20の下端部の厚さは、放熱面20sの厚さの略2倍となっている。
図8に示すように、放熱器1Eは、支持基板10の固定溝13の形状が、放熱フィン20の下端部に合わせて断面視U字状となっている。また、固定溝13の幅は、放熱フィン20の下端部の厚さに合わせて形成されている。
ここでは、放熱器1Eは、1つの固定溝13の奥行き長さ方向の1列目の放熱フィン20Aの放熱面20sが、当該固定溝13の左側の上面部11に対し、所定角度β(β=−θ:図8参照)だけ、固定溝13の中央を通る法線方向に起き上がって傾斜している。具体的には、放熱面20sと固定溝13の左側の上面部11とでなす角度(放熱面20sの傾斜角度)βが−θとなっている。
また、放熱器1Eは、2列目の放熱フィン20の放熱面20sが、法線方向に沿って直立(上面部11に対する傾斜角度β=90度)している。なお、傾斜角度βの表記の仕方は、第1実施形態と同様である。
放熱器1Eによれば、放熱フィン20の下端部を固定溝13内に嵌合すると、固定溝13内で折り返し部23がスプリングバックして固定溝13の側壁面を押圧する。これにより、放熱フィン20と固定溝13(支持基板10)との密着度をより向上させることができる。したがって、放熱フィン20と固定溝13(支持基板10)との密着度をより向上させることができる。そのため、放熱器1Eによれば、支持基板10から放熱フィン20への熱伝達率をより向上させることができる。
図8では、放熱フィン20を、折り返し部23が放熱面20sの左側に位置する向きで固定溝13に固定しているが、これに限られず、放熱フィン20を、折り返し部23が放熱面20sの右側に位置する向きで固定溝13に固定してもよい。
また、放熱フィン20Aの放熱面20sが、固定溝13の左側の上面部11に対し、所定角度β(例えばβ=−θ)だけ、法線方向に起き上がって傾斜し、放熱フィン20Bの放熱面20sが、固定溝13の右側の上面部11に対し、所定角度β(例えばβ=+θ)だけ、法線方向に起き上がって傾斜していてもよい。このとき、放熱フィン20A,20Bの傾斜角度βを入れ替えてもよい。
なお、前記した第1〜第3実施形態で説明した放熱フィン20B,20Cが折り返し部
23を有する場合、放熱面20sの傾斜方向は、折り返し部23と反対方向(離れる方向)とする。
<その他の変形例>
さらに、前記した実施形態において、放熱フィン20は、固定溝13の両側に形成されたかしめ溝部14,14により固定溝13内(支持基板10)に固定されていたが、これに限られない。例えば、放熱フィン20は、グリース、ろう付けや接着などにより固定溝13に固定されていても構わない。その場合、支持基板10にかしめ溝部14を形成する必要がなくなるので、放熱フィン20を固定溝13内(支持基板10)に、より簡単に固定することができる。
また、放熱器1A,1B,1D,1Eにおいて、放熱フィン群201と放熱フィン群202との奥行き長さ方向の並び順を入れ替えてもよい。
さらに、放熱器1Cにおいて、放熱フィン群201,202,203の奥行き長さ方向の並び順は、図5に示した例に限られず、適宜変更することができる。
また、前記した実施形態では、放熱フィン20と支持基板10とが別体となっていたが、これに限られず、一体となっていてもよい。
<シミュレーション>
本発明の放熱器の性能を確かめるために、本発明の実施例1〜3の放熱器と比較例の放熱器とについて、冷却流体の風速を変化させたときの熱抵抗を測定するシミュレーションを行った。図9を参照して、シミュレーションに用いた測定装置について説明する。
図9に示すように、本シミュレーションでは、本発明の放熱器1、1B、1Eの変形例、または、比較例の放熱器のいずれか1つを風洞W内に配置した。風洞Wは、断面視矩形状の細管状部品であり、内部(空洞)を、図9に示す矢印方向に沿って冷却流体が通過するようになっている。風洞W内の長さ方向の略中央に、放熱器(図9では放熱器1)を、支持基板側を上側にして配置し、冷却流体の流出側の端部に、冷却ファンFを配置した。
ここでは、風洞Wは、冷却流体の流出側の開口寸法が、冷却ファンFの寸法に合わせて、その他の部分の開口寸法よりも大きい。風洞Wのその他の部分は、高さが、放熱器の高さと略同等か若干大きく、幅を、放熱器の幅と略同等か若干大きい。このような風洞W内に放熱器を配置すると、内部に配置した放熱器の高さ方向と幅方向において、風洞Wとの間に隙間がほとんど形成されないため、より精密な測定が可能となる。
また、冷却ファンFの寸法(幅×長さ×高さ)は、80×80×38mmとし、風洞Wの幅方向に2つ並列して配置した。なお、図9では、手前側の冷却ファンFのみを図示している。冷却ファンFの最大出力(電圧)は、12Vとした。
さらに、風洞Wの外表面における放熱器1の設置位置の真上となる位置に、熱源(発熱部品)Hを当接した。熱源Hの発熱面積(幅×長さ)は、45×90mmとし、風洞Wの長さ方向に2つ配置した。熱源Hの1つ当たりの発熱量(熱負荷)は、200Wとした。
シミュレーションに用いる放熱器の寸法(幅×長さ×高さ)は、180×230×40mmとした。このうち、支持基板の高さ(厚さ)は、7mmとし、放熱フィンの高さ(長さ)は、210mmとした。また、放熱器は、支持基板をJISH4000に規定のA6063に係るアルミニウム合金で形成し、放熱フィンをJISH4000に規定のA1050に係るアルミニウムで形成した。
本シミュレーションでは、冷却ファンFを駆動して、風洞Wの開口部である流入口付近の空気(冷却流体)を吸い込むことで、冷却流体を、図9に矢印で示す流入側から流出側へと通過させ、放熱フィンを強制空冷した。
そして、冷却ファンの出力(電圧)を6〜12Vの間で変化させることで風速を1.0〜2.9[m/s]の間で変化させたときの、風速と熱抵抗との関係について調べた。風速は、冷却流体の流入側で測定した(前面風速)。熱抵抗[K/W]=放熱器上昇温度[K]/熱負荷[W]であるものとする。放熱器の温度は、風洞の外表面における放熱器の設置位置の近傍に、図示しない温度センサを設置して測定した。
