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JP6088470B2 - 水性分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷適性を改善するため、電子写真印刷に用いる記録媒体へ付与するための水性分散液に関する。
電子写真印刷は、複写機をはじめ、店頭端末印刷機、ファクシミリ、少部数印刷機など様々な分野に適用されている。
電子写真印刷に使用されるトナーは、乾式トナーと湿式トナーに大別される。湿式トナーは、乾式トナーと比べて、トナー粒子の飛散が少ないことまたトナー粒子が微細化できることから高画質の印刷に好適である。
デジタル印刷用基体および液体電子写真式(LEP)印刷における基体のLEPインクへの付着を改善する方法として、1ミクロン未満の粒径を有する鉱物性顔料を4.5%〜9.5重量%、および有機バインダーを0.5%〜2重量%含み、前記鉱物性顔料および前記有機バインダーが、水中で均一に拡散されており、前記有機バインダーが、50,000を超える平均分子量を有するヒドロキシル化ポリマーを含み、該ヒドロキシル化ポリマー中のヒドロキシル基の重量パーセントが、LEPインク中の酸性基の重量パーセント以上であり、前記基体の表面上で乾燥させる複合コーティングが公知である(例えば、特許文献1参照)。
また、トナー付着改善、耐久性および耐退色性を有するように液体トナーを用いる電子写真印刷アプリケーション用の紙面処理として、1またはそれ以上のエチレン−アクリル酸ポリマーおよび有効分散量の1またはそれ以上のN,N−ジアルキルアルカノールアミンを具える水性分散液が公知である(例えば、特許文献2参照)。
また、トナー定着性が良好で、長期保存や加熱処理によっても顕著に黄変せず、優れた記録画像が得られる電子写真用被記録シートとして、シート状基材の少なくとも一方の表面がトナー受容性処理された電子写真用被記録シートにおいて、前記トナー受容性処理が、アミノ基含有アクリル系樹脂、ロジンエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、オレフィン−アクリル系樹脂及びオレフィン−マレイン酸系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む処理剤によりなされたことを特徴とする電子写真用被記録シートが公知である(例えば、特許文献3参照)。
特開2011−529198号公報 特開2008−520801号公報 特開2005−301186号公報
電子写真印刷において、トナーは、感光体ロールに形成される静電画像に吸着し、感光体ロールから記録媒体または感光体ロールからブランケットロールを介して記録媒体へ転写される。そして転写されたトナーは、加熱されることによって記録媒体に定着する。従って、トナーと記録媒体との間では、記録媒体への転写性と定着性が要求される。転写性に劣ると感光体ロールやブランケットロールの汚れや印刷物の色濃度低下を招くおそれがある。定着性に劣るとトナーの剥離あるいは他の記録媒体へトナーの転移を招くおそれがある。転移は、トナーと記録媒体との物理的な強度だけでなく、記録媒体との化学的な親和性が影響すると考えられる。また、電子写真印刷後の記録媒体が、画像部・非画像部に関係なく、変色しない耐変色性が要求される。
特許文献1に記載される複合コーティングでは、テープ剥離試験によって評価される定着性を向上するが転写性が不十分である。特許文献2に記載される水性分散液では、テープ剥離試験によって評価される定着性が向上するが、耐変色性が不十分である。特許文献3に記載される処理剤では、テープ剥離試験によって評価される定着性が向上するが、転写性が不十分である。
本発明の目的は、電子写真印刷に用いる記録媒体へ付与して、記録媒体の転写性・定着性を改善し、耐変色性を劣化させない水性分散液を提供することである。
本発明の上記の目的は、電子写真印刷に用いる記録媒体へ付与するための水性分散液であって、スチレン−アクリル酸系共重合体の存在下で1種以上のモノマー化合物を乳化重合させてなる複合体、およびアイオノマー樹脂を少なくとも含有する水性分散液により基本的に達成される。
好ましくは、スチレン−アクリル酸系共重合体のガラス転移温度が、120℃以上140℃以下である。
また好ましくは、スチレン−アクリル酸系共重合体の酸価が、150mg/g以上170mg/g以下である。
電子写真印刷に用いる記録媒体に付与して、記録媒体の転写性・定着性を改善し、耐変色性を劣化させない水性分散液を提供することができる。かかる水溶性分散液を付与された記録媒体は、転写性・定着性が改善され、耐変色性が劣化しない。
本発明の水性分散液はアイオノマー樹脂を含有する。アイオノマー樹脂は、従来公知のアイオノマー樹脂である。好ましいアイオノマー樹脂は、ポリエチレンを主成分としポリマー連鎖間にナトリウムや亜鉛などの金属イオン結合を有するエチレン系アイオノマー樹脂である。
