[go: up one dir, main page]

JP5814816B2 - アンカーボルト施工方法 - Google Patents

アンカーボルト施工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5814816B2
JP5814816B2 JP2012023204A JP2012023204A JP5814816B2 JP 5814816 B2 JP5814816 B2 JP 5814816B2 JP 2012023204 A JP2012023204 A JP 2012023204A JP 2012023204 A JP2012023204 A JP 2012023204A JP 5814816 B2 JP5814816 B2 JP 5814816B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anchor bolt
hole
concrete
strength
shear strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012023204A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013159975A (ja
Inventor
弘幸 榊原
弘幸 榊原
兼吉 孝征
孝征 兼吉
哲司 赤坂
哲司 赤坂
健 樋渡
健 樋渡
秀介 矢幡
秀介 矢幡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Toa Corp
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Toa Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd, Toa Corp filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP2012023204A priority Critical patent/JP5814816B2/ja
Publication of JP2013159975A publication Critical patent/JP2013159975A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5814816B2 publication Critical patent/JP5814816B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Joining Of Building Structures In Genera (AREA)
  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Description

本発明は、既設のコンクリート構造物に、補強工事、増設工事用のアンカーボルトを施工するアンカーボルト施工方法に関する。
既設のコンクリート構造物に、耐震性を向上させるため等の補強工事や、増設工事を行う場合にアンカーボルトを施工することが行なわれている。
前記アンカーボルトを施工する方法としては、前記コンクリート構造物の表面に所定の径および深さの孔を形成し、該孔にアンカーボルトを挿入し、該アンカーボルトと前記孔の内周面との隙間に定着材等を充填して、前記アンカーボルトを固定する方法が採られている。
かかるアンカーボルトの施工方法においては、アンカーボルトのコンクリート構造物への固着強度を向上させる方法が種々検討されている。
例えば、アンカーボルトとして、先端部が軸よりも大径であるアンカーボルトを用い、引張強度を向上させる方法が特許文献1および2に記載されている。
しかし、前記のような先端部が大径のアンカーボルトを用いた場合、アンカーボルトの引張強度は向上させることができるが、アンカーボルトの挿入方向に対して直交する方向における強度、すなわち、せん断耐力を向上させることは困難である。
従って、構造物としてのせん断耐力を向上させるためには、アンカーボルトの本数を増やすことが行なわれているが、コストがかさむという問題がある。
また、既設のコンクリート構造物内部に鉄筋などの鋼材が埋設されている場合には、前記鋼材の埋設されている深さまでしか前記孔を形成することはできない。
かかる場合に、例えば、特許文献3には、前記鋼材が露出する深さまでの孔を形成し、該孔の底面に露出した前記鋼材に前記アンカーボルトの先端部を溶接することで、アンカーボルトを強固にコンクリート構造物に固着することが記載されている。
しかし、かかる方法においても、やはりアンカーボルトの引張強度を向上させることができても、せん断耐力を向上させることは困難である。
特開2008−208597号公報 特開2004−116128号公報 特開2001−295478号公報
そこで、本発明は、上記のような従来の問題を鑑みて、アンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力を向上させアンカーボルトの設置本数を少なくすることにより低コストでアンカーボルトを施工できる方法を提供することを課題とする。
本発明に係るアンカーボルトの施工方法は、コンクリート構造物の表面に開口する円筒形状の孔を形成し、該孔にアンカーボルトを挿入し、前記孔の内周面と前記アンカーボルトとの間に充填材を充填して、アンカーボルトをコンクリート構造物に施工するアンカーボルト施工方法において、予め、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1と、前記コンクリート構造物のコンクリートの支圧強度cσqaとを求めておき、前記コンクリートの支圧強度cσqaと前記孔の開口面積とから求められるコンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2が、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも、大きくなるような前記孔の開口面積を設定しておき、前記設定された開口面積になるように前記孔を形成することを特徴とする。
かかる構成によれば、前記アンカーボルトをコンクリート構造物に施工する場合に、予め、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1と、前記コンクリートの支圧強度cσqaを求め、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも、前記コンクリートの支圧強度cσqaと前記孔の開口面積とから求められる前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2が、大きくなるような前記孔の開口面積を設定することで、コンクリート構造物に施工したアンカーボルトとコンクリート構造物との間のせん断耐力を向上させることができる。
すなわち、使用するアンカーボルトと、該アンカーボルトを施工するコンクリート構造物に合った孔の開口面積を調整することで、前記アンカーボルトと前記コンクリート構造物との間のせん断耐力を向上させることができ、アンカーボルトの設置本数を低減しうる。
尚、本発明でいう前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1および前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2は、以下の式(1)、(2)で求められる。

