JP6788520B2 - 優れた靱性および軟化抵抗性を有する熱間工具鋼 - Google Patents
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ただし、焼入焼戻しによって44.5〜45.5HRCになるように調質した状態での硬さをHRC0、調質後600℃で100時間保持、空冷した状態での硬さをHRC1とする。
ただし、焼入焼戻しによって44.5〜45.5HRCになるように調質した状態での硬さをHRC0、調質後600℃で100時間保持、空冷した状態での硬さをHRC1とする。
Cは、炭化物を形成させることで耐摩耗性、軟化抵抗性を得るための元素である。Cが0.30%未満では十分な耐摩耗性および軟化抵抗性が得られない。一方、Cが0.50%を超えると、凝固偏析を助長し、靱性を低下させる。そこで、Cは0.30〜0.50%とし、望ましくは0.33〜0.43%とする。
Siは、製鋼での脱酸に必要な元素である。Siが0.10%未満であると脱酸が不十分となる。一方、Siが0.50%を超えると靱性を低下させる。そこで、Siは0.10〜0.50%とし、望ましくは0.10〜0.40%とする。
Mnは、焼入性を向上させ、靭性を確保するのに必要な元素である。Mnが0.10%未満では焼入性が不十分となり、靭性が低下する。一方、Mnが1.00%を超えると加工性を低下させる。そこで、Mnは0.10〜1.00%とし、望ましくは0.40〜1.00%とする。
Crは、焼入性を向上させ、靭性を確保するのに必要な元素である。Crが4.50%未満では焼入性が不十分となり、靭性が低下する。一方、Crが5.40%を超えると、焼戻し時にCr系の炭化物が過剰に形成され、軟化抵抗性を低下させる。そこで、Crは4.50〜5.40%とし、望ましくは、Crは4.75〜5.20%とする。
Niは焼入性を改善させ、靭性を向上させる。そのため添加が望まれる元素である。一方、多量に添加すると焼なまし硬さが増加し、被削性が悪化する。そこで、Niは0.80%未満とし、望ましくは0.50%未満とする。
MoとWは炭化物を形成させることで耐摩耗性、軟化抵抗性を得るための元素である。Mo当量が1.70%未満では耐摩耗性、軟化抵抗性が不足する。一方、Mo、Wを多量に含み、Moが2.40%を超える、Wが4.80%超える、またはMo当量が2.40%を超えると、炭化物の粗大化、偏析の助長が起き、靱性が低下する。そのため、Moは2.40%以下、Wは4.80%以下、かつMo当量(Mo+1/2W)は1.70〜2.40%とし、望ましくは、Moは2.20%以下、W:4.40%以下、かつMo当量(Mo+1/2W):1.90〜2.20%とする
Vは、焼戻し時に微細で硬質な炭化物や炭窒化物を析出し、軟化抵抗性、耐摩耗性に寄与する元素である。Vが0.30%未満であると、軟化抵抗性、耐摩耗性が不足する。一方、Vが0.70%を超えると、凝固時に粗大なMX型炭化物や炭窒化物を晶出し、靱性を阻害する。そこで、Vは0.30〜0.70%とし、望ましくは、Vは0.40〜0.60%とする。
Nは、微細炭窒化物を安定化させ、焼入れ時の結晶粒粗大化による靭性の低下を抑制する。Nが0.0250%以下ではその効果が得られない。一方、0.0350%を超えて添加すると、MC型粗大炭化物が均質化熱処理で固溶せず、靱性が低下する。そこで、Nは0.0250%超え0.0350%以下とする。
Tiは、不可避不純物であるが、0.005%を超えると粗大炭化物の固溶温度を上昇させる。その結果、均質化熱処理における炭化物の固溶効果が十分に得られず、粗大炭化物が残存し、靱性を低下させる。そこで、Tiは不可避不純物として0.005%以下とする。
Alは、不可避不純物であるが、0.050%を超えると介在物の形成を助長し、靱性を低下する。そこで、Alは不可避不純物として0.050%以下とする。
Pは、不可避不純物であるが、0.025%を超えると偏析が大きくなり、靱性が低下する。そこで、Pは不可避不純物として0.025%以下とする。
Sは、不可避不純物であるが、0.010%を超えると偏析が大きくなり、靱性が低下する。そこで、Sは不可避不純物として0.01%以下とする。
熱間工具鋼において、Cr、Mo、Wは焼戻しにより炭化物を形成する。形成された炭化物はM23C6、M6C、M2Cなどの結晶構造をとるのだが、M2C以外の炭化物の形成は、高温保持の際に炭化物の粗大化を促進し、軟化抵抗性が低下する。また、Mo当量(Mo+1/2W)とCrのバランスが、Mo+1/2W≧4.45−0.44Crとなると全炭化物中のM2C以外の炭化物の割合は大きくなり、軟化抵抗性は低下する。そこで、Mo+1/2W<4.45−0.44Crとする。
