以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態における説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、本発明の一態様には、撮像装置の他、RF(Radio Frequency)タグ、表示装置、集積回路を含むあらゆる装置が、その範疇に含まれる。また、表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、電子ペーパー、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)など、集積回路を有する表示装置が、その範疇に含まれる。
なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いることがある。
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に記載されているものとする。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
なお、図面上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の構成例について説明する。
<半導体装置10の構成例>
図1に、本発明の一態様にかかる半導体装置10の構成例を示す。半導体装置10は、画素部20、回路30、回路40を有する。また、半導体装置10は、画素部20の外部に配線VIN、複数のスイッチSを有する。
画素部20は、複数の画素21を有する。ここでは、画素部20にn行m列(n、mは自然数)の画素21(画素21[1,1]乃至[n,m])が設けられた構成例を示す。画素21は、照射された光を電気信号(以下、光データ信号ともいう)に変換する機能を有する。従って、画素21は撮像装置における光検出回路としての機能を有する。具体的には、画素21に設けられた光電変換素子に照射された光が電気信号に変換される。
また、画素21はそれぞれ、配線SEおよび配線OUTと接続されている。具体的には、i行目(iは1以上n以下の整数)の画素21(画素21[i,1]乃至[i,m])は、配線SE[i]と接続され、j列目(jは1以上m以下の整数)の画素21(画素21[1,j]乃至[n,j])は、配線OUT[j]と接続されている。各画素21で生成された光データ信号は、配線OUTを介して回路40に出力される。
なお、画素部20に、赤色を呈する光を受光する画素21、緑色を呈する光を受光する画素21、および青色を呈する光を受光する画素21を設け、それぞれの画素21により光データ信号を生成し、これらの光データ信号を合成することにより、フルカラーの画像信号のデータ信号を生成することもできる。また、これらの画素21に代え、またはこれらの画素21に加え、シアン、マゼンタ、イエローの一つ又は複数の色を呈する光を受光する画素21を設けてもよい。シアン、マゼンタ、イエローの一つ又は複数の色を呈する光を受光する画素21を設けることにより、生成される画像信号に基づく画像において、再現可能な色の種類を増やすことができる。例えば、画素21に、特定の色を呈する光を透過する着色層を設け、該着色層を介して画素21に光を入射させることにより、特定の色を呈する光の光量に応じた光データ信号を生成することができる。また、画素21において検出する光は、可視光であっても不可視光であってもよい。
また、画素21に冷却手段を設けてもよい。冷却手段を設けることにより、熱によるノイズの発生を抑制することができる。
回路30は、n行の画素21のうち、特定の行の画素21を選択する機能を有する駆動回路である。回路30によって、光データ信号を出力する特定の行の画素21が選択される。具体的には、回路30は複数のスイッチS(スイッチS1乃至Sn)に制御信号を出力し、複数のスイッチSの導通状態を制御することにより、特定の行の画素21を選択する。回路30は、デコーダなどによって構成することができる。
なお、回路30は、画素21にリセット信号を供給する機能を有していてもよい。
回路40は、画素部において得られた光データ信号を外部に出力する機能を有する読み出し回路である。具体的には、回路40は配線OUTを介して画素21と接続されており、所定の画素21から配線OUTを介して入力された光データ信号を、外部に出力する機能を有する。回路40は、電流源やトランジスタなどによって構成することができる。
また、回路40は、配線OUTに所定の電位を供給する機能を有する。これにより、画素21において生成された信号を外部に出力する際、出力に用いる配線OUTの電位をリセットすることができる。また、回路40は定電流源として動作させることもできる。これにより、回路40は画素21から入力された信号に応じて、配線OUTに所定の電位を供給することができる。
また、半導体装置10には、画素部20の外部に複数のスイッチS(スイッチS1乃至Sn)および配線VINが設けられている。そして、スイッチSiの第1の端子は配線SE[i]と接続され、第2の端子は配線VINと接続されている。スイッチSは、回路30から入力された制御信号に従って、配線SEと配線VINの導通状態を制御する機能を有する。
配線VINは、光データ信号の出力に用いられる電源線である。スイッチSiがオン状態となり、配線VINと配線SE[i]が導通状態となると、配線SE[i]と接続された画素21[i,1]乃至[i,m]から回路40への光データ信号の出力が行われる。
例えば、1行目の画素21[1,1]乃至[1,m]から光データ信号の読み出しを行う際は、回路40からスイッチS1に所定の制御信号を出力し、スイッチS1をオン状態とする。これにより、配線SE[1]と配線VINが導通状態となり、画素21[1,1]乃至[1,m]に配線VINの電位(電源電位)が供給され、光データ信号の読み出しを行うことができる。
このように、本発明の一態様においては、画素21を選択するためのスイッチSが同一の行の画素21において共有され、且つ、スイッチSが画素部20の外部に設けられている。そのため、画素部20に画素21を選択するためのスイッチ(トランジスタなど)、および当該スイッチと接続された電源線を設ける必要がなく、画素部20の面積を縮小することができる。
また、本発明の一態様においては、画素21から光データ信号を読み出すための電源線として機能する配線VINが、画素部20の外部に設けられている。そのため、配線VINが画素21と接続された他の電源線(リセット電源線など)とは別の配線によって構成されていても、画素部20の面積の増加を抑えることができる。また、配線VINには、画素21と接続された他の電源線とは異なる電位を供給することが可能となる。そのため、光データ信号の読み出しに用いる電源電位を自由に設定することができ、半導体装置10の設計の自由度および汎用性を向上させることができる。
なお、特定の行において光データ信号の読み出しを行う際、その他の行においては、配線SEと配線OUTが非導通状態であることが好ましい。これにより、光データ信号の読み出しをより正確に行うことができる。
<回路構成の例>
次に、半導体装置10の具体的な回路構成について説明する。図2に、画素21、回路41を含む半導体装置10の回路構成の一例を示す。なお、ここではトランジスタが全てnチャネル型である例を示すが、以下に説明する各トランジスタは、それぞれnチャネル型であってもpチャネル型であってもよい。
まず、画素21の構成例について説明する。
図2に示す画素21は、光電変換素子101、トランジスタ102、103、104、容量105を有する。光電変換素子101の第1の端子はトランジスタ102のソースまたはドレインの一方と接続され、第2の端子は配線VPDと接続されている。トランジスタ102のゲートは配線TXと接続され、ソースまたはドレインの他方はトランジスタ104のゲートと接続されている。トランジスタ103のゲートは配線PRと接続され、ソースまたはドレインの一方はトランジスタ104のゲートと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線VPRと接続されている。トランジスタ104のソースまたはドレインの一方は配線SEと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線OUTと接続されている。容量105の一方の電極はトランジスタ104のゲートと接続され、他方の電極は配線VPDと接続されている。ここで、トランジスタ102のソースまたはドレインの他方、トランジスタ103のソースまたはドレインの一方、トランジスタ104のゲート、および容量105の一方の電極と接続されたノードを、ノードFNとする。なお、容量105は、容量素子や寄生容量によって構成することができる。また、トランジスタ104のゲート容量が十分大きい場合は、容量105および配線VPDを省略することができる。
なお、本明細書等において、トランジスタのソースとは、活性層として機能する半導体の一部であるソース領域、或いは上記半導体に接続されたソース電極を意味する。同様に、トランジスタのドレインとは、上記半導体の一部であるドレイン領域、或いは上記半導体に接続されたドレイン電極を意味する。また、ゲートはゲート電極を意味する。
また、トランジスタが有するソースとドレインは、トランジスタの導電型及び各端子に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がソースと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソースと呼ばれる。本明細書では、便宜上、ソースとドレインとが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を説明する場合があるが、実際には上記電位の関係に従ってソースとドレインの呼び方が入れ替わる。
配線VPD、VPRは、所定の電位が供給される配線であり、電源線としての機能を有する。配線VPD、VPRに供給される電位はそれぞれ、高電源電位であっても低電源電位(接地電位など)であってもよい。ここでは一例として、配線VPDが高電位電源線であり、配線VPRが低電位電源線である場合について説明する。すなわち、配線VPDには高電源電位VDDが供給され、配線VPRには低電源電位VSSが供給される。配線VPD、VPRは、全ての画素21で共有されていてもよい。
光電変換素子101は、照射された光を電気信号に変換する機能を有する。光電変換素子101には、照射された光に応じた光電流を得ることができる素子を用いることができる。光電変換素子101の具体例としては、PN型のフォトダイオード、PIN型のフォトダイオード、アバランシェ型ダイオード、NPN埋め込み型ダイオード、ショットキー型ダイオード、フォトトランジスタ、X線用のフォトコンダクタ、赤外線用のセンサなどが挙げられる。また、光電変換素子101として、光電変換層にセレンを有する素子を用いることもできる。ここでは、光電変換素子101としてフォトダイオードを用いる。フォトダイオードのアノードはトランジスタ102のソースまたはドレインの一方と接続され、カソードは配線VPDと接続されている。なお、配線VPDに低電源電位VSSが供給され、配線VPRに高電源電位VDDが供給される場合は、フォトダイオードのアノードとカソードを入れ替えることが好ましい。
トランジスタ102は、配線TXの電位により導通状態が制御される。トランジスタ102がオン状態である場合、光電変換素子101から出力された電気信号がノードFNに供給される。そのため、ノードFNの電位は、光電変換素子101に照射された光の光量によって決定される。トランジスタ102がオン状態であり、トランジスタ103がオフ状態である期間において、露光を行うことができる。
トランジスタ103は、配線PRの電位により導通状態が制御される。トランジスタ103がオン状態となると、配線VPRの電位がノードFNに供給され、ノードFNの電位がリセットされる。トランジスタ103がオン状態となるような配線PRの電位がリセット信号に対応し、配線PRにリセット信号が供給されている期間がリセット期間に対応する。なお、配線PRの電位は回路30によって制御してもよいし、他の駆動回路によって制御してもよい。
このように、画素21のリセットは、配線VPRの電位をノードFNに供給することにより行う。画素21をリセットするための配線VPRの電位を、リセット電位ともいう。
トランジスタ104は、ノードFNの電位により導通状態が制御される。より具体的には、ノードFNの電位に応じて、トランジスタ104のソース−ドレイン間の抵抗値が変化する。従って、ノードFNの電位に応じて、配線SEからトランジスタ104を介して配線OUTに供給される電位が決定される。
本発明の一態様においては、配線SEの電位はトランジスタ110および配線VINにより制御される。トランジスタ110のゲートは配線CSEと接続され、ソースまたはドレインの一方は配線SEと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線VINと接続されている。なお、トランジスタ110は、図1におけるスイッチSに相当する。配線CSEにトランジスタ110がオン状態となるような電位(以下、選択信号ともいう)が供給されると、配線VINと配線SEが導通状態となり、配線VINの電位が電源電位として画素21に供給される。これにより、光データ信号の読み出しを行う画素21の選択を行うことができる。
ここで、画素21の選択を行うトランジスタ110は、同一の行の画素21で共有され、且つ、画素21の外部に設けられている。そのため、画素21に設けられるトランジスタの数を減らすことができ、画素21の面積を削減することができる。
次に、回路41の構成について説明する。
回路41は、図1における回路40に含まれる回路である。ここでは、回路41が画素21の列毎に設けられた構成例について説明する。
回路41は、トランジスタ120を有する。トランジスタ120のゲートは配線BRと接続され、ソースまたはドレインの一方は配線VOと接続され、ソースまたはドレインの他方は配線OUTと接続されている。
トランジスタ120は、配線BRの電位により導通状態が制御される。トランジスタ120がオン状態となると、配線VOの電位が配線OUTに供給され、配線OUTの電位がリセットされる。その後、配線VINからトランジスタ110を介して配線SEに電源電位が供給されると、ノードFNに対応する電位が配線OUTに出力される。ここで、トランジスタ104はソースフォロワを構成し、ノードFNの電位からトランジスタ104の閾値分低下した電位が配線OUTに出力される。
配線VOは、所定の電位が供給される配線であり、電源線としての機能を有する。配線VOに供給される電位は、高電源電位であっても低電源電位(接地電位など)であってもよい。ここでは一例として、配線VOが低電位電源線である場合について説明する。すなわち、配線VOには低電源電位VSSが供給される。
なお、配線BRにトランジスタ120がオン状態となるような一定の電位を供給し続けた場合、トランジスタ120は電流源として機能する。そして、トランジスタ120のソース−ドレイン間の抵抗とトランジスタ104のソース−ドレイン間の抵抗の合成抵抗を抵抗分割した電位が配線OUTに出力される。
本発明の一態様においては、配線VINが配線VPRと分離されており、配線VINには配線VPRと異なる電位を供給することができる。例えば、配線VPRに低電源電位VSSが供給されている場合であっても、配線VINに高電源電位VDDを供給することができる。そのため、トランジスタ104とトランジスタ120によってソースフォロワを構成することができ、光データ信号の読み出しを高速で行うことができる。また、配線VINに供給する高電源電位VDDを調整することによって、配線OUTの出力電位のダイナミックレンジを変化させることが可能となる。
<読み出し動作の例>
次に、画素21から光データ信号を読み出す際の動作について説明する。
図2における画素21から光データ信号を読み出す際には、信号線CSEの電位をハイレベルとし、トランジスタ110をオン状態とする。これにより、配線VINから配線SEに高電源電位VDDが供給される。また、このときのトランジスタ104のソース−ドレイン間の抵抗値は、ノードFNの電位に応じた値となっている。そのため、配線OUTには、ノードFNの電位に応じた電位が、配線SEからトランジスタ104を介して出力される。これにより、画素21から光データ信号を読み出すことができる。
一方、画素21からの光データ信号の読み出しを行わない場合は、信号線CSEの電位をローレベルとし、トランジスタ110をオフ状態とする。このとき、配線SEには配線VINから電源電位が供給されないため、配線OUTへの光データ信号の出力は行われない。
なお、光データ信号の読み出しを行わない期間においては、画素21がリセットされた状態であることが好ましい。具体的には、ノードFNがローレベルであり、トランジスタ104がオフ状態であることが好ましい。これにより、配線SEと配線OUTを非導通状態とすることができ、配線OUTに意図しない電位が供給されることを防止することができる。トランジスタ104をオフ状態とするには、トランジスタ103をオン状態とすることにより、配線VPRの低電源電位VSSをノードFNに供給すればよい。
