以下、本発明の発光素子、発光装置、表示装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
まず、本発明の発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)1について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光素子の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図1に示す発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)1は、複数種の有機発光材料が、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)に発光する有機発光素子である。そして、これらの光により白色発光が得られる。
このような発光素子1は、陽極3と、正孔注入層4と、正孔輸送層5と、複数の発光層からなる発光部6と、電子輸送層7と、電子注入層8と、陰極9と、がこの順に積層されてなるものである。また、発光部6は、陽極3側から陰極9側に、赤色発光層(第1の発光層)61と、中間層62と、青色発光層(第2の発光層)63と、緑色発光層(第3の発光層)64と、がこの順に積層された積層体である。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材10で封止されている。
この発光素子1にあっては、陽極3および陰極9に駆動電圧が印加されることにより、赤色発光層61、青色発光層63、および緑色発光層64に対し、陰極9側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、各発光層では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)する。これにより、発光素子1は、白色発光する。
基板2は、陽極3を支持するものである。本実施形態の発光素子1は、基板2側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、基板2および陽極3は、それぞれ、実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされている。
基板2の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような基板2の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜30mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。
なお、発光素子1が基板2と反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)の場合、基板2には、透明基板および不透明基板のいずれも用いることができる。
不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
以下、発光素子1を構成する各部を順次説明する。
[陽極]
陽極3は、後述する正孔注入層4を介して正孔輸送層5に正孔を注入する電極である。この陽極3の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
陽極3の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In3O3、SnO2、Sb含有SnO2、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような陽極3の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。
[陰極]
一方、陰極9は、後述する電子注入層8を介して電子輸送層7に電子を注入する電極である。この陰極9の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極9の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
特に、陰極9の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極9の構成材料として用いることにより、陰極9の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
このような陰極9の平均厚さは、特に限定されないが、100〜10000nm程度であるのが好ましく、100〜500nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態の発光素子1は、ボトムエミッション型であるため、陰極9に、光透過性は、特に要求されない。
[正孔注入層]
正孔注入層4は、陽極3からの正孔注入効率を向上させる機能を有する(すなわち正孔注入性を有する)ものである。
この正孔注入層4は、正孔注入性を有する材料(すなわち正孔注入材料)を含んでいる。
この正孔注入材料としては、特に限定されないが、例えば、銅フタロシアニンや、4,4’,4’’−トリス(N,N−フェニル−3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、下記式(1)に示すN,N’−ビス−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−N, N’−ジフェニル−ビフェニル−4−4’−ジアミン等が挙げられる。
中でも、正孔注入材料としては、正孔注入性に優れるという観点から、アミン系化合物を用いるのが好ましい。
このような正孔注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100nmであるのが好ましく、1〜80nmであるのがより好ましい。これにより、発光素子1の駆動電圧をより低いものとすることができる。
[正孔輸送層]
正孔輸送層5は、正孔注入層4と接触して設けられており、陽極3から正孔注入層4を介して注入された正孔を赤色発光層61まで輸送する機能を有するものである。この正孔輸送層5の構成材料には、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができ、例えば、アミンをその化学構造中に有するアミン系化合物を用いることができる。
アミン系化合物は、正孔注入材料により電子を好適に引き抜かれることができ、容易に正孔が注入されることができる材料である。このため、正孔輸送層5の構成材料としてアミン系化合物を用いることにより、正孔注入層4を介して陽極3から好適に正孔が注入されることができ、発光素子1は、より低い電圧であっても好適に駆動できるものとなる。
