以下、本発明を詳細に説明する。
なお、ここでは、置換又は無置換を明示していない基及び原子団には、置換基を有していないものと置換基を有しているものとの双方が含まれることとする。例えば、置換又は無置換を明示していない「アルキル基」は、置換基を有していないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有しているアルキル基(置換アルキル基)をも包含することとする。
また、ここで「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外(EUV)線、X線又は電子線(EB)を意味している。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味している。
また、ここで「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、遠紫外線、X線及びEUV光等による光照射のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画をも意味している。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、以下に詳述する繰り返し単位(Aa1)及び(Aa2)を含む樹脂(Aa)と、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂(Ab)を含有する。
〔樹脂(Aa)〕
樹脂(Aa)は、一般式(aa1−1)で表されるモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位(Aa1)と、一般式(aa2−1)で表されるモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位(Aa2)を含有する。本発明の組成物が樹脂(Aa)を含有することにより、現像欠陥を改良する効果を有する。その理由の一つとしては、例えば側鎖の末端に存在する含フッ素エステル基がアルカリ現像液により加水分解を受け、樹脂の親水化が起きることが考えられる。また、本発明の組成物が樹脂(Aa)を含有することにより、ドライエッチング耐性を改良する効果も有する。その理由の一つとしては、繰り返し単位(Aa2)が有するベンゼン環の存在に起因するものと考えられる。
一般式(aa1−1)中、
Q1は、重合性基を含む有機基を表す。
L1及びL2は、各々独立して、単結合または2価の連結基を表す。
Rfはフッ素原子を有する有機基を表す。
一般式(aa2−1)中、
Rbは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表す。
S1aは置換基を表し、複数存在する場合は各々独立である。
pは0〜5の整数を表す。
まず、一般式(aa1−1)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位(Aa1)について説明する。
式中のQ1により表される重合性基を含む有機基は、重合性基を含む基であれば特に限定されるものではない。重合性基として、例えば、アクリル基、メタクリル基、スチリル基、ノルボルネニル基、マレイミド基、ビニルエーテル基等が挙げられ、アクリル基、メタクリル基、及びスチリル基が特に好ましい。
L1及びL2により表される2価の連結基としては、例えば、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−CO−、又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば、炭素数が6〜14個のものが好ましく、具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基等が挙げられる。
アルキレン基及びシクロアルキレン基としては、例えば、炭素数が1〜15のものが好ましく、具体例としては、次に挙げる直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基中の水素原子を1個引き抜いた形式のものが挙げられる:メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、アダマンチル基。
上記アリーレン基、アルキレン基及びシクロアルキレン基が有し得る置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フッ素原子等が挙げられる。
本発明の一態様において、L1は、単結合、フェニレン基、エーテル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基がより好ましく、L2は、アルキレン基、エーテル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基がより好ましい。
Rfとしてのフッ素原子を有する有機基における有機基は、炭素原子を少なくとも1つ含む基であり、炭素−水素結合部分を含む有機基が好ましい。Rfは、例えば、フッ素原子で置換されたアルキル基又はフッ素原子で置換されたシクロアルキル基である。
繰り返し単位(Aa1)は、一態様において、下記一般式(aa1−2−1)又は(aa1−3−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(aa1−2−1)及び(aa1−3−1)中、
Ra1及びRa2は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Ra1及びRa2は、好ましくは、水素原子又はメチル基である。
L21及びL22は、各々独立に、単結合または2価の連結基を表し、先に説明した一般式(aa1−1)におけるL2と同義である。
Rf1及びRf2は、各々独立に、フッ素原子を有する有機基を表し、一般式(aa1−1)におけるRfと同義である。
また、繰り返し単位(Aa1)は、一態様において、下記一般式(aa1−2−2)又は(aa1−3−2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(aa1−2−2)及び(aa1−3−2)中、
Ra1及びRa2は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。
m1及びm2は、各々独立に、0〜5の整数を表す。
Rf1及びRf2は、各々独立に、フッ素原子を有する有機基を表す。
Ra1及びRa2は、好ましくは、水素原子又はメチル基である。
R1、R2、R3及びR4により表されるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。このアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
m1及びm2は、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0又は1であり、最も好ましくは1である。
Rf1及びRf2としてのフッ素原子を有する有機基は、一般式(aa1−1)におけるRfと同義である。
また、繰り返し単位(Aa1)は、一態様において、下記一般式(aa1−2−3)又は(aa1−3−3)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(aa1−2−3)及び(aa1−3−3)中、
Ra1は水素原子又はメチル基を表す。
Rf1及びRf2は、各々独立に、フッ素原子を有する有機基を表し、一般式(aa1−1)におけるRfと同義である。
以下に、繰り返し単位(Aa1)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
樹脂(Aa)における、繰り返し単位(Aa1)の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、30〜99mol%であることが好ましく、より好ましくは40〜99mol%であり、更に好ましくは50〜99mol%であり、特に好ましくは70〜99mol%である。
次に、一般式(aa2−1)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位(Aa2)について説明する。
式中のRbは、上述したように、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表す。
Rbとして、好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子が挙げられ、より好ましくは水素原子である。
S1aは、上述したように、置換基を表す。
S1aにより表される置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、珪素原子を含む有機基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基等が挙げられる。
S1aにより表される置換基は、また、上述した基が、2価の連結基に結合した基であってもよく、2価の連結基としては、例えば、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、もしくはこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
S1aにより表されるアルキル基としては、例えば、炭素原子数が1〜20個のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。更に有し得る好ましい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルキル基、水酸基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、チオフェンカルボニルオキシ基、チオフェンメチルカルボニルオキシ基、ピロリドン残基等のヘテロ環残基などが挙げられ、好ましくは、炭素数12以下の置換基である。
S1aにより表されるシクロアルキル基としては、例えば、炭素原子数が3〜10個のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルネル基、アダマンチル基等が挙げられる。シクロアルキル基は、更に置換基を有していてもよい。更に有し得る好ましい置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基が有し得る置換基に加え、アルキル基が挙げられる。
S1aにより表されるアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数が1〜10個のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基は、更なる置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基が有し得る好ましい置換基と同様の基が挙げられる。
S1aにより表されるアシル基としては、例えば、炭素原子数2〜10個のものが好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等が挙げられる。アシル基は、更なる置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基が有し得る好ましい置換基と同様の基が挙げられる。
S1aにより表されるアシルオキシ基としては、例えば、炭素原子数2〜10個のものが好ましい。アシルオキシ基におけるアシル基としては、例えば、上述したアシル基と同様の具体例が挙げられ、有し得る置換基も同様である。
S1aにより表されるアリール基としては、例えば、炭素原子数6〜10個のものが好ましく、具体的には、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。アリール基は、更なる置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基又はシクロアルキル基が有し得る好ましい置換基と同様の基が挙げられる。
S1aにより表されるアリールオキシ基、アリールチオ基としては、例えば、炭素原子数2〜10個のものが好ましい。アリールオキシ基及びアリールチオ基におけるアリール基としては、例えば、上述したアリール基と同様の具体例が挙げられ、有し得る置換基も同様である。
S1aにより表されるアラルキル基としては、例えば、炭素原子数7〜15個のものが好ましく、具体的には、ベンジル基等が挙げられる。これらの基は、更なる置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基又はシクロアルキル基が有し得る好ましい置換基と同様の基が挙げられる。
S1aにより表されるアラルキルオキシ基、アラルキルチオ基としては、例えば、炭素原子数7〜15個のものが好ましい。アラルキルオキシ基及びアラルキルチオ基におけるアラルキル基としては、例えば、上述したアラルキルと同様の具体例が挙げられ、有し得る置換基も同様である。
S1aにより表されるアルキルチオ基としては、例えば、炭素原子数1〜10個のものが好ましい。アルキルチオ基におけるアルキル基としては、例えば、上述したアルキルと同様の具体例が挙げられ、有し得る置換基も同様である。
S1aにより表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられ、フッ素原子及び塩素原子が好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
S1aにより表される、珪素原子を含む有機基における有機基は、炭素原子を少なくとも1つ含む基であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)などのヘテロ原子を含んでいてもよい。この有機基は、炭素原子数が1〜30個であることが好ましい。
珪素原子を含む有機基は、一態様において、下記一般式(S)で表されることが好ましい。
式中、
R1、R2及びR3は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子を表す。
Lは単結合又は2価の連結基を表す。
R1、R2及びR3におけるアルキル基としては、例えば、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるアルケニル基としては、例えば、炭素原子数が2〜10のアルケニル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるシクロアルキル基としては、例えば、炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるアリール基としては、例えば、炭素原子数が6〜10のアリール基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるアラルキル基としては、例えば、炭素原子数が7〜15のアラルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
Lにより表される2価の連結基としては、例えば、置換又は無置換のアルキレン基、−O−、−S−、−(C=O)−、又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
S
1aは、一態様において、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子又は珪素原子を含む有機基であることが好ましく、アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、又は珪素原子を含む有機基であることがより好ましく、アルキル基又は下記一般式(S−1)で表される基であることが更に好ましい。
式中、
R11、R21及びR31は、各々独立に、アルキル基を表す。
L1は単結合又は2価の連結基を表す。
R11、R21及びR31としてのアルキル基は、先に述べた一般式(S)におけるR1、R2及びR3としてのアルキル基と同義であり、L1としての2価の連結基は、一般式(S)におけるLとしての2価の連結基と同義である。
pは、上述したように、0〜5の整数を表す。pは、好ましくは1〜5の整数である。
以下に、繰り返し単位(Aa2)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではなく、ベンゼン環上の置換基(S
1a基に対応)の位置も下記具体例に限定されるものでない。
樹脂(Aa)における、繰り返し単位(Aa2)の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、1〜99mol%が好ましく、より好ましくは1〜70mol%であり、更に好ましくは1〜50mol%であり、特に好ましくは1〜30mol%である。
上掲の一般式(aa1−1)により表されるモノマーはフッ素原子を含有するものであり、このモノマーに由来する繰り返し単位(Aa1)を含有する樹脂(Aa)は、フッ素原子を含有する。また、樹脂(Aa)は、繰り返し単位(Aa1)以外に、更に、以下に説明するフッ素原子を含有する繰り返し単位を含んでいてもよい。一方、後述する樹脂(Ab)はフッ素原子を有さないか、フッ素原子を含有する繰返し単位が樹脂(Aa)に対して相対的に少ない樹脂である。これにより、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物から形成された膜の表層に樹脂(Aa)が偏在化する。なお、樹脂(Aa)は、このように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。樹脂(Aa)がフッ素原子を含有することで、膜表面の疎水性が向上し、現像欠陥(Blob)の低減に寄与する。
更に、膜の表面にフッ素原子を含有する樹脂(Aa)が偏在することは、特にEUVを用いた露光における高感度化に有効である。すなわち、高感度化には感活性光線性又は感放射線性膜におけるEUVのエネルギー吸収量を増やすこと、即ち組成物のEUVに対する吸収係数の向上が必要と考えられる。その際に、EUVの吸収係数が高いフッ素原子を膜中に均一に分布させるよりも、EUV光が最も強く照射される膜表面に、フッ素原子を偏在化させ、効率的にエネルギー吸収量を増加させることにより、更なる高感度化の実現が可能となる。
樹脂(Aa)が含み得る、繰り返し単位(Aa1)以外のフッ素原子を含有する繰り返し単位について以下に説明する。
フッ素原子は、樹脂(Aa)中の主鎖に含まれていてもよく、側鎖に置換していてもよい。フッ素原子を有する繰り返し単位は、例えば、(メタ)アクリレート系繰り返し単位又はスチリル系繰り返し単位であることが好ましい。
フッ素原子を含有する繰り返し単位は、一態様において、部分構造としてフッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、または、フッ素原子を有するアリール基を有する繰り返し単位であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環または多環のシクロアルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよ
い。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、または、フッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)のいずれかで表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
一般式(F2)〜(F4)中、R57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(鎖状)を表す。但し、R57〜R61の少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ、R65〜R68の少なくとも1つは、フッ素原子又はフルオロアルキル基を表す。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。中でも、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)で表される基の具体例としては、例えば、−C(CF3)2OH、−C(C2F5)2OH、−C(CF3)(CH3)OH、−CH(CF3)OH等が挙げられ、C(CF3)2OHが好ましい。
フッ素原子を含む部分構造は、主鎖に直接結合してもよく、さらに、アルキレン基、フェニレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、またはウレイレン基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを介して主鎖に結合してもよい。
フッ素原子を有する繰り返し単位としては、以下に示すものが好適に挙げられる。
式中、R10、R11は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基であり、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる)を表す。
W
3〜W
6は、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には上述した一般式(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
また、樹脂(Aa)は、他の態様において、一般式(C−II)又は(C−III)で表される単位を含んでいてもよい。
一般式(C−II)中、R4〜R7は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基であり、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる)を表す。ただし、R4〜R7の少なくとも1つはフッ素原子を表す。R4とR5もしくはR6とR7は環を形成していてもよい。
一般式(C−III)中、Qは脂環構造を表す。
W2は、少なくとも1つのフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には前記一般式(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
L2は、単結合、あるいは2価の連結基を示す。2価の連結基としては、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−SO2−、−CO−、−N(R)−(式中、Rは水素原子またはアルキル基を表す)、−NHSO2−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
以下、フッ素を含有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、X
1は、水素原子、−CH
3、−F又は−CF
3を表し、X
2は、−F又は−CF
3を表す。
樹脂(Aa)におけるフッ素原子を含む繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、好ましくは1〜90モル%であり、より好ましくは5〜85モル%であり、更に好ましくは10〜80モル%であり、特に好ましくは15〜75モル%である。
先に説明したように、後述する樹脂(Ab)はフッ素原子を含有しないことが好ましく、樹脂(Aa)中のフッ素原子を含む繰り返し単位の含有率は、樹脂(Ab)中に含有され得るフッ素原子を含む繰り返し単位の含有率よりも大きい。樹脂(Aa)の膜表面における偏在化の観点から、樹脂(Aa)におけるフッ素原子を含む繰り返し単位の含有率は、樹脂(Ab)がフッ素原子を含む場合はその含有率よりも5モル%以上大きいことが好ましく、10モル%以上大きいことがより好ましく、15モル%以上大きいことが特に好ましい。
樹脂(Aa)は、下記(x)及び(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有していてもよい。
(x)アルカリ可溶性基、
(z)酸の作用により分解する基。
(x)アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(C)中の全繰り返し単位に対し、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは3〜35mol%、更に好ましくは5〜30mol%である。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。具体例中、RxはH,CH
3、CH
2OH,またはCF
3を表す。
樹脂(Aa)に於ける、酸の作用により分解する基(z)(以下、「酸分解性基」ともいう。)を有する繰り返し単位としては、例えば、後述する樹脂(Ab)で挙げる一般式(AI)、一般式(A1)、一般式(A2)などで表される酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。ここで「酸分解性基」とは、酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基を生じる基をいい、詳細は後掲の樹脂(Ab)において述べる。酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基、第2級のベンジルエステル基、第3級のアルキルオキシ基、第3級のアルキルオキシカルボニルオキシ基、アセタール基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第2級のベンジルエステル基、アセタールエステル基、アセタール基である。
樹脂(Aa)は、下記一般式(A4)により表される繰り返し単位を更に含んでいることが好ましい。このような構成を採用すると、例えば、膜質を更に向上させること及び未露光部の膜減りを更に抑制することが可能となる。
一般式(A4)中、
R2は、水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のペルフルオロ基を表す。
R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基又はアシル基を表す。
qは、0〜4の整数を表す。
Wは、酸の作用により分解しない基又は水素原子(以下、酸安定基ともいう)を表す。
Wの酸安定基としては、好ましくはアシル基、アルキルアミド基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基又はアリールオキシ基であり、より好ましくはアシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基又はアリールオキシ基である。
Wのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びt−ブチル基等の炭素数が1〜4のものが好ましい。
Wのシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基及びアダマンチル基等の炭素数が3〜10のものが好ましい。
Wのアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、アリル基及びブテニル基等の炭素数が2〜4のものが好ましい。
Wのアリール基としては、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基及びアントリル基等の炭素数が6〜14のものが好ましい。
Wのアシル基、アルキルアミド基、アルキルカルボニルオキシ基及びアルキルオキシ基におけるアルキル基としては、上記Wのアルキル基で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
Wのシクロアルキルオキシ基におけるシクロアルキル基としては、上記Wのシクロアルキル基で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
Wのアリールオキシ基、アリールアミドメチル基及びアリールアミド基としては、上記Wのアリール基で挙げたものと同様のものを挙げることができる。
Wは、一般式(A4)に示したように、スチレン骨格中のベンゼン環に含まれる任意の水素原子を置換し得る。Wの置換位置は特に制限されないが、好ましくはメタ位又はパラ位であり、特に好ましくはパラ位である。
以下に、一般式(A4)により表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定するものではない。
樹脂(Aa)は、酸の作用により分解しない(メタ)アクリル酸誘導体からなる繰り返し単位を更に含んでいてもよい。以下にその具体例を挙げるが、これらに限定するものではない。
樹脂(Aa)は、式−C(=O)−X1−R0により表される酸分解性基を備えた繰り返し単位を更に含んでいてもよい。ここで、X1は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。R0は、酸の作用により脱離する基であり、例えば、t−ブチル基及びt−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基及び1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基及び1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、並びにメバロニックラクトン残基が挙げられる。
また、樹脂(Aa)は、更に、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基としては、ラクトン構造、フェニルエステル構造などが挙げられる。
繰り返し単位としては、下記一般式(AII)で表される繰り返し単位がより好ましい。
一般式(AII)中、
Rb0は、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0として、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂肪族炭化水素環構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。好ましくは、単結合、−Ab1−CO2−で表される2価の連結基である。
Ab1は、直鎖又は分岐アルキレン基、単環又は多環の脂肪族炭化水素環基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基である。
Vは、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を表す。好ましくはエステル結合を有する基であり、中でもラクトン構造を有する基がより好ましい。