Qa1(N)=2/3※1×sσqa×sca ・・・(1)
Qa2(N)=1/3※2×cσqa×scA ・・・(2)

1:低減係数、長期荷重用
2:低減係数、長期荷重用
sca:アンカーボルト断面積(mm2
scA:孔の開口面積(mm2
sσqa:アンカーボルトのせん断強度(N/mm2)、sσqa=0.7×sσyとする。
sσy :アンカーボルトの規格降伏点強度(N/mm2
cσqa:コンクリートの支圧強度(N/mm2)、cσqa=0.5×(Fc×Ec)1/2とする。
Fc:コンクリートの圧縮強度(N/mm2
Ec:コンクリートのヤング係数(N/mm2
尚、アンカーボルトの規格降伏点強度(sσy)とは、JIS G3112に準拠して決められている降伏点強度をいう。
コンクリートの圧縮強度(Fc)とは、コンクリートの実測圧縮強度またはコンクリート構造物のコンクリート設計基準強度をいう。
コンクリートのヤング係数(Ec)とは、コンクリートの実測ヤング係数または前記コンクリートの圧縮強度(Fc)から日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」により、Ec=3.35×104×(γ/24)2×(Fc/60)1/3から算出したものをいう。(γ:コンクリートの気乾単位体積重量t/m3
すなわち、前記式(1)、(2)で使用される前記各値のうち、scA:孔の開口面積(mm2)以外の値は、使用するアンカーボルトと、該アンカーボルトを施工するコンクリート構造物とから求めることができる値である。
本発明では、前記アンカーボルトをコンクリート構造物に施工するに先立ち、前記式(1)、(2)から求められる前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1と前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2とが、Qa1<Qa2となるようなscA:孔の開口面積(mm2)を設定しておくことによって、前記アンカーボルトをコンクリート構造物に施工した場合のせん断耐力を向上させうるサイズ(開口面積)の孔を形成することができる。
また、本発明において、前記コンクリートのコーン状破壊に対する引張強度を求めておき、且つ、前記孔の深さを決定し、前記コンクリートのコーン状破壊に対する引張強度と、前記孔の深さと、前記孔の開口径とから求められる前記コンクリートのコーン状破壊により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa3および前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2が、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも大きくなるような前記孔の面積を設定することが好ましい。
前記コンクリートのコーン状破壊により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa3と前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2とが、両方とも前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも大きくなるような孔の開口面積を設定した場合には、前記孔の深さが所定の深さである場合に、最適なせん断耐力を得ることができる孔の面積を設定できる。
尚、前記コンクリートのコーン状破壊により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa3は、以下の式(3)で求められる。

Qa3=1/3※3×cσt×Aqc・・・(3)

