JP5846285B2 - ポリイミド前駆体組成物 - Google Patents
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Description
ポリイミド樹脂の成形体を製造する方法として、その前駆体であるポリアミック酸を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン系極性溶剤に溶解したポリイミド前駆体組成物を基材上に塗布して、熱処理によって、乾燥・イミド化することでポリイミド成形体を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
水溶性アルコール系溶剤、水溶性エーテル系溶剤、及び、水溶性ケトン系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤、並びに、水を含む溶剤に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂と、前記樹脂中に含まれるカルボキシル基に対して、50モル%以上500モル%以下である有機アミン化合物と、が溶解しており、前記有機溶剤の沸点が40℃以上160℃以下であり、非プロトン系極性溶剤を含まず、かつ前記水を、全溶剤に対して30質量%以上99.9質量%以下で含有するポリイミド前駆体組成物。
前記一般式(I)中、前記Aが4価の芳香族系有機基を示し、Bが2価の芳香族系有機基を示す請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
前記有機アミン化合物が、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載のポリイミド前駆体組成物。
前記樹脂が、末端にアミノ基を有する樹脂を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体組成物。
前記樹脂の数平均分子量が、1000以上100000以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体組成物。
請求項1に係る発明によれば、有機溶剤の沸点が160℃超えの場合に比べ、機械的強度の高いポリイミド成形体が得られるポリイミド前駆体組成物が提供される。
請求項3に係る発明によれば、有機アミン化合物が1級アミン化合物である場合に比べ、製膜性に優れたポリイミド前駆体組成物が提供される。
請求項5に係る発明によれば、樹脂の数平均分子量が上記範囲外である場合に比べ、製膜性に優れたポリイミド前駆体組成物が提供される。
本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、溶剤に、一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂(以下、「特定ポリイミド前駆体」と称する)と、有機アミン化合物と、が溶解している組成物である。つまり、特定ポリイミド前駆体及び有機アミン化合物は、溶剤に溶解した状態で組成物中に含まれる。なお、溶解とは、溶解物の残存が目視にて確認でない状態を示す。
そして、溶剤として、水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤(以下、「特定有機溶剤」と称する)、並びに、水を含む溶剤が適用される。
但し、本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、有機溶剤として沸点が40℃以上160℃以下である有機溶剤が適用される。また、有機アミン化合物の含有量は、樹脂中に含まれるカルボキシル基に対して、50モル%以上500モル%以下とする。また、水を全溶剤に対して30質量%以上99.9質量%以下で含有する。
なお、非プロトン系極性溶剤とは、沸点150℃以上300℃以下で、双極子モーメントが3.0D以上5.0D以下の溶剤である。非プロトン系極性溶剤として具体的には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチレンホスホルアミド(HMPA)、N−メチルカプロラクタム、N−アセチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
ポリイミド前駆体としての特定ポリイミド前駆体は、低分子化合物ではなく、また、一次構造に屈曲鎖や脂肪族環状構造等を導入して高分子鎖間の相互作用力を下げて、溶剤への溶解性を高めた構造ではなく、溶剤として、特定有機溶剤及び水を含む溶剤を適用し、これに特定ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)が有機アミン化合物によりアミン塩化された状態で溶解している。このため、ポリイミド前駆体を低分子化したり、構造変更を行うことに伴って生じるポリイミド成形体の機械的強度の低下が抑制される。
また、本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、機械的強度に加え、耐熱性、電気特性、耐溶剤性等の諸特性に優れたポリイミド樹脂成形体が得られ易い。
また、溶剤として、特定有機溶剤及び水を含む混合溶剤を適用すると、ポリイミド前駆体組成物を用いたポリイミド成形体の成形のとき、溶剤留去のための加熱温度の低減、及び加熱時間の短縮化が実現される。
また、有機アミン化合物は、特定ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)にアミン塩化した状態で溶剤に溶解していることから、アミン化合物特有の臭気も抑えられる。
