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JP6842761B2 - 樹脂ガラス板及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、車両の窓、又は建築材として壁、屋根、床などの透視用材料、採光用材料として使用できる樹脂ガラス板及びその製造方法に関する。
無色透明なポリカーボネート基板は、強度が高く、軽量であり、かつ加工や成形が容易であることから、ガラスに代わる樹脂ガラス板として利用が広まっている。ポリカーボネート基板は、ガラスの基板に比べ、軽量であり、成形性に優れるものの、表面は非常に傷がつきやすい。そこでポリカーボネート基板上にハードコートと称する硬質薄膜を形成し、耐擦傷性の向上を図ることが行われている。このハードコート層は、ポリカーボネート基板の表面にアクリル樹脂あるいはシリコーンポリマーを塗布形成し硬質薄膜を形成することによって行われる。
硬質薄膜にさらに強度を持たせるため、シリコーンポリマーに含まれるSi−O−Si結合を、レーザー照射によって二酸化ケイ素に改質する技術が、例えば、特許文献1により知られている。特許文献1によれば、Si−O−Si結合を含む固体化合物膜或いは酸化ケイ素膜への微細パターンを形成し、F2レーザーリソグラフィー用レジストとして適用可能な固体化合物膜を提供するものである。この方法によれば、Si−O−Si結合を含む固体化合物膜を二酸化ケイ素に改質することができる。
特許文献2よれば、大面積の窓やメガネレンズ等に適用可能な二酸化ケイ素の改質膜を有する樹脂ガラスを提供するにあたり、二酸化ケイ素膜の厚さを0.6μm(マイクロ メータ)未満の膜厚とした樹脂ガラス板が開示されている。この特許文献では、0.6μm以上に二酸化ケイ素の改質膜の膜厚を厚くすれば強度を強化するどころか、逆に使用中に改質膜の内部からクラックが入ることが開示されている。
特許第3950967号公報 特許第4536824号公報
炎天下に晒される、例えば、車両用の窓として樹脂ガラス板を用いる場合、樹脂ガラス板には高温に晒されても劣化しない耐熱性が要求される。また、ワイパーにより表面が摩耗されるフロントガラス等の用途においては耐擦傷性の向上が要求される。上記特許文献においては、耐熱性についての開示がされていない。
本発明は、シリコーンポリマーを改質した二酸化ケイ素膜について、耐熱性を向上させた樹脂ガラス板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の樹脂ガラス板の製造方法は、
樹脂基板をハードコート層により被覆した樹脂ガラス板の製造方法であって、
前記ハードコート層を湿式法によりシリコーンポリマーを用いて形成する工程と、
このハードコート層の表面に、波長200nm以下の紫外光源により真空紫外光線を照射して二酸化ケイ素膜に改質する工程と、
前記改質された二酸化ケイ素膜の膜表面のRmaxの値に対してその3倍以上であって、前記改質された二酸化ケイ素膜の膜厚の半分以下のRmaxとなる機械的な擦傷を当該改質された二酸化ケイ素膜に対して行う工程とからなることを特徴とする。
本発明の樹脂ガラス板は、透明樹脂基板を被覆するハードコート層を有し、該ハードコート層はシリコーンポリマーを湿式法により形成されており、その表面に波長200nm以下の真空紫外光線照射により改質した二酸化ケイ素膜が形成されており、かつ二酸化ケイ素膜は、前記改質された二酸化ケイ素膜の膜表面のRmaxの値に対してその3倍以上であって、00nm以下のRmaxとなる表面粗さを有することを特徴とする。
本発明によれば、加熱された環境下においてもクラックの生じない樹脂ガラス板を得ることができる。
樹脂ガラス板の断面を模式的に示した図であり、図1Aはメッシュマスク無しで形成した樹脂ガラス板の断面図、図1Bはメッシュマスク有りで形成した樹脂ガラス板の樹脂ガラス板の断面図、図1Cはメッシュマスクの斜視図である。 レーザーの照射時間と二酸化ケイ素の膜厚との関係を示した図である。 レーザーを照射時間90秒間照射し、1μmの膜厚の二酸化ケイ素を形成したときの樹脂ガラス板を示す図である。 レーザー照射時間30秒の樹脂ガラス板100を3時間100℃、3時間120℃の加熱試験を行った結果を示す図である。 レーザー照射時間90秒の樹脂ガラス板100を3時間100℃、3時間120℃の加熱試験を行った結果を示す図である。 加熱試験におけるクラック発生の原理を推論した図である。 実験例1を示す図である。 表面の凹凸を示す顕微鏡写真であり、図8Aは二酸化ケイ素膜4を形成する前のシリコーンポリマーの表面であり、図8Bは二酸化ケイ素膜4に改質後の表面であり、図8Cはスチールウールによる擦傷処理後の表面である。 図9は加熱試験を示す図である。図9Aは100℃にて3時間加熱する前後の表面の様子、図9Bは120℃にて3時間加熱する前後の表面の様子を示している。 擦傷処理の効果を模擬的に推論した図である。
