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JP5894123B2 - 電磁コイル装置 - Google Patents

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JP5894123B2
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Description

本発明は電磁コイル装置内の電磁コイルに流れる電流がステップ状に変化する際に発生するサージ電圧の低減技術に関するものである。
電磁クラッチや電磁ブレーキ等、電磁コイルを備えた電磁コイル装置において、電磁コイルへの通電を遮断した場合、電磁コイルに流れる電流がステップ状に変化し、電磁コイルの両端に大きなサージ電圧(逆起電力)が発生する。そのため、該電磁コイル装置に接続された他の装置を損傷させる等の問題が生じうる。そこで、従来、該電磁コイル装置に発生する上記サージ電圧を低減する技術が用いられている(例えば、特許文献1)。
特許文献1では、ダイオードを電磁コイルに対して並列接続することによりサージ電圧を低減する技術が開示されている。
特開平10−037978号公報 特開2011−069489号公報
しかしながら、特許文献1のようにダイオードを追加で設ける場合、ダイオード追加分のコスト上昇に加え、特に、ダイオードを確実に配線する精度が要求される等に起因した製造コスト上昇等を招き、コスト面での問題が生じる場合がある。また、ダイオードを電磁コイルと並列接続するため、例えば、電磁クラッチ等の筐体内にダイオードを設ける場合、レイアウトスペースの不足や構造上の制約等の問題が生じる場合がある。
そこで、上記課題に鑑み、サージ電圧低減用のダイオードを設けることなく、電磁コイルに発生するサージ電圧を低減することが可能な電磁コイル装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、一実施形態において、本電磁コイル装置は、
電磁石として機能する電磁コイル装置であって、
コイル線が巻かれた電磁コイルと、
前記電磁コイルの周囲に設けられ、前記電磁コイルと電気的に絶縁された、強磁性体である第1の電気導電体と、
前記第1の電気導電体に設けられ、又は、前記第1の電気導電体と前記電磁コイルとの間に設けられ、前記電磁コイルと電気的に絶縁された第2の電気導電体であって、前記電磁コイルに流れる電流が変化した場合に渦電流が流れるように設けられた第2の電気導電体と、を備え、前記第2の電気導電体は、前記第1の電気導電体よりも電気抵抗率又は飽和磁化値が小さいことを特徴とする。
本実施の形態によれば、サージ電圧低減用のダイオードを設けることなく、電磁コイルに発生するサージ電圧を低減することが可能な電磁コイル装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る電磁クラッチ1の概略断面図である。 第1の実施形態に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10周辺部分の詳細構造を示す断面図である。 第1の実施形態に係る電磁クラッチ1に発生する渦電流を説明する図である。 第1の実施形態に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10に発生するサージ電圧を示す図である。 銅膜12の厚さと電磁コイル10に発生するサージ電圧との関係を示す図である。 銅膜12の配置と電磁コイル10に発生するサージ電圧との関係を示す図である。 第1の実施形態の変形例1に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10及び銅膜12の模式図である。 第1の実施形態の変形例2に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10及び銅膜12の模式図である。 第2の実施形態に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10周辺部分の詳細構造を示す断面図である。 第2の実施形態の変形例に係る電磁コイル10及び銅膜122の模式図である。 第3の実施形態に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10周辺部分の詳細構造を示す断面図である。 電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8の電気抵抗率と電磁コイル10に発生するサージ電圧との関係を示す図である。 電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8の飽和磁化値と電磁コイル10に発生するサージ電圧との関係を示す図である。 電磁コイル10の形状の変形例を示す図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る電磁クラッチ1の構造を示す概略断面図である。
図1を参照するに、本実施形態に係る電磁クラッチは、カーエアコン用コンプレッサ2に設けられたものである。エンジン(不図示)のクランクプーリからの動力がベルトを介してカーエアコン用コンプレッサ2に伝達され、回転駆動される。ここで、エアコンが使用される場合にのみ、伝達された回転動力をカーエアコン用コンプレッサ2の回転軸3に伝達するため、電磁クラッチ1は、回転動力の伝達及び該伝達を遮断する機能を有する。