エチレン系アイオノマー樹脂とは、エチレンを含むα−オレフィンと、α,β−不飽和カルボン酸との共重合体に、原子価が1〜3の金属イオンが付加したイオン性共重合体であり、例えば、以下のような金属イオンによる分子間架橋構造を有する。
Figure 0006088470
式中、Mは原子価が1〜3の金属イオンであり、m及びnは、任意の整数である。
ここで、α,β−不飽和カルボン酸の代表例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などを挙げることができる。また、原子価が1〜3の金属イオンの代表例としては、Na、K、Ca2+、Zn2+、Al3+などを挙げることができる。エチレン系アイオノマー樹脂は、例えば、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー樹脂またはエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー樹脂と多価エポキシ化合物との架橋体を挙げることができる。
エチレン系アイオノマー樹脂の合成は、例えば、DuPont法を挙げることができる。すなわち、エチレン系アイオノマー樹脂は、エチレンと不飽和カルボン酸との高圧ラジカル重合法によりエチレン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体を合成し、続いてアルカリ金属や遷移金属陽イオン等とエチレン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体との中和反応により製造される。アイオノマー樹脂には、例えば、三井化学(株)製のケミパールのSタイプ、住友精化(株)製のザイクセン、丸芳化学(株)製のアイオノマーディスパージョンなど市販品を用いることができる。
アイオノマー樹脂の水性分散液中の含有濃度は、5質量%以上15質量%以下が好ましい。この理由は、水性分散液の液安定性が得られ、転写性や定着性が、より良好になるからである。
本発明の水性分散液は、スチレン−アクリル酸系共重合体の存在下で1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる複合体(以下、「複合体」と記載する)を含有する。
かかる複合体は、スチレン−アクリル酸系共重合体の存在下で1種以上のモノマー化合物を乳化重合することによって、スチレン−アクリル酸系共重合体とモノマー化合物とは化学結合せず、1種以上のモノマー化合物が乳化重合して得られる重合体はスチレン−アクリル酸系共重合体を吸着した状態またはスチレン−アクリル酸系共重合体の分子鎖と絡み合いを形成した状態で複合化する。
複合体を形成する1種以上のモノマー化合物が乳化重合して得られる重合体は、ガラス転移温度80℃以上110℃以下が好ましい。この理由は、定着性が、より良好になるからである。
また、複合体を形成するスチレン−アクリル酸系共重合体は、ガラス転移温度120℃以上140℃以下が好ましい。この理由は、定着性が、より良好になるからである。
また、複合体を形成するスチレン−アクリル酸系共重合体は、酸価150mg/g以上170mg/g以下が好ましい。この理由は、定着性が、より良好になるからである。
本発明の酸価とは、JIS K 0070−1992(中和滴定法)に基づいて求められる酸価である。具体的には、樹脂1g中に存在する遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数である。
複合体の水性分散液中の含有濃度は、3質量%以上12質量%以下が好ましい。この理由は、水性分散液の液安定性が得られるからである。
本発明の複合体は、例えば、以下の方法によって調製することができる。
通常の乳化重合は、水を媒体とし、水中に乳化剤または界面活性剤を加えてミセルを形成させ、これに1種以上のモノマー化合物を添加し、水に可溶な重合開始剤(例:過硫酸カリウム、過酸化水素など)を用いてミセル内で重合を行う方法である。この乳化重合において、通常の乳化剤に加えてまたは代えて、スチレン−アクリル酸系共重合体を添加して乳化重合することによって、本発明にかかる複合体を調製することができる。スチレン−アクリル酸系共重合体は、予め、従来公知の溶液重合、バルク重合または乳化重合により調製する。
1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる重合体およびスチレン−アクリル酸系共重合体のガラス転移温度は、単独重合体の場合についてPolymer Handbook J.BRANDRUF/E.H.IMMERGUTによって算出され、共重合体について次の数式1より算出される値である。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・Wn/Tgn (数式1)