アミン系化合物としては、例えば、下記式(2)に示されるN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、下記式(3)で表わされる化合物、下記式(4)で表わされる化合物等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、上述した中でも、アミン系化合物としては、上記式(2)に示されるN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)を用いることが好ましい。このような化合物は、正孔注入材料により電子を、より好適に引き抜かれることができ、特に容易に正孔が注入されることができるため、発光素子1は、より低い電圧であっても好適に駆動できるものとなる。
このような正孔輸送層5の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであるのが好ましく、10〜100nmであるのがより好ましい。
[発光部]
上述したように、発光部6は、陽極3側から、赤色発光層(第1の発光層)61と、中間層62と、青色発光層(第2の発光層)63と、緑色発光層(第3の発光層)64とが積層された積層体である。
以下、これらの各層について順次、説明する。なお、本実施形態では、以下で説明する、青色発光層(第2の発光層)63と、緑色発光層(第3の発光層)64とが、本発明の発光素子が備える発光層で構成される。
(赤色発光層)
赤色発光層(第1の発光層)61は、本実施形態では、赤色(第1の色)に発光する赤色発光材料(第1の発光材料)と、赤色発光材料を保持するホスト材料(第1のホスト材料)とを含んで構成されている。
このような赤色発光材料としては、特に限定されず、各種赤色蛍光材料、赤色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
赤色蛍光材料としては、赤色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、下記式(5)に示すテトラアリールジインデノペリレン誘導体等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等を挙げられる。
赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものも挙げられる。より具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
また、赤色発光層61の構成材料としては、赤色発光材料(発光材料)に加えて、この赤色発光材料をゲスト材料とするホスト材料(第1のホスト材料)が含まれる。このホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを赤色発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、赤色発光材料を励起する機能を有する。このようなホスト材料は、例えば、ゲスト材料である赤色発光材料を発光ドーパントとしてホスト材料にドープして用いられる。
このような第1のホスト材料としては、用いる赤色発光材料に対して前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、赤色発光材料が赤色蛍光材料を含む場合、例えば、下記式(6)に示すようなアントラセン誘導体、2−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)のようなアントラセン誘導体および下記式(7)に示されるナフタセン誘導体等のアセン誘導体(アセン系化合物)、ジスチリルアリーレン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)等のキノリノラト系金属錯体、トリフェニルアミンの4量体等のトリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、ジカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、赤色発光材料が赤色燐光材料を含む場合、第1のホスト材料としては、例えば、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニルカルバゾール、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
赤色発光層61中における赤色発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜10wt%であるのが好ましく、0.1〜5wt%であるのがより好ましい。赤色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができ、後述する青色発光層63や緑色発光層64の発光量とのバランスをとりつつ赤色発光層61を発光させることができる。
また、赤色発光層61の平均厚さは、特に限定されないが、1〜20nm程度であるのが好ましく、3〜10nm程度であるのがより好ましい。
(中間層)
中間層62は、前述した赤色発光層61と後述する青色発光層63との層間にこれらに接するように設けられている。そして、中間層62は、青色発光層63から赤色発光層61へ輸送される電子の量を調節する機能を有する。また、中間層62は、赤色発光層61から青色発光層63へ輸送される正孔の量を調節する機能を有する。また、中間層62は、赤色発光層61と青色発光層63との間で励起子のエネルギーが移動するのを阻止する機能を有する。この機能により、赤色発光層61および青色発光層63をそれぞれ効率よく発光させることができる。この結果、各発光層をバランスよく発光させることができ、発光素子1は目的とする色(本実施形態では白色)を発光することができるものとなるとともに、発光素子1の発光効率および発光寿命の向上を図ることができる。
このような中間層62の構成材料としては、中間層62が前述したような機能を発揮することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、正孔を輸送する機能を有する材料(正孔輸送材料)、電子を輸送する機能を有する材料(電子輸送材料)等を用いることができる。
このような中間層62に用いられる正孔輸送材料としては、中間層62が前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されず、例えば、前述した正孔輸送材料のうちのアミン骨格を有するアミン系化合物を用いることができるが、ベンジジン系アミン誘導体を用いるのが好ましい。
