図1および図2はそれぞれ、本発明の一の実施の形態に係る使い捨ておむつ1の正面図および背面図(すなわち、着用者の腹側および背側に位置する部位の図)である。図1および図2に示すように、使い捨ておむつ1は、上端(すなわち、図1および図2中の上側の端部)に胴部開口11を有し、下部に一対の脚部開口12を有するパンツタイプの吸収性物品であり、着用者からの排泄物を受ける。図1および図2では、左右方向に伸張した状態の使い捨ておむつ1を示す。
図3は、使い捨ておむつ1を展開した状態で着用者側から見た平面図である。使い捨ておむつ1は、胴部開口11および一対の脚部開口12(図1および図2参照)を有する外装シート4、および、外装シート4の内面(すなわち、着用者側の面)上に取り付けられて着用者からの排泄物を吸収する略シート状の吸収体20を備える。外装シート4は、外装シート本体40、並びに、外装シート本体40に伸張状態にて接合される脚部弾性部材43、胴部弾性部材44および中間弾性部材45を備える。
使い捨ておむつ1では、図3中の下側の部位が着用者の前側(腹側の肌)を覆い、図3中の上側の部位が着用者の後側(背側の肌)を覆う。以下の説明では、外装シート本体40の着用者の腹側および背側に位置する部位をそれぞれ、「前方部401」および「後方部403」と呼び、前方部401と後方部403との間で前方部401および後方部403から連続するとともに着用者の股間部を覆う部位を「股下部402」と呼ぶ。また、前方部401、股下部402および後方部403が並ぶ方向を「長手方向」という。使い捨ておむつ1では、外装シート4が前方部401、股下部402および後方部403を備え、吸収体20は、外装シート4の前方部401から股下部402を経由して後方部403へと至る。外装シート4の前方部401、股下部402および後方部403は、使い捨ておむつ1の前方部、股下部および後方部でもある。
使い捨ておむつ1が製造される際には、外装シート4が吸収体20と共に股下部402にて折り曲げられ、股下部402を下側に向けた際の前方部401の両側端部(すなわち、左右両側の端部)の内面と、後方部403の両側端部の内面とが、加熱および押圧による熱融着によりそれぞれ接続される。これにより、図1および図2に示すように、前方部401および後方部403の上端に胴部開口11が形成され、前方部401および後方部403の下側において股下部402の左右に一対の脚部開口12が形成される。
図4および図5はそれぞれ、使い捨ておむつ1を図3中に示すA−Aの位置、および、B−Bの位置にて切断した断面図である。図4および図5は、使い捨ておむつ1の股下部402における断面を示す。図4および図5では、図示の都合上、使い捨ておむつ1の各構成を離して描いている。
図3ないし図5に示すように、吸収体20は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部上(すなわち、上下方向に垂直な左右方向の両側)に配置される一対のサイドシート3を備える。各サイドシート3は、本体部2の長手方向(すなわち、図3中の縦方向)のおよそ全長に亘って延びる。
本体部2は、図4および図5に示すように、トップシート21、バックシート23、および、トップシート21とバックシート23との間に配置された略シート状の吸収コア22を備える。トップシート21は、吸収コア22の着用者側の主面を覆う。バックシート23は、吸収コアの着用者とは反対側の主面を覆う。トップシート21とバックシート23とは、吸収コア22の周囲にて互いに接合されて吸収コア22を被覆する。換言すれば、トップシート21およびバックシート23は、吸収コアを被覆するコア被覆シートである。以下の説明では、トップシート21およびバックシート23をまとめて「コア被覆シート24」とも呼ぶ。
トップシート21は、透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。吸収コア22は、着用者から排泄された尿等の液体を吸収する。バックシート23は、排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すのを防止する。バックシート23がホットメルト接着剤等にて外装シート4上に接合されることにより、吸収体20の本体部2が外装シート4の内面上に取り付けられる。吸収体20のバックシート23は、全面に亘って外装シート4に接合されてもよく、部分的に接合されてもよい。
