実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
作製基板上に被剥離層を形成した後、被剥離層を作製基板から剥離して別の基板に転置することができる。この方法によれば、例えば、耐熱性の高い作製基板上で形成した被剥離層を、耐熱性の低い基板に転置することができ、被剥離層の作製温度が、耐熱性の低い基板によって制限されない。作製基板に比べて軽い、薄い、又は可撓性が高い基板等に被剥離層を転置することで、半導体装置、発光装置、表示装置等の各種装置の軽量化、薄型化、フレキシブル化を実現できる。
本発明の一態様を適用して作製できる装置は、機能素子を有する。機能素子としては、例えば、トランジスタ等の半導体素子、無機EL素子、有機EL素子、発光ダイオード(LED)等の発光素子、液晶素子、電気泳動素子、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子等の表示素子が挙げられる。例えば、トランジスタを封入した半導体装置、発光素子を封入した発光装置(ここでは、トランジスタ及び発光素子を封入した表示装置を含む)等も本発明を適用して作製できる装置の一例である。
具体例としては、有機EL素子は水分などにより劣化しやすいため、防湿性の高い保護膜をガラス基板上に高温で形成し、耐熱性や防湿性が低く、可撓性を有する有機樹脂基板に転置することが好ましい。有機樹脂基板に転置された保護膜上に有機EL素子を形成することで、信頼性の高いフレキシブルな発光装置を作製できる。
また、別の例としては、防湿性の高い保護膜をガラス基板上に高温で形成し、保護膜上に有機EL素子を形成した後、保護膜及び有機EL素子をガラス基板から剥離し、耐熱性や防湿性が低く、可撓性を有する有機樹脂基板に転置することができる。有機樹脂基板に保護膜及び有機EL素子を転置することで、信頼性の高いフレキシブルな発光装置を作製できる。
本発明の一態様は、このような剥離及び転置を用いた装置(又は該装置の一部である積層体)の作製装置に関する。
本発明の一態様の積層体の作製装置は、加工部材の供給ユニットと、加工部材を表層と残部とに分離する分離ユニットと、支持体を残部に貼り合わせる貼り合わせユニットと、支持体を供給する支持体供給ユニットと、接着層で貼り合わされた残部及び支持体を備える積層体を積み出す積み出しユニットと、を含む。
これにより、加工部材の一方の表層を剥離して、該表層が剥離された加工部材の残部に支持体を貼り合わせることができる。本発明の一態様では、表層が剥離された加工部材の残部及び支持体を備える積層体を作製できる、新規な積層体の作製装置を提供できる。
なお、本明細書中において、「支持体」及び「基板」は、それぞれ、機能回路、機能素子、及び機能膜等のうち少なくとも一つを支持する機能を有することが好ましい。なお、「支持体」及び「基板」は、それぞれ、これらを支持する機能を有していなくてもよく、例えば、装置の表面を保護する機能、又は、機能回路、機能素子、及び機能膜等のうち少なくとも一つを封止する機能等を有していてもよい。
実施の形態1では、本発明の一態様の剥離装置について説明する。実施の形態2、3では、該剥離装置を有する本発明の一態様の積層体の作製装置について説明する。実施の形態4では、本発明の一態様の積層体の作製装置に用いることができる、実施の形態1とは異なる剥離装置について説明する。実施の形態5〜7では、本発明の一態様を適用して作製できる積層体、該積層体を含む装置、電子機器、及び照明装置の一例について説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の剥離装置について図1〜図10を用いて説明する。
本発明の一態様の剥離装置は、加工部材を第1の部材と第2の部材とに分離することができる。剥離装置は、支持体供給ユニット、支持体保持ユニット、方向転換機構、及び第1の構造体を有する。方向転換機構は、支持体供給ユニットと支持体保持ユニットの間に位置する。第1の構造体は、方向転換機構と支持体保持ユニットの間に位置する。支持体供給ユニットは、シート状の支持体を繰り出すことができる。支持体供給ユニットは、一対の張力付与機構の一方を有する。支持体保持ユニットは、一対の張力付与機構の他方を有する。一対の張力付与機構は、支持体に張力を加えることができる。方向転換機構は、支持体の送り方向を変えることができる。第1の構造体は、凸面を有する。第1の構造体は、支持体の送り方向を凸面に沿って変えることで、加工部材を第1の部材と第2の部材とに分離することができる。
本発明の一態様の剥離装置では、第1の構造体が、第1の部材の表面に支持体を貼る機能を有する。または、本発明の一態様の剥離装置は、第1の部材の表面に支持体を貼る機能を有する加圧機構を有する。
図1(A)〜(C)に、本発明の一態様の剥離装置が有する方向転換機構64及び加圧機構65の位置関係を説明する図を示す。また、図1(D)、(E)に、比較例である剥離装置が有する方向転換機構64及び加圧機構65の位置関係を説明する図を示す。
なお、本実施の形態では、搬送機構67によって加工部材70を搬送する方向を水平方向とする。水平方向は、重力が働く方向に垂直な面(水平面)に対して平行な方向である。ただし、本発明の一態様の剥離装置において、搬送機構67によって加工部材70を搬送する方向は水平方向に限られない。
図1(A)〜(E)に示すように、加工部材70は、第1の部材71及び第2の部材72を有する。図1(A)、(B)、(D)、(E)では、加工部材70は、搬送機構67によって搬送される。なお、本発明の一態様において、支持体61と加工部材70は少なくとも一方が移動することで相対的な位置が変わる。例えば、図1(C)に示すように、本発明の一態様の剥離装置は、搬送機構を有さず、加工部材70が移動しない構成としてもよい。このとき、加工部材70は、ステージ等に配置又は固定される。支持体供給ユニット(図示しない)から供給された支持体61は、方向転換機構64により送られる方向が変わる。支持体61は、加圧機構65及び搬送機構67の間で、第1の部材71の表面に貼り付けられる。
ここで、図1(D)、(E)に示すように、方向転換機構64及び加圧機構65のそれぞれの下端が同じ高さに位置する場合を考える。方向転換機構64により送られる方向が変わった支持体61は、加圧機構65に届く手前で、第1の部材71と接触する(図1(D))。接触により、支持体61の少なくとも一部が、第1の部材71に貼りつくと、図1(E)に示すように、支持体61と第1の部材71の間に、気泡55が混入する場合がある。気泡が多く存在すると、支持体61と第1の部材71の密着性は低くなる。しかし、一度混入した気泡は、加圧機構65等を用いても、完全に除去することが難しい。
前述の通り、本発明の一態様の剥離装置では、支持体61の送り方向を凸面に沿って変えることで、加工部材70を第1の部材71と第2の部材72とに分離する。そのため、支持体61と第1の部材71の密着性が低いと、加工部材70を分離する際の歩留まりが低下してしまう。
ここで、本発明の一態様の剥離装置では、図1(A)、(B)に示すように、方向転換機構64の下端が、加圧機構65の下端よりも高い位置に存在する。具体的には、方向転換機構64の下端は、加圧機構65の下端を通る水平面よりも高い位置に存在する。また、加工部材70の少なくとも一部が、方向転換機構64と加圧機構65の間に位置するとき、第1の部材71の表面を含む面を第1の面とする。この第1の面を用いて説明すると、図1(B)に示すように、第1の面と方向転換機構64との最短距離L2は、第1の面と加圧機構65との最短距離L1よりも長いといえる。
図1(A)、(B)に示す構成とすることで、支持体61と第1の部材71の間に気泡が混入することを抑制し、支持体61と第1の部材71の密着性を高めることができる。
方向転換機構64としては、例えば、ローラ等を用いることができる。加圧機構65としては、例えば、ローラ、平板等を用いることができる。ローラの材質としては、金属、ステンレス等の合金、樹脂、ゴム等が挙げられる。平板としては、金属板、アクリルやプラスチックなどの樹脂板、ガラス板などを用いることができる。また、ゴム、ばね、樹脂等の弾性を有するものを用いてもよい。
図2(A)〜(E)に、本発明の一態様の剥離装置が有する他の構成について示す。
図2(A)に示すように、本発明の一態様の剥離装置では、第1の部材71に支持体61を貼り付け、支持体61を引っ張ることで第1の部材71を第2の部材72から剥離することができる。
本発明の一態様の剥離装置では、一対の張力付与機構(図示しない)によって支持体61に張力をかけた状態で、加工部材の分離を行うため、支持体61、さらには支持体61に貼り付けられた第1の部材71の撓みを抑制でき、剥離の歩留まりを向上させることができる。
ここで、支持体61を引っ張るために、支持体61に力が加わる際、支持体61を繰り出す速度又は支持体61を送り出す方向などによって、剥離不良となる、又は第1の部材71にクラックが生じる恐れがある。
例えば、第1の部材71が、密着性の低い積層構造を含む場合、該密着性の低い界面で剥離してしまい、剥離の歩留まりが低下する場合がある。例えば、第1の部材71が有機EL素子を含む場合には、EL層を構成する2層の界面、又はEL層と電極の界面で剥離され、第1の部材71と第2の部材72の界面で剥離できない場合がある。
そこで、本発明の一態様の剥離装置では、第1の構造体60が支持体61を折り返す角度αが鈍角(つまり、90°より大きく180°未満)であることが好ましい。これにより、第1の部材71中の密着性の低い界面における剥離を抑制し、加工部材を歩留まりよく第1の部材71と第2の部材72に分離することができる。
なお、角度αは、折り返す前の支持体61の第1の構造体60側の面(水平面:点線で示す仮想線)と、折り返した後の支持体61の第1の構造体60側の面(点線で示す仮想線)とがなす角度を示している(図2(A))。
剥離の歩留まり向上の観点から、角度αは110°以上180°未満が好ましい。例えば、120°以上165°以下としてもよい。ただし、加工部材の構成等によっては、角度αが鋭角又は90°であっても、歩留まりよく剥離をすることができる。その場合は、角度αは、鋭角又は90°であっても構わない。
また、第2の部材72と分離された第1の部材71には、反り、歪みが生じる場合がある。反り、歪みが生じた第1の部材71は、ロボットによる搬送、受け渡しが難しい。本発明の一態様では、第1の部材71が支持体61に貼り付けられているので、第1の部材71の搬送が容易となり好ましい。
なお、第1の構造体60が、図1(A)、(B)で示した加圧機構65としての機能を有していてもよい。つまり、第1の部材71の表面に支持体61を貼る機能を有していてもよい。
第1の構造体60が、第1の部材71の表面に支持体61を貼る機能を有する場合、後述する図4の構成で示すように、方向転換機構64の下端が、第1の構造体60の下端よりも高い位置に存在する。具体的には、方向転換機構64の下端は、第1の構造体60の下端を通る水平面よりも高い位置に存在する。また、加工部材70の少なくとも一部が、方向転換機構64と第1の構造体60の間に位置するとき、第1の部材71の表面を含む面を第1の面とする。この第1の面を用いて説明すると、第1の面と方向転換機構64との最短距離は、第1の面と第1の構造体60との最短距離よりも長いといえる。
また、図2(B)に示すように、本発明の一態様の剥離装置は、凸面を有する第2の構造体62を有することが好ましい。第2の構造体62は、第1の構造体60と支持体保持ユニット(図示しない)の間に位置する。
一対の張力付与機構だけでは支持体61において張力がかかりにくい部分が生じ、当該部分において、支持体61に撓みが生じる場合がある。例えば、図2(F)に矢印で示すように、加工部材を分離する位置近傍(第1の構造体60の近傍ともいえる)で、支持体61が撓み、第1の構造体60と支持体61が密着していない部分が生じると、剥離不良になりやすい。
第2の構造体62は、支持体61に張力を加える機能及び第1の構造体60が支持体61を折り返す角度αを制御する機能のうち少なくとも一方を有する。したがって、第2の構造体62によって、支持体61に加えられる力及び支持体61を送り出す方向のうち少なくとも一つが調節される。これにより、支持体61の撓みを抑制することができ、第1の構造体60と支持体61が密着していない部分が生じにくくなる。さらには、加工部材を歩留まりよく第1の部材71と第2の部材72に分離することができる。
第2の構造体62は、少なくとも一方向(例えば、上下、左右、又は前後等)に移動可能であってもよい。例えば、第2の構造体62の位置によって支持体61の張力を制御することができる。または、例えば、第2の構造体62の位置によって支持体61を折り返す角度αを制御することができる。第2の構造体62の位置によって、例えば、角度αを、110°以上180°未満の間で可変とすることができてもよい。または、角度αを、120°以上165°以下の間で可変とすることができてもよい。
図2(B)では、紙面上下方向、紙面左右方向、及び、紙面斜め方向(左上方向及び右下方向)に可動である第2の構造体62を例示する。第2の構造体62は、水平面に対して平行な方向、垂直な方向、又は斜め方向の少なくともいずれか一方向に可動であってもよい。なお、第2の構造体62はモータで駆動することができてもよい。
第2の構造体62は、凸面に沿って、支持体61を第1の構造体60から支持体保持ユニットに送ることができる。例えば、図2(B)に示すように、第2の構造体62は、支持体61を折り返し、支持体61の送り方向を変えてもよい。
または、第2の構造体62は、支持体61(及び第1の部材71)を巻き取ってもよい。
また、支持体61の撓みを抑制するため、第1の構造体60と支持体61は互いに密着性の高い材料を用いることが好ましい。
本発明の一態様の剥離装置は、図2(C)に示す平板状の固定機構68a及び図2(D)に示すロール状の固定機構68bのうち少なくとも一方を有することが好ましい。固定機構68a、68bは、それぞれ、第1の部材71が剥がれて露出した第2の部材72を押さえることができる。したがって、固定機構68a、68bは、それぞれ、第2の部材72が支持面から浮くことを抑制できる。第2の部材72が支持面から浮くと、剥離位置が変動し、剥離が正常に進行しない場合がある。第2の部材72を上から押さえることで確実に第2の部材72を固定することができ好ましい。
平板状の固定機構68aとしては、金属板、アクリルやプラスチックなどの有機樹脂板、ガラス板などを用いることができる。または、ゴム、ばね、樹脂等を用いた弾性を有する平板等を用いてもよい。
ロール状の固定機構68bとしては、ニップローラ等を用いることができる。
なお、固定機構は上記に限られず、吸引チャック、静電チャック、メカニカルチャック、ポーラスチャック等のチャックや、吸着テーブル、ヒーターテーブル、スピンナーテーブル等のテーブルを用いてもよい。
本発明の一態様の剥離装置は、図2(E)に示す液体供給機構69を有することが好ましい。液体供給機構69は、第1の部材71と第2の部材72の分離面に液体を供給することができる。
剥離の進行部に液体が存在することで剥離に要する力を低下させることができる。
また、電子デバイス等の静電破壊を防止することができる。具体的には、剥離時に生じる静電気が、第1の部材71に含まれる機能素子等に悪影響を及ぼすこと(半導体素子が静電気により破壊されるなど)を抑制できる。なお、液体を霧状又は蒸気にして吹き付けてもよい。液体としては、純水が好ましく、有機溶剤なども用いることができる。例えば、中性、アルカリ性、もしくは酸性の水溶液、又は塩が溶けている水溶液などを用いてもよい。
本発明の一態様の剥離装置は、第1の構造体60を有するため、加工部材70のわずかな隙間から液体を注入する必要がない。剥離装置での工程中、具体的には、第1の部材71と第2の部材72の分離が開始されることによって、液体を注入すべき箇所が自ずと現れるため、液体供給機構69を用いて、液体を所望の箇所に簡便に確実に供給することができる。
なお、本発明の一態様はこれに限られず、第1の部材71と第2の部材72の界面に液体を注入してから、本発明の一態様の剥離装置に加工部材70を搬入してもよい。または、本発明の一態様の剥離装置は、第1の部材71と第2の部材72の界面に液体を注入する液体供給機構を有し、該界面に液体を注入してから、第1の部材71に支持体61を貼り、その後、第1の部材71と第2の部材72を分離する構成であってもよい。剥離工程の際には、溝に溜めておいた液体が、支持体61の移動と同時に毛細管現象で第1の部材71と第2の部材72の界面に浸透して剥離される領域が広がる。溝に溜めておいた液体は、剥離開始部分で生じる静電気の発生を抑える役目も有する。
[剥離装置の構成例]
本発明の一態様の剥離装置について、図3〜図7を用いて説明する。以下では、主に図3を用いて説明を行う。図4〜図6については、図3と同じ部分は説明を省略し、図3と異なる部分を詳述する。また、図5に領域Zで示す部分の構成例を、図7に示す。
本実施の形態では、加工部材70から第1の部材71を剥離することで、第1の部材71と第2の部材72を分離する例を示す。なお、加工部材70から第2の部材72を剥離することで、第1の部材71と第2の部材72を分離してもよい。
加工部材70は、シート状であり、シート状の第1の部材71及びシート状の第2の部材72からなる。第1の部材71及び第2の部材72は、それぞれ、単層であっても積層であってもよい。加工部材70は、剥離の起点が形成されていることが好ましい。これにより、第1の部材71と第2の部材72の界面で剥離をすることが容易となる。第1の部材71は、例えば機能回路、機能素子、及び機能膜等のうち、少なくとも一つを含む。例えば、表示装置の画素回路、画素の駆動回路、表示素子、カラーフィルタ又は防湿膜等の少なくとも一つを含む構成を適用できる。
図3に示す剥離装置は、複数の搬送ローラ(搬送ローラ643、644、645等)、テープリール602、第1の巻き取りリール603、方向転換ローラ604、第2の押圧ローラ605、及び第1の押圧ローラ606を有する。
テープリール602は、支持体供給ユニットの一例である。テープリール602は、ロールシート状の支持体601を繰り出すことができる。支持体601を繰り出す速度は可変であることが好ましい。例えば、該速度を比較的遅くすることで、加工部材の剥離不良、又は剥離した部材におけるクラックの発生を抑制できる。
支持体供給ユニットは、支持体601を連続的に繰り出してもよい。工程中に支持体601の繰り出しを休止する必要がない場合は、支持体601を連続的に繰り出すことができる。なお、支持体601を連続的に繰り出すと、均一な速度、均一な力で剥離を行うことができるため、好ましい。なお、剥離工程においては、剥離の進行が途中で停止することなく連続することが好ましく、等速で剥離を進行させることがより好ましい。剥離の進行を途中で停止し再び当該領域から剥離を始めると、剥離の進行が連続した場合とは異なり、当該領域に歪等がかかる。そのため、当該領域の微細構造の変化、又は当該領域にある電子デバイス等の特性変化が起こり、例えば表示装置などでは、その影響が表示に現れることがある。
支持体供給ユニットは、支持体601を間欠的に繰り出してもよい。工程中に支持体601の繰り出しを休止する必要がある場合(例えば図7(B)〜(D)参照)は、支持体601を間欠的に繰り出してもよい。なお、少なくとも剥離を行っている間は、剥離の歩留まりを高めるため、支持体601を連続的に繰り出すことが好ましい。
支持体601として、有機樹脂、金属、合金、又はガラス等を用いたロールシート状のフィルムを用いることができる。
支持体601は、キャリアテープなど、作製する装置(例えばフレキシブルデバイス)を構成しない部材であってもよい。また、支持体601は、可撓性基板など、作製する装置を第1の部材71とともに構成する部材であってもよい。
支持体保持ユニットは、支持体601を巻き取る構成、支持体601及び第1の部材71を巻き取る構成、又は支持体601の端部を保持する構成等とすることができる。第1の巻き取りリール603は、支持体保持ユニットの一例である。第1の巻き取りリール603は、支持体601を巻き取ることができる。
テープリール602は、一対の張力付与機構の一方を有する。第1の巻き取りリール603は、一対の張力付与機構の他方を有する。一対の張力付与機構は、支持体601に張力を加えることができる。
複数の搬送ローラは、搬送機構の一例である。複数の搬送ローラは、加工部材70を搬送することができる。加工部材70を搬送する機構は、搬送ローラに限られず、ベルトコンベア、又は搬送ロボット等の、他の搬送機構を用いてもよい。また、搬送機構上のステージに、加工部材70を配置してもよい。
搬送ローラ643、搬送ローラ644、又は搬送ローラ645は、複数に並べられた搬送ローラの1つであり、所定の間隔で設けられ、加工部材70(又は第2の部材72)の送出方向(実線矢印で示す右回転する方向)に回転駆動される。複数に並べられた搬送ローラは、それぞれ図示しない駆動部(モータ等)により回転駆動される。
方向転換ローラ604は、方向転換機構の一例である。方向転換ローラ604によって、支持体601の送り方向を変えることができる。図3では、方向転換ローラ604は、テープリール602と第1の押圧ローラ606の間に位置する例を示す。
