発明の詳細な説明
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用する場合、文脈上明らかに他の意味を示さない限り、単数形「a」、「an」、および「the」には、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「a polypeptide」という表記には1つを超えるポリペプチドが含まれる。同様に、「comprise」、「comprises」、「comprising」「include」、「includes」、および「including」は、相互に交換可能であり、本発明を制限することを意図しない。種々の実施形態の説明で用語「comprising」を使用する場合、当業者は、いくつかの特定の例では、「consisting essentially of」または「consisting of」という用語を使用して実施形態を代わりに説明することができると理解すべきである。種々の実施形態の説明で用語「任意選択的な」または「任意選択的に」を使用する場合、その後に記載する事象または状況が起こっても起こらなくてもよく、この記載には事象または状況が起こる場合および起こらない例が含まれるとさらに理解すべきである。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は例示および説明のみを目的とし、本発明を制限しないと理解すべきである。本明細書中で使用した節の表題は、まとめのみを目的とし、記載の主題を制限すると解釈されない。
略語:
遺伝的にコードされたアミノ酸のために使用した略語は慣習的な略語であり、これらを以下に示す。
三文字略語を使用する場合、「L」または「D」が明確に前置されないか、略語を使用した文脈から明確で無い限り、アミノ酸は、α−炭素(Cα)についてL型またはD型の立体配置のいずれかであり得る。例えば、「Ala」がα−炭素についての立体配置を特定しないでアラニンを示すのに対して、「D−Ala」および「L−Ala」は、D−アラニンおよびL−アラニンをそれぞれ示す。一文字略語を使用する場合、大文字はα−炭素についてL−立体配置のアミノ酸を示し、小文字はα−炭素についてD−立体配置のアミノ酸を示す。例えば、「A」はL−アラニンを示し、「a」はD−アラニンを示す。ポリペプチド配列を一連の一文字略語または三文字略語(またはその混合)として示す場合、配列を、慣習にしたがってアミノ(N)からカルボキシ(C)への方向で示す。
遺伝的にコードするヌクレオシドのために使用される略語は慣習的な略語であり、以下に示す:アデノシン(A);グアノシン(G);シチジン(C);チミジン(T);およびウリジン(U)。特に記載しないかぎり、省略したヌクレオチドは、リボヌクレオシドまたは2’−デオキシリボヌクレオシドのいずれかであり得る。ヌクレオシドを、個別または凝集体に基づいてリボヌクレオシドまたは2’−デオキシリボヌクレオシドのいずれかであると特定することができる。核酸配列を一連の一文字略語として示す場合、配列を、慣習にしたがって5’から3’への方向で示し、リン酸塩は示さない。
定義:
本発明に関して、本明細書中で使用される技術用語および科学用語は、他で具体的に定義しないかぎり、当業者によって一般的に理解される意味を有するであろう。したがって、以下の用語は以下の意味を有することを意図する。
「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」を、長さや翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ミリスチル化(myristilation)、ユビキチン化など)と無関係にアミド結合によって共有結合した少なくとも2つのアミノ酸のポリマーを示すために本明細書中で互換的に使用する。D型およびL型アミノ酸ならびにD型およびL型アミノ酸の混合物が本定義の範囲内に含まれる。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、相互に共有結合した2つまたはそれを超えるヌクレオシドをいう。ポリヌクレオチドを、リボヌクレオシド(すなわち、RNA)から完全に構成することができ、2’デオキシリボヌクレオチド(すなわち、DNA)またはリボヌクレオシドおよび2’デオキシリボヌクレオシドの混合物から完全に構成することができる。典型的にはヌクレオシドが標準的なホスホジエステル結合を介して相互に連結する一方で、ポリヌクレオチドは、1つまたはそれを超える非標準的な連結を含み得る。ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であり得るか、一本鎖領域および二本鎖領域の両方を含み得る。さらに、ポリヌクレオチドは典型的には天然に存在するコードヌクレオベース(すなわち、アデニン、グアニン、ウラシル、チミン、およびシトシン)から構成される一方で、ポリヌクレオチドは1つまたはそれを超える改変および/または合成ヌクレオベース(例えば、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンなど)を含み得る。好ましくは、かかる改変または合成ヌクレオベースは、コードヌクレオベースであろう。
「オピンデヒドロゲナーゼ活性」は、本明細書中で使用する場合、2−ケト酸(例えば、ピルバート)のカルボニル基および天然L−アミノ酸(例えば、L−ノルバリン)のアミノ基が第二級アミンジカルボキシラート化合物(例えば、N−[1−(R)−(カルボキシ)エチル]−(S)−ノルバリンなど)に変換される酵素活性をいう。
「オピンデヒドロゲナーゼ」は、本明細書中で使用する場合、オピンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をいう。オピンデヒドロゲナーゼには、以下の天然に存在する酵素が含まれるが、これらに限定されない:Arthrobacter sp.1C株由来のオピンデヒドロゲナーゼ(CENDH)(配列番号2)。
「イミンレダクターゼ活性」は、本明細書中で使用する場合、スキーム1に示すように、ケトンまたはアルデヒドのカルボニル基および第一級アミンまたは第二級アミンのアミノ基(ここで、カルボニル基およびアミノ基は個別の化合物上または同一化合物上に存在し得る)を補因子NAD(P)Hの存在下で第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物に変換する酵素活性をいう。
「イミンレダクターゼ」または「IRED」は、本明細書中で使用する場合、イミンレダクターゼ活性を有する酵素をいう。イミンレダクターゼは、Arthrobacter sp.1C株由来の野生型オピンデヒドロゲナーゼから誘導された操作されたポリペプチドに制限されないが、イミンレダクターゼ活性を有する他の酵素(Pecten maximus由来のオクトピンデヒドロゲナーゼ(OpDH)、Lactococcus lactis K1由来のオルニチンシンターゼ(CEOS)、Cellana grata由来のβ−アラノピンデヒドロゲナーゼ(BADH)、Suberites domuncula由来のタウロピンデヒドロゲナーゼ(TauDH);およびPseudomonas putida由来のN−メチルL−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(NMDH)などの他のオピンデヒドロゲナーゼ酵素から誘導された操作されたポリペプチドが含まれる);またはイミンレダクターゼ活性を有する野生型酵素から誘導された操作された酵素が含まれ得ると理解すべきである。本明細書中で使用されるイミンレダクターゼには、天然に存在する(野生型)イミンレダクターゼおよび人為的に生成された天然に存在しない操作されたポリペプチドが含まれる。
「コード配列」は、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)の一部をいう。
「天然に存在する」または「野生型」は、天然に見出される形態をいう。例えば、天然に存在するか野生型のポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は、天然供給源から単離することができ、且つ人為的に意図的に改変されていない生物中に存在する配列である。
「組換え」または「操作された」または「天然に存在しない」は、例えば、細胞、核酸、またはポリペプチドに関して使用する場合、材料、すなわち、他の点では天然に存在しないと考えられる様式で改変された材料の天然または未変性の形態に対応する材料、または天然または未変性の形態に同一であるが、合成材料および/または組換え技術を使用した操作によって産生または誘導された材料をいう。非限定的な例には、とりわけ、細胞の未変性(非組換え)形態内に見出されない遺伝子を発現するか、他の方法で異なるレベルで発現される未変性遺伝子を発現する組換え細胞が含まれる。
「配列同一率」および「相同率」を、ポリヌクレオチド間およびポリペプチド間の比較をいうために本明細書中で互換的に使用し、比較ウィンドウにわたる2つの最適にアラインメントした配列の比較によって決定し、ここで、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列部分またはポリペプチド配列部分は、2配列の最適なアラインメントのために参照配列と比較した場合に付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得、一致した位置の数を比較ウィンドウ中の位置の総数で除し、結果に100を乗じて配列同一率を得ることによって百分率を計算することができる。あるいは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に生じるか、核酸塩基またはアミノ酸残基をギャップを用いてアラインメントした位置の数を決定して一致した位置の数を得、一致した位置の数を比較ウィンドウ中の位置の総数で除し、結果に100を乗じて配列同一率を得ることによって百分率を計算することができる。当業者は、2つの配列をアラインメントするために利用可能な確立されたアルゴリズムが多数存在すると認識する。比較のための配列の最適アラインメントを、例えば、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:482,(1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443,(1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444,(1988)の類似性検索法、これらアルゴリズムのコンピュータ化された実行(GCG Wisconsin Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または目視検査(一般に、Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubelら,eds.,Current Protocols,a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley&Sons,Inc.,(1995 Supplement)(Ausubel)を参照のこと)によって行うことができる。配列同一率および配列類似率の決定に適切なアルゴリズムの例は、それぞれAltschulら,J.Mol.Biol.215:403−410,(1990)およびAltschulら,Nucl. Acids Res.3389−3402,(1977)に記載のBLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センターウェブサイトから公的に利用可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同一の長さのワードとアラインメントした場合にいくつかの正の値の閾値スコアTと一致するか満たすクエリー配列中の長さWのショートワードの同定による高スコア配列対(high scoring sequence pair)(HSP)の第1の同定を含む。Tを、隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)という(Altschulら、前出)。これらの最初の隣接ワードヒットは、これらのワードヒットを含むより長いHSPを見出すための検索開始のためのシードとして働く。次いで、ワードヒットを、累積アラインメントスコアを増加させることができるかぎり、各配列に沿って両方向に伸長させる。累積スコアを、ヌクレオチド配列についてはパラメーターM(一致する残基対のための報酬スコア;常に0超)およびN(ミスマッチ残基のためのペナルティスコア;常に0未満)を使用して計算する。アミノ酸配列について、スコア行列を使用して、累積スコアを計算する。各方向でのワードヒットの伸長は、以下の場合に停止される:累積アラインメントスコアがその最大到達値から量Xだけ低下した場合;1つまたはそれを超える負スコアの残基アラインメントの蓄積によって累積スコアが0またはそれ未満に進行した場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとしてワードレングス(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワードレングス(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコア行列(Henikoff and Henikoff,Proc Natl Acad Sci USA 89:10915[1989]を参照のこと)を使用する。例示的な配列アラインメントおよび配列同一率の決定には、提供されたデフォルトパラメーターを使用したGCG Wisconsinソフトウェアパッケージ(Accelrys,Madison WI)中のBESTFITプログラムまたはGAPプログラムを使用することができる。
「参照配列」は、配列比較の基本として使用される定義された配列をいう。参照配列は、より大きな配列のサブセット(例えば、全長の遺伝子配列またはポリペプチド配列のセグメント)であり得る。一般に、参照配列は、少なくとも20ヌクレオチド長またはアミノ酸残基長、少なくとも25残基長、少なくとも50残基長、または核酸もしくはポリペプチドの全長である。2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、それぞれ、(1)2配列間で類似する配列(すなわち、完全配列の一部)を含むことができ、(2)2配列間で異なる配列をさらに含むことができるので、2つ(またはそれを超える)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の配列比較を、典型的には、配列が類似する局所領域を同定および比較するための「比較ウィンドウ」にわたる2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列の比較によって行う。いくつかの実施形態では、「参照配列」は一次アミノ酸配列に基づくことができ、ここで、参照配列は一次配列中に1つまたはそれを超える変化を有し得る配列である。例えば、「X14に対応する残基にバリンを有する配列番号4に基づく参照配列」またはX14Vは、配列番号4中のX14の対応する残基(チロシンである)がバリンに変更された参照配列をいう。
「比較ウィンドウ」は、少なくとも約20個の連続するヌクレオチドの位置またはアミノ酸残基の概念的セグメントをいい、ここで、ある配列を少なくとも20個の連続するヌクレオチドまたはアミノ酸の参照配列と比較することができ、比較ウィンドウ中の配列の一部が2配列の最適なアラインメントのために参照配列(付加や欠失を含まない)と比較した場合に20%またはそれ未満の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含むことができる。比較ウィンドウは、20個の連続残基よりも長いことが可能であり、任意選択的に、30、40、50、100、またはそれより長いウィンドウが含まれる。
「実質的な同一性」は、少なくとも20残基の位置の比較ウィンドウにわたって、頻繁には、少なくとも30〜50残基のウィンドウにわたって参照配列と比較した場合に、少なくとも80%配列同一性、少なくとも85%同一性、および89〜95%配列同一性、より通常には少なくとも99%配列同一性を有するポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列をいい、ここで、配列同一率を、比較ウィンドウにわたって合計で20%またはそれ未満の参照配列が付加または欠失した配列との参照配列の比較によって計算する。ポリペプチドに適用した特定の実施形態では、用語「実質的な同一性」は、2つのポリペプチド配列が、デフォルトギャップウェイトを使用したプログラムGAPまたはBESTFITなどによって最適にアラインメントした場合、少なくとも80%配列同一性、好ましくは少なくとも89%配列同一性、少なくとも95%配列同一性、またはそれを超える配列同一性(例えば、99%配列同一性)を共有することを意味する。好ましくは、同一でない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
「〜に相当する」、「〜に関する」、または「〜に関連する」は、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列の付番の文脈で使用する場合、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列を参照配列と比較した場合に指定した参照配列の残基の付番をいう。換言すれば、所与のポリマーの残基番号または残基の位置を、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列内の残基の実際の番号の位置によるよりもむしろ参照配列に関して命名する。例えば、所与のアミノ酸配列(操作されたイミンレダクターゼのアミノ酸配列など)を、2配列間の残基マッチを最適にするためのギャップの導入によって参照配列とアラインメントすることができる。これらの場合、ギャップが存在するにもかかわらず、所与のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列中の残基を、アラインメントした参照配列に関して付番する。
「アミノ酸の相違」または「残基の相違」は、参照配列中の対応する位置のアミノ酸残基と比較したポリペプチド配列の位置のアミノ酸残基の変化をいう。アミノ酸の相違の位置を、一般に、本明細書中で「Xn」といい、ここで、nは残基の相違に基づいた参照配列中の対応する位置をいう。例えば、「配列番号2と比較した場合のX25位の残基の相違」は、配列番号2の25位に対応するポリペプチドの位置でのアミノ酸残基の変化をいう。したがって、配列番号2の参照ポリペプチドが25位にバリンを有する場合、「配列番号2と比較した場合のX25位の残基の相違」は、配列番号2の25位に対応するポリペプチドの位置でのバリン以外の任意の残基のアミノ酸置換をいう。本明細書中のほとんどの例では、ある位置での特異的なアミノ酸残基の相違を「XnY」として示し、ここで、「Xn」は上記の対応する位置を指定し、「Y」は操作されたポリペプチド中に見出されるアミノ酸(すなわち、参照ポリペプチド中の残基と異なる残基)の一文字識別子である。いくつかの実施形態では、1つを超えるアミノ酸が指定した残基の位置に存在することができ、別のアミノ酸をXnY/Z(式中、YおよびZは代わりとなるアミノ酸残基を示す)の形態で列挙することができる。いくつかの場合(例えば、表3A、3B、3C、3D、および3E中)、本発明はまた、従来の表示法「AnB」で示す特異的なアミノ酸の相違を提供し、ここで、Aは参照配列中の残基の一文字識別子であり、「n」は参照配列中の残基の位置の番号であり、Bは操作されたポリペプチド配列中の残基置換の一文字識別子である。さらに、いくつかの例では、本発明のポリペプチドは、参照配列と比較した1つまたはそれを超えるアミノ酸残基の相違を含むことができ、この相違は、参照配列と比較した場合に変化した特定の位置のリストによって示される。本発明は、保存的アミノ酸置換および非保存的アミノ酸置換のいずれか/または両方を含む1つまたはそれを超えるアミノ酸の相違を含む操作されたポリペプチド配列を含む。
「保存的アミノ酸置換」は、ある残基の類似の側鎖を有する異なる残基との置換をいい、したがって、典型的には、ポリペプチド中のアミノ酸の同一または類似と定義されたアミノ酸クラス内のアミノ酸との置換を含む。制限されない例として、それぞれ、脂肪族側鎖を有するあるアミノ酸を、別の脂肪族アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン)と置換することができ;ヒドロキシル側鎖を有するあるアミノ酸を、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、セリンおよびトレオニン)と置換し;芳香族側鎖を有するあるアミノ酸を、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジン)と置換し;塩基性側鎖を有するあるアミノ酸を、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、リジンおよびアルギニン)と置換し;酸性側鎖を有するあるアミノ酸を、酸性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)と置換し;ある疎水性または親水性のアミノ酸を、別の疎水性または親水性のアミノ酸と置換する。例示的な保存性置換を以下の表1に示す。
「非保存的置換」は、ポリペプチド中のアミノ酸の有意に性質が異なる側鎖を有するアミノ酸との置換をいう。非保存的置換は、定義した群内よりもむしろ群間のアミノ酸を使用することができ、(a)置換領域中のペプチド骨格の構造(例えば、グリシンのプロリンへの置換)、(b)電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩高さに影響を及ぼす。制限されない例として、例示的な非保存的置換は、塩基性アミノ酸または脂肪族アミノ酸に置換された酸性アミノ酸;小アミノ酸に置換された芳香族アミノ酸;および疎水性アミノ酸に置換された親水性アミノ酸であり得る。
「欠失」は、参照ポリペプチドからの1つまたはそれを超えるアミノ酸の除去によるポリペプチドの改変をいう。欠失は、操作されたイミンレダクターゼ酵素の酵素活性を保持し、そして/またはその改良された性質を保持しながら、参照酵素を構成する1またはそれを超えるアミノ酸、2またはそれを超えるアミノ酸、5またはそれを超えるアミノ酸、10またはそれを超えるアミノ酸、15またはそれを超えるアミノ酸、または20またはそれを超えるアミノ酸、全アミノ酸数の10%まで、または全アミノ酸数の20%までを除去することができる。欠失は、ポリペプチドの内部および/または末端部が対象であり得る。種々の実施形態では、欠失は、連続的なセグメントを含むことができるか、不連続であり得る。
「挿入」は、参照ポリペプチドに対する1つまたはそれを超えるアミノ酸の付加によるポリペプチドの改変をいう。いくつかの実施形態では、改良された操作されたイミンレダクターゼ酵素は、イミンレダクターゼ活性を有する天然に存在するポリペプチドへの1つまたはそれを超えるアミノ酸の挿入および他の改良されたイミンレダクターゼポリペプチドへの1つまたはそれを超えるアミノ酸の挿入を含む。ポリペプチドの内部またはカルボキシ末端もしくはアミノ末端に挿入することができる。本明細書中で使用される挿入には、当該分野で公知の融合タンパク質が含まれる。挿入は、アミノ酸の連続セグメントであり得るか、天然に存在するポリペプチド中で1つまたはそれを超えるアミノ酸によって分離され得る。
本明細書中で使用する場合の「フラグメント」は、アミノ末端の欠失および/またはカルボキシ末端の欠失を有するが、残存するアミノ酸配列が配列中の対応する位置と同一であるポリペプチドをいう。フラグメントは、少なくとも14アミノ酸長、少なくとも20アミノ酸長、少なくとも50アミノ酸長、またはそれを超えるアミノ酸長、ならびに全長イミンレダクターゼポリペプチド(例えば、配列番号4〜1300のいずれかのポリペプチド)の70%、80%、90%、95%、98%、および99%までであり得る。
「単離されたポリペプチド」は、ポリペプチドに天然に付随している他の夾雑物(例えば、タンパク質、脂質、およびポリヌクレオチド)から実質的に分離されたポリペプチドをいう。この用語は、その天然に存在する環境または発現系(例えば、宿主細胞またはin vitro合成)から除去または精製されているポリペプチドを含む。操作されたイミンレダクターゼ酵素は、細胞内に存在することができるか、細胞培地中に存在することができるか、種々の形態(溶解物または単離された調製物など)で調製することができる。そのようなものとして、いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼ酵素は、単離されたポリペプチドであり得る。
「実質的に純粋なポリペプチド」は、ポリペプチド種が主に存在する種である(すなわち、モルベースまたは重量ベースで、組成物中の任意の他の個別の高分子種よりも豊富に存在する)組成物をいい、一般に、モルまたは重量%で存在する高分子種の少なくとも約50%を対象種が占める場合、実質的に精製された組成物である。一般に、実質的に純粋なイミンレダクターゼ組成物は、モルまたは重量%で組成物に存在する全高分子種の約60%またはそれを超えて、約70%またはそれを超えて、約80%またはそれを超えて、約90%またはそれを超えて、約95%またはそれを超えて、および約98%またはそれを超えて含まれるであろう。いくつかの実施形態では、対象種を、本質的に均一(すなわち、従来の検出方法によって組成物中の夾雑種を検出できない)まで精製し、ここで、組成物は、本質的に単一の高分子種からなる。溶媒種、小分子(500ダルトン未満)、および元素イオン種は、高分子種と見なさない。いくつかの実施形態では、単離された操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチド組成物である。
「立体選択的な」は、化学反応または酵素反応における一方の立体異性体の他方の立体異性体を超える形成の優先度をいう。立体選択性は、一方の立体異性体の形成が他方よりも好まれる場合は部分的であり得、一方の立体異性体のみが形成される場合は完全であり得る。立体異性体が鏡像異性体である場合、立体選択性は、エナンチオ選択性(両方の合計中の1つの鏡像異性体の分率(典型的には、百分率として報告される))をいう。エナンチオ選択性は、代わりとして、式[主な鏡像異性体−少数の鏡像異性体]/[主な鏡像異性体+少数の鏡像異性体]にしたがって鏡像異性体から計算した鏡像体過剰率(e.e.)(典型的には百分率として)として当該分野で一般的に報告されている。立体異性体がジアステレオ異性体である場合、立体選択性をジアステレオ選択性(2つのジアステレオマーの混合物のうちの一方のジアステレオマーの分率(典型的には、百分率として報告される))といい、一般に、代わりとして、ジアステレオマー過剰率(d.e.)として報告される。鏡像体過剰率およびジアステレオマー過剰率は、立体異性体過剰率(stereomeric excess)の一形態である。
「高度に立体選択的な」は、1つの基質または複数の基質(例えば、基質化合物(1e)および(2b))を対応するアミン生成物(例えば、化合物(3i))に少なくとも約85%の立体異性体過剰率で変換することができる化学反応または酵素反応をいう。
「改良された酵素の性質」は、参照イミンレダクターゼと比較した場合に任意の酵素の性質が改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをいう。本明細書中に記載の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドについて、一般にイミンレダクターゼが由来する野生型酵素と比較するが、いくつかの実施形態では、参照酵素が別の改良された操作されたイミンレダクターゼであり得る。改良が望まれる酵素の性質には、酵素活性(基質変換率で示すことができる)、熱安定性、溶媒安定性、pH活性プロフィール、補因子要件、インヒビター抵抗性(例えば、基質または生成物の阻害)、立体特異性、および立体選択性(エナンチオ選択性が含まれる)が含まれるが、これらに限定されない。
「酵素活性の増加」は、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドの性質の改良をいい、この酵素活性の増加を、参照イミンレダクターゼ酵素と比較した場合の比活性(例えば、生成された生成物/時間/タンパク質重量)の増加または基質の生成物への変換率(例えば、特定の量のイミンレダクターゼを使用した特定の時間における出発量の基質の生成物への変換率)の増加によって示すことができる。例示的な酵素活性の決定方法を、実施例に示す。酵素活性に関する任意の性質(その変化によって酵素活性が増加し得るKm、Vmax、またはkcatの古典的な酵素の性質が含まれる)が影響を受け得る。酵素活性の改良は、対応する野生型酵素の酵素活性の約1.2倍から、イミンレダクターゼポリペプチドが由来する天然に存在するか別の操作されたイミンレダクターゼよりも酵素活性が2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、50倍、またはそれを超えるまでであり得る。イミンレダクターゼ活性を、標準的なアッセイのうちのいずれか1つ(基質、補因子、または生成物の性質の変化のモニタリングなど)によって測定することができる。いくつかの実施形態では、生成物の生成量を、液体クロマトグラフィ−質量分析(LC−MS)によって測定することができる。本明細書中にさらに詳述するように、酵素活性を、定義された酵素の調製、設定された条件下での定義されたアッセイ、および1つまたはそれを超える定義された基質を使用して比較する。一般に、溶解物を比較する場合、宿主細胞による酵素の生成量および溶解物中の酵素の存在量の変動を最小にするために同一の発現系および同一の宿主細胞も使用して細胞数およびタンパク質のアッセイ量を決定する。