高温軟化量ΔHRCは軟化抵抗性を示す指標であり、ΔHRCが小さいほど、軟化抵抗性が高いことを示す。一方、軟化抵抗性の低下は耐ヒートチェック性の悪化を招き、耐ヒートチェック性が悪化すると、ダイカスト金型に用いた際に、金型表面にクラックが発生し、製品の意匠性が悪くなる。これらのことから、製品の意匠性向上には、ΔHRCの低下が必要である。そこで、製品の意匠性を良好にするには、ΔHRCは13.0HRC以下にする必要があり、望ましくは10.0HRC以下にする必要がある。
なお、ΔHRC=HRC0−HRC1であり、焼入焼戻しによって44.5〜45.5HRCになるように調質した状態での硬さをHRC0、調質後600℃で100時間保持、空冷した状態での硬さをHRC1とする。
表1に示す各発明鋼例、および表2に示す各比較鋼の化学成分の鋼塊を真空溶解炉で溶製し、得られた1t鋼塊を1280℃で均質化熱処理した後、熱間鍛造によって鍛練成形比6Sの鍛伸材にし、870℃で焼なましを行うことで鋼材を製造した。
Cを超えている。比較例No.41はMo含有量が高いため、シャルピー衝撃値が30J/cm2未満となっている。比較例No.42はW含有量が高いため、シャルピー衝撃値が30J/cm2未満となっている。比較例No.43はMo当量が高いため、シャルピー衝撃値が30J/cm2未満となっている。比較例No.44はV含有量が低いため、ΔHRCが13HRCを超えている。比較例No.45はV含有量が高いため、シャルピー衝撃値が30J/cm2未満となっている。比較例No.46はN含有量が低いため、シャルピー衝撃値が30J/cm2未満となっている。比較例No.47はN含有量が高いため、シャルピー衝撃値が30J/cm2未満となっている。
なっている。比較例No.49はAl含有量が高いため、シャルピー衝撃値が30J/cm2未満となっている。比較例No.50はP含有量が高いため、シャルピー衝撃値が30J/cm2未満となっている。比較例No.51はP含有量が高いため、シャルピー衝撃値が30J/cm2未満となっている。比較例No.52はMo+1/2W≧4.45−0.44Crとなっているため、ΔHRCが13.0HRCを超えている。
以上のように、比較例No.34〜No.52は靭性または軟化抵抗性が不足しており
、本発明に該当しない。
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊
Claims (4)
- 化学成分として、質量%で、
C:0.30〜0.50%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:0.10〜1.00%、
Cr:4.50〜5.40%、
Ni:0.80%未満、
Mo:2.40%以下、
W:4.80%以下、
かつMo当量(Mo+1/2W):1.70〜2.40%、
V:0.30〜0.70%、
N:0.0250%超え0.0350%以下
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、不純物中のTiは0.005%以下、Alは0.050%以下、Pは0.025%以下、Sは0.010%以下であることを特徴とする優れた靭性および軟化抵抗性を有する熱間工具鋼。 - 請求項1に記載の熱間工具鋼の構成要件に加え、Mo当量(Mo+1/2)とCrは質量%で、Mo+1/2W<4.45−0.44Crの関係式を満たすことを特徴とする優れた靭性および軟化抵抗性を有する熱間工具鋼。
- 請求項1または請求項2に記載の熱間工具鋼の構成要件に加え、焼入焼戻し状態での2mmUノッチ試験片でのシャルピー衝撃値が30J/cm2以上であることを特徴とする優れた靭性および軟化抵抗性を有する熱間工具鋼。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱間工具鋼の構成要件に加え、高温軟化量ΔHR
C=HRC0−HRC1が13.0HRC以下であることを特徴とする優れた靭性および軟化抵抗性を有する熱間工具鋼。
ただし、焼入焼戻しによって44.5〜45.5HRCになるように調質した状態での硬さをHRC0、調質後600℃で100時間保持、空冷した状態での硬さをHRC1とする。
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