電磁クラッチ1は、電磁コイル筐体5、ロータ7、クラッチ板8、クラッチハブ9、電磁コイル10、絶縁部材11等を備える。
電磁コイル筐体5は、カーエアコン用コンプレッサ2のハウジング4に固定されている。電磁コイル筐体5は、全体が円環状に形成されており、カーエアコン用コンプレッサ2の回転軸3と同一軸線上に配置される。また、電磁コイル筐体5は、後述するロータ7に設けられた環状の溝部7aの内部に内挿されている。また、電磁コイル筐体5は、環状の溝部5aを有し、溝部5aの内部に後述する電磁コイル10が挿入されている。電磁コイル筐体5は、例えば、SPCC(Steel Plate Cold Commercial)等を用いてプレス加工等により製造される。なお、SPCCは、JIS(Japanese Industrial Standards;日本工業規格)により定められる一般用の冷間圧延鋼板である。
ロータ7は、カーエアコン用コンプレッサ2のハウジング4の円筒部4aに軸受6を介して回転自在に支持されている。ロータ7は、外周部にプーリ溝7bが設けられており、該プーリ溝7bにベルトが巻きつけられ、該ベルトが同様に巻きつけられたエンジンのクランクプーリの回転動力が伝達される。ロータ7は、上述のとおり、溝部7aの内部に電磁コイル筐体5が挿入されており、溝部7aの内部に電磁コイル筐体5が挿入された状態で回転する。また、ロータ7の回転軸方向の一端面には、クラッチ板8と対向する摩擦面7cが設けられている。ロータ7は、例えば、SPCC等を用いてプレス加工等により製造される。
クラッチ板8は、クラッチハブ9に固定されている。クラッチ板8と上述したロータ7の摩擦面7cとが接している場合に、発生する摩擦力によりロータ7に伝達された回転動力がクラッチハブ9を介してカーエアコン用コンプレッサ2の回転軸3に伝達可能とされている。クラッチ板8は、SPCC等を用いてプレス加工等により製造される。
クラッチハブ9には、カーエアコン用コンプレッサ2の回転軸3が挿通され、ナット3aにより抜け止め固定されている。上述のとおり、クラッチ板8とロータ7の摩擦面7cとが接している場合に、クラッチハブ9は、クラッチハブ9に固定されたクラッチ板8を介して、ロータ7に伝達された回転動力をエアコン用コンプレッサ2の回転軸3に伝達する。
電磁コイル10は、所定軸(以下、電磁コイル軸と呼ぶ)を中心として円環状にコイル線10aが巻かれて形成され、電磁コイル筐体5に設けられた環状の溝部5aの内部に挿入されている。なお、本実施形態において、電磁コイル軸は、上記カーエアコン用コンプレッサ2の回転軸3と略同じである。電磁コイル10は、例えば、ポリエチレン樹脂等の絶縁部材11により、電磁コイル筐体5(後述する銅膜12)と電気的に絶縁された状態で固定される。電磁コイル10には、車両に搭載されたバッテリ(不図示)からの直流電力供給が行われ、電流が流れる。バッテリからの電力供給が行われることにより、電磁コイル10が電磁石として作用し、一体に設けられたクラッチ板8及びクラッチハブ9がロータ7に吸着される。これにより、ロータ7に伝達された回転動力がクラッチ板8及びクラッチハブ9を介して、カーエアコン用コンプレッサ2の回転軸3に伝達される。また、電磁コイル10への電力供給が遮断されることにより、一体に設けられたクラッチ板8及びクラッチハブ9がクラッチダンパー(不図示)の反力によりロータ7から離間し、ロータ7からの回転動力の伝達は遮断される。
また、電磁クラッチ1は、電磁コイル筐体5に設けられた銅膜12を含む。
ここで、図2は、本実施形態に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10周辺部分の詳細構造を示す断面図である。なお、図中左方にロータ7の回転軸があるものとする。また、ロータ7のプーリ溝7b、及び絶縁部材11は、簡単のため、図示を省略している。
図2を参照するに、電磁コイル筐体5の溝部5aの2つの側壁面と底面に所定の厚みを有する銅により形成された銅膜12が設けられている。銅膜12と電磁コイル10とは、絶縁部材11を介して電気的に絶縁されている。銅膜12は、電磁コイル筐体5(SPCC)の内面に対して、銅メッキ処理を施すことにより形成してよい。
次に、本実施形態に係る電磁クラッチ1、特に銅膜12による作用を説明する。
ここで、電磁コイル10への電力供給のON/OFFに伴い電磁コイル筐体5、ロータ7、クラッチ板8、銅膜12等に発生する渦電流について説明をする。
図3は、第1の実施形態に係る電磁クラッチ1に発生する渦電流を説明する図である。図3(a)は、電磁コイル10に電力供給されている場合に、電磁コイル10に流れる電流と発生する磁束とを示した図である。図3(b)は、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に、電磁コイル10に流れる電流と、電磁コイル筐体5(、銅膜12)、ロータ7及びクラッチ板8に発生する渦電流と、発生する磁界とを示した図である。図3(c)は、発生する渦電流の流れる方向を模式的に示す図である。なお、図3(c)において、説明のため、電磁コイル10は簡略的に描画し、電磁コイル筐体5は、溝部5cの一方の側壁面のみを描画している。
