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JP6812642B2 - 水性分散体の製造方法 - Google Patents

水性分散体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性分散体及びその製造方法に関する。
塗料分野においては、環境保全、安全衛生の面から、有機溶剤系塗料から水性塗料への変換が図られている。
しかし、水性塗料は有機溶剤系塗料に比べて、硬度、外観、耐湿性、付着性などの塗膜性能が低いという問題があり、これらの課題の解決を目的とした水性塗料の開発が行われている。さらに、塗装工程で用いるスプレーなどの塗工設備を洗浄する際も有機溶剤を使用しないことが望ましく、水性塗料には水による優れた洗浄性も要求されている。
水性塗料は、水性溶媒中に樹脂組成物が粒子状に分散した水性分散体である。一般に、樹脂組成物の粒子径及び分布が、貯蔵安定性等の塗料特性や塗膜特性に大きな影響を与えることが知られており、シャープな粒子径分布を有することが好ましい。シャープな粒子径分布を得る方法として、転相法を用いることが知られている。転相法とは、単量体を有機溶剤中で重合し、これを水性媒体中に分散させる方法である。
例えば特許文献1には、ヒドロキシ基含有ラジカル重合性単量体と、それ以外のラジカル重合性単量体とを共重合して得られる重合体を含有する水性分散体を転相法により製造する方法が開示されている。
特許文献2には、ヒドロキシ基を含まないスチレンアクリル酸樹脂を転相法により製造する方法が開示されており、実施例では有機溶剤に溶解した60℃の樹脂溶液に60℃のイオン交換水を加えている。
特開2015−124277号公報 特開平8−319430号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、シャープな粒子径分布の重合体を含む水性分散体を得ることは困難であった。
また、特許文献2では、重合体にヒドロキシ基を含まないので水性塗料の貯蔵安定性が不十分であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、シャープな粒子径分布を有するヒドロキシ基含有重合体を含む水性分散体及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] ラジカル重合性単量体の総質量に対して、ヒドロキシ基含有ラジカル重合性単量体(a)5〜50質量%、前記単量体(a)以外の単量体であってカルボキシ基を含有するラジカル重合性単量体(b)0.1〜10質量%、並びに前記単量体(a)及び単量体(b)以外のラジカル重合性単量体(c)40〜94.9質量%を有機溶剤の存在下で共重合して重合体溶液を得る工程(1)と、得られた重合体溶液と塩基性物質とを混合し、中和重合体溶液を得る工程(2)と、得られた中和重合体溶液に水を添加し、水性分散体を得る工程(3)とを含み、前記工程(3)において、中和重合体溶液の温度(Ti)を50〜90℃とし、中和重合体溶液の温度(Ti)と中和重合体溶液に添加する水の温度(To)との温度差(Ti−To)を−10〜10℃とする、水性分散体の製造方法。
[2] 前記工程(3)において、中和重合体溶液に水を添加する時間を0.1時間以上2時間未満とする、[1]に記載の水性分散体の製造方法。
[3] 前記工程(3)の後に、水性分散体に多価アルコールを添加する工程(4)をさらに含む、[1]又は[2]に記載の水性分散体の製造方法。
[4] 前記工程(3)において、中和重合体溶液に添加する水の温度(To)を中和重合体溶液への水の投入口から0.2m以内の位置で測定する、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の水性分散体の製造方法。
[5] 前記工程(1)を多段滴下重合で行う、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の水性分散体の製造方法。
[6] 前記水性分散体は、平均粒子径(A)が100〜200nmであり、粒子径分布の標準偏差(σ)と平均粒子径(A)との比(σ/A×100)が30%以下である重合体粒子を含む、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の水性分散体の製造方法。
[7] 前記工程(3)において、前記温度差(Ti−To)を−5〜5℃とする、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の水性分散体の製造方法。
[8] 平均粒子径(A)が100〜200nmであり、粒子径分布の標準偏差(σ)と平均粒子径(A)との比(σ/A×100)が30%以下である重合体粒子を含み、前記重合体粒子は、ヒドロキシ基含有ラジカル重合性単量体(a)単位と、前記単量体(a)以外の単量体であってカルボキシ基を含有するラジカル重合性単量体(b)単位と、前記単量体(a)及び単量体(b)以外のラジカル重合性単量体(c)単位とを含む、水性分散体。
