以下に、本発明の実施の形態にかかる作業支援装置、作業支援システム、作業支援方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる作業支援システム1の構成例を示す図である。本実施の形態の作業支援システム1は、災害発生時に対象物の被害状況の確認作業の効率化を支援するシステムであり、被害状況確認作業の優先順位である状況確認優先順位を決定して表示する。
作業支援システム1は、センサ情報を提供するセンサ情報提供装置201と、災害の発生が予測されることを示す予測情報を提供する予測情報提供装置202と、対象物についての情報である対象物情報を提供する対象物情報提供装置203とに、それぞれ通信回線により接続される。これらの通信回線は、有線回線であっても無線回線であってもよく、無線回線と有線回線とが混在していてもよい。ここでは、作業支援システム1が、センサ情報提供装置201と予測情報提供装置202と対象物情報提供装置203とから、通信回線を介して情報を取得する例を説明するが、作業支援システム1が、センサ情報提供装置201と予測情報提供装置202と対象物情報提供装置203とから情報を取得する方法は通信回線を介する例に限定されない。例えば、センサ情報提供装置201によって記録媒体にセンサ情報が記録され、作業支援システム1が記録媒体から情報を読み出すようにしてもよい。予測情報についても同様に記録媒体を介して予測情報提供装置202から作業支援システム1へ提供されてもよい。また、対象物情報についても同様に記録媒体を介して対象物情報提供装置203から作業支援システム1へ提供されてもよい。
また、センサ情報提供装置201、予測情報提供装置202および対象物情報提供装置203は、作業支援システム1を運用および管理する組織以外の管理者により管理される外部の装置であってもよいし、作業支援システム1を運用および管理する組織により管理される装置であってもよい。例えば、作業支援システム1が複数の保険会社の被害状況確認作業の効率化を支援する場合には、センサ情報提供装置201および予測情報提供装置202は、作業支援システム1を運用および管理する組織により管理され、国全体など広域のセンサ情報および予測情報を外部の装置から取得する。また、対象物情報提供装置203は、作業支援システム1を運用および管理する組織により管理され、対象物情報を複数の保険会社が管理する外部の装置から取得する。そして、作業支援システム1は、センサ情報提供装置201、予測情報提供装置202および対象物情報提供装置203から、支援対象の保険会社ごとに、対応する情報を取得するようにしてもよい。
作業支援システム1は、対象物情報を取得し、被害状況の確認作業が必要な被災した複数の対象物について、センサ情報または予測情報を用いて複数の対象物のそれぞれの状況確認優先順位を決定する。状況確認優先順位は、保険会社の担当者または市町村などの自治体の担当者が行う、補償対象物である対象物の被害状況の確認作業の優先順位である。ここでは、作業支援システム1が取得した対象物情報に対応する対象物は、全て担当者による被害状況の確認作業が必要な対象物である。したがって、本実施の形態1においては、作業支援システム1は、被害状況の確認作業が必要である複数の対象物の状況確認優先順位を決める。
センサ情報は、センサの観測によって得られた情報であり、センサによって取得されたデータ、または当該データが処理されたデータである。また、センサ情報は、センサにより観測された観測場所の位置を示す情報を含む。センサは、人工衛星、航空機、ドローンなどに搭載されたセンサであってもよく、車両などに搭載されたセンサであってもよく、地表、建物などに固定されたセンサであってもよい。
センサは、パッシブセンサであってもアクティブセンサであってもよい。パッシブセンサとしては、可視光、赤外光、紫外光などを観測するイメージセンサが例示される。アクティブセンサとしては、合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)、3次元点群データを取得するレーザスキャナ、が例示される。センサは、これら以外のセンサであってもよい。
実施の形態1では、センサ情報は、地震センサによって取得される震度、震源地およびマグニチュード等の地震情報が例示される。また、センサ情報は、気象センサによって取得される気象センサ情報が例示される。気象センサ情報は、雨量計センサによって取得される降水量および風速の情報および各種気象レーダによって取得される線状降水帯の情報が例示される。また、センサ情報は、水位センサによって取得される河川の水位情報および池の水位情報といった水位情報が例示される。すなわち、センサ情報は、地震、気象または水位に関する情報が例示される。
予測情報は、人々が災害から身を守るために災害の発生が予測されることを示す情報であって、気象に関する予測情報、各種警報、河川または池の水位に関する予測情報、津波情報などが例示される。すなわち、予測情報は、気象、警報、水位または津波に関する情報が例示される。
対象物は、保険会社が損害保険の契約者に対して保険金の払い出しを行う場合に作業支援システム1が使用される場合には、保険会社が保険金を支払う補償の対象物である。また、対象物は、市町村が罹災証明書を発行する場合に作業支援システム1が使用される場合には、罹災証明書の発行の対象となる対象物である。したがって、作業支援システム1は、保険会社が損害保険の契約者に対して保険金の払い出しを行う場合に、罹災証明書を受領した補償の対象物について保険会社の担当者が実施する補償の対象物の被害状況を確認する作業の効率化を支援する。また、作業支援システム1は、市町村等の自治体の担当者が罹災証明書を発行する場合に、罹災証明書の発行申請を受領した対象物について自治体の担当者が実施する対象物の被害状況を確認する作業の効率化を支援する。
対象物情報は、対象物についての情報であり、対象物の地理的位置を示す情報である対象物の位置情報を含む。ここでは、対象物情報は、保険会社が保険金を支払う補償の対象物であって契約者から保険金の支払いが請求された、対象物についての情報である。対象物情報は、運用および管理する組織以外の管理者により管理される外部の装置から取得されて対象物情報提供装置203に記憶される。作業支援システム1が保険会社の被害状況確認作業の効率化を支援する場合には、対象物情報は、保険会社から取得されて対象物情報提供装置203に記憶される。
対象物の位置情報は、対象物が存在する地理的位置の緯度経度の情報であってもよいし、住所の情報であってもよい。後述するように対象物情報取得部13が取得した対象物の位置情報が住所である場合は、対象物情報取得部13において住所が緯度経度に変換されてもよい。
なお、対象物の位置情報は、地球の重心を原点とする3軸直交座標系のXYZ座標値で示されていてもよく、形式に特に制約はない。また、位置を示す情報の座標系も世界測地系であっても日本測地系であってもよく、座標系に特に制約はない。ただし、センサ情報、予測情報および対象物情報は、それぞれ位置を示す位置情報と対応付けられている。したがって、作業支援システム1が扱う位置情報のなかで、定義の異なる座標値で示されているものがある場合には、作業支援システム1は、予め定めた基準となる座標系における座標値に変換して処理を行う。予め定めた基準となる座標系に特に制約はない。
また、作業支援システム1は、対象物の位置情報に対応する位置のセンサ情報が存在しない場合には、対象物の位置情報に対応する位置に近い位置のセンサ情報を用いる。対象物の位置情報に相当する位置のセンサ情報は、対象物の緯度経度に近い位置である、対象物の緯度経度に相当する緯度経度のセンサ情報である。ここでは、対象物の位置情報に相当する位置は、対象物の位置情報に対応する位置と、対象物の位置情報に対応する位置に近い位置と、を含むものとする。また、対象物の位置情報に相当する位置と対象物の位置に相当する位置とは同意である。
対象物の具体例は、保険会社の損害保険契約の補償対象物と、罹災証明書の発行の対象物である。対象物が保険会社の損害保険契約の補償対象物である場合は、対象物情報は、対象物の地理的位置を示す情報である対象物の位置情報の他に、損害保険契約の契約に関する情報が含まれる。対象物が罹災証明書の発行の対象物である場合には、対象物情報は、対象物の地理的位置を示す情報である対象物の位置情報の他に、罹災証明書の発行申請に関する情報が含まれる。
作業支援システム1は、情報取得部11、対象物情報取得部13、処理情報記憶部14、処理部15、優先情報記憶部16および表示部17を備える。以下、作業支援システム1の各部の機能を説明する。
情報取得部11は、センサ情報提供装置201からセンサ情報を取得し、または予測情報提供装置202から予測情報を取得する。情報取得部11は、取得した情報を処理情報記憶部14へ格納する。
対象物情報取得部13は、対象物情報提供装置203から対象物情報を取得する。対象物情報取得部13は、取得した対象物情報を処理情報記憶部14へ格納する。
処理情報記憶部14は、情報取得部11が取得したセンサ情報、情報取得部11が取得した予測情報および対象物情報取得部13が取得した対象物情報を記憶する。
優先情報記憶部16は、センサ情報の値または予測情報の種類と状況確認優先順位との対応を示す優先情報を保持する。優先情報の具体例については後述する。
処理部15は、対象物の位置情報を用いて複数の対象物情報によって特定される複数の対象物について、複数の対象物のそれぞれの位置情報に対応するセンサ情報または予測情報を抽出する。そして、処理部15は、抽出したセンサ情報または予測情報を用いて複数の対象物のそれぞれの状況確認優先順位を決定する。具体的に、処理部15は、情報抽出部151と、優先順位決定部152と、を備える。
情報抽出部151は、センサ情報、予測情報および対象物情報を、処理情報記憶部14から取得する。情報抽出部151は、対象物情報によって特定される対象物の位置情報に相当する位置のセンサ情報を、処理情報記憶部14から取得したセンサ情報から抽出する。また、情報抽出部151は、対象物情報によって特定される対象物の位置情報に相当する位置の予測情報を、処理情報記憶部14から取得した予測情報から抽出する。すなわち、情報抽出部151は、対象物情報に含まれる対象物の位置情報を用いて、複数の対象物の各々について、センサ情報または予測情報を抽出する。
優先順位決定部152は、情報抽出部151で抽出されたセンサ情報と、優先情報記憶部16に記憶されている優先情報とに基づいて、複数の対象物の各々の状況確認優先順位を決定する。優先順位決定部152は、決定した各対象物の状況確認優先順位を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに表示部17へ出力する。
表示部17は、優先順位決定部152から出力された各対象物の状況確認優先順位と、状況確認優先順位に対応する対象物の対象物情報である識別情報を表示する。
次に、作業支援システム1のハードウェア構成について説明する。作業支援システム1は、コンピュータシステムにより実現される。図2は、本実施の形態1にかかる作業支援システム1を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図2に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と、入力部102と、記憶部103と、表示部104と、通信部105と、出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
図2において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等である。制御部101は、本実施の形態の作業支援方法が記述された作業支援プログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムのユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータなどを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムのユーザに対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する通信回路などである。通信部105は、複数の通信方式にそれぞれ対応する複数の通信回路で構成されていてもよい。出力部106は、プリンタ、外部記憶装置などの外部の装置へデータを出力する出力インタフェイスである。なお、図2は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図2の例に限定されない。
