以下、添付の図面を参照して実施の形態について説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号が付される。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
実施の形態1.
実施の形態1では、家電機器100として、除湿機を例示する。実施の形態1における家電機器100は、具体的には、例えば、可搬型インバータ駆動圧縮機タイプの除湿機である。
図1は、実施の形態1における家電機器の断面図である。図2は、実施の形態1における家電機器の分解斜視図である。図1の紙面左側は家電機器100の「前方」であるものとし、図1の紙面右側は家電機器100の「後方」であるものとする。
家電機器100の筐体は、中央筐体1、前方筐体2および後方筐体3を備える。
中央筐体1は、家電機器100の前後方向における中央部に設けられる。中央筐体1は、自立可能である。前方筐体2は、家電機器100の前後方向における前方側に設けられる。前方筐体2は、中央筐体1に対して着脱自在に設けられる。後方筐体3は、家電機器100の前後方向における後方側に設けられる。後方筐体3は、中央筐体1に対して着脱自在に設けられる。
家電機器100は、吐出口4、送風機5、除湿装置6、表示操作パネル7、貯水タンク8、吸込口9および制御装置10を備える。
吐出口4は、例えば、中央筐体1の上部に形成される。吐出口4には、例えば、吹き出し風向を変えることのできるルーバが設けられる。ルーバの向きは、図1および図2では図示しない吐出口ルーバ駆動モータ11によって変更される。
送風機5は、例えば、中央筐体1の前後方向における中央部に設けられる。送風機5は、例えば、送風ファンおよびモータを備える。送風機5の回転軸は、例えば、水平方向に向けられている。送風機5の回転軸は、例えば、家電機器100の前後方向軸と平行である。
除湿装置6は、例えば、中央筐体1の後方側に設けられる。除湿装置6は、圧縮機6a、蒸発器6b、減圧装置6cおよび凝縮器6dを備える。図1および図2では図示しないが、中央筐体1の下部には、湿度検出用の湿度センサ12が設けられる。湿度センサ12は、例えば、中央筐体1の左右方向における片方の側面に設けられる。
表示操作パネル7は、例えば、前方筐体2の上部に設けられる。
貯水タンク8は、例えば、前方筐体2の下部に設けられる。貯水タンク8は、前方筐体2が中央筐体1に取り付けられた状態で、家電機器100の前方側から取り外すことができる。
吸込口9は、例えば、後方筐体3に形成される。吸込口9は、例えば、家電機器100の背面の上側部分に相当する位置に形成される。
制御装置10は、例えば、中央筐体1の前方側に設けられる。
制御装置10は、例えば、表示操作パネル7に対する操作および湿度センサ12で検出された湿度に基づいて送風機5の動作を制御する。送風機5のモータは、制御装置10による制御に応じた回転速度で回転する。その結果、室内の空気Aは、吸込口9から水平方向に沿って筐体の内部に吸い込まれる。その後、空気Aは、蒸発器6bおよび凝縮器6dを通過する。その後、送風機5は、吐出口4から上方に向けて空気Bを室内へ吐き出す。
制御装置10は、例えば、表示操作パネル7に対する操作および湿度センサ12で検出された湿度に基づいて圧縮機6aの動作を制御する。圧縮機6aは、制御装置10による制御で指定された周波数に基づいて回転し、冷媒を圧縮する。凝縮器6dは、圧縮機6aが圧縮した冷媒を冷却する。減圧装置6cは、凝縮器6dが冷却した冷媒を減圧する。蒸発器6bは、減圧装置6cが減圧した冷媒への吸熱を行うことで、空気Aに含まれる水分を除去する。その結果、除湿された空気Bが生成される。空気Aから除去された水分は、貯水タンク8に貯められる。
図3は、実施の形態1における家電機器の機能ブロック図である。
表示操作パネル7は、表示部31および操作部32を有する。表示部31は、視覚情報を表示する。操作部32は、利用者による操作を受け付ける。
表示部31は、例えば、発光ダイオードまたは液晶パネル等で形成される。操作部32は、例えば、表示部31の周囲に設けられたボタン等の機械スイッチで構成されてもよい。操作部32は、例えば、表示部31の少なくとも一部がタッチパネルで形成されることで実現されてもよい。操作部32は、運転スイッチ32aを有する。
表示操作パネル7は、信号配線41および電源配線42により制御装置10と接続されている。信号配線41は、表示操作パネル7の入出力信号を伝達する。電源配線42は、表示操作パネル7への給電を行う。