図3(a)を参照するに、電磁コイル10に電力供給が行われている場合、電磁コイル10には、点線矢印で模擬的に示した一定の直流電流が流れる。よって、電磁コイル10に流れる直流電流によって静磁界が生成され、図中の太い実線矢印で示す一定の磁束が発生する。これにより、クラッチ板8は、ロータ7に吸着され、電磁クラッチ1は、ロータ7に伝達された回転動力をカーエアコン用コンプレッサ2の回転軸3に伝達することができる。
これに対して、図3(b)を参照するに、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合、電磁コイル10に流れる電流は時間と共に急激に減少する。これにより、電磁コイル10に電流が流れることにより発生していた磁束は急激に減少する(図中の太い点線矢印)ため、ファラデーの電磁誘導法則に基づく、逆起電力(サージ電圧)が発生する。また、電磁コイル10周囲の導体である電磁コイル筐体5(、銅膜12)、ロータ7、クラッチ板8には、上述した電磁コイル10に電流が流れることにより発生していた磁束の減少に伴う各導体を貫く磁束の変化に応じて渦電流が発生する。レンツの法則に基づき、電磁コイル筐体5(、銅膜12)、ロータ7、クラッチ板8に発生する渦電流は、各導体を貫く磁束の変化を妨げる方向に流れる。よって、図3(c)に示すように、該渦電流(図中太い実線矢印)は、電磁コイル10に流れる電流(図中太い点線矢印)と同じ軸(電磁コイル軸)を中心とした円周方向に流れる。これにより、図3(b)において、実線矢印で示す磁束が該渦電流により発生するため、上述した電磁コイル10に電流が流れることにより発生していた磁束の減少を緩やかにすることが可能である。すなわち、該渦電流に応じて発生する磁束により電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することが可能である。
ここで、図4は、第1の実施形態に係る電磁クラッチ1に発生するサージ電圧を示す図であり、電磁コイル10への電力供給が遮断された後の時間経過に対する電磁コイル10に発生する電圧の変化を表している。グラフ中の実線は、本実施形態に係る電磁クラッチ1に発生する電圧(銅膜12を設けた場合)を示し、点線は、仮に銅膜12を設けない場合の電圧を示す。本図において、負の電圧がサージ電圧であり、以下、参照する同様のグラフにおいても同じである。
図4を参照するに、銅膜12を設けない場合のサージ電圧は、約300Vであるのに対し、本実施形態に係る電磁クラッチ1に発生するサージ電圧は、100V以下まで低減されていることが分かる。
電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に、電磁コイル筐体5、ロータ7、クラッチ板8にも渦電流は流れる。しかし、電磁コイル筐体5、ロータ7、クラッチ板8(特に、ロータ7とクラッチ板8)には、電磁クラッチ1の本来機能である電磁連結機能を確保するため、強磁性体であるSPCC等の鉄が材料に用いられている。ここで、鉄は、電気抵抗率が高い(例えば、本実施形態に係るSPCCは、1.340×10−7Ω/m)ため、電磁コイル筐体5、ロータ7、クラッチ板8にあまり大きな渦電流を発生させることができない。
これに対して、銅膜12は、電気抵抗率がSPCCの約1/10であり(例えば、本実施形態に係る銅膜12は、1.673×10−8Ω/m)、SPCCよりも大きな渦電流を発生させることができる。このため、本実施形態に係る電磁クラッチ1では、銅膜12を電磁コイル筐体5の環状の溝部5aの内面に設けることにより、サージ電圧を大きく低減することができる。
上記作用により本実施形態に係る電磁クラッチ1においては、従来のようにサージ電圧低減用のダイオードを設けることなくサージ電圧の低減が可能であるため、コスト面での問題を解消することが可能である。また、ダイオードを電磁クラッチ1の電磁コイル筐体5内に設ける場合におけるレイアウトスペース不足や構造上の制約等の問題も解消することができる。なお、銅膜12を形成する分のコスト上昇よりもダイオードを省略するコスト低減効果の方が大きい。
また、銅膜12は、電磁コイル10に一定の直流電流が流れている状態(電磁コイル10が電磁石として動作している状態)では、何の作用も及ぼさない。そのため、電磁コイル筐体5の形状が同じである限り、電磁クラッチ1の性能を維持しつつ、電磁コイル10に発生するサージ電圧の低減を図ることが可能となる。
また、上記において銅膜12の厚さについては、具体的に言及しなかったが、銅膜12の厚さによっても渦電流の大きさが変わり、それに伴いサージ電圧の低減効果が異なる。
ここで、図5は、銅膜12の厚さと電磁コイル10に発生するサージ電圧との関係を示す図である。図5(a)は、電磁コイル10への電力供給が遮断された後の時間経過に対する電磁コイル10に発生する電圧の変化を示している。銅膜12の厚さをd[mm]として、実線は、d=1mmの場合、一点鎖線は、d=0.5mmの場合、二点鎖線は、d=0.1mmの場合、点線は、仮に電磁コイル筐体5全体を銅とした場合をそれぞれ示している。図5(b)は、銅膜12の厚さと銅膜12に流れる渦電流量を示す図であり、縦軸を電流密度、横軸を銅膜12の裏面(電磁コイル筐体5と密着している側)からの距離としたグラフである。図5(a)と同様に、実線は、d=1mmの場合、一点鎖線は、d=0.5mmの場合、二点鎖線は、d=0.1mmの場合をそれぞれ示し、各グラフを積分した値(各グラフより下の部分と電流密度0のラインとで囲まれた範囲の面積)が流れる渦電流量を表している。
