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JP6455462B2 - 靭性と延性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

靭性と延性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 Download PDF

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JP6455462B2 JP2016035602A JP2016035602A JP6455462B2 JP 6455462 B2 JP6455462 B2 JP 6455462B2 JP 2016035602 A JP2016035602 A JP 2016035602A JP 2016035602 A JP2016035602 A JP 2016035602A JP 6455462 B2 JP6455462 B2 JP 6455462B2
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Description

本発明は、自動車のロアアームやフレームなどの足回り部材、ピラーやメンバーなどの骨格部材およびそれらの補強部材、ドアインパクトビーム、シート部材、インフレータ部材、自販機、デスク、家電・OA機器、建材などに使用される構造用部材として最適な靭性と延性に優れた高強度鋼板とその製造方法に関する。
近年、地球環境に対する関心の高まりを受けて、CO2排出量低減の要望が増加している。さらに、自動車分野などでは車体を軽くすることで燃費を向上させるとともに、排ガス量を減らしたいとのニーズも益々大きくなっている。また、衝突安全性に対するニーズも高い。自動車の軽量化には、使用部品の薄肉化が最も有効である。すなわち、自動車の強度を維持しつつその軽量化を図るためには、自動車部品用素材となる鋼板の高強度化により鋼板を薄肉化することが有効であり、鋼板の薄肉化に対する要望は非常に強くなってきている。
一般に、鋼板の強度の上昇により靭性や延性は低下することが多い。プレス時の割れや部品の脆性割れの危険性が、鋼板の高強度化により非常に高くなる。
従来、靭性と延性に優れた高強度鋼板として、たとえば、特許文献1には、質量%で、C:0.01 % 以上0.12 % 以下、Si:0.02% 以上1.3% 以下、Mn:0.5% 以上3.0% 以下、P:0.10 % 以下、S:0.010% 以下、sol.Al:0.11% 以上1.5% 以下、N: 0.0010% 以上0.020% 以下、Ti: 0.041%以上0.40% 以下を含有し、体積%でフェライト相を70% 以上含み、残留オーステナイト相が4.9%以下である金属組織を有し、さらに圧延直角方向での降伏強度の引張強さに対する比が0.81以上となる高張力熱延鋼板の製造技術が開示されている。
特許文献2には、質量%で、C:0.02〜0.10%、Si:1.50%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.010%以下、Al:0.02〜0.15%、Ni:1%以下、Cr:1%以下、Nb:0.08%以下、Ti:0.05〜0.20%を含有し、金属組織が実質的にフェライトの単相組織である高強度熱延鋼板の製造技術が開示されている。
特許文献3には、質量%で、C:0.01〜0.20%、Si:1.00%以下、Mn:2.00%以下、Al:0.10%以下、N:0.0070%以下を含有し、平均粒径2〜3μmの微細フェライトが面積率で70%以上、ベイナイトとマルテンサイトを含む組織が面積率で20%以下となる熱延高張力鋼板の製造技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、靭性が低いという問題があった。また、特許文献2に記載の技術では、靭性が不十分な上、延性が低いという問題があった。特許文献3に記載の技術では、700MPaを超えるような高強度化は困難であるという問題があった。
特開2004−27249号公報 特開2006-274317号公報 特開昭63-145746号公報
本発明はかかる事情に鑑み、靭性と延性に優れた高強度鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、以下の知見を得た。析出強化したフェライトを主体とする組織とすることで延性を向上させる。表層組織を細粒化し鋼板の表面粗さを小さくすることでクラックの発生を抑制し、微細な析出物と板厚内部の細粒化および鋼板表面から板厚1/4部での圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比(以下、結晶粒のアスペクト比と称することもある)を小さくすることで脆性亀裂の伝播を抑制し、靭性を向上させる。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであり、以下を要旨とするものである。
[1]成分組成は、質量%で、C:0.04〜0.20%、Si:0.6〜1.5%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.030%以下、Al:0.10%以下、N:0.010%以下を含有し、Ti、Nb、Vの1種または2種以上をそれぞれ0.01〜1.0%含有し、残部は鉄および不可避的不純物からなり、組織は、面積率で、フェライトが70%以上であり、鋼板表面から板厚深さ方向に50μmの位置での平均粒径が3500×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下、鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径が4000×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下、鋼板表面から板厚1/4部での圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比が1.5以下であり、鋼中に析出した粒子径20nm未満の析出物中のC量が0.020質量%以上であり、算術平均粗さRaが3.0μm以下であることを特徴とする靭性と延性に優れた高強度鋼板。
