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JP6333223B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
近年、使い捨ておむつ等の吸収性物品において、尿などの排泄物の漏れを防ぎつつ、良好な履き心地を実現するために、様々な改良が検討されている。例えば、特許文献1には、少なくとも表面シートと吸収体との接合部が形成された吸収性物品であって、前記吸収体が、前記吸収体を構成する吸収材が所定の坪量である第1領域と、前記第1領域よりも前記吸収材の坪量が少ない第2領域と、を備えていて、前記第2領域が、前記吸収性物品の長手方向に沿って延在し、且つ前記吸収性物品の幅方向において前記第1領域に挟まれ、前記接合部が前記第2領域に形成されてなる、吸収性物品が開示されている。この特許文献1に開示された吸収性物品によれば、接合部が設けられていても、着用者への装着感を悪化させることなく、より確実に横漏れを防止できるとされている。
また、特許文献2には、液透過性層及び吸収性コアを接合する接合部を備えた吸収性物品であって、前記吸収性コアが、吸収性材料として親水性繊維及び高吸収性ポリマーを含有するとともに、所定の吸収性材料坪量を有する第1領域と、前記第1領域よりも低い吸収性材料坪量を有する第2領域と、を有していて、前記第2領域における吸収性材料坪量に対する高吸収性ポリマー坪量の比率が10/100〜47/100であり、前記接合部が前記第2領域の内側に形成されてなる、吸収性物品が開示されている。この特許文献2に開示された吸収性物品によれば、液透過性層及び吸収性コアを接合する接合部が吸収コアの低坪量領域に形成されていても、十分な接合部の曲げ柔軟性と、十分な接合部の接合強度と、十分な液体吸収性とを兼ね備えることができるとされている。
特開2010−233839号公報 特開2014−136126号公報
これらの特許文献1及び2に開示された吸収性物品のように、吸収体(吸収コア)の低繊維密度領域(すなわち、吸収体を構成する親水性繊維等の繊維の坪量が相対的に小さい領域)に、エンボス加工等により少なくとも吸収体を厚さ方向に圧搾してなる接合部(圧搾部)が吸収性物品の長手方向に沿って設けられていると、着用者が吸収性物品を着用した際に、前記圧搾部が吸収体の折れ基点となって吸収体の変形を誘導するように機能し得るため、吸収性物品が着用者の体形や動きに合わせて適切な形状に変形し、排泄物を効率良く吸収、保持することができる。
しかしながら、特許文献1及び2に開示された吸収性物品では、前記圧搾部が、吸収性物品の幅方向において高繊維密度領域(すなわち、吸収体を構成する親水性繊維等の繊維の坪量が相対的に大きい領域)によって挟まれているため、吸収体が前記圧搾部を折れ基点として折れ曲がろうとしても、前記圧搾部の両側に隣接する前記高繊維密度領域同士が干渉(衝突)してしまい、十分に折れ曲がることができない虞があった。特に、吸収体が尿などの液状排泄物を吸収した後においては、吸収体の膨張によって、前記圧搾部の両側に隣接する前記高繊維密度領域同士が更に干渉(衝突)しやすい状態(すなわち、吸収体が折れ曲がりにくい状態)となり、吸収性物品が着用者の体形や動きに合わせて適切な形状に変形しにくくなるため、排泄物を効率良く吸収、保持することができず、ひいては排泄物の漏れなどを誘発する虞があった。
さらに、前記圧搾部は、エンボス加工等により圧搾されて硬くなっている上、表面シート又は吸収体の肌面側の表面に露出しているので、着用者の肌面が吸収性物品の表面シートの表面に触れたときに、前記圧搾部の硬さが表面シートの表面から直接的に又は表面シートを介して間接的に感取されやすく、吸収性物品の肌触りや着用感などを損ねる虞があった。
そこで、本発明は、排泄物の吸収前はもとより吸収後においても、所定形状に変形しやすく、排泄物を効率よく吸収、保持することができるとともに、肌触りや着用感にも優れた吸収性物品を提供することを目的とする。
本発明の一態様(態様1)に係る吸収性物品は、長さ方向、幅方向及び厚さ方向を有し、少なくとも吸水性繊維を含む吸収体を備えた吸収性物品であって、前記吸収体は、所定方向に延びる変形誘導部と、前記変形誘導部の両側に延在する基部と、を有し、前記変形誘導部は、前記所定方向に延び、且つ、前記基部から肌面側に突出する2つの第1凸状部と、前記2つの第1凸状部の間において前記所定方向に延び、且つ、肌面側に突出する少なくとも1つの第2凸状部と、前記第1凸状部と前記第2凸状部との間において前記所定方向に延び、且つ、前記吸収体を前記厚さ方向に圧密化した圧搾部を含む圧搾領域と、を備え、前記第1凸状部及び前記第2凸状部のそれぞれの繊維密度が、前記基部の繊維密度よりも低い、前記吸収性物品である。
この態様1の吸収性物品は、吸収体が、前記変形誘導部及び前記基部を有し、さらに、前記変形誘導部が前記基部よりも繊維密度の低い前記2つの第1凸状部と、前記基部よりも繊維密度の低い前記少なくとも1つの第2凸状部と、前記第1凸状部と前記第2凸状部との間の前記圧搾領域とを備えた、特定の構造を有しているので、前記基部と前記第1凸状部との間(具体的には、前記基部と一方の第1凸部との間、及び前記基部と他方の第1凸部との間)、前記第1凸状部と前記圧搾領域との間、及び前記第2凸状部と前記圧搾領域との間(具体的には、前記第2凸状部と一方の圧搾領域との間、及び前記第2凸状部と他方の圧搾領域との間)の各境界部分が、吸収体の剛性差によって肌面側に折れ曲がりやすく、それぞれ折れ基点として機能するため、吸収体を、ひいては吸収性物品を、所定形状(例えば、非肌面側に凸となる形状)に変形しやすくすることができる。その結果、本態様1の吸収性物品は、着用者の鼠蹊部等により前記吸収体に力が加わると、着用者の体形や動きに合わせて変形することができるため、排泄物を効率よく吸収、保持することができ、さらに、排泄物が着用者の肌面に付着することによる不快感を低減させることもできる。
また、本態様1の吸収性物品は、吸収体の前記変形誘導部が前記第1凸状部と前記第2凸状部との間に、すなわち、一方の第1凸状部と前記第2凸状部との間、及び他方の第1凸状部と前記第2凸状部との間のそれぞれに、液状排泄物を吸収してもほとんど膨張することのない前記圧搾部を含む圧搾領域を有していて、当該圧搾領域は、前記少なくとも1つの第2凸状部を間に挟んで互いに離間して設けられているので、前記変形誘導部の両側に延在する前記基部の可動範囲(すなわち、吸収体の折れ曲がる範囲)が広く、また、吸収体が液状排泄物を吸収した後においても、前記第1凸状部と前記圧搾領域との間、及び前記第2凸状部と前記圧搾領域との間の各境界部分がそれぞれ折れ基点として機能し得るため、吸収体が液状排泄物を吸収した後においても、これらの複数の折れ基点によって吸収性物品が上記所定形状に変形しやすい。
さらに、相対的に繊維密度の低い(すなわち、柔らかい)第1凸状部及び第2凸状部が、少なくとも圧搾領域の圧搾部よりも肌面側に突出しているため、着用者の肌面が吸収性物品の表面シートに触れたときの感触を柔らかくすることができるとともに、硬さの硬い圧搾領域の圧搾部が吸収性物品の着用者に感取されにくく、良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。また、第1凸状部及び第2凸状部が、吸収体の折り曲げ時における各凸状部同士の衝突や着用者から掛かる体圧等によって潰れるような場合でも、前記第1凸状部及び第2凸状部は、これらの間に位置する圧搾部を覆うようにして潰れるため、当該圧搾部の硬さが着用者に感取されにくい。
したがって、本態様1の吸収性物品は、排泄物の吸収前はもとより吸収後においても、所定形状に変形しやすく、排泄物を効率よく吸収、保持することができるとともに、良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。
また、本発明の別の態様(態様2)では、前記態様1の吸収性物品において、前記所定方向が前記長さ方向であって、前記吸収体が、前記吸収体の長さ方向に延びる幅方向中央軸線を挟み且つ互いに離間した位置に、前記変形誘導部をそれぞれ備えている。
この態様2の吸収性物品は、吸収体が、前記吸収体の長さ方向に延びる幅方向中央軸線を挟み且つ互いに離間した位置に、前記変形誘導部をそれぞれ備えているので、前記変形誘導部に挟まれた領域を底部として吸収性物品が非肌面側に凸となる略箱型の形状に変形しやすい。その結果、本態様2の吸収性物品は、着用者の鼠蹊部等により前記吸収体に力が加わると、吸収性物品の長さ方向及び幅方向における端縁部分を着用者の肌面に沿わせつつ、吸収性物品の中央領域(すなわち、吸収性物品の幅方向中央軸線C及び長さ方向中央軸線Cの両方を跨ぐ領域)においては、着用者の肌面と表面シートとの間に、一定の空間(以下、単に「排泄物収容空間」ということがある。)を確保するように略箱型の形状に変形することができるため、固形状排泄物を前記排泄物収容空間に保持させつつ、液状排泄物を吸収体において吸収することができ、排泄物をより効率よく吸収、保持することができる。
更に本発明の別の態様(態様3)では、前記態様2の吸収性物品において、前記吸収体は、長さ方向、幅方向及び厚さ方向を有し且つ少なくとも前記吸水性繊維を含む吸収コアと、該吸収コアの外周面を覆うコアラップとによって構成されており、前記吸収コアは、前記幅方向の両端部において前記幅方向中央軸線を挟んで対称となる位置に設けられた一対の切欠き部の、前記幅方向中央軸線に最も近い部分同士を結ぶ折曲誘導線が、前記長さ方向に複数本並設されていて、前記変形誘導部は、少なくとも、複数本の前記折曲誘導線のうちの前記吸収コアの長さ方向の一端に最も近い折曲誘導線から、複数本の前記折曲誘導線のうちの前記吸収コアの長さ方向の他端に最も近い折曲誘導線に亘って延びている。
この態様3の吸収性物品は、前記吸収コアの長さ方向に並設された複数本の前記折曲誘導線によって、前記長さ方向に折れ曲がりやすくなっているとともに、前記吸収コアの幅方向の両端部に設けられた一対の切欠き部によって、前記吸収体が前記変形誘導部及び前記折曲誘導線に沿って変形して立体化する際に前記吸収体の端部同士の干渉を防ぐことができるため、前記吸収体が、上述の略箱型の形状により精度よく変形しやすく、上述の排泄物収容空間をより確実に確保することができる。その結果、態様3の吸収性物品は、着用者から排出された排泄物を更に効率よく吸収、保持することができる。
更に本発明の別の態様(態様4)では、前記態様2又は3の吸収性物品において、前記変形誘導部が、それぞれ平面視にて前記幅方向中央軸線に対して外方側に凸となるパターンを含む。
この態様4の吸収性物品は、前記変形誘導部がそれぞれ平面視にて前記幅方向中央軸線に対して外方側に凸となるパターンを含んでいるので、前記変形誘導部に挟まれた領域を広く確保することができ、吸収性物品が非肌面側に凸となる略箱型の形状に変形したときに、底部の広い箱型の形状に変形しやすくなるため、吸収性物品の前記中央領域において、着用者の肌面と表面シートとの間に収容量の大きい排泄物収容空間をより確実に確保することができ、排泄物をより一層効率よく吸収、保持することができる。
更に本発明の別の態様(態様5)では、前記態様1〜4のいずれかの吸収性物品において、前記変形誘導部内における各圧搾領域の幅の合計幅が、前記変形誘導部の幅の1/2以下である。
この態様5の吸収性物品は、前記変形誘導部内における各圧搾領域の幅の合計幅が、前記変形誘導部の幅の1/2以下であり、各圧搾領域の幅が狭いので、硬さの硬い圧搾領域の圧搾部が吸収性物品の着用者に更に感取されにくく、より良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。さらに、前記第1凸状部及び前記第2凸状部が、吸収体の折り曲げ時における各凸状部同士の衝突や着用者から掛かる体圧等によって潰れるような場合でも、前記第1凸状部及び前記第2凸状部が、これらの間に位置する圧搾部をより完全に覆うことができるので、前記圧搾部の硬さが更に感取されにくい。
また、前記圧搾領域が表面シートと前記吸収体とを一緒に圧搾することによって形成されている場合、前記圧搾領域の幅が上述のように狭く形成されていると、吸収性物品が精緻な造りであるような印象を与える美観を呈し、着用者等に対して安心感を与えることができるという利点もある。
更に本発明の別の態様(態様6)では、前記態様1〜5のいずれかの吸収性物品において、前記圧搾領域は、前記所定方向に沿って間欠的に設けられた複数の圧搾部と、前記所定方向に隣接する前記圧搾部の間に存在する非圧搾部と、を備えていて、前記非圧搾部が前記圧搾部よりも肌面側に突出している。
この態様6の吸収性物品は、前記所定方向に隣接する圧搾部の間に存在する非圧搾部が前記圧搾部よりも肌面側に突出しているので、着用者の肌面が前記所定方向に沿って表面シート上を摺動するような場合でも、前記圧搾部の硬さが感取されにくく、良好な肌触りや着用感をより確実に着用者に提供することができる。
更に本発明の別の態様(態様7)では、前記態様1〜6のいずれかの吸収性物品において、前記吸収体が吸収性ポリマーを含んでいて、前記変形誘導部に含まれる前記吸収性ポリマーの坪量が、前記基部に含まれる前記吸収性ポリマーの坪量よりも小さい。
この態様7の吸収性物品は、吸収体が吸収性ポリマーを含んでいるので、着実に排泄物(特に、液状排泄物)を吸収、保持することができる。また、吸収体の前記変形誘導部は、吸収性ポリマーの坪量が小さいので、吸収体が液状排泄物を吸収した後においても、前記変形誘導部は膨張しにくく、また、前記圧搾部も消失しないため、吸収性物品を所定形状に変形しやすい状態に維持することができる。その結果、本態様7の吸収性物品は、吸収体の液状排泄物に対する吸収性を向上させつつ、液状排泄物の吸収後においても、排泄物をより効率よく吸収、保持することができる。
更に本発明の別の態様(態様8)では、前記態様1〜7のいずれかの吸収性物品において、前記基部が、前記第1凸状部に隣接し且つ前記第1凸状部に沿うように設けられた、非肌面側に窪む凹部と、前記凹部に隣接する基部本体と、を備えている。
この態様8の吸収性物品は、前記第1凸状部に隣接して凹部が設けられているので、前記第1凸状部と前記凹部との間、及び前記凹部と前記基部本体との間の各境界部分において、大きな繊維密度差が生じ(すなわち、大きな剛性差が生じ)、当該各境界部分もそれぞれ吸収体の折れ基点として機能し得るため、吸収性物品を所定形状に更に変形しやすくすることができる。
