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JP6096660B2 - 低分子標的核酸を含む標的核酸を高収量で単離するための方法 - Google Patents

低分子標的核酸を含む標的核酸を高収量で単離するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料から低分子標的核酸を含む標的核酸を単離するための方法に関し、特に、試料から高収量で低分子標的核酸を効率よく単離するための手段を提供する。
様々な組織、体液、および生物由来の1000もしくは500ヌクレオチド程度またはそれ未満の低分子核酸の研究は、非常に関心がもたれている分野であり、将来も依然として関心がもたれることは疑いがない。低分子核酸には、具体的に、低分子RNA(例えば、とりわけmicro RNA(miRNA)および低分子干渉RNA分子(これらはいずれも、遺伝子の発現に対して強力な作用を有し得る))が含まれるが、これに限定されるわけではない。さらに、mRNAおよびrRNAプロセシングに関与している他の低分子核RNAおよび低分子核小体RNA(例えば、snRNAおよびsnoRNA)、さらには低分子DNA分子にもまた関心がある。さらに、それぞれの保存によりDNAおよび/またはRNAの完全性が損なわれ得るため、1000もしくは500ヌクレオチドまたはそれ未満の長さを有している核酸が、例えば、ホルマリン固定され、パラフィンに包埋された試料(FFPE試料)のような特定の試料に分解産物として含まれることが多い。
個別の低分子核酸に関心が高まりつつあるが、標準的な単離手順は、低分子核酸の単離を容易にするために、そして特に、低分子核酸の収量を改善するために改良されている。DNAまたはRNAを単離するための標準法として使用される既知のプロトコールとしてのこの単離手順は、低分子核酸が標準的な方法を使用する単離プロセスの間に効率よく捕捉されない場合が多く、溶離してしまうため、低分子核酸の単離については通常は理想的ではない。したがって、標準的な手順を使用して試料から単離された標的核酸には、低分子核酸が結合しないか、または核酸単離手順の間に消失してしまうかのいずれかの理由により、通常は、十分な量の低分子標的核酸は含まれず、よって、満足できる収量が得られない。したがって、単独または(例えば、全RNAもしくは全DNAのような)単離された全標的核酸の一部としてのいずれかの低分子標的核酸の効率的な単離のための改良された技術が必要である。
低分子核酸の単離のために最適化された方法は、フェノール/クロロホルム抽出と、段階的なアルコール分画に頼る場合が多い。1つの実施形態にしたがうと、RNAが水相中で濃縮され、その後に続いて、例えば、少なくとも1種類のアルコールを添加し、RNAをメンブレンに結合させることにより、RNAがこれから単離される。ここでは、単離された全RNA中の低分子RNAを効率よく捕捉することもまた重要である。
さらに、カオトロピック剤、高濃度のアルコール、および、例えば、シリカメンブレンのような核酸結合メンブレン(nucleic acid binding membrane)を含む核酸を結合するカラムの使用を含む、低分子RNAのような低分子核酸を単離するための方法が開発されている。それぞれの低分子RNAが試料中に含まれる場合には、これらのプロトコールを用いて単離された全RNAに低分子RNAが含まれる。メンブレンによる単離プロトコールはそれぞれ、様々な試料から単独または全標的核酸の一部としてのいずれかで低分子核酸を単離するために特に適している。
しかし、核酸を結合させるためにカラムによる固相(例えば、カラムに含まれる核酸結合メンブレン)を使用する多くの核酸単離手順には、1種類以上の水溶液を含む1回以上の処理工程が含まれ、その間、標的核酸は核酸を結合する相に結合させられたままである(例えば、「メンブレン上での(on−membrane)」または「オンカラム(on−column)」処理工程とも呼ばれる)。核酸を核酸結合固相(nucleic acid binding solid phase)に結合させたまま行われるそれぞれの処理工程の例には、例えば、タンパク質消化工程およびDNase処理またはRNase処理のようなヌクレアーゼ消化工程が含まれるが、これらに限定されるわけではない。上記処理は、結合した標的核酸の少なくとも一部、および特に、低分子標的核酸を、上記処理工程の間に核酸結合固相から遊離させる作用を有するので、それぞれの処理工程の実行により、標的核酸の収量が減少し、特に、低分子標的核酸の収量が減少することが明らかになっている。したがって、その後の洗浄または処理工程での遊離した核酸の消失を防ぐためには、例えば、遊離した可能性がある標的核酸の核酸を結合する相に対する結合を回復させるための処理が行われた後に、適切な結合条件を回復させるカオトロピック溶液(例えば、カオトロピック洗浄溶液)を用いることが、先行技術において知られている。それぞれの回復工程は、例えば、特許文献1に記載されており、また、多くの市販されている核酸単離キットにおいても使用されている。
しかし、遊離した可能性がある標的核酸の核酸結合固相への結合を回復させるためのそれぞれの回復工程を行っても、低分子標的核酸が最終的には単離プロセスの間に消失することが明らかになった。これは、核酸を結合させるためにカラムによる固相を使用して核酸を単離する場合、例えば、核酸結合メンブレンを含むカラムを使用する場合に特にそのとおりである。したがって、単離された標的核酸中の低分子核酸の収量を増大させるためにはなおも改良が必要である。
したがって、本発明の目的は、低分子標的核酸の収量が増大した、低分子標的核酸を含むかまたは低分子核酸から構成され得る少なくとも1種類の標的核酸を単離するための方法を提供することである。
国際公開第98/59076号
本発明は、カラムによる、核酸結合固相を用いる場合には、例えば、核酸を、核酸結合固相に結合させたまま酵素処理を行った後に、回復(restoration)バッファまたは結合を促進する洗浄バッファを用いることでは、上記処理の間に遊離した低分子標的核酸を再度捕捉し、これにより満足できる収量で単離するためには不十分であるという研究結果に基づく。続いて、これを、核酸結合メンブレンを固相として使用する好ましい実施形態に基づいて説明する。理論に束縛されずに、メンブレン上での処理の間に遊離した低分子標的核酸の少なくとも一部はメンブレンの下、および/またはメンブレンの孔のはるか下方に存在すると推定される。それぞれの「漏れた(escaped)」低分子標的核酸は、これらがメンブレンの核酸を結合する領域と接触せず、したがってその後の処理工程で消失するため、回復バッファ(または結合を促進する洗浄バッファ)を用いることによっても効率よく再度結合させることができない。同様の問題は、カラムによる、他の核酸結合固相を使用する場合、特に、核酸結合固相だけが、カラム中に例えば薄層を形成する場合に生じる。本発明は、これらの「漏れた」低分子標的核酸を収集すること、およびこれらを核酸結合固相に結合させることを教示する。この結果、これらの「漏れた」低分子標的核酸(これらは先行技術の方法を実施する場合には失われる)もまた、標的核酸の単離プロセスにおいて効率よく捕捉することができ、これにより、単離された標的核酸における低分子標的核酸の収量が増大する。したがって、本発明による方法により、改善された収量での低分子標的核酸の単離が可能となり、これにより、先行技術で公知である方法を上回るかなりの利点が得られる。
したがって、第1の態様によっては、試料から低分子標的核酸を含む少なくとも1種類の標的核酸を単離するための方法が提供され、上記方法には少なくとも以下の工程が含まれる:
a)試料をカラムを通過させることにより、上記カラムに含まれる核酸結合固相に、低分子標的核酸を含む標的核酸の少なくとも一部を結合させる工程、
b)上記標的核酸を上記核酸結合に結合させたまま、該固相上で酵素処理および/または化学処理を行う工程、
c)工程b)の上記処理の間に上記固相から遊離した上記低分子標的核酸の少なくとも一部をフロースルーとして収集する工程、
d)含まれる低分子標的核酸を核酸結合固相に結合させるために、回収溶液と混合した上記低分子標的核酸を含む上記フロースルーを上記核酸結合固相と接触させる工程、
e)必要に応じて溶離を行う工程。
1つの態様によると、試料から低分子標的核酸を含む少なくとも1種類の標的核酸を単離するための方法が提供され、上記方法には少なくとも以下の工程が含まれる:
a)試料を核酸結合メンブレンを通過させることにより、上記メンブレンに、低分子標的核酸を含む標的核酸の少なくとも一部を結合させる工程、
b)標的核酸を上記メンブレンに結合させたまま、メンブレン上に水溶液を含ませる(involving)処理を行う工程、
c)回収溶液を上記メンブレンを通過させて、低分子標的核酸を含むフロースルーを収集する工程、
d)含まれる上記低分子標的核酸を上記メンブレンに再度結合させるために、上記フロースルーを、工程a)の上記メンブレンを通過させる工程、
e)必要に応じて、上記メンブレンから低分子核酸を含む標的核酸を溶離させる工程。
さらに、本発明は、核酸結合固相に低分子核酸が結合させられたまま先に行われた処理の間に上記固相から遊離した、好ましくはフロースルーとして収集された上記核酸を再度結合させるための、上記核酸結合固相(カラムに含まれる)に低分子核酸を結合させることができる回収溶液の使用に関する。
さらに、本発明は、以下を含む本発明による方法を実施するためのキットに関する:
a)核酸結合固相(好ましくは、カラムに含まれるメンブレン);
b)カオトロピック剤とアルコールとを含む、低分子標的核酸を含む標的核酸を、上記核酸結合固相に結合させるための結合バッファ;
c)0.5Mから飽和限界までの濃度のカオトロピック剤と少なくとも50%の濃度のアルコールを含む回収(recovery)溶液;および
d)本発明による方法を実施するための指示。
本出願の他の目的、特徴、利点、および態様は、以下の記載と添付の特許請求の範囲から当業者に明らかとなる。しかし、以下の記載、添付の特許請求の範囲、および具体的な実施例は、本出願の好ましい実施形態を示しているものの、例示する目的だけのために提供されると理解されるものとする。開示される本発明の趣旨および範囲内での様々な変更および改良は、以下を読むことにより当業者に容易に明らかとなる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
低分子標的核酸を含む標的核酸を試料から単離する方法であって、少なくとも以下の工程:
a)該試料をカラムを通過させることにより、該カラムに含まれる核酸結合固相に対して、低分子標的核酸を含む該標的核酸の少なくとも一部を結合させる工程、
b)該標的核酸を該核酸結合固相に結合させたまま、該固相上で酵素処理および/または化学処理を行う工程、
c)工程b)の該処理の間に該固相から遊離した該低分子標的核酸の少なくとも一部をフロースルーとして収集する工程、
d)含まれる低分子標的核酸を核酸結合固相に結合させるために、回収溶液と混合した該低分子標的核酸を含む該フロースルーを該核酸結合固相と接触させる工程、
e)必要に応じて溶離を行う工程
を含む、方法。
(項目2)
工程a)で使用される核酸結合固相がメンブレンである、項目1に記載の方法。
(項目3)
工程c)において、回収溶液が前記カラムを通過させられ、低分子標的核酸と前記回収溶液を含む前記フロースルーが収集され、そして、好ましくは、該フロースルーに含まれる低分子標的核酸を、工程a)で使用された前記核酸結合固相に対して再度結合させるために、工程d)で使用される、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
低分子標的核酸を含む標的核酸を試料から単離する方法であって、少なくとも以下の工程:
a)核酸結合メンブレンに該試料を通過させることにより、該メンブレンに対して、低分子標的核酸を含む該標的核酸の少なくとも一部を結合させる工程、
b)該標的核酸を該メンブレンに結合させたまま、該メンブレン上に水溶液を含ませる処理を行う工程、
c)回収溶液を該メンブレンを通過させて、低分子標的核酸を含むフロースルーを収集する工程、
d)含まれる該低分子標的核酸を工程a)の該メンブレンに再度結合させるために、該フロースルーを該メンブレンに通過させる工程、
e)必要に応じて、該メンブレンから該低分子核酸を含む該標的核酸を溶離させる工程
を含む、方法。
(項目5)
水溶液の使用を含み、そしてヌクレアーゼ消化工程、タンパク質消化工程、リパーゼ消化工程、および標的核酸の修飾工程からなる群より選択される酵素処理および/または化学処理が工程b)において行われる、項目1〜4の1つ以上に記載の方法。
(項目6)
工程b)において行われる処理に、前記核酸結合固相からの前記標的核酸、特に、前記低分子標的核酸の少なくとも部分的な遊離を生じる条件が含まれる、項目1〜5の1つ以上に記載の方法。
(項目7)
項目1〜6の1つ以上に記載の方法であって、前記回収溶液が以下の特徴:
a)低分子核酸を工程d)で使用される前記核酸結合固相に結合させるのに適している条件を提供する;
b)工程a)で使用される低分子核酸を結合させるための結合条件よりも強い該結合条件を提供する;
c)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子DNAを結合させるのに適している条件を提供する;
d)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子RNAを結合させるのに適している条件を提供する;
e)少なくとも1種類のカオトロピック剤および/または少なくとも1種類のアルコールを含む;ならびに/あるいは
f)少なくとも1種類のカオトロピック剤を0.1〜6M、好ましくは0.5〜6Mの濃度で含み、そして/またはエタノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種類のアルコールを少なくとも50%v/vの濃度で含む、
のうちの1つ以上を有し
ならびに/あるいは、
以下の特徴:
