語「例示的な」は、本明細書では、「一例または例示として働くこと」を意味するのに使用されている。本明細書で「例示的な」実施形態として説明する実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいかあるいは有利であると解釈すべきものではない。
添付の図面に関連して以下に記載された詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態について説明するためのものであり、本発明を実施できる実施形態のみを表すものではない。この説明全体にわたって使用される語「例示的な」は、「一例または例示として働くこと」を意味し、必ずしも他の例示的な実施形態よりも好ましいかあるいは有利であると解釈すべき語ではない。詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を完全に理解できるようにするための特定の詳細を含む。当業者には、本発明の例示的な実施形態をこれらの特定の詳細なしで実施できることが明らかであろう。いくつかの例では、本明細書で提示される例示的な実施形態の新規性をあいまいにするのを避けるために公知の構造および装置がブロック図形式で示されている。
語「無線電力」は、本明細書では電場、磁場、電磁場に関連する任意の形態のエネルギー、または物理的な電磁導体を使用せずに送信器から受信器に伝送される他のエネルギーを意味するのに使用される。
図1は、本発明の様々な例示的な実施形態による無線伝送または充電システム100を示している。エネルギー伝達を実現する放射界106を生成する入力電力102が送信器104に供給される。受信器108が、放射界106に結合され、出力電力110に結合されたデバイス(不図示)によって蓄積または消費される出力電力110を生成する。送信器104と受信器108とは距離112だけ離れている。例示的な一実施形態では、送信器104と受信器108は、相互共振関係に従って構成され、受信器108の共振周波数と送信器104の共振周波数がまったく同一であると、送信器104と受信器108との間の伝送損失は、受信器108が放射界106の「近接場」に配置されているときには最小限である。
送信器104は、エネルギー伝達手段を実現する送信アンテナ114をさらに含み、受信器108は、エネルギー受信手段を実現する受信アンテナ118をさらに含む。送信アンテナおよび受信アンテナは、用途および組み合わされるデバイスに応じてサイズを有する。上述のように、電磁波中のエネルギーの大部分を遠距離場に伝搬させるのではなく送信側アンテナの近接場内のエネルギーの大部分を受信側アンテナに結合することによって、効率的なエネルギー伝達が行われる。この近接場では、送信アンテナ114と受信アンテナ118との間に結合モードを確立することができる。この近接場結合を生じさせることができるアンテナ114および118の周りの領域を本明細書では結合モード領域と呼ぶ。
図2は、無線電力伝送システムの簡略化された概略図である。送信器104は、発振器122と、電力増幅器124と、フィルタ整合回路126とを含む。発振器は、調整信号123に応答して調整することのできる所望の周波数を生成するように構成されている。発振器信号は、電力増幅器124によって制御信号125に応じた増幅量だけ増幅することができる。フィルタ整合回路126を含めることによって、高調波または他の不要な周波数を除外し、かつ送信器104のインピーダンスを送信アンテナ114に整合させることができる。
受信器は、整合回路132と、図2に示されているように電池136を充電するDC電力出力を生成するか、あるいは受信器(不図示)に結合されたデバイスに電力を供給する整流器切り替え回路とを含んでよい。整合回路132を含めることによって、受信器108のインピーダンスを受信アンテナ118に整合させることができる。
図3に示されているように、例示的な実施形態で使用されるアンテナは、本明細書では「磁気アンテナ」と呼ばれることもある「ループ」アンテナ150として構成することができる。ループアンテナは、空芯、またはフェライト磁芯のような物理的磁芯を含むように構成することができる。空芯ループアンテナは、磁芯の近傍に配置された外部の物理的デバイスに対してより高い許容度を有することができる。さらに、空芯ループアンテナでは、磁芯領域内に他の構成部材を配置することができる。また、空芯ループは、送信アンテナ114(図2)の結合モード領域がより強力になる送信アンテナ114(図2)の平面内に受信アンテナ118(図2)を配置するのをより容易に可能にすることができる。
前述のように、送信器104と受信器108との間で効率的なエネルギー伝達が行われるのは、送信器104と受信器108との共振が整合しているかあるいはほぼ整合しているときである。しかし、送信器104と受信器108との共振が整合していないときでも、エネルギーをより低い効率で伝達することができる。エネルギーの伝達は、送信側アンテナからのエネルギーを自由空間中に伝搬するのではなく、送信側アンテナの近接場からのエネルギーを、この近接場が確立される近傍に存在する受信側アンテナに結合することによって行われる。
ループまたは磁気アンテナの共振周波数はインダクタンスおよびキャパシタンスに基づく周波数である。ループアンテナ内のインダクタンスは一般に、ループによって形成される単なるインダクタンスであり、一方、キャパシタンスは一般に、ループアンテナのインダクタンスに付加されて所望の共振周波数で共振構造を形成する。非制限的な例として、キャパシタ152およびキャパシタ154をアンテナに付加して、共振信号156を生成する共振回路を形成することができる。したがって、より直径の大きなループアンテナでは、共振を誘導するのに必要なキャパシタンスのサイズは、ループの直径またはインダクタンスが大きくなるにつれて小さくなる。さらに、ループまたは磁気アンテナの直径が大きくなるにつれて、近接場の効率的なエネルギー伝達領域が広くなる。もちろん、他の共振回路が可能である。他の非制限的な例として、キャパシタをループアンテナの2つの端子間に並列させることができる。また、当業者には、送信アンテナの場合、共振信号156がループアンテナ150への入力であってよいことが認識されよう。
本発明の例示的な実施形態は、互いに近接場に位置する2つのアンテナ間で電力を結合することを含む。前述のように、近接場は、電磁場が存在するが、アンテナから伝搬することもあるいは放射することもできないアンテナの周囲の領域である。電磁場は通常、アンテナの物理量に近い体積に制限される。本発明の例示的な実施形態では、一巻きループアンテナや多巻きループアンテナなどの磁気式アンテナが送信アンテナシステム(Tx)と受信アンテナシステム(Rx)の両方に使用される。というのは、電気式アンテナ(たとえば、小型ダイポール)の電気近接場と比べて磁気式アンテナの方が磁気近接場振幅が高くなる傾向があるからである。このため、場合によっては送信器と受信器との間の結合力をより強くすることができる。さらに、「電気」アンテナ(たとえば、ダイポールおよびモノポール)または磁気アンテナと電気アンテナの組合せも考えられる。
Txアンテナは、前述の遠距離場誘導手法によって許容されるよりも著しく遠い距離に位置する小型Rxアンテナとの良好な結合(たとえば、>-4dB)を実現できるほど低い周波数で、かつ該結合を実現できるほど大きいアンテナサイズで動作させることができる。Txアンテナのサイズが適切である場合、ホストデバイス上のRxアンテナが、駆動されるTxループアンテナの結合モード領域(すなわち、近接場)内に配置されたときに高い結合レベル(たとえば、-2dB〜-4dB)を実現することができる。
図4は、送信アンテナと受信アンテナとの間の結合強度を示すシミュレーション結果を示している。曲線170および172はそれぞれ、送信アンテナおよび受信アンテナによる電力の受け入れ度を示している。言い換えれば、大きい負の数では、インピーダンスの整合度が非常に高く、大部分の電力が受け入れられ、その結果、送信アンテナによって放射される。逆に、小さい負の数は、所与の周波数ではインピーダンスの整合度が高くないため、大部分の電力がアンテナから反射されることを示している。図4では、送信アンテナと受信アンテナは、約13.56MHzの共振周波数を有するように同調される。
曲線170は、様々な周波数で送信アンテナから伝送される電力の量を示している。したがって、約13.528MHzおよび13.593MHzに対応する点1aおよび3aでは、大部分の電力が反射され、送信アンテナから送信されることはない。しかし、13.56MHzに対応する点2aでは、大量の電力が受け入れられ、アンテナから送信されることが分かる。
同様に、曲線172は、様々な周波数で受信アンテナによって受信される電力の量を示している。したがって、約13.528MHzおよび13.593MHzに対応する点1bおよび3bでは、大部分の電力が反射され、受信アンテナを通して受信器に伝達されることはない。しかし、約13.56MHzに対応する点2bでは、大量の電力が受信アンテナによって受け入れられ、受信器内に伝達されることが分かる。
曲線174は、送信アンテナを通して送信器から送信され、受信アンテナを通して受信され受信器に伝達された後、受信器によって受信される電力の量を示している。したがって、約13.528MHzおよび13.593MHzに対応する点1cおよび3cでは、送信器から送信された電力の大部分は受信器では利用できない。これは、(1)送信アンテナが、送信器から受信器に送信された電力の大部分を拒絶し、(2)送信アンテナと受信アンテナとの間の結合が、共振周波数から離れるにつれて非効率的になるためである。しかし、約13.56MHzに対応する点2cでは、送信器から送信される大量の電力を受信器で利用することができ、送信アンテナと受信アンテナとの間の高度の結合が生じることが分かる。
図5Aおよび5Bは、本発明の例示的な実施形態による送信アンテナおよび受信アンテナ用のループアンテナの構成を示している。ループアンテナは、広範囲のサイズを有する単一ループまたは複数ループを含め、多数の異なる方法で構成することができる。また、ループは、一例に過ぎないが円形、楕円形、方形、矩形のようないくつかの異なる形状を有してよい。図5Aは、大型の方形ループアンテナ114Sと、送信アンテナ114Sと同じ平面内にかつ送信アンテナ114Sの中心近くに配置された小型の方形ループ受信アンテナ118とを示している。図5Bは、大型の円形ループ送信アンテナ114Cと、送信アンテナ114Cと同じ平面内にかつ送信アンテナ114Cの中心近くに配置された小型の方形ループ受信アンテナ118'とを示している。方形ループ送信アンテナ114Sは、辺長「a」を有し、一方、円形ループ送信アンテナ114Cは直径「Φ」を有する。方形ループの場合、直径をΦeq = 4a/πと定義することができる等価円形ループがあることが分かる。
図6は、図4Aおよび4Bに示されている方形および円形の送信アンテナの様々な周囲に対する送信アンテナと受信アンテナとの結合強度を示すシミュレーション結果を示している。したがって、曲線180は、円形ループ送信アンテナ114Cの様々な周囲サイズでの円形ループ送信アンテナ114Cと受信アンテナ118との結合強度を示している。同様に、曲線182は、方形ループ送信アンテナ114Sの様々な等価周囲サイズでの方形ループ送信アンテナ114Sと受信アンテナ118'との結合強度を示している。
図7は、図5Aおよび5Bに示されている方形および円形の送信アンテナの様々な表面積に対する送信アンテナと受信アンテナとの結合強度を示すシミュレーション結果を示している。したがって、曲線190は、円形ループ送信アンテナ114Cの様々な表面積に対する円形ループ送信アンテナ114Cと受信アンテナ118との結合強度を示している。同様に、曲線192は、方形ループ送信アンテナ114Sの様々な表面積に対する方形ループ送信アンテナ114Sと受信アンテナ118'との結合強度を示している。
図8は、同一平面および同軸配置における結合強度を例示するために送信アンテナに対する受信アンテナの様々な配置点を示している。「同一平面内」は、本明細書で使用されるときは、送信アンテナと受信アンテナが、ほぼ揃えられた(ほとんど同じ方向を指し示す面法線を有する)平面を有し、送信アンテナの平面と受信アンテナの平面との間に距離がない(あるいはわずかな距離を有する)ことを意味する。「同軸」は、本明細書で使用されるときは、送信アンテナと受信アンテナが、ほぼ揃えられた(ほとんど同じ方向を指し示す面法線を有する)平面を有し、2つの平面間の距離がわずかな距離ではなく、さらに送信アンテナと受信アンテナの面法線がほぼ同じベクトルに沿って位置しているかあるいは2つの法線が階層状であることを意味する。