ラクトン構造を有する基としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。Vとしては下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基がより好ましい。また、樹脂は、ラクトン構造が主鎖に直接結合した繰り返し単位を含有していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC14)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)である。
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7の1価の脂肪族炭化水素環基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。n2は、0〜4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在する置換基(Rb2)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb2)同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
以下に、樹脂中の繰り返し単位(D)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。式中、Rxは、H,CH
3,CH
2OH,又はCF
3を表す。
なお、樹脂(Aa)は、アルカリ現像液に対する良好な現像性を維持すべく、フェノール性水酸基及びカルボキシ基等のアルカリ可溶性基を備えた他の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。また、膜質を更に向上させるべく、アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート等のモノマーから得られる疎水性の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
〔その他の繰り返し単位〕
樹脂(Aa)は、上述した繰り返し単位以外の繰り返し単位であって、極性基を有する繰り返し単位を更に有していてもよい。極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、 α位が電子求引性基で置換されたアルコール性水酸基(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基:−C(CF
3)
2OH)などを挙げることができる。樹脂(Aa)がこのような繰り返し単位を有することにより、これにより基板密着性、現像液親和性を向上させることができる。上述した繰り返し単位以外の極性基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位であることが好ましく、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることがより好ましく、酸分解性基を有さないことが更に好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
一般式(VIIa)〜(VIIc)に於いて、R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、R2c〜R4cの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
一般式(AIIa)〜(AIId)に於いて、R
1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
R
2c〜R
4cは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於ける、R
2c〜R
4cと同義である。樹脂(Aa)は、極性基を有する繰り返し単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、その含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、1〜60モル%が好ましく、より好ましくは5〜50モル%である。
極性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の樹脂(Aa)は、更に極性基を持たない環状炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。このような繰り返し単位としては、一般式(VII)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(VII)中、R5は少なくとも一つの環状炭化水素構造を有し、極性基(水酸基やシアノ基など)を有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
R5が有する環状炭化水素構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3から7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの環状炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子(臭素、塩素、フッ素原子)、アルキル基(メチル、エチル、ブチル、t−ブチル基)が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換された水酸基、水素原子が置換されたアミノ基を挙げることができる。
上記水素原子を置換する置換基としては、たとえばアルキル基、1価の脂肪族炭化水素環基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。樹脂(Aa)は、極性基を持たない環状炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、その含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは5〜20モル%である。
極性基を持たない環状炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH
3、CH
2OH、又はCF
3を表す。
本発明の樹脂(Aa)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、本発明の組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。その他、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びマレイロニトリルも挙げられる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
以下に、そのような他の重合性モノマー由来の繰り返し単位の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
本発明の組成物に用いられる樹脂(Aa)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
樹脂(Aa)における酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、0〜95モル%とすることが好ましく、10〜60モル%とすることがより好ましく、15〜50モル%とすることが特に好ましい。
樹脂(Aa)における一般式(A1)により表される繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、0〜90モル%とすることが好ましく、0〜85モル%とすることがより好ましく、0〜80モル%とすることが特に好ましい。
樹脂(Aa)における一般式(A2)により表される繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、0〜90モル%とすることが好ましく、0〜75モル%とすることがより好ましく、0〜60モル%とすることが特に好ましい。
樹脂(Aa)における一般式(A3)により表される繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、0〜70モル%であることが好ましく、1〜50モル%であることがより好ましく、5〜40モル%であることが特に好ましい。
樹脂(Aa)における一般式(A4)により表される繰り返し単位の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位を基準として、0〜50モル%とすることが好ましく、0〜40とすることがより好ましく、0〜30モル%とすることが特に好ましい。
樹脂(Aa)が、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を有する繰り返し単位を含んでいる場合、その含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、0.5〜80モル%が好ましく、より好ましくは1〜60モル%、更に好ましくは2〜40モル%である。
樹脂(Aa)は、更に、その他の繰り返し単位を有していてもよい。その他の繰り返し単位の好ましい態様としては以下が挙げられる。
(cy1)フッ素原子及び/又は珪素原子を有し、且つ酸に対して安定であり、且つアルカリ現像液に対して難溶もしくは不溶である繰り返し単位。
(cy2)フッ素原子、珪素原子を有さず、且つ酸に対して安定であり、且つアルカリ現像液に対して難溶もしくは不溶である繰り返し単位。
(cy3)フッ素原子及び/又は珪素原子を有し、且つ、前掲の(x)、(z)以外の極性基を有する繰り返し単位。
(cy4)フッ素原子、珪素原子を有さず、且つ、前掲の(x)、(z)以外の極性基を有する繰り返し単位。
(cy1)、(cy2)の繰り返し単位における、アルカリ現像液に難溶もしくは不溶とは、(cy1)、(cy2)がアルカリ可溶性基や、酸やアルカリ現像液の作用によりアルカリ可溶性基を生じる基(例えば酸分解性基や極性変換基)を含まないことを示す。繰り返し単位(cy1)、(cy2)は極性基を持たない脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
以下に繰り返し単位(cy1)〜(cy4)の好ましい態様を示す。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)としては、下記一般式(CIII)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(CIII)に於いて、
Rc31は、水素原子、フッ素で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は−CH2−O−Rac2基を表す。式中、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Rc31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rc32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基を有する基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子で置換されていてもよい。
Lc3は、単結合又は2価の連結基を表す。
一般式(CIII)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
Rc32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
Lc3の2価の連結基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
繰り返し単位(cy1)、(cy2)としては、下記一般式(C4)又は(C5)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
繰り返し単位(CIII)は、下記一般式(C4)又は(C5)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(C4)中、Rc5は少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基及びシアノ基いずれも有さない炭化水素基を表す。
Racは水素原子、フッ素で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は−CH2O−Rac2基を表す。式中、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Racは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rc5が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、たとえば、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3から7の単環式炭化水素基である。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれる。架橋環式炭化水素環として、2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環(例えば、5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環)も含まれる。好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基はさらに置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基を挙げることができる。
保護基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
一般式(C5)中、Rc6はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子で置換されていてもよい。
Rc6のアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
アルコキシカルボニル基は、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。
アルキルカルボニルオキシ基は、炭素数2〜20のアルキルカルボニルオキシ基が好ましい。
nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、複数のRc6は同一でも異なっていてもよい。
Rc6は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、t−ブチル基が特に好ましい。
(cy1)、(cy2)としては、下記一般式(CII−AB)で表される繰り返し単
位であることも好ましい。
式(CII-AB)中、
Rc11'及びRc12'は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Zc'は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
また、上記一般式(CII−AB)は、下記一般式(CII−AB1)又は一般式(CIIAB2)であることが更に好ましい。
式(CII−AB1)及び(CII−AB2)中、
Rc13'〜Rc16'は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基あるいはシクロアルキル基を表す。
また、Rcl3'〜Rc16'のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。
nは0又は1を表す。
以下に(cy1)、(cy2)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH
3、CH
2OH、CF
3又はCNを表す。
(cy3)、(cy4)としては、極性基として水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位であることが好ましい。これにより現像液親和性が向上する。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルニル基が好ましい。好ましい水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、モノヒドロキシアダマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、モノヒドロキシジアマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、シアノ基で置換されたノルボルニル基等が挙げられる。
上記原子団を有する繰り返し単位としては、下記一般式(CAIIa)〜(CAIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
一般式(CAIIa)〜(CAIId)に於いて、
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(CAIIa)に於いて、更に好ましくは、R2c〜R4cの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
(cy3)、(cy4)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
(cy1)〜(cy4)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
樹脂(Aa)は(cy1)〜(cy4)で表される繰り返し単位を複数有していてもよい。
樹脂(Aa)が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有率は、樹脂(Aa)の分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
また、珪素原子を含む繰り返し単位は、樹脂(Aa)の全繰り返し単位に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
樹脂(Aa)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000で、より好ましくは1,000〜50,000、更により好ましくは2,000〜15,000である。
樹脂(Aa)は、後述する樹脂(Ab)と同様に合成、精製することができ、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量%、0〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のないレジストが得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜3の範囲が好ましく、より好ましくは1〜2、さらに好ましくは1〜1.8、最も好ましくは1〜1.5の範囲である。
樹脂(Aa)は、各種市販品を利用することもできるし、後述する樹脂(Ab)と同様に、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。
本発明の組成物において、2種以上の樹脂(Aa)を使用してもよい。また、表面に偏在化し得る他のポリマーとブレンドして用いてもよく、そのようなポリマーの例として、特開2010−32994号公報、特開2010−250105号公報に記載の液浸露光用に開発されたポリマー等が挙げられる。
樹脂(Aa)の具体例を以下に示す。
樹脂(Aa)の組成物中の含有率は、感活性光線又は感放射線樹脂組成物の全固形分を基準として、0.01〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜10質量%であり、更に好ましくは0.01〜5質量%である。
〔樹脂(Ab)〕
樹脂(Ab)は、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂である。
樹脂(Ab)は好ましくはアルカリ現像液に不溶又は難溶性である。
樹脂(Ab)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
酸分解性基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基等のアルカリ可溶性基の水素原子が、酸の作用により脱離する基で保護された基を挙げることができる。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。R01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
樹脂(Ab)は、一態様において、酸分解性基を有する繰り返し単位として、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
一般式(AI)に於いて、
Xa1は、水素原子、メチル基又は−CH2−R9で表される基を表す。R9は、水酸基または1価の有機基を表し、例えば、炭素数5以下のアルキル基、アシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。Xa1は好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を
形成してもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基、−(CH2)3−基がより好ましい。
Rx1〜Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx1〜Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1がメチル基またはエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
樹脂(Ab)は、他の態様において、下記一般式(A1)及び(A2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を含有することが好ましい。
一般式(A1)中、
nは1〜5の整数を表し、mは1≦m+n≦5なる関係を満足する0〜4の整数を表す。
S1は、置換基(水素原子を除く)を表し、mが2以上の場合には、複数のS1は互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
A1は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、少なくとも1つのA1は酸の作用により脱離する基を表す。n≧2の場合には、複数のA1は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
一般式(A2)中、
Xは、水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基又はアラルキル基を表す。
A2は、酸の作用により脱離する基を表す。
まず、一般式(A1)により表される繰り返し単位について説明する。
nは、上述したように、1〜5の整数を表し、好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
mは、上述したように、1≦m+n≦5なる関係を満足する0〜4の整数を表し、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
S1は、上述したように、置換基(水素原子を除く)を表す。この置換基としては、例えば、後述する一般式(A)におけるS1について説明する置換基と同様のものが挙げられる。
A1は、上述したように、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表し、少なくとも1つのA1は酸の作用により脱離する基である。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、t−ブチル基及びt−アミル基等の3級アルキル基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、並びに、式−C(L1)(L2)−O−Z2により表されるアセタール基が挙げられる。
以下、式−C(L1)(L2)−O−Z2により表されるアセタール基について説明する。式中、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。Z2は、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。なお、Z2とL1とは、互いに結合して、5員又は6員環を形成していてもよい。
アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
直鎖アルキル基としては、炭素数が1〜30のものが好ましく、炭素数が1〜20のものがより好ましい。このような直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられる。
分岐鎖アルキル基としては、炭素数が3〜30のものが好ましく、炭素数が3〜20のものがより好ましい。このような分岐鎖アルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、tヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、iノニル基及びt−デシル基が挙げられる。
これらアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、水酸基;フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;アミド基;スルホンアミド基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基等のアシル基;アセトキシ基及びブチリルオキシ基等のアシロキシ基、並びにカルボキシ基が挙げられる。
アルキル基としては、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシルエチル基、フェニルメチル基又はフェニルエチル基が特に好ましい。
シクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。後者の場合、シクロアルキル基は、有橋式であってもよい。即ち、この場合、シクロアルキル基は、橋かけ構造を有していてもよい。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
単環型のシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のものが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。
多環型のシクロアルキル基としては、例えば、ビシクロ、トリシクロ又はテトラシクロ構造を有する基が挙げられる。多環型のシクロアルキル基としては、炭素数が6〜20のものが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、 α−ピナニル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。
L1、L2及びZ2におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基及びフェネチル基等の炭素数が7〜15のものが挙げられる。
これらアラルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、好ましくは、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基が挙げられる。置換基を有するアラルキル基としては、例えば、アルコキシベンジル基、ヒドロキシベンジル基及びフェニルチオフェネチル基が挙げられる。なお、これらアラルキル基が有し得る置換基の炭素数は、好ましくは12以下である。
Z2とL1とが互いに結合して形成し得る5員又は6員環としては、例えば、テトラヒドロピラン環及びテトラヒドロフラン環が挙げられる。これらのうち、テトラヒドロピラン環が特に好ましい。
Z
2は、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。これにより、本発明の効果が一層顕著になる。
以下に、一般式(A1)により表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
次に、一般式(A2)により表される繰り返し単位について説明する。
Xは、上述したように、水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基又はアラルキル基を表す。
Xとしてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、直鎖、分岐のいずれでもよい。直鎖アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、さらに好ましくは1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。分岐アルキル基としては、好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは3〜20であり、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、i−ノニル基、t−デシル基等が挙げられる。
Xとしてのアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数1〜8の上記アルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
Xとしてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Xとしてのアシル基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数2〜8個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
Xとしてのアシロキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜8のアシロキシ基であり、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチルリオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
Xとしてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよく、有橋式であってもよい。例えば、シクロアルキル基は橋かけ構造を有していてもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
Xとしてのアリール基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14であり、例えば、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
Xとしてのアルキルオキシカルボニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基を挙げることができる。
Xとしてのアルキルカルボニルオキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基を挙げることができる。
Xとしてのアラルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜16のアラルキル基である、例えば、ベンジル基を挙げることができる。
Xとしてのアルキル基、アルコキシ基、アシル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アラルキル基が更に有していてもよい置換基としては、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基又はアラルキル基などが挙げられる。
A2は、上述したように、酸の作用により脱離する基を表す。即ち、一般式(A2)により表される繰り返し単位は、酸分解性基として、「−COOA2」により表される基を備えている。A2としては、例えば、先に一般式(A1)におけるA1について説明したのと同様のものが挙げられる。
A2は炭化水素基(好ましくは炭素数20以下、より好ましくは4〜12)であることが好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、脂環構造を有する炭化水素基(例えば、脂環基自体、及び、アルキル基に脂環基が置換した基)がより好ましい。
A2は、3級のアルキル基又は3級のシクロアルキル基であることが好ましい。
脂環構造は、単環でも、多環でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環構造を有する炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に脂環構造の例を示す。
本発明においては、上記脂環構造の好ましいものとしては、一価の脂環基の表記として、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
これらにおける脂環が有してもよい置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アルキル基、アルコキシ基は、更なる置換基を有していてもよい。アルキル基、アルコキシ基の更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。
脂環構造を有する酸分解性基としては、下記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される基が好ましい。
上記一般式(pI)〜(pV)中、
R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(pI)〜(pV)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
R11〜R25における脂環式炭化水素基或いはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、先に脂環構造として述べたものが挙げられる。
一般式(A2)で表される繰り返し単位は、一形態において、下式で表される繰り返し単位である場合が好ましい。
また、一般式(A2)で表される繰り返し単位は、他の形態において、以下に示す一般式(A3)で表される繰り返し単位である場合も好ましい。
一般式(A3)中、
ARは、アリール基を表す。
Rnは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。RnとARとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。
Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキルオキシカルボニル基を表す。
一般式(A3)により表される繰り返し単位について詳細に説明する。
ARは、上述したようにアリール基を表す。ARのアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又は、フルオレン基等の炭素数6〜20のものが好ましく、炭素数6〜15のものがより好ましい。
ARがナフチル基、アントリル基又はフルオレン基である場合、Rnが結合している炭素原子とARとの結合位置には、特に制限はない。例えば、ARがナフチル基である場合、この炭素原子は、ナフチル基のα位に結合していてもよく、β位に結合していてもよい。或いは、ARがアントリル基である場合、この炭素原子は、アントリル基の1位に結合していてもよく、2位に結合していてもよく、9位に結合していてもよい。
ARとしてのアリール基は、1以上の置換基を有していてもよい。このような置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及びドデシル基等の炭素数が1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基、これらアルキル基部分を含んだアルコキシ基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、これらシクロアルキル基部分を含んだシクロアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、チオフェンカルボニルオキシ基、チオフェンメチルカルボニルオキシ基、及びピロリドン残基等のヘテロ環残基が挙げられる。この置換基としては、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、これらアルキル基部分を含んだアルコキシ基が好ましく、パラメチル基又はパラメトキシ基がより好ましい。
ARとしてのアリール基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基のうちの少なくとも2つが互いに結合して環を形成しても良い。環は、5〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。また、この環は、環員に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。
更に、この環は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、Rnが有していてもよい更なる置換基について後述するものと同様のものが挙げられる。
また、一般式(A3)により表される繰り返し単位は、ラフネス性能の観点から、2個以上の芳香環を含有ことが好ましい。この繰り返し単位が有する芳香環の個数は、通常、5個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。
また、一般式(A3)により表される繰り返し単位において、ラフネス性能の観点から、ARは2個以上の芳香環を含有することがより好ましく、ARがナフチル基又はビフェニル基であることが更に好ましい。ARが有する芳香環の個数は、通常、5個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。
Rnは、上述したように、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Rnのアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。このアルキル基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基及びドデシル基等の炭素数が1〜20のものが挙げられる。Rnのアルキル基は、炭素数1〜5のものが好ましく、炭素数1〜3のものがより好ましい。
Rnのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数が3〜15のものが挙げられる。
Rnのアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基及びアントリル基等の炭素数が6〜14のものが好ましい。
Rnとしてのアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の各々は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、チオフェンカルボニルオキシ基、チオフェンメチルカルボニルオキシ基、及びピロリドン残基等のヘテロ環残基が挙げられる。中でも、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基及びスルホニルアミノ基が特に好ましい。
Rは、上述したように、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキルオキシカルボニル基を表す。
Rのアルキル基及びシクロアルキル基としては、例えば、先にRnについて説明したのと同様のものが挙げられる。これらアルキル基及びシクロアルキル基の各々は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、先にRnについて説明したのと同様のものが挙げられる。
Rが置換基を有するアルキル基又はシクロアルキル基である場合、特に好ましいRとしては、例えば、トリフルオロメチル基、アルキルオキシカルボニルメチル基、アルキルカルボニルオキシメチル基、ヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基が挙げられる。
Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。中でも、フッ素原子が特に好ましい。
Rのアルキルオキシカルボニル基に含まれるアルキル基部分としては、例えば、先にRのアルキル基として挙げた構成を採用することができる。
RnとARとが互いに結合して非芳香族環を形成することが好ましく、これにより、特に、ラフネス性能をより向上させることができる。
RnとARとは互いに結合して形成しても良い非芳香族環としては、5〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
非芳香族環は、脂肪族環であっても、環員として酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。
非芳香族環は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Rnが有していてもよい更なる置換基について先に説明したのと同様のものが挙げられる。
以下に、一般式(A2)により表される繰り返し単位、又は、該繰り返し単位に対応したモノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
以下に、一般式(A3)により表される繰り返し単位の構造の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
一般式(A2)により表される繰り返し単位は、一形態において、t−ブチルメタクリレート又はエチルシクロペンチルメタクリレートの繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(A2)で表される繰り返し単位に対応するモノマーは、THF、アセトン、塩化メチレン等の溶媒中、(メタ)アクリル酸クロリドとアルコール化合物を、トリエチルアミン、ピリジン、DBU等の塩基性触媒存在下でエステル化させることにより合成することができる。なお、市販のものを用いてもよい。
樹脂(Ab)は、更に、下記一般式(A5)で表される繰り返し単位を含有していてもよい。
式(A5)中、
Xは、水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、又はアラルキル基を表し、一般式(A2b)に於けるXと同様のものである。
A4は、酸の作用により脱離しない炭化水素基を表す。
一般式(A5)に於ける、A4の酸の作用により脱離しない炭化水素基としては、上記の酸分解性基以外の炭化水素基が挙げられ、例えば、酸の作用により脱離しないアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、酸の作用により脱離しないシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、酸の作用により脱離しないアリール基(好ましくは炭素数6〜15)等を挙げることができる。
A4の酸の作用により脱離しない炭化水素基は、更に、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等で置換されていてもよい。
樹脂(Ab)は、更に一般式(A6)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
一般式(A6)中、
R2は、水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のペルフルオロ基を表す。
R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基又はアシル基を表す。
qは、0〜4の整数を表す。
Arは、q+2価の芳香環を表す。
Wは、酸の作用により分解しない基又は水素原子を表す。
Arにより表される芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
Wは酸の作用により分解しない基(酸安定基ともいう)を表すが、上記の酸分解性基以外の基が挙げられ、具体的にはハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルキルアミド基、アリールアミドメチル基、アリールアミド基等が挙げられる。酸安定基としては、好ましくはアシル基、アルキルアミド基であり、より好ましくはアシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基である。
Wの酸安定基において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。Wはベンゼン環上のどの位置にあってもよいが、好ましくはスチレン骨格のメタ位かパラ位であり、特に好ましくはパラ位である。
以下に、一般式(A6)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるがこれらに限定するものではない。
樹脂(Ab)は、更に酸の作用により分解しない(メタ)アクリル酸誘導体からなる繰り返し単位を有することも好ましい。以下に具体例を挙げるがこれに限定するものではない。
樹脂(Ab)における酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、5〜95モル%が好ましく、より好ましくは10〜60モル%であり、特に好ましくは15〜50モル%である。
樹脂(Ab)における一般式(A1)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、0〜90モル%が好ましく、より好ましくは10〜70モル%であり、特に好ましくは20〜50モル%である。
樹脂(Ab)における一般式(A2)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、0〜90モル%が好ましく、より好ましくは5〜75モル%であり、特に好ましくは10〜60モル%である。
樹脂(Ab)における一般式(A3)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、0〜90モル%が好ましく、より好ましくは5〜75モル%であり、特に好ましくは10〜60モル%である。
樹脂(Ab)における一般式(A5)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、0〜50モル%が好ましく、より好ましくは0〜40モル%であり、特に好ましくは0〜30モル%である。
樹脂(Ab)は、更に一般式(A6)で表される繰返し単位を有していてもよく、膜質向上、未露光部の膜減り抑制等の観点から好ましい。一般式(A6)で表される繰り返し単位の含有率は、それぞれの全繰り返し単位中、0〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは0〜40モル%であり、特に好ましくは0〜30モル%である。
また、樹脂(Ab)は、アルカリ現像液に対する良好な現像性を維持するために、アルカリ可溶性基、例えばフェノール性水酸基、カルボキシル基が導入され得るように適切な他の重合性モノマーが共重合されていてもよいし、膜質向上のためにアルキルアクリレートやアルキルメタクリレートのような疎水性の他の重合性モノマーが共重合されてもよい。
一般式(A2)で表される繰り返し単位に対応するモノマーは、THF、アセトン、塩化メチレン等の溶媒中、(メタ)アクリル酸クロリドとアルコール化合物を、トリエチルアミン、ピリジン、DBU等の塩基性触媒存在下でエステル化させることにより合成することができる。なお、市販のものを用いてもよい。
一般式(A1)で表される繰り返し単位に対応するモノマーは、THF、塩化メチレン等の溶媒中、ヒドロキシ置換スチレンモノマーとビニルエーテル化合物を、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩等の酸性触媒存在下でアセタール化させること、または、二炭酸t−ブチルを用いてトリエチルアミン、ピリジン、DBU等の塩基性触媒存在下でt−Boc保護化する事により合成することができる。なお、市販のものを用いてもよい。
樹脂(Ab)は、一態様において、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
式中、nは1〜5の整数を表し、mは1≦m+n≦5なる関係を満足する0〜4の整数を表す。nは、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。mは、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
S1は置換基を表す。mが2以上の場合、複数のS1は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
S1により表される置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基が挙げられる。
たとえばアルキル基、シクロアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などの炭素数1〜20個の直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基が好ましい。これらの基は更に置換基を有していても良い。
更に有し得る好ましい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、チオフェンカルボニルオキシ基、チオフェンメチルカルボニルオキシ基、ピロリドン残基等のヘテロ環残基などが挙げられ、好ましくは、炭素数12以下の置換基である。
置換基を有するアルキル基として、例えばシクロヘキシルエチル基、アルキルカルボニルオキシメチル基、アルキルカルボニルオキシエチル基、シクロアルキルカルボニルオキシメチル基、シクロアルキルカルボニルオキシエチル基、アリールカルボニルオキシエチル基、アラルキルカルボニルオキシエチル基、アルキルオキシメチル基、シクロアルキルオキシメチル基、アリールオキシメチル基、アラルキルオキシメチル基、アルキルオキシエチル基、シクロアルキルオキシエチル基、アリールオキシエチル基、アラルキルオキシエチル基、アルキルチオメチル基、シクロアルキルチオメチル基、アリールチオメチル基、アラルキルチオメチル基、アルキルチオエチル基、シクロアルキルチオエチル基、アリールチオエチル基、アラルキルチオエチル基等が挙げられる。
これらの基におけるアルキル基、シクロアルキル基は特に限定されず、更に前述のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有してもよい。
上記アルキルカルボニルオキシエチル基、シクロアルキルカルボニルオキシエチル基の例としては、シクロヘキシルカルボニルオキシエチル基、t−ブチルシクロヘキシルカルボニルオキシエチル基、n−ブチルシクロヘキシルカルボニルオキシエチル基等を挙げることができる。
アリール基も特に限定されないが、一般的にフェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の炭素数6〜14のものが挙げられ、更に前述のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有してもよい。
上記アリールオキシエチル基の例としては、フェニルオキシエチル基、シクロヘキシルフェニルオキシエチル基等を挙げることができる。これらの基はさらに置換基を有していても良い。
アラルキルも特に限定されないが、ベンジル基などを挙げることができる。
上記アラルキルカルボニルオキシエチル基の例としては、ベンジルカルボニルオキシエチル基等を挙げることができる。これらの基はさらに置換基を有していても良い。
一般式(A)により表される繰り返し単位としては、例えば、以下のものが挙げられる。
樹脂(Ab)は、一形態において、一般式(A)で表される繰り返し単位として、少なくとも下式で表される繰り返し単位を含有する。
樹脂(Ab)における、一般式(A)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(Ab)中の全繰り返し単位に対し、0〜90mol%が好ましく、より好ましくは5〜80mol%であり、更に好ましくは10〜70mol%であり、特に好ましくは20〜60mol%である。
樹脂(Ab)においては、下記一般式で表される繰り返し単位を有することも好ましい。下記一般式中、jは0〜3の整数を表し、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
これら一般式により表される繰り返し単位として、以下の具体例が挙げられる。
樹脂(Ab)は、一態様において、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する構造部位を備えた繰り返し単位(B)(以下において、「酸発生繰り返し単位(B)」又は「繰り返し単位(B)」という)を含んでいてもよい。
この構造部位は、例えば、活性光線又は放射線の照射により分解することにより、繰り返し単位(B)中に酸アニオンを生じさせる構造部位であってもよいし、酸アニオンを放出して繰り返し単位(B)中にカチオン構造を生じさせる構造部位であってもよい。
また、この構造部位は、例えば、スルホニウム塩構造又はヨードニウム塩構造を備えたイオン性構造部位であることが好ましい。
この構造部位は、例えば、以下に説明する一般式(B1)、(B2)及び(B3)中のAにより表される構造部位と同様の構造部位であってもよい。
繰り返し単位(B)は、一態様において、下記一般式(B1)、(B2)及び(B3)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。これらのうち、下記一般式(B1)又は(B3)により表される繰り返し単位がより好ましく、下記一般式(B1)により表される繰り返し単位が特に好ましい。
一般式(B1)、(B2)及び(B3)中、
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸アニオンを発生する構造部位を表す。
R04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
R06は、シアノ基、カルボキシ基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R25は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。R26及びR27は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。R26とR27とは、互いに結合して、窒素原子と共に環を形成していてもよい。
X1、X2及びX3は、各々独立に、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO2−、−CO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。R33は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
R04、R05及びR07〜R09のアルキル基としては、炭素数が20以下のものが好ましく、炭素数が8以下のものがより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基が挙げられる。なお、これらアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
R04、R05及びR07〜R09のシクロアルキル基は、単環型であっても、多環型であってもよい。このシクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のものが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
R04、R05及びR07〜R09のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、フッ素原子が特に好ましい。
R04、R05及びR07〜R09のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、例えば、先にR04、R05及びR07〜R09のアルキル基として挙げたものが好ましい。
R25〜R27及びR33のアルキル基としては、例えば、先にR04、R05及びR07〜R09のアルキル基として挙げたものが好ましい。
R25〜R27及びR33のシクロアルキル基としては、例えば、先にR04、R05及びR07〜R09のシクロアルキル基として挙げたものが好ましい。
R25〜R27及びR33のアルケニル基としては、炭素数が2〜6のものが好ましい。このようなアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基及びヘキセニル基が挙げられる。
R25〜R27及びR33のシクロアルケニル基としては、炭素数が3〜6のものが好ましい。このようなシクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基が挙げられる。
R25〜R27及びR33のアリール基は、単環の芳香族基であってもよく、多環の芳香族基であってもよい。このアリール基としては、炭素数が6〜14のものが好ましい。このアリール基は、置換基を更に有していてもよい。また、アリール基同士が互いに結合して、複環を形成していてもよい。R25〜R27及びR33のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基及びナフチル基が挙げられる。
R25〜R27及びR33のアラルキル基としては、炭素数が7〜15のものが好ましい。このアラルキル基は、置換基を更に有していてもよい。R25〜R27及びR33のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基及びクミル基が挙げられる。
R26とR27とが互いに結合して窒素原子と共に形成する環としては、5〜8員環が好ましく、具体的には、例えば、ピロリジン、ピペリジン及びピペラジンが挙げられる。
X1〜X3のアリーレン基としては、炭素数が6〜14のものが好ましい。このようなアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基及びナフチレン基が挙げられる。これらアリーレン基は、置換基を更に有していてもよい。
X1〜X3のアルキレン基としては、炭素数が1〜8のものが好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基が挙げられる。これらアルキレン基は、置換基を更に有していてもよい。
X1〜X3のシクロアルキレン基としては、炭素数が5〜8のものが好ましい。このようなシクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンチレン基及びシクロヘキシレン基が挙げられる。これらシクロアルキレン基は、置換基を更に有していてもよい。
上記一般式(B1)〜(B3)における各基が有し得る好ましい置換基としては、例えば、水酸基;ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素);ニトロ基;シアノ基;アミド基;スルホンアミド基;先にR04、R05及びR07〜R09として挙げたアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、及びブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基等のアシル基;アセトキシ基及びブチリルオキシ基等のアシロキシ基、並びにカルボキシ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸アニオンを発生する構造部位を表し、具体的には、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、及びマイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物が有する構造部位が挙げられる。