ここで、本実施の形態の作業支援プログラムのうち作業支援システム1の処理が記述されたプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)−ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)−ROMドライブにセットされたCD−ROMまたはDVD−ROMから、第1プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、第1プログラムの実行時に、記憶部103から読み出された第1プログラムが記憶部103の主記憶装置となる領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納された第1プログラムに従って、本実施の形態の作業支援システム1としての処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD−ROMまたはDVD−ROMを記録媒体として、作業支援システム1における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
作業支援システム1において、図1に示した情報取得部11および対象物情報取得部13は、図2に示した制御部101および通信部105により実現される。図1に示した情報抽出部151および優先順位決定部152は、図2に示した制御部101により実現される。図1に示した処理情報記憶部14および優先情報記憶部16は、図2に示した記憶部103の一部である。図1に示した表示部17は、図2に示した表示部104により実現される。なお、本実施の形態の作業支援システム1を実現するハードウェアは、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)のような端末に限定されるものではなく、タブレット、スマートフォンなどの携帯情報端末であっても差し支えない。また、作業支援システム1のシステム構成は、1台の端末で全ての処理を実行するスタンドアロン形式でもよいし、サーバで解析した結果をクライアントへ送るクライアントサーバ形式であってもよい。クライアントサーバ形式の場合、例えば、入力部102、表示部104、出力部106はクライアント側、その他の機能はサーバ側に設けられてもよい。
次に、本実施の形態1にかかる作業支援システム1の動作の詳細について説明する。図3は、本実施の形態1にかかる作業支援システム1における作業支援処理の一例を示すフローチャートである。図3に示した作業支援処理は、災害が発生した後に実施される。あるいは、図3に示した作業支援処理は、対象物の被害状況の確認作業依頼が発生した後、具体的には罹災証明書の申請または保険金の払い出し依頼が発生した後に実施されてもよい。
ステップS110において、作業支援システム1は、センサ情報および予測情報を取得する。具体的には、情報取得部11が、センサ情報提供装置201からセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報を処理情報記憶部14に格納する。また、情報取得部11が、予測情報提供装置202から予測情報を取得し、取得した予測情報を処理情報記憶部14へ格納する。すなわち、ステップS110は、センサ情報を取得するセンサ情報取得ステップと、予測情報を取得する予測情報取得ステップとを含む。なお、情報取得部11が、センサ情報を取得するか、予測情報を取得するか、またはセンサ情報と予測情報との両方を取得するかは、情報取得部11にあらかじめ設定される設定情報を変更することによって変更可能である。ユーザは、図2に示した入力部102を使用することによって、設定情報を変更することが可能である。
次に、ステップS120において、作業支援システム1は、対象物の位置情報を含む対象物情報を取得する。具体的には、対象物情報取得部13が、対象物情報提供装置203から対象物情報を取得し、取得した対象物情報を処理情報記憶部14へ格納する。対象物情報取得部13は、対象物情報提供装置203から、複数の対象物情報を取得する。なお、ステップS120がステップS110よりも先に行われてもよい。
次に、ステップS130において、作業支援システム1は、対象物情報に含まれる対象物の位置情報に相当する位置における、センサ情報または予測情報を抽出する。具体的には、情報抽出部151が、処理情報記憶部14からセンサ情報および対象物情報を取得し、取得したセンサ情報から、対象物情報に含まれる対象物の位置情報に相当する位置に対応するセンサ情報を抽出する。また、情報抽出部151が、処理情報記憶部14から予測情報および対象物情報を取得し、取得した予測情報から、対象物情報に含まれる対象物の位置情報に相当する位置に対応する予測情報を抽出する。また、情報抽出部151が、入力部102から入力された指定期間の、最も災害の発生が予測される値である最大値または最悪値といった値のセンサ情報または予測情報を、処理情報記憶部14から抽出する。あるいは、情報抽出部151が、災害発生より前の予め決められた期間の、最も災害の発生が予測される値である最大値または最悪値といった値のセンサ情報または予測情報を、処理情報記憶部14から抽出する。なお、指定期間および予め決められた期間は、変更可能である。指定期間は、作業支援システム1が作業支援処理の対象とする期間である。情報抽出部151は、センサ情報と予測情報とから抽出した情報を優先順位決定部152へ出力する。
情報抽出部151は、対象物の位置情報に対応する位置のセンサ情報が存在する場合には、対象物の位置情報に対応する位置のセンサ情報を抽出して、対象物の位置情報に相当する位置におけるセンサ情報とする。情報抽出部151は、対象物の位置情報に対応する位置のセンサ情報が存在しない場合には、対象物の位置情報に対応する位置を含むエリアにおいて相対的に対象物の位置情報に対応する位置から近い位置のセンサ情報を抽出して、対象物の位置情報に相当する位置におけるセンサ情報とする。
情報抽出部151は、対象物の位置情報に対応する位置の予測情報が存在する場合には、対象物の位置情報に対応する位置の予測情報を抽出して、対象物の位置情報に相当する位置における予測情報とする。情報抽出部151は、対象物の位置情報に対応する位置の予測情報が存在しない場合には、対象物の位置情報に対応する位置を含むエリアにおいて相対的に対象物の位置情報に対応する位置から近い位置の予測情報を抽出して、対象物の位置情報に相当する位置における予測情報とする。
情報抽出部151が、センサ情報を抽出するか、予測情報を抽出するか、またはセンサ情報と予測情報との両方を抽出するかは、情報抽出部151にあらかじめ設定される設定情報を変更することによって変更可能である。ユーザは、図2に示した入力部102を使用することによって、設定情報を変更することが可能である。
次に、ステップS140において、作業支援システム1は、抽出されたセンサ情報または抽出された予測情報に基づいて、被害状況確認作業の優先順位である状況確認優先順位を、対象物ごとに決定する。具体的には、優先順位決定部152が、優先情報記憶部16に記憶されている優先情報から、情報抽出部151で抽出されたセンサ情報または情報抽出部151で抽出された予測情報に対応する、抽出されたセンサ情報に対応する優先順位または抽出された予測情報に対応する優先順位を抽出することにより、対象物の状況確認優先順位を対象物ごとに決定する。
より具体的には、優先順位決定部152は、優先情報において予め定められた閾値と抽出されたセンサ情報とを比較して、抽出されたセンサ情報に対応する優先順位を優先情報から抽出することによって、各対象物の状況確認優先順位を決定する。また、優先順位決定部152は、抽出された予測情報に対応する優先順位を優先情報から抽出することによって、各対象物の状況確認優先順位を決定する。優先順位決定部152は、決定した状況確認優先順位を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに表示部17へ出力する。
なお、優先情報において閾値は、ユーザが任意の値に変更可能である。また、閾値は、各レベルのセンサ値の範囲でもよい。
ここで、ステップS140の処理である状況確認優先順位の決定処理の具体例について説明する。図4〜図7は、本実施の形態1の優先情報の一例を示す図である。図4〜図7では、優先順位の数値は、数値が小さいほど優先順位が高いことを示している。なお、図4〜図7に示した優先順位、センサ情報および予測情報の区分は、優先情報を模式的に示す例であり、優先順位、センサ情報および予測情報の具体的内容は図4〜図7に示した例に限定されない。
図4は、本実施の形態1において震度をセンサ情報として用いる場合の優先情報の一例を示す図である。図4に示した優先情報では、震度の段階ごとに、対応する優先順位が示されている。図4に示すように、例えば、優先順位1は、情報抽出部151で抽出されたセンサ情報である震度が6以上である場合であり、優先順位2は、情報抽出部151で抽出されたセンサ情報である震度が5である場合であり、優先順位3は、情報抽出部151で抽出されたセンサ情報である震度が4以下である場合である。
図4に示すように、震度をセンサ情報として用いる場合の優先情報では、震度が大きいほど被害状況確認作業の順位が優先されるように、優先順位が定められている。すなわち、震度が大きい場合は、対象物の被害の程度が相対的に大きいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が高くされる。また、震度が小さい場合は、対象物の被害の程度が相対的に小さいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が低くされる。
震度をセンサ情報として用いる場合、優先順位決定部152は、対象物の位置情報に相当する位置における震度に基づいて、すなわち対象物の位置の震度または対象物が含まれるエリアのうち相対的に対象物の位置から近い位置の震度に基づいて、優先順位を決定する。具体的に、優先順位決定部152は、優先情報において予め定められた閾値と抽出されたセンサ情報である震度とを比較して、抽出された震度に対応する優先順位を優先情報から抽出することによって、対象物の状況確認優先順位を決定する。図4に示した優先情報では、震度6および震度4が閾値である。
図5は、本実施の形態1においてマグニチュードと震源地とをセンサ情報として用いる場合の優先情報の一例を示す図である。図5では、震源地からの距離を「距離」と記載している。図5に示した優先情報では、マグニチュードと震源地からの距離との組み合わせごとに、対応する優先順位が示されている。
図5に示すように、例えば、優先順位1は、情報抽出部151で抽出されたマグニチュードが6以上であり且つ震源地からの距離が10km以下の場合、情報抽出部151で抽出されたマグニチュードが5以上6未満であり且つ震源地からの距離が5km以下の場合、および情報抽出部151で抽出されたマグニチュードが5未満であり且つ震源地からの距離が1km以下の場合である。
優先順位2は、情報抽出部151で抽出されたマグニチュードが6以上であり且つ震源地からの距離が50km以下の場合、情報抽出部151で抽出されたマグニチュードが5以上6未満であり且つ震源地からの距離が10km以下の場合、および情報抽出部151で抽出されたマグニチュードが5未満であり且つ震源地からの距離が5km以下の場合である。
優先順位3は、情報抽出部151で抽出されたマグニチュードが6以上であり且つ震源地からの距離が100km以下の場合、情報抽出部151で抽出されたマグニチュードが5以上6未満であり且つ震源地からの距離が50km以下の場合、および情報抽出部151で抽出されたマグニチュードが5未満であり且つ震源地からの距離が10km以下の場合である。
図5に示すように、マグニチュードと震源地とをセンサ情報として用いる場合の優先情報では、マグニチュードが同じ場合、震源地から対象物までの距離が短いほど被害状況確認作業の順位が優先されるように、優先順位が定められている。すなわち、マグニチュードが同じ場合において、震源地から対象物までの距離が相対的に短い場合は、対象物の被害の程度が相対的に大きいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が高くされる。また、マグニチュードが同じ場合において、震源地から対象物までの距離が相対的に長い場合は、対象物の被害の程度が相対的に小さいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が低くされる。
マグニチュードと震源地とをセンサ情報として用いる場合、優先順位決定部152は、対象物の位置情報に相当する位置におけるマグニチュードと、震源地から対象物の位置までの距離とに基づいて、優先順位を決定する。対象物の位置情報に相当する位置におけるマグニチュードは、情報抽出部151で抽出される。対象物の位置情報に相当する位置におけるマグニチュードは、マグニチュードの情報が存在する場合にはマグニチュードが抽出され、またマグニチュードの情報が存在しない場合には対象物が含まれるエリアのうち相対的に対象物から近い位置のマグニチュードが抽出される。