特定ポリイミド前駆体は、一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂(ポリアミック酸)である。
一方、Bが表す2価の有機基としては、原料となるジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基である。
具体的には、特定ポリイミド前駆体としては、例えば、一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(I−3)で表される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
lは1以上の整数を示し、m及びnは、各々独立に0又は1以上の整数を示し、且つ(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.2の関係を満たす。
そして、l、m及びnは、(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.2の関係を満たすが、望ましくは(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.15の関係、より望ましくは(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.10を満たすことである。
l、m及びnは、各々独立に0又は1以上の整数を示し、且つ(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.2の関係を満たす。但し、l及びmの少なくとも一方は1以上の整数を示す。
そして、l、m及びnは、(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.2の関係を満たすが、望ましくは(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.15の関係、より望ましくは(2n+m)/(2l+2m+2n)≦0.10を満たすことである。
但し、l及びmの少なくとも一方は1以上の整数を示す。
そして、特定ポリイミド前駆体のイミド化率(「(2n+m)/(2l+2m+2n)」の値)を0.2以下(望ましくは0.15以下、より望ましくは0.10)とすることにより、特定ポリイミド前駆体のゲル化や析出分離を引き起こすことが抑制される。
・ポリイミド前駆体試料の作製
(i)測定対象となるポリイミド前駆体組成物を、シリコーンウェハー上に、膜厚1μm以上10μm以下の範囲で塗布して、塗膜試料を作製する。
(ii)塗膜試料をテトラヒドロフラン(THF)中に20分間浸漬させて、塗膜試料中の溶剤をテトラヒドロフラン(THF)に置換する。浸漬させる溶剤は、THFに限定されることになく、ポリイミド前駆体を溶解せず、ポリイミド前駆体組成物に含まれている溶剤成分と混和し得る溶剤より選択できる。具体的には、メタノール、エタノールなどのアルコール溶剤、ジオキサンなどのエーテル化合物が使用できる。
(iii)塗膜試料を、THF中より取り出し、塗膜試料表面に付着しているTHFにN2ガスを吹き付け、取り除く。10mmHg以下の減圧下、5℃以上25℃以下の範囲にて12時間以上処理して塗膜試料を乾燥させ、ポリイミド前駆体試料を作製する。
(iv)上記(i)と同様に、測定対象となるポリイミド前駆体組成物をシリコーンウェハー上に塗布して、塗膜試料を作製する。
(v)塗膜試料を380℃にて60分間加熱してイミド化反応を行い、100%イミド化標準試料を作製する。
(vi)フーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所製FT−730)を用いて、100%イミド化標準試料、ポリイミド前駆体試料の赤外吸光スペクトルを測定する。100%イミド化標準試料の1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab’(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab’(1780cm−1))の比I’(100)を求める。
(vii)同様にして、ポリイミド前駆体試料について測定を行い、1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab(1780cm−1))の比I(x)を求める。
・式: ポリイミド前駆体のイミド化率=I(x)/I’(100)
・式: I’(100)=(Ab’(1780cm−1))/(Ab’(1500cm−1))
・式: I(x)=(Ab(1780cm−1))/(Ab(1500cm−1))
特定ポリイミド前駆体は、末端にアミノ基を有するポリイミド前駆体(樹脂)を含むことがよく、望ましくは全ての末端にアミノ基を有するポリイミド前駆体とすることがよい。