[2]前記成分組成に加えて、質量%で、Mo、Ta、Wの1種または2種以上をそれぞれ0.005〜0.50%含有することを特徴とする上記[1]に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
[3]前記成分組成に加えて、質量%で、Cr、Ni、Cuの1種または2種以上をそれぞれ0.01〜1.0%含有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
[4]前記成分組成に加えて、質量%で、Ca、REMの1種または2種をそれぞれ0.0005〜0.01%含有することを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
[5]前記成分組成に加えて、質量%で、Sb:0.005〜0.050%を含有することを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
[6]前記成分組成に加えて、質量%で、B:0.0005〜0.0030%を含有することを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
[7]鋼板表面にめっき層を有することを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
[8]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の成分組成を有する鋼スラブに対して、鋳造後、直接圧延または1200℃以上に再加熱し、次いで、粗圧延後、仕上げ圧延前に、衝突圧を3MPa以上とするデスケーリングを行い、950℃以下の累積圧下率を0.7以上、仕上圧延出側温度を800℃以上とする熱間圧延を行い、次いで、仕上圧延終了後750℃まで最大衝突圧5kPa以上、平均冷却速度30℃/s以上とする冷却を行い、次いで、巻取温度530℃以上680℃以下まで、平均冷却速度10℃/s以上で冷却し、巻取温度530℃以上680℃以下で巻取ることを特徴とする靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
[9]さらに、前記巻取り後、酸洗を行うことを特徴とする上記[8]に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
[10]さらに、前記酸洗後、均熱温度750℃以下の焼鈍を行い、次いで、溶融めっき処理することを特徴とする上記[9]に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
[11]さらに、溶融めっき処理後、合金化処理温度460〜600℃、保持時間1s以上で合金化処理を行うことを特徴とする上記[10]に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
[12]さらに、前記酸洗後、電気めっき処理することを特徴とする上記[9]に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
[13]前記巻取り、前記酸洗、前記溶融めっき処理、前記合金化処理、前記電気めっき処理のいずれかの処理後、板厚減少率0.1〜3.0%の加工を施すことを特徴とする上記[8]ないし[12]のいずれかに記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
[14]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の高強度鋼板に対して、めっき処理することを特徴とする靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
なお、本発明において、高強度鋼板とは、引張強さ(TS)が780MPa以上の鋼板であり、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき処理、合金化溶融亜鉛めっき処理および電気亜鉛めっき処理などの表面処理を熱延鋼板に施した鋼板を含むものである。さらに、熱延鋼板および表面処理を施した鋼板の上にさらに化成処理などにより皮膜を有する鋼板をも含むものである。また、本発明において、シャルピー衝撃試験による延性-脆性遷移温度(DBTT)が-40℃以下を靭性に優れたとする。また、JIS5号試験片を用いて行った引っ張り試験のTS×U-Elが7000(MPa・%)以上を延性に優れたとする。
本発明によれば、靭性と延性に優れた高強度鋼板が得られる。本発明の高強度鋼板は、引張強さ:780MPa以上を有し、かつ靭性と延性に優れるため、自動車の構造部材等の使途に好適に用いることができ、工業上有益な効果がもたらされる。
図1は粒子径20nm未満の析出C量に対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図である。 図2は鋼板表面から板厚深さ方向に表層50μmでの平均粒径を3500×[TS(MPa) ]−0.85で割った値に対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図である。 図3は鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径を4000×[TS(MPa) ]−0.85で割った値に対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図である。 図4は鋼板表面から板厚1/4部での圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比(板厚1/4部アスペクト比)に対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図である。 図5は算術平均粗さに対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図である。 図6は、フェライト面積率とTS×U-Elの関係を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下の%は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