また、マグニチュードと震源地とをセンサ情報として用いる場合、優先順位決定部152は、情報抽出部151で抽出される震源地から対象物の位置までの距離をステップS140で算出する。なお、震源地の情報は、対象物の位置によって抽出できる情報ではないため、ステップS130において情報抽出部151は、処理情報記憶部14から取得した震源地の情報をそのまま、抽出したセンサ情報として採用する。
そして、優先順位決定部152は、対象物の位置情報に相当する位置におけるマグニチュードおよび震源地から対象物の位置までの距離を、優先情報において予め定められた閾値と比較する。そして、優先順位決定部152は、対象物の位置情報に相当する位置におけるマグニチュードおよび震源地から対象物の位置までの距離に対応する優先順位を優先情報から抽出することによって、対象物の状況確認優先順位を決定する。図5に示した優先情報では、マグニチュード5、マグニチュード6、距離1km、距離5km、距離10km、距離50kmおよび距離100kmが閾値である。なお、震源地から対象物の位置までの距離は、マグニチュードの値に対応して固定された値とされてもよい。
図6は、本実施の形態1において降水量をセンサ情報として用いる場合の優先情報の一例を示す図である。図6に示した優先情報では、24時間降水量の段階ごとに、対応する優先順位が示されている。図6に示すように、例えば、優先順位1は、情報抽出部151で抽出された24時間降水量が200mm以上の場合であり、優先順位2は、情報抽出部151で抽出された24時間降水量が100mm以上200mm未満である場合であり、優先順位3は、情報抽出部151で抽出された24時間降水量が100mm未満の場合である。
図6に示すように、24時間降水量をセンサ情報として用いる場合の優先情報では、24時間降水量が大きいほど被害状況確認作業の順位が優先されるように、優先順位が定められている。すなわち、24時間降水量が多い場合は、対象物の被害の程度が相対的に大きいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が高くされる。また、24時間降水量が少ない場合は、対象物の被害の程度が相対的に小さいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が低くされる。
24時間降水量をセンサ情報として用いる場合、優先順位決定部152は、対象物の位置情報に相当する位置における24時間降水量に基づいて、すなわち対象物の位置の24時間降水量または対象物が含まれるエリアのうち相対的に対象物から近い位置の24時間降水量に基づいて、優先順位を決定する。具体的に、優先順位決定部152は、優先情報において予め定められた閾値と抽出されたセンサ情報である24時間降水量を比較して、抽出された24時間降水量に対応する優先順位を優先情報から抽出することによって、対象物の状況確認優先順位を決定する。図6に示した優先情報では、100mmおよび200mmが閾値である。
図7は、本実施の形態1において予測情報として特別警報、警報および注意報を用いる場合の優先情報の一例を示す図である。図7に示した優先情報では、予測情報の種類ごとに、対応する優先順位が示されている。図7に示した例では、大雨特別警報を優先順位1とし、以下、順に、土砂災害警戒警報を優先順位2とし、大雨警報、洪水警報を優先順位3とし、大雨注意報、洪水注意報を優先順位4としている。これにより、大雨特別警報が発表されていた区画の被害状況確認作業が最も早く行われることになる。
図7に示すように、予測情報を優先順位の判定に用いる場合の優先情報では、警戒レベルが高い予測情報ほど被害状況確認作業の順位が優先されるように、優先順位が定められている。すなわち、予測情報の警戒レベルが高い場合は、対象物の被害の程度が相対的に大きいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が高くされる。また、予測情報の警戒レベルが低い場合は、対象物の被害の程度が相対的に小さいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が低くされる。
予測情報を優先順位の判定に用いる場合、優先順位決定部152は、対象物の位置情報に相当する位置における予測情報に基づいて、すなわち対象物の位置の予測情報または対象物が含まれるエリアのうち相対的に対象物から近い位置の予測情報に基づいて、優先順位を決定する。具体的に、優先順位決定部152は、優先情報において予め定められた予測情報の種類と抽出された予測情報とを比較して、抽出された予測情報に対応する優先順位を優先情報から抽出することによって、対象物の状況確認優先順位を決定する。
なお、優先情報は、図3に示した作業支援処理の開始より前に予め設定されるが、作業支援処理の開始時にオペレータの入力などにより変更されてもよい。または、優先情報は、作業支援処理の開始後のステップS140の処理までの間にオペレータの入力などにより変更されてもよい。
図3の説明に戻る。ステップS150において、作業支援システム1は、各対象物の決定された状況確認優先順位を表示する。具体的には、表示部17が、優先順位決定部152で決定された各対象物の状況確認優先順位を表示する。
図8および図9は、本実施の形態1の表示部17における状況確認優先順位の表示の一例を示す図である。図8および図9に示すように、表示部17には、各優先順位ごとに、対象物の識別情報が表示されている。図8に示す例では、優先順位が優先順位1に決定された対象物の識別情報は、識別情報A、識別情報B、識別情報C等であり、優先順位が優先順位2に決定された対象物の識別情報は、識別情報D、識別情報F等であり、優先順位が優先順位3に決定された対象物の識別情報は、識別情報E、識別情報G、識別情報H等である。
また、図9に示す例では、優先順位における識別情報が、市などのエリアに分けて表示されている。例えば、同じ優先順位の識別情報を、対象物の被害状況の確認作業を実施する担当者の担当エリアごとに分けて表示することにより、担当者が自分に必要な情報を認識しやすくなり、作業効率が向上する。同じ優先順位の識別情報を分割表示するエリアは、ユーザが任意に設定可能である。
対象物の識別情報は、対象物がある住所、対象物を保有している契約者の氏名などが例示される。また、対象物の識別情報は、対象物が損害保険契約の補償対象物である場合には、保険契約の契約番号、保険契約の識別番号であってもよい。
以上のステップが実施されることにより、作業支援システム1における状況確認優先順位の決定処理が終了する。
上述した作業支援システム1は、対象物情報取得部13が、被害状況の確認作業が必要とされる複数の対象物について、対象物の地理的位置を示す対象物の位置情報を含む対象物の情報である対象物情報を取得する。また、情報抽出部151が、対象物の位置情報に相当する位置のセンサ情報または対象物の位置情報に相当する位置の予測情報を、対象物の位置情報に基づいて抽出する。そして、優先順位決定部152が情報抽出部151で抽出されたセンサ情報または情報抽出部151で抽出された予測情報を用いて複数の対象物のそれぞれの被害状況の確認作業の優先順位である状況確認優先順位を決定する。
これにより、作業支援システム1は、被害状況の確認作業が必要とされる複数の対象物について、複数の対象物の状況確認優先順位を自動で決めることができ、担当者の効率的な被害状況の確認作業を支援することが可能である。このように決定された状況確認優先順位にしたがって被害状況の確認作業を実施することで、被害状況の確認作業の担当者は、被害の程度が大きいと予想される対象物から迅速な被害状況の確認作業を行うことが可能となる。
また、迅速な被害状況の確認作業により被害の程度が確認できることで、対象物が損害保険の補償の対象物である場合には、迅速な保険金の払い出し手続きが可能となる。また、迅速な被害状況の確認作業により被害の程度が確認できることで、対象物が罹災証明書の発行の対象物である場合には、迅速な罹災証明書の発行手続き、復興支援などが実施可能となる。
すなわち、上述した作業支援システム1は、対象物の被害状況の確認作業の作業効率の向上を支援することができる、という効果を奏する。そして、対象物の被害状況の確認作業の効率化を図ることにより、市町村の担当者は、効率的な罹災証明書の発行業務を行うことができる。また、対象物の被害状況の確認作業の効率化を図ることにより、保険会社の担当者は、効率的な保険金の払い出し業務を行うことができる。
図10は、本実施の形態1の作業支援システム1を2つの装置によって構成する場合の装置構成例を示す図である。図10に示すように、作業支援システム1は、作業支援システム1の機能を分割して、解析装置10と、管理装置30とによって構成することができる。解析装置10および管理装置30とは、災害発生時に対象物の被害状況の確認作業の効率化を支援する作業支援装置である。以下における解析装置および管理装置も同様である。
解析装置10は、情報取得部11、対象物情報取得部13、処理情報記憶部14、処理部15、優先情報記憶部16および出力部18を備える。管理装置30は、表示情報取得部31、表示情報記憶部32および表示部33を備える。なお、図10においては、図1と同様の部材には同じ番号を付している。以下では、図1と異なる点を主に説明する。
出力部18は、優先順位決定部152で決定された状況確認優先順位を、状況確認優先順位と関連付けられた対象物情報とともに表示情報取得部31へ出力する。
表示情報取得部31は、優先順位決定部152で決定された各対象物の状況確認優先順位および状況確認優先順位に対応する対象物情報を、解析装置10から取得する。表示情報取得部31は、取得した状況確認優先順位および対象物情報を表示情報記憶部32へ格納する。
表示情報記憶部32は、優先順位決定部152で決定された各対象物の状況確認優先順位および状況確認優先順位に対応する対象物情報を記憶する。
表示部33は、表示情報記憶部32に記憶された状況確認優先順位と、状況確認優先順位に対応する対象物の識別情報を表示する。なお、表示部33は、状況確認優先順位と、状況確認優先順位に対応する対象物の識別情報を表示情報取得部31から取得することも可能である。
解析装置10と管理装置30との各々は、図2に示すコンピュータシステムによって、個別に実現される。解析装置10を実現するコンピュータシステムと、管理装置30を実現するコンピュータシステムとは、通信回線により接続される。この通信回線は、有線回線であっても無線回線であってもよく、無線回線と有線回線とが混在していてもよい。
図10に示した出力部18は、解析装置10を実現するコンピュータシステムにおいて、図2に示した出力部106により実現される。図10に示した表示情報取得部31は、管理装置30を実現するコンピュータシステムにおいて、制御部101および通信部105により実現される。図10に示した表示情報記憶部32は、管理装置30を実現するコンピュータシステムにおいて、図2に示した記憶部103の一部である。図10に示した表示部33は、管理装置30を実現するコンピュータシステムにおいて、図2に示した表示部104により実現される。
図10に示す装置構成例は、多くの容量が必要な処理情報記憶部14と高負荷な処理が必要な処理部15とを解析装置10の構成要件とすることで、管理装置30を比較的低コストで実現することが可能となる。このため、図10に示す装置構成例は、管理装置30を複数の担当者に配布するなど、複数の管理装置30が必要な場合などに有効な構成例となる。
図11は、本実施の形態1にかかる作業支援システム1の第1の変形例である作業支援システム1aの構成を示す図である。第1の変形例の作業支援システム1aは、作業支援システム1にエリア指定情報入力部19が追加されている。
エリア指定情報入力部19は、対象物が位置するエリアを指定するエリア指定情報を受け付ける。エリア指定情報入力部19は、受け付けたエリア指定情報を対象物情報取得部13に出力する。エリア指定情報入力部19へのエリア指定情報の入力方法は、任意の方法が使用可能である。例えば、エリア指定情報は、ユーザによってエリア指定情報入力部19に入力されてもよい。また、記録媒体にエリア指定情報が記録され、エリア指定情報入力部19が記録媒体から情報を読み出すようにしてもよい。
次に、本実施の形態1にかかる作業支援システム1aの動作について説明する。図12は、本実施の形態1にかかる第1の変形例の作業支援システム1aにおける作業支援処理の一例を示すフローチャートである。以下では、図3に示したフローチャートと異なる点について説明する。
ステップS121において、作業支援システム1aは、エリア指定情報を取得する。具体的には、エリア指定情報入力部19が、エリア指定情報を受け付け、受け付けたエリア指定情報を対象物情報取得部13に出力する。
ステップS122において、作業支援システム1aは、エリア指定情報で指定されたエリアに位置する対象物の対象物情報を取得する。具体的には、対象物情報取得部13は、エリア指定情報を取得すると、エリア指定情報で指定されたエリアに位置する対象物の対象物情報を取得し、取得した対象物情報を処理情報記憶部14へ格納する。対象物情報取得部13は、対象物情報提供装置203から、複数の対象物情報を取得する。