また、前記第1凸状部に隣接して凹部が設けられていると、前記第1凸状部の突出がより際立つため、当該第1凸状部による柔らかさがより感じられやすく、吸収性物品として更に良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。
更に本発明の別の態様(態様9)では、前記態様8の吸収性物品において、前記吸収体が吸収性ポリマーを含んでいて、前記凹部の非肌面側において前記厚さ方向に延在する部分に含まれる前記吸収性ポリマーの質量含有率が、前記基部本体に含まれる前記吸収性ポリマーの質量含有率よりも大きい。
この態様9の吸収性物品は、前記吸収体が吸収性ポリマーを含み、前記凹部の非肌面側において前記厚さ方向に延在する部分に含まれる前記吸収性ポリマーの質量含有率が、前記基部本体に含まれる前記吸収性ポリマーの坪量よりも高いので、前記吸収性ポリマーによる吸収性(特に、繊維密度が相対的に低い(すなわち、吸収性が相対的に低い)前記第1凸状部近傍における吸収性)を安定的に確保しつつ、吸収体が液状排泄物を吸収した後においても、前記第1凸状部近傍における吸収体の膨張を、前記凹部が非肌面側に窪んでいることで抑制し、上述の第1凸状部によって奏される効果を持続的に発揮させることができる。
更に本発明の別の態様(態様10)では、前記態様1〜9のいずれかの吸収性物品において、前記第2凸状部の厚みが、前記基部の平均厚みよりも小さい。
この態様10の吸収性物品は、前記変形誘導部の幅方向における中央域に存在する前記第2凸状部の厚みが小さいので、吸収体が上述の各境界部分を折れ基点として折れ曲がったときに、前記第1凸状部と前記第2凸状部とが干渉(衝突)しにくく、吸収性物品を上述の所定形状へとより確実に変形させることができる。
更に本発明の別の態様(態様11)では、前記態様1〜10のいずれかの吸収性物品において、前記第2凸状部の幅が、前記第1凸状部の幅よりも狭い。
この態様11の吸収性物品は、前記変形誘導部の幅方向における中央域に存在する前記第2凸状部の幅が狭いので、吸収体が上述の各境界部分を折れ基点として折れ曲がったときに、前記第1凸状部と前記第2凸状部とが干渉(衝突)しにくく、吸収性物品を所定形状へとより確実に変形させることができる。
更に本発明の別の態様(態様12)では、前記態様1〜11のいずれかの吸収性物品において、前記変形誘導部は、前記2つの第1凸状部の間において前記第2凸状部を2つ以上備えていて、前記第2凸状部同士の間には、前記所定方向に延び且つ前記吸収体を前記厚さ方向に圧密化した圧搾部を有する副圧搾領域を備えている。
この態様12の吸収性物品は、前記2つの第1凸状部の間において前記第2凸状部を2つ以上備えていて、前記第2凸状部同士の間には、前記所定方向に延び且つ前記吸収体を前記厚さ方向に圧密化した圧搾部を有する副圧搾領域を備えているので、吸収体の折れ基点として機能し得る剛性差を有する境界部分が多く存在し、前記吸収体の折れ曲がる範囲をより広く確保することができる上、液状排泄物の吸収後においても、前記吸収体の折れ曲がりやすい状態を維持することができる。
更に本発明の別の態様(態様13)では、前記態様1〜12のいずれかの吸収性物品において、前記吸収体が、前記所定方向に延び、且つ、前記変形誘導部の前記所定方向の少なくとも一方の端部に連結した端部側変形誘導部を備えていて、前記端部側変形誘導部は、前記所定方向に延び、且つ、前記基部から肌面側に突出する2つの端部側第1凸状部と、前記2つの端部側第1凸状部の間において前記所定方向に延び、且つ、前記吸収体を前記厚さ方向に圧密化した圧搾部を有する端部側圧搾領域とを備え、前記端部側第1凸状部の繊維密度が、前記基部の繊維密度よりも低く、前記端部側圧搾領域が、前記変形誘導部の圧搾領域のうちの、前記吸収性物品の平面視にて内方側に位置する圧搾領域の一端に連結されている。
この態様13の吸収性物品は、前記端部側圧搾領域が前記変形誘導部の圧搾領域のうちの、前記吸収性物品の平面視にて内方側に位置する圧搾領域の一端に連結され、且つ、当該端部側圧搾領域の両側において前記基部から肌面側に突出する2つの端部側第1凸状部が存在するので、前記端部側変形誘導部が存在する領域(すなわち、吸収体の前記所定方向における端部側の領域)においても、吸収性物品に変形を誘導する機能(以下、単に「変形誘導機能」ということがある。)を保持させつつ、前記端部側圧搾領域の圧搾部の硬さを着用者に感取されにくくすることができ、着用者に更に良好な肌触りや着用感を提供することができる。なお、前記端部側圧搾領域は、前記変形誘導部の圧搾領域のうちの、前記吸収性物品の平面視にて内方側に位置する圧搾領域の一端に連結されているので(すなわち、前記端部側圧搾領域は、吸収体の幅方向の端縁から離れた位置に設けられているので)、着用者の鼠蹊部等に対して、硬さの硬い端部側圧搾領域の圧搾部の感触が伝わりにくく、上述の良好な肌触りや着用感を維持することができる。
更に本発明の別の態様(態様14)では、前記態様1〜13のいずれかの吸収性物品において、前記変形誘導部が、前記吸収体の非肌面側において、前記2つの第1凸状部に対応して前記基部から非肌面側に突出する2つの第3凸状部と、前記少なくとも1つの第2凸状部に対応して非肌面側に突出する少なくとも1つの第4凸状部と、前記第3凸状部と前記第4凸状部との間において肌面側の前記圧搾部に対応する非肌面側圧搾部を有する非肌面側圧搾領域とを備えていて、前記第3凸状部及び前記第4凸状部のそれぞれの繊維密度が、前記基部の繊維密度よりも低い。
この態様14の吸収性物品は、吸収体が非肌面側においても繊維密度の低い(すなわち、柔らかい)各凸状部と、各圧搾領域とを備えているので、吸収体が非肌面側へも折れ曲がりやすく(すなわち、吸収体の変形の自由度が高く)、吸収性物品を着用者の体形や動きに合わせてより変形しやすくすることができる。その結果、吸収性物品の防漏性や着用感を更に向上させることができる。
本発明によれば、排泄物の吸収前はもとより吸収後においても、所定形状に変形しやすく、排泄物を効率よく吸収、保持することができるとともに、肌触りや着用感にも優れた吸収性物品を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1を展開した状態の平面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1が所定形状に変形したときの斜視図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1の吸収体4の平面図である。 図4は、図3に示す吸収体4のIV−IV'に沿った要部拡大端面図である。 図5(a)は、図4に示す吸収体4が液状排泄物を吸収した後の状態を示す模式図であり、図5(b)は、図5(a)に示す状態の吸収体4が幅方向に折り曲げられた状態を示す模式図である。 図6(a)〜(c)は、それぞれ本発明の別の実施形態に係る吸収性物品の吸収体の図4に相当する端面図である。 図7は、本発明の更に別の実施形態に係る吸収性物品の吸収体4dの平面図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1の吸収体4の製造装置の一例を説明するための模式図である。 図9(a)は、図8のX部分をMD方向から見た要部拡大模式図であり、図9(b)は、サクションドラムの外周面に設けられた型部材内に積層された第1の積層体をMD方向から状態を模式的に示す要部拡大端面図である。 図10(a)は、吸収体4の製造過程における、プレス装置による圧縮前の第2の積層体の図4に相当する端面の要部拡大端面図であり、図10(b)は、吸収体4の製造過程における、プレス装置による圧縮時(嵩回復前)の第3の積層体の図4に相当する端面の要部拡大端面図であり、図10(c)は、吸収体4の製造過程における、プレス装置による圧縮後に嵩回復した後(圧搾工程前)の第3の積層体の図4に相当する端面の要部拡大端面図である。 図11は、本発明の別の実施形態(吸収体が吸収性ポリマーを含まない実施形態)に係る吸収性物品の吸収体4aの製造装置の一例を説明するための模式図である。 図12は、図11に示す製造装置における賦形装置をMD方向から見た要部拡大模式図である。 図13(a)は、吸収体4aの製造過程における、賦形装置による賦形前の第2の積層体の図4に相当する端面の要部拡大端面図であり、図13(b)は、吸収体4aの製造過程における、賦形装置による賦形後(圧搾工程前)の第3の積層体の図4に相当する端面の要部拡大端面図である。
以下、本発明の吸収性物品の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で水平面上に置いた対象物(例えば、吸収性物品、吸収体等)を、垂直方向の上方側から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。
そして、本明細書において、「幅方向W」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向(短手方向)」を指し、「長さ方向L」は、「平面視における縦長の対象物の長さの長い方向(長手方向)」を指し、「厚さ方向T」は、「展開した状態で水平面上に置いたに対して垂直方向(すなわち、対象物の厚さ方向)」を指し、これらの幅方向W、長さ方向L及び厚さ方向Tは、それぞれ互いに直交する関係にある。
さらに、本明細書では、「縦長の対象物(例えば、吸収性物品、吸収体等)の幅方向Wにおいて、長さ方向Lに延びる幅方向中央軸線Cに対して相対的に近位側」を「幅方向における内方側」といい、「前記縦長の対象物の幅方向Wにおいて、前記幅方向中央軸線Cに対して相対的に遠位側」を「幅方向における外方側」という。同様に、「前記縦長の対象物の長さ方向Lにおいて、幅方向Wに延びる長さ方向中央軸線Cに対して相対的に近位側」を「長さ方向における内方側」といい、「前記縦長の対象物の長さ方向Lにおいて、前記長さ方向中央軸線Cに対して相対的に遠位側」を「長さ方向における外方側」という。
また、本明細書では、吸収性物品の厚さ方向Tにおいて、「吸収性物品の着用時に着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌面側」といい、「吸収性物品の着用時に着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌面側」という。
図1は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1を展開した状態の平面図であり、図2は、前記使い捨ておむつ1が所定形状に変形したときの斜視図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1は、平面視にて、外形形状が長さ方向Lに長い形状を有し、さらに、前記長さ方向Lの略中央部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた略砂時計形の形状を有している。なお、本発明において、吸収性物品の外形形状は、このような外形形状に限定されず、長さ方向Lの長さ寸法が幅方向Wの幅寸法よりも長い長形状のものであれば、各種用途等に応じて任意の縦長の形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など)とすることができる。
本実施形態に係る使い捨ておむつ1は、図1及び図2に示すように長さ方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有していて、前記厚さ方向Tに、液透過性の表面シート2と、液不透過性の裏面シート3と、これらのシートの間に配設された吸収体4と、を備えている。さらに、この使い捨ておむつ1は、前記表面シート2の肌面側に配設されて一対の防漏壁を形成する、疎水性又は撥水性のサイドシート5、5と、前記一対の防漏壁の幅方向Wの先端側において長さ方向Lに延在する弾性部材6と、を有している。なお、図1に示す使い捨ておむつ1においては、図1の下方に位置する長さ方向Lの一端側が着用者の腹部を覆う腹側、上方に位置する長さ方向Lの他端側が着用者の背部(臀部)を覆う背側である。また、本実施形態に係る使い捨ておむつ1は、着用時にテープファスナ7を用いて着用者に装着する、いわゆるテープ型の使い捨ておむつである。
本実施形態において、表面シート2は、吸収体4の肌面側に配設されていて、着用者からの尿などの液状排泄物を素早く吸収或いは透過させて吸収体4に向けて移行させる液透過性のシート状部材である。なお、本実施形態において前記表面シート2は、使い捨ておむつ1の長さ方向Lに沿う方向に長く形成されている。
また、本発明において、表面シートは、例えば、不織布、織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、網目を有するネット状シートなどの任意の液透過性シートを用いることができるが、これらの中でも、液透過性、柔軟性、肌触り等の観点から、不織布を用いることが好ましい。
本実施形態において、裏面シート3は、使い捨ておむつ1の非肌面側に配設されていて、着用者から排出された液状排泄物が使い捨ておむつ1の外部に漏れ出るのを防止する液不透過性のシート状部材である。この裏面シート3は、表面シート2及びサイドシート5、5と、吸収体4を間に挟んだ状態で相互に接合されている。この接合に際しては、例えば、ホットメルト型接着剤による接着、各種エンボス処理による接合等の任意の接合手段を用いることができる。
また、本発明において、裏面シートは、例えば、防水処理を施した不織布、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート、SMS不織布等の任意の液不透過性シートを用いることができる。
図3は、本実施形態に係る使い捨ておむつ1の吸収体4の平面図であり、図4は、図3に示す吸収体4のIV−IV'に沿った要部拡大端面図である。なお、図3における符号81〜83及び91〜93は、各凸状部における頂部の稜線を表わし、符号11の破線は、凹部における底部の幅方向中心線を表わしている。
本実施形態において、吸収体4は、表面シート2と裏面シート3との間に配設されていて、表面シート2を透過した液状排泄物を吸収、保持する吸収性部材である。なお、本実施形態においては、吸収体4は、図1及び図3に示すように、平面視にて略矩形状の外形形状を有していて、全体として、使い捨ておむつ1の腹側寄りに偏って配設されている。