また、Aとしては、スルホニウム塩構造又はヨードニウム塩構造を備えたイオン性構造部位がより好ましい。より具体的には、Aとして、下記一般式(ZI)又は(ZII)で表される基が好ましい。
一般式(ZI)中、
R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的には1〜30であり、好ましくは1〜20である。また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
Z−は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを表す。Z−は、非求核性アニオンであることが好ましい。非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンが挙げられる。
なお、非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンを意味している。非求核性アニオンを用いると、分子内求核反応による経時分解を抑制することができる。これにより樹脂及び組成物の経時安定性を向上させることが可能となる。
R201、R202及びR203の有機基としては、例えば、後述する(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)で表される基における対応する基が挙げられる。
更に好ましい(ZI)で表される基として、以下に説明する(ZI−1)基、(ZI−2)基、(ZI−3)基及び(ZI−4)基を挙げることができる。
(ZI−1)基は、上記一般式(ZI)におけるR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウムをカチオンとする基である。
R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
(ZI−1)基としては、例えば、トリアリールスルホニウム、ジアリールアルキルスルホニウム、アリールジアルキルスルホニウム、ジアリールシクロアルキルスルホニウム、及びアリールジシクロアルキルスルホニウムのそれぞれに相当する基が挙げられる。
アリールスルホニウムにおけるアリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子を含んだ複素環構造を有していてもよい。この複素環構造としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン及びベンゾチオフェンが挙げられる。アリールスルホニウムが2つ以上のアリール基を有する場合、これらアリール基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
アリールスルホニウムが必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましい。このようなアルキル基又はシクロアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
R201〜R203のアリール基、アルキル基又はシクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基又はフェニルチオ基を置換基として有してもよい。
好ましい置換基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、及び、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基が挙げられる。より好ましい置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、及び、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。置換基は、3つのR201〜R203のうちの何れか1つに置換していてもよいし、これらの2つ以上に置換していてもよい。また、R201〜R203がフェニル基の場合、これら置換基は、フェニル基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、(ZI−2)基について説明する。
(ZI−2)基は、一般式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す基である。ここで、芳香環には、ヘテロ原子を含んだ複素環も含まれる。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、炭素数が一般的には1〜30であり、好ましくは1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基であり、より好ましくは、直鎖若しくは分岐鎖の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基又はアルコキシカルボニルメチル基であり、更に好ましくは、直鎖又は分岐鎖の2−オキソアルキル基である。
R201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基若しくはペンチル基)、及び、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基若しくはノルボニル基)が挙げられる。このアルキル基としては、より好ましくは、2−オキソアルキル基及びアルコキシカルボニルメチル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基が挙げられる。
2−オキソアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。2−オキソアルキル基としては、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基が挙げられる。2−オキソシクロアルキル基としては、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基が挙げられる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1〜5のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基又はペントキシ基)が挙げられる。
R201〜R203は、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
次いで、(ZI−3)基について説明する。
(ZI−3)基とは、以下の一般式(ZI−3)で表される基であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する基である。
一般式(ZI−3)中、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
R6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
R1c〜R5cのうちの2以上、R6c及びR7c、並びに、Rx及びRyは、それぞれ、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合及び/又はアミド結合を含んでいてもよい。これらが互いに結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基が挙げられる。
Zc−は、非求核性アニオンを表し、例えば、一般式(ZI)におけるZ−と同様のものが挙げられる。
一般式(ZI−3)のカチオン部の具体的構造としては、特開2004−233661号公報の段落0047及び0048、並びに、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている酸発生剤のカチオン部の構造を参照されたい。
続いて、(ZI−4)基について説明する。
(ZI−4)基とは、以下の一般式(ZI−4)により表される基である。この基は、アウトガスの抑制に有効である。
一般式(ZI−4)中、R1〜R13は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。
R1〜R13のうち少なくとも1つは、アルコール性水酸基を含む置換基であることが好ましい。なお、ここで「アルコール性水酸基」とは、アルキル基の炭素原子に結合した水酸基を意味している。
Zは、単結合又は2価の連結基である。
Zc −は、非求核性アニオンを表し、例えば、一般式(ZI)におけるZ−と同様のものが挙げられる。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、R1〜R13は−(WY)により表される基であることが好ましい。ここで、Yは水酸基で置換されたアルキル基であり、Wは単結合又は2価の連結基である。
Yにより表されるアルキル基の好ましい例としては、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。Yは、特に好ましくは、−CH2CH2OHにより表される構造を含んでいる。
Wにより表される2価の連結基としては、特に制限は無いが、好ましくは単結合、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた2価の基であり、更に好ましくは、単結合、アシルオキシ基、アルキルスルホニル基、アシル基又はアルコキシカルボニル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた2価の基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、含まれる炭素数は、好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜6であり、特に好ましくは2〜4である。
R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基は、アルコール性水酸基を2つ以上有していてもよい。R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基の有するアルコール性水酸基の数は、1〜6であり、好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1である。
(ZI−4)基が含んでいるアルコール性水酸基の数は、R1〜R13すべて合わせて好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜3である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基〔−B(OH)2〕、ホスファト基〔−OPO(OH)2〕、スルファト基(−OSO3H)、並びに、他の公知の置換基が挙げられる。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、特に好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基である。
R1〜R13のうちの隣接する2つが互いに結合して、環構造を形成してもよい。この環構造には、芳香族及び非芳香族の炭化水素環並びに複素環が含まれる。これら環構造は、更に組み合わされて、縮合環を形成していてもよい。
(ZI−4)基は、好ましくは、R1〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含んだ構造を有しており、更に好ましくは、R9〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含んだ構造を有している。
Zは、上述したように、単結合又は2価の連結基を表している。この2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ基、ジスルフィド基、アシル基、アルキルスルホニル基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基及びアミノスルホニルアミノ基が挙げられる。
この2価の連結基は、置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば、先にR1〜R13について列挙したのと同様のものが挙げられる。
Zは、好ましくは、単結合、エーテル結合又はチオエーテル結合であり、特に好ましくは、単結合である。
次に、一般式(ZII)について説明する。
一般式(ZII)中、R204及びR205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R204及びR205のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基の具体例及び好ましい態様等は、前述の化合物(ZI−1)におけるR201〜R203について説明したものと同様である。
R204及びR205のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI−1)におけるR201〜R203について説明したものと同様のものが挙げられる。
Z−は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましく、例えば、一般式(ZI)におけるZ−と同様のものが挙げられ
る。
Aの好ましい例としては、下記一般式(ZCI)又は(ZCII)で表される基も挙げられる。
上記一般式(ZCI)及び(ZCII)中、
R301及びR302は、各々独立に、有機基を表す。この有機基の炭素数は、一般的には1〜30であり、好ましくは1〜20である。R301及びR302は、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。この環構造は、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合及びカルボニル基の少なくとも1つを含んでいてもよい。R301及びR302とが互いに結合して形成し得る基としては、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
R301及びR302の有機基としては、例えば、一般式(ZI)におけるR201〜R203の例として挙げたアリール基、アルキル基及びシクロアルキル基が挙げられる。
Mは、プロトンが付加されることにより酸を形成する原子団を表す。より具体的には、後述する一般式AN1〜AN3の何れかにより表される構造が挙げられる。これらのうち、一般式AN1により表される構造が特に好ましい。
R303は有機基を表す。R303としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。R303の有機基として具体的には、例えば前記一般式(ZII)におけるR204、R205の具体例として挙げたアリール基、アルキル基、シクロアルキル基等を挙げることができる。
また、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する構造部位としては、例えば、下記光酸発生剤が有しているスルホン酸前駆体となる構造部位を挙げることができる。この光酸発生剤としては、例えば、以下の(1)〜(3)の化合物が挙げられる。
(1)M.TUNOOKAetal.,PolymerPreprintsJapan,35(8);G.Berneretal.,J.Rad.Curing,13(4);W.J.Mijsetal.,CoatingTechnol.,55
(697),45(1983);H.Adachietal.,PolymerPreprints,Japan,37(3);欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、及び特開平4−365048号等の各公報に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物。
(2)特開昭61−166544号公報等に記載のジスルホン化合物。
(3)V.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980);A.Abadetal,TetrahedronLett.,(47)4555(1971);D.H.R.Bartonetal.,J.Chem.Soc.,(C),329(1970);米国特許第3,779,778号;及び欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物。
繰り返し単位(B)は、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンへと変換される構造部位を備えていることが好ましい。例えば、上記一般式(B1)〜(B3)におけるAは、活性光線又は放射線の照射により酸アニオンへと変換される構造部位であることが好ましい。
即ち、繰り返し単位(B)は、活性光線又は放射線の照射により樹脂の側鎖に酸アニオンを生じる構造であることがより好ましい。このような構造を採用すると、発生した酸アニオンの拡散が抑制され、解像度及びラフネス特性等を更に向上させることが可能となる。
一般式(B1)における部位−X1−A、一般式(B2)における部位−X2−A、及び一般式(B3)における部位−X3−Aの各々は、下記一般式(L1)、(L2)及び(L3)の何れかにより表されることが好ましい。
−X11−L11−X12−Ar1−X13−L12−Z1(L1)
−Ar2−X21−L21−X22−L22−Z2(L2)
−X31−L31−X32−L32−Z3(L3)
まず、一般式(L1)により表される部位について説明する。
X11は、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、又は、これらを組み合わせた基を表す。
X12及びX13は、各々独立に、単結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、又は、これらを組み合わせた基を表す。
Rのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、Rのアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。このアルキル基は、炭素数が20以下であることが好ましく、炭素数が8以下であることがより好ましく、炭素数が3以下であることが更に好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。Rとしては、水素原子、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
なお、2価の窒素含有非芳香族複素環基とは、少なくとも1個の窒素原子を有する、好ましくは3〜8員の非芳香族複素環基を意味する。
X11は、−O−、−CO−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、又は、これらを組み合わせた基であることがより好ましく、−COO−又は−CONR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)であることが特に好ましい。
L11は、アルキレン基、アルケニレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、又はこれらの2以上を組み合わせた基を表す。上記の組み合わせた基において、組み合わされる2以上の基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、これら基は、O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、2価の芳香環基、又は、これらを組み合わせた基を介して連結されていてもよい。
L11のアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキレン基としては、炭素数が1〜8のものが好ましく、炭素数1〜6のものがより好ましく、炭素数が1〜4のものが更に好ましい。
L11のアルケニレン基としては、例えば、上記のアルキレン基の任意の位置に二重結合を備えた基が挙げられる。
L11としての2価の脂肪族炭化水素環基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。この2価の脂肪族炭化水素環基としては、炭素数が5〜12のものが好ましく、炭素数が6〜10のものがより好ましい。
連結基としての2価の芳香環基は、アリーレン基であってもよく、ヘテロアリーレン基であってもよい。この芳香環基は、炭素数が6〜14であることが好ましい。この芳香環基は、置換基を更に有していてもよい。
また、連結基としての−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基は、例えば、上述したX11における各々と同様である。
L11としては、アルキレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、又は、−OCO−、−O−若しくは−CONH−を介してアルキレン基と2価の脂肪族炭化水素環基とを組み合わせた基(例えば、−アルキレン基−O−アルキレン基−、−アルキレン基−OCO−アルキレン基−若しくは−2価の脂肪族炭化水素環基−O−アルキレン基−、−アルキレン基−CONH−アルキレン基−)が特に好ましい。
X12及びX13における−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、上述したX11における各々と同様の具体例が挙げられ、好ましい例も同様である。
X12としては、単結合、−S−、−O−、−CO−、−SO2−、又はこれらを組み合わせた基がより好ましく、単結合、−S−、−OCO−又は−OSO2−が特に好ましい。
X13としては、−O−、−CO−、−SO2−、又は、これらを組み合わせた基がより好ましく、−OSO2−が特に好ましい。
Ar1は、2価の芳香環基を表す。2価の芳香環基は、アリーレン基であってもよく、ヘテロアリーレン基であってもよい。この2価の芳香環基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基及びアリール基が挙げられる。
Ar1としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリーレン基、又は、炭素数6〜18のアリーレン基と炭素数1〜4のアルキレンよを組み合わせたアラルキレン基がより好ましく、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、又は、フェニル基で置換されたフェニレン基が特に好ましい。
L12は、アルキレン基、アルケニレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、2価の芳香環基、又はこれらの2以上を組み合わせた基を表し、これらの基は、水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、フッ化アルキル基、ニトロ基、及びシアノ基から選択される置換基で置換されている。上記の組み合わせた基において、組み合わされる2以上の基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、これら基は、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、2価の芳香環基、又は、これらを組み合わせた基を介して連結されていてもよい。
L12としては、水素原子の一部又は全部が、フッ素原子若しくはフッ化アルキル基(より好ましくはペルフルオロアルキル基)で置換された、アルキレン基、2価の芳香環基、又は、これらを組み合わせた基がより好ましく、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された、アルキレン基又は2価の芳香環基が特に好ましい。L12としては、水素原子数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキレン基又は2価の芳香環基が特に好ましい。
L12のアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキレン基は、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがより好ましい。
L12のアルケニレン基としては、例えば、上記アルキレン基の任意の位置に二重結合を備えた基が挙げられる。
L12の2価の脂肪族炭化水素環基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。この2価の脂肪族炭化水素環基としては、炭素数が3〜17のものが好ましい。
L12の2価の芳香環基としては、例えば、先にL11における連結基として説明したのと同様のものが挙げられる。
また、L12における連結基の−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、上述したX11における各々と同様の具体例が挙げられ、好ましい例も同様である。
Z1は、活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸基となる部位を表し、具体的には、例えば、上記式(ZI)により表される構造が挙げられる。
次に、一般式(L2)により表される部位について説明する。
Ar2は、2価の芳香環基を表す。2価の芳香環基は、アリーレン基であってもよく、ヘテロアリーレン基であってもよい。これら2価の芳香環基は、炭素数が6〜18であることが好ましい。これら2価の芳香環基は、置換基を更に有していてもよい。
X21は、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、又は、これらを組み合わせた基を表す。
X21における−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、例えば、先にX11について説明したのと同様のものが挙げられる。
X21としては、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、又は、これらを組み合わせた基がより好ましく、−O−、−OCO−又は−OSO2−が特に好ましい。
X22は、単結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、又は、これらを組み合わせた基を表す。X22における−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、例えば、先にX11について説明したのと同様のものが挙げられる。
X22としては、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、又は、これらを組み合わせた基がより好ましく、−O−、−OCO−又は−OSO2−が特に好ましい。
L21は、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、2価の芳香環基、又はこれらの2以上を組み合わせた基を表す。上記の組み合わせた基において、組み合わされる2以上の基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、これら基は、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、2価の芳香環基、又は、これらを組み合わせた基を介して連結されていてもよい。
L21のアルキレン基、アルケニレン基、及び2価の脂肪族炭化水素環基としては、例えば、先にL11における各々について説明したのと同様のものが挙げられる。
L21の2価の芳香環基は、アリーレン基であってもよく、ヘテロアリーレン基であってもよい。この2価の芳香環基は、炭素数が6〜14であることが好ましい。
L21における−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、例えば、先にX11について説明したのと同様のものが挙げられる。
L21としては、単結合、アルキレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、2価の芳香環基、これらの2以上を組み合わせた基(例えば、−アルキレン基−2価の芳香環基−若しくは−2価の脂肪族炭化水素環基−アルキレン基−)、又は、−OCO−、−COO−、−O−及び−S−等の連結基を介してこれらの2以上を組み合わせた基(例えば、−アルキレン基−OCO−2価の芳香環基−、−アルキレン基−S−2価の芳香環基−、若しくは、−アルキレン基−O−アルキレン基−2価の芳香環基−)が特に好ましい。
L22は、アルキレン基、アルケニレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、2価の芳香環基、又はこれらの2以上を組み合わせた基を表し、これらの基は、水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、フッ化アルキル基、ニトロ基、及びシアノ基から選択される置換基で置換されていてもよい。上記の組み合わせた基において、組み合わされる2以上の基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、これら基は、−O−、S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、2価の芳香環基、又は、これらを組み合わせた基を介して連結されていてもよい。
L22としては、水素原子の一部又は全部が、フッ素原子又はフッ化アルキル基(より好ましくはペルフルオロアルキル基)で置換された、アルキレン基、2価の芳香環基、又はこれらを組み合わせた基がより好ましく、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された、アルキレン基又は2価の芳香環基が特に好ましい。
L22により表わされるアルキレン基、アルケニレン基、基脂肪族炭化水素環基、2価の芳香環基、及び、これらの2以上を組み合わせた基の具体例としては、一般式(L1)においてL12として先に例示した具体例と同様の基が挙げられる。
また、L22における連結基の−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、上述したX11における各々と同様の具体例が挙げられ、好ましい例も同様である。
Z2は、活性光線又は放射線の照射によりスルホン酸基となる部位を表す。Z2の具体例としては、先にZ1について説明したのと同様のものが挙げられる。
続いて、一般式(L3)により表される部位について説明する。
X31及びX32は、各々独立に、単結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、又は、これらを組み合わせた基を表す。