第2の押圧ローラ605は、加圧機構の一例である。図3及び図6では、第2の押圧ローラ605が、方向転換ローラ604と第1の押圧ローラ606の間に位置する例を示す。
図3及び図6では、方向転換ローラ604の下端が第2の押圧ローラ605の下端よりも高い位置にある。ここで、加工部材70の少なくとも一部が、方向転換ローラ604と第2の押圧ローラ605の間に位置するとき、第1の部材71の表面を含む面を第1の面とする。この第1の面を用いて説明すると、第1の面と方向転換ローラ604との最短距離は、第1の面と第2の押圧ローラ605との最短距離よりも長い。
このような構成とすることで、支持体601が、第2の押圧ローラ605に届く手前で、第1の部材71と接触することを抑制できる。そのため、支持体601と第1の部材71の間に気泡が混入することを抑制できる。
第2の押圧ローラ605は、搬送ローラ644が搬送する加工部材70と、テープリール602が繰り出す支持体601を加圧しながら貼り合わせることができる。例えば、搬送ローラ644及び第2の押圧ローラ605は、分離テープ600を剥離することで露出した支持体601の接着面(又は粘着面)を加工部材70に押しつけることができる。搬送ローラ644及び第2の押圧ローラ605によって、加工部材70を搬送しながら、支持体601と加工部材70に対して均一な力を加えることができる。これにより、支持体601と加工部材70を貼り合わせることができる。また、支持体601と加工部材70の間に気泡が混入することを抑制できる。
なお、図4及び図5に示す剥離装置は、第2の押圧ローラ605を有していない。支持体601は、第1の押圧ローラ606及び搬送ローラ645によって、第1の部材71に貼り付けられる。
図4及び図5では、方向転換ローラ604の下端が第1の押圧ローラ606の下端よりも高い位置にある。ここで、加工部材70の少なくとも一部が、方向転換ローラ604と第1の押圧ローラ606の間に位置するとき、第1の部材71の表面を含む面を第1の面とする。この第1の面を用いて説明すると、第1の面と方向転換ローラ604との最短距離は、第1の面と第1の押圧ローラ606との最短距離よりも長い。
このような構成とすることで、支持体601が、第1の押圧ローラ606に届く手前で、第1の部材71と接触することを抑制できる。そのため、支持体601と加工部材70の間に気泡が混入することを抑制できる。
第1の押圧ローラ606は、凸面を有する第1の構造体の一例である。第1の押圧ローラ606は、図示しない駆動部(モータ等)により回転駆動される。
第1の押圧ローラ606が回転することで、加工部材70に第1の部材71を引き剥がす力がかかり、第1の部材71が剥がれる。このとき、加工部材70に剥離の起点が形成されていることが好ましい。第1の部材71は、剥離の起点から剥がれ始める。そして、加工部材70は、第1の部材71と第2の部材72に分離される。
加工部材70から第1の部材71を引き剥がす機構は、第1の押圧ローラ606に限られず、凸面(凸曲面、凸状の曲面ともいえる)を有する構造体を適用することができる。例えば、円筒状(円柱状、直円柱状、楕円柱状、放物柱状、なども含む)、球状等の構造物を用いることができる。例えば、ドラム状のローラ等のローラを用いることができる。構造体の形状の一例として、底面が曲線で構成される柱体(底面が正円である円柱や、底面が楕円である楕円柱など)や、底面が直線及び曲線で構成される柱体(底面が半円、半楕円である柱体など)が挙げられる。構造体の形状がこれらの柱体のいずれかであるとき、凸面は、該柱体の曲面の部分にあたる。
第1の構造体の材質としては、金属、合金、有機樹脂、ゴム等が挙げられる。第1の構造体は内部に空間又は空洞を有してもよい。ゴムとしては、天然ゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、ネオプレンゴム等が挙げられる。ゴムを用いる場合には、摩擦又は剥離による帯電が生じにくい材料を用いる、又は静電気を防止する対策を行うことが好ましい。例えば、図3に示す第1の押圧ローラ606は、ゴム又は有機樹脂を用いた中空の円筒606aと、円筒606aの内側に位置する、金属又は合金を用いた円柱606bと、を有する。
第1の構造体が有する凸面の曲率半径は、例えば、0.5mm以上3000mm以下とすることができる。例えば、フィルムを剥離する場合、凸面の曲率半径を0.5mm以上1000mm以下としてもよく、具体例としては、150mm、225mm、又は300mm等が挙げられる。このような凸面を有する構造体としては、例えば、直径300mm、450mm、又は600mmのローラ等が挙げられる。なお、加工部材の厚さ及び大きさによって、凸面の曲率半径の好ましい範囲は変化する。
また、凸面の曲率半径が小さすぎると、凸面で引き剥がされた第1の部材71に含まれる素子が壊れる場合がある。したがって、凸面の曲率半径は0.5mm以上であることが好ましい。
また、凸面の曲率半径が大きいと、ガラス、サファイア、石英、シリコン等の可撓性が低く、剛性が高い基板を凸面で引き剥がすことができる。したがって、凸面の曲率半径は、例えば、300mm以上であることが好ましい。
また、凸面の曲率半径が大きいと、剥離装置が大型化してしまい、設置場所などに制限がかかる場合がある。したがって、凸面の曲率半径は、例えば、3000mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがより好ましく、500mm以下であることがさらに好ましい。
また、凸面の曲率半径が大きいほど、第1の押圧ローラ606が支持体601を折り返す角度αを大きくしやすくなり好ましい。したがって、凸面の曲率半径は、例えば、300mm以上であることが好ましい。
また、第1の押圧ローラ606の回転速度は可変であることが好ましい。第1の押圧ローラ606の回転速度を制御することで、剥離の歩留まりをより高めることができる。
第1の押圧ローラ606や複数の搬送ローラは、少なくとも一方向(例えば、上下、左右、又は前後等)に移動可能であってもよい。第1の押圧ローラ606の凸面と搬送ローラの支持面の間の距離が可変であると、様々な厚みの加工部材の剥離が行えるため好ましい。
図3〜図5では、第1の押圧ローラ606が支持体601を折り返す角度αが鈍角である例を示し、図6では、角度αが鋭角である例を示す。
また、図3に示す剥離装置は、さらに、平板658a、ローラ658b、液体供給機構659、及びローラ617を有する。
ローラ617は、凸面を有する第2の構造体の一例である。ローラ617が有する凸面の曲率半径は、例えば、第1の押圧ローラ606が有する凸面の曲率半径以下、より好ましくは当該凸面の曲率半径未満とすることができる。ローラ617は、凸面に沿って、支持体601を第1の押圧ローラ606から第1の巻き取りリール603に送ることができる。
ローラ617の軸が移動することで、ローラ617は、支持体601に張力を加えることができる。つまり、ローラ617は、テンションローラということができる。具体的には、支持体601を、第1の押圧ローラ606によって変えられた送り方向に引っ張ることができる。
また、ローラ617の軸が移動することで、ローラ617は、第1の押圧ローラ606が支持体601を折り返す角度αを制御することができる。
なお、ローラ617は、図4及び図5に示すように、一方向にのみ移動可能な構成であってもよい。また、ローラ617は、図6に示すように、設けなくてもよい。
また、ローラ617は、支持体601を折り返し、支持体601の送り方向を変えることができる。例えば、支持体601の送り方向を水平方向に変えてもよい。または、ローラ617が、支持体601を折り返し、支持体601の送り方向を変えた後、ローラ617と第1の巻き取りリール603の間に位置する方向転換ローラ646(図3)、又は方向転換ローラ607(図4〜図6)によって、さらに支持体601の送り方向を変え、支持体601の送り方向を水平方向にしてもよい。
方向転換ローラ604及びローラ617の直径は、それぞれ限定は無く、例えば、第1の押圧ローラ606より小さくてもよい。方向転換ローラ604及びローラ617には、それぞれ、第1の押圧ローラ606に用いることができる材料を適用できる。
平板658aは、平板状の固定機構68aの一例であり、ローラ658bは、ロール状の固定機構68bの一例であるため、それぞれ前述の記載を参照できる。また、液体供給機構659については、前述の液体供給機構69の記載を参照できる。
図3及び図6は、液体供給機構659を用いて、第1の部材71と第2の部材72の界面に液体を供給しながら剥離を行う例である。また、図4は、剥離装置が液体供給機構659を有していない例である。また、図5は、剥離を行う前に、液体供給機構659を用いて、第1の部材71と第2の部材72の界面に液体を供給する例である。
さらに、本発明の一態様の剥離装置は、以下の構成を有していてもよい。
図3に示す剥離装置は、ガイドローラ(ガイドローラ631、632、633等)、第2の巻き取りリール613、乾燥機構614、及び、イオナイザ(イオナイザ638、639、620、622)を有する。
剥離装置は、支持体601を第1の巻き取りリール603まで案内するガイドローラを有していてもよい。ガイドローラは単数であっても複数であってもよい。また、図4及び図5に示すガイドローラ632のように、ガイドローラは、支持体601に張力を加えることができてもよい。
支持体601の少なくとも一方の面に分離テープ600(セパレートフィルムともよぶ)が貼り合わされていてもよい。このとき、剥離装置は、支持体601の一方の面に貼り合わされた分離テープ600を巻き取ることができるリールを有していることが好ましい。リールは、支持体供給ユニットと支持体保持ユニットの間に位置する。図3等では、第2の巻き取りリール613が、テープリール602と第2の押圧ローラ605の間に位置する例を示す。さらに、剥離装置は、ガイドローラ634を有していてもよい。ガイドローラ634は、分離テープ600を第2の巻き取りリール613まで案内することができる。
剥離装置は、乾燥機構614を有していてもよい。前述の通り、第1の部材71に含まれる機能素子(例えば、トランジスタや薄膜集積回路)は静電気に弱いため、剥離を行う前に第1の部材71と第2の部材72の界面に液体を供給するか、当該界面に液体を供給しながら剥離を行うことが好ましい。第1の部材71に付着したまま液体が揮発するとウォーターマークが形成されることがあるため、剥離直後に液体を除去することが好ましい。したがって、第2の部材72からの剥離が終わった直後に機能素子を含む第1の部材71に対してブローを行い、第1の部材71上に残った液滴を除去することが好ましい。これにより、ウォーターマークの発生を抑えることができる。また、支持体601の撓みを防止するためにキャリアプレート609を有していてもよい。
図3等に示すように、水平面に対して斜め方向に支持体601を搬送しながら、支持体601の傾きに沿って下方向に気流を流し、液滴を下に落とすことが好ましい。
また、支持体601の搬送方向は、水平面に対して垂直とすることもできるが、水平面に対して斜め方向である方が、搬送中の支持体601が安定となり、振動を抑制できる。
また、工程中、静電気が発生する恐れのある位置では、剥離装置が有する静電気除去器を用いることが好ましい。静電気除去器としては、特に限定はないが、例えば、コロナ放電方式、軟X線方式、紫外線方式等のイオナイザを用いることができる。
例えば、剥離装置にイオナイザを設け、イオナイザからエア又は窒素ガス等を、第1の部材71に吹き付けて除電処理を行い、静電気による機能素子への影響を低減することが好ましい。特に、2つの部材を貼り合わせる工程及び1つの部材を分離する工程では、それぞれ、イオナイザを用いることが好ましい。図4に示す剥離装置は、イオナイザ639、620、621、622を有する。また、図5に示す剥離装置は、イオナイザ639、620を有する。また、図6に示す剥離装置は、イオナイザ638、639、620、622を有する。
例えば、イオナイザ639を用いて、第1の部材71と第2の部材72の界面近傍にイオンを照射し、静電気を取り除きながら、加工部材70を第1の部材71と第2の部材72に分離することが好ましい。
例えば、イオナイザ638を用いて、支持体601と第2の押圧ローラ605の界面近傍にイオンを照射し、静電気を取り除きながら、加圧を行ってもよい。
剥離装置は、基板ロードカセット641及び基板アンロードカセット642のうち少なくとも一方を有していてもよい。例えば、加工部材70を基板ロードカセット641に供給することができる。基板ロードカセット641は、加工部材70を搬送機構等に供給することができる。また、第2の部材72を基板アンロードカセット642に供給することができる。
剥離装置が有する搬送機構によって、基板ロードカセット641からガイドローラ上に加工部材70が搬送されてもよい。また、搬送機構によって、ガイドローラ上から基板アンロードカセット642に第2の部材72が搬送されてもよい。また、剥離装置が他の装置と接続している場合、搬送機構によって、他の装置からガイドローラ上に加工部材70が搬送されてもよい。つまり、剥離装置が基板ロードカセット641を有していなくてもよい。また、搬送機構によって、ガイドローラ上から他の装置に第2の部材72が搬送されてもよい。つまり、剥離装置が基板アンロードカセット642を有していなくてもよい。
本発明の一態様の剥離装置において、電動モータなどにより回転駆動する駆動ローラは、搬送ローラ643、搬送ローラ644、及び搬送ローラ645などの搬送ローラ、第1の押圧ローラ606等である。また、テープリール602及び第1の巻き取りリール603もモータで回転速度を制御している。これらの駆動ローラ、テープリール602、及び第1の巻き取りリール603によって支持体601の走行速度及び張力を調整している。また、従動ローラは、ガイドローラ631、632、633、634、635、636、方向転換ローラ604、及びテンションローラ608等である。なお、本発明の一態様において、各ローラが駆動ローラであるか、従動ローラであるか、は上記に限られず、適宜決定することができる。また、ローラ617及び第2の押圧ローラ605は、駆動ローラであってもよいし、従動ローラであってもよい。また、本発明の一態様の剥離装置が有する各種ローラの数は、それぞれ、特に限定されない。
前述のように、本発明の一態様の剥離装置では、加工部材に支持体を貼り付け、支持体を引っ張ることで第1の部材を第2の部材から剥離する。支持体を用いて、加工部材を自動的に分離することができ、作業時間の短縮及び製品の製造歩留まりを向上させることができる。
例えば、加工部材は、作製基板及び機能層がこの順で積層された構成である。第1の部材は機能層に相当し、第2の部材は作製基板に相当する。このとき、支持体を機能層の支持体として用いてもよい。つまり、支持体と第1の部材を分離しなくてもよい。作製基板と剥離され露出した機能層に、接着剤を用いて可撓性基板を貼り合わせることで、支持体、機能層、及び可撓性基板がこの順で積層されたフレキシブルデバイスを作製することができる。
または、例えば、加工部材は、作製基板、機能層、及び可撓性基板がこの順で積層された構成である。第1の部材は、機能層と、可撓性基板と、に相当し、第2の部材は、作製基板に相当する。剥離後、可撓性基板に貼り付けられた支持体は不要となるため、第1の部材から支持体を引き剥がす。作製基板と剥離され露出した機能層に、接着剤を用いて可撓性基板を貼り合わせることで、可撓性基板、機能層、及び可撓性基板がこの順で積層されたフレキシブルデバイスを作製することができる。
ここで、支持体を引き剥がすために、支持体に力が加わる際にも、支持体を送り出す速度又は方向などによって、剥離不良、又は第1の部材でのクラックが生じる恐れがある。
本発明の一態様の剥離装置は、以下の構成をさらに有することで、支持体と第1の部材を自動的に分離することができ、作業時間の短縮及び製品の製造歩留まりをより向上させることができる。
図3に示す剥離装置は、キャリアプレート610、第1の楔状部材611、第2の楔状部材612、テーブル637、及びガイドローラ636を有する。図4に示す剥離装置は、さらに、テンションローラ608及びガイドローラ635を有する。
ガイドローラ635、636は、支持体601を第1の巻き取りリール603まで案内するガイドローラである。
テンションローラ608は、ローラ617と第1の巻き取りリール603の間に位置する。テンションローラ608は、支持体601を折り返す方向に張力をかけることができる。
支持体601を第1の巻き取りリール603まで案内するローラとしては、ガイドローラ635、636、又はテンションローラ608の少なくとも一つを有することが好ましい。
第1の楔状部材611は、ガイドローラ635、636、又はテンションローラ608により支持体601が折り返される位置に設けられることが好ましい。第1の楔状部材611は、キャリアプレート610に固定されていてもよい。第1の楔状部材611は、テーパ部を有する。キャリアプレート610の平面と、第1の楔状部材611のテーパ部がなす角度によって、支持体601を折り返す方向が決定される。
支持体601を折り返す方向の角度に限定はないが、第1の部材71を支持体601から剥離しやすくするためには、鋭角とすることが好ましい。
第2の楔状部材612はテーブル637に固定されている。第1の巻き取りリール603は、第1の楔状部材611と第2の楔状部材612の間を通過した支持体601を巻き取ることができる。
テーブル637は平面を有する。該平面に、支持体601から剥離された第1の部材71が載置される。
キャリアプレート610が有する平面は、テーブル637が有する平面よりも高い位置であることが好ましい。即ち、キャリアプレート610が有する平面は、断面方向から見た場合、テーブル637が有する平面と同一平面ではなく、段差を有している。段差を有しているのであれば、上面方向から見た場合に、第1の楔状部材611と第2の楔状部材612は重なっていても、重なっていなくともよい。第1の楔状部材611と第2の楔状部材612が重なる場合には、第2の楔状部材612の先端が第1の楔状部材611の下方に位置することとなる。
なお、支持体601と第1の部材71を分離しない場合は、方向転換ローラ607又はローラ617によって、支持体601の送り方向を水平方向に変えた後、図5に示すように、第1の部材71と支持体671とを接着剤を用いて貼り合わせてもよい。これにより、支持体601、第1の部材71、及び支持体671がこの順で積層された積層体79を作製することができる。
テープリール672は、ロールシート状の支持体671を繰り出すことができる。支持体671には、支持体601と同様の材料を用いることができる。
テープリール672は、一対の張力付与機構の一方を有する。一対の張力付与機構の他方は、図5に領域Zで示す部分(図7参照)に位置する。具体的には、図7(A)に示す第3の巻き取りリール683や、図7(B)に示す支持体保持ユニット663、固定機構156aが一対の張力付与機構の他方を有する。一対の張力付与機構は、支持体671に張力を加えることができる。なお、第3の巻き取りリール683や、図7(B)に示す支持体保持ユニット663、固定機構156aが有する張力付与機構は、テープリール602が有する張力付与機構とも対をなす。
剥離装置は、支持体671を第3の巻き取りリール683まで案内するガイドローラ(図5のガイドローラ677、678、679等)を有していてもよい。
方向転換ローラ676によって、支持体671の送り方向を変えることができる。
図5では、方向転換ローラ676の下端が第3の押圧ローラ675の下端よりも高い位置にある。ここで、第1の部材71の少なくとも一部が、方向転換ローラ676と第3の押圧ローラ675の間に位置するとき、第1の部材71の表面を含む面を第1の面とする。この第1の面を用いて説明すると、第1の面と方向転換ローラ676との最短距離は、第1の面と第3の押圧ローラ675との最短距離よりも長い。
このような構成とすることで、支持体671が、第3の押圧ローラ675に届く手前で、第1の部材71と接触することを抑制できる。そのため、支持体671と第1の部材71の間に気泡が混入することを抑制できる。
第3の押圧ローラ675は、第1の部材71と、テープリール672が繰り出す支持体671を加圧しながら貼り合わせることができる。これにより、支持体671と第1の部材71の間に気泡が混入することを抑制できる。
支持体671の少なくとも一方の面に分離テープ670が貼り合わされていてもよい。リール673は、分離テープ670を巻き取ることができる。ガイドローラ674は、分離テープ670をリール673まで案内することができる。
作製された積層体79は、図5に示す領域Zにおいて、巻き取られてもよいし、分断されてもよい。図5に示す領域Zの構成例を図7に示す。
図7(A)では、第3の巻き取りリール683が積層体79を巻き取る例を示す。ガイドローラ665、666のように、積層体79を第3の巻き取りリール683に案内するガイドローラを有していてもよい。
図7(B)〜(D)では、積層体79を分断する例を示す。