図6は、使い捨ておむつ1を展開した状態で着用者側から見た平面図である。図6では、吸収体20と外装シート4との接合部に平行斜線を付す。また、図6では、サイドシート3、脚部弾性部材43、胴部弾性部材44および中間弾性部材45の図示を省略している。本実施の形態では、吸収体20の左右方向の両側端部が、所定の幅に亘って外装シート4の内面に非接合である。以下の説明では、吸収体20の両側端部において外装シート4と非接合である部位をそれぞれ、「側部非接合部204」という。図6では、側部非接合部204を二点鎖線にて囲む。側部非接合部204は、吸収体20の長手方向の両端部を除く部位に設けられる。側部非接合部204は、長手方向に延びる略帯状の部位である。側部非接合部204は、吸収体20のうち、外装シート4の前方部401と重なる部位から、後方部403と重なる部位に至る。したがって、側部非接合部204は、吸収体20のうち外装シート4の股下部402と重なる部位の全長に亘って設けられる。側部非接合部204の左右方向の幅は、例えば、股下部402において吸収体20の左右方向の幅の約15%〜25%である。吸収体20の側部非接合部204を除く部位は、およそ全体に亘って外装シート4に接合される。なお、側部非接合部204の長さおよび幅は、側部非接合部204が外装シート4の股下部402と重なる範囲において、適宜変更されてよい。
図4および図6に示すように、吸収体20のうち、外装シート4の股下部402と重なる部位の左右方向の両側端部には、吸収体20の長手方向に延びる一対の股下弾性部材26が設けられる。各股下弾性部材26は、例えば、互いに略平行に左右方向に配列される3本の股下弾性糸261を含む。各股下弾性部材26は、図4に示すように、吸収コア22とバックシート23との間に、ホットメルト接着剤等により伸張状態にて接合される。伸張状態における股下弾性部材26の長手方向の長さは、図6に示すように、長手方向における側部非接合部204の長さ、および、股下部402の長さよりも短い。股下弾性部材26は、全長に亘って側部非接合部204と重ねて配置される。なお、股下弾性部材26は、トップシート21と吸収コア22との間に接合されてもよい。
トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布(ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、使い捨ておむつ1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
股下弾性部材26としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用される。本実施の形態では、ポリウレタン糸が股下弾性部材26として利用される。
図3に示すように、本体部2の長手方向の両端部における幅は、本体部2の長手方向の中央部(すなわち、股下部402と重なる部位)における幅よりも大きい。換言すれば、本体部2は、平面視においていわゆる砂時計型である。吸収コア22は、平面視において略長方形であり、左右方向の幅は長手方向の全長に亘っておよそ一定である。以下の説明では、使い捨ておむつ1の各構成の左右方向の幅を単に「幅」といい、長手方向の長さを単に「長さ」という。吸収コア22の幅は、吸収コア22の全長に亘って本体部2の幅よりも小さい。図3では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている(図1、図2および図6においても同様)。また、図1および図2では、吸収体20の輪郭を細実線にて描いている。
図3に示すように、吸収体20では、本体部2の長さは、吸収コア22の長さよりも長く、コア被覆シート24は、吸収コア22の長手方向の両端部から突出する。以下の説明では、コア被覆シート24のうち、吸収コア22の長手方向の両端部から突出する2つの部位を「突出端部241」という。
図1に示すように、使い捨ておむつ1の前方部(すなわち、外装シート4の前方部401)では、コア被覆シート24の突出端部241は、吸収コア22の前部の上端縁から胴部開口11に向かって上方に突出する。突出端部241は、吸収コア22の前部の上端縁に沿って左右方向に広がる帯状である。また、図2に示すように、使い捨ておむつ1の後方部(すなわち、外装シート4の後方部403)でも同様に、コア被覆シート24のもう1つの突出端部241は、吸収コア22の後部の上端縁から胴部開口11に向かって上方に突出する。突出端部241は、吸収コア22の後部の上端縁に沿って左右方向に広がる帯状である。
