以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1から図3は、本実施の形態に係る樹脂多層基板に含まれる樹脂層であって、上方から1層目、3層目、5層目に位置する樹脂層を示す平面図である。図1から図3は、上方から見た場合の平面図であり、破線部は、樹脂層2の下方側に位置する主面に設けられた導電パターンまたはダミーパターンを示している。図4および図5は、本実施の形態に係る樹脂多層基板においてダミービアが形成されている部分および平面視した場合にダミービアの間に位置することとなる導電パターンが設けられている部分の断面図であり、図2中に示すIV−IV線矢視断面図およびV−V線矢視断面図である。図1から図5を参照して、本実施の形態に係る樹脂多層基板について説明する。なお、本明細書においてダミーパターンおよびダミービアの「ダミー」とは、回路の一部として機能せず、また他の回路要素と実質的に電気的な接続がなされていないことを意味する。
図1から図5に示すように、本実施の形態に係る樹脂多層基板100は、複数の樹脂層2を積層した積層体1を備える樹脂多層基板である。複数の樹脂層2は可撓性を有し、樹脂多層基板100は、折り曲げ可能に構成されている。本実施の形態においては、図1から図3に示す折り曲げ線Fを中心として一端側が他端側に近づくように折り曲げることにより、図4および図5における上方に位置する樹脂層2が内周側に位置し、下方に位置する樹脂層2が外周側に位置することとなる。これにより、積層体1は、折り曲げた際に内側の表面となる内側表面1aと折り曲げた際に外側の表面となる外側表面1bを有する。
図1、図3から図5に示すように、樹脂多層基板100は、導体箔からなる平面導体であるグランド電極7およびグランド電極8を備える。グランド電極7は、上方から1層目の樹脂層の主面(外側表面1a側に位置する主面)に設けられている。グランド電極8は、上方から5層目の樹脂層の主面(外側表面1b側に位置する主面)に設けられている。グランド電極7,8は、樹脂層2の積層方向において後述する第1導電パターン4、第1ダミーパターン5および複数の第1ダミービア6を挟み込むように互いに対向して設けられることによりストリップラインを構成している。
図2、図4および図5に示すように、樹脂多層基板100は、第1樹脂層2aと、第1導電パターン4と、第1ダミーパターン5と、複数の第1ダミービア6とを備える。第1樹脂層2aは、複数の樹脂層2中に含まれ第1主面3aを含む。第1樹脂層2aは、たとえば上方から3層目の樹脂層2に相当する。第1主面3aは、外側表面1b側に位置する。
第1導電パターン4は、導体箔からなる平面導体であり、第1主面3a上に形成されている。第1導電パターン4は、たとえば長手方向(第1方向:図2中矢印A方向)に延在するように設けられている。第1導電パターン4は、たとえば信号ラインや電源ライン等の配線パターンによって構成されている。
第1ダミーパターン5は、導体箔からなる平面導体であり、平面的に見た場合に、第1導電パターン4を間に挟み込むとともに第1主面3a上に互いに平行となるように一対設けられている。一対の第1ダミーパターン5は、たとえば第1導電パターン4に沿って第1方向(矢印A方向)に延在する。第1方向は、第1導電パターン4の長手方向に一致するとともに、第1主面3a上において折り曲げ線Fに直交する。
一対のダミーパターン5のそれぞれは、互いに離間するように複数の部分パターン5aに分割されている。複数の部分パターン5aのそれぞれは、第1ダミービア6を設ける位置に対応するように設けられている。すなわち、複数の部分パターン5aのそれぞれは第1ダミービア6の受けパッド(受け導体)のような機能を有する。一対の第1ダミーパターン5は、第1導電パターン4と電気的に分離されている。
複数の第1ダミービア6は、一対の第1ダミーパターン5に接続され、第1樹脂層2aの厚み方向に貫通するように設けられている。複数の第1ダミービア6のそれぞれは、部分パターン5aに接続されている。複数の第1ダミービア6は、第1樹脂層2aにおいて第1主面3aと反対側に位置する主面3b上でのビア径が同一となるように設けられている。第1ダミービア6は樹脂層2内部に設けられた孔に導電性ペーストを充填し、硬化することによって形成されたものである。
第1方向と交差する折り曲げ線Fを中心にして折り曲げた場合に、第1樹脂層2aには、折り曲げ具合が大きくなる第1領域R1と、第1領域R1の両側に隣接して位置し、第1領域R1よりも折り曲げ具合が小さくなる第2領域R2とが形成される。第1樹脂層2aにおいて、第1領域R1と第2領域R2以外の領域は実質的に折り曲げられない領域である。
第1領域R1は、折り曲げ前の状態において、折り曲げ線Fを中心として第1方向に平行となる幅方向に所定の幅W1を持って、折り曲げ線Fに沿って延在する。第2領域R2は、折り曲げ前の状態において、第1方向に平行となる幅方向に所定の幅W2を持って折り曲げ線Fに沿って延在する。
複数の第1ダミービア6は、第1領域R1に設けられた第1ダミービア6aの密度が第2領域R2に設けられた第1ダミービア6bの密度よりも大きくなるように設けられている。
図6および図7は、折り曲げ線を中心にして樹脂多層基板を折り曲げた場合において、図4に示す部分が変形した状態および図5に示す部分が変形した状態を示す図である。図6および図7を参照して、樹脂多層基板100を折り曲げた状態について説明する。