図7(B)に示すように、積層体79の端部は支持体保持ユニット663により保持されている。分断される前の積層体79は、支持体保持ユニット663及びテープリール602が有する一対の張力付与機構によって張力が与えられ、静止した状態を保つことができる。なお、積層体79を分断する際は、支持体601及び支持体671の繰り出しが休止していることが好ましい。つまり、テープリール602及びテープリール672は間欠的に支持体を繰り出すことが好ましい。また、分断される前の積層体79は、固定機構156a、156bによっても固定される。
分断機構155を用いて、積層体79を分断する。分断機構155は、固定機構156aと固定機構156bの間で、積層体79を分断する。
積層体79が積層体79aと積層体79bとに分断された後、積層体79aは固定機構156a及びテープリール602によって固定され、積層体79bは、ステージ153及び固定機構156bによって固定される。
図7(C)に示すように、積層体79が分断された後、ステージ153、固定機構156b、及び支持体保持ユニット663が移動し、積層体79bから離れる。これにより、支持体601、第1の部材71、及び支持体671を有する積層体79bを、剥離装置内から取り出すことができる。剥離装置は、積層体79bの搬送機構や、搬出ユニットを有していてもよい。本発明の一態様では、量産性高く積層体を作製できる。本発明の一態様は、剥離工程及び貼り合わせ工程を有する積層体の作製装置ともいえる。
支持体保持ユニット663は、固定機構156aが保持する積層体79aの端部を挟持するために移動する。
そして、図7(D)に示すように、固定機構156aが移動し、積層体79aから離れる。その後、支持体601及び支持体671の繰り出しが再開される。この間に、加工部材の分離等が行われる。そして、支持体601及び支持体671が一定量巻き出された後は、繰り出しが停止する。そして、図7(B)の状態に戻る。
ステージ153は、少なくとも一方向(例えば、上下、左右、又は前後等)に移動可能とする。ステージ153上に配置された積層体79を固定するための固定機構としては、吸引チャック、静電チャック、メカニカルチャック、ポーラスチャック等のチャックや、吸着テーブル、ヒーターテーブル、スピンナーテーブル等のテーブル等が挙げられる。
分断機構155としては、積層体79を分断できるものであれば特に限定はなく、カッター等の鋭利な刃物や、レーザ等を用いることができる。
固定機構156a、156bは、積層体79を固定できれば特に限定は無く、例えば、クリップ等を用いてもよい。固定機構156a、156bは、少なくとも一方向(例えば、上下、左右、又は前後等)に移動可能とする。
[工程例]
以下では、図3に示す剥離装置を用いて、加工部材を第1の部材と第2の部材とに分離する工程について図8〜図10を用いて説明する。
フレキシブルデバイスを量産する場合において、大面積の作製基板上にトランジスタや表示素子等を含む被剥離層を形成し、当該作製基板から自動的に被剥離層を剥離することで、作業時間の短縮、又は製品の製造歩留まりを向上させることができる。また、製品の製造コストを低減できる。
本実施の形態では、大面積の作製基板を用い、後に当該作製基板を4枚に分断する例を示す。なお、本発明の一態様において、作製基板の大きさに限定はなく、作製基板を分断しなくてもよい。また、作製基板を分断する際、その数に限定はなく、作製基板を2枚以上の任意の枚数に分断してよい。
本工程例では、加工部材70が、ガラス基板401、絶縁層402、剥離層403、絶縁層404、トランジスタを含む層405、及び可撓性基板406をこの順で積層して有する場合を示す。ガラス基板401、絶縁層402、及び剥離層403は第2の部材72に相当し、絶縁層404、トランジスタを含む層405、及び可撓性基板406は、第1の部材71に相当する。
まず、作製基板として大型のガラス基板401を準備する。作製基板が大面積であれば、作製基板一枚当たりの製品の個数を多くすることが可能であるため、製造コストを低減することができる。なお、作製基板のサイズとしては、特に限定されないが、例えば、1850mm×1500mm、1850mm×750mm、1500mm×925mm、又は、720mm×600mm等の大きさのガラス基板を用いる。
作製基板は、製造工程に耐えられる程度の耐熱性、並びに、作製装置に適用可能な厚さ及び大きさを備えるものであれば、特に限定されない。作製基板に用いることができる材料は、例えば、ガラス、石英、サファイア、セラミックス、金属、無機材料又は有機材料等が挙げられる。例えば、半導体ウェハ又は鋼板を用いてもよい。
次いで、ガラス基板401上に絶縁層402を形成する。絶縁層402は、後に形成される剥離層403のエッチング時に、ガラス基板401がエッチングされることを防ぐ機能を有する。または、絶縁層402は、ガラス基板401に含まれる不純物の拡散を防ぐ機能を有する。絶縁層402は、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜から選ばれた一又は複数の膜により形成することができる。
次いで、剥離層403を形成した後、選択的にエッチングを行い、少なくとも基板周縁部分の剥離層403を部分的に除去する。
剥離層403に用いることができる材料は、例えば無機材料又は有機材料等が挙げられる。
具体的には、無機材料としては、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、シリコンから選択された元素を含む金属、該元素を含む合金又は該元素を含む化合物等を挙げることができる。シリコンを含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれでもよい。
具体的には、有機材料としては、ポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネートもしくはアクリル樹脂等を挙げることができる。
剥離層403は、単層構造であっても、積層構造であってもよい。
剥離層403が単層構造の場合、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成することが好ましい。また、タングステンの酸化物もしくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物もしくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物もしくは酸化窒化物を含む層を形成してもよい。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
剥離層403が積層構造の場合、例えば、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を適用できる。
また、タングステンの酸化物を含む層は、タングステンを含む層に他の層を積層する方法で形成された層であってもよく、例えば、タングステンを含む層に酸化シリコン又は酸化窒化シリコン等の酸素を含む膜を積層して、タングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。
また、タングステンの酸化物を含む層は、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、亜酸化窒素(N2O)プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液を用いる処理等により形成された層であってもよい。
剥離層403は、スパッタリング法、プラズマCVD法、塗布法、印刷法等により形成できる。なお、塗布法は、スピンコーティング法、液滴吐出法、ディスペンス法を含む。
なお、作製基板と被剥離層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい。例えば、作製基板としてガラスを用い、ガラスに接してポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、又はアクリル等の有機樹脂を形成し、有機樹脂上に絶縁層404及びトランジスタを含む層405等を形成する。この場合、有機樹脂を、レーザ光等を用いて局所的に加熱することにより、作製基板と有機樹脂の界面で剥離することができる。または、作製基板と有機樹脂の間に金属層を設け、該金属層に電流を流すことで該金属層を加熱し、金属層と有機樹脂の界面で剥離を行ってもよい。このとき、有機樹脂を発光装置等の装置の基板として用いることができる。また、有機樹脂と他の基板を接着剤により貼り合わせてもよい。
次いで、絶縁層404を形成し、その上にトランジスタを含む層405を形成する(図8(A))。ガラス基板401の平面図を図9(A)に示す。図9(A)の一点鎖線A−B間の断面図が図8(A)に相当する。なお、平面図では一部の構成を省略して示す。
絶縁層404は、例えば、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、及び酸化窒化珪素膜から選ばれた一又は複数の膜により形成することができる。
本実施の形態では、図9(A)に示すように4箇所に剥離層403を形成する。なお、本発明の一態様において、1箇所に剥離層403を形成し、剥離層403上に複数のトランジスタを含む層405を形成してもよい。
次いで、スクライバー又はブレイカーなどを用いてガラス基板401を4枚に分断し、その後、ガラス基板401と可撓性基板406との間にトランジスタを含む層405が位置するように、可撓性基板406を重ねる。ただし、ガラス基板401が、本発明の一態様の剥離装置で剥離可能な大きさである場合、ガラス基板401を分断しなくても構わない。
例えば、可撓性基板406は、接着層を介してトランジスタを含む層405と貼り合わせることができる。接着層には、融点が400℃以下、好ましくは300℃以下のガラス層又は接着剤等を用いることができる。
接着剤としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などが挙げられる。シート状の接着剤を用いると作製工程の短縮化、作製装置の簡略化が可能となり好ましい。
例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。
可撓性基板としては、作製基板と同様の材料を用いた、可撓性を有する基板が挙げられる。
次いで、剥離の起点となる溝407を形成する。ここでは、レーザ光を用いて溝407を形成する(図9(B))。レーザ光により、剥離層403を露出する溝407が形成される。図9(B)中の一点鎖線C−D間の断面図を図8(B)に示す。
剥離の起点は各種レーザ又はカッター等の鋭利な刃物により形成することができる。例えば、剥離層403及び絶縁層404を鋭利な先端で刺突して剥離の起点を形成することができる。また、レーザ等を用いた非接触な方法(例えばレーザアブレーション法)で絶縁層404の一部を剥離層403から剥離し、剥離の起点を形成することができる。剥離の起点は、点状又は線状(実線、破線、枠状を含む)に形成することができる。
本発明の一態様において、剥離層403の周縁を一周つなげてレーザ光を照射して溝を形成してもよい。図9(B)に示すように、剥離層403の周縁の四隅に溝407を形成しない箇所を設けることが好ましい。ここで隣接する2つの溝の間隔を例えば1cm以上2cm以下程度離間しておくことが好ましい。剥離層403の周縁を一周つなげて溝を形成すると、その直後で剥離が開始され、一周つなげた溝の内側の領域が全て剥がれてしまう恐れがある。また、剥離層403の周縁を一周つなげて溝を形成した際に、一部剥離してしまった部分があると、後のサポートフィルムの貼り付けが困難となってしまう恐れがある。
次いで、可撓性基板406にサポートフィルム411を貼り付ける。サポートフィルム411は必ずしも貼り付けなくてもよい。サポートフィルム411の一方の面には保護シートが貼り合わされており、保護シートを剥がすことにより、サポートフィルム411の粘着面が露出する。本実施の形態では、図9(C)に示すようにサポートフィルム411の周縁に保護シート412を残し、中央部に粘着面を露出させたサポートフィルム411を用いる。平面図である図9(C)の一点鎖線E−F間の断面図が図8(C)に相当する。なお、保護シート412が溝407と重なるように貼り合わせることが好ましい。図8(D)に示すように、一対のローラ413、414の間に通過させることで可撓性基板406にサポートフィルム411を均一に貼りつけることができる。
なお、サポートフィルム411は、感圧接着性の片面接着テープであれば特に限定されず、材料としては、ポリエチレン等のフィルム(例えばPETフィルム)又はポリプロピレンフィルムなどを用いることができる。サポートフィルム411は、静電気破壊防止のためだけでなく、トランジスタを含む層405の支持体としても機能する。
次いで、図8(E)に示すように、スポイト又は注射器のような形態の注入器415を用いて液滴416を溝407に供給してもよい。なお、供給する液滴416は微量であっても、後に行われる剥離工程時で生じる静電気発生を抑えることができる。保護シート412を介してサポートフィルム411と重なる部分(溝407と重なる部分及びその外側領域)は、可撓性基板406と接着しておらず、保護シート412と可撓性基板406との隙間に注入器415で液滴416を注入する。
なお、図3に示すように、剥離装置が液体供給機構659を有する場合などは、液滴416の注入を行わなくてもよい。
また、必要であれば、液滴416を溝407に供給する前に、溝に沿って刃物などの鋭利な部材で力を加え、よりスムーズに剥離を行えるように前処理を施してもよい。
次いで、本発明の一態様の剥離装置にサポートフィルム411を貼り付けたガラス基板401を基板ロードカセット641にセットする。次いで、基板搬送機構(図示しない)を用いて、ガラス基板401を搬送ローラ643に載せる。搬送ローラ643に載せられたガラス基板401は、搬送ローラ644上、搬送ローラ645上を経て基板アンロードカセット642に搬送される。
搬送ローラ644でガラス基板401を搬送中、図10(A)に示すようにサポートフィルム411に支持体601を貼る。支持体601は、テープリール602から繰り出され、複数のガイドローラ631、632、633などにより第1の巻き取りリール603まで案内される。
テープリール602から繰り出された支持体601は、分離テープ600を剥離して、支持体601の接着面を露出させた後、サポートフィルム411に貼る。分離テープ600はガイドローラ634を介して第2の巻き取りリール613で引っ張ることで剥離する。また、接着面が露出した支持体601は折り返され、駆動部(モータ等)により回転駆動される第1の押圧ローラ606に引っ張られる。
図10(A)に示すように、分離テープ600を剥離して露出させた支持体601の接着面は、第2の押圧ローラ605及び搬送ローラ644によってサポートフィルム411に押し付けられる。
サポートフィルム411が貼り付けられたガラス基板401は、複数の搬送ローラによって第1の押圧ローラ606と、溝407とが重なる位置に搬送される。そして、第1の押圧ローラ606がガラス基板401を押し付けながら回転することによって、ガラス基板401と剥離層403との間の接着力と、支持体601とサポートフィルム411との接着力の差によりガラス基板401からトランジスタを含む層405が引き剥がされる。
なお、サポートフィルム411とトランジスタを含む層405との接着力は、支持体601とサポートフィルム411との接着力よりも強い。但し、剥離工程は、支持体601の粘着力に依存しない。
また、第1の押圧ローラ606は、ガラス基板401が割れない程度に押圧している。例えば、支持基板であるガラス基板401の厚さが0.7mm、支持体601の厚さが0.1mmであり、第2の押圧ローラ605と搬送ローラ644との間隔を0.75mm未満とするとガラス基板401が割れてしまう恐れがある。
また、ガラス基板401が割れてしまうことを防ぐため、第1の押圧ローラ606及び第2の押圧ローラ605はゴム製の部材を用いることが好ましい。ゴムを用いることで、金属を用いた場合に比べて均一に圧を加えることができる。
前述の通り、第1の押圧ローラ606によって支持体601を折り返す角度αは、鈍角とする。これにより、加工部材70中の密着性の低い界面における剥離を抑制し、加工部材70を歩留まりよく第1の部材71と第2の部材72に分離することができる。
剥離が終了し、ガラス基板401と分離した後には、トランジスタを含む層405に液体が付着したままであるため、トランジスタを含む層405を水平面に対して斜め、好ましくは約60度に保持した状態で一方向にブローを行い、液体を下方向に移動させる。
また、ブローを行った後は、支持体601の送り方向を水平方向に変えるローラによって斜めに走行していた支持体601を水平方向に走行させる。
そして、剥離工程の後、再び水平方向に走行させた支持体601を、キャリアプレート610に固定された第1の楔状部材611の先端部に接触させ、その先端部に沿って支持体601を折り返して引っ張ることにより、トランジスタを含む層405と支持体601とを分離する。
図10(B)に、図3における第1の楔状部材611の先端部の周辺の拡大図を示す。
第1の楔状部材611の先端の角度γは、図10(B)に示すキャリアプレート610の平面と水平な面(点線で示す仮想線)に対して90度未満の鋭角とすることが好ましい。これにより、第1の部材71を支持体601から剥離しやすくすることができる。第1の楔状部材611の先端部を鋭角もしくは薄肉とすることで、支持体601を確実に引き剥がすことができる。なお、支持体601は、第1の楔状部材611の先端によって切断されることはない。
支持体601の張力は、テンションローラ608によって制御される。テンションローラ608は上下に軸を移動することができ、その位置によって支持体601の張力を制御することができる。第1の楔状部材611の先端部に沿って折り返して剥離された後の支持体601は、ガイドローラ635、636によって第1の巻き取りリール603まで案内される。
また、支持体601から剥離されたトランジスタを含む層405が載置される平面を有するテーブル637にも第2の楔状部材612を設ける。また、テーブル637の平面に平行な面と、キャリアプレート610の平面に平行な面は一致させない、すなわち同一平面としないことが重要である。これらを同一平面とすると、トランジスタを含む層405を巻き込んでしまい、剥離が行われない恐れがある。本実施の形態では、図10(B)に示すように、キャリアプレート610の平面に平行な面に対しテーブル637の平面に平行な面が低くなるように、これらの間に段差を設け、段差の距離653を約2mmとする。ただし、段差の距離653はこれに限定されず、用いる支持体601の厚さ及び材質、第2の楔状部材612と第1の楔状部材611との間隔654などとも関係するため、これらを考慮して適宜設定する。
また、本実施の形態では第2の楔状部材612と第1の楔状部材611との間隔654を2mmとするが、これも特に限定されず、段差を設けるのであれば、上面から見た場合に一部重畳する配置としてもよい。
図10(B)に示す構成とすることで、トランジスタを含む層405に対して必要以上の負荷を与えることなく、安定して支持体601を剥離することができる。
支持体601から分離されたトランジスタを含む層405は、テーブル637に接する側がサポートフィルム411となるように載置される。図10(C)は支持体601の剥離工程が終了してテーブル637に載置された様子を示している。図10(C)に示すように、サポートフィルム411上に可撓性基板406と、トランジスタを含む層405と、絶縁層404が積層され、絶縁層404の裏面が露出した状態でテーブル637に載置される。また、サポートフィルム411の周縁に保護シート412が設けられており、露出している保護シート412上は、可撓性基板406、トランジスタを含む層405、及び絶縁層404と重ならない。
以上のように、本発明の一態様の剥離装置を用いることで、加工部材を歩留まりよく第1の部材と第2の部材とに分離することができる。本発明の一態様の剥離装置は、複雑な構成を有さず、幅広い大きさの加工部材の剥離に対応できる。
作業者が手作業で剥離を行うこともできるが、素早く歩留まりよく剥離するには熟練を要するため、本発明の一態様の剥離装置を用いて自動化することが重要である。本発明の一態様の剥離装置を用いて加工部材の剥離を自動化することで、一定の速度での加工部材の搬送及び剥離、並びに、均一な力での剥離を行うことができ、剥離不良、又は剥離した部材におけるクラックの発生を抑えることができる。
なお、本発明の一態様は、剥離装置に限られず、転写装置又は貼り合わせ装置に適用することもできる。例えば、図1に示す支持体61に、第1の部材71又は加工部材70を転写することができる。支持体61に転写する膜の材料及び層数に限定は無く、EL層、無機絶縁膜、半導体素子等、様々な機能膜及び機能素子に適用することができる。または、例えば、図1に示す支持体61に、第1の部材71又は加工部材70を貼り合わせることができる。第1の部材71を転写する又は貼り合わせる場合は、加工部材70を第1の部材71と第2の部材72に分離する。加工部材70を転写する又は貼り合わせる場合は、凸面を有する第1の構造体60(図2(A)等参照)を有していなくてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の積層体の作製装置について、図11及び図12を用いて説明する。