出願人によるPCT/JP2016/064282「樹脂ガラス板及びその製造方法」によれば、シリコーンポリマーにセルロースナノファイバーを添加してレーザー照射により二酸化ケイ素に改質した例が示されている。この出願に開示された発明の効果として、適量のセルロースを添加することにより、耐熱性が向上する。この出願においては、適量のセルロースが添加され、レーザーによる二酸化ケイ素への改質が行われる。シリコーンポリマーに添加されたセルロースは、レーザーを吸収し二酸化ケイ素の膜厚を成長させるのに大きなエネルギーを必要とした。
二酸化ケイ素膜は、その膜厚を厚く成長させた方が耐擦傷性を向上させる。特許文献1においては、直径1mmの金属マスクを利用して、極めて小面積の二酸化ケイ素膜を生成し、かつ1μm以上の膜厚の実現を示唆している。一方、特許文献2においては、改質の際の体積変化により内部応力が保持され、改質膜にクラックが生じるため、面積を広くして膜厚を厚くするには限界があることが示されている。
発明者らは、このような背景において、二酸化ケイ素膜を表面に有する樹脂ガラス板として耐熱性を向上させることの検討を行った。合わせて、二酸化ケイ素膜の膜厚を厚くして、耐擦傷性の向上を図ることも検討した。
図1A、図1Bは、本発明に係る樹脂ガラス板の断面を模式的に示した図である。
樹脂ガラス板100は、樹脂基板1と、その上に形成されたプライマー層2と、その上を被覆したハードコート層3とから構成される。プライマー層2及びハードコート層3はそれぞれディップコーティング法により形成され、該ハードコート層3の表面側の一部は二酸化ケイ素に改質された薄膜(二酸化ケイ素膜)4に形成されている。図1Bの樹脂ガラス板100は、正方形のメッシュマスク5(図1C)により被覆した後に、波長157nmのF2レーザーを照射する。これにより、レーザーは、縦横の行列に整列した多数の小領域からなるパターン状にハードコート層3を照射し、二酸化ケイ素膜を形成する。メッシュマスク5は、レーザーを通さない縦横行列状に窓を有する格子部6と、格子部6の窓にレーザーを通す正方形状の透過部7が設けられている。メッシュマスク5としては、一辺が、3mm、1mm、300μm、150μm及び50μmの正方形の透過部7により二酸化ケイ素膜を形成するものを用意した。
以下、樹脂ガラス板100の構成について説明する。
樹脂基板1は、樹脂であれば材質は問わないが、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート又はスチレン系重合体等の透明樹脂、あるいは各種オレフィン系樹脂の板が望ましい。
プライマー層2としては、樹脂基板1とハードコート層3との密着性の向上、耐衝撃性の向上等の目的で設けられるが、本発明に於いては、樹脂基板1の表面に生じている傷を消失する効果も有する。このようなプライマー層2は、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等の各樹脂を使用することが可能である。
ハードコート層3は、シリコーンポリマーからなり、具体的には、アルコキシシランをベースとして、縮合反応を経由して得られたシロキサンゾルを、加水分解して得られるシロキサン樹脂を用いる。
二酸化ケイ素膜4は、ハードコート層3の表面側の一部をレーザー光照射により改質したものであり、二酸化ケイ素を主成分とする薄膜からなる。レーザー光の光源としては、エキシマレーザ、エキシマランプ、低圧水銀ランプがある。エキシマレーザは、126nmの波長を持つAr2レーザ、157nmの波長を持つF2レーザ、193nmの波長を持つArFエキシマレーザ、248nmの波長を持つKrFエキシマレーザ、307nmの波長を持つXeClエキシマレーザがある。このうち、200nm以下の真空紫外線の光源はAr2レーザ、F2レーザ、ArFレーザである。また、エキシマランプは、波長として126nm(Ar2)、146nm(Kr2)、172nm(Xe2)のものを用いることができる。