以上の動作により、光データ信号を配線OUTに出力することができる。そして、配線OUTに出力された光データ信号は回路40に入力され、回路40から外部に出力される。
図2に示す各トランジスタに用いる材料等は特に限定されないが、画素21に含まれるトランジスタ102、103、104は、特にチャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタ(以下、OSトランジスタともいう)を用いることが好ましい。酸化物半導体はシリコンなどの他の半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度が低いため、OSトランジスタのオフ電流は極めて小さい。従って、画素21にOSトランジスタを用いることにより、長期間にわたって所定の電位を保持することが可能となる。酸化物半導体およびOSトランジスタの詳細については、実施の形態4、7で説明する。
例えば、トランジスタ102をOSトランジスタとした場合、トランジスタ102がオフ状態である期間において、ノードFNと光電変換素子101との間の電荷の移動を抑制することができる。よって、ノードFNに蓄積された電荷を極めて長期間にわたって保持することができ、ノードFNの電位の変動を防止することができる。
また、トランジスタ103をOSトランジスタとした場合、トランジスタ103がオフ状態である期間において、ノードFNと配線VPRとの間の電荷の移動を抑制することができる。よって、ノードFNに蓄積された電荷を極めて長期間にわたって保持することができ、ノードFNの電位の変動を防止することができる。
また、トランジスタ104をOSトランジスタとした場合、トランジスタ104がオフ状態である期間において、配線SEと配線OUTとの間の電荷の移動を抑制することができ、配線OUTの意図しない電位の変動を抑えることができる。よって、ある画素21のトランジスタ104がオフ状態である期間において、同一の配線OUTと接続された他の画素21における光データ信号の読み出しを行う際、より正確な読み出しを行うことができる。
また、トランジスタ102およびトランジスタ103にOSトランジスタを用いた場合、ノードFNの電位が極めて小さい場合においても、ノードFNの電位を確実に保持し、光データ信号を正確に出力することができる。従って、画素21において検出することのできる光の照度の範囲、すなわちダイナミックレンジを広げることができる。
また、OSトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを含むトランジスタ(以下、Siトランジスタともいう)よりも電気特性変動の温度依存性が小さいため、極めて広い温度範囲で使用することができる。したがって、OSトランジスタを有する半導体装置を用いることにより、自動車、航空機、宇宙機などへの搭載に適した撮像装置を実現することができる。
また、光電変換素子101に、セレン系材料を光電変換層とした素子を用いる場合、アバランシェ現象が起こりやすいように比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。例えば、配線VPDの電位を10V以上とし、配線VPRの電位を0Vとすることが好ましい。ここで、OSトランジスタはSiトランジスタよりもドレイン耐圧が高いため、トランジスタ102乃至104に用いるトランジスタとして好適である。このように、OSトランジスタと、セレン系材料を用いた光電変換素子とを組み合わせることにより、高精度の撮像が可能で信頼性の高い撮像装置とすることができる。なお、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子の詳細については、実施の形態6で説明する。
なお、トランジスタ102、103、104は、OSトランジスタに限定されない。例えば、チャネル形成領域が単結晶半導体を有する基板の一部に形成され、チャネル形成領域に単結晶半導体を有するトランジスタ(以下、単結晶トランジスタともいう)を用いることもできる。単結晶半導体を有する基板としては、単結晶シリコン基板や単結晶ゲルマニウム基板などを用いることができる。単結晶トランジスタは電流供給能力が高いため、このようなトランジスタを用いて画素21を構成することにより、画素21の動作速度を向上させることができる。
また、トランジスタ102、103、104には、OSトランジスタ以外の、チャネル形成領域に非単結晶半導体を有するトランジスタ(以下、非単結晶トランジスタともいう)を用いることもできる。OSトランジスタ以外の非単結晶半導体としては、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどの非単結晶シリコンや、非晶質ゲルマニウム、微結晶ゲルマニウム、多結晶ゲルマニウムなどの非単結晶ゲルマニウムなどが挙げられる。
トランジスタ110、120には、上記のOSトランジスタ、単結晶トランジスタ、非単結晶トランジスタなどを適宜用いることができる。
ここで、トランジスタ110は、複数の画素21(図1においてはm個の画素21)と接続されるため、トランジスタ110には高い電流供給能力が要求される。そのため、トランジスタ110として電流供給能力が高い単結晶トランジスタを用いることが好ましい。これにより、配線VINから複数の画素21への電源電位の供給を容易に行うことができる。また、このとき、トランジスタ102乃至104は、トランジスタ110の上に積層することが好ましい。これにより、トランジスタ110を設けることによる面積の増加を抑えることができる。トランジスタを積層した構成の詳細については、実施の形態4で説明する。
また、トランジスタ110として、トランジスタ102乃至104と同じ半導体材料を有するトランジスタ(OSトランジスタなど)を用いる場合、トランジスタ110のチャネル幅は、トランジスタ102乃至104のチャネル幅よりも大きくすることが好ましい。これにより、トランジスタ110の電流供給能力を高めることができる。
<半導体装置10の動作例>
次に、半導体装置10の具体的な動作例について説明する。
ここでは一例として、図3に示す、1行目の画素である画素21[1,1]、[1,2]と、2行目の画素である画素21[2,1]、[2,2]の動作例について説明する。図3において、画素21[1,1]、[1,2]、画素21[2,1]、[2,2]と接続された配線TXを、それぞれTX[1]、TX[2]とする。また、配線SE[1]、配線SE[2]と接続されたトランジスタ110を、それぞれトランジスタ110[1]、トランジスタ110[2]とする。また、トランジスタ110[1]、トランジスタ110[2]と接続された配線CSEを、それぞれ配線CSE[1]、配線CSE[2]とする。また、画素21[1,1]、[1,2]、[2,1]、[2,2]におけるノードFNを、それぞれノードFN[1,1]、ノードFN[1,2]、ノードFN[2,1]、ノードFN[2,2]とする。また、配線OUT[1]、配線OUT[2]と接続された回路41を、それぞれ回路41[1]、回路41[2]とする。
図4に、図3に示す半導体装置10のタイミングチャートを示す。なお、図4における期間Taは、1行目の画素においてリセット、露光、および読み出しを行う期間であり、期間Tbは、2行目の画素においてリセット、露光、および読み出しを行う期間である。
まず、期間T1において、配線PRの電位がハイレベルとなる。これにより、全ての画素21においてトランジスタ103がオン状態となり、配線VPRの電位(ローレベル)がノードFNに供給される。よって、ノードFN[1,1]、[1,2]、[2,1]、[2,2]の電位がローレベルにリセットされる。また、全ての画素21において、トランジスタ104はオフ状態となる。このような動作により、画素21[1,1]、[1,2]、[2,1]、[2,2]がリセットされる。
また、期間T1において、配線TX[1]の電位がハイレベルとなり、画素21[1,1]、[1,2]においてトランジスタ102がオン状態となる。よって、光電変換素子101とノードFNが導通状態となる。
次に、期間T2において、配線PRの電位がローレベルとなり、全ての画素21においてトランジスタ103がオフ状態となる。これにより、ノードFNが浮遊状態となる。そして、ノードFN[1,1]とノードFN[1,2]の電位が、光電変換素子101に照射される光の量に応じて上昇する。ここでは、ノードFN[1,1]の電位の上昇がノードFN[1,2]よりも大きい場合を示す。これにより、光電変換素子101に照射された光が電気信号に変換され、画素21[1,1]、[1,2]において露光を行うことができる。期間T2を画素21[1,1]、[1,2]の露光期間ともいう。
次に、期間T3において、配線TX[1]の電位がローレベルとなり、画素21[1,1]、[1,2]においてトランジスタ102がオフ状態となる。これにより、ノードFN[1,1]およびノードFN[2,2]の電位が保持され、画素21[1,1]、[1,2]の露光期間が終了する。
次に、期間T4において、配線BRの電位がハイレベルとなることにより、トランジスタ120がオン状態となり、配線OUT[1]および配線OUT[2]に配線VOの電位が供給される。ここでは、配線VOの電位をローレベルとしているため、配線OUT[1]および配線OUT[2]の電位はローレベルとなる。
次に、期間T5において、配線BRの電位がローレベルとなり、トランジスタ120がオフ状態となる。また、配線CSE[1]の電位がハイレベルとなり、トランジスタ110[1]がオン状態となる。これにより、配線VINの電位が配線SE[1]に供給され、配線SE[1]の電位はハイレベルとなる。
なお、ここでは配線BRの電位を変化させて配線OUTの電位を制御しているが、配線BRには任意の電位が常時供給されていてもよい。この場合、トランジスタ120が電流源として機能し、配線BRの電位に応じて配線OUTの電位が決定される。
ここで、配線SE[1]は画素21[1,1]、[1,2]の電源線として機能する。具体的には、配線SE[1]の電位が増幅トランジスタとして機能するトランジスタ104に供給される。これにより、配線OUT[1]、配線OUT[2]の電位がそれぞれ、ノードFN[1,1]、ノードFN[1,2]の電位に応じた値となる。この時の配線OUT[1]、配線OUT[2]の電位はそれぞれ、画素21[1,1]、画素21[1,2]の光データ信号に対応する。このように、期間T5においてトランジスタ110[1]は、光データ信号を読み出す画素21を選択するための選択トランジスタとしての機能を有する。
また、期間T5において、画素21[2,1]、[2,2]はリセットされた状態となっている。具体的には、ノードFN[2,1]、[2,2]はローレベルであり、画素21[2,1]、画素21[2,2]のトランジスタ104はオフ状態となっている。そのため、配線SE[2]と配線OUT[1]、[2]は非導通状態となる。これにより、画素21[1,1]、[1,2]から光データ信号を読み出す際、配線SE[2]の電位に起因して配線OUT[1]、[2]の電位が変動することを防止することができる。
次に、期間T6において、配線CSE[1]の電位がローレベルとなり、トランジスタ110[1]がオフ状態となる。これにより、配線SE[1]への電源電位の供給が停止し、光データ信号の読み出しが終了する。
以上の動作により、1行目の画素においてリセット、露光、および読み出しが行われる。
次に、期間T7において、配線PRの電位がハイレベルとなる。これにより、全ての画素21においてトランジスタ103がオン状態となり、配線VPRの電位(ローレベル)がノードFNに供給される。よって、ノードFN[1,1]、[1,2]、[2,1]、[2,2]の電位がローレベルにリセットされる。また、全ての画素21において、トランジスタ104はオフ状態となる。このような動作により、画素21[1,1]、[1,2]、[2,1]、[2,2]がリセットされる。
また、期間T7において、配線TX[2]の電位がハイレベルとなり、画素21[2,1]、[2,2]においてトランジスタ102がオン状態となる。よって、光電変換素子101とノードFNが導通状態となる。
次に、期間T8において、配線PRの電位がローレベルとなり、全ての画素21においてトランジスタ103がオフ状態となる。これにより、ノードFNが浮遊状態となる。そして、ノードFN[2,1]とノードFN[2,2]の電位は、光電変換素子101に照射される光の量に応じて上昇する。ここでは、ノードFN[2,1]の電位の上昇がノードFN[2,2]よりも小さい場合を示す。これにより、光電変換素子101に照射された光が電気信号に変換され、画素21[2,1]、[2,2]において露光を行うことができる。期間T8を画素21[2,1]、[2,2]の露光期間ともいう。
次に、期間T9において、配線TX[2]の電位がローレベルとなり、画素21[2,1]、[2,2]においてトランジスタ102がオフ状態となる。これにより、ノードFN[2,1]およびノードFN[2,2]の電位が保持され、画素21[2,1]、[2,2]の露光期間が終了する。
次に、期間T10において、配線BRの電位がハイレベルとなることにより、トランジスタ120がオン状態となり、配線OUT[1]および配線OUT[2]に配線VOの電位が供給される。ここでは、配線VOの電位をローレベルとしているため、配線OUT[1]および配線OUT[2]の電位はローレベルとなる。
次に、期間T11において、配線BRの電位がローレベルとなり、トランジスタ120がオフ状態となる。また、配線CSE[2]の電位がハイレベルとなり、トランジスタ110[2]がオン状態となる。これにより、配線VINの電位が配線SE[2]に供給され、配線SE[2]の電位はハイレベルとなる。
なお、ここでは配線BRの電位を変化させて配線OUTの電位を制御しているが、配線BRには任意の電位が常時供給されていてもよい。この場合、トランジスタ120が電流源として機能し、配線BRの電位に応じて配線OUTの電位が決定される。
ここで、配線SE[2]は画素21[2,1]、[2,2]の電源線として機能する。具体的には、配線SE[2]の電位が増幅トランジスタとして機能するトランジスタ104に供給される。これにより、配線OUT[1]、配線OUT[2]の電位がそれぞれ、ノードFN[2,1]、ノードFN[2,2]の電位に応じた値となる。この時の配線OUT[1]、配線OUT[2]の電位はそれぞれ、画素21[2,1]、画素21[2,2]の光データ信号に対応する。このように、期間T11においてトランジスタ110[2]は、光データ信号を読み出す画素21を選択するための選択トランジスタとして機能する。
また、期間T11において、画素21[1,1]、[1,2]はリセットされた状態となっている。具体的には、ノードFN[1,1]、[1,2]はローレベルであり、画素21[1,1]、画素21[1,2]のトランジスタ104はオフ状態となっている。そのため、配線SE[1]と配線OUT[1]、[2]は非導通状態となる。これにより、画素21[2,1]、[2,2]から光データ信号を読み出す際、配線SE[1]の電位に起因して配線OUT[1]、[2]の電位が変動することを防止することができる。
次に、期間T12において、配線CSE[2]の電位がローレベルとなり、トランジスタ110[2]がオフ状態となる。これにより、配線SE[2]への電源電位の供給が停止し、光データ信号の読み出しが終了する。
以上の動作により、2行目の画素においてリセット、露光、および読み出しが行われる。
その後、期間T13において、配線PRの電位がハイレベルとなる。これにより、全ての画素21においてトランジスタ103がオン状態となり、ノードFNの電位がローレベルにリセットされる。以降は、上記と同様の動作により、3行目以降の画素21における露光と読み出し、および4行目以降の画素21におけるリセット、露光、読み出しが行われる。
以上のように、本発明の一態様においては、画素21を選択するためのスイッチが同一の行の画素21において共有され、且つ、画素部20の外部に設けられている。そのため、画素部20に画素21を選択するためのスイッチおよび当該スイッチと接続された電源線を設ける必要がなくなり、画素部20の面積を縮小することができる。
また、本発明の一態様においては、画素21を選択するための電源線として機能する配線VINが、画素部20の外部に設けられている。そのため、配線VINが画素21と接続された他の電源線(配線VPRなど)とは別の配線によって構成されていても、画素部20の面積の増加を抑えることができる。また、配線VINには、画素21と接続された他の電源線とは異なる電位を供給することが可能となる。そのため、光データ信号の読み出しに用いる電源電位を自由に設定することができ、半導体装置10の設計の自由度および汎用性を向上させることができる。
本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態には様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、同一の行の画素で共有されたスイッチが画素部の外部に設けられた半導体装置の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、スイッチが同一の行で共有化されていない構成であってもよいし、スイッチが画素部の内部に設けられていてもよい。また、本発明の一態様として、共有化されたスイッチと接続された電源線を、画素と接続された電源線とは別の配線によって構成された半導体装置の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、これらの電源線が同一の配線であってもよい。