X31及びX32の各々における−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、例えば、先にX11について説明したのと同様のものが挙げられる。
X31としては、単結合、−O−、−CO−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、又は、これらを組み合わせた基がより好ましく、単結合、−COO−又は−CONR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)が特に好ましい。
X32としては、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、2価の窒素含有非芳香族複素環基、又は、これらを組み合わせた基がより好ましく、−O−、−OCO−又は−OSO2−が特に好ましい。
L31は、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、2価の芳香環基、又はこれらの2以上を組み合わせた基を表す。上記の組み合わせた基において、組み合わされる2以上の基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、これら基は、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、2価の芳香環基、又は、これらを組み合わせた基を介して連結されていてもよい。
L31のアルキレン基、アルケニレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、及び2価の芳香環基としては、例えば、先にL21について説明したのと同様のものが挙げられる。
また、L31における連結基の−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、上述したX11における各々と同様の具体例が挙げられ、好ましい例も同様である。
L32は、アルキレン基、アルケニレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、2価の芳香環基、又は、これらの2以上を組み合わせた基を表す。上記の組み合わせた基において、組み合わされる2以上の基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、これら基は、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、2価の芳香環基、又は、これらを組み合わせた基を介して連結されていてもよい。
L32のアルキレン基、アルケニレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、2価の芳香環基、又は、これらの2以上を組み合わせた基は、水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、フッ化アルキル基、ニトロ基、及びシアノ基から選択される置換基で置換されていることが好ましい。
L32としては、水素原子の一部又は全部が、フッ素原子若しくはフッ化アルキル基(より好ましくはペルフルオロアルキル基)で置換された、アルキレン基、2価の芳香環基、又はこれらを組み合わせた基がより好ましく、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された、アルキレン基又は2価の芳香環基が特に好ましい。
L32のアルキレン基、アルケニレン基、2価の脂肪族炭化水素環基、2価の芳香環基、及び、これらの2以上を組み合わせた基としては、例えば、先にL12について説明したのと同様のものが挙げられる。L32における連結基の−NR−及び2価の窒素含有非芳香族複素環基としては、上述したX11における各々と同様の具体例が挙げられ、好ましい例も同様である。
また、X3が単結合でありかつL31が芳香環基である場合において、R32がL31の芳香環基と環を形成する場合、R32により表わされるアルキレン基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数が1〜4のものがより好ましく、炭素数が1〜2のものが更に好ましい。
Z
3は、活性光線又は放射線の照射により、イミド酸基又はメチド酸基となるオニウム塩を表す。Z
3により表わされるオニウム塩としては、スルホニウム塩あるいはヨードニウム塩が好ましく、下記一般式(ZIII)又は(ZIV)により表される構造が好ましい。
一般式(ZIII)及び(ZIV)中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5は、各々独立に、−CO−又は−SO2−を表し、より好ましくは、−SO2−である。
Rz1、Rz2及びRz3は、各々独立に、アルキル基、1価の脂肪族炭化水素環基、アリール基、又はアラルキル基を表す。水素原子の一部又は全部がフッ素原子又はフルオロアルキル基(より好ましくはペルフルオロアルキル基)で置換された態様がより好ましい。
Rz1、Rz2及びRz3のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数が1〜6であることがより好ましく、炭素数が1〜4であることが更に好ましい。
Rz1、Rz2及びRz3の1価の脂肪族炭化水素環基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、炭素数が3〜6であることがより好ましい。
Rz1、Rz2及びRz3のアリール基は、炭素数が6〜18であることが好ましく、炭素数が6〜10のアリール基であることがより好ましい。このアリール基としては、フェニル基が特に好ましい。
Rz1、Rz2及びRz3のアラルキル基の好ましい例としては、炭素数1〜8のアルキレン基と上記アリール基とが結合したものが挙げられる。炭素数1〜6のアルキレン基と上記アリール基とが結合してなるアラルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基と上記アリール基とが結合してなるアラルキル基が特に好ましい。
A+は、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンを表す。A+の好ましい例としては、一般式(ZI)におけるスルホニウムカチオン又は一般式(ZII)におけるヨードニウムカチオン構造が挙げられる。
以下に繰り返し単位(B)の具体例を挙げるが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
樹脂(Ab)が繰り返し単位(B)を含有する場合、樹脂(Ab)における、繰り返し単位(B)の含有率は、樹脂(Ab)中の全繰り返し単位に対し、0.1〜80mol%が好ましく、より好ましくは0.5〜60mol%であり、更に好ましくは1〜40mol%である。
樹脂(Ab)の重量平均分子量(Mw)は、それぞれ1000〜200,000の範囲であることが好ましい。樹脂自体のアルカリに対する溶解速度、感度の点から200,000以下が好ましい。分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0であることが好ましく、より好ましくは1.0〜2.5、特に好ましくは、1.0〜2.0である。
その中で、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜200,000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1,000〜100,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜50,000の範囲であり、最も好ましくは1,000〜25,000の範囲である。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
アゾ系重合開始剤を用いてラジカル重合を行うことで分散度2.0以下の樹脂(Ab)を合成することができる。さらに好ましい分散度1.0〜1.5の樹脂(Ab)は例えばリビングラジカル重合によって合成可能である。
樹脂(Ab)は、公知のアニオン重合法またはラジカル重合法などで重合することが好ましい。
アニオン重合法は、アルカリ金属又は有機アルカリ金属を重合開始剤として、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、−100〜90℃の温度で行なわれる。そして、共重合においては、モノマー類を反応系に逐次添加して重合することによりブロック共重合体が、また、各モノマー類の混合物を反応系に添加して重合することによりランダム共重合体が得られる。
上記重合開始剤のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられ、有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物およびアリール化物が使用することができ、具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1、1−ジフェニルヘキシルリチウム、1、1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等を挙げることができる。
ラジカル重合法は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、等の有機過酸化物のような公知のラジカル重合開始剤を用い、必要に応じて、1−ドデカンチオール等の公知の連鎖移動剤を併用して、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、50〜200℃の温度で行なわれる。
有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコール誘導体類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミド等の通常アニオン重合において使用される有機溶媒を挙げることができ、これらは単独溶媒又は二種以上の混合溶媒として使用される。より好ましい溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンが挙げられる。
また、本発明のポジ型レジストをArFエキシマレーザーで露光する際には、ArFエキシマレーザーに対する透明性の観点から、樹脂(Ab)として芳香環を有さない樹脂を用いることが好ましい。
以下、ArFエキシマレーザー露光に好適な樹脂(以下、樹脂(A’)ともいう)について説明する。
樹脂(A’)の有する酸分解性基としては、前記樹脂(Ab)におけるものと同様のものが挙げられ、酸分解性基を含む繰り返し単位としては、好ましくは前記一般式(A2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A’)中の全繰り返し単位に対し、20〜50mol%が好ましく、より好ましくは25〜45mol%である。
樹脂(A’)は、更に、ラクトン基、水酸基、シアノ基及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
樹脂(A’)が含有し得るラクトン基を有する繰り返し単位について説明する。
ラクトン基としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。
好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)であり、特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。n2は、0〜4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在する置換基(Rb2)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb2)同士が結合して環を形成してもよい。
一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AII)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
一般式(AII)中、
Rb0は、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環または多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。好ましくは、単結合、−Ab1−CO2−で表される2価の連結基である。
Ab1は、直鎖、分岐アルキレン基、単環または多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基である。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−16)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
ラクトン基を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
ラクトン基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A’)中の全繰り返し単位に対し、 15〜60mol%が好ましく、より好ましくは20〜50mol%、更に好ましくは30〜50mol%である。
ラクトン基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
樹脂(A’)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。好ましい水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
一般式(VIIa)〜(VIIc)に於いて、
R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cの内の1つ又は2つが、水酸基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、R2c〜R4cの内の2つが、水酸基で、残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
一般式(AIIa)〜(AIId)に於いて、
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキメチル基を表す。
R2c〜R4cは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於ける、R2c〜R4cと同義である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A’)中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
樹脂(A’)は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。アルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、α位が電子吸引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環または多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A’)中の全繰り返し単位に対し、 0〜20mol%が好ましく、より好ましくは3〜15mol%、更に好ましくは5〜10mol%である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
樹脂(A’)は、更に、脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有してもよい。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できる。このような繰り返し単位として、例えば1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位などが挙げられる。
樹脂(A’)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、樹脂(A’)に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
樹脂(A’)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明のポジ型レジスト組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
樹脂(A’)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000、更により好ましくは3,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜10,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
分散度(分子量分布)は、通常1〜3であり、好ましくは1〜2.6、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1.4〜1.7の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
樹脂(Ab)は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
樹脂(Ab)の添加量は、総量として、ポジ型レジスト組成物の全固形分に対し、通常10〜99質量%であり、好ましくは20〜99質量%であり、特に好ましくは30〜99質量%である。
以下に樹脂(Ab)の具体例を以下に示すがこれらに限定するものではない。
樹脂(Ab)が酸発生繰り返し単位(B)を含有しない場合は、フッ素原子を含む繰り返し単位の含有率は1モル%以下であることが好ましく、フッ素原子は含有しないことがより好ましい。樹脂(Ab)が繰り返し単位(B)を有する場合は、繰り返し単位(B)以外の繰り返し単位であって、フッ素原子を含む繰り返し単位の含有率は1モル%以下であることが更に好ましく、フッ素原子は含有しないことが最も好ましい。
〔活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物〕
本発明の組成物は、更に、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ともいう。)を含有してもよい。
光酸発生剤としては、例えば、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、光消色剤、光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物、及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。これらの例としては、スルホニウム塩及びヨードニウム塩等のオニウム塩、並びに、ビス(アルキルスルホニルジアゾメタン)等のジアゾジスルホン化合物が挙げられる。
光酸発生剤の好ましい例としては、下記一般式(ZI)、(ZII)及び(ZIII)により表される化合物が挙げられる。
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、例えば1〜30であり、好ましくは1〜20である。
R201〜R203のうち2つは、単結合又は連結基を介して互いに結合して、環構造を形成してもよい。この場合の連結基としては、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。R201〜R203のうちの2つが結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
R201、R202及びR203の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)又は(ZI−3)における対応する基が挙げられる。
X
−は、非求核性アニオンを表す。X
−としては、例えば、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF
4 −、PF
6 −及びSbF
6 −が挙げられる。X
−は、好ましくは、炭素原子を含んだ有機アニオンである。好ましい有機アニオンとしては、例えば、下記AN1〜AN3に示す有機アニオンが挙げられる。
式AN1〜AN3中、Rc1〜Rc3は、各々独立に、有機基を表す。この有機基としては、例えば、炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくは、アルキル基、アリール基、又はこれらの複数が連結基を介して連結された基である。なお、この連結基としては、例えば、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−及び−SO2N(Rd1)−が挙げられる。ここで、Rd1は水素原子又はアルキル基を表し、結合しているアルキル基又はアリール基と環構造を形成してもよい。
Rc1〜Rc3の有機基は、1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、又は、フッ素原子若しくはフロロアルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。フッ素原子又はフロロアルキル基を含有させることにより、光照射によって発生する酸の酸性度を上昇させることが可能となる。これにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の感度を向上させることができる。なお、Rc1〜Rc3は、他のアルキル基及びアリール基等と結合して、環構造を形成していてもよい。
また、好ましいX
-として、下記一般式(SA1)又は(SA2)により表されるスルホン酸アニオンが挙げられる。
式(SA1)中、
Ar
1は、アリール基を表し、−(D−B)基以外の置換基を更に有していてもよい。
nは、1以上の整数を表す。nは、好ましくは1〜4であり、より好ましくは2〜3であり、最も好ましくは3である。
Dは、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基は、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル基又はエステル基である。
Bは、炭化水素基を表す。
式(SA2)中、
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R1、R2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、複数存在する場合のR1及びR2の各々は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Eは、環状構造を有する基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
まず、式(SA1)により表されるスルホン酸アニオンについて、詳しく説明する。
式(SA1)中、Ar1は、好ましくは、炭素数6〜30の芳香族環である。具体的には、Ar1は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセタフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環又はフェナジン環である。中でも、ラフネス改良と高感度化との両立の観点から、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
Ar1が−(D−B)基以外の置換基を更に有している場合、この置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、この置換基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メチルチオキシ基、エチルチオキシ基及びtert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基;フェニルチオキシ基及びp−トリルチオキシ基等のアリールチオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシ又はアリーロキシカルボニル基;アセトキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基及び2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基;ビニル基、プロペニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基;アセチレン基、プロピニル基及びヘキシニル基等のアルキニル基;フェニル基及びトリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;並びにスルホン酸基が挙げられる。中でも、ラフネス改良の観点から、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基が好ましい。
式(SA1)中、Dは、好ましくは、単結合であるか、又は、エーテル基若しくはエステル基である。より好ましくは、Dは、単結合である。
式(SA1)中、Bは、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はシクロアルキル基である。Bは、好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基である。Bとしてのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
Bとしてのアルキル基は、好ましくは、分岐アルキル基である。この分岐アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、イソヘキシル基、3,3−ジメチルペンチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
Bとしてのシクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基及びピネニル基が挙げられる。
Bとしてのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はシクロアルキル基が置換基を有している場合、この置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、この置換基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メチルチオキシ基、エチルチオキシ基及びtert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基;フェニルチオキシ基及びp−トリルチオキシ基等のアリールチオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基及び2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基;分岐アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基;アセチレン基;プロピニル基及びヘキシニル基等のアルキニル基;フェニル基及びトリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;スルホン酸基;並びにカルボニル基等が挙げられる。中でも、ラフネス改良と高感度化との両立の観点から、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基が好ましい。
次に、式(SA2)により表されるスルホン酸アニオンについて、詳しく説明する。
式(SA2)中、Xfは、フッ素原子であるか、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。このアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、炭素数が1〜4のものがより好ましい。また、フッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的には、Xfは、好ましくは、フッ素原子、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9又はCH2CH2C4F9である。中でも、フッ素原子又はCF3が好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
式(SA2)中、R1及びR2の各々は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基である。このフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましい。また、フッ素原子で置換されたアルキル基としては、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基が特に好ましい。具体的には、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9又はCH2CH2C4F9が挙げられ、中でもCF3が好ましい。
式(SA2)中、xは1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。zは0〜8が好ましく、0〜4がより好ましい。
式(SA2)中、Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアルケニレン基が挙げられる。中でも、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−又は−SO2−が好ましく、−COO−、−OCO−又は−SO2−がより好ましい。
式(SA2)中、Eは、環構造を有する基を表す。Eとしては、例えば、環状脂肪族基、アリール基及び複素環構造を有する基が挙げられる。
Eとしての環状脂肪族基は、単環構造を有していてもよく、多環構造を有していてもよい。単環構造を有した環状脂肪族基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が好ましい。多環構造を有した環状脂肪族基としては、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。特には、Eとして6員環以上のかさ高い構造を有する環状脂肪族基を採用した場合、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性が抑制され、解像力及びEL(露光ラチチュード)を更に向上させることが可能となる。