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tg1,Tg2・・・:各成分の単独重合体のガラス転移温度(K)
W1,W2・・・・・:各成分の質量分率
複合体のモノマー化合物は従来公知のモノマー化合物である。モノマー化合物は、例えば、高分子学会編「高分子の物性II、高分子実験学講座4」共立出版、51頁(1959年)など学術文献に記載する各種樹脂のガラス転移温度を参考に所望のガラス転移温度となるよう1種以上を選択される。
ガラス転移温度は、例えば、アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸、塩化ビニル酸等の単独重合体としてのガラス転移温度の比較的高いモノマー化合物と、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、エチレン、ブタジエン、プロピレン等の単独重合体としてのガラス転移温度の比較的低いモノマー化合物とを重合時の添加比率を組み合わせることによって調整することができる。1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる重合体の粒子径は、乳化重合に用いる乳化剤、界面活性剤またはスチレン−アクリル酸系共重合体によって形成されるミセルサイズ、ラジカルの連鎖移動剤の添加量を調整することによって制御することができる。
本発明において、1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる重合体に用いられるモノマー化合物は従来公知のものであって、特に、スチレン系モノマー化合物またはアクリル酸系モノマー化合物が好ましい。
本発明において、スチレン系モノマー化合物とは、スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル基に置換基を有するスチレン誘導体、およびビニルトルエン、p−クロルスチレンなどのベンゼン環に置換基を有する誘導体である。置換基は、特に限定されないが、1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる重合体との複合化が良好になる点から炭素数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン、または水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基など親水性基が好ましい。
本発明において、アクリル酸系モノマー化合物とは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれるモノマー化合物であり、アクリルアミドやメタクリルアミドも含まれる。アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの場合は、1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる重合体との複合化が良好になる点から炭素数1以上5以下の短鎖脂肪族系のエステルが好ましい。
本発明において、スチレン−アクリル酸系共重合体とは、モノマー化合物としてスチレン系モノマー化合物およびアクリル酸系モノマー化合物を有する共重合体であって、共重合体におけるモノマー化合物の比率がスチレン系モノマー化合物とアクリル酸系モノマー化合物とで50モル%以上且つ各々が20モル%以上を占めている共重合体をいう。スチレン系モノマー化合物およびアクリル酸系モノマー化合物以外に、単独重合体としてのガラス転移温度の高いモノマー化合物を共重合することで、スチレン−アクリル酸系共重合体のガラス転移温度を高めることができる。
本発明の水性分散液は、従来公知の無機顔料または有機顔料を含有することができる。無機顔料の例としては、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、シリカアルミナ複合体、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどを挙げることができる。有機顔料の例としては、オレフィン樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ウレタン樹脂など各種樹脂からなる粒子を挙げることができる。無機顔料または有機顔料を含有することによって、分散液を付与された記録媒体は、印刷機に対する搬送性の向上を図ることができる。
本発明の水性分散液は、帯電防止剤を含有することができる。帯電防止剤は、カチオン界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などの帯電防止剤として従来公知の界面活性剤が好ましい。