本発明によれば、シャープな粒子径分布を有するヒドロキシ基含有重合体を含む水性分散体及びその製造方法を提供できる。
工程(3)に用いる分散装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
本発明の水性分散体の製造方法は、以下に示す工程(1)と、工程(2)と、工程(3)とを含む。水性分散体の製造方法は、以下に示す工程(4)をさらに含むことが好ましい。これは、一般的に転相法と呼ばれる方法の一種である。
[工程(1)]
工程(1)は、ヒドロキシ基含有ラジカル重合性単量体(a)(以下、単に「単量体(a)」という。)と、単量体(a)以外のラジカル重合性単量体であってカルボキシ基を含有する単量体(b)(以下、単に「単量体(b)」という。)と、単量体(a)及び単量体(b)以外のラジカル重合性単量体(c)(以下、単に「単量体(c)」という。)を有機溶剤の存在下で共重合して重合体溶液を得る工程である。
<単量体(a)>
単量体(a)は、ヒドロキシ基含有ラジカル重合性単量体であり、得られる重合体にヒドロキシ基を導入するためのものである。
単量体(a)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−メチル−4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−メチル−4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;アリルグリコール等の水酸基含有アリル化合物などが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
工程(1)における単量体(a)の使用量は、後述する単量体(b)及び単量体(c)を含めた工程(1)で使用する全てのラジカル重合性単量体の総質量(以下、単に「ラジカル重合性単量体の総質量」という。)に対して、5〜50質量%であり、7〜45質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。単量体(a)の使用量が、上記下限値以上であれば得られる水性分散体の貯蔵安定性が向上し、上記上限値以下であれば水性分散体より形成される塗膜の耐湿性が向上する。
<単量体(b)>
単量体(b)は、単量体(a)以外の単量体であってカルボキシ基を含有するラジカル重合性単量体(カルボキシ基含有ラジカル重合性単量体)である。
単量体(b)としては、例えばメタクリル酸、アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ブチルエステルなどが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
工程(1)における単量体(b)の使用量は、ラジカル重合性単量体の総質量に対して、0.1〜10質量%であり、0.5〜5質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。単量体(b)の使用量が、上記下限値以上であれば得られる水性分散体の貯蔵安定性が向上し、上記上限値以下であれば水性分散体より形成される塗膜の耐湿性が向上する。
<単量体(c)>
単量体(c)は、単量体(a)及び単量体(b)以外のラジカル重合性単量体である。
単量体(c)としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類;N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ置換アミド類;グリシジル(メタ)アクリレート、メタリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和塩基性単量体類などが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
工程(1)における単量体(c)の使用量は、ラジカル重合性単量体の総質量に対して、40〜94.9質量%であり、50〜94.9質量%が好ましく、55〜90質量%がより好ましく、60〜90質量%がさらに好ましい。単量体(c)の使用量が、上記下限値以上であれば水性分散体より形成される塗膜の耐湿性が向上し、上記上限値以下であれば得られる水性分散体の貯蔵安定性が向上する。
<有機溶剤>
工程(1)で用いられる有機溶剤としては特に限定されないが、水溶性の有機溶剤が好ましく、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピルプロピレンジグリコール、ブチルプロピレンジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルジグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶剤などが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
