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JP6955197B2 - 操舵制御装置 - Google Patents

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JP6955197B2 JP2017144329A JP2017144329A JP6955197B2 JP 6955197 B2 JP6955197 B2 JP 6955197B2 JP 2017144329 A JP2017144329 A JP 2017144329A JP 2017144329 A JP2017144329 A JP 2017144329A JP 6955197 B2 JP6955197 B2 JP 6955197B2
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Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
従来、モータを駆動源とするアクチュエータにより運転者のステアリング操作を補助するようにした操舵装置がある。こうした操舵装置として、操舵トルクに基づく第1トルク成分と、転舵輪の転舵角に換算可能な回転軸の回転角を回転角指令値に追従させる回転角フィードバック制御に基づく第2トルク成分とを足し合わせてトルク指令値を演算し、該トルク指令値に示されるモータトルクが出力されるようにモータを制御するものが知られている。
例えば特許文献1の電動パワーステアリング装置では、入力トルクに対するピニオン角の理想モデルに基づいて回転角指令値であるピニオン角指令値を演算し、回転角フィードバック制御の実行により第2トルク成分を演算する。この理想モデルは、操舵機構が有するバネ成分、粘性成分、及び慣性成分を用いて当該操舵機構をモデル化したものであり、入力トルクにより転舵されて生じる転舵角が運転者の自然な感覚に沿うものとなるように設定されている。このように回転角フィードバック制御を通じて得られる第2トルク成分がトルク指令値に含まれることで、実際の転舵角が回転角指令値に対応する目標転舵角に追従するようになるため、ステアリング操作によって運転者の意図に沿うように転舵輪が転舵される。これにより、転舵角と運転者が感じる操舵反力との関係により示される操舵特性を、運転者の操舵意志を適確に反映した優れたものとすることができる。
また、例えば特許文献2の電動パワーステアリング装置では、操舵トルクに基づく第1トルク成分から操舵角に応じた反力成分を減算した値を最終的な第1トルク成分として演算する。このように第1トルク成分から反力成分が減算されることで、出力されるモータトルクが減少するため、反力成分に応じた操舵感を運転者に与えることができる。そして、同文献では、反力成分に操舵角の変化に対するヒステリシス成分を持たせるとともに、切り込み操舵であるか切り戻し操舵であるかの操舵状態や操舵角等に応じて反力成分を演算することで、ステアリング操作に応じた好適な操舵感を作り上げ、優れた操舵特性を実現している。
国際公開第2012/133590号 特開2015−63291号公報 特開平9−221053号公報
ところで、近年では、運転者の運転を支援するための制御を実行する操舵制御装置の実用化が進んでおり、こうした運転支援制御としては、例えば特許文献3に記載されるように、車両が走行中の走行レーンを維持して走行するレーンキープアシスト制御等がある。しかし、上記特許文献1,2等のように操舵トルクに基づく第1トルク成分(基礎成分)に種々の補償成分を加えて優れた操舵特性を実現する操舵制御装置において、併せて運転支援制御を実行する構成の開発が十分になされているとは言い難く、優れた操舵特性を実現しつつ、運転支援制御を効果的に実行できる技術の開発が求められていた。
本発明の目的は、優れた操舵特性を実現しつつ、運転支援制御を効果的に実行できる操舵制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する操舵制御装置は、モータを駆動源とするアクチュエータにより操舵機構の転舵軸を往復動させるモータトルクが付与される操舵装置を制御対象とし、前記操舵機構に伝達される操舵トルクに基づいて第1トルク成分を演算する第1トルク成分演算部と、前記操舵トルク及び前記第1トルク成分に基づき転舵輪の転舵角に換算可能な回転軸の基本回転角成分を演算する基本回転角成分演算部と、前記基本回転角成分と、外部に設けられた運転支援制御装置から入力される運転支援回転角成分とに基づいて前記回転軸の回転角の目標となる回転角指令値を演算する回転角指令値演算部と、前記回転角指令値に基づく回転角フィードバック制御を実行して第2トルク成分を演算する第2トルク成分演算部とを備え、前記第1トルク成分に前記第2トルク成分を足し合わせた値を基礎とするトルク指令値に基づいて前記アクチュエータの作動を制御するものであって、前記基本回転角成分は、前記運転支援制御装置による運転支援制御の優先時には、該運転支援制御を優先させない非優先時に比べ、前記回転角の変化に対する操舵反力の変化の割合が大きくなるように演算される。
ここで、回転角フィードバック制御に基づいて第2トルク成分を演算する操舵制御装置において運転支援制御を実行する場合、操舵トルク及び第1トルク成分に基づく基本回転角成分に運転支援を行うための運転支援回転角成分を足し合わせて回転角フィードバック制御の回転角指令値を演算することが考えられる。しかし、基本回転角成分は、優れた操舵特性を実現するように演算されるため、必ずしも高い応答性を実現できているとは言えない。そして、運転支援制御の実行時において、運転者によるステアリング操作の有無にかかわらず、運転支援回転角成分に基づいてモータが駆動されることで、操舵機構に伝達される操舵トルクが変化する。すなわち、回転角指令値に優れた操舵特性を実現するための基本回転角成分が含まれることになる。その結果、優れた操舵特性を実現するようにアクチュエータの作動が制御されることに起因して、運転支援回転角成分に対する実際の回転角の追従性に影響が及ぶおそれがある。