「変換」は、基質の対応する生成物への酵素変化をいう。「変換率」は、特定の条件下での時間内の生成物に変換した基質の百分率をいう。したがって、イミンレダクターゼポリペプチドの「酵素活性」または「活性」を、基質の生成物への「変換率」として示すことができる。
「熱安定性」は、野生型酵素と比較して一定期間(例えば、0.5〜24時間)高温(例えば、40〜80℃)に暴露後に類似の活性(例えば、60%〜80%を超える)を維持するイミンレダクターゼポリペプチドをいう。
「溶媒安定性」は、野生型酵素と比較して一定期間(例えば、0.5〜24時間)種々の濃度(例えば、5〜99%)の溶媒(エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、酢酸ブチル、メチルtert−ブチルエーテルなど)に曝露後に類似の活性(例えば、60%〜80%を超える)を維持するイミンレダクターゼポリペプチドをいう。
「熱および溶媒安定性」は、熱安定性および溶媒安定性の両方を示すイミンレダクターゼポリペプチドをいう。
「ストリンジェントなハイブリッド形成」を、本明細書中で、核酸ハイブリッドが安定な条件をいう。当業者に公知のように、ハイブリッドの安定性は、ハイブリッドの融点(Tm)に反映される。一般に、ハイブリッドの安定性は、イオン強度、温度、G/C含量、およびカオトロピック剤の存在の関数である。ポリヌクレオチドのTm値を、公知の融点の予測方法を使用して計算することができる(例えば、Baldinoら,Methods Enzymology 168:761−777;Boltonら,1962,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:1390;Bresslauerら,1986,Proc.Natl.Acad.Sci USA 83:8893−8897;Freierら,1986,Proc.Natl.Acad.Sci USA 83:9373−9377;Kierzekら,Biochemistry 25:7840−7846;Rychlikら,1990,Nucleic Acids Res 18:6409−6412(erratum,1991,Nucleic Acids Res 19:698);Sambrookら,supra);Suggsら,1981,In Developmental Biology Using Purified Genes(Brownら,eds.),pp.683−693,Academic Press;and Wetmur,1991,Crit Rev Biochem Mol Biol 26:227−259(全ての刊行物が本明細書中で参照によって組み込まれる)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書中に開示のポリペプチドをコードし、定義した条件下で(中程度にストリンジェントな条件または高ストリンジェントな条件など)、本発明の操作されたイミンレダクターゼ酵素をコードする配列の相補物とハイブリッド形成する。
「ハイブリッド形成ストリンジェンシー」は、核酸のハイブリッド形成における洗浄条件などのハイブリッド形成条件をいう。一般に、ハイブリッド形成反応を、低い方のストリンジェンシーの条件下で実施後、多様であるが高い方のストリンジェンシーで洗浄する。用語「中程度のストリンジェントなハイブリッド形成」は、標的−DNAが標的DNAに対して約60%同一、好ましくは約75%同一、約85%同一、標的−ポリヌクレオチドに対して約90%を超える同一性で相補核酸に結合可能な条件をいう。例示的な中程度にストリンジェントな条件は、42℃での50%ホルムアミド、5×デンハート液、5×SSPE、0.2%SDSでのハイブリッド形成後、42℃での0.2×SSPE、0.2%SDSでの洗浄に等価な条件である。「高ストリンジェンシーハイブリッド形成」は、一般に、定義されたポリヌクレオチド配列についての溶液条件下で決定した熱融解温度Tmから約10℃またはそれ未満低い温度の条件をいう。いくつかの実施形態では、高ストリンジェンシー条件は、65℃で0.018M NaClにて安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみがハイブリッド形成することが可能な条件をいう(すなわち、ハイブリッドが65℃の0.018M NaCl中で安定ではない場合、本明細書中で意図するように、高ストリンジェンシー条件下で安定でないであろう)。高ストリンジェンシー条件を、例えば、42℃の50%ホルムアミド、5×デンハート液、5×SSPE、0.2%SDS後、65℃で0.1×SSPE、および0.1%SDSでの洗浄に等価な条件でのハイブリッド形成によって提供することができる。別の高ストリンジェンシー条件は、65℃の0.1%(w:v)SDSを含む5×SSCでのハイブリッド形成および65℃の0.1%SDSを含む0.1×SSCの洗浄に等価な条件でのハイブリッド形成である。他の高ストリンジェンシーハイブリッド形成条件および中程度にストリンジェントな条件は、上記で引用した文献に記載されている。
「異種」ポリヌクレオチドは、実験技術によって宿主細胞に導入された任意のポリヌクレオチドをいい、宿主細胞から取り出され、実験操作に供され、次いで、宿主細胞に再導入されたポリヌクレオチドが含まれる。
「コドン最適化」は、タンパク質をコードするポリヌクレオチドのコドンの、コードされたタンパク質が目的の生物中で効率的に発現されるように特定の生物中で優先的に使用されるコドンへの変化をいう。ほとんどのアミノ酸がいくつかのコドンによって示されるという点で遺伝暗号が縮重している(「同義語」または「同義」コドンと呼ばれる)にもかかわらず、特定の生物によるコドン使用頻度が非ランダムであり、特定のコドントリプレットに偏っていることが周知である。このコドン使用頻度の偏りは、所与の遺伝子、共通の機能または起源となる祖先の遺伝子、低コピー数タンパク質に対する高発現タンパク質、および生物のゲノムの凝集タンパク質コード領域に関して高い可能性がある。いくつかの実施形態では、イミンレダクターゼ酵素をコードするポリヌクレオチドを、発現のために選択された宿主生物からの最適な産生のためにコドン最適化することができる。
「好ましいコドン、最適なコドン、高コドン使用頻度バイアスコドン」は、同一アミノ酸をコードする他のコドンよりもタンパク質コード領域中でより高い頻度で使用されるコドンを互換的にいう。好ましいコドンを、単一の遺伝子、共通の機能または起源の遺伝子組、高発現遺伝子におけるコドン使用頻度、全生物の凝集タンパク質コード領域におけるコドン頻度、関連する生物の凝集タンパク質コード領域におけるコドン頻度、またはその組み合わせに関して決定することができる。遺伝子発現レベルに伴って頻度が増加するコドンは、典型的には、発現に最適なコドンである。特定の生物におけるコドン頻度(例えば、コドン使用頻度、相対的な同義語コドン使用頻度)およびコドン優先度(例えば、クラスター分析またはコレスポンデンス分析を使用した多変量解析が含まれる)ならびに遺伝子中で使用された有効コドン数を決定するための種々の方法が公知である(GCG CodonPreference,Genetics Computer Group Wisconsin Package;CodonW,John Peden,University of Nottingham;McInerney,Bioinform 14:372−73[1998];Stenicoら,Nucl Acids Res.222437−46[1994];およびWright,Gene 87:23−29[1990]を参照のこと)。コドン使用頻度表は、増大する生物のリストに利用可能である(例えば、Wadaら,Nucl Acids Res.20:2111−2118[1992];Nakamuraら,Nucl.Acids Res.28:292 [2000];Duretら,supra;およびHenaut and Danchin,“Escherichia coli and Salmonella,”Neidhardtら,(Eds.),ASM Press,Washington D.C.,[1996],p.2047−2066を参照のこと)。コドン使用頻度を得るためのデータソースは、タンパク質をコードすることができる任意の利用可能なヌクレオチド配列に依存し得る。これらのデータ・セットは、発現したタンパク質をコードすることが実際に公知の核酸配列(例えば、完全タンパク質コード配列−CDS)、発現配列タグ(ESTS)、またはゲノム配列の推定コード領域)を含む(例えば、Mount,Bioinformatics:Sequence and Genome Analysis,Chapter 8,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,[2001];Uberbacher,Meth Enzymol.266:259−281[1996];およびTiwariら,Comput.Appl.Biosci.13:263−270[1997]を参照のこと)。
「調節配列」は、本明細書中で、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現に必要であるか有利な全ての成分を含むと定義する。各調節配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対して未変性または外来であり得る。かかる調節配列には、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターが含まれるが、これらに限定されない。最小限でも、調節配列は、プロモーター、転写停止シグナル、および翻訳停止シグナルを含む。調節配列に、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域内の調節配列のライゲーションを容易にする特異的な制限部位を導入するためのリンカーを提供することができる。
「作動可能に連結された」は、本明細書中で、調節配列が目的のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現を指示または制御するように目的のポリヌクレオチドに関連する位置に調節配列が適切に(すなわち、機能的関係において)配置された構成と定義する。
「プロモーター配列」は、目的のポリヌクレオチド(コード配列など)の発現のために宿主細胞によって認識される核酸配列をいう。プロモーター配列は、目的のポリヌクレオチドの発現を媒介する転写調節配列を含む。プロモーターは、最適な宿主細胞中で転写活性を示す任意の核酸配列であってよく(変異プロモーター、短縮プロモーター、およびハイブリッドプロモーターが含まれる)、宿主細胞と同種または異種のいずれかの細胞外または細胞内のポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
「適切な反応条件」は、本発明のイミンレダクターゼポリペプチドが基質化合物を生成物化合物に変換することができる(例えば、化合物(2)の化合物(1)への変換)生体触媒反応溶液中の条件(例えば、酵素負荷、基質負荷、補因子負荷、温度、pH、緩衝液、共溶媒の範囲など)をいう。例示的な「適切な反応条件」を、本発明中に示し、実施例で例示する。
「補因子再生系」または「補因子リサイクル系」は、補因子の酸化型を還元する(例えば、NADP+からNADPH)反応に関与する反応物組をいう。ケトン基質のイミンレダクターゼ触媒還元的アミノ化によって酸化された補因子は、補因子再生系によって還元型で再生される。補因子再生系は、還元性水素等価物の供給源であり、補因子の酸化型を還元することができる化学量論的還元剤を含む。補因子再生系は、触媒(例えば、還元剤による補因子の酸化型の還元を触媒する酵素触媒)をさらに含むことができる。それぞれNAD+またはNADP+からNADHまたはNADPHを再生するための補因子再生系は、当該分野で公知であり、本明細書中に記載の方法で使用することができる。
「ギ酸デヒドロゲナーゼ」および「FDH」を、それぞれホルマートおよびNAD+またはNADP+の二酸化炭素およびNADHまたはNADPHへの変換を触媒するNAD+依存性酵素またはNADP+依存性酵素をいうために本明細書中で互換的に使用する。
「化合物負荷」、「酵素負荷」、または「補因子負荷」などにおける「負荷」は、反応開始時の反応混合物中の成分の濃度または量をいう。
生体触媒媒介プロセスの文脈における「基質」は、生体触媒が作用する化合物または分子をいう。例えば、本明細書中に開示の還元的アミノ化プロセスで使用されるイミンレダクターゼ生体触媒の基質は、式(I)のケトン(またはアルデヒド)基質(シクロヘキサノンなど)および式(II)のアミン基質(ブチルアミンなど)である。
生体触媒媒介プロセスの文脈中の「生成物」は、生体触媒の作用に起因する化合物または分子をいう。例えば、本明細書中に開示のプロセスで使用されるイミンレダクターゼ生体触媒の例示的な生成物は、第二級アミン化合物または第三級アミン化合物(式(III)の化合物など)である。
「アルキル」は、1〜18個の炭素原子(両端の数を含む)、直鎖または分岐鎖のいずれかであり、より好ましくは1〜8個の炭素原子(両端の数を含む)、最も好ましくは1〜6個の炭素原子(両端の数を含む)の飽和炭化水素基をいう。特定の数の炭素原子を有するアルキルを丸括弧内に示し、例えば、(C1〜C6)アルキルは1〜6個の炭素原子のアルキルをいう。
「アルキレン」は、1〜18個の炭素原子(両端の数を含む)、より好ましくは1〜8個の炭素原子(両端の数を含む)、最も好ましくは1〜6個の炭素原子(両端の数を含む)を有する直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素ラジカルをいう。
「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含むが、任意選択的に1つを超える二重結合を含む直鎖または分岐鎖のいずれかの2〜12個の炭素原子(両端の数を含む)の基をいう。
「アルケニレン」は、2〜12個の炭素原子(両端の数を含む)および1つまたはそれを超える炭素――炭素二重結合、より好ましくは2〜8個の炭素原子(両端の数を含む)、最も好ましくは2〜6個の炭素原子(両端の数を含む)を有する直鎖または分枝鎖の2価の炭化水素ラジカルをいう。
「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含むが、任意選択的に1つを超える三重結合を含み、さらに、任意選択的に1つまたはそれを超える二重結合部分を含む直鎖または分岐鎖の2〜12個の炭素原子(両端の数を含む)の基をいう。
「シクロアルキル」は、1〜3個のアルキル基に任意選択的に置換することができる単一の環または複数の縮合した環を有する3〜12個の炭素原子(両端の数を含む)の環状アルキル基をいう。例示的なシクロアルキル基には、単環構造(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、および2−メチルシクロオクチルなど)または多環構造(アダマンチルなどの架橋環系が含まれる)が含まれるが、これらに限定されない。
「シクロアルキルアルキル」は、好ましくは、アルキル部分中に1〜6個の炭素原子(両端の数を含む)を有し、シクロアルキル部分中に3〜12個の炭素原子(両端の数を含む)を有する、シクロアルキルに置換されたアルキル(すなわち、シクロアルキル−アルキル基)をいう。かかるシクロアルキルアルキル基の例は、シクロプロピルメチルおよびシクロヘキシルエチルなどである。
「アリール」は、単一の環(例えば、フェニル)または複数の縮合した環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する、6〜12個の炭素原子(両端の数を含む)の不飽和芳香族炭素環基をいう。例示的なアリールには、フェニル、ピリジル、およびナフチルなどが含まれる。
「アリールアルキル」は、好ましくはアルキル部分中に1〜6個の炭素原子(両端の数を含む)を有し、アリール部分中に6〜12個の炭素原子(両端の数を含む)を有する、アリールに置換されたアルキル(すなわち、アリール−アルキル基)をいう。かかるアリールアルキル基の例は、ベンジルおよびフェネチルなどである。
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、およびヘテロアルキニル」は、1つまたはそれを超える炭素原子が同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基にそれぞれ独立して置き換えられた本明細書中に定義のアルキル、アルケニル、およびアルキニルをいう。炭素原子と置き換えることができるヘテロ原子および/またはヘテロ原子基には、−O−、−S−、−S−O−、−NRγ−、−PH−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)NRγ−、および−S(O)2NRγ−など(その組み合わせが含まれる)(式中、各Rγは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから独立して選択される)が含まれるが、これらに限定されない。
「ヘテロアリール」は、環内に1〜10個の炭素原子(両端の数を含む)および1〜4個の酸素、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子(両端の数を含む)を含む芳香族複素環基をいう。かかるヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有することができる。
「ヘテロアリールアルキル」は、好ましくは、アルキル部分中に1〜6個の炭素原子(両端の数を含む)を有し、ヘテロアリール部分中に5〜12個の環原子(両端の数を含む)を有する、ヘテロアリールに置換されたアルキル(すなわち、ヘテロアリール−アルキル基)をいう。かかるヘテロアリールアルキル基の例は、ピリジルメチルなどである。
「ヘテロ環」、「複素環」、および、互換的に「ヘテロシクロアルキル」は、単環または複数の縮合環、環内に2〜10個の炭素環原子(両端の数を含む)および1〜4個の窒素、硫黄、または酸素から選択されるヘテロ環原子(両端の数を含む)を有する飽和または不飽和の基をいう。かかる複素環基は、単一の環(例えば、ピペリジニルまたはテトラヒドロフリル)または複数の縮合した環(例えば、インドリニル、ジヒドロベンゾフラン、またはキヌクリジニル)を有することができる。ヘテロ環の例には、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、およびインドリンなどが含まれるが、これらに限定されない。
「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、好ましくは、アルキル部分中に1〜6個の炭素原子(両端の数を含む)を有し、ヘテロシクロアルキル部分中に3〜12個の環原子(両端の数を含む)を有する、ヘテロシクロアルキルに置換されたアルキル(すなわち、ヘテロシクロアルキル−アルキル基)をいう。
「オキシ」は、異なるオキシ基(エステルまたはエーテルが含まれる)を形成するための種々の置換基を有することができる2価の−O−基をいう。
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」を、−ORζ基(式中、Rζはアルキル基(任意選択的に置換されたアルキル基が含まれる)である)をいうために本明細書中で互換的に使用する。
本明細書中で使用される場合の「アリールオキシ」は、−OR基(式中、Rは上記定義のアリール基(本明細書中でも定義された任意選択的に置換されたアリール基が含まれる)である)をいう。
「カルボキシ」は−COOHをいう。
「カルボキシアルキル」は、カルボキシ基に置換されたアルキルをいう。
「カルボニル」は、−C(O)−基をいう。置換カルボニルは、Rη−C(O)−Rη基(式中、各Rηは、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルコキシ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アシル、アルコキシカルボニル、スルファニル、スルフィニル、およびスルホニルなどから独立して選択される)をいう。典型的な置換カルボニル基には、酸、ケトン、アルデヒド、アミド、エステル、アシルハライド、およびチオエステルなどが含まれる。
「アミノ」は、−NH2基をいう。置換アミノは、−NHRη基、NRηRη基、およびNRηRηRη基(式中、各Rηは、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルコキシ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アシル、アルコキシカルボニル、スルファニル、スルフィニル、およびスルホニルなどから独立して選択される)をいう。典型的なアミノ基には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチル(methyly)スルホニルアミノ、およびフラニル−オキシ−スルファミノなどが含まれるが、これらに限定されない。
「アミノアルキル」は、1つまたはそれを超える水素原子がアミノ基(置換アミノ基が含まれる)に置き換えられたアルキル基をいう。
「アミノカルボニル」は、本明細書中に定義のアミノ基(置換アミノ基が含まれる)に置換されたカルボニル基をいい、アミドを含む。
「アミノカルボニルアルキル」は、本明細書中に定義のアミノカルボニル基に置換されたアルキルをいう。
「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードをいう。
「ハロアルキル」は、1つまたはそれを超える水素原子をハロゲンと置き換えたアルキル基をいう。したがって、用語「ハロアルキル」は、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルなどからペルハロアルキルまでが含まれることを意味する。例えば、語句「(C1 C2)ハロアルキル」には、1−フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、1,1,1トリフルオロエチル、ペルフルオロエチルなどが含まれる。
「ヒドロキシ」は−OHをいう。
「ヒドロキシアルキル」は、1つまたはそれを超えるヒドロキシ基に置換されたアルキルをいう。
「チオ」または「スルファニル」は、−SHをいう。置換されたチオまたはスルファニルは、−S−Rη(式中、Rηは、アルキル、アリール、または他の適切な置換基である)をいう。
「アルキルチオ」は、−SRζ(式中、Rζは、任意選択的に置換することができるアルキルである)をいう。典型的なアルキルチオ基には、メチルチオ、エチルチオ、およびn−プロピルチオなどが含まれるが、これらに限定されない。
「アルキルチオアルキル」は、アルキルチオ基(−SRζ(式中、Rζは、任意選択的に置換することができるアルキルである))に置換されたアルキルをいう。
「スルホニル」は、−SO2−をいう。置換スルホニルは、−SO2−Rη(式中、Rηはアルキル、アリール、または他の適切な置換基である)をいう。
「アルキルスルホニル」は、−SO2−Rζ(式中、Rζは、任意選択的に置換することができるアルキルである)をいう。典型的なアルキルスルホニル基には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、およびn−プロピルスルホニルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルキルスルホニルアルキル」は、アルキルスルホニル基−SO2−Rζ(式中、Rζは、任意選択的に置換することができるアルキルである)に置換されたアルキルをいう。
「員環」は、任意の環状構造を含むことを意味する。用語「員」の前の数字は、環を構成する骨格原子の数を示す。したがって、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピラン、およびチオピランは6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フラン、およびチオフェンは5員環である。
「縮合二環」は、各環内に5または8個の原子を有し、環は2個の共通の原子を有する、非置換または置換の炭素環および/または複素環部分の両方をいう。
前述の化学基に関して本明細書中で使用される場合の「任意選択的に置換された」は、水素によって占められる化学基の位置を、炭素、酸素、窒素、または硫黄などの別の原子、またはヒドロキシ、オキソ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ハロアルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ハロ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、トリフルオロメチル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、チオ、アルキルチオ、アシル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキサミド、置換カルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルアミノ、スルホンアミド、置換スルホンアミド、シアノ、アミノ、置換アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アミジノ、アミドキシモ(amidoximo)、ヒドロキサモイル、フェニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ピリジル、イミダゾリル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリノ、ヘテロ環、(ヘテロ環)オキシ、および(ヘテロ環)アルキルによって例示されるが、これらに限定されない化学基に置換することができ;ここで、好ましいヘテロ原子が酸素、窒素、および硫黄であることを意味する。さらに、開殻価電子(open valence)がこれらの置換化学基上に存在する場合、開殻価電子をアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、および/またはヘテロ環基にさらに置換することができ、これらの開殻価電子が炭素上に存在する場合、開殻価電子を、ハロゲンならびに酸素、窒素、または硫黄に結合した置換基にさらに置換することができ、複数のかかる開殻価電子が存在する場合、結合の直接形成または新規のヘテロ原子、好ましくは酸素、窒素、または硫黄への結合の形成のいずれかによってこれらの基を接合させて環を形成することができる。水素の置換基への置き換えによって本発明の分子が許容できない不安定性を生じず、かつ他の点で化学的に妥当であるという条件で、上記置換を実施することができることがさらに意図される。当業者は、任意選択的に置換されたと記載の任意の化学基に関して、立体的に実用的および/または合成的に実行可能な化学基のみが含まれることを意味すると理解するであろう。最後に、本明細書中で使用される場合の「任意選択的に置換された」は、その後に来る1つの用語または一連の化学基の全てを修飾することをいう。例えば、用語「任意選択的に置換されたアリールアルキル」では、分子の「アルキル」部分および「アリール」部分を置換しても置換しなくてもよく、一連の用語「任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリール」について、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基を、他の基から独立して、置換しても置換しなくてもよい。
6.3 操作されたイミンレダクターゼ(IRED)ポリペプチド
本発明は、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;ポリペプチドの調製方法、およびポリペプチドの使用方法を提供する。記述がポリペプチドに関する場合、本発明は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも記載していると理解すべきである。
上述の通り、イミンレダクターゼは、スキーム1に例示するように、ケトン基質および第一級アミン基質または第二級アミン基質の第二級アミン生成物または第三級アミン生成物への還元的アミノ化を触媒する酵素クラスに属する(式(I)、(II)、および(III)の化合物のスキームおよび基の構造については上記を参照のこと)。
配列番号2のアミノ酸配列を有するArthrobacter sp.1C株由来のオピンデヒドロゲナーゼ(本明細書中で「CENDH」とも呼ばれる)は、天然には、ケトン基質、ピルバートおよびアミノ酸基質、L−2−アミノペンタン酸(または「L−ノルバリン」)の生成物(2S)−2−((1−カルボキシエチル)アミノ)ペンタン酸への変換を触媒する。CENDHはまた、ビルバートの、アミノ酸基質、L−オルニチン、およびβ−アラニン、ならびに構造的に類似するアミノスルホン酸基質であるタウリンとの反応を触媒する。さらに、CENDHは、非活性化ケトン基質であるシクロヘキサノン(ピルバートよりもむしろ)およびその天然アミン基質であるL−ノルバリンの第二級アミン生成物((S)−2−(シクロヘキシルアミノ)ペンタン酸)への変換を触媒することが見出された。CENDHはまた、第一級アミンであるブチルアミン、エチルアミン、およびイソプロピルアミンを使用したその天然のケトン基質であるピルバートのそのそれぞれの2−(アルキルアミノ)プロパン酸(第二級アミン生成物)への変換を触媒することが見出された。しかし、CENDHは、第二級アミン(ジメチルアミンなど)を使用したピルバートの変換にいかなる活性も示さなかった。さらに、CENDHは、非活性化第一級アミン基質であるブチルアミンと共に使用した場合、非活性化ケトン基質であるシクロヘキサノンを使用していかなるイミンレダクターゼ活性も示さなかった。