本発明の一態様の積層体の作製装置は、シート状の加工部材を供給する第1の供給ユニットと、加工部材が供給され、加工部材を一方の表層及び第1の残部に分離する第1の分離ユニットと、シート状の第1の支持体を供給する支持体供給ユニットと、第1の残部及び第1の支持体が供給され、第1の接着層を用いて、第1の残部及び第1の支持体を貼り合わせる第1の貼り合わせユニットと、第1の残部、第1の接着層、及び第1の支持体を備える第1の積層体を積み出す第1の積み出しユニットと、を有し、第1の分離ユニットが、実施の形態1で説明した剥離装置を有する。
上記構成の積層体の作製装置は、第1の供給ユニットに供給されたシート状の加工部材を用いて、積層体を作製する。第1の分離ユニットは、加工部材を一方の表層と第1の残部とに分離する。第1の貼り合わせユニットは、支持体供給ユニットから供給されたシート状の第1の支持体と、該第1の残部とを、第1の接着層を用いて貼り合わせる。そして、第1の積み出しユニットが、第1の残部、第1の接着層、及び第1の支持体を備える第1の積層体を積み出す。
図11は本発明の一態様の積層体の作製装置1000Aの構成と、加工部材及び工程中の積層体が搬送される経路を説明する模式図である。
図12は本発明の一態様の積層体の作製装置1000Aを用いて積層体を作製する工程を説明する模式図である。図12(A)、(B)、(D)、(E)には、平面図と、該平面図における一点鎖線X1−X2間の断面図を示す。図12(C)には、断面図のみを示す。
本実施の形態で説明する積層体の作製装置1000Aは、第1の供給ユニット100、第1の分離ユニット300、第1の貼り合わせユニット400、及び支持体供給ユニット500を有する(図11)。
なお、各ユニットの名称は任意であり、名称により機能が限定されることはない。
本実施の形態では、第1の分離ユニット300が、実施の形態1で説明した本発明の一態様の剥離装置を有する例を示す。
第1の供給ユニット100は、加工部材80を供給することができる。なお、第1の供給ユニット100は、第1の積み出しユニットを兼ねることができる。
第1の分離ユニット300では、加工部材80の一方の表層80bと第1の残部80aとを分離することができる(図11及び図12(A)〜(C))。
なお、本明細書中において、表層とは、少なくとも最表面の層を含めば、単層構造でなく積層構造も含むものとする。例えば、図12(A)における一方の表層80bは、第1の基板11及び第1の剥離層12である。
第1の貼り合わせユニット400には、第1の残部80a及び第1の支持体41が供給される。第1の貼り合わせユニット400では、第1の支持体41と第1の残部80aとを第1の接着層31を用いて貼り合わせる(図11及び図12(D)、(E))。
支持体供給ユニット500は第1の支持体41を供給する(図11)。
第1の積み出しユニットを兼ねる第1の供給ユニット100は、第1の残部80a、第1の接着層31、及び第1の支持体41を備える積層体81を積み出すことができる(図11、図12(E))。本発明の一態様の積層体の作製装置は、積み出しユニットと供給ユニットを独立して有していてもよい。
上記本発明の一態様の積層体の作製装置は、加工部材80を供給し、且つ積層体81を積み出す、第1の積み出しユニットを兼ねる第1の供給ユニット100と、加工部材80の一方の表層80bと第1の残部80aとを分離する第1の分離ユニット300と、第1の支持体41を第1の残部80aに貼り合わせる第1の貼り合わせユニット400と、第1の支持体41を供給する支持体供給ユニット500と、を含んで構成される。これにより、加工部材80の一方の表層80bを剥離して、分離した第1の残部80aに第1の支持体41を貼り合わせることができる。以上のように、本発明の一態様では、加工部材の残部及び支持体を備える積層体の作製装置を提供できる。
また、本実施の形態で説明する積層体の作製装置1000Aは、第1の収納部300b、第1の洗浄装置350、及び搬送機構121等を有する。
第1の収納部300bは、加工部材80から剥離された一方の表層80bを収納する。
第1の洗浄装置350は、加工部材80から分離された第1の残部80aを洗浄する。
搬送機構121は、加工部材80、加工部材80から分離された第1の残部80a、及び積層体81を搬送する。
≪積層体の作製装置≫
以下に、本発明の一態様の積層体の作製装置を構成する個々の要素について説明する。
<第1の供給ユニット>
第1の供給ユニット100は、加工部材80を供給する。例えば、搬送機構121が加工部材80を連続して搬送することができるように、複数の加工部材80を収納することができる多段式の収納庫を備える構成とすることができる。
また、本実施の形態で説明する第1の供給ユニット100は第1の積み出しユニットを兼ねる。第1の供給ユニット100は、第1の残部80a、第1の接着層31、及び第1の支持体41を備える積層体81を積み出す。例えば、搬送機構121が積層体81を連続して搬送することができるように、複数の積層体81を収納することができる多段式の収納庫を備える構成とすることができる。
<第1の分離ユニット>
第1の分離ユニット300は、実施の形態1で例示した本発明の一態様の剥離装置を有する。
<第1の貼り合わせユニット>
第1の貼り合わせユニット400は、第1の接着層31を形成する機構と、第1の接着層31を用いて第1の残部80aと第1の支持体41を貼り合わせる圧着機構を備える。
第1の接着層31を形成する機構として、例えば、液体状の接着剤を塗布するディスペンサの他、あらかじめシート状に成形された接着シートを供給する装置等が挙げられる。
なお、第1の接着層31は、第1の残部80a又は/及び第1の支持体41に形成してもよい。具体的には、第1の接着層31があらかじめ形成された第1の支持体41を用いる方法であってもよい。
第1の残部80aと第1の支持体41を貼り合わせる圧着機構として、例えば、圧力又は間隙が一定になるように制御された一対のローラ、平板とローラ又は一対の対向する平板等の加圧機構が挙げられる。
<支持体供給ユニット>
支持体供給ユニット500は、第1の支持体41を供給する。例えば、ロール状で供給されるフィルムを巻き出して、所定の長さに断裁し、表面を活性化して、第1の支持体41として供給する。
≪積層体の作製方法≫
以下に、積層体の作製装置1000Aを用いて、加工部材80から積層体81を作製する方法について、図11及び図12を参照しながら説明する。
加工部材80は、第1の基板11、第1の基板11上の第1の剥離層12、第1の剥離層12と一方の面が接する第1の被剥離層13、第1の被剥離層13の他方の面と一方の面が接する接合層30、及び接合層30の他方の面が接する基材25を備える(図12(A))。なお、本実施の形態では、剥離の起点13sがあらかじめ接合層30の端部近傍に形成された加工部材80を用いる場合について説明する(図12(B))。
<第1のステップ>
加工部材80が第1の供給ユニット100に搬入される。第1の供給ユニット100は加工部材80を供給し、搬送機構121は加工部材80を搬送し、第1の分離ユニット300に加工部材80を供給する。
<第2のステップ>
第1の分離ユニット300が、加工部材80の一方の表層80bを剥離する。具体的には、接合層30の端部近傍に形成された剥離の起点13sから、第1の基板11を第1の剥離層12と共に第1の被剥離層13から分離する(図12(C))。
このステップにより、加工部材80から第1の残部80aを得る。具体的には、第1の残部80aは、第1の被剥離層13、第1の被剥離層13と一方の面が接する接合層30、及び接合層30の他方の面が接する基材25を備える。
<第3のステップ>
搬送機構121が第1の残部80aを搬送する。第1の洗浄装置350は、供給された第1の残部80aを洗浄する。
搬送機構121が洗浄された第1の残部80aを搬送し、第1の貼り合わせユニット400に第1の残部80aを供給する。また、支持体供給ユニット500が、第1の貼り合わせユニット400に、第1の支持体41を供給する。
なお、搬送機構121は、第1の残部80aを洗浄装置に供給せず、第1の分離ユニット300から第1の貼り合わせユニット400に直接供給してもよい。
第1の貼り合わせユニット400は、供給された第1の残部80a上に第1の接着層31を形成し(図12(D))、第1の接着層31を用いて第1の残部80aと第1の支持体41とを貼り合わせる(図12(E))。
このステップにより、第1の残部80aから、積層体81を得る。具体的には、積層体81は、第1の支持体41、第1の接着層31、第1の被剥離層13、第1の被剥離層13と一方の面が接する接合層30、及び接合層30の他方の面が接する基材25を備える。
<第4のステップ>
搬送機構121が積層体81を搬送し、第1の積み出しユニットを兼ねる第1の供給ユニット100は積層体81を供給される。
このステップにより、積層体81を積み出すことが可能になる。
<他のステップ>
なお、第1の接着層31の硬化に時間を要する場合は、第1の接着層が硬化していない状態の積層体81を積み出して、第1の接着層31を積層体の作製装置1000Aの外部で硬化させると、装置の占有時間を短縮できるため好ましい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の積層体の作製装置について、図13〜図15を用いて説明する。
本発明の一態様の積層体の作製装置は、シート状の加工部材を供給する第1の供給ユニットと、加工部材が供給され、加工部材を一方の表層及び第1の残部に分離する第1の分離ユニットと、それぞれシート状の第1の支持体及び第2の支持体を供給する支持体供給ユニットと、第1の残部及び第1の支持体が供給され、第1の接着層を用いて、第1の残部及び第1の支持体を貼り合わせる第1の貼り合わせユニットと、第1の残部、第1の接着層、及び第1の支持体を備える第1の積層体を積み出す第1の積み出しユニットと、第1の積層体を供給する第2の供給ユニットと、第1の積層体が供給され、第1の残部の端部近傍に、剥離の起点を形成する起点形成ユニットと、剥離の起点が形成された第1の積層体が供給され、第1の積層体を一方の表層及び第2の残部に分離する第2の分離ユニットと、第2の残部及び第2の支持体が供給され、第2の接着層を用いて、第2の残部及び第2の支持体を貼り合わせる第2の貼り合わせユニットと、第2の残部、第2の接着層、及び第2の支持体を備える第2の積層体を積み出す第2の積み出しユニットと、を有し、第1の分離ユニット又は第2の分離ユニットの少なくとも一方は、実施の形態1で説明した剥離装置を有する。
上記構成の積層体の作製装置は、第1の供給ユニットに供給されたシート状の加工部材を用いて、積層体を作製する。第1の分離ユニットは、加工部材を一方の表層と第1の残部とに分離する。第1の貼り合わせユニットは、支持体供給ユニットから供給された第1の支持体と、該第1の残部とを、第1の接着層を用いて貼り合わせる。そして、第1の積み出しユニットが、第1の残部、第1の接着層、及び第1の支持体を備える第1の積層体を積み出し、第2の供給ユニットに供給する。起点形成ユニットは、第2の供給ユニットから供給された第1の積層体に剥離の起点を形成する。第2の分離ユニットは、剥離の起点が形成された第1の積層体を一方の表層と第2の残部とに分離する。第2の貼り合わせユニットは、支持体供給ユニットから供給された第2の支持体と、該第2の残部とを、第2の接着層を用いて貼り合わせる。そして、第2の積み出しユニットが、第2の残部、第2の接着層、及び第2の支持体を備える第2の積層体を積み出す。
図13は本発明の一態様の積層体の作製装置1000の構成と、加工部材及び工程中の積層体が搬送される経路を説明する模式図である。
図14及び図15は本発明の一態様の積層体の作製装置1000を用いて積層体を作製する工程を説明する模式図である。図14(A)、(B)、(D)、(E)、及び図15(A)、(D)、(E)には、平面図と、該平面図における一点鎖線Y1−Y2間の断面図を示す。図14(C)、図15(B)、(C)には、断面図のみを示す。
本実施の形態で説明する積層体の作製装置1000は、第1の供給ユニット100、第1の分離ユニット300、第1の貼り合わせユニット400、支持体供給ユニット500、第2の供給ユニット110、起点形成ユニット700、第2の分離ユニット800、及び第2の貼り合わせユニット900を有する。
なお、各ユニットの名称は任意であり、名称により機能が限定されることはない。
第1の分離ユニット300又は第2の分離ユニット800の少なくとも一方は、本発明の一態様の剥離装置を有することが好ましい。例えば、第1の分離ユニット300及び第2の分離ユニット800が、それぞれ、実施の形態1で説明した本発明の一態様の剥離装置を有していてもよい。また、第1の分離ユニット300が他の剥離装置を有し、第2の分離ユニット800が、実施の形態1で説明した本発明の一態様の剥離装置を有していてもよい。他の剥離装置としては、例えば、実施の形態4で説明する剥離装置などが挙げられる。
第1の供給ユニット100は、加工部材90を供給することができる。なお、第1の供給ユニット100は、第1の積み出しユニットを兼ねることができる。
第1の分離ユニット300は、加工部材90の一方の表層90bと第1の残部90aとを分離することができる(図13及び図14(A)〜(C))。
第1の貼り合わせユニット400は、第1の支持体41が供給され、第1の支持体41を第1の残部90aに第1の接着層31を用いて貼り合わせる(図13及び図14(D)、(E))。
支持体供給ユニット500は、第1の支持体41及び第2の支持体42を供給する(図13)。
第1の積み出しユニットを兼ねる第1の供給ユニット100は、第1の残部90a、第1の接着層31、及び第1の支持体41を備える積層体91を積み出すことができる(図13及び図14(E))。
第2の供給ユニット110は、積層体91を供給することができる。なお、第2の供給ユニット110は、第2の積み出しユニットを兼ねることができる。
起点形成ユニット700は、第1の残部90aの端部近傍に、剥離の起点91sを形成する(図15(A))。具体的には、第2の剥離層22及び第1の接着層31と重なる第2の被剥離層23の一部を除去する。
第2の分離ユニット800は、積層体91の一方の表層91bと第2の残部91aとを分離する(図15(A)、(B))。
第2の貼り合わせユニット900は、第2の支持体42が供給され、第2の支持体42を第2の残部91aに第2の接着層32を用いて貼り合わせる(図15(D)、(E))。
第2の積み出しユニットを兼ねる第2の供給ユニット110は、第2の残部91a、第2の接着層32、及び第2の支持体42を備える積層体92を積み出す(図13及び図15(E))。
上記本発明の一態様の積層体の作製装置は、加工部材90を供給し、且つ積層体91を積み出す、第1の積み出しユニットを兼ねる第1の供給ユニット100と、加工部材80の一方の表層90bと第1の残部90aとを分離する第1の分離ユニット300と、第1の支持体41を第1の残部90aに貼り合わせる第1の貼り合わせユニット400と、第1の支持体41及び第2の支持体42を供給する支持体供給ユニット500と、積層体91を供給し、積層体92を積み出す第2の供給ユニット110と、剥離の起点を形成する起点形成ユニット700と、積層体91の一方の表層91bと第2の残部91aとを分離する第2の分離ユニット800と、第2の支持体42を第2の残部91aに貼り合わせる第2の貼り合わせユニット900と、を含んで構成される。これにより、加工部材90の両方の表層を剥離して、残部に第1の支持体41及び第2の支持体42を貼り合わせることができる。以上のように、本発明の一態様では、加工部材の残部及び支持体を備える積層体の作製装置を提供できる。
また、本実施の形態で説明する積層体の作製装置1000は、第1の収納部300b、第2の収納部800b、第1の洗浄装置350、第2の洗浄装置850、搬送機構121、及び搬送機構112等を有する。
第1の収納部300bは、加工部材90から剥離された一方の表層90bを収納する。
第2の収納部800bは、積層体91から剥離された一方の表層91bを収納する。
第1の洗浄装置350は、加工部材90から分離された第1の残部90aを洗浄する。
第2の洗浄装置850は、積層体91から分離された第2の残部91aを洗浄する。
搬送機構121は、加工部材90、加工部材90から分離された第1の残部90a、及び積層体91を搬送する。
搬送機構112は、積層体91、積層体91から分離された第2の残部91a、及び積層体92を搬送する。
≪積層体の作製装置≫
以下に、本発明の一態様の積層体の作製装置を構成する個々の要素について説明する。
なお、積層体の作製装置1000は、第2の供給ユニット110、起点形成ユニット700、第2の分離ユニット800、第2の貼り合わせユニット900、第2の収納部800b、及び第2の洗浄装置850を有する点が、実施の形態2で説明した積層体の作製装置1000Aと異なる。本実施の形態では、積層体の作製装置1000Aと異なる構成について説明し、同様の構成は実施の形態2の説明を援用する。
<第2の供給ユニット>
第2の供給ユニット110は、積層体91を供給する(つまり供給するものが異なる)ほかは、実施の形態2で説明する第1の供給ユニットと同様の構成を適用することができる。
また、本実施の形態で説明する第2の供給ユニット110は第2の積み出しユニットを兼ねる。第2の積み出しユニットは、積層体92を積み出す(つまり積み出すものが異なる)ほかは実施の形態2で説明する第1の積み出しユニットと同様の構成を適用することができる。
<起点形成ユニット>
起点形成ユニット700は、例えば、第1の支持体41及び第1の接着層31を切断し且つ第2の被剥離層23の一部を第2の剥離層22から剥離する切断機構を備える。
具体的には、切断機構は、鋭利な先端を備える一つ又は複数の刃物と、当該刃物を積層体91に対して相対的に移動する移動機構を有する。
<第2の分離ユニット>
第2の分離ユニット800は、実施の形態1で例示した本発明の一態様の剥離装置を有する。
<第2の貼り合わせユニット>
第2の貼り合わせユニット900は、第2の接着層32を形成する機構と、第2の接着層32を用いて第2の残部91aと第2の支持体42を貼り合わせる圧着機構を備える。
第2の接着層32を形成する機構として、例えば、実施の形態2で説明する第1の貼り合わせユニット400と同様の構成を適用することができる。
なお、第2の接着層32は、第2の残部91a又は/および第2の支持体42に形成してもよい。具体的には、第2の接着層32があらかじめ形成された第2の支持体42を用いる方法であってもよい。
第2の残部91aと第2の支持体42を貼り合わせる圧着機構として、例えば、実施の形態2で説明する第1の貼り合わせユニット400と同様の構成を適用することができる。
≪積層体の作製方法≫
以下に、積層体の作製装置1000を用いて、加工部材90から積層体92を作製する方法について、図13〜図15を参照しながら説明する。
加工部材90は、第1の基材が、第2の基板21、第2の基板21上の第2の剥離層22、及び第2の剥離層22と一方の面が接する第2の被剥離層23を備える点が異なるほかは、加工部材80と同じ構成を有する。
具体的には、第1の基板11、第1の基板11上の第1の剥離層12、第1の剥離層12と一方の面が接する第1の被剥離層13、第1の被剥離層13の他方の面と一方の面が接する接合層30、接合層30の他方の面に一方の面が接する第2の被剥離層23、第2の被剥離層23の他方の面と一方の面が接する第2の剥離層22、及び第2の剥離層22上の第2の基板21を備える(図14(A))。なお、本実施の形態では、あらかじめ剥離の起点13sが、接合層30の端部近傍に形成された加工部材90を用いる場合について説明する(図14(B))。
<第1のステップ>
加工部材90が第1の供給ユニット100に搬入される。第1の供給ユニット100は加工部材90を供給し、搬送機構121は加工部材90を搬送し、第1の分離ユニット300に加工部材90を供給する。
<第2のステップ>
第1の分離ユニット300が、加工部材90の一方の表層90bを剥離する。具体的には、接合層30の端部近傍に形成された剥離の起点13sから、第1の基板11を第1の剥離層12と共に第1の被剥離層13から分離する(図14(C))。
このステップにより、加工部材90から第1の残部90aを得る。具体的には、第1の残部90aは、第1の被剥離層13、第1の被剥離層13と一方の面が接する接合層30、及び接合層30の他方の面に一方の面が接する第2の被剥離層23、第2の被剥離層23の他方の面と一方の面が接する第2の剥離層22、及び第2の剥離層22上の第2の基板21を備える。
<第3のステップ>
搬送機構121が第1の残部90aを搬送する。第1の洗浄装置350は、供給された第1の残部90aを洗浄する。
搬送機構121が洗浄された第1の残部90aを搬送し、第1の貼り合わせユニット400に第1の残部90aを供給する。また、支持体供給ユニット500が、第1の貼り合わせユニット400に、第1の支持体41を供給する。