図10(a),(b)に示すのは、前記した測定装置による測定結果の表とグラフである。
図10(a)に示すように、比較例の放熱器は、放熱フィンの厚さを0.8mm(0.8t)とした。また、支持基板上に41個の固定溝を設け、この固定溝に放熱フィンを9列ずつ固定した。したがって、1つの放熱フィン群が41枚の放熱フィンで構成されている。また、放熱フィンの放熱面は、全て、支持基板の上面部に対し垂直となっている。その他の構成は、図1に示した第1実施形態に係る放熱器1と同様である。
実施例1の放熱器は、図1に示した放熱器1と同様の構成となっている。実施例1の放熱器は、放熱フィンの厚さを0.8mm(0.8t)とした。また、支持基板上に41個の固定溝を設け、この固定溝に放熱フィンを9列ずつ固定した。したがって、1つの放熱フィン群が41枚の放熱フィンで構成されている。さらに、支持基板上に、放熱面が、支持基板の上面部に対し垂直な放熱フィンと、放熱面が、支持基板の上面部に対し75度傾斜した放熱フィンとが、放熱器の奥行き長さ方向に1列おきに配置されているものとした。
実施例2の放熱器は、図4に示した放熱器1Bと同様の構成となっている。実施例2の放熱器は、放熱フィンの厚さを0.8mm(0.8t)とした。また、支持基板上に41個の固定溝を設け、この固定溝に放熱フィンを9列ずつ固定した。したがって、1つの放熱フィン群が41枚の放熱フィンで構成されている。さらに、支持基板上に、上面部と放熱面とでなす角度が+75度の放熱フィンと、上面部と放熱面とでなす角度が−75度の放熱フィンとが、放熱器の奥行き長さ方向に1列おきに配置されているものとした。
実施例3の放熱器は、図8に示した放熱器1Eの変形例に係るものである。実施例3の放熱器は、図8に示した放熱器1Eにおいて、放熱フィン20Bの放熱面20sが、固定溝13の右側の上面部11に対し、所定角度β(β=+θ)だけ、固定溝13の中央を通る法線方向に起き上がって傾斜している点が異なる。その他については、図8を参照して説明した放熱器1Eと同様の構成である。
実施例3の放熱器は、放熱フィンの厚さを0.6mm(0.6t)とした。また、支持基板上に41個の固定溝を設け、この固定溝に放熱フィンを9列ずつ固定した。したがって、1つの放熱フィン群が41枚の放熱フィンで構成されている。この放熱フィンは、下端部に折り返し部を有している。さらに、支持基板上に、上面部と放熱面とでなす角度が+75度の放熱フィンと、上面部と放熱面とでなす角度が−75度の放熱フィンとが、放熱器の奥行き長さ方向に1列おきに配置されているものとした。
図10(a),(b)に示すように、比較例および実施例1〜3のいずれの場合においても、風速が上昇するにつれて、熱抵抗が低下することが分かる。
また、いずれの風速の場合においても、比較例よりも実施例1〜3の方が、熱抵抗値が低く、優れた放熱特性を備えることを確認した。特に、実施例3の放熱器は、熱抵抗値が
最も低く推移しており、極めて優れた放熱特性を備えることを確認した。
ここで、図10(a)の表に示す熱抵抗の低下率[%]は、比較例の放熱器において、所定の風速のときに測定された熱抵抗値に対する、実施例1〜3の放熱器において、同様の風速のときに測定された熱抵抗値の比率を一部抜粋して表すものである。
図10(a)に示すように、比較例の放熱器において、風速が1.0m/sのときの熱抵抗値0.174K/Wを基準1とし、風速が1.5m/sのときの熱抵抗値0.138K/Wを基準2とした。また、風速が2.0のときの熱抵抗値0.118K/Wを基準3とし、風速が2.6のときの熱抵抗値0.110K/Wを基準4とした。以下に示すように、実施例1〜3のそれぞれについて、基準1〜4との対比を行った。
[基準1との対比]
実施例1では、風速1.0m/sのときの熱抵抗値は0.154K/Wであり、基準1に対し、熱抵抗が約11.5%低下することを確認した。
実施例2では、風速1.0m/sのときの熱抵抗値は0.150K/Wであり、基準1に対し、熱抵抗が約13.8%低下することを確認した。
実施例3では、風速1.0m/sのときの熱抵抗値は0.135K/Wであり、基準1に対し、熱抵抗が約22.5%低下することを確認した。
[基準2との対比]
実施例1では、風速1.5m/sのときの熱抵抗値は0.123K/Wであり、基準2に対し、熱抵抗が約10.9%低下することを確認した。
実施例2では、風速1.5m/sのときの熱抵抗値は0.115K/Wであり、基準2に対し、熱抵抗が約16.7%低下することを確認した。
実施例3では、風速1.5m/sのときの熱抵抗値は0.105K/Wであり、基準2に対し、熱抵抗が約23.9%低下することを確認した。
[基準3との対比]
実施例1では、風速2.0m/sのときの熱抵抗値は0.101K/Wであり、基準3に対し、熱抵抗が約14.4%低下することを確認した。
実施例2では、風速2.0m/sのときの熱抵抗値は0.093K/Wであり、基準3に対し、熱抵抗が約21.2%低下することを確認した。
実施例3では、風速2.0m/sのときの熱抵抗値は0.085K/Wであり、基準3に対し、熱抵抗が約28.0%低下することを確認した。
[基準4との対比]
実施例1では、風速2.6m/sのときの熱抵抗値は0.083K/Wであり、基準4に対し、熱抵抗が約24.5%低下することを確認した。
実施例2では、風速2.6m/sのときの熱抵抗値は0.077K/Wであり、基準4に対し、熱抵抗が約30.0%低下することを確認した。
実施例3では、風速2.6m/sのときの熱抵抗値は0.070K/Wであり、基準4に対し、熱抵抗が約36.4%低下することを確認した。
