以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下説明は、図中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。本実施形態のグリル用バーナ1は、例えば、ガスコンロに備えたグリル(図示略)に配設する下火バーナとして使用される。
先ず、グリル用バーナ1の外観形状について説明する。図1、図2に示すように、グリル用バーナ1は、平面視馬蹄形状(略U字状)に形成され、左右方向に直線状に延びる中バーナ部2、中バーナ部2の左端部から前方に略直角に屈曲して直線状に延びる左バーナ部3、中バーナ部の右端部から前方に略直角に屈曲して直線状に延びる右バーナ部4を備えている。
中バーナ部2は、膨出体7,8を備える。膨出体7は、中バーナ部2の長手方向に平行且つ直線状に延び、内部にガス流路(図示略)を有する筒状に形成されている。膨出体7の右端部には、漏斗状に拡径したガス流入口6が設けられている。ガス流入口6には、ガスと空気の混合気が流入する。膨出体8は、膨出体7の前側に、中バーナ部2の長手方向に平行且つ直線状に延び、内部にガス流路(図示略)を有する筒状に形成されている。膨出体7のガスが流れる方向の終端である左端部は、連結部7Aにおいて、膨出体8の長手方向の中央部と連結している。これにより、膨出体7と膨出体8の夫々のガス流路は、互いに連通している。膨出体8の左右の両端部は、左バーナ部3の後述する膨出体11、及び右バーナ部4の後述する膨出体14に夫々連結している。
図1,図2,図6に示すように、左バーナ部3は、膨出体11、内側フランジ体12、外側フランジ体13を備える。膨出体11は、左バーナ部3の左側にて、左バーナ部3の長手方向に平行且つ直線状に延設され、内部にガス流路70(図6参照)を有する筒状に形成されている。膨出体11の後端部は、中バーナ部2の膨出体8の左端部と連結している。膨出体11のガス流路70は、膨出体8のガス流路と連通し、そのガスが流れる方向の終端は閉塞されている。内側フランジ体12は、膨出体11の右側部に沿って設けられ、グリル用バーナ1の中央に延びるフランジ状に形成されている。内側フランジ体12のグリル用バーナ1の中央に対向する右端部には、火炎形成部17が設けられている。火炎形成部17には、後述する主炎口部21、副炎口部22、補助炎口部23が夫々形成されている。各炎口部21〜23は、グリル用バーナ1の中央を臨むように配置されている。外側フランジ体13は、膨出体11の左側部に沿って設けられ、グリル用バーナ1の外側に延びるフランジ状に形成されている。外側フランジ体13のフランジ幅は、内側フランジ体12のフランジ幅よりも短い。
図1,図2に示すように、右バーナ部4は、左バーナ部3と左右対称形状であって、膨出体14、内側フランジ体15、外側フランジ体16を備える。膨出体14は、右バーナ部4の右側にて、右バーナ部4の長手方向に平行且つ直線状に延設され、内部にガス流路(図示略)を有する筒状に形成されている。膨出体14の後端部は、中バーナ部2の膨出体8の右端部と連結している。膨出体14のガス流路は、膨出体8のガス流路と連通し、そのガスが流れる方向の終端は閉塞されている。内側フランジ体15は、膨出体14の左側部に沿って設けられ、グリル用バーナ1の中央に延びるフランジ状に形成されている。内側フランジ体15のグリル用バーナ1の中央に対向する左端部には、火炎形成部18が設けられている。火炎形成部18には、図示しないが、火炎形成部17と同様に、主炎口部、副炎口部、補助炎口部が夫々形成されている。外側フランジ体16は、膨出体14の右側部に沿って設けられ、グリル用バーナ1の外側に延びるフランジ状に形成されている。外側フランジ体16のフランジ幅は、内側フランジ体15のフランジ幅よりも短い。