第1の貼り合わせユニット400は、供給された第1の残部90aに第1の接着層31を形成し(図14(D))、第1の接着層31を用いて第1の残部90aと第1の支持体41とを貼り合わせる。
このステップにより、第1の残部90aから、積層体91を得る。具体的には、積層体91は、第1の支持体41、第1の接着層31、第1の被剥離層13、第1の被剥離層13と一方の面が接する接合層30、及び接合層30の他方の面に一方の面が接する第2の被剥離層23、第2の被剥離層23の他方の面と一方の面が接する第2の剥離層22、及び第2の剥離層22上の第2の基板21を備える(図14(E))。
<第4のステップ>
搬送機構121が積層体91を搬送し、第1の積み出しユニットを兼ねる第1の供給ユニット100は積層体91を供給される。
このステップにより、積層体91を積み出すことが可能になる。例えば、第1の接着層31の硬化に時間を要する場合は、第1の接着層31が硬化していない状態の積層体91を積み出して、第1の接着層31を積層体の作製装置1000の外部で硬化させることができる。これにより、装置の占有時間を短縮することができる。
<第5のステップ>
積層体91が第2の供給ユニット110に搬入される。第2の供給ユニット110は積層体91を供給し、搬送機構112は積層体91を搬送し、起点形成ユニット700に積層体91を供給する。
<第6のステップ>
起点形成ユニット700が、積層体91の第1の接着層31の端部近傍にある、第2の被剥離層23の一部を第2の剥離層22から剥離して、剥離の起点91sを形成する。
例えば、第1の支持体41及び第1の接着層31を、第1の支持体41側から切断し且つ第2の被剥離層23の一部を第2の剥離層22から剥離する。
具体的には、第2の剥離層22上の第2の被剥離層23が設けられた領域にある、第1の接着層31及び第1の支持体41を、鋭利な先端を備える刃物等を用いて閉曲線で囲むように切断し、且つ当該閉曲線に沿って、第2の被剥離層23の一部を第2の剥離層22から剥離する(図15(A))。
このステップにより、切り抜かれた第1の支持体41b及び第1の接着層31の端部近傍に剥離の起点91sが形成される。
<第7のステップ>
第2の分離ユニット800が、積層体91の一方の表層91bを剥離する。具体的には、接合層30の端部近傍に形成された剥離の起点91sから、第2の基板21を第2の剥離層22と共に第2の被剥離層23から分離する(図15(B))。
このステップにより、積層体91から第2の残部91aを得る。具体的には、第2の残部91aは、第1の支持体41b、第1の接着層31、第1の被剥離層13、第1の被剥離層13と一方の面が接する接合層30、及び接合層30の他方の面に一方の面が接する第2の被剥離層23を備える。
<第8のステップ>
搬送機構112が第2の残部91aを搬送し、第2の被剥離層23が上面を向くように第2の残部91aを反転する(図15(C))。第2の洗浄装置850は、供給された第2の残部91aを洗浄する。
搬送機構112が洗浄された第2の残部91aを搬送し、第2の貼り合わせユニット900に第2の残部91aを供給する。また、支持体供給ユニット500が、第2の貼り合わせユニット900に、第2の支持体42を供給する。
なお、搬送機構112は、第2の残部91aを洗浄装置に供給せず、第2の分離ユニット800から第2の貼り合わせユニット900に直接供給してもよい。
第2の貼り合わせユニット900は、供給された第2の残部91a上に第2の接着層32を形成し(図15(D))、第2の接着層32を用いて第2の残部91aと第2の支持体42とを貼り合わせる(図15(E))。
このステップにより、第2の残部91aから、積層体92を得る。具体的には、積層体92は、第1の被剥離層13、第1の接着層31、第1の支持体41b、接合層30、第2の被剥離層23、及び第2の支持体42を備える。
<第9のステップ>
搬送機構112が積層体92を搬送し、第2の積み出しユニットを兼ねる第2の供給ユニット110は積層体92を供給される。
このステップにより、積層体92を積み出すことが可能になる。
<変形例>
本実施の形態の変形例について、図16を参照しながら説明する。
図16は本発明の一態様の積層体の作製装置1000の構成と、加工部材及び工程中の積層体が搬送される経路を説明する模式図である。
本実施の形態の変形例では、積層体の作製装置1000を用いて加工部材90から積層体92を作製する、上記の方法とは異なる方法について、図14〜図16を参照しながら説明する。
具体的には、第4のステップにおいて、搬送機構121が積層体91を搬送し、第1の積み出しユニットを兼ねる第1の供給ユニット100ではなく、第2の洗浄装置850が積層体91を供給される点、第5のステップにおいて、搬送機構112が積層体91を搬送し、起点形成ユニット700が積層体91を供給される点、及び、第8のステップにおいて、第2の残部91aを第2の洗浄装置850に供給せず、第2の貼り合わせユニット900に直接供給する点が異なる。よって、ここでは異なる部分について詳細に説明し、同じ方法を用いる部分は、上記の説明を援用する。
<第4のステップの変形例>
搬送機構121が積層体91を搬送し、第2の洗浄装置850が積層体91を供給される。
本実施の形態の変形例では、第2の洗浄装置850が、搬送機構121が積層体91を搬送機構112に受け渡す受け渡し室として用いられる(図16)。
このステップにより、積層体91を積層体の作製装置1000から積み出すことなく連続して加工することが可能になる。また、積層体の作製装置1000に別途受け渡し室を備えていてもよい。これにより、並行して、第2の洗浄装置850では第2の残部91aを洗浄し、受け渡し室では、積層体91の受け渡しを行うことができる。
<第5のステップの変形例>
搬送機構112が積層体91を搬送し、起点形成ユニット700が積層体91を供給される。
<第8のステップの変形例>
搬送機構112が第2の残部91aを搬送し、第2の被剥離層23が上面を向くように第2の残部91aを反転する。第2の貼り合わせユニット900は、第2の残部91aを供給される。
第2の貼り合わせユニット900は、供給された第2の残部91a上に第2の接着層32を形成し(図14(D))、第2の接着層32を用いて第2の残部91aと第2の支持体42とを貼り合わせる(図14(E))。
このステップにより、第2の残部91aから、積層体92を得る。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の積層体の作製装置において、分離ユニットに用いることができる剥離装置について図17及び図18を用いて説明する。
可撓性基板を用いた装置の品種によっては、一方及び他方の硬質基板上に形成した薄型の構造物同士を貼り合わせた後に、一方の硬質基板を剥離して可撓性基板を貼り合わせ、その後、他方の硬質基板を剥離して他の可撓性基板を貼り合わせることがある。この場合、最初の剥離工程では、一対の硬質基板を分離することとなる。実施の形態1の剥離装置を用いて、硬質基板が割れないように剥離するためには、構造体が有する曲面の曲率半径を大きくする必要がある。硬質基板の材質や大きさによっては、実施の形態1の剥離装置は非常に大型な装置となる場合がある。
そこで、本発明の一態様では、一方の硬質基板を剥離する際には、本実施の形態で説明する剥離装置を用いる。なお、本実施の形態で説明する剥離装置を用いて、一方の硬質基板を剥離した後、他方の硬質基板を剥離する際には、実施の形態1の剥離装置を用いることができる。または、場合によっては、本実施の形態の剥離装置を用いて一対の硬質基板の双方を剥離してもよい。
図17は、剥離装置を説明する斜視図である。当該剥離装置は、固定ステージ230、吸着機構240、及び楔型治具250を備える。なお、図17では、各要素が有する動力機構などの詳細は図示していない。
加工部材200は、基板210及び基板220で薄型の構造物が挟持された構成の部材を対象とすることができる。
加工部材200を固定する固定ステージ230には、例えば真空吸着ステージや静電吸着ステージを用いることができる。または、ネジ止め用治具などを用いてステージに加工部材200を固定してもよい。
吸着機構240は複数の吸着治具241を有する。吸着治具241は、加工部材200の第1面(図17では基板210)における外周近傍を固定できる位置に配置される。吸着治具241は上下機構242及び吸着部243を有する。上下機構242は、複数の吸着治具241のそれぞれに設けられており、個別に吸着部243の上下方向の移動を制御することができる。吸着部243は真空ポンプ等につながれる吸気口243aを有し、加工部材200を真空吸着する。また、上下機構242の軸244と吸着部243との間には可動部245が設けられている。また、吸着治具241は矢印で図示した水平方向に移動する機構を有する。したがって、剥離工程中の基板210の変形や位置の変化が起きても吸着を維持することができる。なお、可動部245は、関節を有した機械的な機構のほか、ゴムやバネなどの弾性を有するもので形成されていてもよい。また、図17では、吸着機構240に12個の吸着治具を有する構成を例示したが、これに限られない。吸着機構240に用いる吸着治具241の個数や吸着部243のサイズ等は加工部材200のサイズや物性に合わせて決定することができる。
楔型治具250としては、刃物状の治具を用いることができる。ここで、楔型治具250は、貼り合わされた基板210及び基板220の極めて狭い間隙に挿入され、両者を押し分ける用途に用いる。したがって、楔型治具250の尖った部分の先端の厚さは当該間隙よりも小さく、楔型治具250の板状部分の厚さは当該間隙よりも大きくすることが好ましい。また、楔型治具250を挿入する位置を検出するセンサ254を備えていてもよい。なお、本実施の形態において間隙とは、基板210および基板220の間において構造物を有さない領域のことであり、主に基板の端部の領域を指す。
また、加工部材200の楔型治具250が挿入される位置の近傍に液体が供給されるノズル270が設けられていることが好ましい。液体としては例えば水を用いることができ、剥離の進行部に水を存在させることで剥離強度を低下させることができる。また、電子デバイス等の静電破壊を防止することができる。なお、液体としては水のほかに有機溶剤などを用いることができ、中性、アルカリ性、または酸性の水溶液などを用いてもよい。
本発明の一態様の剥離方法では、加工部材や積層体の短辺から剥離を開始し、長辺方向に剥離を進める。これにより、剥離に要する力等の剥離条件の制御が容易となり、剥離の歩留まりを高めることができる。このような長辺と短辺を有する加工部材200を剥離する場合の剥離装置を図18(A)〜(C)を用いて説明する。
なお、図18(A)〜(C)では明瞭化のために図17で示した一部の要素を省いて図示している。また、各吸着治具に記した矢印は、各吸着治具が有する吸着部243の上方への移動量又は上方へ持ち上げる強さを模式的に表したものである。
図18(A)は、固定ステージ230に加工部材200の剥離しない側(基板220)を固定し、吸着機構240が有する複数の吸着治具241を加工部材200の剥離する側(基板210)に吸着させ、楔型治具250を加工部材200の間隙に挿入した状態の斜視図である。
ここで、基板210、220で挟持される構造物の厚さは非常に小さく、加工部材200は極めて狭い間隙を有するようになる。構造物として発光装置の構成要素を想定した場合、当該間隙は10〜15μm程度となる。そのため、楔型治具250の位置を固定して当該間隙に挿入することは非常に困難である。したがって、当該間隙の位置を図17に示すセンサ254(光センサ、変位計、又はカメラなど)を用いて検出し、その位置に楔型治具250を挿入するような構成とすることが好ましい。
また、楔型治具250が加工部材200の厚さ方向に移動できる構成とし、端部が面取り処理されている基板を加工部材200に用いることがさらに好ましい。このようにすることで、面取り部を含めた範囲を楔型治具250が挿入可能な範囲とすることができる。この場合、間隙側の面取り部を含めた範囲をセンサ254で検知する。
図18(A)に示すように、楔型治具250が加工部材200の一角部における間隙に挿入され、貼り合わされた基板210及び基板220が押し分けられると、事前に形成された剥離の起点となる領域から剥離の進行が始まる。このとき、前述したように剥離の進行部に水を供給するとよい。
楔型治具250が加工部材200の一角部における間隙に挿入され、剥離の進行が始まったのち、当該一角部に最も近い吸着治具241aが有する吸着部243をゆっくりと移動させる。そして、図18(A)に矢印で示す方向291に剥離が進行するように、該当する吸着治具が有する吸着部243を順次移動させて加工部材200の一辺が剥離された状態とする。
なお、吸着治具241aが有する吸着部は、他の吸着治具が有する吸着部よりも、吸着力が大きいことが好ましい。例えば、吸着治具241aが有する吸着部は、他の吸着治具が有する吸着部よりも、吸着面積が大きいことが好ましい。剥離を開始する際には、基板210を持ち上げるために大きな力が必要であるため、吸着治具241aが有する吸着部の吸着力が大きいほど、剥離が容易となる。
次に、図18(B)に示すように、加工部材200の剥離された一辺から矢印で示す方向292に剥離が進行するように該当する吸着治具が有する吸着部243を順次移動させる。
吸着部243の吸着面には、ゴムなどを用いた吸着パッドが設けられていることが好ましい。吸着パッドは、基板210の反りに追従して弾性変形することができ、基板210から吸着部243が外れることを抑制するため、基板210の剥離を確実に行うことができる。
そして、図18(C)に示すように、剥離の終点が楔型治具250を挿入する加工部材200の一角部の対角の位置となるように該当する吸着治具が有する吸着部243を順次移動させ、矢印で示す方向293に剥離を進行させる。
なお、上記の剥離工程においては、剥離速度を管理することが好ましい。吸着治具が有する吸着部243の移動速度に対して剥離の進行が追随できない場合は、剥離部の断切が起こってしまう。したがって、剥離時に基板210と基板220とがなす角度や、吸着治具が有する吸着部243の移動時の引張力等を画像処理、変位計、又はプルゲージなどを用いて管理し、剥離速度が過大にならないようにすることが好ましい。
また、上記剥離工程が終了した後に残存する水等を除去するための乾燥機などが設けられていてもよい。例えば、基板に空気やN2ガスなどの気体を吹き付けることで、水を除去することができる。
以上により、基板の割れや剥離部の断切などが起こりにくく、歩留りよく加工部材200の剥離工程を行うことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様を適用して作製することができる発光装置について図面を用いて説明する。本実施の形態では、主に有機EL素子を用いた発光装置を例示するが、本発明の一態様はこれに限られない。
<構成例1>
図19(A)に発光装置の平面図を示し、図19(A)における一点鎖線D1−D2間の断面図の一例を図19(B)に示す。構成例1で示す発光装置は、カラーフィルタ方式を用いたトップエミッション型の発光装置である。本実施の形態において、発光装置は、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の副画素で1つの色を表現する構成、R、G、B、W(白)の4色の副画素で1つの色を表現する構成、又はR、G、B、Y(黄)の4色の副画素で1つの色を表現する構成等が適用できる。色要素としては特に限定はなく、RGBWY以外の色を用いてもよく、例えば、シアンやマゼンタ等を用いてもよい。
図19(A)に示す発光装置は、発光部804、駆動回路部806、FPC808を有する。
図19(B)に示す発光装置は、可撓性基板701、接着層703、絶縁層705、機能層(複数のトランジスタ、導電層857、絶縁層815、絶縁層817、複数の発光素子、及び絶縁層821)、接着層822、機能層(着色層845及び遮光層847)、絶縁層715、接着層713、並びに可撓性基板711を有する。接着層822、絶縁層715、接着層713、及び可撓性基板711は可視光を透過する。発光部804及び駆動回路部806に含まれる発光素子及びトランジスタは可撓性基板701、可撓性基板711、及び接着層822によって封止されている。
発光部804は、接着層703、及び絶縁層705を介して可撓性基板701上にトランジスタ820及び発光素子830を有する。発光素子830は、絶縁層817上の下部電極831と、下部電極831上のEL層833と、EL層833上の上部電極835と、を有する。下部電極831は、トランジスタ820のソース電極又はドレイン電極と電気的に接続する。下部電極831の端部は、絶縁層821で覆われている。下部電極831は可視光を反射することが好ましい。上部電極835は可視光を透過する。
また、発光部804は、発光素子830と重なる着色層845と、絶縁層821と重なる遮光層847と、を有する。発光素子830と着色層845の間は接着層822で充填されている。
絶縁層815は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏する。また、絶縁層817は、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁層を選択することが好適である。絶縁層817として有機材料を用いる場合、発光装置の端部に露出した絶縁層817を通ってトランジスタや発光素子830等に発光装置の外部から水分等の不純物が侵入する恐れがある。不純物の侵入により、トランジスタや発光素子830が劣化すると、発光装置の劣化につながる。そのため、図19(B)等に示すように、絶縁層817に無機膜(ここでは絶縁層815)に達する開口を設け、発光装置の外部から水分等の不純物が侵入しても、トランジスタ及び発光素子830に到達しにくい構造とすることが好ましい。なお、絶縁層817を、発光装置の端部に位置しないように形成してもよい。
駆動回路部806は、接着層703及び絶縁層705を介して可撓性基板701上にトランジスタを複数有する。図19(B)では、駆動回路部806が有するトランジスタのうち、1つのトランジスタを示している。
絶縁層705と可撓性基板701は接着層703によって貼り合わされている。また、絶縁層715と可撓性基板711は接着層713によって貼り合わされている。絶縁層705及び絶縁層715のうち少なくとも一方に防湿性の高い膜を用いると、発光素子830及びトランジスタ820に水等の不純物が侵入することを抑制でき、発光装置の信頼性が高くなるため好ましい。
導電層857は、駆動回路部806に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC808を設ける例を示している。工程数の増加を防ぐため、導電層857は、発光部や駆動回路部に用いる電極や配線と同一の材料、同一の工程で作製することが好ましい。ここでは、導電層857を、トランジスタ820を構成する電極と同一の材料、同一の工程で作製した例を示す。
図19(B)に示す発光装置では、FPC808が可撓性基板711上に位置する。接続体825は、可撓性基板711、接着層713、絶縁層715、接着層822、絶縁層817、及び絶縁層815に設けられた開口を介して導電層857と接続している。また、接続体825はFPC808に接続している。接続体825を介してFPC808と導電層857は電気的に接続する。導電層857と可撓性基板711とが重なる場合には、可撓性基板711を開口する(又は開口部を有する基板を用いる)ことで、導電層857、接続体825、及びFPC808を電気的に接続させることができる。
図19(A)、(B)に示す発光装置の変形例を示す。図20(A)に発光装置の平面図を示し、図20(A)における一点鎖線D3−D4間の断面図の一例を図20(B)に示す。また、図20(A)における一点鎖線D5−D6間の断面図の一例を図21(A)に示す。
図20(A)、(B)に示す発光装置は、可撓性基板701と可撓性基板711の大きさが異なる場合の例である。FPC808が絶縁層715上に位置し、可撓性基板711と重ならない。接続体825は、絶縁層715、接着層822、絶縁層817、及び絶縁層815に設けられた開口を介して導電層857と接続している。可撓性基板711に開口を設ける必要がないため、可撓性基板711の材料が制限されない。
なお、ガスバリア性又は防湿性が低い有機樹脂を用いて形成する絶縁層は、発光装置の端部に露出させないことが好ましい。このような構成とすることで、発光装置の側面から不純物が侵入することを抑制できる。例えば、図20(B)、図21(A)に示すように、発光装置の端部に、絶縁層817を設けない構成としてもよい。
また、発光部804の変形例を図21(B)に示す。
図21(B)に示す発光装置は、絶縁層817a及び絶縁層817bを有し、絶縁層817a上に導電層856を有する。トランジスタ820のソース電極又はドレイン電極と、発光素子830の下部電極と、が、導電層856を介して、電気的に接続される。
図21(B)に示す発光装置は、絶縁層821上にスペーサ823を有する。スペーサ823を設けることで、可撓性基板701と可撓性基板711の間隔を調整することができる。
図21(B)に示す発光装置は、着色層845及び遮光層847を覆うオーバーコート849を有する。発光素子830とオーバーコート849の間は接着層822で充填されている。