図4および図5に示すように、吸収コア22は、積層された2枚のシート部材である第1コアシート221および第2コアシート223と、第1コアシート221および第2コアシート223の間に保持される高吸収性材料222とを備える。第1コアシート221および第2コアシート223としては、トップシート21と同様に、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維にて形成された透液性の不織布や、親水性繊維により形成された不織布が利用される。高吸収性材料222としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbant Fibre))が利用される。本実施の形態では、粒状のSAPが高吸収性材料222として利用される。また、吸収コア22は、第1コアシート221と第2コアシート223との間に、粉砕されたパルプ繊維やセルロース繊維等、比較的嵩高な繊維を実質的に保持していない。
高吸収性材料222は、ホットメルト接着剤等により第1コアシート221と第2コアシート223との間に接合される。高吸収性材料222は、第1コアシート221および第2コアシート223の外縁部を除く領域のおよそ全体に配置される。高吸収性材料222が配置される領域では、高吸収性材料222は略均一に分布する。このため、吸収体20の厚さは、吸収コア22の高吸収性材料222が存在する領域にて、左右方向において略均一である。
図4および図5に示すように、一対のサイドシート3はそれぞれ、長手方向の全長に亘って設けられた折り曲げ線39の一方側の部位である帯状の接合部33と、折り曲げ線39の他方側の部位である側壁部34と、側壁部34に接合される側壁部弾性部材35とを備える。一対の接合部33は、本体部2の左右方向の両側部において、本体部2の長手方向のおよそ全長に亘って配置される。各接合部33は、本体部2の着用者側にホットメルト接着剤等を用いて接合される。一対の側壁部34は、一対の接合部33の左右方向の内側のエッジ(すなわち、折り曲げ線39)にて一対の接合部33から連続する部位であり、本体部2の左右方向の両側部上において本体部2の長手方向のおよそ全長に亘って延びる。
各側壁部34は、長手方向における両端部において接合部33上に重ねられ、熱融着接合または超音波接合、あるいは、ホットメルト接着剤等による接着により接合部33上に直接的に固定される。また、各側壁部34の長手方向におけるおよそ中央の部位、すなわち、外装シート4の股下部402と重なる部位の一部も、図4に示すように、接合部33上に重ねられ、熱融着接合または超音波接合、あるいは、ホットメルト接着剤等による接着により接合部33上に直接的に固定される。すなわち、一対の側壁部34はそれぞれ、長手方向の両端部、および、外装シート4の股下部402と重なる部位において、側壁部34のおよそ全幅に亘って接合部33を介して本体部2に接合される。各側壁部34の長手方向の両端部、および、外装シート4の股下部402と重なる部位の略中央部は、本体部2から起立しない。
各側壁部34に接合される側壁部弾性部材35は、例えば、長手方向に延びる5本の側壁部弾性糸351を有し、5本の側壁部弾性糸351は、側壁部34の自由端近傍、折り曲げ線39近傍、および、自由端と折り曲げ線39との間に、互いに略平行に配置される。側壁部弾性部材35が収縮することにより、側壁部34のうち接合部33に直接的に接合されていない部位(すなわち、長手方向の両端部と外装シート4の股下部402と重なる部位の中央部とを除く部位)が、図5に示すように、本体部2から起立し、立体ギャザーが形成される。具体的には、使い捨ておむつ1が着用者に着用された状態において、吸収体20の下端部には立体ギャザーは形成されず、下端部よりも前側および後側において側壁部34の一部が本体部2から起立して立体ギャザーが形成される。なお、側壁部34は、接合部33の左右方向の内側のエッジではなく、外側のエッジに連続してもよい。この場合、接合部33の左右方向の外側のエッジが折り曲げ線39になる。
サイドシート3のシート本体(すなわち、接合部33および側壁部34)としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)が利用される。側壁部弾性部材35としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用される。本実施の形態では、ポリウレタン糸が側壁部弾性部材35として利用される。
図7は、使い捨ておむつ1を図3中に示すC−Cの位置で切断した部分断面図である。図7では、使い捨ておむつ1の後側を示す。使い捨ておむつ1の前側の構造は、図7に示す後側の構造とほぼ同様である。図4、図5および図7に示すように、外装シート4の外装シート本体40は、第1外装シート41と、第2外装シート42とを備える。第2外装シート42は、第1外装シート41の内面上(すなわち、着用者側)に直接的に積層され、ホットメルト接着剤等により第1外装シート41に接合される。
