A.第1実施形態:
A−1.装置構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1(および後述する図7および図8)のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1(および後述する図7および図8)のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。また、本明細書では、Z軸方向に直交する方向を、面方向と呼ぶものとする。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という)102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
図1に示すように、燃料電池スタック100を構成する各層(各発電単位102、エンドプレート104,106)のZ軸方向回りの外周の4つの角部周辺には、各層を上下方向に貫通する孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びるボルト孔109を構成している。各ボルト孔109にはボルト22が挿入されており、各ボルト22および図示しないナットによって燃料電池スタック100は締結されている。
また、図1〜図3に示すように、各発電単位102のZ軸方向回りの外周辺の付近には、各発電単位102を上下方向に貫通する孔が形成されており、各発電単位102に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、複数の発電単位102にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために各発電単位102に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の付近に位置する連通孔108は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102の後述する空気室166に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の付近に位置する連通孔108は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出するガス流路である酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。酸化剤ガスOGとしては、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周を構成する辺の内、上述した酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する連通孔108に最も近い辺の付近に位置する他の連通孔108は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102の後述する燃料室176に供給するガス流路である燃料ガス導入マニホールド171として機能し、上述した酸化剤ガス導入マニホールド161として機能する連通孔108に最も近い辺の付近に位置する他の連通孔108は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出するガス流路である燃料ガス排出マニホールド172として機能する。燃料ガスFGとしては、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。図2および図3に示すように、下側のエンドプレート106には、4つの流路用貫通孔107が形成されている。4つの流路用貫通孔107は、それぞれ、酸化剤ガス導入マニホールド161、酸化剤ガス排出マニホールド162、燃料ガス導入マニホールド171、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(ガス通路部材27等の構成)
図2および図3に示すように、燃料電池スタック100は、さらに、下側のエンドプレート106に対して複数の発電単位102とは反対側(すなわち、下側)に配置された4つのガス通路部材27を備える。4つのガス通路部材27は、それぞれ、酸化剤ガス導入マニホールド161、酸化剤ガス排出マニホールド162、燃料ガス導入マニホールド171、燃料ガス排出マニホールド172と上下方向に重なる位置に配置されている。各ガス通路部材27は、下側のエンドプレート106の流路用貫通孔107に連通する孔が形成された本体部28と、本体部28の側面から分岐した筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。なお、各ガス通路部材27の本体部28とエンドプレート106との間には、絶縁シート26が配置されている。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図6は、後述する図7および図8のVI−VIの位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。また、図7は、図4〜図6のVII−VIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図であり、図8は、図4〜図6のVIII−VIIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。