まず、本発明の高強度鋼板の成分組成の限定理由について説明する。
C:0.04〜0.20%
CはTi、Nb、Vと微細炭化物を形成し、鋼板の高強度化と、細粒化および靭性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、C含有量を0.04%以上とする必要がある。より強度が必要な場合は0.06%以上が好ましく、さらに好ましくは0.08%以上である。一方、多量のCはフェライト変態を抑制する。また、過剰なCは溶接性を低下させるとともに、多量のセメンタイトの生成を招き、靭性や成型性を大きく低下させる。また、ベイナイト変態を抑制し、マルテンサイト変態を促進してしまう。したがって、C含有量を0.20%以下とする必要がある。好ましくは0.15%以下、さらに好ましくは0.12%以下である。
Si:0.6〜1.5%
Siは熱間圧延後の冷却過程において、Ti、Nb、Vの微細炭化物形成を促す。また、フェライト変態を促進し結晶粒のアスペクト比を小さくする効果もある。さらに、固溶強化元素として成形性を大きく低下させることなく鋼板の高強度化に寄与することもできる。このような効果を得るためには、Si含有量を0.6%以上とする必要がある。一方、Siを多量に含有すると、赤スケールと呼ばれる表面模様が発生し、鋼板表面の粗さが大きくなってしまう。また、熱間圧延後の冷却過程でのフェライト変態が促進されすぎてしまい、Ti、Nb、Vの炭化物が粗大に析出してしまう。さらに、靭性が低下する。また、表面にSiの酸化物が生成しやすくなるため、熱延鋼板では化成処理不良、めっき鋼板では不めっきなどの不良が生じやすくなる。したがって、Si含有量は1.5%以下である必要がある。以上より、Si含有量を0.6%以上1.5%以下、好ましくは0.8%以上1.2%以下とする。
Mn:1.0〜3.0%、
Mnは熱間圧延後の冷却において、フェライト変態が始まるタイミングを遅くするので、鋼板の組織の細粒化に効果がある。さらに、Mnは固溶強化により鋼板の高強度化に寄与することもできる。また、有害な鋼中SをMnSとして無害化する作用も有する。このような効果を得るためには、Mn含有量を1.0%以上とする必要がある。好ましくは1.3%以上である。一方、多量のMnはスラブ割れを引き起こすとともにフェライト変態の進行を抑制し、その結果、結晶粒のアスペクト比を大きくしてしまう。また、CとTi、Nb、Vとによる微細炭化物の形成を抑制してしまう。よって、Mn含有量を3.0%以下とする必要がある。好ましくは2.3%以下、さらに好ましくは1.6%以下である。
P:0.10%以下
Pは溶接性を低下させる作用を有するとともに、粒界に偏析して鋼板の延性、および靭性を劣化させる。さらに、Pを多量に含有すると、熱間圧延後の冷却過程でフェライト変態が促進されてしまい、Ti、Nb、Vの炭化物が粗大に析出してしまう。以上より、P含有量を0.10%以下とする必要がある。好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.01%以下である。ただし、必要以上にPを低減させることは製造コストの増大を招くので、Pの下限値は0.001%が好ましい。
S:0.030%以下
Sは溶接性を低下させる作用を有するとともに、熱間圧延での延性を著しく低下させるので、熱間割れを誘発し、表面性状を著しく劣化させる。また、Sは鋼板の強度向上にほとんど寄与しない。さらに、不純物元素として粗大な硫化物を形成することにより、鋼板の延性、靭性および伸びフランジ性を低下させる。これらの問題はS含有量が0.030%を超えると顕著となるため、極力低減することが望ましい。したがって、S含有量は0.030%以下とする必要がある。好ましくは0.010%以下、より好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.001%以下である。ただし、必要以上にSを低減させることは、製造コストの増大を招くので、Sの下限値は0.0001%が好ましい。
Al:0.10%以下
Alを多く含有すると、鋼板の靭性および溶接性が大きく低下してしまう。さらに、表面にAlの酸化物が生成しやすくなるため、熱延鋼板では化成処理不良が、めっき鋼板では不めっきなどの不良が生じやすくなる。したがって、Al含有量を0.10%以下とする必要がある。好ましくは0.06%以下である。下限は特に規定しない。Alキルド鋼として0.01%以上含まれていても問題ない。
N:0.010%以下
NはTi、Nb、Vと高温で粗大な窒化物を形成する。しかし、粗大な窒化物は強度向上にあまり寄与しないことから、Ti、Nb、V添加による鋼板の高強度化の効果を小さくしてしまうだけでなく、靭性の低下も招いてしまう。さらにNを多量に含有させると、熱間圧延中にスラブ割れが発生し、表面疵ができる恐れがある。したがって、N含有量を0.010%以下とする必要がある。好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.002%以下である。ただし、必要以上にNを低減させることは製造コストの増大に直結するので、Nの下限値は0.0001%が好ましい。
Ti、Nb、V:1種または2種以上をそれぞれ0.01〜1.0%
Ti、Nb、VはCと微細な炭化物を形成し、鋼板の高強度化に寄与するとともに、靭性の改善にも寄与する。このような作用を得るためには、Ti、Nb、Vの1種または2種以上をそれぞれ0.01%以上含有する必要がある。一方、Ti、Nb、V を、それぞれ1.0%を超えて多量に含有させても、高強度化の効果は飽和することから、Ti、V、Nbの含有量をそれぞれ1.0%以下とする必要がある。
残部は鉄および不可避的不純物である。不可避的不純物としては、Sn、Mg、Co、As、Pb、Zn、Oなどが挙げられ、合計で0.5%以下であれば許容できる。
以上の必須添加元素で、本発明の鋼板は目的とする特性が得られるが、上記の必須添加元素に加えて、必要に応じて下記の元素を添加することができる。
Mo、Ta、Wの1種または2種以上をそれぞれ0.005〜0.50%