ここで、図5(a)を参照するに、d=0.5mmの場合やd=1mmの場合の方がd=0.1mmの場合よりもサージ電圧が低くなっているのが分かる。また、これに対応して、図5(b)を参照するに、d=0.5mmの場合やd=1mmの場合に、銅膜12に流れる渦電流量は、d=0.1mmの場合に銅膜12に流れる渦電流量よりも大きいことが分かる。
また、図5(a)を参照するに、d=0.5mmの場合とd=1mmの場合とでは、サージ電圧に大きな差異はない。また、これに対応して、図5(b)を参照するに、d=0.5mmの場合とd=1mmの場合とでは、銅膜12に流れる渦電流量もほぼ同程度である。さらに、図5(a)を参照するに、電磁コイル筐体5全体を銅とした場合のサージ電圧は、d=0.5mmの場合やd=1mmの場合よりもやや大きく、電気抵抗率が低い銅の部分を増やすにつれて、サージ電圧低減の効果が高くなるということではないことが分かる。
図5(a)に示すとおり、電磁コイル10への電力供給が遮断された後に発生するサージ電圧に起因して電磁コイル10に流れる電流は、高周波電流である。よって、該電流に対応して銅膜12にも略同じ周波数の高周波の渦電流が流れる。電気導電体に流れる高周波電流の大半は、電気導電体の表面付近の所定領域に集中する性質があり、高周波電流が集中する該所定領域の電気導電体表面からの厚さは、電気導電体に流れる高周波電流の周波数における表皮深さにより表される。なお、表皮深さは、電気導電体の透磁率(μ)、導電率(σ)、及び電流の周波数(f)により求められる(1/√(πfμσ))。すなわち、電気導電体の種類と電流の周波数により決まる値である。ここで、銅膜12に流れる高周波電流は、図5(a)を参照するに、約10kHz程度である。銅の周波数10kHzにおける表皮深さは約0.65mmであるので、銅膜12の厚さが0.65mmの前後の値であるd=0.5mmの場合やd=1mmの場合に大きな渦電流が流れ、電磁コイル10に発生するサージ電圧をより低減することができるものと考えられる。
また、本実施形態において、銅膜12は、電磁コイル筐体5の溝部5a内面に接して(通電して)設けられる。そのため、銅膜12の厚さが表皮深さより小さい場合、電磁コイル筐体5の部分にも渦電流が発生することになる。電磁コイル筐体5の材質は電気抵抗率が大きいSPCCであるため、上述のとおり、銅膜12部分よりも渦電流量が少なくなる。
よって、銅膜12の厚さは、電磁コイル10への電力供給を遮断された場合に電磁コイル10に流れる高周波電流の周波数における表皮深さ以上の厚さを有することが好ましい。なお、上述のとおり、高周波電流は、電気導電体の表面付近に集中して流れるため、電磁コイル筐体5全体を銅にしても更なる効果はないと考えられる。また、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に電磁コイル10に流れる高周波電流の周波数の帯域は、実験や電磁界解析等により既知の値である。
また、上述のとおり、本実施形態においては、電磁コイル筐体5の溝部5a内面全てに銅膜12を設けたが、例えば、電磁コイル筐体5の溝部5aの2つの側壁面及び底面のうち、1つの面に銅膜12を設けてもよいし、2つの面に銅膜12を設けてもよい。また、電磁コイル筐体5の溝部5aに蓋部を設け、該蓋部の内面に銅膜12を設けてもよい。また、該蓋部の内面に設けた銅膜12と本実施形態の銅膜12と組み合わせて、電磁コイル10の内面、外面、及び2つの側面の全てを取り囲むように電気導電体である銅膜12を配置してもよい。
ここで、図6は、銅膜12の配置と電磁コイル10に発生するサージ電圧との関係を示す図であり、電磁コイル10への電力供給が遮断された後の時間経過に対する電磁コイル10に発生する電圧の変化を示している。実線は、電磁コイル10内方の溝部5a側壁面に銅膜12を設けた場合を示す。また、一点鎖線は、電磁コイル10外方の溝部5a側壁面に銅膜12を設けた場合を示す。また、二点鎖線は、電磁コイル10側方の溝部5a底面に銅膜12を設けた場合を示す。また、点線は、溝部5aに蓋部を設けた場合であって、電磁コイル10側方の蓋部内面に銅膜12を設けた場合を示す。なお、銅膜12の厚さは、それぞれ0.7mmである。また、電磁コイル10の内方とは、円環状の電磁コイル10の電磁コイル軸側を意味し、電磁コイル10の外方とは、その逆に電磁コイル10を境にして電磁コイル軸から離れる側を意味する。
図6を参照するに、電磁コイル10内方の溝部5a側壁面に銅膜12を設けた場合が最もサージ電圧が小さくなることが分かる。よって、電磁コイル10の周囲に銅膜12を設ける場合には、少なくとも電磁コイル10の内方に設けるのが好ましい。
また、銅膜12は、上述したとおり電磁コイル10に流れる電流と同じ軸(電磁コイル軸)を中心とした渦電流が流れることが可能に設けられればよい。例えば、電磁コイル筐体5の環状の溝部5aの2つの側壁面と底面のうち、少なくとも1つの面の銅膜12が溝部5aの周方向に繋がっていれば(導通していれば)、他の面の銅膜12が該周方向で分断される部分を有していてもよい。