一例として、点p1、p2、p3、およびp7はすべて、送信アンテナに対する受信アンテナのすべての同一平面内配置点である。他の例として、点p5およびp6は送信アンテナに対する受信アンテナの同軸配置点である。以下の表は、図8に示されている様々な配置点(p1〜p7)での結合強度(S21)および結合効率(送信アンテナから伝送された電力のうちで受信アンテナに到達した電力の割合として表される)を示している。
表を見ると分かるように、同一平面内配置点p1、p2、およびp3はすべて比較的高い結合効率を示している。配置点p7も同一平面内配置点を示しているが、送信ループアンテナの外側に位置している。配置点p7は高い結合効率を有さないが、何らかの結合が生じ、かつ結合モード領域が送信ループアンテナの周縁を越えて延びることは明らかである。
配置点p5は、送信アンテナと同軸であり、かなりの結合効率を示す。配置点p5の結合効率は、同一平面内配置点の結合効率ほど高くない。しかし、配置点p5の結合効率は、送信アンテナと同軸配置された受信アンテナとの間でかなりの電力を伝達できるほど高い。
配置点p4は、送信アンテナの周囲の内側であるが、送信アンテナの平面から上方にわずかに離れた位置、すなわち、オフセット同軸配置(すなわち、面法線がほとんど同じ方向であるがそれぞれの異なる位置に配置される)またはオフセット同一平面内(すなわち、面法線がほとんど同じ方向であるが平面が互いにずれている)と呼ぶことのできる位置に配置される。表から、オフセット距離が2.5cmの場合、配置点p4はそれにもかかわらず結合効率が比較的良好であることが分かる。
配置点p6は、送信アンテナの周囲の外側で、送信アンテナの平面から上方にかなり離れた位置の配置点を示す。表を見ると分かるように、配置点p7は、送信アンテナと受信アンテナとの結合効率をほとんど示さない。
図9は、送信アンテナと受信アンテナとの間の様々な距離での同軸配置に対する結合強度を示すシミュレーション結果を示している。図9のシミュレーションは、どちらのアンテナも辺が約1.2メートルであり、送信周波数が10MHzである、同軸配置における方形の送信アンテナおよび受信アンテナに関するシミュレーションである。結合強度は、約0.5メートル未満の距離でもかなり高くかつ一様であることが分かる。
図10は、本発明の例示的な実施形態による送信器の簡略化されたブロック図である。送信器200は、送信回路202と送信アンテナ204とを含む。一般に、送信回路202は、発振信号を発し、それによって送信アンテナ204の周りに近接場エネルギーを生成することによって送信アンテナ204にRF電力を供給する。一例として、送信器200は、13.56MHz ISM帯域で動作することができる。
例示的な送信回路202は、送信回路202(たとえば50Ω)のインピーダンスを送信アンテナ204に整合させる固定インピーダンス整合回路206と、受信器108(図1)に結合されたデバイスの自己ジャミングを防止するレベルに高調波放出量を低下させるように構成されたローパスフィルタ(LPF)208とを含む。他の実施形態は、特定の周波数を減衰させ、一方、他の周波数を通過させるノッチフィルタを含むがそれに限らない様々なフィルタトポロジーを含んでよく、かつアンテナへの出力電力や電圧増幅器へのDC電流引き込みのような測定可能な送信メトリクスに基づいて変化させることのできる適応的インピーダンス整合を含んでよい。送信回路202は、発振器212によって決定されるようなRF信号を駆動するように構成された電力増幅器210をさらに含む。送信回路は、互いに離散したデバイスまたは回路で構成するか、あるいは一体化された組立体で構成することができる。送信アンテナ204からの例示的なRF電力出力は2.5ワット程度であってよい。
送信回路202は、特定の受信器用の送信フェーズ(またはデューティサイクル)の間発振器212を使用可能にし、発振器の周波数を調整し、取り付けられた受信器を通して近傍のデバイスと対話するための通信プロトコルを実施できるように出力電力レベルを調整するプロセッサ214をさらに含む。
送信回路202は、送信アンテナ204によって生成される近接場の近傍におけるアクティブな受信器の存否を検出する負荷検知回路216をさらに含んでよい。一例として、負荷検知回路216は、送信アンテナ204によって生成される近接場の近傍におけるアクティブな受信器の存否の影響を受ける電力増幅器210まで流れる電流を監視する。電力増幅器210に対する負荷の変化の検出は、プロセッサ214によって監視され、エネルギーを伝達する発振器212がアクティブな受信器と通信するのを可能にするかどうかを判定する際に使用される。
送信アンテナ204は、抵抗損失を低く維持するものとして選択された厚さ、幅、および金属種類を有するアンテナストリップとして実現することができる。従来の実現形態では、送信アンテナ204をテーブル、マット、ランプのようなより大きな構造、またはより可搬性の低い他の構成と組み合わせて構成することができる。したがって、送信アンテナ204は一般に、「巻き」を必要とせずに実用的な寸法を有することができる。送信アンテナ204の例示的な実現形態は、「電気的に小型」(すなわち、波長の一部)であってよく、キャパシタを使用して共振周波数を定めることによってより低い使用可能周波数で共振するように同調させることができる。送信アンテナ204の直径、または方形ループの場合には辺長が、受信アンテナと比べて大きくてよい(たとえば、0.50m)例示的な用途では、送信アンテナ204は、必ずしも多数の巻きを必要とせずにかなりのキャパシタンスを得ることができる。
図11は、本発明の例示的な実施形態による受信器のブロック図である。受信器300は、受信回路302と受信アンテナ304とを含む。受信器300は、受信された電力を供給する先のデバイス350にさらに結合されている。受信器300が、デバイス350の外部に位置するように示されているが、デバイス350に一体化することができることに留意されたい。一般に、エネルギーが無線によって受信アンテナ304に伝搬され、次いで受信回路302を通してデバイス350に結合される。
受信アンテナ304は、送信アンテナ204(図10)と同じ周波数またはほぼ同じ周波数で共振するように同調される。受信アンテナ304は、組み合わされるデバイス350の寸法に基づいて送信アンテナ204と同様の寸法を有するか、あるいは異なるサイズを有することができる。一例として、デバイス350は、送信アンテナ204の直径または長さよりも小さい直径または長さを有する可搬性電子デバイスであってよい。このような例では、受信アンテナ304を多巻きアンテナとして実施して同調キャパシタ(不図示)のキャパシタンス値を小さくし、かつ受信アンテナのインピーダンスを高めることができる。一例として、受信アンテナ304をデバイス350の実質的な周囲に配置して、アンテナ直径を最大にし、かつ受信アンテナのループ巻き(すなわち巻き線)および巻き線間キャパシタンスを低減させることができる。
受信回路302は、受信アンテナ304とのインピーダンス整合を可能にする。受信回路302は、受信されたRFエネルギー源をデバイス350によって使用される充電電力に変換する電力変換回路306を含む。電力変換回路306は、RF-DC変換器308を含んでよく、DC-DC変換器310を含んでもよい。RF-DC変換器308は、受信アンテナ304で受信されたRFエネルギー信号を非交流電力に整流し、一方、DC-DC変換器310は整流されたRFエネルギー信号を、デバイス350に適合するエネルギー電位(たとえば電圧)に変換する。部分整流器および全波整流器、調整器、ブリッジ、ダブラー、ならびにリニアコンバータおよびスイッチングコンバータを含む、様々なRF-DC変換器が考えられる。
受信回路302は、受信アンテナ304を電力変換回路306に接続するか、あるいは電力変換回路306を切り離す切り替え回路312をさらに含んでよい。受信アンテナ304を電力変換回路306から切り離すと、デバイス350の充電が中断されるだけでなく、以下でより詳しく説明するように送信器200(図2)が「見る」ような「負荷」が変更される。上記に開示されたように、送信器200は、送信器電力増幅器210に供給されるバイアス電流の変動を検出する負荷検知回路216を含む。したがって、送信器200は、受信器が送信器の近接場に存在するときにそれを判定する機構を有する。
送信器の近接場に複数の受信器300が存在するとき、1つまたは複数の受信器のローディングおよびアンローディングを時間多重化して他の受信器がより効率的に送信器に結合するのを可能にすることが望ましい場合がある。ある受信器をクローキングして、他の近傍の受信器との結合を解除するかあるいは近傍の送信器に対する負荷を低減させることができる。受信器のこの「アンローディング」は本明細書では「クローキング」とも呼ばれる。さらに、受信器300によって制御され送信器200によって検出されるアンローディングとローディングとのこの切り替えは、以下に詳しく説明するように受信器300から送信器200への通信機構を実現する。また、受信器300から送信器200へのメッセージの送信を可能にするプロトコルをこの切り替えに関連付けることができる。一例として、切り替え速度は100μsec程度であってよい。
例示的な実施形態では、送信器と受信器との通信は、従来の2方向通信ではなく、デバイス検知充電制御機構を指す。言い換えれば、送信器は、送信される信号のオン/オフキーイングを使用して、近接場でエネルギーが利用可能になるかどうかを調整する。受信器は、エネルギーにおけるこのような変化を送信器からのメッセージとして解釈する。受信器側からは、受信器は、受信アンテナの同調および離調を使用して、近接場からどれだけの電力を受け入れるかを調整する。送信器は、近接場から使用される電力におけるこの差を検出して、このような変化を受信器からのメッセージとして解釈することができる。
受信回路302は、送信器から受信器への情報信号に相当するものであってよい受信されたエネルギー変動を識別するのに使用される通信検出器ビーコン回路314をさらに含んでよい。さらに、通信ビーコン回路314を使用して、低減されたRF信号エネルギー(すなわち、ビーコン信号)の伝達を検出し、かつ低減されたRF信号エネルギーを公称電力に整流して、受信回路302内の電力が供給されていないかあるいは電力を消耗した回路を作動させる公称電力に変換し、受信回路302を無線充電向けに構成することもできる。
受信回路302は、本明細書で説明する切り替え回路312の制御を含む、本明細書で説明する受信器300の各プロセスの調和を図るプロセッサ316をさらに含む。デバイス350に充電電力を供給する外部有線充電源(たとえば、壁/USB電源)の検出を含む他のイベントが発生したときに受信器300のクローキングを行うこともできる。プロセッサ316は、受信器のクローキングを制御するだけでなく、ビーコン回路314を監視してビーコン状態を判定し、送信器から送信されたメッセージを抽出することができる。プロセッサ316は、DC-DC変換器310の性能を向上させるように調整することもできる。
図12は、送信器と受信器との間のメッセージ通信を実行する送信回路の一部の簡略化された概略図である。本発明のいくつかの例示的な実施形態では、送信器と受信器との間で通信手段を使用可能にすることができる。図12では、電力増幅器210は送信アンテナ204を駆動して放射界を生成する。電力増幅器は、送信アンテナ204の所望の周波数で発振する搬送信号220によって駆動される。送信変調信号224を使用して、電力増幅器210の出力が制御される。
送信回路は、電力増幅器210上でオン/オフキーイングプロセスを使用することによって受信器に信号を送信することができる。言い換えれば、送信変調信号224がアサートされると、電力増幅器210は、送信アンテナ204上で搬送信号220の周波数を出力する。送信変調信号224が否定されたときは、電力増幅器は送信アンテナ204でいかなる周波数も出力しない。