本実施形態において吸収体4は、図4に示すように、液状排泄物を吸収、保持するための吸水性繊維41F及び吸収性ポリマー41Sを含む吸収性材料からなる吸収コア41と、この吸収コア41の外周面を被覆する少なくとも1枚の液透過性シートからなるコアラップ42とによって構成されている。本発明において、吸水性繊維は、液体を吸収、保持することができるものであれば特に制限されず、例えば、パルプ等のセルロース系吸水性繊維を用いることができる。また、コアラップは、液透過性を有し且つ吸収体の形状を保持できるものであれば特に制限されず、例えば、ティッシュ等の液透過性シートを用いることができる。さらに、吸収性ポリマーは、液体を吸収、保持することができるものであれば特に制限されず、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性ポリマーを用いることができる。なお、本実施形態においては、吸収体4を構成する吸収コア41は、吸水性繊維41F及び吸収性ポリマー41Sを含んでいるが、本発明においては、このような態様に限定されず、吸収体の吸収コアは、吸水性繊維を含んでいれば、吸収性ポリマーを含んでいなくてもよい。
そして、吸収体4は、図3及び図4に示すように、当該吸収体4を、ひいては使い捨ておむつ1を予め定めた所定形状に変形するように機能する、所定方向(本実施形態においては、吸収性物品の長さ方向Lに沿う方向)に延びる一対の変形誘導部8、9と、これらの変形誘導部8、9のそれぞれの両側に配設された基部10と、を備えている。
図3及び図4に示すように、前記一対の変形誘導部8、9のうちの一方の変形誘導部8は、前記長さ方向Lに延び、且つ、前記基部10から肌面側に突出する2つの第1凸状部81、82と、前記2つの第1凸状部81、82の間において前記長さ方向Lに延び、且つ、肌面側に突出する1つの第2凸状部83と、前記2つの第1凸状部81、82と前記第2凸状部83との間のそれぞれにおいて前記長さ方向Lに延び、且つ、吸収体4を厚さ方向Tに圧密化した圧搾部84p、85pを含む圧搾領域84、85、とを備えていて、また、前記一対の変形誘導部8、9のうちの他方の変形誘導部9は、前記長さ方向Lに延び、且つ、前記基部10から肌面側に突出する2つの第1凸状部91、92と、前記2つの第1凸状部91、92の間において前記長さ方向Lに延び、且つ、肌面側に突出する1つの第2凸状部93と、前記2つの第1凸状部91、92と前記第2凸状部93との間のそれぞれにおいて前記長さ方向Lに延び、且つ、吸収体4を厚さ方向Tに圧密化した圧搾部94p、95pを含む圧搾領域94、95と、を備えている。
また、本実施形態において、吸収体4における一対の変形誘導部8、9及び基部10は、図4に示すように、吸収コア41及び該吸収コア41の外周面に配置されたコアラップ42によって一体的に形成されている。
なお、吸収体4の非肌面側の表面は、図4に示すように、圧搾部84p、85p、94p、95pの非肌面側の部分が肌面側に窪んでいる。これは、吸収体4(すなわち、吸収コア41及び該吸収コア41の外周面を被覆するコアラップ42)を肌面側から厚さ方向Tに圧搾して圧搾部84p、85p、94p、95pを形成する際に当該圧搾部84p、85p、94p、95pの周囲に位置するコアラップ42に掛かっていた張力が、圧搾後に解放されて当該コアラップ42の収縮が起こり、その収縮によって圧搾部84p、85p、94p、95pが肌面側に引き上げられることにより形成されるものである。このように圧搾部84p、85p、94p、95pの非肌面側の部分が肌面側に窪んでいると、その周囲の部分が、相対的に僅かに膨らんだような構造となるため、吸収体としてのクッション性や柔軟性等を向上させることができる。
なお、本発明において、吸収体における基部の坪量(すなわち、コアラップを除く、吸収性材料の坪量(本実施形態においては、吸水性繊維41F及び吸収性ポリマー41Sからなる吸収性材料の坪量))は、用途等によって異なるものの、好ましくは100〜1000g/mの範囲内であり、より好ましくは200〜900g/mの範囲内、更に好ましくは300〜800g/mの範囲内である。基部の坪量が100g/m以上であると、吸収体において主として液状排泄物の吸収、保持を行う部分である基部の吸収能力を、十分に確保することができる。また、基部の坪量が1000g/m以下であると、基部が嵩高く柔軟になり、当該基部においても良好な肌触りや着用感をもたらすことができる。
一方、吸収体における変形誘導部の坪量(すなわち、2つの第1凸状部、第2凸状部及び圧搾領域における吸収性材料の坪量)は、特に制限されないが、上述の基部の坪量の30〜80質量%であることが好ましい。変形誘導部の坪量が基部の坪量の30質量%以上であると、当該変形誘導部において吸収体が型崩れしにくくなる上、一定以上の吸収能力を確保することができる。また、変形誘導部の坪量が基部の坪量の80質量%以下であると、変形誘導部(特に、第1凸状部及び第2凸状部)がより嵩高く柔軟になるため、当該変形誘導部において更に良好な肌触りや着用感をもたらすことができる。
以下、本実施形態の使い捨ておむつ1における吸収体4の一対の変形誘導部8、9について更に詳細に説明するが、これらの変形誘導部8、9は、長さ方向Lに延びる幅方向中央軸線Cに対して対称の位置に設けられていて、それぞれ同様の構成を備えているため、以下の説明においては、説明の簡略化等の観点から一方の変形誘導部8についてのみ詳説する。
本実施形態において、変形誘導部8の2つの第1凸状部81、82及び1つの第2凸状部83は、前記基部10よりも肌面側に突出した部分であり、いずれも略同じ突出高さ(すなわち、凸状部の頂点と基部の非肌面側の面との間の距離)を有している。これらの凸状部81〜83は、少なくとも一対の圧搾領域84、85における圧搾部84p、85pよりも肌面側に突出しているため、吸収性物品の着用者の肌面が表面シート2の肌面側の表面に接触したときに、硬さの硬い圧搾部84p、85pが前記表面シート2を介して着用者に感取されにくく、良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。さらに、これらの凸状部81〜83は、長さ方向Lに延びる前記一対の圧搾領域84、85の両側にそれぞれ設けられているので、着用者の肌面がどのように表面シート2上を摺動したとしても、少なくともいずれかの凸状部81〜83が、表面シート2を介して着用者の肌面に間接的に接触するため、硬さの硬い圧搾部84p、85pが前記表面シート2を介して着用者に感取されにくくなっている。これにより、着用者が動いているようなときでも、着用者に良好な肌触りや着用感を提供し続けることができる。
また、本実施形態における第1凸状部81、82及び第2凸状部83は、図4に示すように、凸状部の頂部側の部分が断面略半円形状に形成されていて、着用者の肌面に対し、表面シート2を介して柔らかく且つ小さい接触面積で接触することができるため、上述の各凸状部81〜83による違和感などが着用者に生じにくい。
なお、本実施形態においては、表面シート2が上述の各凸状部81〜83の肌面側に配置されていて、表面シート2と吸収体4は、前記変形誘導部8の圧搾部84p、85pにおいて一体的に圧搾されていないが(すなわち、表面シート2と吸収体4とが、圧搾部84p、85pにより接合されていないが)、本発明においては、表面シートと吸収体は、変形誘導部の圧搾部において一体的に圧搾されていてもよい。そのような場合においても、一対の第1凸状部及び少なくとも1つの第2凸状部は、少なくとも圧搾部よりも肌面側に突出しているため、着用者の肌面が表面シートの肌面側の表面に接触したときに、硬さの硬い圧搾部が着用者に感取されにくく、良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。
そして、本実施形態において、第1凸状部81、82及び第2凸状部83は、繊維密度が、基部10の繊維密度よりも低く構成されている。そのため、基部10と各第1凸状部81、82との間、各第1凸状部81、82と各圧搾領域84、85との間、及び第2凸状部83と各圧搾領域84、85との間の各境界部分が、それぞれ吸収体4の繊維密度差に起因する剛性差によって肌面側に向かって折れ曲がりやすく、それぞれ吸収体4の折れ基点として機能し得るため、吸収体4を、ひいては使い捨ておむつ1を、図2に示すような所定形状に変形しやすくすることができる。その際に、上述の各凸状部81〜83は、相対的に繊維密度が低く(すなわち、柔らかく)、互いに衝突したとしても潰れ得るため、吸収体4の折れ曲がりを阻害する虞がない。
したがって、本実施形態に係る使い捨ておむつ1は、着用者の鼠蹊部等により吸収体4に圧力(特に、幅方向Wの圧力)が加わると、着用者の体形や動きに合わせて変形することができるため、排泄物を効率よく吸収、保持することができ、さらには、排泄物が着用者の肌面に付着することによる不快感を低減させることもできる。
また、相対的に繊維密度の低い(すなわち、柔らかい)第1凸状部81、82及び第2凸状部83が、上述のとおり、少なくとも圧搾領域84、85の圧搾部84p、85pよりも肌面側に突出しているため、着用者の肌面が使い捨ておむつ1の表面シート2の表面に触れたときの感触を柔らかくすることができるとともに、相対的に硬さの硬い圧搾部84p、85pが表面シート2を介して着用者に感取されにくく、良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。さらに、第1凸状部81、82及び第2凸状部83が、吸収体4の折り曲げ時における各凸状部同士の衝突や着用者から掛かる体圧等によって潰れるような場合でも、前記第1凸状部81、82及び第2凸状部83は、これらの間に位置する圧搾部84p、85pを覆うようにして潰れるため、当該圧搾部84p、85pの硬さが着用者に感取されにくい。
本発明において、第1凸状部及び第2凸状部の繊維密度は、基部の繊維密度よりも低い限り特に制限されないが、基部の繊維密度の0.20倍〜0.80倍の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、0.25倍〜0.75倍の範囲内、更に好ましくは0.30倍〜0.70倍の範囲内である。第1凸状部及び第2凸状部の繊維密度が、基部の繊維密度の0.20倍以上であると、各凸状部がクッション性及び柔軟性に優れたものとなる。一方、第1凸状部及び第2凸状部の繊維密度が、基部の繊維密度の0.80倍以下であると、吸収体が折れ曲がる際に、各凸状部同士の衝突によって吸収体の折り曲げが更に阻害されにくく、変形誘導部の変形誘導機能を十分に発揮させることができる。
なお、第1凸状部及び第2凸状部の繊維密度は、基部の繊維密度よりも低い限り、それぞれ同じであっても、それぞれ異なっていてもよい。
また、本明細書において、繊維密度は、第1凸状部及び第2凸状部の繊維密度と、基部の繊維密度とが相対的に比較できる限り、その測定方法は特に制限されないが、例えば、以下の[繊維密度の測定方法]に従ってそれぞれの繊維密度を測定することができる。
[繊維密度の測定方法]
(1)吸収性物品より吸収体を(吸収体と他の部材(表面シート等)とが接合されている場合は、その他の部材ごと)取り出し、該吸収体から測定対象箇所を含むように20mm×20mmのサイズの測定用試料を切り出す。
(2)画像処理ソフト(日本ビジュアルサイエンス(株)製 三次元ボリュームレンダリングソフト:VG−Studio MAX)を備えた三次元計測X線CT装置(ヤマト科学(株)製 TDM−1000−IS/SP)を用いて、前記測定用試料を所定の撮影条件(管電圧:30kv、管電流:30μA、画素数:1024ピクセル×1024ピクセル、視野サイズ:測定用試料が厚さ方向においてすべて納まる範囲内の最大倍率)にて断層撮影することにより、前記測定用試料の内部断面(X−Y断面、Y−Z断面及びX−Z断面)の画像データをbmp形式で得る。
(3)得られた画像データを画像解析ソフト(スカラ(株)製 USBデジタルスケール)に転送して画像解析し、前記測定用試料の測定対象部位(すなわち、凸状部又は基部)における厚さ(mm)を測定する。このとき、前記測定対象部位の厚さは、表面シート等の他の部材を除く吸収体のみの厚さを測定する。
(4)前記測定用試料より厚さを測定した測定対象部位のみを切り出し、測定対象部位小片を得る。このとき、前記測定用試料が表面シート等の他の部材を含む場合は、当該他の部材を取り除くことにより前記小片を得る。
(5)得られた測定対象部位小片の非肌面側の面積(底面積)(mm)を測定する。
(6)前記小片の質量(g)を、電子天秤(株式会社エー・アンド・デイ製 GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定する。
(7)前記測定対象部位の厚さ(mm)と前記小片の非肌面側の面積(mm)とを積算した後、立方センチ単位に換算することにより、測定対象部位の見掛け体積(cm)を算出する。
(8)前記吸収体における吸収コアが吸収性ポリマーを含まない場合(すなわち、吸収コアが吸水性繊維のみからなる場合)は、前記小片の質量(g)を前記測定対象部位の見掛け体積(cm)で除算することにより、測定対象部位の繊維密度(g/cm)を得る。
また、前記吸収コアが吸収性ポリマーを含む場合は、上記(7)のステップの後に以下の(9)〜(12)のステップを順次行う。
(9)上述の測定対象部位小片に含まれる吸収性ポリマーの質量含有率(%)を、後述する[吸収性ポリマーの質量含有率の測定方法]に従って求める。
(10)前記小片の質量(g)と前記吸収性ポリマーの質量含有質(%)とから、前記小片に含まれる吸収性ポリマーの質量(g)を算出する。
(11)前記小片の質量(g)から前記吸収性ポリマーの質量(g)を差し引くことにより、前記小片に含まれる吸水性繊維の質量(g)を得る。
(12)得られた吸水性繊維の質量(g)を、上述の測定対象部位の見掛け体積(cm)で除算することにより、測定対象部位の繊維密度(g/cm)を得る。
なお、繊維密度は、同じ測定対象部位における任意の5箇所で測定し、その平均値を採用する。また、繊維密度の大小の比較だけであれば、上述の(2)のステップで得た画像データから、目視により確認することも可能である。