また、本実施の形態においては行毎に露光を行う動作について説明したが、複数行の画素21(最大で全ての画素21)において同時に露光を行い、その後行毎に順次読み出しを行うグローバルシャッター方式を用いることもできる。この場合、歪みの少ない画像を得ることができる。ここで、グローバルシャッター方式においては、露光から読み出しまでの期間、すなわちノードFNに電荷を保持する期間が画素21によって異なる。そのため、グローバルシャッター方式を用いる場合は、時間の経過によるノードFNの電位の変動が小さいことが好ましい。ここで、画素21にOSトランジスタを用いることにより、ノードFNに蓄積された電荷を極めて長期間にわたって保持することができるため、グローバルシャッター方式を用いた場合においても光データ信号を正確に読み出すことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。よって、本実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことができる。なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。また、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることができる。これは、以下の実施の形態においても同様である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る画素の構成例について説明する。
<画素のレイアウトの例>
上記実施の形態で用いることができる画素21のレイアウトの例を、図5に示す。なお、図5において、同一のハッチパターンで表す配線、導電層、半導体層は、同一の材料を用いて同一の工程で形成することができる。
図5に示す画素21は、トランジスタ102、トランジスタ103、トランジスタ104、容量105を有する。各素子の接続関係については、図2の説明を参酌することができるため、詳細な説明は省略する。なお、図5には光電変換素子101を図示していないが、光電変換素子101は導電層250と接続される。
半導体層221は、トランジスタ102およびトランジスタ103の活性層としての機能を有する。すなわち、半導体層221はトランジスタ102およびトランジスタ103で共有されている。また、半導体層222は、トランジスタ104の活性層としての機能を有する。
半導体層221は、導電層231、導電層232と接続されている。導電層231は、開口部251を介して導電層250と接続されている。導電層232は、開口部253を介して導電層212と接続されている。また、半導体層221は、開口部255を介して導電層243と接続されている。
導電層231は、トランジスタ102のソースまたはドレインの一方としての機能を有する。導電層232は、トランジスタ103のソースまたはドレインの一方としての機能を有する。導電層243は、トランジスタ102のソースまたはドレインの他方、トランジスタ103のソースまたはドレインの他方、トランジスタ104のゲート、および容量105の一方の電極としての機能を有する。
半導体層222は、導電層233、導電層234と接続されている。導電層233は、開口部256を介して導電層202と接続されている。導電層234は、開口部257を介して導電層211と接続されている。
導電層233は、トランジスタ104のソースまたはドレインの一方としての機能を有する。導電層234は、トランジスタ104のソースまたはドレインの他方としての機能を有する。
ここで、導電層212は配線VPRに対応し、導電層202は配線SEに対応し、導電層211は配線OUTに対応する。また、半導体層221と導電層243が接続されたノードが、ノードFNに対応する。
半導体層221および半導体層222としては、各種の単結晶半導体層や非単結晶半導体層などを用いることができるが、特に酸化物半導体層を用いることが好ましい。この場合、トランジスタ102乃至104はOSトランジスタとなる。
導電層241は、開口部252を介して導電層203と接続されている。導電層241は、トランジスタ102のゲートとしての機能を有する。なお、導電層241は、導電層203の一部によって構成されていてもよい。ここで、導電層203は、配線TXに対応する。
導電層242は、開口部254を介して導電層204と接続されている。導電層242は、トランジスタ103のゲートとしての機能を有する。なお、導電層242は、導電層204の一部によって構成されていてもよい。ここで、導電層204は、配線PRに対応する。
導電層201は、絶縁層(図示せず)を介して導電層243と重なる領域を有する。導電層201は、容量105の他方の電極としての機能を有する。ここで、導電層201は、配線VPDに対応する。
図5においては、トランジスタ102,103、104をトップゲート型としているが、トランジスタ102、103、104はそれぞれ、トップゲート型であってもボトムゲート型であってもよい。
また、図5においては、半導体層221、222と、導電層231乃至234と、導電層241乃至243と、導電層211、212と、導電層201乃至204と、導電層250と、が順に積層された構成を示すが、各層の上下関係はこれに限定されず、自由に設定することができる。
<画素の変形例>
次に、実施の形態1で説明した画素21の変形例について説明する。
画素21は、図6(A)に示す構成であってもよい。図6(A)に示す画素21は、光電変換素子101のアノードが配線VPDと接続され、カソードがトランジスタ102のソースまたはドレインの一方と接続されている点で、図2の構成と異なる。図6(A)においては、配線VPDは低電位電源線となり、配線VPRは高電位電源線となる。
なお、本発明の一態様においては、ノードFNにリセット電位として配線VPRの電位が供給されたとき、トランジスタ104がオフ状態となることが好ましい。従って、図6(A)においてはトランジスタ104をpチャネル型とし、配線VPRからノードFNにハイレベルの電位が供給されたときに、トランジスタ104がオフ状態となるような構成とすることが好ましい。
また、画素21は、図6(B)に示す構成であってもよい。図6(B)に示す画素21は、光電変換素子101およびトランジスタ102を複数有する点において、図2の構成と異なる。光電変換素子101aの第1の端子はトランジスタ102aのソースまたはドレインの一方と接続され、第2の端子は配線VPDと接続されている。光電変換素子101bの第1の端子はトランジスタ102bのソースまたはドレインの一方と接続され、第2の端子は配線VPDと接続されている。トランジスタ102aのゲートは配線TXaと接続されており、トランジスタ102bのゲートは配線TXbと接続されている。トランジスタ102aのソースまたはドレインの他方およびトランジスタ102bのソースまたはドレインの他方は、ノードFNと接続されている。
トランジスタ102aのゲートとトランジスタ102bのゲートは別々の配線に接続されており、光電変換素子101aにおける露光と光電変換素子101bにおける露光はそれぞれ独立して制御される。このような構成とすることにより、1つの画素において2つの光電変換素子を用いて露光を行うことができる。なお、画素21に設けられる光電変換素子の個数は特に限定されず、3つ以上であってもよい。
また、画素21は、図6(C)に示す構成であってもよい。図6(C)に示す回路は、図2におけるトランジスタ103を省略した構成である。光電変換素子101のアノードはトランジスタ102のソースまたはドレインの一方と接続され、カソードは配線VPRと接続されている。
画素21のリセット動作(例えば、図4における期間T1、T7の動作に対応)を行う際は、配線VPRの電位をローレベル、配線TXの電位をハイレベルとする。これにより、光電変換素子101に順方向バイアスが印加され、ノードFDの電位がローレベルにリセットされる。ノードFDのリセット後は、配線VPRの電位をハイレベルとすればよい。
また、画素21は、図6(D)に示す構成であってもよい。図6(D)に示す画素21は、光電変換素子101のアノードが配線VPDと接続され、カソードがトランジスタ102のソースまたはドレインの一方と接続されている点で、図6(C)に示す画素21と異なる。
画素21のリセット動作(例えば、図4における期間T1、T7の動作に対応)を行う際は、配線VPRおよび配線TXの電位をハイレベルとする。これにより、光電変換素子101に順方向バイアスが印加され、ノードFDの電位がハイレベルにリセットされる。ノードFDのリセット後は、配線VPRの電位をローレベルとすればよい。
なお、本発明の一態様においては、ノードFNにリセット電位として配線VPRの電位が供給されることにより、トランジスタ104がオフ状態となることが好ましい。従って、図6(D)においてはトランジスタ104をpチャネル型とし、ノードFNの電位がハイレベルにリセットされたときに、トランジスタ104がオフ状態となるような構成とすることが好ましい。
また、図2において、トランジスタ102を省略することもできる。図2においてトランジスタ102を省略した構成を図7(A)に、図6(A)においてトランジスタ102を省略した構成を図7(B)に示す。
また、画素21に用いるトランジスタには、第1のゲート電極(以下、フロントゲートともいう)に加えて、第2のゲート電極(以下、バックゲートともいう)が設けられていてもよい。図8に、トランジスタ102、103、104にバックゲートが設けられた構成を示す。
図8(A)は、図2におけるトランジスタ102、103、104に、フロントゲートと接続されたバックゲートを設け、バックゲートにフロントゲートと同じ電位が供給されるようにした構成である。また、図8(B)は、図6(A)におけるトランジスタ102、103、104に、フロントゲートと接続されたバックゲートを設け、バックゲートにフロントゲートと同じ電位が供給されるようにした構成である。このような構成とすることにより、トランジスタ102、103、104のオン電流を増加させることができ、高速な撮像が可能となる。
図8(C)は、図2におけるトランジスタ102、103、104に、配線VPRと接続されたバックゲートを設け、バックゲートに定電位が供給されるようにした構成である。ここでは、配線VPRに接地電位が与えられているものとする。また、図8(D)は、図6(A)におけるトランジスタ102、103、104に、配線VPDと接続されたバックゲートを設け、バックゲートに定電位が供給されるようにした構成である。ここでは、配線VPDに接地電位が与えられているものとする。これにより、トランジスタ102、103、104のしきい値電圧を制御することができ、信頼性の高い撮像を行うことができる。
なお、図8(C)においてはトランジスタ102、103、104のバックゲートが配線VPRと接続され、図8(D)においてはトランジスタ102、103、104のバックゲートが配線VPDと接続されている構成を例示したが、バックゲートは定電位が供給される別の配線と接続されていてもよい。また、図6(B)乃至(D)、図7(A)、(B)に示す画素21においても、同様にバックゲートを設けることができる。
また、トランジスタ102、103、104はそれぞれ、バックゲートにフロントゲートと同じ電位が供給される構成、バックゲートに定電位が供給される構成、バックゲートが設けられていない構成のうち、いずれの構成を有するトランジスタであってもよい。すなわち、1つの画素21に2種類以上のトランジスタが含まれていてもよい。
また、図2、図6乃至8において、画素21に含まれる素子を複数の画素で共有することもできる。図2におけるトランジスタ103、トランジスタ104、容量105が、4つの画素21で共有された画素部20の構成を図9に示す。図9において、4つのトランジスタ102がノードFNと接続されており、ノードFNはトランジスタ103、トランジスタ104、容量105と接続されている。このような構成とすることで、画素部20の素子数を削減することができる。
なお、図9においては異なる行の画素21でトランジスタおよび容量を共有する構成を示したが、異なる列の画素21でトランジスタまたは容量を共有する構成としてもよい。また、ここではトランジスタ103、トランジスタ104、容量105が4つの画素で共有された構成を示したが、素子を共有する画素の数はこれに限られず、2つの画素、3つの画素、または5つ以上の画素であってもよい。また、図6乃至8に示す画素21においても、同様の構成を適用することができる。
図2、図6乃至9に示す構成は、自由に組み合わせることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた撮像装置について説明する。
図10に、撮像装置300の構成例を示す。撮像装置300は、光検出部310、データ処理部320を有する。
光検出部310は、画素部20、回路30、回路40、回路50、回路60、を有する。画素部20、回路30、回路40としては、上記実施の形態で説明したものを用いることができる。
回路50は、回路40から入力されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する機能を有する。回路50は、A/Dコンバータなどによって構成することができる。
回路60は、回路50から入力されたデジタル信号を読み出す機能を有する駆動回路である。回路60は、選択回路などを用いて構成することができる。また、選択回路は、トランジスタなどを用いて構成することができる。なお、当該トランジスタとしては、OSトランジスタなどを用いることができる。
データ処理部320は、回路321を有する。回路321は、光検出部310において生成された光データ信号を用いて、画像データの生成を行う機能を有する。
なお、画素部20には、画像を表示する機能を有する回路を設けてもよい。これにより、撮像装置300をタッチパネルとして機能させることもできる。
次に、図10に示す撮像装置300の駆動方法の例を説明する。
まず、画素21において、実施の形態1で示す方法により、光データ信号を生成する。画素21において生成された光データ信号は、回路40に出力される。そして、回路40は、光データ信号をアナログ信号に変換して回路50に出力する。
回路40から出力されたアナログ信号は、回路50においてデジタル信号に変換され、回路60に出力される。そして、回路60においてデジタル信号が読み出される。回路60によって読み出されたデジタル信号は、回路321における処理などに用いられる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、半導体装置10に用いることができる素子の構成例について説明する。
図11に、半導体装置10に用いることができるトランジスタおよび光電変換素子の構成例を示す。なお、本実施の形態においては、光電変換素子としてフォトダイオードを用いた例について説明する。
<構成例1>
図11(A)に、トランジスタ801、トランジスタ802、フォトダイオード803の構成例を示す。トランジスタ801は、配線819及び導電層823を介してトランジスタ802と接続され、トランジスタ802は、導電層830を介してフォトダイオード803と接続されている。
トランジスタ801、802は、半導体装置の図2、図3、図6乃至図9に示す各トランジスタや、その他の半導体装置10に含まれるトランジスタに、自由に適用することができる。例えば、トランジスタ801を図2、図3におけるトランジスタ110、120などとして用い、トランジスタ802を図2、図3、図6乃至図9に示すトランジスタ102乃至104などとして用いることができる。また、フォトダイオード803は、図2、図3、図6乃至図9に示す光電変換素子101として用いることができる。
[トランジスタ801]
まず、トランジスタ801について説明する。
トランジスタ801は、半導体基板810を用いて形成され、半導体基板810上の素子分離層811と、半導体基板810に形成された不純物領域812とを有する。不純物領域812はトランジスタ801のソース領域またはドレイン領域として機能し、不純物領域812の間にチャネル領域が形成される。また、トランジスタ801は、絶縁層813、導電層814を有する。絶縁層813はトランジスタ801のゲート絶縁層としての機能を有し、導電層814はトランジスタ801のゲート電極としての機能を有する。なお、導電層814の側面にはサイドウォール815が形成されていてもよい。さらに、導電層814上には、保護層としての機能を有する絶縁層816、平坦化膜としての機能を有する絶縁層817を形成することもできる。
半導体基板810には、シリコン基板を用いる。なお、基板の材料としては、シリコンだけでなく、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウム砒素、アルミニウムガリウム砒素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体を用いることもできる。