図4〜図6に示すように、発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電部材134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電部材144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ軸方向回りの周縁部には、上述した各マニホールド161,162,171,172として機能する連通孔108を構成する孔や、各ボルト孔109を構成する孔が形成されている。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばCr(クロム)を含む金属であるフェライト系ステンレス等の金属により形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的接続を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止するための部材である。本実施形態では、インターコネクタ150における後述する空気極114に対向する側の表面が、導電性のコート151によって覆われている。コート151は、例えば、Mn2CoO4やMnCo2O4、ZnCo2O4、ZnMnCoO4、CuMn2O4といったスピネル型酸化物により形成されている。インターコネクタ150の表面へのコート151の形成は、例えば、スプレーコート、インクジェット印刷、スピンコート、ディップコート、めっき、スパッタリング、溶射等の周知の方法で実行される。コート151の存在により、インターコネクタ150から空気極114側へのCrの放出・拡散が抑制され、空気極114の表面にCrが付着して空気極114での電極反応速度が低下する「空気極114のCr被毒」と呼ばれる現象の発生が抑制される。以下の説明では、特記しない限り、「インターコネクタ150」は、「コート151に覆われたインターコネクタ150」を意味する。また、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、Z軸方向視で略矩形の平板形状部材であり、緻密な層である。電解質層112は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウムドープセリア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)、ペロブスカイト型酸化物等の固体酸化物により形成されている。空気極114は、Z軸方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。空気極114は、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。本実施形態における空気極114は、特許請求の範囲における第2の電極に相当する。燃料極116は、Z軸方向視で電解質層112と略同一の大きさの略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。燃料極116は、例えば、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス粒子(例えば、YSZ)とからなるサーメットにより形成されている。本実施形態における燃料極116は、特許請求の範囲における第1の電極に相当する。このように、本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、ステンレス等の金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。なお、単セル110とセパレータ120との接合箇所付近に、空気室166と燃料室176との間をシールするシール部材(例えば、ガラスシール部材)がさらに設けられてもよい。
図4〜図7に示すように、空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。空気極側フレーム130に形成された孔131によって、空気極114に面する空気室166が構成される。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通流路132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通流路133とが形成されている。
図4〜図6および図8に示すように、燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、ステンレス等の金属により形成されている。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。燃料極側フレーム140に形成された孔141によって、燃料極116に面する燃料室176が構成される。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通流路142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通流路143とが形成されている。
図4〜図6および図8に示すように、燃料極側集電部材144は、インターコネクタ150と単セル110の燃料極116との間に配置された導電性部材であり、例えば、ニッケルまたはニッケル合金の箔またはメッシュ等の金属により形成されている。燃料極側集電部材144は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における燃料極側集電部材144は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電部材144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。燃料極側集電部材144の構成については、後にさらに詳述する。本実施形態における燃料極側集電部材144は、特許請求の範囲における第1の集電部材に相当する。
なお、燃料極側集電部材144と燃料極116とは、導電性の接合層により接合されていてもよく、その場合には、燃料極側集電部材144が燃料極116の表面に接するとは、燃料極側集電部材144と燃料極116との間を接合する接合層を介して両者が接する状態を含む。