3:低減係数
cσt:コーン状破壊に対するコンクリートの引張強度(N/mm2)、cσt=0.31×Fc1/2とする。
Aqc:せん断力に対するコーン状破壊面の有効投影面積(mm2)、Aqc=0.5×π×l2+l×r
l:孔深さ(mm)
r:孔の開口径(mm)
尚、本発明でいう孔の開口径とは、開口部の内径であって最も長い箇所の長さをいう。
また、本発明でいう孔の深さとは、孔の最も深い箇所の開口面からの深さをいう。
前記式(3)で使用される前記各値のうち、r:孔の開口径(mm)以外の値は、使用するアンカーボルトと、該アンカーボルトを施工するコンクリート構造物とから求めることができる値である。
すなわち、前記式(3)から求められる前記コンクリートのコーン状破壊により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa3と、前記したようなコンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2とが、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも大きくなるような孔の径から求められる孔の面積の孔を形成することによって、前記孔の深さが所定の深さである場合に、最適なせん断耐力を得ることができる孔の開口面積を設定できる。
特に、前記コンクリート構造物に鋼材が埋設されている場合等のように、アンカーボルトを施工する位置のコンクリートのかぶり深さが比較的浅く、孔の深さが制限される場合でも、前記のような条件を満たす面積の孔を形成して、アンカーボルトを施工することで、コンクリート構造物とアンカーボルトとの接合部分において必要なせん断耐力を得ることができる。
本発明において、前記充填材は、セメント系無収縮モルタルであることが好ましい。
前記充填材がセメント系無収縮モルタルである場合には、孔に充填材を充填した後に、充填材の収縮が少ないため、充填材と孔の内周面との間に隙間が生じにくい。よって、アンカーボルトをコンクリート構造物へのより強固に固着させることができる。
前記アンカーボルトは、軸と、該軸よりも大径の先端部とを備え、前記先端部を前記孔の底部側に配置して前記アンカーボルトを前記孔に設置することが好ましい。
係る構成によれば、アンカーボルトが軸と該軸よりも大径の先端部を備えており、該先端部を孔の底部側に配置することによって、大径の先端部が充填材によって孔の内部に固定される強度が高まり、アンカーボルトの引き抜き方向への強度、すなわち引張強度も向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、1本あたりのアンカーボルトの許容せん断耐力を向上させアンカーボルトの設置本数を少なくすることで、低コストでアンカーボルトを既設のコンクリート構造物に施工することができる。
(a)(b)アンカーボルトを施工する状態を示した概略断面図。 (a)(b)アンカーボルトを施工した状態を示す上面図。
以下に、本発明にかかるアンカーボルト施工方法について図面を示して具体的に説明する。
本実施形態のアンカーボルト施工方法は、コンクリート構造物の表面に開口する円筒形状の孔を形成し、該孔にアンカーボルトを挿入し、前記孔の内周面と前記アンカーボルトとの間に充填材を充填して、アンカーボルトをコンクリート構造物に施工するアンカーボルト施工方法において、予め、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1と、前記コンクリート構造物のコンクリートの支圧強度cσqaとを求めておき、前記コンクリートの支圧強度cσqaと前記孔の開口面積とから求められるコンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2が、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも、大きくなるような前記孔の開口面積を設定しておき、前記設定された開口面積になるように前記孔を形成するアンカーボルト施工方法である。
本実施形態でアンカーボルトを施工するコンクリート構造物は、既設の建物や橋梁などのコンクリート構造物である。
かかるコンクリート構造物は、補強のため、あるいは増設のために、コンクリート構造物にアンカーボルトを介して新設部材を一体化するために、アンカーボルトを設置することが行なわれる。
一般的なアンカーボルトの施工方法においては、まず、図1(a)に示すように、コンクリート構造物1の表面に孔2を形成する。
かかる孔2は一般的にはドリルなどで形成する。従って、前記孔2は、開口部が略円形であって、深さ方向に略同断面積の略円筒形状に形成される。
かかる孔2に金属製などのアンカーボルト3を挿入した後、図1(b)に示すように前記孔2内に充填材4を充填して、前記アンカーボルト3を前記孔2に固定することで、アンカーボルトをコンクリート構造物1に施工する。
本実施形態のアンカーボルトの施工方法においては、前記のような孔を形成する前に、前記アンカーボルトの許容せん断耐力を高く施工できうる孔の開口面積を設定する。
尚、前記のようにドリルなどを用いて孔を形成する場合には、ドリルを所定の径のものを用いることで、孔の開口径、および開口面積を調整することができる。
前記ドリルの中でも、特に、コアドリルは、騒音や粉塵が少ないため、好ましい。
まず、前記コンリート構造物と、該コンクリート構造物に設置するアンカーボルトとから、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1を求める。
また、前記コンクリートの支圧強度cσqaを求める。
そして、前記コンクリートの支圧強度cσqaと、孔の開口面積とから得られるコンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2が、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1より大きくなる孔の面積を求める。
前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1および前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2は、以下の式(1)、(2)で求められる。