また、本発明において、第1凸状部及び第2凸状部の突出高さ(ここで、凸状部の突出高さは、該凸状部の厚さを意味し、具体的には、凸状部の頂点と非肌面側の面との間の距離をいう。)は、基部の厚さ(但し、基部が凹部を有する場合は、当該凹部以外の基部本体の厚さ)の1.2〜3.0倍であることが好ましく、更に好ましくは1.3〜2.5倍、より好ましくは1.5〜2.0倍である。第1凸状部及び第2凸状部の突出高さが基部の厚さの1.2倍以上であると、これらの凸状部が吸収体の折り曲げ時における各凸状部同士の衝突や着用者から掛かる体圧等によって潰れるような場合でも、これらの凸状部の間に位置する圧搾部をより確実に覆うようにして潰れ得るため、当該圧搾部の硬さが着用者に更に感取されにくくなる。一方、第1凸状部及び第2凸状部の突出高さが基部の厚さの3.0倍以下であると、吸収体が折れ曲がる際に、各凸状部同士の衝突によって吸収体の折り曲げが更に阻害されにくく、変形誘導部の変形誘導機能を十分に発揮させることができる。さらには、吸収性物品を折り畳んでパッケージとして梱包する際に、前記吸収性物品を綺麗に折り畳むことができるため、吸収性物品の着用時に、着用者が折り皺などによって違和感を感じるというようなことが起こりにくいという利点もある。
なお、第1凸状部及び第2凸状部の突出高さは、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、それぞれ同じであっても、それぞれ異なっていてもよい。
ここで、基部の厚さ(但し、基部が凹部を有する場合は、当該凹部以外の基部本体の厚さ)は、基部の肌面側の面上の任意の点と基部(基部本体)の非肌面側の面との間の距離を意味し、前記凸状部の突出高さ(すなわち、前記凸状部の厚さ)と同様に、上述の[繊維密度の測定方法]における(1)〜(3)のステップを順次行うことにより、測定することができる。なお、前記凸状部及び前記基部の厚さは、それぞれ任意の5箇所で測定し、その平均値をそれぞれ厚さの測定値として採用する。
なお、このような厚さの測定方法は、上述の各凸状部の突出高さ及び基部(基部本体)の厚さだけではなく、吸収体の他の部位の厚さの測定にも適用することができる。
本実施形態において、変形誘導部8の圧搾領域84、85は、吸収体4、すなわち、吸収コア41及び該吸収コア41の外周面を被覆するコアラップ42の一部を、エンボス加工等の加圧手段を用いて、吸収体4の肌面側から厚さ方向Tに圧搾することにより形成された圧搾部84p、85pを含むもので、一方の第1凸状部81と第2凸状部83との間、及び他方の第1凸状部82と第2凸状部との間に、それぞれ1つの圧搾領域84、85が配設されていて(すなわち、変形誘導部8には、2つの圧搾領域84、85が配設されていて)、各圧搾領域84、85は、それぞれ第1凸状部81、82及び第2凸状部83に沿うように形成されている。
そして、これらの圧搾領域84、85は、第2凸状部83を間に挟んで互いに離間して設けられているので、吸収体4が折れ曲がる際に、前記変形誘導部8の両側に延在する基部10の可動範囲(すなわち、吸収体4の折れ曲がる範囲)が広く、また、吸収体4が着用者の液状排泄物を吸収した後においても、第1凸状部81、82と圧搾領域84、85との間、及び第2凸状部83と圧搾領域84、85との間の各境界部分が、それぞれ吸収体4の折れ基点として機能し得るため、これら複数の折れ基点によって、吸収体4が、ひいては使い捨ておむつ1が所定形状に変形しやすくなっている。
ここで、本実施形態に係る使い捨ておむつ1の吸収体4が、着用者の液状排泄物を吸収した後においても、所定形状に変形しやすい理由について、図面を参照しながら更に詳細に説明する。図5(a)は、図4に示す吸収体4が液状排泄物を吸収した後の状態を示す模式図であり、図5(b)は、図5(a)に示す状態の吸収体4が幅方向に(すなわち、肌面側に向かって)折り曲げられた状態を示す模式図である。
図5(a)に示すように、吸収体4は、着用者の液状排泄物を吸収すると、吸収コア41を形成する吸収性材料(すなわち、吸水性繊維41F及び吸収性ポリマー41S)が液状排泄物を吸収、保持するため、全体的に体積が膨張するが、吸収体4の変形誘導部8においては、基部10に比べて吸水性繊維41Fの繊維密度及び吸収性ポリマー41Sの坪量が小さい上、液状排泄物を吸収してもほとんど膨張しない圧搾部84p、85pが設けられているため、前記基部10に比べて、体積の膨張を一定の範囲内に抑制することができる。それにより、吸収体4は、液状排泄物を吸収した後においても、図5(a)に示すように、変形誘導部8における少なくとも第2凸状部83と、当該第2凸状部83を間に挟んで互いに離間して設けられた圧搾領域84、85とを保持することができるので、第1凸状部81と圧搾領域84との間、圧搾領域84と第2凸状部83との間、第2凸状部83と圧搾領域85との間、及び圧搾領域85と第1凸状部82との間の各境界部分が、それぞれ折れ基点として機能し得るため、吸収体4は、液状排泄物を吸収した後においても、これら複数の折れ基点によって、図5(b)に示すような所定形状に変形しやすい。
さらに、吸収体4は、液状排泄物を吸収した後においても、相対的に繊維密度の低い(すなわち、柔らかい)第1凸状部81、82及び第2凸状部83が、少なくとも圧搾領域84、85の圧搾部84p、85pよりも肌面側に突出した状態を保持しているため、着用者の肌面が表面シート2の表面に触れたときの感触を柔らかくすることができるとともに、硬さの硬い圧搾部84p、85pが着用者に感取されにくく、良好な肌触りや着用感を着用者に提供し続けることができる。
また、本実施形態における圧搾領域84、85は、図3に示すように、前記所定方向、すなわち、変形誘導部8の長さ方向に沿って間欠的に設けられた複数の圧搾部84p、85pと、前記長さ方向に隣接する前記圧搾部84p、85pの間に存在する、圧搾されていない複数の非圧搾部84q、85qと、を備えた構成を有している。圧搾部84p、85pは、吸収体4(すなわち、吸収コア41及び該吸収コア41の外周面を被覆するコアラップ42)を肌面側から厚さ方向Tに圧搾することによって圧密化した状態の部分であり、前記吸収体4の表面が厚さ方向に窪んだ窪みの底部(ここで、「窪みの底部」とは、窪みの底面から厚さ方向Tにおいて非肌面側の表面まで延びる部分」をいう。)として形成されていて、前記吸収体4の中で最も厚さが小さく、且つ最も繊維密度が大きい部分となっている。そのため、圧搾部84p、85pは、吸収体4の中で最も硬さが硬い部分となっている。
なお、本実施形態において、圧搾部84p、85pは、吸収コア41と該吸収コア41の外周面を被覆するコアラップ42とを一緒に肌面側から厚さ方向Tに圧搾することにより形成されているが、本発明において、圧搾部は、このような態様に限定されず、例えば、表面シートと、吸収コア及びコアラップからなる吸収体とを一緒に肌面側から厚さ方向Tに圧搾することにより形成されていてもよく、さらに、圧搾部は、吸収体の肌面側及び非肌面側の両方の面から厚さ方向Tに圧搾することにより形成されていてもよい。なお、このように各種部材(表面シート、吸収コア、コアラップ等)を一緒に圧搾することによって形成された圧搾部は、前記各種部材同士を互いに接合する接合部としても機能している。
また、本実施形態において、非圧搾部84q、85qは、少なくとも圧搾部84p、85pよりも(図4に示す吸収体4においては、基部10よりも)肌面側に突出していて、圧搾部84p、85pに比べて繊維密度が小さく、圧搾領域84、85内において最も柔らかい部分となっている。そのため、着用者の肌面が前記長さ方向に沿って表面シート2の表面上を摺動するような場合でも、柔らかい非圧搾部84q、85qが硬い圧搾部84p、85pよりも先に接触するため、当該圧搾部84p、85pの硬さが感取されにくく、非圧搾部の柔らかさによって、良好な肌触りや着用感をより確実に着用者に提供することができる。
また、本発明において、変形誘導部内における各圧搾領域の幅は、その合計幅が変形誘導部の幅の1/2以下であることが好ましく、更に好ましくは1/4以下、より好ましくは1/8以下である。変形誘導部内における各圧搾領域の幅の合計幅が、変形誘導部の幅の1/2以下であると、硬さの硬い圧搾領域の圧搾部が吸収性物品の着用者に更に感取されにくく、より良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。さらに、第1凸状部及び第2凸状部が、吸収体の折り曲げ時における各凸状部同士の衝突や着用者から掛かる体圧等によって潰れるような場合でも、前記第1凸状部及び前記第2凸状部が、これらの間に位置する圧搾部をより確実に覆うことができるので、前記圧搾部の硬さが更に感取されにくくなる。
また、前記圧搾領域が表面シートと吸収体とを一緒に圧搾することによって形成されている場合には、前記圧搾領域の幅が上述のように狭く形成されていると、吸収性物品を表面シート側から見たときに吸収性物品が精緻な造りであるような印象を与える美観を呈し、着用者等に対して安心感を与えることができるという利点もある。
なお、変形誘導部内における各圧搾領域の幅の合計幅の下限については、例えば、変形誘導部の幅の1/100以上であり、好ましくは1/50以上である。また、各圧搾領域の幅は、それぞれ同じ幅であってもよいし、異なる幅であってもよい。
ここで、本発明の吸収性物品における変形誘導部の幅(但し、吸収性物品が変形誘導部を複数備える場合は、1つの変形誘導部の幅)は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば、3〜45mmの範囲内であり、好ましくは5〜40mmの範囲内、より好ましくは10〜30mmの範囲内である。変形誘導部の幅が3mm以上であると、変形誘導部が有する変形誘導機能をより効果的に発揮させることができ、また、変形誘導部の幅が45mm以下であると、変形誘導部が有する柔らかい感触、肌触り等をより効果的に発揮させることができる。
また、本発明において、各圧搾領域の幅(すなわち、各圧搾部の幅)は、変形誘導部の幅や形状等にもよるが、好ましくは0.3〜8mmの範囲内であり、より好ましくは0.4〜6mmの範囲内、更に好ましくは0.5〜4mmの範囲内である。各圧搾領域の幅が0.3mm以上であると、圧搾による接合強度が高く、吸収体に型崩れ等が生じにくい上、上述の変形誘導部の変形誘導機能をより効果的に発揮させることができる。また、各圧搾領域の幅が8mm以下であると、圧搾部の幅が狭いため、当該圧搾部の硬さが着用者の肌面に更に感取されにくくなる。
さらに、本発明において、間欠的に設けられた複数の圧搾部における1つの圧搾部の長さ(圧搾領域の長さ方向に沿う方向の長さ)は、変形誘導部の長さや形状等にもよるが、好ましくは1〜20mmの範囲内であり、より好ましくは2〜15mmの範囲内、更に好ましくは2.5〜10mmの範囲内である。1つの圧搾部の長さが1mm以上であると、圧搾による接合強度が高くなるため、吸収体に型崩れ等が生じにくい上、上述の変形誘導部の変形誘導機能をより効果的に発揮させることができる。また、1つの圧搾部の長さが20mm以下であると、1つの圧搾部の長さが短いため、当該圧搾部の硬さが着用者の肌面に更に感取されにくくなる。
また、前記長さ方向に隣接する圧搾部間の長さ(すなわち、前記長さ方向に隣接する圧搾部における対向部分間の長さ、或いは、非圧搾部の長さ方向に沿う方向の長さ)は、変形誘導部の長さや形状、圧搾部の長さ等にもよるが、好ましくは0.1〜20mmの範囲内であり、より好ましくは0.5〜15mmの範囲内、更に好ましくは1.0〜10mmの範囲内である。前記長さ方向に隣接する圧搾部間の長さが0.1mm以上であると、前記長さ方向に隣接する圧搾部間の長さ(すなわち、非圧搾部の長さ方向に沿う方向の長さ)が長いため、当該圧搾部間に存在する非圧搾部によって、圧搾部の硬さが着用者の肌面に更に感取されにくくなる。また、前記長さ方向に隣接する圧搾部間の長さが20mm以下であると、前記長さ方向に隣接する圧搾部間の間隔が短く、圧搾による接合強度が高くなるため、吸収体に型崩れ等が生じにくい上、上述の変形誘導部の変形誘導機能をより効果的に発揮させることができる。
なお、本実施形態においては、圧搾部84p、85pは、変形誘導部8の長さ方向に沿って間欠的に設けられているが、本発明においては、このような態様に限定されず、圧搾部は、前記変形誘導部の長さ方向に沿って設けられた連続的な圧搾部であってもよく、或いは、前記変形誘導部の長さ方向に沿う圧搾部毎に、連続的な圧搾部と間欠的な圧搾部が混在して設けられていてもよい。
次に、本発明の吸収性物品において、吸収体に設けられる変形誘導部のパターンについて説明する。
図1及び図3に示すように、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1は、一対の変形誘導部8、9が、吸収体4の長さ方向に延びる幅方向中央軸線CAを挟み、且つ互いに離間した位置にそれぞれ設けられている。このような位置に、一対の変形誘導部が設けられていると、当該一対の変形誘導部に挟まれた領域を底部として、吸収体或いは吸収性物品が非肌面側に凸となる箱型の形状に変形しやすいため、着用者の鼠蹊部等により前記吸収体に(特に、吸収体の幅方向に)圧力が加わると、吸収性物品の長さ方向及び幅方向における端縁部分を着用者の肌面に沿わせつつ、吸収性物品の中央領域(すなわち、吸収性物品の幅方向中央軸線C及び長さ方向中央軸線Cの両方を跨ぐ領域)においては、着用者の肌面と表面シートとの間に、一定の空間(すなわち、排泄物収容空間)を確保するように変形することができるため、固形状排泄物を前記排泄物収容空間に保持させつつ、液状排泄物を吸収体において吸収することができ、排泄物をより効率よく吸収、保持することができる。
そして、本実施形態においては、前記一対の変形誘導部8、9は、図1及び図3に示すように、平面視にて、長さ方向Lに延びる幅方向中央軸線CAを対称軸とする対称な形状に形成されていて、さらに、前記一対の変形誘導部8、9は、それぞれ平面視にて、全体的に前記幅方向中央軸線に対して外方側に凸となるパターンで形成されている。
更に具体的には、前記一対の変形誘導部8、9は、図3に示すように、吸収体4の腹側の端部寄りの位置における吸収体4の幅方向の各端部を始点86a、96aとして、当該始点86a、96aよりも吸収体4の背側であって前記吸収体4の幅方向の端部と前記幅方向中央軸線CAとの間に位置する第1基点86b、96bまで、吸収体4の幅方向の内方側に凸となるように緩やかに湾曲した状態で延び、次いで、前記第1基点86b、96bから、当該第1基点86b、96bよりも吸収体4の背側であって前記吸収体4の幅方向の端部と前記幅方向中央軸線CAとの間に位置する第2基点86c、96cまで、吸収体4の幅方向の外方側に凸となるように緩やかに湾曲した状態で延び、さらに、前記第2基点86c、96cから、当該第2基点86c、96cよりも吸収体4の背側であって前記吸収体4の幅方向の端部と前記幅方向中央軸線CAとの間に位置する第3基点86d、96dまで、吸収体4の幅方向の外方側に凸となるように緩やかに湾曲した状態で延び、そして、前記第3基点86d、96dから、当該第3基点86d、96dよりも吸収体4の背側であって前記吸収体の幅方向の端部に位置する終点86e、96eまで、吸収体4の幅方向の外方側に凸となるように緩やかに湾曲した状態で延びている。