素子分離層811は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法又はSTI(Shallow Trench Isolation)法等を用いて形成することができる。
不純物領域812は、半導体基板810の材料に対して導電性を付与する不純物元素を含む領域である。半導体基板810としてシリコン基板を用いる場合、n型の導電性を付与する不純物としては、例えば、リンや砒素などがあげられ、p型の導電性を付与する不純物としては、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウムなどがあげられる。不純物元素は、イオン注入法、イオンドーピング法などを用いて半導体基板810の所定の領域に添加することができる。
絶縁層813は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。また、絶縁層813は、上記の材料を一種以上含む絶縁層を積層して構成してもよい。
導電層814は、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、マンガン、タンタル、及びタングステンなどの導電膜を用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積層であってもよい。
絶縁層816は、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。また、絶縁層816は、上記の材料を一種以上含む絶縁層を積層して構成してもよい。
絶縁層817は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド、ポリアミドなどの有機材料含む絶縁層を用いることができる。また、絶縁層817は、上記の材料を含む絶縁層を積層して構成してもよい。また、絶縁層817は、絶縁層816と同様の材料を用いることもできる。
なお、不純物領域812は、導電層818を介して配線819と接続されている構成とすることができる。
[トランジスタ802]
次に、トランジスタ802について説明する。トランジスタ802は、OSトランジスタである。
トランジスタ802は、絶縁層822上の酸化物半導体層824と、酸化物半導体層824上の導電層825と、導電層825上の絶縁層826と、絶縁層826上の導電層827と、を有する。導電層825は、トランジスタ802のソース電極またはドレイン電極としての機能を有する。絶縁層826は、トランジスタ802のゲート絶縁層としての機能を有する。導電層827は、トランジスタ802のゲート電極としての機能を有する。さらに、導電層827上には、保護層としての機能を有する絶縁層828、及び平坦化膜としての機能を有する絶縁層829を形成することもできる。
なお、絶縁層822の下方に、導電層821を形成してもよい。導電層821は、トランジスタ802の第2のゲート電極(バックゲート電極)としての機能を有する。導電層821を形成する場合、配線819上に絶縁層820を形成し、絶縁層820上に導電層821を形成することができる。また、配線819の一部をトランジスタ802のバックゲート電極とすることもできる。バックゲート電極を有するOSトランジスタは、例えば図8におけるトランジスタ102乃至104などに用いることができる。
なお、トランジスタ802のように、あるトランジスタTが、半導体膜を間に挟んで存在する一対のゲートを有している場合、一方のゲートには信号Aが、他方のゲートには固定電位Vbが与えられてもよい。
信号Aは、例えば、導通状態または非導通状態を制御するための信号である。信号Aは、電位V1、または電位V2(V1>V2とする)の2種類の電位をとるデジタル信号であってもよい。例えば、電位V1を高電源電位とし、電位V2を低電源電位とすることができる。信号Aは、アナログ信号であってもよい。
固定電位Vbは、例えば、トランジスタTのしきい値電圧VthAを制御するための電位である。固定電位Vbは、電位V1、または電位V2であってもよい。この場合、固定電位Vbを生成するための電位発生回路を別途設ける必要がなく好ましい。固定電位Vbは、電位V1、または電位V2と異なる電位であってもよい。固定電位Vbを低くすることで、しきい値電圧VthAを高くできる場合がある。その結果、ゲートーソース間電圧Vgsが0Vのときのドレイン電流を低減し、トランジスタTを有する回路のリーク電流を低減できる場合がある。例えば、固定電位Vbを低電源電位よりも低くしてもよい。固定電位Vbを高くすることで、しきい値電圧VthAを低くできる場合がある。その結果、ゲートーソース間電圧VgsがVDDのときのドレイン電流を向上させ、トランジスタTを有する回路の動作速度を向上できる場合がある。例えば、固定電位Vbを低電源電位よりも高くしてもよい。
また、トランジスタTの一方のゲートには信号Aが、他方のゲートには信号Bが与えられてもよい。信号Bは、例えば、トランジスタTの導通状態または非導通状態を制御するための信号である。信号Bは、電位V3、または電位V4(V3>V4とする)の2種類の電位をとるデジタル信号であってもよい。例えば、電位V3を高電源電位とし、電位V4を低電源電位とすることができる。信号Bは、アナログ信号であってもよい。
信号Aと信号Bが共にデジタル信号である場合、信号Bは、信号Aと同じデジタル値を持つ信号であってもよい。この場合、トランジスタTのオン電流を向上し、トランジスタTを有する回路の動作速度を向上できる場合がある。このとき、信号Aの電位V1は信号Bの電位V3と異なっていても良い。また、信号Aの電位V2は信号Bの電位V4と異なっていても良い。例えば、信号Bが入力されるゲートに対応するゲート絶縁膜が、信号Aが入力されるゲートに対応するゲート絶縁膜よりも厚い場合、信号Bの電位振幅(V3−V4)を、信号Aの電位振幅(V1−V2)より大きくしても良い。そうすることで、トランジスタTの導通状態または非導通状態に対して、信号Aが与える影響と、信号Bが与える影響と、を同程度とすることができる場合がある。
信号Aと信号Bが共にデジタル信号である場合、信号Bは、信号Aと異なるデジタル値を持つ信号であってもよい。この場合、トランジスタTの制御を信号Aと信号Bによって別々に行うことができ、より高い機能を実現できる場合がある。例えば、トランジスタTがnチャネル型である場合、信号Aが電位V1であり、かつ、信号Bが電位V3である場合のみ導通状態となる場合や、信号Aが電位V2であり、かつ、信号Bが電位V4である場合のみ非導通状態となる場合には、一つのトランジスタでNAND回路やNOR回路等の機能を実現できる場合がある。また、信号Bは、しきい値電圧VthAを制御するための信号であってもよい。例えば、信号Bは、トランジスタTを有する回路が動作している期間と、当該回路が動作していない期間と、で電位が異なる信号であっても良い。信号Bは、回路の動作モードに合わせて電位が異なる信号であってもよい。この場合、信号Bは信号Aほど頻繁には電位が切り替わらない場合がある。
信号Aと信号Bが共にアナログ信号である場合、信号Bは、信号Aと同じ電位のアナログ信号、信号Aの電位を定数倍したアナログ信号、または、信号Aの電位を定数だけ加算もしくは減算したアナログ信号等であってもよい。この場合、トランジスタTのオン電流を向上し、トランジスタTを有する回路の動作速度を向上できる場合がある。信号Bは、信号Aと異なるアナログ信号であってもよい。この場合、トランジスタTの制御を信号Aと信号Bによって別々に行うことができ、より高い機能を実現できる場合がある。
信号Aがデジタル信号、信号Bがアナログ信号であってもよい。信号Aがアナログ信号、信号Bがデジタル信号であってもよい。
また、トランジスタTの一方のゲートには固定電位Vaが、他方のゲートには固定電位Vbが与えられてもよい。トランジスタTの両方のゲートに固定電位を与える場合、トランジスタTを、抵抗素子と同等の素子として機能させることができる場合がある。例えば、トランジスタTがnチャネル型である場合、固定電位Vaまたは固定電位Vbを高く(低く)することで、トランジスタの実効抵抗を低く(高く)することができる場合がある。固定電位Va及び固定電位Vbを共に高く(低く)することで、一つのゲートしか有さないトランジスタによって得られる実効抵抗よりも低い(高い)実効抵抗が得られる場合がある。
絶縁層822は、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。また、絶縁層822は、上記の材料を一種以上含む絶縁層を積層して構成してもよい。なお、絶縁層822は、酸化物半導体層824に酸素を供給することができる機能を有することが好ましい。酸化物半導体層824中に酸素欠損がある場合であっても、絶縁層から供給される酸素によって酸素欠損が修復されるためである。酸素を供給するための処理としては、例えば、熱処理などがある。
酸化物半導体層824は、酸化物半導体層を用いることができる。酸化物半導体としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化亜鉛、In−Zn酸化物、Sn−Zn酸化物、Al−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、Sn−Mg酸化物、In−Mg酸化物、In−Ga酸化物、In−Ga−Zn酸化物、In−Al−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、Sn−Ga−Zn酸化物、Al−Ga−Zn酸化物、Sn−Al−Zn酸化物、In−Hf−Zn酸化物、In−La−Zn酸化物、In−Ce−Zn酸化物、In−Pr−Zn酸化物、In−Nd−Zn酸化物、In−Sm−Zn酸化物、In−Eu−Zn酸化物、In−Gd−Zn酸化物、In−Tb−Zn酸化物、In−Dy−Zn酸化物、In−Ho−Zn酸化物、In−Er−Zn酸化物、In−Tm−Zn酸化物、In−Yb−Zn酸化物、In−Lu−Zn酸化物、In−Sn−Ga−Zn酸化物、In−Hf−Ga−Zn酸化物、In−Al−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Al−Zn酸化物、In−Sn−Hf−Zn酸化物、In−Hf−Al−Zn酸化物がある。特に、In−Ga−Zn酸化物が好ましい。
ここで、In−Ga−Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味である。但し、InとGaとZn以外の金属元素が不純物として含まれる場合もある。なお、In−Ga−Zn酸化物で構成した膜をIGZO膜とも呼ぶ。
導電層825は、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、マンガン、タンタル、及びタングステンなどの導電膜を用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積層であってもよい。代表的には、特に酸素と結合しやすいチタンや、後のプロセス温度が比較的高くできることなどから、融点の高いタングステンを用いることがより好ましい。また、低抵抗の銅や銅−マンガンなどの合金と上記材料との積層を用いてもよい。導電層825に酸素と結合しやすい材料を用い、導電層825と酸化物半導体層824と接触した場合、酸化物半導体層824中に酸素欠損を有する領域が形成される。膜中に僅かに含まれる水素が当該酸素欠損に拡散することにより当該領域は顕著にn型化する。このn型化した当該領域はトランジスタのソース領域またはドレイン領域として機能させることができる。
絶縁層826は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。また、絶縁層826は、上記の材料を一種以上含む絶縁層を積層して構成してもよい。
導電層827は、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、マンガン、タンタル、及びタングステンなどの導電膜を用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積層であってもよい。
絶縁層828は、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層828は、上記の材料を一種以上含む絶縁層を積層して構成してもよい。
絶縁層829は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド、ポリアミドなどの有機材料を用いることができる。また、絶縁層817は、上記の材料を含む絶縁層を積層して構成してもよい。また、絶縁層829は、絶縁層828と同様の材料を用いることもできる。
[フォトダイオード803]
次に、フォトダイオード803について説明する。
フォトダイオード803は、n型半導体層832と、i型半導体層833と、p型半導体層834とが順に積層されて形成される。i型半導体層833には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また、n型半導体層832及びp型半導体層834は、導電性を付与する不純物を含む非晶質シリコン又は微結晶シリコンを用いることができる。非晶質シリコンを用いたフォトダイオードは、可視光の波長領域における感度が高いため、好ましい。なお、p型半導体層834が受光面となることで、フォトダイオードの出力電流を高めることができる。
カソードとしての機能を有するn型半導体層832は、トランジスタ802の導電層825と、導電層830を介して接続されている。また、アノードとしての機能を有するp型半導体層834は、配線837と接続されている。なお、フォトダイオード803は、配線831や導電層836を介して他の配線と接続された構成とすることもできる。さらに、保護膜としての機能を有する絶縁層835を形成することもできる。
図11(A)に示すように、トランジスタ802をトランジスタ801上に積層し、フォトダイオード803をトランジスタ802上に積層することにより、半導体装置の面積を縮小することができる。また、トランジスタ801、トランジスタ802、フォトダイオード803が重なる領域を有するような構造とすることにより、半導体装置の面積をさらに縮小することができる。
なお、図11(A)においては、不純物領域812と導電層825が接続されている構造、すなわちトランジスタ801のソースまたはドレインの一方とトランジスタ802のソースまたはドレインの一方が接続されている構造を示したが、トランジスタ801とトランジスタ802の接続関係はこれに限られない。例えば、図11(B)に示すように、導電層814と導電層825が接続されている構造、すなわちトランジスタ801のゲートとトランジスタ802のソースまたはドレインの一方が接続されている構造とすることもできる。
また、ここでは図示しないが、トランジスタ801のゲートとトランジスタ802のゲートが接続された構造や、トランジスタ801のソースまたはドレインの一方とトランジスタ802のゲートが接続された構造とすることもできる。
また、図11(C)に示すように、OSトランジスタを省略し、フォトダイオード803がトランジスタ801と接続された構成とすることもできる。図11(C)に示す構造は、例えば、図2におけるトランジスタの全てを単結晶トランジスタとする場合などに用いることができる。このように、OSトランジスタを省略することにより、半導体装置の作製工程を削減することができる。
<構成例2>
図11においては、フォトダイオード803がトランジスタ802上に積層された構造を示したが、フォトダイオード803の位置はこれに限られない。例えば、図12(A)に示すように、フォトダイオード803をトランジスタ801とトランジスタ802の間の層に設けることもできる。
また、図12(B)に示すように、フォトダイオード803をトランジスタ802と同一の層に設けることもできる。この場合、導電層825を、トランジスタ802のソース電極またはドレイン電極、およびフォトダイオード803の電極として用いることができる。
また、図12(C)に示すように、フォトダイオード803をトランジスタ801と同一の層に設けることもできる。この場合、トランジスタ801のゲート電極としての機能を有する導電層814と、フォトダイオード803の電極としての機能を有する配線831を、同一の材料を用いて同時に作成することができる。
<構成例3>
半導体基板810を用いて複数のトランジスタを形成することもできる。図13(A)に、半導体基板810を用いてトランジスタ804およびトランジスタ805を形成した例を示す。
トランジスタ804は、不純物領域842と、ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁層843と、ゲート電極としての機能を有する導電層844を有する。トランジスタ805は、不純物領域852と、ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁層853と、ゲート電極としての機能を有する導電層854を有する。トランジスタ804およびトランジスタ805の構造や材料はトランジスタ801と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ここで、不純物領域842は、不純物領域852とは逆の導電型を付与する不純物元素を含む。すなわち、トランジスタ804はトランジスタ805とは逆の極性を有する。また、図13(A)に図示するように、不純物領域842は、不純物領域852と接続された構成とすることができる。これにより、トランジスタ804およびトランジスタ805を用いたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータを構成することができる。