図12の送信回路は、電力増幅器210に電力を供給し、受信信号235出力を生成する負荷検知回路216も含む。負荷検知回路216では、抵抗器Rsの両端間、すなわち信号226の電力と電力増幅器210への電源228との間で電圧降下が生じる。電力増幅器210によって消費される電力が変化すると、電圧降下に変化が生じ、それが差分増幅器230によって増幅される。送信アンテナが受信器(図12には示されていない)内の受信アンテナとの結合モードであるとき、電力増幅器210によって引き込まれる電流の量が変化する。言い換えれば、送信器アンテナ210に関して結合モード共振が存在しない場合、放射界を駆動するのに必要な電力は最初の量になる。結合モード共振が存在する場合、大部分の電力が受信アンテナに結合されるため、電力増幅器210によって消費される電力の量が上昇する。したがって、受信信号235は、送信アンテナ235に結合された受信アンテナの存在を示すことができ、後述のように受信アンテナから送信される信号を検出することもできる。また、受信器電流引き込みの変化は送信器の電力増幅器電流引き込みで観測可能であり、後述のように、この変化を使用して受信アンテナからの信号を検出することができる。
図13A〜13Cは、受信器と送信器との間のメッセージ通信を示す、様々な状態の受信回路の一部の簡略化された概略図である。図13A〜13Cはすべて、様々なスイッチの状態を除いて同じ回路要素を示している。受信アンテナ304は、ノード350を駆動する特性インダクタンスL1を含む。ノード350は、スイッチS1Aを通じてグランドに選択的に結合される。ノード350は、スイッチS1Bを通じてダイオードD1および整流器318にも選択的に結合される。整流器318は、受信デバイス(不図示)にDC電力信号322を供給して、受信デバイスに電力を供給するか、電池を充電するか、あるいはその両方を行う。ダイオードD1は送信信号320に結合され、送信信号320は、キャパシタC3および抵抗器R1によってフィルタリングされて高調波および不要な周波数を除外される。したがって、D1、C3、およびR1の組合せは、上記で図12の送信器を参照して論じた送信変調信号224によって生じる送信変調を模倣する信号を送信信号320上に生成することができる。
本発明の例示的な実施形態は、受信デバイスの電流引き込みの変調および受信アンテナのインピーダンスの変調を含み、逆リンク通信を実現する。図13Aと図12の両方を参照すると、受信デバイスの電力引き込みが変化すると、負荷検知回路216は、送信アンテナ上で結果として生じる電力変化を検出し、このような変化から、受信信号235を生成することができる。
図13A〜13Cの例示的な実施形態では、スイッチS1AおよびS2Aの状態を修正することによって、送信器を通じた電流引き込みを変更することができる。図13Aでは、スイッチS1AとスイッチS2Aはどちらも開いており、「DC開状態」が確立され、基本的に送信アンテナ204から負荷が除去されている。これによって、送信器が見る電流が低減される。
図13Bでは、スイッチS1Aが閉じ、スイッチS2Aが開いており、それによって、受信アンテナ304の「DA短絡状態」が確立されている。したがって、図13Bの状態を使用して、送信器が見る電流を増大させることができる。
図13Cでは、スイッチS1Aが開き、スイッチS2Aが閉じており、それによって、通常受信モード(本明細書では「DC動作状態」とも呼ぶ)が確立されている。すなわち、DC出力信号322によって電力を供給することができ、かつ送信信号320を検出することができる。図13Cに示されている状態では、受信器は通常量の電力を受信し、したがって、送信器アンテナから消費する電力はDC開状態またはDC短絡状態よりも多くなるかあるいは少なくなる。
逆方向リンク通信は、DC動作状態(図13C)とDC短絡状態(図13B)とを切り替えることによって実現することができる。逆方向リンク通信は、DC動作状態(図13C)とDC開状態(図13A)とを切り替えることによって実現することもできる。
図14A〜14Cは、受信器と送信器との間のメッセージ通信を示す、様々な状態の他の受信回路の一部の簡略化された概略図である。
図14A〜14Cはすべて、様々なスイッチの状態を除いて同じ回路要素を示している。受信アンテナ304は、ノード350を駆動する特性インダクタンスL1を含む。ノード350は、キャパシタC1およびスイッチS1Bを通じてグランドに選択的に結合される。ノード350は、キャパシタC2を通じてダイオードD1および整流器318にもAC結合される。ダイオードD1は送信信号320に結合され、送信信号320は、キャパシタC3および抵抗器R1によってフィルタリングされて高調波および不要な周波数を除外される。したがって、D1、C3、およびR1の組合せは、上記で図12の送信器を参照して論じた送信変調信号224によって生じる送信変調を模倣する信号を送信信号320上に生成することができる。
整流器318は、抵抗器R2およびグランドに直列に接続されたスイッチS2Bに接続されている。整流器318はスイッチS3Bにも接続されている。スイッチS3Bの他方の側は、受信デバイス(不図示)にDC電力信号322を供給して、受信デバイスに電力を供給するか、電池を充電するか、あるいはその両方を行う。
図13A〜13Cでは、受信アンテナをスイッチS1Bを通じてグランドに選択的に結合することによって、受信アンテナ304のDCインピーダンスが変更される。これに対して、図14A〜14Cの例示的な実施形態では、受信アンテナ304のACインピーダンスを変更するようにスイッチS1B、S2B、およびS3Bの状態を修正することによって、逆方向リンク通信を生じさせるようにアンテナのインピーダンスを修正することができる。図14A〜14Cでは、受信アンテナ304の共振周波数をキャパシタC2に同調させることができる。したがって、スイッチS1Bを使用してキャパシタC1を通じて受信アンテナ304を選択的に結合し、送信アンテナに最適な状態で結合される範囲に入らない異なる周波数に共振回路を変更することによって、受信アンテナ304のACインピーダンスを変更することができる。受信アンテナ304の共振周波数が送信アンテナの共振周波数に近く、受信アンテナ304が送信アンテナの近接場に位置している場合、受信器が放射界106から顕著な電力を引き込むことのできる結合モードを生じさせることができる。
図14Aでは、スイッチS1Bが閉じており、それによって、アンテナが離調し、「ACクローキング状態」が確立される。すなわち、受信アンテナが送信アンテナの周波数では共振しないため、基本的に受信アンテナ304が送信アンテナ204による検出から「クローキング」される。受信アンテナが結合モードではないため、スイッチS2BおよびS3Bの状態は本明細書の議論では特に重要ではない。
図14Bでは、スイッチS1Bが開き、スイッチS2Bが閉じ、スイッチS3Bが開いており、それによって、受信アンテナ304の「同調ダミー負荷状態」が確立されている。スイッチS1Bが開いているため、キャパシタC1は共振回路に寄与せず、キャパシタC2と組み合わされた受信アンテナ304は、送信アンテナの共振周波数に整合することができる共振周波数を有する。スイッチS3Bが開いているとともにスイッチS2Bが閉じていると、整流器に対して比較的高い電流ダミー負荷が生じ、整流器がより多くの電力を受信アンテナ304を通じて引き込み、これを送信アンテナによって検知することができる。また、受信アンテナが送信アンテナから電力を受信する状態であるため、送信信号320を検出することができる。
図14Cでは、スイッチS1Bが開き、スイッチS2Bが開き、スイッチS3Bが閉じており、それによって、受信アンテナ304の「同調動作状態」が確立されている。スイッチS1Bが開いているため、キャパシタC1は共振回路に寄与せず、キャパシタC2と組み合わされた受信アンテナ304は、送信アンテナの共振周波数に整合することができる共振周波数を有する。スイッチS2Bが開いているとともにスイッチS3Bが閉じていると通常動作状態が確立され、DC出力信号322によって電力を供給することができ、かつ送信信号320を検出することができる。
逆方向リンク通信は、同調動作状態(図14C)とACクローキング状態(図14A)とを切り替えることによって実現することができる。逆方向リンク通信は、同調ダミー負荷状態(図14B)とACクローキング状態(図14A)とを切り替えることによって実現することもできる。逆方向リンク通信は、同調動作状態(図14C)と同調ダミー負荷状態(図14B)とを切り替えることによって実現することもできる。というのは、受信器によって消費される電力の量に差があり、それを送信器内の負荷検知回路によって検出することができるからである。
もちろん、当業者には、スイッチS1B、S2B、およびS3Bの他の組合せを使用してクローキング、逆方向リンク通信、および受信デバイスへの電力の供給を実施できることが認識されよう。また、スイッチS1AおよびS1Bを図14A〜14Cの回路に追加して、クローキング、逆方向リンク通信、および受信デバイスへの電力の供給のための他の可能な組合せを形成することができる。
したがって、結合モードでは、上記で図12を参照して論じたように送信器から受信器に信号を送信することができる。また、結合モードでは、上記で図13A〜13Cおよび14A〜14Cを参照して論じたように受信器から送信器に信号を送信することができる。
図15A〜15Dは、送信器と1つまたは複数の受信器との間で電力を伝送するビーコン電力モードを示す簡略化されたブロック図である。図15Aは、ビーコン結合モード領域510内に受信デバイスがないときの低出力「ビーコン」信号525を有する送信器520を示している。ビーコン信号525は、非制限的な例として、約10mW RFから約20mW RFのような範囲内の信号であってよい。この信号は、充電すべきデバイスが結合モード領域内に配置されているときに該デバイスに初期電力を供給するのに適切である場合がある。
図15Bは、ビーコン信号525を送信する送信器520のビーコン結合モード領域510内に配置された受信デバイス530を示している。受信デバイス530がオンであり、送信器との結合を生じさせる場合、受信デバイス530は、ビーコン信号525から電力を受け入れる受信器に過ぎない逆方向リンク結合535を生じさせる。この追加的な電力を送信器の負荷検知回路216(図12)によって検知することができる。その結果、送信器は高出力モードに入ることができる。
図15Cは、高出力結合モード領域510'を生成する高出力信号525'を生成する送信器520を示している。受信デバイス530が電力を受け入れ、その結果、逆方向リンク結合535を生じさせる限り、送信器は高出力状態のままである。1つの受信デバイス530のみが示されているが、結合モード領域510内に複数の受信デバイス530が存在することができる。複数の受信デバイス530がある場合、受信デバイス530は、それぞれの結合度に基づいて送信器によって伝送される電力の量を共用することになる。たとえば、結合効率は、上記に図8および9を参照して説明したように結合モード領域510内でデバイスが配置されている場所に応じて各受信デバイス530ごとに異なっていてよい。
図15Dは、受信デバイス530がビーコン結合モード領域510内に位置するときでもビーコン信号525を生成する送信器520を示している。この状態が生じるのは、おそらく受信デバイス530がもはや電力を必要としないため受信デバイス530が停止されるかあるいはそれ自体をクローキングするときである。
受信器と送信器は、別個の通信チャネル(たとえば、Bluetooth、zigbeeなど)上で通信することができる。別個の通信チャネルによって、送信器は、ビーコンモードと高出力モードとをいつ切り替えるかを判定するか、あるいは結合モード領域510内の受信デバイスの数および該受信デバイスのそれぞれの電力要件に基づいて、複数の電力レベルを生成することができる。
本発明の例示的な実施形態は、比較的大型の送信アンテナと小型の受信アンテナとの結合を、2つのアンテナ間の近接場電力伝達において、リピータとして働く追加的なアンテナを結合されたアンテナのシステムに導入することによって強化することを含み、送信側アンテナから受信側アンテナに向かう電力の流れを強化する。