このように、一対の変形誘導部8、9が、それぞれ平面視にて前記幅方向中央軸線Cに対して外方側に凸となるパターンを含むように形成されていると、前記一対の変形誘導部8、9に挟まれた領域を広く確保することができるため、吸収性物品が、図2に示すような非肌面側に凸となる箱型の形状へ変形したときに、底部の広い箱型の形状へ変形しやすくなる。その結果、吸収性物品の前記中央領域において、着用者の肌面と表面シートとの間に収容量の大きい排泄物収容空間をより確実に確保することができるため、排泄物をより一層効率よく吸収、保持することができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、吸収体4を構成する吸収コア41は、長さ方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有していて、前記幅方向Wの両端部における、前記第1基点〜第3基点86b〜86d、96b〜96dに対応する各位置に、吸収コア41の端縁部分の一部が切欠かれてなる切欠き部43が、それぞれ設けられている。これらの切欠き部43が設けられていると、吸収体4が変形誘導部8、9に沿って変形して立体化するときに、吸収体4の端部同士の干渉を防ぐことができるため、吸収体4が所定形状により一層変形しやすくなる。なお、本発明において、切欠き部の形状は特に制限されず、例えば、略三角形状、矩形状、長円形状などの任意の形状を採用することができるが、上述の切欠き部による効果がより顕著に発揮されるという点から、前記切欠きの形状は、内方側に向かって先細りとなる形状が好ましい。
さらに、吸収コア41は、図3に示すように、前記幅方向Wの両端部において前記幅方向中央軸線CAを挟んで対称となる位置に設けられた一対の切欠き部43の、前記幅方向中央軸線CAに最も近い部分同士を結ぶ折曲誘導線46〜48が、前記長さ方向Lに3本並設されていて、前記変形誘導部8、9は、少なくとも、前記吸収コア41の長さ方向Lの一端44に最も近い折曲誘導線46から、前記吸収コア41の長さ方向Lの他端45に最も近い折曲誘導線48に亘って延びている。
このように構成された吸収コア41は、前記長さ方向Lに並設された3本の前記折曲誘導線46〜48によって、前記長さ方向Lに折れ曲がりやすくなっているとともに、前記吸収コア41の幅方向Wの両端部に設けられた各切欠き部43によって、前記吸収体4が前記変形誘導部8、9及び前記折曲誘導線46〜48に沿って変形して立体化する際に前記吸収体4の端部同士の干渉を防ぐことができるため、このような吸収コア41によって構成された吸収体4は、上述の略箱型の形状により精度よく変形しやすくなっている。
なお、本実施形態において、前記折曲誘導線46〜48は、前記吸収コア41の長さ方向Lに3本並設されているが、本発明においては、前記折曲誘導線の本数は特に制限されず、折曲誘導線は、吸収コアの長さ方向に2本並設されていてもよいし、4本以上並設されていてもよい。但し、折曲誘導線が吸収コアの長さ方向に3本以上並設されていると、深さの深い排泄物収容空間を形成することができるため、排泄物をより一層効率よく吸収、保持することができる。
また、本実施形態においては、図1の下方側に位置する吸収コア41の長さ方向Lの一端44が着用者の腹部を覆う腹側の端部、図1の上方に位置する吸収コア41の長さ方向Lの他端45が着用者の背部(臀部)を覆う背側の端部となっているが、本発明においては、このような態様に限定されず、吸収性物品の種類等によっては、前記一端が前記腹側の端部、前記他端が前記背側の端部であってもよい。
さらに、本実施形態においては、図1及び図2に示すように、吸収体4或いは使い捨ておむつ1が、変形誘導部8、9によって、肌面側が内側となる谷折りの状態を形成しやすくするために、使い捨ておむつ1における幅方向の両端縁部分の近傍に、弾性部材6、6がそれぞれ長さ方向Lに沿うように配設されている。
ところで、上述のとおり本実施形態における吸収体4には、吸収性材料として吸水性繊維41Fとともに吸収性ポリマー41Sが含まれているため、吸収体4は、着実に排泄物(特に、液状排泄物)を吸収、保持することができる。さらに、本実施形態においては、変形誘導部8、9に含まれる吸収性ポリマー41Sの坪量が、基部10に含まれる吸収性ポリマー41Sの坪量よりも低くなっている。このように、変形誘導部8、9に含まれる吸収性ポリマー41Sの坪量が基部10よりも低いと、吸収体4が液状排泄物を吸収した際に、変形誘導部8、9は、吸収性ポリマー41Sの膨潤に伴う膨張が基部10に比べて小さくなる。これにより、変形誘導部8、9による変形誘導機能が阻害されにくくなるため、吸収体4が液状排泄物を吸収した後であっても、使い捨ておむつ1を安定的に所定形状に変形させることでき、排泄物をより効率よく吸収、保持することができる。
また、変形誘導部8、9内における圧搾領域84、85、94、95の圧搾部84p、85p、94p、95p及びその近傍に吸収性ポリマー41Sが多く含まれていると、前記圧搾部84p、85p、94p、95pを形成する際の圧搾によって吸収性ポリマー41Sが肌面側に露出してしまい、表面シート2を介した吸収体4の肌触りが低下する虞があるが、変形誘導部8、9に含まれる吸収性ポリマー41Sの坪量を基部10に含まれる吸収性ポリマー41Sの坪量よりも低くすることにより、このような問題が生じにくく、肌触りの低下をより確実に抑えることができる。
なお、本発明において、変形誘導部に含まれ得る吸収性ポリマーの坪量は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されないが、基部における吸収性ポリマーの坪量の80質量%未満であることが好ましい。変形誘導部における吸収性ポリマーの坪量が基部における吸収性ポリマーの坪量の80質量%未満であると、吸収体が液状排泄物を吸収したとしても、変形誘導部の膨張が基部に比べて十分小さくなるため、変形誘導部8、9による変形誘導機能が阻害されにくくなる。なお、本発明においては、上述したとおり、吸収体には吸収性ポリマーが含まれていなくてもよいが、変形誘導部における吸収能力を十分に確保するため、変形誘導部における吸収性ポリマーの坪量は、基部における吸収性ポリマーの坪量の25質量%以上であることが好ましい。
次に、本発明の吸収性物品における吸収体の基部について説明する。
図4に示すように、本実施形態において吸収体4の基部10は、変形誘導部8、9の各第1凸状部81、82、91、92に隣接し且つその隣接する各第1凸状部81、82、91、92に沿うように延設された、肌面側の面から非肌面側に窪む凹部11と、前記凹部11に隣接し且つ肌面側の面が略平坦状に形成された基部本体12と、を備えている。さらに、本実施形態において基部本体12は、図4に示すように、肌面側及び非肌面側の両面がそれぞれ略平坦状に形成されていて、全体として略一定の厚さを有している一方、凹部11は、図4に示すように、幅方向Wに沿った断面形状が略U字状に形成されていて、前記基部本体12よりも厚さが小さくなっている。なお、吸収体4は、図3に示すように、変形誘導部8、9以外の部分は、基本的に基部10として構成されている。
このように、変形誘導部8、9の各第1凸状部81、82、91、92に隣接して凹部11が設けられていると、前記凹部11とそれに隣接する各第1凸状部81、82、91、92と間、及び前記凹部11とそれに隣接する基部本体12との間の各境界部分において、大きな繊維密度差が生じ(すなわち、大きな剛性差が生じ)、当該各境界部分においても、それぞれ吸収体4の折れ基点として機能し得るため、吸収体4或いは使い捨ておむつ1を所定形状に更に変形しやすくすることができる。さらに、このように凹部11が設けられていると、それに隣接する各第1凸状部81、82、91、92の突出がより際立つため、当該第1凸状部81、82、91、92による柔らかさが、表面シート2を介してより感じられやすく、吸収性物品として更に良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。
さらに、本実施形態においては、吸収体4の凹部11の非肌面側において厚さ方向に延在する部分に含まれる吸収性ポリマー41Sの質量含有率(%)が、前記基部本体12に含まれる吸収性ポリマー41Sの質量含有率(%)よりも大きくなっている。これにより、吸収体4において、吸収性ポリマー41Sによる優れた吸収性(特に、吸水性繊維41Fの繊維密度が相対的に低い第1凸状部81、82、91、92近傍における優れた吸収性)を安定的に確保しつつ、吸収体4が液状排泄物を吸収した後においても、前記第1凸状部81、82、91、92近傍における吸収体4の膨張を、前記凹部11が非肌面側に窪んでいることで抑制し、上述の第1凸状部81、82、91、92によって奏される効果を持続的に発揮させることができる。
なお、本明細書において、吸収性ポリマーの質量含有率(%)は、吸収体に含まれる吸水性繊維及び吸収性ポリマーの合計質量に対する吸収性ポリマーの質量の比率を意味する。そして、この質量含有率(%)は、以下の[吸収性ポリマーの質量含有率の測定方法]に従って求めることができる。
[吸収性ポリマーの質量含有率の測定方法]
(1)吸収性物品より吸収体を取り出し(このとき、吸収体と他の部材(表面シート等)とが接合されている場合は、その他の部材を取り除く。)、さらに、取り出した吸収体から鋭利なカッターを用いて吸収性ポリマーの質量含有率の測定対象部位のみを切り出し、測定対象部位小片を得る。
(2)前記小片をトルエン溶液に浸漬し、前記小片からコアラップを取り除いて吸水性繊維及び吸収性ポリマー(以下、「吸収コアサンプル」という。)を取り出す。
(3)前記小片から取り出した吸収コアサンプルを、80℃に設定された乾燥機にて12時間以上乾燥させる。
(4)乾燥した吸収コアサンプルを、ナイロン製のメッシュ袋内に入れ、その質量W(g)を測定する。
なお、ナイロン製のメッシュ袋は、吸収コアサンプルの吸水性繊維及び吸収性ポリマーが脱落しない程度の網目構造を有するものを使用し、吸収コアサンプルを入れる前に、予めその質量W(g)を測定しておく。
(5)測定した質量W(g)からメッシュ袋の質量W(g)を差し引くことにより、乾燥した吸収コアサンプルの質量W(g)を算出する。
(6)上述の乾燥した吸収コアサンプルをメッシュ袋ごとイオン交換水中に60分間浸漬した後、遠心脱水機(遠心力:150G、脱水時間:2分間)にて脱水する。
(7)脱水後の吸収コアサンプル及びメッシュ袋の合計質量W(g)を測定し、該合計質量W(g)からメッシュ袋の質量W(g)を差し引くことにより、吸収コアサンプルの保水量W(g)を算出する。
(8)同寸法及び同質量のナイロン製のメッシュ袋のみを用いて、上述の(6)のステップを実施した後、脱水後のメッシュ袋の質量から予め測定したメッシュ袋の質量を差し引くことにより、メッシュ袋の保水量W(g)を算出する。
(9)下記の式(1)を用いて、前記吸収コアサンプルの保水率H(%)を算出する。
Figure 0006333223
(10)上述の(1)のステップにおいて吸収性物品から取り出した吸収体から、吸収性ポリマーのみを、2g〜5g程度を目安として取り出し、その質量W(g)を測定する。
(11)取り出した吸収性ポリマーについて、上述の(4)〜(9)と同様のステップを実施し、吸収性ポリマーの保水率H(%)を算出する。
(12)吸収性ポリマーと同様に、上述の(1)のステップにおいて吸収性物品から取り出した吸収体から、吸水性繊維のみを、2g〜5g程度を目安として取り出し、その質量W(g)を測定する。
(13)取り出した吸水性繊維について、上述の(4)〜(9)と同様のステップを実施し、吸水性繊維の保水率H(%)を算出する。
(14)上述の吸収性ポリマーの保水率Hを、吸収性ポリマーの質量含有率が100%のときの吸収コアサンプルの保水率とし、上述の吸水性繊維の保水率Hを、吸収性ポリマーの質量含有率が0%のときの吸収コアサンプルの保水率として、それぞれX軸を吸収性ポリマーの質量含有率(%)とし、Y軸を吸収コアサンプルの保水率(%)としたグラフにプロットする。
(15)プロットした2点を直線で結び、該直線の式(Y=aX+b)を算出して一次関数の検量線を得る。
(16)上述の(9)のステップで算出した吸収コアサンプルの保水率H(%)を前記検量線に代入し、前記吸収コアサンプルに含まれる吸収性ポリマーの質量含有率(%)を算出する。
なお、吸収性ポリマーの質量含有率は、同じ測定対象部位における任意の5箇所で測定し、その平均値を採用する。
本発明では、前記基部の凹部の非肌面側において厚さ方向に延在する部分に含まれる吸収性ポリマーの質量含有率は、前記基部の基部本体に含まれる吸収性ポリマーの質量含有率の1.05〜1.50倍の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.10〜1.40倍の範囲内、更に好ましくは1.15〜1.30倍の範囲内である。前記基部の凹部の非肌面側において厚さ方向に延在する部分に含まれる吸収性ポリマーの質量含有率が、基部の基部本体に含まれる吸収性ポリマーの質量含有率の1.05〜1.50倍の範囲内であると、吸収体において、吸収性ポリマーによる優れた吸収性(特に、吸水性繊維の繊維密度が相対的に低い第1凸状部近傍における優れた吸収性)を安定的に確保しつつ、吸収体が液状排泄物を吸収した後においても、前記第1凸状部近傍における吸収体の膨張をより確実に抑制することができ、上述の第1凸状部によって奏される効果をより持続的に発揮させることができる。特に、前記基部の凹部の非肌面側において厚さ方向に延在する部分に含まれる吸収性ポリマーの含有量が、基部の基部本体に含まれる吸収性ポリマーの質量含有率の1.05倍以上であると、前記第1凸状部に隣接する前記凹部を形成しやすいという利点もある。
なお、本発明において、前記基部の凹部は必須の構成要件ではないため、前記基部に凹部を形成しない場合は、吸収性ポリマーの含有量を所定以下にするだけで(すなわち、製造設備の変更等を要さないで)容易に製造することができる。