工程(1)における有機溶剤の使用量は特に限定されないが、ラジカル重合性単量体の総質量100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。有機溶剤の使用量が上記下限値以上であれば、工程(1)で得られる重合体溶液の粘度が低くなる傾向にあり、工程(2)や工程(3)での攪拌や混合が容易となる。一方、有機溶剤の使用量が上記上限値以下であれば、水性分散体中の樹脂成分の濃度が高くなる傾向にあるため、厚い塗膜を容易に得ることができる。
<共重合>
工程(1)では、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)を溶液重合法により共重合することが好ましい。
重合温度(反応温度)は、70〜200℃が好ましく、90℃〜170℃がより好ましい。重合温度が上記範囲内であれば分子量を制御しやすい。
重合時間(反応時間)は、1〜10時間が好ましく、1〜6時間がより好ましい。
共重合の際には、分子量の制御のために、重合温度まで加温された有機溶剤中へラジカル重合性単量体、重合開始剤、有機溶剤を滴下することが好ましく、これらは混合物として滴下することがより好ましい。また、連鎖移動剤を併用してもよい。重合温度まで加温された有機溶剤中には、ラジカル重合性単量体を滴下する前に予めラジカル重合性単量体を仕込んでおいてもよい。
また、ラジカル重合性単量体の滴下は2段階以上の多段階で行ってもよい(多段滴下重合)。多段滴下重合は、ラジカル重合性単量体の共重合性の制御が容易になるので好ましい。多段滴下重合でラジカル重合性単量体を共重合する場合の単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)の使用量は、全ての段階での各単量体の使用量の合計が前記の範囲となるようする。
(重合開始剤)
工程(1)では、一般的にラジカル重合に用いられる重合開始剤を使用できる。
重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)及びその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}及びその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)及びその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]及びその塩類等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類などが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
(連鎖移動剤)
工程(1)では、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を使用できる。
連鎖移動剤としては、例えばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、付加開裂型連鎖移動剤であるα−メチルスチレンダイマーが好ましい。特に、α−メチルスチレンダイマーを多段滴下重合の一段目に使用することで、相異なる組成のラジカル重合性単量体からなるポリマー鎖同士をグラフト化することができ、水性分散体の貯蔵安定性や、水性分散体より形成される塗膜の外観を向上させることができる。
<質量平均分子量>
単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)を共重合して得られる重合体は、有機溶剤に溶解した状態、すなわち重合体溶液として得られる。
この重合体の質量平均分子量は、5000〜4万が好ましく、5000〜1万5000がより好ましい。質量平均分子量が、上記下限値以上であれば水性分散体より形成される塗膜の耐湿性がより向上し、上記上限値以下であれば塗膜の光沢性がより高まる。
なお、重合体の質量平均分子量は、濃度が0.3質量%になるように重合体のテトラヒドロフラン溶液を調製し、この溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)用装置に10μL注入し、流速:0.35mL/分、溶離液:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の条件下で、GPC法により測定した分子量をポリスチレン換算したものである。
重合体の質量平均分子量を測定する際は、重合体溶液や中和重合体溶液にテトラヒドロフランを加えてテトラヒドロフラン溶液を調製してもよいが、未反応のラジカル重合性単量体及び有機溶剤等が測定の障害になる場合は適宜これらを減圧留去して重合体を回収して測定に用いればよい。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)で得られた重合体溶液と塩基性物質とを混合し、中和重合体溶液を得る工程である。
工程(2)では、工程(1)で得られた重合体溶液に含まれる重合体のカルボキシ基の少なくとも一部を塩基性物質で中和する。本明細書において、塩基性物質で中和された重合体を「中性重合体」ともいう。
重合体溶液と塩基性物質の混合は、重合体溶液に塩基性物質を加える方法が好ましく、塩基性物質を滴下で加える方法がより好ましい。
<塩基性物質>
塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の無機塩基性物質;アミン等の有機化合物などが挙げられる。これらの中でも、塗膜物性を良好に保つ点で、有機化合物が好ましく、特にアミンが好ましい。
アミンとしては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリンなどが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
工程(2)における塩基性物質の使用量は、中和度(すなわち、塩基性物質の酸(重合体のカルボキシ基)に対するモル比)が40〜150%となる量が好ましく、より好ましくは60〜120%となる量である。
[工程(3)]
工程(3)は、工程(2)で得られた中和重合体溶液に水(以下、「添加水」ともいう。)を添加し、水性分散体を得る工程である。水性分散体は、中和重合体が水に分散したものである。
中和重合体溶液への水の添加は、攪拌している中和重合体溶液に水を添加することが好ましく、温度制御の観点から水は徐々に添加することがより好ましい。
ここで、中和重合体溶液への水の添加の一例について、図1を参照しながら詳細に説明する。
図1は、工程(3)で用いる分散装置の一例を示す概略構成図である。
この例の分散装置10は、添加水タンク11と、添加水ポンプ12と、熱交換器13と、添加水温度計14と、攪拌機15と、中和樹脂溶液温度計16と、熱媒ジャケット付きタンク17とを備える。
分散装置10では、水は添加水タンク11から添加水ポンプ12により、熱交換器13で加温され、中和樹脂溶液を収容した熱媒ジャケット付きタンク17に添加される。添加水の加熱は、添加水タンク11自体を温める方法でもよいが、図1に示す分散装置10のように、添加水供給配管18の途中に熱交換器13を設ける方が水添加直前の温度制御が容易になるので好ましい。
水を添加している間の中和重合体溶液の温度(Ti)は、50〜90℃であり、60〜85℃が好ましい。温度(Ti)が上記下限値以上であれば、中和重合体溶液の粘度が低下して攪拌しやすくなり、添加水との混合が容易となる。一方、温度(Ti)が上記上限値以下であれば、中和重合体溶液へ添加した水の蒸発や沸騰を防止でき、中和重合体が大きな塊となるのを抑制できる。
ここで、中和重合体溶液の温度(Ti)とは、水を添加している間の平均温度(時間平均温度)のことである。
水を添加している間の中和重合体溶液の温度の最高温度と最低温度の差は4℃以内であることが好ましい。この温度差が小さいほど、よりシャープな粒子径分布を有する重合体を含む水性分散体が得られやすくなる。
前記温度(Ti)と中和重合体溶液に添加する水の温度(To)との温度差(Ti−To)は、−10〜10℃である。温度差(Ti−To)が上記範囲内であれば、シャープな粒子径分布を有する重合体を含む水性分散体が得られる。粒子径分布をよりシャープなものとするには、温度差(Ti−To)を−5〜5℃とすることが好ましい。
水を添加している間の添加水の温度の最高温度と最低温度の差は4℃以内であることが好ましい。この温度差が小さいほど、よりシャープな粒子径分布を有する重合体を含む水性分散体が得られやすくなる。
中和重合体溶液に水を添加する時間(添加時間)は、0.1時間以上2時間未満が好ましく、0.25〜1時間がより好ましい。添加時間が、上記下限値以上であれば添加水ポンプ12及び熱交換器13の大型化を避けることができ、上記上限値以下であれば水性分散体の生産性が良好となる。
添加水の温度は、中和重合体溶液への水の投入口から0.2m以内の位置で測定することが好ましい。すなわち、図1に示す分散装置10の場合、添加水温度計14は熱媒ジャケット付きタンク17の開口部17aから、その上流側0.2m以内の添加水供給配管18に設置することが好ましい。開口部17aから添加水温度計14までの距離が短いほど、温度を測定してから熱媒ジャケット付きタンク17へ添加するまでの間に水の温度が低下しにくく、水の温度をより正確に測定できる。よって、添加水の温度管理が容易となる。
[工程(4)]
工程(4)は、工程(3)で得られた水性分散体に多価アルコールを添加する工程である。
水性分散体に多価アルコールを添加すると、水性分散体の貯蔵安定性と水洗浄性がより向上する。
多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、塗膜が軟化し過ぎず、塗膜の耐溶剤性を維持できるエチレングリコール、グリセリンが好ましい。
多価アルコールの添加量は、水性分散体中の中性重合体100質量部に対して、3〜50質量部が好ましく、15〜50質量部がより好ましい。多価アルコールの添加量が、上記下限値以上であれば得られる水性分散体の貯蔵安定性と水洗浄性がより向上し、上記上限値以下であれば環境保全、安全衛生の観点から好ましい。
[水性分散体]
このようにして得られる水性分散体に含まれる中性重合体は粒子状である。以下、水性分散体に含まれる中性重合体を「重合体粒子」ともいう。
重合体粒子は、前記単量体(a)単位と、前記単量体(b)単位と、前記単量体(c)単位とを含む。
