JP6443032B2 - 色材層用塗工液、及び昇華型熱転写シートの製造方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の一実施形態の色材層用塗工液(以下、一実施形態の色材層用塗工液と言う場合がある。)について説明する。一実施形態の色材層用塗工液は、昇華型熱転写シートの色材層を形成するために用いられる塗工液であって、必須の成分として、所定の溶媒、色材、分散剤、及びバインダー樹脂を含有している(以下、これら必須の成分を総称して条件1と言う場合がある)。そして、一実施形態の色材層用塗工液は、上記色材が、上記所定の溶媒に分散可能な色材であり(以下、条件2と言う場合がある)、上記バインダー樹脂が、(i)数平均分子量(Mn)が40000以下のポリビニルアセタール樹脂、又は(ii)JIS K 6703(1995)における種類及び粘度記号でL1/8以下、或いはH1/8以下のニトロセルロース樹脂である(以下、条件3と言う場合がある。)ことを特徴としている。本願明細書で言う数平均分子量(Mn)とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値を意味する。
一実施形態の色材層用塗工液は、必須の成分として、後述する色材10xを分散可能な溶媒を含有している。所定の溶媒とは、色材10xを分散させることができる溶媒を意味する。つまり、所定の溶媒について特に限定はなく、一実施形態の色材層用塗工液中に含有される色材10xとの関係に応じて適宜選択することができる。溶媒の一例としては、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、エタノール等の有機溶剤や、水等を挙げることができる。所定の溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いることもできる。所定の溶媒の含有量について特に限定はないが、一実施形態の色材層用塗工液中に含有されている固形分総量に対し、500質量%以上2000質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
一実施形態の色材層用塗工液には、上記所定の溶媒に分散可能な色材10xが含有されている。本願明細書で言う色材とは、昇華性染料、及び顔料を含む概念である。所定の溶媒に分散可能な色材10xについても特に限定はなく、上記所定の溶媒の種別に応じて適宜選択することができる。具体的には、一実施形態の色材層用塗工液に含まれている上記所定の溶媒に分散可能な色材10xであれば、いかなる色材であってもよい。なお、ここで言う分散可能な色材とは、所定の溶媒に溶解不能な色材を意味し、色材の分散性能について特に限定はない。例えば、後述する分散剤によって、一実施形態の色材層用塗工液中における色材10xの分散性を向上させることもできる。つまり、結果として、一実施形態の色材層用塗工液中に色材10xが分散された状態で存在していればよい。
メチルエチルケトン/トルエンの混合溶媒に分散可能な色材としては、例えば、上記で例示した顔料や、上記で例示した昇華性染料、例えば、ディスパースイエロー54等を使用することができる。
一実施形態の色材層用塗工液には、分散剤が含有されている。分散剤を含有する色材層用塗工液によれば、条件3を満たすバイダンダー樹脂との相乗効果によって、色材層用塗工液中における色材10xの分散安定性を向上させ、また色材10xの微粒子化を促進させることができる。これにより、一実施形態の色材層用塗工液を用いて形成された色材層を備える熱転写シートにおいて、キックや、地汚れの発生をより効果的に抑制することができ、かつ、高濃度の画像形成が可能となる。
色材層用塗工液に含有されるバインダー樹脂は、上記で説明した条件3を満たすものであればよく、これ以外の条件について特に限定はない。なお、条件3を満たすポリビニルブチラール樹脂や、ニトロセルロース樹脂は、それぞれを単独で用いてもよく、ポリビニルブチラール樹脂と、ニトロセルロース樹脂を併用して用いることもできる。また、上記条件3を満たす2種以上のポリビニルアセタール樹脂や、2種以上のニトロセルロース樹脂を用いることもできる。
色材層用塗工液に含有されている色材が、所定の溶媒に分散可能である否かは、以下の方法により判断することができる。所定の溶媒に、目的とする色材を2w/v%の量となるように添加し、50℃にて1時間加熱撹拌する。次いで、得られた液を25℃にて60時間放置した後に、目的とする色材の析出の有無を目視で確認する。このときに、目的とする色材の析出を目視で確認できなかった場合には、目的とする色材は、所定の溶媒に溶解可能な色材であると判断することができる。一方、目的とする色材の析出を目視で確認できた場合には、目的とする色材は、所定の溶媒に溶解不能、換言すれば分散可能な色材であると判断することができる。