また、図1,図2に示すように、グリル用バーナ1において、左バーナ部3の火炎形成部17の後端側と、右バーナ部4の火炎形成部18の後端側とには、点火部80が夫々設けられている。図9に示すように、点火部80には、点火用炎口部25が設けられ、その点火用炎口部25の近傍には、点火プラグ91が支持具95によって支持されている。支持具95は、中バーナ部2と左バーナ部3とが略直角に連結する角部の内周部と、中バーナ部2と右バーナ部4とが略直角に連結する角部の内周部とに、夫々取り付けられている。さらに、点火用炎口部25の前側には、失火検出用の炎口部27が設けられている。その炎口部27の近傍には、熱電対92が支持具95によって支持されている。熱電対92はフレームロッドであってもよい。尚、点火部80の具体的構造については後述する。
次に、グリル用バーナ1の組立構造について説明する。図1,図2,図6に示すように、グリル用バーナ1は、ステンレス製板金材からなる一枚の上バーナ板30、二枚の中バーナ板40A,40B、一枚の下バーナ板50を、互いに上下に重ね合わせて結合して構成されている。
先ず、上バーナ板30の形状について説明する。図1,図2に示すように、上バーナ板30は、平面視馬蹄形状に形成されている。そして、左バーナ部3に対応する部分には、図3〜図6に示すように、前後方向に直線状に延びた上側膨出部31と、該上側膨出部31の右端部から上バーナ板30の中央に向かってフランジ状に延設された内側フランジ部32と、上側膨出部31の左端部から上バーナ板30の外側に向かってフランジ状に延設された外側フランジ部33とが、プレス加工により形成されている。尚、詳述しないが、右バーナ部4に対応する部分においても、左バーナ部3と左右対称形状の上側膨出部(図示略)と、内側フランジ部(図示略)と、外側フランジ部(図示略)とが、プレス加工により形成されている。また、中バーナ部2に対応する部分には、膨出体7,8の上側部分を夫々形成する二つの上側膨出部(図示略)が、プレス加工により形成されている。
左バーナ部3に対応する略直線状の部分において、図6に示すように、上側膨出部31は、上方に向けて半割筒状に膨出し、左バーナ部3に対応する部分の長手方向に沿って形成されている。内側フランジ部32は、平面視前後方向に長い細長の長方形状に形成されている。内側フランジ部32には、その長手方向において所定間隔毎に、複数の上側炎口形成部34が形成されている。上側炎口形成部34は、火炎形成部17を正面から見た場合に、上方に向けて逆楔型に突出する半割筒状に形成され、内側フランジ部32の長手方向に直交する幅方向に沿って設けられている。外側フランジ部33は、内側フランジ部32よりも幅狭の平面視前後方向に長い細長の長方形状に形成されている。
さらに、図6に示すように、外側フランジ部33の左端部には、折曲片37が設けられている。折曲片37は、中バーナ板40A及び下バーナ板50を内側にして下方に折り曲げられ、カシメによって中バーナ板40A及び下バーナ板50に連結される。また、図1,図2に示すように、左バーナ部3に対応する略直線状の部分の前端部、右バーナ部4に対応する略直線状の部分の前端部、中バーナ部2に対応する略直線状の部分の左端部には、バーリング孔26と、該バーリング孔26の内周縁から下方に起立する起立片26Aとが、夫々設けられている。
次に、中バーナ板40A,40Bの形状について説明する。図1,図2に示すように、中バーナ板40Aは、平面視細長の長方形状に形成され、左バーナ部3の長手方向に沿って、上バーナ板30と下バーナ板50の間に挟まれるようにして配置される。中バーナ板40Bは、平面視細長の長方形状に形成され、右バーナ部4の長手方向に沿って、上バーナ板30と下バーナ板50の間に挟まれるようにして配置される。尚、中バーナ板40Aと40Bは、互いに左右対称形状であるので、ここでは、中バーナ板40Aを説明する。
図3〜図6に示すように、中バーナ板40Aは、前後方向に直線状に延びた下側膨出部41と、該下側膨出部41の右端部から中バーナ板40Aの右側に向かってフランジ状に延設された内側フランジ部42と、下側膨出部41の左端部から左側に向かってフランジ状に延設された外側フランジ部43とが、プレス加工により形成されている。