ポリイミド前駆体の分子両末端にアミノ基を持たせるには、例えば、重合反応の際に使用するジアミン化合物のモル当量を、テトラカルボン酸二無水物のモル当量より過剰に添加することで実現される。ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とのモル当量の比は、テトラカルボン酸のモル当量を1に対して、1.0001以上1.2以下の範囲とすることが望ましく、より望ましくは、1.001以上1.2以下の範囲である。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とのモル当量の比が1.0001以上であれば、分子末端のアミノ基の効果が大きく、良好な分散性が得られる。また、モル当量の比が1.2以下であれば、得られるポリイミド前駆体の分子量が大きく、例えば、フィルム状のポリイミド成形体としたときに、十分なフィルム強度(引裂き強度、引張り強度)が得られ易い。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量を上記範囲とすると、特定ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性の低下が抑制され、製膜性が確保され易くなる。特に、末端にアミノ基を有する特定ポリイミド前駆体を適用した場合、分子量が低くなると、末端アミノ基の存在率が高まり、ポリイミド前駆体組成物中の共存する有機アミン化合物の影響を受けて溶解性が低下し易いが、特定ポリイミド前駆体の数平均分子量の範囲を上記範囲にすることで、溶解性の低下を抑制することができる。
なお、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とのモル当量の比を、調整することで、目的する数平均分子量の特定ポリイミド前駆体が得られる。
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
有機アミン化合物は、特定ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)をアミン塩化して、その溶剤に対する溶解性を高めると共に、イミド化促進剤としても機能する化合物である。
なお、有機アミン化合物は、水溶性の化合物であることがよい。ここで、水溶性とは、25℃において、対象物質が水に対して1質量%以上溶解することを意味する。
これらの中でも、有機アミン化合物としては、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選択される少なくとも一種(特に、3級アミン化合物)がよい。有機アミン化合物として、3級アミン化合物又は2級アミン化合物を適用すると、特定ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなり、また、ポリイミド前駆体組成物の溶液安定性が向上し易くなる。
2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、モルホリンなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、メチルモルホリン、エチルモルホリンなどが挙げられる。
有機アミン化合物の含有量を上記範囲とすると、特定ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなる。また、ポリイミド前駆体組成物の溶液安定性も向上し易くなる。
溶剤としては、特定有機溶剤及び水の混合溶剤が適用される。そして、特定有機溶剤は、水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤が適用される。ここで、水溶性とは、25℃において、対象物質が水に対して1質量%以上溶解することを意味する。
また、特定有機溶剤は、1種単独で用いてもよいが、2種以上併用する場合、例えば、水溶性エーテル系溶剤と水溶性アルコール系溶剤との組合せ、水溶性ケトン系溶剤と水溶性アルコール系溶剤との組合せ、水溶性エーテル系溶剤と水溶性ケトン系溶剤と水溶性アルコール系溶剤とのとの組合せが挙げられる。
水の含有量を上記範囲とすると、アミン塩化した特定ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が上がり、製膜性が向上する。
本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、これを用いて製造するポリイミド成形体に導電性や、機械強度などの各種機能を付与することを目的として、各種フィラーなどを含んでもよいし、また、イミド化反応促進のための触媒や、製膜品質向上のためのレベリング材などを含んでもよい。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック(例えばpH5.0以下の酸性カーボンブラック)、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)、導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなど)等が挙げられる。
これら導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、導電材料が粒子状の場合、その一次粒径が10μm未満、望ましくは1μm以下の粒子であることがよい。
本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物の製造方法は、水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤(以下、「特定有機溶剤」と称する)、並びに、水を含む溶剤中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(以下、「ポリイミド前駆体」と称する)を生成する工程(以下「重合工程」と称する)と、樹脂を生成した後、溶剤に有機アミン化合物を添加する工程(以下、「アミン塩化工程」と称する)と、を有する。また、必要に応じて、重合工程後、溶剤を置換又は溶剤組成を変更する工程(以下、「溶剤置換工程」と称する」)を有してもよい。