例示的な実施形態では、システム内の送信アンテナおよび受信アンテナに結合する1つまたは複数の特別のアンテナが使用される。これらの特別のアンテナは、能動アンテナや受動アンテナなどのリピータアンテナを備える。受動アンテナは、単にアンテナループと、アンテナの共振周波数を同調させる容量性素子とを含んでよい。能動素子は、アンテナループおよび1つまたは複数の同調キャパシタだけでなく、繰り返される近接場放射の強度を高める増幅器を含んでよい。
電力伝達システム内の送信アンテナとリピータアンテナの組合せは、端末負荷、同調構成部材、共振周波数、および送信アンテナに対するリピータアンテナの配置などの因子に基づいて非常に小型の受信アンテナへの電力の結合が強化されるように最適化することができる。
単一の送信アンテナは有限近接場結合モード領域を有する。したがって、送信アンテナの近接場結合モード領域内で受信器を通じて充電するデバイスのユーザには、極めて広いかあるいは少なくとも不都合なほど広いかなりのユーザアクセス空間が必要になることがある。さらに、結合モード領域は、受信アンテナが送信アンテナから離れるにつれて急速に狭くなる。
リピータアンテナは、送信アンテナからの結合モード領域を再集中させて再整形し、受信アンテナにエネルギーを結合するのにより適している場合がある第2の結合モード領域をリピータアンテナの周りに生成する。以下に図16A〜19Bにおいて、リピータアンテナを含む実施形態のいくつかの非制限的な例について論じる。
図16Aは、大型の送信アンテナ610Aと、送信アンテナ610Aと同一平面内にかつ送信アンテナ610Aの周縁内に配置された送信アンテナ610Aより小型のリピータアンテナ620Aとを示している。送信アンテナ610Aとリピータアンテナ620Aはどちらも、非制限的な例としてテーブル640上に形成されている。受信アンテナ630Aを含むデバイスが、リピータアンテナ620Aの周縁内に配置されている。非常に大型のアンテナの場合、結合モード領域には、送信アンテナ610Aの中心の近くに比較的弱い部分がある場合がある。この弱い領域の存在は、非常に小型の受信アンテナ630Aとの結合を試みるときに特に目立つことがある。送信アンテナ610Aと同一平面内に配置されるが送信アンテナ610Aよりもサイズが小さいリピータアンテナ620Aは、送信アンテナ610Aによって生成された結合モード領域を再集中させ、リピータアンテナ620Aの周りにより狭くかつより強力な繰り返し結合モード領域を生成することができる。その結果、比較的強力な繰り返し近接場放射を受信アンテナ630Aに利用することができる。
図16Bは、送信アンテナ610Bと、送信アンテナ610Bに対して同軸に配置された送信アンテナ610Bより大型のリピータアンテナ620Bとを示している。受信アンテナ630Bを含むデバイスがリピータアンテナ620Bの周縁内に配置されている。送信アンテナ610Bは、ランプの笠642の下縁部周囲に形成されており、一方、リピータアンテナ620Bはテーブル640上に配置されている。同軸配置では、近接場放射がアンテナの平面からの距離に対してかなり急速に低下することを想起されたい。その結果、送信アンテナ610Bに対して同軸に配置された小型の受信アンテナ630Bは、弱い結合モード領域内に位置することができる。しかし、送信アンテナ610Bと同軸に配置された大型のリピータアンテナ620Bは、送信アンテナ610Bの結合済みモード領域をリピータアンテナ620Bの周りの異なる場所に他の結合済みモード領域として再整形することができてよい。その結果、比較的強力な繰り返し近接場放射を、リピータアンテナ620Bと同一平面内に配置された受信アンテナ630Bに利用することができる。
図17Aは、大型の送信アンテナ610Cと、送信アンテナ610Cと同一平面内にかつ送信アンテナ610Cの周縁内に配置された、送信アンテナ610Cより小さい3つのリピータアンテナ620Cとを示している。送信アンテナ610Cとリピータアンテナ620Cはテーブル640上に形成されている。受信アンテナ630Cを含む様々なデバイスが、送信アンテナ610Cおよびリピータアンテナ620C内の様々な位置に配置されている。図16Aに示されている例示的な実施形態と同様に、図17Aの例示的な実施形態は、送信アンテナ610Cによって生成された結合モード領域を再集中させて各リピータアンテナ620Cの周りにより狭くかつより強力な繰り返し結合モード領域を生成することができてよい。その結果、比較的強力な繰り返し近接場放射を受信アンテナ630Cに利用することができる。いくつかの受信アンテナは、任意のリピータアンテナ620Cの外側に配置されている。結合済みモード領域がアンテナの周縁のいくらか外側に延びてよいことを想起されたい。したがって、受信アンテナ630Cは、送信アンテナ610Cと任意の近傍のリピータアンテナ620Cの近接場放射から電力を受信することができてよい。その結果、任意のリピータアンテナ620Cの外側に配置された受信アンテナはそれにもかかわらず、送信アンテナ610Cと任意の近傍のリピータアンテナ620Cの近接場放射から電力を受信することができる。
図17Bは、大型の送信アンテナ610Dと、送信アンテナ610Dに対してオフセット同軸配置されかつオフセット同一平面内配置された、送信アンテナ610Dより小型のリピータアンテナ620Dとを示している。受信アンテナ630Dを含むデバイスが、1つのリピータアンテナ620Dの周縁内に配置されている。非制限的な例として、送信アンテナ610Dを天井646に配置し、一方、リピータアンテナ620Dをテーブル640上に配置することができる。図16Bの例示的な実施形態と同様に、オフセット同軸配置されたリピータアンテナ620Dは、送信器アンテナ610Dからの近接場放射をリピータアンテナ620Dの周りの繰り返し近接場放射に再整形して強化することができてよい。その結果、比較的強力な繰り返し近接場放射を、リピータアンテナ620Dと同一平面内に配置された受信アンテナ630Dに利用することができる。
様々な送信アンテナおよびリピータアンテナは概ね各表面上に示されているが、これらのアンテナを表面の下(たとえば、テーブルの下や、床下や、壁の後ろや、天井の後ろ)に配置することも、あるいは表面(たとえば、テーブルの上面や、壁や、床や、天井)内に配置することもできる。
図18は、送信アンテナとリピータアンテナと受信アンテナとの結合強度を示すシミュレーション結果を示している。送信アンテナ、リピータアンテナ、および受信アンテナは約13.56MHzの共振周波数を有するように同調される。
曲線662は、様々な周波数で送信アンテナに伝送される総電力に対する、送信アンテナから伝送される電力の量の程度を示している。同様に、曲線664は、様々な周波数で受信アンテナの端子の近傍で得られる総電力に対する、リピータアンテナを通じて受信アンテナによって受信される電力の量の程度を示している。最後に、曲線668は、様々な周波数で送信アンテナからリピータアンテナを通じて受信アンテナに実際に結合される電力の量を示している。
約13.56MHzに相当する曲線668のピークによって、送信器から送信される大量の電力を受信器で利用することができ、送信アンテナとリピータアンテナと受信アンテナの組合せが高度に結合されていることが分かる。
図19Aは、送信アンテナと、リピータアンテナを有さない送信アンテナに対して同軸配置された受信アンテナとの結合強度を示すシミュレーション結果を示している。送信アンテナと受信アンテナは約10MHzの共振周波数を有するように同調される。このシミュレーションにおける送信アンテナは、一辺が約1.3メートルであり、受信アンテナは一辺が約30mmのマルチループアンテナである。受信アンテナは、送信アンテナの平面から約2メートル離れた位置に配置されている。曲線682Aは、様々な周波数で送信アンテナの端子に送られる総電力に対する、送信アンテナから伝送される電力の量の程度を示している。同様に、曲線684Aは、様々な周波数で受信アンテナの端子の近傍で得られる総電力に対する、受信アンテナによって受信される電力の量の程度を示している。最後に、曲線686Aは、様々な周波数で送信アンテナと受信アンテナとの間で実際に結合される電力の量を示している。
図19Bは、システムにリピータアンテナが含まれるときの図19Aの送信アンテナと受信アンテナとの結合強度を示すシミュレーション結果を示している。送信アンテナと受信アンテナは、図19Aと同じサイズおよび同じ配置である。リピータアンテナは、一辺が約28cmであり、受信アンテナと同一平面内に配置される(すなわち、送信アンテナの平面から約0.1メートル離れた位置に配置される)。図19Bでは、曲線682Bは、様々な周波数で送信アンテナの端子に送られる総電力に対する、送信アンテナから伝送される電力の量の程度を示している。曲線684Bは、様々な周波数で受信アンテナの端子の近傍で得られる総電力に対する、リピータアンテナを通じて受信アンテナによって受信される電力の量の程度を示している。最後に、曲線686Bは、様々な周波数で送信アンテナからリピータアンテナを通じて受信アンテナに実際に結合される電力の量を示している。
図19Aと図19Bの結合済み電力(686Aおよび686B)を比べると、リピータアンテナがない場合、結合済み電力686Aは約-36dBでピークに達することが分かる。一方、リピータアンテナがある場合、結合済み電力686Bは約-5dBでピークに達する。したがって、共振周波数の近くでは、リピータアンテナが含まれているため、受信アンテナが利用できる電力の量が著しく増大する。
本発明の例示的な実施形態は、送信器が単一および複数のデバイスおよびデバイスタイプにどのように放射するかを適切に管理して、送信器が個々のデバイスに充電電力を伝達する効率を最適化する低コストで控えめな方法を含む。
図20は、家具および建物内で使用される送信器200の簡略化されたブロック図である。この送信器は、図10の送信器と同様であり、したがって、再び説明する必要はない。しかし、図20では、送信器200は、コントローラ214(本明細書ではプロセッサとも呼ぶ)に接続された存在検出器280、密閉検出器290、またはそれらの組合せを含んでよい。コントローラ214は、存在検出器280および密閉検出器290からの存在信号に応答して増幅器210から供給される電力の量を調整することができる。送信器は、AC-DC変換器(不図示)を通じて電力を受信し、建物299内に存在する従来のAC電力を変換することができる。
非制限的な例として、存在検出器280は、送信器の領域に挿入される充電すべきデバイスの初期存在を検知するのに利用される動き検出器であってよい。検出後、送信器が同調され、デバイスによって受信されたRF電力を使用してRxデバイス上のスイッチが所定の方法で切り替えられ、それによって、送信器の駆動点インピーダンスが変更される。
他の非制限的な例として、存在検出器280は、たとえば赤外線検出、動き検出、または他の適切な手段によって人間を検出することのできる検出器であってよい。いくつかの例示的な実施形態では、送信アンテナが特定の周波数で伝送することのできる電力の量を規制する制限があってよい。場合によっては、このような規制は、人間を電磁放射から保護することになる。しかし、送信アンテナが、たとえば、ガレージ、工場、店舗など、人間によって占有されていない領域または人間によって占有されることがめったにない領域に配置される環境がある。これらの環境に人間が存在しない場合、送信アンテナからの電力出力を通常の電力規制値を超えた値まで増大させることが可能である。言い換えれば、コントローラ214は、人間が存在することに応じて送信アンテナ204電力出力を規制値以下に調整し、かつ人間が送信アンテナ204の電磁場からの規制距離の範囲外にいるときに送信アンテナ204の電力出力を規制レベルより高いレベルに調整することができる。
非制限的な例として、密閉検出器290(本明細書では、密閉家具検出器とも呼ぶ)は、以下に詳しく説明するように、エンクロージャが閉状態であるかあるいは開状態であるかを判定する検知スイッチなどのデバイスであってよい。以下の例のうちの多くでは、充電されるゲストデバイスとして示されているデバイスは1つだけである。実際には、各ホストによって生成されるホットスポットから多数のデバイスを充電することができる。