下側膨出部41は、下方に向けて半割筒状に膨出し、中バーナ板40Aの長手方向に沿って形成されている。そして、その下側膨出部41において、内側フランジ部42側に位置する側壁には、複数の連通穴46(図6参照)が長手方向に並んで形成されている。内側フランジ部42は、平面視前後方向に長い細長の長方形状に形成されている。図4に示すように、内側フランジ部42には、該長手方向において、上バーナ板30の内側フランジ部32に形成された複数の上側炎口形成部34の夫々に対して一つ置きに対応する位置に、複数の下側炎口形成部44が設けられている。下側炎口形成部44は、火炎形成部17を正面から見た場合に、最下部に頂点を有する下側に突出した楔型に形成されている(図5参照)。
さらに、図4に示すように、内側フランジ部42において、複数の下側炎口形成部44の夫々の間には、平板状の平板部47が夫々設けられている。これら複数の平板部47の夫々の位置は、上バーナ板30の内側フランジ部32に形成された複数の上側炎口形成部34のうち、下側炎口形成部44と対向していない残りの複数の上側炎口形成部34と対向している。尚、中バーナ板40Aの前端部には、上バーナ板30に設けられたバーリング孔26と同形状で、且つ起立片26Aに通されるカシメ孔(図示略)が設けられている。
次に、下バーナ板50の形状について説明する。図1,図2に示すように、下バーナ板50は、平面視馬蹄形状に形成されている。そして、左バーナ部3に対応する部分には、図3〜図6に示すように、前後方向に直線状に延びた下側膨出部51と、該下側膨出部51の右端部から下バーナ板50の中央に向かってフランジ状に延設された内側フランジ部52と、下側膨出部51の左端部から上バーナ板30の外側に向かってフランジ状に延設された外側フランジ部53とが、プレス加工により形成されている。尚、詳述しないが、右バーナ部4に対応する部分にも、左バーナ部3と左右対称形状の下側膨出部(図示略)と、内側フランジ部(図示略)と、外側フランジ部(図示略)とが、プレス加工により形成されている。また、中バーナ部2に対応する部分には、膨出体7,8の下側部分を夫々形成する二つの下側膨出部(図示略)が、プレス加工により形成されている。
左バーナ部3に対応する略直線状の部分において、下側膨出部51は、下方に向けて半割筒状に膨出し、左バーナ部3に対応する部分の長手方向に沿って形成されている。内側フランジ部52は、平面視前後方向に長い細長の長方形状に形成されている。図4に示すように、内側フランジ部52には、その長手方向において、複数の受け部56が並んで設けられている。複数の受け部56は、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に設けられた複数の下側炎口形成部44に夫々対応する複数の位置に配置されている。受け部56は、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に設けられた下側炎口形成部44の下部の位置及び形状に対応して下側に凹んで形成されている。
さらに、内側フランジ部52には、長手方向において、略円柱状の突起部55が複数並んで設けられている。複数の突起部55は、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に設けられた複数の平板部47の夫々に対して2つずつ対応するように配置されている。突起部55の上面は平面である。また、左バーナ部3に対応する略直線状の部分の前端部、右バーナ部4に対応する略直線状の部分の前端部、中バーナ部2に対応する略直線状の部分の左端部には、上バーナ板30に設けられたバーリング孔26と同形状で、且つ起立片26Aに通されるカシメ孔(図示略)が夫々設けられている。