また、本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物の製造方法では、機械的強度に加え、耐熱性、電気特性、耐溶剤性等の諸特性に優れたポリイミド成形体が得られ易いポリイミド前駆体組成物が製造される。
重合工程では、特定有機溶剤及び水を含む溶剤中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合してポリイミド前駆体を生成する。
なお、ポリイミド前駆体の重合反応時の時間は、反応温度により1時間以上24時間以下の範囲とすることがよい。
具体的には、この混合比率(質量比)は、水溶性エーテル系溶剤と水との組合わせの場合、96:4乃至70:30(望ましくは90:10乃至80:20)、水溶性ケトン系溶剤化合物と水の場合は90:10乃至75:25(望ましくは90:10乃至80:20)がよい。
アミン塩化工程では、ポリイミド前駆体を生成した後、溶剤に有機アミン化合物を添加し、ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)のアミン塩化を行う。これにより、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まる。
溶剤置換工程は、例えば、ポリイミド前駆体の生成後の溶液中の溶剤組成を変更し、製造するポリイミド前駆体組成物の安定化、生成するポリイミド前駆体の溶解及び固形分濃度の調整等を目的として行われる。
溶剤置換工程は、水、その他溶剤を添加することや、目的とする溶剤を除去することで行われる。溶剤の除去には、加熱及び減圧を行って溶剤を留去する方法(留去法)、水を添加して、ポリイミド前駆体を析出させた後、溶剤を分離除去する再沈殿法が挙げられる。溶剤の除去は、留去法と再沈法と組み合わせて行ってもよい。
溶剤置換工程又は溶剤組成変更工程とアミン塩化工程とはどちらを先に行ってもよい。また、両工程を並行して行ってもよい。
なお、溶剤置換工程は、ポリイミド前駆体の生成後の溶液中の溶剤組成の変更が必要がなければ、実施しなくてもよい任意の工程である。
第1アミン塩化工程では、ポリイミド前駆体を生成した後、溶剤に水を添加して、ポリイミド前駆体と溶剤とを分離し、分離後の溶剤の一部を除去した後、残部に水及び有機アミン化合物を添加する。
ポリイミド前駆体と溶剤とが分離すると、ポリイミド前駆体が沈降し、上澄みが溶剤となり、この上澄み液を除去することで、分離後の溶剤の一部を除去する。この溶剤の一部の除去は、上澄み液の除去に限られず、ろ過等により行ってよい。
そして、残部に、溶剤となる水と共に有機アミン化合物(例えば、有機アミン化合物が溶解した水溶液)を添加すると、溶剤置換が行われると共に、ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)のアミン塩化が行われる。
第1アミン塩化工程を行うと、純度の高いポリイミド前駆体組成物が得られ易くなる。
第2アミン塩化工程では、ポリイミド前駆体を生成した後、溶剤の一部を留去した後又は溶剤の一部を留去しながら、残部に有機アミン化合物を添加する。
第2アミン塩化工程を行うと、ポリイミド前駆体の析出等を経ずに、簡易な工程で、溶剤置換されたポリイミド前駆体組成物が得られ易くなる。
本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物は、ポリイミド成形体の形成用塗工液として利用される。ポリイミド成形体の形成用塗工液としては、例えば、ポリイミドフィルム形成用塗工液、ポリイミド被膜形成用塗工液等が挙げられる。
なお、ポリイミド成形体としてのポリイミドフィルムは、フレキシブル電子基板フィルム、銅張積層フィルム、ラミネートフィルム、電気絶縁フィルム、燃料電池用多孔質フィルム、分離フィルム等が例示される。
ポリイミド成形体としてのポリイミド被膜は、絶縁被膜、耐熱性皮膜、ICパッケージ、接着膜、液晶配向膜、レジスト膜、平坦化膜、マイクロレンズアレイ膜、電線被覆膜、光ファイバー被覆膜等が例示される。
その他のポリイミド成形体としては、ベルト部材が挙げられる。ベルト部材としては、駆動ベルト、電子写真方式の画像形成装置用のベルト(例えば、中間転写ベルト、転写ベルト、定着ベルト、搬送ベルト)等が例示される。
本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物を被塗布物上に塗布して形成した塗膜に加熱処理を施すことでポリイミド成形体が得られる。
ポリイミド前駆体組成物を用いて製造するポリイミド成形体は特に限定されない。以下、本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物を用いてポリイミド成形体を製造する方法の一例として、無端ベルトを製造する方法について詳細に説明する。
本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物を用いてポリイミド成形体を製造する方法は、本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物を被塗布物上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記被塗布物上に形成した前記塗膜に加熱処理を施して無端ベルトを形成する工程と、前記被塗布物から前記無端ベルトを取り外す工程と、を含む。