重合体粒子の平均粒子径(A)は、100〜200nmが好ましく、110〜180nmがより好ましい。重合体粒子の平均粒子径(A)が、上記下限値以上であれば水性分散体の粘度が低下して取扱いが良好となり、上記上限値以下であれば水性分散体の貯蔵安定性がより向上する。
水性分散体の平均粒子径(A)は、例えば、工程(3)での中和重合体溶液の温度を調節することで制御できる。
なお、重合体粒子の平均粒子径(A)及び粒子径分布は、動的光散乱法によって得られた散乱強度基準の粒子径及び粒子径分布のことであり、水に分散した状態で測定できる。
水性分散体は、重合体粒子中のヒドロキシ基と架橋性を有する架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤を含むことで、水性分散体を水性被覆材として使用した場合、耐湿性や表面硬度などの塗膜性能がより向上する。
架橋剤としては、メラミン系、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系等の架橋性化合物が挙げられる。これらの中でも、安定性等の観点から、メラミン系、イソシアネート系架橋剤が好ましい。特に反応温度、塗膜物性の点でポリイソシアネート系架橋剤がより好ましく、水溶性又は水分散タイプのポリイソシアネート系架橋剤がさらに好ましい。
架橋剤の含有量は、重合体粒子に含まれるヒドロキシ基1当量に対して、イソシアネートなどの架橋性化合物の当量が0.3〜2当量となる量が好ましい。
水性分散体は、重合体粒子、多価アルコール及び架橋剤以外の成分をさらに含んでいてもよい。このような成分としては、例えば顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、造膜助剤などの各種添加剤が挙げられる。
さらに、水性分散体は、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂等の他の水分散性樹脂や水溶性樹脂を含んでいてもよい。
[作用効果]
以上説明した本発明の水性分散体の製造方法によれば、上述した工程(1)、工程(2)及び工程(3)を含むので、シャープな粒子径分布を有するヒドロキシ基含有重合体を含む水性分散体を製造できる。具体的には、前記単量体(a)単位と、前記単量体(b)単位と、前記単量体(c)単位と含み、平均粒子径(A)が100〜200nmであり、粒子径分布の標準偏差(σ)と平均粒子径(A)との比(σ/A×100)が30%以下である重合体粒子を含む水性分散体を製造できる。
本発明の水性分散体は、シャープな粒子径分布を有するヒドロキシ基含有重合体を含むので、貯蔵安定性等の塗料特性に優れるとともに、硬度、外観、耐湿性、付着性などの塗膜特性に優れる塗膜を形成できる。
本発明の水性分散体は、例えば水性被覆材等の水性塗料として好適である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、特にことわりのない限り、本実施例における「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
[製造例1]
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置及び滴下ポンプを備えたフラスコに、表1に記載の仕込み混合物を仕込み、フラスコの内温を144℃に昇温した後に表1に記載の第1単量体混合物を3時間かけて滴下した。その間、内温を144℃に維持した。
滴下終了後もフラスコの内温を維持し、0.5時間後にt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油株式会社製、商品名:「パーブチルI」)0.05部とジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)0.05部の混合物をフラスコに投入した。その後も内温を維持し、0.5時間後に、表1に記載の第2単量体混合物を0.5時間かけて滴下した。その間も内温を144℃に維持した。
滴下終了後もフラスコの内温を144℃に維持し、0.5時間後にt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.05部とDPM0.05部の混合物をフラスコに投入し、さらに0.5時間内温を維持し、重合体溶液を得た(工程(1))。
その後、内温を120℃まで冷却し、2−ジメチルアミノエタノール2.8部を0.25時間かけてフラスコに滴下した。滴下後、内温を室温まで冷却し、中和重合体溶液(a)を得た(工程(2))。
中和重合体溶液(a)に含まれる中性重合体の質量平均分子量を下記条件により測定したところ、7500であった。
<測定条件>
測定装置:東ソー株式会社製、高速GPC装置HLC−8320
カラム:東ソー株式会社製、TSKgelSuperHZM−M、HZM−M、HZ2000
オーブン温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.3%
流速:0.35mL/分
注入量:10μL
[製造例2]