a)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子核酸を結合させるのに適している;
b)工程a)で使用される低分子核酸の結合のための結合条件よりも強い該結合条件を提供する;
c)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子RNAを結合させるのに適している;
d)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子DNAを結合させるのに適している;
g)少なくとも1種類のカオトロピック剤および/または少なくとも1種類のアルコールを含む;および/または
h)少なくとも1種類のカオトロピック剤を0.1〜6M、好ましくは、0.5〜6Mの濃度で含み、そして/またはエタノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種類のアルコールを、少なくとも50%v/vの濃度で含む、
のうちの1つ以上を有する結合条件が工程d)において使用される、方法。
(項目8)
前記標的核酸がRNAである場合には、工程b)においてDNase消化が行われ、あるいは、前記標的核酸がDNAである場合には、RNase消化が行われる、項目1〜7の1つ以上に記載の方法。
(項目9)
工程a)において、以下の特徴の1つ以上を有している条件下で結合が行われる、項目1〜8の1つ以上に記載の方法:
a)該条件は、全核酸を前記核酸結合固相に結合させるのに適している;
b)該条件は、低分子RNAを含む全RNAを前記核酸結合固相に結合させるのに適している;
c)該条件は、低分子DNAを含む全DNAを前記核酸結合固相に結合させのに適している;および/または
d)結合が、少なくとも1種類のカオトロピック剤および/または少なくとも1種類のアルコールの存在下で起こる。
(項目10)
前記試料が、工程a)の前または工程a)の間に溶解させられるかあるいは処理される、項目1〜9の1つ以上に記載の方法。
(項目11)
前記試料に低分子核酸および/または分解した核酸が含まれる、工程1〜10の1つ以上に記載の方法。
(項目12)
前記試料が、細胞、臨床試料、体液、組織、血液、血液生成物、植物、細菌、ウイルス、真菌、ヒトおよび動物試料材料、環境試料、単離された核酸、溶解物、溶離物、固定された試料、架橋された試料、およびFFPE試料から選択される、ならびに/あるいは、これらからなる群より選択される試料に由来する、項目1〜11の1つ以上に記載の方法。
(項目13)
メンブレン上での処理の間に核酸結合メンブレンから遊離した収集された低分子核酸を再度結合させるための、低分子核酸を該メンブレンに結合させることができる回収溶液の使用。
(項目14)
前記低分子核酸の少なくとも一部が、前記メンブレンから遊離した後に該メンブレンの下に存在する、項目13に記載の使用。
(項目15)
前記回収溶液が項目7で定義した特徴の1つ以上を有している、項目13または14に記載の使用。
図1〜3は、Agilent Bio Analyzerを使用して腎臓組織から単離したRNAのサイズ分布を示す。「+」は本発明による方法を使用して単離したRNAを示し、「−」は対照標準法を使用して単離したRNAを示す。低分子RNAの画分に矢印で印をつける。 図1〜3は、Agilent Bio Analyzerを使用して腎臓組織から単離したRNAのサイズ分布を示す。「+」は本発明による方法を使用して単離したRNAを示し、「−」は対照標準法を使用して単離したRNAを示す。低分子RNAの画分に矢印で印をつける。 図1〜3は、Agilent Bio Analyzerを使用して腎臓組織から単離したRNAのサイズ分布を示す。「+」は本発明による方法を使用して単離したRNAを示し、「−」は対照標準法を使用して単離したRNAを示す。低分子RNAの画分に矢印で印をつける。 図4は、様々な回収溶液を使用した本発明による方法または対照標準法を実施したRNAの単離後のmiR16検出アッセイの結果を示す。ここでは、個別の回収溶液は使用していない。図から明らかであるように、Ct値は、本発明による回収溶液を用いた場合にはかなり低くなり、これは、低分子RNAの単離の改善を明らかに示している。 図5は、5種類のキットを用いて精製したRNAをロードしたアガロースゲルの写真を示す(実施例7を参照のこと)。右側の矢印は低分子RNAに印をつけている。 図6は、Cjun mRNAを用いたリアルタイムPCRの結果を示している図である(実施例7を参照のこと)。RNAは、3種類のラット組織:1.肝臓(2カ月間包埋した)、2.腎臓(19カ月間包埋した)、および3.肺(8カ月間包埋した)由来のFFPE試料から精製した。 図7は、miR 29aを用いたmicroRNA分析の結果を示している図である(実施例7を参照のこと)。 図8aおよび図8bは、様々な供給業者によるキットを用いて精製したDNAのリアルタイムPCR分析の結果を示す(実施例7を参照のこと)。DNAは、3種類のラット組織:1.肝臓(2カ月間包埋した)、2.腎臓(19カ月間包埋した)、および3.肺(8カ月間包埋した)由来のFFPE試料から精製した。図8aでは全ての試料について同じ鋳型容積を使用し、図8bでは同じ鋳型濃度を使用した。 図9aと図9bの図は、Madh7 RNAを分析するためのリアルタイムPCR実験の結果を示す(実施例7を参照のこと)。RNAは、3種類のラット組織:1.肝臓(2カ月間包埋した)、2.腎臓(19カ月間包埋した)、および3.肺(8カ月間包埋した)由来のFFPE試料から精製した。図9aでは全ての試料について同じ鋳型容積を使用し、図9bでは同じ鋳型濃度を使用した。
(発明の詳細な説明)
目ざましいことに、少なくとも以下の工程が行われると、試料から低分子標的核酸を含む少なくとも1種類の標的核酸を単離するための方法において低分子標的核酸の収量をかなり増大させることができることが明らかになった:
a)試料をカラムを通過させることにより、上記カラムに含まれる核酸結合固相に対して、低分子標的核酸を含む標的核酸の少なくとも一部を結合させる工程、
b)上記核酸結合固相に上記標的核酸を結合させたまま、上記固相上で酵素処理および/または化学処理を行う工程、
c)工程b)の上記処理の間に上記固相から遊離した上記低分子標的核酸の少なくとも一部をフロースルーとして収集する工程、
d)含まれる低分子標的核酸を核酸結合固相に結合させるために、回収溶液と混合した上記低分子標的核酸を含む上記フロースルーを上記核酸結合固相と接触させる工程、
e)必要に応じて溶離を行う工程。
本発明による方法の個々の工程は以下でさらに詳細に説明される。
工程a)では、試料がカラムを通過させられると、試料に含まれる低分子標的核酸を含む標的核酸が、上記カラムに含まれる核酸結合固相に結合する。核酸結合メンブレンが固相として使用されることが好ましい。核酸結合固相(例えば、メンブレン)に対して低分子標的核酸を含む標的核酸を結合させるための適切な結合条件は先行技術で公知であり、以下にもさらに詳細に記載される。結合条件は、単離しようとする標的核酸(例えば、RNAまたはDNA、あるいは両方)にも依存する。高い収量での低分子標的核酸を含む標的核酸の単離を可能にするためには、核酸結合固相に対する低分子標的核酸を含む標的核酸の強い、したがって効率的な結合を可能にする結合条件が使用されることが好ましい。工程a)において適切な結合条件に到達させるために、試料を、所望される結合条件を確立する結合バッファのような適切な結合溶液と混合することができる。一般に、溶解が必要な試料が処理される場合には、工程a)は試料の最初の溶解の後に行われる。さらに、例えば、溶解液を澄明にするため、非標的核酸もしくは他の混入物質を取り除くため、標的核酸を濃縮するため、および/または標的核酸を事前に精製するために、工程a)の前に他の前処理工程を行うこともできる。これらの場合では、それぞれ前処理された試料または処理された試料が、工程a)において試料としてカラムを通過させられ、少なくとも、低分子標的核酸を含む標的核酸が核酸結合固相に結合する。化学溶解溶液が溶解に使用される場合は、上記溶解溶液はまた、適切な結合条件を確立するためにも役立ち得る。
工程b)では、低分子標的核酸を含む標的核酸が固相に結合させられたまま、酵素処理および/または化学処理が上記固相上で行われる(例えば、メンブレンが核酸結合固相として使用される場合のメンブレン上での処理)。それぞれの処理は一般に、核酸単離手順の間に行われ、これには、ヌクレアーゼ消化工程(例えば、DNaseまたはRNase処理)、タンパク質消化工程(例えば、結合工程a)の間に、例えば膜に結合したタンパク質混入物質を分解するためのタンパク質分解酵素での処理(例えば、参考として本明細書中に組み入れられたWO2009/016110を参照のこと))、リパーゼ処理、および標的核酸の改変工程からなる群より選択される処理が含まれるが、これらに限定されるわけではない。それぞれの処理には通常、所望される処理を可能にするか、またはその実行を促進する組成を有している1種類以上の水溶液の使用が含まれる。しかし、上記水溶液(単数または複数)は通常、標的核酸(特に、低分子標的核酸)の上記核酸結合固相に対する結合を可能にするかまたは促進する組成を有していない。酵素を活性であるようにすることができる条件が確立されなければならないので、これは、例えば、メンブレン上でのまたはオンカラム酵素処理を行う場合に特に適用される。したがって、工程b)で行われる酵素処理および/または化学処理には通常、核酸結合固相からの低分子標的核酸の少なくとも部分的な遊離を生じる条件が含まれる。したがって、工程b)で行われる処理の間に上記水溶液を添加することにより、核酸結合固相に対して工程a)で結合させられた標的核酸の部分的な遊離が生じる。標的核酸が小さければ小さいほど、工程b)で行われる処理の間に、核酸結合固相から上記標的核酸が完全に解離するリスクが高くなる。上記で議論したように、それぞれ遊離した標的核酸(通常はサイズが小さい)は、メンブレン(それぞれ、カラムに含まれる核酸結合固相)の上、中、または下に存在し得る。遊離した標的核酸が、例えば、メンブレンの下またはメンブレンの孔のはるか下方に存在する場合は、これらは、回復溶液(restoration solution)を用いることによっても、また、結合を促進する洗浄バッファを使用することによっても、効率よく再度捕捉することができない。したがって、これらは、先行技術による方法の場合と同様に、試料のさらなる処理の間に消失する。
適切な結合条件を回復させることによっても再度結合させることができないそれぞれ「漏れた」低分子標的核酸を捕捉し、それにより単離するために、本発明は、核酸結合固相から「漏れた」低分子標的核酸を工程c)において取り出す(remove)ことを教示する。したがって、工程c)では、上記工程b)の処理の間に核酸結合固相から遊離した低分子標的核酸の少なくとも一部がフロースルーとして収集される。好ましくは、「漏れた」低分子標的核酸の大部分または全てがそれぞれ収集される。上記収集工程c)を実行することは、実施例によっても明らかにされるように、単離された標的核酸中の低分子標的核酸の収量がかなり増えるので、不可欠である。もちろん、これにより、工程b)の間に遊離した可能性のあるより大きな標的核酸も効率よく収集することができる。しかし、上記で議論したように、この問題は、より大きな標的核酸が通常は、より低分子標的核酸よりも核酸結合固相に対して強く結合するので、より大きな標的核酸を用いる場合には起こる頻度が少ない。しかし、これらが遊離しても、これらはまた、本発明による方法により効率よく再度捕捉される。
工程d)では、回収溶液(および必要に応じてさらなる溶液/化学物質)と混合された低分子標的核酸を含む上記フロースルーが上記固相と接触させられ、含まれる低分子標的核酸が核酸結合固相に結合させられる。低分子標的核酸を本発明による回収溶液と混合することにより、収集された低分子標的核酸の固相への結合を可能にする結合条件が確立される。低分子標的核酸を結合させるために工程d)で使用される核酸結合固相は、工程a)で使用されるものと同じ核酸結合固相であることが好ましい。この実施形態では、回収溶液と混合された低分子標的核酸を含むフロースルーが、工程a)で使用された核酸結合固相に再度アプライされ、これにより、低分子標的核酸が上記固相に再度結合させられ、この低分子標的核酸が工程b)で遊離しなかった標的核酸と一緒にされる。上記で議論したように、メンブレンが核酸結合固相として工程a)において使用されることが好ましい。しかし、工程d)において、例えば、磁性シリカ粒子、カラムによる種々の核酸結合固相、または工程a)で使用されたメンブレンと同じタイプのメンブレンのような種々の核酸結合固相を使用することもまた、本発明の範囲に含まれる。工程d)で行われた「漏れた」低分子標的核酸のこの回収により、低分子標的核酸の喪失をかなり減少させることができ、これにより、単離された標的核酸における低分子標的核酸の収量を増大させる。
任意選択の工程e)では、1回以上の溶離工程が行われる。あるいは、または加えて、標的核酸はまた、意図される下流での用途、標的核酸のそれぞれ意図される使用に応じて、固相に結合させられたまま処理される場合もある。溶離工程を行うことが所望される場合は、溶離は、例えば、従来の溶離溶液(例えば、水、溶離バッファ、低塩バッファ、および特に、生物学的バッファ)を使用して行うことができる。意図される下流での用途を妨害しない溶離溶液が使用されることが好ましい。しかし、所望される場合には、例えば、加熱のような他の溶離手段によって、標的核酸を遊離させ、これにより溶離させることもまた、本発明の範囲である。工程a)で使用された核酸結合固相とは異なる固相が工程d)で使用される場合に、工程a)で使用された固相から標的核酸を溶離させ、そして工程d)で使用された固相に結合した低分子標的核酸を別に溶離させ、それぞれの溶離液を合わせることは、本発明の範囲内である。溶離工程を行う前に固相を合わせることもまた本発明の範囲内である。さらに、全ての標的核酸を、核酸を結合する相から効率よく遊離することを確実にするために、溶離工程を繰り返し行うこともまた本発明の範囲内である。
実施例により示されるように、先行技術とは対照的に、本発明による方法ではさらに、カラムによる核酸単離手順を使用する場合には、工程c)と工程d)が行われ、単離された標的核酸における低分子標的核酸の収量がかなり増える。