対象とする熱転写シート(以下、対象熱転写シートという)が備える色材層が、一実施形態の色材層用塗工液を用いて形成されたものであるかは、例えば、以下の方法により判別可能である。まず、対象熱転写シートの色材層を分析して当該色材層に含まれている色材成分、バインダー樹脂成分、及び分散剤成分を特定する。これらの成分の特定方法としては、核磁気共鳴分光法、IRスペクトル法等の従来公知の分析方法を用いて特定することができる。
第1実施形態の色材層用塗工液は、上記一実施形態の色材層用塗工液で説明した所定の溶媒、色材、分散剤、及びバインダー樹脂を含有し、かつ上記条件1〜条件3を満たす色材層用塗工液である。なお、第1実施形態の色材層用塗工液は、所定の溶媒に溶解可能な昇華性染料を含有していない実施形態であり、上記一実施形態の色材層用塗工液とある記載をそのまま第1実施形態の色材層用塗工液と読み替えればよい。
第2実施形態の色材層用塗工液は、上記一実施形態の色材層用塗工液で説明した所定の溶媒、色材、分散剤、及びバインダー樹脂を含有し、かつ上記条件1〜条件3を満たすとともに、さらに、所定の溶媒に溶解可能な昇華性染料を含有している色材層用塗工液である。第2実施形態の色材層用塗工液は、第1実施形態の色材層用塗工液に対し、さらに所定の溶媒に溶解可能な昇華性染料が含有されている点においてのみ、上記第1実施形態の色材層用塗工液と相違する。以下、相違点を中心に説明する。特に断りがない限り、第2実施形態の色材層用塗工液が含有している各成分は、上記一実施形態の色材層用塗工液で説明したものをそのまま用いることができ、詳細な説明は省略する。
所定の溶媒に溶解可能な昇華性染料について特に限定はなく、第2実施形態の色材層用塗工液に含有されている所定の溶媒の種別に応じて適宜選択することができる。具体的には、第2実施形態の色材層用塗工液に含有されている溶媒に溶解可能な昇華性染料であれば、いかなる昇華性染料であってもよい。例えば、第2実施形態の色材層用塗工液に含有されている溶媒に応じて、上記一実施形態の色材層用塗工液で説明した昇華性染料を適宜選択して用いることができる。第2実施形態の色材層用塗工液に含有されている昇華性染料が、所定の溶媒に溶解可能な昇華性染料であるか否かは、上記一実施形態の熱転写シートの「所定の溶媒に対する色材の分散性の特定方法」により判断することができる。以下、所定の溶媒が、メチルエチルケトン/トルエンの混合溶媒である場合を例に挙げ、当該所定の溶媒に溶解可能な昇華性染料の一例について説明する。
メチルエチルケトン/トルエンの混合溶媒に溶解可能な昇華性染料としては、例えば、ディスパースイエロー201等を使用することができる。また、上記一実施形態の色材層用塗工液で説明したように、メチルエチルケトン/トルエンの混合溶媒に分散可能な色材としては、例えば、上記で例示した顔料や、上記で例示した昇華性染料、例えば、ディスパースイエロー54等を挙げることができる。
次に、本発明の一実施形態の昇華型熱転写シートの製造方法について説明する。本発明の一実施形態の昇華型熱転写シートの製造方法(以下、一実施形態の製造方法と言う場合がある。)は、基材の一方の面上に色材層用塗工液を塗工して色材層を形成する工程を含む。以下、必須の工程である色材層を形成する工程、及び任意の工程について説明する。
一実施形態の製造方法は、基材1の一方の面上に色材層用塗工液を塗工して色材層2を形成する工程を含む。そして、一実施形態の製造方法は、ここで用いられる色材層用塗工液が、上記一実施形態の色材層用塗工液で説明した色材層用塗工液、すなわち、上記条件1〜3を満たす色材層用塗工液であることを特徴としている。より具体的には、所定の溶媒、当該所定の溶媒に分散可能な色材、分散剤、及び(i)数平均分子量(Mn)が40000以下のポリビニルアセタール樹脂、又は(ii)JIS K 6703(1995)における種類及び粘度記号でL1/8以下、或いはH1/8以下のニトロセルロース樹脂を含有する色材層用塗工液が用いられることを特徴としている。
本工程で用いられる基材は、ある程度の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されることはなく、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。このような基材として、例えば、0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。更に、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
基材の一方の面上に塗工される色材層用塗工液は、上記一実施形態の色材層用塗工液で説明したものをそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。例えば、上記第1実施形態の色材層用塗工液を用いてもよく、上記第2実施形態の色材層用塗工液を用いてもよい。