本発明は、野生型オピンデヒドロゲナーゼCENDHの欠点を克服する操作されたイミンレダクターゼを提供する。以下の表2に列挙した変換反応(a)〜(g)によって示されるように、Arthrobacter sp.1C株の野生型酵素から誘導された操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、ピルバートおよびL−ノルバリンを生成物(2S)−2−((1−カルボキシエチル)アミノ)ペンタン酸に効率的に変換することができるだけでなく、一定範囲の式(I)のケトン基質化合物および式(II)のアミン基質化合物を式(III)の第二級アミン生成物化合物および第三級アミン生成物化合物に効率的に変換することもできる。
有意には、本発明は、酵素の性質(とりわけ、イミンレダクターゼ活性、基質特異性、および選択性が含まれる)が改良された、(以前に配列番号2の天然に存在するCENDHポリペプチドから進化した)配列番号4、6または8のイミンレダクターゼ活性を有する参照の操作されたポリペプチドの配列におけるアミノ酸残基の位置および対応する変異を提供する。特に、本発明は、表2などに記載の還元的アミノ化反応(すなわち、式(III)の第二級アミン化合物または第三級アミン化合物が生成される式(II)の第一級アミン基質化合物および第二級アミン基質化合物を使用した式(I)のケトン基質化合物の還元的アミノ化)を触媒することができる操作されたIREDポリペプチドを提供する。
いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、野生型酵素CENDHと比較した場合に同量の酵素を使用した定義の時間における式(I)のケトン基質および式(II)のアミン基質の式(III)のアミン生成物への変換において活性の増加が認められる。いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、適切な反応条件下で配列番号4、6または8の参照の操作されたポリペプチドと比較した場合に、少なくとも約1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍、またはそれを超える活性を有する。
いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、式(I)のケトン基質および式(II)のアミン基質の式(III)のアミン生成物への変換においてイミンレダクターゼ活性を示し、配列番号2の野生型ポリペプチドCENDHは検出可能な活性を持たない。
操作されたイミンレダクターゼポリペプチドによって生成された式(III)の生成物化合物は、1つまたはそれを超えるキラル中心を有する第二級アミン化合物または第三級アミン化合物であり得る。いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超、99.5%超、またはそれを超える鏡像体過剰率またはジアステレオマー過剰率で、式(I)および式(II)のケトン基質化合物およびアミン基質化合物を式(III)のキラルなアミン生成物化合物に変換することができる。
いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、式(I)および式(II)のケトン基質化合物およびアミン基質化合物を、適切な反応条件下での配列番号4、6または配列番号8の参照ポリペプチドの耐性と比較してこれらの基質化合物の一方または両方が存在するための耐性が増加した変換が可能である。したがって、いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、適切な反応条件下での約120時間またはそれ未満、72時間またはそれ未満、約48時間またはそれ未満、約36時間またはそれ未満、または約24時間またはそれ未満の反応時間にて、少なくとも約.001%、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約10%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の変換率で、少なくとも約1g/L、約5g/L、約10g/L、約20g/L、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約70g/L、約100g/L、約125g/L、約150g/L、約175g/L、または約200g/L、またはそれを超える基質負荷濃度の式(I)および式(II)のケトン基質化合物およびアミン基質化合物を変換することができる。
上記の操作されたポリペプチドの改良された性質によって変換が行われる適切な反応条件を、以下および実施例にさらに記載するように、以下の濃度または量に関して決定することができる:ポリペプチド、基質、補因子(例えば、NAD(P)H)、補酵素(例えば、FDH[ギ酸デヒドロゲナーゼ]またはGDH[グルコースデヒドロゲナーゼ])、緩衝液、共溶媒、pH、温度、反応時間、および/または固体支持体上に固定したポリペプチドを使用した条件。
本発明は、イミンレダクターゼ活性を有する多数の例示的な操作されたポリペプチドを提供する。これらの例示的なポリペプチドを、配列番号4、6または8の以前に操作されたポリペプチド(配列番号2の野生型CENDHから指向進化によって得られた)から進化させ、性質の改良、特に、種々のケトン基質およびアミン基質の変換(化合物(1a)および(2a)のアミン生成物化合物(3a)への変換、化合物(1b)および(2b)のアミン生成物化合物(3b)への変換、化合物(1c)および(2c)のアミン生成物化合物(3c)への変換、化合物(1d)および(2d)のアミン生成物化合物(3d)への変換、化合物(1d)および(2c)のアミン生成物化合物(3e)への変換、化合物(1d)および(2c)のアミン生成物化合物(3f)および化合物(1d)および(2c)のアミン生成物化合物(3g)への変換が含まれる)における活性および安定性の増加を示す。これらの例示的なイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号4、6または8と比較した場合に以下の残基の位置:X9、X12、X31、X37、X44、X46、X48、X55、X56、X65、X82、X93、X98、X108、X137、X138、X141、X142、X143、 X153、X154、X155、X156、X159、X166、X167、X168、X173、X177、X178、X184、X185、X195、X197、X198、X199、X200、X201、X203、X205、X206、X210、X213、X215、X216、X218、X220、X221、X223、X224、X226、X234、X239、X242、X245、X251、X253、X256、X257、X259、X260、X261、X262、X263、X265、X266、X267、X268、X269、X272、X273、X274、X276、X277、X278、X279、X280、X281、X282、X283、X284、X285、X289、X290、X291、X292、X293、X294、X330およびX349に1つまたはそれを超える残基の相違を含むアミノ酸配列(添付の配列表中に配列番号10〜1300のうち偶数番号の配列識別子として提供)を有する。表3A〜3Mの結果は、一定範囲のケトン基質およびアミン基質にわたるイミンレダクターゼの活性および/または安定性の増加を伴うバリアントを提供する。
本発明の例示的な天然に存在しない(または操作された)イミンレダクターゼポリペプチドの構造および機能の情報は、これらの酵素の指向進化で使用した以下の7つの異なる高処理(HTP)スクリーニングアッセイに基づく:化合物(1a)および(2a)のアミン生成物化合物(3a)への変換、化合物(1b)および(2b)のアミン生成物化合物(3b)への変換、化合物(1c)および(2c)のアミン生成物化合物(3c)への変換、化合物(1d)および(2d)のアミン生成物化合物(3d)への変換、化合物(1d)および(2c)のアミン生成物化合物(3e)への変換、化合物(1d)および(2c)のアミン生成物化合物(3f),および化合物(1d)および(2c)のアミン生成物化合物(3g)への変換。これらのHTPスクリーニングアッセイの結果を以下の表3A〜3Mに示す。奇数番号の配列識別子(すなわち、配列番号)は、偶数番号の配列番号によって提供されたアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列をいい、その配列を本発明に添付の配列表の電子ファイル中に提供し、この電子ファイルは本明細書中で参照によって組み込まれる。
表3A〜3Mに示す例示的なポリペプチドの分析から、酵素の性質の改良は、配列番号4、6および/または8の操作されたポリペプチドの参照配列と比較した場合に、これらの表に示される残基の位置での残基の相違に関連する。
さらに、上で述べたように、オピンデヒドロゲナーゼCENDHの結晶構造が決定されている(例えば、Brittonら,Nat.Struct.Biol.,5:593−601[1998]を参照のこと)。したがって、野生型酵素CENDHの公知の三次元構造と共に、この本明細書中に開示の種々のアミノ酸の相違と機能活性との相関により、当業者は本明細書中に提供したポリペプチド(および相同オピンデヒドロゲナーゼ酵素(OpDH、BADH、CEOS、およびTauDHが含まれる))のアミノ酸残基がさらに変化するように合理的に操作し、イミンレダクターゼ活性または安定性を保持または改良するための十分な情報を得ることができる。いくつかの実施形態では、かかる改良には、本発明の操作されたポリペプチドを、スキーム1に記載するように、一定の範囲の基質とのイミンレダクターゼ活性を有し、一定範囲の生成物が得られるように操作する工程を含むことができることを意図する。
本明細書中に提供したガイダンスを考慮すると、例えば、表3A〜3M中の他のポリペプチド由来の種々のアミノ酸の相違と本明細書中に記載の他の残基の位置との新規の組み合わせの添加によるその後の一連の進化によって、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子の任意の例示的な操作されたポリペプチド配列を、他の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドの合成のための出発アミノ酸配列として使用することができることをさらに意図する。より初期の一連の進化を通して不変なままの残基の位置にアミノ酸の相違を含めることによってさらに改良することができる。したがって、いくつかの実施形態では、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、配列番号2の参照配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性および表3A〜3Mに提供される通りの少なくとも1つの置換を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、の参照配列と比較した場合に、少なくとも2つの残基の相違を含むアミノ酸配列を含む。
当業者が認識するように、いくつかの実施形態では、選択された上記の残基の相違の1つまたは組み合わせを、コア配列として操作されたイミンレダクターゼ中に一定に維持し、他の残基の位置のさらなる残基の相違をコア配列に組み込むことにより性質が改良されたさらなる操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを生成することができる。したがって、上記の残基の相違の1つまたはサブセットを含む任意の操作されたイミンレダクターゼについて、本発明が、残基の相違の1つまたはサブセット、さらに、本明細書中に開示の他の残基の位置に1つまたはそれを超える残基の相違を含む他の操作されたイミンレダクターゼを意図すると理解すべきである。制限されない例として、残基の位置X9に残基の相違を含む操作されたイミンレダクターゼは、他の残基の位置(例えば、X198など)に1つまたはそれを超える残基の相違をさらに組み込むことができる。
一般に、本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、(スキーム1に例示のように)式(I)の化合物および式(II)の化合物を、配列番号2のArthrobacter sp.C1株野生型オピンデヒドロゲナーゼ参照ポリペプチドと比較するか、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子の操作されたポリペプチドから選択されるイミンレダクターゼ活性を有する参照ポリペプチドと比較した場合に、活性および/または立体選択性が改良された式(III)のアミン生成物化合物に変換することができる。いくつかの実施形態では、活性の改良および/または立体選択性の改良は、表2に示す式(I)の化合物と式(II)の化合物との特定の組み合わせの表2に示す式(III)の対応するアミン生成物化合物への変換に関連する。
したがって、いくつかの実施形態では、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択される参照配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える同一性、ならびに配列番号2と比較した場合に、本明細書に提供されるものから選択される残基の位置に1つまたはそれを超える残基の相違を有するアミノ酸配列を有する本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、適切な反応条件下で1つまたはそれを超える以下の変換反応が可能であり、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子の参照ポリペプチドと比較した場合に活性および/または立体選択性が改良される:
(a)基質化合物(1a)および(2a)の生成物化合物(3a)への変換;
(b)基質化合物(1b)および(2b)の生成物化合物(3b)への変換;
(c)基質化合物(1c)および(2c)の生成物化合物(3c)への変換;
(d)基質化合物(1d)および(2d)の生成物化合物(3d)への変換;
(e)基質化合物(1d)および(2c)の生成物化合物(3e)への変換;
(f)基質化合物(1d)および(2c)の生成物化合物(3f)への変換;および
(g)基質化合物(1d)および(2c)の生成物化合物(3g)への変換。
いくつかの実施形態では、イミンレダクターゼ活性を有し、適切な反応条件下で1つまたはそれを超える上記変換反応(a)〜(g)を触媒することができ、活性および/または立体選択性が改良された操作されたポリペプチドは、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子のうちの1つと少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、配列番号2と比較した場合に、表3A〜3Mに提供する配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子のうちのいずれか1つに存在するアミノ酸残基の相違を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、イミンレダクターゼ活性を有し、適切な反応条件下で1つまたはそれを超える上記変換反応(a)〜(g)を触媒することができ、活性および/または立体選択性が改良された操作されたポリペプチドは、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択される配列を含むアミノ酸配列を有する。本発明の操作されたポリペプチドが由来する配列番号2のArthrobacter sp.C1株(CENDH)由来の野生型オピンデヒドロゲナーゼは、化合物(1)のケトン基質および化合物(2)のアミン基質の第二級アミン生成物化合物(3)への変換において検出可能な活性を持たない。しかし、いくつかの実施形態では、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、本明細書に提供されるケトン基質およびアミン基質を本明細書に記載される通りの第二級アミン生成物化合物に変換することができる。
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書中に開示のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、化合物(1a)のケトン基質および化合物(2a)のアミン基質を配列番号4の参照ポリペプチドの活性と比較した場合に少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれを超える活性でアミン生成物化合物(3a)に変換することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、化合物(1b)のケトン基質および化合物(2b)のアミン基質を配列番号6の参照ポリペプチドの活性と比較した場合に少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれを超える活性でアミン生成物化合物(3b)に変換することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、化合物(1c)のケトン基質および化合物(2c)のアミン基質を配列番号8の参照ポリペプチドの活性と比較した場合に少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれを超える活性でアミン生成物化合物(3c)に変換することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、化合物(1d)のケトン基質および化合物(2d)のアミン基質を配列番号8の参照ポリペプチドの活性と比較した場合に少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれを超える活性でアミン生成物化合物(3d)に変換することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、化合物(1d)のケトン基質および化合物(2c)のアミン基質を配列番号8の参照ポリペプチドの活性と比較した場合に少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれを超える活性でアミン生成物化合物(3e)に変換することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、化合物(1d)のケトン基質および化合物(2c)のアミン基質を配列番号8の参照ポリペプチドの活性と比較した場合に少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれを超える活性でアミン生成物化合物(3f)に変換することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、化合物(1d)のケトン基質および化合物(2c)のアミン基質を配列番号8の参照ポリペプチドの活性と比較した場合に少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれを超える活性でアミン生成物化合物(3g)に変換することができる。
上で特定した残基の相違の位置に加えて,本明細書中に開示の任意の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、表3A〜3Mに開示のアミノ酸相違の位置以外の残基の位置に、他の残基の相違をさらに含むことができる。これらの他の残基の位置での残基の相違により、ポリペプチドが表2由来の1つまたはそれを超える上記の変換反応(a)〜(g)を触媒する能力に悪影響を与えずにアミノ酸配列をさらに変動させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、配列番号4〜1300から選択される操作されたイミンレダクターゼポリペプチドのうちのいずれか1つに存在するアミノ酸残基の相違に加えて、配列は、配列番号2、4、6および/または8と比較した場合に他のアミノ酸残基の位置に1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜11、1〜12、1〜14、1〜15、1〜16、1〜18、1〜20、1〜22、1〜24、1〜26、1〜30、1〜35、1〜40、1〜45、または1〜50個の残基の相違をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、参照配列と比較したアミノ酸残基の相違の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、30、35、40、45、または50個の残基の位置にあり得る。いくつかの実施形態では、参照配列と比較したアミノ酸残基の相違の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、21、22、23、24、または25個の残基の位置にあり得る。これらの他の位置での残基の相違は、保存的変化または非保存的変化であり得る。いくつかの実施形態では、残基の相違は、配列番号2の天然に存在するイミンレダクターゼポリペプチドまたは配列番号4、6および/または8の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドと比較した場合に保存的置換および非保存的置換を含むことができる。
いくつかの実施形態では、本発明はまた、操作されたイミンレダクターゼの機能活性および/または改良された性質を保持する本明細書中に記載の任意の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドのフラグメントを含む操作されたポリペプチドを提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、適切な反応条件下で1つまたはそれを超える上記の表2の変換反応(a)〜(g)を触媒することができるポリペプチドフラグメントであって、このフラグメントが、本発明の操作されたイミンレダクターゼポリペプチド(配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択される例示的な操作されたイミンレダクターゼポリペプチドなど)の全長アミノ酸配列の少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む、ポリペプチドフラグメントを提供する。
いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、本明細書中に記載の操作されたイミンレダクターゼポリペプチド(配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子の例示的な操作されたポリペプチドなど)のうちのいずれか1つの欠失を含むアミノ酸配列を有することができる。したがって、本発明の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドの各実施形態およびあらゆる実施形態のために、アミノ酸配列は、イミンレダクターゼポリペプチドの1つまたはそれを超えるアミノ酸、2またはそれを超えるアミノ酸、3またはそれを超えるアミノ酸、4またはそれを超えるアミノ酸、5またはそれを超えるアミノ酸、6またはそれを超えるアミノ酸、8またはそれを超えるアミノ酸、10またはそれを超えるアミノ酸、15またはそれを超えるアミノ酸、または20またはそれを超えるアミノ酸、総アミノ酸数の10%まで、総アミノ酸数の10%まで、総アミノ酸数の20%まで、または総アミノ酸数の30%までの欠失を含むことができ、本明細書中に記載の操作されたイミンレダクターゼの関連する機能活性および/または改良された性質が維持される。いくつかの実施形態では、欠失は、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜15、1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜30、1〜35、1〜40、1〜45、または1〜50個のアミノ酸残基を含むことができる。いくつかの実施形態では、欠失数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、30、35、40、45、または50個のアミノ酸残基数であり得る。いくつかの実施形態では、欠失は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基の欠失を含むことができる。
いくつかの実施形態では、本明細書中の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、本明細書中に記載の操作されたイミンレダクターゼポリペプチド(配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子の例示的な操作されたポリペプチドなど)のうちのいずれか1つと比較した場合に挿入を含むアミノ酸配列を有することができる。したがって、本発明のイミンレダクターゼポリペプチドの各実施形態およびあらゆる実施形態のために、挿入は、1つまたはそれを超えるアミノ酸、2またはそれを超えるアミノ酸、3またはそれを超えるアミノ酸、4またはそれを超えるアミノ酸、5またはそれを超えるアミノ酸、6またはそれを超えるアミノ酸、8またはそれを超えるアミノ酸、10またはそれを超えるアミノ酸、15またはそれを超えるアミノ酸、20またはそれを超えるアミノ酸、30またはそれを超えるアミノ酸、40またはそれを超えるアミノ酸、または50またはそれを超えるアミノ酸を含むことができ、本明細書中に記載の操作されたイミンレダクターゼの関連する機能活性および/または改良された性質が維持される。挿入は、イミンレダクターゼポリペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端または内部に存在し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドは、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択される配列を含むアミノ酸配列、ならびに任意選択的に1つまたは数個の(例えば、3、4、5まで、または10までの)アミノ酸残基の欠失、挿入、および/または置換を有することができる。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、任意選択的に、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜15、1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜30、1〜35、1〜40、1〜45、または1〜50個のアミノ酸残基の欠失、挿入、および/または置換を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列数は、任意選択的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、30、35、40、45、または50個のアミノ酸残基の欠失、挿入、および/または置換を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、任意選択的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基の欠失、挿入、および/または置換を有する。いくつかの実施形態では、置換は、保存的置換または非保存的置換であり得る。
上記の実施形態では、操作されたポリペプチドの適切な反応条件は、表3A〜3Mおよび実施例に記載のHTPアッセイ条件であり得る。これらの前述のHTP反応条件およびSFP反応条件ならびにイミンレダクターゼポリペプチドの使用のガイダンスを、とりわけ、表3A〜3Mおよび実施例に示す。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、操作されたポリペプチドが他のポリペプチド(制限されない例として、抗体タグ(例えば、mycエピトープ)、精製配列(例えば、金属への結合のためのHisタグ)、および細胞局在化シグナル(例えば、分泌シグナル)など)に融合した融合ポリペプチドの形態であり得る。したがって、本明細書中に記載の操作されたポリペプチドを、他のポリペプチドに融合するか融合せずに使用することができる。