樹脂多層基板100の一端側を折り曲げ線Fを中心にして上方に向けて90度近く折り曲げた場合においては、上方(グランド電極7側)に位置する樹脂層2側で圧縮状態となり、下方(グランド電極8側)に位置する樹脂層2側で引張状態となる。
樹脂層2aにおいては、平面的に見た場合に第1導電パターン4を挟み込むように、折り曲げ線方向における第1導電パターン4の両側に複数の第1ダミービア6が設けられている。第1ダミービア6は樹脂層2よりも硬いため、第1ダミービア6が設けられていない場合と比較して、樹脂層2において第1ダミービア6が設けられている場合には、折り曲げ部における樹脂層2の伸縮を抑制することができる。
折り曲げ具合が大きくなる第1領域R1では、曲げ応力が集中しやすくなる。第1領域R1に設けられた第1ダミービア6aの密度が第2領域R2に設けられた第1ダミービア6bの密度よりも大きくすることにより、第1導電パターン4および樹脂層2に作用する応力を効果的に緩和させることができる。また、このように曲げ具合に応じて密度を変更することにより、折り曲げ部に過剰に第1ダミービア6が密集することを防止でき、樹脂多層基板100の柔軟性を向上できる。これにより、樹脂多層基板100に曲げ応力が加えられるときの曲がりやすさを確保できる。この結果、第1導電パターン4が断線することに加え、第1導電パターンをさらに微細化することが可能となる。また、樹脂層2自体が破損することを防止することができる。
第1導電パターン4および樹脂層2に作用する曲げ応力を効果的に緩和させることにより、樹脂層2の厚みの変動を抑止することもできる。これにより、第1導電パターン4がグランド電極7側に移動して、第1導電パターン4とグランド電極7との間の容量が変動することが抑制される。この結果、電気的特性の変動を抑制することができる。
また、第1ダミービア6と第1ダミーパターン5は、いずれもダミー導体からなっている。したがって、樹脂多層基板が曲げられた際に曲げ応力によって第1ダミービア6と第1ダミーパターン5とその他の導体の相対的な位置関係が変動したとしても、樹脂多層基板の電気的特性に影響を及ぼすことが抑制される。
(実施の形態2)
図8から図10は、本実施の形態に係る樹脂多層基板に含まれる樹脂層であって、上方から1層目、3層目および5層目に位置する樹脂層を示す平面図である。図8から図10は、上方から見た場合の平面図であり、破線部は、樹脂層2の下方側に位置する主面に設けられた導電パターンまたはダミーパターンを示している。図11および図12は、本実施の形態に係る樹脂多層基板においてダミービアが形成されている部分および平面視した場合にダミービアの間に位置することとなる導電パターンが設けられている部分の断面図であり、図9および図10中に示すXI−XI線矢視断面図およびXII−XII線矢視断面図である。図8から図12を参照して、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Aについて説明する。
図8から図12に示すように、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Aは、実施の形態1に係る樹脂多層基板100と比較した場合に、積層体1の構成が相違する。
本実施の形態に係る樹脂層2aにあっては、複数の第1ダミービア6が折り曲げ線Fから第1方向(矢印A方向)に沿って離れるにつれて徐々に間隔が広くなるように設けられている。これに対応して、複数の部分パターン5aも折り曲げ線Fから第1方向(矢印A方向)に沿って離れるにつれて徐々に間隔が広くなるように設けられている(図10参照)。その他の構成は、実施の形態1に係る第1樹脂層2aの構成とほぼ同様である。なお、樹脂層2aは、たとえば上方から5層目に位置する。
図8、図11および図12に示すように、樹脂多層基板100Aは、導電パターン24が主面23aに設けられた樹脂層2cを含む。樹脂層2cは、たとえば上方から1層目に位置し、外側表面1b側に位置する主面23aおよび内側表面側1aに位置する主面23bを含む。樹脂層2cは、折り曲げた場合に後述する第2樹脂層2bよりも内側に位置する。
導電パターン24は、たとえば長手方向に延在するように設けられている。導電パターン24は、たとえば信号ラインや電源ライン等の配線パターンによって構成されている。導電パターン24は、樹脂層2の積層方向において、第1導電パターン4および、後述する第2導電パターン14に重なるように設けられている。
図9、図11および図12に示すように、樹脂多層基板100Aは、第2樹脂層2bと、第2導電パターン14と、第2ダミーパターン15と、複数の第2ダミービア16とをさらに備える。第2樹脂層2bは、複数の樹脂層2中に含まれ、折り曲げた場合に第1樹脂層2aよりも内側に位置するとともに、第1主面3aとは接しない第2主面13aを含む。第2樹脂層2bは、たとえば上方から3層目に位置し、外側表面1b側に位置する主面13aおよび内側表面側1aに位置する主面13bを含む。
第2導電パターン14は、導体箔からなる平面導体であり、第1導電パターン4に対応するように第2樹脂層2bの第2主面13a上に形成されている。第2導電パターン14は、たとえば長手方向に延在するように設けられている。第2導電パターン14は、樹脂層2の積層方向において第1導電パターン4と重なるように設けられている。第2導電パターン14は、たとえば信号ラインや電源ライン等の配線パターンである。