また、一実施形態の製造方法は、基材1上に色材層2を形成する工程の前に、昇華性染料を溶媒中に溶解してなる染料層用塗工液を、基材1上に塗工・乾燥して染料層2Aを形成する工程を含んでいてもよい。この実施形態の製造方法によれば、図3に示すように、基材1上に、染料層2A、色材層2がこの順で積層された熱転写シートを得ることができる。
染料層用塗工液に含有されている昇華性染料10yについて特に限定はなく、染料層用塗工液に含有されている溶媒に応じて適宜選択することができる。具体的には、染料層用塗工液に含有されている少なくとも1つの溶媒に溶解可能であるとの条件を満たす昇華性染料であればよい。このような、昇華性染料としては、例えば、第2実施形態の色材層用塗工液で説明した「所定の溶媒に溶解可能な昇華性染料」を挙げることができる。染料層用塗工液には、所定の溶媒に溶解可能な2種以上の昇華性染料が含まれていてもよい。
一実施形態の製造方法は、基材1と色材層2との間、或いは基材1と染料層2Aとの間に染料プライマー層用塗工液を塗工・乾燥して染料プライマー層を形成する工程を含んでいてもよい。本工程を含む一実施形態の製造方法によれば、基材1と色材層2、或いは基材1と染料層2Aとの密着性を向上させ、画像形成時に色材層2、或いは染料層2Aが異常転写されることを防止することができる。
また、一実施形態の製造方法は、基材1の他方の面上に背面層用塗工液を塗工・乾燥して背面層5を形成する工程を含んでいてもよい。
また、一実施形態の製造方法は、基材1と背面層5との間に背面プライマー層を形成する工程を含んでいてもよい。本工程を含む一実施形態の製造方法によれば、基材と背面層との密着性を向上させることができる。
基材として、厚さ4.5μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、当該基材の一方の面に、下記組成の背面層用塗工液を、塗工量が固形分換算で0.5g/m2となるように塗工し、乾燥させることで背面層を形成した。次いで、基材の他方の面上に、下記組成の染料プライマー層用塗工液を、塗工量が固形分換算で0.1g/m2となるように塗工し、乾燥させることで染料プライマー層を形成した。次いで、染料プライマー層上に、下記の方法で作製した色材層用塗工液1を、塗工量が固形分換算で1.0g/m2となるように塗工し、乾燥させることで色材層を形成することで実施例1の熱転写シートを得た。
トルエン/メチルエチルケトン=1/1混合溶媒を用い、昇華性染料、或いは色材の濃度が2w/v%の量となるように添加し、50℃にて1時間加熱撹拌した。次いで、得られた液を25℃にて60時間放置した後に、昇華性染料、或いは色材の析出の有無を目視で確認した。確認の結果、昇華性染料、或いは色材の析出がない場合は、溶解可能な昇華性染料、或いは色材と判断し、析出が見られた場合は分散可能な昇華性染料、或いは色材と判断した。
・ポリビニルアセタール樹脂 60.8部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 4.2部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株))
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株))
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株))
・タルク 5部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株))
・ポリエチレンワックス 10部
(ポリエチレンワックス3000 東洋アドレ(株))
・トルエン 200部
・メチルエチルケトン 100部
・アルミナゾル(平均1次粒子径10×100nm、固形分10%) 30部
(アルミナゾル200 日産化学工業(株))
・ポリビニルピロリドン樹脂 3部
(K−90 ISP社)
・水 50部
・イソプロピルアルコール 17部
下記色材層用塗工液1の組成のとおり、色材、分散剤、バインダー樹脂、ポリエチレンワックス、溶剤、及び粒径2.0mmのジルコニアビーズ250質量部をガラス瓶に入れ密閉し、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いで前記ジルコニアビーズを取り除いてから、粒径0.1mmのジルコニアビーズ250質量部をガラス瓶に入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて24時間分散を行い、色材層用塗工液1を作製した。
・ディスパースイエロー54 4.725部
・下記一般式(3)で示される顔料 0.525部