次に、グリル用バーナ1の組立工程について説明する。先ず、作業者は、下バーナ板50の内側を上方に向けた状態で、作業台上に載置する。次いで、下バーナ板50の左バーナ部3に対応する部分に、中バーナ板40Aを配置する。このとき、図6に示すように、下バーナ板50の下側膨出部51の内側に、中バーナ板40Aの下側膨出部41を嵌め合わせ、下バーナ板50に設けられたカシメ孔(図示略)に対し、中バーナ板40Aに設けられたカシメ孔(図示略)を合わせる。さらに、中バーナ板40Aの内側フランジ部42を、下バーナ板50の内側フランジ部52に重ね合わせる。そして、図3〜図5,図8に示すように、内側フランジ部52に設けられた複数の受け部56に対し、内側フランジ部42に設けられた複数の下側炎口形成部44の下側部分を載せる。これにより、下バーナ板50に対して、中バーナ板40Aが位置決めされるので、組立工程中に、中バーナ板40Aが下バーナ板50に対して位置がずれるのを防止できる。さらに、中バーナ板40Aの外側フランジ部43を、下バーナ板50の外側フランジ部53に重ね合わせる。尚、詳述しないが、下バーナ板50の右バーナ部4に対応する部分には、中バーナ板40Bを、上記の中バーナ板40Aと同様の方法で配置する。
次いで、作業者は、中バーナ板40A,40Bが内側に配置された下バーナ板50に対し、上バーナ板30の内側を被せるようにして、上バーナ板30の外縁部を、下バーナ板50の外縁部に合わせる。このとき、左バーナ部3に対応する部分では、上バーナ板30の内側フランジ部32を、中バーナ板40Aの内側フランジ部42と、下バーナ板50の内側フランジ部52とに対して、積層して重ね合わせる(図3,図5参照)。尚、右バーナ部4に対応する部分においても、左バーナ部3と同様に積層して重ね合わせる。
そして、図6〜図8に示すように、下バーナ板50、中バーナ板40A(40B)、上バーナ板30の順に下から重ね合わせた状態で、上バーナ板30の折曲片37を折り曲げ、下バーナ板50の外側フランジ部53の外縁部、及び中バーナ板40A(中バーナ板40B)の外側フランジ部43の外縁部を内側に抱き込んでカシメ加工する。これにより、上バーナ板30、中バーナ板40A(40B)、下バーナ板50が一体的に結合される。さらに、中バーナ板40A(40B)に設けられたカシメ孔と、下バーナ板50に設けられたカシメ孔とに対し、上バーナ板30の対応するバーリング孔26を合わせ、起立片26Aをこれらカシメ孔に挿入し、この起立片26Aを折り曲げてカシメ加工する。これにより、上バーナ板30、中バーナ板40A(40B)、下バーナ板50の密着性がさらに向上するので、ガス漏れ等を防止できる。そして、複数ヶ所においてスポット溶接をさらに施すことによって、上バーナ板30、中バーナ板40A(40B)、下バーナ板50は互いに強固に固定される。このようにして、中バーナ部2、左バーナ部3、及び右バーナ部4が夫々構成され、グリル用バーナ1の組立工程が完了する。
図6〜図8を参照し、グリル用バーナ1の内部に形成されるガス流路について説明する。上バーナ板30、中バーナ板40A,40B、下バーナ板50が一体的に結合された状態では、上バーナ板30の上側膨出部31と、下バーナ板50の下側膨出部51とが互いに上下に対向するように配置され、中バーナ板40A,40Bは、対応する下側膨出部51の内側に収容されるようにして夫々配置される。このような左バーナ部3の膨出体11の内側には、ガス流路70と副ガス流路71が形成されている。ガス流路70は、上バーナ板30の上側膨出部31と中バーナ板40Aの下側膨出部41とによって囲まれた空間で形成され、主炎口部21及び副炎口部22と連通している。副ガス流路71は、中バーナ板40Aの下側膨出部41の右側壁の外面と、下バーナ板50の下側膨出部51の右側壁の内面とによって囲まれた空間で形成され、補助炎口部23と連通している。副ガス流路71には、中バーナ板40Aの下側膨出部41に設けられた複数の連通穴46を通じて、ガス流路70から混合気が導入される。尚、右バーナ部4の膨出体14の内側においても、左バーナ部3と同様のガス流路及び副ガス流路(図示略)が形成されている。