イミド化処理の加熱条件としては、例えば150℃以上400℃以下(望ましくは200℃以上300℃以下)で、20分間以上60分間以下加熱することで、イミド化反応が起こり、ポリイミド樹脂層が形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することがよい。イミド化の温度は、例えば原料として用いたテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類によって異なり、イミド化が不充分であると機械的特性及び電気的特性に劣るため、イミド化が完結する温度に設定する。
その後、円筒状金属製金型から表面に形成された円筒状フィルムを取り外し、無端ベルトを得る。
本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物より成形されるポリイミド成形体には、ポリイミド前駆体組成物に含まれる特定有機溶剤(水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤)と、有機アミン化合物と、を含有している。
本実施形態に係るポリイミド前駆体組成物より成形されるポリイミド成形体に含有される特定有機溶剤(水溶性エーテル系溶剤、水溶性ケトン系溶剤、及び水溶性アルコール系溶剤)は、ポリイミド成形体中、1ppb以上1%未満である。ポリイミド成形体中に含有される特定有機溶剤はポリイミド成形体を加熱して発生するガス分をガスクロマトグラフィー法により定量される。また、ポリイミド成形体中に含まれる有機アミン化合物についても同様にポリイミド成形体を加熱して発生するガス分をガスクロマトグラフィー法により定量される。
(ポリイミド前駆体組成物(A−1)、(A−2)の作製)
−重合工程−
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコに、テトラヒドロフラン(以下、THFと表記)360g、水40gを充填した。乾燥した窒素ガスを通じながら、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAと表記:分子量200.24)41.23g(205.92ミリモル)を添加した。溶液温度を30℃に保ちながら撹拌を行い、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと表記:分子量294.22)58.77g(199.75ミリモル)を徐々に添加した。ジアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、反応温度を30℃に保持しながら、24時間反応を行った。後述の方法でポリイミド前駆体溶液(固形分20質量%)の粘度を測定したところ、150Pasであった。
なお、生成したポリイミド前駆体のイミド化率は0.02であり、既述の末端アミノ基量の測定の結果、全末端にアミノ基を有するものであった。
重合工程で得たポリイミド前駆体溶液を撹拌しながら、ジメチルアミノエタノール(以下、DMAEtと表記:分子量89.14)35.62g(399.5ミリモル)と水400gを添加した。これにより、ポリイミド前駆体がアミン塩化により水溶化したポリイミド前駆体水溶液を得た。
得られたポリイミド前駆体水溶液を、ポリイミド前駆体組成物(A−1)とした。得られたポリイミド前駆体組成物(A−1)の組成は以下の通りである
〜ポリイミド前駆体組成物(A−1)の組成〜
・固形分: 10%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=360g/440g
得られたポリイミド前駆体水溶液を撹拌しながら、10mmHg/30℃で減圧し、THFの一部を留去して、下記組成のポリイミド前駆体組成物(A−2)を得た。
〜ポリイミド前駆体組成物(A−2)の組成〜
・粘度: 148Pas
・固形分: 18.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=6/94
粘度は、E型粘度計を用いて下記条件で測定を行った。
・測定装置: E型回転粘度計TV−20H(東機産業株式会社)
・測定プローブ: No.3型ローター3°×R14
・測定温度: 22℃
固形分は、示唆熱熱重量同時測定装置を用いて下記条件で測定した。なお、380℃の測定値をもって、固形分はポリイミドとしての固形分率として測定した。
・測定装置: 示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6200(セイコーインスツルメンツ株式会社)
・測定範囲: 20℃以上400℃以下
・昇温速度: 20℃/分
ポリイミド前駆体組成物中の水分率は電量滴定方式自動水分測定装置(カールフィッシャー)を用いて、下記条件で水分率を測定した。測定値から試料中に含まれる樹脂分を除することで、溶剤中の水分量を算出した。これにより、溶剤組成を求めた。
・測定装置: 電量滴定方式自動水分測定装置(カールフィッシャー)CA−07型(三菱化学株式会社)
・試料量: 10μl
得られたポリイミド前駆体組成物(A−1)、(A−2)を用いて製膜を行って、フィルムを作製し、その製膜性について評価した。また、得られた製膜フィルムの力学特性(引張り強度、引張り伸び)を測定した。
ポリイミド前駆体組成物(A−1)を用い、下記操作により製膜を行った。製膜フィルムについて、(1)ボイド痕、(2)表面ムラ・模様を評価した。
・塗布方法: 塗布厚100μmとなるようにスペーサーを設置した塗布ブレードを用いたバーコート法。
・塗布基材: 1.1mmtガラス板
・乾燥温度: 60℃×10分
・焼成温度: 250℃×30分
製膜フィルム表面のボイド痕の有無を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎: ボイド痕の発生が見られない。
○: 製膜フィルム表面に1個以上10個未満のボイド痕が確認できる。