本明細書中に記載のポリペプチドが遺伝的にコードされたアミノ酸に制限されないと理解すべきである。遺伝的にコードされたアミノ酸に加えて、本明細書中に記載のポリペプチドは、その全体または一部が、天然に存在し、そして/または合成によるコードされないアミノ酸から構成され得る。本明細書中に記載のポリペプチドを構成することができる一定の一般的に認められる非コードアミノ酸には、以下が含まれるが、これらに限定されない:遺伝的にコードされたアミノ酸のD−ステレオマー;2,3−ジアミノプロピオン酸(Dpr);α−アミノイソ酪酸(Aib);ε−アミノヘキサン酸(Aha);δ−アミノ吉草酸(Ava);N−メチルグリシンまたはサルコシン(MeGlyまたはSar);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t−ブチルアラニン(Bua);t−ブチルグリシン(Bug);N−メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(Phg);シクロヘキシルアラニン(Cha);ノルロイシン(Nle);ナフチルアラニン(Nal);2−クロロフェニルアラニン(Ocf);3−クロロフェニルアラニン(Mcf);4−クロロフェニルアラニン(Pcf);2−フルオロフェニルアラニン(Off);3−フルオロフェニルアラニン(Mff);4−フルオロフェニルアラニン(Pff);2−ブロモフェニルアラニン(Obf);3−ブロモフェニルアラニン(Mbf);4−ブロモフェニルアラニン(Pbf);2−メチルフェニルアラニン(Omf);3−メチルフェニルアラニン(Mmf);4−メチルフェニルアラニン(Pmf);2−ニトロフェニルアラニン(Onf);3−ニトロフェニルアラニン(Mnf);4−ニトロフェニルアラニン(Pnf);2−シアノフェニルアラニン(Ocf);3−シアノフェニルアラニン(Mcf);4−シアノフェニルアラニン(Pcf);2−トリフルオロメチルフェニルアラニン(Otf);3−トリフルオロメチルフェニルアラニン(Mtf);4−トリフルオロメチルフェニルアラニン(Ptf);4−アミノフェニルアラニン(Paf);4−ヨードフェニルアラニン(Pif);4−アミノメチルフェニルアラニン(Pamf);2,4−ジクロロフェニルアラニン(Opef);3,4−ジクロロフェニルアラニン(Mpcf);2,4−ジフルオロフェニルアラニン(Opff);3,4−ジフルオロフェニルアラニン(Mpff);ピリド−2−イルアラニン(2pAla);ピリド−3−イルアラニン(3pAla);ピリド−4−イルアラニン(4pAla);ナフト−1−イルアラニン(1nAla);ナフト−2−イルアラニン(2nAla);チアゾリルアラニン(taAla);ベンゾチエニルアラニン(bAla);チエニルアラニン(tAla);フリルアラニン(fAla);ホモフェニルアラニン(hPhe);ホモチロシン(hTyr);ホモトリプトファン(hTrp);ペンタフルオロフェニルアラニン(5ff);スチリルアラニン(styrylkalanine)(sAla);アントリルアラニン(authrylalanine)(aAla);3,3−ジフェニルアラニン(Dfa);3−アミノ−5−フェニルペンタン酸(3−amino−5−phenypentanoic acid)(Afp);ペニシラミン(Pen);1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(Tic);β−2−チエニルアラニン(Thi);メチオニンスルホキシド(Mso);N(w)−ニトロアルギニン(nArg);ホモリジン(hLys);ホスホノメチルフェニルアラニン(pmPhe);ホスホセリン(pSer);ホスホトレオニン(pThr);ホモアスパラギン酸(hAsp);ホモグルタミン酸(homoglutanic acid)(hGlu);1−アミノシクロペント−(2または3)−エン−4 カルボン酸;ピペコリン酸(PA)、アゼチジン−3−カルボン酸(ACA);1−アミノシクロペンタン−3−カルボン酸;アリルグリシン(aOly);プロパルギルグリシン(pgGly);ホモアラニン(hAla);ノルバリン(nVal);ホモロイシン(hLeu)、ホモバリン(hVal);ホモイソロイシン(hIle);ホモアルギニン(hArg);N−アセチルリジン(AcLys);2,4−ジアミノ酪酸(Dbu);2,3−ジアミノ酪酸(Dab);N−メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys);ホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(Hyp)、およびホモプロリン(hPro)。本明細書中に記載のポリペプチドを構成することができるさらなるコードされないアミノ酸は、当業者に明らかであろう(例えば、Fasman,1989,CRC Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology,CRC Press,Boca Raton,FL,at pp.3−70、および引用文献(その全てが本明細書中で参照によって組み込まれる)に記載の種々のアミノ酸を参照のこと)。これらのアミノ酸は、L立体配置またはD立体配置のいずれかであり得る。
当業者は、側鎖保護基を保有するアミノ酸または残基が本明細書中に記載のポリペプチドを構成することもできると認識するであろう。この場合に芳香族カテゴリーに属するかかる保護されたアミノ酸の非限定的な例には、以下が含まれるが、これらに限定されない(カッコ内に保護基を列挙する):Arg(tos)、Cys(メチルベンジル)、Cys(ニトロピリジンスルフェニル)、Glu(δ−ベンジルエステル)、Gln(キサンチル)、Asn(N−δ−キサンチル)、His(bom)、His(ベンジル)、His(tos)、Lys(fmoc)、Lys(tos)、Ser(O−ベンジル)、Thr(O−ベンジル)、およびTyr(O−ベンジル)。
本明細書中に記載のポリペプチドを構成することができるコンフォメーションが拘束された非コードアミノ酸には、N−メチルアミノ酸(L−立体配置);1−アミノシクロペント−(2または3)−エン−4−カルボン酸;ピペコリン酸;アゼチジン−3−カルボン酸;ホモプロリン(hPro);および1−アミノシクロペンタン−3−カルボン酸が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、操作されたポリペプチドは、例えば、実質的に精製された酵素としての単離された調製物、酵素をコードする遺伝子を使用して形質転換されたホールセル、ならびに/またはかかる細胞の細胞抽出物および/もしくは溶解物などの種々の形態であり得る。酵素は、以下でさらに考察するように、凍結乾燥形態、噴霧乾燥形態、沈殿形態、または粗ペースト形態であり得る。
いくつかの実施形態では、操作されたポリペプチドを、固体支持体(膜、樹脂、固体キャリア、または他の固相材料など)上に提供することができる。固体支持体は、有機ポリマー(ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミドなど)、ならびにそのコポリマーおよびグラフトから構成され得る。固体支持体は、ガラス、シリカ、孔制御ガラス(controlled pore glass)(CPG)、逆相シリカまたは金属(金または白金など)などの無機固体支持体でもあり得る。固体支持体の構成は、ビーズ、球体、粒子、顆粒、ゲル、膜、または面の形態であり得る。面は、平面、実質的平面、または非平面であり得る。固体支持体は、多孔性または非多孔性であってよく、膨潤性または非膨潤性であり得る。固体支持体を、ウェル、窪み、または他の容器、管の形態、特徴、または位置で構成することができる。
いくつかの実施形態では、本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドを、このポリペプチドが配列番号4、6および/または8の参照の操作されたポリペプチドと比較した場合に改良された活性、立体選択性、および/または他の改良された性質を保持するように固体支持体上に固定することができる。かかる実施形態では、固定されたポリペプチドは、式(I)および式(II)のケトン基質化合物およびアミン基質化合物の式(III)のアミン生成物化合物への生体触媒変換(例えば、表2の変換反応(a)〜(g)など)を容易にすることができ、反応完了後に容易に保持され(例えば、ポリペプチドが固定されたビーズの保持による)、次いで、その後の反応で再利用またはリサイクルされる。かかる酵素の固定化プロセスによりさらに効率が上がり、経費が抑えられる。したがって、本発明のイミンレダクターゼポリペプチドの任意の使用方法を、固体支持体に結合または固定された同一のイミンレダクターゼポリペプチドを使用して実施することができることがさらに意図される。
酵素の固定方法は、当該分野で周知である。操作されたポリペプチドを、非共有結合または共有結合することができる。固体支持体(例えば、樹脂、膜、ビーズ、ガラスなど)への酵素の種々のコンジュゲーションおよび固定方法は、当該分野で周知である(例えば、Yiら,Proc.Biochem.,42:895−898[2007];Martinら,Appl.Micro.and Biotech.,76:843−851[2007];Koszelewskiら,J.Mol.Cat.B:Enzy.,63:39−44[2010];Truppoら,Org.Proc.Res.Dev.,published online:dx.doi.org/10.1021/op200157c;Hermanson,Bioconjugate Techniques,Second Edition,Academic Press[2008];Mateoら,Biotech.Prog.,18:629−34[2002];およびC.M.Niemeyer[ed.],Bioconjugation Protocols:Strategies and Methods,In Methods in Molecular Biology,.,Humana Press[2004](それぞれ、本明細書中で参照によって組み込まれる)を参照のこと)。本発明の操作されたイミンレダクターゼの固定に有用な固体支持体には、エポキシド官能基を有するポリメタクリラート、アミノエポキシド官能基を有するポリメタクリラート、スチレン/DVBコポリマー、またはオクタデシル官能基を有するポリメタクリラートを含むビーズまたは樹脂が含まれるが、これらに限定されない。本発明の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドの固定に有用な固体支持体の例には、キトサンビーズ、Eupergit C、およびSEPABEAD(Mitsubishi)(以下の異なるタイプのSEPABEADが含まれる:EC−EP、EC−HFA/S、EXA252、EXE119、およびEXE120)が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のポリペプチドを、キットの形態で提供することができる。キット中の酵素は、個別に存在し得るか、複数の酵素として存在し得る。キットは、酵素反応を行うための試薬、酵素活性を評価するための基質、および生成物を検出するための試薬をさらに含むことができる。キットはまた、試薬用ディスペンサーおよびキットの使用説明書を含むことができる。
いくつかの実施形態では、本発明のキットは、異なるアドレス可能位置に複数の異なるイミンレダクターゼポリペプチドを含むアレイを含み、異なるポリペプチドが、それぞれが少なくとも1つの異なる改良された酵素の性質を有する参照配列の異なるバリアントである。いくつかの実施形態では、固体支持体上に固定した複数のポリペプチドを、ロボットによる試薬送達のためにアドレス可能であるか、検出方法および/または検出装置によってアレイの種々の位置に構成することができる。アレイを使用して、ポリペプチドによる変換について種々の基質化合物を試験することができる。複数の操作されたポリペプチドを含むかかるアレイおよびその使用方法は当該分野で公知である(例えば、WO2009/008908A2号を参照のこと)。
6.4 操作されたイミンレダクターゼをコードするポリヌクレオチド、発現ベクター、および宿主細胞
別の態様では、本発明は、本明細書中に記載の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドを、遺伝子発現を調節する1つまたはそれを超える異種制御配列に作動可能に連結してポリペプチドを発現することができる組換えポリヌクレオチドを作製することができる。操作されたイミンレダクターゼをコードする異種ポリヌクレオチドを含む発現構築物を適切な宿主細胞に導入して、対応するイミンレダクターゼポリペプチドを発現させることができる。
当業者に明らかなように、タンパク質配列の利用可能性および種々のアミノ酸に対応するコドンの知識により、対象ポリペプチドをコードすることができる全てのポリヌクレオチドが説明される。同一のアミノ酸が代替コドンまたは同義語コドンによってコードされる遺伝暗号の縮重により、非常に多数の核酸を作製することが可能であり、その核酸の全てが改良されたイミンレダクターゼ酵素をコードする。したがって、特定のアミノ酸配列の知識を有することにより、当業者は、タンパク質のアミノ酸配列を変えない方法で1つまたはそれを超えるコドンの配列を改変するだけでいくつもの異なる核酸を作製することができる。これに関して、本発明は、可能なコドンの選択に基づいた組み合わせの選択による本明細書中に記載のポリペプチドをコードする作製可能なポリヌクレオチドのそれぞれおよびあらゆる可能なバリエーションを具体的に意図し、全てのかかるバリエーションは、本明細書中に記載の任意のポリペプチド(本明細書中で参照によって組み込まれた表3A〜3Mに示し、配列表に配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子として開示したアミノ酸配列が含まれる)について具体的に開示されると見なされるものとする。
種々の実施形態では、タンパク質が生成される宿主細胞に適合するようにコドンを選択することが好ましい。例えば、細菌中で遺伝子を発現するために細菌中で使用される好ましいコドンを使用し;酵母中での発現のために酵母中で使用される好ましいコドンを使用し;哺乳動物細胞中での発現のために哺乳動物中で使用される好ましいコドンを使用する。いくつかの実施形態では、天然の配列が好ましいコドンを含み、好ましいコドンの使用が全てのアミノ酸残基に必要でないかもしれないので、全てのコドンがイミンレダクターゼのコドン使用頻度を最適化するために置換される必要はない。したがって、イミンレダクターゼ酵素をコードするコドン最適化ポリヌクレオチドは、全長コード領域のコドン位置の約40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超える位置で好ましいコドンを含み得る。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号2の天然に存在するイミンレダクターゼポリペプチドをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1のコドン最適化核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える同一性を含む核酸配列を有する。配列番号1のコドン最適化配列は、コードされた天然に存在するイミンレダクターゼの発現を増強する。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、高ストリンジェンシー条件下で配列番号1の参照配列またはその相補物とハイブリッド形成することができ、イミンレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする。
いくつかの実施形態では、上記のように、ポリヌクレオチドは、配列番号2、4、6および/または8と比較した場合に改良された性質を有するイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドをコードし、前記ポリペプチドは、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択される参照配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、上記のように、ポリヌクレオチドは、配列番号2、4、6および/または8と比較した場合に改良された性質を有するイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドをコードし、前記ポリペプチドは、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択される参照配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、基質化合物(1a)および(2a)を生成物化合物(3a)に変換することができ、配列番号4、12および/または30と比較した場合に性質が改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、参照配列である配列番号4と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性、および配列番号4と比較した場合に、以下:X198、X153、X167、X265、X262、X108、X234、X284、X282、X220、X272、X256、X267、X242、X281、X197、X277、X224およびX143から選択される残基の位置に1つまたはそれを超える残基の相違を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、基質化合物(1b)および(2b)を生成物化合物(3b)に変換することができ、配列番号6、126および/または173と比較した場合に性質が改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、参照配列である配列番号6と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性、および配列番号6と比較した場合に、以下: X283、X262、X9、X259、X220、X267、X153、X279、X200、X224、X256、X137、X143、X260、X261、X154、X276およびX185から選択される残基の相違の少なくともある組み合わせを有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、基質化合物(1c)および(2c)を生成物化合物(3c)に変換することができ、配列番号8と比較した場合に性質が改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、参照配列である配列番号8と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性、および配列番号8と比較した場合に、表3Gに示される残基の相違の組み合わせを有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、基質化合物(1d)および(2d)を生成物化合物(3d)に変換することができ、配列番号8と比較した場合に性質が改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、参照配列である配列番号8と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性、および配列番号8と比較した場合に、表3Gに示される残基の相違の組み合わせを有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、基質化合物(1d)および(2c)を生成物化合物(3e)に変換することができ、配列番号8と比較した場合に性質が改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、参照配列である配列番号8と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性、および配列番号8と比較した場合に、表3Gに示される残基の相違の組み合わせを有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、基質化合物(1d)および(2c)を生成物化合物(3f)に変換することができ、配列番号360および/または550と比較した場合に性質が改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、参照配列である配列番号8と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性、および配列番号8と比較した場合に、表3Hおよび3Iに示される残基の相違の組み合わせを有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、基質化合物(1d)および(2c)を生成物化合物(3g)に変換することができ、配列番号360および/または550と比較した場合に性質が改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、参照配列である配列番号8と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える配列同一性、および配列番号8と比較した場合に、X12、X31、X37、X44、X46、X48、X55、X56、X65、X82、X93、X98、X108、X137、X138、X141、X142、X143、X153、X154、X155、X156、X159、X166、X168、X173、X177、X178、X184、X185、X195、X197、X199、X200、X201、X203、X205、X206、X210、X213、X215、X216、X218、X220、X221、X223、X226、X234、X239、X242、X245、X251、X253、X256、X257、X259、X260、X261、X262、X263、X265、X266、X267、X268、X269、X273、X274、X277、X278、X279、X280、X281、X282、X283、X284、X285、X289、X290、X291、X292、X293、X294、X330およびX349から選択される残基の相違の少なくともある組み合わせを有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、基質化合物(1)および(2)を生成物化合物(3)に変換することができ、配列番号2、4、6、8、12、30、126、173、360および/または550の参照ポリペプチドと比較した場合に酵素の性質が改良された操作されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードし、このポリペプチドは、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子のうちのいずれか1つから選択される参照ポリペプチドと少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、但し、アミノ酸配列が、配列番号2と比較した場合に、表3A〜3Mに列挙する配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子のポリペプチド配列のうちのいずれか1つに含まれる残基の相違の組のうちのいずれか1つを含むことを条件とする。
いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼをコードするポリヌクレオチドは、配列番号4〜1300のうち奇数番号の配列識別子から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、高ストリンジェンシー条件下で、配列番号3〜1299うち奇数番号の配列識別子から選択される参照ポリヌクレオチド配列またはその相補物にハイブリッド形成することができ、本明細書中に記載の1つまたはそれを超える改良された性質を有するイミンレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、高ストリンジェンシー条件下でハイブリッド形成することができるポリヌクレオチドは、配列番号2、4、6および/または8と比較した場合に、以下:X9、X12、X31、X37、X44、X46、X48、X55、X56、X65、X82、X93、X98、X108、X137、X138、X141、X142、X143、X153、X154、X155、X156、X159、X166、X167、X168、X173、X177、X178、X184、X185、X195、X197、X198、X199、X200、X201、X203、X205、X206、X210、X213、X215、X216、X218,X220、X221、X223、X224、X226、X234、X239、X242、X245、X251、X253、X256、X259、X260、X261、X262、X263、X265、X266、X267、X268、X269、X272、X273、X274、X276、X277、X278、X279、X280、X281、X282、X283、X284、X285、X289、X290、X291、X292、X293、X294、X330およびX349から選択される残基の位置に1つまたはそれを超える残基の相違を含むアミノ酸配列を有するイミンレダクターゼポリペプチドをコードする。
いくつかの実施形態では、これらの残基の位置における具体的な残基の相違は、以下:配列番号4に対してS284Q/L/H/C、L277A、E272D、S262V、E256V/S/A、I242C、A234C、H220Q、E198D、Y153G/Q/N/R/E、A167T、Q265T、N108C、G282L、P267A、I197M、Q265V、R281N/P/L、E224DおよびR143K;または配列番号6に対してV9G、N137D、R143K、Y153L/M、F154V、A185T、V200S、H220E、E224H、E256C/W、V259I、V259M、K260R、I261R、S262F/N、P267I/N/S/T/Y、G276S、V279A/H/L/N/YおよびV283E/T/W;または配列番号8に対してM12L、L31M、A37P、Q44N、R46S/N、A48G、G55Y/C、L56M、V65L/F、T82V、A93G、Y98W/C、N108S、N137D、M138L、W141V/T/S、C142A、R143W/L、Y153F/E/G/A、F154V/M/L、I155M/S、T156M/Q/G/E/A、Q159L/M/I/E、A166I、K168M、L173M、G177T/A、S178E、Q184L、A185L/G、T195S/R、I197T/L、A199V、V200Y、I201M/L/F/C/A、P203G、P205T/S/N/L/G/D/A、T206V/Q/N/M/L/I/H/D、A210F、C213Y/V/M/L/F、S215E、G216V/S/R、P218Q、H220D、Y221W/M/L/I、T223S、I226Y、C234M/A、A239Q、I242C/V、A245G、N251E、P253D、A256S/L/E/N/K/G、E257S、V259M/L、N260D/K、H261I/E/D、V262S、C263Q/E/T、Q265N、T266P/N、P267V/Q/K、A268N/D、T269H、A273V/T/I、M274V、L277M、P278V、V279F/R/E、L280P/E、R281A/S、G282T、V283Y/W/T、S284P/M/H/I、G285W、L289W/R、N290Y/S/R、T291A、E292V、H293Y/Q/M/L/F、F294A、I330VおよびL349Pから選択される。
いくつかの実施形態では、残基の相違は、以下:配列番号4に対してE198D、Y153G/Q/N/R、A167T、Q265T/V、N108C、G282L、P267A、I197M、R281N/P/L、E224DおよびR143K;または配列番号6に対してV9G、N137D、R143K、Y153L/M、A185T、H220E、E224H、E256W/C、V259M/I、K260R、S262N、P267Y/T、G276S、V279A/H/N、V283T/W/E;または配列番号8に対してM12L、L31M、Q44N、R46S/N、A48G、G55Y/C、L56M、V65L/F、T82V、Y98W/C、N137D、W141V/T/S、Y153G/A、I155S、T156Q/G/E/A、Q159M/I/E、A166I、K168M、L173M、G177T/A、Q184L、A185L/G、T195R、I197T/L、A199V、V200Y、I201M/L/F/C/A、P203G、P205T/S/N/L/G/D/A、T206V/Q/N/M/L/I/H/D、A210F、C213Y/V/M/L/F、S215E、G216V/S/R、P218Q、Y221W/M/L/I、I226Y、C234M/A、A239Q、I242V、A245G、N251E、P253D、A256N/K/G、E257S、V259M/L、N260K、H261D、V262S、C263T、Q265N、T266P/N、P267V/Q/K、A268N/D、T269H、A273V/T/I、M274V、L277M、P278V、V279R/E、L280P/E、R281S、G282T、V283Y/W/T、S284I、G285W、L289W/R、N290Y/S/R、T291A、E292V、H293Y/Q/M/L/F、I330VおよびL349Pから選択される。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載のポリペプチドをコードするが、操作されたイミンレダクターゼをコードする参照ポリヌクレオチドとヌクレオチドレベルで約80%、またはそれを超える配列同一性、約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、またはそれを超える配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、参照ポリヌクレオチド配列は、配列番号3〜1299のうち奇数番号の配列識別子から選択される。