図3〜図5を参照し、火炎形成部17における各種炎口部21〜23の構造とその作用効果について説明する。火炎形成部17において、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に設けられた下側炎口形成部44に対し、上バーナ板30の内側フランジ部32に設けられた上側炎口形成部34が対向して位置決めされることによって、菱形状の主炎口部21が形成されている。これにより、中バーナ板40Aの内側フランジ部42と、下バーナ板50の内側フランジ部52との間の領域にまで、主炎口部21を広げることができるので、主炎口部21を大きくとることができ、設計上の自由度が広がる。
また、下バーナ板50の内側フランジ部52に設けられた複数の受け部56が、中バーナ板40Aの下側炎口形成部44の下部を受けるようにされている。これにより、下バーナ板50に対して、中バーナ板40Aの位置がずれるのを防止できるので、グリル用バーナ1の組立精度を向上できる。また、下側炎口形成部44の下部と受け部56の夫々の曲げ形状が互いに密着してなじみ、さらに熱が加わることによって、下バーナ板50に対して中バーナ板40Aをより密着させることができる。
また、下側炎口形成部44は、最下部に頂点を有する下側に突出した楔型に形成されているので、下側炎口形成部44は、補助炎口部23とされた中バーナ板40Aと下バーナ板50の夫々の内側フランジ部42,52を斜めに横切ることになる。これにより、点火プラグ91による点火時においては、補助炎口部23より生じる火移り用の火炎と、主炎口部21からの火炎との接触面積を広げることができるので、火移り性能を向上できる。
また、隣り合う主炎口部21と主炎口部21とに挟まれた位置には、三角形状の副炎口部22が形成されている。副炎口部22は、菱形状の主炎口部21よりもガスの通過断面積が小さく、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に設けられた平板部47に対し、上バーナ板30の上側炎口形成部34が対向して位置決めされることによって簡単に形成できる。そして、主炎口部21は、副炎口部22の通過断面積よりも大きいので、主炎口部21には長い火炎が形成され、副炎口部22には短い火炎が形成される。これにより、グリル用バーナ1が幅の広いグリルに設置された場合でも、その中央部、両側部を均一に加熱できるので、被調理物に加熱ムラが生じるのを防止できる。さらに、主炎口部21と副炎口部22は、火炎形成部17の長手方向において交互に配置されているので、グリル用バーナ1は前後方向において、より均一に加熱できる。よって、被調理物に加熱ムラが生じるのを防止できる。
また、上記の通り、上バーナ板30の上側炎口形成部34と、中バーナ板40Aの平板部47とを重ね合わせることで、副炎口部22が形成され、上側炎口形成部34と、中バーナ板40Aの下側炎口形成部44とを重ね合わせることで、主炎口部21が形成されるので、中バーナ板40Aを、下側炎口形成部44の形成パターンが異なる他の中バーナ板40Aに差し替えることで、取り付けられるグリル庫に対応した最適な主炎口部21及び副炎口部22の配列パターンに簡単に変更できるので、組立が容易となり、且つ部品共通化によるコスト削減も期待できる。
また、本実施形態では、左バーナ部3の火炎形成部17と、右バーナ部4の火炎形成部18とにおいて、後ろ側から前側に向かって、主炎口部21と副炎口部22が交互になるように配列されているが、左バーナ部3と右バーナ部4とにおいて、主炎口部21と副炎口部22が互いに対向するように、夫々の配列パターンが相対的に1つずつずれている。これにより、グリル用バーナ1の中央部において、主炎口部21と副炎口部22に夫々形成される火炎同士が干渉しないので、グリル用バーナ1が設置されるグリル庫内中央部をムラなく均一に加熱できる。そして、そのような火炎形成部17,18を形成する為に、本実施形態では、上記の通り、中バーナ板40Aを、下側炎口形成部44の形成パターンが異なる他の中バーナ板40Aに差し替えるだけで、主炎口部21及び副炎口部22の配列パターンを簡単に変更できるので、平面視馬蹄形状のグリル用バーナ1において、より最適な主炎口部21及び副炎口部22の配列パターンを形成できる。