(C.I.ピグメントイエロー138のスルホン化誘導体)
・グラフト型ポリマー分散剤(Mw:40000〜50000) 1.5部
(アジスパーPB881、味の素ファインテクノ(株))
・ポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000) 4.5部
(KS−1 積水化学工業(株))
・トルエン 44.375部
・メチルエチルケトン 44.375部
色材層用塗工液1にかえて、色材層用塗工液1のポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000)(KS−1 積水化学工業(株))4.5部を、ポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:17000)(KS−10 積水化学工業(株))4.5部に変更した色材層用塗工液2を使用した以外は全て実施例1と同様にして、実施例2の熱転写シートを得た。
色材層用塗工液1にかえて、色材層用塗工液1のポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000)(KS−1 積水化学工業(株))4.5部を、ポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:20000)(BX−L 積水化学工業(株))4.5部に変更した色材層用塗工液3を使用した以外は全て実施例1と同様にして、実施例3の熱転写シートを得た。
色材層用塗工液1にかえて、色材層用塗工液1のポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000)(KS−1 積水化学工業(株))4.5部を、ニトロセルロース樹脂(DLX5−8(L1/8相当) 稲畑産業(株))4.5部に変更した色材層用塗工液4を使用した以外は全て実施例1と同様にして、実施例4の熱転写シートを得た。
色材層用塗工液1にかえて、色材層用塗工液1のポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000)(KS−1 積水化学工業(株))4.5部を、ニトロセルロース樹脂(DHX5−10(L1/8相当) 稲畑産業(株))4.5部に変更した色材層用塗工液5を使用した以外は全て実施例1と同様にして、実施例5の熱転写シートを得た。
色材層用塗工液1にかえて、色材層用塗工液1のポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000)(KS−1 積水化学工業(株))4.5部を、ニトロセルロース樹脂(DHX4−6(L1/16相当) 稲畑産業(株))4.5部に変更した色材層用塗工液6を使用した以外は全て実施例1と同様にして、実施例6の熱転写シートを得た。
実施例1の色材層用塗工液1にかえて、下記組成の色材層用塗工液7を使用した以外は全て実施例1と同様にして、実施例7の熱転写シートを得た。なお、色材層用塗工液7は、上記色材層用塗工液1と同じ方法で作製した。
・ディスパースイエロー201 2.3625部
・ディスパースイエロー54 2.3625部
・下記一般式(3)で示される顔料 0.525部
(C.I.ピグメントイエロー138のスルホン化誘導体)
・グラフト型ポリマー分散剤(Mw:40000〜50000) 1.5部
(アジスパーPB881、味の素ファインテクノ(株))
・ポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000) 4.5部
(KS−1 積水化学工業(株))
・トルエン 44.375部
・メチルエチルケトン 44.375部
下記の方法で作製した染料層用塗工液1を、塗工量が固形分換算で0.5g/m2となるように染料プライマー層上に塗工し、乾燥させることで染料層を形成し、当該染料層上に、上記組成の色材層用塗工液1を、塗工量が固形分換算で0.5g/m2となるように塗工し、乾燥させることで色材層を形成した以外は、全て実施例1と同様にして、染料層上に、色材層が積層されてなる実施例8の熱転写シートを得た。
下記染料層用塗工液1の組成のとおり、色材、バインダー樹脂、ポリエチレンワックス及び溶剤をガラス瓶に入れ密閉し、50℃で1時間加熱後、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて30分振とうし、染料層用塗工液1を作製した。
・ディスパースイエロー201 3.51部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:130000) 2.63部
(KS−5 積水化学工業(株))
・ポリエチレンワックス 0.06部
(粒径 5μm )
・トルエン 33部
・メチルエチルケトン 33部