Eとしてのアリール基は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環又はアントラセン環である。
Eとしての複素環構造を有する基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。この基に含まれているヘテロ原子としては、窒素原子又は酸素原子が好ましい。複素環構造の具体例としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環等が挙げられる。中でも、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環が好ましい。
Eは、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐、環状の何れであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基及びスルホン酸エステル基が挙げられる。
一般式(SA1)又は(SA2)により表されるスルホン酸アニオンとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
光酸発生剤としては、一般式(ZI)により表される構造を複数有する化合物を使用してもよい。例えば、一般式(ZI)により表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)により表されるもう1つの化合物のR201〜R203の少なくとも1つと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)〜(ZI−4)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である。即ち、化合物(ZI−1)は、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
化合物(ZI−1)は、R201〜R203の全てがアリール基であってもよく、R201〜R203の一部がアリール基であり、それら以外がアルキル基であってもよい。なお、化合物(ZI−1)が複数のアリール基を有する場合、これらアリール基は互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
化合物(ZI−1)としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物及びアリールジアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
化合物(ZI−1)におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、又は、インドール残基及びピロール残基等のヘテロアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基又はインドール残基が特に好ましい。
化合物(ZI−1)が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖、分岐又はシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
これらアリール基及びアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基及びフェニルチオ基が挙げられる。
好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、及び、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基が挙げられる。特に好ましい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。置換基は、3つのR201〜R203のうちの何れか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がフェニル基の場合には、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
また、R201、R202及びR203のうち1つ又は2つが、置換基を有していてもよいアリール基であり、残りの基が直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基である態様も好ましい。この構造の具体例としては、特開2004−210670号公報の段落0141〜0153に記載の構造が挙げられる。
このとき、上記アリール基としては、具体的には、R201、R202及びR203としてのアリール基と同様であり、フェニル基又はナフチル基が好ましい。また、アリール基は、水酸基、アルコキシ基又はアルキル基の何れかを置換基として有することが好ましい。置換基としより好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
上記の残りの基としての直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。これら基は、更に置換基を有していてもよい。また、上記の残りの基が2つ存在する場合、これら2つが互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
化合物(ZI−1)は、例えば、以下の一般式(ZI−1A)により表される化合物である。
一般式(ZI−1A)中、
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
R14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基又はシクロアルキルスルホニル基を表す。
R15は、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。2つのR15は、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
X−は、非求核性アニオンを表し、例えば、一般式(ZI)におけるX−と同様のものが挙げられる。
R13、R14又はR15のアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。このアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基及びt−ブチル基が特に好ましい。
R13、R14又はR15のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデカニル、シクロベンテニル、シクロヘキセニル及びシクロオクタジエニル基が挙げられる。これらのうち、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基が特に好ましい。
R13又はR14のアルコキシ基のアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のアルキル基として列挙したものが挙げられる。このアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びn−ブトキシ基が特に好ましい。
R13のシクロアルキルオキシ基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のシクロアルキル基として説明したものが挙げられる。このシクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が特に好ましい。
R13のアルコキシカルボニル基のアルコキシ基部分としては、例えば、先にR13又はR14のアルコキシ基として説明したものが挙げられる。このアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びn−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
R14のアルキルスルホニル基のアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のアルキル基として説明したものが挙げられる。また、R14のシクロアルキルスルホニル基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のシクロアルキル基として説明したものが挙げられる。これらアルキルスルホニル基又はシクロアルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基及びシクロヘキサンスルホニル基が特に好ましい。
lは、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。rは、好ましくは0〜2である。
R13、R14及びR15の各基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルコキシアルキル基、シクロアルキルオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、及びシクロアルキルオキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基及びt−ブトキシ基等の炭素数1〜20のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜20のものが挙げられる。
アルコキシアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基及び2−エトキシエチル基等の炭素数2〜21のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルオキシメチル基、シクロペンチルオキシメチル基及びシクロヘキシルオキシエチル基等の炭素数4〜21のものが挙げられる。
アルコキシカルボニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜21のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシカルボニル基としては、例えば、シクロペンチルオキシカルボニル基及びシクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素数4〜21のものが挙げられる。
アルコキシカルボニルオキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基及びt−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜21のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基及びシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数4〜21のものが挙げられる。
2つのR15が互いに結合して形成し得る環構造としては、一般式(ZI−1A)中のS原子と共に、5員環又は6員環、特に好ましくは5員環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)を形成する構造が好ましい。
この環構造は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、及びアルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
R15としては、メチル基、エチル基、及び2つのR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基が特に好ましい。
R13のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基、R14のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びハロゲン原子(特にフッ素原子)が好ましい。
以下に、一般式(ZI−1A)により表される化合物におけるカチオンの好ましい具体例を示す。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、炭素数が例えば1〜30であり、好ましくは1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であることが好ましい。更に好ましくは、直鎖、分岐若しくは環状の2−オキソアルキル基又はアルコキシカルボニルメチル基であり、特に好ましくは、直鎖又は分岐鎖の2−オキソアルキル基である。
R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状の何れであってもよく、好ましい例としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基)及び炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はノルボニル基)が挙げられる。
R201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状の何れであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基が挙げられる。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基の好ましい例としては、炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)が挙げられる。
R201〜R203は、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基及び/又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R201〜R203のうちの2つが互いに結合して、環構造を形成していてもよい。この環構造は、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合及び/又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基(例えば、ブチレン基又はペンチレン基)が挙げられる。
次いで、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)により表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
式中、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、1〜6が好ましい。
R6c及びR7cは、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜6が好ましい。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基又はビニル基を表す。これら原子団の炭素数は、1〜6が好ましい。
R1c〜R7cの何れか2つ以上が互いに結合して、環構造を形成していてもよい。また、RxとRyとが結合して、環構造を形成していてもよい。これらの環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合及び/又はアミド結合を含んでいてもよい。
一般式(ZI−3)におけるX−は、一般式(ZI)におけるX−と同義である。
化合物(ZI−3)の具体例としては、特開2004−233661号公報の段落0047及び0048、又は、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物に記載されている化合物が挙げられる。
続いて、化合物(ZI−4)について説明する。
化合物(ZI−4)は、以下の一般式(ZI−4)により表されるカチオンを有した化合物である。この化合物(ZI−4)は、アウトガスの抑制に有効である。
一般式(ZI−4)中、
R1〜R13は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R1〜R13のうち少なくとも1つは、アルコール性水酸基を含む置換基であることが好ましい。なお、ここで「アルコール性水酸基」とは、アルキル基の炭素原子に結合した水酸基を意味している。
Zは、単結合又は2価の連結基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、R1〜R13は−(W−Y)により表される基であることが好ましい。ここで、Yは水酸基で置換されたアルキル基であり、Wは単結合又は2価の連結基である。
Yにより表されるアルキル基の好ましい例としては、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。Yは、特に好ましくは、−CH2CH2OHにより表される構造を含んでいる。
Wにより表される2価の連結基としては、特に制限は無いが、好ましくは単結合、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた2価の基であり、更に好ましくは、単結合、アシルオキシ基、アルキルスルホニル基、アシル基又はアルコキシカルボニル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた2価の基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、含まれる炭素数は、好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜6であり、特に好ましくは2〜4である。
R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基は、アルコール性水酸基を2つ以上有していてもよい。R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基の有するアルコール性水酸基の数は、1〜6であり、好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1である。
一般式(ZI−4)により表される化合物の有するアルコール性水酸基の数は、R1〜R13すべて合わせて1〜10であり、好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜3である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13としての置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基〔−B(OH)2〕、ホスファト基〔−OPO(OH)2〕、スルファト基(−OSO3H)、並びに、他の公知の置換基が挙げられる。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、シリル基又はウレイド基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、更に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、特に好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基である。
R1〜R13のうちの隣接する2つが互いに結合して、環構造を形成してもよい。この環構造には、芳香族及び非芳香族の炭化水素環並びに複素環が含まれる。これら環構造は、更に組み合わされて、縮合環を形成していてもよい。
化合物(ZI−4)は、好ましくは、R1〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含んだ構造を有しており、更に好ましくは、R9〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含んだ構造を有している。
Zは、上述したように、単結合又は2価の連結基を表している。この2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、ジスルフィド基、アシル基、アルキルスルホニル基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基及びアミノスルホニルアミノ基が挙げられる。
この2価の連結基は、置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば、先にR1〜R13について列挙したのと同様のものが挙げられる。
Zは、好ましくは、単結合、アルキレン基、アリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基及びアミノスルホニルアミノ基等の電子求引性を持たない結合又は基であり、更に好ましくは、単結合、エーテル基又はチオエーテル基であり、特に好ましくは、単結合である。
以下、一般式(ZII)及び(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)及び(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。これらアリール基、アルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
R204〜R207としてのアリール基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−1)におけるR201〜R203について列挙したのと同様の基が挙げられる。
R204〜R207としてのアルキル基及びシクロアルキル基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−2)におけるR201〜R203について列挙した直鎖、分岐又はシクロアルキル基が挙げられる。
なお、一般式(ZII)及び(ZIII)におけるX−は、一般式(ZI)におけるX−と同義である。
光酸発生剤の他の好ましい例として、下記一般式(ZIV)、(ZV)又は(ZVI)により表される化合物が挙げられる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、置換又は無置換のアリール基を表す。
R208は、一般式(ZV)と(ZVI)とで各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表している。これらアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
これら基は、フッ素原子により置換されていることが好ましい。こうすると、光酸発生剤が発生する酸の強度を高めることが可能となる。
R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子求引性基を表す。これらアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及び電子求引性基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
好ましいR209としては、置換又は無置換のアリール基が挙げられる。
好ましいR210としては、電子求引性基が挙げられる。この電子求引性基としては、好ましくは、シアノ基及びフロロアルキル基が挙げられる。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。これらアルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基を有していてもよい。
なお、光酸発生剤として、一般式(ZVI)により表される構造を複数有する化合物も好ましい。このような化合物としては、例えば、一般式(ZVI)により表される化合物のR209又はR210と、一般式(ZVI)により表されるもう一つの化合物のR209又はR210とが互いに結合した構造を有する化合物が挙げられる。
光酸発生剤としては、一般式(ZI)〜(ZIII)により表される化合物がより好ましく、一般式(ZI)により表される化合物が更に好ましく、化合物(ZI−1)〜(ZI−3)が特に好ましい。
本発明に用いられる酸発生剤として、酸の作用により分解しアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基を有する化合物も好ましく用いることができる。そのような酸発生剤の例としては、例えば、特開2005−97254号公報、特開2007−199692号公報などに記載の化合物が挙げられる。
光酸発生剤の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、光酸発生剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。後者の場合、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
また、光酸発生剤の含量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜40質量%であり、更に好ましくは1〜30質量%である。
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、更に、酸の作用により分解して酸を発生する化合物(以下、酸増殖剤とも表記する)を1種又は2種以上含んでいてもよい。酸増殖剤が発生する酸は、スルホン酸、メチド酸又はイミド酸であることが好ましい。酸増殖剤の含有率としては、組成物の全固形分を基準として、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1.0〜20質量%であることが更に好ましい。
酸増殖剤と酸発生剤との量比(組成物中の全固形分を基準にした酸増殖剤の固形分量/組成物中の全固形分を基準にした酸発生剤の固形分量)としては、特に制限されないが、0.01〜50が好ましく、0.1〜20がより好ましく、0.2〜1.0が特に好ましい。
以下に本発明に用いることができる化合物の例を示すが、これらに限定されるものではない。
〔塩基性化合物〕
本発明に係る組成物は、塩基性化合物を更に含んでいてもよい。塩基性化合物は、好ましくは、フェノールと比較して塩基性がより強い化合物である。また、この塩基性化合物は、有機塩基性化合物であることが好ましく、含窒素塩基性化合物であることが更に好ましい。
使用可能な含窒素塩基性化合物は特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(7)
に分類される化合物を用いることができる。
一般式(BS−1)中、
Rは、各々独立に、水素原子又は有機基を表す。但し、3つのRのうち少なくとも1つは有機基である。この有機基は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、単環若しくは多環のシクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
Rとしてのアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常1〜20であり、好ましくは1〜12である。
Rとしてのシクロアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常3〜20であり、好ましくは5〜15である。
Rとしてのアリール基の炭素数は、特に限定されないが、通常6〜20であり、好ましくは6〜10である。具体的には、フェニル基及びナフチル基等が挙げられる。
Rとしてのアラルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常7〜20であり、好ましくは7〜11である。具体的には、ベンジル基等が挙げられる。
Rとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、水素原子が置換基により置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基及びアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
なお、一般式(BS−1)により表される化合物では、Rのうち少なくとも2つが有機基であることが好ましい。
一般式(BS−1)により表される化合物の具体例としては、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリイソデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、メチルジオクタデシルアミン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、及び2,4,6−トリ(t−ブチル)アニリンが挙げられる。
また、一般式(BS−1)により表される好ましい塩基性化合物として、少なくとも1つのRがヒドロキシ基で置換されたアルキル基であるものが挙げられる。具体的には、例えば、トリエタノールアミン及びN,N−ジヒドロキシエチルアニリンが挙げられる。
なお、Rとしてのアルキル基は、アルキル鎖中に酸素原子を有していてもよい。即ち、オキシアルキレン鎖が形成されていてもよい。オキシアルキレン鎖としては、−CH2CH2O−が好ましい。具体的には、例えば、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン、及び、US6040112号明細書のカラム3の60行目以降に例示されている化合物が挙げられる。
一般式(BS−1)で表される塩基性化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(2)含窒素複素環構造を有する化合物
この含窒素複素環は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。また、窒素原子を複数有していてもよい。更に、窒素以外のヘテロ原子を含有していてもよい。具体的には、例えば、イミダゾール構造を有する化合物(2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなど)、ピペリジン構造を有する化合物〔N−ヒドロキシエチルピペリジン及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなど〕、ピリジン構造を有する化合物(4−ジメチルアミノピリジンなど)、並びにアンチピリン構造を有する化合物(アンチピリン及びヒドロキシアンチピリンなど)が挙げられる。