図13(A)の構成を用いることにより、半導体基板810を用いたトランジスタによって図1、図10における回路30、回路40、回路50、回路60、データ処理部320を形成し、これらの回路の上に、OSトランジスタによって形成した画素部20を積層することができる。これにより、半導体装置の面積の縮小を図ることができる。
また、図13(B)に示すように、OSトランジスタであるトランジスタ807が半導体基板810を用いて形成されたトランジスタ806上に積層された構造において、不純物領域861と導電層862が接続されている構成、すなわち、トランジスタ806のソースまたはドレインの一方とトランジスタ807のソースまたはドレインの一方が接続された構成とすることもできる。これにより、半導体基板810を用いて形成されたトランジスタとOSトランジスタを用いたCMOSインバータを構成することができる。
半導体基板810を用いて形成されたトランジスタ806は、OSトランジスタと比較してpチャネル型トランジスタの作製が容易である。そのため、トランジスタ806をpチャネル型トランジスタとし、トランジスタ807をnチャネル型トランジスタとすることが好ましい。これにより、半導体基板810に極性の異なる2種類のトランジスタを形成することなくCMOSインバータを形成することができ、半導体装置の作製工程を削減することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、カラーフィルタ等が付加された撮像装置の構成例について説明する。
図14(A)は、図11乃至図13等に示す構成にカラーフィルタ等を付加した形態の一例の断面図であり、3画素分の回路(画素21a、画素21b、画素21c)が占める領域を示している。層1100に形成されるフォトダイオード803上には絶縁層1500が形成される。絶縁層1500は可視光に対して透光性の高い酸化シリコン膜などを用いることができる。また、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を積層する構成としてもよい。また、反射防止膜として、酸化ハフニウムなどの誘電体膜を積層する構成としてもよい。
絶縁層1500上には、遮光層1510が形成される。遮光層1510は、上部のカラーフィルタを通る光の混色を防止する作用を有する。遮光層1510には、アルミニウム、タングステンなどの金属層や当該金属層と反射防止膜としての機能を有する誘電体膜を積層する構成とすることができる。
絶縁層1500および遮光層1510上には平坦化膜として有機樹脂層1520が形成され、画素21a、画素21bおよび画素21c上においてそれぞれカラーフィルタ1530a、カラーフィルタ1530bおよびカラーフィルタ1530cが対になるように形成される。カラーフィルタ1530a、カラーフィルタ1530bおよびカラーフィルタ1530cには、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)などの色を割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
カラーフィルタ1530a、カラーフィルタ1530bおよびカラーフィルタ1530c上にはマイクロレンズアレイ1540が設けられ、一つのレンズを通る光が直下のカラーフィルタを通り、フォトダイオードに照射されるようになる。
また、層1400に接して支持基板1600が設けられる。支持基板1600としては、シリコン基板などの半導体基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板などの硬質基板を用いることができる。なお、層1400と支持基板1600との間には接着層となる無機絶縁層や有機樹脂層が形成されていてもよい。
上記撮像装置の構成において、カラーフィルタ1530a、カラーフィルタ1530bおよびカラーフィルタ1530cの代わりに光学変換層1550を用いてもよい(図14(B)参照)。光学変換層1550を用いることにより、様々な波長領域における画像が得られる撮像装置とすることができる。
例えば、光学変換層1550に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば、赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層1550に赤外線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば、遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層1550に可視光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば紫外線撮像装置とすることができる。
また、光学変換層1550にシンチレータを用いれば、医療用のX線撮像装置など、放射線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等の放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンスと呼ばれる現象により可視光線や紫外光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光をフォトダイオード803で検知することにより画像データを取得する。
シンチレータは、X線やガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収して可視光や紫外光を発する物質、または当該物質を含む材料からなり、例えば、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Gd2O2S:Eu、BaFCl:Eu、NaI、CsI、CaF2、BaF2、CeF3、LiF、LiI、ZnOなどの材料や、それらを樹脂やセラミクスに分散させたものが知られている。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、半導体装置10の別の構成例について説明する。
図15(A)に、画素21の構成例を示す。図15(A)に示す画素21は、図2等に示す画素21における光電変換素子101として、セレン系半導体を有する素子900を用いた構成である。
セレン系半導体を有する素子は、電圧を印加することで1個の照射された光子から複数の電子を取り出すことのできる、アバランシェ増倍という現象を利用して光電変換が可能な素子である。従って、セレン系半導体を有する画素21では、入射される光量に対する電子の増幅を大きくすることができ、高感度のセンサとすることができる。なお、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子では、アバランシェ現象が起こりやすいように比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。また、このとき、トランジスタ102乃至104には、ドレイン耐圧が高いOSトランジスタを用いることが好ましい。
セレン系半導体としては、非晶質性を有するセレン系半導体、あるいは結晶性を有するセレン系半導体を用いることができる。結晶性を有するセレン系半導体は、非晶質性を有するセレン系半導体を成膜後、熱処理することによって得ることができる。なお、結晶性を有するセレン系半導体の結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきが低減し、得られる画像の画質が均一になり好ましい。
セレン系半導体、特に結晶性を有するセレン系半導体は、光吸収係数を広い波長帯域にわたって有するといった特性を有する。そのため、可視光や、紫外光に加えて、X線や、ガンマ線といった幅広い波長帯域の撮像素子として利用することができ、X線や、ガンマ線といった短い波長帯域の光を直接電荷に変換できる、所謂直接変換型の素子として用いることができる。
図15(B)に、素子900構成例を示す。素子900は、基板901、電極902、光電変換層903、電極904を有する。電極904は、トランジスタ102のソースまたはドレインの一方と接続されている。なお、ここでは素子900が複数の光電変換層903、電極904を有し、複数の電極904それぞれがトランジスタ102と接続されている例を示すが、光電変換層903、電極904の個数は特に限定されず、単数でも複数でもよい。
基板901および電極902が設けられる側より、光電変換層903に向けて光が入射される。そのため、基板901および電極902は透光性を有することが好ましい。基板901としては、ガラス基板を用いることができる。また、電極902としては、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)を用いることができる。
光電変換層903はセレンを有する。光電変換層903には、各種セレン系半導体を用いることができる。
光電変換層903、および光電変換層903に積層して設ける電極902は、画素21ごとに形状を加工することなく用いることができる。そのため、形状を加工するための工程を削減することができ、作製コストの低減、および作製歩留まりの向上を図ることができる。
なお、セレン系半導体の例としては、カルコパイライト系半導体があげられる。具体的には、CuIn1−xGaxSe2(xは0以上1以下)(CIGSと略記)を用いることができる。CIGSは、蒸着法、スパッタリング法等を用いて形成することができる。
セレン系半導体としてカルコパイライト系半導体を用いた場合、数V以上(5Vから20V程度)の電圧を印加することで、アバランシェ増倍を発現できる。よって、光電変換層903に電圧を印加することにより、光の照射によって生じる信号電荷の移動の直進性を高めることができる。なお光電変換層903の膜厚は、1μm以下とすることで、印加する電圧を小さくできる。また、トランジスタ102乃至104にOSトランジスタを用いることによって、上記の電圧が印加された場合であっても、画素21を正常に動作させることができる。
なお、光電変換層903の膜厚が薄い場合、電圧印加時に暗電流が流れることがあるが、上述したカルコパイライト系半導体であるCIGSに暗電流が流れることを防ぐための層(正孔注入障壁層)を設けることで、暗電流が流れることを抑制できる。図15(C)に、図15(B)において正孔注入障壁層905を設けた構成を示す。
正孔注入障壁層としては、酸化物半導体を用いればよく、一例としては酸化ガリウムを用いることができる。正孔注入障壁層の膜厚は、光電変換層903の膜厚より小さいことが好ましい。
以上のように、セレン系半導体を用いてセンサを形成することにより、高感度のセンサを実現することができる。従って、本発明の一態様と組み合わせることで、より精度の高い撮像データの取得が可能となる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態において用いることができるトランジスタの構成について説明する。
<トランジスタの構成例1>
図16(A)に、上記実施の形態で用いることができるトランジスタ400の構成を示す。トランジスタ400は、絶縁層402及び絶縁層403を介して絶縁層401上に形成されている。なお、ここではトランジスタ400をトップゲート構造のトランジスタとして例示しているが、ボトムゲート構造のトランジスタとしてもよい。
また、トランジスタ400は、逆スタガ型のトランジスタや、順スタガ型のトランジスタとすることも可能である。また、チャネルが形成される半導体層を2つのゲート電極で挟む構造の、デュアルゲート型のトランジスタを用いることも可能である。また、シングルゲート構造のトランジスタに限定されず、複数のチャネル形成領域を有するマルチゲート型トランジスタ、例えばダブルゲート型トランジスタとしてもよい。
また、トランジスタ400は、プレーナ型、FIN型(フィン型)、TRI−GATE型(トライゲート型)などの構成とすることもできる。
トランジスタ400は、ゲート電極として機能することができる電極443と、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能することができる電極444と、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能することができる電極445と、ゲート絶縁層として機能できる絶縁層411と、半導体層421と、を有する。
絶縁層402は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の不純物の拡散を防ぐ機能を有する絶縁膜を用いて形成することが好ましい。該絶縁膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等がある。なお、該絶縁膜として、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム等を用いることで、絶縁層401側から拡散する不純物が、半導体層421へ到達することを抑制することができる。なお、絶縁層402は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、熱酸化法などにより形成することができる。絶縁層402は、これらの材料を単層で、もしくは積層して用いることができる。
絶縁層403は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム及び酸化タンタルなどの酸化物材料や、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物材料などを、単層または多層で形成することができる。絶縁層403は、スパッタリング法やCVD法、熱酸化法、塗布法、印刷法等を用いて形成することが可能である。
半導体層421として酸化物半導体を用いる場合、絶縁層402に化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層を用いて形成することが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層は、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である絶縁層である。なお、上記TDS分析時における層の表面温度としては、100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
また、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層は、絶縁層に酸素を添加する処理を行って形成することもできる。酸素を添加する処理は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入装置、イオンドーピング装置またはプラズマ処理装置を用いて行うことができる。酸素を添加するためのガスとしては、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いることができる。なお、本明細書では酸素を添加する処理を「酸素ドープ処理」ともいう。
半導体層421は、単結晶半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、ナノクリスタル半導体、セミアモルファス半導体、非晶質半導体等を用いて形成することができる。例えば、非晶質シリコンや、微結晶ゲルマニウム等を用いることができる。また、炭化シリコン、ガリウム砒素、酸化物半導体、窒化物半導体などの化合物半導体や、有機半導体等を用いることができる。
本実施の形態では、半導体層421として酸化物半導体を用いる例について説明する。また、本実施の形態では、半導体層421を、半導体層421a、半導体層421b、および半導体層421cの積層とする場合について説明する。
半導体層421a、半導体層421b、および半導体層421cは、InもしくはGaの一方、または両方を含む材料で形成することができる。代表的には、In−Ga酸化物(InとGaを含む酸化物)、In−Zn酸化物(InとZnを含む酸化物)、In−M−Zn酸化物(Inと、元素Mと、Znを含む酸化物。元素Mは、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHfから選ばれた1種類以上の元素で、Inよりも酸素との結合力が強い金属元素である。)がある。
半導体層421aおよび半導体層421cは、半導体層421bを構成する金属元素のうち、1種類以上の同じ金属元素を含む材料により形成されることが好ましい。このような材料を用いると、半導体層421aおよび半導体層421bとの界面、ならびに半導体層421cおよび半導体層421bとの界面に界面準位を生じにくくすることができる。よって、界面におけるキャリアの散乱や捕獲が生じにくく、トランジスタの電界効果移動度を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧のばらつきを低減することが可能となる。よって、良好な電気特性を有する半導体装置を実現することが可能となる。