図4〜図7に示すように、空気極側集電部材134は、インターコネクタ150と単セル110の空気極114との間に配置された導電性部材であり、例えば、フェライト系ステンレス等の金属により形成されている。空気極側集電部材134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面(換言すれば、インターコネクタ150の表面の内、燃料極側集電部材144が接する一方の面(本実施形態では上面)とは反対側の他方の面(同下面))とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電部材134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電部材134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。空気極側集電部材134の構成については、後にさらに詳述する。本実施形態における空気極側集電部材134は、特許請求の範囲における第2の集電部材に相当する。
なお、本実施形態では、空気極側集電部材134は、上述したインターコネクタ150を覆うコート151と同様の導電性のコート38によって覆われている。これにより、空気極側集電部材134からのCrの放出・拡散が抑制され、空気極114のCr被毒の発生が抑制される。以下の説明では、特記しない限り、「空気極側集電部材134」は、「コート38に覆われた空気極側集電部材134」を意味する。また、本実施形態では、空気極側集電部材134と空気極114とは、導電性の接合層138により接合されている。接合層138は、例えば、Mn2CoO4やMnCo2O4、ZnCo2O4、ZnMnCoO4、CuMn2O4といったスピネル型酸化物により形成されている。接合層138は、例えば、接合層用ペーストを空気極側集電部材134に印刷し、該接合層用ペーストを空気極114の表面に押し付けた状態で所定の条件で焼成を行うことにより、形成することができる。本明細書において、空気極側集電部材134が空気極114の表面に接するとは、空気極側集電部材134と空気極114との間を接合する接合層138を介して両者が接する状態を含む。
なお、上述したように、本実施形態では、1つのインターコネクタ150が隣接する2つの発電単位102に共有されているため、1つのインターコネクタ150に注目すると、該インターコネクタ150の一方側(例えば上側)の表面上に位置する燃料極側集電部材144は、一の発電単位102を構成する単セル110の燃料極116と電気的に接続されており、該インターコネクタ150の他方側(例えば下側)の表面上に位置する空気極側集電部材134は、他の発電単位102を構成する単セル110の空気極114と電気的に接続されている。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2、図4および図7に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29、本体部28、および、下側のエンドプレート106の流路用貫通孔107を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通流路132を介して、空気室166に供給される。また、図3、図5および図8に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29、本体部28、および、下側のエンドプレート106の流路用貫通孔107を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通流路142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGに含まれる酸素と燃料ガスFGに含まれる水素との電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電部材134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電部材144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2、図4および図7に示すように、酸化剤ガス排出連通流路133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに下側のエンドプレート106の流路用貫通孔107、酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3、図5および図8に示すように、燃料ガス排出連通流路143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに下側のエンドプレート106の流路用貫通孔107、燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
なお、本実施形態の燃料電池スタック100を構成する各発電単位102では、空気室166における酸化剤ガスOGの主たる流れ方向(図7に示すように、X軸正方向側からX軸負方向側に向かう方向)と燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向(図8に示すように、X軸負方向側からX軸正方向側に向かう方向)とが、略反対方向(互いに対向する方向)となっている。すなわち、本実施形態の発電単位102(燃料電池スタック100)は、カウンターフロータイプのSOFCである。
A−3.燃料極側集電部材144の詳細構成:
次に、燃料極側集電部材144の詳細構成について説明する。図4〜図6および図8に示すように、燃料極側集電部材144は、インターコネクタ対向部146と、複数の燃料極対向部145と、複数の連接部147とを有している。