制御装置10は、マイクロコンピュータ14、電源回路15、アクチュエータ駆動部17および異常温度検知回路19を備える。マイクロコンピュータ14には、湿度センサ12が接続されている。
マイクロコンピュータ14は、表示操作パネル7の表示部31に表示を出力する。マイクロコンピュータ14は、操作部32から操作入力を取り込む。
電源回路15は、電源プラグ101を介して交流電源13からの給電を受ける。電源回路15は、制御に必要な直流の内部電源を生成する。
アクチュエータ駆動部17は、家電機器100のアクチュエータを駆動する。家電機器100のアクチュエータには、例えば、圧縮機6a、送風機5および吐出口ルーバ駆動モータ11等が含まれる。
アクチュエータ駆動部17は、例えば、圧縮機駆動部17a、送風機駆動部17bおよびルーバ駆動部17cを備える。圧縮機駆動部17aは、圧縮機6aと電気的に接続されている。送風機駆動部17bは、送風機5と電気的に接続されている。ルーバ駆動部17cは、吐出口ルーバ駆動モータ11と電気的に接続されている。
圧縮機駆動部17aは、圧縮機6aの動作を制御するための駆動回路である。圧縮機駆動部17aは、例えば、マイクロコンピュータ14からの指令に基づいて動作する。圧縮機6aは、例えば、湿度センサ12で検出された空気中の湿度および操作部32への操作入力に基づいて、冷媒を圧縮する。
送風機駆動部17bは、送風機5の動作を制御するための駆動回路である。送風機駆動部17bは、例えば、マイクロコンピュータ14からの指令に基づいて動作する。送風機5は、例えば、操作部32への操作入力に基づいて、送風量を調整する。
ルーバ駆動部17cは、吐出口ルーバ駆動モータ11の動作を制御するための駆動回路である。ルーバ駆動部17cは、例えば、マイクロコンピュータ14からの指令に基づいて動作する。吐出口ルーバ駆動モータ11は、例えば、操作部32への操作入力に基づいて、吐出口4からの送風方向を決めるルーバの傾きを変える。
家電機器100は、温度センサ50を備える。温度センサ50からの配線は、マイクロコンピュータ14および異常温度検知回路19に接続されている。温度センサ50は、例えば、圧縮機6aの外郭に設置されている。以下、温度センサ50で検出される温度を「アクチュエータ温度」と称する。
異常温度検知回路19は、アクチュエータ温度を基準値と比較する機能を有するアナログ回路に相当する。基準値は、例えば、予め設定された異常温度レベルである。異常温度検知回路19の出力は、例えば、マイクロコンピュータ14もしくは圧縮機駆動部17aと接続されている。異常温度検知回路19は、温度センサ50の検出信号を取り込み、その信号レベルの値によって、マイクロコンピュータ14の処理とは関係なく、圧縮機駆動部17aからの駆動信号を出力させないようにする。制御装置10は、アクチュエータ温度が基準値を超えると、異常温度検知回路19の出力の変化により、マイクロコンピュータ14または圧縮機駆動部17aからの駆動信号が強制的に消去されるように動作する。
なお、例えば、温度センサ50が送風機5に設置され、異常温度検知回路19の出力がマイクロコンピュータ14もしくは送風機駆動部17bと接続されてもよい。この場合、アクチュエータ温度が基準値を超えると、異常温度検知回路19の出力の変化により、マイクロコンピュータ14または送風機駆動部17bからの駆動信号が強制的に消去される。
なお、例えば、温度センサ50が吐出口ルーバ駆動モータ11に設置され、異常温度検知回路19の出力がマイクロコンピュータ14もしくはルーバ駆動部17cと接続されてもよい。この場合、アクチュエータ温度が基準値を超えると、異常温度検知回路19の出力の変化により、マイクロコンピュータ14またはルーバ駆動部17cからの駆動信号が強制的に消去される。
異常温度検知回路19に設定される基準値は、例えば、圧縮機6aのモータ巻線の限界温度と当該モータ巻線が限界温度に近づいた時のモータの外郭温度との関係に基づいて決定される。例えば、モータ巻線の限界温度が190℃であり、その温度に達した時に圧縮機6aの外郭温度が120℃となる場合は、10degの余裕を持って、基準値は110℃に設定される。この場合、アクチュエータ温度が異常温度レベルに相当する110℃を超えると、異常温度検知回路19の出力が反転し、圧縮機駆動部17aからの駆動信号が強制的に消去される。
圧縮機6aの温度上昇により、アクチュエータ温度が異常温度レベルに達すると、異常温度検知回路19の出力の反転により、圧縮機駆動部17aの制御が行われなくなることで圧縮機6aが停止する。この場合には、マイクロコンピュータ14を介していない動作であるため、マイクロコンピュータ14は、アクチュエータの動作を監視する監視センサの出力に基づいて圧縮機6aの動作異常を検知する。監視センサは、例えば、電流モニタ等である。