「漏れた」低分子標的核酸を捕捉し、これにより単離するために工程c)と工程d)とを実行するにはいくつかの選択肢がある。いくつかの限定ではない実施形態を以下にさらに詳細に記載する。
1つの実施形態にしたがうと、工程c)では、低分子核酸を工程a)で使用された核酸結合固相に結合させるのに適する条件を確立する回収溶液が、カラムを通過させられて、「漏れた」低分子標的核酸を含むフロースルーが収集される。回収溶液とすでに混合されている(そして、必要に応じて、さらなる成分と混合することができる)上記フロースルーが、工程d)において、工程a)で使用されたものと同じ核酸結合固相にアプライされる。これにより、フロースルーに含まれる「漏れた」低分子標的核酸が、工程a)で使用された固相に結合させられる(そしてこれに対しては、工程b)で行われたメンブレン上での処理の間に遊離しなかった標的核酸がなおも結合したままである)。この実施形態にはいくつかの利点があるので好ましい。第1に、回収溶液を、上記カラムを通過させることにより、そしてしたがって含まれる核酸結合固相を通過させることにより、核酸結合固相への低分子核酸の結合に適している条件を確立し、それぞれ再度確立する。これにより、工程b)の処理の間に少なくとも部分的に遊離したが、なおも固相に再度結合させることができる標的核酸(特に、低分子標的核酸)を、上記固相に対して、効率よく再度結合させることが確実となる。なぜなら、回収溶液により適切な結合条件が再度確立されるからである。第2に、適切な結合条件を再度確立することによっては固相に再度結合させることができない「漏れた」低分子標的核酸が効率よく取り出され、したがって、回収溶液にフロースルーとして収集される。第3に、「漏れた」低分子標的核酸を収集するために工程c)において回収溶液を直接使用することには、低分子標的核酸を含む標的核酸を結合させるため工程a)で使用された固相に「漏れた」低分子標的核酸を再度結合させるための適切な結合条件を提供する溶液中に、低分子標的核酸が直接提供されるという利点がある。これにより、「漏れた」低分子標的核酸を、上記固相に結合したままの標的核酸と再度一緒にすることができ、これにより、全ての標的核酸をその後の調製工程において一緒に処理することができる。
漏れた標的核酸を収集するためのさらなる実施形態によると、工程b)で行われる酵素処理および/または化学処理に水溶液の使用が含まれ、「漏れた」低分子標的核酸は、低分子標的核酸と工程b)での処理に使用された水溶液とを含むフロースルーを収集することにより確保される。この実施形態では、回収溶液を、工程c)で収集された後にフロースルーに添加することができ、(必要に応じてさらなる添加物と混合された)得られた混合物が、工程d)において、核酸結合固相(上に記載したように、工程a)で使用された、核酸結合固相であることが好ましい)と接触させられる。
1つの実施形態にしたがうと、水溶液(例えば、反応バッファ、水、または溶離バッファ)が、核酸結合固相(メンブレンが好ましい)を含むカラムにアプライされ、カラムを通過させられる。その後、遊離した低分子標的核酸が上記水溶液中に収集される。所望される場合は、それぞれ収集された低分子標的核酸の酵素処理および/または化学処理を行うことができ、収集された低分子標的核酸に対してさらなる組成物/物質を添加することもまた本発明の範囲内である。さらに、工程a)で使用された固相になおも結合したままである標的核酸の酵素処理および/または化学処理を行うことができる。この実施形態には、事前に溶離させられた、収集された低分子標的核酸とは別に、結合した(通常はより大きい)標的核酸の処理が可能であるという点で利点がある。
1つの態様によると、試料から低分子標的核酸を含む標的核酸を単離するための方法が提供され、上記方法には少なくとも以下の工程が含まれる:
a)核酸結合メンブレンに試料を通過させることにより、上記メンブレンに対して、低分子標的核酸を含む標的核酸の少なくとも一部を結合させる工程、
b)標的核酸をメンブレンに結合させたまま、上記メンブレン上に水溶液を含ませる処理を行う工程、
c)上記メンブレンに回収溶液を通過させて、低分子標的核酸を含むフロースルーを収集する工程、
d)含まれる上記低分子標的核酸を上記メンブレンに再度結合させるために、上記フロースルーを、工程a)の上記メンブレンを通過させる工程、
e)必要に応じて、上記メンブレンから低分子核酸を含む標的核酸を溶離させる工程であって、好ましくは、低分子標的核酸を含む標的核酸がこのメンブレンから溶離させられる、工程。
任意の適切な方法を、低分子標的核酸の少なくとも一部をフロースルーとして収集するために工程c)において使用することができる。カラムによる核酸単離手順を実施する際に利用される適切な収集方法としては、遠心分離工程を行うこと、低分子標的核酸(上記のように回収溶液または水溶液中に含まれることが好ましい)に圧をかけるおよび/またはそれを吸引するために、カラムに含まれる核酸結合固相を介していずれかの方向に陽圧または負圧をかけること(この場合、上記固相がメンブレンであることが好ましい)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
「漏れた」低分子標的核酸を再度結合させるために使用される回収溶液は、低分子核酸を工程d)で使用される核酸結合固相に結合させるのに適している条件をそれぞれ確立するものでなければならない。この回収溶液は、1種類以上の溶液および/または成分を混合することによっても得ることができる。この回収溶液は、低分子核酸を含む全核酸を、工程d)で使用される核酸結合固相に結合させるのに適している条件を提供することができる。特定の標的核酸を単離しようとする場合は、回収溶液は、所望される標的核酸のタイプ(例えば、低分子RNAを含む全RNA)を工程d)で使用される核酸結合固相に結合させるために好ましい適切な条件を提供し得る。これはまた、DNAが所望される標的核酸である場合には、低分子DNAを含むDNA(例えば、全DNA、ゲノムDNA、断片化されたDNA、および/またはプラスミドDNAのような低分子量DNA)を工程d)で使用された核酸結合固相に結合させるのに適している条件も提供し得る。回収溶液および/または回収溶液の混合物と、工程c)で収集されたフロースルーとにより提供される結合条件は、低分子標的核酸を含む標的核酸を、カラムに含まれる核酸結合固相に結合させるために工程a)で使用される条件と同じであってよく、また類似していてもよい。しかし、工程d)で使用される回収溶液それぞれの結合条件は、工程a)で使用される結合条件よりも強いことが好ましい。
1種類以上の溶液または化学作用物質(chemical agent)を混合することによっても得ることができる回収溶液に、少なくとも1種類のカオトロピック剤および/または少なくとも1種類のアルコールが含まれることが好ましい。
任意のカオトロピック剤は、例えば、限定的ではないが、一次構造を完全な状態で残したまま、タンパク質または核酸の二次、三次、または四次構造を変化させることにより、タンパク質または核酸において無秩序(disorder)を引き起こす目的のために使用することができる。好ましくは、カオトロピック剤は、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、イソチオシアン酸グアニジン、チオシアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、および尿素からなる群より選択される。カオトロピック塩が使用されることが好ましい。具体的には、塩酸グアニジンおよび/またはチオシアン酸グアニジンをカオトロピック剤として使用することができる。
工程d)で使用される回収溶液中および/または結合混合物中の少なくとも1種類のカオトロピック剤の濃度は、0.05Mから飽和限界までの範囲にあり得る。好ましい濃度範囲は、使用されるカオトロピック剤に応じて、約0.1M〜6M、約0.2M〜4M、約0.5〜3Mの範囲にあり、約0.8〜2Mの範囲にあることが好ましい。
さらに、収集された低分子標的核酸を核酸結合固相に結合させるために工程d)で使用される回収溶液および/または結合混合物には、少なくとも1種類のアルコールが含まれ得る。アルコールとして、短鎖の分岐アルコールまたは非分岐アルコール(1〜5個の炭素原子を持つことが好ましい)を使用することが好ましい。例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、およびブタノールである。アルコールの混合物もまた使用することができる。アルコールは好ましくは、イソプロパノールおよびエタノールから選択され、標的核酸としてRNAを単離する場合には、イソプロパノールが特によく適している。1つの実施形態にしたがうと、本発明による方法には、核酸を結合させるためのフェノールおよび/またはクロロホルムの使用は含まれない。しかし、フェノールとクロロホルムは、例えば、標的核酸(特に、RNA)を含む水相を得るための、例えば、試料の調製および/または試料の溶解に使用することができる。例えば、上記水相はまた、工程a)において試料として使用することができ、これは、実施例においてもまた明らかにされるように、メンブレンに対して標的核酸を結合させるためにアルコールと混合されることが好ましい。
工程d)において使用される回収溶液および/または結合混合物には、10%v/v〜90%v/vの濃度のアルコールを含めることができる。低分子標的核酸を含む標的核酸を単離するためには、≧30%v/v、≧40%v/v、≧50%v/v、好ましくは、≧60%v/v、≧70%のアルコール濃度を使用することが有利である。好ましくは、アルコール濃度は、約30%v/v〜90%v/v、または約40%v/v〜85%v/vの範囲、より好ましくは、約60%v/v〜80%v/vの範囲にある。
工程a)においては、結合は、工程d)について上に記載した条件と同じまたは類似する条件下で行うことができる。したがって、工程a)で使用される結合条件は以下の特徴の1つ以上を有し得る:
a)条件が、低分子核酸を含む全核酸をカラムに含まれる核酸結合固相に結合させるために適している;
b)条件が、低分子RNAを含む全RNAをカラムに含まれる核酸結合固相に結合させるために適している;
c)条件が、低分子DNAを含むDNAをカラムに含まれる核酸結合固相に結合させるために適している;
d)結合が、少なくとも1種類のカオトロピック剤と少なくとも1種類のアルコールの存在下で起こる;
e)結合が、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、イソチオシアン酸グアニジン、チオシアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム(sodium trifluroacetate)、および尿素からなる群より選択される少なくとも1種類のカオトロピック剤の存在下で起こる;
f)結合が、0.1Mから飽和限界濃度まで、好ましくは、0.5〜6M、より好ましくは、0.5〜4Mより選択される濃度で結合混合物中に含まれる少なくとも1種類のカオトロピック剤の存在下で起こる;および/または
g)結合が、結合工程d)について上に記載したアルコールからなる群より選択される少なくとも1種類のアルコールの存在下で起こる。
また、さらなる添加剤を工程a)および/または工程d)の結合混合物において使用することもできる。例えば、試料の溶解、タンパク質の分解をサポートする、および/または結合混合物中の標的核酸を保護する添加剤を使用することができる。例として、キレート剤、阻害剤、界面活性剤、緩衝剤、安定剤、アルカリ剤、ヌクレアーゼ阻害剤、およびβ−メルカプトエタノール、特に、EDTA、EGTA、塩(例えば、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、LiCl)、または、核酸の結合および/もしくは沈殿を促進する他の物質が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。それぞれの添加剤は、例えば、回収溶液および/または結合溶液に含めることができるが、これらを別々に添加することもできる。さらに、生物学的バッファを、工程a)および/または工程d)での結合の間に使用することができ、したがって、これもまた回収溶液に含めることができる。それぞれのバッファの例として、HEPES、MES、MOPS、TRIS、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、およびBIS−TRIS Propaneが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
工程a)および/または工程d)での結合の際に使用されるpH値は、好ましくは、RNAについては、4〜11の範囲にあり、好ましくは約5〜8の範囲、最も好ましくは、6〜7.5の範囲にある。DNAについては、pH値は、好ましくは、約5〜11の範囲内にあり、最も好ましくは、約6〜10の範囲にある。標的核酸として両方のタイプの核酸が単離される場合は、pHは約6〜8の範囲内にあることが好ましい。回収溶液に、上に記載した範囲でpHを緩衝するバッファが含まれることが好ましい。1つの実施形態にしたがうと、回収溶液のpHは、約pH5〜11の範囲内に、好ましくは、約5.5〜8の範囲にあり、回収溶液は約5〜7.5または約7の範囲にpHを有することが最も好ましい。それぞれのpH値は、標的核酸としてRNAを単離するために特に適している。