仕込み混合物、第1単量体混合物、第2単量体混合物の配合組成を表1に示すように変更した以外は、製造例1と同様にして中和重合体溶液(b)を得た。中和重合体溶液(b)に含まれる中性重合体の質量平均分子量は7300であった。
Figure 0006812642
表1中の略号は以下の通りである。
・DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
・αMSD:α−メチルスチレンダイマー
・2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
・ZM−84:カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの混合物(2−ヒドロキシエチルメタクリレート8〜12%)
・St:スチレン
・MMA:メチルメタクリレート
・nBMA:n−ブチルメタクリレート
・nBA:n−ブチルアクリレート
・GMA:グリシジルメタクリレート
・AA:アクリル酸
・パーブチルI:t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油株式会社製、商品名:「パーブチルI」)
[実施例1]
攪拌機、熱電対を備えたフラスコに中和重合体溶液(a)135部を仕込み、中和重合体溶液の温度が60℃になるまで、攪拌しつつ加温した。攪拌をそのままで、添加直前に熱交換器、熱電対を備えた滴下ラインを用いて、添加直前の水の温度が60℃付近になるよう熱交換器の熱媒温度を調整し、調温された水63部を0.75時間かけて添加した。
水の添加中の中和重合体溶液の時間平均温度(Ti)は61℃であり、添加水の時間平均温度(To)は63℃であり、その温度差(Ti−To)は−2℃であった。また、水の添加中の中和重合体溶液の最高温度と最低温度の差は3℃であり、水の最高温度と最低温度の差は1℃であった。
水の添加後、0.5時間温度を保持し、さらに、エチレングリコール30部を0.15時間かけて滴下した。その後室温に冷却し、水性分散体を得た。得られた水性分散体に含まれる重合体粒子の、動的光散乱法によって得られる散乱強度基準の粒子径及び粒子径分布を下記の条件で測定したところ、平均粒子径(A)は125nm、標準偏差σは35nmであり、その比(σ/A×100)は28%であった。結果を表2に示す。
<測定条件>
測定装置:大塚電子株式会社製、FPAR−1000
測定試料:水性分散体に水を添加して重合体粒子の濃度を0.5質量%に希釈したもの
[実施例2]
中和重合体溶液の種類を(a)から(b)に変更した以外は、実施例1と同様にして水性分散体を製造した。
水の添加中の中和重合体溶液の時間平均温度(Ti)は61℃であり、添加水の時間平均温度(To)は62℃であり、その温度差(Ti−To)は−1℃であった。また、水の添加中の中和重合体溶液の最高温度と最低温度の差は2℃であり、水の最高温度と最低温度の差は1℃であった。
得られた水性分散体に含まれる重合体粒子の平均粒子径(A)は121nm、標準偏差σは32nmであり、その比(σ/A×100)は26%であった。結果を表2に示す。
[実施例3]
中和重合体溶液の温度を81℃付近、滴下直前の水の温度を76℃付近になるように変更した以外は、実施例1と同様にして水性分散体を製造した。
水の添加中の中和重合体溶液の時間平均温度(Ti)は81℃であり、添加水の時間平均温度(To)は76℃であり、その温度差(Ti−To)は5℃であった。また、水の添加中の中和重合体溶液の最高温度と最低温度の差は4℃であり、水の最高温度と最低温度の差は2℃であった。
得られた水性分散体に含まれる重合体粒子の平均粒子径(A)は160nm、標準偏差σは46nmであり、その比(σ/A×100)は29%であった。結果を表2に示す。
[実施例4]
中和重合体溶液の種類を(a)から(b)に変更し、中和重合体溶液の温度を81℃付近、滴下直前の水の温度を76℃付近になるように変更した以外は、実施例1と同様にして水性分散体を製造した。
水の添加中の中和重合体溶液の時間平均温度(Ti)は82℃であり、添加水の時間平均温度(To)は78℃であり、その温度差(Ti−To)は4℃であった。また、水の添加中の中和重合体溶液の最高温度と最低温度の差は3℃であり、水の最高温度と最低温度の差は1℃であった。
得られた水性分散体に含まれる重合体粒子の平均粒子径(A)は164nm、標準偏差σは46nmであり、その比(σ/A×100)は28%であった。結果を表2に示す。
[比較例1]
滴下直前の水の温度を45℃付近になるように変更した以外は、実施例1と同様にして水性分散体を製造した。
水の添加中の中和重合体溶液の時間平均温度(Ti)は62℃であり、添加水の時間平均温度(To)は45℃であり、その温度差(Ti−To)は17℃であった。また、水の添加中の中和重合体溶液の最高温度と最低温度の差は3℃であり、水の最高温度と最低温度の差は2℃であった。
得られた水性分散体に含まれる重合体粒子の平均粒子径(A)は146nm、標準偏差σは46nmであり、その比(σ/A×100)は32%であった。結果を表2に示す。
[比較例2]
滴下直前の水の温度を75℃付近になるように変更した以外は、実施例1と同様にして水性分散体を製造した。