また、下バーナ板50の内側フランジ部52に設けられた複数の突起部55の夫々の上端面に、内側フランジ部42の下面が当接することによって、内側フランジ部52と内側フランジ部42の間に、略直線状の補助炎口部23が形成されている。そして、図3,図5に示すように、グリル用バーナ1は、点火後の燃焼時において、補助炎口部23からの保炎を、下側炎口形成部44の頂点部分と、内側フランジ部52に設けられた受け部56とにより長手方向に分断している。これにより、主炎口部21からの火炎と、補助炎口部23からの火炎とが互いに干渉して肥大化するのを抑制できるので、主炎口部21からの火炎と二次空気との接触を向上させて長細い火炎を生成できる。よって、燃焼排ガスをグリル用バーナ1の中央(例えばグリル庫内中央部)に流すことによって、被調理物に加熱ムラが生じるのを防止できる。
図9を参照し、グリル用バーナ1における点火部80の構造について説明する。ここでは、左バーナ部3の点火部80の構造について説明する。上記の通り、点火部80には、点火用炎口部25が設けられている。点火用炎口部25は、上バーナ板30の内側フランジ部32と、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に設けられた下側炎口形成部44とによって、正面視逆三角形状に形成され、左バーナ部3のガス流路70と連通している。このような点火用炎口部25において、中バーナ板40Aの内側フランジ部42の一端部には、中側切欠き部48が設けられている。中側切欠き部48は、内側フランジ部42の一端部から左方に向かって略矩形状に切り欠いて形成されている。そして、中側切欠き部48の前後に位置する両角部は、夫々テーパ状に切断され、その内側が広くなっている。さらに、下バーナ板50の内側フランジ部52の一端部であって、中側切欠き部48と相対する位置にも、中側切欠き部48と同形状の下側切欠き部58が設けられている。
さらに、上バーナ板30の内側フランジ部32の一端部で、且つ中側切欠き部48及び下側切欠き部58と相対する位置には、該一端部から右方にやや突出し、その先端側が下方に略直角に屈曲する側面視逆L字状のターゲット38が設けられている。ターゲット38の先端部38Bは、下方に向かうに従って先細り形状に形成され、グリル用バーナ1の内側中央から見た場合に、中側切欠き部48及び下側切欠き部58の夫々の幅方向の略中央に位置するように配置されている。そのような先端部38Aに対し、点火プラグ91の先端部91Aが下側から臨むようにして配置されている。そして、点火プラグ91の先端部91Aと、ターゲット38の先端部38Aとの間は、放電用ギャップGとなっている。
また、点火用炎口部25の前側には、失火検出用の炎口部27が設けられている。炎口部27は、上バーナ板30の内側フランジ部32と、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に設けられた下側炎口形成部44とによって、正面視逆三角形状に形成され、左バーナ部3のガス流路70と連通している。そのような炎口部27の近傍には、支持具95によって支持された熱電対92の先端部92Aが配置されている。熱電対92は、炎口部27に形成される火炎を検出する。
上記構造において、点火用炎口部25からは、ガス流路70から流れるガスと空気の混合気が噴出される。点火用炎口部25から噴出した混合気は、中側切欠き部48及び下側切欠き部58の内側に溜まるので、点火用炎口部25にガス溜まりが形成される。点火用炎口部25にガス溜まりを形成することによって、放電用ギャップGにおいて、ガスに着火する適切なガス濃度となる。よって、ガス溜まりが形成された状態で、点火プラグ91を作動して放電用ギャップGに放電されると、ガス溜まりに着火され、点火用炎口部25に良好に点火される。次いで、点火用炎口部25に形成された火炎によって、隣接する補助炎口部23に点火され、該補助炎口部23に形成された火炎によって、火炎形成部17の主炎口部21及び副炎口部22に対して次々と点火される火移り現象が起きる。このようにして、火炎形成部17の各炎口部21〜23に火炎が夫々形成される。