図2は、レーザーの照射時間と二酸化ケイ素の膜厚との関係を示している。レーザーとしては、F2レーザーを用いた。メッシュマスク5の有無に拘わらず、30秒の照射により0.6μm程度の膜厚、90秒の照射により1μm程度の膜厚の二酸化ケイ素膜が形成される。但し、膜厚が厚くなるに従って、二酸化ケイ素に改質するための酸素が大気中から酸素が取り込めず、ハードコート層3内の酸素が欠乏してくるため、膜厚の成長のスピードは鈍化する。工業的に効率よく形成できる二酸化ケイ素膜の膜厚は、現在のところせいぜい1.5μm程度である。以降、本明細書において使用したレーザーは同一のF2レーザーである。
図3は、レーザーを90秒間照射し、1μmの膜厚の二酸化ケイ素を形成したときの樹脂ガラス板100の表面である。図3Aはメッシュマスク無しの樹脂ガラス板100であり、図3Bは二酸化ケイ素膜が3×3mmの正方形となるようにメッシュマスク5を用いた樹脂ガラス板100であり、図3Cは二酸化ケイ素膜が50×50μmの正方形となるようにメッシュマスク5を用いた樹脂ガラス板100である。
メッシュマスク無しでは特許文献2に示したとおり、3×3mmの正方形のように比較的小さい面積の二酸化ケイ素膜であっても、クラックが生じた。一方、50×50μmの正方形の非常に小さい面積の二酸化ケイ素膜ではクラックの発生は見られなかった。他のメッシュマスク5を利用して作成した1mm、300μm、150μm及び50μmの正方形に二酸化ケイ素膜を形成した樹脂ガラス板100においては、いずれも50×50μmと同様にクラックが生じなかった。
よって、0.6μm以上の二酸化ケイ素膜の膜厚を有する樹脂ガラス板100を作成するには、一辺が1mm以下のメッシュマスク5を用いることが一つの解決手段となる。但し、メッシュマスク5を用いることにより、樹脂ガラス板100に二酸化ケイ素膜に改質されていない表面が存在することによるデメリットについては、今後検討を要する。
次に、耐熱性について検討を行った。耐熱性の試験は、メッシュマスクを用いずに作成した樹脂ガラス板100と、メッシュマスク5を使用して作成した樹脂ガラス板100に対して行った。レーザー照射時間30秒(二酸化ケイ素膜の膜厚は、図2参照)及びレーザー照射時間90秒の樹脂ガラス板100を作成した。いずれの膜厚についても、1mm、300μm、150μm及び50μmの正方形に二酸化ケイ素膜を形成した4種類を用意した。
80℃のまま3時間維持した加熱試験では、いずれの樹脂ガラス板100においてもクラックが生じなかった。
図4は、レーザー照射時間30秒の樹脂ガラス板100を100℃で3時間、120℃で3時間の加熱試験を行った結果を示している。メッシュ無し、1mm、300μm、150μm及び50μmの正方形に二酸化ケイ素膜を形成した4種類全ての樹脂ガラス板100において、クラックが生じた。
図5は、レーザー照射時間90秒の樹脂ガラス板100を100℃で3時間、120℃で3時間の加熱試験を行った結果を示している。1mm、300μm、150μm及び50μmの正方形に二酸化ケイ素膜を形成した4種類全ての樹脂ガラス板100において、クラックが生じた。尚、レーザー照射時間90秒においては、メッシュマスク無しの場合は、初期の状態からクラックが生じているので図6Bには示していない。
加熱試験は、樹脂ガラス板100を構成する材料の熱膨張率が相違することを利用してストレスを生じさせて耐性を観察する試験である。熱膨張率は、アクリル樹脂が70−80ppm/℃、ポリカーボネートが70ppm/℃、シリコーンポリマーが25−35ppm/℃に対して、二酸化ケイ素は0.5ppm/℃と異なっており、二酸化ケイ素の熱膨張率は、他の樹脂と大きく相違している。
図6は、加熱試験におけるクラック発生の原理を推論した図である。シリコーンポリマーを二酸化ケイ素に改質する際に、改質時の収縮により二酸化ケイ素膜の底部により強い引張応力が発生する(図6A)。樹脂基板1の剛性により平面に矯正されることにより、二酸化ケイ素膜の表面に強い引張応力が現れる(図6B)。加熱により微少クラックが生じて成長し(図6C)、クラック周辺のストレスが開放され、クラックを頂点とした隆起形状が完成する(図6D)。図6Eは、レーザー顕微鏡によるクラックの断面プロファイルであり、クラックを頂点とした隆起形状を示している。クラックは、二酸化ケイ素膜を貫いている。