例示的な実施形態では、Tx回路が無限にオンのままでいることのない方法を使用することができる。この場合、Tx回路を、ユーザが決定した時間が経過した後に停止するようにプログラムすることができる。この特徴によって、Tx回路、特に電力増幅器は、その周縁の無線デバイスが完全に充電された後長時間動作するのを妨げられる。このイベントは、リピータまたはRxコイルから送信され、デバイスが完全に充電されたことを示す信号を、回路が検出できないときに生じることがある。他のデバイスがTx回路の周縁に配置された場合にTx回路が自動的に停止するのを防止するために、Tx回路の自動停止機能を作動させるのは、その周縁で動きが検出されない状態で設定された期間が経過した場合だけであってよい。ユーザは、非活動時間間隔を判定し、それを必要に応じて変更することができてよい。非制限的な例として、この時間間隔は、特定の種類の無線デバイスが最初完全に放電されるという仮定の下でこのデバイスを完全に充電するのに必要な時間間隔よりも長くてよい。
本発明の例示的な実施形態は、家具および壁、天井、床のような建物内の要素を使用して、より小型であることが多い他のデバイスに無線によって電力を伝達するのに必要な送信アンテナおよびその他の回路のすべてまたは一部を収納する電力伝送デバイスを保持することを含む。
この電力伝送デバイスは、製造時などに前述の家具および建物の要素に一部または全体を埋め込むことができる。このような家具および建物の要素を本明細書ではホスト備品と呼ぶ。
電力伝送デバイスは、既存の備品および建物の要素に、送信アンテナを取り付けることによって組み込むこともできる。このような家具および建物の要素を本明細書では既存の調度品と呼ぶ。この文脈では、取り付けは、送信アンテナが所定の位置に保持されるように、たとえば壁や棚の下側のような調度品または建物の要素にアンテナを固定することを意味してよい。取り付けは、単に、たとえば引き出しの底部内や棚の上のような、送信アンテナが自然に所定の位置に保持される位置に送信アンテナを配置することを意味してもよい。
電気的に小型のアンテナは、効率が低く、小型アンテナの理論によって説明されるように数パーセントに過ぎないことが多い。アンテナの電気サイズが小さいほどアンテナの効率が低くなる。無線電力伝達は、工業用途、商業用途、および家庭用途における配電網との有線接続に代わる実現可能な技術となることができ、すなわち、そのような電力伝達システムの受信側端部に位置するデバイスまで有意の距離にわたって電力を送信することができる場合にそのような技術となることができる。この距離は用途に依存するが、数十センチメートルから数メートルが大部分の用途に適切な範囲とみなすことができる。一般に、この範囲は、電力の有効周波数を5MHzから100MHzまでの間隔に低下させる。
本発明の例示的な実施形態は、家庭、職場、および他の建物における様々な家具および建物の要素を、電力を無線によってゲストデバイスに伝達してゲストデバイスの再充電可能電池を充電するかあるいは該電池に直接電力を供給することのできるホストに変換することを含む。
図21および22は、例示的な実施形態による複数送信アンテナ無線充電装置のブロック図の平面図である。前述のように、送信器の近接場結合モード領域内に受信器を配置してこの受信器を無線充電することは、この送信アンテナの近接場結合モード領域内に受信器を正確に位置させる必要があるため非常に厄介である。さらに、固定位置送信アンテナの近接場結合モード領域内に受信器を配置することは、特に、複数の受信器がそれぞれ、複数のユーザがアクセス可能なデバイス(たとえば、ラップトップ、PDA、無線デバイス)に結合されており、ユーザがデバイスに同時並行的に物理的にアクセスする必要がある場合、受信器に結合されたデバイスのユーザにはアクセス不能である場合もある。たとえば、単一の送信アンテナは、有限近接場結合モード領域を有する。
したがって、送信アンテナの近接場結合モード領域内で受信器を通じて充電するデバイスのユーザには、極めて広いユーザアクセス空間、または少なくとも、他のデバイスの他のユーザも同じ送信アンテナの近接場結合モード領域内で無線によって充電し、かつ別個のユーザアクセス空間を必要とするため不都合なほど広いかなりのユーザアクセス空間が必要になることがある。たとえば、単一の送信アンテナを有するように構成された会議用テーブルに2人の無線充電可能デバイスユーザが隣り合わせて座った場合、送信器近接場結合モード領域が限局的であり、かつそれぞれのデバイスと対話するのにかなり広いユーザアクセス空間が必要であるため、ユーザのそれぞれのデバイスにアクセスするのは困難または不可能になる。また、特定の無線充電デバイスおよびそのユーザを特定の位置に配置する必要があることも、デバイスのユーザにとって不都合である。
図21を参照すると分かるように、複数送信アンテナ無線充電装置700の例示的な実施形態では、隣接して配置された複数の送信アンテナ回路702A〜702Dを、より広い無線充電領域708を形成するように配置することができる。制限ではなく一例として、送信アンテナ回路は、電子デバイス(たとえば無線デバイス、ハンドセット、PDA、ラップトップなど)と組み合わされるかあるいは電子デバイスに嵌め込まれた受信アンテナ(不図示)との一様な結合を実現する、たとえば約30〜40センチメートルの直径または辺寸法を有する送信アンテナ710を含む。送信アンテナ回路702を複数送信アンテナ無線充電装置700のユニットまたはセルとみなし、これらの送信アンテナ回路702A〜702Dをほぼ単一の平面704(たとえばテーブル上面)上に積み重ねるかあるいは平面704上で隣接する送信アンテナ回路同士をタイル化することによって、充電領域を再設定するかあるいは充電領域を広くすることができる。より広い無線充電領域708によって、1つまたは複数のデバイス用の充電領域が広くなる。
複数送信アンテナ無線充電装置700は、送信アンテナ710に駆動信号を送信する送信電力増幅器720をさらに含む。一方の送信アンテナ710の近接場結合モード領域が他方の送信アンテナ710の近接場結合モード領域に干渉する構成では、互いに干渉する隣接する送信アンテナ710が「クローキング」され、作動後の送信アンテナ710の無線充電効率が改善される。
複数送信アンテナ無線充電装置700内の送信アンテナ710の作動順序付けは、時間領域に基づくシーケンスに従って行うことができる。送信電力増幅器720の出力は、送信器プロセッサからの制御信号724に従って、送信電力増幅器720から各送信アンテナ710への出力信号を時間多重化するマルチプレクサ722に結合される。
電力増幅器720が作動送信アンテナを駆動しているときに隣接する非作動送信アンテナ710で共振を誘導するのを抑制するために、たとえばクローキング回路714を作動させることによって、その送信アンテナの共振周波数を変更することにより非作動アンテナを「クローキング」することができる。一実現形態として、直接隣接するかあるいはほぼ隣接する送信アンテナ回路702を同時並行的に動作させると、同時並行的に作動されかつ互いに物理的に近くに位置するかあるいは隣接する他の送信アンテナ回路702間で干渉効果が生じる。したがって、送信アンテナ回路702は、送信アンテナ710の共振周波数を変更する送信器クローキング回路714をさらに含んでよい。
送信器クローキング回路は、送信アンテナ710の反応素子、たとえばキャパシタ716を短絡状態にするかあるいはキャパシタ716の値を変更する切り替え手段(たとえばスイッチ)として構成することができる。切り替え手段は、送信器のプロセッサからの制御信号721によって制御することができる。動作時には、一方の送信アンテナ710が作動されて共振し、一方、他方の送信アンテナ710は、共振するのを妨げられ、したがって、隣接する作動した送信アンテナ710に干渉するのが妨げられる。したがって、送信アンテナ710のキャパシタンスを短絡状態にするかあるいは変更することによって、送信アンテナ710の共振周波数が、他方の送信アンテナ710からの共振結合を妨げるように変更される。共振周波数を変更する他の技術も考えられる。
他の例示的な実施形態では、各送信アンテナ回路702は、それぞれの近接場結合モード領域内の受信器の存否を判定することができ、送信器プロセッサが、受信器が存在し無線充電を受ける準備が整っているときには送信アンテナ回路702を作動させ、受信器が存在しないかあるいはそれぞれの近接場結合モード領域内で無線充電を受ける準備が整っていないときには送信アンテナ回路702を作動させない。存在するかあるいは無線充電を受ける準備の整った受信器の検出は、本明細書で説明する受信器検出通信プロトコルに従って行うか、あるいは動き検知、圧力検知、画像検知のような受信器の物理的な検知、または送信器アンテナの近接場結合モード領域内の受信器が存在することを判定する他の検知技術に従って行うことができる。さらに、複数のアンテナ回路のうちの少なくとも1つにより高い比例デューティサイクルを設定することによって1つまたは複数の送信アンテナ回路を優先的に作動させることも、本発明の範囲内で考えられる。
図22を参照すると分かるように、複数送信アンテナ無線充電装置800の例示的な実施形態では、より広い無線充電領域808を形成する送信アンテナ801の内側に、互いに隣接して配置された複数のリピータアンテナ回路802A〜802Dを配置することができる。送信アンテナ801は、送信電力増幅器820によって駆動されると、各リピータアンテナ810A〜810Dとの共振結合を誘導する。制限ではなく一例として、たとえば約30〜40センチメートルの直径または辺寸法を有するリピータアンテナ810は、電子デバイスと組み合わされるかあるいは電子デバイスに固定された受信アンテナ(不図示)との一様な結合を実現する。リピータアンテナ回路802を複数送信アンテナ無線充電装置800のユニットまたはセルとみなし、これらのリピータアンテナ回路802A〜802Dをほぼ単一の平面804(たとえばテーブル上面)上に積み重ねるかあるいは平面804上で隣接する送信アンテナ回路同士をタイル化することによって、充電領域を広くするかあるいはより広くすることができる。より広い無線充電領域808によって、1つまたは複数のデバイス用の充電領域が広くなる。
複数送信アンテナ無線充電装置800は、送信アンテナ801に駆動信号を送信する送信電力増幅器820を含む。一方のリピータアンテナ810の近接場結合モード領域が他方のリピータアンテナ810の近接場結合モード領域に干渉する構成では、互いに干渉する隣接するリピータアンテナ810が「クローキング」され、作動後のリピータアンテナ810の無線充電効率が改善される。
複数送信アンテナ無線充電装置800内のリピータアンテナ810の作動順序付けは、時間領域に基づくシーケンスに従って行うことができる。送信電力増幅器820の出力は、一般に絶えず送信アンテナ801に結合される(本明細書で説明する受信器通信時を除く)。本発明の例示的な実施形態では、リピータアンテナ810は、送信器プロセッサからの制御信号821に従って時間多重化される。一実現形態として、直接隣接するかあるいはほぼ隣接するリピータアンテナ回路802を同時並行的に動作させると、同時並行的に作動されかつ互いに物理的に近くに位置するかあるいは隣接する他のリピータアンテナ回路802間で干渉効果が生じる。したがって、リピータアンテナ回路802は、リピータアンテナ810の共振周波数を変更するリピータクローキング回路814をさらに含んでよい。
リピータクローキング回路は、リピータアンテナ810の反応素子、たとえばキャパシタ816を短絡状態にするかあるいはキャパシタ816の値を変更する切り替え手段(たとえばスイッチ)として構成することができる。切り替え手段は、送信器のプロセッサからの制御信号821によって制御することができる。動作時には、一方のリピータアンテナ810が作動されて共振し、一方、他方のリピータアンテナ810は、共振するのを妨げられ、したがって、隣接する作動したリピータアンテナ810に干渉するのが妨げられる。したがって、リピータアンテナ810のキャパシタンスを短絡状態にするかあるいは変更することによって、リピータアンテナ810の共振周波数が、他方のリピータアンテナ810からの共振結合を妨げるように変更される。共振周波数を変更する他の技術も考えられる。