第2ダミーパターン15は、導体箔からなる平面導体であり、平面的に見た場合に、第2導電パターン14を間に挟み込むとともに第2主面13a上に互いに平行となるように一対設けられている。一対の第2ダミーパターン15は、たとえば第2導電パターン14に沿って第1方向(矢印A方向)に延在する。一対の第2ダミーパターン15は、第1ダミーパターン5から見て積層方向の上方に位置するように、第1ダミーパターン5に対応するように設けられている。
一対の第2ダミーパターン15のそれぞれは、互いに離間するように複数の部分パターン15aに分割されている。複数の部分パターン15aのそれぞれは、第2ダミービア16を設ける位置に対応するように設けられている。一対のダミーパターン15は、第2導電パターン14と電気的に分離されている。
複数の第2ダミービア16は、一対の第2ダミーパターン15に接続され、第2樹脂層2bの厚み方向に貫通するように設けられている。複数の第2ダミービア16のそれぞれは、部分パターン15aに接続されている。複数の第2ダミービア16は、折り曲げ線Fから、第2導電パターン14が延在する第1方向に離れるにつれて、隣接する第2ダミービアの中心間の距離が徐々に大きくなるように設けられている。なお、複数の第2ダミービア16は、中心間の間隔がほぼ一定となるように設けられてもよい。
複数の第2ダミービア16は、第2樹脂層2bにおいて第2主面13aと反対側に位置する主面13b上でのビア径が同一となるように設けられている。第2ダミービア16は、第1ダミービア6と同様に樹脂層内部に設けられた孔に導電性ペーストを充填し、硬化することによって形成されたものである。
また、複数の第2ダミービア16は、折り曲げ線Fに対して線対称に配置されている。第2樹脂層2bに設けられた第2ダミービア16の密度は、第1領域R1に設けられた第1ダミービア6aの密度よりも低くなっている。さらに、第2ダミービア16の数は、第1ダミービア6の数よりも少なくなっている。
図13および図14は、折り曲げ線を中心にして樹脂多層基板を折り曲げた場合において、図11に示す部分および図12に示す部分が変形した状態を示す図である。図13および図14を参照して、樹脂多層基板100を折り曲げた状態について説明する。
本実施の形態においても、樹脂多層基板100Aの一端側を折り曲げ線Fを中心にして上方に向けて90度近く折り曲げた場合においては、上方に位置する樹脂層2側で圧縮状態となり、下方に位置する樹脂層2側で引張状態となる。
この場合においては、実施の形態1同様に外周側に位置する第1樹脂層2aに設けられた第1ダミービア6によって、第1導電パターン4、第2導電パターン14、導電パターン24および樹脂層2に作用する曲げ応力の集中を緩和することができる。
本実施の形態においては、複数の第1ダミービア6は、折り曲げ線Fから、第1ダミーパターン5が延在する第1方向に離れるにつれて、隣接する第1ダミービア6の中心間の間隔が徐々に広くなるように設けられている。これにより、第1ダミービア6が過度に密集することを防止できるため、より緩やかに樹脂多層基板100Aを折り曲げることができる。
また、第1樹脂層2aよりも内周側に位置する第2樹脂層2bの折り曲げ部に複数の第2ダミービア16が設けられることにより、第1導電パターン4、第2導電パターン14、導電パターン24および樹脂層2に作用する曲げ応力の集中を緩和することができる。
ここで、内周側に外周側と同数のダミービアを配置した場合には、折り曲げられた際に内周側に位置するダミービアが、外周側に位置するダミービアよりも互いに近接しやすくなる。ダミービア同士が接触する場合には、曲げ変形を確保することが困難となる場合がある。
本実施においては、複数の第2ダミービア16の数を複数の第1ダミービア6の数よりも少なくすることにより、折り曲げ部に集中する曲げ応力を緩和しつつ、第2ダミービア16同士が接触することを防止することができる。さらに、複数の第2ダミービア16を、折り曲げ線Fから離れるにつれて隣接する第2ダミービアの中心間の距離が徐々に大きくなるように設けることにより、より緩やかに樹脂多層基板100Aを折り曲げることができる。この結果、樹脂多層基板100Aの柔軟性を十分に確保することができる。
これらの結果、第1導電パターン4、第2導電パターン14および導電パターン24が断線することに加え、第1導電パターン4、第2導電パターン14および導電パターン24をさらに微細化することが可能となる。さらに、樹脂層2自体が破損することを防止することができる。
また、第1導電パターン4、第2導電パターン14、導電パターン24および樹脂層2に作用する曲げ応力を緩和することにより、樹脂層2の厚みの変動も抑制することができる。これにより、折り曲げ部において、第2導電パターン14が導電パターン4に近づくことを防止することができるとともに、第1導電パターン4が第2導電パターン14に近づくことを防止することができる。この結果、第2導電パターン14と導電パターン4との間の容量が変動すること、第1導電パターン4と第2導電パターン14との間の容量が変動することを抑制でき、電気的特性の変動を抑制することができる。
また、第1ダミービア6、第1ダミーパターン5、第2ダミービア16および第2ダミーパターン15は、いずれもダミー導体からなっている。このため、樹脂多層基板が曲げられた際に曲げ応力によって第1ダミービア6と第1ダミーパターン5とその他の導体の相対的な位置関係が変動したとしても、樹脂多層基板の電気的特性に影響を及ぼすことが抑制される。同様に、第2ダミービア16と第2ダミーパターン15とその他の導体の相対的な位置関係が変動したとしても、樹脂多層基板の電気的特性に影響を及ぼすことが抑制される。
(実施の形態3)