外装シート本体40は、図7に示すように、第2外装シート42の内面上に直接的に積層されてホットメルト接着剤等により接合されるエンドシート5をさらに備える。図3に示すように、エンドシート5は、使い捨ておむつ1の左右方向(すなわち、図3中における横方向)に関して外装シート4の幅のおよそ全体に亘って設けられ、図7に示すように、第2外装シート42との間に、吸収体20の上端部を挟んで固定する。第2外装シート42の上端は、エンドシート5の上端と上下方向においておよそ一致しており、第1外装シート41の上端である胴部開口11のエッジ111から下方に離間する。また、第2外装シート42の上端、および、エンドシート5の上端は、吸収体20の上端よりも上側に位置する。
第1外装シート41、第2外装シート42およびエンドシート5としては、バックシート23と同様に、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布、プラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。プラスチックフィルムとしては、透湿性(通気性)を有するものが利用されることが好ましい。また、第1外装シート41、第2外装シート42およびエンドシート5として、トップシート21と同様に、親水処理した疎水性繊維にて形成された透液性の不織布や親水性繊維により形成された不織布が利用されてもよい。
第1外装シート41は、胴部開口11のエッジ111にて着用者側に折り返される折り返し部46を備える。折り返し部46の下端は、第2外装シート42の上端、および、エンドシート5の上端よりも下側、かつ、吸収体20の上端よりも上側に位置する。第2外装シート42の上端部およびエンドシート5の上端部は、第1外装シート41の折り返し部46に対向する部位である対向部47と、折り返し部46との間に挟まれ、折り返し部46は、対向部47およびエンドシート5の上端部に接合される。
以下の説明では、折り返し部46と対向部47とが直接的に接合される領域を「胴周り領域404」という。胴周り領域404は、胴部開口11のエッジ111に沿う帯状の領域である。胴周り領域404には、胴部開口11のエッジ111に沿って胴部弾性部材44が配置される。胴部弾性部材44は、第1外装シート41の折り返し部46と対向部47との間に配置され、図1ないし図3に示すように、左右方向に延びて前方部401および後方部403に接合される。図1ないし図3、および、図7に示すように、胴部弾性部材44は、例えば、互いに略平行に上下方向に配列される6本の胴部弾性糸441を含む。胴部弾性部材44が収縮することにより、胴部開口11の周囲にて外装シート本体40が収縮し、着用者の胴部に接する胴部開口ギャザーが形成される。
図1および図2に示すように、脚部弾性部材43は、一対の脚部開口12のエッジ121に沿って配置される。脚部弾性部材43は、図5に示すように、外装シート4の第1外装シート41と第2外装シート42との間に接合される。図1ないし図3に示すように、各脚部弾性部材43の両側の上端部は、前方部401および後方部403に接合され、各脚部弾性部材43の両上端部の間の中央部は、外装シート本体40の股下部402に接合される。各脚部弾性部材43は、例えば、4本の脚部弾性糸431を含む。脚部弾性部材43が収縮することにより、一対の脚部開口12の周囲にて外装シート本体40が収縮し、着用者の脚周りに接する一対の脚部ギャザーが形成される。
図1および図2に示すように、本実施の形態では、4本の脚部弾性糸431が、一方の脚部開口12のエッジ121に沿って前方部401から股下部402へと延び、股下部402の長手方向の略中央部において左右方向へと延び、さらに、他方の脚部開口12のエッジ121に沿って股下部402から前方部401へと延びる。また、他の4本の脚部弾性糸431が、一方の脚部開口12のエッジ121に沿って後方部403から股下部402へと延び、股下部402の長手方向の略中央部において左右方向へと延び、さらに、他方の脚部開口12のエッジ121に沿って股下部402から後方部403へと延びる。
これら8本の脚部弾性糸431には、股下部402の左右方向の中央部と重なる所定幅の部位において、いわゆるドットカットが施され、当該8本の脚部弾性糸431が細かく切断される。切断された部位では、脚部弾性糸431は実質的に伸縮性を発揮しない。これにより、外装シート4の股下部402の左右方向の中央部が、実質的に伸縮性を有しない股下非伸縮領域409となる。図1では、股下非伸縮領域409を二点鎖線にて囲む。股下非伸縮領域409の幅は、好ましくは、股下非伸縮領域409が設けられる位置における外装シート4の幅の1/2以上2/3以下である。