1つの実施形態にしたがうと、1回以上の洗浄工程が、標的核酸が固相に結合させられたまま、工程a)と工程b)との間、および/または工程d)の後に行われる。この目的のためには、一般的な洗浄溶液を使用することができる。核酸結合固相からの低分子標的核酸を含む標的核酸の遊離を生じない洗浄溶液を使用することが推奨される。1つの実施形態にしたがうと、洗浄に使用される溶液には、少なくとも1種類のカオトロピック剤、少なくとも1種類のアルコール、および/または少なくとも1種類の緩衝成分が含まれる。これには界面活性剤もまた含めることができる。洗浄溶液中で使用することができるカオトロピック剤としては、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、イソチオシアン酸グアニジン、およびヨウ化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。さらに、トリクロロ酢酸塩、過塩素酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩からなる群より選択されるカオトロピックアニオンを含むカオトロピック塩を使用することができる。それぞれのカオトロピック塩の例は、過塩素酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、およびトリフルオロ酢酸ナトリウムのようなアルカリ塩である。アルコールとしては、短鎖の分岐アルコールまたは非分岐アルコール(1〜5個の炭素原子を持つことが好ましい)を洗浄のために、洗浄溶液においてそれぞれ、使用することができる。例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、およびブタノールである。イソプロパノールおよび/またはエタノールが使用されることが好ましい。
1つの実施形態にしたがうと、洗浄溶液には、少なくとも30%のアルコールと少なくとも0.5Mのカオトロピック塩、好ましくは、少なくとも2Mのカオトロピック塩が含まれる。さらに、洗浄溶液に界面活性剤を含めることができる。イオン性および/または非イオン性界面活性剤が界面活性剤として使用されることが好ましい。非イオン性界面活性剤は、少なくとも0.1%の濃度で使用されることが好ましい。それぞれの洗浄溶液は、例えば、RNAの洗浄に適している。
上に記載した洗浄溶液の代わりに、または上に記載した洗浄溶液に加えて(好ましくは、続けて)使用することができるさらなる適切な洗浄溶液には、アルコールおよび生物学的バッファが含まれる。適切なアルコールおよび生物学的バッファは上に記載されている。好ましくはイソプロパノールまたはエタノールが、最も好ましくはエタノールが、2回目の洗浄工程に使用される。好ましくは、エタノールは少なくとも30%v/vの濃度で、好ましくは、少なくとも50%v/vの濃度で使用される。生物学的バッファは、およそ7〜8のpHのTrisであることが好ましい。しかし、クエン酸ナトリウムのような他のバッファもまた、そして他のpH値もまた、単離される標的核酸および処理される試料に応じて使用することができる。
上に記載した洗浄溶液の代わりに、または上に記載した洗浄溶液に加えて(好ましくは、続けて)使用することができるさらなる適切な洗浄溶液にはまた、1種類以上のアルコールと、必要に応じてバッファが含まれる。適切なアルコールおよび生物学的バッファは上に記載されている。好ましくはイソプロパノールまたはエタノールが、最も好ましくはエタノールが、代替の洗浄工程に使用される。好ましくは、エタノールは、少なくとも50%v/vの濃度で、好ましくは、少なくとも70%以上の濃度で使用される。
用語「試料」は、本明細書中では広い意味で使用され、核酸を含む様々な供給源および組成物を含むように意図される。試料は生物学的試料であり得るが、この用語には、例えば、さらに濃縮されるおよび/またはさらに精製されると推定されるすでに精製された核酸を含む(例えば、PCR産物または組成物のような)核酸を含む、他の、例えば、人工的な試料も含まれる。例示的な試料としては、全血;血液生成物;赤血球;白血球;バフィーコート;スワブ(口腔スワブ、咽喉スワブ、膣スワブ、尿道スワブ、子宮頸スワブ、咽喉スワブ、直腸スワブ、病巣スワブ、膿瘍スワブ、および鼻咽頭スワブなどを含むがこれらに限定されるわけではない);尿;痰;唾液;精液;リンパ液;羊水;脳脊髄液;腹膜滲出液;胸水;嚢胞由来の流体;滑液;硝子体液;房水;滑液包の流体(bursa fluid);洗眼液;眼吸引液;血漿;血清;肺洗浄液;肺吸引液;ヒトを含む動物の組織または植物組織(肝臓、脾臓、腎臓、肺、腸、脳、心臓、筋肉、膵臓)、細胞培養物、ならびに、上記試料から、または試料上もしくは試料中に存在する可能性がある任意の細胞および微生物およびウイルスから得られた溶解物、抽出物、あるいは材料および画分などを含むがこれらに限定されるわけではない)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。核酸を含む臨床状況または法医学の状況から得られた材料もまた、用語「試料」の意図される意味に含まれる。試料は、ヒト、動物、植物、細菌、または真菌由来の生物学的試料であることが好ましい。試料は、細胞、組織、細菌、ウイルス、ならびに、体液、例えば、血液、血液生成物(例えば、バフィーコート、血漿、および血清)、尿、液(liquor)、痰、便、CSFおよび精子、上皮スワブ、生検、骨髄試料および組織試料(好ましくは、肺、腎臓、または肝臓のような臓器組織試料)からなる群より選択されることが好ましい。さらに、当業者は、上記の例示的な試料のいずれかから得られた溶解物、抽出物、または処理された材料もしくは一部もまた、用語「試料」の範囲に含まれることを理解する。これには具体的には、例えば、RNAのような核酸が水相中に濃縮されるフェノール/クロロホルム抽出の間に、精製された核酸をさらに精製および/または濃縮などをしようとする場合にそうであるように、例えば、特定のタイプの標的核酸が富化された、試料溶解物、澄明にされた溶解物、事前に抽出された試料の一部が含まれるが、これらに限定されるわけではない。用語「試料」にはまた、処理された試料(例えば、保存された試料、固定された試料、および/または安定化させられた試料)も含まれる。同様に、架橋固定剤(fixative,cross−linking)、ならびに非架橋性固定剤を使用することができる(限定的ではない市販されているものの例として、PAXgene Tissue Fixativeまたはカルノワ溶液が挙げられる)。試料を安定化させるために使用することができる市販されている安定剤の例としては、RNAlater、Allprotect Tissue、RNAprotect Cell、RNAprotect Saliva、RNAprotect Bacteria、PAXgene Blood RNA、PAXgene Blood DNA、PAXgene Bone Marrow RNA、およびQIAsafeが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
具体的に、本発明による方法は、例えば、分解したRNAまたは分解したDNAのような分解した核酸または損なわれた核酸を含む試料から標的核酸を単離するのに有用である。そのような試料の限定的ではない例として、保存されている細胞含有試料(例えば、ホルマリン固定され、パラフィンに包埋された試料(FFPE試料)、または例えば、グルタルアルデヒドのような架橋固定剤(cross−linking fixative)で処理された他の試料が挙げられる。例えば、腫瘍由来の生検試料は通常、DNAおよび/またはRNAの完全性を損なう可能性があるFFPEによる外科的手法後に保存される。それぞれの分解した核酸は、多くの場合は小さいサイズを有しており、したがって、低分子核酸である。本開示する方法は、低分子標的核酸からなるか、または低分子標的核酸を含む標的核酸を単離するのに有利に使用することができる。例えば、試料は、非コードRNA(例えば、snoRNAもしくはmiRNA)または低分子DNAのような低分子核酸を含む試料であり得る。さらに、標的核酸は、修飾された核酸または分解した核酸からなる場合も、また、それらを含む場合もある。修飾または分解は、例えば、防腐剤(単数または複数)での処理が原因であり得る。
用語「核酸」は、本明細書中で使用される場合は、特に、通常はサブユニット間のホスホジエステル結合により(場合によっては、ホスホロチオエート、メチルホスホネートなどにより)共有結合させられたリボヌクレオシドおよび/またはデオキシリボヌクレオシドを含むポリマーを意味する。核酸には、gDNA;環状DNA;低分子量DNA、プラスミドDNA;循環DNA(circulating DNA);hnRNA;mRNA;非コードRNA(ncRNA)(rRNA、tRNA、miRNA(micro RNA)、siRNA(低分子干渉RNA)、snoRNA(低分子核小体RNA)、snRNA(低分子核RNA)、およびstRNA(一過性低分子RNA(small temporal RNA))を含むが、これらに限定されるわけではない);断片化されたかまたは分解した核酸;PNA;ミトコンドリアまたはクロロプラストのような細胞内小器官から得られた核酸;ならびに、生物学的試料中に存在し得る微生物、寄生生物、またはDNAウイルスもしくはRNAウイルスから得られた核酸が含まれるが、これらに限定されるわけではない。合成の核酸配列(生物学的試料に加えられるかまたは「スパイクされる」ヌクレオチドアナログを含む場合も、含まない場合もある)もまた本発明の範囲に含まれる。
用語「低分子核酸(small nucleic acid)」および「低分子核酸(small nucleic acids)」は、具体的に、1000ヌクレオチド未満、750ヌクレオチド未満、500ヌクレオチド未満、400ヌクレオチド未満、300ヌクレオチド未満、250ヌクレオチド未満、200ヌクレオチド未満、100ヌクレオチド未満、または70ヌクレオチド未満の長さを有している核酸を意味し、これには、miRNA、siRNAおよび他の短い(short)干渉核酸、snoRNA、snRNA、tRNA、piRNA、tnRNA、低分子rRNA、hnRNA、循環核酸、ゲノムDNAまたはRNAの断片、分解した核酸、リボザイム、ウイルスRNAまたはウイルスDNA、感染起源の(infectios origin)核酸、増幅産物、修飾された核酸、プラスミド核酸または細胞小器官の核酸、ならびにオリゴヌクレオチドのような人工的な核酸が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
本発明による方法は、少なくとも1種類の標的核酸を単離するための方法に関する。用語「標的核酸(target nucleic acid)」および「標的核酸(target nucleic acids)」は、同義語として本明細書中で使用される。本発明の方法にしたがって処理することができる試料の記載される例から明らかとなるように、試料には、2以上のタイプの核酸が含まれ得る。意図される使用に応じて、試料から全てのタイプの核酸(例えば、DNAとRNA(もう一度言うが、これらのいずれもが用語標的核酸(単数または複数)に含まれる)を、または特定のタイプ(単数または複数)の核酸だけ(例えば、DNAではなくRNAだけ、またはその逆)を、あるいは、RNAとDNAを並行して(すなわち、1つの試料から、しかし互いに別々に)単離することが望ましい場合がある。これらの変種(variant)の全てが本発明の範囲に含まれる。用語「低分子標的核酸(small target nucleic acid)」または「低分子標的核酸(small target nucleic acids)」(これらの用語も同義語として使用される)は、具体的に、所望されるタイプの標的の低分子核酸(例えば、低分子RNAまたは低分子DNA、あるいは低分子RNAと低分子DNAの両方)を意味する。さらに、表現「低分子標的核酸を含む標的核酸」は、(例えば、全RNAまたは全DNAのような)低分子標的核酸の一部を含む標的核酸だけを意味するのではなく、低分子標的核酸からなり、したがってより大きな核酸を含まない標的核酸もまた意味し、これも包含する。
試料は、結合工程a)を実行する前に処理することができる。例えば、試料中に含まれる核酸を遊離させるために、試料を破壊するおよび/または溶解させることができる。使用する手法は単離しようとする試料標的核酸に依存し、これには、試料の破壊、それぞれ溶解を達成するための、機械的破壊、化学的粉砕、タンパク質分解酵素、界面活性剤などの添加が含まれるが、これらに限定されるわけではない。溶解物は、結合工程a)を実行する前に澄明にすることができ、または別の方法で処理することもできる。適切な溶解/破壊方法と溶解バッファは先行技術において公知であり、したがって、本明細書中に記載する必要はない。さらに、例えば、非標的核酸または他の望ましくない成分を取り除くための1回以上の除去のようなさらなる処理工程を行うことができ、そして/あるいは、工程a)での、カラムによる核酸結合固相への標的核酸の結合の前に、試料中に含まれる核酸または他の生体分子が修飾される場合もある。
さらに、包埋された試料のような特別な試料が本発明の方法にしたがって処理される場合は、包埋マトリックスから(例えば、パラフィンから)核酸および/または試料を遊離させるための工程が含まれることが好ましい。さらに、固定され、架橋された試料のような特別な試料が本発明の方法にしたがって処理される場合は、固定された試料から核酸をまた遊離させるための、したがって、例えば、固定工程により生じた修飾を逆転させる(reverse)ため(特に、架橋をはずすため)の工程が含まれることが好ましい。例えば、さらなる工程(例えば、加熱工程)を、例えば、FFPE試料の場合にそうであるように、試料中に含まれる核酸が、例えば架橋されている場合に行うことができる。その結果を達成するため、およびそれから標的核酸を単離することができる試料を得るための適切な方法と処理工程は先行技術において公知であり、例えば、EP 10 001 995.9、PCT/EP2011/000920、およびWO2007/068764(参考として本明細書中に組み入れられる)にも記載されている。