特に、ベンジジン系アミン誘導体のなかでも、中間層62に用いられるアミン系化合物としては、2つ以上の芳香環基を導入したものが好ましく、テトラアリールベンジジン誘導体がより好ましい。このようなベンジジン系アミン誘導体としては、例えば、前記式(2)に示されるN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)や、N,N,N’,N’−テトラナフチル−ベンジジン(TNB)などが挙げられる。このようなアミン系化合物は、一般に、正孔輸送性に優れている。したがって、赤色発光層61から中間層62を介して青色発光層63へ正孔を円滑に受け渡すことができる。
中間層62に用いることができる電子輸送材料としては、中間層62が前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されず、例えば、アセン系化合物を用いることができる。アセン系化合物は、電子輸送性に優れるため、青色発光層63から中間層62を介して赤色発光層61へ電子を円滑に受け渡すことができる。また、アセン系化合物は励起子に対する体制に優れているため、中間層62の励起子による劣化を防止または抑制し、その結果、発光素子1の耐久性を優れたものとすることができる。
このようなアセン系化合物としては、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、ヘキサセン誘導体、ヘプタセン誘導体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体を用いるのが好ましく、アントラセン誘導体を用いることがより好ましい。アントラセン誘導体としては、例えば、前記式(6)に示されるアントラセン誘導体、2−t−ブチル−9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(TBADN)等が挙げられる。
さらに、このような中間層62の構成材料としては、赤色発光層61の第1のホスト材料として説明したのと同様のものを用いるようにしてもよいし、青色発光層63の第2のアシストドーパント材料として説明したのと同様のものを用いるようにしてもよい。
また、中間層62の平均厚さは、特に限定されないが、5〜50nm程度であるのが好ましく、10〜30nm程度であるのがより好ましい。
(青色発光層)
青色発光層(第2の発光層)63は、本実施形態では、青色(第2の色)に発光する青色発光材料(第2の発光材料)と、青色発光材料を保持するホスト材料(第2のホスト材料)と、このホスト材料に対して逆の移動度を有するアシストドーパント材料(第2のアシストドーパント材料)とを含んで構成されている。
このような青色発光材料としては、特に限定されず、各種青色蛍光材料、青色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、下記式(8)で示されるジスチリルジアミン系化合物等のジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(エチルニルベンゼン)]等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられる。より具体的には、ビス[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C2’]−ピコリネート−イリジウム、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2’]イリジウム、ビス[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C2’]−ピコリネート−イリジウム、ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
また、青色発光層63の構成材料としては、青色発光材料(発光材料)に加えて、この青色発光材料をゲスト材料とするホスト材料(第2のホスト材料)が含まれる。このホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを青色発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、青色発光材料を励起する機能を有する。このようなホスト材料は、例えば、ゲスト材料である青色発光材料を発光ドーパントとしてホスト材料にドープして用いられる。このような第2のホスト材料としては、赤色発光層61の第1のホスト材料として説明したのと同様のホスト材料を用いることができるが、中でも、アセン系化合物であることが好ましい。アセン系化合物は、電子輸送性の高いホスト材料であることから、赤色発光層61側に電子を円滑に供給する必要がある青色発光層63のホスト材料として好適に用いられる。
また、青色発光層63の構成材料としては、青色発光材料(発光材料)およびホスト材料(第2のホスト材料)に加えて、アシストドーパント材料(第2のアシストドーパント材料)が含まれる。
このアシストドーパント材料は、ホスト材料に対して逆の移動度を有するもの、すなわち、ホスト材料が電子輸送性の高いものである場合には、正孔輸送性の高い材料であり、ホスト材料が正孔輸送性の高いものである場合には、電子輸送性の高い材料である。このようにアシストドーパント材料は、ホスト材料に対して逆の移動度を有することで、かかる青色発光層63において、正孔と電子とをバランスよく流すことができ、その結果、正孔と電子とが再結合して励起子を生成する厚さ方向の位置を調整する機能を発揮する。このようなアシストドーパント材料は、例えば、ホスト材料と混合して用いられる。
なお、かかる構成の青色発光層63では、通常、赤色発光層61側に電子を円滑に供給する必要があることから、電子輸送性の高い材料がホスト材料として用いられるため、アシストドーパント材料としては正孔輸送性の高い材料が好適に選択される。
アシストドーパント材料(第2のアシストドーパント材料)としては、ホスト材料に対して逆の移動度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、下記式(2)に示されるN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、下記式(3)で表わされる化合物、下記式(4)で表わされる化合物等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体(アミン系化合物)、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体およびジフェニルキノン誘導体等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