図1および図2に示すように、中間弾性部材45は、胴部弾性部材44の下端部と脚部弾性部材43の上端部との上下方向における間の領域に配置される。中間弾性部材45は、図7に示すように、第1外装シート41と第2外装シート42との間に配置され、左右方向に延びて前方部401および後方部403に接合される。図1ないし図3、および、図7に示すように、中間弾性部材45は、例えば、前方部401および後方部403のそれぞれにおいて互いに略平行に上下方向に配列される18本の中間弾性糸451を含む。中間弾性部材45が収縮することにより外装シート本体40が収縮し、着用者の下腹部および臀部に接する中間ギャザーが形成される。
脚部弾性部材43、胴部弾性部材44および中間弾性部材45としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用される。本実施の形態では、ポリウレタン糸が脚部弾性部材43、胴部弾性部材44および中間弾性部材45として利用される。
図1および図2に示すように、使い捨ておむつ1では、外装シート4の前方部401および後方部403の双方において、中間弾性部材45の一部に、いわゆるドットカットが施され、当該一部が細かく切断されている。具体的には、上下方向に関して吸収体20の吸収コア22と重なる複数の中間弾性糸451が、吸収体20の左右方向の両側部と重なる所定幅の部位にてそれぞれ切断される。切断された部位では、中間弾性糸451は実質的に伸縮性を発揮しない。
上下方向に関して吸収コア22と重なる中間弾性糸451とは、胴部開口11を上方に向け、股下部402を下方に向けた状態の使い捨ておむつ1において、吸収コア22の上端と下端との間に位置する中間弾性糸451である。本実施の形態では、18本の中間弾性糸451のうち、下側に位置する10本の中間弾性糸451が、上下方向に関して吸収コア22と重なる。上下方向に関して吸収コア22と重なる複数の中間弾性糸451は、吸収体20の左右方向の中央部と重なる部位、および、吸収体20の左右方向の両側に位置する部位では切断されず、実質的に伸縮性を発揮する。
これにより、外装シート4の前方部401および後方部403のそれぞれに、第1伸縮領域405と、一対の非伸縮領域406と、一対の第2伸縮領域407とが形成される。第1伸縮領域405は、吸収体20の左右方向の中央部と重なる領域である。詳細には、第1伸縮領域405は、吸収コア22の左右方向の中央部と重なる領域である。第1伸縮領域405には、上下方向に関して吸収コア22と重なる上述の10本の中間弾性糸451により実質的に伸縮性が付与され、図8に示すように、中間ギャザーの一部が形成される。使い捨ておむつ1を左右方向に伸張した状態において、第1伸縮領域405の左右方向の幅は、第1伸縮領域405が設けられる位置における吸収体20の左右方向の幅の約1/3以上2/3以下である。
図1および図2に示すように、一対の非伸縮領域406は、第1伸縮領域405の左右方向の両側にて、吸収体20の左右方向の両側部と重なる領域である。一対の非伸縮領域406ではそれぞれ、上述の10本の中間弾性糸451が切断されている。このため、一対の非伸縮領域406は実質的に伸縮性を有しない。非伸縮領域406および上述の股下非伸縮領域409に係る「実質的に伸縮性を有しない領域」という表現は、使い捨ておむつ1の製造時に意図的に伸縮性を付与されていない領域を意味する。当該領域は、例えば、伸張状態の弾性部材が接合されていない領域、伸張状態の弾性部材を接合した後に切断して伸縮性を失わせた領域、伸縮性不織布により形成されていない領域を指す。一対の非伸縮領域406は、詳細には、吸収コア22の左右方向の両側部と重なる領域である。
一対の第2伸縮領域407は、一対の非伸縮領域406の左右方向の両側、かつ、吸収体20の左右方向の両側に位置する。各第2伸縮領域407は、吸収体20の側方エッジ近傍から外装シート4の側端部まで広がる。一対の第2伸縮領域407にはそれぞれ、上述の10本の中間弾性糸451により実質的に伸縮性が付与される。これにより、図8に示すように、一対の非伸縮領域406の外側に、中間ギャザーの他の一部が形成される。一対の第2伸縮領域407は、吸収体20の左右方向の両側に位置する部位(すなわち、吸収体20の幅方向の外側に位置する部位)から、吸収体20の左右方向の両側縁部と重なる部位まで広がっていてもよい。
図8に示すように、非着用時における使い捨ておむつ1では、一対の脚部開口12の上端から下端までの間において、吸収体20の股下部402と重なる部位の幅が、吸収体20の長手方向の両端部の幅よりも大きい。