以上のように、実施例1〜3の放熱器によれば、比較例の放熱器と比較して、熱抵抗を効果的に低下させることができる。つまり、熱伝導率を向上することができる。よって、実施例1〜3の放熱器は、優れた放熱特性を備えることを確認した。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る放熱器及びその製造方法について、図11から図16を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符合を付し、重複する説明を省略する。
図11に示すように、第4実施形態に係る放熱器500は、主に、ヒートパイプ530を備えている点が、前記した第1実施形態と異なっている。
図11、図12に示すように、放熱器500は、支持基板510と、支持基板510の一面部511にそれぞれ立設して固定される薄板状の複数の放熱フィン520と、支持基板510の熱を放熱フィン520の先端側に伝達するヒートパイプ530と、を有する。
放熱フィン520は、支持基板510の一面部511に対して垂直に起立する複数の放熱フィン(以下、「垂直フィン521」という場合がある)と、支持基板510の一面部511に垂直な方向に対して放熱面が傾斜する複数の放熱フィン(以下、「傾斜フィン522」という場合がある)と、を有している。放熱フィン520の厚さ寸法は、特に限定されるものではないが、例えば0.8mm〜1.0mm程度とするのが好ましい。
第4実施形態では、支持基板510の幅方向(左右方向)に互いに間隔を空けて配列された複数の垂直フィン521の集合で2つの放熱フィン群520G(以下、「垂直フィン群521G」という場合がある)が形成されている。また、支持基板510の幅方向(左右方向)に互いに間隔を空けて配列された複数の傾斜フィン522の集合で、2つの放熱フィン群520G(以下、「傾斜フィン群522G」という場合がある)が形成されている。放熱フィン群520Gを構成する放熱フィン520同士の間隔は、特に限定されるものではないが、例えば1〜2mm程度とするのが好ましい。
2つの垂直フィン群521Gと2つの傾斜フィン群522Gとは、幅方向と直交する奥行き長さ方向(前後方向)に交互に配置されている。そして、図12に示すように、これら4つの放熱フィン群520Gを奥行き長さ方向の一方側から見たときに、奥行き長さ方向に隣り合う垂直フィン521と傾斜フィン522とが支持基板510上で交差している。
図13(a)(b)に示すように、垂直フィン521は、垂直フィン521の先端側に形成された貫通孔521aと、垂直フィン521の基端側に形成された半円状の凹欠部521bと、を有している。また、図14(a)(b)に示すように、傾斜フィン522は、支持基板510の一面部511に垂直な方向に対して傾斜した傾斜部522cと、傾斜フィン522の先端側に形成された貫通孔522aと、傾斜フィン522の基端側に形成された半円状の凹欠部522bと、を有している。垂直フィン521及び傾斜フィン522の基端側の端部は、例えばはんだ付け、ろう付け等の接着手法によって支持基板510に固定されている。
傾斜フィン522の貫通孔522aは、後記するヒートパイプ530の放熱部531が貫通設置される孔である。凹欠部522bは、後記するヒートパイプ530の受熱部532に嵌合する部位である。貫通孔522aと凹欠部522bとの間隔は、傾斜フィン522をヒートパイプ530に取り付けたときに傾斜フィン522がヒートパイプ530に対して所定の傾斜角度γとなるように調節されている。また、貫通孔522aは、図14(a)に示すように、放熱部531の軸線方向からみたときに放熱部531の断面形状(例えば円形)と同形状となるように形成されている。換言すれば、貫通孔522aは、傾斜部522cの法線方向からみたときに楕円形状となるように形成されている。これにより、傾斜フィン522が放熱部531に対して傾斜した状態で、貫通孔522aの周縁が放熱部531の外周面に密着する。
図15に示すように、支持基板510は、上面である一面部511に、後記するヒートパイプ530の受熱部532に嵌合する4つの凹溝部512を有している。各凹溝部512は、支持基板510の奥行き長さ方向に互いに間隔を空けて、支持基板510の幅方向に沿って延設されている。
なお、第4実施形態の支持基板510は、第1実施形態のような固定溝13(図2参照)を有していない。
図11、図12(主に図12)に示すように、ヒートパイプ530は、正面視で横U字形状を呈する管状部材である。ヒートパイプ530は、支持基板510から熱を受け取る受熱部532と、放熱フィン520の先端側に熱を受け渡す放熱部531と、受熱部532と放熱部531とを接続する湾曲部533と、を備えている。図示は省略するが、ヒートパイプ530は、作動流体が減圧封入された二重管構造になっており、受熱部532で蒸発した作動流体が二重管の内側を流れて放熱部531に到達し、放熱部531で放熱して凝縮した作動流体が二重管の外側を流れて受熱部532まで戻る仕組みになっている。ヒートパイプ530は、4つの放熱フィン群520Gに対して1つずつ設置されている。
受熱部532は、放熱フィン520の配列方向に沿って支持基板510の一面部511に設置されている。具体的には、受熱部532の支持基板510側の側面は、支持基板510の凹溝部512に嵌合している。また、受熱部532の放熱フィン520側の側面は、支持基板510の一面部511から突出(膨出)しており、この部分に、放熱フィン520の基端側に設けられた凹欠部521b,522bが嵌合している。受熱部532は、支持基板510の一面部511と平行に設置されている。
放熱部531は、放熱フィン520の配列方向に沿って、放熱フィン520の先端側に設けられた貫通孔521a,522aに貫通設置されている。放熱部531は、例えば、貫通孔521a,522aの周縁にはんだ付け等で固定されている。放熱部531は、支持基板510の一面部511と平行に設置されている。