マイクロコンピュータ14は、監視センサで圧縮機6aの動作異常を検知した場合、状況を正確に表示部31に表示するために、次のように動作してもよい。上述した通り、実施の形態1において、温度センサ50の出力は、マイクロコンピュータ14にも入力される。マイクロコンピュータ14は、温度センサ50で検出されたアクチュエータ温度が異常温度レベルを超え、且つ、圧縮機6aが動作異常となった場合には、マイクロコンピュータ14を介さずに圧縮機6aが停止されたと判断してもよい。この場合、マイクロコンピュータ14は、圧縮機6aの過熱異常を示す異常表示を表示部31に表示させる。これにより、状況を正確にユーザーに報知することが可能となる。
また、マイクロコンピュータ14は、異常温度検知回路19による強制的な圧縮機6aの停止に至るまでに、接続された温度センサ50の検出結果に応じて段階的に圧縮機6aに能力ダウン命令を出し、強制停止を回避する機能を実装することも可能である。例えば、マイクロコンピュータ14は、温度センサ50で検出されたアクチュエータ温度が基準値を超える前に、圧縮機6aの出力を低下させるようにアクチュエータ駆動部17に対して指令を送るようにしてもよい。これにより、圧縮機6aの温度上昇が抑えられ、圧縮機6aの強制停止に至る可能性を低下させることができる。
図4は、実施の形態1における家電機器が備える異常温度検知回路の構成の具体例を示す回路図である。図3および図4に示すように、異常温度検知回路19は、比較部19bおよび変換部19cを備える。
比較部19bは、温度センサ50の出力を取り込み、基準値と比較する。変換部19cは、比較部19bの出力を受けて、アクチュエータへのマイクロコンピュータ14からの制御信号を消失させるために必要な出力方式に変換する。また、温度センサ50は、ハイインピーダンスなマイクロコンピュータ14のAD変換用入力ピンへも接続されている。温度センサ50の出力は、マイクロコンピュータ14内部で電圧から温度に換算され制御情報として処理される。
以下、図4を参照して、主に比較部19bの構成例について説明する。温度センサ50は、例えば、温度が高くなると抵抗値が低下する特性を有するNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタを有する。NTCサーミスタは、温度に応じて抵抗値が変化する素子の一例である。異常温度検知回路19は、例えば、出力がオープンコレクタ構造のコンパレータICを備える。図4に示す比較部19bは、第一コンパレータ53および第二コンパレータ54を備える。
第一コンパレータ53の反転入力(−)であるa点には、抵抗R714と温度センサ50との分圧電圧が入力される。a点の電圧は、温度センサ50の抵抗値の変化により変動する。第一コンパレータ53の非反転入力(+)であるb点には、抵抗R716、抵抗R717、抵抗R718、抵抗R719、抵抗R720および抵抗R721で構成される回路の分圧電圧が入力される。アクチュエータ温度が異常温度レベルよりも低いときには、温度センサ50の抵抗値が大きいので、反転入力(−)であるa点の電圧が非反転入力(+)であるb点の電圧よりも高くなる。反転入力(−)であるa点の電圧が非反転入力(+)であるb点の電圧よりも高いと、第一コンパレータ53の出力であるc点の電圧は、Lレベルになる。
アクチュエータ温度が上昇すると、温度センサ50の抵抗値が低下する。アクチュエータ温度が異常温度レベルに達すると、反転入力(−)であるa点の電圧が非反転入力(+)であるb点の電圧以下になる。その結果、第一コンパレータ53の出力は、LレベルからHレベルに反転する。Hレベルのときの第一コンパレータ53の出力は、抵抗R716、抵抗R717、抵抗R718、抵抗R719、抵抗R720および抵抗R721で分圧される電圧値になる。
実施の形態1において、第一コンパレータ53には、閾値近傍でのチャタリングを防止するためにディファレンシャルが設定されている。ディファレンシャルは、ヒステリシスともいう。チャタリング防止の原理を説明する。a点の電圧がb点の電圧よりも低くなると、出力のオープンコレクタがオンの状態からオープンの状態になるため、c点の電圧が高くなる。すると、b点からc点へ向かって抵抗R719に流れていた電流の方向が反転し、c点からb点へ電流が流れるようになるので、b点の電圧も高くなる。その結果、b点とa点の電圧差が大きくなり、閾値近傍でのc点の出力のチャタリングを防止できる。ディファレンシャルの温度は、例えば、5deg程度とするのが良い。