△: 製膜フィルム表面に10個以上の50未満のボイド痕が点在する。
×: 製膜フィルム表面に無数のボイド痕が一様に発生している。
製膜フィルム表面に発生する表面ムラ、模様の有無を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎: 表面ムラ、模様の発生が見られない。
○: 製膜フィルム表面の一部に表面ムラ、模様が僅かに確認できる(製膜フィルム表面面積の10%未満)。
△: 製膜フィルム表面の一部に表面ムラ、模様が確認できる。
×: 製膜フィルム表面に表面ムラ、模様が一様に発生している(製膜フィルム表面面積の10%以上)。
作製した製膜フィルムより、ダンベル3号を用いて試料片を打ち抜き成形した。試料片を引張り試験機に設置し、下記条件で、試料片が引張り破断する印加荷重(引張り強度)、破断伸び(引張り伸び)を測定した。
・試験装置 : アイコーエンイジアリング社製引張り試験機1605型
・試料長さ : 30mm
・試料幅 : 5mm
・引張り速度 :10mm/min
[ポリイミド前駆体組成物(A−3)〜(A−8),(B−1)〜(D−2)の作製]
表1〜表2に従って、重合工程、アミン塩化工程、溶剤置換工程の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(A−3)〜(A−8),(B−1)〜(D−2)を作製した。但し、溶剤置換工程は、表1〜表2に示す粘度、固形分、溶剤中の水分率となるように実施した。
そして、実施例1と同様にして、製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表1〜表2に示す。
(ポリイミド前駆体組成物(E−1)の作製)
実施例1の重合工程で作製したポリイミド前駆体溶液に、組成物の溶剤に対して10倍容量の水を添加し、ポリイミド前駆体を再沈殿した。その後、上澄み液を除去した。
次に、その残部に、処理率が300モル%となるようにDMAEt106.86g(1198.5ミリモル)と水900gを添加した。これにより、ポリイミド前駆体がアミン塩化により水溶化したポリイミド前駆体水溶液を得た。
得られたポリイミド前駆体水溶液を、ポリイミド前駆体組成物(E−1)とした。得られたポリイミド前駆体組成物(E−1)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(E−1)の組成〜
・粘度: 60Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=2/98
・イミド化率: 0.02
(ポリイミド前駆体組成物(E−2)の作製)
上澄み液を除去した残部に、処理率が250モル%となるようにDMAEt89.05g(998.75ミリモル)と水900gを添加した以外は実施例14と同様にしてポリイミド前駆体組成物(E−2)を製造した。得られたポリイミド前駆体組成物(E−2)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(E−2)の組成〜
・粘度: 55Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=2/98
・イミド化率: 0.02
(ポリイミド前駆体組成物(E−3)の作製)
上澄み液を除去した残部に、処理率が200モル%となるようにDMAEt71.24g(799.0ミリモル)と水900gを添加した以外は実施例14と同様にしてポリイミド前駆体組成物(E-3)を製造した。得られたポリイミド前駆体組成物(E−3)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(E−3の組成〜
・粘度: 50Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=2/98
・イミド化率: 0.02
(ポリイミド前駆体組成物(F−1)の作製)
実施例1の重合工程で作製したポリイミド前駆体溶液を撹拌しながら、10mmHg/30℃で減圧し、THFの一部を留去した。
そして、このTHFの一部の留去を行いながら、処理率が300モル%となるようにDMAEt106.86g(1198.5ミリモル)と水900gを添加した。ポリイミド前駆体は、アミン塩化により水溶化したポリイミド前駆体水溶液を得た。
その後、留去を終了し、ポリイミド前駆体がアミン塩化により水溶化したポリイミド前駆体水溶液を得た。
得られたポリイミド前駆体水溶液を、ポリイミド前駆体組成物(F−1)とした。得られたポリイミド前駆体組成物(F−1)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(F−1)の組成〜
・粘度: 80Pas
・固形分: 12%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=30/70
・イミド化率: 0.08
(ポリイミド前駆体組成物(F−2)の作製)
THFの一部の留去を行いながら、処理率が250モル%となるようにDMAEt89.05g(998.75ミリモル)と水900gを添加した以外は実施例17と同様にしてポリイミド前駆体組成物(F−2)を製造した。得られたポリイミド前駆体組成物(F−2)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(F−2)の組成〜
・粘度: 70Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=20/80
・イミド化率: 0.08
(ポリイミド前駆体組成物(F−3)の作製)