図15は、本実施の形態に係る樹脂多層基板においてダミービアが形成されている部分の断面図である。図15を参照して、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Bについて説明する。
図15に示すように、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Bは、1つの第1ダミービア6または第2ダミービア16に対して、1つずつの第1ダミーパターン(部分パターン5a)または第2ダミーパターン(部分パターン15a)を形成した実施の形態2に係る樹脂多層基板100Aと比較した場合に、第1ダミーパターン5および第2ダミーパターン15がそれぞれ連続して(連結して)設けられている点において相違し、その他の構成については、ほぼ同様である。
具体的には、一対の第1ダミーパターン5のそれぞれは、互いに独立した状態で、第1方向に沿って分断されずに連続して延在している。また、平面的に見た場合には、第1方向と交差する方向における第1導電パターン4の両側のそれぞれにおいて、複数の第1ダミービア6は、連続して設けられた第1ダミーパターン5に接続されている。
一対の第2ダミーパターン15のそれぞれは、互いに独立した状態で、第1方向に沿って分断されずに連続して延在している。また、平面的に見た場合には第1方向と交差する方向における第2導電パターン14の両側のそれぞれにおいて、複数の第2ダミービア16は、連続して設けられた第2ダミーパターン15に接続されている。
図16は、折り曲げ線を中心にして樹脂多層基板を折り曲げた場合において、図15に示す部分が変形した状態を示す図である。図16を参照して、樹脂多層基板100Bを折り曲げた状態について説明する。
本実施の形態においても、樹脂多層基板100Bの一端側を折り曲げ線Fを中心にして上方に向けて90度近く折り曲げた場合においては、上方に位置する樹脂層2側で圧縮状態となり、下方に位置する樹脂層2側で引張状態となる。
本実施の形態にあっては、実施の形態2と比較して、第1ダミーパターン5が連続するように設けられ、また、第2ダミーパターンが連続するように設けられることにより、第1導電パターン4、第2導電パターン14、樹脂層2cの主面23a上に設けられた導電パターン24、第1樹脂層2a、第2樹脂層2b、樹脂層2cに作用する曲げ応力をさらに緩和することができる。この結果、実施の形態2と同等以上の効果が得られる。
(実施の形態4)
図17は、本実施の形態に係る樹脂多層基板に含まれる樹脂層であって、上方から3層目の樹脂層を示す平面図である。図17は、上方から見た場合の平面図であり、破線部は、樹脂層2の下方側に位置する主面に設けられた導電パターンおよびダミーパターンを示している。図18は、本実施の形態に係る樹脂多層基板においてダミービア形成されている部分の断面図であり、図17中に示すXVIII−XVIII線矢視断面図である。図17および図18を参照して、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Cについて説明する。
図17および図18に示すように、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Cは、実施の形態2に係る樹脂多層基板100Aと比較した場合に、折り曲げた際に内側となる樹脂層2cに導電パターンが形成されていない点、ダミービアが形成されている層が1層のみである点、樹脂層2の積層数において相違し、その他の構成についてはほぼ同様である。
樹脂多層基板100Cにあっては、導電パターン、ダミーパターンおよびダミービアが形成された第1樹脂層2aが上方から3層目に位置する。
図19は、折り曲げ線を中心にして樹脂多層基板を折り曲げた場合において、図18に示す部分が変形した状態を示す図である。図19を参照して、樹脂多層基板100Cが折り曲げられた状態について説明する。
本実施の形態においても、樹脂多層基板100Cの一端側を折り曲げ線Fを中心にして上方に向けて90度近く折り曲げた場合においては、上方に位置する樹脂層2側で圧縮状態となり、下方に位置する樹脂層2側で引張状態となる。
この場合においては、実施の形態2同様に外周側に位置する第1樹脂層2aに設けられた複数の第1ダミービア6によって、第1導電パターン4および樹脂層2に作用する曲げ応力の集中を緩和することができる。
また、複数の第1ダミービア6は、折り曲げ線Fから、第1ダミーパターン5が延在する第1方向に離れるにつれて、徐々に間隔が広くなるように設けられている。これにより、第1ダミービア6が過度に密集することを防止できるため、より緩やかに樹脂多層基板100Cを折り曲げることができる。
これらの結果、本実施の形態においても、第1導電パターン14の破断および樹脂層2の破損を防止できる。また、樹脂多層基板が曲げられた際に曲げ応力によって第1ダミービア6と第1ダミーパターン5とその他の導体の相対的な位置関係が変動したとしても、第1ダミービア6と第1ダミーパターン5は、いずれもダミー導体からなっているため、樹脂多層基板の電気的特性に影響を及ぼすことが抑制される。
(実施の形態5)
図20は、本実施の形態に係る樹脂多層基板に含まれる樹脂層であって、上方から3層目を示す平面図である。図20は、上方から見た場合の平面図であり、破線部は、樹脂層2の下方側に位置する主面に設けられた導電パターンおよびダミーパターンを示している。図21は、本実施の形態に係る樹脂多層基板においてダミービアが形成されている部分の断面図であり、図20中に示すXXI−XXI線矢視断面図である。図20および図21を参照して、樹脂多層基板100Dについて説明する。