湾曲部533は、受熱部532の右端部と放熱部531の右端部とを接続する円弧状の部位である。図12に示すように、湾曲部533は、最も右側の放熱フィン520よりも外側(右側)に配置されている。
第4実施形態に係る放熱器500は、以上のように構成されるものであり、次に、第4実施形態に係る放熱器500の製造方法について、図16を参照して詳細に説明する。
第4実施形態に係る放熱器500の製造方法は、放熱フィン取付工程と、支持基板取付工程と、を備えている。
<放熱フィン取付工程>
図16(a)に示すように、放熱フィン取付工程では、傾斜フィン群522Gを形成する各傾斜フィン522を、ヒートパイプ530に対して所定の間隔を空けて順次取り付ける。具体的には、傾斜フィン522の貫通孔522aにヒートパイプ530の放熱部531を挿入すると共に、傾斜フィン522の凹欠部522bをヒートパイプ530の受熱部532の上半部に嵌合させる。貫通孔522aと凹欠部522bとの間隔は、貫通孔522aと凹欠部522bとをヒートパイプ530に取り付けたときに、傾斜フィン522がヒートパイプ530に対して所定の傾斜角度γとなるように調節されている。そのため、この取付作業によって、傾斜フィン522が自動的に所定の傾斜角度γでヒートパイプ530に取り付けられる。
<支持基板取付工程>
図16(b)に示すように、支持基板取付工程では、傾斜フィン群522Gが取り付けられたヒートパイプ530の受熱部532の下半部を、支持基板510の凹溝部512に嵌合させる。その上で、傾斜フィン522の下端部と支持基板510の一面部511とをはんだ材で接合する。これにより、図16(c)に示すように、支持基板510と傾斜フィン群522Gとヒートパイプ530とが一体化する。
また、図示は省略するが、垂直フィン群521Gについても、傾斜フィン群522Gと同様に、ヒートパイプ530に垂直フィン521を順次取り付けた上で、支持基板510の凹溝部512にヒートパイプ530の受熱部532を取り付ける。
傾斜フィン群522Gと垂直フィン群521Gの取り付けを複数回(第4実施形態では2回ずつ)繰り返すことにより、第4実施形態に係る放熱器500が完成する。
以上説明したように、第4実施形態に係る放熱器500によれば、前記した第1実施形態に係る放熱器1Aの作用効果に加えて、次のような作用効果を奏する。
すなわち、第4実施形態に係る放熱器500によれば、ヒートパイプ530は、傾斜フィン群522Gの基端側で支持基板510の一面部511に設置される受熱部532と、傾斜フィン群522Gの先端側に貫通設置される放熱部531と、放熱部531と受熱部532とを接続する湾曲部533と、を備えるので、ヒートパイプ530を介して支持基板510の熱を傾斜フィン群522Gの先端側に伝達して冷却効率を高めることができる。
さらに、ヒートパイプ530の放熱部531が傾斜フィン群522Gの先端側に貫通設置されているので、傾斜フィン群522Gが放熱部531に支持される。そのため、傾斜フィン群522Gを安定させることができる。特に、傾斜フィン522は、厚さ寸法が小さいので基端側のみの片持支持だと傾斜角度γが変化し易いが、傾斜フィン522の先端側がヒートパイプ530の放熱部531によって支持されるので、傾斜フィン522の傾斜角度γと傾斜フィン522同士の間隔が安定する。そのため、放熱器500に設計通りの熱特性を発揮させることができる。
さらに、第4実施形態に係る放熱器500によれば、放熱部531を貫通孔522aに貫通設置するとともに、受熱部532の放熱フィン520側の側面に凹欠部522bを嵌合させることで、複数の傾斜フィン522を、ヒートパイプ530に対して所定の傾斜角度γで容易に取り付けることができる。そして、支持基板510は、凹溝部512を一面部511に有しているので、ヒートパイプ530の受熱部532の支持基板510側の側面を当該凹溝部512に嵌合させることができる。これにより、傾斜フィン群522Gを形成する複数の傾斜フィン522を、所定の傾斜角度γで支持基板510に容易に取り付けることができる。
また、第4実施形態に係る放熱器500によれば、放熱フィン520を支持基板510にはんだ付けする際に、放熱フィン520がヒートパイプ530に支持されているので、ヒートパイプ530がない場合に比較して、放熱フィン520を支持基板510に容易にはんだ付けすることができる。特に、複数の傾斜フィン522を支持基板510に対して所定の傾斜角度γで正確にはんだ付けすることができる。
また、第4実施形態に係る放熱器500の製造方法によれば、放熱フィン取付工程において、複数の傾斜フィン522を所定の傾斜角度γでヒートパイプ530の放熱部531に取り付けた上で、支持基板取付工程において、ヒートパイプ530の受熱部532と傾斜フィン522の基端部とを支持基板510の一面部511に取り付けるので、傾斜フィン群522Gを有する放熱器500を容易に製造することができる。特に、放熱フィン520を支持基板510に取り付けてから、放熱フィン520を折り曲げて傾斜フィン群522Gを形成する場合に比較して、傾斜フィン群522Gを容易かつ精度よく形成することができる。
次に、第4実施形態に係る放熱器500の変形例3−6について、図17乃至図22を参照して詳細に説明する。
<変形例3>
変形例3に係る放熱器500は、図17、図18に示すように、傾斜フィン522の貫通孔522aの周縁に、はんだ材523を設置するための切欠部522dを有している。
図17に示すように、切欠部522dは、トンネル状の凹部であり、貫通孔522aの上側に形成されている。図18に示すように、ヒートパイプ530の放熱部531と傾斜フィン522とを接合する場合は、貫通孔522aに放熱部531を挿通するとともに、切欠部522dに線状のはんだ材523を設置する。この状態で、傾斜フィン522と放熱部531とはんだ材523とを加熱することにより、貫通孔522aの周縁と放熱部531の外周面との間にはんだ材523が溶け広がり、両者が所定の傾斜角度γで密接に接合される。
