本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
なお、ここで「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外(EUV)線、X線、軟X線、電子線(EB)等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、ここで「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物>
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」などともいう)は、後述する極性変換基を少なくとも2つ以上有する繰り返し単位(c)を含有する樹脂(Aa)、後述する一般式(A)で表される繰り返し単位を有し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂(Ab)、及び、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する。
本発明の組成物は、一態様において、酸増殖剤、溶剤、塩基性化合物、界面活性剤及びその他の添加物から選択される少なくとも1つを更に含有する。
以下、これら各成分について説明する。
[1]樹脂(Aa)
<繰り返し単位(c)>
樹脂(Aa)は、後掲の一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される構造における−COO−で表される基(以下において、「極性変換基」ともいう。)を少なくとも2つ以上有する繰り返し単位(c)を含有する。樹脂(Aa)は、後述する樹脂(Ab)との親疎水性の差によって、製膜により膜の表面に偏在し、保護膜を形成することができる。極性変換基は、アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基であり、膜表層部にアルカリ現像液の作用により分解する成分が偏在することにより、アルカリ現像液との親和性が高くなり、高感度化、ラフネス特性及び現像欠陥の改善を図ることが可能となった。また、EUVリソグラフィーにおけるアウトバンド光によるパターン形状劣化(膜ベリ)も同時に改善することができる。なお、製膜により膜表面に偏在し、保護膜を形成したかどうかは、例えば、樹脂(Aa)を添加しない組成物膜の表面静止接触角(純水による接触角)と、樹脂(Aa)を添加した組成物膜の表面静止接触角とを比較して、その接触角が上昇した場合、保護層が形成されたとみなすことができる。
繰り返し単位(c)が、1つの側鎖上に、少なくとも2つ以上の極性変換基と、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかと、を有する繰り返し単位(c')であることが好ましい。即ち、複数の極性変換基を有する側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する構造をもつ繰り返し単位である。なお、フッ素原子は、後述する極性変換基における電子求引性基としてのフッ素原子であっても、該電子求引性基としてのフッ素原子とは異なるフッ素原子であってもよい。
また、繰り返し単位(c)が、少なくとも2つ以上の極性変換基を有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子を有さない繰り返し単位(c*)であり、樹脂(Aa)がフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する後掲の繰り返し単位(Aa3)を更に有することも好ましい。
あるいは、繰り返し単位(c)が、1つの側鎖上に少なくとも2つ以上の極性変換基を有し、かつ、同一繰り返し単位内の前記側鎖と異なる側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(c'')であることも好ましい。この場合、極性変換基を有する側鎖とフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する側鎖とは、主鎖の炭素原子を介してα位の位置関係、すなわち下記式(4)のような位置関係にあることが好ましい。式中、B1は極性変換基を有する部分構造、B2はフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する部分構造を表す。
これら樹脂(Aa)の態様のうち、繰り返し単位(c')を有することがより好ましい。
ここで、極性変換基とは、上述したように、アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基であり、後掲の一般式(KA−1)又は(KB−1)で示す構造における−COO−で表される部分構造である。
一般式(KA−1)で表すラクトン構造は、ラクトン環を有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を有する基であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。
なお、繰り返し単位における樹脂の主鎖に直結のエステル基(例えばアクリレートにおける−COO−)は極性変換基としての機能が劣るため、本件における極性変換基には含まれない。
また、繰り返し単位(c)は、(KA−1)又は(KB−1)で表される構造全体を別個に2つ有していなくてもよく、一部を重複して、例えば1つの電子求引性基を2つのエステル構造が挟む形であっても、後述する式(KY−1)の形態であっても、2つの極性変換基を含むと解する。
また、繰り返し単位(c*)及び繰り返し単位(c'')においては、極性変換基が、一般式(KA−1)で示す構造における−COO−で表される部分構造であることがより好ましい。
一般式(KA−1)中、
Zkaは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、又は電子求引性基を表す。Zkaが複数存在する場合、複数のZkaは同じでも異なっていてもよく、Zka同士が連結して環を形成してもよい。Zka同士が連結して形成する環としては、例えば、シクロアルキル環、ヘテロ環(環状エーテル環、ラクトン環など)が挙げられる。
nkaは0〜10の整数を表す。nkaは、好ましくは0〜8の整数であり、より好ましくは0〜5の整数であり、更に好ましくは1〜4の整数であり、最も好ましくは1〜3の整数である。
Qは、式中の原子と共にラクトン環を形成するのに必要な原子群を表す。ラクトン環は、上述したように、ラクトン構造を有する基であれば特に限定されないが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を有する基であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。
一般式(KB−1)中、
Xkb1及びXkb2は、各々独立して電子求引性基を表す。
nkb及びnkb’は、各々独立して0又は1を表す。なお、nkb、nkb’が0の場合、Xkb1、Xkb2はエステル基(−COO−)と直結していることを表す。