本発明において、界面活性剤は、アルキルベタイン構造または脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する界面活性剤が特に好ましい。脂肪族のアルキルベタイン構造または脂肪酸アミドプロピルベタイン構造を有する界面活性剤を含有することによって、分散液を付与された記録媒体の帯電防止を図ることができるばかりか、記録媒体の定着性を、より改善することができる。
本発明の水性分散液は、他に各種無機酸、有機酸、pH調整剤、画像保存剤、着色剤、増粘剤など従来公知の添加剤を適宜含有することができる。
本発明の記録媒体は、電子写真印刷に使用される従来公知の記録媒体である。記録媒体の例としては、各種抄造紙、普通紙、上質紙、微塗工紙、塗工紙、樹脂被覆紙、各種樹脂シートおよび金属シートを挙げることができる。本発明の記録媒体は、樹脂シートであることが好ましい。
樹脂シートの素材の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、結晶性ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、セルロイドなどを挙げることができる。
本発明において、「水性分散液を記録媒体へ付与する」とは、トナーが転写される前に、水性分散液を記録媒体の印刷面全面に供給し、乾燥させることをいう。付与は、トナーが転写される前であれば特に制限されない。供給方法には、従来公知の塗工方式、インクジェット方式、スプレー方式、ディップ方式を挙げることができる。
乾燥方法には、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等各種乾燥装置を挙げることができる。
水性分散液の付与量は、片面あたり乾燥固形分量で0.5g/m以上2g/m以下が好ましい。
本発明の好ましい態様は、本発明の水性分散液を用いて電子写真印刷される印刷物であって、本発明の水性分散液が付与された記録媒体を用いて電子写真印刷を実施することによって、記録媒体の転写性・定着性が改善されて色濃度や画質に優れる印刷物を提供することができる。
さらに、本発明の好ましい態様は、本発明の水性分散液を用いる電子写真印刷による画像形成方法であって、感光体ロールやブランケットロールの汚れを抑制することができ且つ記録媒体の転写性・定着性が改善されて色濃度や画質に優れる印刷物を得ることができる画像形成方法を提供することができる。
水性分散液の記録媒体への付与は、記録媒体の両面に行うことが好ましい。この理由は、記録媒体の両面において転写性・定着性が改善されるからである。
以下では、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例において質量部および質量%は、特に説明のない限り、実質成分または乾燥固形分の質量部および質量%である。
(スチレン−アクリル酸系共重合体の調製)
スチレン−アクリル酸系共重合体として、スチレン系モノマー化合物としてスチレンを、アクリル酸系モノマー化合物としてアクリル酸、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルを用いた。所定のガラス転移温度および酸価になるように各モノマー化合物の質量比率を変化させて溶液重合を行い、各ガラス転移温度の値を有するスチレン−アクリル酸系共重合体を得た。ガラス転移温度および酸価は表1に記載する。
(アクリル酸系共重合体の調製)
50モル%以上がアクリル酸系モノマー化合物である共重合として、アクリル酸系モノマー化合物としてアクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルを用いた。所定のガラス転移温度および酸価になるように各モノマー化合物の質量比率を変化させて溶液重合を行い、アクリル酸系共重合体を得た。ガラス転移温度および酸価は表1に記載する。ここでは、スチレン系モノマー化合物は使用しない。
(複合体の調製)
主なモノマー化合物として、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリルアミドを用いた。得られる重合体が所定のガラス転移温度になるようにモノマー化合物を1種以上選択し、複数の場合はモノマー化合物の質量比率を変化させて乳化重合を行った。α−メチルスチレン、アクリルアミドまたはメタクリル酸の質量比率が増えると得られる重合体のガラス点温度が高くなる。また、アクリル酸メチルの質量比率が増えると得られる重合体のガラス転移温度が低くなる。
アルカリ性の水溶液に、上記のスチレン−アクリル酸系共重合体またはアクリル酸系共重合体の濃度が1.8質量%になるように添加し加熱・撹拌し溶解した。さらに補助的に乳化剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を濃度が0.5質量%になるように加えた。これに、モノマー化合物の濃度が40質量%になるように添加し、さらに重合開始剤を添加して加熱・撹拌し乳化重合を行い、各複合体を得た。