Qa1(N)=2/3※1×sσqa×sca ・・・(1)
Qa2(N)=1/3※2×cσqa×scA ・・・(2)

1:低減係数、長期荷重用
2:低減係数、長期荷重用
sca:アンカーボルト断面積(mm2
scA:孔の開口面積(mm2
sσqa:アンカーボルトのせん断強度(N/mm2)、sσqa=0.7×sσyとする。
sσy :アンカーボルトの規格降伏点強度(N/mm2
cσqa:コンクリートの支圧強度(N/mm2)、cσqa=0.5×(Fc×Ec)1/2とする。
Fc:コンクリートの圧縮強度(N/mm2
Ec:コンクリートのヤング係数(N/mm2
前記アンカーボルトの規格降伏点強度(sσy)とは、JIS G3112に準拠して決められている降伏点強度をいう。
すなわちアンカーボルトの材質によって所定の降伏点強度が規定されており、例えば、アンカーボルトとしてD16 SD295Sタイプのアンカーボルトを用いた場合には、規格降伏点強度は、295N/mm2である。
また、前記アンカーボルト断面積scaは、アンカーボルトの最も細い箇所の断面積を指し、例えば、図1に示すような軸3aと、該軸3aよりも大径な先端部3bを備えたアンカーボルトの場合には、軸3aの断面積を前記アンカーボルト断面積scaとする。
また、前記コンクリートの圧縮強度(Fc)とは、コンクリートの実測圧縮強度またはコンクリート構造物のコンクリート設計基準強度をいう。
コンクリートのヤング係数(Ec)とは、コンクリートの実測ヤング係数または前記コンクリートの圧縮強度(Fc)から日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」により、Ec=3.35×104×(γ/24)2×(Fc/60)1/3から算出した値をいう。(γ:コンクリートの気乾単位体積重量t/m3
すなわち、コンクリート構造物の設計仕様から、前記コンクリートの圧縮強度(Fc)およびコンクリートのヤング係数(Ec)は導き出せる。
すなわち、前記式(1)、(2)で用いる値は、孔の開口面積以外の値は、コンクリート構造物とアンカーボルトとからすべて求められる値である。
よって、前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2が、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1より大きくなるような孔の開口面積を設定することができる。
前記孔の開口面積を、前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2が、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1より大きくなるような面積に設定することで、特定のコンクリート構造物に特定のアンカーボルトを設置する強度、特に、図1(b)に示すようなアンカーボルトの挿入方向に直交する方向Xへのせん断耐力を向上させることができる。
尚、前記孔の開口面積は、支圧破壊を抑制する観点からは、前記Qa2>Qa1を満たすような面積以上であれば大きいほど効果は向上する。
すなわち、図2(a)、(b)に示すように、開口面積が大きい場合(図2(a))には、開口面積が小さい場合(図2(b))に比べて、アンカーボルトの挿入方向に直交する方向Xへのせん断耐力がかかるコンクリートの面積(図では孔の開口縁の長さd,d’として示す。)が大きくなり、せん断耐力が向上する。
しかしながら、過度に大きい孔の開口面積とした場合には、充填材が多く必要となりコストがかかり、好ましくない。
また、アンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力は前記Qa1であるため、前記Qa2を大きくしても、アンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力の向上には効果がなくなる。
従って、前記孔の開口面積としては、前記Qa2>Qa1を満たす孔の開口面積の最低面積付近であることが好ましい。
また、前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2と、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1とから、コンクリート構造物に施工されたアンカーボルトのせん断耐力が向上する孔の面積を求めるためには、孔とアンカーボルトとの間に充填される充填材が、前記コンクリート構造物のコンクリートよりも支圧強度が高く、支圧破壊しない充填材であることが好ましい。
すなわち、前記充填材の支圧強度が、前記コンクリート構造物のコンクリートの支圧強度よりも高く、支圧破壊しないものを使用することで、充填材の影響を考慮することなく、圧縮強度の最も弱いコンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2と、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1とが前記関係になるような孔の開口面積を設定することによってコンクリート構造物に設置した際のアンカーボルトとコンクリート構造物との間のせん断耐力を向上させることができる。
具体的には、コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2をコンクリートの支圧強度を充填材の支圧強度に、孔の開口面積をアンカーボルトの断面積に、それぞれ置換し、求めた充填材の支圧強度による決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力が、アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルトの許容せん断耐力Qa1より大きくすることで、前記のようなせん断耐力を向上させうる。
例えば、D16 SD295Sタイプのアンカーボルトの場合には、充填材の支圧強度が0.41kN/mm2以上であれば、充填材が支圧破壊せず、その周囲のコンクリートに荷重を伝達できる。