このように、二酸化ケイ素の膜厚を制御し又は、メッシュマスク5を使用することにより、改質時の収縮に起因するクラックの発生は抑止できるが、熱に起因するクラックは防止をすることができない。本発明者らは、熱膨張率の制御は困難であるとの前提の上、改質時の収縮に起因するストレスを、改質後に取り除いてストレスのない二酸化ケイ素膜にできないかについての検討を行った。
(実験例1)
図7Aにおいて、100mm×100mmの樹脂ガラス板100(メッシュマスク無し、照射30秒)を作成し、25mm×35mmの検査エリアの半分に対してセロハンテープによりマスキングし、スチールウール(スーパーファイン#0000、日本スチールウール株式会社)により、1N/cm(1ニュートン、約98gf)の荷重をかけて300往復、改質表面に対して機械的な擦傷(スクラッチ)処理をする。その後、120℃で3時間加熱試験を行った。尚、擦傷処理において適用した1Nの荷重は、日本工業標準調査会によるテーバ−摩耗試験(JIS K7204)における加重5N(5ニュートン=490gf)よりも小さい加重である。
図7Bに示すように、セロハンテープでマスキングしてスチールウールによる擦傷処理が行われなかった箇所(図7B左側)においては、クラックが発生した。一方、チールウールによる擦傷処理を行った箇所(図7B右側)においては、クラックが発生しなかった。境界箇所(図7B中央)では、スチールウールによる擦傷処理を行った箇所にクラックが若干伝搬した様子が確認できた。尚、試験において用意した試料は、テーバ−摩耗試験用として用意したものであるため、面積100mm×100mmの大きさで用意されている。
図8は表面の凹凸を示す走査プローブ顕微鏡写真である。図8Aは二酸化ケイ素膜を形成する前のシリコーンポリマーの表面であり、図8Bは二酸化ケイ素膜に改質後の表面であり、図8Cはスチールウールによる擦傷処理後の表面である。レーザーの照射時間は、30秒である。シリコーンポリマーの表面(図8A)の表面粗さはRmax(最大高さ)=2.12nmであり、デップコーティングにより形成される典型的なRmaxである。改質後の表面はRmax=5.71nmであり、擦傷処理後の表面はRmax=48.8nmであった。Rmaxは、表面粗さを表す指標の一つで有って、傷とみなされるような並はずれて高い山や深い谷のない部分から基準長さだけを抜き取り、当該基準長さ範囲における最大高さ(山と谷の差)を表している。
(実験例2)
メッシュマスク5により、正方形状の二酸化ケイ素膜を形成した樹脂ガラス板100についても、同様の検討を行った。図9に示す加熱試験において使用した樹脂ガラス板100は、50×50μmのメッシュマスクを用いて形成した。実験例1と同様に、スーパーファイン#0000により、1N/cmの荷重をかけて300往復、擦傷処理した。実験では、レーザーを30秒照射した樹脂ガラス板100と90秒照射した樹脂ガラス板100に対して、100℃にて3時間、120℃にて3時間、それぞれ加熱試験を行った。図9Aは100℃にて3時間加熱する前後の表面の様子を示し、図9Bは120℃にて3時間加熱する前後の表面の様子を示している。いずれの場合も、擦傷処理を行っていない場合にはクラックが発生し、擦傷処理を行った場合にはクラックの発生が観察されなかった。
図10は、擦傷処理の効果を模擬的に推論した図である。シリコーンポリマーを二酸化ケイ素に改質する際に、改質時の収縮により二酸化ケイ素膜4の底部により強い引張応力が発生する(図10A)。樹脂基板1の剛性により平面に矯正されることにより、二酸化ケイ素膜4の表面に強い引張応力が現れる(図10B)。元々の表面粗さよりも深く、Rmaxにおいて3倍以上、少なくともとも2倍のRmaxとなるように、表面を擦傷処理する。30秒のレーザー照射により、二酸化ケイ素膜4の表面にはRmax=5.71の粗さが生じていたため、3倍のRmaxは、Rmax=17.23nmである。少なくともともRmax=17.23nm以上となるように表面を擦傷処理するのが良い。
二酸化ケイ素膜4の表面に現れていた強い引張応力は、分断されて低減される(図10C)。表面の引張応力が低減された結果、クラックが入るのを抑制できたものと推測される。