半導体層421aおよび半導体層421cの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、半導体層421bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
また、半導体層421bがIn−M−Zn酸化物であり、半導体層421aおよび半導体層421cもIn−M−Zn酸化物であるとき、半導体層421aおよび半導体層421cをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、半導体層421bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]とすると、y1/x1がy2/x2よりも大きくなるように半導体層421a、半導体層421c、および半導体層421bを選択する。好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも1.5倍以上大きくなるように半導体層421a、半導体層421c、および半導体層421bを選択する。さらに好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも2倍以上大きくなるように半導体層421a、半導体層421c、および半導体層421bを選択する。より好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも3倍以上大きくなるように半導体層421a、半導体層421cおよび半導体層421bを選択する。このとき、半導体層421bにおいて、y1がx1以上であるとトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好ましい。ただし、y1がx1の3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y1はx1の3倍未満であると好ましい。半導体層421aおよび半導体層421cを上記構成とすることにより、半導体層421aおよび半導体層421cを、半導体層421bよりも酸素欠損が生じにくい層とすることができる。
なお、半導体層421aおよび半導体層421cがIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInと元素Mの含有率は、好ましくはInが50atomic%未満、元素Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、元素Mが75atomic%以上とする。また、半導体層421bがIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInと元素Mの含有率は好ましくはInが25atomic%以上、元素Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、元素Mが66atomic%未満とする。
例えば、InまたはGaを含む半導体層421a、およびInまたはGaを含む半導体層421cとしてIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:6:4、または1:9:6などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物や、In:Ga=1:9などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga酸化物や、酸化ガリウムなどを用いることができる。また、半導体層421bとしてIn:Ga:Zn=3:1:2、1:1:1、5:5:6、または4:2:4.1などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。なお、半導体層421aおよび半導体層421bの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
半導体層421bを用いたトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、半導体層421b中の不純物および酸素欠損を低減して高純度真性化し、半導体層421bを真性または実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とすることが好ましい。また、少なくとも半導体層421b中のチャネル形成領域が真性または実質的に真性と見なせる半導体層とすることが好ましい。
なお、実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とは、酸化物半導体層中のキャリア密度が、1×1017/cm3未満、1×1015/cm3未満、または1×1013/cm3未満である酸化物半導体層をいう。
ここで、半導体層421a、半導体層421b、および半導体層421cの積層により構成される半導体層421の機能およびその効果について、図16(B)示すエネルギーバンド構造図を用いて説明する。図16(B)は、図16(A)にA1−A2の一点鎖線で示す部位のエネルギーバンド構造図である。図16(B)は、トランジスタ400のチャネル形成領域のエネルギーバンド構造を示している。
図16(B)中、Ec403、Ec421a、Ec421b、Ec421c、Ec411は、それぞれ、絶縁層403、半導体層421a、半導体層421b、半導体層421c、絶縁層411の伝導帯下端のエネルギーを示している。
ここで、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差(「電子親和力」ともいう。)は、真空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(イオン化ポテンシャルともいう。)からエネルギーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定できる。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定できる。
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:4のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.4eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:6のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.3eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:2のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.9eV、電子親和力は約4.3eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:8のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.4eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:10のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.2eV、電子親和力は約4.7eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=3:1:2のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約2.8eV、電子親和力は約5.0eVである。
絶縁層403と絶縁層411は絶縁物であるため、Ec403とEc411は、Ec421a、Ec421b、およびEc421cよりも真空準位に近い(電子親和力が小さい)。
また、Ec421aは、Ec421bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec421aは、Ec421bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下真空準位に近いことが好ましい。
また、Ec421cは、Ec421bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec421cは、Ec421bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下真空準位に近いことが好ましい。
また、半導体層421aと半導体層421bとの界面近傍、および、半導体層421bと半導体層421cとの界面近傍では、混合領域が形成されるため、伝導帯下端のエネルギーは連続的に変化する。即ち、これらの界面において、準位は存在しないか、ほとんどない。
従って、当該エネルギーバンド構造を有する積層構造において、電子は半導体層421bを主として移動することになる。そのため、半導体層421aと絶縁層401との界面、または、半導体層421cと絶縁層411との界面に準位が存在したとしても、当該準位は電子の移動にほとんど影響しない。また、半導体層421aと半導体層421bとの界面、および半導体層421cと半導体層421bとの界面に準位が存在しないか、ほとんどないため、当該領域において電子の移動を阻害することもない。従って、上記酸化物半導体の積層構造を有するトランジスタ400は、高い電界効果移動度を実現することができる。
なお、図16(B)に示すように、半導体層421aと絶縁層403の界面、および半導体層421cと絶縁層411の界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位490が形成され得るものの、半導体層421a、および半導体層421cがあることにより、半導体層421bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
特に、本実施の形態に例示するトランジスタ400は、半導体層421bの上面と側面が半導体層421cと接し、半導体層421bの下面が半導体層421aと接して形成されている。このように、半導体層421bを半導体層421aと半導体層421cで覆う構成とすることで、上記トラップ準位の影響をさらに低減することができる。
ただし、Ec421aまたはEc421cと、Ec421bとのエネルギー差が小さい場合、半導体層421bの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。トラップ準位に電子が捕獲されることで、絶縁層の界面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
従って、Ec421a、およびEc421cと、Ec421bとのエネルギー差を、それぞれ0.1eV以上、好ましくは0.15eV以上とすると、トランジスタのしきい値電圧の変動が低減され、トランジスタの電気特性を良好なものとすることができるため、好ましい。
また、半導体層421a、および半導体層421cのバンドギャップは、半導体層421bのバンドギャップよりも広いほうが好ましい。
本発明の一態様によれば、電気特性のばらつきが少ないトランジスタを実現することができる。よって、電気特性のばらつきが少ない半導体装置を実現することができる。本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。よって、信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
また、酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流を極めて小さくすることができる。具体的には、チャネル幅1μm当たりのオフ電流を室温下において1×10−20A未満、好ましくは1×10−22A未満、さらに好ましくは1×10−24A未満とすることができる。すなわち、オンオフ比を20桁以上150桁以下とすることができる。
また、本発明の一態様によれば、消費電力が少ないトランジスタを実現することができる。よって、消費電力が少ない撮像装置や半導体装置を実現することができる。また、本発明の一態様によれば、受光感度の高い撮像装置や半導体装置を実現することができる。また、本発明の一態様によれば、ダイナミックレンジの広い撮像装置や半導体装置を実現することができる。
また、酸化物半導体はバンドギャップが広いため、酸化物半導体を用いた半導体装置は使用できる環境の温度範囲が広い。本発明の一態様によれば、動作温度範囲が広い撮像装置や半導体装置を実現することができる。
なお、上述の3層構造は一例である。例えば、半導体層421aまたは半導体層421cの一方を形成しない2層構造としても構わない。
半導体層421a、半導体層421b、および半導体層421cに適用可能な酸化物半導体の一例として、インジウムを含む酸化物を挙げることができる。酸化物は、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、酸化物半導体は、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。元素Mは、例えば、酸化物のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、酸化物半導体は、亜鉛を含むと好ましい。酸化物が亜鉛を含むと、例えば、酸化物を結晶化しやすくなる。
ただし、酸化物半導体は、インジウムを含む酸化物に限定されない。酸化物半導体は、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物、ガリウム酸化物であっても構わない。
また酸化物半導体は、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。酸化物半導体のエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
酸化物半導体中における不純物の影響について説明する。なお、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減し、低キャリア密度化および高純度化することが有効である。なお、酸化物半導体のキャリア密度は、1×1017個/cm3未満、1×1015個/cm3未満、または1×1013個/cm3未満とする。特に、酸化物半導体中のキャリア密度は、8×1011/cm3未満、または1×1011/cm3未満、または1×1010/cm3未満であり、且つ、1×10−9/cm3以上であることが好ましい。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。
例えば、酸化物半導体中のシリコンは、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。そのため、酸化物半導体中のシリコン濃度を、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満とする。
また、酸化物半導体中に水素が含まれると、キャリア密度を増大させてしまう場合がある。酸化物半導体の水素濃度はSIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体中に窒素が含まれると、キャリア密度を増大させてしまう場合がある。酸化物半導体の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体の水素濃度を低減するために、半導体層421と接する絶縁層403および絶縁層411の水素濃度を低減すると好ましい。絶縁層403および絶縁層411の水素濃度はSIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体の窒素濃度を低減するために、絶縁層403および絶縁層411の窒素濃度を低減すると好ましい。絶縁層403および絶縁層411の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
本実施の形態では、まず、絶縁層403上に半導体層421aを形成し、半導体層421a上に半導体層421bを形成する。
なお、酸化物半導体層の成膜には、スパッタ法を用いることが好ましい。スパッタ法としては、RFスパッタ法、DCスパッタ法、ACスパッタ法等を用いることができる。DCスパッタ法、またはACスパッタ法は、RFスパッタ法よりも均一性良く成膜することができる。
本実施の形態では、半導体層421aとして、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:3:2)を用いて、スパッタリング法により厚さ20nmのIn−Ga−Zn酸化物を形成する。なお、半導体層421aに適用可能な構成元素および組成はこれに限られるものではない。
また、半導体層421a形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