(非複合体の調製)
主なモノマー化合物として、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリルアミドを用いた。得られる重合体が所定のガラス転移温度になるようにモノマー化合物を1種以上選択し、複数の場合はモノマー化合物の質量比率を変化させて乳化重合を行った。
水に、乳化剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を濃度が2質量%になるように加える。これに、モノマー化合物の濃度が40質量%になるように添加し、さらに重合開始剤を添加して加熱・撹拌し乳化重合を行い、非複合体を得た。
1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる重合体のガラス転移温度は、前記の複合体または非複合体の調製に用いられるモノマー化合物の種類・質量比率によって乳化重合して得られる重合体のガラス転移温度であって、表1に記載する。
(水性分散液の調製)
水性分散液は、水に対して最終的に成分濃度が17質量%となるように配合した。
アイオノマー樹脂 含有濃度は表1に記載
複合体 含有濃度は表1に記載
ここで、アイオノマー樹脂には三井化学社製のケミパールS75Nを用いた。
Figure 0006088470
さらに、比較例4として下記の水性分散液を用いた。
水性分散液は、水に対して最終的に成分濃度が17質量%となるように配合した。
アイオノマー樹脂 10.2質量%
非複合体 5.6質量%
スチレン−アクリル酸系共重合体 1.2質量%
ここで、非複合体のガラス転移温度は102℃、スチレン−アクリル酸系共重合体のガラス転移温度は123℃、酸価158mg/gであった。
比較例5として下記の水性分散液を用いた。
水性分散液は、水に対して最終的に成分濃度が17質量%となるように配合した。
アイオノマー樹脂 10.2質量%
非複合体 6.8質量%
ここで、非複合体のガラス転移温度は104℃である。
比較例6として下記の水性分散液を用いた。
水性分散液は、水に対して最終的に成分濃度が6質量%となるように配合した。
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA124) 1.0質量%
炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、タマパールTP1217C) 5.0質量%
比較例7として下記の水性分散液を用いた。
水性分散液は、水に対して最終的に成分濃度が12.8質量%となるように配合した。
アイオノマー樹脂 10.0質量%
N,N−ジエチルエタノールアミン 2.2質量%
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 0.6質量%
比較例8として下記の水性分散液を用いた。
水性分散液は、水に対して最終的に成分濃度が2.0質量%となるように配合した。
アミノ基含有アクリル系樹脂(中央理化工業社製、リカボンドET−8)
0.5質量%
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117) 1.5質量%
(記録媒体の前処理および電子写真印刷)
記録媒体として、表面をコロナ放電処理したポリエチレンテレフタレートシート(帝人デュポンフィルム社製、テイジンテトロンフィルムU2)を用いた。記録媒体上に、上記の水性分散液を付与して乾燥後した。付与量は、比較例7および8を除き、乾燥固形分量として1.0g/mとした。比較例7は0.8g/m、比較例8は0.4g/mとした。
これら前処理された記録媒体を、湿式トナーを使用する電子写真印刷機:HP Indigo 5500Digital Pressを用いて、標準4色、8ビットモード、1219dpiの条件で所定の評価画像の印刷を行った。
また、比較例9として、水性分散液を付与しない、表面をコロナ放電処理したポリエチレンテレフタレートシート(帝人デュポンフィルム社製、テイジンテトロンフィルムU2)を記録媒体として用いた。
(転写性の評価)
ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの単色、色濃度100%(色の光学濃度)の画像部分および非画像部分について、色濃度低下、汚れ、カブリあるいはゴースト画像の発現状態を目視にて観察した。観察結果から、転写性は、下記の基準により評価した。本発明では、評価3または4であれば、転写性が改善されているものとする。
4:良好。
3:色濃度低下、汚れ、カブリまたはゴースト画像が僅かに認められるが、概ね良好。
2:色濃度低下、汚れ、カブリまたはゴースト画像が認められるが、実用レベル。