同様に、作業支援システム1aは、エリア指定情報で指定されたエリアのセンサ情報を取得してもよく、エリア指定情報で指定されたエリアの予測情報を取得してもよい。
ステップS130以降は、図3に示したフローチャートの場合と同様である。
上述した作業支援システム1aでは、対象物情報取得部13は、エリア指定情報で指定されたエリアに位置する対象物の対象物情報を取得する。これにより、対象物情報取得部13が取得する対象物情報が、特定のエリアの対象物情報に限定されるため、対象物情報取得部13の処理負荷の軽減、対象物情報提供装置203と対象物情報取得部13との通信量の低減、処理情報記憶部14の使用容量の低減、情報抽出部151の処理負荷の軽減、といった効果が得られる。
図13は、本実施の形態1にかかる作業支援システム1の第1の変形例である作業支援システム1aを2つの装置によって構成する場合の装置構成例を示す図である。図13に示すように、作業支援システム1aは、作業支援システム1aの機能を分割して、解析装置10aと、管理装置30aとによって構成することができる。
管理装置30aは、管理装置30にエリア指定情報入力部19が追加されている。エリア指定情報入力部19は、受け付けたエリア指定情報を、管理装置30aにおける不図示の出力部を介して対象物情報取得部13に出力する。
解析装置10aでは、対象物情報取得部13が、不図示の入力部を介してエリア指定情報を取得し、エリア指定情報で指定されたエリアに位置する対象物の対象物情報を取得し、取得した対象物情報を処理情報記憶部14へ格納する。
図13に示す装置構成例は、多くの容量が必要な処理情報記憶部14と高負荷な処理が必要な処理部15とを解析装置10aの構成要件とすることで、管理装置30aを比較的低コストで実現することが可能となる。このため、図13に示す装置構成例は、管理装置30aを複数の担当者に配布するなど、複数の管理装置30aが必要な場合などに有効な構成例となる。
図14は、本実施の形態1にかかる作業支援システム1の第2の変形例である作業支援システム1bの構成を示す図である。第2の変形例の作業支援システム1bは、作業支援システム1に地理情報取得部20が追加されている。
地理情報取得部20は、地理情報提供装置204から地理情報を取得する。地理情報取得部20は、取得した地理情報を処理情報記憶部14へ格納する。
次に、本実施の形態1にかかる作業支援システム1bの動作について説明する。図15は、本実施の形態1にかかる第2の変形例の作業支援システム1bにおける作業支援処理の一例を示すフローチャートである。以下では、図3に示したフローチャートと異なる点について説明する。
ステップS124において、作業支援システム1bは、地理情報を取得する。具体的には、地理情報取得部20が、地理情報提供装置204から地理情報を取得する。地理情報取得部20は、取得した地理情報を処理情報記憶部14へ格納する。
ステップS141において、作業支援システム1bは、対象物の位置と、対象物に決定された状況確認優先順位とが表示された地図である対象物マップを作成し、作成した対象物マップを表示部17へ出力する。具体的には、優先順位決定部152が、処理情報記憶部14から地理情報を取得し、各対象物の位置情報と、各対象物に決定された状況確認優先順位の情報とを、地理情報に含まれる地図情報に対応付けて、対象物マップを表示する対象物マップ情報を作成する。優先順位決定部152は、作成した対象物マップ情報を表示部17へ出力する。
ステップS151において、作業支援システム1bは、対象物マップを表示する。具体的には、表示部17が、対象物の位置と、対象物に決定された状況確認優先順位とが表示された対象物マップを、対象物マップ情報を用いて表示する。
図15における上記のステップ以外のステップは、図3に示したフローチャートの場合と同様である。
上述した作業支援システム1bでは、表示部17が、対象物の位置と、対象物に決定された状況確認優先順位とが表示された対象物マップを、対象物マップ情報を用いて表示する。これにより、対象物の被害状況の確認作業を実施する担当者は、対象物マップ上で、対象物の位置および対象物に決定された状況確認優先順位とを把握することができるため、複数の対象物の位置に現地調査に出かける際に無駄のない効率的な被害状況の確認作業の計画の立案が可能であり、被害状況の確認作業の効率が向上する。
図16は、本実施の形態1にかかる第2の変形例の作業支援システム1bを2つの装置によって構成する場合の装置構成例を示す図である。図16に示すように、作業支援システム1bは、作業支援システム1bの機能を分割して、解析装置10bと、管理装置30bとによって構成することができる。
解析装置10bでは、解析装置10に地理情報取得部20が追加されている。解析装置10bでは、出力部18は、状況確認優先順位および状況確認優先順位と関連付けられた対象物情報の他に、優先順位決定部152から出力された対象物マップ情報を、管理装置30bへ出力する。
管理装置30bでは、管理装置30と同じ構成および機能を有する他に、表示情報取得部31が対象物マップ情報を取得して表示情報記憶部32へ格納する。また、表示部33が、対象物マップを表示する。
図16に示す装置構成例は、多くの容量が必要な処理情報記憶部14と高負荷な処理が必要な処理部15とを解析装置10bの構成要件とすることで、管理装置30bを比較的低コストで実現することが可能となる。このため、図16に示す装置構成例は、管理装置30bを複数の担当者に配布するなど、複数の管理装置30bが必要な場合などに有効な構成例となる。
作業支援システム1は、都道府県、市区町村などの自治体に設置されてもよいし、自治体を支援する企業、サービスセンターなどに設置されてもよい。また、災害の対応を委託されている企業などに設置されてもよい。また、優先順位決定部を備える作業支援装置を保険会社または自治体を支援する企業、サービスセンターなどに設置することで、優先順位決定部を備える作業支援装置は、自治体など、対応を行う組織に優先順位を提供することができる。
上述したように、作業支援システム1は、被害状況の確認作業が必要とされる複数の対象物について、複数の対象物の状況確認優先順位を自動で決めることができ、担当者の効率的な被害状況の確認作業を支援することが可能である。すなわち、上述した作業支援システム1は、対象物の被害状況の確認作業の作業効率の向上を支援することができる、という効果を奏する。そして、対象物の被害状況の確認作業の効率化を図ることにより、市町村の担当者は、効率的な罹災証明書の発行業務を行うことができる。また、対象物の被害状況の確認作業の効率化を図ることにより、保険会社の担当者は、効率的な保険金の払い出し業務を行うことができる。
実施の形態2.
図17は、本発明の実施の形態2にかかる作業支援システム2の構成例を示す図である。本実施の形態の作業支援システム2は、災害発生時に対象物の被害状況の確認作業の効率化を支援するシステムであり、被害状況確認作業の優先順位である状況確認優先順位を決定して表示する。なお、図17においては、上述した実施の形態1と同様の部材には同じ番号を付している。
実施の形態2においても、対象物は、保険会社が損害保険の契約者に対して保険金の払い出しを行う場合に作業支援システム2が使用される場合には、保険会社が保険金を支払う補償の対象物である。また、対象物は、市町村が罹災証明書を発行する場合に作業支援システム2が使用される場合には、罹災証明書の発行の対象となる対象物である。
作業支援システム2は、対象物情報を取得し、被害状況の確認作業が必要な複数の対象物について、センサ情報を用いて複数の対象物のそれぞれの状況確認優先順位を決定する。作業支援システム2が取得した対象物情報に対応する対象物は、全て被害状況の確認作業が必要な、対象物である。したがって、本実施の形態2においては、作業支援システム2は、被害状況の確認作業が必要である複数の対象物の状況確認優先順位を決める。
作業支援システム2において、対象物の位置情報は、上述した実施の形態1の場合と同様であり、対象物が存在する地理的位置の緯度経度の情報であってもよいし、住所の情報であってもよい。また、住所は後述するセンサ情報解析部411において緯度経度に変換されてもよい。
また、作業支援システム2においては、上述した実施の形態1の場合と同様に対象物の位置情報に対応する位置のセンサ情報が存在しない場合には、対象物の位置情報に対応する位置に近い位置である、対象物の位置情報に対応する位置に近い位置のセンサ情報を用いることができる。
作業支援システム2は、センサ情報取得部12、対象物情報取得部13、処理情報記憶部14、処理部41、優先情報記憶部42および表示部17を備える。以下、作業支援システム2において作業支援システム1と異なる点について説明する。
センサ情報取得部12は、センサ情報提供装置201からセンサ情報を取得する。センサ情報取得部12は、取得したセンサ情報を処理情報記憶部14へ格納する。
処理情報記憶部14は、作業支援システム2では、センサ情報取得部12が取得したセンサ情報および対象物情報取得部13が取得した対象物情報を記憶する。
本実施の形態2におけるセンサ情報は、実施の形態1の場合と同様に、センサの観測によって得られた情報であり、センサによって取得されたデータ、または当該データが処理されたデータである。また、センサ情報は、センサにより観測された観測場所の位置を示す情報を含む。センサは、人工衛星、航空機、ドローンなどに搭載されたセンサであってもよく、車両などに搭載されたセンサであってもよく、地表、建物などに固定されたセンサであってもよい。
センサが人工衛星に搭載されている場合には、センサ情報提供装置201は、人工衛星の軌道位置、センサの運用条件などに基づいて、センサにより観測された位置を算出し、位置を示す情報とともに、センサにより観測されたデータまたは当該データに処理を施してデータを提供する。センサが人工衛星である場合には、センサ情報取得部12は、対象地域を含むセンサ情報をセンサ情報提供装置201から取得する。後述するように、災害の発生前後のセンサ情報の差分を用いることで、変化領域を算出する場合には、センサ情報取得部12は、災害の発生していない平時において、少なくも1回は対象地域に対応するセンサ情報を取得しておく。または、センサ情報提供装置201が過去のセンサ情報も提供している場合には、センサ情報取得部12は、災害の発生後に、対応の優先順位を決定する際に、災害の発生後のセンサ情報とともに、過去のすなわち災害の発生前のセンサ情報を取得してもよい。
人工衛星の観測データは、一般に、生データから高次プロダクトまで様々なレベルのデータとして提供される。本実施の形態では、変化領域を算出するための画像データを必要とするため、センサ特有の校正および幾何補正などが行われた後の画像データとして取得することが望ましい。画像データは、例えば、画素ごとの、輝度、散乱強度、標高などである。センサ情報取得部12は、どのレベルのデータをセンサ情報提供装置201から取得してもよい。生データなどの低次レベルのデータをセンサ情報提供装置201から取得する場合には、センサ情報解析部411が、センサ特有の校正および幾何補正などを行って画像データを生成すればよい。
航空機、車両などに搭載されるセンサのセンサ情報も、同様に、センサ情報提供装置201から位置情報とともに取得される。ただし、人工衛星の観測データは、災害が生じているか否かに関わらず取得されるが、航空機、車両などに搭載されるセンサは、災害が発生した後に、災害が発生したと想定される地域を観測することもある。この場合、災害発生前のセンサ情報が得られない可能性がある。災害発生前のセンサ情報が得られない場合は、人工衛星に搭載された類似のセンサのセンサ情報を、災害発生前のセンサ情報として用いてもよい。または、平時においても、例えば、定期的に航空機、車両などに搭載されるセンサの観測を行っておき、センサ情報取得部12が、平時のセンサ情報をセンサ情報提供装置201から取得してもよい。
センサが位置の固定されたセンサである場合、センサ情報提供装置201は、センサ自体またはセンサに接続された処理装置等であってもよい。例えば、センサが、路側センサ、建物に設置されたカメラなどである場合、センサ情報取得部12は、対象領域を観測するセンサからセンサ情報を取得してもよい。または、固定された複数のセンサのセンサ情報がサーバなどにより集約されて管理されている場合には、このサーバなどがセンサ情報提供装置201となる。
作業支援システム2においては、センサ情報として、SARにより取得されるSARセンサ情報、レーザスキャナにより取得されるレーザスキャナセンサ情報およびイメージセンサにより取得されるイメージセンサ情報といったセンサ情報が用いられる。SARセンサ情報を信号処理することにより、SAR画像が生成される。レーザスキャナセンサ情報を信号処理することにより、3次元点群画像が生成される。イメージセンサ情報を信号処理することにより、可視画像または赤外画像が生成される。