燃料極側集電部材144のインターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150(またはエンドプレート106、以下同様)における燃料極116に対向する側の表面に接し、かつ、インターコネクタ150と電気的に接続された板状部分である。インターコネクタ対向部146には、インターコネクタ対向部146を厚さ方向に貫通する(すなわち、Z軸方向に延びる)複数の貫通孔40が形成されている。燃料極側集電部材144のインターコネクタ対向部146は、特許請求の範囲における第1のインターコネクタ対向部に相当する。
燃料極側集電部材144の各燃料極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接し、かつ、燃料極116と電気的に接続された板状部分である。Z軸方向視での各燃料極対向部145の形状は、略矩形である。また、複数の燃料極対向部145は、Z軸方向視で、X方向およびY方向に沿った格子状に配置されている。各燃料極対向部145は、Z軸方向においてインターコネクタ対向部146と重なるように配置されている。各燃料極対向部145のY軸負方向側の端部43は、自由端となっている。燃料極側集電部材144の燃料極対向部145は、特許請求の範囲における第1の電極対向部に相当する。
燃料極側集電部材144の各連接部147は、各燃料極対向部145におけるY軸負方向側の端部42とインターコネクタ対向部146における貫通孔40に面する端部41とを結ぶ板状部分である。燃料極側集電部材144の連接部147は、特許請求の範囲における第1の連接部に相当する。
このように、燃料極側集電部材144は、インターコネクタ150と電気的に接続されたインターコネクタ対向部146と、燃料極116と電気的に接続された複数の燃料極対向部145と、各燃料極対向部145とインターコネクタ対向部146とを結ぶ連接部147とを有するため、上述したように、燃料極116とインターコネクタ150との間を電気的に接続する。
このような構成の燃料極側集電部材144は、例えば、図8における部分拡大図に示すように、燃料極側集電部材144作製用の平板材料に対して打ち抜き加工を行うことによって、完成状態において各燃料極対向部145および各連接部147となる矩形領域のそれぞれの3辺に切り込みを入れ、次に、打ち抜き加工後の平板材料に対して折り曲げ加工を行うことによって各燃料極対向部145および各連接部147を形成することにより、作製することができる。なお、図8における部分拡大図では、燃料極側集電部材144の作製方法を示すため、一部、折り曲げ加工前の状態が示されている。
燃料極側集電部材144の各燃料極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばステンレス等の金属により形成された燃料極側スペーサ149が配置されている。燃料極側スペーサ149の存在により、燃料極側集電部材144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電部材144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
ここで、図6に示すように、本実施形態の発電単位102では、燃料極側集電部材144が、レーザ溶接によってインターコネクタ150に接合されることにより、インターコネクタ150に固定されている。より詳細には、インターコネクタ150における燃料極側集電部材144に対向する側とは反対側の表面(本実施形態では下面)からレーザ溶接を行うことにより、インターコネクタ150と燃料極側集電部材144とが接する位置に、インターコネクタ150と燃料極側集電部材144のインターコネクタ対向部146と燃料極側スペーサ149とを接合する燃料極側溶接部(溶融部)47が形成されている。燃料極側溶接部47の一部分は、被溶接部材の表面、具体的には、インターコネクタ150の下面に露出している(なお、本実施形態では、インターコネクタ150の表面にコート151が形成されているため、燃料極側溶接部47の一部分はコート151の表面に露出している)。燃料極側溶接部47は、特許請求の範囲における第1の溶接部に相当する。本実施形態では、燃料極側溶接部47は、X軸方向に沿って、燃料極側集電部材144の一端付近から他端付近まで連続的に形成されている。なお、本実施形態では、燃料極側溶接部47は、燃料極側集電部材144のインターコネクタ対向部146を貫通して燃料極側スペーサ149内まで進入しているが、燃料極対向部145までは到達していない。すなわち、燃料極側溶接部47における燃料極対向部145側の端部は、燃料極対向部145から離間している。
上述したように、燃料極側溶接部47は、インターコネクタ150における燃料極側集電部材144に対向する側とは反対側の表面(本実施形態では下面)からレーザ溶接を行うことにより形成されるため、燃料極側溶接部47におけるインターコネクタ150の該表面(下面)の位置での径D11は、インターコネクタ150の反対側の表面(上面)の位置での径D12より大きくなっている。また、インターコネクタ150の該表面(下面)には、燃料極側溶接部47の一部(ビード)が突出している。
A−4.空気極側集電部材134の詳細構成:
次に、空気極側集電部材134の詳細構成について説明する。図4〜図7に示すように、空気極側集電部材134は、インターコネクタ対向部136と、複数の空気極対向部135と、複数の連接部137とを有している。
空気極側集電部材134のインターコネクタ対向部136は、インターコネクタ150(またはエンドプレート104、以下同様)における空気極114に対向する側の表面に接し、かつ、インターコネクタ150と電気的に接続された板状部分である。インターコネクタ対向部136には、インターコネクタ対向部136を厚さ方向に貫通する(すなわち、Z軸方向に延びる)複数の貫通孔30が形成されている。図7に示すように、本実施形態では、インターコネクタ対向部136に形成された各貫通孔30は、X軸方向に長い形状の孔である。また、インターコネクタ対向部136において、複数の貫通孔30はY軸方向に並ぶように配置されている。空気極側集電部材134のインターコネクタ対向部136は、特許請求の範囲における第2のインターコネクタ対向部に相当する。