この点を踏まえ、上記構成では、運転支援制御の優先時には、運転支援制御の非優先時に比べ、回転角の変化に対する操舵反力の変化の割合が大きくなるように基本回転角成分を演算する。つまり、回転角と操舵反力との関係により示される操舵特性は、運転支援制御の優先時に高い剛性を示すようになるため、運転支援制御による転舵について高い応答性を実現できる。換言すると、操舵特性として回転角の変化に対する操舵反力の変化の割合が大きくなるということは、大きな操舵トルクが入力されても小さな基本回転角成分が演算されることになり、第2トルク成分に占める基本回転角成分の割合が小さくなる。その結果、優れた操舵特性を実現するための制御量が小さくなるため、運転支援回転角成分に対する実際の回転角の追従性に影響が及ぶことを低減でき、運転支援制御による転舵について高い応答性を実現できる。また、運転支援制御の優先時に操舵特性が高い剛性を示すようにすることで、運転支援制御の非優先時には、優れた操舵特性を実現できる。
上記操舵制御装置において、前記操舵トルク及び前記第1トルク成分の加算値に基づき前記回転軸に伝達される入力トルクを演算する入力トルク演算部を備え、前記基本回転角成分演算部は、前記入力トルクに対する前記回転角の理想モデルに基づいて前記基本回転角成分を演算するものであって、前記理想モデルは、前記運転支援制御の非優先時に用いられる通常理想モデルと、前記運転支援制御の優先時に用いられる運転支援理想モデルとを含み、前記通常理想モデル及び前記運転支援理想モデルは、回転角に基づくバネ項、回転角速度に基づく粘性項、並びに、前記バネ項及び前記粘性項の各制御出力であるバネ成分及び粘性成分を前記入力トルクから減じた値に基づく慣性項を含んでそれぞれ表され、前記運転支援理想モデルの前記バネ項を構成するバネ係数は、前記通常理想モデルの前記バネ項を構成するバネ係数よりも大きく設定されることが好ましい。
上記構成によれば、運転支援制御の優先時にバネ項の係数が大きい運転支援理想モデルに基づいて基本回転角成分を演算する、すなわちバネ成分の大きい理想モデルに基づいて基本回転角成分を演算することで剛性感を高めるため、高い剛性の操舵特性を好適に実現できる。
上記操舵制御装置において、前記回転角に基づいて前記第1トルク成分に対する反力成分を演算する反力成分演算部と、前記反力成分に乗ずる反力ゲインを演算する反力ゲイン演算部とを備え、前記反力ゲインは、前記運転支援制御の優先時には、該運転支援制御の非優先時に比べ、大きな値に演算されることが好ましい。
上記構成によれば、運転支援制御の優先時に反力成分に乗ずるゲインが大きくされるため、基本回転角成分演算部に入力される第1トルク成分が減少することで、小さな基本回転角成分が演算される。つまり、摩擦成分を大きくすることで剛性感を高めるため、高い剛性の操舵特性を好適に実現できる。
上記操舵制御装置において、前記反力成分演算部は、前記回転角が増加するほど前記反力成分が増加するとともに、前記回転角が大きくなるほど該回転角の変化に対する前記反力成分の変化率の絶対値が小さくなるように該反力成分を演算するものであり、前記運転支援回転角成分と前記回転角との差分に基づいて前記反力成分を演算することが好ましい。
上記構成によれば、運転支援制御の優先時に、差分の変化に対して反力成分が大きく変化するように演算される。これにより、初期摩擦成分に対応する剛性感が高められるため、高い剛性の操舵特性を好適に実現できる。
上記操舵制御装置において、前記基本回転角成分は、前記運転支援制御の優先時において、前記運転支援回転角成分と前記回転角との差分が閾値以上となった場合には、前記差分が前記閾値未満の場合に比べ、前記回転角の変化に対する操舵反力の変化の割合がより大きくなるように演算されることが好ましい。
上記構成によれば、運転支援回転角成分と実際の回転角との差分が大きくなった場合、すなわち運転支援制御の実行による転舵に遅れが生じた場合に、より一層高い剛性の操舵特性となるように基本回転角成分を演算するため、運転支援制御による転舵についてより高い応答性を実現できる。
本発明によれば、優れた操舵特性を実現しつつ、運転支援制御を効果的に実行できる。
電動パワーステアリング装置の概略構成図。 第1実施形態の操舵制御装置のブロック図。 操舵トルクと基本アシスト成分、及びアシスト勾配を示すグラフ。 アシスト勾配に基づく位相補償制御の最適化を示すグラフ。 (a)は切り込み操舵時におけるピニオン角反力成分との関係を示すグラフ、(b)は切り戻し操舵時におけるピニオン角と反力成分の関係を示すグラフ。 サイン操舵した場合のピニオン角と反力成分との関係を示すグラフ。 第1実施形態のピニオン角指令値演算部のブロック図。 (a)は運転支援制御の非優先時においてサイン操舵した場合の操舵特性を示すグラフ、(b)は運転支援制御の優先時においてサイン操舵した場合の操舵特性を示すグラフ。 第2実施形態の操舵制御装置のブロック図。 ピニオン角と運転支援ピニオン角成分との差分と反力ゲイン(バネ係数)との関係を示すグラフ。 第2実施形態のピニオン角指令値演算部のブロック図。
(第1実施形態)
以下、操舵制御装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、制御対象となる操舵装置としての電動パワーステアリング装置(EPS)1は、運転者によるステアリングホイール2の操作に基づいて転舵輪3を転舵させる操舵機構4を備えている。また、EPS1は、操舵機構4にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与するアクチュエータとしてのEPSアクチュエータ5と、EPSアクチュエータ5の作動を制御する操舵制御装置6とを備えている。
操舵機構4は、ステアリングホイール2が固定されるステアリングシャフト11と、ステアリングシャフト11の回転に応じて軸方向に往復動する転舵軸としてのラック軸12と、ラック軸12が往復動可能に挿通される略円筒状のラックハウジング13とを備えている。なお、ステアリングシャフト11は、ステアリングホイール2側から順にコラム軸14、中間軸15、及びピニオン軸16を連結することにより構成されている。