改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを、ポリペプチドを発現させる種々の方法で操作することができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの発現を制御するための1つまたはそれを超える調節配列が存在する発現ベクターとして提供することができる。発現ベクターに応じて単離されたポリヌクレオチドをベクターへの挿入前に操作することが望ましいか必要かもしれない。組換えDNA法を利用したポリヌクレオチドおよび核酸配列の改変技術は、当該分野で周知である。
いくつかの実施形態では、調節配列には、とりわけ、プロモーター、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターが含まれる。適切なプロモーターを、使用する宿主細胞に基づいて選択することができる。細菌宿主細胞のために、本発明の核酸構築物の転写の指示に適切なプロモーターには、大腸菌lacオペロン、Streptomyces coelicolorアガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisα−アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bacillus stearothermophilusマルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、Bacillus amyloliquefaciensα−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、Bacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)、Bacillus subtilis xylAおよびxylB遺伝子、および原核生物β−ラクタマーゼ遺伝子(Villa−Kamaroffら,Proc.Natl Acad.Sci.USA 75:3727−3731[1978])から得たプロモーター、ならびにtacプロモーター(DeBoerら,Proc.Natl Acad.Sci.USA 80:21−25[1983])が含まれる。糸状菌宿主細胞のための例示的なプロモーターには、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Aspergillus niger中性α−アミラーゼ、Aspergillus niger酸安定性α−アミラーゼ、Aspergillus nigerまたはAspergillus awamoriグルコアミラーゼ(glaA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、Aspergillus oryzaeアルカリプロテアーゼ、Aspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ、Aspergillus nidulansアセトアミダーゼ、およびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ(例えば、WO96/00787号を参照のこと)の遺伝子から得たプロモーター、ならびにNA2−tpiプロモーター(Aspergillus niger中性α−アミラーゼおよびAspergillus oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子由来のプロモーターのハイブリッド)、その変異プロモーター、短縮プロモーター、およびハイブリッドプロモーターが含まれる。例示的な酵母細胞プロモーターは、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO−1)、Saccharomyces cerevisiaeガラクトキナーゼ(GAL1)、Saccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)、およびSaccharomyces cerevisiae3−ホスホグリセリン酸キナーゼの遺伝子に由来し得る。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは当該分野で公知である(例えば、Romanosら,Yeast 8:423−488[1992]を参照のこと)。
調節配列はまた、適切な転写終結配列(転写を終結させるために宿主細胞によって認識される配列)であり得る。終結配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に作動可能に連結される。最適な宿主細胞で機能する任意のターミネーターを、本発明で使用することができる。例えば、糸状菌宿主細胞のための例示的な転写ターミネーターを、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Aspergillus nigerのα−グルコシダーゼ、およびFusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得ることができる。酵母宿主細胞のための例示的なターミネーターを、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ、Saccharomyces cerevisiaeシトクロム C(CYC1)、およびSaccharomyces cerevisiae グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼの遺伝子から得ることができる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターはまた、当該分野で公知である(例えば、Romanosら,前出を参照のこと)。
調節配列はまた、適切なリーダー配列(宿主細胞による翻訳に重要なmRNAの非翻訳領域)であり得る。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作動可能に連結される。最適な宿主細胞で機能する任意のリーダー配列を使用することができる。糸状菌宿主細胞のための例示的なリーダーを、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼおよびAspergillus nidulansトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得る。酵母宿主細胞に適切なリーダーを、Saccharomyces cerevisiaeエノラーゼ(ENO−1)、Saccharomyces cerevisiae 3−ホスホグリセリン酸キナーゼ、Saccharomyces cerevisiae α−因子、およびSaccharomyces cerevisiaeアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)の遺伝子から得る。
調節配列はまた、ポリアデニル化配列(核酸配列の3’末端に作動可能に連結され、転写時に転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するためのシグナルとして宿主細胞によって認識される配列)であり得る。最適な宿主細胞で機能する任意のポリアデニル化配列を、本発明で使用することができる。糸状菌宿主細胞のための例示的なポリアデニル化配列は、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Aspergillus nidulansアントラニル酸シンターゼ、Fusarium oxysporumトリプシン様プロテアーゼ、およびAspergillus niger α−グルコシダーゼの遺伝子に由来し得る。酵母宿主細胞のための有用なポリアデニル化配列は、当該分野で公知である(例えば、Guo and Sherman,Mol.Cell.Biol.,15:5983−5990[1995]を参照のこと)。
調節配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に連結したアミノ酸配列をコードし、コードされたポリペプチドを細胞の分泌経路に方向づけるシグナルペプチドコード領域であり得る。核酸配列のコード配列の5’末端は、分泌されるポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと共に翻訳読み枠中に天然に連結したシグナルペプチドコード領域を固有に含むことができる。あるいは、コード配列の5’末端は、コード配列に対して外来のシグナルペプチドコード領域を含むことができる。発現されたポリペプチドを最適な宿主細胞の分泌経路に方向づける任意のシグナルペプチドコード領域を、本発明で使用することができる。細菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域は、Bacillus NClB 11837マルトース生成アミラーゼ、Bacillus stearothermophilus α−アミラーゼ、Bacillus licheniformisサブチリシン、Bacillus licheniformis β−ラクタマーゼ、Bacillus stearothermophilus中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)、およびBacillus subtilis prsAの遺伝子から得たシグナルペプチドコード領域である。さらなるシグナルペプチドは、当該分野で公知である(例えば、Simonen and Palva,Microbiol.Rev.,57:109−137[1993]を参照のこと)。糸状菌宿主細胞のための有効なシグナルペプチドコード領域は、Aspergillus oryzae TAKAアミラーゼ、Aspergillus niger中性アミラーゼ、Aspergillus nigerグルコアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、Humicola insolensセルラーゼ、およびHumicola lanuginosaリパーゼの遺伝子から得たシグナルペプチドコード領域であり得る。酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、Saccharomyces cerevisiae α−因子およびSaccharomyces cerevisiaeインベルターゼの遺伝子に由来し得る。他の有用なシグナルペプチドコード領域は、当該分野で公知である(例えば、Romanosら,前出を参照のこと)。
調節配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に配置されたアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域であり得る。得られたポリペプチドは、プロ酵素またはプロポリペプチド(または、いくつかの場合、酵素原)として公知である。プロポリペプチドは、プロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的切断または自己触媒的切断によって活性な成熟ポリペプチドに変換され得る。プロペプチドコード領域を、Bacillus subtilisアルカリプロテアーゼ(aprE)、Bacillus subtilis中性プロテアーゼ(nprT)、Saccharomyces cerevisiae α−因子、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、およびMyceliophthora thermophilaラクターゼの遺伝子から得ることができる(例えば、WO95/33836号を参照のこと)。シグナルペプチド領域およびプロペプチド領域の両方がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端に隣接し、シグナルペプチド領域はプロペプチド領域のアミノ末端に隣接する。
宿主細胞の成長に関連するポリペプチドの発現を制御可能な制御配列を付加することも望ましいかもしれない。制御系の例は、化学的刺激または物理的刺激(制御化合物の存在が含まれる)に応答して遺伝子発現をオンまたはオフにする制御系である。原核生物宿主細胞では、適切な制御配列には、lac、tac、およびtrpのオペレーター系が含まれる。酵母宿主細胞では、適切な制御系には、例として、ADH2系またはGAL1系が含まれる。糸状菌では、適切な制御配列には、TAKAα−アミラーゼプロモーター、Aspergillus nigerグルコアミラーゼプロモーター、およびAspergillus oryzaeグルコアミラーゼプロモーターが含まれる。
制御配列の他の例は、遺伝子増幅が可能な制御配列である。真核生物系では、これらの配列には、メトトレキサートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子および重金属と共に増幅されるメタロチオネイン遺伝子が含まれる。これらの場合、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、制御配列に作動可能に連結されるであろう。
別の態様では、本発明はまた、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および導入される宿主のタイプに応じて1つまたはそれを超える発現制御領域(プロモーターおよびターミネーターなど)、複製起点などを含む組換え発現ベクターに関する。上記の種々の核酸および調節配列を共に接合して組換え発現ベクターを産生することができ、この組換え発現ベクターは、1つまたはそれを超える都合の良い制限部位を含むことができ、この制限部位は、かかる部位でのポリペプチドをコードする核酸配列の挿入または置換が可能である。あるいは、本発明の核酸配列を、核酸配列または該配列を含む核酸構築物を発現に適切なベクター内に挿入することによって発現することができる。発現ベクターの作製では、コード配列が発現に適切な調節配列と作動可能に連結されるようにコード配列をベクター中に配置する。
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に都合よく供することができ、且つポリヌクレオチド配列を発現することができる任意のベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)であり得る。ベクターの選択は、典型的には、ベクターとベクターを導入すべき宿主細胞との適合性に依存するであろう。ベクターは、線状プラスミドまたは閉じた環状プラスミドであり得る。
発現ベクターは、その複製が染色体複製から独立している自己複製ベクター(すなわち、染色体外実体として存在するベクター)(例えば、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、または人工染色体)であり得る。ベクターは、自己複製を保証する任意の手段を含むことができる。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入された場合にゲノムに組み込まれ、それが組み込まれている染色体と共に複製されるベクターであり得る。さらに、単一のベクターまたはプラスミドまたは宿主細胞のゲノムに導入されるべきDNAの全てを共に含む2つまたはそれを超えるベクターまたはプラスミド、またはトランスポゾンを使用することができる。
本発明の発現ベクターは、形質転換した細胞を容易に選択することができる1つまたはそれを超える選択マーカーを含むことが好ましい。選択マーカーは、その産物が殺生物剤耐性またはウイルス耐性、重金属耐性、および栄養素要求体に対する原栄養性などを提供する遺伝子である。細菌選択マーカーの例は、Bacillus subtilisまたはBacillus licheniformis由来のdal遺伝子、あるいは、抗生物質耐性(アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール(実施例1)、またはテトラサイクリンへの耐性など)を付与するマーカーである。酵母宿主細胞に適切なマーカーには、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、およびURA3が含まれるが、これらに限定されない。糸状菌宿主細胞で用いる選択マーカーには、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、ならびにその等価物が含まれるが、これらに限定されない。Aspergillus細胞で用いる実施形態には、Aspergillus nidulansまたはAspergillus oryzaeのamdS遺伝子およびpyrG遺伝子ならびにStreptomyces hygroscopicusのbar遺伝子が含まれる。
別の態様では、本発明は、本発明の改良されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞であって、このポリヌクレオチドが宿主細胞中でイミンレダクターゼ酵素の発現のための1つまたはそれを超える調節配列に作動可能に連結されている、宿主細胞を提供する。本発明の発現ベクターによってコードされたポリペプチドの発現で用いる宿主細胞は、当該分野で周知であり、細菌細胞(大腸菌細胞、Bacillus subtilis細胞、Streptomyces細胞、およびSalmonella typhimurium細胞など);真菌細胞(酵母細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiae細胞またはPichia pastoris細胞(ATCCアクセッション番号201178))など);昆虫細胞(Drosophila S2細胞およびSpodoptera Sf9細胞など);動物細胞(CHO細胞、COS細胞、BHK細胞、293細胞、およびBowes黒色腫細胞など);および植物細胞が含まれるが、これらに限定されない。例示的な宿主細胞は、Escherichia coli W3110(ΔfhuA)およびBL21である。
上記宿主細胞の適切な培養培地および成長条件は当該分野で周知である。イミンレダクターゼ発現のためのポリヌクレオチドを、当該分野で公知の種々の方法によって細胞に導入することができる。技術には、とりわけ、エレクトロポレーション、遺伝子銃粒子衝突、リポソーム媒介トランスフェクション、塩化カルシウムトランスフェクション、およびプロトプラスト融合が含まれる。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドを、無細胞発現系中で発現することができる(例えば、Kudlickiら,Cell Free Expression,1st Ed.,Landes Biosciences[2007];およびSpirinら,(eds.),Cell Free Protein Synthesis:Methods and Protocols,1st ed.,Wiley−VCH[2007](その全てが本明細書中で参照によって組み込まれる)を参照のこと)。
本明細書中の実施形態では、改良されたポリペプチドおよび対応するポリヌクレオチドを、当業者によって使用される方法を使用して得ることができる。本明細書中に記載の操作されたイミンレダクターゼを、野生型オピンデヒドロゲナーゼCENDH(配列番号2)または別の操作されたイミンレダクターゼをコードする天然に存在する遺伝子をコードするポリヌクレオチドを、上記で考察した変異誘発および/または指向進化法に供することによって得ることができる。
例えば、変異誘発法および指向進化法を、発現、スクリーニング、およびアッセイが可能なバリアントライブラリーを生成するために、ポリヌクレオチドに容易に適用することができる。変異誘発法および指向進化法は当該分野で周知である(例えば、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号、同第5,830,721号、同第5,834,252号、同第5,837,458号、同第5,928,905号、同第6,096,548号、同第6,117,679号、同第6,132,970号、同第6,165,793号、同第6,180,406号、同第6,251,674号、同第6,277,638号、同第6,287,861号、同第6,287,862号、同第6,291,242号、同第6,297,053号、同第6,303,344号、同第6,309,883号、同第6,319,713号、同第6,319,714号、同第6,323,030号、同第6,326,204号、同第6,335,160号、同第6,335,198号、同第6,344,356号、同第6,352,859号、同第6,355,484号、同第6,358,740号、同第6,358,742号、同第6,365,377号、同第6,365,408号、同第6,368,861号、同第6,372,497号、同第6,376,246号、同第6,379,964号、同第6,387,702号、同第6,391,552号、同第6,391,640号、同第6,395,547号、同第6,406,855号、同第6,406,910号、同第6,413,745号、同第6,413,774号、同第6,420,175号、同第6,423,542号、同第6,426,224号、同第6,436,675号、同第6,444,468号、同第6,455,253号、同第6,479,652号、同第6,482,647号、同第6,489,146号、同第6,506,602号、同第6,506,603号、同第6,519,065号、同第6,521,453号、同第6,528,311号、同第6,537,746号、同第6,573,098号、同第6,576,467号、同第6,579,678号、同第6,586,182号、同第6,602,986号、同第6,613,514号、同第6,653,072号、同第6,716,631号、同第6,946,296号、同第6,961,664号、同第6,995,017号、同第7,024,312号、同第7,058,515号、同第7,105,297号、同第7,148,054号、同第7,288,375号、同第7,421,347号、同第7,430,477号、同第7,534,564号、同第7,620,500号、同第7,620,502号、同第7,629,170号、同第7,702,464号、同第7,747,391号、同第7,747,393号、同第7,751,986号、同第7,776,598号、同第7,783,428号、同第7,795,030号、同第7,853,410号、同第7,868,138号、同第7,873,499号、同第7,904,249号、同第7,957,912号、同第8,383,346号、同第8,504,498号、同第8,849,575号、同第8,876,066号、同第8,768,871号、ならびに全ての関連する非米国対応物;Lingら,Anal.Biochem.,254(2):157−78[1997];Daleら,Meth.Mol.Biol.,57:369−74[1996];Smith,Ann.Rev.Genet.,19:423−462[1985];Botsteinら,Science,229:1193−1201[1985];Carter,Biochem.J.,237:1−7[1986];Kramerら,Cell,38:879−887[1984];Wellsら,Gene,34:315−323[1985];Minshullら,Curr.Op.Chem.Biol.,3:284−290[1999];Christiansら,Nat.Biotechnol.,17:259−264[1999];Crameriら,Nature,391:288−291[1998];Crameriら,Nat.Biotechnol.,15:436−438[1997];Zhangら,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.,94:4504−4509[1997];Crameriら,Nat.Biotechnol.,14:315−319[1996];Stemmer,Nature,370:389−391[1994];Stemmer,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,91:10747−10751[1994];米国特許出願公開第2008/0220990号、米国特許出願公開第2009/0312196号、米国特許出願公開第2014/0005057号、米国特許出願公開第2014/0214391号、米国特許出願公開第2014/0221216号、米国特許出願公開第2015/0050658号、米国特許出願公開第2015/0133307号、米国特許出願公開第2015/0134315号および全ての関連非米国対応出願;WO95/22625号、WO97/0078号、WO97/35966号、WO98/27230号、WO00/42651号、WO01/75767号、およびWO2009/152336号(その全てが本明細書中で参照によって組み込まれる)を参照のこと)。利用される他の指向進化手順には、とりわけ、付着伸長プロセス(StEP)、in vitro組換え(例えば、Zhaoら,Nat.Biotechnol.,16:258−261[1998]を参照のこと)、変異誘発PCR(例えば、Caldwellら,PCR Meth.Appl.,3:S136−S140[1994]を参照のこと)、およびカセット変異誘発(例えば、Blackら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:3525−3529[1996]を参照のこと)(その全てが、本明細書中で参照によって組み込まれる)が含まれるが、これらに限定されない。
変異誘発処置後に得られるクローンを、1つまたはそれを超える所望の改良された酵素の性質を有する操作されたイミンレダクターゼについてスクリーニングすることができる。例えば、望ましい改良された酵素の性質が化合物(1b)のケトンおよび化合物(2b)のアミンの化合物(3b)の第二級アミンへの変換における活性を増加させる場合、酵素活性を、化合物(3b)の生成について測定することができる。次いで、所望の特徴(例えば、化合物(3b)生成の増加)を有するイミンレダクターゼをコードするポリヌクレオチドを含むクローンを単離し、配列決定してヌクレオチド配列の変化(存在する場合)を同定し、これを使用して宿主細胞中で酵素を発現させる。発現ライブラリー由来の酵素活性の測定を、標準的な生化学技術(HPLC分析および/または生成物の誘導体化(分離前または分離後)(例えば、ダンシルクロリドまたはOPAを使用)など)を使用して行うことができる。
操作されたポリペプチドの配列が既知の場合、酵素をコードするポリヌクレオチドを、公知の合成方法にしたがった標準的な固相法によって調製することができる。いくつかの実施形態では、約100塩基までのフラグメントを、個別に合成し、次いで、接合して(例えば、酵素的もしくは化学的なライゲーション(litigation)法、またはポリメラーゼ媒介法による)、任意の所望の連続配列を形成することができる。例えば、イミンレダクターゼの一部をコードするポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを、自動化合成法で典型的に実施される古典的なホスホルアミダイト法(例えば、Beaucageら,Tetra.Lett.,22:1859−69[1981]を参照のこと)または代替法(例えば、Matthesら,EMBO J.,3:801−05[1984]を参照のこと)を使用した化学合成によって調製することができる。ホスホルアミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドを、例えば、自動DNA合成機で合成し、精製し、アニーリングし、適切なベクター中にライゲーションし、クローニングする。さらに、本質的に任意の核酸を、種々の販売者のうちのいずれかから得ることができる。いくつかの実施形態では、さらなるバリエーションを、欠失、挿入、および/または置換を含むオリゴヌクレオチドを合成し、種々の順序でオリゴヌクレオチドを組み合わせて性質が改良された操作されたイミンレダクターゼを作製することによって作製することができる。
いくつかの実施形態では、本発明は、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを調製する方法であって、(a)配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号4と比較した場合に、以下:X198、X153、X167、X265、X262、X108、X234、X284、X282、X220、X272、X256、X267、X242、X281、X197、X277、X224およびX143から選択される残基の位置に1つまたはそれを超える残基の相違を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを合成する工程;および(b)ポリヌクレオチドによってコードされるイミンレダクターゼポリペプチドを発現する工程を含む方法を提供する。方法のいくつかの実施形態において、残基の相違は、配列番号4に対してE198、Y153、A167、Q265、S262、N108、A234、S284、G282、H220、E272、E256、P267、I242、R281、I197、L277、E224およびR143から選択される。方法のいくつかの実施形態において、残基の相違は、配列番号4に対してS284Q/L/H/C、L277A、E272D、S262V、E256V/S/A、I242C、A234C、H220Q、E198D、Y153G/Q/N/R/E、A167T、Q265T、N108C、G282L、P267A、I197M、Q265V、R281N/P/L、E224DおよびR143Kから選択される。いくつかの追加的な実施形態において、残基の相違は、配列番号4に対してX198、X167およびX224から選択される。いくつかのさらなる実施形態において、残基の相違は、配列番号4に対してE198、A167およびE224から選択される。いくつかの追加的な実施形態において、残基の相違は、配列番号4に対してE198D、Y153G/Q/N/R、A167T、Q265T/V、N108C、G282L、P267A、I197M、R281N/P/L、E224DおよびR143Kから選択される。