Mo、Ta、Wは微細析出物を形成することで鋼板の高強度化、靭性改善に寄与する。このような効果を得るため、Mo、Ta、W を含有させる場合には、Mo、Ta、Wのうちの1種または2種以上の含有量をそれぞれ0.005%以上とする。一方、多量にMo、Ta、Wを含有させても効果が飽和することから、Mo、Ta、Wのうちの1種または2種以上の含有量をそれぞれ0.50%以下とすることが好ましい。
Cr、Ni、Cuの1種または2種以上をそれぞれ0.01〜1.0%
Cr、Ni、Cuは鋼板の組織を細粒化するとともに固溶強化元素として作用することで鋼板の高強度化と靭性の向上に寄与する。このような効果を得るため、Cr、Ni、Cuを含有させる場合には、Cr、Ni、Cuのうちの1種または2種以上の含有量をそれぞれ0.01%以上とする。一方、多量にCr、Ni、Cuを多量に含有させても効果が飽和するだけでなく製造コストの上昇を招くことから、Cr、Ni、Cuのうちの1種または2種以上の含有量をそれぞれ1.0%以下とすることが好ましい。
Ca、REMの1種または2種をそれぞれ0.0005〜0.01%
Ca、REMは硫化物の形態を制御することで鋼板の延性、靭性、曲げ性および伸びフランジ性を向上させることができる。このような効果を得るため、Ca、REMを含有させる場合には、Ca、REMの1種または2種の含有量をそれぞれ0.0005%以上とする。一方、多量に含有させても効果が飽和するだけでなくコストが上昇することからCa、REMを含有させる場合には、Ca、REMの1種または2種の含有量をそれぞれ0.01%以下とすることが好ましい。
Sb:0.005〜0.050%
Sbは熱間圧延時において表面に偏析することから、スラブに窒素が進入するのを防止して、粗大な窒化物の形成を抑制することができる。このような効果を得るため、Sbを含有する場合には0.005%以上の含有量とする。一方、多量にSbを含有すると製造コストが上昇することから、Sbを含有させる場合は0.050%以下の含有量とする。
B:0.0005〜0.0030%
Bは組織を細粒化することで、鋼板の高強度化と靭性の向上に寄与することができる。このような効果を得るため、Bを含有させる場合は0.0005%以上とする。好ましくは0.0010%以上である。一方、多量のBは熱間圧延時の圧延荷重を上昇させてしまう恐れがあることから、Bを含有する場合は0.0030%以下とする。好ましくは0.0020%以下である。
次に、本発明の高強度鋼板の重要な要件である組織等について説明する。
フェライト: 面積率で70%以上
フェライトは延性に優れることから、本発明ではフェライトを面積率で70%以上とすることで、優れた延性を有する鋼板を得る。好ましくはフェライトの面積率は80%以上、より好ましくは90%以上である。フェライト以外の組織は、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイトなどであってよい。なお、フェライトの面積率は後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。また、製造条件、特に、巻取り時の巻取温度冷却時の冷却速度を制御することにより、フェライト相の面積率を70%以上とすることができる。
鋼板表面から板厚深さ方向に50μmの位置での平均粒径:3500×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下
鋼板の表面付近の粒径を小さくすることで、脆性破壊時のクラックの発生を抑制することができる。さらに、鋼板の強度が高いほど割れは伸展しやすいことから、より粒径を小さくする必要がある。このような鋼板表面付近の粒径は、鋼板最表面で評価するよりも、スケールを除いた表面から板厚深さ方向に50μm内側に入った位置のほうがより的確に評価できる。よって、本発明では、鋼板表面から板厚深さ方向に50μmの位置での平均粒径を規定することとする。なお、本発明において、鋼板表面から板厚深さ方向に50μmの位置とは、スケールを除いた鋼板表面から板厚方向に50μm内側に入った位置であり、「表層50μm位置」と称することもある。
表層50μm位置での平均粒径を3500×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下とすることで、脆性破壊時のクラックの発生を抑制することができる。好ましくは表層50μm位置での平均粒径は3000×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下、より好ましくは2500×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下、さらに好ましくは2000×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下である。下限は特に規定しないが、0.5μm程度で十分である。なお、表層50μm位置での平均粒径は後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。また、表層50μm位置でのフェライトの平均粒径は、製造条件、特に熱間圧延時の累積圧下率や仕上圧延出側温度等により、制御することができる。
鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径:4000×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下