他の例示的な実施形態では、各リピータアンテナ回路802は、それぞれの近接場結合モード領域内の受信器の存否を判定することができ、送信器プロセッサが、受信器が存在し無線充電を受ける準備が整っているときにはリピータアンテナ回路802を作動させ、受信器が存在しないかあるいはそれぞれの近接場結合モード領域内で無線充電を受ける準備が整っていないときにはリピータアンテナ回路802を作動させない。存在するかあるいは無線充電を受ける準備の整った受信器の検出は、本明細書で説明する受信器検出通信プロトコルに従って行うか、あるいは動き検知、圧力検知、画像検知のような受信器の物理的な検知、またはリピータアンテナの近接場結合モード領域内の受信器が存在することを判定する他の検知技術に従って行うことができる。
複数送信アンテナ無線充電装置700および800の様々な例示的な実施形態は、ある受信器の優先充電、それぞれの異なるアンテナの近接場結合モード領域内の様々な数量の受信器、受信器に結合される特定のデバイスの電力要件などの因子とその他の因子に基づいて作動タイムスロットを送信/リピータアンテナに非対称的に割り当てることに基づいて送信/リピータアンテナ710、810に結合される入力信号の時間領域多重化をさらに含んでよい。
前述のように、送信器と受信器との間でエネルギー伝達が効率的に行われるのは、送信器と受信器の間で共振が整合しているかあるいはほぼ整合しているときである。しかし、送信器と受信器との共振が整合していないときでも、より低い効率でエネルギーを伝達することができる。エネルギーの伝達は、送信側アンテナからのエネルギーを自由空間内に伝搬させるのではなく、送信器側アンテナの近接場からのエネルギーを、この近接場が確立される近傍に存在する受信側アンテナに結合することによって行われる。
前述の手法をCDMA、WCDMA、OFDMのような様々な通信規格に適用できることに留意されたい。当業者には、様々な異なる技術のうちの任意の技術を使用して情報および信号を表すことができることを理解されよう。たとえば、上記の説明全体にわたって参照することのできるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップを電圧、電流、電磁波、磁場または粒子、光場または粒子、あるいはそれらの任意の組合せによって表すことができる。
図21および22は、ほぼ平面状の充電領域内の複数のループを示している。しかし、本発明の実施形態はこのように制限されない。本明細書で説明する例示的な実施形態では、本明細書で説明する技術によって、複数のアンテナを有する多次元領域を実現することができる。また、2009年9月25日に出願され、引用によって内容がすべての目的のために全体的に本明細書に組み込まれる、「SYSTEMS AND METHOD RELATING TO MULTI-DIMENSIONAL WIRELESS CHARGING」という名称の米国特許出願第12/567,339号に記載された手段のような多次元無線電力供給および充電を使用することができる。
無線充電装置(たとえば、近接場磁気共振、誘導結合など)内に1つまたは複数のデバイスを配置すると、受信器と無線充電装置送信アンテナとの位置付けが一定にならないことがある。たとえば、医療デバイスを溶液槽内で消毒しながら充電する際や水中で作業しながら工具を充電する際がそうである。流体が入った容器にデバイスを落としたとき、デバイスが容器の底面に接触する角度は、流体の質量の分布状態に依存する。他の非制限的な例として、無線充電装置が箱または鉢の形を取る際、デバイスを都合のよい位置に不注意に配置すると、無線充電装置に対するデバイスの有効な位置付けができなくなることがある。無線充電装置は、工具収納チェスト、おもちゃ箱、無線充電向けに構成されたエンクロージャのような、多数のデバイスを保持することのできる大型容器またはキャビネットと一体化することもできる。受信器をこれらのデバイスと一体化すると、デバイスが異なる形状因子を有し、かつ無線電力送信器に対して異なる向きに配置されることがあるため不適切である場合がある。
無線充電装置の既存の構成は、事前に定められた向きで最もうまく動作し、無線充電装置と受信器との向きが異なる場合に供給する電力レベルが低下することがある。また、無線電力の一部しか供給できない位置に充電されるデバイスを配置すると、充電回数が増えることがある。解決手段によっては、ユーザが充電すべきデバイスを有利な向きに位置させる特別なクレードルまたはホルダ内にデバイスを配置することが必要になり、ユーザにとって不都合であるように無線充電装置が設計されることがある。
他の手法は、たとえば「充電」マットまたは表面に埋め込まれた送信アンテナと充電すべきホストデバイスに埋め込まれた受信アンテナおよび整流回路との誘導結合に基づく手法である。この手法では、一般に送信アンテナと受信アンテナとの間隔を非常に狭くしなければならない(たとえば数ミリメートル)。
また、充電すべきデバイスを配置する場合にユーザによって最もよく使用される場所で無線電力を得られるようにして、ユーザがそのデバイスをより好都合に充電できるようにすることが望ましい。多くのユーザは、家庭、または仕事場を整理された状態に維持することの一部として容器または屋内の調度品に対象を格納することを好む。ユーザは、デバイスを(たとえば小売店で)バッグ、ポケット、またはパッケージに入れた状態で収納空間に格納することもある。しかし、デバイスを充電した状態で維持する必要がある場合、ユーザは、デバイスを取り出して充電する必要がある。ユーザは、このようなデバイスを充電するのを忘れることもあり、実際にデバイスが必要になったときにデバイスを用意するのが遅れることがある。
図23A〜23Cは、複数の方向に向けられた送信アンテナを保持する物品の例示的な実施形態を示している。この多次元配置は、送信アンテナの複数の次元に対して様々な向きに位置させた受信器に供給することのできる電力を増大させることができる。
図23A〜23Cでは、X軸、Y軸、およびZ軸に沿って概ね互いに直交する表面に送信アンテナが埋め込まれる三次元無線充電装置が示されている。これらの表面は、たとえば、矩形エンクロージャの3つの側面であってよい。3つのTxアンテナのうちのどれか1つまたは任意の一対のアンテナを使用するか、あるいは3つのTxアンテナを一度に使用して、エンクロージャ内に配置されたデバイス内のRxアンテナに無線によってRF電力を供給することができるように融通がきく。上記で図21および22に関して論じたような手段を使用して、様々な向きのアンテナのうちのどれかを選択して多重化することができる。
図23A〜23Cでは、例示的な工具930が工具箱910内に配置されている。第1の向きの送信アンテナ912が工具箱910の底面上に配置されている。第2の向きの送信アンテナ914が工具箱910の第1の側面上に配置され、第3の向きの送信アンテナ916が、工具箱910の第2の側面上に、第2の向きの送信アンテナ914にほぼ直交するように配置されている。図23Aは、中に配置された工具930を示すように蓋が開けられた工具箱910を示している。図23Bは、蓋が閉じられた工具箱910を示している。
図23Cは、互いにほぼ直交する方向に複数の面を含む連続的なループ送信アンテナ920の他の構成を示している。図23Cの例示的な実施形態では、連続的なループ送信アンテナ920は、工具箱910の底面に沿った第1の面922と、工具箱910の側面に沿った第2の面924と、工具箱910の背面に沿った第3の面926とを含む。
小型無線充電装置では、各次元に存在できる送信器は1つだけである。互いに平行なパネルが干渉を防止するために互いに十分な距離だけ離れた大型無線充電装置では、送信器を互いに向かい合うパネル上に設置することができ、それによって、パネルの中央に配置されたデバイスが両方向から電力を得ることができる。
図24Aおよび24Bは、複数の方向に向けられ、互いに向かい合うパネル内に位置する送信アンテナを保持するキャビネット950の例示的な実施形態を示している。図24Aは、ドアが開かれたキャビネット950を示し、図24Bは、ドアが閉じられたキャビネット950を示している。
送信アンテナ972および974はキャビネット950の互いに向かい合う側面(すなわち、それぞれ左側および右側)に位置している。送信アンテナ962および964はキャビネット950の互いに向かい合う側面(すなわち、それぞれドアおよび背面)に位置している。送信アンテナ982および984はキャビネット950の互いに向かい合う側面(すなわち、それぞれ上面および底面)に位置している。
図23A〜24Bを参照すると分かるように、デバイスが最も高い電力を受けるのを可能にするアンテナとして選択すべき最適なTxアンテナを定義する自己較正方法を提供することができる。複数のデバイスを同じエンクロージャ内で充電する場合、各デバイスに異なるタイムスロットを割り当てることによって異なるTxアンテナを選択して各デバイスに割り当てる手段が考えられる。
例示的な実施形態では、動作の頻度として、合理的なサイズのTxアンテナを互いの近接場内に位置させることができるほど小さい値が選択される。これによって、アンテナ同士をより離して配置した場合に可能になるよりもずっと高い結合レベル(-1.5dB〜-3dB)を実現することができる。Txアンテナが埋め込まれた表面が互いに直交していると、Txアンテナによって放射される電磁場が概ね直交するように偏向され、電磁場同士の分離が改善され、それによって、不要な結合による電力損失が低減する。各Txアンテナから伝送される電力を自動制御によって選択可能にすると、Txアンテナと任意に配置されたRxアンテナとの組合せにおける偏向の不一致による効率損失を低減させることができる。
例示的な実施形態では、各RxデバイスおよびTxアンテナは、上記で図13A〜15Dに関して説明したRxデバイスとTxアンテナとの通信用の技術を利用することができる。また、2008年10月10日に出願され、引用によって内容が全体的に本明細書に組み込まれる、「SIGNALING CHARGING IN WIRELESS POWER ENVIRONMENT」という名称の米国特許出願第12/249,816号に記載された手段のようなより高度な通信手段を使用することができる。
これらの通信方法は、Txアンテナの考えられるすべての組合せのそれぞれについて順次電力が伝送され、それに対してRxが信号を返し、それによって最高の電力が受信されるようになる「較正期間」中に使用することができる。この場合、Txシステムは、Txアンテナのこの最適な組合せを使用して充電期間を開始することができる。この通信方式では、同じエンクロージャ内の任意の方向に向けられた複数のデバイスを充電する場合、Txシステムは、Tの1/N倍の持続時間のタイムスロットをあるデバイスに割り当てる。ここで、Nは充電中のユニットの数であり、Tは充電期間である。Rxデバイスは、そのタイムスロットの間、他のRxデバイスに望ましい組合せとは無関係に、最良の電力伝達を可能にするTxアンテナの最適な組合せを判定することができる。この場合、複数のデバイスへの最適な電力伝達を実現するのにタイムスロット方式が必須であるというわけではない。たとえば、2つのRxデバイスの相対的な向きを、Rxデバイスのアンテナの偏向が互いに直交する(たとえば、デバイスAについてはX-Y平面、デバイスBについてはY-Z平面)ような向きにすることが可能である。この場合、最適なTxアンテナ構成は、X-Y平面に向けられたTxアンテナをデバイスAに使用し、Y-Z平面に向けられたTxアンテナをデバイスBに使用する構成である。2つのTxアンテナが固有に分離されるため、2つのTxアンテナを同時に充電することが可能である。このような状況には、各RxデバイスがTxアンテナを選択する自動制御性によって、このような状況に対処することができる。
本発明の例示的な実施形態は、家庭、職場、および他の建物における様々な機器を、受信器を有するゲストデバイスに無線によって電力を伝達してゲストデバイスの再充電可能電池を充電するかあるいは該電池に直接電力を供給することのできる送信器、リピータ、またはそれらの組合せを有するホストに変換することを含む。この機器を本明細書では一般に、ホスト備品および既存の調度品と呼ぶことがある。したがって、これらのホスト備品は、ホストが、電力を無線によって伝送するための独立のインフラストラクチャを確立する必要なしに無線によってゲストデバイスに電力を伝達できるように配置される環境内のいくつかのホットスポットを構成することができる。これらの例示的な実施形態では、環境の装飾に組み込むことがより困難であることが多く、かつ美的な観点から受け入れられない大型の無線アンテナを不要にすることができる。また、アンテナが大きければ大きいほど発生する電磁(EM)場も大きくなり、安全面の問題に対応することが困難になる場合がある。