次に、本発明の別の実施形態に係る吸収性物品に用いられる吸収体について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上述の実施形態と異なる部分以外の構成は、基本的に上述の実施形態と同様の構成を備えているため、説明を省略する。
図6(a)〜(c)は、それぞれ本発明の別の実施形態に係る吸収性物品に用いられる吸収体の図4に相当する端面図である。また、図7は、本発明の更に別の実施形態に係る吸収性物品に用いられる吸収体4dの平面図である。なお、これらの図面において、上述の実施形態と同様の構成要素に関するものは、上述の実施形態の構成要素と同じ符号を付している。
図6(a)に示す本発明の別の実施形態では、吸収体4aは、吸水性繊維41Faからなる吸収コア41aと、この吸収コア41aの外周面を被覆する少なくとも1枚の液透過性シートからなるコアラップ42とによって構成されていて、前記吸収コア41aには、吸収性ポリマーが含まれていない。なお、吸水性繊維41Faは、上述の実施形態において用いられる吸水性繊維41Fと同様の繊維を用いることができる。この別の実施形態では、吸収体4aは、吸収性ポリマーを含んでいないため、吸収性ポリマーを含むものと比べて、吸収体4a全体の柔らかさが向上している。
また、図6(a)に示す別の実施形態では、吸収体4aは、基部10aが基部本体12aのみから構成されていて、当該基部10aには、上述の実施形態で備えていた凹部11に相当するものが存在しない。すなわち、前記基部10aは、肌面側及び非肌面側の両面がそれぞれ全体的に略平坦状に形成された基部本体12aによって構成されていて、全体として略一定の厚さを有している。この基部10aは、肌面側の表面全体が略平坦状であるため、着用者の肌面が表面シート2を介して前記基部10aに触れても、着用者に凹凸感等をほとんど感じさせることがなく、良好な肌触りや着用感を提供することができる。
なお、この図6(a)に示す別の実施形態においても、吸収体4aは、上述の実施形態と同様に所定方向(長さ方向L)に延びる一対の変形誘導部8a、9aと、これらの変形誘導部8a、9aのそれぞれの両側に配設された基部10aと、を備えている。さらに、前記変形誘導部8a(9a)は、前記長さ方向Lに延び、且つ、前記基部10aから肌面側に突出する2つの第1凸状部81a、82a(91a、92a)と、前記2つの第1凸状部81a、82a(91a、92a)の間において前記長さ方向Lに延び、且つ、肌面側に突出する1つの第2凸状部83a(93a)と、各第1凸状部81a、82a(91a、92a)と前記第2凸状部83a(93a)との間において前記長さ方向Lに延び、且つ、吸収体4aを厚さ方向Tに圧密化した圧搾部84pa、85pa(94pa、95pa)を含む圧搾領域84a、85a(94a、95a)と、を備えていて、前記各第1凸状部81a、82a(91a、92a)及び前記第2凸状部83a(93a)のそれぞれの繊維密度が、前記基部10aの繊維密度よりも低くなっている。この別の実施形態においては、吸収体4aに吸収性ポリマーが含まれておらず、前記各第1凸状部81a、82a(91a、92a)及び前記第2凸状部83a(93a)が柔らかいため、前記変形誘導部8a(9a)は、上述の実施形態の変形誘導部8(9)によって奏される作用効果に加えて、更に良好な肌触りや着用感を着用者に提供することができる。
また、図6(b)に示す本発明の更に別の実施形態では、吸収体4bは、所定方向(長さ方向L)に延びる一対の変形誘導部8b、9bと、これらの変形誘導部8b、9bのそれぞれの両側に配設された基部10と、を備えている。さらに、前記変形誘導部8b(9b)は、前記長さ方向Lに延び、且つ、前記基部10から肌面側に突出する2つの第1凸状部81b、82b(91b、92b)と、前記2つの第1凸状部81b、82b(91b、92b)の間において前記長さ方向Lに延び、且つ、肌面側に突出する1つの第2凸状部83b(93b)と、各第1凸状部81b、82b(91b、92b)と前記第2凸状部83b(93b)との間において前記長さ方向Lに延び、且つ、吸収体4bを厚さ方向Tに圧密化した圧搾部84pb、85pb(94pb、95pb)を含む圧搾領域84b、85b(94b、95b)と、を備えていて、前記各第1凸状部81b、82b(91b、92b)及び前記第2凸状部83b(93b)のそれぞれの繊維密度が、前記基部10の繊維密度よりも低くなっている。
そして、この図6(b)に示す別の実施形態では、前記第2凸状部83b(93b)の厚みが、基部10の平均厚みよりも小さく形成されている。したがって、この別の実施形態では、前記変形誘導部8b(9b)の幅方向における略中央域に存在する第2凸状部83b(93b)の厚みが小さいので、吸収体4bが、上述の基部10と各第1凸状部81b、82b(91b、92b)との間、各第1凸状部81b、82b(91b、92b)と各圧搾領域84b、85b(94b、95b)との間、及び第2凸状部83b(93b)と各圧搾領域84b、85b(94b、95b)との間の各境界部分を折れ基点として折れ曲がったときに、前記各第1凸状部81b、82b(91b、92b)同士が干渉(衝突)しにくく、吸収性物品を所定形状へとより確実に変形させることができる。
なお、本明細書において、「基部の平均厚み」とは、基部(但し、基部が凹部を有する場合は、当該凹部以外の基部本体)における任意の5箇所の平均厚さを意味する。この「基部の平均厚み」は、前記基部における任意の5箇所の厚さを、それぞれ上述の[繊維密度の測定方法]における(1)〜(3)のステップを順次行うことにより測定し、その平均値を算出することにより得ることができる。
さらに、図6(b)に示す実施形態では、前記第2凸状部83b(93b)の幅(すなわち、幅方向Wの長さ)が、前記各第1凸状部81b、82b(91b、92b)のいずれの幅よりも狭く形成されている。したがって、この実施形態では、前記変形誘導部8b(9b)の幅方向における中央域に存在する前記第2凸状部83b(93b)の幅が狭いので、吸収体4bが、上述の各境界部分を折れ基点として折れ曲がったときに、前記各第1凸状部81b、82b(91b、92b)同士が干渉(衝突)しにくく、吸収性物品を所定形状へと更に確実に変形させることができる。
また、図6(c)に示す本発明の更に別の実施形態では、吸収体4cは、所定方向(長さ方向L)に延びる一対の変形誘導部8c、9cと、これらの変形誘導部8c、9cのそれぞれの両側に配設された基部10と、を備えている。さらに、前記変形誘導部8c(9c)は、前記長さ方向Lに延び、且つ、前記基部10から肌面側に突出する2つの第1凸状部81c、82c(91c、92c)と、前記2つの第1凸状部81c、82c(91c、92c)の間において前記長さ方向Lに延び、且つ、肌面側に突出する1つの第2凸状部83c(93c)と、各第1凸状部81c、82c(91c、92c)と前記第2凸状部83c(93c)との間において前記長さ方向Lに延び、且つ、吸収体4cを肌面側から厚さ方向Tに圧密化した圧搾部84pc、85pc(94pc、95pc)を含む圧搾領域84c、85c(94c、95c)と、を備え、さらに、前記吸収体4cの非肌面側において、前記2つの第1凸状部81c、82c(91c、92c)のそれぞれに対応して前記基部10から非肌面側に突出する2つの第3凸状部81c、82c(91c、92c)と、前記第2凸状部83c(93c)に対応して前記吸収体4cの非肌面側に突出する第4凸状部83c(93c)と、前記第3凸状部81c、82c(91c、92c)と前記第4凸状部83c(93c)との間において肌面側の前記圧搾部84pc、85pc(94pc、95pc)に対応し且つ吸収体4cが非肌面側から厚さ方向Tに圧搾された非肌面側圧搾部84pc、85pc(94pc、95pc)を有する非肌面側圧搾領域84c、85c(94c、95c)と、を備えていて、前記第1凸状部81c、82c(91c、92c)、前記第2凸状部83c(93c)、前記第3凸状部81c、82c(91c、92c)及び前記第4凸状部83c(93c)のそれぞれの繊維密度が、前記基部10の繊維密度よりも低くなっている。
この図6(c)に示す実施形態では、吸収体4cが、肌面側だけでなく、非肌面側にも繊維密度の低い(すなわち、柔らかい)第3凸状部81c、82c(91c、92c)及び第4凸状部83c(93c)の各凸状部と、非肌面側圧搾領域84c、85c(94c、95c)と、を備えているので、吸収体4cが非肌面側にも折れ曲がりやすく(すなわち、吸収体4cの変形の自由度が高く)、吸収性物品を着用者の体形や動きに合わせて柔軟に対応して、変形しやすくすることができる。その結果、吸収性物品の防漏性や着用感などを更に向上させることができる。
また、上述の各実施形態では、変形誘導部は、2つの第1凸状部の間に、1つの第2凸状部を備えているが、本発明においては、そのような態様に限定されず、本発明の更に別の実施形態では、変形誘導部は、所定方向に延びる2つの第1凸状部の間に、2つ以上の第2凸状部を備えていて、さらに、隣接する第2凸状部同士の間には、それぞれ所定方向に延び且つ吸収体を厚さ方向に圧密化した圧搾部を有する副圧搾領域を備えている。吸収体がこのように構成されていると、吸収体の折れ基点として機能し得る剛性差を有する部分が、前記第2凸状部及び前記副圧搾領域の数に応じて複数形成されるため、前記吸収体の折れ曲がる範囲をより広く確保することができる上、液状排泄物の吸収後においても、前記吸収体の折り曲げやすい状態を好適に維持することができる。
また、本発明の更に別の実施形態では、図7に示すように、吸収体4dは、平面視にて、所定方向(長さ方向L)に延びる一対の変形誘導部8’、9’と、前記長さ方向Lに延び、且つ前記一対の変形誘導部8’、9’のそれぞれの長さ方向Lにおける両方の端部に連結した端部側変形誘導部8A、8B、9A、9Bと、前記変形誘導部8’、9’及び前記端部側変形誘導部8A、8B、9A、9Bのそれぞれの両側に配設された基部10’と、を備えている。さらに、前記一対の変形誘導部8’、9’のうちの一方の変形誘導部8’は、前記長さ方向Lに延び、且つ、前記基部10’から肌面側に突出する2つの第1凸状部81’、82’と、前記2つの第1凸状部81’、82’の間において前記長さ方向Lに延び、且つ、肌面側に突出する1つの第2凸状部83’と、前記2つの第1凸状部81’、82’と前記第2凸状部83’との間のそれぞれにおいて前記長さ方向Lに延び、且つ、吸収体4dを厚さ方向Tに圧密化した圧搾部84’p、85’pを含む圧搾領域84’、85’、とを備えていて、また、前記一対の変形誘導部8’、9’のうちの他方の変形誘導部9’は、前記長さ方向Lに延び、且つ、前記基部10’から肌面側に突出する2つの第1凸状部91’、92’と、前記2つの第1凸状部91’、92’の間において前記長さ方向Lに延び、且つ、肌面側に突出する1つの第2凸状部93’と、前記2つの第1凸状部91’、92’と前記第2凸状部93’との間のそれぞれにおいて前記長さ方向Lに延び、且つ、吸収体4dを厚さ方向Tに圧密化した圧搾部94’p、95’pを含む圧搾領域94’、95’と、を備えている。
そして、前記端部側変形誘導部8A、8B(9A、9B)のそれぞれは、前記長さ方向Lに延び、且つ、前記基部10’から肌面側に突出する2つの端部側第1凸状部81A、82A、81B、82B(91A、92A、91B、92B)と、前記各端部側第1凸状部81A、82A、81B、82B(91A、92A、91B、92B)の間において、それぞれ前記長さ方向Lに延び、且つ、吸収体4dを厚さ方向Tに圧密化した圧搾部84pA、84pB(94pA、94pB)を有する端部側圧搾領域84A、84B(94A、94B)と、を備えていて、前記各端部側第1凸状部81A、82A、81B、82B(91A、92A、91B、92B)のそれぞれの繊維密度が、前記基部10’の繊維密度よりも低く、前記端部側圧搾領域84A、84B(94A、94B)が、前記変形誘導部8’(9’)の圧搾領域84’、85’(94’、95’)のうちの、吸収性物品の平面視にて内方側に位置する圧搾領域84’(94’)の一端に連結されている。
また、吸収体4dの基部10’は、前記変形誘導部8’、9’の各第1凸状部81’、82’、91’、92’のそれぞれに隣接し且つその隣接する各第1凸状部81’、82’、91’、92’に沿うように延設された、肌面側の面から非肌面側に窪む凹部11’と、前記端部側変形誘導部8A、8B(9A、9B)の各端部側第1凸状部81A、82A、81B、82B(91A、92A、91B、92B)のそれぞれに隣接し且つその隣接する各第1凸状部81A、82A、81B、82B(91A、92A、91B、92B)に沿うように延設された、肌面側の面から非肌面側に窪む端部側凹部11A、11Bと、各凹部11’及び各端部側凹部11A、11Bに隣接し且つ肌面側の面が略平坦状に形成された基部本体12’と、を備えている。
この図7に示す実施形態では、吸収体4dの端部側変形誘導部8A、8B(9A、9B)が存在する領域(すなわち、吸収体4dの長さ方向Lにおける腹側及び背側の両方の端部側の領域)においても、変形誘導機能を保持させつつ、前記端部側圧搾領域84A、84B(94A、94B)の圧搾部84pA、84pB(94pA、94pB)の硬さを着用者に感取されにくくすることができ、着用者に更に良好な肌触りや着用感を提供することができる。また、前記端部側圧搾領域84A、84B(94A、94B)は、前記変形誘導部8’(9’)の圧搾領域84’、85’(94’、95’)のうちの、前記吸収性物品の平面視にて内方側に位置する圧搾領域84’(94’)の一端に連結されているので(すなわち、前記端部側圧搾領域84A、84B(94A、94B)は、吸収体4dの幅方向の端縁から離れた位置に設けられているので)、着用者の鼠蹊部等に対して、硬さの硬い端部側圧搾領域84A、84B(94A、94B)の圧搾部84pA、84pB(94pA、94pB)の感触が伝わりにくく、上述の良好な肌触りや着用感を維持することができる。
なお、図7に示す実施形態では、端部側変形誘導部8A、8B(9A、9B)は、変形誘導部8’(9’)の前記長さ方向Lにおける両方の端部に連結しているが、本発明においては、このような態様に限定されず、端部側変形誘導部は、変形誘導部の所定方向(長さ方向)の一方の端部(すなわち、腹側又は背側のいずれかの端部)に連結していてもよい。