青色発光層63中における青色発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜20wt%であるのが好ましく、1〜15wt%であるのがより好ましい。青色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができ、赤色発光層61や後述する緑色発光層64の発光量とのバランスをとりつつ青色発光層63を発光させることができる。
また、青色発光層63の平均厚さは、特に限定されないが、5〜50nm程度であるのが好ましく、10〜40nm程度であるのがより好ましい。
(緑色発光層)
緑色発光層(第3の発光層)64は、緑色(第3の色)に発光する緑色発光材料(第3の発光材料)と、緑色発光材料を保持するホスト材料(第3のホスト材料)と、このホスト材料に対して逆の移動度を有するアシストドーパント材料(第3のアシストドーパント材料)とを含んで構成されている。
このような緑色発光材料としては、特に限定されず、各種緑色蛍光材料、緑色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
緑色蛍光材料としては、緑色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、クマリン誘導体、下記式(9)に示すキナクリドン誘導体等のキナクリドンおよびその誘導体、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられる。中でも、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つが、フェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものが好ましい。より具体的には、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウムが挙げられる。
また、緑色発光層64の構成材料としては、緑色発光材料(発光材料)に加えて、この緑色発光材料をゲスト材料とするホスト材料(第3のホスト材料)が含まれる。このホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを緑色発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、緑色発光材料を励起する機能を有する。このようなホスト材料は、例えば、ゲスト材料である緑色発光材料を発光ドーパントとしてホスト材料にドープして用いられる。このような第3のホスト材料としては、赤色発光層61の第1のホスト材料として説明したのと同様のホスト材料を用いることができるが、中でも、アセン系化合物であることが好ましい。アセン系化合物は、電子輸送性の高いホスト材料であることから、赤色発光層61側に電子を円滑に供給する必要がある緑色発光層64のホスト材料として好適に用いられる。
また、緑色発光層64の構成材料としては、緑色発光材料(発光材料)およびホスト材料(第3のホスト材料)に加えて、ホスト材料に対して逆の移動度を有するアシストドーパント材料(第3のアシストドーパント材料)が含まれる。
このアシストドーパント材料は、ホスト材料に対して逆の移動度を有することで、かかる緑色発光層64において、正孔と電子とが再結合して励起子を生成する厚さ方向の位置を調整する機能を発揮する。このようなアシストドーパント材料は、例えば、ホスト材料と混合して用いられる。
このようなアシストドーパント材料(第3のアシストドーパント材料)としては、例えば、青色発光層63の第2のアシストドーパント材料として説明したのと同様のアシストドーパント材料を用いることができる。
なお、かかる構成の緑色発光層64では、青色発光層63と同様に、通常、赤色発光層61側に電子を円滑に供給する必要があることから、電子輸送性の高い材料がホスト材料として用いられるため、アシストドーパント材料としては正孔輸送性の高い材料が好適に選択される。
緑色発光層64中における緑色発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜20wt%であるのが好ましく、0.5〜15wt%であるのがより好ましい。緑色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができ、赤色発光層61や青色発光層63の発光量とのバランスをとりつつ緑色発光層64を発光させることができる。
また、緑色発光層64の平均厚さは、特に限定されないが、5〜50nm程度であるのが好ましく、10〜40nm程度であるのがより好ましい。
さて、前述の通り、青色発光層63および緑色発光層64は、それぞれ、発光材料と、ホスト材料との他にさらに、ホスト材料に対して逆の移動度を有するアシストドーパント材料が構成材料として含まれる構成をなしている。
このように発光層63、64を、アシストドーパント材料を含むものとすることにより、発光層63、64におけるキャリア輸送性を制御することができる。その結果、正孔と電子とが再結合して励起子を生成する厚さ方向の位置が調整され、発光素子1の高効率化および長寿命化が図られるが、単に、アシストドーパント材料を含むものとしたり、ホスト材料とアシストドーパント材料のHOMO、LUMOの関係を制御したりするだけでは、正孔および電子のキャリア輸送性を十分に制御することができず、発光層63、64におけるキャリアの再結合位置を良好な位置に設定することができなかった。すなわち、発光層63、64において、キャリアが再結合する位置を、発光層63、64が隣接する層との界面付近から十分に離間することができなかった。
これに対して、本発明では、発光層63、64を、アシストドーパント材料を含むものとすることで、発光層63、64における正孔の移動度をμh[cm2/Vs]とし、電子の移動度をμe[cm2/Vs]としたとき移動度比μe/μhが下記式(I)の関係を満足するよう設定されている。すなわち、本発明では、発光層63、64における正孔の移動度と電子の移動度との関係を制御している。
0.01≦μe/μh≦100 ・・・ (I)
かかる関係を満足することで、発光層63、64において、正孔と電子とをバランスよく流すことが可能となるため、キャリアが再結合する位置(再結合サイト)を、発光層63、64が隣接する層との界面付近から十分に離間することができるとともに、この再結合サイトを広げることができるため、界面付近における局所的な発光材料(ドーパント材料)の劣化が抑制される。その結果、発光素子1は、優れた発光特性およびかかる発光特性を長期に亘って持続する寿命特性を有するものとなる。
なお、移動度比μe/μhの値は、インピーダンス分光法により、発光層の正孔移動度および電子移動度を測定し、これらの比を得ることで求めることができる。