変形例3に係る放熱器500によれば、切欠部522dにはんだ材523を設置して貫通孔522aの周縁と放熱部531とを容易にはんだ付けすることができる。また、貫通孔522aの周縁と放熱部531とがはんだ付けによって密着するので、放熱器500の放熱特性を向上させることができる。また、はんだ付けによって、傾斜フィン522がヒートパイプ530に所定の傾斜角度γで固定されるので、ヒートパイプ530を支持基板510に取り付けるときに、傾斜フィン522の傾斜角度γがずれ難い。
なお、垂直フィン521の貫通孔521aにも切欠部(図示省略)を設け、垂直フィン521とヒートパイプ530とをはんだ付けするようにしてもよい。
<変形例4>
変形例4に係る放熱器500は、図19、図20に示すように、傾斜フィン522の貫通孔522aの周縁から突出する円筒状の突出部524を有している。そして、傾斜フィン522の放熱面に対する突出部524の傾斜角度δは、傾斜フィン522の放熱面に対する放熱部531の傾斜角度γに略等しい(γ=δ)。そのため、傾斜フィン522の貫通孔522aと突出部524にヒートパイプ530の放熱部531を挿通すると、傾斜フィン522が放熱部531に対して所定の傾斜角度γになる。なお、突出部524をかしめることによって、傾斜フィン522を放熱部531に固定してもよい。
変形例4に係る放熱器500によれば、傾斜フィン522の放熱面に対する突出部524の傾斜角度δが、傾斜フィン522の放熱面に対する放熱部531の傾斜角度γに略等しいので(γ=δ)、ヒートパイプ530に対して所定の傾斜角度γで傾斜フィン522を取り付けることが容易になる。また、突出部524をかしめた場合には、傾斜フィン522と放熱部531との密着性が向上するので、放熱器500の放熱特性が向上する。
<変形例5>
図21に示すように、変形例5に係る放熱器500は、ヒートパイプ530の断面形状が上下方向に扁平な四角形である点、及び、支持基板510が凹溝部512を有していない点が、第4実施形態と異なっている。
変形例5では、ヒートパイプ530の断面形状が四角形であるのに伴い、貫通孔522a及び凹欠部522bも四角形状に形成されている。また、凹欠部522bは、ヒートパイプ530の受熱部532の高さ寸法と同じ深さ寸法に形成されている。そのため、傾斜フィン522の下端部は受熱部532の下面と面一になっている。また、傾斜フィン522の下端部と受熱部532の下面とは、平坦面に形成された支持基板510の一面部511にはんだ付け、ろう付けなどで接着されている。垂直フィン521についても同様である。なお、ヒートパイプ530の断面形状は、支持基板510の一面部511との接触面が平坦であればよく、上下方向に扁平な四角形に限定されるものではない。
変形例5に係る放熱器500によれば、ヒートパイプ530に傾斜フィン522を所定の傾斜角度γで容易に取り付けることができる。また、傾斜フィン群522Gが取り付けられたヒートパイプ530を支持基板510に取り付けることで、傾斜フィン群522Gを有する放熱器500を容易に製造することができる。また、支持基板510に凹溝部512(図15参照)を設ける必要がないので、支持基板510の加工性が向上すると共に、他の製品との共通化等が容易になる。
<変形例6>
図22に示すように、変形例6に係る放熱器500は、ヒートパイプ530の断面形状が上下方向に扁平な四角形である点、及び、傾斜フィン522が凹欠部522bを有していない点が、第4実施形態と異なっている。
変形例6では、傾斜フィン522の基端側の端部が、直線状(平坦)に形成されている。また、ヒートパイプ530の断面形状が四角形であるのに伴い、貫通孔522aが四角形状に形成されている。傾斜フィン522は、貫通孔522aを放熱部531に嵌合させるとともに、傾斜フィン522の基端側の端部を受熱部532の上面に当接させることで、所定の傾斜角度γとなるように、貫通孔522aの位置が調節されている。
支持基板510の凹溝部512は、受熱部532と同一の断面形状に形成されている。したがって、凹溝部512に受熱部532を嵌め込むと、支持基板510の一面部511と受熱部532の上面とが面一になるとともに、傾斜フィン522の基端側の端部が支持基板510の一面部511に密着する。そのため、支持基板510と傾斜フィン522のはんだ付けが容易になるとともに、両者の熱伝達効率が向上する。なお、ヒートパイプ530の断面形状は、凹溝部512に受熱部532を嵌め込んだときに、支持基板510の一面部511と受熱部532の上面とが面一になればよく、上下方向に扁平な四角形に限定されるものではない。
変形例6に係る放熱器500によれば、ヒートパイプ530に傾斜フィン522を所定の傾斜角度γで容易に取り付けることができる。また、傾斜フィン群522Gが取り付けられたヒートパイプ530を支持基板510に取り付けることで、傾斜フィン群522Gを有する放熱器500を容易に製造することができる。また、傾斜フィン522に凹欠部522bを形成する必要がないので、傾斜フィン522の加工性が向上する。
なお、図22に示す変形例6のようにヒートパイプ530の受熱部532をすべて支持基板510に埋没させるよりも、図11に示す第4実施形態のように、ヒートパイプ530の受熱部532を支持基板510に半分だけ埋没させたほうが、支持基板510の加工自由度が増加し、半導体などの発熱体を取り付ける際の制約も少なくなる。