図20および図21に示すように、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Dは、実施の形態4に係る樹脂多層基板100Cと比較した場合に、第1ダミービア6および第1ダミーパターン5の配置が相違し、その他の構成についてはほぼ同様である。また、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Dは、複数の折り曲げ線F1およびF2で折り曲げられるように構成されている点において相違する。
平面的に見た場合に、複数の第1ダミービア6の密度が高い領域と、低い領域とが交互に形成されている。具体的には、複数の第1ダミービア6は、2つの第1領域R1、2つの第2領域R2、1つの第3領域R3にそれぞれ形成されている。
第1領域R1は、折り曲げ前の状態において、折り曲げ線F1,F2を中心として第1方向に平行となる幅方向に所定の幅W1を持って、折り曲げ線F1,F2に沿って延在する。なお、折り曲げ線F1と折り曲げ線F2は、互いに平行である。
2つの第2領域R2のそれぞれは、各第1領域R1の外側に隣接して位置し、第1方向に平行となる幅方向に所定の幅W2を持って、折り曲げ線F1,F2に沿って延在する。樹脂多層基板100Dを折り曲げた場合には、第2領域R2の折り曲げ具合は、第1領域R1よりも小さくなる。
第3領域R3は、各第1領域R1に挟まれるように各第1領域R1の内側に隣接して位置し、第1方向に平行となる幅方向に所定の幅W3を持って、折り曲げ線Fに沿って延在する。第3領域R3に設けられたダミービア6bの数は、各第2領域R2に設けられたダミービア6bの数よりも多く、第3領域R3の幅W3は、各第2領域R2の幅W2よりも大きくなっているが、これに限定されず、適宜変更することができる。たとえば、第3領域R3に設けられたダミービア6bの数は、各第2領域R2に設けられたダミービア6bの数と同じであってもよく、第3領域R3の幅W3は、各第2領域R2の幅W2と同じであってもよい。
この場合において、第1領域R1に設けられた第1ダミービア6aの各密度は、少なくとも第2領域R2に設けられた第1ダミービア6bの各密度および第3領域R3に設けられた第1ダミービア6dの密度よりも高い。
第2領域R2に設けられた第1ダミービア6bの密度は、第3領域R3に設けられたダミービア6bの密度と同じであってもよく、それよりも高くてもよいし、それより低くてもよい。
図22は、折り曲げ線を中心にして樹脂多層基板を折り曲げた場合において、図21に示す部分が変形した状態を示す図である。図22を参照して、樹脂多層基板100Dが折り曲げられた状態について説明する。
本実施の形態においては、樹脂多層基板100Dの一端側を上方に向けて90度近く折り曲げる。この場合においては、折り曲げ線F1,F2において2段階で折り曲げる。上方に位置する樹脂層2側で圧縮状態となり、下方に位置する樹脂層2側で引張状態となる。
この場合にあっては、第1ダミービア6の密度が高い部分と低い部分とを交互に配置させ、かつ、密度が高い部分で段階的に折り曲げることにより、実施の形態4と比較した場合に、さらに緩やかに樹脂多層基板100Dを折り曲げることができる。本実施の形態にあっては、実施の形態4と同等以上の効果が得られる。
なお、本実施の形態においては、2段階に折り曲げる場合を例示して説明したが、これに限定されず、密度が高い領域と低い領域とをさらに交互に配置させ、3段階以上で折り曲げてもよい。
(実施の形態6)
図23は、本実施の形態に係る樹脂多層基板に含まれる樹脂層であって、上方から3層目を示す平面図である。図23は、上方から見た場合の平面図であり、破線部は、樹脂層2の下方側に位置する主面に設けられた導電パターンおよびダミーパターンを示している。図23を参照して、樹脂多層基板100Eについて説明する。
図23に示すように、樹脂多層基板100Eは、実施の形態5に係る樹脂多層基板100Dと比較した場合に、折り曲げ線Fが所定の角度をもって第1方向と交差する点において相違し、その他の構成についてはほぼ同様である。
この場合であっても第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3は第1方向に平行となる幅方向に所定の幅W1,W2,W3を持って、折り曲げ線Fに沿って延在する。
本実施の形態においても、第1ダミービア6の密度が高い部分と低い部分とを交互に配置させ、かつ、密度が高い部分で段階的に折り曲げることにより、さらに緩やかに樹脂多層基板100Eを折り曲げることができる。これにより、実施の形態5とほぼ同様の効果が得られる。
(実施の形態7)
図24および図25は、本実施の形態に係る樹脂多層基板に含まれる樹脂層であって、上方から3層目および5層目を示す平面図である。図24および図25は、上方から見た場合の平面図であり、破線部は、樹脂層2の下方側に位置する主面に設けられた導電パターンおよびダミーパターンを示している。図26は、本実施の形態に係る樹脂多層基板においてダミービアが形成されている部分の断面図であり、図24および図25に示すXXVI−XXVI線矢視断面図である。図24から図26を参照して、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Fについて説明する。