本実施形態のアンカーボルト施工方法において、前記Qa2>Qa1を満たすような孔の面積であって、さらに、前記コンクリートのコーン状破壊により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa3と前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2とが、両方とも前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも大きくなるような孔の面積を設定することが好ましい。
前記コンクリートのコーン状破壊により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa3は、以下の式(3)で求められる。
Qa3=1/3※3×cσt×Aqc・・・(3)
3:低減係数
cσt:コーン状破壊に対するコンクリートの引張強度(N/mm2)、cσt=0.31×Fc1/2とする。
Aqc:せん断力に対するコーン状破壊面の有効投影面積(mm2)、Aqc=0.5×π×l2+l×r
l:孔深さ(mm)
r:孔の開口径(mm)
前記式(3)で使用される前記各値のうち、r:孔の開口径(mm)以外の値は、使用するアンカーボルトと、該アンカーボルトを施工するコンクリート構造物とから求めることができる値である。
すなわち、前記式(3)から求められる前記コンクリートのコーン状破壊により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa3が、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも大きくなるような孔の径から求められる孔の面積の孔を形成することによって、前記孔の深さが所定の深さである場合に、最適なせん断耐力を得ることができる孔の開口面積を設定できる。
特に、前記コンクリート構造物に予め鋼材が埋設している場合等のように、アンカーボルトを施工する位置のコンクリートのかぶり深さが比較的浅く、孔の深さが制限される場合でも、孔の開口面積を調整することで、コンクリート構造物とアンカーボルトとの接合部分において必要なせん断耐力を得ることができる。
前記のような前記Qa2>Qa1を満たす孔の面積であって、且つ前記Qa3>Qa1を同時に満たすような孔の開口径(孔の開口面積)を設定して、かかるサイズの孔をコンクリート構造物の表面に形成する。
さらに、前記孔にアンカーボルトを挿入し、前記孔の内周面と前記アンカーボルトとの間に充填材を充填する。
前記充填材としては、前記コンクリート構造物のコンクリートよりも支圧強度が高く、支圧破壊しないものであれば、特に制限されるものではないが、充填後の収縮が小さいこと、およびコンクリートとの接着性(一体性)が良好であり、また不燃性材質であることから、特に、セメント系無収縮モルタルであることが好ましい。
前記セメント系無収縮モルタルの具体例としては、例えば、無機系注入材など、さらに具体的にはセメフォースアンカー(住友大阪セメント社製)等が挙げられる。
また、前記アンカーボルトとしては、公知のアンカーボルトが使用できるが、例えば、鉄、ステンレスなどの金属製のものが好ましい。
さらに前記アンカーボルトの好ましい形状としては、図1に示すような軸3aと、該軸3aよりも大径の先端部3bとを備えたものが好ましい。
かかる形状のアンカーボルトを、図1に示すように、前記先端部3bを前記孔2の底部側に配置することで、アンカーボルト2を施工した後の引き抜き方向Yへの強度(引張強度)を向上させることができる。
本実施形態のアンカーボルトの施工方法は、特に、既設のコンクリート構造物を補強する場合に最適である。
既設のコンクリート構造物が低強度である場合、例えば、圧縮強度30N/mm2以下のような低強度コンクリートの場合には、耐震性を向上させる目的等でアンカーボルトを施工する場合がある。
かかる低強度コンクリートにアンカーボルトを施工する場合でも、予め、コンクリートの設計強度と、使用するアンカーボルトに合わせた最適の孔の開口面積を設定することによって、必要以上に多くの本数のアンカーボルトを用いる必要がないため、低コストで既設のコンクリート構造物の補強を行いうる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(せん断耐力試験)
試験体1乃至4として、普通コンクリートを用いたサイズ800×550×400mmのコンクリート硬化体を準備した。
コンクリート硬化体の各成分は下記表1のとおりである。
尚、各試験体は各3個ずつ準備した。
Figure 0005814816
前記試験体の普通コンクリートの圧縮強度は設計基準強度で30N/mm2、ヤング率24400N/mm2である。
アンカーボルトとして、異形棒鋼 D16 SD295A(JFE条鋼社製)を準備した。
前記アンカーボルトの公称断面積は1.986cm2、降伏耐力は295N/mm2である。
以上の各値から求められる前記各試験体のQa1は、27.3であった。
前記各値から、表1に記載のQa2、Qa3となるようなscA:孔の開口面積(mm2)、l:孔深さ(mm)を算出し、湿式コアドリルを用いて穿孔した。
その後、充填材(無機系カートリッジ式セメント系材料、商品名:セメフォースアンカー、住友大阪セメント社製、圧縮強度60N/mm2)を孔内に充填し、アンカー筋を挿入した。
前記試験体を、社団法人 日本建築あと施工アンカー協会の設計・施工指針 付3あと施工アンカー現場確認試験法(案)に準拠して、せん断試験を行った。
結果(各試験体の3個の平均値)を表2に示す。
Figure 0005814816
表2より、Qa1<Qa2となる試験体2乃至4については、せん断耐力は良好であり、また、最終破断形式はアンカーボルトが破断した。
さらに、Qa2およびQa3が共にQa1より大となる試験体3および4については、せん断耐力は良好であり、また、最終破断形式はアンカーボルトが破断したことに加えて、試験体4については、穿孔深さが比較的浅くても、せん断耐力は良好であった。
1:コンクリート構造体、
2:孔、
3:アンカーボルト、
4:充填材。