空気極側集電部材134の各空気極対向部135は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接し、かつ、空気極114と電気的に接続された板状部分である。Z軸方向視での各空気極対向部135の形状は、略矩形である。また、複数の空気極対向部135は、Z軸方向視で、X方向およびY方向に沿った格子状に配置されている。各空気極対向部135は、Z軸方向においてインターコネクタ対向部136に形成された貫通孔30と重なるように配置されている。各空気極対向部135のY軸正方向側の端部33は、自由端となっている。空気極側集電部材134の空気極対向部135は、特許請求の範囲における第2の電極対向部に相当する。
空気極側集電部材134の各連接部137は、各空気極対向部135におけるY軸負方向側の端部32と、インターコネクタ対向部136における貫通孔30に面する端部31と、を結ぶ板状部分である。空気極側集電部材134の連接部137は、特許請求の範囲における第2の連接部に相当する。
このように、空気極側集電部材134は、インターコネクタ150と電気的に接続されたインターコネクタ対向部136と、空気極114と電気的に接続された複数の空気極対向部135と、各空気極対向部135とインターコネクタ対向部136とを結ぶ連接部137とを有するため、上述したように、空気極114とインターコネクタ150との間を電気的に接続する。
このような構成の空気極側集電部材134は、例えば、空気極側集電部材134作製用の平板部材に対して打ち抜き加工を行うことによって、完成状態において各空気極対向部135および各連接部137となる部分を残しつつ各貫通孔30の外形に対応する孔をあけ、次に、孔あけ後の平板部材に対して折り曲げ加工を行うことによって各空気極対向部135および各連接部137を形成することにより、作製することができる。
空気極側集電部材134の各空気極対向部135とインターコネクタ150との間には、空気極側スペーサ139が配置されている。空気極側スペーサ139は、略直方体形状の部材であり、例えばマイカ等の弾性材料(弾性体)により形成されている。図6および図7に示すように、各空気極側スペーサ139は、Z軸方向において、インターコネクタ150の表面から各空気極対向部135の表面まで延びるような形状となっている。各空気極側スペーサ139におけるインターコネクタ150側の一部分は、空気極側集電部材134のインターコネクタ対向部136に形成された貫通孔30内に収容されている。空気極側スペーサ139の存在により、空気極側集電部材134が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、空気極側集電部材134を介した空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)との電気的接続が良好に維持される。さらに、空気極側スペーサ139の存在により、単セル110にかかるZ軸方向の応力を緩和することができ、単セル110の損傷(割れ等)の発生を抑制することができる。
ここで、図6に示すように、本実施形態の発電単位102では、空気極側集電部材134が、レーザ溶接によってインターコネクタ150に接合されることにより、インターコネクタ150に固定されている。より詳細には、インターコネクタ150における空気極側集電部材134に対向する側とは反対側の表面(本実施形態では上面)からレーザ溶接を行うことにより、インターコネクタ150と空気極側集電部材134とが接する位置に、インターコネクタ150と空気極側集電部材134のインターコネクタ対向部136とを接合する空気極側溶接部(溶融部)37が形成されている。空気極側溶接部37の一部分は、被溶接部材の表面、具体的には、インターコネクタ150の上面に露出している。空気極側溶接部37は、特許請求の範囲における第2の溶接部に相当する。本実施形態では、空気極側溶接部37は、X軸方向に沿って、空気極側集電部材134の一端付近から他端付近まで連続的に形成されている。
上述したように、空気極側溶接部37は、インターコネクタ150における空気極側集電部材134に対向する側とは反対側の表面(本実施形態では上面)からレーザ溶接を行うことにより形成されるため、空気極側溶接部37におけるインターコネクタ150の該表面とは反対側の表面(下面)の位置での径D21は、インターコネクタ150の該表面(上面)の位置での径D22より小さくなっている。また、インターコネクタ150の該表面(上面)には、空気極側溶接部37の一部(ビード)が突出している。
A−5.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック100を構成する各発電単位102は、単セル110と、インターコネクタ150と、燃料極側集電部材144と、燃料極側スペーサ149とを備える。単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向する空気極114および燃料極116とを含む。インターコネクタ150は、燃料極116に対向するように配置された金属製の部材である。燃料極側集電部材144は、インターコネクタ150と燃料極116との間に配置された金属製の部材であり、インターコネクタ150と電気的に接続されたインターコネクタ対向部146と、燃料極116と電気的に接続された燃料極対向部145と、インターコネクタ対向部146と燃料極対向部145とを結ぶ連接部147とを含む。燃料極側スペーサ149は、燃料極側集電部材144のインターコネクタ対向部146と燃料極対向部145との間に配置された金属製の部材である。また、本実施形態の発電単位102では、インターコネクタ150と燃料極側集電部材144とが接する位置に、インターコネクタ150と燃料極側集電部材144のインターコネクタ対向部146と燃料極側スペーサ149とを接合する燃料極側溶接部47が形成されている。本実施形態の発電単位102は、上述した構成であるため、以下に説明するように、燃料極116とインターコネクタ150との間の電気的接続性を向上させることができ、ひいては、発電単位102の電気的性能を向上させることができる。