ラック軸12とピニオン軸16とは、ラックハウジング13内に所定の交差角をもって配置されており、ラック軸12に形成されたラック歯12aとピニオン軸16に形成されたピニオン歯16aとが噛合されることでラックアンドピニオン機構17が構成されている。また、ラック軸12の両端には、タイロッド18を介して転舵輪3が組付けられた図示しないナックルに連結されている。したがって、EPS1では、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト11の回転がラックアンドピニオン機構17によりラック軸12の軸方向移動に変換され、この軸方向移動がタイロッド18を介してナックルに伝達されることにより、転舵輪3の転舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
EPSアクチュエータ5は、駆動源であるモータ21と、モータ21の回転を伝達する伝達機構22と、伝達機構22を介して伝達された回転をラック軸12の往復動に変換する変換機構23とを備えている。そして、EPSアクチュエータ5は、モータ21の回転を伝達機構22を介して変換機構23に伝達し、変換機構23にてラック軸12の往復動に変換することで操舵機構4にアシスト力を付与する。なお、本実施形態のモータ21には、例えば三相のブラシレスモータが採用され、伝達機構22には、例えば一対のプーリ及びベルトからなるベルト機構が採用され、変換機構23には、例えばボール螺子機構が採用されている。
操舵制御装置6には、車両の車速Vを検出する車速センサ31、及び運転者の操舵によりステアリングシャフト11に付与された操舵トルクThを検出するトルクセンサ32が接続されている。なお、本実施形態では、ピニオン軸16の途中にトーションバー24が設けられており、トルクセンサ32は、トーションバー24の捩れに基づいて操舵トルクThを検出する。また、操舵制御装置6には、モータ21の回転角であるモータ角θmを検出する回転角センサ33が接続されている。なお、操舵トルクTh及びモータ角θmは、一方向(本実施形態では、右)に操舵した場合に正の値、他方向(本実施形態では、左)に操舵した場合に負の値として検出する。
さらに、操舵制御装置6は、車内ネットワーク41を介して操舵制御装置6の外部に設けられた運転支援制御装置42と通信可能に接続されている。本実施形態の運転支援制御装置42は、運転支援制御として、例えば車両が走行中の走行レーンを維持して走行し易くなるように運転者のステアリング操作を支援するレーンキープ制御を実行する。運転支援制御装置42は、レーンキープ制御の実行時において、カメラ43により撮像される画像データに基づいて車両が車線内の走行を維持し得る理想的な転舵角を演算し、この理想的な転舵角と転舵輪3の実際の転舵角との偏差に応じた運転支援回転角成分としての運転支援ピニオン角成分θp_adas*を演算する。また、運転支援制御装置42には、車両の運転席近傍等に設けられる運転支援制御を実行するための操作スイッチ44に接続されている。運転支援制御装置42は、操作スイッチ44のオンオフに応じて運転支援制御としてレーンキープ制御を実行し、該運転支援を実現するための運転支援ピニオン角成分θp_adas*及び運転支援制御を優先させる旨を示す優先信号Sprを操舵制御装置6に出力する。
そして、操舵制御装置6は、これら各センサから入力される各状態量を示す信号及び運転支援制御装置42から車内ネットワーク41を介して入力される信号に基づいて、モータ21に駆動電力を供給することにより、EPSアクチュエータ5の作動を制御する。つまり、操舵制御装置6は、各信号に基づいてアシスト力を操舵機構4に付与するアシスト制御を実行する。
図2に示すように、操舵制御装置6は、モータ制御信号を出力するマイコン51と、モータ制御信号に基づいてモータ21に駆動電力を供給する駆動回路52とを備えている。なお、本実施形態の駆動回路52には、複数のスイッチング素子(例えば、FET等)を有する周知のPWMインバータが採用されている。以下に示す各制御ブロックは、マイコン51が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものであり、所定のサンプリング周期(検出周期)で各状態量を検出する。マイコン51では、所定の演算周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理が実行されて、モータ制御信号を生成する。そして、モータ制御信号が駆動回路52に出力されることにより、モータ21にモータ制御信号に応じた駆動電力が供給され、EPSアクチュエータ5の作動が制御される。
詳しくは、マイコン51には、上記車速V、操舵トルクTh、モータ角θm、運転支援ピニオン角成分θp_adas*及び優先信号Sprが入力される。また、マイコン51には、駆動回路52と各相のモータコイルとの間の接続線53に設けられた電流センサ54により検出されるモータ21の各相電流値Iが入力される。なお、図2では、説明の便宜上、各相の接続線及び各相の電流センサ54をそれぞれ1つにまとめて図示している。そして、マイコン51は、これら各状態量に基づいてモータ制御信号を出力する。
より詳しくは、マイコン51は、トルク指令値としてのアシスト指令値Ta*を演算するアシスト指令値演算部61と、アシスト指令値Ta*に対応した電流指令値Id*,Iq*を演算する電流指令値演算部62と、電流指令値Id*,Iq*に基づいてモータ制御信号を生成するモータ制御信号生成部63とを備えている。また、マイコン51は、モータ角θmに基づいてピニオン軸16における上記トーションバー24よりも転舵輪3側の部分の回転角(ピニオン角θp)を演算(検出)するピニオン角演算部64を備えている。なお、ピニオン角演算部64は、モータ21が伝達機構22、変換機構23、ラック軸12及びラックアンドピニオン機構17を介してステアリングシャフト11に機械的に連結されており、モータ角θmとステアリングシャフト11の回転角との間に相関関係があることを利用して、モータ角θmからピニオン角θpを演算する。