1つの実施形態にしたがうと、試料には、少なくとも1種類の非標的核酸と少なくとも1種類の標的核酸が含まれる。1つの実施形態にしたがうと、本発明による方法には、非標的核酸の少なくとも一部を取り除く工程が含まれる。例えば、非標的核酸は、固相に対して適切な条件下で非標的核酸の少なくとも一部を結合させること、その後、固相に結合した非標的核酸を、標的核酸を含有している残りの試料から分離することにより、取り除くことができる。これは、例えば、主に非標的核酸を固相に結合させる条件下で適切な固相を加えることにより達成することができる。標的核酸から非標的核酸を選択的に取り除くための適切な方法は、例えば、EP 0 880 537およびWO95/21849(言及したことにより本明細書中に組み入れられたこととなる)に記載されている。他の方法としては、例えば、水相中でRNAを濃縮して、その後に、その水相を使用、好ましくはアルコールと混合して、工程a)においてメンブレンに対してRNAを結合させるための、例えば、フェノール/クロロホルム抽出が挙げられる。FFPE試料のような固定された試料から標的核酸(またはRNAとDNAを並行して)単離する場合には、RNAからDNAを分離するのに特に有用である、非標的核酸から標的核酸を分離するのに適している他の方法が、EP 10 001 995.9およびPCT/EP2011/000920(参考として本明細書中に組み入れられる)に記載されている。
RNA(だけ)を標的核酸として単離しようとする場合は、非標的核酸は通常はDNAである。この実施形態では、DNA混入物質を取り除き、それぞれ減らすために、工程b)においてDNase消化が行われることが好ましい。さらに、DNAを標的核酸として単離しようとする場合は、RNA混入物質を取り除き、それぞれ減らすために、工程b)としてRNase消化を行うことができる。核酸結合固相としてメンブレンが使用される場合は、それぞれのメンブレン上での処理により、相当量の標的核酸、特に、低分子標的核酸の遊離が生じる。上記および実施例に記載するように、他の非標的核酸もまた並行して単離することができる。
1つの実施形態にしたがうと、試料には、少なくとも1種類の標的核酸と、例えば、タンパク質、脂質、炭水化物、または代謝産物のような少なくとも1種類の非標的生体分子が含まれる。1つの実施形態にしたがうと、本発明による方法には、非標的生体分子の少なくとも一部を取り除く工程が含まれる。例えば、非標的生体分子は、適切な条件下で非標的生体分子の少なくとも一部を固相に対して結合させ、その後、固相に結合した非標的生体分子を、標的核酸を含有している残りの試料から分離することにより取り除くことができる。これは、例えば、主に非標的生体分子を固相に結合させる条件下で適切な固相を添加することにより達成され得る。標的核酸を非標的生体分子から分離するのに適している他の方法としては、化学反応または酵素反応による非標的生体分子の除去(これは、例えば、工程b)の間にメンブレン上で行うこともできる)が挙げられる(例えば、DE 10 2007 035 250を参照のこと)。
適切なDNaseおよびRNase酵素、ならびに例えば、非標的生体分子に影響を及ぼす他の酵素、さらには、工程b)においてそれぞれの酵素処理を行うために使用することができるバッファおよび溶液は先行技術において公知であり、したがって詳細に記載する必要はない。
本発明には、工程a)での、カラムに含まれる核酸結合固相の使用が含まれる。用語「カラム」は、本明細書中で使用される場合は特に、少なくとも2つの開口部を有している容器を表わす。それによって、溶液および/または試料は、上記カラムを通過させることができる。用語「カラム」は、容器の形状に関するいかなる制限をも具体的に意味するものではなく、容器は、例えば、円形であっても、また角があってもよく、円筒形が好ましい。しかし、特に、マルチカラムを使用する場合には、他の形状もまた使用することができる。このカラムには核酸結合固相が含まれる。上記カラムに含まれる上記固相は、カラムにアプライされると、溶液、それぞれの試料を通過させることができなければならない。これは、例えば、カラムに遠心力がかけられる場合には、溶液および/または試料を、遠心力の方向にカラム内を通過させることができることを意味する。上記で議論したように、それぞれのカラムによる核酸単離手順が使用される場合は、試料は通常、例えば、遠心分離または減圧により促進されてカラムを通過させられ、核酸が、上記通過の間に、含まれる核酸固相に結合する。カラムは単層形式(single format)でも、また多層形式(multi−format)でも使用することができる。マルチウェルプレートと類似する形式を持ち、メンブレンのような核酸結合固相を含むそのようなマルチカラムは先行技術において周知である。カラムはスピンカラムであることが好ましい。
核酸結合固相としては、カラムによる核酸単離手順において通常利用される任意の固相を使用することができる。好ましくは、核酸結合メンブレン、ひいては、核酸を結合することができるメンブレンが、工程a)において使用される。適切なメンブレンとしては、親水性メンブレン、疎水性メンブレン、およびイオン交換により核酸結合メンブレンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。例として、シリカメンブレン、ガラス繊維メンブレン、ナイロンメンブレン、セルロースメンブレン(例えば、ニトロセルロースメンブレン、改変セルロースメンブレン(例えば、アセチルセルロースメンブレンまたはヒドロキシセルロースメンブレン))、紙メンブレン(特に、改変された紙)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。メンブレンは多孔性であることが好ましい。さらに、シリカを含むかまたはシリカからなるメンブレンを使用することが好ましい。カラムに含まれるさらなる一般的な核酸結合固相は、核酸を結合する粒子(例えば、シリカ粒子)を充填したもの、または核酸を結合する材料の層(例えば、シリカゲル)である。例えば、シリカ粒子は、不活性フィルターまたはメンブレン上に1つの層として並べることができ、これにより、核酸結合固相を形成させることができる。標的核酸の喪失、特に、低分子標的核酸の喪失に関する上記の問題は、核酸結合固相が薄ければ薄いほどより顕著である。これは、カラムに含まれる核酸結合固相の薄層(核酸結合メンブレンと類似する)が、遊離した低分子標的核酸がすぐに漏れ得るリスクを高め、これにより、核酸単離手順の間に失われてしまうことが原因である。上記のように、本発明は、その問題の解決を提供し、これにより、低分子標的核酸を含む標的核酸を高い収量で単離することを可能にする。したがって、1つの実施形態にしたがうと、カラムに含まれる核酸結合固相は、その幅と同等またはそれよりも小さい全体の高さを有する。例えば、核酸結合固相は、核酸を結合する材料の1つの層および/または、メンブレンもしくはフィルター上に小さい層として重ねられる、核酸を結合する粒子(好ましくは、シリカ粒子)の充填物である、それぞれの層からなり得る。適切な核酸を結合する材料および粒子は、以下に詳細に記載される。
カラムに含まれる核酸結合固相を通っての試料の通過を楽にするためには、例えば、遠心分離または圧力差を生じる装置(これは、例えば、カラム(それぞれ核酸結合固相)を介して試料に圧力をかけるか、または減圧することにより、核酸結合固相を介して試料を吸引する)の使用のような適切な手段を使用することができる。それぞれの手段は先行技術において周知であり、よって、本明細書中でさらに記載する必要はない。
工程d)において使用され得る核酸結合固相としては、核酸(特に、低分子標的核酸)を結合することができるあらゆる材料を使用することができ、これには、適切な条件下で核酸を結合することができる様々な材料が含まれる。工程d)で使用される上記固相は必ずしもカラムによるものである必要はないが、それでもなお、取り扱いを容易にするためにはこれが好ましい。本発明と組み合わせて使用することができる例示的な固相として、シリカ粒子、二酸化ケイ素、珪藻土、ガラス、アルキルシリカ、ケイ酸アルミニウム、およびホウケイ酸塩を含むがこれらに限定されないシリカを含有している化合物;ニトロセルロース;ジアゾ化された紙(diazotized paper);ヒドロキシアパタイト(ヒドロキシルアパタイトとも呼ばれる);ナイロン;金属酸化物;ジルコニア;アルミナ;ポリマー支持体、ジエチルアミノエチル誘導体化支持体およびトリエチルアミノエチル誘導体化支持体、および疎水性クロマトグラフィー樹脂(例えば、フェニルセファロースまたはオクチルセファロース)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。固相という用語は、その形態またはデザインに関するいかなる限定をも暗に意図するように意図されるものではない。したがって、固相という用語には、多孔性であるかまたは非多孔性である;透過性であるかまたは不透過性である適切な材料が包含され、これには、メンブレン、フィルター、シート、粒子、磁性粒子、ビーズ、ゲル、粉末、および繊維などが含まれるが、これらに限定されるわけではない。1つの実施形態にしたがうと、例えば、工程d)で使用されるシリカ固相または工程a)で使用される核酸結合固相のような固相の表面は修飾されておらず、例えば、官能基で修飾されていない。上記のように、核酸結合メンブレンが工程d)において使用されることが好ましい。上記メンブレンは、工程a)において使用される核酸結合メンブレンについて上に記載したものと同じ特徴を有し得る。工程a)で使用されたものと同じ核酸結合メンブレンが、「漏れた」低分子標的核酸を工程d)において上記メンブレンに再度結合させるために使用されることが特に好ましい。
本明細書中に記載される工程以外のさらなる中間工程を行うこともまた、本発明の範囲に含まれる。しかし、特定の実施形態にしたがうと、本明細書中に記載される工程以外のさらなる工程は行われない。
さらに、本発明は、メンブレン上での処理の間に上記核酸結合メンブレンから遊離した、収集された低分子核酸を再度結合させるための、メンブレンに対して低分子核酸を結合させることができる回収溶液の使用に関する。上記で議論したように、核酸は、例えば、メンブレンの下に落ちた低分子核酸もまた確実に効率よく収集され、したがって、回収する(recover)ことを確実にするために、フロースルーとして収集されることが好ましい。低分子標的核酸の遊離を生じる回収溶液および条件の詳細は上に記載されており、上記開示を参照されたい。
さらに、本発明は、以下を含む本発明による方法を実施するためのキットに関する:
a)核酸結合固相(好ましくは、カラムに含まれるメンブレン);
b)カオトロピック剤とアルコールとを含む、低分子標的核酸を含む標的核酸を、上記核酸結合固相に結合させるための結合バッファ;
c)0.1Mから飽和限界まで、好ましくは、0.5Mから飽和限界までの濃度のカオトロピック剤、および/または少なくとも50%の濃度のアルコールを含む回収溶液;ならびに、
d)本発明による方法を実施するための指示。
回収溶液、核酸結合固相(メンブレンであることが好ましい)、および結合バッファ、ならびに付随する利点の詳細は上に記載されており、上記開示を参照されたい。
(実施例1:本発明の方法または対照標準法による低分子核酸の単離)
ラットの腎臓由来のFFPE試料(この試料は、固定および包埋後、室温で2カ月間保存した)とラットの肺由来のFFPE試料(この試料は、固定および包埋後、室温で27カ月間保存した)を使用した。Microtomを使用して、10μmの厚みを有している切片を得た。1つの試料あたり1つの切片を使用した。全ての試料を2回処理した。得られたFFPE切片からのその後のRNAの単離のために、RNeasy FFPEキット(QIAGEN)およびQIAamp FFPEキット(QIAGEN)の成分を使用した。
試料を1mlのヘプタンの中で1時間インキュベートして、上記試料からパラフィンを取り除いた。50μlのメタノールを添加し、混合し、試料を遠心分離し、上清を収集し、そして試料を室温で5分間乾燥させた。
このそれぞれ由来するパラフィン除去した試料のペレットを150μlのプロテイナーゼK消化バッファ(バッファPKD、QIAGEN)と混合し、さらに、10μlのプロテイナーゼK溶液(>600mAU/ml)と混合した。この混合物を、56℃で15分間、1400rpmで振盪させながらインキュベートした。試料を氷上で3分間冷却し、30分間遠心分離して、溶解しなかった成分を取り除いた。DNAを含有しているペレットを廃棄し(上記DNAを含有しているペレットは、所望される場合には、必要に応じてDNAを単離するために使用することができる)、含まれるRNAを標的核酸として単離するために上清を収集した。使用した試料材料に原因があるばらつきを排除するために、収集した上清を合わせ、混合し、150μlのアリコートに分けた。
続いて、これらのアリコートを80℃で15分間インキュベートして、(FFPEの保存により生じた)RNA中の架橋を取り除いた。その後、300μlのカオトロピック溶解バッファ(バッファRLT、QIAGEN)を添加し、得られた混合物を1050μlのエタノールと混合した。得られた混合物をシリカメンブレン(RNeasy MinElute Column、QIAGEN)にアプライし、10000rpmで15秒間の遠心分離によりこのメンブレンに通過させた。標的核酸を結合させたこのメンブレンを、カオトロピック剤とエタノールとを含む洗浄バッファ(RWT、QIAGEN)をメンブレンに通過させることにより洗浄した。その後、10μlのDNAse Iと70μlのDNAse反応バッファ(バッファRDD、QIAGEN)とを含む80μlの混合物をこのメンブレンにアプライし、室温で15分間インキュベートして、残っているゲノムDNAを取り除いた。
先行技術において公知であるような対照標準法にしたがってRNAを単離するために、メンブレン上でのDNAse消化を行った後に、再び、カオトロピック剤とエタノールとを含む洗浄バッファ(バッファRWT、QIAGEN)を添加して、DNase反応溶液を除去した。洗浄バッファRWTは、含まれるカオトロピック剤とアルコールに起因して、メンブレンに対するRNAの結合を促進する。その後、このメンブレンを、アルコールを含む洗浄バッファ(RPE、QIAGEN)500μlを2回添加し、メンブレンに通過させることにより洗浄した。メンブレンを14000rpmで5分間の遠心分離により乾燥させた。RNAを、30μlの水をアプライし、1分間のインキュベーション工程を行った後に遠心分離により溶離させた。