このように、点火用炎口部25にガス溜まりを形成することによって、ガスの供給圧力、放電用ギャップGにおける雰囲気温度、ガスの種類等の夫々の条件が異なる場合でも、放電用ギャップGにおいて着火に適切なガス濃度とすることができる。これにより、点火用炎口部25は確実に着火されるので、グリル用バーナ1における点火性能を向上できる。そして、本実施形態では、このようなガス溜まりを形成する為に、中バーナ板40Aの内側フランジ部42及び下バーナ板50の内側フランジ部52において、点火部80に対応する部分を凹状に夫々切り欠いている。これにより、ガス溜まりを、上バーナ板30の内側フランジ部32の下側に形成できるので、グリル庫内において、点火用炎口部25に煮こぼれや油が侵入できない構造とすることができる。これにより、点火用炎口部25が煮こぼれや油等で塞がってしまうのを防止できる。また、本実施形態では、中側切欠き部48及び下側切欠き部58を設けることで、部品を追加すること無く、ガス溜まりを簡単に形成することができる。よって、部品コストを節約しつつ点火性能を効果的に向上できる。尚、詳述しないが、右バーナ部4の点火部80においても、同様の構造が設けられているので、左バーナ部3と同様の効果を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態のグリル用バーナ1は、平面視馬蹄形状に形成され、中バーナ部2、左バーナ部3、及び右バーナ部4で構成される。グリル用バーナ1は、左バーナ部3において、上バーナ板30、中バーナ板40A、下バーナ板50を備える。上バーナ板30は、上方に向けて膨出する上側膨出部31が長手方向に沿って形成され、その長手方向に直交する方向の一端部には、内側フランジ部32が形成されている。中バーナ板40Aは、長手方向に直交する方向の一端部に内側フランジ部42を有する。下バーナ板50も、長手方向に直交する方向の一端部に内側フランジ部52を有する。これら上バーナ板30、中バーナ板40A、及び下バーナ板50は、夫々の内側フランジ部32,42,52が重なるように上下に重ね合わせて結合されている。上側膨出部31と中バーナ板40Aとの間には、ガス流路70が形成されている。さらに、上バーナ板30の内側フランジ部32と中バーナ板40Aの内側フランジ部42とによって、ガス流路70と連通する筒状の主炎口部21が長手方向に沿って形成されている。また、中バーナ板40Aの内側フランジ部42と下バーナ板50との内側フランジ部52とに挟まれる隙間には、ガス流路70を流れるガスの一部が流入する補助炎口部23が形成されている。
このようなグリル用バーナ1において、主炎口部21は、上バーナ板30の内側フランジ部32に設けられた上側に膨出する半割筒状の上側炎口形成部34と、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に設けられた下側に膨出する半割筒状の下側炎口形成部44とが、上下に互いに合わさることにより形成されている。さらに、下側炎口形成部44は、少なくともその下部が中バーナ板40Aと下バーナ板50の内側フランジ部42の間隔を超えて下側に膨出するように形成されている。これにより、中バーナ板のフランジ部と、下バーナ板のフランジ部との間の領域にまで、主炎口部を広げることができるので、設計上の自由度が広がる。また、下バーナ板50の内側フランジ部52には、受け部56が設けられている。受け部56は、下側炎口形成部44の下部の位置及び形状に対応して下側に凹んで形成され、下側炎口形成部44の下側部分を受けることができる。これにより、グリル用バーナ1の組立時に、下バーナ板50に対して、中バーナ板40Aの位置がずれるのを防止できるので、組立精度を向上できる。また、下側炎口形成部44の下部と受け部56の夫々の曲げ形状が互いに密着してなじみ、さらに熱が加わることによって、下バーナ板50に対して中バーナ板40Aをより密着させることができる。