なお、μe/μh値は、前記式(I)に示すとおり、0.01以上100以下であれば良いが、0.1以上10以下であることが好ましい。これにより、発光層63、64における再結合サイトをより確実に広げることができる。
また、μe/μh値の大きさは、発光層63、64に含まれるホスト材料の種類および含有量に応じて、アシストドーパントの種類および含有量を適宜選択することにより調整されるが、具体的には、ホスト材料として、前述したもののうち、アセン系化合物を用いた場合には、アシストドーパント材料としては、アミン系化合物であることが好ましい。これにより、μe/μh値の大きさを0.01以上100以下の範囲内に容易に設定することができる。
さらに、アセン系化合物としては、前記式(4)で表わされる化合物であることが好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
また、アシストドーパント材料の含有量は、発光層63、64において、20wt%以上、70wt%以下であることが好ましく、20wt%以上、50wt%以下であることがより好ましい。アシストドーパント材料の含有量をかかる範囲内に設定することにより、μe/μh値の大きさを0.01以上100以下の範囲内に容易に設定することができる。すなわち、アシストドーパント材料が正孔輸送性の高い材料である場合には、アシストドーパント材料の含有量が前記下限値未満であると、アシストドーパント材料の種類によっては、発光層63、64が陽極側で接する層との界面付近から再結合サイトを十分に離間することができず、この界面付近における局所的な発光材料の劣化を抑制することができないおそれがある。また、アシストドーパント材料の含有量が前記上限値を超えると、アシストドーパント材料の種類によっては、発光層63、64に陰極側で接する層にまで正孔が過剰に到達してしまい、これに起因して、正孔が到達した層の変質・劣化を招き、発光素子1の特性が低下するおそれがある。
(電子輸送層)
電子輸送層7は、陰極9から電子注入層8を介して注入された電子を緑色発光層64に輸送する機能を有するものである。
電子輸送層7の構成材料(電子輸送材料)としては、例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等のフェナントロリン誘導体、下記式(10)に示すトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、下記式(11)に示される化合物のようなアザインドリジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層7の平均厚さは、特に限定されないが、0.5〜100nm程度であるのが好ましく、1〜50nm程度であるのがより好ましい。
(電子注入層)
電子注入層8は、陰極9からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層8の構成材料(電子注入材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層8を構成することにより、発光素子1は、高い輝度が得られるものとなる。
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、Li2O、LiO、Na2S、Na2Se、NaO等が挙げられる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF2、BaF2、SrF2、MgF2、BeF2等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層8の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、0.2〜100nm程度であるのがより好ましく、0.2〜50nm程度であるのがさらに好ましい。
(封止部材)
封止部材10は、陽極3、積層体15、および陰極9を覆うように設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。封止部材10を設けることにより、発光素子1の信頼性の向上や、変質・劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
封止部材10の構成材料としては、例えば、Al、Au、Cr、Nb、Ta、Tiまたはこれらを含む合金、酸化シリコン、各種樹脂材料等を挙げることができる。なお、封止部材10の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、封止部材10と陽極3、積層体15、および陰極9との間には、必要に応じて、絶縁膜を設けるのが好ましい。
また、封止部材10は、平板状として、基板2と対向させ、これらの間を、例えば熱硬化性樹脂等のシール材で封止するようにしてもよい。
以上のような発光素子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1] まず、基板2を用意し、この基板2上に陽極3を形成する。
陽極3は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
[2] 次に、陽極3上に正孔注入層4を形成する。
正孔注入層4は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、正孔注入層4は、例えば、正孔注入材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔注入層形成用材料を、陽極3上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
正孔注入層形成用材料の供給方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることもできる。かかる塗布法を用いることにより、正孔注入層4を比較的容易に形成することができる。
正孔注入層形成用材料の調製に用いる溶媒または分散媒としては、例えば、各種無機溶媒や、各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
なお、乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
また、本工程に先立って、陽極3の上面には、酸素プラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、陽極3の上面を親液性を付与すること、陽極3の上面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極3の上面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極3)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度、基板2の温度70〜90℃程度とするのが好ましい。