板厚内部の粒径を小さくすることで、脆性破壊時のクラックの伸展を抑制することができる。さらに、強度が高いほど割れは伸展しやすいことから、より粒径を小さくする必要がある。なお、このような板厚内部の粒径は、鋼板表面から板厚1/4部の位置で代表できることから、本発明では、鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径を規定することとする。鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径を4000×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下とすることで、脆性破壊時のクラックの伸展を抑制することができる。好ましくは3500×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下、より好ましくは3000×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下、さらに好ましくは2500×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下である。下限は特に規定しないが、0.5μm程度で十分である。なお、鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径は後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。また、鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径は、製造条件、特に熱間圧延時の累積圧下率や仕上圧延出側温度等により、制御することができる。
板厚1/4部の圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比:1.5以下
板厚内部の粒が圧延方向に伸びた形状だと、脆性破壊時のクラックが伸展しやすくなってしまう。そのため、板厚1/4部の圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比(以下、板厚1/4部の圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比を単にアスペクト比とも称することもある)を1.5以下とする必要がある。好ましくは1.3以下である。下限は特に規定しないが、1.0程度である。なお、板厚1/4部の圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比は後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。また、板厚1/4部の圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比は、製造条件、特に熱間圧延時の累積圧下率や仕上圧延出側温度等により、制御することができる。
鋼中に析出した粒子径20nm未満の析出物中のC量が0.020%以上
鋼中に析出した析出物のうち、粒子径20nm未満の析出物は鋼板の強度および靭性の向上に寄与できる。このような微細な析出物は、炭化物が主体である。よって、このような効果を得るためには、粒子径20nm未満の析出物中のC量(以下、略して析出C量と称することもある)が0.020%以上である必要がある。好ましくは0.030%以上である。一方、粒子径20nm未満の析出物が必要以上に鋼中に多量に存在しても強度上昇の効果は飽和することから、析出C量は0.15%以下が好ましく、より好ましくは0.12%以下、さらに好ましくは0.10%以下である。なお、析出C量は後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。また、製造条件を制御することにより、析出C量を0.020%以上とすることができる。
算術平均粗さRaが3.0μm以下
高強度鋼板表面の算術平均粗さを小さくすることで、脆性破壊時のクラックの発生を抑制することができる。よって、算術平均粗さ(Ra)は3.0μm以下とする必要がある。好ましくは2.0μm以下、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。下限は特に規定しないが、0.5μm程度が好ましい。なお、算術平均粗さRaは後述する実施例に記載の方法にて測定することができる。
次に、本発明の高強度鋼板の製造方法について説明する。
本発明の高強度鋼板は、上記成分組成を有する鋼スラブに対して、鋳造後、直接圧延または1200℃以上に再加熱し、次いで、粗圧延後、仕上げ圧延前に、衝突圧を3MPa以上とするデスケーリングを行い、950℃以下の累積圧下率を0.7以上、仕上圧延出側温度を800℃以上とする熱間圧延を行い、次いで、仕上圧延終了後750℃まで最大衝突圧5kPa以上、平均冷却速度30℃/s以上とする冷却を行い、次いで、巻取温度530℃以上680℃以下まで、平均冷却速度10℃/s以上で冷却し、巻取温度530℃以上680℃以下で巻取ることで得られる。巻取り後、酸洗を行うことができる。さらに、酸洗後、均熱温度750℃以下の焼鈍を行い、次いで、めっき浴温度420〜500℃での溶融亜鉛めっき処理、もしくは電気めっき処理することができる。溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理温度460〜600℃、保持時間1s以上で合金化処理を行うことができる。また、以上により得られた高強度鋼板に対して、板厚減少率0.1〜3.0%の加工を施すことができる。
以下、詳細に説明する。
本発明において、鋼の溶製方法は特に限定されず、転炉、電気炉等、公知の溶製方法を採用することができる。また、真空脱ガス炉にて2次精錬を行ってもよい。その後、生産性や品質上の問題から連続鋳造法によりスラブ(鋼素材)とする。造塊−分塊圧延法、薄スラブ連鋳法等、公知の鋳造方法でスラブとしても良い。
鋳造後スラブ:鋳造後のスラブを直接圧延、または、温片や冷片となったスラブを1200℃以上に再加熱
Ti、Nb、Vを微細に析出させるためには、熱間圧延開始前にこれらの元素を鋼中に固溶させる必要がある。そのため、鋳造後のスラブは高温のまま熱間圧延機の入り側に搬送して、熱間圧延を行う(直接圧延)ことが好ましい。しかし、一旦、鋳造後のスラブが温片や冷片となり、Ti、Nb、Vが析出物として析出してしまった場合は、Ti、Nb、V を再固溶するためにスラブを1200℃以上に再加熱したのち粗圧延を開始する必要がある。スラブ加熱温度が低いとTi、V、Nbの再固溶が阻害され、粗大な炭化物のまま残るため、微細な炭化物の生成が抑制されてしまう。1200℃以上での保持時間は特に規定しないが、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。操業負荷の点から上限は180分以下が好ましい。また、再加熱温度は好ましくは1220℃以上、より好ましくは1250℃以上である。