センサより取得されるセンサ情報の信号処理による、SAR画像、3次元点群画像、可視画像および赤外画像などの画像の生成は、センサ情報提供装置201において行われてもよく、センサ情報解析部411において行われてもよい。センサより取得されるセンサ情報の信号処理による画像の生成がセンサ情報提供装置201において行われる場合は、センサ情報提供装置201は、生成した画像をセンサ情報としてセンサ情報取得部12に出力してもよい。
処理部41は、災害の発生前に得られたセンサ情報と、災害の発生中または災害の発生後に得られたセンサ情報とを解析して、状態が変化した変化領域について、変化領域の地理的位置を示す情報である変化領域の位置を示す情報と、変化領域の変位状態を示す情報と、を含む変位情報を抽出する。そして、処理部41は、複数の対象物情報によって特定される複数の対象物について、対象物の位置情報に相当する位置の変位情報である対象物変位情報を、対象物情報を用いて変位情報から抽出する。さらに、処理部41は、複数の対象物の被害状況の確認作業の優先順位である状況確認優先順位を、対象物変位情報を用いて決定する。具体的に、処理部41は、センサ情報解析部411と、変位情報抽出部412と、優先順位決定部413と、を備える。
センサ情報解析部411は、災害の発生前に得られたセンサ情報と、災害の発生中または災害の発生後に得られたセンサ情報とを処理情報記憶部14から取得する。そして、センサ情報解析部411は、災害の発生前に得られたセンサ情報と、災害の発生中または災害の発生後に得られたセンサ情報とを解析して、状態が変化した変化領域について、変化領域の位置を示す情報と、変化領域の変位状態を示す情報とを含む変位情報を抽出する。このため、センサ情報取得部12は、災害の発生していない平時において、少なくも1回は対象地域に対応するセンサ情報を取得しておく。または、センサ情報提供装置201が過去のセンサ情報も提供している場合には、センサ情報取得部12は、災害の発生中または災害の発生後に、状況確認優先順位を決定する際に、災害の発生中または災害の発生後のセンサ情報とともに、過去のすなわち災害の発生前のセンサ情報を取得してもよい。
変位情報抽出部412は、センサ情報解析部411から変位情報を取得し、処理情報記憶部14に記憶された複数の対象物情報を取得する。そして、変位情報抽出部412は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々について、対象物の位置情報に相当する位置の変位情報である対象物変位情報を、対象物情報を用いて変位情報から抽出する。
優先順位決定部413は、対象物変位情報を変位情報抽出部412から取得し、処理情報記憶部14に記憶された複数の対象物情報を取得する。そして、優先順位決定部413は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々についての状況確認優先順位を、対象物変位情報と優先情報とを用いて決定する。
優先情報記憶部42は、対象物変位情報に基づいて優先順位決定部413で判定される変化領域の変位の度合いを示す閾値と、対象物の被害状況の確認作業の優先順位である状況確認優先順位との対応を示す優先情報を記憶する。
作業支援システム2において、図17に示したセンサ情報解析部411と変位情報抽出部412と優先順位決定部413とは、図2に示した制御部101により実現される。図17に示した優先情報記憶部42は、図2に示した記憶部103の一部である。
次に、本実施の形態2にかかる作業支援システム2の動作の詳細について説明する。図18は、本実施の形態2にかかる作業支援システム2における作業支援処理の一例を示すフローチャートである。図18に示した作業支援処理は、災害の発生中または災害が発生した後に実施される。あるいは、図18に示した作業支援処理は、対象物の被害状況の確認作業依頼が発生した後、具体的には罹災証明書の申請または保険金の払い出し依頼が発生した後に実施されてもよい。なお、上述したように、変化領域を抽出するために、平時のセンサ情報を取得する場合には、図18に示した処理より前の災害の発生する前にも、センサ情報を取得して処理情報記憶部14に記憶しておく。
ステップS210において、作業支援システム2は、センサ情報を取得する。具体的には、センサ情報取得部12が、センサ情報提供装置201からセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報を処理情報記憶部14に格納する。
次に、ステップS220において、作業支援システム2は、対象物の位置情報を含む対象物情報を取得する。具体的には、対象物情報取得部13が、対象物情報提供装置203から対象物情報を取得し、取得した対象物情報を処理情報記憶部14へ格納する。対象物情報取得部13は、対象物情報提供装置203から、複数の対象物情報を取得する。なお、ステップS220がステップS210よりも先に行われてもよい。
次に、ステップS230において、作業支援システム2は、災害の発生前に得られたセンサ情報と、災害の発生中または災害の発生後に得られたセンサ情報とを解析して、状態が変化した変化領域について、変化領域の位置を示す情報と、変化領域の変位状態を示す情報とを含む変位情報を抽出する。具体的には、センサ情報解析部411が、災害の発生前に得られたセンサ情報と、災害の発生中または災害の発生後に得られたセンサ情報とを取得する。そして、センサ情報解析部411が、災害の発生前に得られたセンサ情報と、災害の発生中または災害の発生後に得られたセンサ情報とを解析して、状態が変化した変化領域について、変化領域の位置を示す情報と、変化領域の変位状態を示す情報とを含む変位情報を抽出する。センサ情報解析部411は、抽出した変位情報を変位情報抽出部412に出力する。
次に、ステップS240において、作業支援システム2は、複数の対象物情報によって特定される複数の対象物について、対象物の位置情報に相当する位置の変位情報である対象物変位情報を、対象物情報を用いて変位情報から抽出する。具体的には、変位情報抽出部412が、センサ情報解析部411から変位情報を取得し、処理情報記憶部14に記憶された複数の対象物情報を取得する。そして、変位情報抽出部412は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々について、対象物の位置情報に相当する位置の変位情報である対象物変位情報を、対象物情報を用いて変位情報から抽出する。変位情報抽出部412は、抽出した対象物変位情報を優先順位決定部413に出力する。
次に、ステップS250において、作業支援システム2は、複数の対象物の被害状況の確認作業の優先順位を、対象物変位情報を用いて決定する。具体的には、優先順位決定部413が、対象物変位情報を変位情報抽出部412から取得し、処理情報記憶部14に記憶された複数の対象物情報を取得する。そして、優先順位決定部413は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々についての状況確認優先順位を、対象物変位情報を用いて決定する。優先順位決定部413は、状況確認優先順位を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに表示部17へ出力する。
より具体的には、優先順位決定部413は、優先情報記憶部42から優先情報を取得する。そして、優先順位決定部413は、対象物の変位情報である対象物変位情報と優先情報とに基づいて状況確認優先順位を決定する。すなわち、優先順位決定部413は、対象物変位情報に基づいて優先順位決定部413で判定される変化領域の変位の度合いと優先情報とを比較して、変化領域の変位の度合いに対応する優先順位を優先情報から抽出することによって、各対象物の状況確認優先順位を決定する。
ここで、ステップS250の処理である状況確認優先順位の決定処理の具体例について説明する。図19は、本実施の形態2の優先情報の一例を示す図である。図19では、優先情報の例として、優先情報(a)と優先情報(b)とを示している。図19では、優先順位の数値は、数値が小さいほど優先順位が高いことを示している。
図19に示した優先情報(a)では、「建物の変位有り部分が総面積の50%以上」と判定された場合の優先順位を優先順位1とし、「建物の変位有り部分が総面積の50%未満」と判定された場合の優先順位を優先順位2としている。ここで、例えば災害発生前の屋根の面積を建物の総面積とする。すなわち、図19に示した優先情報(a)では、「建物の変位有り部分が総面積の50%以上」である場合は、対象物の被害の程度が相対的に大きいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が高くされる。また、「建物の変位有り部分が総面積の50%未満」である場合は、対象物の被害の程度が相対的に小さいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が低くされる。図19に示した優先情報(a)では、総面積の50%が閾値である。閾値はユーザが任意の値に変更可能である。
図19に示した優先情報(b)では、「建物の柱あるいは外壁の傾きの変位が3度以上」と判定された場合の優先順位を優先順位1とし、「建物の柱あるいは外壁の傾きの変位が3度未満」と判定された場合の優先順位を優先順位2としている。すなわち、図19に示した優先情報(b)では、「建物の柱あるいは外壁の傾きの変位が3度以上」である場合は、対象物の被害の程度が相対的に大きいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が高くされる。また、「建物の柱あるいは外壁の傾きの変位が3度未満」である場合は、対象物の被害の程度が相対的に小さいと予想されるため、被害状況確認作業の優先順位が低くされる。図19に示した優先情報(b)では、傾きの変位3度が閾値である。閾値はユーザが任意の値に変更可能である。
作業支援システム2は、例えば対象物変位情報に基づいて、対象物の被害の程度を判定する。例えば、「建物の変位有り部分」は、以下のように求めることが可能である。例えば、作業支援システム2は、SARセンサ情報より生成されるSAR画像またはレーザスキャナセンサ情報より生成される3次元点群画像を用いて、災害発生前の対象物から反射して返ってきた信号と、災害発生中または災害発生後の対象物から反射して返ってきた信号とを比較する。ここで、災害発生前の対象物から反射して返ってきた信号と、災害発生中または災害発生後の対象物から反射して返ってきた信号との間に差が生じている領域が、「建物の変位有り部分」である。作業支援システム2は、災害発生前の対象物から反射して返ってきた信号と、災害発生中または災害発生後の対象物から反射して返ってきた信号との間に差が生じている領域が、対象物全体の領域に占める割合を求める。
具体的には、作業支援システム2は、例えばレーザスキャナセンサ情報より生成される3次元点群画像を用いる。ステップS210では、センサ情報取得部12が、災害発生前に得られたレーザスキャナセンサ情報と、災害発生中または災害発生後に得られたレーザスキャナセンサ情報と、を取得する。
ステップS230では、センサ情報解析部411が、災害発生前に得られたレーザスキャナセンサ情報より3次元点群画像を生成し、災害発生中または災害発生後に得られたレーザスキャナセンサ情報より3次元点群画像を生成する。そして、センサ情報解析部411が、災害発生前の3次元点群画像と、災害発生中または災害発生後の3次元点群画像との差分を、変位情報として抽出する。また、センサ情報解析部411は、災害発生前の可視画像に信号処理を実施して、建物の屋根の面積を算出する。また、センサ情報解析部411は、災害発生中または災害発生後の可視画像に信号処理を実施して、建物の屋根の面積を算出する。センサ情報解析部411は、災害発生前の屋根の面積と、災害発生中または災害発生後の屋根の面積との差分を抽出し、差分を変位情報として抽出する。
そして、ステップS250では、優先順位決定部413は、ステップS240において変位情報から抽出される対象物変位情報に基づいて、災害発生前の屋根の面積と、災害発生中または災害発生後の屋根の面積との差分が災害発生前の屋根の面積に占める割合を求め、建物の被害の程度を判定する。
また、「建物の柱あるいは外壁の傾きの変位」は、例えば以下のように求めることが可能である。例えば、SARは、鉛直方向に対して斜め方向から電磁波を対象物に照射し、反射して返ってきた信号を分析して対象物を観測するため、電磁波が照射される側の外壁を観察することが可能である。また、建物の外部から見て外面に柱が露出している場合など、柱の建設条件によっては、同様に電磁波が照射される側の柱を観察することが可能である。
センサが、人工衛星、航空機、ドローンなどに搭載されたセンサである場合には、一定周期でのセンサ情報の収集が可能であるという利点がある。また、災害の発生前に得られたセンサ情報には、人工衛星に搭載されたセンサで取得されたセンサ情報を使用し、災害発生中または災害発生後に得られたセンサ情報には、航空機またはドローンなどに搭載されたセンサから取得されたセンサ情報を使用することができる。この場合は、災害発生中または災害発生後に対象物の位置情報などに基づいて、航空機またはドローンなどの搭載されたセンサからセンサ情報を取得することで、対象物の状況を詳細に取得可能となる、という効果が得られる。