アシスト指令値演算部61は、後述するように操舵トルクThに基づく第1トルク成分としての第1アシスト成分Ta1*と、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*に追従させる回転角フィードバック制御の実行に基づく第2トルク成分としての第2アシスト成分Ta2*との加算値に基づいて、モータ21に発生させるモータトルク、すなわち目標アシスト力に対応したアシスト指令値Ta*を演算する。
電流指令値演算部62は、アシスト指令値Ta*に基づいて、モータ21の駆動電流の目標値である電流指令値Id*,Iq*を演算する。本実施形態では、電流指令値演算部62は、d/q座標系におけるq軸上のq軸電流指令値Iq*を演算し、q軸電流指令値Iq*をモータ制御信号生成部63に出力する。なお、d軸上のd軸電流指令値Id*はゼロに設定されており、電流指令値演算部62は、d軸電流指令値Id*もモータ制御信号生成部63に出力する。
モータ制御信号生成部63は、電流指令値Id*,Iq*にモータ21の各相電流値Iを追従させる電流フィードバック制御を実行することにより、モータ制御信号を生成し、駆動回路52に出力する。具体的には、モータ制御信号生成部63には、d軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*に加え、各相電流値I及びモータ角θmが入力される。モータ制御信号生成部63は、モータ角θmに基づいて各相電流値Iをd/q座標上に写像することにより、d/q座標系におけるモータ21の実際の電流値であるd軸電流値及びq軸電流値を演算する。そして、モータ制御信号生成部63は、d軸電流値をd軸電流指令値Id*に追従させるべく、またq軸電流値をq軸電流指令値Iq*に追従させるべく、それぞれの偏差に基づく電流フィードバック制御を行うことによりモータ制御信号を生成する。このモータ制御信号が駆動回路52に出力されることによりモータ21にモータ制御信号に応じた駆動電力が供給され、モータ21(EPSアクチュエータ5)からアシスト指令値Ta*に応じたモータトルクがアシスト力としてステアリングシャフト11に付与される。
次に、アシスト指令値Ta*の演算について詳細に説明する。
アシスト指令値演算部61は、アシスト指令値Ta*(第1アシスト成分Ta1*)の基礎成分である基本アシスト成分Tas*を演算する基本アシスト成分演算部71と、操舵トルクThの位相を遅らせる位相補償制御部72を備えている。基本アシスト成分演算部71は、位相補償制御部72による位相補償後の操舵トルクTh´及び車速Vに基づいて、基本アシスト成分Tas*を演算する。
図3に示すように、基本アシスト成分演算部71は、操舵トルクTh´の絶対値が大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きな絶対値となる基本アシスト成分Tas*を演算する。特に、操舵トルクTh´と基本アシスト成分Tas*との関係では、操舵トルクTh´が大きいほど、操舵トルクTh´の変化に対する基本アシスト成分Tas*の変化の割合が大きくなるように設定されている。すなわち、基本アシスト成分演算部71は、操舵トルクTh´が大きいほど、接線L1,L2の傾きで表されるアシスト勾配Ragが大きくなるように基本アシスト成分Tas*を演算する。
図2に示すように、基本アシスト成分演算部71は、操舵トルクTh´及び車速Vに応じたアシスト勾配Ragを位相補償制御部72に出力する。位相補償制御部72は、アシスト勾配Ragに基づいて、位相補償制御の特性(フィルタ係数)を変更する。
具体的には、図4に示すように、位相補償制御部72は、アシスト勾配Ragの上昇に応じて、ゲインを低減させるように、位相補償の特性を変更する。このように位相補償の特性を変更することで、上記モータ制御信号生成部63による電流フィードバック制御の実行により振動の発生が抑えられ、制御の安定性を確保しつつ、電流制御の応答性を高めて、良好な操舵フィーリングを実現している。
図2に示すように、アシスト指令値演算部61は、ステアリングシャフト11に伝達される操舵トルクTh(第1アシスト成分Ta1*)に対する反力成分Tc*を演算する反力成分演算部73を備えている。反力成分演算部73は、ピニオン角θp、車速V及び運転支援ピニオン角成分θp_adas*に基づいて反力成分Tc*を演算する。
図5(a)に示すように、反力成分演算部73は、切り込み操舵時には、ピニオン角θpが大きくなるほど、反力成分Tc*が大きくなるとともに、ピニオン角θpに対する反力成分Tc*の変化率の絶対値が小さくなるように反力成分Tc*を演算する。また、図5(b)に示すように、反力成分演算部73は、切り戻し操舵時には、ピニオン角θpに比例して反力成分Tc*が大きくなるように反力成分Tc*を演算する。
そして、反力成分演算部73は、操舵方向の変化や切り込み操舵であるか切り戻し操舵であるかの操舵状態等に基づいて、図5に示すマップのピニオン角θpの原点位置を変更して反力成分Tc*を演算する。これにより、図6に示すように、ステアリングホイール2を一定周波数で周期的に切り込み操舵及び切り戻し操舵を繰り返し行うサイン操舵した際において、反力成分演算部73は、ピニオン角θpの変化に対してヒステリシス特性を有する反力成分Tc*を演算する。なお、こうしたヒステリシス特性を有する反力成分Tc*の演算の詳細については、例えば上記特許文献2を参照されたい。
図2に示すように、アシスト指令値演算部61は、車速Vに基づいて、反力成分Tc*に乗ずる反力ゲインGを演算する反力ゲイン演算部74を備えている。反力ゲイン演算部74は、例えば車速Vが大きくなるほど、その絶対値が小さくなる、すなわち反力成分Tc*を小さくするような反力成分Tc*を演算する。反力ゲイン演算部74により演算された反力ゲインGは、乗算器75に入力される。そして、乗算器75は、反力成分Tc*に反力ゲインGを乗じて最終的な反力成分Tc**を演算する。