図24から図26に示すように、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Fは、実施の形態2に係る樹脂多層基板100Aと比較した場合に、折り曲げた際に内側となる樹脂層2cに導電パターンが設けられていない点、第1ダミービア6のビア径および第2ダミービア16のビア径が相違し、その他の構成については、ほぼ同様である。なお、ビア径とは、ダミーパターン5,15が設けられている樹脂層2a,2bの主面3a,13aと反対側に位置する主面3b,13b上おけるダミービアの直径を指す。
図25に示すように、第1樹脂層2aにあっては、第1領域R1に設けられた第1ダミービア6aのビア径が、第2領域R2に設けられた第1ダミービア6aのビア径よりも大きくなるように複数の第1ダミービア6が設けられている。
複数の第1ダミービア6は、折り曲げ線Fから第1方向に沿って離れるにつれて、徐々にビア径が小さくなるように設けられている。実施の形態2同様に、第1領域R1に設けられたダミービア6aの密度は、第2領域R2に設けられた第1ダミービア6bの密度よりも大きくなっている。
図26に示すように、第2樹脂層2bにあっては、複数の第2ダミービア16は、中心間の距離が一定となるように配置されている。複数の第2ダミービア16は、複数の第2ダミービア16は、折り曲げ線Fに対して線対称に配置されている。また、第2ダミービア16の数は、第1ダミービア6の数よりも少なくなっている。折り曲げ線Fに近い側に位置する第2ダミービア16aのビア径は、折り曲げ線Fから遠い側に位置する第2ダミービア16bのビア径よりも大きい。
図27は、折り曲げ線を中心にして樹脂多層基板を折り曲げた場合において、図26に示す部分が変形した状態を示す図である。図27を参照して、樹脂多層基板100Fが折り曲げられた状態について説明する。
本実施の形態においても、樹脂多層基板100Fの一端側を折り曲げ線Fを中心にして上方に向けて90度近く折り曲げた場合においては、上方に位置する樹脂層2側で圧縮状態となり、下方に位置する樹脂層2側で引張状態となる。
この場合にあっては、折り曲げ具合が大きくなる第1領域R1において、曲げ応力が集中しやすくなる。第1領域R1に設けられた第1ダミービア6のビア径を、第2領域R2に設けられた第1ダミービア6のビア径よりも大きくすることにより、第1導電パターン4および樹脂層2に作用する曲げ応力を効果的に緩和させることができる。
また、このように曲げ具合に応じて第1ダミービア6のビア径を変更することにより、ビア径が大きい第1ダミービア6同士が接触することを抑制でき、樹脂多層基板100Fの柔軟性を十分に確保することができる。
第1樹脂層2aよりも内周側に位置する第2樹脂層2bの折り曲げ部に複数の第2ダミービア16が設けられることにより、第1導電パターン4、第2導電パターン14、および樹脂層2に作用する曲げ応力の集中を緩和することができる。
さらに、複数の第2ダミービア16の数を複数の第1ダミービアの数よりも少なくすることにより、折り曲げ部に集中する応力を緩和しつつ、第2ダミービア16同士が接触することを防止することができる。これにより、樹脂多層基板100Fの柔軟性を十分に確保することができる。
これらの結果、第1導電パターン4および第2導電パターン14が断線することに加え、第1導電パターン4および第2導電パターン14をさらに微細化することが可能となるとともに、樹脂層2自体が破損することを防止することができる。
また、1導電パターン4、第2導電パターン14および樹脂層2に作用する曲げ応力を緩和することにより、樹脂層2の厚みの変動も抑制することができる。これにより、折り曲げ部において、第1導電パターン4が第2導電パターン14に近づくことを防止することができる。この結果、第1導電パターン4と第2導電パターン14との間の容量が変動することを抑制でき、電気的特性の変動を抑制することができる。
また、第1ダミービア6、第1ダミーパターン5、第2ダミービア16および第2ダミーパターン15は、いずれもダミー導体からなっている。このため、樹脂多層基板が曲げられた際に曲げ応力によって第1ダミービア6と第1ダミーパターン5とその他の導体の相対的な位置関係が変動したとしても、樹脂多層基板の電気的特性に影響を及ぼすことが抑制される。同様に、第2ダミービア16と第2ダミーパターン15とその他の導体の相対的な位置関係が変動したとしても、樹脂多層基板の電気的特性に影響を及ぼすことが抑制される。
(実施の形態8)
図28および図29は、本実施の形態に係る樹脂多層基板に含まれる樹脂層であって、上方から3層目および5層目を示す平面図である。図28および図29は、上方から見た場合の平面図であり、破線部は、樹脂層2の下方側に位置する主面に設けられた導電パターンおよびダミーパターンを示している。図30は、本実施の形態に係る樹脂多層基板においてダミービアが形成されている部分の断面図であり、図28および図29に示すXXX−XXX線矢視断面図である。図28から図30を参照して本実施の形態に係る樹脂多層基板100Gについて説明する。
図28から図30に示すように、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Gは、実施の形態7に係る樹脂多層基板100Fと比較した場合に、第1ダミービア6および第1ダミーパターン5が相違し、その他の構成はほぼ同様である。
第1樹脂層2aにあっては、複数の第1ダミービア6は、中心間の間隔が一定となるように配置されている。これに対応して、複数の部分パターン5aも中心間の間隔が一定となるように配置されている。