以下、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1に用いられる吸収体4(すなわち、図3及び図4に示す吸収体4)の製造方法について説明する。なお、使い捨ておむつ1は、吸収体4の製造工程以外の工程(例えば、表面シートや裏面シートの積層工程等)は、当業界において知られている通常の製造方法によって製造することができるため、以下においては説明を省略する。
図8は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつ1に用いられる吸収体4の製造装置100の一例を説明するための模式図であり、図9(a)は、図8のX部分をMD方向から見た要部拡大模式図であり、図9(b)は、サクションドラムの外周面に設けられた型部材内に積層された第1の積層体をMD方向から状態を模式的に示す要部拡大端面図である。なお、本明細書においては、材料又は製品の搬送方向Fに沿う方向をMD方向といい、MD方向と水平面上において直交する方向(すなわち、製造ラインの幅方向)をCD方向といい、これらMD方向及びCD方向と直交する方向(すなわち、製造ラインの上下方向)をTD方向という。
この製造装置100は、開繊された吸水性繊維41Fや吸収性ポリマー41Sを含む吸収性材料を搬送する搬送管101と、搬送管101内の吸収性材料を吸引して、それらの吸収性材料を、外周面において周方向に沿って一定の間隔で配設された複数の凹状の型部材103内に積層させることにより、後工程において吸収体4の吸収コア41となる第1の積層体401を形成する、回転自在のサクションドラム102と、サクションドラム102の外周面にある第1の積層体401を載置させて、この第1の積層体401の外周面を被覆する長尺のコアラップ連続体402を巻き出すためのコアラップ連続体用の巻出しロール104と、を備えている。
さらに、製造装置100は、第1の積層体401にコアラップ連続体402が積層されてなる第2の積層体403を、TD方向(すなわち、積層体403の厚さ方向)に加圧して均等に圧縮する上下一対のプレスロール105a、105bを備えたプレス装置105と、このプレス装置105の搬送方向Fの下流側に位置して、プレス装置105によりTD方向に圧縮されてなる第3の積層体405の所定位置をTD方向に圧搾してエンボス加工を施す圧搾装置106と、を備えている。
なお、圧搾装置106よりも搬送方向Fの下流には、圧搾装置106によりエンボス加工が施された第4の積層体406を吸収体4の形状に切断して、単体の吸収体4を形成する切断装置(不図示)と、吸収体4の上面に表面シート連続体を供給して積層する表面シート積層装置(不図示)と、吸収体4の下面に裏面シート連続体を供給して積層する裏面シート積層装置(不図示)と、を有している。これらの切断装置、表面シート積層装置及び裏面シート積層装置は、搬送方向Fにおいて任意の順序で配置することができる。また、表面シートと吸収体とを一緒に圧搾する実施形態においては、前記表面シート積層装置は、上述のプレス装置の搬送方向Fにおける上流側に配置される。
また、圧搾装置106は、吸収体4における変形誘導部8(9)の圧搾領域84、85(94、95)を形成するもので、上下一対のロール106a,106bを有していて、一方のロール106a(図8においては、上側のロール)が、圧搾領域84、85(94、95)の圧搾部84p、85p(94p、95p)の形状や位置に合わせて配設された複数のエンボスピンを外周面に備えたエンボスロールとなっている。他方のロール106b(図8においては、下側のロール)は、外周面が平坦なアンビルロールとなっている。
上述の製造装置100を用いて吸収体4を製造する際は、吸水性繊維41F及び吸収性ポリマー41Sを含む吸収性材料を積層することにより第1の積層体401を形成する第1の工程と、コアラップ連続体402によって第1の積層体401を被覆して第2の積層体403を形成する第2の工程と、第2の積層体403をプレス装置105によってTD方向に加圧して、均等に圧縮することにより第3の積層体405を形成する第3の工程と、第3の積層体405の所定位置を圧搾装置106によってTD方向(厚さ方向)に圧搾してエンボス加工を施すことにより第4の積層体406を形成する第4の工程と、を順次実施する。
まず、前記第1の積層体401を形成する第1の工程は、吸水性繊維41Fや吸収性ポリマー41Sを含む吸収性材料を、搬送管101を通じてサクションドラム102により吸引して、そのサクションドラム102の外周面に配設された型部材103内に積層させて、第1の積層体401を形成する。このとき、図9(a)に示すように、吸収性材料は、TD方向の上方側から型部材103内に供給されるが、当該型部材103は、その底部に、サクションドラム102の周方向に延び且つCD方向に沿った断面形状が略台形状である、一対の突起部103a、103bを備えている。これら一対の突起部103a、103bは、吸収体4における一対の変形誘導部8、9の位置と対応する位置に、一対の変形誘導部8、9の長さ方向の形状及び幅に対応する長さ方向の形状及び幅を有した態様で、前記型部材103の底部に配設されている。さらに、前記型部材103は、図9(a)において前記底部からTD方向の上方側に突出するとともに、CD方向の両端部からそれぞれ内方側に延びる、複数(本実施形態においては、サクションドラム102の周方向に並設された3対)の切欠き部形成用の突起部(不図示)を備えている。
そして、搬送管101を通じて型部材103内に供給された吸収性ポリマー41Sは、一部の吸収性ポリマー41Sが突起部103a、103bの先端面に衝突して跳ね返って突起部103a、103b以外の部分の底部103cに堆積するため、前記突起部103a、103b周辺の底部103cを中心にして、前記型部材103内に堆積していくこととなる。なお、吸収性ポリマー41Sが、型部材103の突起部103a、103bの先端面に衝突した際に跳ね返るのは、吸収性ポリマー41Sが、粒状であるとともに吸収性ポリマー1個当たりの質量が比較的大きく、また、サクションドラム102の吸引にも起因して、吸収性ポリマー41S自体の運動エネルギーの影響を受けやすいためであると考えられる。一方、吸水性繊維41Fは、柔軟性を有し、その柔軟性により突起部103a、103bの先端面に衝突してもそのエネルギーを吸収し得るため、吸水性繊維41Fは、上述の突起部103a、103bの先端面に衝突しても大きな跳ね返りや移動がなく、前記型部材103内に略均等に堆積していくこととなる。
また、吸収性ポリマー41Sが突起部103a、103b以外の部分の底部103cに堆積する態様は、突起部103a、103bのCD方向に沿った断面形状に依存するため、当該断面形状を適宜選択することにより、前記吸収性ポリマー41Sが堆積する態様を制御することができ、結果的に、凹部11の構造(特に、凹部11の幅方向Wにおける長さや厚さ方向Tにおける深さ等)を制御することができる。
このようにして形成された第1の積層体401は、図9(b)に示すように、CD方向(幅方向)において吸収性ポリマー41Sの坪量の異なる領域が複数存在している。具体的には、第1の積層体401において、型部材103内の一対の突起部103a、103bの直上に相当する部分は、前記突起部103a、103b突起部103a、103bの先端面に衝突して吸収性ポリマー41Sが移動した分、吸収性ポリマー41Sの坪量が低くなるため、低坪量の領域201、202となる。なお、この突起部103a、103bの直上に相当する部分のうち、前記突起部103a、103bの先端面の近傍部分については、吸収性ポリマー41Sが前記突起部103a、103bの先端面に衝突して前記突起部103a、103b以外の底部103cに移動してしまうため、前記吸収性ポリマー41Sがほとんど存在せず、吸水性繊維41Fが主に存在しているが、前記先端面上にある程度の吸水性繊維41Fが堆積した後は、前記吸収性ポリマー41Sも幅方向に均等に堆積するため、前記突起部103a、103bの直上に相当する部分のうち、前記突起部103a、103bの先端面の近傍以外の部分については、吸収性ポリマー41Sが、幅方向における他の領域と同様に、所定の供給割合に応じた量で存在している。
一方、一対の突起部103a、103bの側壁部分に沿った部分及びその近傍部分は、前記突起部103a、103bの先端面で跳ね返って移動してきた吸収性ポリマー41Sが存在する分、吸収性ポリマー41Sの坪量が高くなるため、高坪量の領域203〜206となる。また、型部材103内において、吸収性ポリマー41Sが一対の突起部103a、103bの影響を受けない部分(すなわち、吸収性ポリマー41Sが前記突起部103a、103bの先端面で跳ね返って移動してこない部分)は、吸収性ポリマー41Sが均等に堆積するため、吸収性ポリマー41Sの坪量が高坪量の領域203〜206よりも低く且つ低坪量の領域201、202よりも高い、中坪量の領域207〜209となる。
更に具体的には、型部材103内の幅方向の一方から他方(図9(b)においては、左側から右側)に向けて、吸収性ポリマー41Sの坪量が中坪量の領域207、高坪量の領域203、低坪量の領域201、高坪量の領域204、中坪量の領域208、高坪量の領域205、低坪量の領域202、高坪量の領域206、中坪量の領域209が順に並んだ状態となる。特に、吸収性ポリマー41Sの坪量が低坪量の領域201(202)は、2つの高坪量の領域203、204(205、206)の間に位置した状態となっている。
なお、前記第1の積層体401は、上述の切欠き部形成用の突起部によって形成された、幅方向の両端部において端縁部分の一部が切欠かれてなる3対の切欠き部(不図示)を備えている。
そして、前記第1の工程の後、型部材103内の第1の積層体401を、サクションドラム102の回転によって、ホットメルト型接着剤等の接着剤を介した状態でコアラップ連続体402上に転写して載置し、このコアラップ連続体402によって第1の積層体401の外周面を被覆することにより前記第2の積層体403を形成する第2の工程を行う。なお、図10(a)は、吸収体4の製造過程における、プレス装置による圧縮前の第2の積層体の図4に相当する端面の要部拡大端面図である。
この第2の工程では、図8に示すように、まず、サクションドラム102が、型部材103内の第1の積層体401を、コアラップ連続体用の巻出しロール104から巻き出されて搬送方向Fに移動しているコアラップ連続体402の上面に転写して載置する。そして、図示しない任意の折曲手段によってコアラップ連続体402を第1の積層体401の外周面に沿って、搬送方向Fと直交するCD方向に折り曲げ、コアラップ連続体402を第1の積層体401の外周面に巻くことにより被覆し、図10(a)に示すような長尺の第2の積層体403を形成する。
前記第2の工程の終了後、さらに、前記第2の積層体403をTD方向(厚さ方向)に圧縮することにより前記第3の積層体405を形成する第3の工程を実施する。なお、
図10(b)は、吸収体4の製造過程における、プレス装置による圧縮時(嵩回復前)の第3の積層体の図4に相当する端面の要部拡大端面図であり、図10(c)は、吸収体4の製造過程における、プレス装置による圧縮後に嵩回復した後(圧搾工程前)の第3の積層体の図4に相当する端面の要部拡大端面図である。
この第3の工程では、上述の第2の工程で形成された前記第2の積層体403を、プレス装置105の上下一対のプレスロール105a、105bの間に通すことにより厚さ方向に圧縮する。このとき、図10(b)及び図10(c)に示すように、第1の積層体401の幅方向において吸収性ポリマー41Sの坪量の異なる各領域も、そのまま厚さ方向に圧縮されるため、圧縮後の前記第3の積層体405においても、前記幅方向に吸収性ポリマー41Sの坪量の異なる状態が維持される。
また、吸収性ポリマー41Sは、一対のプレスロール105a、105bによる圧縮時に、吸収性ポリマー41Sが周囲の吸水性繊維41Fの間の隙間に入り込むため、圧縮時の積層体404において吸収性ポリマー41Sが存在する部分は、一対のプレスロール105a、105bによる加圧によって押し固められる。
そして、図10(b)に示す圧縮時の積層体404は、プレス装置105を通過した後に、厚さ(嵩)がある程度回復して、図10(c)に示すような第3の積層体405となる。
より具体的には、圧縮時の積層体404は、プレス装置105を通過した後に、吸水性繊維41Fの柔軟性も影響して全体的にある程度の厚さが回復するが、図10(c)に示すように、吸収性ポリマー41Sの坪量が高坪量の領域203〜206においては、吸水性繊維41Fの間の隙間に入り込む吸収性ポリマー41Sの量が多いため、加圧により押し固められていて、厚さがあまり回復しない。一方、吸収性ポリマー41Sの坪量が中坪量の領域207〜209においては、吸水性繊維41Fの間の隙間に入り込む吸収性ポリマー41Sの量が上述の高坪量の領域203〜206よりも少ないため、上述の高坪量の領域203〜206よりも厚さが回復する。さらに、吸収性ポリマー41Sの坪量が低坪量の領域201、202においては、吸水性繊維41Fの間の隙間に入り込む吸収性ポリマー41Sの量が極めて少なく、柔軟な吸水性繊維41Fの量が多いため、加圧してもあまり押し固められず、中坪量の領域207〜209よりも厚さが大きく回復する。
その結果、圧縮時の積層体404において吸収性ポリマー41Sの坪量が高坪量の領域203〜206は、図10(c)に示すように、厚さが回復せずに、吸収体4における基部10の凹部11に対応する部分303〜306が形成される。なお、この吸収性ポリマー41Sの坪量が高坪量の領域は、図10(b)に示すように4か所に形成されているため、上述の凹部11に相当する部分も4つ形成されることとなる。また、圧縮時の積層体404において吸収性ポリマー41Sの坪量が低坪量の領域201、202は、上面側に厚さが回復して、上面側に緩やかに突出する突出部301、302が形成される。これらの突出部301、302は、それぞれ全体として、吸収体4における一対の変形誘導部8、9に相当する部分となる。なお、この吸収性ポリマー41Sの坪量が低坪量の領域は、図10(b)に示すように2か所に形成されているため、前記突出部301、302も2つ形成されることとなる。さらに、圧縮時の積層体404において吸収性ポリマー41Sの坪量が中坪量の領域207〜209は、ある程度厚さが回復して、吸収体4の基部10における基部本体12に対応する部分307〜309となる。なお、この吸収性ポリマー41Sの坪量が中坪量の領域は、図10(b)に示すように3か所に形成されているため、上述の基部本体12に相当する部分も3つ形成されることとなる。