第一コンパレータ53の出力は、第二コンパレータ54の反転入力(−)に入力される。このため、第二コンパレータ54の出力は、常に第一コンパレータ53の出力と逆の状態となる。第二コンパレータ54の出力は、変換部19cに入力され加工されて出力される。
第一コンパレータ53は、アクチュエータ温度が異常温度レベルに達した場合のディファレンシャルを設けるために、出力を非反転入力(+)側に帰還している。このため、非反転入力(+)側は、温度センサ50で検出されるアクチュエータ温度が正常動作範囲にあるときと、異常時とでは、その閾値が異なる。温度センサ50を非反転入力(+)に接続した場合、上述したディファレンシャルの設定により、電圧が変化してしまうため、温度センサ50をマイクロコンピュータ14に接続すると、プログラム内での温度換算に差異が発生してしまう。これに対し、実施の形態1のように、温度センサ50を第一コンパレータ53の反転入力(−)側に接続することで、そのような問題が生じることを回避できる。
図5は、実施の形態1における家電機器が備える各種回路の構成の第1の具体例を示す回路図である。図5には、マイクロコンピュータ14、電源回路15、圧縮機駆動部17aおよび異常温度検知回路19が示されている。
圧縮機6aは、三相モータを内蔵している。三相モータの各相は、U相、V相、W相である。
電源回路15は、交流電源13をダイオードブリッジDB1で整流し、平滑コンデンサC1で平滑する。平滑された直流の電源は、例えば、直流300Vである。電源回路15は、この平滑された直流の電源から、スイッチングレギュレータ15a等を用いて、必要な電源を生成する。生成される電源は、例えば、直流の15Vおよび5Vである。これらいずれの電源もGNDは共通であるとする。
圧縮機駆動部17aは、三相モータ駆動用のインバータ回路である。
圧縮機駆動部17aは、U相にトランジスタQ1、ダイオードD4およびU−HVICを有する。トランジスタQ1は、直流300Vと圧縮機6aのU相との間をスイッチングするIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。ダイオードD4は、逆電流を流す。U−HVICは、マイクロコンピュータ14からの駆動信号U1をトランジスタQ1に伝達するHVIC(High Voltage Integrated Circuit)である。以下、トランジスタQ1、ダイオードD4およびU−HVIC等で構成される回路をU相のHサイド側駆動回路と称する。
圧縮機駆動部17aは、U相にトランジスタQ4、ダイオードD7およびU−LVICを有する。トランジスタQ4は、圧縮機6aのU相とGNDとの間をスイッチングするIGBTである。ダイオードD7は、逆電流を流す。U−LVICは、マイクロコンピュータ14からの駆動信号U1をトランジスタQ4に伝達するLVIC(Low Voltage Integrated Circuit)である。以下、トランジスタQ4、ダイオードD7およびU−LVIC等で構成される回路をU相のLサイド側駆動回路と称する。
U相のHサイド側制御回路には、LサイドのIGBTのスイッチング動作を利用してU−HVICの駆動電源を生成するブートストラップ回路が付加されている。ブートストラップ回路は、抵抗R9、ダイオードD3およびコンデンサC2で構成されている。このブートストラップ回路は、トランジスタQ4がオンしている時に、15V電源から抵抗R9、ダイオードD3、コンデンサC2、トランジスタQ4、GNDへと電流が流れ、コンデンサC2に電荷がチャージされる仕組みになっている。
U相のLサイド側制御回路には、圧縮機6aに過電流が流れた時にマイクロコンピュータ14を介さずIGBTをオフすることで回路を保護する機能が付加されている。抵抗R10の電圧は、モータ電流が流れると上昇する。この上昇した電圧を抵抗R11とコンデンサC5からなるノイズ吸収用のローパスフィルタを通した後、U−LVICのOCP(過電流保護回路:Over Current Protection)に入力することで、当該電圧が一定値以上である場合にU−LVICの出力が停止される。このため、設定値以上の過電流が圧縮機6aに流れた場合、U−LVICの出力が停止され、トランジスタQ4がオフすることにより、圧縮機6aへの電流が遮断される。つまり、Lサイド側制御回路は、アクチュエータに過電流が流れた時にアクチュエータを停止させる過電流検知部を備えている。