Claims (4)

  1. コンクリート構造物の表面に開口する円筒形状の孔を形成し、該孔にアンカーボルトを挿入し、前記孔の内周面と前記アンカーボルトとの間に充填材を充填して、アンカーボルトをコンクリート構造物に施工するアンカーボルト施工方法において、
    予め、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1と、前記コンクリート構造物のコンクリートの支圧強度cσqaとを求めておき、
    前記コンクリートの支圧強度cσqaと前記孔の開口面積とから求められるコンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2が、前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも、大きくなるような前記孔の開口面積を設定しておき、
    前記設定された開口面積になるように前記孔を形成することを特徴とするアンカーボルト施工方法。
  2. 前記コンクリートのコーン状破壊に対する引張強度を求め、且つ、前記孔の深さを決定し、
    前記コンクリートのコーン状破壊に対する引張強度と前記孔の深さと前記孔の開口径とから求められる前記コンクリートのコーン状破壊により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa3および前記コンクリートの支圧強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa2が、
    前記アンカーボルトのせん断強度により決まるアンカーボルト1本あたりの許容せん断耐力Qa1よりも大きくなるような前記孔の開口面積を設定する請求項1に記載のアンカーボルト施工方法。
  3. 前記充填材は、セメント系無収縮モルタルである請求項1または請求項2に記載のアンカーボルト施工方法。
  4. 前記アンカーボルトは、軸と、該軸よりも大径の先端部とを備え、前記先端部を前記孔の底部側に配置して前記アンカーボルトを前記孔に挿入する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアンカーボルト施工方法。
JP2012023204A 2012-02-06 2012-02-06 アンカーボルト施工方法 Active JP5814816B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012023204A JP5814816B2 (ja) 2012-02-06 2012-02-06 アンカーボルト施工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012023204A JP5814816B2 (ja) 2012-02-06 2012-02-06 アンカーボルト施工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013159975A JP2013159975A (ja) 2013-08-19
JP5814816B2 true JP5814816B2 (ja) 2015-11-17