優先順位決定部413は、水害による被害が発生している場合には、例えば対象物変位情報に基づいて、対象物の水害の被害を判定する。例えば、SARは、ミリ単位で地表の高さを測定可能である。したがって、優先順位決定部413は、センサ情報として、災害の発生前に得られたSARセンサ情報と、災害の発生中または災害の発生後に得られたSARセンサ情報とを用いることにより、住家の周囲の水位を解析可能である。また、レーザスキャナから照射されたレーザは、浸水の水で反射する。このため、優先順位決定部413は、センサ情報としてレーザスキャナセンサ情報を用いることにより、住家の周囲の水位を解析可能である。優先順位決定部413は、解析した水位を、優先情報において予め決められている浸水深の閾値と比較して、浸水の有無を判定可能である。
また、住家の周囲の水位の解析は難しいが、浸水時は水が泥等でよどんでいる。このため、優先順位決定部413は、センサ情報として、イメージセンサ情報を用いて、可視画像を解析することにより、住家の周囲が浸水していないことを判定可能である。優先順位決定部413は、例えば可視画像を解析し、住家の周囲の、優先情報において予め決められた閾値の面積以上の範囲に水が溜まっている場合に、浸水有りと判定可能である。したがって、優先順位決定部413は、対象物変位情報がイメージセンサにより取得されるイメージセンサ情報を用いて得られた情報である場合には、住家の周囲が浸水しているか、または浸水していないかを判定可能である。優先順位決定部413は、可視画像を解析し、住家の周囲の、予め決められた閾値面積以上の範囲に水が溜まっている場合に、浸水有りと判定可能である。
図20は、本実施の形態2の優先情報の一例を示す図であり、水害による被害が発生している場合の優先情報の一例を示す図である。図20では、優先順位の数値は、数値が小さいほど優先順位が高いことを示している。
図20に示した優先情報では、水害による被害の程度が「浸水有り」と判定された場合の優先順位を優先順位1とし、水害による被害の程度が「浸水無し」と判定された場合の優先順位を優先順位2としている。
そして、優先順位決定部413は、災害発生中および害発生後における水が引いてしまわない前のセンサ情報から抽出した対象物変位情報を用いて、「浸水有り」の条件に該当するか否かを判定する。これにより、優先順位決定部413は、図20に示した優先情報に従って、状況確認優先順位を決定することが可能である。
優先順位決定部413は、対象物変位情報がSARにより取得されるSARセンサ情報、レーザスキャナにより取得されるレーザスキャナセンサ情報を用いて得られた情報、またはイメージセンサにより取得されるイメージセンサ情報である場合に、対象物変位情報により水が溜まっている領域の有無を判定する。そして、優先順位決定部413は、例えば予め決められた浸水深以上、または住家の周囲の予め決められた面積の範囲以上に水が溜まっている場合に、「浸水有り」と判定することができる。
また、本来、地表は勾配があるため、水は標高の低い地域に向かって流れる。そして、水の流れが落ち着いている場合には、周囲に比べて標高が低くなっている、同じ等高線上に位置する地域に水が溜まっている。そこで、優先順位決定部413は、地形情報を用いて、周囲に比べて標高が低くなっている同じ等高線上に位置する地域を、「浸水有り」と判定することも可能である。地形情報は地理情報から取得できるため、作業支援システム2が、上述した実施の形態1にかかる作業支援システム1の第2の変形例である作業支援システム1bと同様に地理情報取得部20を備えた構成とされることで、実現可能である。なお、この判定方法は、対象物変位情報を用いて状況確認優先順位を決定する方法ではないため、補助的に使用することが可能である。
図18の説明に戻る。ステップS260において、作業支援システム2は、各対象物の決定された状況確認優先順位を表示する。具体的には、表示部17が、例えば図8および図9に示したように、優先順位決定部413で決定された各対象物の状況確認優先順位を表示する。
なお、優先順位決定部413は、状況確認優先順位を決定した根拠、すなわち状況確認優先順位の判定に用いた情報を表示部17へ出力してもよい。表示部17は、状況確認優先順位の判定に用いた情報を表示する。
また、本実施の形態2においても、センサ情報は、1つのセンサのセンサ情報であってもよいし、複数のセンサにそれぞれ対応する複数のセンサ情報であってもよい。作業支援システム2は、複数のセンサにそれぞれ対応する複数のセンサ情報を用いる場合、複数のセンサによって得られたデータを位置合わせして用いることにより、精度を向上させたものを用いて変化領域を抽出して変位情報を求めてもよい。または、作業支援システム2は、複数のセンサによって得られたデータが位置合わせされて精度を向上させたものを、センサ情報提供装置201から取得してもよい。
上述した作業支援システム2は、対象物情報取得部13が、被害状況の確認作業が必要とされる複数の対象物について、対象物の地理的位置を示す対象物の位置情報を含む対象物の情報である対象物情報を取得する。また、センサ情報解析部411が、災害の発生前のセンサ情報と、災害の発生後のセンサ情報とを解析して、状態が変化した変化領域について、変化領域の位置を示す情報と、変化領域の変位状態を示す情報とを含む変位情報を抽出する。また、変位情報抽出部412が、複数の対象物について、対象物情報を用いて対象物の位置情報に相当する位置の変位情報である対象物変位情報を変位情報から抽出する。そして、優先順位決定部413が、対象物変位情報を用いて複数の対象物の被害状況の確認作業の優先順位を決定する。
これにより、作業支援システム2は、上述した作業支援システム1と同様に、対象物の被害状況の確認作業の作業効率の向上を支援することができる、という効果を奏する。
また、作業支援システム2は、対象物の被害の程度から対象物の被害状況の確認作業の優先順位を決めることができ、優先順位付けの精度が向上する、という効果を奏する。したがって、作業支援システム2は、より精度良く、対象物の被害状況の確認作業の作業効率の向上を支援することができる、という効果を奏する。
図21は、本実施の形態2の作業支援システム2を2つの装置によって構成する場合の第1の装置構成例を示す図である。図21に示すように、作業支援システム2は、作業支援システム2の機能を分割して、解析装置50と、管理装置60とによって構成することができる。
解析装置50は、センサ情報取得部12、対象物情報取得部13、処理情報記憶部14、センサ情報解析部411、変位情報抽出部412、優先順位決定部413、優先情報記憶部42および出力部18を備える。センサ情報解析部411、変位情報抽出部412および優先順位決定部413は、処理部41を構成する。管理装置60は、表示情報取得部61、表示情報記憶部62および表示部63を備える。管理装置60は、上述した管理装置30に対応する。表示情報取得部61、表示情報記憶部62および表示部63の各々は、上述した表示情報取得部31、表示情報記憶部32および表示部33に対応する。
解析装置50と管理装置60との各々は、図2に示すコンピュータシステムによって、個別に実現される。解析装置50を実現するコンピュータシステムと、管理装置60を実現するコンピュータシステムとは、通信回線により接続される。この通信回線は、有線回線であっても無線回線であってもよく、無線回線と有線回線とが混在していてもよい。
図21に示した出力部18は、解析装置50を実現するコンピュータシステムにおいて、図2に示した出力部106により実現される。
図21に示す装置構成例は、多くの容量が必要な処理情報記憶部14と高負荷な処理が必要な処理部41とを解析装置50の構成要件とすることで、管理装置60を比較的低コストで実現することが可能となる。このため、図21に示す装置構成例は、管理装置60を複数の担当者に配布するなど、複数の管理装置60が必要な場合などに有効な構成例となる。
図22は、本実施の形態2の作業支援システム2を2つの装置によって構成する場合の第2の装置構成例を示す図である。図22に示すように、作業支援システム2は、作業支援システム2の機能を分割して、解析装置50aと、管理装置60aとによって構成することができる。
解析装置50aは、センサ情報取得部12、対象物情報取得部13、処理情報記憶部14、センサ情報解析部411、変位情報抽出部412、および出力部18を備える。センサ情報解析部411および変位情報抽出部412は、処理部41を構成する。管理装置60aは、対象物変位情報取得部64、優先順位決定部413、優先情報記憶部42、表示情報記憶部62および表示部63を備える。
対象物変位情報取得部64は、変位情報抽出部412で抽出された対象物変位情報と対象物情報とを変位情報抽出部412から取得する。対象物変位情報取得部64は、取得した対象物変位情報と対象物情報とを優先順位決定部413へ出力する。
優先順位決定部413は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々についての状況確認優先順位を、対象物変位情報と優先情報とを用いて決定する。優先順位決定部413は、決定した状況確認優先順位を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに表示情報記憶部62へ出力する。
図22に示す装置構成例は、優先順位決定部413と優先情報記憶部42とを管理装置60aの構成要件とすることで、管理装置60aを使用することが予想される保険会社の担当者および市町村の担当者が優先情報を容易に変更可能となる。
図23は、本実施の形態2の作業支援システム2を2つの装置によって構成する場合の第3の装置構成例を示す図である。図23に示すように、作業支援システム2は、作業支援システム2の機能を分割して、解析装置50bと、管理装置60bとによって構成することができる。
解析装置50bは、センサ情報取得部12、処理情報記憶部14、センサ情報解析部411および出力部18を備える。センサ情報解析部411は、処理部41を構成する。管理装置60bは、変位情報取得部65、対象物情報取得部13、変位情報抽出部412、優先順位決定部413、優先情報記憶部42、表示情報記憶部62および表示部63を備える。
変位情報取得部65は、センサ情報解析部411で抽出された変位情報をセンサ情報解析部411から取得する。変位情報取得部65は、取得した変位情報を変位情報抽出部412へ出力する。
対象物情報取得部13は、複数の対象物情報を対象物情報提供装置203から取得する。対象物情報取得部13は、取得した対象物情報を変位情報抽出部412へ出力する。
変位情報抽出部412は、変位情報および複数の対象物情報を取得する。そして、変位情報抽出部412は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々について、対象物情報を用いて変位情報から対象物変位情報を抽出する。
なお、センサ情報解析部411が対象物の位置情報に相当する位置のセンサ情報の変位情報を算出する場合は、解析装置50bにおいても対象物情報提供装置203から対象物情報を取得して処理情報記憶部14に記憶できる構成とされればよい。この場合は、センサ情報解析部411が変位情報抽出部412の機能を兼ねることになる。
また、作業支援システム2は、上述した実施の形態1にかかる作業支援システム1の第2の変形例である作業支援システム1bと同様に地理情報取得部20を備えた構成とされて、表示部63が対象物マップを表示してもよい。
また、作業支援システム2は、上述した実施の形態1にかかる作業支援システム1の第1の変形例である作業支援システム1aと同様にエリア指定情報入力部19を備えた構成とされて、対象物情報取得部13が、エリア指定情報で指定されたエリアに位置する対象物の対象物情報を取得してもよい。
同様に、作業支援システム2は、エリア指定情報で指定されたエリアのセンサ情報を取得してもよい。
図23に示す装置構成例は、優先順位決定部413と優先情報記憶部42とを管理装置60bの構成要件とすることで、管理装置60bを使用することが予想される保険会社の担当者および市町村の担当者が優先情報を容易に変更可能となる。
また、図23に示す装置構成例は、対象物情報取得部13を管理装置60bの構成要件とすることで、解析装置50bにて対象物情報を取り扱う必要がなくなり、対象物情報のセキュリティの向上に有効である。
上述したように、作業支援システム2は、実施の形態1の作業支援システム1と同様に、対象物の被害状況の確認作業の作業効率の向上を支援することができる、という効果を奏する。
また、作業支援システム2は、対象物の被害の程度から対象物の被害状況の確認作業の優先順位を決めることができ、優先順位付けの精度が向上する、という効果を奏する。したがって、作業支援システム2は、より精度良く、対象物の被害状況の確認作業の作業効率の向上を支援することができる、という効果を奏する。
実施の形態3.