また、環構造を2つ以上有する化合物も好適に用いられる。具体的には、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン及び1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エンが挙げられる。
(3)フェノキシ基を有するアミン化合物
フェノキシ基を有するアミン化合物とは、アミン化合物が含んでいるアルキル基のN原子と反対側の末端にフェノキシ基を備えた化合物である。フェノキシ基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基及びアリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。
この化合物は、より好ましくは、フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン鎖を有している。1分子中のオキシアルキレン鎖の数は、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン鎖の中でも−CH2CH2O−が特に好ましい。
具体例としては、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミン、及び、US2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)が挙げられる。
フェノキシ基を有するアミン化合物は、例えば、フェノキシ基を有する1級又は2級アミンとハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得られる。また、フェノキシ基を有するアミン化合物は、1級又は2級アミンと、末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出することによって得ることもできる。
(4)アンモニウム塩
塩基性化合物として、アンモニウム塩も適宜用いることができる。アンモニウム塩のアニオンとしては、例えば、ハライド、スルホネート、ボレート及びフォスフェートが挙げられる。これらのうち、ハライド及びスルホネートが特に好ましい。
ハライドとしては、クロライド、ブロマイド及びアイオダイドが特に好ましい。
スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、例えば、炭素数1〜20のアルキルスルホネート及びアリールスルホネートが挙げられる。
アルキルスルホネートに含まれるアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アルコキシ基、アシル基及びアリール基が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的には、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート及びノナフルオロブタンスルホネートが挙げられる。
アリールスルホネートに含まれるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。これらアリール基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基及び炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。具体的には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル及びシクロヘキシル基が好ましい。他の置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基及びアシロキシ基が挙げられる。
このアンモニウム塩は、ヒドロキシド又はカルボキシレートであってもよい。この場合、このアンモニウム塩は、炭素数1〜8のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−(n−ブチル)アンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドであることが特に好ましい。
好ましい塩基性化合物としては、例えば、グアニジン、アミノピリジン、アミノアルキルピリジン、アミノピロリジン、インダゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、プリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルフォリン及びアミノアルキルモルフォリンが挙げられる。これらは、置換基を更に有していてもよい。
好ましい置換基としては、例えば、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基及びシアノ基が挙げられる。
特に好ましい塩基性化合物としては、例えば、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン及びN−(2−アミノエチル)モルフォリンが挙げられる。
(5)プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物(PA)
本発明に係る組成物は、塩基性化合物として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物〔以下、化合物(PA)ともいう〕を更に含んでいてもよい。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基或いは電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基や、 π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。 π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記一般式に示す部分構造を有する窒素原子である。
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、1〜3級アミン、ピリジン、イミダゾール、ピラジン構造などを挙げることができる。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここで、プロトンアクセプター性の低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(PA)とプロトンからプロトン付加体が生成する時、その化学平衡に於ける平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。本発明においては、活性光線又は放射線の照射により化合物(PA)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaが、pKa<−1を満たすことが好ましく、より好ましくは−13<pKa<−1であり、更に好ましくは−13<pKa<−3である。
本発明に於いて、酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載のものであり、この値が低いほど酸強度が大きいことを示している。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測することができ、また、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示している。
ソフトウェアパッケージ1:AdvancedChemistryDevelopment(ACD/Labs)SoftwareV8.14forSolaris(1994−2007ACD/Labs)
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する上記プロトン付加体として、例えば、下記一般式(PA−1)で表される化合物を発生する。一般式(PA−1)で表される化合物は、プロトンアクセプター性官能基とともに酸性基を有することにより、化合物(PA)に比べてプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物である。
一般式(PA−1)中、
Qは、−SO3H、−CO2H、又は−X1NHX2Rfを表す。ここで、Rfは、アルキル基、シクロアルキル基若しくはアリール基を表し、X1及びX2は各々独立に、−SO2−又は−CO−を表わす。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、−SO2−又は−CO−を表す。
nは、0又は1を表す。
Bは、単結合、酸素原子又は−N(Rx)Ry−を表す。Rxは、水素原子又は1価の有機基を表し、Ryは単結合又は2価の有機基を表す。Ryと結合して環を形成してもよく、又はRと結合して環を形成してもよい。
Rは、プロトンアクセプター性官能基を有する1価の有機基を表す。
一般式(PA−1)について更に詳細に説明する。
Aにおける2価の連結基としては、好ましくは炭素数2〜12の2価の連結基であり、例えば、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。より好ましくは少なくとも1つのフッ素原子を有するアルキレン基であり、好ましい炭素数は2〜6、より好ましくは炭素数2〜4である。アルキレン鎖中に酸素原子、硫黄原子などの連結基を有していてもよい。アルキレン基は、特に水素原子数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキレン基が好ましく、Q部位と結合した炭素原子がフッ素原子を有することがより好ましい。更にはパーフルオロアルキレン基が好ましく、パーフロロエチレン基、パーフロロプロピレン基、パーフロロブチレン基がより好ましい。
Rxにおける1価の有機基としては、好ましくは炭素数1〜30であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。これら基は更に置換基を有していてもよい。
Rxにおけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。
Ryにおける2価の有機基としては、好ましくはアルキレン基を挙げることができる。
RxとRyとが互いに結合して形成してもよい環構造としては、窒素原子を含む5〜10員の環、特に好ましくは6員の環が挙げられる。
なお、置換基を有するアルキル基として、特に直鎖又は分岐アルキル基にシクロアルキル基が置換した基(例えば、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、カンファー残基など)を挙げることができる。
Rxにおけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子を有していてもよい。
Rxにおけるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。
Rxにおけるアラルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
Rxにおけるアルケニル基としては、置換基を有していてもよく、例えば、Rxとして挙げたアルキル基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。
Rにおけるプロトンアクセプター性官能基とは、上記の通りであり、アザクラウンエーテル、1〜3級アミン、ピリジンやイミダゾールといった窒素を含む複素環式芳香族構造などを有する基が挙げられる。
このような構造を有する有機基として、好ましい炭素数は4〜30であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。
Rにおけるプロトンアクセプター性官能基又はアンモニウム基を含むアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基に於けるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基は、前記Rxとして挙げたアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基と同様のものである。
上記各基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、
シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜20)などが挙げられる。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造、及びアミノアシル基については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)を挙げることができる。
Bが−N(Rx)Ry−の時、RとRxが互いに結合して環を形成していることが好ましい。環構造を形成することによって、安定性が向上し、これを用いた組成物の保存安定性が向上する。環を形成する炭素数は4〜20が好ましく、単環式でも多環式でもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでいてもよい。
単環式構造としては、窒素原子を含む4員環、5員環、6員環、7員環、8員環等を挙げることができる。多環式構造としては、2又は3以上の単環式構造の組み合わせから成る構造を挙げることができる。単環式構造、多環式構造は、置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜15)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜15)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜20)などが好ましい。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
Qにより表される−X1NHX2RfにおけるRfとして、好ましくは炭素数1〜6のフッ素原子を有してもよいアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基である。また、X1及びX2としては、少なくとも一方が−SO2−であることが好ましく、より好ましくはX1及びX2の両方が−SO2−である場合である。
一般式(PA−1)で表される化合物のうち、Q部位がスルホン酸である化合物は、一般的なスルホンアミド化反応を用いることで合成できる。例えば、ビススルホニルハライド化合物の一方のスルホニルハライド部を選択的にアミン化合物と反応させて、スルホンアミド結合を形成した後、もう一方のスルホニルハライド部分を加水分解する方法、あるいは環状スルホン酸無水物をアミン化合物と反応させ開環させる方法により得ることができる。
化合物(PA)は、イオン性化合物であることが好ましい。プロトンアクセプター性官能基はアニオン部、カチオン部のいずれに含まれていてもよいが、アニオン部位に含まれていることが好ましい。
化合物(PA)として、好ましくは下記一般式(4)〜(6)で表される化合物が挙げられる。
一般式(4)〜(6)において、A、X、n、B、R、Rf、X1及びX2は、一般式(PA−1)における各々と同義である。
C+はカウンターカチオンを示す。
カウンターカチオンとしては、オニウムカチオンが好ましい。より詳しくは、光酸発生剤において、先に一般式(ZI)におけるS+(R201’)(R202’)(R203’)として説明したスルホニウムカチオン、一般式(ZII)におけるI+(R204’)(R205’)として説明したヨードニウムカチオンが好ましい例として挙げられる。
以下、化合物(PA)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
また、本発明においては、一般式(PA−1)で表される化合物を発生する化合物以外の化合物(PA)も適宜選択可能である。例えば、イオン性化合物であって、カチオン部にプロトンアクセプター部位を有する化合物を用いてもよい。より具体的には、下記一般式(7)で表される化合物などが挙げられる。
式中、Aは硫黄原子又はヨウ素原子を表す。
mは1又は2を表し、nは1又は2を表す。但し、Aが硫黄原子の時、m+n=3、Aがヨウ素原子の時、m+n=2である。
Rは、アリール基を表す。
RNは、プロトンアクセプター性官能基で置換されたアリール基を表す。
X−は、対アニオンを表す。
X−の具体例としては、上述した一般式(ZI)におけるX−と同様のものが挙げられる。
R及びRNのアリール基の具体例としては、フェニル基が好ましく挙げられる。
RNが有するプロトンアクセプター性官能基の具体例としては、前述の式(PA−1)で説明したプロトンアクセプター性官能基と同様である。
本発明の組成物において、化合物(PA)の組成物全体中の配合率は、全固形分中0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜8質量%である。
(6)グアニジン化合物
本発明の組成物は、下式で表される構造を有するグアニジン化合物を更に含有していてもよい。
グアニジン化合物は3つの窒素によって共役酸のプラスの電荷が分散安定化されるた
め、強い塩基性を示す。
本発明のグアニジン化合物(A)の塩基性としては、共役酸のpKaが6.0以上であることが好ましく、7.0〜20.0であることが酸との中和反応性が高く、ラフネス特性に優れるため好ましく、8.0〜16.0であることがより好ましい。
このような強い塩基性のため、酸の拡散性を抑制し、優れたパターン形状の形成に寄与することができる。
なお、ここで「pKa」とは、水溶液中でのpKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載のものであり、この値が低いほど酸強度が大きいことを示している。水溶液中でのpKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測することができ、また、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示している。
ソフトウェアパッケージ1:AdvancedChemistryDevelopment(ACD/Labs)SoftwareV8.14forSolaris(1994−2007ACD/Labs)。
本発明において、logPとは、n−オクタノール/水分配係数(P)の対数値であり、広範囲の化合物に対し、その親水性/疎水性を特徴づけることのできる有効なパラメータである。一般的には実験によらず計算によって分配係数は求められ、本発明においては、CSChemDrawUltraVer.8.0softwarepackage(Crippen’sfragmentationmethod)により計算された値を示す。
また、グアニジン化合物(A)のlogPが10以下であることが好ましい。上記値以下であることによりレジスト膜中に均一に含有させることができる。
本発明におけるグアニジン化合物(A)のlogPは2〜10の範囲であることが好ましく、3〜8の範囲であることがより好ましく、4〜8の範囲であることが更に好ましい。
また、本発明におけるグアニジン化合物(A)はグアニジン構造以外に窒素原子を有さないことが好ましい。
以下、グアニジン化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
(7) 窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物
本発明の組成物は、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(以下において、「低分子化合物(D)」又は「化合物(D)」ともいう)を含有することができる。低分子化合物(D)は、酸の作用により脱離する基が脱離した後は、塩基性を有することが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては特に限定されないが、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、ヘミアミナールエーテル基であることが特に好ましい。
酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(D)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が特に好ましい。
化合物(D)としては、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体が好ましい。
化合物(D)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有しても良い。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d−1)で表すことができる。
一般式(d−1)において、
R’は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状又は分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルコキシアルキル基を表す。R’は相互に結合して環を形成していても良い。
R’として好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。より好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基である。
このような基の具体的な構造を以下に示す。
化合物(D)は、後述する塩基性化合物と一般式(d−1)で表される構造を任意に組み合わせることで構成することも出来る。
化合物(D)は、下記一般式(A)で表される構造を有するものであることが特に好ましい。
なお、化合物(D)は、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物であるかぎり、前記の塩基性化合物に相当するものであってもよい。
一般式(A)において、Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。また、n=2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に結合して、2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数20以下)若しくはその誘導体を形成していてもよい。
Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基を示す。但し、−C(Rb)(Rb)(Rb)において、1つ以上のRbが水素原子のとき、残りのRbの少なくとも1つはシクロプロピル基、1−アルコキシアルキル基又はアリール基である。
少なくとも2つのRbが結合して脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体を形成していてもよい。
nは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、n+m=3である。
一般式(A)において、RaおよびRbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
前記Ra及び/又はRbのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、上記官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい)としては、
例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等の直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、これらのアルカンに由来する基を、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ノルボルナン、アダマンタン、ノラダマンタン等のシクロアルカンに由来する基、これらのシクロアルカンに由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物に由来する基、これらの芳香族化合物に由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、インドール、インドリン、キノリン、パーヒドロキノリン、インダゾール、ベンズイミダゾール等の複素環化合物に由来する基、これらの複素環化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルキル基或いは芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基、直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基・シクロアルカンに由来する基をフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基等或いは前記の置換基がヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基で置換された基等が挙げられる。
また、前記Raが相互に結合して、形成する2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20)若しくはその誘導体としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、ホモピペラジン、4−アザベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、5−アザベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,4,7−トリアザシクロノナン、テトラゾール、7−アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、(1S,4S)−(+)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デック−5−エン、インドール、インドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノリン、1,5,9−トリアザシクロドデカン等の複素環式化合物に由来する基、これらの複素環式化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、シクロアルカンに由来する基、芳香族化合物に由来する基、複素環化合物に由来する基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(D)を具体的に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
一般式(A)で表される化合物は、特開2007−298569号公報、特開2009−199021号公報などに基づき合成することができる。
本発明において、低分子化合物(D)は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の組成物は、低分子化合物(D)を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、化合物(D)の含有量は、上述した塩基性化合物と合わせた組成物の全固形分を基準として、通常、0.001〜20質量%、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。
また、本発明の組成物が酸発生剤を含有する場合、酸発生剤と化合物(D)の組成物中の使用割合は、酸発生剤/[化合物(D)+下記塩基性化合物](モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。酸発生剤/[化合物(D)+上記塩基性化合物](モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
その他、本発明に係る組成物に使用可能なものとして、特開2002−363146号公報の実施例で合成されている化合物、及び特開2007−298569号公報の段落0108に記載の化合物等が挙げられる。
塩基性化合物として、感光性の塩基性化合物を用いてもよい。感光性の塩基性化合物としては、例えば、特表2003−524799号公報、及び、J.Photopolym.Sci&Tech.Vol.8,P.543−553(1995)等に記載の化合物を用いることができる。
塩基性化合物の分子量は、通常は100〜1500であり、好ましくは150〜1300であり、より好ましくは200〜1000である。
これらの塩基性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る組成物が塩基性化合物を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.01〜8.0質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることがより好ましく、0.2〜4.0質量%であることが特に好ましい。
塩基性化合物の光酸発生剤に対するモル比は、好ましくは0.01〜10とし、より好ましくは0.05〜5とし、更に好ましくは0.1〜3とする。このモル比を過度に大きくすると、感度及び/又は解像度が低下する場合がある。このモル比を過度に小さくすると、露光と加熱(ポストベーク)との間において、パターンの細りを生ずる可能性がある。より好ましくは0.05〜5、更に好ましくは0.1〜3である。なお、上記モル比における光酸発生剤とは、上記樹脂の繰り返し単位(B)と上記樹脂が更に含んでいてもよい光酸発生剤との合計の量を基準とするものである。
(界面活性剤)
本発明に係る組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。この界面活性剤として
は、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製のメガファックF176及びメガファックR08、OMNOVA社製のPF656及びPF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、並びに、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341が挙げられる。
フッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。この界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。
その他、公知の界面活性剤を適宜使用することができる。使用可能な界面活性剤としては、例えば、米国特許2008/0248425A1号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に係る組成物が界面活性剤を更に含んでいる場合、その使用量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.0001〜2質量%とし、より好ましくは0.001〜1質量%とする。
(染料)
本発明に係る組成物は、染料を更に含んでいてもよい。好適な染料としては、例えば、油性染料及び塩基性染料が挙げられる。具体的には、例えば、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS及びオイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、並びに、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)及びメチレンブルー(CI52015)が挙げられる。
(光塩基発生剤)
本発明に係る組成物は、光塩基発生剤を更に含んでいてもよい。光塩基発生剤を含有させると、更に良好なパターンを形成することが可能となる。
光塩基発生剤としては、例えば、特開平4−151156号、同4−162040号、同5−197148号、同5−5995号、同6−194834号、同8−146608号、同10−83079号、及び欧州特許622682号に記載の化合物が挙げられる。
好ましい光塩基発生剤としては、具体的には、2−ニトロベンジルカルバメート、2,5−ジニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド及び1,1−ジメチル−2−フェニルエチル−N−イソプロピルカーバメートが挙げられる。
(酸化防止剤)
本発明に係る組成物は、酸化防止剤を更に含んでいてもよい。酸化防止剤を含有させると、酸素の存在下における有機材料の酸化を抑制することが可能となる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機酸誘導体からなる酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、アミン−アルデヒド縮合物からなる酸化防止剤、及びアミン−ケトン縮合物からなる酸化防止剤が挙げられる。これら酸化防止剤のうち、フェノール系酸化防止剤及び有機酸誘導体からなる酸化防止剤を使用することが特に好ましい。こうすると、組成物の性能を低下させることなしに、酸化防止剤としての機能を発現させることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、置換フェノール類、又は、ビス、トリス若しくはポリフェノール類を使用することができる。
置換フェノール類としては、例えば、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,4−ジメチル6−tert−ブチルフェノール、2−メチル−4,6−ジノニルフェノール、2,6ジ−tert−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、6−(4−ヒドロキシ3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)2,4−ビス・オクチル−チオ−1,3,5トリアジン、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tertブチル・フェニル)プロピオネート、オクチル化フェノール、アラルキル置換フェノール類、アルキル化−p−クレゾール、及びヒンダードフェノールが挙げられる。
ビス、トリス若しくはポリフェノール類としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、メチレンビス(ジメチル−4,6−フェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシル・フェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−アルファメチル−ベンジル−p−クレゾール)、メチレン架橋した多価アルキルフェノール、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−( αメチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、アルキル化ビスフェノール、ヒンダードビスフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、及びテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。
酸化防止剤としては、好ましくは、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ブチルヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、ノルジヒドログアヤレチック酸、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ラウリル、及びクエン酸イソプロピルが挙げられる。これらのうち、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、t−ブチルヒドロキノンがより好ましく、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール又は4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールが更に好ましい。
酸化防止剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に係る組成物に酸化防止剤を含有させる場合、その添加量は、好ましくは1ppm以上とし、より好ましくは5ppm以上とし、更に好ましくは10ppm以上とし、更により好ましくは50ppm以上とし、特に好ましくは100ppm以上とし、最も好ましくは100〜1000ppmとする。
(溶剤)
本発明に係る組成物は、溶剤を更に含んでいてもよい。この溶剤としては、典型的には、有機溶剤を使用する。この有機溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含有していてもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキルが挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2アセトキシプロパン)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;別名1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル及び乳酸ブチルが挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル及び3−メトキシプロピオン酸エチルが挙げられる。
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン及び α−ヒドロキシ−γブチロラクトンが挙げられる。
環を含有していてもよいモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン及び3−メチルシクロヘプタノンが挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネートが挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3メチルブチル、及び酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びピルビン酸プロピルが挙げられる。
溶剤としては、常温常圧下における沸点が130℃以上であるものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、シクロペンタノン、 γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、PGMEA、3エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル及びプロピレンカーボネートが挙げられる。
これら溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。後者の場合、水酸基を含んだ溶剤と水酸基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用することが好ましい。
水酸基を含んだ溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、PGME、プロピレングリコールモノエチルエーテル及び乳酸エチル等が挙げられる。これらのうち、PGME及び乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含んでいない溶剤としては、例えば、PGMEA、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、 γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、 γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン及び酢酸ブチルが挙げられる。これらのうち、PGMEA、エチルエトキシプロピオネート及び2−ヘプタノンが特に好ましい。
水酸基を含んだ溶剤と水酸基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用する場合、これらの質量比は、好ましくは1/99〜99/1とし、より好ましくは10/90〜90/10とし、更に好ましくは20/80〜60/40とする。
なお、水酸基を含んでいない溶剤を50質量%以上含んだ混合溶剤を用いると、特に優れた塗布均一性を達成し得る。また、溶剤は、PGMEAと他の1種以上の溶剤との混合溶剤であることが特に好ましい。
本発明の組成物中における溶剤の含有率は、所望の膜厚等に応じて適宜調整可能であるが、一般的には組成物の全固形分濃度が0.5〜30質量%、好ましくは1.0〜20質量%、より好ましくは1.5〜10質量%となるように調製される。
<パターン形成方法>
本発明は、上記した本発明の組成物を用いて形成された感活性光線性又は感放射線性膜に関する。また、本発明のパターン形成方法は、上記感活性光線性又は感放射線性膜を、露光、現像する工程を有している。
本発明に係る組成物は、典型的には、以下のようにして用いられる。即ち、本発明に係る組成物は、典型的には、基板等の支持体上に塗布されて、膜を形成する。この膜の厚みは、0.02〜0.1μmが好ましい。基板上に塗布する方法としては、スピン塗布が好ましく、その回転数は1000〜3000rpmが好ましい。
この組成物は、例えば、精密集積回路素子やインプリント用モールドなどの製造等に使用される基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆、窒化シリコン及びクロム蒸着された石英基板など)上に、スピナー及びコーター等を用いて塗布される。その後、これを乾燥させて、感活性光線性又は感放射線性の膜(以下、レジスト膜ともいう)を形成する。なお、公知の反射防止膜を予め塗設することもできる。
次いで、上記の感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(通常80〜150℃、より好ましくは90〜130℃)を行った後、現像する。ベークを行うことにより、更に良好なパターンを得ることが可能となる。
活性光線又は放射線としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、及び電子線が挙げられる。これら活性光線又は放射線としては、例えば250nm以下、特には220nm以下の波長を有したものがより好ましい。このような活性光線又は放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、及び電子線が挙げられる。好ましい活性光線又は放射線としては、例えば、KrFエキシマーレーザー、電子線、X線及びEUV光が挙げられる。より好ましくは、電子線、X線及びEUV光である。
すなわち、本発明は、KrFエキシマーレーザー、電子線、X線又はEUV光用(より好ましくは電子線、X線又はEUV光用)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物にも関する。
現像工程では、通常、アルカリ現像液を用いる。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及びアンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン及びn−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン及びジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン及びメチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、又は、ピロール及びピヘリジン等の環状アミン類を含んだアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ現像液には、適当量のアルコール類及び/又は界面活性剤を添加してもよい。
アルカリ現像液の濃度は、通常は0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpH
は、通常は10.0〜15.0である。
本発明の組成物は、塗布、製膜、露光した後に、有機溶剤を主成分とする現像液を用いて現像し、ネガ型パターンを得るプロセスにも用いることができる。このようなプロセスとしては例えば特開2010−217884号公報に記載されているプロセスを用いることができる。
有機系現像液としては、エステル系溶剤(例えば、酢酸ブチル、酢酸エチルなど)、ケトン系溶剤(例えば、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなど)、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。有機系現像液全体としての含水率は10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
なお、本発明に係る組成物を用いてインプリント用モールドを作製してもよく、その詳細については、例えば、特許第4109085号公報、特開2008−162101号公報、及び「ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開―ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦(フロンティア出版)」を参照されたい。
以下、本発明の態様を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
〔合成例1:樹脂(Aa−9)〕
先に挙げた樹脂(Aa−9)を、下記のスキームに従って合成した。
13.45gの化合物(1)と、0.38gの化合物(2)と、1.15gの重合開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)とを、16.59gのシクロヘキサノンに溶解させた。反応容器中に4.15gのシクロヘキサノンを入れ、窒素ガス雰囲気下、85℃の系中に4時間かけて滴下した。反応溶液を2時間に亘って加熱撹拌した後、これを室温まで放冷した。
上記反応溶液の全量が69gになるようにアセトンを加えて希釈した。希釈した溶液を700gのヘプタンに滴下し、ポリマーを沈殿させ、上澄み液を除いた。300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を加えて、均一溶解させ、固形分濃度が25質量%になるまでPGMEAを減圧留去させて、39.38gの樹脂(Aa−9)を得た。
この樹脂(Aa−9)について、GPC(東ソー株式会社製;HLC−8120;Tsk gel Multipore HXL−M)を用いて重量平均分子量及び分散度を測定した。その結果を、組成比と共に下記表に示す。なお、このGPC測定では、溶媒としてTHFを用いた。
〔その他の樹脂(Aa)〕
先に挙げた樹脂(Aa−1)〜(Aa−70)の中から、表1に示す樹脂の各々を、合成例1で述べた方法と同様の方法で合成した。更に、比較用として、以下に示す樹脂(Aa´−1)、(Aa´−2)及び(Aa´−3)を合成した。また、これら樹脂について、合成例1で述べた方法と同様の方法で重量平均分子量及び分散度を測定した。その結果を組成比と共に表1に示す。
〔合成例2:樹脂(Ab−14)〕
特開2007−052193号公報の段落0153に記載のポリマー(B−2)の合成方法と同様の方法で合成した。
〔合成例3:樹脂(Ab−97)〕
特開2009−86358号公報の段落0357に記載のポリマー(A−1)と同様の方法で合成した。
〔合成例4:樹脂(Ab−245)〕
樹脂Ab−245を、下記のスキームに従って合成した。
<化合物(5)の合成>
100.00gの化合物(1)を、400gの酢酸エチルに溶解させた。得られた溶液を0℃に冷却し、47.60gのナトリウムメトキシド(28質量%メタノール溶液)を30分かけて滴下した。その後、これを室温で5時間に亘って撹拌した。反応溶液に酢酸エチルを加えて、有機層を蒸留水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。このようにして、化合物(2)(54質量%酢酸エチル溶液)131.70gを得た。
18.52gの化合物(2)(54質量%酢酸エチル溶液)に、56.00gの酢酸エチルを加えた。これに、31.58gの1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルジフルオリドを加え、0℃に冷却した。12.63gのトリエチルアミンを25.00gの酢酸エチルに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、液温を0℃に維持したまま4時間に亘って撹拌した。酢酸エチルを加えて、有機層を飽和食塩水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。このようにして、32.90gの化合物(3)を得た。
35.00gの化合物(3)を315gのメタノールに溶解させ、0℃に冷却し、245gの1規定水酸化ナトリウム水溶液を加えて、室温で2時間撹拌した。溶媒を留去した後、酢酸エチルを加えて、有機層を飽和食塩水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。このようにして、34.46gの化合物(4)を得た。
28.25gの化合物(4)を254.25gのメタノールに溶解させ、23.34gのトリフェニルスルホニウムブロミドを加え、室温で3時間撹拌した。溶媒を留去して、蒸留水を加えて、クロロホルムで3回抽出した。得られた有機層を蒸留水で3回洗浄した後、溶媒を留去した。このようにして、42.07gの化合物(5)を得た。
<樹脂(Ab−245)の合成>
8.15gの化合物(6)(53.1質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)と、6.14gの化合物(7)と、7.31gの化合物(5)と、2.07gの重合開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)とを、30.13gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解させた。反応容器中に7.53gのPGMEを入れ、窒素ガス雰囲気下、85℃の系中に2時間かけて滴下した。反応溶液を4時間に亘って加熱撹拌した後、これを室温まで放冷した。
上記反応溶液を、30gのアセトンを加えることにより希釈した。希釈した溶液を1000gのヘキサン/酢酸エチル=8/2中に滴下し、ポリマーを沈殿させ、ろ過した。250gのヘキサン/酢酸エチル=8/2を用いて、ろ過した固体のかけ洗いを行なった。得られた固体を70gのアセトンに溶解させ、700gのメタノール/蒸留水=1/9中に滴下し、ポリマーを沈殿させ、ろ過した。150gのメタノール/蒸留水=1/9を用いて、ろ過した固体のかけ洗いを行なった。その後、洗浄後の固体を減圧乾燥に供して、13.87gの樹脂Ab−245を得た。
〔その他の樹脂(Ab)〕
先に挙げた樹脂(Ab−1)〜(Ab−283)の中から、表2に示す樹脂の各々を、合成例2〜4で述べた方法と同様の方法で合成した。また、これら樹脂について、合成例1で述べた方法と同様の方法で重量平均分子量及び分散度を測定した。その結果を組成比と共に表2に示す。
<光酸発生剤>
光酸発生剤としては、先に挙げた化合物(B−1)〜(B−183)、(Y−1)〜(Y−75)の中から、表3及び表4に示す化合物を使用した。
<塩基性化合物>
塩基性化合物としては、下記N−1〜N−10の何れかを用いた。なお、N−7は、上述した化合物(PA)に該当する。
〔合成例5:化合物N−7〕
特開2006−330098号公報の[0354]の記載に基づいて、化合物N−7を合成した。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、下記W−1〜W−4の何れかを用いた。
W−1:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−2:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製;シリコン系)
W−3:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製;フッ素系)
W−4:PF6320(OMNOVA社製;フッ素系)
<溶剤>
溶剤としては、下記S−1〜S−4の何れかを適宜混合して用いた。
S−1:PGMEA(b.p.=146℃)
S−2:PGME(b.p.=120℃)
S−3:乳酸メチル(b.p.=145℃)
S−4:シクロヘキサノン(b.p.=157℃)
<レジスト評価:EB露光及びKrF露光>
下記表3に示す各成分を、同表に示す溶剤に溶解させて、固形分濃度が3.0質量%の溶液を調製した。この溶液をポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルタを用いてろ過して、ポジ型レジスト溶液を得た。
表3中に示した「質量%」の数値は、組成物の界面活性剤を除く全固形分を基準とした値である。なお、界面活性剤の含有率は、組成物の界面活性剤を除く全固形分に対して0.01質量%である。
ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に、スピンコータを用いて、上記のポジ型レジスト溶液を塗布した。これを、110℃で90秒間に亘ってホットプレート上で加熱乾燥させ、平均膜厚が100nmのレジスト膜を得た。
〔感度、パターン形状、ラフネス特性及びドライエッチング耐性:EB露光〕
このレジスト膜に対し、電子線照射装置((株)日立製作所製HL750;加速電圧50keV)を用いて電子線照射を行った。照射後直ぐに、130℃で90秒間に亘ってホットプレート上にて加熱した。その後、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて、23℃で60秒間現像し、30秒間純水を用いてリンスした後、乾燥させた。これにより、ラインアンドスペースパターン(ライン:スペース=1:1)を形成した。
(感度)
まず、得られたラインアンドスペースパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4800)を用いて観察した。そして、100nmの線幅のラインを解像する際の最小照射エネルギーを求め、この値を「感度(μC/cm2)」とした。評価結果を表3に示した。
(パターン形状)
上記の感度を示す照射量における100nmラインパターン(ライン:スペース=1:1)の断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4800)を用いて観察した。そして、その形状を、「矩形」又は「テーパー」の2段階で評価した。評価結果を表3に示した。
(ラフネス特性:ラインエッジラフネス(LER))
上記の100nmラインパターン(ライン:スペース=1:1)を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9260)を用いて観察した。そして、その長さ方向50μmに含まれる等間隔の30点について、エッジがあるべき基準線と実際のエッジとの間の距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。そして、この3σを「LER(nm)」とした。評価結果を表3に示した。
(エッチング耐性)
ウエハー上に膜厚200nmのポジ型レジスト膜を形成した後、C4F6(20mL/min)とO2(40mL/min)との混合ガスを用いて、温度23℃の条件で30秒間に亘ってプラズマエッチングを行った。その後、残膜量を求め、エッチング速度を算出した。そして、以下の判定基準に基づいて、エッチング耐性を評価した。評価結果を表3に示した。
《判定基準》
○(Good):エッチング速度が1.5nm/秒未満の場合
×(Insufficient):エッチング速度が1.5nm/秒以上の場合
〔現像欠陥:KrF露光〕
上記のように調製したポジ型レジスト液を東京エレクトロン製スピンコーターMark8を利用して、60nmの反射防止膜(ブリューワーサイセンス製DUV44)を塗布した基板上に均一に塗布し、130℃60秒間加熱乾燥を行い、平均膜厚60nmのポジ型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C波長248nm)を用いて、ウェハー全面を15mm角の面積でオープンフレームの露光部と未露光部を交互に露光するチェッカーフラッグ露光した(露光条件:NA=0.80、σ=0.89、20mJ)。照射後に110℃、60秒ベークし、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。得られたパターンを下記の方法で評価した。
また、レジスト膜の膜厚がゼロとなる感度E0を測定した。
上記の実効感度E
0において、マスクサイズ0.15μmのパターンをウエハ面内78箇所露光した。この得られたパターン付きウエハをケーエルエー・テンコール(株)製KLA−2360により現像欠陥数を測定した。この際の検査面積は計205cm
2、ピクセルサイズ0.25μm、スレッシュホールド=30、検査光は可視光を用いた。得られた数値を検査面積で割った値を欠陥数(個/cm
2)として評価した。値が1.0未満のものを二重丸、1.0以上5.0未満のものを○、5.0以上10.0未満のものを△、10.0以上のものを×とした。値が小さいほど良好な性能であることを示す。評価結果を表3に示した。
表3に示すように、実施例の組成物は、比較例の組成物と比較して、感度、パターン形状、LER、ドライエッチング耐性及び現像欠陥の全てにおいて優れていた。
<レジスト評価:EUV露光>
下記表4に示す各成分を、同表に示す溶剤に溶解させて、固形分濃度が1.5質量%の溶液を調製した。この溶液をポアサイズ0.1 μmのポリテトラフルオロエチレンフィルタを用いてろ過して、ポジ型レジスト溶液を得た。
表4中に示した「質量%」の数値は、組成物の界面活性剤を除く全固形分を基準とした値である。なお、界面活性剤の含有量は、組成物の界面活性剤を除く全固形分に対して0.01質量%である。
ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に、スピンコータを用いて、上記のポジ型レジスト溶液を塗布した。これを、120℃で90秒間に亘ってホットプレート上で加熱乾燥させ、平均膜厚が50nmのレジスト膜を得た。
〔感度、パターン形状及びラフネス特性〕
このレジスト膜に対し、EUV露光装置を用いてEUV光を照射した。照射後直ぐに、130℃で90秒間に亘ってホットプレート上にて加熱した。その後、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて、23℃で60秒間現像し、30秒間純水を用いてリンスした後、乾燥させた。これにより、ラインアンドスペースパターン(ライン:スペース=1:1)を形成した。
(感度)
まず、得られたラインアンドスペースパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4800)を用いて観察した。そして、50nmの線幅のラインを解像する際の最小照射エネルギーを求め、この値を「感度(mJ/cm2)」とした。
(パターン形状)
上記の感度を示す照射量における100nmラインパターン(ライン:スペース=1:1)の断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4800)を用いて観察した。そして、その形状を、「矩形」又は「テーパー」の2段階で評価した。
(ラフネス特性:LER)
上記の100nmラインパターン(ライン:スペース=1:1)を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9260)を用いて観察した。そして、その長さ方向50μmに含まれる等間隔の30点について、エッジがあるべき基準線と実際のエッジとの間の距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3 σを算出した。そして、この3σを「LER(nm)」とした。
これらの評価結果を、下記表4に示す。
表4に示すように、実施例の組成物は、比較例の組成物と比較して、感度、パターン形状及びLERの全てにおいて優れていた。
上記結果より、本発明の組成物を用いたパターン形成方法は、各種の半導体素子、記録媒体などの電子デバイスの製造におけるリソグラフィープロセスとして、好適に用い得ることがわかる。
本発明の組成物においては、アルカリ現像液のかわりに有機溶剤である酢酸ブチルを現像液として用いて、良好なネガ型パターンを得ることができた。