以上、第4実施形態及び変形例3−6に係る放熱器500およびその製造方法について、図11乃至図22を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、第4実施形態では、放熱フィン520をヒートパイプ530に取り付けた後に、ヒートパイプ530に支持基板510を取り付けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、放熱フィン520を支持基板510に取り付けた後に、ヒートパイプ530を放熱フィン520及び支持基板510に取り付けてもよい。このようにすれば、放熱フィン520を支持基板510に取り付ける際に、ヒートパイプ530が邪魔になることがないので、第1実施形態のように、支持基板510に固定溝13(図2参照)を設けて、放熱フィン520を支持基板510にかしめ固定することが容易になる。
また、第4実施形態では、傾斜フィン群522Gと垂直フィン群521Gとを交互に配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、垂直フィン群521Gに替えて、図4に示す第2実施形態のように、傾斜フィン群522Gと逆向きに傾斜する他の傾斜フィン群を設置してもよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態に係る放熱器700の構造について図面を参照して詳細に説明する。説明において、第4実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図23、図24に示すように、第5実施形態に係る放熱器700は、扁平型ヒートパイプ600を備える点、及び、放熱フィン群520Gが上下に複数段設置されている点、が前記した第4実施形態に係る放熱器500と主に異なっている。
放熱器700は、支持基板510と、支持基板510に取り付けられた扁平型ヒートパイプ600と、扁平型ヒートパイプ600に支持されて複数段(第5実施形態では3段)に配置された放熱フィン群520Gと、を主に備えている。
扁平型ヒートパイプ600は、支持基板510の熱を各放熱フィン群520Gに伝達する薄板状の金属製部材である。扁平型ヒートパイプ600は、支持基板510から上方に離間した位置に放熱フィン群520Gを支持する機能を有している。扁平型ヒートパイプ600の前後方向の寸法は、支持基板510の前後方向(奥行き長さ方向)の寸法に略等しい。
図23に示すように、扁平型ヒートパイプ600は、支持基板510の上面に設置される受熱部601と、受熱部601の右端部から立ち上がる第1壁部602と、第1壁部602の上端から受熱部601の上方に延出する第1放熱部603と、受熱部601の左端部から立ち上がる第2壁部604と、第2壁部604の上端から第1放熱部603の上方に延出する第2放熱部605と、これらの内部に形成された作動流体通路610(図24参照)と、作動流体通路610に減圧封入された作動流体(図示せず)と、を有している。
受熱部601は、例えばはんだ付け、ろう付けなどの接着手法によって支持基板510に固定されて一体化している。受熱部601と第1放熱部603と第2放熱部605とは、互いに平行である。例えば、受熱部601に平行な仮想平面を各放熱フィンの傾斜角度に関する基準面とすることができる。第1壁部602の上端は、1段目の放熱フィン群520Gよりも上まで延出している。第2壁部604の上端は、2段目の放熱フィン群520Gよりも上まで延出している。
受熱部601の上面には、2つの傾斜フィン群522Gと2つの垂直フィン群521Gとが前後方向に交互に配置されており、1段目の放熱フィン群520Gを形成している。また、第1放熱部603の上面及び第2放熱部605の上面も同様であり、それぞれ2段目、3段目の放熱フィン群520Gを形成している。前後方向に見て、傾斜フィン群522Gの傾斜フィン522は、垂直フィン群521Gの垂直フィン521と交差している。これにより、温度境界層の形成が抑制される。ちなみに、扁平型ヒートパイプ600と放熱フィン群520Gとの固定方法は特に限定されるものではなく、例えばはんだ付け等によって固定されている。
なお、受熱部601上の傾斜フィン群522Gと垂直フィン群521Gとが、特許請求の範囲における「複数の第1放熱フィン群」に相当する。また、受熱部601上の傾斜フィン522と垂直フィン521とが、特許請求の範囲における「複数の第1放熱フィン」に相当する。
また、第1放熱部603上又は第2放熱部605上の傾斜フィン群522Gと垂直フィン群521Gとが、特許請求の範囲における「複数の第2放熱フィン群」に相当する。また、第1放熱部603上又は第2放熱部605上の傾斜フィン522と垂直フィン521とが、特許請求の範囲における「複数の第2放熱フィン」に相当する。
図24に示すように、作動流体通路610は、不図示の作動流体が減圧封入された環状(無端状)の密閉空間である。作動流体は例えば水である。作動流体通路610は、扁平型ヒートパイプ600の内部を蛇行している。具体的には、作動流体通路610は、前後方向に互いに離間して設けられた複数の直線部611と、隣り合う直線部611の端部同士を繋ぐ複数の折り返し部612と、最も前側の直線部611の端部と最も後ろ側の直線部611の端部とを繋ぐ端部連通部613と、を有している。直線部611は、左右方向(第1、第2壁部602,604では上下方向)に延設されている。端部連通部613は、第1放熱部603の先端部に沿って延設されている。作動流体は、作動流体通路610の内部を一方向に還流しながら、受熱部601での気化(蒸発)と、第1、第2放熱部603,605での凝固(凝縮)を繰り返す。
多段に設置された放熱フィン群520Gは、前記した第4実施形態の放熱フィン群520Gよりも、高さ寸法が小さく形成されている。換言すれば、放熱器700は、高さ寸法の小さい放熱フィン群520Gを多段積みすることで、フィン効率の高いヒートシンクを実現している。また、傾斜フィン522は、傾斜することで高さ寸法が小さくなるので、フィン効率を高めながら放熱器700を小型化することができる。