基本アシスト成分Tas*及び最終的な反力成分Tc**は、減算器76にそれぞれ入力される。そして、減算器76(アシスト指令値演算部61)は、基本アシスト成分Tas*から反力成分Tc**を減算して第1アシスト成分Ta1*を演算する。これにより、基本アシスト成分Tas*から減算される反力成分Tc**の分だけ、アシスト指令値Ta*、ひいてはq軸電流指令値Iq*が減少する。つまり、反力成分Tc**の分だけ、操舵機構4に付与されるアシスト力が減少する。その結果、ステアリングホイール2の操作に必要とされる操舵トルクThが増加することとなり、反力成分Tc**に応じた操舵感が摩擦として運転者に付与される。
アシスト指令値演算部61は、第1アシスト成分Ta1*、操舵トルクTh、運転支援ピニオン角成分θp_adas*及び優先信号Sprに基づいて、ピニオン角指令値θp*を演算するピニオン角指令値演算部77を備えている。なお、ピニオン角指令値θp*は、転舵輪3の舵角に換算可能な回転軸の回転角指令値として演算される。
図7に示すように、第1アシスト成分Ta1*及び操舵トルクThは、入力トルク演算部としての加算器81にそれぞれ入力される。そして、加算器81は、第1アシスト成分Ta1*と操舵トルクThとを加算した値をピニオン軸16に伝達される入力トルクTp*として演算する。ピニオン角指令値演算部77は、入力トルクTp*により回転するピニオン軸16の理想モデル(入力トルク・回転角モデル)に基づいて、基本回転角成分としての基本ピニオン角成分θp_base*を演算する基本ピニオン角成分演算部82を備えている。理想モデルは、入力トルクTp*が、次式(1)で表されることを利用したモデルである。
Tp*=Jθp_base*’’+Cθp_base*’+Kθp_base* …(1)
ここで、慣性係数Jは、EPSの慣性をモデル化したものであり、粘性係数Cは、EPSの摩擦等をモデル化したものであり、バネ係数Kは、EPSが搭載される車両のサスペンションやホールアライメント等の仕様をモデル化したものである。このように、入力トルクTp*は、基本ピニオン角成分θp_base*の二階時間微分値θp_base*’’(基本ピニオン角加速度成分αp_base*)に慣性係数Jを乗じた慣性項、基本ピニオン角成分θp_base*の一階時間微分値θp_base*’(基本ピニオン角速度成分ωp_base*)に粘性係数Cを乗じた粘性項、及び基本ピニオン角成分θp_base*にバネ係数Kを乗じたバネ項をそれぞれ加算することにより表される。つまり、慣性項は、バネ項及び粘性項の各制御出力であるバネ成分及び粘性成分を入力トルクTp*から減じた値に基づくものである。
具体的には、基本ピニオン角成分演算部82は、慣性項に対応する慣性制御演算部83、粘性項に対応する粘性制御演算部84、及びバネ項に対応するバネ特性制御演算部85を有する基本ピニオン角成分演算部82を備えている。
入力トルクTp*は、粘性制御演算部84から出力される粘性成分Tvi*、及びバネ特性制御演算部85から出力されるバネ成分Tsp*とともに、減算器86に入力される。減算器86は、入力トルクTp*から粘性成分Tvi*及びバネ成分Tsp*を減算した値(Tp**)を慣性制御演算部83に出力する。慣性制御演算部83は、減算器86から出力された値Tp**に基づいて、基本ピニオン角加速度成分αp_base*を演算する。
基本ピニオン角加速度成分αp_base*は、積分器87に入力される。積分器87は、基本ピニオン角加速度成分αp_base*を積分することにより基本ピニオン角速度成分ωp_base*を演算する。基本ピニオン角速度成分ωp_base*は、粘性制御演算部84及び積分器88に入力される。粘性制御演算部84は、基本ピニオン角速度成分ωp_base*に基づいて粘性成分Tvi*を演算し、上記のように減算器86に出力する。積分器88は、基本ピニオン角速度成分ωp_base*を積分することにより基本ピニオン角成分θp_base*を演算する。基本ピニオン角成分θp_base*は、バネ特性制御演算部85及び加算器89に入力される。バネ特性制御演算部85は、基本ピニオン角成分θp_base*に基づいてバネ成分Tsp*を演算し、上記のように減算器86に出力する。
基本ピニオン角成分θp_base*及び運転支援制御装置42から出力される運転支援ピニオン角成分θp_adas*は、加算器89に入力される。加算器89(ピニオン角指令値演算部77)は、基本ピニオン角成分θp_base*と運転支援ピニオン角成分θp_adas*とを加算した値をピニオン角指令値θp*として演算する。なお、運転支援制御装置42が運転支援制御を実行しない非優先時は、運転支援ピニオン角成分θp_adas*がゼロであるため、ピニオン角指令値θp*は基本ピニオン角成分θp_base*と等しくなる。
図2に示すように、アシスト指令値演算部61は、ピニオン角指令値演算部77から出力されるピニオン角指令値θp*にピニオン角θpを追従させる回転角フィードバック制御の実行により第2アシスト成分Ta2*を演算する第2トルク成分演算部としてのピニオン角F/B制御部91を備えている。ピニオン角F/B制御部91は、ピニオン角指令値θp*とピニオン角θpとの間の偏差に基づく回転角フィードバック制御演算を行うことにより、第2アシスト成分Ta2*を演算する。
第2アシスト成分Ta2*は、第1アシスト成分Ta1*とともに加算器92に入力される。そして、加算器92(アシスト指令値演算部61)は、第1及び第2アシスト成分Ta1*,Ta2*を加算してアシスト指令値Ta*を生成し、上記電流指令値演算部62に出力する。
このように回転角フィードバック制御を通じて得られる第2アシスト成分Ta2*がアシスト指令値Ta*に含まれることで運転者の意図に沿うように転舵輪3が転舵されるとともに、第1アシスト成分Ta1*から反力成分Tc*が減算されることでステアリング操作に応じた好適な操舵感が作り上げられ、優れた操舵特性が実現されている。