[3] 次に、正孔注入層4上に正孔輸送層5を形成する。
正孔輸送層5は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、正孔輸送材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる正孔輸送層形成用材料を、正孔注入層4上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[4] 次に、正孔輸送層5上に、赤色発光層61を形成する。
赤色発光層61は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[5] 次に、赤色発光層61上に、中間層62を形成する。
中間層62は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[6] 次に、中間層62上に、青色発光層63を形成する。
青色発光層63は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[7] 次に、青色発光層63上に、緑色発光層64を形成する。
緑色発光層64は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
[8] 次に、緑色発光層64上に電子輸送層7を形成する。
電子輸送層7は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、電子輸送層7は、例えば、電子輸送材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる電子輸送層形成用材料を、緑色発光層64上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[9] 次に、電子輸送層7上に、電子注入層8を形成する。
電子注入層8の構成材料として無機材料を用いる場合、電子注入層8は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセス、無機微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
[10] 次に、電子注入層8上に、陰極9を形成する。
陰極9は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合、金属微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
以上のような工程を経て、発光素子1が得られる。
最後に、得られた発光素子1を覆うように封止部材10を被せ、基板2に接合する。
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る発光素子の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図2中の上側、すなわち陰極9側を「上」、下側、すなわち陽極3側を「下」として説明を行う。
本実施形態にかかる発光素子1Aは、発光部6Aが一層の発光層であること以外は、前述した第1実施形態の発光素子1と同様である。
かかる構成の発光素子1Aにおいて、発光部6Aは、発光材料と、前記発光材料を保持するホスト材料と、前記ホスト材料に対して逆の移動度を有するアシストドーパント材料とを含んで構成され、この発光部(発光層)6Aにおいて、0.01≦μe/μh≦100の関係を満足している。
発光部6Aに用いることのできる発光材料としては、特に限定されず、上述した赤色発光材料、青色発光材料、緑色発光材料等を適宜1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、発光部6Aに含まれる、ホスト材料およびアシストドーパント材料としては、上述した第1の実施形態で挙げたものをそれぞれ用いることができる。
以上のような構成によっても、本発明の第1実施形態と同様の効果が得られる。
上述したような発光素子1、1Aは、例えば、発光装置(本発明の発光装置)に用いることができる。
このような発光装置は、前述したような発光素子1、1Aを備えるため、比較的低電圧で駆動できるものとなっている。
また、このような発光装置は、例えば照明等に用いる光源等として使用することができる。
また、発光装置中の複数の発光素子1をマトリックス状に配置することにより、ディスプレイ装置に用いる発光装置を構成することができる。
次に、本発明の表示装置を適用したディスプレイ装置の一例について説明する。
図3は、本発明の表示装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。
図3に示すディスプレイ装置100は、サブ画素100R、100G、100Bに対応して設けられた複数の発光素子1R、1G、1Bを備える発光装置101と、カラーフィルター19R、19G、19Bとを有している。ここで、ディスプレイ装置100は、トップエミッション構造のディスプレイパネルである。なお、ディスプレイ装置の駆動方式としては、特に限定されず、アクティブマトリックス方式、パッシブマトリックス方式のいずれであってもよい。
発光装置101は、基板21と発光素子1R、1G、1Bと、駆動用トランジスター24とを有している。
基板21上には、複数の駆動用トランジスター24が設けられ、これらの駆動用トランジスター24を覆うように、絶縁材料で構成された平坦化層22が形成されている。
各駆動用トランジスター24は、シリコンからなる半導体層241と、半導体層241上に形成されたゲート絶縁層242と、ゲート絶縁層242上に形成されたゲート電極243と、ソース電極244と、ドレイン電極245とを有している。
平坦化層22上には、各駆動用トランジスター24に対応して発光素子1R、1G、1Bが設けられている。
発光素子1Rは、平坦化層22上に、反射膜32、腐食防止膜33、陽極3、積層体15、陰極9、陰極カバー34がこの順に積層されている。本実施形態では、各発光素子1R、1G、1Bの陽極3は、画素電極を構成し、各駆動用トランジスター24のドレイン電極245に導電部(配線)27により電気的に接続されている。また、各発光素子1R、1G、1Bの陰極9は、共通電極とされている。
なお、発光素子1G、1Bの構成は、発光素子1Rの構成と同様である。また、図3では、図1と同様の構成に関しては、同一符号を付してある。また、反射膜32の構成(特性)は、光の波長に応じて、発光素子1R、1G、1B間で異なっていてもよい。
隣接する発光素子1R、1G、1B同士の間には、隔壁31が設けられている。