THFの一部の留去を行いながら、処理率が200モル%となるようにDMAEt71.24g(799.0ミリモル)と水900gを添加した以外は実施例17と同様にしてポリイミド前駆体組成物(F−3)を製造した。得られたポリイミド前駆体組成物(F−3)の組成は以下の通りである。
〜ポリイミド前駆体組成物(F−3)の組成〜
・粘度: 60Pas
・固形分: 9.0%(ポリイミドとしての固形分率)
・溶剤組成比: THF/水=15/85
・イミド化率: 0.06
[ポリイミド前駆体組成物(G−1)〜(G−2),(H−1)〜(H−2),(I−1)〜(I−2)の作製]
表3に従って、重合工程、アミン塩化工程、溶剤置換工程の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(G−1)〜(G−2),(H−1)〜(H−2),(I−1)〜(I−2)を作製した。但し、溶剤置換工程は、表3に示す粘度、固形分、溶剤中の水分率となるように実施した。
そして、実施例1と同様にして、製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表3に示す。
[ポリイミド前駆体組成物(J−1)の作製]
重合工程での反応温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(J−1)を作製した。得られたポリイミド前駆体のイミド化率は、0.18であった。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(J−1)を用いて、実施例1と同様にして、製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表3に示す。
[ポリイミド前駆体組成物(J−2)の作製]
重合工程での反応温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(J−2)を作製した。得られたポリイミド前駆体のイミド化率は、0.13であった。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(J−2)を用いて、実施例1と同様にして、製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表3に示す。
[ポリイミド前駆体組成物(X−1)の作製]
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコに、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと表記)400gを充填した。乾燥した窒素ガスを通じながら、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAと表記:分子量200.24)41.23g(205.92ミリモル)を添加した。溶液温度を30℃に保ちながら撹拌を行い、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと表記:分子量294.22)58.77g(199.75ミリモル)を徐々に添加した。ジアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、反応温度を30℃に保持しながら、24時間反応を行った。ポリイミド前駆体溶液(固形分20質量%)の粘度を測定したところ、120Pasであった。
得られたポリイミド前駆体溶液を、ポリイミド前駆体組成物(X−1)とした。
その結果、焼成温度を実施例1と同じく、250℃とすると、膜中にNMPが残留するため、引張り強度、引張り伸びともに、実施例1に比べて低くなってしまった。ポリイミド前駆体組成物(X−1)に含まれる高沸点のNMPが製膜フィルム中に残留することで、機械的強度低下を引き起こすことが原因の一つと考えられる。
[ポリイミド前駆体組成物(X−2)の作製]
比較例1で作製したポリイミド前駆体組成物(X−1)を、10倍容量のアセトン中に添加し、ポリイミド前駆体を再沈殿した。ろ過後、40℃/減圧(10mmHg)下で24時間乾燥した。乾燥後、ポリイミド前駆体50g(カルボキシル基101.10ミリモル当量)に、水200g、ジメチルアミノエタノール18.03g(202.20ミリモル)を加え、25℃にて6時間撹拌溶解させポリイミド前駆体組成物(X−2)を得た。
その結果、製膜性は、実施例1同様に良好であった。引張り試験の結果、実施例1に比べ、引張り強度、引張り伸びともに低いことがわかった。
ポリイミド前駆体組成物(X−2)中に残留しているNMP含有率を液体クロマトグラフィー法にて分析したところ、溶剤中6重量%であった。ポリイミド前駆体組成物(X−2)を用いた製膜試料の引張り特性の低下の原因が、比較例1と同様に成膜フィルム中のNMPが残留するためと考えられる。
[ポリイミド前駆体組成物(X−3)の作製]
比較例1の重合工程時に有機アミン化合物を添加し,下記に示すようにして重合を行った。
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコに、NMP400gを充填した。乾燥した窒素ガスを通じながら、ODA41.23g(205.92ミリモル)、DMEAt35.62g(399.5ミリモル)を添加した。溶液温度を30℃に保ちながら撹拌を行い、BPDA58.77g(199.75ミリモル)を徐々に添加した。ジアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、反応温度30℃に保持しながら、24時間反応を行った。ポリイミド前駆体溶液(固形分20重量%)の粘度を測定したところ、5Pasであった。