1:実用不可。
(定着性1の評価)
印刷が完了してから10分経過後に、ブラック・シアン・マゼンタ・イエローの単色、色濃度100%(色の光学濃度)のベタ画像部分にセロファンテープを貼り付け、次にテープを剥がした。このとき、剥がしたテープに付着するトナーを観察した。観察結果から、定着性は、下記の基準により評価した。本発明では、評価4または5であれば、定着性が改善されているものとする。
5:テープにトナーの付着が無く、良好。
4:テープにトナーの付着が僅かに認められるが、概ね良好。
3:テープにトナーの付着が認められるが、実用レベル。
2:テープにトナーの付着が多く認められ、実用不可レベル。
1:テープにトナーがほぼ全て付着し、実用不可レベル。
(定着性2の評価)
ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの単色、色濃度100%(色の光学濃度)のベタ画像、および前記各色の色濃度100%(色の光学濃度)のコンポジット(都合400%(色の光学濃度))ベタ画像を印刷した。印刷10分経過後に、A4サイズの2枚の記録媒体を印刷した面どうしが合わさるように置き、その上に210mm×294mmサイズの5kgのステンレス板を載せて24時間放置した。24時間後、記録媒体間で転移したトナーを観察した。観察結果から、定着性は、下記の基準により評価した。本発明では、評価3または4であれば、定着性が改善されているものとする。
4:転移が無く、良好。
3:4色コンポジットで転移が僅かに認められるが、概ね良好。
2:転移が僅かに認められるが、実用レベル。
1:転移が認められ、実用不可レベル。
(耐変色性の評価)
記録媒体にキセノン・フェードメーター23℃/65%RH環境下にて70,000luxのキセノン光を120時間照射した。照射する前後でのbの変動量をΔbとし、下記のように評価した。本発明では、評価3または4であれば、耐変色性が劣化していないものとする。
4:Δbが0.50未満であり、耐変色性が良好。
3:Δbが0.50以上、1.00未満であり、耐変色性が概ね良好。
2:Δbが1.00以上、2.00未満であり、耐変色性に劣り、色再現に影響。
1:Δbが2.00以上であり、耐変色性に劣り、実用不可レベル。
評価結果を表2に示す。
Figure 0006088470
表2から明らかなように、本発明に相当する実施例1〜13の水性分散液は、記録媒体へ付与することによって、記録媒体の転写性・定着性を改善し、耐変色性を劣化させないことが分かる。本発明に相当しない比較例1〜8の水性分散液は、本発明にかかる効果の全てを満足することができないと分かる。
特に実施例1〜5の対比から、スチレン−アクリル酸系共重合体の存在下で1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる複合体において、1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる重合体のガラス転移温度が80℃以上110℃以下であることが好ましいと分かる。また、特に実施例3および実施例6〜9の対比から、スチレン−アクリル酸系共重合体の存在下で1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる複合体において、スチレン−アクリル酸系共重合体のガラス転移温度が120℃以上140℃以下であることが好ましいと分かる。また、特に実施例3および実施例11〜13の対比から、スチレン−アクリル酸系共重合体の存在下で1種以上のモノマー化合物を乳化重合して得られる複合体において、スチレン−アクリル酸系共重合体の酸価が150mg/g以上170mg/g以下であることが好ましいと分かる。

Claims (5)

  1. 電子写真印刷に用いる記録媒体へ付与するための水性分散液であって、スチレン−アクリル酸系共重合体の存在下で1種以上のモノマー化合物を乳化重合させてなる複合体、およびアイオノマー樹脂を少なくとも含有する水性分散液。
  2. スチレン−アクリル酸系共重合体のガラス転移温度が、120℃以上140℃以下である請求項1に記載の水性分散液。
  3. スチレン−アクリル酸系共重合体の酸価が、150mg/g以上170mg/g以下である請求項2に記載の水性分散液。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の水性分散液を記録媒体の印刷面に付与した記録媒体の印刷面に、電子写真方式によって画像が形成された印刷物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の水性分散液を記録媒体の印刷面に付与し、付与された面に、電子写真方式によって画像を形成する画像形成方法。
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