ここで、図7は、本実施形態の変形例1に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10及び銅膜12の模式図を示している。
図7(a)に示す例では、電磁コイル10側方の環状の溝部5a底面と溝部5aに蓋部を設けた場合の環状の蓋部内面とに設けられた銅膜12は、周方向に導通して形成されており、電磁コイル10の内方、外方の環状の溝部5a側壁面に形成された銅膜12は周方向の一部において分断されるように形成されている。また、図7(b)に示す例では、電磁コイル筐体5の溝部5a内面(3面)と溝部5aに蓋部を設けた場合の蓋部内面に銅膜12を設け、溝部5aの側壁面の一方の銅膜12に周方向のスリットを設けている。
このように、電磁コイル筐体5の溝部5a内面や溝部5aに蓋部を設けた場合における蓋部内面に設けた銅膜12が一部分断される部分を有していても少なくとも銅膜12が電磁コイル10の軸を中心とした周方向に繋がっている部分を有していればよい。これにより、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に、銅膜12に渦電流を発生させることが可能であり、上述したとおり、電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することができる。
また、同様に、例えば、電磁コイル筐体5の環状の溝部5aのうち、周方向の一部に銅膜12が形成されていない部分があっても、別の手段によって、電磁コイル10の軸を中心とした周方向に導通可能であればよい。
ここで、図8は、本実施形態の変形例2に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10及び銅膜12の模式図を示している。
図8(a)に示す例は、電磁コイル筐体5の溝部5a内面(3面)と溝部5aに蓋部を設けた場合の蓋部内面とに銅膜12が設けられており、環状の溝部5aと蓋部の周方向の一部に銅膜12が全く設けられない部分(分断部分)を有している。そして、該分断部分は、スイッチによって通電可能となっている。また、図8(b)に示す例は、図8(a)に示す例における分断部分の数を増やした例(図中では6つの分断部分)であり、図8(a)と同様、該分断部分は、スイッチによって通電可能となっている。例えば、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に、上記スイッチがONとなる制御が行われるようにすれば、上述したように、銅膜12に渦電流を発生させることができる。
このように、電磁コイル筐体5の溝部5a内面や溝部5aに蓋部を設けた場合における蓋部内面に設けた銅膜12が電磁コイル10の軸を中心とした周方向に分断される部分を有していてもスイッチ等により該周方向に通電可能になっていればよい。これにより、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に、銅膜12に渦電流を発生させることが可能であり、上述したとおり、電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することができる。
[第2の実施形態]
次いで、第2の実施形態について説明をする。
第1の実施形態において、電気導電体(銅膜12)は、電磁コイル筐体5の溝部5a内面に設けられていたが、電磁コイル筐体5から離間して配置されて(電気的に絶縁されて)もよい。
そこで、本実施形態に係る電磁クラッチ1は、銅膜122(電気導電体)が電磁コイル筐体5から離間して配置される(電気的に絶縁されている)点において第1の実施形態と主に異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、異なる部分を中心に説明をする。
本実施形態に係る電磁クラッチ1の構造を示す概略断面図は、第1の実施形態と同様に、図1で表されるため、電磁クラッチ1全体の構造についての詳細な説明は省略する。
図9は、本実施形態に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10周辺部分の詳細構造を示す断面図である。なお、図中左方にロータ7の回転軸があるものとする。また、ロータ7のプーリ溝7b、及び絶縁部材11は、簡単のため、図示を省略している。
図9を参照するに、銅膜122は、電磁コイル10の四面から所定間隔離間して、電磁コイル10の四方(内方、外方、二側方)を取り囲むように設けられる。銅膜122と電磁コイル10の間も電気的に絶縁されており、絶縁部材11が設けられる。また、銅膜122は、電磁コイル筐体5の溝部5a内面からも離間しており、絶縁部材11を介して電気的に絶縁されている。銅膜122は、電磁コイル10に絶縁部材11をコーティングしたものに、銅膜テープを巻きつける等により形成されてよい。
本実施形態に係る銅膜122は、電磁コイル10と同じ軸(電磁コイル軸)を中心として円環状に設けられる。よって、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に、第1の実施形態と同様、電磁コイル10に流れる電流と同じ軸(電磁コイル軸)を中心とした円周方向に流れる渦電流を銅膜122に発生させることができる。よって、本実施形態に係る電磁クラッチ1のように、電磁コイル筐体5と離間して銅膜122を設けた場合も電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することが可能となる。すなわち、第1の実施形態と同様の作用・効果を奏する。