Family

ID=49172475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012023204A Active JP5814816B2 (ja) 2012-02-06 2012-02-06 アンカーボルト施工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5814816B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6516631B2 (ja) * 2015-08-27 2019-05-22 株式会社夏目建設 埋め込みボルトの取り付け方法及び取り付け構造
JP6632276B2 (ja) * 2015-09-09 2020-01-22 大成建設株式会社 定着筋の定着方法
CN106013465B (zh) * 2016-06-29 2019-07-09 杭州斯泰新材料技术有限公司 一种安全栓套及在混凝土上的安装结构
JP6850433B2 (ja) * 2017-03-31 2021-03-31 住友大阪セメント株式会社 あと施工アンカー工法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3417171A1 (de) * 1984-05-09 1985-11-14 Hilti Ag, Schaan Verfahren zum setzen von duebeln und dergleichen verankerungsmittel und vorzugsweise hierfuer verwendbare duebelmasse
JP4189292B2 (ja) * 2003-10-02 2008-12-03 等 塩原 せん断抵抗型定着装置
JP2008050788A (ja) * 2006-08-23 2008-03-06 Yahagi Construction Co Ltd 既設建物の耐震補強構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013159975A (ja) 2013-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Steinberg et al. Connectors for timber–lightweight concrete composite structures
US7823356B2 (en) Shearing force reinforced structure and member
JP4230533B1 (ja) 構造体の接合構造及びそれに使用されるせん断力伝達用定着部材
JP5814816B2 (ja) アンカーボルト施工方法
Ozden et al. Seismic strengthening of infilled reinforced concrete frames with composite materials
Tumialan et al. Field assessment of unreinforced masonry walls strengthened with fiber reinforced polymer laminates
CN103510530A (zh) 一种叠合墙板嵌入式基础及其实施方法
JP4942475B2 (ja) 既存柱の補強方法及び補強構造
KR101600679B1 (ko) 전단 소켓 앵커
JP5775830B2 (ja) アンカーボルト施工方法
JP2008267136A (ja) せん断抵抗型定着用ディスク
JP5797256B2 (ja) 薄肉鋼管杭の接合構造
KR101502517B1 (ko) 구조물 보강용 섬유보강패널 및 이를 이용한 구조물 내진보강공법
JP4189292B2 (ja) せん断抵抗型定着装置
JP2013087540A (ja) アウトフレーム補強工法とその補強構造
JP5337329B2 (ja) あと施工アンカー及びこれを用いた耐震補強構造、耐震補強方法
JP2015148099A (ja) 山留め支保工およびそれに使用する端部金物
JP6172501B2 (ja) 耐震補強構造および耐震補強工法
JP2013007260A (ja) 補強構造
JP6860381B2 (ja) 複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いた鋼管杭の補強方法および構造体
JP4195686B2 (ja) せん断補強構造
JP2016102400A (ja) 接合構造、接合工法およびアンカー部材
JP2008291601A (ja) 杭頭結合構造
JP5881320B2 (ja) 新旧コンクリート打継部の補強方法および打継部の補強構造
JP6632276B2 (ja) 定着筋の定着方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141001

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150731

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150904

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150918

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5814816

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250