次に、優れた操舵特性を実現しつつ、運転支援制御を効果的に実行するための構成について説明する。
ここで、基本ピニオン角成分θp_base*は、優れた操舵特性を実現するように演算されるため、必ずしも高い応答性を実現できているとは言えない。一方、運転支援制御の実行時において、運転者によるステアリング操作の有無にかかわらず、運転支援ピニオン角成分θp_adas*に基づいてモータ21が駆動されることで、操舵機構4に伝達される(トルクセンサ32により検出される)操舵トルクThが変化する。すなわち、ピニオン角指令値θp*に優れた操舵特性を実現するための基本ピニオン角成分θp_base*が含まれることになる。その結果、優れた操舵特性を実現するようにEPSアクチュエータ5の作動が制御されることに起因して、運転支援ピニオン角成分θp_adas*に対する実際のピニオン角θpの追従性に影響が及ぶおそれがある。
この点を踏まえ、本実施形態のマイコン51は、運転支援制御の優先時には、運転支援制御の非優先時に比べ、ピニオン角θpの変化に対する操舵反力(又はピニオン軸16に伝達されるピニオン軸トルクTp)の変化の割合が大きくなるように基本ピニオン角成分θp_base*を演算する。つまり、マイコン51は、ピニオン角θpと操舵反力との関係により示される操舵特性が運転支援制御の優先時に高い剛性を示すように基本ピニオン角成分θp_base*を演算する。
詳しくは、図2に示すように、反力ゲイン演算部74には、優先信号Sprが入力される。反力ゲイン演算部74は、優先信号Sprに基づいて運転支援制御の優先時か否かを判断し、運転支援制御の優先時、すなわち運転支援制御装置42が運転支援制御を実行する旨の優先信号Sprが入力される場合には、運転支援制御の非優先時よりも大きな値を有する反力ゲインGを演算する。具体的には、運転支援制御の非優先時には、反力ゲインGとして「Gbase」を用い、運転支援制御の優先時には、反力ゲインGとして「Gbase」よりも大きな値の「Gadas」を用いる。これにより、乗算器75から出力される最終的な反力成分Tc*が、運転支援制御の非優先時よりも大きく補正される。
また、反力成分演算部73は、運転支援制御の優先時には、運転支援制御装置42から運転支援ピニオン角成分θp_adas*が入力される。そして、反力成分演算部73は、運転支援ピニオン角成分θp_adas*とピニオン角θpとの差分Δθpをピニオン角θpとして上記図5に示すマップを参照することにより反力成分Tc*を演算する。このように差分Δθpに基づいて反力成分Tc*を演算することにより、反力成分演算部73は、切り込み操舵時にピニオン角θpの絶対値が小さな領域の反力成分Tc*を演算する。つまり、反力成分演算部73により演算される反力成分Tc*は、差分Δθpの変化に対して大きく変化するようになる。なお、運転支援制御の非優先時には、運転支援制御装置42により運転支援ピニオン角成分θp_adas*が演算されない(ゼロ)であるため、非優先時にも反力成分演算部73が運転支援ピニオン角成分θp_adas*とピニオン角θpとの差分Δθpに基づいて反力成分Tc*が演算してよい。
また、図2及び図7に示すように、基本ピニオン角成分演算部82(バネ特性制御演算部85)には、優先信号Sprが入力される。基本ピニオン角成分演算部82は、優先信号Sprに基づいて運転支援制御の優先時か否かを判断し、運転支援制御の優先時には、運転支援制御の非優先時よりも、大きな値のバネ係数Kを用いて基本ピニオン角成分θp_base*を演算する。具体的には、運転支援制御の非優先時には、バネ係数Kとして「Kbase」を用い、運転支援制御の優先時には、バネ係数Kとして「Kbase」よりも大きな値の「Kadas」を用いる。なお、上記(1)式のバネ係数Kを「Kbase」とした理想モデルが通常理想モデルに相当し、バネ係数Kを「Kadas」とした理想モデルが運転支援理想モデルに相当する。
これにより、図8(a),(b)に示すように、ステアリングホイール2を一定周波数でサイン操舵した際において、ピニオン角θpと操舵反力との関係により示される操舵特性は、運転支援制御の優先時には非優先時に比べ、高い剛性を示すようになる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)図8に示すように操舵特性が運転支援制御の優先時に高い剛性を示すようになるため、運転支援制御による転舵について高い応答性を実現できる。換言すると、操舵特性としてピニオン角θpの変化に対する操舵反力の変化の割合が大きくなるということは、大きな操舵トルクThが入力されても小さな基本ピニオン角成分θp_base*が演算されることになり、第2アシスト成分Ta2*に占める基本ピニオン角成分θp_base*の割合が小さくなる。つまり、優れた操舵特性を実現するための制御量が小さくなるため、運転支援ピニオン角成分θp_adas*に対する実際のピニオン角θpの追従性に影響が及ぶことを低減でき、運転支援制御による転舵について高い応答性を実現できる。このように運手支援制御の優先時には、非優先時に比べて操舵特性が高い剛性を示すように演算される基本ピニオン角成分θp_base*に基づいてEPSアクチュエータ5の作動を制御することで、運転者に与える操舵フィーリングよりも運転支援制御による転舵についての追従性が優先される。
また、運転支援制御の優先時にのみ操舵特性が高い剛性を示すようにすることで、運転支援制御の非優先時には、優れた操舵特性を実現できる。このように運手支援制御の非優先時には、優先時に比べて操舵特性が低い剛性を示すように演算される基本ピニオン角成分θp_base*に基づいてEPSアクチュエータ5の作動を制御することで、転舵についての追従性よりも運転者に与える操舵フィーリングが優先される。
(2)運転支援制御の優先時にバネ係数Kが大きい運転支援理想モデルに基づいて基本ピニオン角成分θp_base*を演算するようにした。つまり、バネ成分の大きい理想モデルに基づいて基本ピニオン角成分θp_base*を演算することで剛性感を高めるため、高い剛性の操舵特性を好適に実現できる。