また、このように構成された発光装置101上には、これを覆うように、エポキシ樹脂で構成されたエポキシ層35が形成されている。
カラーフィルター19R、19G、19Bは、前述したエポキシ層35上に、発光素子1R、1G、1Bに対応して設けられている。
カラーフィルター19Rは、発光素子1Rからの白色光Wを赤色に変換するものである。また、カラーフィルター19Gは、発光素子1Gからの白色光Wを緑色に変換するものである。また、カラーフィルター19Bは、発光素子1Bからの白色光Wを青色に変換するものである。このようなカラーフィルター19R、19G、19Bを発光素子1R、1G、1Bと組み合わせて用いることで、フルカラー画像を表示することができる。
また、隣接するカラーフィルター19R、19G、19B同士の間には、遮光層36が形成されている。これにより、意図しないサブ画素100R、100G、100Bが発光するのを防止することができる。
そして、カラーフィルター19R、19G、19Bおよび遮光層36上には、これらを覆うように封止基板20が設けられている。
以上説明したようなディスプレイ装置100は、単色表示であってもよく、各発光素子1R、1G、1Bに用いる発光材料を選択することにより、カラー表示も可能である。
このようなディスプレイ装置100(本発明の表示装置)は、前述したような発光装置を用いるため、比較的低電圧で駆動することのできるものである。そのため、少ない消費電力で高品位な画像を表示することができる。
図4は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
図5は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
図6は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリーが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリーに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリーに格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、図4のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図5の携帯電話機、図6のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダー型、モニタ直視型のビデオテープレコーダー、ラップトップ型パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター、その他各種モニター類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の発光素子、発光装置、表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、前述した実施形態では、発光素子が備える青色発光層および緑色発光層が、発光材料とホスト材料とアシストドーパント材料とを含んで構成され、前記関係式(I)を満足する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、例えば、発光素子が備える赤色発光層が、発光材料とホスト材料とアシストドーパント材料とを含んで構成され、前記関係式(I)を満足するものであってもよいし、青色発光層および緑色発光層の少なくとも一方が、発光材料とホスト材料とアシストドーパント材料とを含んで構成され、前記関係式(I)を満足するものであってもよい。
また、前記実施形態では、発光素子が1層、3層の発光層を有するものについて説明したが、発光層が2層または4層以上であってもよい。このような場合、発光素子が備える少なくとも1層の発光層が発光材料とホスト材料とアシストドーパント材料とを含んで構成され、前記関係式(I)を満足するものであればよい。
さらに、前記第1実施形態では、発光素子が赤色、青色および緑色の光をそれぞれ発光する3層の発光層、すなわち異なる発光色を発光する複数の発光層を有するものについて説明したが、本発明の発光素子は、同色の発光色を発光する複数の発光層を有する発光素子にも適用することができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.発光素子の製造
(実施例1A)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ50nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理を施した。
<2> 次に、ITO電極上に、前記式(2)に示されるN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ40nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、赤色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmの赤色発光層(第1の発光層)を形成した。赤色発光層の構成材料としては、赤色発光材料(ゲスト材料)として前記式(5)に示されるテトラアリールジインデノペリレン誘導体を用い、ホスト材料として前記式(7)に示されるナフタセン誘導体用いた。また、赤色発光層中の発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)を1.5wt%とした。
<4> 次に、赤色発光層上に、中間層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ20nmの中間層を形成した。中間層の構成材料としては、前記式(6)に示すアントラセン誘導体と、前記式(4)で表わされる化合物とを50:50で混合した混合物を用いた。
<5> 次に、中間層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ15nmの青色発光層(第2の発光層)を形成した。青色発光層の構成材料としては、青色発光材料として前記式(8)で示されるジスチリルジアミン系化合物を用い、ホスト材料として前記式(6)に示されるアントラセン誘導体を用い、アシストドーパント材料として前記式(4)で表わされるアミン誘導体を用いた。また、青色発光層中の青色発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)は、8.0wt%とし、前記式(6)に示されるアントラセン誘導体と前記式(4)で表わされるアミン誘導体との混合比を80:20とした。