図6に示すように、本実施形態の発電単位102には、燃料極116とインターコネクタ150との間の導電経路として、燃料極116から燃料極側集電部材144の燃料極対向部145と連接部147とインターコネクタ対向部146とを通ってインターコネクタ150に至る第1の導電経路EP1が存在する。さらに、本実施形態の発電単位102では、金属製のインターコネクタ150と金属製の燃料極側集電部材144のインターコネクタ対向部146と金属製の燃料極側スペーサ149とを接合する燃料極側溶接部47が形成されているため、燃料極116とインターコネクタ150との間の導電経路として、燃料極116から燃料極側集電部材144の燃料極対向部145と燃料極側スペーサ149と燃料極側溶接部47とを通ってインターコネクタ150に至る第2の導電経路EP2も存在する。このように、本実施形態の発電単位102によれば、燃料極側溶接部47の存在により、燃料極116とインターコネクタ150との間の導電経路を増やすことができるため、燃料極116とインターコネクタ150との間の電気的接続性を向上させることができ、その結果、発電単位102の電気的性能を向上させることができる。さらに、本実施形態の発電単位102によれば、燃料極側溶接部47の存在により、燃料極側集電部材144に対して燃料極側スペーサ149の位置がずれることを抑制することができ、燃料極側スペーサ149の位置がずれることに起因して燃料極側集電部材144と燃料極116およびインターコネクタ150との電気的接続性が低下することを抑制することができる。
また、本実施形態の発電単位102では、燃料極側溶接部47における燃料極側集電部材144の燃料極対向部145側の端部は、燃料極対向部145から離間している。そのため、本実施形態の発電単位102では、燃料極側スペーサ149と燃料極側集電部材144の燃料極対向部145とが接合されておらず、燃料極側スペーサ149と単セル110(燃料極116)との間で燃料極対向部145の位置が可変となっている。従って、本実施形態の発電単位102によれば、位置が可変である燃料極対向部145の存在により、単セル110にかかる上下方向の応力を効果的に緩和することができ、単セル110の損傷(割れ等)の発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の発電単位102は、さらに、インターコネクタ150の表面の内、燃料極側集電部材144が接する一方の面とは反対側の他方の面に接する金属製の空気極側集電部材134を備える。また、インターコネクタ150と空気極側集電部材134とが接する位置に、インターコネクタ150と空気極側集電部材134とを接合する空気極側溶接部37が形成されている。そのため、本実施形態の発電単位102では、空気極114とインターコネクタ150との間の導電経路として、空気極114から空気極側集電部材134の空気極対向部135と連接部137とインターコネクタ対向部136と空気極側溶接部37とを通ってインターコネクタ150に至る導電経路が存在する。従って、本実施形態の発電単位102によれば、空気極114とインターコネクタ150との間の導電経路を増やすことができ、空気極114とインターコネクタ150との間の電気的接続性を向上させることができ、その結果、発電単位102の電気的性能をさらに向上させることができる。
また、本実施形態の発電単位102では、燃料極側溶接部47におけるインターコネクタ150一方の表面(下面)の位置での径D11は、インターコネクタ150の他方の表面(上面)の位置での径D12より大きく、かつ、空気極側溶接部37におけるインターコネクタ150の上記一方の表面(下面)の位置での径D21は、インターコネクタ150の上記他方の表面(上面)の位置での径D22より小さい。このことは、燃料極側溶接部47を形成する際のレーザ溶接の向き(インターコネクタ150の下面側から溶接を行う)が、空気極側溶接部37を形成する際のレーザ溶接の向き(インターコネクタ150の上面側から溶接を行う)と逆向きであることを意味する。そのため、本実施形態の発電単位102によれば、燃料極側溶接部47および空気極側溶接部37を設けることに伴いインターコネクタ150に反りが発生することを抑制することができる。
B.第2実施形態:
図9は、第2実施形態における発電単位102aの構成を概略的に示す説明図である。図9には、図6に示された第1実施形態の発電単位102のYZ断面構成に対応する第2実施形態の発電単位102aのYZ断面構成が示されている。以下では、第2実施形態の発電単位102aの構成の内、上述した第1実施形態の発電単位102の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図9に示すように、第2実施形態の発電単位102aは、主として、溶接部の構成が、第1実施形態の発電単位102と異なっている。具体的には、第2実施形態の発電単位102aでは、インターコネクタ150および燃料極側集電部材144に加えて、空気極側集電部材134も一体的に接合する共通溶接部57が形成されている。より詳細には、共通溶接部57は、空気極側集電部材134のインターコネクタ対向部136とインターコネクタ150と燃料極側集電部材144のインターコネクタ対向部146と燃料極側スペーサ149とを接合するように形成されている。このような共通溶接部57は、例えば、空気極側集電部材134のインターコネクタ対向部136におけるインターコネクタ150に対向する側とは反対側の表面(本実施形態では下面)からレーザ溶接を行うことにより形成することができる。共通溶接部57の一部分は、被溶接部材の表面、具体的には、空気極側集電部材134のインターコネクタ対向部136の下面に露出している。共通溶接部57は、特許請求の範囲における第1の溶接部に相当する。