色材層用塗工液1にかえて、色材層用塗工液7のディスパースイエロー201(2.3625部)を、下記一般式(4)で示される昇華性染料(2.3625部)に変更した色材層用塗工液8を用いた以外は全て実施例1と同様にして、実施例9の熱転写シートを得た。
色材層用塗工液1にかえて、上記染料層用塗工液1を使用した以外は全て実施例1と同様にして、比較例1の熱転写シートを得た。
色材層用塗工液1にかえて、色材層用塗工液1のポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000)(KS−1 積水化学工業(株))4.5部を、ポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:130000)(KS−5 積水化学工業(株))4.5部に変更した色材層用塗工液Aを使用した以外は全て実施例1と同様にして、比較例2の熱転写シートを得た。
色材層用塗工液1にかえて、色材層用塗工液1のポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000)(KS−1 積水化学工業(株))4.5部を、ニトロセルロース樹脂(DLX8−13(L1/4相当) 稲畑産業(株))4.5部に変更した色材層用塗工液Bを使用した以外は全て実施例1と同様にして、比較例3の熱転写シートを得た。
色材層用塗工液1にかえて、色材層用塗工液1のポリビニルアセトアセタール樹脂(Mn:27000)(KS−1 積水化学工業(株))4.5部を、セルロースアセテートプロピオネート樹脂(Mn:25000)(CAP482−0.5 イーストマンケミカル(株))4.5部に変更した色材層用塗工液Cを使用した以外は全て実施例1と同様にして、比較例4の熱転写シートを得た。
上記で作製した各実施例、及び比較例の熱転写シートを形成するための色材層用塗工液1〜7、色材層用塗工液A〜C中に分散されている色材の体積平均粒径(nm)を、上記で説明したレーザー光散乱粒度分布計による粒子径の測定方法で測定した。測定結果を表1に示す。なお、染料層用塗工液1においては、当該塗工液中に昇華性染料(ディスパースイエロー201)が溶解しているため、粒子径の測定を行うことはできない。
テストプリンターを用いて、各実施例、及び比較例の各熱転写シートと、下記条件で作製した熱転写受像シートを組み合わせて、下記印画条件で、階調パターンを印画して、濃度特性を調べた。濃度特性の評価は、最大エネルギーをかけたときの最高濃度で評価し、以下の評価基準に基づいて印画濃度の評価を行った。反射濃度は、分光測定器(グレタグマクベス社製、spectrolino)により測定した。評価結果を表1に示す。
・サーマルヘッド:F3598(東芝ホクト電子株式会社製)
・発熱体平均抵抗値:5176(Ω)
・主走査方向印字密度:300dpi
・副走査方向印字密度:300dpi
・印画電力:0.12(W/dot)
・1ライン周期:2(msec.)
・パルスDuty:85%
・印画開始温度:35.5(℃)
◎:濃度が2.05以上である。
○:濃度が1.95以上2.05未満である。
△:濃度が1.95未満である。
多孔質ポリエチレンフィルム(トヨパール−SS P4255 東洋紡績(株)製 厚さ35μm)からなる多孔質フィルム層上に、下記組成の中間層用塗工液、受容層用塗工液をグラビアリバースコート方式で、順次塗布、乾燥して、中間層、受容層を形成した。その中間層、受容層の設けられた面と反対面の多孔質ポリエチレンフィルムに、下記組成の接着層用塗工液を用いて、グラビアリバースロールコート方式で塗布、乾燥して、接着層を形成し、RC原紙(155g/m2、厚さ151μm)(三菱製紙(株))と貼り合わせ熱転写受像シートを作製した。上記の各々の塗工量は、全て固形分で、中間層は1.5g/m2、受容層は5.0g/m2、接着層は5g/m2であった。
・ポリエステル樹脂 50部
(ポリエスターWR−905 日本合成化学工業(株))
・酸化チタン 20部
(TCA888 (株)トーケムプロダクツ)
・蛍光増白剤 1.2部
(ユビテックスBAC チバ・スペシャリティーケミカルズ(株))
・水/イソプロピルアルコール=1/1 28.8部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 60部
(ソルバインC 日信化学工業(株))
・エポキシ変性シリコーン 1.2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルスチル変性シリコーン 0.6部
(X−24−510,信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 5部
・ウレタン樹脂 30部
(タケラックA−969V 三井武田ケミカル(株))
・イソシアネート 10部