本発明による方法にしたがってRNAを単離するために、メンブレン上でのDNase消化を行った後、メンブレンに、1〜1.5MのGTC、75%のイソプロパノール、クエン酸ナトリウムを含む回収溶液(pH7)をアプライし、遠心分離によってメンブレンを通過させた。フロースルーを収集し、再びアプライし、そして遠心分離によりメンブレンを通過させた。これにより、メンブレン上でのDNase消化の間にメンブレンから遊離した、特に、低分子標的核酸をメンブレンに再度結合させ、これにより回収する。その後、アルコールを含む洗浄バッファ(RPE、QIAGEN)500μlを2回添加し、メンブレンに通過させることにより、メンブレンを洗浄した。このメンブレンを14000rpmで5分間の遠心分離工程により乾燥させた。RNAを、30μlの水をアプライし、1分間のインキュベーション工程を行った後に遠心分離により溶離させた。
腎臓組織から単離したRNAのサイズ分布を、本発明による方法により達成された改良を実証するためにAgilent Bioanalyzerを使用して分析した。同量のRNA(ng量)をアプライした(OD測定法により決定した)。結果を図1に示す。ここでは、「+」は本発明による方法を使用して単離したRNAを示し、「−」は対照標準法を使用して単離したRNAを示す。図から明らかであるように、本発明の方法にしたがって必須の収集と再アプライの工程c)および工程d)を行うことにより、単離されたRNAにおける低分子標的RNAのかなりの増加が生じる。これは、本発明による方法にしたがって単離されたRNAにおいて検出することができる、低分子RNAの範囲内にあるかなり濃いバンドにより導くことができる(これらのバンドを図1において矢印で示す)。したがって、低分子RNAの量は、対照標準法と比較して本発明による方法を用いて単離したRNAの中ではかなり増加した。対照標準法を用いて単離したRNAには低分子RNAは少量しか含まれておらず、したがって、より大きなRNA分子を、アプライした量のRNAの中で検出することができる。したがって、この実施例は、本発明による方法により、単離されたRNAにおける低分子RNAの収量がかなり増えることを示している。誤解を避けるために、本発明による方法または対照標準法を実施する場合には、より大きなRNA分子の全量は基本的に同じであることを強調し、これは、より大きなmRNAのアンプリコンを検出するRT−PCRにより確認したとおりであった。
単離したRNAをまた、特定の低分子RNAの収量に対する本発明による方法の有利な効果を分析するために、定量的リアルタイムRT−PCRを使用して分析した。
この目的のために、単離したRNAを、製造業者の指示にしたがってABI TaqMan(登録商標)MicroRNAアッセイ(Applied Biosystems)を使用したmicro−RNA miR29aおよびmicro−RNA miR30bのアンプリコンの決定に使用した。20ngのRNAを、TaqMan(登録商標)MicroRNA逆転写キットと対応するプライマーhas−miR30aおよびhas−miR29b(Applied Biosystems)を製造業者の指示にしたがって使用して、逆転写反応において使用した。上記システムを使用したmiRNAアンプリコンの増幅を、リアルタイム増幅システム(ABI PRISM 7900HT Sequence Detection System,Company ABI)において、2μlのcDNA(1:20の希釈率)を使用して行った。測定したct値の平均値(2連のものから導いた)を決定した。それを表1にまとめる。

結果は、本発明による方法を使用することにより、対照標準法により得られた対応する試料から得られたct値よりもかなり低いct値が生じることを示している。本発明による方法を用いて達成されたより低いct値は、それぞれ単離されたRNAに多量の検出されたmiRNAが含まれるという事実に起因する。これは、本発明の方法により単離したRNAに、対照標準法を用いて単離したRNAよりも多くの低分子核酸が含まれていることを示している。本発明による方法は、低分子標的核酸の収量が増えるため、生物学的試料からの低分子核酸の単離をかなり改善する。参考例が示すように、(先行技術において行われるような)遊離した可能性がある標的核酸の、メンブレンに対する結合を促進する、カオトロピック剤とエタノールとを含む洗浄バッファの単なる添加は、低分子標的核酸を効率よく再度捕捉するためには不十分である。上記で論られたように、遊離した低分子標的核酸がメンブレンの核酸を結合する表面から漏れ、したがって先行技術による方法によってはこれらを再度捕捉できないという事実がその原因である可能性が最も高い。
(実施例2:回収溶液中での様々な濃度のカオトロピック剤の使用)
この実施例ではラットの腎臓のFFPE試料を使用した。FFPE試料は、固定および包埋後、室温でおよそ2カ月間保存した。10μmの厚みの切片を、Microtomを使用して上記FFPE試料から得た。1つの試料について1枚の切片を使用した。全ての試料を2回処理した。それぞれのFFPE切片からのその後のRNAの単離のために、RNeasy FFPEキット(QIAGEN)およびQIAamp FFPEキット(QIAGEN)の成分を使用した。
本発明の方法および対照標準法によるRNAの単離を実施例1に記載したとおりに行った。メンブレン上でのDNAse消化を行った後に「漏れた」低分子RNAを再度結合させるために、3種類の異なる組成を回収溶液として使用した。試験した回収溶液には、70%のエタノール、クエン酸ナトリウム(pH7)と以下を含めた:
A)1.16MのGTC
B)1.5MのGTC
C)1.8MのGTC。
腎臓試料から単離したRNAのサイズ分布をAgilent Bioanalyzerを使用して分析した。図1に示した結果と同様に、対照標準法を用いて単離した全RNA中の低分子RNAの割合が、本発明による方法を用いて単離したRNA中よりもかなり低いことが再び明らかになった。したがって、本発明による方法により単離したRNAには、低分子RNAがより高い収量で含まれていた。図2によっても明らかに示されるように、全ての試験した回収溶液A)〜C)が、低分子標的核酸を効率よく再度捕捉するのに適しており、ここで、対照標準法「−」では低分子RNAは少量しか得られなかった。
低分子RNAの単離に対する試験した様々な回収溶液の効果を分析するために、RNAを、実施例1に記載したように定量的リアルタイムRT−PCRを実行することにより分析した。この目的のために、単離したRNAを、製造業者の指示にしたがってABI TaqMan(登録商標)MicroRNAアッセイ(Applied Biosystems)を使用したmicro RNA miR29aおよびmicro RNA miR16bのアンプリコンの検出に使用した。
測定したct値の平均値(2連のものより導いた)を決定した。それを表2にまとめる。

結果は、対照標準法により単離したRNAと比較して本発明の方法により単離したRNAを使用した場合には、ct値がかなり低いことを示している。これは、本発明による方法が、単離したRNA中の低分子RNAの収量をかなり増大させるという事実に起因する。結果が示しているように、様々な濃度のカオトロピック剤を回収溶液において使用することができ、成功している。
(実施例3:回収溶液における様々なアルコールと様々なアルコール濃度の適合性)
この実施例では、ラットの腎臓由来のFFPE試料(この試料は固定および包埋後、室温で2カ月間保存した)とラットの肺由来のFFPE試料(この試料は固定後、室温でおよそ27カ月間保存した)を使用した。10μmの厚みを持つ切片を、Microtomを使用して得た。1つの試料について1枚の切片を使用した。全ての試料を2回処理した。FFPE切片からのその後のRNAの単離には、RNeasy FFPEキット(QIAGEN)およびQIAamp FFPEキット(QIAGEN)の成分を使用した。
本発明による方法または対照標準法を使用したRNAの単離は、実施例1に記載したとおりに行った。メンブレン上でのDNAse処理を行った後に「漏れた」低分子RNAを捕捉するために、4種類の異なる組成を持つ回収溶液を試験した。回収溶液には、1.5MのGTC、クエン酸ナトリウム(pH7)と以下を含めた:
A)70%のエタノール
B)75%のエタノール
C)70%のイソプロパノール
D)75%のイソプロパノール。
腎臓組織から単離したRNAのサイズ分布をAgilent Bioanalyzerを使用して分析した。図1および図2に示す結果と同様に、本発明による方法を使用した場合には、単離した全RNA中の低分子RNAの割合(portion)がかなり増大することが明らかになった(図3を参照のこと)。全ての試験した回収溶液は、低分子RNAを効率よく再度捕捉することについて基本的に等しく有効であり、ここで、対照標準法「−」では低分子RNAは少量しか得られなかった。
特定の低分子RNAの単離に対する様々な回収溶液の効果を分析するために、単離したRNAを実施例1に記載した定量的リアルタイムRT−PCR法を使用して分析した。単離したRNAを、製造業者の指示にしたがってABI TaqMan(登録商標)MicroRNAアッセイ(Applied Biosystems)を使用することによるmicro−RNA miR29aのアンプリコンの決定に使用した。
測定したct値の平均値(2連のものより導いた)を決定した。それを表3にまとめる。

ここでもまた、結果は、本発明による方法を使用することにより、より低いct値から導くことができるように、単離したRNA中の低分子RNAの収量がかなり増えることを示している。様々なアルコールとアルコール濃度とを回収溶液中で使用することができる。
(実施例4:固定されていない試料からの本発明の方法または対照標準法による低分子核酸の単離)
ラットの肺の組織試料(この試料は切除後、RNAlater中、−80℃で保存した)を、カオトロピック剤を含む溶解バッファを使用したRNAの単離に使用した。全ての試料を2回処理した。その後のRNAの単離のために、RNeasyキット(QIAGEN)およびmiRNeasyキット(QIAGEN)の成分を使用した。
(フェノール−クロロホルムによる溶解)
それぞれ10mgのラットの肺を、1つの5mmスチールビーズ(steal bead)を含む700μlのフェノールベースの溶解バッファ(バッファQIAzol、QIAGEN)中で、ビーズミル(TissueLyzer、QIAGEN)を使用して25Hzで5分間、ホモジナイズした。その後、試料を室温で5分間インキュベートし、その後、140μlのクロロホルムを添加した。室温で2分間のインキュベーション後、溶解物を4℃にて、12000×gで15分間遠心分離した。上相を取り出し、525μlのエタノールと混合した。得られた混合物をシリカメンブレン(RNeasy Mini Column、QIAGEN)にアプライし、13000rpmで15秒間の遠心分離によりメンブレンを通過させた。標的核酸を結合させたメンブレンを、カオトロピック剤とエタノールとを含む洗浄バッファ(RWT、QIAGEN)をこのメンブレンを通過させることにより洗浄した。
(カオトロピック剤による溶解)
それぞれ10mgのラットの肺を、1つの5mmスチールビーズを含む350μlの溶解バッファ(β−メルカプトエタノールを含むバッファRLT、QIAGEN)中で、ビーズミル(TissueLyzer、QIAGEN)を使用して25Hzで5分間、ホモジナイズした。その後、試料を14000rpmで4分間遠心分離し、上清を525μlのエタノールと混合した。得られた混合物をシリカメンブレン(RNeasy Mini
Column、QIAGEN)にアプライし、10000rpmで15秒間の遠心分離によりメンブレンを通過させた。
標的核酸を結合させたこのメンブレンを、カオトロピック剤とエタノールとを含む洗浄バッファ(RWT、QIAGEN)をこのメンブレンを通過させることにより洗浄した。(全ての試料のさらなる処理)
10μlのDNAse Iと70μlのDNAse反応バッファ(バッファRDD、QIAGEN)とを含有している80μlの混合物をメンブレンにアプライし、室温で15分間インキュベートして、残っているゲノムDNAを取り除いた。
対照標準法にしたがって、または本発明による方法にしたがってRNAを単離するために、全てのさらなる工程を実施例1に記載したとおりに行った。50μlの水(フェノールによる溶解)または40μlの水(カオトロピック剤による溶解)をアプライし、1分間のインキュベーション工程を行った後、RNAを遠心分離により2回溶離させた。
(溶離液の分析)
単離したRNAを、実施例1に記載した定量的リアルタイムRT−PCR法を使用して分析した。単離したRNAを、製造業者の指示にしたがってABI TaqMan(登録商標)MicroRNAアッセイ(Applied Biosystems)を使用することによるmicro−RNA miR29aのアンプリコンの決定に使用した。
測定したct値の平均値(2連のものより導いた)を決定した、それを表4にまとめる。

ここでもまた、結果は、より低いct値から導くことができるように、本発明による方法を使用することにより、固定されていない試料においてもまた、単離したRNA中の低分子RNAの収量がかなり増えることを示している。
(実施例5:本発明による方法を使用した低分子DNAの単離)
DNA試料として、10bpのDNA−ラダーと50bpのDNA−ラダーを使用した。その後の単離のために、QIAamp MinEluteキット(QIAGEN)の成分を使用した。2μgの10bpのDNA−ラダーと5μgの50bpのDNA−ラダーを180μlの溶解バッファ(バッファATL、QIAGEN)と混合した。対照標準法(DNAのメンブレン上での処理を行ったか、もしくは行わなかったかのいずれか)または本発明による方法を使用して、上記混合物からDNAを精製した。
メンブレン上での処理を行わなかった対照標準法(試料(a))については、溶解液−DNA混合物を4μlのRNA(100mg/ml)と混合し、室温で2分間インキュベートした。続いて、カオトロピック剤(バッファAL、QIAGEN)と200μlのエタノールとを含む200μlの結合バッファを添加した。得られた混合物をシリカメンブレン(QIAamp MinEluteカラム、QIAGEN)にアプライし、遠心分離(1分間、8000rpm)によってシリカメンブレンを通過させた。メンブレンを、アルコールとカオトロピック剤を含有している500μlの洗浄バッファ(AW1、QIAGEN)、およびアルコールを含有している500μlの洗浄バッファ(AW2)をこのメンブレンを通過させることにより洗浄した。このメンブレンを遠心分離(1分間、14000rpm)により乾燥させた。溶離バッファ(30μl、ATE、QIAGEN)をアプライし、1分間インキュベーションした後、遠心分離によりDNAを溶離させた。