図24は、本発明の実施の形態3にかかる作業支援システム3の構成例を示す図である。本実施の形態の作業支援システム3は、災害発生時に対象物の被害状況の確認作業の効率化を支援するシステムであり、被害状況確認作業の優先順位である状況確認優先順位を決定して表示する。なお、図24においては、上述した実施の形態2と同様の部材には同じ符号を付している。
実施の形態3においても、対象物は、保険会社が損害保険の契約者に対して保険金の払い出しを行う場合に作業支援システム3が使用される場合には、保険会社が保険金を支払う補償の対象物である。また、対象物は、市町村が罹災証明書を発行する場合に作業支援システム3が使用される場合には、罹災証明書の発行の対象となる対象物である。
作業支援システム3は、対象物情報を取得し、被害状況の確認作業が必要な対象物が複数存在する場合に、センサ情報を用いて複数の対象物のそれぞれの状況確認優先順位を決定する。作業支援システム3が取得した対象物情報に対応する対象物は、被害状況の確認作業の要否が判定されていない対象物である。したがって、本実施の形態3においては、作業支援システム3は、被害状況の確認作業の要否が判定されていない複数の対象物の状況確認優先順位を決める。
作業支援システム3において、対象物の位置情報は、上述した実施の形態1,2の場合と同様である。
また、作業支援システム3においては、上述した実施の形態1,2の場合と同様に対象物の位置情報に対応する位置のセンサ情報が存在しない場合には、対象物の位置情報に対応する位置に近い位置のセンサ情報を用いることができる。
本実施の形態3におけるセンサ情報は、実施の形態2におけるセンサ情報と同様である。本実施の形態3におけるセンサ情報は、実施の形態1,2の場合と同様に、センサの観測によって得られた情報であり、センサによって取得されたデータ、または当該データが処理されたデータである。また、センサ情報は、センサにより観測された観測場所の位置を示す情報を含む。センサは、人工衛星、航空機、ドローンなどに搭載されたセンサであってもよく、車両などに搭載されたセンサであってもよく、地表、建物などに固定されたセンサであってもよい。
作業支援システム3においては、センサ情報として、作業支援システム2の場合と同様に、SARにより取得されるSARセンサ情報、レーザスキャナにより取得されるレーザスキャナセンサ情報およびイメージセンサにより取得されるイメージセンサ情報といったセンサ情報が用いられる。
作業支援システム3は、センサ情報取得部12、対象物情報取得部13、処理情報記憶部14、処理部41、優先情報記憶部42および表示部17を備える。以下、作業支援システム3において作業支援システム2と異なる点について説明する。
処理部41は、災害の発生前に得られたセンサ情報と、災害の発生中または災害の発生後に得られたセンサ情報とを解析して、状態が変化した変化領域について、変化領域の地理的位置を示す情報である変化領域の位置を示す情報と、変化領域の変位状態を示す情報と、を含む変位情報を抽出する。そして、処理部41は、複数の対象物情報によって特定される複数の対象物について、対象物の位置情報に相当する位置の変位情報である対象物変位情報を、対象物情報を用いて変位情報から抽出する。そして、処理部41は、対象物変位情報から、対象物の被害程度を判定する。さらに、処理部41は、複数の対象物の被害状況の確認作業の優先順位である状況確認優先順位を、対象物の被害程度を用いて決定する。具体的に、処理部41は、センサ情報解析部411と、変位情報抽出部412と、被害程度判定部414と、優先順位決定部415と、を備える。
被害程度判定部414は、複数の対象物について、対象物変位情報および対象物変位情報に対応して関連付けられた対象物情報を変位情報抽出部412から取得する。そして、被害程度判定部414は、取得した対象物変位情報に基づいて対象物の被害程度を判定する。被害程度判定部414は、判定した対象物の被害程度を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに優先順位決定部415へ出力する。
優先順位決定部415は、複数の対象物について、対象物の被害程度および対象物情報を被害程度判定部414から取得する。そして、優先順位決定部415は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々についての状況確認優先順位を、対象物の被害程度と優先情報とを用いて決定する。
優先情報記憶部42は、対象物変位情報に基づいて被害程度判定部414で判定される対象物の被害程度と、対象物の被害状況の確認作業の優先順位である状況確認優先順位との対応を示す優先情報を記憶する。
作業支援システム3において、図24に示した被害程度判定部414と優先順位決定部415とは、図2に示した制御部101により実現される。
次に、本実施の形態3にかかる作業支援システム3の動作の詳細について説明する。図25は、本実施の形態3にかかる作業支援システム3における作業支援処理の一例を示すフローチャートである。図25に示した作業支援処理は、災害の発生中または災害が発生した後に実施される。あるいは、図25に示した作業支援処理は、対象物の被害状況の確認作業依頼が発生した後、具体的には罹災証明書の申請または保険金の払い出し依頼が発生した後に実施されてもよい。なお、上述したように、変化領域を抽出するために、平時のセンサ情報を取得する場合には、図25に示した処理より前の災害の発生する前にも、センサ情報を取得して処理情報記憶部14に記憶しておく。以下では、図18に示したフローチャートと異なる点について説明する。
ステップS310において、作業支援システム3は、対象物変位情報から対象物の被害程度を判定する被害程度判定処理を実施する。具体的には、被害程度判定部414が、複数の対象物について、対象物変位情報および対象物変位情報に対応して関連付けられた対象物情報を変位情報抽出部412から取得する。そして、被害程度判定部414は、取得した対象物変位情報に基づいて対象物の被害程度を判定する。被害程度判定部414は、判定した対象物の被害程度を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに優先順位決定部415へ出力する。
ステップS320において、作業支援システム3は、複数の対象物の被害状況の確認作業の優先順位を、対象物の被害程度を用いて決定する。具体的には、優先順位決定部415が、対象物の被害程度および対象物の被害程度に関連付けられた対象物情報を被害程度判定部414から取得する。そして、優先順位決定部415は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々についての状況確認優先順位を、対象物の被害程度を用いて決定する。優先順位決定部415は、決定した状況確認優先順位を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに表示部17へ出力する。
より具体的には、優先順位決定部415は、優先情報記憶部42から優先情報を取得する。そして、優先順位決定部415は、対象物の被害程度と優先情報とに基づいて状況確認優先順位を決定する。すなわち、優先順位決定部415は、対象物の被害程度と優先情報とを比較して、対象物の被害程度に対応する優先順位を優先情報から抽出することによって、各対象物の状況確認優先順位を決定する。
ここで、ステップS310における処理である被害程度判定処理の具体例について説明する。
内閣府が公表している平成30年3月改定版の災害に係る住家の被害認定基準運用指針の一例を示す。以下に示す被害認定基準運用指針は、木造およびプレハブの住家についての地震による被害の被害認定フローである。
(外観による判定)
(1)一見して住家全部が倒壊
(2)一見して住家の一部の階が全部倒壊
(3)一見して住家全部が流出またはずり落ち
(4)地盤の液状化等により基礎のいずれかの辺が全部破壊かつ基礎直下の地盤が流出または陥没
(5)地盤面の亀裂が住家直下を縦断または横断
のいずれかの条件に該当する場合は、住家が全壊であると判定する。
(傾斜による判定)
・外壁または柱の傾斜が1/20以上
に該当する場合は、住家が全壊であると判定する。
被害程度判定部414は、上述したように内閣府が公表している平成30年3月改定版の災害に係る住家の被害認定基準運用指針の(外観による判定)の基準と対象物変位情報とを用いることにより、対象物である住家の被害の程度として「全壊」を判定できる。また、被害程度判定部414は、上述した(傾斜による判定)と対象物変位情報とを用いることにより、対象物の被害の程度として「住家が全壊」を判定できる。
例えば、上述したように、作業支援システム3は、SARセンサ情報より生成されるSAR画像、レーザスキャナセンサ情報より生成される3次元点群画像、イメージセンサ情報より生成される可視画像等を用いて、災害発生前の屋根の面積を取得して、取得した災害発生前の屋根の面積を建物の総面積とする。また、災害発生中または災害発生後の屋根の面積を用いて、差分を抽出し、変位有り部分の災害発生前の建物の総面積に占める割合を求める。そして、被害程度判定部414は、変位有り部分の災害発生前の建物の総面積に占める割合が100%であれば、「住家が全壊」と判定できる。
したがって、被害程度判定部414は、対象物変位情報がSARにより取得されるSARセンサ情報を用いて得られた情報である場合には、上記の被害の被害認定フローと対象物変位情報とに基づいて、対象物の被害の程度を判定することができる。また、同様に、被害程度判定部414は、対象物変位情報がレーザスキャナにより取得されるレーザスキャナセンサ情報を用いて得られた情報である場合に、外壁を鉛直方向に対して斜め方向から観察している場合には、上記の被害の被害認定フローと対象物変位情報とに基づいて、対象物の被害の程度を判定することができる。また、被害程度判定部414は、対象物変位情報がイメージセンサにより取得されるイメージセンサ情報を用いて得られた情報である場合に、外壁を鉛直方向に対して斜め方向から観察している場合には、上記の被害の被害認定フローと対象物変位情報とに基づいて、対象物の被害の程度を判定することができる。
また、作業支援システム3は、建物に水害による被害が発生している場合も、状況確認優先順位を決定することが可能である。住家の被害認定基準運用指針の一例として、内閣府が公表している平成30年3月改定版の木造およびプレハブの住家についての水害による被害の被害認定フローを示す。
(浸水深による判定:戸建ての1〜2階建てで外力の作用有り)
・住家流失または床上1.8m以上の浸水:住家が全壊であると判定
・床上1m以上1.8m未満の浸水:住家が大規模半壊であると判定
・床上1m未満の浸水:住家が半壊であると判定
・床下浸水:住家が半壊に至らないと判定
被害程度判定部414は、上述したように内閣府が公表している上記の水害による被害の被害認定フローと対象物変位情報とを用いることにより、対象物である住家の被害の程度として「全壊」を判定できる。被害程度判定部414は、SARセンサ情報より生成されるSAR画像、レーザスキャナセンサ情報より生成される3次元点群画像、イメージセンサ情報より生成される可視画像等を用いることにより、上述した実施の形態2の優先順位決定部413と同様に、住家の周囲の水位を解析可能である。
したがって、被害程度判定部414は、対象物変位情報がSARにより取得されるSARセンサ情報またはレーザスキャナにより取得されるレーザスキャナセンサ情報を用いて得られた情報である場合には、上記の被害の被害認定フローと対象物変位情報とに基づいて、浸水深により対象物の被害の有無および程度を判定することができる。
そして、被害程度判定部414は、災害発生中および災害発生後における水が引いてしまわない前のセンサ情報から抽出した対象物変位情報を用いて、「住家が全壊」と判定される「住家流失または床上1.8m以上の浸水」の条件に該当するか否かを判定する。これにより、被害程度判定部414は、対象物の被害の程度として「住家が全壊」を判定できる。
また、センサ情報解析部411が実施の形態2に記載した方法と同様の方法で変位情報を抽出し、変位情報から抽出される対象物変位情報に基づいて、被害程度判定部414が対象物の被害程度を判定してもよい。
また、被害程度判定部414は、例えば住家の構造情報と、対象物変位情報とを用いることにより、対象物の被害の程度として「浸水有り」または「床上浸水有り」といった程度を判定できる。住家の構造情報は、例えば、対象物情報の中に含めておく。これにより、被害程度判定部414は、対象物情報を取得することにより、対象物の住家の構造情報を取得できる。また、被害程度判定部414が対象物の住家の構造情報を取得できるように、個別に住家の構造情報を取得する構成を設けてもよい。
ステップS310において被害の程度を判定する際の判定の基準は、予め被害程度判定部414に記憶されている。判定の基準は、ユーザが任意の値に変更可能である。
また、ステップS310において被害程度判定部414は、対象物変位情報と被害の程度の判定の基準とを用いて被害の程度が判定できない場合は、被害の程度が判定できない旨を示す情報として「判定できず」の情報を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに優先順位決定部415に出力する。
つぎに、ステップS320の処理である状況確認優先順位の決定処理の具体例について説明する。状況確認優先順位の決定処理の第1の具体例では、優先順位決定部415が、対象物の被害の程度が判定されていない場合に優先順位を高くし、対象物の被害の程度が判定されている場合に優先順位を低くする。対象物の被害の程度が判定されていない場合は、優先順位決定部415が被害程度判定部414から「判定できず」の情報を受け取った場合である。すなわち、優先順位決定部415は、センサ情報を用いて対象物の被害の程度が判定されている対象物への状況確認優先順位を下げ、センサ情報を用いて対象物の被害の程度が判定されていない対象物の状況確認優先順位を上げる。なお、センサ情報を用いて対象物の被害の程度が判定されていない対象物に対して、例えば実施の形態1や実施の形態2を用いて、さらに優先順位をつけてもよい。