(タケネートA−5 三井武田ケミカル(株))
・酢酸エチル 100部
熱転写シートの保存性を判断するために背面層への汚染性を評価した。汚染性の評価は、各実施例、及び比較例の熱転写シートの色材層面と、背面層面とを重ね合わせて20kg/cm2の荷重を加え40℃90%RHの環境に98時間保存し、背面層面への色材の移行性を評価した。移行性の評価は、保存前後の背面層面を、分光測定器(グレタグマクベス社製、spectrolino)により測定し、下記式で色差(ΔE*ab)を求めることにより行ない、下記の評価基準に基づいて汚染性の評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。なお、各実施例、及び比較例の熱転写シートの色材層と重ね合わせる背面層は、上記各実施例、及び比較例の熱転写シートで作製した背面層と同じものを使用した。
色差ΔE*ab=((Δa*)2+(Δb*)2)1/2
CIE1976 La*b*表色系(JIS Z8729(1980))参照
Δa*=a*(保存後)−a*(保存前)
Δb*=b*(保存後)−b*(保存前)
なお、a*及びb*は、CIE1976L*a*b*表色系に基づくものであり、a*及びb*は、知覚明度指数を表す。
また、ΔE*abの値が小さいほど、汚染性が少ない、換言すれば、キックの度合が少ないことを示す。
○・・・ΔE*abが10未満である。
△・・・ΔE*abが10以上である。
熱転写シートの保存性を判断するために印画物の地汚れを評価した。評価は、各実施例、及び比較例の熱転写シートを50℃80%RHの環境に60時間保存したものと、保存していないものを準備し、所定の受像紙で印画し、それぞれの印画物のエネルギーをかけていない白地の部分について、分光測定器(グレタグマクベス社製、spectrolino)により測定し、下記式で色差(ΔE*ab)を求めることにより行ない、下記の評価基準に基づいて地汚れの評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
色差ΔE*ab=((Δa*)2+(Δb*)2)1/2
CIE1976 La*b*表色系(JIS Z8729(1980))参照
Δa*=a*(保存後)−a*(保存前)
Δb*=b*(保存後)−b*(保存前)
なお、a*及びb*は、CIE1976L*a*b*表色系に基づくものであり、a*及びb*は、知覚明度指数を表す。
また、ΔE*abの値が小さいほど、高温・高湿環境下における染料析出が少なく、保存性が高いことを示す。
◎・・・ΔE*abが0.2未満である。
○・・・ΔE*abが0.2以上0.3未満である。
△・・・ΔE*abが0.3以上である。
2・・・色材層
2A・・・染料層
5・・・背面層
10x・・・所定の溶媒に分散可能な色材
10y・・・所定の溶媒に溶解可能な昇華性染料
100・・・本発明の一実施形態の色材層用塗工液を用いて製造された熱転写シート
100X・・・比較の染料層用塗工液を用いて製造された熱転写シート
Claims (5)
- 昇華型熱転写シートの色材層を形成するための色材層用塗工液であって、
所定の溶媒、色材、分散剤、及びバインダー樹脂を含有しており、
前記色材は、前記所定の溶媒に分散されており、
前記バインダー樹脂が、(i)数平均分子量(Mn)が40000以下のポリビニルアセタール樹脂、又は(ii)JIS K 6703(1995)における種類及び粘度記号でL1/8以下、或いはH1/8以下のニトロセルロース樹脂であることを特徴とする色材層用塗工液。 - 前記色材層用塗工液は、前記分散剤として、ポリエーテル系分散剤、グラフト型ポリマー分散剤、アクリル系ブロック型ポリマー分散剤の群から選択される1種、又は2種以上を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の色材層用塗工液。
- 前記色材層用塗工液は、さらに前記所定の溶媒に溶解された昇華性染料を含有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の色材層用塗工液。
- 昇華型熱転写シートの製造方法であって、
基材の一方の面上に色材層用塗工液を塗工して色材層を形成する工程を含み、
前記色材層用塗工液は、所定の溶媒、色材、分散剤、及びバインダー樹脂を含有しており、且つ、当該色材は、前記所定の溶媒に分散されており、
前記色材層用塗工液が含有するバインダー樹脂が、(i)数平均分子量(Mn)が40000以下のポリビニルアセタール樹脂、又は(ii)JIS K 6703(1995)における種類及び粘度記号でL1/8以下、或いはH1/8以下のニトロセルロース樹脂であることを特徴とする昇華型熱転写シートの製造方法。
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