また、上記実施形態ではさらに、下側炎口形成部44は、最下部に頂点を有する下側に突出した楔型に形成されている。これにより、下側炎口形成部44は、補助炎口部23とされた中バーナ板40Aと下バーナ板50の夫々の内側フランジ部42,52を斜めに横切ることになる。これにより、点火時においては、補助炎口部23より生じる火移り用の火炎と、主炎口部21からの火炎との接触面積を広げることができるので、火移り性能を向上できる。
さらに、点火後の燃焼時においては、補助炎口部23からの保炎を、下側炎口形成部44の頂点部分と、下バーナ板50の内側フランジ部52の受け部56とにより長手方向に分断している。これにより、主炎口部21からの火炎と、補助炎口部23からの火炎とが干渉して肥大化するのを抑制できる。よって、グリル用バーナ1は、主炎口部21からの火炎と二次空気との接触を向上させて長細い火炎を生成できるので、燃焼排ガスがグリル用バーナ1から離れた位置(例えばグリル庫内中央部)に流れることによって、被調理物の加熱ムラを無くすことができる。
また、上記実施形態ではさらに、主炎口部21よりも断面積を小さくした副炎口部22が、隣り合う主炎口部21と主炎口部21とに挟まれた位置に形成されている。この副炎口部22は、上バーナ板30に設けられた上側炎口形成部34と、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に設けられた平板部47により形成されている。よって、主炎口部21より断面積を小さくした副炎口部22を簡単に形成できるので、設計上の自由度が広がる。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本実施形態のグリル用バーナ1は、平面視馬蹄形状であるが、形状はこれに限らず、例えば、外形が略長方形状のステンレス製板金材からなる上バーナ板、中バーナ板、及び下バーナ板の三枚の板材を重ね合わせて結合して構成するものでもよい。
また、本実施形態のグリル用バーナ1は、ガスコンロに備えたグリル(図示略)に配設する下火バーナとして使用されるものであるが、これ以外の使い方であってもよく、例えば、グリル庫を備えた単一のグリル装置に使用することもできる。
また、上記実施形態のグリル用バーナ1は、火炎形成部17,18において、主炎口部21及び副炎口部22を備えているが、例えば、図10に示す変形例である火炎形成部170のように、副炎口部22よりも大きく、且つ主炎口部21よりも小さい副炎口部24をさらに備えていてもよい。この副炎口部24は、上バーナ板30の上側炎口形成部34と、中バーナ板40Aの内側フランジ部42において、主炎口部21を形成する下側炎口形成部44よりも小さく下側に膨出した下側炎口形成部49とを上下に重ね合わせることにより形成されている。このように、中バーナ板40Aの内側フランジ部42に形成する下側炎口形成部49の高さを変えることによって、より多段階の炎口部を形成できるので、より柔軟にグリル庫のサイズに応じたグリル用バーナを提供できる。
また、上記実施形態では、上バーナ板30の上側炎口形成部34は逆楔型であるが、上側に膨出していれば、形状はこれ以外でもよく、例えば半円弧状であってもよい。中バーナ板40Aの下側炎口形成部44についても同様である。尚、その場合、下バーナ板50の受け部56の形状は、下側炎口形成部44に合わせればよい。
また、上記実施形態の火炎形成部17,18には、主炎口部21、副炎口部22、補助炎口部23が夫々設けられているが、副炎口部22を省略してもよく、副炎口部22の代わりに主炎口部21としてもよい。
また、上記実施形態では、上バーナ板30の内側フランジ部32と中バーナ板40Aの内側フランジ部42とにより、ガス流路70と連通する筒状の主炎口部21を、内側フランジ部32,42の夫々の長手方向に直交する幅方向に対して直交しているが、少なくとも交差していればよく、例えば、主炎口部21は、内側フランジ部32,42の夫々の幅方向に対して斜めに交差するように延びていてもよい。