また、発光素子830の変形例を図21(C)に示す。
なお、図21(C)に示すように、発光素子830は、下部電極831とEL層833の間に、光学調整層832を有していてもよい。光学調整層832には、透光性を有する導電性材料を用いることが好ましい。カラーフィルタ(着色層)とマイクロキャビティ構造(光学調整層)との組み合わせにより、本発明の一態様の発光装置からは、色純度の高い光を取り出すことができる。光学調整層の厚さは、各副画素の発光色に応じて変化させる。
<構成例2>
図21(D)に示す発光装置は、可撓性基板701、接着層703、絶縁層705、機能層(導電層814、導電層857a、導電層857b、発光素子830、及び絶縁層821)、接着層713、及び可撓性基板711を有する。
導電層857a及び導電層857bは、発光装置の外部接続電極であり、FPC等と電気的に接続させることができる。
発光素子830は、下部電極831、EL層833、及び上部電極835を有する。下部電極831の端部は、絶縁層821で覆われている。発光素子830はボトムエミッション型、トップエミッション型、又はデュアルエミッション型である。光を取り出す側の電極、基板、絶縁層等は、それぞれ可視光を透過する。導電層814は、下部電極831と電気的に接続する。
光を取り出す側の基板は、光取り出し構造として、半球レンズ、マイクロレンズアレイ、凹凸構造が施されたフィルム、光拡散フィルム等を有していてもよい。例えば、樹脂基板上に上記レンズ、又はフィルムを、該基板又は該レンズもしくはフィルムと同程度の屈折率を有する接着剤等を用いて接着することで、光取り出し構造を有する基板を形成することができる。
導電層814は必ずしも設ける必要は無いが、下部電極831の抵抗に起因する電圧降下を抑制できるため、設けることが好ましい。また、同様の目的で、上部電極835と電気的に接続する導電層を絶縁層821上、EL層833上、又は上部電極835上などに設けてもよい。
導電層814は、銅、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウム、ニッケル、アルミニウムから選ばれた材料又はこれらを主成分とする合金材料等を用いて、単層で又は積層して形成することができる。導電層814の厚さは、例えば、0.1μm以上3μm以下とすることができ、好ましくは、0.1μm以上0.5μm以下である。
<構成例3>
図20(A)に発光装置の平面図を示し、図20(A)における一点鎖線D3−D4間の断面図の一例を図22(A)に示す。構成例3で示す発光装置は、カラーフィルタ方式を用いたボトムエミッション型の発光装置である。
図22(A)に示す発光装置は、可撓性基板701、接着層703、絶縁層705、機能層(複数のトランジスタ、導電層857、絶縁層815、着色層845、絶縁層817a、絶縁層817b、導電層856、複数の発光素子、及び絶縁層821)、接着層713、及び可撓性基板711を有する。可撓性基板701、接着層703、絶縁層705、絶縁層815、絶縁層817a、及び絶縁層817bは可視光を透過する。
発光部804は、接着層703、及び絶縁層705を介して可撓性基板701上にトランジスタ820、トランジスタ824、及び発光素子830を有する。発光素子830は、絶縁層817b上の下部電極831と、下部電極831上のEL層833と、EL層833上の上部電極835と、を有する。下部電極831は、トランジスタ820のソース電極又はドレイン電極と電気的に接続する。下部電極831の端部は、絶縁層821で覆われている。上部電極835は可視光を反射することが好ましい。下部電極831は可視光を透過する。発光素子830と重なる着色層845を設ける位置は、特に限定されず、例えば、絶縁層817aと絶縁層817bの間、又は絶縁層815と絶縁層817aの間等に設けることができる。
駆動回路部806は、接着層703及び絶縁層705を介して可撓性基板701上にトランジスタを複数有する。図22(A)では、駆動回路部806が有するトランジスタのうち、2つのトランジスタを示している。
絶縁層705と可撓性基板701は接着層703によって貼り合わされている。絶縁層705に防湿性の高い膜を用いると、発光素子830、トランジスタ820、又はトランジスタ824に水等の不純物が侵入することを抑制でき、発光装置の信頼性が高くなるため好ましい。
導電層857は、駆動回路部806に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC808を設ける例を示している。また、ここでは、導電層857を、導電層856と同一の材料、同一の工程で作製した例を示す。
<構成例4>
図20(A)に発光装置の平面図を示し、図20(A)における一点鎖線D3−D4間の断面図の一例を図22(B)に示す。構成例4で示す発光装置は、塗り分け方式を用いたトップエミッション型の発光装置である。
図22(B)に示す発光装置は、可撓性基板701、接着層703、絶縁層705、機能層(複数のトランジスタ、導電層857、絶縁層815、絶縁層817、複数の発光素子、絶縁層821、及びスペーサ823)、接着層713、及び可撓性基板711を有する。接着層713及び可撓性基板711は可視光を透過する。
図22(B)に示す発光装置では、接続体825が絶縁層815上に位置する。接続体825は、絶縁層815に設けられた開口を介して導電層857と接続している。また、接続体825はFPC808に接続している。接続体825を介してFPC808と導電層857は電気的に接続する。
<材料の一例>
次に、発光装置に用いることができる材料等を説明する。なお、本明細書中で先に説明した構成については説明を省略する場合がある。
基板には、ガラス、石英、有機樹脂、金属、合金、半導体などの材料を用いることができる。発光素子からの光を取り出す側の基板は、該光を透過する材料を用いる。
特に、可撓性基板を用いることが好ましい。例えば、有機樹脂、又は、可撓性を有する程度の厚さのガラス、金属、もしくは合金を用いることができる。例えば、可撓性基板の厚さは、1μm以上200μm以下が好ましく、1μm以上100μm以下がより好ましく、10μm以上50μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下がさらに好ましい。
ガラスに比べて有機樹脂は比重が小さいため、可撓性基板として有機樹脂を用いると、ガラスを用いる場合に比べて発光装置を軽量化でき、好ましい。
基板には、靱性が高い材料を用いることが好ましい。これにより、耐衝撃性に優れ、破損しにくい発光装置を実現できる。例えば、有機樹脂基板、又は、厚さの薄い金属基板もしくは合金基板を用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて、軽量であり、破損しにくい発光装置を実現できる。
金属材料及び合金材料は、それぞれ、熱伝導性が高く、基板全体に熱を容易に伝導できるため、発光装置の局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。金属材料又は合金材料を用いた基板の厚さは、10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
金属基板及び合金基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、又は、アルミニウム合金もしくはステンレス等の金属の合金などを好適に用いることができる。半導体基板を構成する材料としては、シリコン等が挙げられる。
また、基板に、熱放射率が高い材料を用いると発光装置の表面温度が高くなることを抑制でき、発光装置の破壊又は信頼性の低下を抑制できる。例えば、基板を金属基板と熱放射率の高い層(例えば、金属酸化物又はセラミック材料を用いることができる)の積層構造としてもよい。
可撓性及び透光性を有する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げられる。特に、線膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、繊維体に樹脂を含浸した基板(プリプレグともいう)、又は無機フィラーを有機樹脂に混ぜて線膨張係数を下げた基板を使用することもできる。
可撓性基板としては、上記材料を用いた層が、装置の表面を傷などから保護するハードコート層(例えば、窒化シリコン層など)、又は押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂層など)等と積層されて構成されていてもよい。
可撓性基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とすると、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い発光装置とすることができる。
例えば、発光素子に近い側からガラス層、接着層、及び有機樹脂層を積層した可撓性基板を用いることができる。当該ガラス層の厚さとしては20μm以上200μm以下、好ましくは25μm以上100μm以下とする。このような厚さのガラス層は、水や酸素に対する高いバリア性と可撓性を同時に実現できる。また、有機樹脂層の厚さとしては、10μm以上200μm以下、好ましくは20μm以上50μm以下とする。このような有機樹脂層を設けることにより、ガラス層の割れやクラックを抑制し、機械的強度を向上させることができる。このようなガラス材料と有機樹脂の複合材料を基板に適用することにより、極めて信頼性が高いフレキシブルな発光装置とすることができる。
接着層には、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。また、接着シート等を用いてもよい。
また、接着層には乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が機能素子に侵入することを抑制でき、発光装置の信頼性が向上するため好ましい。
また、接着層に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を含ませることで、発光素子からの光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
絶縁層705及び絶縁層715としては、それぞれ、防湿性の高い絶縁膜を用いることが好ましい。または、絶縁層705及び絶縁層715は、それぞれ、不純物の発光素子への拡散を防ぐ機能を有していることが好ましい。
防湿性の高い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜、又は窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
例えば、防湿性の高い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10−5[g/(m2・day)]以下、好ましくは1×10−6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×10−7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10−8[g/(m2・day)]以下とする。
発光装置において、絶縁層705又は絶縁層715の少なくとも一方は、発光素子の発光を透過する必要がある。絶縁層705又は絶縁層715のうち、発光素子の発光を透過する側の絶縁層は、他方の絶縁層よりも、波長400nm以上800nm以下における光の透過率の平均が高いことが好ましい。
発光装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、シリコン、ゲルマニウム、有機半導体等が挙げられる。または、In−Ga−Zn系金属酸化物などの、インジウム、ガリウム、亜鉛のうち少なくとも一つを含む酸化物半導体を用いてもよい。
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
本発明の一態様では、トランジスタに用いる半導体材料として、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)を用いることが好ましい。CAAC−OSは非晶質とは異なり、欠陥準位が少なく、トランジスタの信頼性を高めることができる。また、CAAC−OSは結晶粒界が確認されないという特徴を有するため、大面積に安定で均一な膜を形成することが可能で、また可撓性を有する発光装置を湾曲させたときの応力によってCAAC−OS膜にクラックが生じにくい。
CAAC−OSは、膜面に対して、結晶のc軸が概略垂直配向した結晶性酸化物半導体のことである。酸化物半導体の結晶構造としては他にナノスケールの微結晶集合体であるナノ結晶(nc:nanocrystal)など、単結晶とは異なる多彩な構造が存在することが確認されている。CAAC−OSは、単結晶よりも結晶性が低く、ncに比べて結晶性が高い。
また、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
トランジスタの特性安定化等のため、下地膜を設けることが好ましい。下地膜としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などの無機絶縁膜を用い、単層で又は積層して作製することができる。下地膜はスパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(プラズマCVD法、熱CVD法、MOCVD(Metal Organic CVD)法など)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、塗布法、印刷法等を用いて形成できる。なお、下地膜は、必要で無ければ設けなくてもよく、この場合、絶縁層705がトランジスタの下地膜を兼ねることができる。
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流又は電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、発光ダイオード(LED)、有機EL素子、無機EL素子等を用いることができる。
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型のいずれであってもよい。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、又はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電膜として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料又は合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al−Ni−La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、又は、銀と銅の合金、銀とパラジウムと銅の合金(Ag−Pd−Cu、APCとも記す)、銀とマグネシウムの合金等の銀を含む合金を用いて形成することができる。銀と銅を含む合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜又は金属酸化物膜を積層することで、アルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。また、上記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とITOの積層膜、銀とマグネシウムの合金とITOの積層膜などを用いることができる。
電極は、それぞれ、蒸着法、又はスパッタリング法を用いて形成することができる。そのほか、インクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、又はメッキ法を用いて形成することができる。
下部電極831及び上部電極835の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層833に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層833において再結合し、EL層833に含まれる発光物質が発光する。
EL層833は少なくとも発光層を有する。EL層833は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
EL層833には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。EL層833を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
発光素子830は、2種類以上の発光物質を含んでいてもよい。これにより、例えば、白色発光の発光素子を実現することができる。例えば2種類以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、又はO(橙)等の発光を示す発光物質、又は、R、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質を用いることができる。例えば、青の発光を示す発光物質と、黄の発光を示す発光物質を用いてもよい。このとき、黄の発光を示す発光物質の発光スペクトルは、緑及び赤のスペクトル成分を含むことが好ましい。また、発光素子830の発光スペクトルは、可視領域の波長(例えば350nm以上750nm以下、又は400nm以上800nm以下など)の範囲内に2以上のピークを有することが好ましい。
EL層833は、複数の発光層を有していてもよい。EL層833において、複数の発光層は、互いに接して積層されていてもよいし、分離層を介して積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と、燐光発光層との間に、分離層を設けてもよい。
分離層は、例えば、燐光発光層中で生成する燐光材料の励起状態から蛍光発光層中の蛍光材料へのデクスター機構によるエネルギー移動(特に三重項エネルギー移動)を防ぐために設けることができる。分離層は数nm程度の厚さがあることが好ましい。具体的には、0.1nm以上20nm以下、あるいは1nm以上10nm以下、あるいは1nm以上5nm以下である。分離層は、単一の材料(好ましくはバイポーラ性の物質)、又は複数の材料(好ましくは正孔輸送性材料及び電子輸送性材料)を含む。
分離層は、該分離層と接する発光層に含まれる材料を用いて形成してもよい。これにより、発光素子の作製が容易になり、また、駆動電圧が低減される。例えば、燐光発光層が、ホスト材料、アシスト材料、及び燐光材料(ゲスト材料)からなる場合、分離層を、該ホスト材料及びアシスト材料で形成してもよい。上記構成を別言すると、分離層は、燐光材料を含まない領域を有し、燐光発光層は、燐光材料を含む領域を有する。これにより、分離層と燐光発光層とを燐光材料の有無で蒸着することが可能となる。また、このような構成とすることで、分離層と燐光発光層を同じチャンバーで成膜することが可能となる。これにより、製造コストを削減することができる。
また、発光素子830は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、電荷発生層を介して積層されたEL層を複数有するタンデム素子であってもよい。
発光素子は、一対の防湿性の高い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、発光装置の信頼性の低下を抑制できる。具体的には、上記のように、絶縁層705及び絶縁層715として、防湿性の高い絶縁膜を用いると、発光素子が一対の防湿性の高い絶縁膜の間に位置し、発光装置の信頼性の低下を抑制できる。
絶縁層815としては、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層817、絶縁層817a、及び絶縁層817bとしては、例えば、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン系樹脂等の有機材料をそれぞれ用いることができる。また、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。また、絶縁膜を複数積層させることで、各絶縁層を形成してもよい。
絶縁層821としては、有機絶縁材料又は無機絶縁材料を用いて形成する。樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂等を用いることができる。特に感光性の樹脂材料を用い、下部電極831上に開口部を形成し、その開口部の側壁が曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