なお、第1の実施形態と同様、例えば、電磁コイル10の内方、外方、二側方のうち、一方向に銅膜122を設けてもよいし、二方向に銅膜122を設けてもよいし、三方向に銅膜122を設けても良い。また、この場合、第1の実施形態において説明したとおり、銅膜122は少なくとも電磁コイル10の内方に設けるのが好ましい。また、第1の実施形態の変形例1と同様に、例えば、電磁コイル10の四方に設けられた銅膜122のうち、少なくとも一方向の銅膜122が電磁コイル10の軸を中心とした周方向に繋がっていれば(導通していれば)、他方向の銅膜122が該周方向で分断される部分を有していてもよい。また、第1の実施形態の変形例2と同様に、電磁コイル10の四方に設けられた銅膜122のうち、電磁コイル10の軸を中心とした周方向の一部に銅膜122が形成されていない部分があっても、別の手段によって、該周方向に導通可能であればよい。
また、銅膜122は、電磁コイル10に含まれるコイル線10aの少なくとも1本を断面視で取り囲むように設けられてもよい。
ここで、図10は、本実施形態の変形例に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10及び銅膜122の模式図を示している。
図10(a)の例は、電磁コイル10に含まれるコイル線10aの1本ずつを断面視で取り囲むように銅膜122を設けたものである。なお、コイル線10aの周りには、絶縁体、例えば、ポリエチレン樹脂等がコーティングされている。該コイル線10aは、絶縁コーティングされた上で、例えば、銅箔等を巻きつけることにより形成してよい。また、図10(b)の例は、電磁コイル10に含まれるコイル線10aの複数本を断面視で取り囲むように銅膜122を設けたものである。図10(a)の場合と同様に、コイル線10aの周りには、絶縁コーティングがされた上で、例えば、銅箔等を巻きつけることにより形成してよい。
このように、電磁コイル10に含まれるコイル線10aを取り囲むように銅膜122が設けられた場合も、銅膜122は、電磁コイル10の電磁コイル軸を中心とした円周方向に通電可能に設けられていればよい。これにより、該コイル線10aに流れる電流と同じ軸(電磁コイル軸)を中心とした渦電流を発生させることができ、上述したとおり、電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することができる。
[第3の実施形態]
次いで、第3の実施形態について説明をする。
本実施形態に係る電磁クラッチ1は、銅膜12が設けられていない点、電磁コイル筐体5の材質を電気抵抗率の低いものに変更した点が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、異なる部分を中心に説明をする。
本実施形態に係る電磁クラッチ1の構造を示す概略断面図は、第1の実施形態と同様に、図1で表されるため、電磁クラッチ1全体の構造についての詳細な説明は省略する。
図11は、本実施形態に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10周辺部分の詳細構造を示す断面図である。なお、図中左方にロータ7の回転軸があるものとする。また、ロータ7のプーリ溝7b、及び絶縁部材11は、簡単のため、図示を省略している。
図11を参照するに、第1の実施形態とは異なり、銅膜12は設けられていない。つまり、本実施形態に係る電磁クラッチ1は、ステータである電磁コイル10を内挿された電磁コイル筐体5と、ロータ7と、クラッチ板8等を含む、通常のものである。第1の実施形態に係る電磁クラッチ1と異なる点は、上述のとおり、電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8の材質を電気抵抗率の低いもの(透磁率はSPCCと同じB−H特性を持ったまま)に変更した点である。本実施形態に係る電磁コイル筐体5、ロータ7及びクラッチ板8の電気抵抗率は、1.673×10−8Ω/mである(第1の実施形態に係る電磁コイル5、ロータ7及びクラッチ板8のSPCCの電気抵抗率は、1.340×10−7Ω/m)。
ここで、図12は、電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8の電気抵抗率と電磁コイル10に発生するサージ電圧との関係を示す図であり、電磁コイル10への電力供給を遮断した後の時間経過に対する電磁コイル10に発生する電圧の変化を表している。実線は、本実施形態に係る電磁クラッチ1の場合を示し、図中付記にて、「電気抵抗率:小」と表記している。また、一点鎖線は、電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8に電気抵抗率が8.000×10−8Ω/mであるSPCCを用いた場合を示し、図中付記にて、「電気抵抗率:中」と表記している。また、点線は、第1の実施形態に係る電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8と同じSPCC(電気抵抗率1.340×10−7Ω/m)を用いた場合を示し、図中付記にて、「電気抵抗率:大(標準)」と表記している。