開示される例示的な実施形態は、ホスト家具内の送信アンテナと、同じまたは他の、ホスト家具内のリピータのような特別なアンテナとを使用することができる。このようなリピータに電力を供給することができ、あるいは該リピータを受動的に終端処理することができる。電力伝達システムにおけるリピータと結合されたアンテナとの組合せは、非常に小型のRxアンテナへの電力の結合が強化されるように最適化することができる。リピータ内の端末負荷同調構成部材を使用してシステム内の電力伝達を最適化することもできる。
本開示の例示的な実施形態は、イーブック、無線デジタルフォトフレーム、煙探知器、リモコン装置のような低電力受信器デバイスを充電する手段を含む。このデバイスは、ユーザの家庭、職場、または電力伝送デバイスを見つけることのできる任意の位置に残されたときに非常に低い電力レベルで充電することができる。このような受信器デバイスは、低レベルの無線電力によって長期間にわたって充電することができ、動作するのに十分な電力を常に有することができる。したがって、有線電力を設けることなく壁に掛けることのできる無線デジタルフォトフレームを使用することができる。煙探知器の例示的な実施形態では、このようなデバイスを、ハード配線された電力を必要とせずに上記と同様に充電することができる。リモコン装置の例示的な実施形態では、上記のように、無線電力が低速度で到達することのできるあらゆる場所でこのような装置を充電することができる。家庭、職場、作業環境、公共施設などに存在する他の低電力デバイスも同じ方法を使用することができる。
図25〜32は、本発明の例示的な実施形態を実施することのできる例示的な家具、収納空間、および建物の要素を示している。例示のために、本明細書では、テーブル、棚、引き出しなどの家具と、クローゼット、食器棚、収納箱、引き出し、ロッカーなどの容器を使用するが、本発明の例示的な実施形態がこれらに限定されないことを理解されたい。
無線充電は、たとえば誘導結合、近接場磁気共振電力エネルギー伝達などを使用して実現することができる。送信器を1つまたは複数の内部表面(棚、側面パネル、背面パネル、上面パネルなど)に組み込む(内蔵させる)か、並べるか、あるいは取り付けることができる。受信器は、付属品として電子デバイスに接続されるか、あるいは電子デバイスと一体化される。
誘導結合実現形態では、収納領域の内部パネルに取り付けられたオーバレイパッドを使用して一次コイルが一体化または設置された指定されたスポット、アクティブエリア、長穴、棚、溝、またはホルダがあってよい。充電されるデバイスは、受信側コイルを送信側コイルに揃えるようにこの指定位置に配置される。
近接場磁気共鳴実現形態では、格納領域の1つまたは複数の内部表面に送信側ループを付加することができる。充電されたデバイスをある表面に付加する際、その表面に平行に配置して、(伝送される電力レベルに応じて)該表面からわずかな距離の範囲内で充電することができる。たとえば、引き出しおよび棚の深さと伝送される電力のレベルに応じて、充電パッドを1番上の引き出しまたは1番上の棚の底部上に配置し、1番上の引き出し内または1番上の棚上およびその下の引き出しまたは棚内に配置したデバイスを充電することができる。受信器を有する充電されるデバイスは、送信側ループ境界内の任意の場所に配置することができる。格納領域内の送信側ループ構成は、ユーザが充電されるデバイスを送信側ループの境界上に配置するのを防止するような構成であってよい。上記で図23A〜24Bを参照して説明したように、充電される装置を複数の表面に付加すると、該装置のさらに融通に富んだ配置が可能になる。このような多重方向送信アンテナは、積み重ねられた他の物品を含む格納領域(たとえば引き出し)内、またはバッグ(たとえば収納箱やロッカー)内に受信器デバイスを配置する場合に特に有用である。
図25および26は、1つのコイルを有する無線充電装置がコイルの上下両方に位置するデバイスを充電する全方向送信アンテナを使用する、テーブル上などの無線充電表面を示している。たとえば、このような無線充電装置は、ナイトテーブルの表面上または該表面の近くとナイトテーブルの1番上の引き出し内の両方に位置するデバイスを同時に充電することができる。全方向充電では、一方向無線充電装置よりも多くのデバイスを同時に充電することができる。この全方向充電解決手段は、ユーザの行動と無線充電装置の動作を一致させる可能性を高くする。これらの例示的な実施形態および本発明の範囲内の他の実施形態はいずれも、上記で図20を参照して論じた存在検出器280を使用することができる。
また、これらの例示的な実施形態、および密閉された領域を有する本発明の範囲内の他の実施形態はいずれも、上記で図20を参照して論じた密閉検出器290を使用して、家具が密閉状態であるかそれとも開放状態であるかを判定することができる。密閉状態のときは、高電力レベルを使用することができる。密閉検出器290は、たとえば、ドアまたは引き出し上のスイッチのような、密閉状態を検出することのできる任意のセンサであってよい。
無線充電装置は、標準的な家庭用電源コンセントから電力を受信することができる。無線充電装置の送信アンテナは、テーブルまたは同様の種類の家具の最上面の下または内部に配置される。このような全方向充電機構は、家庭で購入する必要のある無線充電装置の数を減らし、無線充電を消費者にとってより費用効果の高いものにする。無線充電棚は、消費者が、無線充電を受けることのできる消費者電子デバイスを、単に棚の上または中に残すことによって充電するのを可能にする。また、この棚には、無線充電構成を様々な既存の家具に容易に組み込めるように充電アンテナコイルのサイズおよび形状の変更を容易にするRFフロントエンドを受け入れる無線充電装置を組み込むことができる。RFフロントエンドを容易に交換できるようにすることによって、あらゆる種類の非金属製家具および支持体を無線充電装置にすることができる。
無線充電アンテナコイル(および適切な整合回路)を上記で論じたような送信側アンテナまたはリピータアンテナとして実施することができる。したがって、アンテナを様々なサイズおよび形状で使用することができ、通常の家具を、無線によって電子デバイスを充電することができる家具として改修することが可能になる。アンテナコイルは、様々な別個の直径寸法を有するだけでなく、丸形、方形、および矩形の家具に適切に嵌るようにいくつかの異なる形状に作ることもできる。このような貼り付け式充電アンテナコイルは、エンドユーザによって容易に実現される方法で既存の家具に貼り付けるかあるいは取り付けることができる。
図25は、テーブル1010の中または上に配置された送信アンテナ1015の例示的な実施形態を示している。この例示的な実施形態では、送信アンテナ1015を最初からテーブル1010の一部として製造する(すなわちホスト備品)か、あるいは後でテーブル上(たとえば引き出しの中または下)に配置する(すなわち既存の調度品)ことができる。
図26は、受信器デバイス1029を保持する棚1020の中または上に位置する送信アンテナ1025の例示的な実施形態を示している。この例示的な実施形態では、送信アンテナ1025を最初から棚1020の一部として製造する(すなわちホスト備品)か、あるいは後で棚1020上に配置する(すなわち既存の調度品)ことができる。
図27は、整理ダンス1030の中または上に配置された1つまたは複数の送信器1035の例示的な実施形態を示している。この例示的な実施形態では、送信アンテナ1035を最初から整理ダンス1030の一部として製造する(すなわちホスト備品)か、あるいは後で整理ダンス1030上に配置する(すなわち既存の調度品)ことができる。非制限的な例として、送信アンテナ1035を引き出し1032の底部内、引き出し1032の側面上、または整理ダンス1030の側面上に配置することができる。複数のアンテナ(送信アンテナやリピータアンテナなど)を用いる場合、上記で図21〜24Bを参照して論じた例示的な実施形態は、アンテナが(図21や図22のように)同一平面内に位置するかあるいは(図23A〜24Bのように)多次元に位置するかに応じて複数のアンテナを制御することができる。受信器デバイスは、引き出し内のどこに配置しても充電することができ、一方、引き出しを閉じることによって電力レベルをさらに高くすることができる。
図28は、机1040の引き出し1042の中または上に配置された送信器アンテナ1045の例示的な実施形態を示している。この例示的な実施形態では、送信アンテナ1045を最初から整理ダンス1040の一部として製造する(すなわちホスト備品)か、あるいは後で引き出し1042の中または上に配置する(すなわち既存の調度品)ことができる。受信器デバイス1049は、引き出し1042内のどこに配置しても充電することができ、一方、引き出しを閉じることによって電力レベルをさらに高くすることができる。
図29A〜29Cは、様々な構成の1つまたは複数の送信器を保持するエンクロージャ1050の例示的な実施形態を示している。これらの例示的な実施形態では、送信アンテナ1055を最初からエンクロージャ1050の一部として製造する(すなわちホスト備品)か、あるいは後でエンクロージャ1050の中または上に配置する(すなわち既存の調度品)ことができる。エンクロージャ1050は特に充電エンクロージャとして構成することができる。しかし、たとえば、学校のロッカーや体育館のロッカーのような他の多機能エンクロージャを使用することもできる。
図29Aは、受信器デバイス1059が内部に位置するエンクロージャ1050の底部に配置された送信アンテナ1055を示している。図29Bは、エンクロージャ1050内に受信器デバイス1059が位置し、エンクロージャ1050内のハンドバッグ内に受信器デバイス1059が位置するエンクロージャ1050の様々な側面上の複数のアンテナ1055を示している。複数のアンテナ(送信アンテナやリピータアンテナなど)を用いる場合、上記で図21〜24Bを参照して論じた例示的な実施形態は、アンテナが(図21や図22のように)同一平面内に位置するかあるいは(図23A〜24Bのように)多次元に位置するかに応じて複数のアンテナを制御することができる。受信器デバイス1059は、エンクロージャ1050内のどこに配置しても充電することができる。
図29Cは、充電すべき受信器デバイス1059が棚1057の上下に位置するエンクロージャ1050の棚1057上の送信アンテナ1055を示している。図29Cに示されているエンクロージャ1050はドア1058を含む。したがって、ドア1058が閉じているときは、密閉家具検出器290(図20)を使用して受信器デバイス1059への電力伝送を強化することができる。
図30は、クローゼット1060の中または上に配置された1つまたは複数のアンテナ(1065および1066)の例示的な実施形態を示している。非制限的な例として、コートのポケットおよびハンドバッグ内に受信器デバイス1069が示されている。この例示的な実施形態では、アンテナ(1065および1066)を最初からクローゼット1060の一部として製造する(すなわちホスト備品)か、あるいは後でクローゼット1060の中または上に配置する(すなわち既存の調度品)ことができる。受信器デバイス1069をクローゼット1060に放り込むかあるいは受信器1069を含む物品をクローゼット1060内に配置するだけで、受信器デバイス1069を充電することができる。アンテナ1065は、クローゼット1060のドア枠1065内に位置するものとして示されている。他の適切な位置は、クローゼット1060の内壁または棚の上であってよい。アンテナ1066は、クローゼット1060のドアの中または上に位置するものとして示されている。
エンクロージャ1060はドア1067を含む。したがって、ドア1067が閉じているときは、密閉家具検出器290(図20)を使用して受信器デバイス1059への電力伝送を強化することができる。複数のアンテナ(送信アンテナやリピータアンテナなど)を用いる場合、上記で図21〜24Bを参照して論じた例示的な実施形態は、アンテナが(図21や図22のように)同一平面内に位置するかあるいは(図23A〜24Bのように)多次元に位置するかに応じて複数のアンテナを制御することができる。