水の添加中の中和重合体溶液の時間平均温度(Ti)は60℃であり、添加水の時間平均温度(To)は75℃であり、その温度差(Ti−To)は−15℃であった。また、水の添加中の中和重合体溶液の最高温度と最低温度の差は3℃であり、水の最高温度と最低温度の差は1℃であった。
得られた水性分散体に含まれる重合体粒子の平均粒子径(A)は138nm、標準偏差σは45nmであり、その比(σ/A×100)は33%であった。結果を表2に示す。
[比較例3]
中和重合体溶液の温度を81℃付近、滴下直前の水の温度を65℃付近になるように変更した以外は、実施例1と同様にして水性分散体を製造した。
水の添加中の中和重合体溶液の時間平均温度(Ti)は80℃であり、添加水の時間平均温度(To)は66℃であり、その温度差(Ti−To)は14℃であった。また、水の添加中の中和重合体溶液の最高温度と最低温度の差は3℃であり、水の最高温度と最低温度の差は1℃であった。
得られた水性分散体に含まれる重合体粒子の平均粒子径(A)は173nm、標準偏差σは57nmであり、その比(σ/A×100)は33%であった。結果を表2に示す。
[比較例4]
中和重合体溶液の種類を(a)から(b)に変更し、中和重合体溶液の温度を81℃付近、滴下直前の水の温度を68℃付近になるように変更した以外は、実施例1と同様にして水性分散体を製造した。
水の添加中の中和重合体溶液の時間平均温度(Ti)は79℃であり、添加水の時間平均温度(To)は68℃であり、その温度差(Ti−To)は11℃であった。また、水の添加中の中和重合体溶液の最高温度と最低温度の差は3℃であり、水の最高温度と最低温度の差は1℃であった。
得られた水性分散体に含まれる重合体粒子の平均粒子径(A)は166nm、標準偏差σは54nmであり、その比(σ/A×100)は32%であった。結果を表2に示す。
Figure 0006812642
表2中、標準偏差σと平均粒子径(A)の比(σ/A×100)が30%以下のものはシャープな粒子径分布を有する重合体粒子を含む水性分散体が得られたとして「○」印を付し、30%を超えるものはブロードな粒子径分布を有する重合体粒子を含む水性分散体が得られたとして「×」印を付した。
各実施例の場合、シャープな粒子径分布を有する重合体粒子を含む水性分散体が得られた。
一方、水の添加中の中和重合体溶液の時間平均温度(Ti)と水の時間平均温度(To)の温度差(Ti−To)が10℃を上回る条件にて水性分散体を製造した比較例1,3,4の場合、各実施例に比べてブロードな粒子径分布を有する重合体粒子を含む水性分散体が得られた。
温度差(Ti−To)が−10℃を下回る条件にて水性分散体を製造した比較例2の場合も、各実施例に比べてブロードな粒子径分布を有する重合体粒子を含む水性分散体が得られた。
10 分散装置
11 添加水タンク
12 添加水ポンプ
13 熱交換器
14 添加水温度計
15 攪拌機
16 中和樹脂溶液温度計
17 熱媒ジャケット付きタンク
17a 開口部
18 添加水供給配管

Claims (6)

  1. ラジカル重合性単量体の総質量に対して、ヒドロキシ基含有ラジカル重合性単量体(a)5〜50質量%、前記単量体(a)以外の単量体であってカルボキシ基を含有するラジカル重合性単量体(b)0.1〜10質量%、並びに前記単量体(a)及び単量体(b)以外のラジカル重合性単量体(c)40〜94.9質量%を有機溶剤の存在下で共重合して重合体溶液を得る工程(1)と、
    得られた重合体溶液と塩基性物質とを混合し、中和重合体溶液を得る工程(2)と、
    得られた中和重合体溶液に水を添加し、水性分散体を得る工程(3)とを含み、
    前記工程(3)において、中和重合体溶液の温度(Ti)を50〜90℃とし、中和重合体溶液の温度(Ti)と中和重合体溶液に添加する水の温度(To)との温度差(Ti−To)を−5〜5℃とする、水性分散体の製造方法。
  2. 前記工程(3)において、中和重合体溶液に水を添加する時間を0.1時間以上2時間未満とする、請求項1に記載の水性分散体の製造方法。
  3. 前記工程(3)の後に、水性分散体に多価アルコールを添加する工程(4)をさらに含む、請求項1又は2に記載の水性分散体の製造方法。
  4. 前記工程(3)において、中和重合体溶液に添加する水の温度(To)を中和重合体溶液への水の投入口から0.2m以内の位置で測定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性分散体の製造方法。
  5. 前記工程(1)を多段滴下重合で行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性分散体の製造方法。
  6. 前記水性分散体は、平均粒子径(A)が100〜200nmであり、粒子径分布の標準偏差(σ)と平均粒子径(A)との比(σ/A×100)が30%以下である重合体粒子を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性分散体の製造方法。
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