DNAのメンブレン上での処理を行った対照標準法(試料b、c、e、f)および本発明による方法(試料d、g)では、溶解バッファとDNA試料とを含む混合物を、カオトロピック剤を含む200μlの結合バッファ(バッファAL、QIAGEN)、および200μlのエタノールと混合した。得られた混合物をシリカメンブレン(QIAamp MinEluteカラム、QIAGEN)にアプライし、遠心分離(1分間、8000rpm)によりシリカメンブレンを通過させた。
その後、DNAをこのメンブレンに結合させたまま、様々なメンブレン上での処理を行った。いくつかの試料はRNaseで処理し(試料b、c、d)、他の試料はプロテアーゼで処理した(試料e、f、g)。
4μlのRNase A(100mg/ml)と76μlのRNase反応バッファ(バッファRDD、QIAGEN)とからなる80μlのRNase混合物をメンブレンにアプライし、室温で5分間インキュベートして、メンブレン上でのRNase処理を行なった。
20μlのプロテイナーゼK(>600mAU/ml)と60μlのプロテアーゼ反応バッファ(バッファRDD、QIAGEN)とからなる80μlのプロテアーゼ混合物をメンブレンにアプライし、56℃で15分間インキュベートして、メンブレン上でのプロテアーゼ処理を行なった。
対照標準法により処理した試料(試料b、c、e、f)については、カオトロピック剤とエタノールとを含む500μlのバッファ(バッファAW1、QIAGEN(試料b、e)またはバッファRWT、QIAGEN(試料c、f))と、アルコールを含む500μlの洗浄バッファAW2(QIAGEN)を、このメンブレンを通過させた。このメンブレンを遠心分離(1分間、14000rpm)により乾燥させた。DNAを、溶離バッファ(30μl、ATE、QIAGEN)をアプライし、1分間インキュベーションした後に、遠心分離により溶離させた。
本発明による方法により処理した試料(試料dおよびg)については、回収溶液(1〜1.5MのGTC、75%のイソプロパノール、クエン酸ナトリウム(pH7)を含む)をメンブレンにアプライし、遠心分離によってこのメンブレンを通過させた。フロースルーを再びメンブレンにアプライし、遠心分離によってこのメンブレンを通過させて、漏れた低分子DNA分子を再度結合させた。その後、メンブレンを、アルコールを含む500μlの洗浄バッファ(AW2)をこのメンブレンを通過させることにより洗浄した。このメンブレンを遠心分離(1分間、14000rpm)により乾燥させた。溶離バッファ(30μlのATE、QIAGEN)をアプライし、1分間インキュベーションした後に、遠心分離によりDNAを溶離させた。
実施例5で試験した様々な方法により単離したDNAの収量を260nmで決定した。表5は2連の平均値を示す。

表5から明らかであるように、本発明による方法により、メンブレン上での処理が行なわれる核酸の単離方法において低分子DNAの収量がかなり増える。
(実施例6:回収溶液における様々なカオトロピック剤と様々なバッファの適合性)
ラットの肺の組織試料(この試料は切除後、RNAlater中、−80℃で保存した)を、カオトロピック剤を含む溶解バッファを使用するRNAの単離に使用した。その後のRNAの単離のために、RNeasyキット(QIAGEN)およびmiRNeasyキット(QIAGEN)の成分を使用した。
溶解物のプールをラットの肺組織から調製して、様々な回収溶液の比較のための均質な出発材料を提供した。350μlの溶解バッファ(β−メルカプトエタノールを含むバッファRLT、QIAGEN)を10mgの各組織に添加し、この材料をロータースターターホモジナイザー(rotor stator homogenizer)を使用してホモジナイズした。ホモジナイズした後、溶解物のプールを350μlの溶解物のアリコートに分け、その後の全てのRNA精製に使用した。この溶解物を525μlの96〜100%のエタノールと混合し、シリカメンブレン(RNeasy Mini Column、QIAGEN)にアプライし、10000rpmで15秒間の遠心分離によりメンブレンを通過させた。
再結合を行わなかった対照標準(reference)の場合(図4のref(対照標準)を参照のこと)、標的核酸を結合させたメンブレンを、カオトロピック剤とエタノールとを含む洗浄バッファ(RWT、QIAGEN)をメンブレンを通過させることにより洗浄した。10μlのDNAse Iと70μlのDNAse反応バッファ(バッファRDD、QIAGEN)とを含有している80μlの混合物をメンブレンにアプライし、室温で15分間インキュベートして、残っているゲノムDNAを取り除いた。その後、メンブレンを、カオトロピック剤とエタノールとを含む洗浄バッファ(RWT、QIAGEN)をこのメンブレンを通過させることによって再度洗浄した。その後、メンブレンを、アルコールを含む洗浄バッファ(RPE、QIAGEN)500μlを2回添加し、このメンブレンを通過させることにより洗浄した。このメンブレンを、14000rpmで3分間の遠心分離により乾燥させた。40μlの水をアプライし、1分間のインキュベーション工程を行った後、RNAを、遠心分離により2回溶離させた。
本発明の方法によるRNAの単離のために、標的核酸を結合させたこのメンブレンを、カオトロピック剤、バッファ成分、およびイソプロパノールを様々な組成で含む回収溶液(表6)をこのメンブレンを通過させることにより洗浄した。フロースルーは廃棄した。10μlのDNAse Iと70μlのDNAse反応バッファ(バッファRDD、QIAGEN)とを含有している80μlの混合物をメンブレンにアプライし、室温で15分間インキュベートして、残っているゲノムDNAを取り除いた。オンカラムDNAse消化工程を行った後、同じタイプの回収溶液をメンブレンにアプライし、遠心分離によりこのメンブレンを通過させた。フロースルーを収集し、再度アプライし、遠心分離によりこのメンブレンを通過させた。これにより、メンブレン上でのDNase消化の間にメンブレンから遊離した、特に、低分子標的核酸をメンブレンに再び結合させ、これにより回収する。その後、RNAを、対照標準法について上に記載したとおりに、メンブレンから溶離させた(全ての試料を2回処理した)。

単離したRNAを、実施例1に記載した定量的リアルタイムRT−PCR法を使用して分析した。単離したRNAを、製造業者の指示にしたがってmiScript System(QIAGEN)を使用することによるmicro−RNA miR16のアンプリコンの決定に使用した。
測定したct値の平均値(2連のものより導いた)を決定し、図4に示す。ここでもまた、結果は、より低いct値から導くことができるように、本発明による方法を使用することにより、単離したRNA中の低分子RNAの収量がかなり増えることを示している。様々なカオトロピック剤と様々なバッファ成分を回収溶液において使用することができる。
(実施例7:本発明による方法または先行技術のプロトコールによる方法を使用したRNAおよびDNAの単離)
ラットの肝臓由来のFFPE試料(試料は固定およびパラフィン包埋後、室温でおよそ2カ月間保存した)、ラットの腎臓由来のFFPE試料(対応させて、およそ19カ月間保存および包埋した)、およびラットの肺由来のFFPE試料(対応させて、およそ8カ月間保存および包埋した)を使用した。10μmサイズの厚みを有している組織切片を、ミクロトームにかけることにより得た。1つの試料について2枚の切片を使用した。全ての試料を3連で処理した。その後のRNAおよびDNAの単離のために、RNeasy FFPEキット(QIAGEN)およびAllprep DNA RNA FFPEキット(QIAGEN)の成分を、本発明の方法を使用する際に利用した。
あるいは、先行技術であるキットのプロトコールに基づく方法を比較のために使用した。様々な供給業者による以下のキットを使用した:
− FFPE RNA/DNA Purification Kit(NORGEN)
− RecoverAll(商標)Total Nucleic Acid Isolation Kit Optimized for FFPE Samples(Ambion)
− QuickExtract(商標)FFPE RNA Extraction Kit(EPICENTRE)
− RNA and DNA Isolation from FFPE Samples(Macherey−Nagel)。
(本発明による方法)
試料を、1mlのキシロールとともに10秒間ボルテックスすることにより混合し、遠心分離して(2分間、20,000rpm)、上記試料からパラフィンを取り除いた。上清を完全に取り除いた。その後、試料に1mlの96%エタノールを補充し、10秒間ボルテックスすることにより混合し、上記のように遠心分離した。上清を完全に取り除き、試料ペレットを37℃で10分間乾燥させた。
これらのパラフィン除去した試料ペレットを150μlのプロテイナーゼK消化バッファ(バッファPKD、QIAGEN)および10μlのプロテイナーゼK溶液(>600mAU/ml)と混合した。この混合物を56℃で15分間、450rpmの一定速度で振盪させながらインキュベートした。試料を氷上で3分間冷却し、20,000gで15分間、室温で遠心分離した。DNAを含有しているペレットを、DNAを単離するために使用し、含まれるRNAを単離するために上清を収集した。
続いて、これらのRNAを含む上清を、サーモミキサー(thermomixer)上で450rpm、80℃で15分間インキュベートした。その後、いずれの場合にも320μlのカオトロピック溶解バッファ(バッファRLT、QIAGEN)を添加し、得られた混合物に1120μlの96%エタノールを加えた。試薬をピペッティングにより混合し、700μlをシリカメンブレン(RNeasy MinElute Column、QIAGEN)にアプライした。試料を10,000rpmで15秒間の遠心分離によりメンブレンを通過させ、フロースルーは廃棄した。これに基づいて、残りの試料をメンブレンにアプライした。標的核酸を結合させたこのメンブレンを、5M GTC(+25mMのクエン酸Na)が1でイソプロパノールが3の割合からなる350μlの回収溶液(以後、回収溶液と呼ぶ)をこのメンブレンを通過させる(10,000rpmで15秒間の遠心分離)ことにより洗浄した。その後、10μlのDNAse Iと70μlのDNAse反応バッファ(バッファRDD、QIAGEN)とを含む混合物をメンブレンにアプライし、室温で15分間インキュベートした。
このメンブレン上でのDNase消化を行った後、500μlのこの回収溶液をメンブレンにアプライし、遠心分離(15秒間、10,000rpm)によりメンブレンを通過させた。上記のように、フロースルーを収集し、メンブレンに再度アプライし、遠心分離によりメンブレンを通過させた。これにより、メンブレン上でのDNase消化の間にメンブレンから遊離した、特に、低分子標的核酸をメンブレンに再度結合させ、これによって回収した。続いて、メンブレンを、アルコールを含む洗浄バッファ(RPE、QIAGEN)500μlを添加し、上記のように遠心分離によってメンブレンを通過させることによって、2回洗浄した。このメンブレンを、14,000rpmで5分間の遠心分離工程により乾燥させた。全RNAを、30μlのRNAseを含まない水を加え、1分間インキュベーションした後、フルスピードで1分間の遠心分離により溶離させた。
DNAの単離のために、180μlのバッファATL(QIAGEN)と40μlのプロテイナーゼKを各試料ペレットに添加した。ボルテックスした後、試料を56℃で1時間、一定速度で振盪させながらインキュベートした。その後、試料を90℃で2時間、振盪させずにインキュベートした。4μlのRNase A(100mg/ml)をこの混合物に添加し、混合し、そして室温で2分間インキュベートした。試料に200μlのバッファAL(QIAGEN)を加え、混合した。200μlの96%エタノールを添加し、直ちに混合した。この混合物をQIAamp MinEluteカラムにアプライし、8,000gで1分間遠心分離した。フロースルーは廃棄した。試料に700μlのバッファAW1(QIAGEN)を加え、8,000gで1分間遠心分離した。フロースルーは廃棄した。試料に700μlのバッファAW2(QIAGEN)を加え、上記のように遠心分離した。フロースルーは廃棄した。試料に700μlの96%エタノールを加え、上記のように遠心分離した。フロースルーは廃棄した。メンブレンを乾燥させるために、カラムを、蓋をあけた状態で14,000rpmで5分間遠心分離した。30μlのバッファATE(QIAGEN)をカラムのメンブレン上に直接ピペッティングし、続いて、室温でのインキュベーションと、8000gで1分間の遠心分離を行った。30μlの溶離液を、さらなる処理まで、−20℃で保存した。
(先行技術のプロトコールに基づく方法)
FFPE RNA/DNA Purification Kit(NORGEN)を、製造業者の指示にしたがって全RNAおよびDNAの単離に使用した。試料を、RNAおよびDNAそれぞれについて、50℃でおよそ2時間および24時間、プロテイナーゼKとともにインキュベートし、試料を完全に溶解させた。RNAの場合に限り、結合溶液1mlあたり10μlのβ−メルカプトエタノールを添加した。さらなるDNA消化を、10単位のDNase I(QIAGEN)を用いて行った。対応するインキュベーションバッファ中のDNaseをカラムに加え、続いて遠心分離した後、フロースルーを再度アプライし、15分間インキュベートした。