図31は、ベッド1070の中または上に配置された送信器1075の例示的な実施形態を示している。この例示的な実施形態では、送信器1075を最初からベッド1070の一部として製造するか、あるいは後でクローゼットベッド1070の中または上に配置する(すなわち既存の調度品)ことができる。受信器デバイス(不図示)をベッド1070の上または下に配置するかあるいは受信器デバイスを含む物品をベッド1070の上または下に配置することによって、受信器デバイスを充電することができる。送信器1075は、AC壁コンセント1078または他の適切な電源から電力を供給することができる。
図32は、じゅうたん1080の中または上に配置された1つまたは複数のアンテナ1085の例示的な実施形態を示している。この例示的な実施形態では、アンテナ1085を最初からじゅうたん1080の一部として製造するか、あるいは後でじゅうたん1080の中、上、または下に配置する(すなわち既存の調度品)ことができる。受信器デバイス(不図示)をじゅうたん1080上に配置するかあるいは受信器デバイスを含む物品をじゅうたん1080上に配置することによって、受信器デバイスを充電することができる。アンテナ1085は、AC壁コンセント1078または他の適切な電源から電力を供給することができる。
図30は、じゅうたんの中または下に配置された1つまたは複数のアンテナ1085の例示的な実施形態を示している。この例示的な実施形態では、アンテナ(1065および1066)を最初からクローゼット1060の一部として製造する(すなわちホスト備品)か、あるいは後でクローゼット1060の中または上に配置する(すなわち既存の調度品)ことができる。受信器デバイス1069をクローゼット1060に放り込むかあるいは受信器1069を含む物品をクローゼット1060内に配置するだけで、受信器デバイス1069を充電することができる。アンテナ1065は、クローゼット1060のドア枠1065内に位置するものとして示されている。他の適切な位置は、クローゼット1060の内壁または棚の上であってよい。アンテナ1066は、クローゼット1060のドアの中または上に位置するものとして示されている。
図33は、送信器1095を保持し、1つまたは複数の受信器デバイス(不図示)を保持する壁1090上の壁取り付け式コンセント1092の例示的な実施形態を示している。壁取り付け式コンセント1092は、デバイスを無線充電装置の場内に揃えて配置するのを物理的に助けるアライナ1098を含んでよい。この位置合わせ補助装置は、壁取り付けコンセント1092を特に誘導結合用途と近接場結合用途で有効に使用できるようにすることができる。図示していないが、壁取り付け式コンセント1092は、おそらく複数の向きに配置された複数のアンテナを含んでよい。複数のアンテナ(送信アンテナやリピータアンテナなど)を用いる場合、上記で図21〜24Bを参照して論じた例示的な実施形態は、アンテナが(図21や図22のように)同一平面内に位置するかあるいは(図23A〜24Bのように)多次元に位置するかに応じて複数のアンテナを制御することができる。コンセント1092は壁取り付け式のコンセントとして示されている。しかし、たとえばデスクトップコンセントのような、アライナ1098を有する他のコンセント1092も本発明の範囲内と考えられる。
図34は、壁2000上に配置された送信アンテナ2005と、受信器デバイス2009が送信アンテナ2005の結合モード領域内に位置するように受信器デバイスホルダ2008から(たとえばフック)ぶら下がっている受信器デバイス2009の例示的な実施形態を示している。この構成でも、衣服またはバッグが送信アンテナ2005の上方のフック2008に掛けられている間、ジーパン、財布、バックパックなどの二次容器内に入っている受信器デバイスが充電を受けることができる。
図35は、本発明の1つまたは複数の例示的な実施形態で実行できる動作を示す簡略化されたフローチャート2100である。様々な例示的な実施形態は、図35に示されている動作のいくつかまたはすべてと、図示されていない他の動作を含んでよい。動作2012では、1つまたは複数の送信アンテナ、1つまたは複数のリピータアンテナ、またはそれらの組合せを含む無線充電装置をホスト備品または既存の調度品の上または中に配置することができる。動作2014では、送信アンテナの共振周波数での電磁場を発生させて送信アンテナの近接場内に結合モード領域を生成することができる。動作2016では、受信アンテナを有する受信デバイスを結合モード領域内に配置することができる。
動作2108で、プロセスは、結合モード領域内に受信器が存在するかどうかを確認する。存在する場合、動作2110で、無線充電装置が、送信アンテナに電力を印加するかあるいは送信アンテナへの電力を増大させることができる。存在しない場合、動作2112で、無線充電装置は、送信アンテナから電力を除去するかあるいは送信アンテナへの電力を低減させることができる。
動作2014では、プロセスは、調度品が密閉状態であるかどうかを検査することができる。調度品が密閉状態である場合、動作2116で無線充電装置は、送信アンテナへの電力を調度品の密閉状態に適合するレベルに増大させることができる。
動作2118では、プロセスは、結合モード領域内または結合モード領域の近くに人間が存在するかどうかを検査することができる。結合モード領域内または結合モード領域の近くに人間が存在する場合、動作2120で、無線充電装置は送信アンテナの電力出力を規制レベル以下に調整することができる。結合モード領域内または結合モード領域の近くに人間が存在しない場合、動作2124で、無線充電装置は送信アンテナの電力出力を規制レベルよりも高いレベルに調整することができる。
当業者には、様々な異なる技術のうちの任意の技術を使用して情報および信号を表すことができることを理解されよう。たとえば、上記の説明全体にわたって参照することのできるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップを電圧、電流、電磁波、磁場または粒子、光場または粒子、あるいはそれらの任意の組合せによって表すことができる。
当業者には、本明細書で開示された例示的な実施形態に関連して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップを電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組合せとして実現できることがさらに理解されよう。ハードウェアとソフトウェアがこのように相互に交換可能であることを明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、ならびにステップについて、上記では全般的にそれらの機能に関して説明した。このような機能をハードウェアとして実現するかそれともソフトウェアとして実現するかは、システム全体に課される用途および設計上の特定の制約によって決まる。当業者は、前述の機能を各々の特定の用途について様々な方法で実施することができるが、このように実施する際の決定を、本発明の例示的な実施形態の範囲から逸脱させるものと解釈すべきではない。
本明細書で開示した実施形態に関連して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)または他のプログラム可能な論理デバイス、離散ゲートまたはトランジスタ論理、離散ハードウェア構成要素、あるいは本明細書で説明した機能を実施するように構成された上記の要素の組合せによって実施または実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよいが、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態マシンであってもよい。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つまたは複数のマイクロプロセッサの組合せ、またはそのような任意の他の構成として実現することもできる。
本明細書で開示した実施形態に関連して説明した方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接実現するか、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで実現するか、あるいはその2つの方法を組み合わせて実現することもできる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、EPROM(Electrically Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で公知の他の形態の記憶媒体に存在することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが情報を記憶媒体から読み取りかつ記憶媒体に書き込むことができるようにプロセッサに結合される。あるいは、記憶媒体はプロセッサと一体であってよい。プロセッサと記憶媒体はASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することができる。あるいは、プロセッサと記憶媒体は、離散構成要素としてユーザ端末内に存在することができる。
1つまたは複数の例示的な実施形態では、前述の機能をハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実現することができる。ソフトウェアで実現した場合、各機能を1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶するかあるいはコンピュータ可読媒体を介して伝送することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、コンピュータプログラムのある場所から他の場所への転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体との両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスできる利用可能な任意の媒体であってよい。制限ではなく一例として、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、あるいは所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形で保持または記憶するのに使用することができ、かつコンピュータによってアクセスすることのできる任意の他の媒体を備えてよい。また、任意の接続をコンピュータ可読媒体と呼ぶのも適切である。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモート送信元から送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線技術は媒体の定義に含まれる。ディスク(diskおよびdisc)は、本明細書で使用されるときは、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタルバーサチルディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含む。ここで、diskは通常、データを磁気的に再生するものであり、一方、discはデータをレーザによって光学的に再生するものである。上記の媒体の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれる。
開示した例示的な実施形態についての上記の説明は、当業者が本発明を製造または使用するのを可能にするための説明である。当業者にはこれらの例示的な実施形態に対する様々な修正が容易に明らかになろう。本明細書で定義した一般原則は、本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに他の実施形態に適用することができる。したがって、本発明は、本明細書に示した実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示した原則および新規の特徴に整合する最も広い範囲が与えられるべきものである。