次に、第5実施形態に係る放熱器700の動作について説明する。なお、図示は省略するが、支持基板510は、熱源の上部に設置されており、放熱器700には前方から後方に向かって冷却風が吹き掛けられている。
図23に示すように、図示しない熱源から支持基板510を介して受熱部601が熱を受けると、受熱部601に設けられた作動流体通路610内で作動流体が気化(蒸発)する。また、一部の熱は、1段目の放熱フィン群520Gに伝達されて放熱される。蒸発した作動流体は、例えば第1壁部602を上方に向かって流れ、第1放熱部603に到達する。第1放熱部603に到達した作動流体は、第1放熱部603を介して2段目の放熱フィン群520Gに熱を放熱し、凝固して液化する。液化した作動流体は、第1壁部602を下向きに流れ、再び受熱部601に到達する。
受熱部601に戻ってきた作動流体は、受熱部601で再び気化されて第2壁部604を上向きに流れ、第2放熱部605に到達する。第2放熱部605に到達した作動流体は、第2放熱部605を介して3段目の放熱フィン群520Gに熱を放熱し、凝固して液化する。液化した作動流体は、第2壁部604を下向きに流れ、再び受熱部601に到達する。以下、このような作動流体の移動が扁平型ヒートパイプ600の全域にわたって繰り返される。ちなみに、作動流体が気体から液体になる気相の移動によって潜熱が輸送され、核沸騰による液相の自励振動によって顕熱が輸送される。
第5実施形態に係る放熱器700によれば、第1実施形態等で説明した作用効果の他に次のような作用効果を奏する。
すなわち、放熱器700は、比較的高さ寸法が小さくフィン効率の良い放熱フィン群520Gを多段に積層し、扁平型ヒートパイプ600で上段の放熱フィン群520Gに熱を輸送するので、高効率の放熱器(ヒートシンク)を実現することができる。
また、傾斜フィン522を用いることで、フィンの長さ(すなわち放熱面の面積)を保ちながら放熱器700の高さ寸法を抑制することができる。
なお、第5実施形態では、扁平型ヒートパイプ600と支持基板510とを別体に形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、支持基板510に受熱部601と同等の機能を組み込んで一体化してもよい。この場合、支持基板510の左右端部から第1壁部602及び第2壁部604が立ち上がる構成となる。
また、第5実施形態では、支持基板510と1段目の放熱フィン群520Gとの間に受熱部601が介在することで、1段目の放熱フィン群520Gが間接的に支持基板510に取り付けられていたが、前記のように支持基板510に受熱部601と同等の機能を組み込んで一体化した場合には、支持基板510の上面に1段目の放熱フィン群520Gが直接取り付けられた状態となる。
また、第5実施形態では、扁平型ヒートパイプ600に第1放熱部603と第2放熱部605とを設けて、放熱フィン群520Gを3段に配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2壁部604と第2放熱部605とを省略して放熱フィン群520Gを2段積みにしてもよい。
1A,1B,1C,1D,1E 放熱器
10 支持基板
11 上面部(一面部)
12 下面部
13 固定溝
14 かしめ溝部
20(20A,20B,20C) 放熱フィン
201,202,203 放熱フィン群
23 折り返し部
500 放熱器
510 支持基板
511 一面部
512 凹溝部
520 放熱フィン
521 垂直フィン
522 傾斜フィン
521a,522a 貫通孔
521b,522b 凹欠部
522c 傾斜部
520G 放熱フィン群
521G 垂直フィン群
522G 傾斜フィン群
530 ヒートパイプ
531 放熱部
532 受熱部
533 湾曲部
700 放熱器
600 扁平型ヒートパイプ
601 受熱部
602 第1壁部
603 第1放熱部
604 第2壁部
605 第2放熱部
610 作動流体通路

Claims (12)

  1. 一面部の奥行き長さ方向に、所定間隔で平行に複数凹設された固定溝を有する支持基板と、複数の前記固定溝内にそれぞれ立設して固定される薄板状の放熱フィンと、を有する放熱器であって、
    前記放熱フィンは、放熱面が、前記固定溝の前記奥行き長さ方向に沿う向きで、前記奥行き長さ方向に所定間隔を空けて複数列固定されており、
    前記複数の固定溝間で前記奥行き長さ方向の同じ列にそれぞれ固定された前記放熱フィンの集合で放熱フィン群が構成されており、複数の前記放熱フィン群のうち、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記放熱フィン群同士で、前記支持基板の一面部に対する前記放熱面の傾斜角度が異なっており、前記奥行き長さ方向の一方側から見たときに、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記放熱フィン群を構成する前記放熱フィン同士が支持基板上で交差していることを特徴とする放熱器。
  2. 前記奥行き長さ方向の一方側からみたときに、前記放熱面が、前記一面部に垂直な方向に沿って直立する前記放熱フィン群と、前記放熱面が、前記一面部に垂直な方向に対し傾斜する前記放熱フィン群と、が交互に複数列固定されていることを特徴とする請求項1に記載の放熱器。
  3. 前記奥行き長さ方向の一方側からみたときに、前記放熱面が、前記固定溝の一方側の前記一面部に対し、当該一面部に垂直な方向に向かって所定角度起き上がり傾斜する前記放熱フィン群と、前記放熱面が、前記固定溝の他方側の前記一面部に対し、当該一面部に垂直な方向に向かって所定角度起き上がり傾斜する前記放熱フィン群と、が交互に複数列、前記固定溝に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の放熱器。