熱間圧延:粗圧延後、仕上げ圧延前に、衝突圧を3MPa以上とするデスケーリングを行い、仕上げ圧延での950℃以下の累積圧下率を0.7以上、仕上げ圧延出側温度を800℃以上とする
本発明では、粗圧延後、仕上げ圧延前に、仕上げ圧延機の入り側で高圧水を使用したデスケーリングを行う。この時、高圧水の衝突圧を3MPa以上とする。スケールを除去するに際し、衝突圧が小さいとスケールが除去しきれず表面に残ってしまう。その状態で仕上げ圧延されると残ったスケールが鋼板表面に押し込まれて鋼板の表面粗さが大きくなってしまう。そのため、仕上げ圧延機の入り側での高圧水の衝突圧を3MPa以上とする必要がある。好ましくは5MPa以上、より好ましくは8MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上である。上限は特に規定しないが15MPaが好ましい。時間は特に限定しないが、仕上げ圧延中の鋼板の温度が低くなりすぎないように、0.1〜5sが好ましい。なお、上記において、衝突圧とは、高圧水が鋼材表面に衝突する単位面積あたりの力である。
950℃以下の累積圧下率:0.7以上
低い温度での圧下率を大きくすると、フェライト粒径を小さくすることができる。そのため、950℃以下での圧下率を累積で0.7以上とする。好ましくは1.0以上、より好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.6以上である。上限は特に規定しないが、2.0が好ましい。なお、累積圧下率とは、仕上げ圧延において、各圧延機での圧下率を入り側と出側の板厚比とした場合の、950℃以下となる各圧延機での圧下率をそれぞれ加算して合計したものである。
仕上圧延出側温度:800℃以上
仕上圧延の出側温度が低くなると、熱間圧延後の冷却過程でフェライト変態が過剰に促進され、Ti、Nb、Vの炭化物が粗大に析出してしまう。さらに、仕上圧延の終了温度がフェライト域になると、フェライト粒径が大きくなるとともに、歪誘起析出によりTi、Nb、Vの炭化物が粗大に析出してしまう。そのため、仕上圧延出側の温度は800℃以上とする。好ましくは820℃以上、より好ましくは850℃以上である。仕上圧延出側温度の上限は特に規定しないが、920℃が好ましい。
仕上圧延終了後750℃まで最大衝突圧5kPa以上、平均冷却速度30℃/s以上とする冷却
仕上圧延終了から750℃までの最大衝突圧:5kPa以上
仕上圧延終了から750℃までの間において、冷却水により鋼板を冷却するに際し、冷却水の最大衝突圧を大きくすることで、鋼板表層部のフェライト粒径を小さくすることができる。そのため、仕上圧延終了から750℃開始までの、冷却水の最大衝突圧を5kPa以上とする。好ましくは10kPa以上、より好ましくは15kPa以上である。最大衝突圧の上限は特に規定しないが200kPaが好ましい。なお、上記において、最大衝突圧とは、高圧水が鋼材表面に衝突する単位面積あたりの最大の力である。
仕上圧延終了から750℃までの平均冷却速度:30℃/s以上
仕上圧延終了から750℃までの冷却速度が小さいと、フェライト変態が高温で起こり、粒径が大きくなり、Ti、Nb、Vの炭化物が粗大に析出してしまう。したがって、仕上圧延終了から750℃までの平均冷却速度を30℃/s以上とする。好ましくは50℃/s以上、さらに好ましくは70℃/s以上である。上限は特に規定しないが、温度制御の観点から200℃/sが好ましい。
750℃から巻取温度530℃以上680℃以下まで、平均冷却速度を10℃/s以上で冷却
750℃から巻取温度までの冷却速度が遅いと、フェライト変態が促進されることで、Ti、Nb、Vの炭化物が粗大化してしまうとともに、フェライト結晶粒が粗大化してしまう。そのため、750℃から巻取りまでの平均冷却速度は10℃/s以上とする。好ましくは20℃/s以上である。上限は特に規定しないが、温度制御の観点から100℃/sが好ましい。
巻取温度:530℃以上680℃以下
巻取温度が高いと、フェライト変態が促進されることで、Ti、Nb、Vの炭化物が粗大化するとともに、フェライト結晶粒が粗大化してしまう。そのため、巻取温度を680℃以下とする必要があり、好ましくは650℃以下である。一方、巻取り温度が低いと、フェライト変態が抑制され、フェライトの分率が小さくなるとともに、Ti、Nb、Vの微細炭化物の生成も抑制されてしまう。さらに、粒成長が抑止されすぎることで、アスペクト比が大きくなってしまう。そのため、巻取温度を530℃以上とする。好ましくは570℃以上、より好ましくは600℃以上である。
以上により、本発明の高強度鋼板が製造される。なお、上記において、仕上圧延出側温度、巻取温度は、鋼板表面の温度とする。仕上圧延終了後から750℃までの平均冷却速度、750℃から巻取温度までの平均冷却速度は、鋼板表面の温度をもとに規定される。
巻取り後、酸洗(好適条件)
以上により得られた高強度鋼板に対して、酸洗を行うことができる。酸洗の方法は特に限定しない。塩酸酸洗や硫酸酸洗が挙げられる。酸洗を行うことで、鋼板表面のスケールが除去され、化成処理性や塗装密着性がよくなる。また、後に続く、溶融めっき処理や、電気めっき処理を行った場合のめっき密着性が良好となる。
また、本発明の高強度鋼板の材質は、めっき処理やめっき浴の組成による影響をうけないため、めっき処理として、溶融亜鉛めっき処理、合金化溶融亜鉛めっき処理、電気めっき処理のいずれも施すことができる。
酸洗後、均熱温度750℃以下の焼鈍を行い、次いで、溶融めっき処理(好適条件)
酸洗後に、均熱温度750℃以下の焼鈍を行う。均熱温度を750℃以下とすることで、Ti、Nb、Vの炭化物の粗大化と結晶粒の粗大化を抑制することができる。次いで、めっき浴に浸漬し、溶融めっき処理を行う。例えば、溶融亜鉛めっき処理の場合、めっき浴は420〜500℃が好ましい。めっき浴が420℃未満では亜鉛が溶融しない。一方、500℃超えではめっきの合金化が過剰に進んでしまう。
溶融めっき処理後、合金化処理温度460〜600℃、保持時間1s以上で合金化処理(好適条件)