スペーサ823は、無機絶縁材料、有機絶縁材料、金属材料等を用いて形成することができる。例えば、無機絶縁材料又は有機絶縁材料としては、上記絶縁層に用いることができる各種材料が挙げられる。金属材料としては、チタン、アルミニウムなどを用いることができる。導電材料を含むスペーサ823と上部電極835とを電気的に接続させる構成とすることで、上部電極835の抵抗に起因した電位降下を抑制できる。また、スペーサ823は、順テーパ形状であっても逆テーパ形状であってもよい。
トランジスタの電極もしくは配線、又は発光素子の補助電極等として機能する、発光装置に用いる導電層は、例えば、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらの元素を含む合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。また、導電層は、導電性の金属酸化物を用いて形成してもよい。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3等)、酸化スズ(SnO2等)、ZnO、ITO、インジウム亜鉛酸化物(In2O3−ZnO等)又はこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
着色層は特定の波長帯域の光を透過する有色層である。例えば、赤色、緑色、青色、又は黄色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。各着色層は、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ法を用いたエッチング方法などでそれぞれ所望の位置に形成する。また、白色の副画素では、発光素子と重ねて透明等の樹脂を配置してもよい。
遮光層は、隣接する着色層の間に設けられている。遮光層は隣接する発光素子からの光を遮光し、隣接する発光素子間における混色を抑制する。ここで、着色層の端部を、遮光層と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。遮光層としては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができ、例えば、金属材料又は顔料もしくは染料を含む樹脂材料を用いてブラックマトリクスを形成することができる。なお、遮光層は、駆動回路部などの発光部以外の領域に設けると、導波光などによる意図しない光漏れを抑制できるため好ましい。
また、着色層及び遮光層を覆うオーバーコートを設けてもよい。オーバーコートを設けることで、着色層に含有された不純物等の発光素子への拡散を防止することができる。オーバーコートは、発光素子からの発光を透過する材料から構成され、例えば窒化シリコン膜、酸化シリコン膜等の無機絶縁膜、又は、アクリル膜、ポリイミド膜等の有機絶縁膜を用いることができ、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造としてもよい。
また、接着層の材料を着色層及び遮光層上に塗布する場合、オーバーコートの材料として接着層の材料に対して濡れ性の高い材料を用いることが好ましい。例えば、オーバーコートとして、ITO膜などの酸化物導電膜、又は、透光性を有する程度に薄いAg膜等の金属膜を用いることが好ましい。
オーバーコートの材料に、接着層の材料に対して濡れ性の高い材料を用いることで、接着層の材料を均一に塗布することができる。これにより、一対の基板を貼り合わせた際に気泡が混入することを抑制でき、表示不良を抑制することができる。
接続体としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、又は異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
前述の通り、本発明の一態様は、発光装置、表示装置、入出力装置等に適用することができる。
例えば、本明細書等において、画素に能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を有するアクティブマトリクス方式、又は画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式を用いることができる。
アクティブマトリクス方式では、トランジスタだけでなく、様々な能動素子を用いることができる。例えば、MIM(Metal Insulator Metal)、又はTFD(Thin Film Diode)などを用いることも可能である。これらの素子は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向上させることができ、低消費電力化や高輝度化を図ることができる。
パッシブマトリクス方式では、能動素子を用いないため、製造工程を少なくすることができ、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、パッシブマトリクス方式では、能動素子を用いないため、開口率を向上させることができ、低消費電力化、又は高輝度化などを図ることができる。
なお、本発明の一態様の発光装置は、表示装置として用いてもよいし、照明装置として用いてもよい。例えば、バックライトやフロントライトなどの光源、つまり、表示装置のための照明装置として活用してもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様を適用して作製することができる入出力装置について図面を用いて説明する。なお、入出力装置が有する構成要素のうち、実施の形態5で説明した発光装置と同様の構成要素については、先の記載も参照することができる。また、本実施の形態では、発光素子を用いたタッチパネルを例示するが、これに限られない。
<構成例1>
図23(A)は入出力装置の上面図である。図23(B)は図23(A)の一点鎖線A−B間及び一点鎖線C−D間の断面図である。図23(C)は図23(A)の一点鎖線E−F間の断面図である。
図23(A)に示すタッチパネル390は、表示部301(入力部も兼ねる)、走査線駆動回路303g(1)、撮像画素駆動回路303g(2)、画像信号線駆動回路303s(1)、及び撮像信号線駆動回路303s(2)を有する。
表示部301は、複数の画素302と、複数の撮像画素308と、を有する。
画素302は、複数の副画素を有する。各副画素は、発光素子及び画素回路を有する。
画素回路は、発光素子を駆動する電力を供給することができる。画素回路は、選択信号を供給することができる配線と電気的に接続される。また、画素回路は、画像信号を供給することができる配線と電気的に接続される。
走査線駆動回路303g(1)は、選択信号を画素302に供給することができる。
画像信号線駆動回路303s(1)は、画像信号を画素302に供給することができる。
撮像画素308を用いてタッチセンサを構成することができる。具体的には、撮像画素308は、表示部301に触れる指等を検知することができる。
撮像画素308は、光電変換素子及び撮像画素回路を有する。
撮像画素回路は、光電変換素子を駆動することができる。撮像画素回路は、制御信号を供給することができる配線と電気的に接続される。また、撮像画素回路は、電源電位を供給することができる配線と電気的に接続される。
制御信号としては、例えば、記録された撮像信号を読み出す撮像画素回路を選択することができる信号、撮像画素回路を初期化することができる信号、及び撮像画素回路が光を検知する時間を決定することができる信号などを挙げることができる。
撮像画素駆動回路303g(2)は、制御信号を撮像画素308に供給することができる。
撮像信号線駆動回路303s(2)は、撮像信号を読み出すことができる。
図23(B)、(C)に示すように、タッチパネル390は、可撓性基板701、接着層703、絶縁層705、可撓性基板711、接着層713、及び絶縁層715を有する。また、可撓性基板701及び可撓性基板711は、接着層360で貼り合わされている。
可撓性基板701と絶縁層705は接着層703で貼り合わされている。また、可撓性基板711と絶縁層715は接着層713で貼り合わされている。基板、接着層、及び絶縁層に用いることができる材料については実施の形態3を参照することができる。
画素302は、副画素302R、副画素302G、及び副画素302Bを有する(図23(C))。また、副画素302Rは発光モジュール380Rを有し、副画素302Gは発光モジュール380Gを有し、副画素302Bは発光モジュール380Bを有する。
例えば副画素302Rは、発光素子350R及び画素回路を有する。画素回路は、発光素子350Rに電力を供給することができるトランジスタ302tを含む。また、発光モジュール380Rは、発光素子350R及び光学素子(例えば赤色の光を透過する着色層367R)を有する。
発光素子350Rは、下部電極351R、EL層353、及び上部電極352をこの順で積層して有する(図23(C))。
EL層353は、第1のEL層353a、中間層354、及び第2のEL層353bをこの順で積層して有する。
なお、特定の波長の光を効率よく取り出せるように、発光モジュール380Rにマイクロキャビティ構造を配設することができる。具体的には、特定の光を効率よく取り出せるように配置された可視光を反射する膜及び半反射・半透過する膜の間にEL層を配置してもよい。
例えば、発光モジュール380Rは、発光素子350Rと着色層367Rに接する接着層360を有する。着色層367Rは発光素子350Rと重なる位置にある。これにより、発光素子350Rが発する光の一部は、接着層360及び着色層367Rを透過して、図中の矢印に示すように発光モジュール380Rの外部に射出される。
タッチパネル390は、遮光層367BMを有する。遮光層367BMは、着色層(例えば着色層367R)を囲むように設けられている。
タッチパネル390は、反射防止層367pを表示部301に重なる位置に有する。反射防止層367pとして、例えば円偏光板を用いることができる。
タッチパネル390は、絶縁層321を有する。絶縁層321はトランジスタ302t等を覆っている。なお、絶縁層321は画素回路又は撮像画素回路に起因する凹凸を平坦化するための層として用いることができる。また、不純物のトランジスタ302t等への拡散を抑制することができる絶縁層で、トランジスタ302tを覆うことが好ましい。
タッチパネル390は、下部電極351Rの端部に重なる隔壁328を有する。また、可撓性基板701と可撓性基板711の間隔を制御するスペーサ329を、隔壁328上に有する。
画像信号線駆動回路303s(1)は、トランジスタ303t及び容量303cを含む。なお、駆動回路は画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。図23(B)に示すようにトランジスタ303tは絶縁層321上に第2のゲート304を有していてもよい。第2のゲート304はトランジスタ303tのゲートと電気的に接続されていてもよいし、これらに異なる電位が与えられていてもよい。また、必要であれば、第2のゲート304をトランジスタ308t又はトランジスタ302t等にそれぞれ設けてもよい。
撮像画素308は、光電変換素子308p及び撮像画素回路を有する。撮像画素回路は、光電変換素子308pに照射された光を検知することができる。撮像画素回路は、トランジスタ308tを含む。例えばpin型のフォトダイオードを光電変換素子308pに用いることができる。
タッチパネル390は、信号を供給することができる配線311を有し、端子319が配線311に設けられている。画像信号及び同期信号等の信号を供給することができるFPC309が端子319に電気的に接続されている。FPC309にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。
なお、トランジスタ302t、トランジスタ303t、トランジスタ308t等のトランジスタは、同一の工程で形成することができる。または、それぞれ異なる工程で形成してもよい。
<構成例2>
図24(A)、(B)は、タッチパネル525の斜視図である。なお明瞭化のため、代表的な構成要素を示す。図25は、図24(A)に示す一点鎖線X1−X2間の断面図である。
図24(A)、(B)に示すように、タッチパネル525は、表示部521、走査線駆動回路303g(1)、及びタッチセンサ595等を有する。また、タッチパネル525は、可撓性基板701、可撓性基板711、及び可撓性基板590を有する。
タッチパネル525は、複数の画素及び複数の配線311を有する。複数の配線311は、画素に信号を供給することができる。複数の配線311は、可撓性基板701の外周部にまで引き回され、その一部が端子319を構成している。端子319はFPC529(1)と電気的に接続する。
タッチパネル525は、タッチセンサ595及び複数の配線598を有する。複数の配線598は、タッチセンサ595と電気的に接続される。複数の配線598は可撓性基板590の外周部に引き回され、その一部は端子を構成する。そして、当該端子はFPC529(2)と電気的に接続される。なお、図24(B)では明瞭化のため、可撓性基板590の裏面側(可撓性基板701と対向する面側)に設けられるタッチセンサ595の電極及び配線等を実線で示している。
タッチセンサ595には、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。ここでは、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用する場合を示す。
投影型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
なお、タッチセンサ595には、指等の検知対象の近接又は接触を検知することができるさまざまなセンサを適用することができる。
投影型静電容量方式のタッチセンサ595は、電極591と電極592を有する。電極591は複数の配線598のいずれかと電気的に接続し、電極592は複数の配線598の他のいずれかと電気的に接続する。
電極592は、図24(A)、(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数の四辺形が角部で接続された形状を有する。
電極591は四辺形であり、電極592が延在する方向と交差する方向に繰り返し配置されている。なお、複数の電極591は、一の電極592と必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
配線594は電極592と交差して設けられている。配線594は、電極592の1つを挟む2つの電極591を電気的に接続する。このとき、電極592と配線594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、光の透過率のムラを低減できる。その結果、タッチセンサ595を透過する光の輝度ムラを低減することができる。
なお、電極591、電極592の形状はこれに限られず、様々な形状を取りうる。
図25(A)に示すように、タッチパネル525は、可撓性基板701、接着層703、絶縁層705、可撓性基板711、接着層713、及び絶縁層715を有する。また、可撓性基板701及び可撓性基板711は、接着層360で貼り合わされている。
接着層597は、タッチセンサ595が表示部521に重なるように、可撓性基板590を可撓性基板711に貼り合わせている。接着層597は、透光性を有する。
電極591及び電極592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
また、電極591、電極592、配線594などの導電膜、つまり、タッチパネルを構成する配線及び電極に用いる材料として、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等を有する透明導電膜(例えば、ITOなど)が挙げられる。また、タッチパネルを構成する配線及び電極に用いる材料は、抵抗値が低いことが好ましい。一例として、銀、銅、アルミニウム、カーボンナノチューブ、グラフェン、ハロゲン化金属(ハロゲン化銀など)などを用いてもよい。さらに、非常に細くした(例えば、直径が数ナノメートル)、複数の導電体を用いて構成される金属ナノワイヤを用いてもよい。または、導電体を網目状にした金属メッシュを用いてもよい。一例としては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、Alナノワイヤ、Agメッシュ、Cuメッシュ、Alメッシュなどを用いてもよい。例えば、タッチパネルを構成する配線又は電極にAgナノワイヤを用いる場合、可視光において透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/□以上100Ω/□以下とすることができる。また、前述したタッチパネルを構成する配線又は電極に用いることのできる材料の一例である、金属ナノワイヤ、金属メッシュ、カーボンナノチューブ、グラフェンなどは、可視光において透過率が高いため、表示素子に用いる電極(例えば、画素電極または共通電極など)として用いてもよい。
透光性を有する導電性材料を可撓性基板590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去して、電極591及び電極592を形成することができる。
電極591及び電極592は絶縁層593で覆われている。また、電極591に達する開口が絶縁層593に設けられ、配線594が隣接する電極591を電気的に接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高めることができるため、配線594に好適に用いることができる。また、電極591及び電極592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線594に好適に用いることができる。
なお、絶縁層593及び配線594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ595を保護することができる。
また、接続層599は、配線598とFPC529(2)を電気的に接続する。
表示部521は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。画素は、構成例1と同様であるため、説明を省略する。
なお、図25(B)に示すように、可撓性基板590を用いず、可撓性基板701及び可撓性基板711の2枚の基板でタッチパネルを構成してもよい。可撓性基板711と絶縁層715が接着層713で貼り合わされており、絶縁層715に接してタッチセンサ595が設けられている。タッチセンサ595を覆う絶縁層589に接して、着色層367R及び遮光層367BMが設けられている。絶縁層589を設けず、着色層367R又は遮光層367BMを配線594に接して設けてもよい。
<構成例3>
図26は、タッチパネル525Bの断面図である。本実施の形態で説明するタッチパネル525Bは、供給された画像情報をトランジスタが設けられている側に表示する点及びタッチセンサが表示部の可撓性基板701側に設けられている点が、構成例2のタッチパネル525とは異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、上記の説明を援用する。
着色層367Rは発光素子350Rと重なる位置にある。また、図26(A)に示す発光素子350Rは、トランジスタ302tが設けられている側に光を射出する。これにより、発光素子350Rが発する光の一部は着色層367Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール380Rの外部に射出される。
タッチパネル525Bは、光を射出する方向に遮光層367BMを有する。遮光層367BMは、着色層(例えば着色層367R)を囲むように設けられている。
タッチセンサ595は、可撓性基板711側でなく、可撓性基板701側に設けられている(図26(A))。
接着層597は、タッチセンサ595が表示部に重なるように、可撓性基板590を可撓性基板701に貼り合わせている。接着層597は、透光性を有する。
なお、ボトムゲート型のトランジスタを表示部521に適用する場合の構成を、図26(A)、(B)に示す。
例えば、酸化物半導体、アモルファスシリコン等を含む半導体層を、図26(A)に示すトランジスタ302t及びトランジスタ303tに適用することができる。
例えば、多結晶シリコン等を含む半導体層を、図26(B)に示すトランジスタ302t及びトランジスタ303tに適用することができる。
また、トップゲート型のトランジスタを適用する場合の構成を、図26(C)に示す。
例えば、多結晶シリコン又は単結晶シリコン基板等から転置された単結晶シリコン膜等を含む半導体層を、図26(C)に示すトランジスタ302t及びトランジスタ303tに適用することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器及び照明装置について、図面を用いて説明する。
本発明の一態様の発光装置、表示装置、又は入出力装置等を用いて、信頼性の高い電子機器又は照明装置を作製できる。また、本発明の一態様の発光装置、表示装置、又は入出力装置等を用いて、曲面又は可撓性を有し、信頼性の高い電子機器又は照明装置を作製できる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、本発明の一態様の電子機器又は照明装置は可撓性を有するため、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