いくつかの実施形態では、本発明は、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを調製する方法であって、(a)配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号6と比較した場合に、以下:X283、X262、X9、X259、X220、X267、X153、X279、X200、X224、X256、X137、X143、X260、X261、X154、X276およびX185から選択される残基の位置に1つまたはそれを超える残基の相違を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを合成する工程;および(b)ポリヌクレオチドによってコードされるイミンレダクターゼポリペプチドを発現する工程を含む方法を提供する。方法のいくつかの実施形態において、残基の相違は、配列番号6に対してV283、S262、V9、V259、H220、P267、Y153、V279、V200、E224、E256、N137、R143、K260、I261、F154、G276およびA185から選択される。方法のいくつかの実施形態において、残基の相違は、配列番号6に対してV9G、N137D、R143K、Y153L/M、F154V、A185T、V200S、H220E、E224H、E256C/W、V259I、V259M、K260R、I261R、S262F/N、P267I/N/S/T/Y、G276S、V279A/H/L/N/YおよびV283E/T/Wから選択される。いくつかの追加的な実施形態において、残基の相違は、配列番号6に対してX9およびX224から選択される。いくつかのさらなる実施形態において、残基の相違は、配列番号6に対してV9およびE224から選択される。いくつかの追加的な実施形態において、残基の相違は、配列番号6に対してV9G、N137D、R143K、Y153L/M、A185T、H220E、E224H、E256W/C、V259M/I、K260R、S262N、P267Y/T、G276S、V279A/H/N、およびV283T/W/Eから選択される。
いくつかの実施形態では、本発明は、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを調製する方法であって、(a)配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号8と比較した場合に、以下:X12、X31、X37、X44、X46、X48、X55、X56、X65、X82、X93、X98、X108、X137、X138、X141、X142、X143、X153、X154、X155、X156、X159、X166、X168、X173、X177、X178、X184、X185、X195、X197、X199、X200、X201、X203、X205、X206、X210、X213、X215、X216、X218、X220、X221、X223、X226、X234、X239、X242、X245、X251、X253、X256、X257、X259、X260、X261、X262、X263、X265、X266、X267、X268、X269、X273、X274、X277、X278、X279、X280、X281、X282、X283、X284、X285、X289、X290、X291、X292、X293、X294、X330、およびX349から選択される残基の位置に1つまたはそれを超える残基の相違を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを合成する工程;および(b)ポリヌクレオチドによってコードされるイミンレダクターゼポリペプチドを発現する工程を含む方法を提供する。方法のいくつかの実施形態において、残基の相違は、配列番号8に対してM12、L31、A37、Q44、R46、A48、G55、L56、V65、T82、A93、Y98、N108、N137、M138、W141、C142、R143、Y153、F154、I155、T156、Q159、A166、K168、L173、G177、S178、Q184、A185、T195、I197、A199、V200、I201、P203、P205、T206、A210、C213、S215、G216、P218、H220、Y221、T223、I226、C234、A239、I242、A245、N251、P253、A256、E257、V259、N260、H261、V262、C263、Q265、T266、P267、A268、T269、A273、M274、L277、P278、V279、L280、R281、G282、V283、S284、G285、L289、N290、T291、E292、H293、F294、I330、およびL349から選択される。方法のいくつかの実施形態において、残基の相違は、配列番号8に対してM12L、L31M、A37P、Q44N、R46S/N、A48G、G55Y/C、L56M、V65L/F、T82V、A93G、Y98W/C、N108S、N137D、M138L、W141V/T/S、C142A、R143W/L、Y153F/E/G/A、F154V/M/L、I155M/S、T156M/Q/G/E/A、Q159L/M/I/E、A166I、K168M、L173M、G177T/A、S178E、Q184L、A185L/G、T195S/R、I197T/L、A199V、V200Y、I201M/L/F/C/A、P203G、P205T/S/N/L/G/D/A、T206V/Q/N/M/L/I/H/D、A210F、C213Y/V/M/L/F、S215E、G216V/S/R、P218Q、H220D、Y221W/M/L/I、T223S、I226Y、C234M/A、A239Q、I242C/V、A245G、N251E、P253D、A256S/L/E/N/K/G、E257S、V259M/L、N260D/K、H261I/E/D、V262S、C263Q/E/T、Q265N、T266P/N、P267V/Q/K、A268N/D、T269H、A273V/T/I、M274V、L277M、P278V、V279F/R/E、L280P/E、R281A/S、G282T、V283Y/W/T、S284P/M/H/I、G285W、L289W/R、N290Y/S/R、T291A、E292V、H293Y/Q/M/L/F、F294A、I330V、およびL349Pから選択される。いくつかの追加的な実施形態において、残基の相違は、配列番号8に対してX31、X44、X46、X48、X55、X56、X98、X166、X168、X173、X199、X203、X205、X206、X210、X213、X215、X216、X218、X239、X245、X251、X268、X269、X280、X285、X289、X290、X293、X330、およびX349から選択される。いくつかのさらなる実施形態において、残基の相違は、配列番号8に対してL31、Q44、R46、A48、G55、L56、Y98、A166、K168、L173、A199、P203、P205、T206、A210、C213、S215、G216、P218、A239、A245、N251、A268、T269、L280、G285、L289、N290、H293、I330、およびL349から選択される。いくつかの追加的な実施形態において、残基の相違は、配列番号8に対してM12L、L31M、Q44N、R46S/N、A48G、G55Y/C、L56M、V65L/F、T82V、Y98W/C、N137D、W141V/T/S、Y153G/A、I155S、T156Q/G/E/A、Q159M/I/E、A166I、K168M、L173M、G177T/A、Q184L、A185L/G、T195R、I197T/L、A199V、V200Y、I201M/L/F/C/A、P203G、P205T/S/N/L/G/D/A、T206V/Q/N/M/L/I/H/D、A210F、C213Y/V/M/L/F、S215E、G216V/S/R、P218Q、Y221W/M/L/I、I226Y、C234M/A、A239Q、I242V、A245G、N251E、P253D、A256N/K/G、E257S、V259M/L、N260K、H261D、V262S、C263T、Q265N、T266P/N、P267V/Q/K、A268N/D、T269H、A273V/T/I、M274V、L277M、P278V、V279R/E、L280P/E、R281S、G282T、V283Y/W/T、S284I、G285W、L289W/R、N290Y/S/R、T291A、E292V、H293Y/Q/M/L/F、I330V、およびL349Pから選択される。
方法のいくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、任意選択的に1つまたは数個の(例えば、3、4、5まで、または10までの)アミノ酸残基の欠失、挿入、および/または置換を有する操作されたイミンレダクターゼをコードする。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、任意選択的に、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、1〜15、1〜20、1〜21、1〜22、1〜23、1〜24、1〜25、1〜30、1〜35、1〜40、1〜45、または1〜50個のアミノ酸残基の欠失、挿入、および/または置換を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列数は、任意選択的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、30、35、40、45、または50個のアミノ酸残基の欠失、挿入、および/または置換を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、任意選択的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基の欠失、挿入、および/または置換を有する。いくつかの実施形態では、置換は、保存的置換または非保存的置換であり得る。
別の態様では、本発明は、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを製造する方法であって、ポリペプチドの発現に適切な条件下でイミンレダクターゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現することができる宿主細胞を培養する工程を含むことができる、方法を提供する。本方法は、本明細書中に記載のように、発現されたイミンレダクターゼポリペプチドを単離または精製する工程をさらに含むことができる。
いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを調製または製造する方法は、ポリペプチドを単離する工程をさらに含む。操作されたポリペプチドを適切な細胞中で発現させ、上記のように、タンパク質精製のために使用される周知の技術(とりわけ、リゾチーム処理、超音波処理、濾過、塩析、超遠心、およびクロマトグラフィが含まれる)のうちの任意の1つまたは複数を使用して宿主細胞、培養培地、および/または発現培地から単離(または回収)することができる。大腸菌などの細菌の溶解および高効率のタンパク質抽出に適切な溶液は、CelLytic B(商標)(Sigma−Aldrich、St.Louis M)Oなど市販されている。イミンレダクターゼポリペプチドの単離のためのクロマトグラフィ技術には、とりわけ、逆相クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、およびアフィニティクロマトグラフィが含まれる。
いくつかの実施形態では、本発明の天然に存在しないポリペプチドを調製し、種々の形態(以下の実施例でさらに例示する粗抽出物(例えば、無細胞溶解物)、粉末(例えば、フラスコ振盪培養粉末(shake−flask powder))、凍結乾燥物、および実質的に純粋な調製物(例えば、DSP粉末)が含まれるが、これらに限定されない)で使用することができる。
いくつかの実施形態では、操作されたポリペプチドを調製し、精製形態(例えば、実質的に精製された形態)で使用することができる。一般に、特定のポリペプチドの精製条件は、その一部が、正味荷電、疎水性、親水性、分子量、分子の形状などの要因に依存し、その条件は当業者に明らかであろう。精製を容易にするために、いくつかの実施形態では、操作されたポリペプチドを、精製タグ(金属に親和性を有するHisタグなど)または抗体への結合のための抗体タグ(例えば、mycエピトープタグ)との融合タンパク質として発現することができることが意図される。
いくつかの実施形態では、親和性技術を使用して、改良されたイミンレダクターゼ酵素を単離することができる。アフィニティクロマトグラフィ精製のために、イミンレダクターゼポリペプチドに特異的に結合する任意の抗体を使用することができる。抗体生成のために、種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラットなどが含まれるが、これらに限定されない)を、イミンレダクターゼポリペプチドまたはそのフラグメントを使用した注射によって免疫化することができる。イミンレダクターゼポリペプチドまたはフラグメントを、側鎖官能基または側鎖官能基に取り付けたリンカーによって適切なキャリア(BSAなど)に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、親和性精製は、イミンレダクターゼによって結合した特異的リガンド(ポリ(L−プロリン)など)または色素アフィニティカラム(例えば、欧州特許第0641862号;およびStellwagen,in Current Protocols in Protein Science Unit 9.2−9.2.16[2001]を参照のこと)を使用することができる。
6.5 操作されたイミンレダクターゼ酵素の使用方法
別の態様では、本明細書中に記載のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドを、上記およびスキーム1に例示のように、式(I)の化合物および式(II)の化合物を式(III)の第二級アミン化合物または第三級アミン化合物に変換するプロセスで使用することができる。一般に、スキーム1の還元的アミノ化反応を実施するためのかかる生体触媒プロセスは、式(III)のアミン生成物化合物の形成に適切な反応条件下にて補因子(NADHまたはNADPHなど)の存在下でケトン基質化合物およびアミン基質化合物を本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドと接触させるかインキュベートする工程を含む。
いくつかの実施形態では、イミンレダクターゼを、式(III):
(式中、R1基およびR2基は、任意選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルキルチオアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルから独立して選択され;任意選択的にR1およびR2が連結して3員環から10員環を形成し;R3基およびR4基は、水素原子、ならびに任意選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルキルチオアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルから独立して選択され、但し、R3およびR4の両方が水素であり得ないことを条件とし;任意選択的に、R3およびR4が連結して3員環から10員環を形成し;任意選択的に、*で示した炭素原子および/または窒素はキラルである)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物を調製するためのプロセスで使用することができる。このプロセスは、式(I):
(式中、R1およびR2は上記定義の通りである)のケトン化合物;および式(II):
(式中、R3およびR4は上記定義の通りである)のアミン化合物を、適切な反応条件下にて補因子の存在下でイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドと接触させる工程を含む。
表2および表3A〜3M中の反応によって例示されるように、本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、式(III)の化合物の調製プロセスで広範な式(II)のアミン基質化合物との活性を有するか、活性を有するようにさらに操作することができる。したがって、式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物を調製するための上記生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、R3およびR4のうちの少なくとも1つが水素であり、それにより、式(III)の生成物が第二級アミン化合物である第一級アミンであり得る。プロセスのいくつかの実施形態では、R3およびR4のいずれも水素ではなく、式(II)の化合物は第二級アミンであり、それにより、式(III)の化合物は第三級アミンである。プロセスのいくつかの実施形態では、式(II)の化合物は第二級アミンであり、R3またはR4は異なり、それにより、式(III)のアミン化合物の*で示した窒素原子はキラルである。さらに、いくつかの実施形態では、式(III)のキラルアミン化合物の1つの立体異性体を、立体選択性に形成し、任意選択的に、高い立体選択性で(例えば、少なくとも約85%の立体異性体過剰率で)形成する。
式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物を調製するための生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、式(II)の化合物のR3基およびR4基を連結して3員環から10員環を形成する。いくつかの実施形態では、環は、5員環〜8員環であり、任意選択的に置換されたシクロアルキル環、アリール環、アリールアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、ヘテロアリール環、またはヘテロアリールアルキル環である。
式(III)のアミン生成物化合物を調製するための生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、式(II)の化合物は第一級アミンであり、ここで、R3基は水素であり、R4は、任意選択的に置換された(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルケニル、(C1〜C6)アルキニル、(C1〜C6)カルボキシアルキル、(C1〜C6)アミノアルキル、(C1〜C6)ハロアルキル、および(C1〜C6)アルキルチオアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、R4基は、任意選択的に置換された(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)カルボキシアルキル、および(C1〜C6)アミノアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、R4基は、任意選択的に置換された(C1〜C6)アルキル、または(C1〜C6)カルボキシアルキルである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、メチルアミン、ジメチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、およびイソブチルアミンから選択される。いくつかの実施形態では、アミン基質化合物のR3基は水素であり、R4は、任意選択的に置換された(C4〜C8)シクロアルキル、(C4〜C8)ヘテロシクロアルキル、(C4〜C8)アリール、(C4〜C8)アリールアルキル、(C4〜C8)ヘテロアリール、および(C4〜C8)ヘテロアリールアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、アミン基質化合物のR3基は水素であり、R4は、任意選択的に置換された(C4〜C8)アリール、(C4〜C8)アリールアルキル、(C4〜C8)ヘテロアリール、および(C4〜C8)ヘテロアリールアルキルから選択される。いくつかの実施形態では、アミン基質化合物のR3基は水素であり、R4は任意選択的に置換された(C4〜C8)アリールである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は任意選択的に置換されたアニリンである。
表2および表3A〜3M中の反応によって例示されるように、本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、式(III)の化合物の調製プロセスで広範な式(I)のケトン基質化合物との活性を有するか、活性を有するようにさらに操作することができる。いくつかの実施形態では、化合物(I)のケトン基質のR1基およびR2基は異なり、それにより、式(III)のアミン化合物の*で示した炭素原子はキラルである。さらに、プロセスのいくつかの実施形態では、式(III)のキラルアミン化合物の1つの立体異性体を、立体選択性に形成し、任意選択的に、高い立体選択性で(例えば、少なくとも約85%の立体異性体過剰率で)形成する。
式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物を調製するための生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、式(I)の化合物のR1基およびR2基を連結して3員環から10員環を形成する。いくつかの実施形態では、環は、任意選択的に置換されたシクロアルキル環、アリール環、アリールアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、ヘテロアリール環、またはヘテロアリールアルキル環である。プロセスのいくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、任意選択的に置換されたシクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびシクロヘプタノンから選択される。
式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物を調製するための生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、式(I)の化合物のR1基およびR2基は、任意選択的に置換された(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルケニル、(C1〜C6)アルキニル、(C1〜C6)カルボキシアルキル、(C1〜C6)アミノアルキル、(C1〜C6)ハロアルキル、および(C1〜C6)アルキルチオアルキルから独立して選択される。
式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物を調製するための生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、式(I)の化合物のR1基は、任意選択的に置換された(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルケニル、(C1〜C6)アルキニル、(C1〜C6)カルボキシアルキル、(C1〜C6)アミノアルキル、(C1〜C6)ハロアルキル、および(C1〜C6)アルキルチオアルキルから選択され;式(I)の化合物のR2基は、任意選択的に置換された(C4〜C8)シクロアルキル、(C4〜C8)ヘテロシクロアルキル、(C4〜C8)アリールアルキル、(C4〜C8)ヘテロアリール、および(C4〜C8)ヘテロアリールアルキルから選択される。
式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物を調製するための生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、式(I)の化合物のR1基はカルボキシである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、ピルビン酸、2−オキソ−プロパン酸、2−オキソ−ブタン酸、2−オキソ−ペンタン酸、2−オキソ−ヘキサン酸から選択される2−ケト酸である。
式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物を調製するための生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、式(I)の化合物のR1基は水素原子であり、式(I)の化合物はアルデヒドである。かかる実施形態では、式(I)の化合物のR1基は、任意選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルキルチオアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルから選択される。
表2中の反応について列挙した式(I)、(II)、および(III)の化合物によって例示されるように、式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物を調製するための上記の生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、式(III)の生成物化合物は、化合物(3a)、化合物(3b)、化合物(3c)、化合物(3d)、化合物(3e)、化合物(3f)および化合物(3g)からなる群から選択される化合物を含む。プロセスのいくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、以下:化合物(1a)、化合物(1b)、化合物(1c)および化合物(1d)からなる群から選択される化合物を含む。プロセスのいくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、以下:化合物(2a)、化合物(2b)および化合物(2c)からなる群から選択される化合物を含む。
いくつかの実施形態では、本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドによって触媒される式(III)のアミン生成物化合物を調製するためのプロセスが分子内反応を含み、式(I)の化合物および式(II)の化合物が同一の単一の分子上の基であることも意図される。したがって、いくつかの実施形態では、式(I)のケトン化合物のR
1およびR
2のうちの少なくとも1つが式(II)のアミン化合物のR
3およびR
4のうちの少なくとも1つに連結し、方法が、適切な反応条件下で式(II)のアミン基に連結した式(I)のケトン基を有する単一の化合物を本発明の操作されたポリペプチドと接触させる工程を含む。例示的な分子内反応には、以下の表4に示すスキーム2〜5の反応が含まれるが、これらに限定されず、ここで、R
1基およびR
3基がR
1基およびR
3基について上記の定義の通りであり、R
5基は、水素原子、ならびに任意選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルキルチオアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルから選択される。
理論に拘束されないが、ほとんどの場合、スキーム1の生体触媒反応は中間体イミン化合物(例えば、イミニウム中間体)の形成に関与し、次いで、酵素によって式(III)の最終的な第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物にさらに還元されると考えられる。いくつかの実施形態では、本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドによって触媒される式(III)のアミン生成物化合物を調製するためのプロセスが、本発明の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを式(I)のケトン化合物および式(II)の第一級アミン化合物と接触させる工程を含み、それによりイミン中間体が形成され、次いで、分子内不斉環化反応を経て環状の第二級または第三級のヒドロキシアミン中間体が得られ、ヒドロキシル脱離を経て第2のイミン(またはエナミン)中間体が得られることも意図される。この第2のイミン(またはエナミン)を、その後に本発明の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドによってin situで還元して最終的な環状アミン生成物を得る。ヒドロキシアミン中間体を経由した不斉環化に関与する反応例には、以下の表5中に示すスキーム6〜9の反応が含まれるが、これらに限定されず、ここで、R