溶融めっき処理後、460〜600℃まで再加熱をおこない、再加熱温度で1s以上保持することで合金化溶融亜鉛めっき鋼板とすることができる。再加熱温度が460℃未満では、合金化が不十分である。一方、600℃超えでは合金化が過剰に進行してしまう。また、保持時間が1s未満では合金化が不十分である。なお、再加熱温度は鋼板表面の温度とする。
酸洗後、電気めっき処理
酸洗後、電気めっき処理を行うことで、亜鉛めっき、亜鉛とAlの複合めっき、亜鉛とNiの複合めっき、Alめっき、AlとSiの複合めっきを鋼板表面に形成することができる。
板厚減少率0.1〜3.0%の加工
以上により得られた高強度鋼板に、軽加工を加えることで可動転位を増やし、靭性を高くすることができる。この効果を得るため、0.1%以上の板厚減少率で軽加工を行うことが好ましい。より好ましくは、板厚減少率は0.3%以上である。一方、板厚減少率が大きくなると、転位の相互作用で転位が移動しにくくなり、靭性が低下することから、軽加工を行う場合には板厚減少率を3.0%以下とすることが好ましく、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。ここで、軽加工としては、圧延ロールによる圧下を鋼板に加えることでもよいし、鋼板に張力を与える引張りによる加工でもよい。さらに、圧延と引張りの複合加工でもよい。
表1に示す成分組成からなる溶鋼を通常公知の手法により溶製、連続鋳造して鋼スラブを製造した。これらのスラブを、表2に示す製造条件にて、熱間圧延、冷却、巻取りを行い、熱延鋼板とした。また、一部については、酸洗(塩酸濃度:質量%で10%、温度:80℃)し、表2に示す条件でめっき処理を行った。
以上により得られた高強度鋼板からそれぞれ試験片を採取し、以下の試験、評価を行った。なお、めっき鋼板の場合は、めっき後の鋼板で試験、評価を行った。
フェライト面積率
圧延方向−板厚方向断面を埋め込み研磨し、ナイタール腐食後、走査型電子顕微鏡(SEM)にて板厚1/4部を中心とし倍率1000倍として100×100μm領域の写真を3枚撮影し、そのSEM写真を画像処理することにより求めた。
表層50μmの位置での平均粒径
圧延方向−板厚方向断面を埋め込み研磨し、ナイタール腐食後、測定ステップ0.1μmでEBSD測定をおこない、方位差15°以上を粒界として求めた。スケールを除く表層50μm位置での測定長さは500μmとし、表層50μm位置にある結晶粒全てについて、その各々の面積を円換算して直径を求め、それらの直径の平均値を平均粒径とした。
鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径
圧延方向−板厚方向断面を埋め込み研磨し、ナイタール腐食後、測定ステップ0.1μmでEBSD測定をおこない、100×100μm領域の3視野について方位差15°以上を粒界として求めた。視野内の各々の粒の面積を円換算して直径を求め、それらの直径の平均値を平均粒径とした。
鋼板表面から板厚1/4部での圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比
平均粒径と同じ視野(100×100μm領域の3視野)で、切断法により圧延方向と板厚方向の平均粒径をそれぞれ求め、(板厚方向の平均粒径)/(圧延方向の平均粒径)の値より求めた。
析出C量
まず、特許第4737278号公報に示すように、鋼板から採取した試験片を陽極として10%AA系電解液(10体積%アセチルアセトン−1質量%テトラメチルアンモニウムクロライド−メタノール電解液)中で定電流電解を行い、この試験片を一定量溶解した後、孔径20nmのフィルターを用いて電解液を濾過し、ついで、得られた濾液中のTi、NbおよびV量、さらにはMo、TaおよびW量を、ICP発光分光分析法により分析して求めた。Ti、NbおよびV、さらにはMo、TaおよびWが全て炭化物であったとして、測定結果から換算して析出C量を求めた。
算術平均粗さRa
JIS B0601に準拠してRaを求めた。圧延直角方向に5回測定してその平均値をRaとした。めっき板についてはめっき後の鋼板のRaを、熱延鋼板については、酸洗後の鋼板のRaをそれぞれ求めた。
機械特性
圧延直角方向を長手方向としてJIS5号引張り試験片を切り出し、JIS Z2241に準拠して引張試験を行い、降伏強度(YP)、引張強度(TS)、均一伸び(U-El)、全伸び(El)を求めた。試験は2個で行い、それぞれの平均値をその鋼板の機械特性値とした。引張強度(TS)≧780MPa、TS×U-Elが7000(MPa・%)以上を合格とした。
靭性
板厚を元厚まま(試験片採取時の板厚)とした以外はJISZ2242に準拠したVノッチ試験片を長手が圧延直角方向となるように作成し、シャルピー衝撃試験により延性-脆性遷移温度(DBTT)を求めて評価した。延性-脆性遷移温度(DBTT)が-40℃以下である場合を、靭性に優れるとした。
以上により得られた結果を表3に示す。
Figure 0006455462
Figure 0006455462
Figure 0006455462
表3より、本発明例では、靭性と延性に優れた高強度鋼板が得られていることがわかる。
図1〜図6は、表3に示す結果をもとに整理したものであり、図1は粒子径20nm未満の析出C量に対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図、図2は鋼板表面から板厚深さ方向に表層50μmでの平均粒径を3500×TS−0.85で割った値に対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図、図3は鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径を4000×[TS(MPa) ]−0.85で割った値に対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図、図4は鋼板表面から板厚1/4部での圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比(板厚1/4部アスペクト比)に対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図、図5は算術平均粗さに対する延性-脆性遷移温度(DBTT)の関係を示す図、図6は、フェライト面積率とTS×U-Elの関係を示す図である。