(3)運転支援制御の優先時に反力成分Tc*に乗ずる反力ゲインGの値を大きくし、基本ピニオン角成分演算部82に入力される第1アシスト成分Ta1*を減少させることで、小さな基本ピニオン角成分θp_base*を演算するようにした。つまり、摩擦成分を大きくすることで剛性感を高めるため、高い剛性の操舵特性を好適に実現できる。
(4)反力成分演算部73は、ピニオン角θpと運転支援ピニオン角成分θp_adas*との差分Δθpに基づいて反力成分Tc*を演算するようにしたため、運転支援制御の優先時に切り込み操舵する際には、差分Δθpの変化に対して反力成分Tc*が大きく変化するように演算される。これにより、初期摩擦成分に対応する剛性感が高められるため、高い剛性の操舵特性を好適に実現できる。
(第2実施形態)
次に、操舵制御装置の第2実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の操舵制御装置6は、運転支援制御の優先時において、ピニオン角θpと運転支援ピニオン角成分θp_adas*との差分Δθpの絶対値が閾値Δθth以上となった場合には、差分Δθpの絶対値が閾値Δθth未満の場合に比べ、ピニオン角θpの変化に対する操舵反力の変化の割合がより大きくなるように基本ピニオン角成分θp_base*を演算する。
図9に示すように、反力ゲイン演算部74には、車速V及び優先信号Sprに加えて、ピニオン角θp及び運転支援ピニオン角成分θp_adas*が入力される。反力ゲイン演算部74は、ピニオン角θpと運転支援ピニオン角成分θp_adas*との差分Δθpを演算し、差分Δθpに基づいて運転支援制御の優先時における反力ゲインG(Gadas)の値がより大きくなるように演算する。
具体的には、図10に示すように、反力成分演算部73は、差分Δθpが閾値Δθth未満の場合には、反力ゲインGadasを反力ゲインGbaseよりも大きな一定値とし、差分Δθpが閾値Δθth以上の場合には、差分Δθpの増加に伴って一定割合で反力ゲインGadasの値を大きくする。そして、反力ゲインGadasが上限値Glimに達した後は、差分Δθpの絶対値がそれ以上大きくなっても反力ゲインGadasを上限値Glimに維持する。
また、図11に示すように、バネ特性制御演算部85には、基本ピニオン角成分θp_base*及び優先信号Sprに加えて、ピニオン角θp及び運転支援ピニオン角成分θp_adas*が入力される。バネ特性制御演算部85は、ピニオン角θpと運転支援ピニオン角成分θp_adas*との差分Δθpを演算し、差分Δθpに基づいて運転支援制御の優先時におけるバネ係数K(Kadas)の値がより大きくなるように変更する。なお、バネ特性制御演算部85は、反力成分演算部73による反力ゲインGの演算と同様の傾向でバネ係数Kの値を変更するため、図10のグラフの縦軸及び横軸にそれぞれ括弧付きの符号を付し、その詳細な説明を省略する。
次に、本実施形態の効果について記載する。なお、本実施形態では、上記第1実施形態の(1)〜(4)の作用効果に加えて以下の作用効果を奏することができる。
(5)差分Δθpが閾値Δθth以上に大きくなった場合、すなわち運転支援制御の実行による転舵に遅れが生じた場合に、差分Δθpの大きさに応じて反力ゲインGの値及びバネ係数Kの値を大きくすることで、より一層高い剛性の操舵特性となるように基本ピニオン角成分θp_base*を演算するようにした。これにより、運転支援制御による転舵についてより高い応答性を実現できる。
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記第2実施形態において、運転支援ピニオン角成分θp_adas*とピニオン角θpとの差分に応じた反力ゲインGの値の増加傾向とバネ係数Kの値の増加傾向とが異なっていてもよい。
・上記第2実施形態では、運転支援ピニオン角成分θp_adas*とピニオン角θpとの差分Δθpの絶対値が閾値Δθth以上となった場合に、反力ゲインGの値及びバネ係数Kの値の双方を差分Δθpに応じて大きくしたが、これに限らず、いずれか一方のみを差分Δθpに応じて大きくしてもよい。
・上記各実施形態では、反力成分演算部73は、ピニオン角θpと運転支援ピニオン角成分θp_adas*との差分Δθpに基づいて、反力成分Tc*を演算したが、これに限らず、ピニオン角θpのみに基づいて反力成分Tc*を演算してもよい。
・上記各実施形態において、反力成分演算部73がヒステリシス特性を有さないように反力成分Tc*を演算してもよい。また、切り込み操舵時と切り戻し操舵時とでピニオン角θp(差分Δθp)に対する反力成分Tc*の特性が同一となるように演算してもよい。
・上記各実施形態では、基本ピニオン角成分演算部82は、理想モデルを用いて基本ピニオン角成分θp_base*を演算したが、これに限らず、例えばマップ演算により基本ピニオン角成分θp_base*を演算してもよい。
・上記各実施形態では、運転支援制御の優先時に反力ゲインGを大きくするとともに、バネ係数Kを大きくしたが、これに限らず、例えば反力ゲインG及びバネ係数Kのいずれか一方のみを大きくしてもよい。また、ピニオン角θpの変化に対する操舵反力の変化の割合が大きくなるように基本ピニオン角成分θp_base*が演算されれば、反力ゲインG及びバネ係数K以外のパラメータを変化させてもよい。
・上記各実施形態では、転舵輪3の転舵角に換算可能な回転軸の回転角としてピニオン角θpを用いたが、例えばステアリングホイール2の操舵角等の他の角度を用いてもよい。
・上記実施形態において、慣性係数J、粘性係数C及びバネ係数Kを車速Vに応じて変更してもよい。
・上記各実施形態では、運転支援制御として、レーンキープアシスト制御を実行したが、これに限らず、例えば車庫入れなどの駐車の際に運転者の操舵を補助するパーキングアシスト制御や自動で操舵を行う自動操舵制御等を実行してもよい。