次に、半導体層421a上に、半導体層421bを形成する。本実施の形態では、半導体層421bとして、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1)を用いて、スパッタリング法により厚さ30nmのIn−Ga−Zn酸化物を形成する。なお、半導体層421bに適用可能な構成元素および組成はこれに限られるものではない。
また、半導体層421b形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
次に、半導体層421aおよび半導体層421bに含まれる水分または水素などの不純物をさらに低減して、半導体層421aおよび半導体層421bを高純度化するために、加熱処理を行ってもよい。
例えば、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、半導体層421aおよび半導体層421bに加熱処理を施す。なお、酸化性雰囲気とは、酸素、オゾンまたは窒化酸素などの酸化性ガスを10ppm以上含有する雰囲気をいう。また、不活性雰囲気とは、前述の酸化性ガスが10ppm未満であり、その他、窒素または希ガスで充填された雰囲気をいう。
また、加熱処理を行うことにより、不純物の放出と同時に絶縁層403に含まれる酸素を半導体層421aおよび半導体層421bに拡散させ、半導体層421aおよび半導体層421bの酸素欠損を低減することができる。なお、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。なお、加熱処理は、半導体層421bの形成後であれば、いつ行ってもよい。例えば、半導体層421bの選択的なエッチング後に加熱処理を行ってもよい。
加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。処理時間は24時間以内とする。
加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱処理時間を短縮することができる。
次に、半導体層421b上にレジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて、半導体層421aおよび半導体層421bの一部を選択的にエッチングする。この時、絶縁層403の一部がエッチングされ、絶縁層403に凸部が形成される場合がある。
半導体層421aおよび半導体層421bのエッチングは、ドライエッチング法でもウェットエッチング法でもよく、両方を用いてもよい。エッチング終了後、レジストマスクを除去する。
また、トランジスタ400は、半導体層421b上に、半導体層421bの一部と接して、電極444および電極445を有する。電極444および電極445は、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。例えば、マンガンを含む銅膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造、タングステン膜上に銅膜を積層し、さらにその上にタングステン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
また、トランジスタ400は、半導体層421b、電極444、および電極445上に半導体層421cを有する。半導体層421cは、半導体層421b、電極444、および電極445の、それぞれの一部と接する。
本実施の形態では、半導体層421cを、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:3:2)を用いたスパッタリング法により形成する。なお、半導体層421cに適用可能な構成元素および組成はこれに限られるものではない。例えば、半導体層421cとして酸化ガリウムを用いてもよい。また、半導体層421cに酸素ドープ処理を行ってもよい。
また、トランジスタ400は、半導体層421c上に絶縁層411を有する。絶縁層411はゲート絶縁層として機能することができる。絶縁層411は、絶縁層403と同様の材料及び方法で形成することができる。また、絶縁層411に酸素ドープ処理を行ってもよい。
半導体層421cおよび絶縁層411の形成後、絶縁層411上にマスクを形成し、半導体層421cおよび絶縁層411の一部を選択的にエッチングして、島状の半導体層421c、および島状の絶縁層411としてもよい。
また、トランジスタ400は、絶縁層411上に電極443を有する。電極443(これらと同じ層で形成される他の電極または配線を含む)は、電極444、電極445と同様の材料および方法で形成することができる。
本実施の形態では、電極443を電極443aと電極443bの積層とする例を示している。例えば、電極443aを窒化タンタルで形成し、電極443bを銅で形成する。電極443aがバリア層として機能し、銅元素の拡散を防ぐことができる。よって、信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
また、トランジスタ400は、電極443を覆う絶縁層412を有する。絶縁層412は、絶縁層403と同様の材料及び方法で形成することができる。また、絶縁層412に酸素ドープ処理を行ってもよい。また、絶縁層412表面にCMP処理を行ってもよい。
また、絶縁層412上に絶縁層413を有する。絶縁層413は、絶縁層403と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層413表面にCMP処理を行ってもよい。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。
<トランジスタの構成例2>
次に、上記のトランジスタ400と置き換えて使用することができるトランジスタの構成例について、図17乃至図21を用いて説明する。
[ボトムゲート型トランジスタ]
図17(A1)に例示するトランジスタ510は、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネル保護型のトランジスタである。トランジスタ510は、絶縁層403上にゲート電極として機能できる電極446を有する。また、電極446上に絶縁層411を介して半導体層421を有する。電極446は電極444、電極445と同様の材料及び方法で形成することができる。
また、トランジスタ510は、半導体層421のチャネル形成領域上に、チャネル保護層として機能できる絶縁層450を有する。絶縁層450は、絶縁層411と同様の材料および方法により形成することができる。電極444の一部、および電極445の一部は、絶縁層450上に形成される。
チャネル形成領域上に絶縁層450を設けることで、電極444および電極445の形成時に生じる半導体層421の露出を防ぐことができる。よって、電極444および電極445の形成時に半導体層421の薄膜化を防ぐことができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
図17(A2)に示すトランジスタ511は、絶縁層412上にバックゲート電極として機能できる電極451を有する点が、トランジスタ510と異なる。電極451は、電極444および電極445と同様の材料および方法で形成することができる。
一般に、バックゲート電極は導電層で形成され、ゲート電極とバックゲート電極で半導体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極は、ゲート電極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位としてもよいし、GND電位や、任意の電位としてもよい。また、バックゲート電極の電位をゲート電極の電位と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。
電極446および電極451は、どちらもゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層411、絶縁層450、および絶縁層412は、ゲート絶縁層として機能することができる。
なお、電極446または電極451の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バックゲート電極」という場合がある。例えば、トランジスタ511において、電極451を「ゲート電極」と言う場合、電極446を「バックゲート電極」と言う場合がある。また、電極451を「ゲート電極」として用いる場合は、トランジスタ511をトップゲート型のトランジスタの一種と考えることができる。また、電極446および電極451のどちらか一方を、「第1のゲート電極」といい、他方を「第2のゲート電極」という場合がある。
半導体層421を挟んで電極446および電極451を設けることで、更には、電極446および電極451を同電位とすることで、半導体層421においてキャリアの流れる領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ511のオン電流が大きくなる共に、電界効果移動度が高くなる。
したがって、トランジスタ511は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ511の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部で生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気などに対する電界遮蔽機能)を有する。なお、バックゲート電極を半導体層よりも大きく形成し、バックゲート電極で半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができる。
また、電極446および電極451は、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有するため、絶縁層403側もしくは電極451上方に生じる荷電粒子等の電荷が半導体層421のチャネル形成領域に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲートに負の電荷を印加する−GBT(Gate Bias−Temperature)ストレス試験)の劣化が抑制されると共に、異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。なお、この効果は、電極446および電極451が、同電位、または異なる電位の場合において生じる。
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(すなわち、経年変化)を、短時間で評価することができる。特に、BTストレス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。BTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
また、電極446および電極451を有し、且つ電極446および電極451を同電位とすることで、しきい値電圧の変動量が低減される。このため、複数のトランジスタにおける電気特性のばらつきも同時に低減される。
また、バックゲート電極を有するトランジスタは、ゲートに正の電荷を印加する+GBTストレス試験前後におけるしきい値電圧の変動も、バックゲート電極を有さないトランジスタより小さい。
また、バックゲート電極側から光が入射する場合に、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電極側から半導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができる。
本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。また、信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
図17(B1)に例示するトランジスタ520は、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネル保護型のトランジスタである。トランジスタ520は、トランジスタ510とほぼ同様の構造を有しているが、絶縁層450が半導体層421を覆っている点が異なる。また、半導体層421と重なる絶縁層450の一部を選択的に除去して形成した開口部において、半導体層421と電極444が電気的に接続している。また、半導体層421と重なる絶縁層450の一部を選択的に除去して形成した開口部において、半導体層421と電極445が電気的に接続している。絶縁層450の、チャネル形成領域と重なる領域は、チャネル保護層として機能できる。
図17(B2)に示すトランジスタ521は、絶縁層412上にバックゲート電極として機能できる電極451を有する点が、トランジスタ520と異なる。電極446および電極451は、どちらもゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層411、絶縁層450、および絶縁層412は、ゲート絶縁層として機能することができる。
また、トランジスタ520およびトランジスタ521は、トランジスタ510およびトランジスタ511よりも、電極444と電極446の間の距離と、電極445と電極446の間の距離が長くなる。よって、電極444と電極446の間に生じる寄生容量を小さくすることができる。また、電極445と電極446の間に生じる寄生容量を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現できる。
[トップゲート型トランジスタ]
図18(A1)に例示するトランジスタ530は、トップゲート型のトランジスタの1つである。トランジスタ530は、絶縁層403の上に半導体層421を有し、半導体層421および絶縁層403上に、半導体層421の一部に接する電極444および半導体層421の一部に接する電極445を有し、半導体層421、電極444、および電極445上に絶縁層411を有し、絶縁層411上に電極446を有する。
トランジスタ530は、電極446および電極444、並びに、電極446および電極445が重ならないため、電極446および電極444間に生じる寄生容量、並びに、電極446および電極445間に生じる寄生容量を小さくすることができる。また、電極446を形成した後に、電極446をマスクとして用いて不純物元素455を半導体層421に導入することで、半導体層421中に自己整合(セルフアライメント)的に不純物領域を形成することができる(図18(A3)参照)。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
なお、不純物元素455の導入は、イオン注入装置、イオンドーピング装置またはプラズマ処理装置を用いて行うことができる。また、イオンドーピング装置として、質量分離機能を有するイオンドーピング装置を用いてもよい。
不純物元素455としては、例えば、第13族元素または第15族元素のうち、少なくとも一種類の元素を用いることができる。また、半導体層421に酸化物半導体を用いる場合は、不純物元素455として、希ガス、水素、および窒素のうち、少なくとも一種類の元素を用いることも可能である。
図18(A2)に示すトランジスタ531は、電極451および絶縁層417を有する点がトランジスタ530と異なる。トランジスタ531は、絶縁層403の上に形成された電極451を有し、電極451上に形成された絶縁層417を有する。前述した通り、電極451は、バックゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層417は、ゲート絶縁層として機能することができる。絶縁層417は、絶縁層411と同様の材料および方法により形成することができる。
トランジスタ511と同様に、トランジスタ531は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ531の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
図18(B1)に例示するトランジスタ540は、トップゲート型のトランジスタの1つである。トランジスタ540は、電極444および電極445を形成した後に半導体層421を形成する点が、トランジスタ530と異なる。また、図18(B2)に例示するトランジスタ541は、電極451および絶縁層417を有する点が、トランジスタ540と異なる。トランジスタ540およびトランジスタ541において、半導体層421の一部は電極444上に形成され、半導体層421の他の一部は電極445上に形成される。
トランジスタ511と同様に、トランジスタ541は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ541の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
トランジスタ540およびトランジスタ541も、電極446を形成した後に、電極446をマスクとして用いて不純物元素455を半導体層421に導入することで、半導体層421中に自己整合的に不純物領域を形成することができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。また、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