図1より、析出C量を本発明の範囲内とすることで、延性-脆性遷移温度(DBTT)を-40℃以下にできることがわかる。
図2より、鋼板表面から板厚深さ方向に表層50μmでの平均粒径を本発明の範囲内とすることで、延性-脆性遷移温度(DBTT)を-40℃以下にできることがわかる
図3より、鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径を本発明の範囲内とすることで、延性-脆性遷移温度(DBTT)を-40℃以下にできることがわかる。
図4より鋼板表面から板厚1/4部での圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比(板厚1/4部アスペクト比)を本発明の範囲内とすることで、延性-脆性遷移温度(DBTT)を-40℃以下にできることがわかる。
図5より、算術平均粗さを本発明の範囲内とすることで、延性-脆性遷移温度(DBTT)を-40℃以下にできることがわかる。
図6より、フェライト面積率を本発明の範囲内とすることで、TS×U-Elが7000 MPa・%以上にできることがわかる。

Claims (14)

  1. 成分組成は、質量%で、C:0.04〜0.20%、Si:0.6〜1.5%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.10%以下、S:0.030%以下、Al:0.10%以下、N:0.010%以下を含有し、Ti、Nb、Vの1種または2種以上をそれぞれ0.01〜1.0%含有し、残部は鉄および不可避的不純物からなり、
    組織は、面積率で、フェライトが70%以上であり、
    鋼板表面から板厚深さ方向に50μmの位置での平均粒径が3500×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下、鋼板表面から板厚1/4部での平均粒径が4000×[引張強度TS(MPa) ]−0.85μm以下、鋼板表面から板厚1/4部での圧延方向の平均粒径に対する板厚方向の平均粒径の比が1.5以下であり、
    鋼中に析出した粒子径20nm未満の析出物中のC量が、鋼板全体を100質量%としたとき0.020質量%以上であり、
    算術平均粗さRaが3.0μm以下であることを特徴とする靭性と延性に優れた高強度鋼板。
  2. 前記成分組成に加えて、質量%で、Mo、Ta、Wの1種または2種以上をそれぞれ0.005〜0.50%含有することを特徴とする請求項1に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
  3. 前記成分組成に加えて、質量%で、Cr、Ni、Cuの1種または2種以上をそれぞれ0.01〜1.0%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
  4. 前記成分組成に加えて、質量%で、Ca、REMの1種または2種をそれぞれ0.0005〜0.01%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
  5. 前記成分組成に加えて、質量%で、Sb:0.005〜0.050%を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
  6. 前記成分組成に加えて、質量%で、B:0.0005〜0.0030%を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
  7. 鋼板表面にめっき層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の高強度鋼板の製造方法であって、
    前記成分組成を有する鋼スラブに対して、鋳造後、直接圧延または1200℃以上に再加熱し、
    次いで、粗圧延後、仕上げ圧延前に、衝突圧を3MPa以上とするデスケーリングを行い、950℃以下の累積圧下率を0.7以上、仕上圧延出側温度を800℃以上とする熱間圧延を行い、
    次いで、仕上圧延終了後750℃まで最大衝突圧5kPa以上、平均冷却速度30℃/s以上とする冷却を行い、
    次いで、巻取温度530℃以上680℃以下まで、平均冷却速度10℃/s以上で冷却し、
    巻取温度530℃以上680℃以下で巻取ることを特徴とする靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  9. さらに、前記巻取り後、酸洗を行うことを特徴とする請求項8に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  10. さらに、前記酸洗後、均熱温度750℃以下の焼鈍を行い、次いで、溶融めっき処理することを特徴とする請求項9に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  11. さらに、溶融めっき処理後、合金化処理温度460〜600℃、保持時間1s以上で合金化処理を行うことを特徴とする請求項10に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  12. さらに、前記酸洗後、電気めっき処理することを特徴とする請求項9に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  13. 前記巻取り、前記酸洗、前記溶融めっき処理、前記合金化処理、前記電気めっき処理のいずれかの処理後、板厚減少率0.1〜3.0%の加工を施すことを特徴とする請求項8ないし12のいずれか一項に記載の靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  14. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の高強度鋼板に対して、めっき処理することを特徴とする靭性と延性に優れた高強度鋼板の製造方法。
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