また、本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を用いて、二次電池を充電することができると好ましい。
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイオンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器が二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
図27(A)、(B)、(C1)、(C2)、(D)、(E)に、湾曲した表示部7000を有する電子機器の一例を示す。表示部7000はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。なお、表示部7000は可撓性を有していてもよい。
表示部7000は、本発明の一態様の発光装置、表示装置、又は入出力装置等を用いて作製される。
本発明の一態様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供できる。
図27(A)に携帯電話機の一例を示す。携帯電話機7100は、筐体7101、表示部7000、操作ボタン7103、外部接続ポート7104、スピーカ7105、マイク7106等を有する。
図27(A)に示す携帯電話機7100は、表示部7000にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部7000に触れることで行うことができる。
また、操作ボタン7103の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部7000に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
図27(B)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7200は、筐体7201に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7203により筐体7201を支持した構成を示している。
図27(B)に示すテレビジョン装置7200の操作は、筐体7201が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7211により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7211は、当該リモコン操作機7211から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7211が備える操作キー又はタッチパネルにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
なお、テレビジョン装置7200は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図27(C1)、(C2)、(D)、(E)に携帯情報端末の一例を示す。各携帯情報端末は、筐体7301及び表示部7000を有する。さらに、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク、アンテナ、又はバッテリ等を有していてもよい。表示部7000にはタッチセンサを備える。携帯情報端末の操作は、指やスタイラスなどで表示部7000に触れることで行うことができる。
図27(C1)は、携帯情報端末7300の斜視図であり、図27(C2)は携帯情報端末7300の上面図である。図27(D)は、携帯情報端末7310の斜視図である。図27(E)は、携帯情報端末7320の斜視図である。
本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとしてそれぞれ用いることができる。本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
携帯情報端末7300、携帯情報端末7310及び携帯情報端末7320は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、図27(C1)、(D)に示すように、3つの操作ボタン7302を一の面に表示し、矩形で示す情報7303を他の面に表示することができる。図27(C1)、(C2)では、携帯情報端末の上側に情報が表示される例を示し、図27(D)では、携帯情報端末の横側に情報が表示される例を示す。また、携帯情報端末の3面以上に情報を表示してもよく、図27(E)では、情報7304、情報7305、情報7306がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。
なお、情報の例としては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の通知、電子メールや電話などの着信を知らせる表示、電子メールなどの題名もしくは送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報が表示されている位置に、情報の代わりに、操作ボタン、アイコンなどを表示してもよい。
例えば、携帯情報端末7300の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末7300を収納した状態で、その表示(ここでは情報7303)を確認することができる。
具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末7300の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末7300をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
図27(F)〜(H)に、湾曲した発光部を有する照明装置の一例を示している。
図27(F)〜(H)に示す各照明装置が有する発光部は、本発明の一態様の発光装置等を用いて作製される。
本発明の一態様により、湾曲した発光部を備え、且つ信頼性の高い照明装置を提供できる。
図27(F)に示す照明装置7400は、波状の発光面を有する発光部7402を備える。したがってデザイン性の高い照明装置となっている。
図27(G)に示す照明装置7410の備える発光部7412は、凸状に湾曲した2つの発光部が対称的に配置された構成となっている。したがって照明装置7410を中心に全方位を照らすことができる。
図27(H)に示す照明装置7420は、凹状に湾曲した発光部7422を備える。したがって、発光部7422からの発光を、照明装置7420の前面に集光するため、特定の範囲を明るく照らす場合に適している。また、このような形態とすることで、影ができにくいとう効果を奏する。
また、照明装置7400、照明装置7410及び照明装置7420の備える各々の発光部は可撓性を有していてもよい。発光部を可塑性の部材や可動なフレームなどの部材で固定し、用途に合わせて発光部の発光面を自在に湾曲可能な構成としてもよい。
照明装置7400、照明装置7410及び照明装置7420は、それぞれ、操作スイッチ7403を備える台部7401と、台部7401に支持される発光部を有する。
なおここでは、台部によって発光部が支持された照明装置について例示したが、発光部を備える筐体を天井に固定する、又は天井からつり下げるように用いることもできる。発光面を湾曲させて用いることができるため、発光面を凹状に湾曲させて特定の領域を明るく照らす、又は発光面を凸状に湾曲させて部屋全体を明るく照らすこともできる。
図28(A1)、(A2)、(B)〜(I)に、可撓性を有する表示部7001を有する携帯情報端末の一例を示す。
表示部7001は、本発明の一態様の発光装置、表示装置、又は入出力装置等を用いて作製される。例えば、曲率半径0.01mm以上150mm以下で曲げることができる発光装置、表示装置、又は入出力装置等を適用できる。また、表示部7001はタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7001に触れることで携帯情報端末を操作することができる。
本発明の一態様により、可撓性を有する表示部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供できる。
図28(A1)は、携帯情報端末の一例を示す斜視図であり、図28(A2)は、携帯情報端末の一例を示す側面図である。携帯情報端末7500は、筐体7501、表示部7001、引き出し部材7502、操作ボタン7503等を有する。
携帯情報端末7500は、筐体7501内にロール状に巻かれた可撓性を有する表示部7001を有する。
また、携帯情報端末7500は内蔵された制御部によって映像信号を受信可能で、受信した映像を表示部7001に表示することができる。また、携帯情報端末7500にはバッテリが内蔵されている。また、筐体7501にコネクターを接続する端子部を備え、映像信号や電力を有線により外部から直接供給する構成としてもよい。
また、操作ボタン7503によって、電源のON、OFF動作や表示する映像の切り替え等を行うことができる。なお、図28(A1)、(A2)、(B)では、携帯情報端末7500の側面に操作ボタン7503を配置する例を示すが、これに限られず、携帯情報端末7500の表示面と同じ面(おもて面)や、裏面に配置してもよい。
図28(B)には、表示部7001を引き出した状態の携帯情報端末7500を示す。この状態で表示部7001に映像を表示することができる。表示部7001は、引き出し部材7502を用いて引き出すことができる。また、表示部7001の一部がロール状に巻かれた図28(A1)の状態と表示部7001を引き出した図28(B)の状態とで、携帯情報端末7500が異なる表示を行う構成としてもよい。例えば、図28(A1)の状態のときに、表示部7001のロール状に巻かれた部分を非表示とすることで、携帯情報端末7500の消費電力を下げることができる。
なお、表示部7001を引き出した際に表示部7001の表示面が平面状となるように固定するため、表示部7001の側部に補強のためのフレームを設けていてもよい。
なお、この構成以外に、筐体にスピーカを設け、映像信号と共に受信した音声信号によって音声を出力する構成としてもよい。
図28(C)〜(E)に、折りたたみ可能な携帯情報端末の一例を示す。図28(C)では、展開した状態、図28(D)では、展開した状態又は折りたたんだ状態の一方から他方に変化する途中の状態、図28(E)では、折りたたんだ状態の携帯情報端末7600を示す。携帯情報端末7600は、折りたたんだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により一覧性に優れる。
表示部7001はヒンジ7602によって連結された3つの筐体7601に支持されている。ヒンジ7602を介して2つの筐体7601間を屈曲させることにより、携帯情報端末7600を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。
図28(F)、(G)に、折りたたみ可能な携帯情報端末の一例を示す。図28(F)では、表示部7001が内側になるように折りたたんだ状態、図28(G)では、表示部7001が外側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末7650を示す。携帯情報端末7650は表示部7001及び非表示部7651を有する。携帯情報端末7650を使用しない際に、表示部7001が内側になるように折りたたむことで、表示部7001の汚れや傷つきを抑制できる。
図28(H)に、可撓性を有する携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7700は、筐体7701及び表示部7001を有する。さらに、入力手段であるボタン7703a、7703b、音声出力手段であるスピーカ7704a、7704b、外部接続ポート7705、マイク7706等を有していてもよい。また、携帯情報端末7700は、可撓性を有するバッテリ7709を搭載することができる。バッテリ7709は例えば表示部7001と重ねて配置してもよい。
筐体7701、表示部7001、及びバッテリ7709は可撓性を有する。そのため、携帯情報端末7700を所望の形状に湾曲させることや、携帯情報端末7700に捻りを加えることが容易である。例えば、携帯情報端末7700は、表示部7001が内側又は外側になるように折り曲げて使用することができる。または、携帯情報端末7700をロール状に巻いた状態で使用することもできる。このように、筐体7701及び表示部7001を自由に変形することが可能であるため、携帯情報端末7700は、落下した場合、又は意図しない外力が加わった場合であっても、破損しにくいという利点がある。
また、携帯情報端末7700は軽量であるため、筐体7701の上部をクリップ等で把持してぶら下げて使用する、又は、筐体7701を磁石等で壁面に固定して使用するなど、様々な状況において利便性良く使用することができる。
図28(I)に腕時計型の携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7800は、バンド7801、表示部7001、入出力端子7802、操作ボタン7803等を有する。バンド7801は、筐体としての機能を有する。また、携帯情報端末7800は、可撓性を有するバッテリ7805を搭載することができる。バッテリ7805は例えば表示部7001やバンド7801と重ねて配置してもよい。
バンド7801、表示部7001、及びバッテリ7805は可撓性を有する。そのため、携帯情報端末7800を所望の形状に湾曲させることが容易である。
操作ボタン7803は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7800に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7803の機能を自由に設定することもできる。
また、表示部7001に表示されたアイコン7804に指等で触れることで、アプリケーションを起動することができる。
また、携帯情報端末7800は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
また、携帯情報端末7800は入出力端子7802を有していてもよい。入出力端子7802を有する場合、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7802を介して充電を行うこともできる。なお、本実施の形態で例示する携帯情報端末の充電動作は、入出力端子を介さずに非接触電力伝送により行ってもよい。
図29(A)に自動車9700の外観を示す。図29(B)に自動車9700の運転席を示す。自動車9700は、車体9701、車輪9702、ダッシュボード9703、ライト9704等を有する。本発明の一態様の表示装置又は入出力装置等は、自動車9700の表示部などに用いることができる。例えば、図29(B)に示す表示部9710乃至表示部9715に本発明の一態様の表示装置又は入出力装置等を設けることができる。
表示部9710と表示部9711は、自動車のフロントガラスに設けられた表示装置である。本発明の一態様の表示装置又は入出力装置等は、電極及び配線を、透光性を有する導電性材料で作製することによって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態とすることができる。表示部9710又は表示部9711がシースルー状態であれば、自動車9700の運転時にも視界の妨げになることがない。よって、本発明の一態様の表示装置又は入出力装置等を自動車9700のフロントガラスに設置することができる。なお、表示装置又は入出力装置等を駆動するためのトランジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料を用いた有機トランジスタ、又は酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いるとよい。
表示部9712はピラー部分に設けられた表示装置である。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9712に映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。表示部9713はダッシュボード部分に設けられた表示装置である。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9713に映し出すことによって、ダッシュボードで遮られた視界を補完することができる。すなわち、自動車の外側に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。
また、図29(C)は、運転席と助手席にベンチシートを採用した自動車の室内を示している。表示部9721は、ドア部に設けられた表示装置である。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9721に映し出すことによって、ドアで遮られた視界を補完することができる。また、表示部9722は、ハンドルに設けられた表示装置である。表示部9723は、ベンチシートの座面の中央部に設けられた表示装置である。なお、表示装置を座面や背もたれ部分などに設置して、当該表示装置を、当該表示装置の発熱を熱源としたシートヒーターとして利用することもできる。
表示部9714、表示部9715、または表示部9722はナビゲーション情報、スピードメーターやタコメーター、走行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他様々な情報を提供することができる。また、表示部に表示される表示項目及びレイアウトなどは、使用者の好みに合わせて適宜変更することができる。なお、上記情報は、表示部9710乃至表示部9713、表示部9721、表示部9723にも表示することができる。また、表示部9710乃至表示部9715、表示部9721乃至表示部9723は照明装置として用いることも可能である。また、表示部9710乃至表示部9715、表示部9721乃至表示部9723は加熱装置として用いることも可能である。
本発明の一態様の発光装置、表示装置、又は入出力装置等が適用される表示部は平面であってもよい。この場合、本発明の一態様の発光装置、表示装置、又は入出力装置等は、曲面や可撓性を有さない構成であってもよい。
図29(D)に示す携帯型ゲーム機は、筐体9801、筐体9802、表示部9803、表示部9804、マイクロフォン9805、スピーカ9806、操作キー9807、スタイラス9808等を有する。
図29(D)に示す携帯型ゲーム機は、2つの表示部(表示部9803と表示部9804)を有する。なお、本発明の一態様の電子機器が有する表示部の数は、2つに限定されず1つであっても3つ以上であってもよい。電子機器が複数の表示部を有する場合、少なくとも1つの表示部が本発明の一態様の発光装置、表示装置、又は入出力装置等を有する。
図29(E)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体9821、表示部9822、キーボード9823、ポインティングデバイス9824等を有する。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、本発明の一態様の剥離装置について、図30及び図31を用いて説明する。
図30(A)に示す剥離装置は、実施の形態1で説明した図4の剥離装置と同様の構成を有する。なお、図30及び図31は、剥離装置に加工部材が搬入されていないときの写真である。
具体的には、図30(A)に示す剥離装置は、テープリール602、第1の巻き取りリール603、方向転換ローラ604、第1の押圧ローラ606、テンションローラ608、キャリアプレート609、第2の巻き取りリール613、乾燥機構614、ローラ617、イオナイザ620、及びイオナイザ622等を有する。
図30(A)における領域Z1について、図30(B)に示し、領域Z2について、図31(A)に示し、領域Z3について、図31(B)に示す。
図30(B)に示すように、支持体601は、第1の押圧ローラ606に届く前は、搬送機構から十分に離れた高さで送られている。そのため、第1の押圧ローラ606によって支持体601が加工部材に貼られる前に、支持体601と加工部材が接触することが抑制できる。また、図30(B)に示すように、ガイドローラ632は、支持体601に張力を加えることができる構成である。
図31(A)、(B)に示すように、第1の押圧ローラ606が支持体601を折り返す角度を、ローラ617によって制御することができる。具体的には、ローラ617がレールに沿って移動することで、第1の押圧ローラ606が支持体601を折り返す角度を、変化させることができる。