[s−channel型トランジスタ]
図19に例示するトランジスタ550は、半導体層421bの上面及び側面が半導体層421aに覆われた構造を有する。図19(A)はトランジスタ550の上面図である。図19(B)は、図19(A)中のX1−X2の一点鎖線で示した部位の断面図(チャネル長方向の断面図)である。図19(C)は、図19(A)中のY1−Y2の一点鎖線で示した部位の断面図(チャネル幅方向の断面図)である。
絶縁層403に設けた凸部上に半導体層421を設けることによって、半導体層421bの側面も電極443で覆うことができる。すなわち、トランジスタ550は、電極443の電界によって、半導体層421bを電気的に取り囲むことができる構造を有している。このように、導電膜の電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。また、s−channel構造を有するトランジスタを、「s−channel型トランジスタ」もしくは「s−channelトランジスタ」ともいう。
s−channel構造では、半導体層421bの全体(バルク)にチャネルが形成される場合がある。s−channel構造では、トランジスタのドレイン電流を大きくすることができ、さらに大きいオン電流を得ることができる。また、電極443の電界によって、半導体層421bに形成されるチャネル形成領域の全領域を空乏化することができる。したがって、s−channel構造では、トランジスタのオフ電流をさらに小さくすることができる。
なお、絶縁層403の凸部を高くし、また、チャネル幅を小さくすることで、s−channel構造によるオン電流の増大効果、オフ電流の低減効果などをより高めることができる。また、半導体層421bの形成時に、露出する半導体層421aを除去してもよい。この場合、半導体層421aと半導体層421bの側面が揃う場合がある。
また、図20に示すトランジスタ551のように、半導体層421の下方に、絶縁層403を介して電極451を設けてもよい。図20(A)はトランジスタ551の上面図である。図20(B)は、図20(A)中のX1−X2の一点鎖線で示した部位の断面図である。図20(C)は、図20(A)中のY1−Y2の一点鎖線で示した部位の断面図である。
また、図21に示すトランジスタ452のように、電極443の上方に層414を設けてもよい。図21(A)はトランジスタ452の上面図である。図21(B)は、図21(A)中のX1−X2の一点鎖線で示した部位の断面図である。図21(C)は、図21(A)中のY1−Y2の一点鎖線で示した部位の断面図である。
図21では、層414を絶縁層413上に設けているが、絶縁層412上に設けてもよい。層414を、遮光性を有する材料で形成することで、光照射によるトランジスタの特性変動や、信頼性の低下などを防ぐことができる。なお、層414を少なくとも半導体層421bよりも大きく形成し、層414で半導体層421bを覆うことで、上記の効果を高めることができる。層414は、有機物材料、無機物材料、又は金属材料を用いて作製することができる。また、層414を導電性材料で作製した場合、層414に電圧を供給してもよいし、電気的に浮遊した(フローティング)状態としてもよい。
<酸化物半導体の構造>
次に、酸化物半導体の構造について説明する。
なお本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに分けられる。または、酸化物半導体は、例えば、結晶性酸化物半導体と非晶質酸化物半導体とに分けられる。
なお、非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。また、結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体などがある。
[CAAC−OS]
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
[微結晶酸化物半導体膜]
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
[非晶質酸化物半導体膜]
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
なお、酸化物半導体膜は、nc−OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
a−like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a−like OS膜は、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
なお、a−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO4の結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
また、酸化物半導体膜は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導体膜の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶の密度と比較することにより、その酸化物半導体膜の構造を推定することができる。例えば、単結晶の密度に対し、a−like OS膜の密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結晶の密度に対し、nc−OS膜の密度およびCAAC−OS膜の密度は92.3%以上100%未満となる。なお、単結晶の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体膜は、成膜すること自体が困難である。
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、a−like OS膜の密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、nc−OS膜の密度およびCAAC−OS膜の密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出することができる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて算出することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a−like OS膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
ところで、酸化物半導体膜がCAAC−OS膜であったとしても、部分的にnc−OS膜などと同様の回折パターンが観測される場合がある。したがって、CAAC−OS膜の良否は、一定の範囲におけるCAAC−OS膜の回折パターンが観測される領域の割合(CAAC化率ともいう。)で表すことができる場合がある。例えば、良質なCAAC−OS膜であれば、CAAC化率は、50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上となる。
<オフ電流>
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従ってトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在するときに、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、Vgsが所定の値であるときのオフ電流、Vgsが所定の範囲内の値であるときのオフ電流、または、Vgsが十分に低減されたオフ電流が得られる値であるときのオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vであるときのドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsがー0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsがー0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、と言う場合がある。
本明細書では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりの値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりの電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さ(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在するときに、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsの絶対値が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V,2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。Vdsが所定の値であるときに、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在する場合、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言うことがある。ここで、所定の値とは、例えば、0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V,2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVdsの値、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsの値である。
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
本明細書では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。
本明細書において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
<成膜方法>
本明細書等で開示された、金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜はスパッタ法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成してもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を使っても良い。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFET(Field Effect Transistor)を作製する場合に適している。
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及びジメチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH3)3である。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CH3)3である。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CH3)2である。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CH3)2]4である。また、他の材料液としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CH3)3である。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを用いてタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを用いてGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを用いてZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスで水をバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Zn(CH3)2ガスを用いても良い。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る撮像装置を用いた電子機器の一例について説明する。
本発明の一態様に係る撮像装置を用いた電子機器として、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、ナビゲーションシステム、置き時計、壁掛け時計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、タブレット型端末、パチンコ機などの大型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍端末、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、エアコンディショナー、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、チェーンソー等の工具、煙感知器、透析装置等の医療機器、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置等の産業機器が挙げられる。また、燃料を用いたエンジンや、非水系二次電池からの電力を用いた電動機や、燃料を用いたエンジンにより推進する移動体なども、電子機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる。
図22(A)はビデオカメラであり、第1筐体1041、第2筐体1042、表示部1043、操作キー1044、レンズ1045、接続部1046等を有する。操作キー1044およびレンズ1045は第1筐体1041に設けられており、表示部1043は第2筐体1042に設けられている。そして、第1筐体1041と第2筐体1042とは、接続部1046により接続されており、第1筐体1041と第2筐体1042の間の角度は、接続部1046により変更が可能である。表示部1043における映像を、接続部1046における第1筐体1041と第2筐体1042との間の角度に従って切り替える構成としても良い。レンズ1045の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図22(B)は携帯電話であり、筐体1051に、表示部1052、マイク1057、スピーカー1054、カメラ1059、入出力端子1056、操作用のボタン1055等を有する。カメラ1059には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図22(C)はデジタルカメラであり、筐体1021、シャッターボタン1022、マイク1023、発光部1027、レンズ1025等を有する。レンズ1025の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図22(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体1001、筐体1002、表示部1003、表示部1004、マイク1005、スピーカー1006、操作キー1007、スタイラス1008、カメラ1009等を有する。なお、図22(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部1003と表示部1004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。カメラ1009には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図22(E)は腕時計型の情報端末であり、筐体1031、表示部1032、リストバンド1033、カメラ1039等を有する。表示部1032はタッチパネルとなっていてもよい。カメラ1039には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図22(F)は携帯データ端末であり、第1筐体1011、表示部1012、カメラ1019等を有する。表示部1012が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。カメラ1019には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
なお、本発明の一態様の撮像装置を具備していれば、上記で示した電子機器に特に限定されないことは言うまでもない。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。