図31は、折り曲げ線を中心にして樹脂多層基板を折り曲げた場合において、図30に示す部分が変形した状態を示す図である。図31を参照して、樹脂多層基板100Gが折り曲げられた状態について説明する。
本実施の形態においても、樹脂多層基板100Gの一端側を折り曲げ線Fを中心にして上方に向けて90度近く折り曲げた場合においては、上方に位置する樹脂層2側で圧縮状態となり、下方に位置する樹脂層2側で引張状態となる。
この場合にあっては、実施の形態7同様に外周側に位置する第1樹脂層2aに設けられた複数の第1ダミービア6および内周側に位置する第2樹脂層2bに設けられた複数の第2ダミービア16によって、樹脂多層基板100Gの柔軟性を十分に確保しつつ、第1導電パターン4、第2導電パターン14および樹脂層2に作用する曲げ応力の集中を緩和することができる。この結果、本実施の形態においても、実施の形態7とほぼ同様の効果が得られる。
(実施の形態9)
図32は、本実施の形態に係る樹脂多層基板においてダミービアが形成されている部分の断面図である。図32を参照して、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Hについて説明する。
図32に示すように、本実施の形態に係る樹脂多層基板100Hは、実施の形態7に係る樹脂多層基板100Fと比較した場合に、ダミービアが形成されている層が1層のみである点において相違し、その他の構成についてはほぼ同様である。
樹脂多層基板100Hにあっては、第1樹脂層2aが上方から3層目に位置する。
図33は、折り曲げ線を中心にして樹脂多層基板を折り曲げた場合において、図32に示す部分が変形した状態を示す図である。図33を参照して、樹脂多層基板100Hが折り曲げられた状態について説明する。
本実施の形態においても、樹脂多層基板100Gの一端側を折り曲げ線Fを中心にして上方に向けて90度近く折り曲げた場合においては、上方に位置する樹脂層2側で圧縮状態となり、下方に位置する樹脂層2側で引張状態となる。
この場合にあっては、実施の形態7同様に外周側に位置する第1樹脂層2aに設けられた複数の第1ダミービア6によって、第1導電パターン4、および樹脂層2に作用する曲げ応力の集中を緩和することができる。
また、曲げ具合に応じて第1ダミービア6のビア径を変更することにより、過剰にビア径が大きい第1ダミービア6が配置されることを防止でき、樹脂多層基板100Hの柔軟性を十分に確保することができる。
これらの結果、本実施の形態においても、第1導電パターン14の破断および樹脂層2の破損を防止でき、かつ、電気的特性の変動を抑制することができる。
(変形例1)
図34Aおよび図34Bは、変形例1における樹脂多層基板に含まれる樹脂層であって、上方から3層目および5層目を示す平面図である。図34Aおよび図34Bを参照して、本変形例における樹脂多層基板100Iについて説明する。
本変形例にあっては、上記実施例と比較した場合に、導電パターンが直線状の導電パターンだけではなく、第1の容量電極41または第2の容量電極42を含むように構成されている点において相違する。なお、第1ダミービア6は、第1導電パターンの少なくとも一部が延在する第1方向(図34中矢印A方向)に沿って設けられている。
このような場合であっても、第1ダミービア6および第2ダミービア16を上述の実施の形態に準じて設けることにより、第1の容量電極41、第2の容量電極42および樹脂層2に作用する曲げ応力の集中を緩和することができる。これにより、第1の容量電極41、第2の容量電極42の破断および樹脂層2の破損を防止でき、かつ、電気的特性の変動を抑制することができる。
(変形例2)
図35Aおよび図35Bは、変形例2における樹脂多層基板に含まれる樹脂層であって、上方から3層目および5層目を示す平面図である。図35Aおよび図35Bを参照して、本変形例における樹脂多層基板100Jについて説明する。
本変形例にあっては、上記実施例と比較した場合に、導電パターンが直線状の導電パターンだけではなく、コイルを形成するためのらせん状の第1のインダクタパターン43および第2のインダクタパターン44を含むように構成されている点において相違する。なお、第1ダミービア6は、上記第1導電パターンの少なくとも一部が延在する第1方向(図35中矢印A方向)に沿って設けられている。
このような場合であっても、第1ダミービア6および第2ダミービア16を上述の実施の形態に準じて設けることにより、第1のインダクタパターン43、第2のインダクタパターン44および樹脂層2に作用する曲げ応力の集中を緩和することができる。これにより、第1のインダクタパターン43、第2のインダクタパターン44の破断および樹脂層2の破損を防止でき、かつ、電気的特性の変動を抑制することができる。
(実施の形態10)
図36から図41を参照して、本実施の形態10に係る樹脂多層基板の製造方法について説明する。
まず、図36に示すような導体箔付き樹脂シート30を用意する。導体箔付き樹脂シート30は、樹脂層2の片面に導体箔31が付着した構造のシートである。樹脂層2は、たとえば熱可塑性樹脂であるLCP(液晶ポリマー)からなるものである。樹脂層2の材料としては、LCPの他に、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PPS(ポニフェニレンスルファイド)、PI(ポリイミド)などであってもよい。