図12を参照するに、電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8の電気抵抗率を小さくすることにより、電磁コイル10に発生するサージ電圧が低減されることが分かる。具体的には、第1の実施形態に係る電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8のSPCC(点線)では、約300V近いサージ電圧が発生しているのに対して、本実施形態に係る電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8(実線)では、約200V以下までサージ電圧を低減することができることが分かる。
第1の実施形態において述べたとおり、電磁コイル10周辺の電気導電体である電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8には、電磁コイル10に流れる電流と同じ軸(電磁コイル軸)を中心とした円周方向に流れる渦電流を発生させることができる。本実施形態では、渦電流が発生する電気導電体(電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8)の電気抵抗率を小さくすることにより、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に発生する渦電流量を大きくすることができる。これにより、第1の実施形態と同様、電磁コイル10に電流が流れることにより発生していた磁束の減少を緩やかにすることが可能である。すなわち、該渦電流に応じて発生する磁束により電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することが可能である。
[第4の実施形態]
次いで、第4の実施形態について説明をする。
本実施形態に係る電磁クラッチ1は、銅膜12が設けられていない点、電磁コイル筐体5の材質をSPCCよりも飽和磁化値が小さいものに変更した点が第1の実施形態と主に異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、異なる部分を中心に説明をする。
本実施形態に係る電磁クラッチ1の構造を示す概略断面図は、第1の実施形態と同様に、図1で表されるため、電磁クラッチ1全体の構造についての詳細な説明は省略する。
図11は、本実施形態に係る電磁クラッチ1の電磁コイル10周辺部分の詳細構造を示す断面図であり、上述した第3実施形態と同様であるため、詳細の説明は省略する。
本実施形態においては、上述したとおり、電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8の材質をSPCCよりも飽和磁化値の低いSUS430に変更している。なお、SUS430は、JISにより定められるフェライト系ステンレス鋼である。
ここで、図13は、電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8の飽和磁化値と電磁コイル10に発生するサージ電圧との関係を示す図であり、電磁コイル10への電力供給が遮断された後の時間経過に対する電磁コイル10に発生する電圧の変化を表している。実線は、本実施形態に係る電磁クラッチ1の場合を示し、図中付記にて、「飽和磁化値:小」と表記している。また、一点鎖線は、第1の実施形態における電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8のSPCCを用いた場合を示し、図中付記にて、「飽和磁化値:中」と表記している。また、点線は、電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8にSPCCよりも飽和磁化値が高いSUY−1を用いた場合を示し、図中付記にて、「飽和磁化値:大」と表記している。なお、SUY−1は、JISにより定められる電磁軟鉄板である。また、図10中のグラフは、SPCC、SUS430、SUY−1の電気抵抗率はいずれも同じ(1.34×10−7Ω/m)である条件下でのものである。
図13を参照するに、電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8の飽和磁化値が小さくなるにつれて、電磁コイル10に発生するサージ電圧が小さくなることがわかる。具体的には、飽和磁化値が最も小さいSUS430を電磁コイル筐体5、ロータ7、及びクラッチ板8に用いた本実施形態に係る電磁クラッチ1(実線)の場合、電磁コイル10に発生するサージ電圧が約250Vと最も小さくなる。
本実施形態のように、飽和磁化が小さい材料を用いた場合、渦電流の流れやすさに変化はないが、直流電流遮断時(電磁コイル10への電力供給が遮断された時)における電磁コイル10を貫く磁束(初期磁束)が小さくなる。これにより、第1の実施形態と同様、電磁コイル10に電流が流れることにより発生していた磁束の減少を緩やかにすることが可能である。すなわち、該渦電流に応じて発生する磁束により電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することが可能である。