このように、第2実施形態の発電単位102aでは、共通溶接部57が、空気極側集電部材134とインターコネクタ150と燃料極側集電部材144とを接合するように形成されている。そのため、本実施形態の発電単位102aによれば、共通溶接部57の存在により、燃料極116とインターコネクタ150との間に加えて、空気極114とインターコネクタ150との間の導電経路EP3を増やすことができるため、燃料極116とインターコネクタ150との間に加えて、空気極114とインターコネクタ150との間の電気的接続性を向上させることができ、その結果、発電単位102aの電気的性能をさらに向上させることができる。また、第2実施形態の発電単位102aでは、第1実施形態のように溶接部を2つ(燃料極側溶接部47および空気極側溶接部37)設けるのではなく、1つ(共通溶接部57)のみ設ければよいため、装置構成の簡素化および製造工程の効率化を実現することができる。
また、第2実施形態の発電単位102aでは、共通溶接部57が、空気極側集電部材134におけるインターコネクタ対向部136とインターコネクタ150と燃料極側集電部材144とを接合するように形成されている。そのため、共通溶接部57が、空気極側集電部材134を挟んでインターコネクタ150に対向する他の単セル110側に突出することを抑制することができ、該単セル110が共通溶接部57と干渉して該単セル110に損傷(割れ等)が発生することを抑制することができる。
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態の発電単位102または燃料電池スタック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、燃料極側溶接部47における燃料極対向部145側の端部が燃料極対向部145から離間しているが、燃料極側溶接部47における燃料極対向部145側の端部が燃料極対向部145まで到達しているとしてもよい。
また、上記第1実施形態では、燃料極側溶接部47を形成する際のレーザ溶接の向きと空気極側溶接部37を形成する際のレーザ溶接の向きとが逆向きであるが、それらが同じ向きであるとしてもよい。また、上記第1実施形態では、燃料極側溶接部47と空気極側溶接部37との2つの溶接部が形成されているが、それらの内の一方が形成されないとしてもよい。
また、上記実施形態における燃料極側集電部材144および燃料極側スペーサ149の構成(形状や材料等)や、空気極側集電部材134および空気極側スペーサ139の構成(形状や材料等)は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
また、上記実施形態では、インターコネクタ150がコート151により覆われているが、インターコネクタ150がコート151により覆われていないとしてもよい。同様に、上記実施形態では、空気極側集電部材134がコート38により覆われているが、空気極側集電部材134がコート38により覆われていないとしてもよい。また、上記実施形態では、空気極側集電部材134と空気極114との間に接合層138が介在しているが、空気極側集電部材134と空気極114との間に接合層138が介在しないとしてもよい。
また、上記実施形態では、ボルト孔109が、各マニホールド用の連通孔108とは独立して設けられているが、独立したボルト孔109を設けず、各マニホールド用の連通孔108がボルト孔としても用いられるとしてもよい。また、上記実施形態では、空気室166における酸化剤ガスOGの主たる流れ方向と燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向とが略反対方向であるカウンターフロータイプを例に挙げて説明しているが、本発明は、他のタイプ(上記2つの流れ方向が略同一方向であるコフロータイプや上記2つの流れ方向が交差するクロスフロータイプ等)にも適用可能である。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる発電単位102の個数は、あくまで一例であり、発電単位102の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上記実施形態において、空気極114と電解質層112との間に中間層が配置されていてもよい。また、上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。
また、上記実施形態において、空気極側の集電部材や溶接部等の構成が、燃料極側の構成と同様であるとしてもよい。例えば、空気極側スペーサ139が、空気極側集電部材134のインターコネクタ対向部136と空気極対向部135との間に配置された金属製の部材であり、インターコネクタ150と空気極側集電部材134とが接する位置に、インターコネクタ150と空気極側集電部材134のインターコネクタ対向部136と空気極側スペーサ139とを接合する溶接部が形成されているとしてもよい。この場合には、空気極114は、特許請求の範囲における第1の電極に相当する。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解セル単位や、複数の電解セル単位を備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016−81813号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セル単位および電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様の構成の集電部材や溶接部等の構成を採用すると、電極とインターコネクタとの間の電気的接続性を向上させることができ、その結果、電解セル単位の電気的性能を向上させることができる。