図1および図2に示すように、18本の中間弾性糸451のうち上側の8本の中間弾性糸451は、外装シート4の前方部401および後方部403の双方において、外装シート4の左右方向のおよそ全長(すなわち、外装シート4のおよそ全幅)に亘って配置される。換言すれば、当該8本の中間弾性糸451は、胴周り部48の胴周り方向のおよそ全周に亘って連続的に設けられる。当該8本の中間弾性糸451は、切断されることなく伸張状態にて第1外装シート41および第2外装シート42(図7参照)に接合され、実質的に伸縮性を発揮する。
当該8本の中間弾性糸451のうち、上側から7本目および8本目の2本の中間弾性糸451は、吸収体20の突出端部241の左右方向のおよそ全長(すなわち、突出端部241のおよそ全幅)に亘って突出端部241と重なる。これにより、外装シート4の前方部401および後方部403のそれぞれにおいて、図8に示すように、全幅に亘って突出端部241と重なるとともに中間ギャザーのさらに他の一部が形成される第3伸縮領域408が形成される。
以上に説明したように、使い捨ておむつ1では、外装シート4の前方部401および後方部403がそれぞれ、吸収体20の左右方向の中央部と重なる第1伸縮領域405と、吸収体20の左右方向の両側部と重なる一対の非伸縮領域406と、吸収体20の左右方向の両側に位置する第2伸縮領域407とを有する。
このように、非伸縮領域406が設けられることにより、中間弾性部材45の上下方向の少なくとも一部が、胴周り方向の全周に亘って設けられることが防止される。その結果、中間弾性部材45による着用者の胴部の過剰な締め付けを抑制し、使い捨ておむつ1の着用感を向上することができる。また、非伸縮領域406が吸収体20の側部と重なる位置に設けられることにより、吸収体20に過度な皺が生じることを抑制し、尿等の排泄物が吸収体20の皺を伝わって吸収体20の前後端から漏出することを抑制または防止することができる。
さらに、第1伸縮領域405および第2伸縮領域407が設けられることにより、使い捨ておむつ1の前方部および後方部を、適切な力で着用者に密着させることができる。また、第1伸縮領域405が吸収体20の中央部と重なる位置に設けられることにより、吸収体20を着用者に適切に密着させることができ、排泄物の漏出をより一層抑制または防止することができる。
ところで、外装シートの第1伸縮領域と重なる位置において、吸収体の厚さが左右方向に不均一であるとすると、吸収体の薄い部分には凹凸が大きい皺が生じる。当該大きい皺が生じた部位では、着用者に向かって凸となる部分が着用者の肌を強く圧迫し、使い捨ておむつの着用感を低下させるおそれがある。また、着用者から離れる方向に凸となる部分では、着用者の肌と吸収体との間に比較的大きな隙間が生じ、排泄物が漏出するおそれがある。
これに対し、本実施の形態に係る使い捨ておむつ1では、吸収体20の厚さは左右方向において略均一であり、当然に、第1伸縮領域405と重なる部位にても左右方向において略均一である。このため、吸収体20の第1伸縮領域405と重なる部位に、左右方向において略均一な皺が形成される。その結果、使い捨ておむつ1の着用感をより一層向上することができるとともに、吸収体20を左右方向において略均一に着用者に密着させることができ、排泄物の漏出をさらに抑制または防止することができる。
上述のように、吸収コア22は、積層された第1コアシート221および第2コアシート223と、第1コアシート221および第2コアシート223の間に保持される高吸収性材料222とを備える。これにより、吸収コア22が比較的薄くなり、吸収体20が容易に変形する。その結果、吸収体20を着用者により一層密着させることができ、排泄物の漏出をさらに抑制または防止することができる。
外装シート4では、吸収体20の突出端部241と全幅に亘って重なる第3伸縮領域408が設けられる。このため、吸収体20の上端部が左右方向において大きく収縮し、吸収体20の第1伸縮領域405と重なる部位も左右方向に容易に収縮する。これにより、吸収体20を着用者にさらに密着させることができる。第1伸縮領域405は、吸収体20の吸収コア22と重なっているため、吸収コア22を着用者に密着させることができる。その結果、排泄物の漏出をより一層抑制または防止することができる。
上述のように、使い捨ておむつ1の非着用時において、吸収体20の股下部402と重なる部位の幅は、長手方向の両端部における吸収体20の幅よりも大きい。このため、使い捨ておむつ1の着用時に、吸収体20の形状がカップ状になりやすい。換言すれば、使い捨ておむつ1の着用時に、吸収体20の形状が、下部の幅が上部の幅よりも大きく、かつ、下部の両側部が幅方向の中央部よりも上方に位置する巾着状となりやすい。その結果、排泄物を吸収体20の長手方向および幅方向の中央部に集めることができ、吸収体20の前後端および側方からの排泄物の漏出を、より一層抑制または防止することができる。