なお、U相と同様の構成で、V相およびW相にも一対のHサイド側駆動回路とLサイド側駆動回路が構成される。
V相のHサイド側駆動回路の構成素子としては、V−HVIC、トランジスタQ2およびダイオードD5が設けられる。W相のHサイド側駆動回路の構成素子としては、W−HVIC、トランジスタQ3およびダイオードD6が設けられる。V相のLサイド側駆動回路の構成素子としては、V−LVIC、トランジスタQ5およびダイオードD8が設けられる。W相のLサイド側駆動回路の構成素子としては、W−LVIC、トランジスタQ6およびダイオードD9が設けられる。
V相のHサイド側駆動回路への駆動信号は、V1である。W相のHサイド側駆動回路への駆動信号は、W1である。V相のLサイド側駆動回路への駆動信号は、V2である。W相のLサイド側駆動回路への駆動信号は、W2である。
V相のブートストラップ回路は、抵抗R8、ダイオードD2およびコンデンサC3の組み合わせで構成される。W相のブートストラップ回路は、抵抗R7、ダイオードD1およびコンデンサC4の組み合わせで構成される。
圧縮機駆動部17aは、直流300Vの電源からの電流をHサイドのトランジスタQ1、Q2およびQ3のいずれかを介して流し、圧縮機6aの各相を経由して、LサイドのトランジスタQ4、Q5およびQ6のいずれかを介してGNDへ流すことにより、圧縮機6aを駆動する。また、圧縮機駆動部17aには、少なくともU相およびV相のそれぞれに、圧縮機6aに流れる電流をモニタするためのカレントトランスCT1およびカレントトランスCT2が設けられている。マイクロコンピュータ14は、各相に流れる電流をモニタしながら、圧縮機6aが指示通りの動作をしているかどうかフィードバックを受ける。W相の電流については、3相全ての電流の合計が差し引き0になることから、マイクロコンピュータ14内で演算可能である。
マイクロコンピュータ14は、リセット回路を含んでいる。リセット回路は、抵抗R13、コンデンサC6およびダイオードD10で構成される。マイクロコンピュータ14のリセット入力がLレベルの時は、マイクロコンピュータ14のプログラムが停止状態となる。この場合、U1、V1、W1、U2、V2、W2の各出力はLレベルとなり、圧縮機6aは動作しない。
異常温度検知回路19の変換部19cについて説明する。図5における変換部19cは、抵抗R15およびPNPトランジスタQ7を有する。温度センサ50の検出する温度が上昇し、比較部19bの出力がHレベルからLレベルへ反転すると、抵抗R15を介してPNPトランジスタQ7のベースがLレベルとなり、エミッタとコレクタ間が導通する。この場合、エミッタ側の15V電源の電圧が抵抗R14を介して各相のLサイドLVICのOCP入力へ印加される。その結果、圧縮機6aに過電流が流れた場合の値以上にOCP入力の電圧が高くなり、各相のLサイドLVICの出力は遮断され、圧縮機6aは停止する。
図6は、実施の形態1における家電機器が備える各種回路の構成の第2の具体例を示す回路図である。
図6に示す構成は、図5に示す構成の変形例である。図6における変換部19cは、ダイオードD11、ダイオードD12およびダイオードD13を有する。ダイオードD11、ダイオードD12およびダイオードD13のカソードは、連結接続されて比較部19bの出力に接続されている。ダイオードD11のアノードは、LサイドのU相の制御駆動信号線U2に接続されている。ダイオードD12のアノードは、LサイドのV相の制御駆動信号線V2に接続されている。ダイオードD13のアノードは、LサイドのW相の制御駆動信号線W2に接続されている。つまり、3つのダイオードのそれぞれのアノードは、Lサイドの制御駆動信号線のそれぞれと接続されている。この構成によれば、比較部19bの出力がLレベルになるとLサイドの信号が強制的にLレベルになり、Lサイドの駆動信号が消失するため、圧縮機6aが停止する。
図7は、実施の形態1における家電機器が備える各種回路の構成の第3の具体例を示す回路図である。
図7に示す構成は、図5に示す構成の変形例である。図7における変換部19cは、ダイオードD21、ダイオードD22およびダイオードD23を有する。ダイオードD21、ダイオードD22およびダイオードD23のカソードは、連結接続されて比較部19bの出力に接続されている。ダイオードD21のアノードは、HサイドのU相の制御駆動信号線U1に接続されている。ダイオードD22のアノードは、HサイドのV相の制御駆動信号線V1に接続されている。ダイオードD23のアノードは、HサイドのW相の制御駆動信号線W1に接続されている。つまり、3つのダイオードのそれぞれのアノードは、Hサイドの制御駆動信号線のそれぞれと接続されている。この構成によれば、比較部19bの出力がLレベルになるとHサイドの信号が強制的にLレベルになり、Hサイドの駆動信号が消失するため、圧縮機6aが停止する。