RecoverAll(商標)Total Nucleic Acid Isolation Kit Optimized for FFPE Samples(Ambion)、QuickExtract(商標)the FFPE RNA Extraction Kit(EPICENTRE)、およびキットRNA and DNA Isolation from FFPE Samples(Macherey−Nagel)を、製造業者の指示にしたがって、DNA消化を含む全RNAおよびDNAの単離に利用した。
その後、様々なプロトコールにより単離した核酸を、とりわけ、質、量、単離されたRNA中のDNA混入物質、特に、単離した低分子核酸の収量に関して分析した。結果を図5〜9に示す。
これらの結果は、本発明による方法により、同じ試料からDNAおよびRNAを並行して、しかし別々に単離することができることを示している。ここでは、RNAおよびDNAの単離には、合計でおよそ6時間を要する。したがって、これを1日の作業時間のうちに行うことができる。単離された核酸の質は高かった。単離したRNA中のDNA混入物質は、先行技術の方法と比較するとはるかに少なく、単離した低分子RNAの収量はかなり多かった。
Epicentreプロトコールは非常に迅速であり(RNAおよびDNAについて合計でおよそ1:10時間)、単純である。しかし、得られる「溶離液」は乳汁状、帯黄色であり、濁っていた。さらに、単離したRNAの質は満足できるものではなく、低分子核酸の含量は非常に低かった。Machery−Nagelプロトコールによっては、同じ試料からDNAとRNAを並行して単離することができる。しかし、単離したRNAは、より分解されており、本発明による方法と比較すると、この実施例7で調べたRNAについて、リアルタイムPCRの高いct値を生じた。このプロトコールを使用する場合には、RNAおよびDNAの単離には、合計でおよそ8:30時間を要する。NORGENプロトコールは、非常に時間がかかり(試験した形式では、RNAについてはおよそ5:20時間、DNAについてはおよそ26時間)、これは、非常に長いプロテイナーゼK消化工程(それぞれ、およそ2時間および24時間)により生じる。さらに、結果は、単離したRNA中のDNA混入物質がやや多いことを示している。さらに、低分子RNAの収量はかなり少なかった。Ambionプロトコールは、DNAの回収に16時間のプロテアーゼ消化工程が必要であるので非常に時間がかかり、これは、日常的に行われる研究室での作業の流れと矛盾する。さらに、単離されたRNA中のDNA混入物質は本発明による方法を用いた場合よりも多く、低分子RNAの含量は少なかった。
(MicroRNAの分析)
様々な組織から単離したRNAのサイズ分布を、本発明による方法により達成された改善を明らかにするためにAgilent Bioanalyserを使用して分析した。同量のRNA(ng量)をアプライした(OD測定法により決定した)。肺組織試料(3連で処理した)についての結果を図5に示す。図から明らかであるように、本発明による方法を実行することにより、先行技術のキットプロトコールによる方法と比較して、単離したRNAにおいて低分子標的RNAの高く、かつ信頼できる収量が得られた。これは、低分子RNAの範囲にあるバンドから導くことができる。これらのバンドを、図5において矢印で印をつける。
さらに、本発明による方法により、優れて最高純度の単離されたRNAが得られたことを強調しなければならない。図6は、単離したRNAの逆転写(RT)を行った(+)および単離したRNAの逆転写(RT)を行わなかった(−)リアルタイムPCRによりそれぞれ定量化したcjun mRNAを用いて得られた結果を示す。調べた全ての組織について、得られたct値の差(Δ)は、本発明による方法の場合に、優れて最高の値を示し(QIAGEN)、これは、ゲノムDNAを含む混入物質が最も少ないことを示している。
単離したRNAについて、特定の低分子RNAの収量に対する本発明による方法の有利な効果を分析するために、定量的リアルタイムRT−PCRを行った。この目的のために、20ngの各単離した全RNAを、実施例1に記載した手順およびデバイスにしたがって、microRNA miR29aのアンプリコンを検出するために使用した。測定したct値の平均値(3連のものから導いた)を決定した。その結果を図7に示す。これらの結果は、本発明による方法を使用することにより、先行技術のキットプロトコールに基づく方法により得られた、試料のct値よりもかなり低いct値がもたらされることを示している。本発明による方法を用いて達成されたこれらのより低いct値は、対応する単離された全RNAに多量のmicroRNA miR29aが含まれることに帰因する。ここでもまた、これらの結果は、本発明の方法により単離された全RNAがより多くの低分子核酸を含むこと、すなわち、生物学的試料由来の低分子核酸の収量が増えることを示している。先行技術のキットプロトコールに基づく方法は、本発明による方法よりも低分子標的核酸を再度結合させることにおいて効率が低い。
単離したDNAについて定量的リアルタイムPCRを行った。プリオン78bpについて、測定したct値の平均値(3連のものから導いた)を決定した。それを、使用した等容積および等濃度のDNA試料それぞれについて図8aおよびbにまとめる。プリオン78bpについてのct値は本発明による方法を使用する場合はかなりより低い。
単離したRNAについて、さらに定量的リアルタイムRT−PCRを行った。Madh7について、測定したct値の平均値(3連のものから導いた)を決定した。それを、使用した等容積および等濃度のRNA試料それぞれについて図9aおよびbにまとめる。Madh7についてのct値は本発明による方法を使用する場合はかなりより低い。

Claims (17)

  1. 低分子標的核酸を含む標的核酸を試料から単離する方法であって、少なくとも以下の工程:
    a)該試料をカラムを通過させることにより、該カラムに含まれる核酸結合固相に対して、低分子標的核酸を含む該標的核酸の少なくとも一部を結合させる工程、
    b)該標的核酸を該核酸結合固相に結合させたまま、該固相上で酵素処理および/または化学処理を行う工程、
    c)工程b)の該処理の間に該固相から遊離した該低分子標的核酸の少なくとも一部をフロースルーとして収集する工程、
    d)含まれる低分子標的核酸を核酸結合固相に結合させるために、回収溶液と混合した該低分子標的核酸を含む該フロースルーを該核酸結合固相と接触させる工程、
    を含む、方法。
  2. e)溶離を行う工程
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 工程a)で使用される核酸結合固相がメンブレンである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 工程c)において、回収溶液が前記カラムを通過させられ、低分子標的核酸と該回収溶液を含む前記フロースルーが収集され、そして工程d)で使用されるか、または該フロースルーに含まれる低分子標的核酸を、工程a)で使用された前記核酸結合固相に対して再度結合させるために使用される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 低分子標的核酸を含む標的核酸を試料から単離する方法であって、少なくとも以下の工程:
    a)核酸結合固相に対して、低分子標的核酸を含む該標的核酸の少なくとも一部を結合させる工程であって、該核酸結合固相は核酸結合メンブレンであり、該メンブレンに該試料を通過させることにより、該固相に該標的核酸の少なくとも一部を結合させる工程
    b)該標的核酸を該メンブレンに結合させたまま、該メンブレン上に水溶液を含ませる処理を行う工程、
    c)回収溶液を該メンブレンに通過させて、低分子標的核酸を含むフロースルーを収集する工程、
    d)含まれる該低分子標的核酸を工程a)の該メンブレンに再度結合させるために、該フロースルーを該メンブレンに通過させる工程、
    を含む、方法。
  6. e)前記メンブレンから前記低分子核酸を含む前記標的核酸を溶離させる工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. 水溶液の使用を含み、そしてヌクレアーゼ消化工程、タンパク質消化工程、リパーゼ消化工程、および標的核酸の修飾工程からなる群より選択される酵素処理および/または化学処理が工程b)において行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程b)において行われる処理に、前記核酸結合固相からの前記標的核酸、または、前記低分子標的核酸の少なくとも部分的な遊離を生じる条件が含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、前記回収溶液が以下の特徴:
    a)低分子核酸を工程d)で使用される前記核酸結合固相に結合させるのに適している条件を提供する;
    b)工程a)で使用される低分子核酸を結合させるための結合条件よりも強い該結合条件を提供する;
    c)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子RNAを結合させるのに適している条件を提供する;
    d)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子DNAを結合させるのに適している条件を提供する;
    e)少なくとも1種類のカオトロピック剤および/または少なくとも1種類のアルコールを含む;ならびに/あるいは
    f)少なくとも1種類のカオトロピック剤を0.1〜6Mの濃度で含み、そして/またはエタノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種類のアルコールを少なくとも50%v/vの濃度で含む、
    のうちの1つ以上を有し
    ならびに/あるいは、
    以下の特徴:
    a)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子核酸を結合させるのに適している;
    b)工程a)で使用される低分子核酸の結合のための結合条件よりも強い該結合条件を提供する;
    c)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子RNAを結合させるのに適している;
    d)工程d)で使用される前記核酸結合固相に低分子DNAを結合させるのに適している;
    g)少なくとも1種類のカオトロピック剤および/または少なくとも1種類のアルコールを含む;および/または
    h)少なくとも1種類のカオトロピック剤を0.1〜6Mの濃度で含み、そして/またはエタノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種類のアルコールを、少なくとも50%v/vの濃度で含む、
    のうちの1つ以上を有する結合条件が工程d)において使用される、方法。
  10. 前記標的核酸がRNAである場合には、工程b)においてDNase消化が行われ、あるいは、前記標的核酸がDNAである場合には、RNase消化が行われる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 工程a)において、以下の特徴の1つ以上を有している条件下で結合が行われる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法:
    a)該条件は、全核酸を前記核酸結合固相に結合させるのに適している;
    b)該条件は、低分子RNAを含む全RNAを前記核酸結合固相に結合させるのに適している;
    c)該条件は、低分子DNAを含む全DNAを前記核酸結合固相に結合させるのに適している;および/または
    d)結合が、少なくとも1種類のカオトロピック剤および/または少なくとも1種類のアルコールの存在下で起こる。
  12. 前記試料が、工程a)の前または工程a)の間に溶解させられるかあるいは処理される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記試料に低分子核酸および/または分解した核酸が含まれる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記試料が、細胞、臨床試料、体液、組織、血液、血液生成物、植物、細菌、ウイルス、真菌、ヒトおよび動物試料材料、環境試料、単離された核酸、溶解物、溶離物、固定された試料、架橋された試料、およびFFPE試料から選択される、ならびに/あるいは、これらからなる群より選択される試料に由来する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. メンブレン上での処理の間に核酸結合メンブレンから遊離した収集された低分子核酸を核酸結合固相に再度結合させるための、低分子核酸を該メンブレンに結合させることができる回収溶液の使用。
  16. 前記低分子核酸の少なくとも一部が、前記メンブレンから遊離した後に該メンブレンの下に存在する、請求項15に記載の使用。
  17. 前記回収溶液が以下の特徴:
    a)低分子核酸を核酸結合固相に結合させるのに適している条件を提供する;
    b)前記低分子核酸を遊離させる前記メンブレンに低分子核酸を結合させるために使用される結合条件よりも強い結合条件を、低分子核酸の結合に提供する;
    c)核酸結合固相に低分子RNAを結合させるのに適している条件を提供する;
    d)核酸結合固相に低分子DNAを結合させるのに適している条件を提供する;
    e)少なくとも1種類のカオトロピック剤および/または少なくとも1種類のアルコールを含む;ならびに/あるいは
    f)少なくとも1種類のカオトロピック剤を0.1〜6Mの濃度で含み、そして/またはエタノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種類のアルコールを少なくとも50%v/vの濃度で含む、
    のうちの1つ以上を有している、請求項15または16に記載の使用。
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