導体箔31は、たとえばCuからなる厚さ18μmの箔である。なお、導体箔31の材料はCu以外にAg、Al、SUS、Ni、Auであってもよく、これらの金属のうちから選択された2以上の異なる金属の合金であってもよい。本実施の形態では、導体箔31は厚さ18μmとしたが、導体箔31の厚みは3〜40μm程度であってよい。導体箔31は、回路形成が可能な厚みであればよい。
次に、図37に示すように、導体箔付き樹脂シート30の樹脂層2側の表面に炭酸ガスレーザ光を照射することによって樹脂層2を貫通するようにビア孔32を形成する。ビア孔32は、樹脂層2を貫通しているが導体箔31は貫通していない。その後、ビア孔32のスミア(図示せず)を除去する。ここではビア孔32を形成するために炭酸ガスレーザ光を用いたが、他の種類のレーザ光であってもよい。また、ビア孔32を形成するためにレーザ光照射以外の方法を採用してもよい。
次に、図38に示すように、導体箔付き樹脂シート30の導体箔31の表面にスクリーン印刷などの方法で、所望の回路パターンに対応するレジストパターン33を印刷する。
次に、レジストパターン33をマスクとしてエッチングを行ない、図39に示すように、導体箔31のうちレジストパターン33で被覆されていない部分を除去する。その後、図40に示すように、レジストパターン33を除去する。こうして樹脂層2の一方の表面に所望の導電パターンおよびダミーパターン等が得られる。
次に、図41に示すように、ビア孔32に、スクリーン印刷などにより導電性ペーストを充填する。スクリーン印刷は、図40、図41における下側の面から行なわれる。図40では説明の便宜上、ビア孔32が下方を向いた姿勢で表示しているが、実際には適宜姿勢を変えてスクリーン印刷を行なってよい。また、導電性ペーストの充填は、真空印刷によって行なってもよい。あるいは、導電性ペーストの充填は、ペースト充填機による穴埋めであってもよい。充填する導電性ペーストは上述したように銀を主成分とするものであってもよいが、その代わりにたとえば銅を主成分とするものであってもよい。
この導電性ペーストは、のちに積層した樹脂層を熱圧着する際の温度(以下「熱圧着温度」という。)で、導電パターンおよびダミーパターンの材料である金属との間で合金層を形成するような金属粉を適量含むものであることが好ましい。この導電性ペーストは導電性を発揮するための主成分として銅すなわちCuを含むので、この導電性ペーストは主成分の他にAg,Cu,Niのうち少なくとも1種類と、Sn,Bi,Znのうち少なくとも1種類とを含むことが好ましい。図41では、導電性ペーストの充填により、ダミービア等のビア導体が形成されている。樹脂層2はのちに積層して組み立てられるためのものであるので、複数の樹脂層2においてそれぞれ設計に従って、ビア導体が配置される。
以上のように処理された複数の樹脂層2を積層して積層体を形成する。積層する際には、設計に従って、導電パターン同士の距離が設定される。あるいはさらにビア導体同士の距離が設定される。
複数の樹脂層2を途中まで積層した時点で、熱圧着温度より低い温度で仮圧着してもよい。仮圧着の温度は、たとえば150℃以上200℃以下である。仮圧着することにより、この時点までに積層した樹脂層2同士が接合される。仮圧着をした場合、さらに残りの樹脂層2を積み重ねる。
次に、この積層体を本圧着する。本圧着の工程では既に仮圧着された積層体および仮圧着より後から積層された樹脂層2の全体を一括して熱圧着する。本圧着の温度はたとえば250℃以上300℃以下である。上述の「熱圧着温度」は、この本圧着の温度を意味する。本圧着することにより、厚み方向に隣り合った樹脂層2同士は相互に接着されて一体的な樹脂多層基板が形成される。樹脂多層基板の上面または下面に露出するように配置された導電パターンがある場合、これらは外部電極となる。本圧着が済んだ後、外部電極の表面に、Ni、Auなどでめっき処理を施すことが好ましい。
樹脂多層基板の上面および下面の両方に導電パターンを利用した外部電極を形成すべき場合、積層の途中のいずれかの層において表裏を反転させ、その反転箇所以外ではすぐ下の層と表裏同じ向きで積み重ねることが好ましい。
仮圧着を行なわずに、全ての樹脂層2を積み重ねてからまとめて本圧着を行なってもよい。
いずれにしても、本圧着を終えた時点で、上記各実施の形態で示したような樹脂多層基板が得られる。
本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法によれば、上記各実施の形態で述べたような樹脂多層基板を得ることができる。
上述した実施の形態1から9および変形例1,2にあっては、折り曲げ角が略90度になるように折り曲げる場合を例示して説明したが、これに限定されず、折り曲げ角が90度以下になるように折り曲げてもよいし、90度以上になるように折り曲げてもよい。特に折り曲げ角が大きくなる場合に、本発明の効果がより顕著に発揮される。
上述した実施の形態1から9および変形例1,2にあっては、樹脂層2が6層または4層積層されることにより積層体1が構成される場合を例示したが、これに限定されず、樹脂層2の数は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
上述した実施の形態1から9および変形例1,2にあっては、導電パターンが設けられた樹脂層2の主面が、外側表面1b側である場合を例示して説明したが、これに限定されず、内側表面1a側であってもよく、適宜変更することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。