1基およびR
3基がR
1基およびR
3基について上記の定義の通りであり、R
5基、R
6基、およびR
7基は、水素原子、ならびに任意選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルキルチオアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルから独立して選択される。
理論に拘束されないが、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチド(IRED)が、スキーム2〜9の反応中に示すイミンおよび/またはヒドロキシアミン中間体の形成だけでなく、イミン中間体の第2の反応の矢印によって示した式(III)の最終アミン生成物化合物への変換も媒介すると考えられる。
一般に、イミン化合物はアミン化合物より安定性が低く、望ましくない酸化反応の影響を受けやすい。しかし、本発明のプロセスのいくつかの実施形態では、酵素の非存在下で式(I)のケトンおよび式(II)のアミン化合物からイミン化合物またはエナミン化合物(互変異性体化してイミンを形成することができる)を形成することができ、次いで、本発明の操作されたポリペプチドと接触させて最終物の式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物への変換を触媒することができることを意図する。例えば、イミン中間体化合物またはエナミン中間体化合物を、スキーム6〜9に示すが、IRED(すなわち、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチド)の非存在下で式(I)のケトンと式(II)のアミン化合物とを組み合わせることによって最初に形成することができる。次いで、直接またはエナミン化合物の互変異性体化から形成されたイミン化合物を、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドと接触させて、式(III)の最終アミン生成物化合物への変換を触媒することができる。いくつかの実施形態では、イミン中間体化合物またはエナミン中間体化合物を、適切に安定である場合、単離後にイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドと接触させる工程を実施することができることを意図する。したがって、プロセスのいくつかの実施形態では、イミン化合物またはエナミン化合物を、式(I)および式(II)の化合物から、またはアミン基に連結したケトン基を有する化合物の分子内反応によって最初に形成し、次いで、このイミン化合物またはエナミン化合物を、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドと接触させて式(III)のアミン生成物化合物を形成することを意図する。
いくつかの実施形態では、安定なイミン化合物またはエナミン化合物を得ることができ(すなわち、式(I)のケトン化合物および式(II)のアミン化合物の第1の反応なし)、この化合物をIREDと共に基質として直接使用する。かかる実施形態では、安定なイミン化合物またはエナミン化合物である単一の基質のみが存在する生体触媒プロセスを行い、この化合物を、安定なイミン化合物の還元を触媒する本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドと接触させて式(III)の第2の化合物を形成することを意図する。かかる反応では、操作されたポリペプチドの立体選択性により、式(III)の化合物のアミン基に隣接するキラル中心の形成を媒介することができる。表6(以下)は、医薬品ソリフェナシンおよびタダラフィルの合成ならびに薬学的化合物デクスメチルフェニデートの合成のための中間体化合物を生成するために本発明の操作されたポリペプチドを使用した生体触媒プロセスにおいてキラル還元を受けることができる安定なイミン化合物の3つの例を列挙している。
あるいは、単離されたイミン基質化合物またはエナミン基質化合物(表6に示す)のIRED触媒反応を介して生成された式(III)の任意の生成物化合物を、イミン基質化合物またはエナミン基質化合物の開鎖バージョンを基質として使用したIRED触媒分子内反応(表4に例示の反応など)を介して生成することもできることも意図する。したがって、表6の各生成物化合物を、本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドと共に表7に示す分子内基質を使用して作製することもできる。
本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドおよび/または本発明の操作されたポリペプチドのさらなる指向進化によって生成された操作されたポリペプチドを使用した生体触媒還元的アミノ化によって生成することができる第二級アミン基または第三級アミン基を含む活性薬剤成分化合物が多数存在する。例えば、表8は、公知の活性薬剤成分化合物または本発明のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドを式(I)および/または式(II)の対応する基質化合物と共に使用して生成することができる活性薬剤成分化合物の合成に有用な中間体化合物である式(III)の種々の生成物化合物を列挙する。
式(III)の第二級アミン生成物化合物または第三級アミン生成物化合物の調製のための上記生体触媒プロセスのいくつかの実施形態では、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、天然に存在するオピンデヒドロゲナーゼから誘導される。いくつかの実施形態では、イミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドは、本明細書中に開示の配列番号2のArthrobacter sp.1C株由来のオピンデヒドロゲナーゼから誘導された操作されたポリペプチドであり、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドによって例示される。
本明細書中に記載の任意の操作されたイミンレダクターゼを、式(III)の第二級アミン化合物または第三級アミン化合物の調製のための上記生体触媒プロセスで使用することができる。例として制限されないが、いくつかの実施形態では、このプロセスは、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択される参照配列と少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える同一性を有するアミノ酸配列を含む操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを使用することができ、配列番号2、4、6および/または8と比較した場合に、以下:X9、X12、X31、X37、X44、X46、X48、X55、X56、X65、X82、X93、X98、X108、X137、X138、X141、X142、X143、X153、X154、X155、X156、X159、X166、X167、X168、X173、X177、X178、X184、X185、X195、X197、X198、X199、X200、X201、X203、X205、X206、X210、X213、X215、X216、X218,X220、X221、X223、X224、X226、X234、X239、X242、X245、X251、X253、X256、X259、X260、X261、X262、X263、X265、X266、X267、X268、X269、X272、X273、X274、X276、X277、X278、X279、X280、X281、X282、X283、X284、X285、X289、X290、X291、X292、X293、X294、X330およびX349から選択される残基の位置における1つまたはそれを超える(例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3等)残基の相違を含むアミノ酸配列を有するイミンレダクターゼポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態では、これらの残基の位置における具体的な残基の相違は、以下:配列番号4に対してS284Q/L/H/C、L277A、E272D、S262V、E256V/S/A、I242C、A234C、H220Q、E198D、Y153G/Q/N/R/E、A167T、Q265T、N108C、G282L、P267A、I197M、Q265V、R281N/P/L、E224DおよびR143K;または配列番号6に対してV9G、N137D、R143K、Y153L/M、F154V、A185T、V200S、H220E、E224H、E256C/W、V259I、V259M、K260R、I261R、S262F/N、P267I/N/S/T/Y、G276S、V279A/H/L/N/YおよびV283E/T/W;または配列番号8に対してM12L、L31M、A37P、Q44N、R46S/N、A48G、G55Y/C、L56M、V65L/F、T82V、A93G、Y98W/C、N108S、N137D、M138L、W141V/T/S、C142A、R143W/L、Y153F/E/G/A、F154V/M/L、I155M/S、T156M/Q/G/E/A、Q159L/M/I/E、A166I、K168M、L173M、G177T/A、S178E、Q184L、A185L/G、T195S/R、I197T/L、A199V、V200Y、I201M/L/F/C/A、P203G、P205T/S/N/L/G/D/A、T206V/Q/N/M/L/I/H/D、A210F、C213Y/V/M/L/F、S215E、G216V/S/R、P218Q、H220D、Y221W/M/L/I、T223S、I226Y、C234M/A、A239Q、I242C/V、A245G、N251E、P253D、A256S/L/E/N/K/G、E257S、V259M/L、N260D/K、H261I/E/D、V262S、C263Q/E/T、Q265N、T266P/N、P267V/Q/K、A268N/D、T269H、A273V/T/I、M274V、L277M、P278V、V279F/R/E、L280P/E、R281A/S、G282T、V283Y/W/T、S284P/M/H/I、G285W、L289W/R、N290Y/S/R、T291A、E292V、H293Y/Q/M/L/F、F294A、I330VおよびL349Pから選択される。
いくつかの実施形態では、残基の相違は、以下:配列番号4に対してE198D、Y153G/Q/N/R、A167T、Q265T/V、N108C、G282L、P267A、I197M、R281N/P/L、E224DおよびR143K;または配列番号6に対してV9G、N137D、R143K、Y153L/M、A185T、H220E、E224H、E256W/C、V259M/I、K260R、S262N、P267Y/T、G276S、V279A/H/N、V283T/W/E;または配列番号8に対してM12L、L31M、Q44N、R46S/N、A48G、G55Y/C、L56M、V65L/F、T82V、Y98W/C、N137D、W141V/T/S、Y153G/A、I155S、T156Q/G/E/A、Q159M/I/E、A166I、K168M、L173M、G177T/A、Q184L、A185L/G、T195R、I197T/L、A199V、V200Y、I201M/L/F/C/A、P203G、P205T/S/N/L/G/D/A、T206V/Q/N/M/L/I/H/D、A210F、C213Y/V/M/L/F、S215E、G216V/S/R、P218Q、Y221W/M/L/I、I226Y、C234M/A、A239Q、I242V、A245G、N251E、P253D、A256N/K/G、E257S、V259M/L、N260K、H261D、V262S、C263T、Q265N、T266P/N、P267V/Q/K、A268N/D、T269H、A273V/T/I、M274V、L277M、P278V、V279R/E、L280P/E、R281S、G282T、V283Y/W/T、S284I、G285W、L289W/R、N290Y/S/R、T291A、E292V、H293Y/Q/M/L/F、I330VおよびL349Pから選択される。
上記プロセスのいくつかの実施形態では、本明細書中に開示の表2の変換反応(a)〜(g)を実施することができる例示的なイミンレダクターゼが使用される。これは、配列番号4〜1300のうち偶数番号の配列識別子から選択されるアミノ酸配列を含む本明細書中に開示の操作されたポリペプチドを含む。操作されたイミンレダクターゼの選択および使用についてのガイダンスを、本明細書中の説明(例えば、表3A〜3M)および実施例に提供する。
本明細書中および実施例に例示の実施形態では、プロセスで使用することができる種々の範囲の適切な反応条件には、基質負荷、補因子負荷、ポリペプチド負荷、pH、温度、緩衝液、溶媒系、反応時間、および/または固体支持体上に固定されたポリペプチドに伴う条件が含まれるが、これらに限定されない。本明細書中に記載の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを使用した基質化合物の生成物化合物への生体触媒変換プロセスの実施のためのさらに適切な反応条件を、本明細書中に提供したガイダンスを考慮して、日常的な実験(濃度、pH、温度、および溶媒条件の実験反応条件下での目的の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドとケトン基質化合物およびアミン基質化合物との接触、ならびに生成物化合物の検出が含まれるが、これらに限定されない)によって容易に最適化することができる。
一般に、本発明のプロセスでは、適切な反応条件は、イミンレダクターゼによって実施される還元反応において電子供与体として作用することができる補因子分子の存在を含む。いくつかの実施形態では、補因子は、NADP+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)、NADPH(NADP+の還元型)、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、およびNADH(NAD+の還元型)から選択される(しかし制限されない)。一般に、補因子の還元型を酵素反応混合物に添加する。したがって、いくつかの実施形態では、プロセスを、NADPHおよびNADH(これら2つの補因子を本明細書中で集合的に「NAD(P)H」ともいう)から選択される補因子の存在下で行う。いくつかの実施形態では、電子供与体はNADPH補因子である。いくつかの実施形態では、反応条件が約0.03〜約1g/L、0.03〜約0.8g/L、約0.03〜約0.5g/L、約0.05〜約0.3g/L、約0.05〜約0.2g/L、または約0.1〜約0.2g/Lの濃度のNADH補因子またはNADPH補因子を含むプロセスを行うことができる。いくつかの実施形態では、約1g/L、約0.8g/L、約0.5g/L、約0.3g/L、約0.2g/L、約0.1g/L、約0.05g/L、または約0.03g/Lの濃度のNADHの補因子またはNADPH補因子下で本プロセスを行う。
プロセスのいくつかの実施形態では、任意選択的な補因子リサイクル系(補因子再生系ともいう)を使用して、酵素反応で生成されたNADP+/NAD+から補因子NADPH/NADHを再生することができる。補因子再生系は、補因子の酸化型を還元する(例えば、NADP+からNADPHへの還元)反応に関与する一連の反応物をいう。ケト基質のポリペプチド還元によって酸化される補因子を、補因子再生系によって還元型に再生する。補因子再生系は、還元性水素等価物の供給源であり、且つ酸化型補因子を還元することができる化学量論的還元剤を含む。補因子再生系は、触媒(例えば、還元剤による酸化型補因子の還元を触媒する酵素触媒)をさらに含むことができる。それぞれNAD+またはNADP+からNADHまたはNADPHを再生するための補因子再生系は、当該分野で公知であり、本明細書中に記載の方法で使用することができる。
本発明のイミンレダクターゼプロセスで使用することができる適切な補因子再生系の例には、ホルマートおよびギ酸デヒドロゲナーゼ、グルコースおよびグルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース−6−リン酸およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、第二級アルコールおよびアルコールデヒドロゲナーゼ、ホスファイトおよび亜リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびに分子水素およびヒドロゲナーゼなどが含まれるが、これらに限定されない。これらの系を、補因子としてのNADP+/NADPHまたはNAD+/NADHのいずれかと組み合わせて使用することができる。ヒドロゲナーゼを使用した電気化学的再生も、補因子再生系として使用することができる(例えば、米国特許第5,538,867号および同第6,495,023号(その両方が本明細書中で参照によって組み込まれる)を参照のこと)。金属触媒および還元薬(例えば、分子水素またはホルマート)を含む化学的補因子再生系も適切であり得る(例えば、WO2000/053731号(本明細書中で参照によって組み込まれる)を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、補因子再生系は、ホルマートおよびNAD+またはNADP+を二酸化炭素およびNADHまたはNADPHへのそれぞれの変換を触媒するNAD+またはNADP+依存性の酵素であるギ酸デヒドロゲナーゼを含む。本明細書中に記載のイミンレダクターゼプロセスでの補因子再生系としての使用に適切なギ酸デヒドロゲナーゼには、天然に存在するおよび天然に存在しないギ酸デヒドロゲナーゼが含まれる。適切なギ酸デヒドロゲナーゼには、当該分野で現在公知のギ酸デヒドロゲナーゼが含まれるが、これらに限定されない(例えば、WO2005/018579号(本明細書中で参照によって組み込まれる)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、プロセスで使用されるギ酸デヒドロゲナーゼは、FDH−101であり、市販されている(Codexis,Inc.Redwood City,California,USA)。ホルマートを、塩の形態(典型的にはアルカリ塩またはアンモニウム塩(例えば、HCO2NaおよびKHCO2NH4など))、ギ酸の形態(典型的にはギ酸水溶液)、またはその混合物で提供することができる。塩基または緩衝液を使用して、所望のpHにすることができる。
いくつかの実施形態では、補因子リサイクル系は、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を含み、これは、D−グルコースおよびNAD+またはNADP+のグルコン酸およびNADHまたはNADPHへのそれぞれの変換を触媒するNAD+またはNADP+依存性の酵素である。本明細書中に記載のイミンレダクターゼプロセスの実施での使用に適切なグルコースデヒドロゲナーゼには、天然に存在するグルコースデヒドロゲナーゼおよび天然に存在しないグルコースデヒドロゲナーゼが含まれる。天然に存在するグルコースデヒドロゲナーゼのコード遺伝子が文献中に報告されている(例えば、Bacillus
subtilis 61297 GDH遺伝子、B.cereus ATCC 14579、およびB.megaterium)。天然に存在しないグルコースデヒドロゲナーゼは、当該分野で公知の任意の適切な方法を使用して再生されている(例えば、変異誘発および指向進化など;例えば、WO2005/018579号ならびに米国特許出願公開第2005/0095619号および同第2005/0153417号(それぞれ本明細書中で参照によって組み込まれる)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、本プロセスで使用されるグルコースデヒドロゲナーゼはCDX−901またはGDH−105であり、それぞれ市販されている(Codexis,Inc.Redwood City,California,USA)。
いくつかの実施形態では、補因子再生系は、アルコールデヒドロゲナーゼまたはケトレダクターゼを含み、これは、第二級アルコールおよびNAD+またはNADP+のケトンおよびNADHまたはNADPHへのそれぞれの変換を触媒するNAD+またはNADP+依存性の酵素である。補因子再生系で有用な適切な第二級アルコールには、低級第二級アルカノールおよびアリール−アルキルカルビノール(イソプロパノール、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、および3,3−ジメチル−2−ブタノールが含まれるが、これらに限定されない)が含まれる。本明細書中に記載のプロセスで補因子再生系としての使用に適切なアルコールデヒドロゲナーゼには、天然に存在するケトレダクターゼおよび天然に存在しないケトレダクターゼが含まれる。天然に存在するアルコールデヒドロゲナーゼ/ケトレダクターゼには、制限されない例として、Thermoanerobium brockii、Rhodococcus erythropolis、Lactobacillus kefir、およびLactobacillus brevis由来の公知の酵素が含まれ、天然に存在しないアルコールデヒドロゲナーゼには、上記由来の操作されたアルコールデヒドロゲナーゼが含まれる。いくつかの実施形態では、熱安定性および溶媒安定性のために操作された天然に存在しないケトレダクターゼを使用することができる。かかるケトレダクターゼには、本明細書中に記載のケトレダクターゼ、および当該分野で公知の他のケトレダクターゼが含まれる(例えば、米国特許出願公開第20080318295A1号、同第20090093031A1号、同第20090155863A1号、同第20090162909A1号、同第20090191605A1号、同第20100055751A1号、WO/2010/025238A2号、WO/2010/025287A2号、および米国特許出願公開第20100062499A1号(それぞれ本明細書中で参照によって組み込まれる)を参照のこと)。
反応混合物中のケトン基質化合物およびアミン基質化合物の濃度を、例えば、生成物化合物の望ましい量、酵素活性に及ぼす基質濃度の影響、反応条件下での酵素の安定性、および生成物に対する基質の変換率を考慮して変更することができる。いくつかの実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約0.5〜約200g/L、1〜約200g/L、5〜約150g/L、約10〜約100g/L、20〜約100g/L、または約50〜約100g/Lの基質化合物負荷を含む。いくつかの実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約1g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約75g/L、少なくとも約100g/L、少なくとも約150g/L、または少なくとも約200g/L、またはさらに超えるそれぞれのケトン基質化合物およびアミン基質化合物の負荷を含む。本明細書中に提供した基質負荷値は化合物(1d)の分子量に基づくが、他のケトン基質およびアミン基質(ケトン基質化合物(1a)〜(1d)およびアミン基質化合物(2a)〜(2d)など)のモル当量を使用することができ、等モル量のこれらの化合物のいずれかの水和物または塩も本プロセスで使用することができることも意図する。いくつかの実施形態では、適切な反応条件が、化合物(1d)についての上記g/L濃度に対するモル濃度当量に関する各ケトン基質化合物およびアミン基質化合物の負荷を含むことも意図する。したがって、反応条件は、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約25mM、少なくとも約50mM、少なくとも約75mM、少なくとも約100mM、またはさらにそれを超える基質負荷の各ケトン基質化合物およびアミン基質化合物を含むことができる。さらに、式(I)および(II)によって網羅される基質化合物を、化合物(1d)のために使用した量と同一範囲の量で使用することができることを意図する。
本明細書中に記載のイミンレダクターゼ媒介プロセスの実施では、操作されたポリペプチドを、精製酵素、部分精製酵素、酵素をコードする遺伝子で形質転換したホールセルの形態で、かかる細胞の細胞抽出物および/または溶解物として、および/または固体支持体上に固定した酵素として反応混合物に添加することができる。操作されたイミンレダクターゼ酵素をコードする遺伝子で形質転換したホールセルまたはその細胞抽出物、溶解物、および単離された酵素を、種々の異なる形態(固体(例えば、凍結乾燥形態、および噴霧乾燥形態など)または半固体(例えば、粗ペースト)が含まれる)で使用することができる。細胞抽出物または細胞溶解物を、沈殿(硫酸アンモニウム、ポリエチレンイミン、または熱処理など、およびその後の凍結乾燥前の脱塩手順(例えば、限外濾過および透析など)によって部分精製することができる。任意の酵素調製物(ホールセル調製物が含まれる)を、公知の架橋剤(例えば、グルタルアルデヒドなど)を使用した架橋または固相(例えば、Eupergit Cなど)への固定によって安定化することができる。
操作されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードする遺伝子を、宿主細胞に個別に形質転換するか、同一宿主細胞に共に形質転換することができる。例えば、いくつかの実施形態では、一方の宿主細胞組を、一方の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードする遺伝子で形質転換することができ、他方の組を他方の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードする遺伝子で形質転換することができる。両方の形質転換された細胞の組を、ホールセルの形態またはホールセル由来の溶解物もしくは抽出物の形態にて反応混合物中で共に利用することができる。他の実施形態では、宿主細胞を、複数の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドをコードする遺伝子で形質転換することができる。いくつかの実施形態では、操作されたポリペプチドを、分泌されたポリペプチドの形態で発現することができ、分泌されたポリペプチドを含む培養培地を、イミンレダクターゼ反応のために使用することができる。
本明細書中に開示の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドの改良された活性および/または立体選択性により、より低い濃度の操作されたポリペプチドを使用してより高い変換率を得ることができるプロセスが得られる。プロセスのいくつかの実施形態では、適切な反応条件は、約1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、20%(w/w)、30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)、75%(w/w)、100%(w/w)、またはそれを超える量の基質化合物負荷の操作されたポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態では、操作されたポリペプチドは、約0.01g/L〜約50g/L;約0.05g/L〜約50g/L;約0.1g/L〜約40g/L;約1g/L〜約40g/L;約2g/L〜約40g/L;約5g/L〜約40g/L;約5g/L〜約30g/L;約0.1g/L〜約10g/L;約0.5g/L〜約10g/L;約1g/L〜約10g/L;約0.1g/L〜約5g/L;約0.5g/L〜約5g/L;または約0.1g/L〜約2g/Lで存在する。いくつかの実施形態では、イミンレダクターゼポリペプチドは、約0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.2g/L、0.5g/L、1、2g/L、5g/L、10g/L、15g/L、20g/L、25g/L、30g/L、35g/L、40g/L、または50g/Lで存在する。
一連の反応中、反応混合物のpHは変化し得る。反応混合物のpHを、所望のpHまたは所望のpH範囲内に維持することができる。一連の反応前および/または反応中の酸または塩基の添加によってこれを行うことができる。あるいは、緩衝液の使用によってpHを調節することができる。したがって、いくつかの実施形態では、反応条件には、緩衝液が含まれる。所望のpH範囲を維持するための適切な緩衝液が当該分野で公知であり、制限されない例として、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液、酢酸緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、および2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(Tris)緩衝液などが含まれる。いくつかの実施形態では、緩衝液はリン酸緩衝液である。プロセスのいくつかの実施形態では、適切な反応条件は、約0.01〜約0.4M、0.05〜約0.4M、0.1〜約0.3M、または約0.1〜約0.2Mの濃度の緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)を含む。いくつかの実施形態では、反応条件は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.07、0.1、0.12、0.14、0.16、0.18、0.2、0.3、または0.4Mの濃度の緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)を含む。いくつかの実施形態では、反応条件は、適切な溶媒として緩衝液が存在しない水を含む。