最終的に、吸収体4の基部10の凹部11に対応する部分303〜306、突出部301、302及び基部10の基部本体12に対応する部分307〜309がそれぞれ形成された状態が、上述の第3の積層体405となる。
そして、前記第3の工程の終了後、圧搾装置106によって第3の積層体405の突出部301、302を圧搾してエンボス加工を施すことにより前記第4の積層体406を形成する第4の工程を実施する。
この第4の工程では、上述の第3の工程で形成された第3の積層体405を、圧搾装置106の上下一対のロール106a、106bの間に通すことにより、前記第3の積層体405の突出部301、302を厚さ方向に圧搾する。このとき、圧搾装置106の上側のロール106aであるエンボスロールのエンボスピンが、第3の積層体405の突出部301、302の幅方向における略中心部(突出部の略頂点)を挟む2か所の部分を、厚さ方向に順次圧搾する。この突出部301、302の圧搾部分が、それぞれ吸収体4の圧搾領域84、85、94、95、更に具体的には、圧搾部84p、85p、94p、95pに相当する部分となる。また、突出部301、302において圧搾部分の長さ方向の両側の部分(すなわち、圧搾されていない部分)は、それぞれ吸収体4の第1凸状部81、82、91、92及び第2凸状部83、93に相当する部分となる。
このようにして、上述の第4の積層体406が形成されることとなる。
前記第4の工程の終了後、切断装置(不図示)によって第4の積層体406を吸収体4の形状に切断し、単体の吸収体4が形成される。
そして、このようにして製造された吸収体4を、表面シート2や裏面シート3等の各種部材と積層乃至接合することにより、図1及び図2に示すような使い捨ておむつ1が完成する。
本発明の吸収性物品に用いられる吸収体の製造方法は、上述の変形誘導部の構造が形成できるものであれば特に限定されず、任意の製造方法を採用することができる。
例えば、上述の図6(a)に示す実施形態の吸収体4aは、次のようにして製造することができる。
図11は、図6(a)に示す実施形態の吸収体4aを製造するための製造装置110の一例を示すものであり、図12は、図11に示す製造装置110における賦形装置120をMD方向から見た要部拡大模式図である。
この製造装置110は、上述の吸収体4の製造装置100が備えていたプレス装置105を備えておらず、その代わりに、対象物を所定形状に賦形するための賦形装置120を備えている。さらに、賦形装置120よりも搬送方向Fの上流側には、賦形する対象物に対して水等の水分を供給するための水分供給装置121が設けられている。そして、この実施形態においては、吸収体4aには吸収性ポリマーが含まれていないため、図11に示すように、搬送管101を通じてサクションドラム102に供給される吸収性材料は、主として開繊された吸水性繊維41Fのみである。なお、製造装置110において、製造装置100と異なる構成以外の部分は、製造装置100と同様の構成であるため、同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態において、賦形装置120は、図11及び図12に示すように、上下一対のロール120a、120bを備えている。この上下一対のロール120a、120bのうち、上方側のロール120aは、賦形ロールであって、その外周面に、圧搾領域84a、85a、94a、95aを形成する前の変形誘導部8a、9aに対応する部分である一対の突出部311、312を積層体に賦形するための、周方向に延びる一対の溝部120a、120aを備えている。これらの一対の溝部120a、120aは、吸収体4aにおける一対の変形誘導部8a、9aの位置と対応した位置に、一対の変形誘導部8a、9aの長さ方向の形状及び幅に対応する長さ方向及び幅を有した態様で、前記上方側のロール120aの外周面に形成されている。一方、下方側のロール120bは、外周面が平坦なアンビルロールである。そして、これらの一対のロール120a、120bの間に、賦形対象物である積層体を通すことにより、当該積層体の一方の面(この場合、上面)に一対の突出部311、312をそれぞれ賦形することができるようになっている。また、この賦形装置120は、各ロール120a、120bを加熱することができるように構成されていて、賦形対象物の積層体を加熱しながら賦形することができる。
上述の製造装置110を用いて吸収体4aを製造する際は、主として吸水性繊維41Fのみからなる吸収性材料を積層することにより第1の積層体411を形成する第1の工程と、コアラップ連続体412によって第1の積層体411を被覆して第2の積層体413を形成する第2の工程と、第2の積層体413を賦形装置120によって賦形することにより第3の積層体414を形成する第3の工程と、第3の積層体414の所定位置を圧搾装置106によってTD方向(厚さ方向)に圧搾してエンボス加工を施すことにより第4の積層体415を形成する第4の工程と、を順次実施する。
まず、前記第1の工程では、搬送管101を通じてサクションドラム102に供給される吸収性材料が、主として開繊された吸水性繊維41Fのみであるため、この第1の工程によって形成される第1の積層体411は、全体として略均一な坪量の吸水性繊維41Fにより構成されることとなる。その他の点については、上述の製造装置100を用いた製造方法の第1の工程と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、第2の工程及び第4の工程についても、それぞれ上述の製造装置100を用いた製造方法の各工程と同様であるため、詳細な説明は省略する。
そして、前記第3の工程では、前記第2の工程で形成された第2の積層体413、すなわち、図13(a)に示すような吸水性繊維41Fにより形成された第1の積層体411(吸収コア)をコアラップ連続体412で被覆した積層体を、上述の賦形装置120によって賦形することにより、図13(b)に示すような第3の積層体414を形成する。
より具体的には、搬送方向Fに沿って搬送されている第2の積層体413に対して、水分供給装置121から水を噴射し、前記第2の積層体413を(特に、第2の積層体413中の吸水性繊維41Fを)湿らせた後、その湿らせた第2の積層体413を賦形装置120の加熱した一対のロール120a、120bの間に通して、一対の突出部311、312を形成する。このように湿らせた第2の積層体413を、加熱した一対のロール120a、120bの間に通すことにより、前記第2の積層体413内において隣接する吸水性繊維41F同士が水素結合により連結されるため、上方側のロール120aにおける一対の溝部120a、120aの形状に合わせて形成された前記一対の突出部311、312が、略そのままの形状で維持されることとなる。なお、賦形後の第3の積層体414において、前記一対の溝部120a、120a以外の部分によって賦形された部分は、吸収体4aの基部10aに対応する部分313となる。
このようにして、前記第3の工程では、一対の突出部311、312と、吸収体4aの基部10aに対応する部分313とが賦形された状態の第3の積層体414が形成されることとなる。
そして、前記第3の工程で形成された第3の積層体414に対して、上述の製造装置100を用いた製造方法の各工程と同様の工程を更に実施することにより、図6(a)に示す吸収体4aが形成される。
なお、上述の各実施形態では、変形誘導部が、吸収体の長さ方向に延びる幅方向中央軸線を挟んで相互に離間した位置にそれぞれ設けられているが、本発明においては、このような態様に限定されず、変形誘導部は、所望の変形誘導態様に応じて、1つだけ設けてもよく、また、3つ以上設けてもよい。さらに、変形誘導部が延びる方向(すなわち、所定方向)についても、吸収体の長さ方向に限定されず、当該所定方向は、吸収体の幅方向等であってもよい。さらに、変形誘導部の平面視における形状も、図3及び図7に示す形状と異なる形状であってもよい。
このように、本発明の吸収性物品は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや変更等が可能である。
また、本発明は、上述した実施形態のテープ型の使い捨ておむつのほかに、例えば、パンツ型の使い捨ておむつや軽失禁パッド、パンティーライナー、生理用ナプキン等の様々な吸収性物品に適用することができる。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41F 吸水性繊維
41S 吸収性ポリマー
8、9 変形誘導部
81、82、91、92 第1凸状部
83、93 第2凸状部
84、85、94、95 圧搾領域
84p、85p、94p、95p 圧搾部
84q、85q、94q、95q 非圧搾部
10 基部
11 凹部
12 基部本体

Claims (14)

  1. 長さ方向、幅方向及び厚さ方向を有し、少なくとも吸水性繊維を含む吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記吸収体は、所定方向に延びる変形誘導部と、前記変形誘導部の両側に延在する基部とを有し、
    前記変形誘導部は、前記所定方向に延び、且つ、前記基部から肌面側に突出する2つの第1凸状部と、前記2つの第1凸状部の間において前記所定方向に延び、且つ、肌面側に突出する少なくとも1つの第2凸状部と、前記第1凸状部と前記第2凸状部との間において前記所定方向に延び、且つ、前記吸収体を前記厚さ方向に圧密化した圧搾部を含む圧搾領域とを備え、
    前記第1凸状部及び前記第2凸状部のそれぞれの繊維密度が、前記基部の繊維密度よりも低い、前記吸収性物品。
  2. 前記所定方向が前記長さ方向であって、前記吸収体が、前記吸収体の長さ方向に延びる幅方向中央軸線を挟み且つ互いに離間した位置に、前記変形誘導部をそれぞれ備えている、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収体は、長さ方向、幅方向及び厚さ方向を有し且つ少なくとも前記吸水性繊維を含む吸収コアと、該吸収コアの外周面を覆うコアラップとによって構成されており、
    前記吸収コアは、前記幅方向の両端部において前記幅方向中央軸線を挟んで対称となる位置に設けられた一対の切欠き部の、前記幅方向中央軸線に最も近い部分同士を結ぶ折曲誘導線が、前記長さ方向に複数本並設されていて、
    前記変形誘導部は、少なくとも、複数本の前記折曲誘導線のうちの前記吸収コアの長さ方向の一端に最も近い折曲誘導線から、複数本の前記折曲誘導線のうちの前記吸収コアの長さ方向の他端に最も近い折曲誘導線に亘って延びている、請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記変形誘導部は、それぞれ平面視にて前記幅方向中央軸線に対して外方側に凸となるパターンを含む、請求項2又は3に記載の吸収性物品。
  5. 前記変形誘導部内において、各圧搾領域の幅の合計幅が前記変形誘導部の幅の1/2以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記圧搾領域は、前記所定方向に沿って間欠的に設けられた複数の圧搾部と、前記所定方向に隣接する前記圧搾部の間に存在する非圧搾部とを備えていて、前記非圧搾部が前記圧搾部よりも肌面側に突出している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  7. 前記吸収体が吸収性ポリマーを含んでいて、前記変形誘導部に含まれる前記吸収性ポリマーの坪量が、前記基部に含まれる前記吸収性ポリマーの坪量よりも小さい、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  8. 前記基部が、前記第1凸状部に隣接し且つ前記第1凸状部に沿うように設けられた、非肌面側に窪む凹部と、前記凹部に隣接する基部本体とを備えている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  9. 前記吸収体が吸収性ポリマーを含んでいて、前記凹部の非肌面側において前記厚さ方向に延在する部分に含まれる前記吸収性ポリマーの質量含有率が、前記基部本体に含まれる前記吸収性ポリマーの質量含有率よりも大きい、請求項8に記載の吸収性物品。
  10. 前記第2凸状部の厚みが、前記基部の平均厚みよりも小さい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  11. 前記第2凸状部の幅が、前記第1凸状部の幅よりも狭い、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  12. 前記変形誘導部は、前記2つの第1凸状部の間において前記第2凸状部を2つ以上備えていて、前記第2凸状部同士の間には、前記所定方向に延び且つ前記吸収体を前記厚さ方向に圧密化した圧搾部を有する副圧搾領域を備えている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  13. 前記吸収体が、前記所定方向に延び、且つ、前記変形誘導部の前記所定方向の少なくとも一方の端部に連結した端部側変形誘導部を備えていて、
    前記端部側変形誘導部は、前記所定方向に延び、且つ、前記基部から肌面側に突出する2つの端部側第1凸状部と、前記2つの端部側第1凸状部の間において前記所定方向に延び、且つ、前記吸収体を前記厚さ方向に圧密化した圧搾部を有する端部側圧搾領域とを備え、
    前記端部側第1凸状部の繊維密度が、前記基部の繊維密度よりも低く、
    前記端部側圧搾領域が、前記変形誘導部の圧搾領域のうちの、前記吸収性物品の平面視にて内方側に位置する圧搾領域の一端に連結されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  14. 前記変形誘導部が、前記吸収体の非肌面側において、前記2つの第1凸状部に対応して前記基部から非肌面側に突出する2つの第3凸状部と、前記少なくとも1つの第2凸状部に対応して非肌面側に突出する少なくとも1つの第4凸状部と、前記第3凸状部と前記第4凸状部との間において肌面側の前記圧搾部に対応する非肌面側圧搾部を有する非肌面側圧搾領域とを備えていて、
    前記第3凸状部及び前記第4凸状部のそれぞれの繊維密度が、前記基部の繊維密度よりも低い、請求項1〜13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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