<6> 次に、青色発光層上に、緑色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ15nmの緑色発光層(第3の発光層)を形成した。緑色発光層の構成材料としては、緑色発光材料(ゲスト材料)として前記式(9)に示されるキナクリドン誘導体を用い、ホスト材料として前記式(6)に示されるアントラセン誘導体を用い、アシストドーパント材料として前記式(4)で表わされるアミン誘導体を用いた。また、緑色発光層中の緑色発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)は、1.0wt%とし、前記式(6)に示されるアントラセン誘導体と前記式(4)で表わされるアミン誘導体との混合比を80:20とした。
<7> 次に、緑色発光層上に、前記式(11)に示されるアザインドリジン誘導体を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ25nmの電子輸送層を形成した。
<8> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<9> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ100nmの陰極を形成した。
<10> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、白色発光する図1に示すような実施例1Aの発光素子を製造した。
(実施例2A〜4A、比較例2A)
青色発光層および緑色発光層中における、前記式(6)に示されるアントラセン誘導体と前記式(4)で表わされるアミン誘導体との混合比を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例2A〜4A、比較例2Aの発光素子を製造した。
(比較例1A)
青色発光層および緑色発光層中における、前記式(4)で表わされるアミン誘導体の添加を省略するようにしたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、比較例1Aの発光素子を製造した。
2.評価
2−1.移動度比μe/μhの評価
実施例1A〜4Aおよび比較例1A、2Aの発光素子について、インピーダンス分光法により、青色発光層の正孔移動度および電子移動度を測定し、これらの比を得ることで、移動度比μe/μhを求めた。
2−2.発光寿命の評価
実施例1A〜4Aおよび比較例1A、2Aの発光素子について、直流電源を用いて発光素子に初期輝度を一定として発光させ、輝度計を用いて輝度を測定し、その輝度が初期の輝度の80%となるまでの時間(LT80)を測定し、実施例1A〜4A、比較例2Aの発光素子について、比較例1Aの発光素子で測定されたLT80を100とした時の相対値を求めた。
表2に、上記の評価結果を示す。
表2から明らかなように、実施例1A〜4Aの発光素子は、移動度比μe/μhの大きさが、0.01以上100以下の範囲内となっており、移動度比μe/μhの大きさが、0.01以上100以下の範囲内となっていない比較例1A、2Aと比較して、発光寿命が長いものであった。
3.発光素子の製造
(実施例1B)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ50nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理を施した。
<2> 次に、ITO電極上に、前記式(2)に示されるN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(α−NPD)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ60nmの正孔輸送層を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、青色発光層の構成材料を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ40nmの青色発光層(発光層)を形成した。青色発光層の構成材料としては、青色発光材料として前記式(8)で示されるジスチリルジアミン系化合物を用い、ホスト材料として前記式(6)に示されるアントラセン誘導体を用い、アシストドーパント材料として前記式(4)で表わされるアミン誘導体を用いた。また、青色発光層中の青色発光材料(ドーパント)の含有量(ドープ濃度)は、8.0wt%とし、前記式(6)に示されるアントラセン誘導体と前記式(4)で表わされるアミン誘導体との混合比を80:20とした。
<4> 次に、発光層上に、前記式(11)に示されるアザインドリジン誘導体を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ20nmの電子輸送層を形成した。
<5> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<6> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ100nmの陰極を形成した。
<7> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、青色発光する図2に示すような実施例1Bの発光素子を製造した。
(実施例2B〜4B、比較例2B)
発光層中における、前記式(6)に示されるアントラセン誘導体と前記式(4)で表わされるアミン誘導体との混合比を表3に示すように変更したこと以外は、前記実施例1Bと同様にして、実施例2B〜4B、比較例2Bの発光素子を製造した。
(比較例1B)
青色発光層および緑色発光層中における、前記式(4)で表わされるアミン誘導体の添加を省略するようにしたこと以外は、前記実施例1Bと同様にして、比較例1Bの発光素子を製造した。
4.評価
4−1.移動度比μe/μhの評価
実施例1B〜4Bおよび比較例1B、2Bの発光素子について、インピーダンス分光法により、発光層の正孔移動度および電子移動度を測定し、これらの比を得ることで、移動度比μe/μhを求めた。
4−2.発光寿命の評価
実施例1B〜4Bおよび比較例1B、2Bの発光素子について、直流電源を用いて発光素子に初期輝度を一定として発光させ、輝度計を用いて輝度を測定し、その輝度が初期の輝度の80%となるまでの時間(LT80)を測定し、実施例1B〜4B、比較例2Bの発光素子について、比較例1Bの発光素子で測定されたLT80を100とした時の相対値を求めた。
表4に、上記の評価結果を示す。
表4から明らかなように、実施例1B〜4Bの発光素子は、移動度比μe/μhの大きさが、0.01以上100以下の範囲内となっており、移動度比μe/μhの大きさが、0.01以上100以下の範囲内となっていない比較例1B、2Bと比較して、発光寿命が長いものであった。