なお、変換部19cは、D11、D12、D13、D21、D22およびD23の6つ全てのダイオードを有してもよい。この場合、6つのダイオード全てが対応する制御駆動信号線と接続されてもよい。この構成によれば、温度センサ50の検出する温度が上昇したときは各相のLサイドとHサイドの出力が同時に遮断されるため、圧縮機6aは停止する。
図8は、実施の形態1における家電機器が備える各種回路の構成の第4の具体例を示す回路図である。
図8に示す構成は、図5に示す構成の変形例である。図8における変換部19cは、ダイオードD14だけで構成される。ダイオードD14のカソードは、比較部19bの出力に接続されている。ダイオードD14のアノードは、マイクロコンピュータ14のリセット端子に接続されている。この構成によれば、比較部19bの出力がLレベルになるとマイクロコンピュータ14のリセット入力が強制的にLレベルになる。リセット入力がLレベルになると、マイクロコンピュータ14は初期状態に戻り、プログラムも停止するため、圧縮機6aが停止する。
図5から図8に示す具体例では、各相のHVIC、LVIC、トランジスタおよびダイオード等を個別にして圧縮機駆動部17aが構成されている。しかしながら、圧縮機駆動部17aは、例えば、各相のHVIC、LVIC、トランジスタおよびダイオード等をパッケージ化した所謂IPM(インテリジェント・パワーモジュール)であってもよい。
実施の形態1において、アクチュエータ駆動部17は、家電機器100のアクチュエータを駆動する。マイクロコンピュータ14は、アクチュエータへの駆動信号を出力する。過電流検知部は、アクチュエータに過電流が流れた時にアクチュエータを停止させる。温度センサ50は、アクチュエータの温度であるアクチュエータ温度を検出する。異常温度検知回路19は、アクチュエータ温度を基準値と比較し、比較結果に応じて出力を変化させる。異常温度検知回路19の出力端子は、例えば、過電流検知部と接続される。つまり、家電機器100は、例えば、異常温度検知回路19の出力端子と過電流検知部とを接続する配線を備える。アクチュエータは、アクチュエータ温度が基準値を超えると、異常温度検知回路19の出力の変化により過電流検知部が動作することで停止される。このため、暴走などの可能性があるマイクロコンピュータ14のプログラムに依存することなく、簡単な構成で、アクチュエータの温度が過剰に上昇することを確実に防止することができる。
実施の形態1において、アクチュエータ駆動部17は、家電機器100のアクチュエータを駆動する。マイクロコンピュータ14は、アクチュエータへの駆動信号を出力する。温度センサ50は、アクチュエータの温度であるアクチュエータ温度を検出する。異常温度検知回路19は、アクチュエータ温度を基準値と比較し、比較結果に応じて出力を変化させる。異常温度検知回路19の出力端子は、例えば、マイクロコンピュータ14からアクチュエータへの駆動信号線と接続される。つまり、家電機器100は、例えば、異常温度検知回路19の出力端子とマイクロコンピュータ14からアクチュエータへの駆動信号線とを接続する配線を備える。アクチュエータは、アクチュエータ温度が基準値を超えると、異常温度検知回路19の出力の変化によりマイクロコンピュータ14からアクチュエータへの駆動信号が消失することで停止される。このため、暴走などの可能性があるマイクロコンピュータ14のプログラムに依存することなく、簡単な構成で、アクチュエータの温度が過剰に上昇することを確実に防止することができる。
実施の形態1において、異常温度検知回路19の出力端子は、例えば、モータを制御するインバータ回路のLサイドの駆動信号線と接続される。この場合、異常温度検知回路19の出力の変化に起因してLサイドの駆動信号を消失させ、アクチュエータを停止させることができる。
実施の形態1において、異常温度検知回路19の出力端子は、例えば、モータを制御するインバータ回路のHサイドの駆動信号線と接続される。この場合、異常温度検知回路19の出力の変化に起因してHサイドの駆動信号を消失させ、アクチュエータを停止させることができる。
実施の形態1において、異常温度検知回路19の出力端子は、例えば、モータを制御するインバータ回路のLサイドの駆動信号線およびHサイドの駆動信号線の両方と接続される。この場合、異常温度検知回路19の出力の変化に起因してLサイド駆動信号およびHサイドの駆動信号の両方を消失させ、アクチュエータを停止させることができる。