得られたポリイミド前駆体溶液を、ポリイミド前駆体組成物(X−3)とした。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(X−3)を用いて、実施例1と同様にして、製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表4に示す。
[ポリイミド前駆体組成物(X−4)の作製]
重合工程での反応温度を60℃、反応時間を48時間とした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(X−4)を作製したところ、ポリイミド前駆体樹脂が析出した。このため、ポリイミド前駆体組成物(X−4)は、塗液として利用できなかった。得られたポリイミド前駆体のイミド化率は、0.22であった。
[ポリイミド前駆体組成物(X−5)の作製]
アミン塩化工程でのDMAEtの添加量を処理率40モル%となるように変えた以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(X−5)を作製したところ、ポリイミド前駆体樹脂が析出した。このため、ポリイミド前駆体組成物(X−5)は、塗液として利用できなかった。
[ポリイミド前駆体組成物(X−6)の作製]
アミン塩化工程で添加する溶剤をTHF150g及び水150gとし、溶剤置換工程で溶剤中の水分率が25%になった時点でTHFの留去を終えた以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(X−6)を得た。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(X−6)を用いて、実施例1と同様にして、製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表4に示す。
その結果、得られたポリイミド前駆体組成物(X−6)は、アミン塩化したポリイミド前駆体が分散しており、塗液として使用した場合には、均質な製膜フィルムを得ることはできず、また、得られた製膜フィルムの力学特性も低くなった。
[ポリイミド前駆体組成物(X−7)の作製]
アミン塩化工程でのDMAEtの添加量を処理率520モル%となるように変えた以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド前駆体組成物(X−7)を得た。
そして、得られたポリイミド前駆体組成物(X−7)を用いて、実施例1と同様にして、製膜フィルムを作製し、評価をした。評価結果を表4に示す。
得られたポリイミド前駆体組成物(X−7)は一部ゲル化していた。さらに、得られたポリイミド前駆体組成物(X−7)を室温環境下24時間保管したところ、増粘し、72時間後にはゲル化してしまい、塗液として使用できなくなってしまった。
・ジアミン化合物:「ODA」(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)、「PDA」(p−フェニレンジアミン)
・有機アミン化合物:DMAEt(ジメチルアミノエタノール:3級アミン:沸点bp133℃から134℃)、γ−Pyc(γ−ピコリン:3級アミン:沸点bp145℃)、MAEt(N−メチルエタノールアミン:2級アミン:沸点bp156℃)、ETA(2−エタノールアミン:1級アミン:沸点bp170℃)
・溶剤:THF(テトラヒドロフラン:水溶性エーテル系溶剤:沸点bp67℃)、DOX(ジオキサン:水溶性エーテル系溶剤:沸点bp102℃)、ATN(アセトン:水溶性ケトン系溶剤:沸点bp56℃)、MEK(メチルエチルケトン:水溶性ケトン系溶剤:沸点bp80℃)、IPA(イソプロパノール:水溶性アルコール系溶剤:沸点bp82℃)
Claims (5)
- 水溶性アルコール系溶剤、水溶性エーテル系溶剤、及び、水溶性ケトン系溶剤から選択される1種以上の有機溶剤、並びに、水を含む溶剤に、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、且つイミド化率が0.2以下である樹脂と、前記樹脂中に含まれるカルボキシル基に対して、50モル%以上500モル%以下である有機アミン化合物と、が溶解しており、前記有機溶剤の沸点が40℃以上160℃以下であり、非プロトン系極性溶剤を含まず、かつ前記水を、全溶剤に対して30質量%以上99.9質量%以下で含有するポリイミド前駆体組成物。
(一般式(I)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。) - 前記一般式(I)中、前記Aが4価の芳香族系有機基を示し、Bが2価の芳香族系有機基を示す請求項1に記載のポリイミド前駆体組成物。
- 前記有機アミン化合物が、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選択される少なくとも一種である請求項1又は2のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体組成物。
- 前記樹脂が、末端にアミノ基を有する樹脂を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体組成物。
- 前記樹脂の数平均分子量が、1000以上100000以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体組成物。
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