図26は、本実施の形態3の優先情報の一例を示す図である。図26では、優先順位の数値は、数値が小さいほど優先順位が低いことを示している。図26に示した優先情報では、対象物の被害の程度が判定されていない、または判定された対象物の被害の程度が予め決められた被害の程度に判定されていない場合の優先順位を高くし、対象物の被害の程度が予め決められた被害の程度に判定されている場合の優先順位を低くしている。
優先順位決定部415は、被害の程度が予め決められた被害の程度に判定されているか否かを判定する。例えば「全壊」が、優先情報において予め決められた被害の程度に設定されている場合には、優先順位決定部415は、被害程度判定処理において被害の程度が「全壊」と判定されている場合に、対象物の優先順位が低い優先順位1と判定できる。そして、優先順位決定部415は、被害程度判定処理において被害の程度が「全壊」と判定されていない場合に、対象物の優先順位が高い優先順位2と判定できる。
また、例えば「全壊」および「大規模半壊」が、優先情報において予め決められた被害の程度に設定されている場合には、優先順位決定部415は、被害程度判定処理において対象物の被害の程度が「全壊」と判定されている場合に、対象物の優先順位を優先順位1と判定できる。また、優先順位決定部415は、被害程度判定処理において対象物の被害の程度が「大規模半壊」と判定されている場合に、対象物の優先順位を優先順位1と判定できる。また、優先順位決定部415は、被害程度判定処理において対象物の被害の程度が「半壊」および「半壊に至らない」と判定されている場合に、対象物の優先順位が高い優先順位2と判定できる。
優先順位が高い場合は、対象物の被害状況の確認作業が必要である。優先順位が低い場合は、対象物の被害状況の確認作業が不要である。市町村または保険会社の担当者は、状況確認優先順位が低いと判定された対象物については、対象物の被害状況の確認作業を行わない。そして、保険会社の担当者は、判定された被害程度に対応した損害保険金の払い出し処理を開始する。また、市町村の担当者は、判定された被害程度に応じた罹災証明の発行手続き処理を開始する。
すなわち、作業支援システム3は、複数の対象物について、市町村または保険会社の対象物の被害状況の確認作業を行う対象物を選別して、被害状況の確認作業が必要とされる対象物を抽出し、被害状況の確認作業を行う対象物の数量を削減することができる。すなわち、作業支援システム3は、被害状況の確認作業を省略することが可能な対象物を選定可能である。これにより、作業支援システム3は、対象物の被害状況の確認作業の効率化を支援することができる。
そして、対象物の被害状況の確認作業の効率化を図ることにより、対象物の被害状況の確認作業に要する人材および機器といったリソースを、被害状況の確認作業が必要な対象物へ集中できるため、全体として迅速な被害状況の確認作業が実現可能となる。すなわち、対象物の被害状況の確認作業の効率化を図ることにより、市町村の担当者は、効率的な罹災証明書の発行業務を行うことができる。また、対象物の被害状況の確認作業の効率化を図ることにより、保険会社の担当者は、効率的な保険金の払い出し業務を行うことができる。
図25の説明に戻る。ステップS330において、作業支援システム3は、各対象物の決定された状況確認優先順位を表示する。具体的には、表示部17が、例えば図27および図28に示したように、優先順位決定部415で決定された各対象物の状況確認優先順位を表示する。図27および図28は、本実施の形態3の表示部17における状況確認優先順位の表示の一例を示す図である。図27および図28に示すように、表示部17には、各優先順位ごとに、対象物の識別情報が表示されている。
対象物の識別情報は、上述した実施の形態1,2と同様に、対象物がある住所、対象物を保有している契約者の氏名などが例示される。また、対象物の識別情報は、対象物が損害保険契約の補償対象物である場合には、保険契約の契約番号、保険契約の識別番号であってもよい。
なお、優先順位決定部415は、状況確認優先順位を決定した根拠、すなわち状況確認優先順位の判定に用いた情報を表示部17へ出力してもよい。表示部17は、状況確認優先順位の判定に用いた情報を表示する。
また、本実施の形態3においても、センサ情報は、1つのセンサのセンサ情報であってもよいし、複数のセンサにそれぞれ対応する複数のセンサ情報であってもよい。作業支援システム3は、複数のセンサにそれぞれ対応する複数のセンサ情報を用いる場合、複数のセンサによって得られたデータを位置合わせして用いることにより、精度を向上させたものを用いて変化領域を抽出して変位情報を求めてもよい。または、作業支援システム3は、複数のセンサによって得られたデータが位置合わせされて精度を向上させたものを、センサ情報提供装置201から取得してもよい。
図29は、本実施の形態3の作業支援システム3を2つの装置によって構成する場合の第1の装置構成例を示す図である。図29に示すように、作業支援システム3は、作業支援システム3の機能を分割して、解析装置70と、管理装置80とによって構成することができる。
解析装置70は、センサ情報取得部12、対象物情報取得部13、処理情報記憶部14、センサ情報解析部411、変位情報抽出部412、被害程度判定部414、優先順位決定部415、優先情報記憶部42および出力部18を備える。センサ情報解析部411、変位情報抽出部412、被害程度判定部414および優先順位決定部415は、処理部41を構成する。管理装置80は、表示情報取得部81、表示情報記憶部82および表示部83を備える。管理装置80は、上述した管理装置30に対応する。表示情報取得部81、表示情報記憶部82および表示部83の各々は、上述した表示情報取得部31、表示情報記憶部32および表示部33に対応する。
解析装置70と管理装置80との各々は、図2に示すコンピュータシステムによって、個別に実現される。解析装置70を実現するコンピュータシステムと、管理装置80を実現するコンピュータシステムとは、通信回線により接続される。この通信回線は、有線回線であっても無線回線であってもよく、無線回線と有線回線とが混在していてもよい。
図29に示した出力部18は、解析装置70を実現するコンピュータシステムにおいて、図2に示した出力部106により実現される。
図29に示す装置構成例は、多くの容量が必要な処理情報記憶部14と高負荷な処理が必要な処理部41とを解析装置70の構成要件とすることで、管理装置80を比較的低コストで実現することが可能となる。このため、図29に示す装置構成例は、管理装置80を複数の担当者に配布するなど、複数の管理装置80が必要な場合などに有効な構成例となる。
図30は、本実施の形態3の作業支援システム3を2つの装置によって構成する場合の第2の装置構成例を示す図である。図30に示すように、作業支援システム3は、作業支援システム3の機能を分割して、解析装置70aと、管理装置80aとによって構成することができる。
解析装置70aは、センサ情報取得部12、対象物情報取得部13、処理情報記憶部14、センサ情報解析部411、変位情報抽出部412、被害程度判定部414、および出力部18を備える。センサ情報解析部411、変位情報抽出部412および被害程度判定部414は、処理部41を構成する。管理装置80aは、被害程度取得部84、優先順位決定部415、優先情報記憶部42、表示情報記憶部82および表示部83を備える。
被害程度取得部84は、被害程度判定部414で判定された被害程度と被害程度に対応する対象物情報とを被害程度判定部414から取得する。被害程度取得部84は、取得した被害程度と対象物情報とを優先順位決定部415へ出力する。
優先順位決定部415は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々についての状況確認優先順位を、被害程度と優先情報とを用いて決定する。優先順位決定部415は、決定した状況確認優先順位を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに表示情報記憶部82へ出力する。
図30に示す装置構成例は、優先順位決定部415と優先情報記憶部42とを管理装置80aの構成要件とすることで、管理装置80aを使用することが予想される保険会社の担当者および市町村の担当者が優先情報を容易に変更可能となる。
図31は、本実施の形態3の作業支援システム3を2つの装置によって構成する場合の第3の装置構成例を示す図である。図31に示すように、作業支援システム3は、作業支援システム3の機能を分割して、解析装置70bと、管理装置80bとによって構成することができる。
解析装置70bは、センサ情報取得部12、対象物情報取得部13、処理情報記憶部14、センサ情報解析部411、変位情報抽出部412および出力部18を備える。センサ情報解析部411および変位情報抽出部412は、処理部41を構成する。管理装置80bは、対象物変位情報取得部85、被害程度判定部414、優先順位決定部415、優先情報記憶部42、表示情報記憶部82および表示部83を備える。
対象物変位情報取得部85は、変位情報抽出部412で抽出された対象物変位情報と対象物変位情報に対応する対象物情報とを変位情報抽出部412から取得する。対象物変位情報取得部85は、取得した対象物変位情報と対象物情報とを被害程度判定部414へ出力する。
優先順位決定部415は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々についての状況確認優先順位を、被害程度と優先情報とを用いて決定する。優先順位決定部415は、決定した状況確認優先順位を、対応する対象物情報と関連付けて、対象物情報とともに表示情報記憶部82へ出力する。
図31に示す装置構成例は、優先順位決定部415と優先情報記憶部42とを管理装置80bの構成要件とすることで、管理装置80bを使用することが予想される保険会社の担当者および市町村の担当者が優先情報を容易に変更可能となる。
図32は、本実施の形態3の作業支援システム3を2つの装置によって構成する場合の第4の装置構成例を示す図である。図32に示すように、作業支援システム3は、作業支援システム3の機能を分割して、解析装置70cと、管理装置80cとによって構成することができる。
解析装置70cは、センサ情報取得部12、処理情報記憶部14、センサ情報解析部411および出力部18を備える。センサ情報解析部411は、処理部41を構成する。管理装置80cは、変位情報取得部86、対象物情報取得部13、変位情報抽出部412、被害程度判定部414、優先順位決定部415、優先情報記憶部42、表示情報記憶部82および表示部83を備える。
変位情報取得部86は、センサ情報解析部411で抽出された変位情報をセンサ情報解析部411から取得する。変位情報取得部86は、取得した変位情報を変位情報抽出部412へ出力する。
対象物情報取得部13は、複数の対象物情報を対象物情報提供装置203から取得する。対象物情報取得部13は、取得した対象物情報を変位情報抽出部412へ出力する。
変位情報抽出部412は、変位情報および複数の対象物情報を取得する。そして、変位情報抽出部412は、取得した複数の対象物情報によって特定される複数の対象物の各々について、対象物情報を用いて変位情報から対象物変位情報を抽出する。
なお、センサ情報解析部411が対象物の位置情報に相当する位置のセンサ情報の変位情報を算出する場合は、解析装置70cにおいても対象物情報提供装置203から対象物情報を取得して処理情報記憶部14に記憶できる構成とされればよい。この場合は、センサ情報解析部411が変位情報抽出部412の機能を兼ねることになる。
図32に示す装置構成例は、対象物情報取得部13を管理装置80cの構成要件とすることで、解析装置70cにて対象物情報を取り扱う必要がなくなり、対象物情報のセキュリティの向上に有効である。
上述した作業支援システム3は、対象物情報取得部13が、被害状況の確認作業が必要とされる複数の対象物について、対象物の地理的位置を示す対象物の位置情報を含む対象物の情報である対象物情報を取得する。また、センサ情報解析部411が、災害の発生前のセンサ情報と、災害の発生後のセンサ情報とを解析して、状態が変化した変化領域について、変化領域の位置を示す情報と、変化領域の変位状態を示す情報とを含む変位情報を抽出する。また、変位情報抽出部412が、複数の対象物について、対象物情報を用いて対象物の位置情報に相当する位置の変位情報である対象物変位情報を変位情報から抽出する。また、被害程度判定部414が、対象物変位情報を用いて複数の対象物の被害程度を判定する。そして、優先順位決定部415が、対象物の被害程度を用いて複数の対象物の被害状況の確認作業の優先順位を決定する。
これにより、作業支援システム3は、上述した作業支援システム1,2と同様に、対象物の被害状況の確認作業の作業効率の向上を支援することができる、という効果を奏する。
また、作業支援システム3は、対象物の被害状況の確認作業を省略することが可能な対象物を選定可能となり、対象物の被害状況の確認作業の効率化を図ることが可能となる。また、対象物の被害状況の確認作業の効率化を図ることにより対象物の被害状況の確認作業に要する人材および機器といったリソースを、被害状況の確認作業が必要な対象物へ集中できるため、全体として迅速な被害状況の確認作業が実現可能となる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、実施の形態の技術同士を組み合わせることも可能であるし、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。