プロセスの実施形態では、反応条件は、適切なpHを含むことができる。望ましいpHまたは望ましいpH範囲を、酸または塩基、適切な緩衝液の使用、または緩衝化と酸もしくは塩基の添加との組み合わせによって維持することができる。反応混合物のpHを、一連の反応前および/または反応中に調節することができる。いくつかの実施形態では、適切な反応条件は、pHが約4〜約10、約5〜約10、約7〜約11、約8〜約10、約6〜約8の溶液を含む。いくつかの実施形態では、反応条件は、pHが約4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10の溶液を含む。
本明細書中のプロセスの実施形態では、例えば、より高い温度での反応速度の増加および反応期間中の酵素活性を考慮して、反応条件に適切な温度を使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、適切な反応条件は、約10℃〜約80℃、約10℃〜約70℃、約15℃〜約65℃、約20℃〜約60℃、約20℃〜約55℃、約25℃〜約55℃、または約30℃〜約50℃の温度を含む。いくつかの実施形態では、適切な反応条件は、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、または80℃の温度を含む。いくつかの実施形態では、酵素反応中の温度を、一連の反応を通して特定の温度に維持することができる。いくつかの実施形態では、酵素反応中の温度を、一連の反応中の温度プロフィールに対して調整することができる。
本発明のプロセスを、一般に溶媒中で行う。適切な溶媒には、水、水性緩衝液、有機溶媒、ポリマー溶媒、および/または共溶媒系(一般に、水性溶媒、有機溶媒、および/またはポリマー溶媒を含む)が含まれる。水性溶媒(水または水性共溶媒系)を、pH緩衝化しても緩衝化しなくてもよい。いくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを使用するプロセスを、有機溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノール(IPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−ピロリドン(NMP)、酢酸エチル、酢酸ブチル、1−オクタノール、ヘプタン、オクタン、メチルtブチルエーテル(MTBE)、およびトルエンなど)、イオン性溶媒または極性溶媒(例えば、1−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、グリセロール、およびポリエチレングリコール(PEG)など)を含む水性共溶媒系中で行うことができる。いくつかの実施形態では、共溶媒は、極性溶媒(ポリオール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、または低級アルコールなど)であり得る。水性共溶媒系の非水性共溶媒成分は、水性成分と混和性を示して単一の液相を得ることができるか、水性成分と部分的混和性または不混和性を示して2種の液相を得ることができる。例示的な水性共溶媒系は、水ならびに有機溶媒、極性溶媒、およびポリオール溶媒から選択される1つまたはそれを超える共溶媒を含むことができる。一般に、水性共溶媒系の共溶媒成分を、反応条件下でイミンレダクターゼ酵素を不利に不活化しないように選択する。適切な共溶媒系を、酵素活性アッセイ(本明細書中に記載のアッセイなど)を利用した候補溶媒系における目的の定義した基質を使用した指定の操作されたイミンレダクターゼ酵素の酵素活性の測定によって容易に同定することができる。
プロセスのいくつかの実施形態では、適切な反応条件は、水性共溶媒を含み、この共溶媒は、約1%〜約50%(v/v)、約1〜約40%(v/v)、約2%〜約40%(v/v)、約5%〜約30%(v/v)、約10%〜約30%(v/v)、または約10%〜約20%(v/v)のDMSOを含む。プロセスのいくつかの実施形態では、適切な反応条件は、約1%(v/v)、約5%(v/v)、約10%(v/v)、約15%(v/v)、約20%(v/v)、約25%(v/v)、約30%(v/v)、約35%(v/v)、約40%(v/v)、約45%(v/v)、または約50%(v/v)のDMSOを含む水性共溶媒を含むことができる。
いくつかの実施形態では、反応条件は、反応の安定化または増強のための界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、および両親媒性の界面活性剤を含むことができる。例示的な界面活性剤には、制限されない例として、ノニルフェノキシポリエトキシルエタノール(NP40)、Triton X−100、ポリオキシエチレン−ステアリルアミン、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、オレイルアミド硫酸ナトリウム(sodium oleylamidosulfate)、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノステアラート、ヘキサデシルジメチルアミンなどが含まれる。反応を安定化または増強することができる任意の界面活性剤を使用することができる。反応における界面活性剤の使用濃度は、一般に、0.1〜50mg/ml、特に1〜20mg/mlであり得る。
いくつかの実施形態では、反応条件には、反応溶液を混合またはスパージングする場合などに反応溶液中の起泡を軽減または防止するのを補助する消泡剤を含めることができる。消泡剤には、非極性油(例えば、鉱物、シリコーンなど)、極性油(例えば、脂肪酸、アルキルアミン、アルキルアミド、アルキルスルファートなど)、および疎水性消泡剤(例えば、処理済みシリカ、ポリプロピレンなど)が含まれ、これらのうちのいくつかは界面活性剤としても機能する。例示的な消泡剤には、Y−30(登録商標)(Dow Corning)、ポリ−グリコールコポリマー、オキシ/エトキシル化アルコール、およびポリジメチルシロキサンが含まれる。いくつかの実施形態では、消泡剤は、約0.001%(v/v)〜約5%(v/v)、約0.01%(v/v)〜約5%(v/v)、約0.1%(v/v)〜約5%(v/v)、または約0.1%(v/v)〜約2%(v/v)で存在し得る。いくつかの実施形態では、消泡剤は、反応を促進することが望ましい場合、約0.001%(v/v)、約0.01%(v/v)、約0.1%(v/v)、約0.5%(v/v)、約1%(v/v)、約2%(v/v)、約3%(v/v)、約4%(v/v)、または約5%(v/v)、またはそれを超えて存在し得る。
イミンレダクターゼ反応で使用される反応物の量は、一般に、望ましい生成物の量、同時にイミンレダクターゼ基質の使用量に応じて変化するであろう。当業者は、所望の生成レベルおよび生成規模に合わせてこれらの量を変化させる方法を容易に理解するであろう。
いくつかの実施形態では、反応物の添加順序は重要ではない。反応物を、溶媒(例えば、単相溶媒および二相水性共溶媒系など)と同時に共に添加することができ、あるいは、いくつかの反応物を、個別に添加することができ、いくつかの反応物を異なる時点で一緒に添加することができる。例えば、補因子、補助基質、イミンレダクターゼ、および基質を、最初に溶媒に添加することができる。
固体反応物(例えば、酵素、塩など)を、種々の異なる形態(粉末(例えば、凍結乾燥粉末および噴霧乾燥粉末など)、溶液、乳濁液、および懸濁液などが含まれる)で反応物に提供することができる。反応物を、当業者に公知の方法および装置を使用して容易に凍結乾燥または噴霧乾燥させることができる。例えば、タンパク質溶液を、少量ずつ等分して−80℃で凍結し、次いで、予め冷却した凍結乾燥室に添加し、その後に真空を適用することができる
水性共溶媒系を使用する場合の混合効率を改良するために、イミンレダクターゼおよび補因子を水相に最初に添加し、混合することができる。次いで、有機相を添加し、混合し、その後にイミンレダクターゼ基質および補助基質を添加することができる。あるいは、イミンレダクターゼ基質を、有機相に予め混合後、水相に添加することができる。
イミンレダクターゼ反応は、一般に、基質の生成物へのさらなる変換が反応時間とともに有意に変化しなくなるまで(例えば、10%未満の基質が変換されるか、5%未満の基質が変換されるまで)進行させる。いくつかの実施形態では、基質が生成物に完全またはほぼ完全に変換されるまで、反応を進行させる。基質の生成物への成分変換(transformation)を、公知の方法を使用して、誘導体化するか誘導体化しない基質および/または生成物の検出によってモニタリングすることができる。適切な分析方法には、ガスクロマトグラフィおよびHPLCなどが含まれる。
プロセスのいくつかの実施形態では、適切な反応条件は、少なくとも約5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、50g/L、60g/L、70g/L、100g/L、またはそれを超える基質の負荷を含み、本方法により、約48時間またはそれ未満、約36時間またはそれ未満、または約24時間またはそれ未満で少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれを超えて基質化合物が生成物化合物に変換される。
適切な反応条件下にてプロセスで使用した場合、本発明の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドにより、所望の第二級アミン生成物または第三級アミン生成物のジアステレオマー過剰率は少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える。いくつかの実施形態では、検出可能な量の望ましくないジアステレオマーの第二級アミン生成物または第三級アミン生成物は形成されない。
操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを使用した基質化合物のアミン生成物化合物への変換のためのプロセスのさらなる実施形態では、適切な反応条件は、反応溶液への最初の基質負荷を含み得、これは、その後、ポリペプチドによって接触される。この反応溶液に、少なくとも約1g/L/h、少なくとも約2g/L/h、少なくとも約4g/L/h、少なくとも約6g/L/h、またはそれを超える速度での長時間にわたる連続的添加またはバッチ式添加としてさらなる基質化合物をさらに補足する。したがって、これらの適切な反応条件によれば、ポリペプチドを、それぞれ少なくとも約20g/L、30g/L、または40g/Lの最初のケトン基質およびアミン基質を負荷した溶液に添加する。このポリペプチドの添加後、それぞれ少なくとも約30g/L、40g/L、50g/L、60g/L、70g/L、100g/L、150g/L、200g/L、またはそれを超える遥かに高い最終基質負荷に到達するまで約2g/L/h、4g/L/h、または6g/L/hの速度で溶液にさらなるケトン基質およびアミン基質を連続的に添加する。したがって、プロセスのいくつかの実施形態では、適切な反応条件は、それぞれ少なくとも約20g/L、30g/L、または40g/Lの基質を最初に負荷した溶液へのポリペプチドの添加、その後の少なくとも約30g/L、40g/L、50g/L、60g/L、70g/L、100g/Lまたはそれを超える最終基質負荷に到達するまでの約2g/L/h、4g/L/h、または6g/L/hの速度での溶液へのさらなるケトン基質およびアミン基質の添加を含む。これらの基質補足反応条件により、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える基質のアミン生成物への高変換率を維持しながらより高い基質負荷を達成可能である。
プロセスのいくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを使用した反応は、以下の適切な反応条件を含むことができる:(a)約5g/L〜30g/Lの基質負荷;(b)約0.1g/L〜10g/Lの操作されたポリペプチド;(c)約19g/L(0.13M)〜57g/L(0.39M)のα−ケトグルタラート;(d)約14g/L(0.08M)〜63g/L(0.36M)アスコルビン酸;(e)約1.5g/L(3.8mM)〜4.5g/L(11.5mM)のFeSO4;(f)約6〜9のpH;(g)約20℃〜50℃の温度;および(h)2〜24時間の反応時間。
プロセスのいくつかの実施形態では、操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを使用した反応は、以下の適切な反応条件を含むことができる:(a)約10g/L〜100g/Lの基質負荷;(b)約1g/L〜約50g/Lの操作されたポリペプチド;(c)約0.1g/L〜約5g/LのNADHまたはNADPHの負荷;(d)約6〜10のpH;(g)約20℃〜50℃の温度;および(h)6〜120時間の反応時間。
いくつかの実施形態では、反応条件を補足するために、さらなる反応成分またはさらなる技術を実施した。これらは、酵素の安定化またはその不活化の阻害、生成物の阻害の軽減、アミン生成物形成への反応平衡のシフトのための手段を講じることを含むことができる。
さらなる実施形態では、基質化合物の生成物化合物への変換のための上記の任意のプロセスは、以下:生成物化合物の抽出;単離;精製;および結晶化から選択される1つまたはそれを超える工程をさらに含むことができる。上で開示の方法によって生成された生体触媒反応混合物からのアミン生成物の抽出、単離、精製、および/または結晶化のための方法、技術、およびプロトコールは、当業者に公知であり、そして/または日常的な実験によって評価される。さらに、例示的な方法を、以下の実施例に示す。
本発明の種々の特徴および実施形態を、以下の代表例で例示しており、これは、例示を意図し、本発明の制限を意図しない。
実験
以下の実施例(達成された実験および結果が含まれる)を、例示のみを目的として提供し、この実施例は、本発明を制限すると解釈されない。
以下に開示の実験では、以下の略語を適用する:ppm(百万分率);M(モル濃度);mM(ミリモル濃度)、uMおよびμM(マイクロモル濃度);nM(ナノモル濃度);mol(モル);gmおよびg(グラム);mg(ミリグラム);ugおよびμg(マイクログラム);Lおよびl(リットル);mlおよびmL(ミリリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);umおよびμm(マイクロメートル);sec.(秒);min(分);hおよびhr(時間);U(ユニット);MW(分子量);rpm(毎分回転数);psiおよびPSI(ポンド/平方インチ);℃(摂氏);RTおよびrt(室温);CAMおよびcam(クロラムフェニコール);DMSO(ジメチルスルホキシド);PMBS(硫酸ポリミキシンB);IPTG(イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド);GDH(グルコースデヒドロゲナーゼ);FDH(ギ酸デヒドロゲナーゼ);LB(Luriaブロス);TB(terrificブロス);SFP(フラスコ振盪培養粉末);CDS(コード配列);DNA(デオキシリボ核酸);RNA(リボ核酸);大腸菌W3110(一般的に使用される研究用大腸菌株,the Coli Genetic Stock Center[CGSC],New Haven,CTから利用可能);HTP(高処理);HPLC(高速液体クロマトグラフィ);FIOPC(ポジティブコントロールに対する改良の倍数);Sigma−Aldrich(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO;Difco(Difco Laboratories,BD Diagnostic Systems,Detroit,MI);Agilent(Agilent Technologies,Inc.,Santa Clara,CA);Corning(Corning,Inc.,Palo Alto,CA);Dow Corning(Dow Corning,Corp.,Midland,MI);およびGene Oracle(Gene Oracle,Inc.,Mountain View,CA)。
実施例1
イミンレダクターゼ活性を有するCENDHから誘導された操作されたポリペプチドの生成
配列番号4〜1300のうちの偶数番号の配列の操作されたイミンレダクターゼポリペプチドを、lacプロモーターの調節下にて大腸菌W3110中で生成した。操作されたポリペプチドの指向進化で使用したHTPアッセイのための酵素調製物を、以下のように作製した。
高処理(HTP)成長、発現、および溶解物調製。細胞を選別し、1%グルコースおよび30μg/mL CAMを含むLB培地中にて、30℃、200rpm、湿度85%で一晩成長させた。次に、20μLの一晩成長物を、30μg/mL CAMを含む380μLのTB成長培地を含むディープウェルプレートに移し、30℃、250rpm、湿度85%で増殖させた。イミンレダクターゼ遺伝子の発現を、培養物のOD600が0.6〜0.8であるときにIPTGを1mMの最終濃度まで添加することで誘導した。次に、インキュベーションを一晩(約18時間)継続した。細胞培養物を、4000rpmにて、4℃で10分間遠心分離し、培地を破棄した。細胞ペレットを−80℃で保存し、以下のようにHTP反応のための溶解物調製のために使用した。1g/Lリゾチームおよび1g/L PMBSを含む溶解緩衝液を、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)で調製した。96ウェルプレート中の細胞ペレットを、タイタープレートシェーカーにて室温で2時間中速振盪しながら250μL溶解緩衝液中で溶解した。次いで、プレートを、4000rpmにて4℃で20分間遠心分離し、透明な上清を、HTPアッセイ反応における透明溶解物として使用した。
フラスコ振盪培養粉末(SFP)の生成:フラスコ振盪手順を使用して、二次スクリーニングアッセイに有用である、および/または本明細書中に開示の生体触媒プロセスにおいて使用する操作されたイミンレダクターゼポリペプチドのフラスコ振盪培養粉末(SFP)を生成することができる。酵素のフラスコ振盪培養粉末(SFP)調製により、HTPアッセイで使用した細胞溶解物と比較した場合に、より精製された操作された酵素の調製物(例えば、総タンパク質の30%まで)が得られ、とりわけ、より濃縮した酵素溶液の使用が可能である。目的の操作されたポリペプチドをコードするプラスミドを含む大腸菌の単一コロニーを、30μg/mlクロラムフェニコールおよび1%グルコースを含む50mL Luria Bertaniブロスに播種する。細胞を、250rpmで振盪したインキュベーター中にて30℃で一晩(少なくとも16時間)成長させる。培養物を、1Lフラスコ中にて30μg/ml CAMを含む250mLのTerrificブロス(12g/Lバクト−トリプトン、24g/L酵母抽出物、4mL/Lグリセロール、65mMリン酸カリウム(pH7.0)、1mM MgSO4)で600nm(OD600)の光学密度0.2に希釈し、30℃で成長させる。培養物のOD600が0.6〜0.8である場合に最終濃度1mMまでのIPTGの添加によってイミンレダクターゼ遺伝子の発現を誘導する。次いで、インキュベーションを一晩(少なくとも16時間)継続する。細胞を、遠心分離(4000rpm、20分間、4℃)によって回収し、上清を破棄する。細胞ペレットを、等体積の冷却(4℃)50mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)での再懸濁により洗浄し、上記のように遠心分離によって回収する。洗浄した細胞を、秤量し、細胞ペレット1g当たり6mlの冷却50mMリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)で再懸濁する。再懸濁した細胞を、110L Microfluidizer(Microfluidics, Newton, MA)を使用して溶解する。細胞デブリを遠心分離(10,000rpm、60分間、4℃)によって除去する。透明な溶解物上清を回収し、−20℃で保存する。凍結透明溶解物の凍結乾燥により、粗製の操作されたポリペプチドの乾燥フラスコ振盪培養粉末が得られる。あるいは、細胞ペレット(洗浄前または洗浄後)を、4℃または−80℃で保存することができる。
実施例2
化合物3aおよび3bの調製における改良された安定性およびイミンレダクターゼ活性についての配列番号4から誘導された操作されたポリペプチドの進化およびスクリーニング
配列番号4のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドを使用して、表3A〜3Cのさらに操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、配列番号4と比較して、改良されたイミンレダクターゼ活性(例えば、ケトン基質化合物(1a)の生成物への変換率)を有する。次に、配列番号6のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドを使用して、表3D〜3Fのさらに操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、配列番号6と比較して、改良されたイミンレダクターゼ活性(例えば、ケトン基質化合物(1b)の生成物への変換率)を有する。
配列番号10〜358のうち偶数番号の配列識別子のアミノ酸配列を有するこれらの操作されたポリペプチドを、HTPアッセイおよび表4Aに記述し、且つ以下にさらに記載した分析方法と共に上記の指向進化法を使用して配列番号4または6の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
指向進化を、出発「骨格」遺伝子配列として、それぞれ、配列番号4および6の操作されたポリペプチドをコードする配列番号3および5のポリヌクレオチドから開始した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技術(例えば、飽和変異誘発、予め同定した有益なアミノ酸の相違の組換え)を使用して生成し、HTPアッセイおよび操作されたポリペプチドが1つまたはそれを超える表2に示す触媒反応(AまたはB)を実施する能力を測定する分析方法を使用してスクリーニングした。スクリーニング後、出発骨格配列(すなわち「コントロール」配列)を超える最高の改良を示す操作されたポリペプチドを、さらなるライブラリーの構築のための骨格配列として使用し、スクリーニングプロセスを繰り返して、所望の活性を得るためにポリペプチドをさらに進化させた。
酵素アッセイ反応を、96ウェルプレート形式で100μLの総体積中で実施した。アッセイ反応を、55μLの溶解物を含む各ウェルに以下のものを添加することで開始した:(i)10μLのGDH補因子リサイクリングプレミックス(プレミックスは、10g/Lグルコース、30g/L NAD+、10g/L GDH−105を含む);(ii)20μLのアミン基質ストック溶液(500mM、0.1Mリン酸カリウム緩衝液中、pHは8.0に調整);および15μLのケトンレダクターゼストック溶液(333mM、DMSO中)。結果的に生じたアッセイ反応物は、50mMケトンレダクターゼ基質化合物(1aまたは1b)、100mMアミン基質(2aまたは2b)、55.5mMグルコース、3g/L NAD+、1g/L GDH−105、85mMリン酸カリウム、pH8.0、15%(v/v)DMSOを含んでいた。反応プレートを、熱封止し、44℃において400rpmで一晩(16〜24時間)振盪した。各反応混合物を、0.1%ギ酸を含む100μLのCH3CNを添加することでクエンチし、振盪し、10分間、4000rpm、4℃で遠心分離した。10μLのクエンチした混合物を、混合しながら0.05%ギ酸を含むCH3CN/H2O(50/50)中で20倍に希釈した。次に、10μLの希釈した混合物を、0.05%ギ酸を含む190μLのCH3CN/H2O(50/50)にさらに希釈して、合計800倍希釈の混合物とした。次に、これらの混合物を、以下の表に記載する通りのMRMモードのLC−MSにより生成物化合物(3aまたは3b)形成について解析した。
アミン生成物化合物3aについてのLC−MS分析(表4A):上記の実施例2に記述のように調製したHTPアッセイ混合物を、MRMトランジション:347/232を使用したMRMモードでのLC−MSによって生成物化合物(3a)の形成について分析した。さらなる関連するLC−MS装置のパラメーターおよび条件を、以下に示す通りであった。
アミン生成物化合物3bについてのLC−MS分析(表4b):上記の実施例2に記述のように調製したHTPアッセイ混合物を、MRMトランジション:242/168を使用したMRMモードでのLC−MSによって生成物化合物(3b)の形成について分析した。さらなる関連するLC−MS装置のパラメーターおよび条件を、以下に示す通りであった。
実施例3
化合物3c、3d、3e、3fおよび3gの調製における改良された安定性およびイミンレダクターゼ活性についての配列番号8から誘導された操作されたポリペプチドの進化およびスクリーニング
配列番号8のイミンレダクターゼ活性を有する操作されたポリペプチドを使用して、表3G〜3Mのさらに操作されたポリペプチドを生成した。これらのポリペプチドは、これらの表に示されるようにさらに改良されたイミンレダクターゼ活性(例えば、ケトン基質化合物(1cまたは1d)の生成物への変換率)を有する。配列番号358〜1300のうち偶数番号の配列識別子のアミノ酸配列を有するこれらの操作されたポリペプチドを、上記の指向進化法ならびにHTPアッセイおよび表4C、4Dおよび4Eに示し、且つ以下にさらに記載した分析方法を使用して配列番号8の「骨格」アミノ酸配列から生成した。
指向進化を、出発「骨格」遺伝子配列として、配列番号8の操作されたポリペプチドをコードする配列番号7のポリヌクレオチドから開始した。操作されたポリペプチドのライブラリーを、種々の周知の技術(例えば、飽和変異誘発、予め同定した有益なアミノ酸の相違の組換え)を使用して生成し、HTPアッセイおよび操作されたポリペプチドが1つまたはそれを超える表2に示す触媒反応(C、D、E、Fおよび/またはG)を実施する能力を測定する分析方法を使用してスクリーニングした。スクリーニング後、出発骨格配列(すなわち「コントロール」配列)を超える最高の改良を示す操作されたポリペプチドを、さらなるライブラリーの構築のための骨格配列として使用し、スクリーニングプロセスを繰り返して、所望の活性を得るためにポリペプチドを進化させた。
酵素アッセイ反応を、96ウェルプレート形式で100μLの総体積中で実施した。アッセイ反応を、55μLの溶解物を含む各ウェルに以下のものを添加することで開始した:(i)10μLのGDH補因子リサイクリングプレミックス(プレミックスは、100g/Lグルコース、30g/L NAD+、10g/L GDH−105を含む);(ii)20μLのアミン基質ストック溶液(250mM、0.1Mリン酸カリウム緩衝液中、pHは8.0に調整);および15μLのケトンレダクターゼストック溶液(333mM化合物、DMSO中)。結果的に生じたアッセイ反応物は、50mMケトンレダクターゼ基質化合物(1cまたは1d)、100mMまたは50mMアミン基質(2cまたは2d)、55.5mMグルコース、3g/L NAD+、1g/L GDH−105、85mMリン酸カリウム、pH8.0、15%(v/v)DMSOを含んでいた。反応プレートを、熱封止し、44℃において400rpmで一晩(16〜24時間)振盪した。各反応混合物を、0.1%ギ酸を含む100μLのCH3CNを添加することでクエンチし、振盪し、10分間、4000rpmおよび4℃で遠心分離した。10μLのクエンチした混合物を、混合しながら0.05%ギ酸を含むCH3CN/H2O(50/50)中で10倍に希釈して、合計100倍希釈の混合物とした。次に、これらの混合物を、以下の表に記載する通りのMRMモードのLC−MSにより生成物化合物(3c、3d、3e、3fおよび/または3g)形成について解析した。
アミン生成物化合物(3c)についてのLC−MS分析(表4c):上記の実施例3に記述のように調製したHTPアッセイ混合物を、MRMトランジション:300.3/190.2を使用したMRMモードでのLC−MSによって生成物化合物(3c)の形成について分析した。さらなる関連するLC−MS装置のパラメーターおよび条件を、以下に示す通りに使用した。
アミン生成物化合物3dについてのLC−MS分析(表4D):上記の実施例3に記述のように調製したHTPアッセイ混合物を、MRMトランジション:385.3/329.4を使用したMRMモードでのLC−MSによって生成物化合物(3d)の形成について分析した。さらなる関連するLC−MS装置のパラメーターおよび条件を、以下に示した通りに使用した。
アミン生成物化合物(3e、3fおよび3gについてのLC−MS分析(表4E):実施例3に上記のように調製したHTPアッセイ混合物を、499.2質量単位の検出を使用したMS2モードでのLC−MSによって生成物化合物(3f、3gおよび3e)(3fおよび3gの合計)の形成について分析した。さらなる関連するLC−MS装置のパラメーターおよび条件を、以下に示す通りに使用した。