  4. 前記奥行き長さ方向の一方側からみたときに、前記放熱面が、前記固定溝の一方側の前記一面部に対し、当該一面部に垂直な方向に向かって所定角度起き上がり傾斜する前記放熱フィン群と、前記放熱面が、前記一面部に垂直な方向に沿って直立する前記放熱フィン群と、前記放熱面が、前記固定溝の他方側の前記一面部に対し、当該一面部に垂直な方向に向かって所定角度起き上がり傾斜する前記放熱フィン群と、が順番に複数列、前記固定溝に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の放熱器。
  5. 前記放熱面が前記一面部に垂直な方向に対し傾斜する前記放熱フィン群である傾斜フィン群に、前記支持基板の熱を伝達するヒートパイプをさらに備え、
    前記ヒートパイプは、前記傾斜フィン群の下方で前記支持基板の一面部に設置される受熱部と、前記傾斜フィン群の先端側に貫通設置される放熱部と、前記放熱部と前記受熱部とを接続する湾曲部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放熱器。
  6. 支持基板と、前記支持基板の一面部にそれぞれ立設して固定される薄板状の複数の放熱フィンと、前記支持基板の熱を前記放熱フィンの先端側に伝達するヒートパイプと、を有する放熱器であって、
    前記支持基板の幅方向に互いに間隔を空けて配列された前記複数の放熱フィンの集合で放熱フィン群が形成され、
    前記放熱フィン群は、前記幅方向と直交する奥行き長さ方向に隣り合って複数設置され、
    複数の前記放熱フィン群のうち、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記放熱フィン群同士で、前記支持基板の一面部に対する放熱面の傾斜角度が異なっており、前記奥行き長さ方向の一方側から見たときに、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記放熱フィン群を構成する前記放熱フィン同士が支持基板上で交差しており、
    複数の前記放熱フィン群は、前記一面部に垂直な方向に対し放熱面が傾斜する傾斜フィン群を有し、
    前記ヒートパイプは、前記傾斜フィン群の基端側で前記支持基板の一面部に設置される受熱部と、前記傾斜フィン群の先端側に貫通設置される放熱部と、前記放熱部と前記受熱部とを接続する湾曲部と、を備えることを特徴とする放熱器。
  7. 前記支持基板は、前記受熱部の前記支持基板側の側面に嵌合する凹溝部を前記一面部に有し、
    前記傾斜フィン群を形成する複数の前記放熱フィンは、前記受熱部の前記放熱フィン側の側面に嵌合する凹欠部と、前記放熱部が貫通設置される貫通孔と、を有することを特徴とする請求項6に記載の放熱器。
  8. 前記傾斜フィン群を形成する複数の前記放熱フィンは、前記貫通孔の周縁にはんだ材を設置するための切欠部を有することを特徴とする請求項7に記載の放熱器。
  9. 前記傾斜フィン群を形成する複数の前記放熱フィンは、前記貫通孔の周縁から突出する筒状の突出部を有し、
    前記放熱フィンの放熱面に対する前記突出部の傾斜角度は、前記放熱フィンの放熱面に対する前記放熱部の傾斜角度に略等しいことを特徴とする請求項7に記載の放熱器。
  10. 請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の放熱器の製造方法であって、
    前記傾斜フィン群を形成する複数の前記放熱フィンの先端側に前記ヒートパイプの放熱部を貫通させて、複数の前記放熱フィンを前記放熱部に所定の傾斜角度で取り付ける放熱フィン取付工程と、
    複数の前記放熱フィンが前記放熱部に所定の傾斜角度で取り付けられた前記ヒートパイプの受熱部と、複数の前記放熱フィンの基端部と、を前記支持基板の一面部に取り付ける支持基板取付工程と、
    を備えることを特徴とする放熱器の製造方法。
  11. 請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の放熱器の製造方法であって、
    前記貫通孔に前記放熱部を貫通させるとともに、前記凹欠部に前記受熱部の前記放熱フィン側の側面を嵌合させることで、複数の前記放熱フィンを前記ヒートパイプに所定の傾斜角度でそれぞれ取り付ける放熱フィン取付工程と、
    複数の前記放熱フィンが取り付けられた前記ヒートパイプの前記受熱部の前記支持基板側の側面に、前記支持基板の凹溝部を嵌合させる支持基板取付工程と、
    を備えることを特徴とする放熱器の製造方法。
  12. 支持基板と、前記支持基板上に立設された複数の第1放熱フィンと、前記支持基板から前記第1放熱フィンの上方に延出し前記支持基板の熱を伝達する扁平型ヒートパイプと、前記第1放熱フィンの上方に配置され前記扁平型ヒートパイプ上に立設された複数の第2放熱フィンと、を備えた放熱器であって、
    前記支持基板の幅方向に互いに間隔を空けて配列された前記複数の第1放熱フィン及び前記複数の第2放熱フィンの集合で複数の第1放熱フィン群及び複数の第2放熱フィン群がそれぞれ形成され、
    前記複数の第1放熱フィン群及び前記複数の第2放熱フィン群のそれぞれは、前記幅方向と直交する奥行き長さ方向に隣り合って複数設置され、
    前記奥行き長さ方向で隣り合う前記第1放熱フィン群同士及び前記第2放熱フィン群同士で、基準面に対する放熱面の傾斜角度が異なっており、前記奥行き長さ方向の一方側から見たときに、前記奥行き長さ方向で隣り合う前記第1放熱フィン同士及び前記第2放熱フィン同士が交差していることを特徴とする放熱器。
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