実施の形態1において、アクチュエータ駆動部17は、家電機器100のアクチュエータを駆動する。マイクロコンピュータ14は、リセット端子を有し、アクチュエータへの駆動信号を出力する。温度センサ50は、アクチュエータの温度であるアクチュエータ温度を検出する。異常温度検知回路19は、アクチュエータ温度を基準値と比較し、比較結果に応じて出力を変化させる。異常温度検知回路19の出力端子は、例えば、マイクロコンピュータのリセット端子と接続される。つまり、家電機器100は、例えば、異常温度検知回路19の出力端子とマイクロコンピュータ14のリセット端子とを接続する配線を備える。アクチュエータは、アクチュエータ温度が基準値を超えると、異常温度検知回路19の出力の変化によりリセット端子への入力が反転してマイクロコンピュータがリセットされることで停止される。このため、暴走などの可能性があるマイクロコンピュータ14のプログラムに依存することなく、簡単な構成で、アクチュエータの温度が過剰に上昇することを確実に防止することができる。
実施の形態1において、温度センサ50は、温度に応じて抵抗値が変化する素子を有する。異常温度検知回路19は、素子の抵抗値の変化により変動する電圧と抵抗分圧で生成した電圧とを比較する第一コンパレータ53を有する。つまり、異常温度検知回路19では、抵抗分圧によってアクチュエータ温度の基準値が設定されている。このため、簡単な構成で、アクチュエータの過熱異常を検知することができる。
実施の形態1において、温度センサ50の上記素子は、第一コンパレータ53の反転入力端子に接続される。このため、温度センサ50の検出信号をマイクロコンピュータ14のプログラムで温度換算する際に発生し得る問題を回避できる。
実施の形態1において、マイクロコンピュータ14は、例えば、アクチュエータ温度が基準値を超える前に、アクチュエータの出力を低下させてもよい。この場合、アクチュエータが強制停止される可能性を低下させることができる。
実施の形態1において、マイクロコンピュータ14は、例えば、アクチュエータ温度が基準値を超え、且つ、監視センサによりアクチュエータの停止が検出された場合に、アクチュエータの過熱異常が発生したことを表示部31に表示させてもよい。この場合、家電機器100の状況を正確にユーザーに報知することができる。
マイクロコンピュータ14の各機能は、処理回路により実現されてもよい。図3、図5から図7に示す例では、マイクロコンピュータ14の処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ14bと少なくとも1つのメモリ14cとを備える。処理回路が少なくとも1つのプロセッサ14bと少なくとも1つのメモリ14cとを備える場合、マイクロコンピュータ14の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述されてもよい。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ14cに格納されてもよい。少なくとも1つのプロセッサ14bは、少なくとも1つのメモリ14cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、マイクロコンピュータ14の各機能を実現してもよい。少なくとも1つのメモリ14cは、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク等を含んでもよい。
マイクロコンピュータ14の処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェアを備えてもよい。処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェアを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものでもよい。マイクロコンピュータ14の各部の機能がそれぞれ処理回路で実現されてもよい。また、マイクロコンピュータ14の各部の機能がまとめて処理回路で実現されてもよい。マイクロコンピュータ14の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、他の一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、マイクロコンピュータ14の各機能を実現しても良い。