・上記各実施形態では、操作スイッチ44への操作入力により運転支援制御を優先するか否かの切り替えを行ったが、これに限らず、例えば運転支援制御装置42が車両の走行状況に応じて運転支援制御を優先するか否かの判断を行い、その判断結果に応じて優先信号Sprを操舵制御装置6に出力するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、EPSアクチュエータ5としてモータ21の回転を変換機構23によりラック軸12の往復動に変換することで操舵機構4にアシスト力を付与するものを採用したが、これに限らず、例えばウォームアンドホイール等の減速機構を介してコラム軸14等にアシスト力を付与するものを採用してもよい。
・上記各実施形態では、制御対象となる操舵装置としてEPS1を採用したが、これに限らず、例えばステアバイワイヤ(SBW)方式の操舵装置を採用してもよい。
1…EPS(電動パワーステアリング装置、操舵装置)、3…転舵輪、4…操舵機構、5…EPSアクチュエータ(アクチュエータ)、6…操舵制御装置、11…ステアリングシャフト、12…ラック軸(転舵軸)、16…ピニオン軸、21…モータ、24…トーションバー、42…運転支援制御装置、44…操作スイッチ、51…マイコン、52…駆動回路、61…アシスト指令値演算部、62…電流指令値演算部、63…モータ制御信号生成部、64…ピニオン角演算部、71…基本アシスト成分演算部、72…位相補償制御部、73…反力成分演算部、74…反力ゲイン演算部、78…ピニオン角指令値演算部(回転角指令値演算部)、81…加算器(入力トルク演算部)、82…基本ピニオン角成分演算部(基本回転角成分演算部)、83…慣性制御演算部、84…粘性制御演算部、85…バネ特性制御演算部、91…ピニオン角F/B制御部(第2トルク成分演算部)、C…粘性係数、G…反力ゲイン、Glim…上限値、J…慣性係数、K…バネ係数、V…車速、θm…モータ角、Spr…優先信号、Th…操舵トルク、Ta*…アシスト指令値(トルク指令値)、Tc*,Tc**…反力成分、Tp*…入力トルク、Ta1*…第1アシスト成分(第1トルク成分)、Ta2*…第2アシスト成分(第2トルク成分)、Tas*…基本アシスト成分、Tsp*…バネ成分、Tvi*…粘性成分、Δθth…閾値、θp…ピニオン角、Δθp…差分、θp*…ピニオン角指令値、θp_adas*…運転支援ピニオン角成分(運転支援回転角成分)、θp_base*…基本ピニオン角成分(基本回転角成分)。

Claims (5)

  1. モータを駆動源とするアクチュエータにより操舵機構の転舵軸を往復動させるモータトルクが付与される操舵装置を制御対象とし、
    前記操舵機構に伝達される操舵トルクに基づいて第1トルク成分を演算する第1トルク成分演算部と、
    前記操舵トルク及び前記第1トルク成分に基づき転舵輪の転舵角に換算可能な回転軸の基本回転角成分を演算する基本回転角成分演算部と、
    前記基本回転角成分と、外部に設けられた運転支援制御装置から入力される運転支援回転角成分とに基づいて前記回転軸の回転角の目標となる回転角指令値を演算する回転角指令値演算部と、
    前記回転角指令値に基づく回転角フィードバック制御を実行して第2トルク成分を演算する第2トルク成分演算部とを備え、
    前記第1トルク成分に前記第2トルク成分を足し合わせた値を基礎とするトルク指令値に基づいて前記アクチュエータの作動を制御する操舵制御装置であって、
    記運転支援制御装置による運転支援制御の優先時には、該運転支援制御を優先させない非優先時に比べ、前記基本回転角成分は、前記回転角の変化に対する操舵反力の変化の割合が大きくなるように演算され、操舵特性が高い剛性を示す操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の操舵制御装置において、
    前記操舵トルク及び前記第1トルク成分の加算値に基づき前記回転軸に伝達される入力トルクを演算する入力トルク演算部を備え、
    前記基本回転角成分演算部は、前記入力トルクに対する前記回転角の理想モデルに基づいて前記基本回転角成分を演算するものであって、
    前記理想モデルは、前記運転支援制御の非優先時に用いられる通常理想モデルと、前記運転支援制御の優先時に用いられる運転支援理想モデルとを含み、
    前記通常理想モデル及び前記運転支援理想モデルは、回転角に基づくバネ項、回転角速度に基づく粘性項、並びに、前記バネ項及び前記粘性項の各制御出力であるバネ成分及び粘性成分を前記入力トルクから減じた値に基づく慣性項を含んでそれぞれ表され、
    前記運転支援理想モデルの前記バネ項を構成するバネ係数は、前記通常理想モデルの前記バネ項を構成するバネ係数よりも大きく設定された操舵制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の操舵制御装置において、
    前記回転角に基づいて前記第1トルク成分に対する反力成分を演算する反力成分演算部と、
    前記反力成分に乗ずる反力ゲインを演算する反力ゲイン演算部とを備え、
    前記反力ゲインは、前記運転支援制御の優先時には、該運転支援制御の非優先時に比べ、大きな値に演算される操舵制御装置。
  4. 請求項3に記載の操舵制御装置において、
    前記反力成分演算部は、前記回転角が増加するほど前記反力成分が増加するとともに、前記回転角が大きくなるほど該回転角の変化に対する前記反力成分の変化率の絶対値が小さくなるように該反力成分を演算するものであり、前記運転支援回転角成分と前記回転角との差分に基づいて前記反力成分を演算する操舵制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の操舵制御装置において、
    前記基本回転角成分は、前記運転支援制御の優先時において、前記運転支援回転角成分と前記回転角との差分が閾値以上となった場合には、前記差分が前記閾値未満の場合に比べ、前記回転角の変化に対する操舵反力の変化の割合がより大きくなるように演算される操舵制御装置。
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