擦傷処理により表面に付与する粗さとしては、Rmaxは二酸化ケイ素膜4の膜厚の半分以下であるのが望ましく、光学的品質を維持する上では300nm以下が良い。また、Rmaxが300nmとなる山と谷の周期についても、300nm以下とするのが良い。
上記実験例においては、樹脂基板1の上にプライマー層2を介してハードコート層3を形成したが、樹脂基板1上に直接、ディップコーティング法により、シロキサン樹脂のハードコート層3を形成して、樹脂基板1を被覆しても良い。
上記実施例においては、擦傷処理は、スーパーファイン#0000により、1N/cmの荷重をかけて300往復させたが、他の擦傷処理をしても良い。例えば、金属あるいは金属酸化物、有機物あるいは布状の繊維を複合的に組み合わせたものに荷重をかけて改質表面を擦傷する方法、あるいは、金属あるいは金属酸化物、あるいはそれらの複合粒子を高速で衝突させること、または、気体状の荷電粒子を電界で加速し衝突させる方法のいずれかあるいは同時におこなう方法により擦傷処理しても良い。これらの方法により、二酸化ケイ素の膜表面のRmaxの値に対してその3倍以上のRmaxを保有することで、加熱された環境下においてもクラックの生じない樹脂ガラス板100を得ることができる。
上記実施例においては、メッシュマスク5としては、透過部7により小領域の二酸化ケイ素膜4を行列状に配置できるもので有れば良く、その形状は正方形以外の形状のメッシュマスクを用いても良い。例えば、他の多角形状若しくは円であっても良い。
1 樹脂基板
2 プライマー層
3 ハードコート層
4 二酸化ケイ素膜
5 メッシュマスク
6 格子部
7 透過部
100 樹脂ガラス板

Claims (6)

  1. 樹脂基板をハードコート層により被覆した樹脂ガラス板の製造方法であって、
    前記ハードコート層を湿式法によりシリコーンポリマーを用いて形成する工程と、
    このハードコート層の表面に、波長200nm以下の真空紫外光線を照射して二酸化ケイ素膜に改質する工程と、
    前記改質された二酸化ケイ素膜の膜表面のRmaxの値に対してその3倍以上であって、前記改質された二酸化ケイ素膜の膜厚の半分以下のRmaxとなる機械的な擦傷を当該改質された二酸化ケイ素膜に対して行う工程とからなることを特徴とする樹脂ガラス板の製造方法。
  2. 前記機械的な擦傷を当該改質された二酸化ケイ素膜に対して行う工程は、金属あるいは金属酸化物、有機物あるいは布状の繊維を複合的に組み合わせたものに荷重をかけて改質表面を擦傷する方法、あるいは、金属あるいは金属酸化物、あるいはそれらの複合粒子を高速で衝突させること、または、気体状の荷電粒子を電界で加速し衝突させる方法のいずれかあるいは同時におこなう工程であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂ガラス板の製造方法。
  3. 樹脂基板をハードコート層により被覆した樹脂ガラス板の製造方法であって、
    前記ハードコート層を湿式法によりシリコーンポリマーを用いて形成する工程と、
    このハードコート層の表面に、波長200nm以下の紫外光源により真空紫外光線を照射して二酸化ケイ素膜に改質する工程と、
    前記改質された二酸化ケイ素膜の膜表面のRmaxの値に対してその3倍以上であって、300nm以下のRmaxとなる機械的な擦傷を当該改質された二酸化ケイ素膜に対して行う工程とからなることを特徴とする樹脂ガラス板の製造方法。
  4. 樹脂基板上にプライマー層を湿式法により形成し、その上に前記ハードコート層を形成することを特徴とする請求項1若しくは3に記載の樹脂ガラス板の製造方法。
  5. 前記二酸化ケイ素膜に改質する工程は、行列状のパターンに前記真空紫外光線を照射してシリコーンポリマーを改質するものであることを特徴とする請求項1若しくは3に記載の樹脂ガラス板の製造方法。
  6. 透明樹脂基板を被覆するハードコート層を有し、該ハードコート層はシリコーンポリマーを湿式法により形成されており、その表面に波長200nm以下の真空紫外光線照射により改質した二酸化ケイ素膜が形成されており、かつ二酸化ケイ素膜は、前記改質された二酸化ケイ素膜の膜表面のRmaxの値に対してその3倍以上であって、300nm以下のRmaxとなる表面粗さを有することを特徴とする樹脂ガラス板。
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