外装シート4では、股下部402の左右方向の中央部が、実質的に伸縮性を有しない股下非伸縮領域409である。このため、吸収体20の股下部402と重なる部位が、左右方向に収縮することが抑制される。その結果、使い捨ておむつ1の着用時に、吸収体20の形状がカップ状になりやすく、吸収体20の前後端および側方からの排泄物の漏出をさらに抑制または防止することができる。
使い捨ておむつ1では、吸収体20のうち、股下部402と重なる部位の両側端部が、外装シート4と非接合である。このように、吸収体20の両側端部に側部非接合部204が設けられることにより、吸収体20の両側端部に対する脚部弾性部材43の収縮による影響が低減される。このため、吸収体20が股下部402において左右方向に広がりやすくなる。その結果、使い捨ておむつ1の着用時に、吸収体20の形状がカップ状になりやすく、吸収体20の前後端および側方からの排泄物の漏出をさらに抑制または防止することができる。
また、使い捨ておむつ1では、吸収体20のうち、股下部402と重なる部位の両側端部に、長手方向に延びる股下弾性部材26が設けられる。使い捨ておむつ1の着用時に、股下弾性部材26が収縮することにより、吸収体20の下部の両側端部が上方に持ち上げられる。その結果、吸収体20の形状がカップ状になりやすく、吸収体20の前後端および側方からの排泄物の漏出をより一層抑制または防止することができる。
上述のように、吸収体20の一対の側壁部34はそれぞれ、長手方向の両端部、および、股下部402と重なる部位の一部において本体部2に接合される。このように、股下部402において側壁部34の一部が本体部2上に折り畳まれることにより、側壁部34が股下部402において嵩高になることが抑制される。その結果、使い捨ておむつ1の着用時に、吸収体20の形状がカップ状になりやすく、吸収体20の前後端および側方からの排泄物の漏出をさらに抑制または防止することができる。
上述の使い捨ておむつ1は、様々な変更が可能である。
使い捨ておむつ1では、吸収体20の厚さは必ずしも左右方向において略均一である必要はなく、例えば、左右方向の中央部における厚さが両側端部における厚さよりも薄い吸収体が用いられてもよい。あるいは、第1コアシート221と第2コアシート223との間に、それぞれが長手方向に延びる帯状である複数の高吸収性材料存在領域が左右方向に配列されたシート部材(すなわち、高吸収性材料がストライプ状に配置されたシート部材)が、吸収体20の吸収コア22として利用されてもよい。吸収コア22は、粉砕されたパルプ繊維やセルロース繊維等を含んでいてもよい。また、吸収コア22は、必ずしも高吸収性材料を含む必要はない。
外装シート4では、前方部401および後方部403の少なくとも一方の部位が、第1伸縮領域405、一対の非伸縮領域406、および、一対の第2伸縮領域407を有していればよい。この場合であっても、中間弾性部材45による着用者の胴部の過剰な締め付けを抑制し、使い捨ておむつ1の着用感を向上することができるとともに、吸収体20を着用者に適切に密着させて排泄物の漏出を抑制または防止することができる。上述の少なくとも一方の部位は、第3伸縮領域408を有することが好ましい。これにより、当該少なくとも一方の部位において、吸収体20および吸収コア22を着用者に密着させ、排泄物の漏出をより一層抑制または防止することができる。
ただし、使い捨ておむつ1では、上述のように、前方部401および後方部403の双方に、第1伸縮領域405、一対の非伸縮領域406、および、一対の第2伸縮領域407が設けられることが好ましい。また、前方部401および後方部403の双方に第3伸縮領域408が設けられることがより好ましい。これにより、使い捨ておむつ1の着用感をさらに向上することができるとともに、吸収体20からの排泄物の漏出をより一層抑制または防止することができる。第1伸縮領域405および一対の非伸縮領域406は、吸収体20の上端よりも上側まで広がっていてもよい。
使い捨ておむつ1では、着用時に吸収体20が比較的容易にカップ状になるのであれば、股下非伸縮領域409や一対の側部非接合部204は設けられなくてもよく、一対の股下弾性部材26も省略されてよい。また、吸収体20において、一対の側壁部34は必ずしも、股下部402と重なる部位において本体部2に間接的または直接的に接合される必要はない。
上述の使い捨ておむつ1の構造は、使い捨ておむつ以外のパンツタイプの吸収性物品に利用されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。