なお、本実施形態においては、電磁コイル筐体5の材質を通常用いられるSPCCよりも飽和磁化値が低いSUS430に変更したが、第1、2の実施形態に係る銅膜12、122を電磁コイル筐体5(SPCC)よりも飽和磁化値の小さい電気導電体に置き換えてもよい。この場合においても、本実施形態と同様の作用・効果を奏する。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
上述した第1の実施形態において、電磁コイル筐体5の溝部5a内面に設けた金属膜は、銅膜12であったが、電磁コイル筐体5等の材質であるSPCCよりも電気抵抗率の小さい電気導電体であれば、どのような金属を用いてもよい。これにより、銅膜12の場合と同様に、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に、金属膜に流れる渦電流の量を大きくすることができ、電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することができる。金属膜としては、例えば、アルミニウム等を用いてよい。
また、同様に、上述した第2の実施形態において、電磁コイル10を取り囲むように設けた金属膜は銅膜122であったが、電磁コイル筐体5等の材質であるSPCCよりも電気抵抗率の小さい電気導電体であれば、どのような金属を用いてもよい。これにより、銅膜122の場合と同様に、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合に、金属膜に流れる渦電流の量を大きくすることができ、電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することができる。例えば、アルミニウムによる金属膜を用いてよく、絶縁部材11により絶縁コーディングされた電磁コイル10にアルミ箔を巻きつける等により生成してよい。
また、上述した各実施形態において、電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減する技術ついて、電磁クラッチ1に適用した場合で説明を行ったが、当該技術は、任意の電磁コイル装置に用いられてよい。例えば、電磁ブレーキのような他の電磁連結装置に用いられてもよいし、ソレノイドバルブ等の電磁連結装置以外の電磁コイル装置に用いられてよい。
また、上述した各実施形態において、電磁コイル10の形状は円環状であったが、電磁コイル装置の動作等を妨げない限り、例えば、図14に示す四角型コイルや瓢箪型コイル等、電磁コイル10の形状は変形してよい。
また、上述した各実施形態において、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合を例示して、電磁コイル10のサージ電圧を低減させる作用・効果を説明したが、電磁コイル10への電力供給が遮断された場合を含む、電磁コイル10に流れる電流に急峻な変動が生じた場合において、同様の作用・効果を奏する。すなわち、上述した各実施形態において、電磁コイル10に流れる電流が変化した場合に渦電流が流れるように電気導電体(銅膜12、122、電磁コイル筐体5、ロータ7、クラッチ板8)が設けられる。これにより、電磁コイル10に流れる電流が急峻に変化した場合において電磁コイル10に発生するサージ電圧を低減することができる。
1 電磁クラッチ(電磁コイル装置)
5 電磁コイル筐体(第1の電気導電体)
7 ロータ(第1の電気導電体)
8 クラッチ板(第1の電気導電体)
10 電磁コイル
10a コイル線
12、122 銅膜(第2の電気導電体、金属膜)

Claims (5)

  1. 電磁石として機能する電磁コイル装置であって、
    コイル線が巻かれた電磁コイルと、
    前記電磁コイルの周囲に設けられ、前記電磁コイルと電気的に絶縁された、強磁性体である第1の電気導電体と、
    前記第1の電気導電体に設けられ、又は、前記第1の電気導電体と前記電磁コイルとの間に設けられ、前記電磁コイルと電気的に絶縁された第2の電気導電体であって、前記電磁コイルに流れる電流が変化した場合に渦電流が流れるように設けられた第2の電気導電体と、を備え
    前記第2の電気導電体は、前記第1の電気導電体よりも電気抵抗率又は飽和磁化値が小さいことを特徴とする、
    電磁コイル装置。
  2. 前記第2の電気導電体は、
    少なくとも前記電磁コイルの内方に設けられることを特徴とする、
    請求項1に記載の電磁コイル装置。
  3. 前記第2の電気導電体は、
    前記コイル線のうち、少なくとも1本を断面視で取り囲むように設けられたことを特徴とする、
    請求項1に記載の電磁コイル装置。
  4. 前記第2の電気導電体は、
    前記電磁コイルと前記第1の電気導電体との間に、前記第1の電気導電体と隣接して設けられた金属膜であることを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の電磁コイル装置。
  5. 前記金属膜は、
    前記電磁コイルへの電力供給が遮断された場合に前記電磁コイルに流れる電流の周波数における表皮深さよりも厚いことを特徴とする、
    請求項に記載の電磁コイル装置。
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