Rkb1、Rkb2、Rkb3及びRkb4は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は電子求引性基を表す。Rkb1、Rkb2及びXkb1の少なくとも2つが互いに連結して環を形成していてもよく、Rkb3、Rkb4及びXkb2の少なくとも2つが互いに連結して環を形成していてもよい。
Rkb3、Rkb4及びXkb2の少なくとも2つが互いに連結して形成してもよい環としては、好ましくはシクロアルキル基又はヘテロ環基が挙げられ、ヘテロ環基としてはラクトン環基が好ましい。ラクトン環としては、例えば後述する式(KA−1−1)〜(KA−1−17)で表わされる構造が挙げられる。
なお、一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される構造は、一般式(KA−1)で表される構造、Xkb1、Xkb2が1価である場合の(KB−1)で表される構造の場合のように、結合手を有しない場合は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の部分構造である。
Zka、Xkb1、Xkb2、Rkb1〜Rkb4における電子求引性基としては、ハロゲン原子、シアノ基、オキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、ニトリル基、ニトロ基、スルホニル基、スルフィニル基、又は、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基、及びこれらの組み合わせをあげることができる。
なお、「ハロ(シクロ)アルキル基」とは、少なくとも一部がハロゲン化したアルキル基及びシクロアルキル基を表す。電子求引性基が2価以上の基である場合、残る結合手は、任意の原子又は置換基との結合を形成するものであり、更なる置換基を介して樹脂(Aa)の主鎖に連結していてもよい。
ここでRf1はハロゲン原子、パーハロアルキル基、パーハロシクロアルキル基、又はパーハロアリール基を表し、より好ましくはフッ素原子、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロシクロアルキル基、更に好ましくはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
Rf2、Rf3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子又は有機基を表し、Rf2とRf3とが連結して環を形成してもよい。有機基としては例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等を表す。
Rf1〜Rf3の少なくとも2つは連結して環を形成してもよく、形成する環としては、(ハロ)シクロアルキル環、(ハロ)アリール環等が挙げられる。
Rf1〜Rf3における(ハロ)アルキル基としては、例えば前記Zkaにおけるアルキル基、及びこれがハロゲン化した構造が挙げられる。
Rf1〜Rf3における、又は、Rf2とRf3とが連結して形成する環における(パー)ハロシクロアルキル基及び(パー)ハロアリール基としては、例えば前記Zkaにおけるシクロアルキル基がハロゲン化した構造、より好ましくは−C(n)F(2n−2)Hで表されるフルオロシクロアルキル基、及び、−C(n)F(n−1)で表されるパーフルオロアリール基が挙げられる。ここで炭素数nは特に限定されないが、5〜13のものが好ましく、6がより好ましい。
Rf2、はRf1と同様の基を表すか、又はRf3と連結して環を形成していることがより好ましい。
電子求引性基としては、好ましくはハロゲン原子、又は、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基であり、より好ましくは−C(CF3)2H又は−C(CF3)2CH3である。
なお、上記電子求引性基は、一部のフッ素原子が別の電子求引性基で置換されていてもよい。
Zkaは好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、又は電子求引性基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又は電子求引性基である。なお、エーテル基としては、アルキル基又はシクロアルキル基等で置換されたもの、すなわち、アルキルエーテル基等が好ましい。電子求引性基は前記と同義である。
Zkaとしてのハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Zkaとしてのアルキル基は置換基を有していてもよく、直鎖、分岐のいずれでもよい。直鎖アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。分岐アルキル基としては、好ましくは炭素数3〜30、更に好ましくは3〜20であり、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、i−ノニル基、t−デカノイル基等が挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Zkaのシクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。後者の場合、シクロアルキル基は、有橋式であってもよい。即ち、この場合、シクロアルキル基は、橋かけ構造を有していてもよい。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
単環型のシクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のものが好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基が挙げられる。
多環型のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数が5以上のビシクロ、トリシクロ又はテトラシクロ構造を有する基が挙げられる。この多環型のシクロアルキル基は、炭素数が6〜20であることが好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。
これらシクロアルキル基としては、例えば、下式により表されるものが挙げられる。
上記脂環部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基、トリシクロデカニル基である。
これらの脂環式構造の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表す。上記アルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アルキル基及びアルコキシ基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)等を挙げることができる。
Zkaのアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
Zkaのアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基が更に有し得る置換基としては、例えば、水酸基;ハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;上記のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びt−ブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ベンジル基、フェネチル基及びクミル基等のアラルキル基;アラルキルオキシ基;ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基及びバレリル基等のアシル基;ブチリルオキシ基等のアシロキシ基;アルケニル基;ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基及びブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;上記のアリール基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;並びに、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
極性変換基がアルカリ現像液の作用により分解し極性変換がなされることによって、アルカリ現像後の樹脂組成物膜の水との後退接触角を下げることが出来る。
アルカリ現像後の樹脂組成物膜の水との後退接触角は、露光時の温度、通常室温23±3℃、湿度45±5%において50°以下であることが好ましく、より好ましくは40°以下、更に好ましくは35°以下、最も好ましくは30°以下である。
後退接触角とは、液滴−基板界面での接触線が後退する際に測定される接触角であり、動的な状態での液滴の移動しやすさをシミュレートする際に有用であることが一般に知られている。簡易的には、針先端から吐出した液滴を基板上に着滴させた後、その液滴を再び針へと吸い込んだときの、液滴の界面が後退するときの接触角として定義でき、一般に拡張収縮法と呼ばれる接触角の測定方法を用いて測定することができる。
樹脂(Aa)のアルカリ現像液に対する加水分解速度は0.001nm/sec以上であることが好ましく、0.01nm/sec以上であることがより好ましく、0.1nm/sec以上であることが更に好ましく、1nm/sec以上であることが最も好ましい。
ここで樹脂(Aa)のアルカリ現像液に対する加水分解速度は23℃のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)(2.38質量%)に対して、樹脂(Aa)のみで樹脂膜を製膜した際の膜厚が減少する速度である。
一般式(KA−1)におけるラクトン環構造としては、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基がより好ましい。また、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては、(KA−1−1)、(KA−1−4)、(KA−1−5)、(KA−1−6)、(KA−1−13)、(KA−1−14)、(KA−1−17)である。
以下、ラクトン構造を有する骨格の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
ラクトン構造部分は、置換基を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、シアノ基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、酸分解性基である。置換基が複数存在する場合は、同一でも異なっていてもよく、置換基同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン構造は光学活性体が存在するものもあるが、いずれの光学活性体を用いてもよい。また、1種の光学活性体を単独で用いても、複数の光学活性体を混合して用いてもよい。1種の光学活性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上である。
上記(KB−1)で表される構造は、エステル構造に近い位置に電子求引性基が存在する構造を有するため、高い極性変換能を有する。
Xkb2は好ましくはハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
繰り返し単位(c)が有する少なくとも2つの極性変換基は、下記一般式(KY−1)で示す、2つの極性変換基を有する部分構造であることがより好ましい。なお、一般式(KY−1)で表される構造は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
一般式(KY−1)において、
Rky1、Rky4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。或いは、Rky1、Rky4が同一の原子と結合して二重結合を形成していてもよく、例えばRky1、Rky4が同一の酸素原子と結合してカルボニル基の一部(=O)を形成してもよい。
Rky2、Rky3はそれぞれ独立して電子求引性基であるか、又はRky1とRky3が連結してラクトン環を形成するとともにRky2が電子求引性基である。形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるXkb1と同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
Rky1、Rky3及びRky4の少なくとも2つが互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
Rkb1〜Rkb4、nkb、nkb’は各々前記式(KB−1)におけるものと同義である。
Rky1、Rky4は具体的には式(KA−1)におけるZkaと同様の基が挙げられる。
Rky1とRky3が連結して形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるXkb1と同様のものが挙げられる。
一般式(KY−1)で表わされる構造としては、下記一般式(KY−2)で示す構造であることがより好ましい。なお、一般式(KY−2)で表される構造は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
式(KY−2)中、
Rky6〜Rky10は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。
Rky6〜Rky10は、2つ以上が互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
Rky5は電子求引性基を表す。電子求引性基は前記式(KB−1)におけるXkb1におけるものと同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
Rkb1、Rkb2、nkbは各々前記式(KB−1)におけるものと同義である。
Rky5〜Rky10は具体的には式(KA−1)におけるZkaと同様の基が挙げられる。
式(KY−2)で表される構造は、下記一般式(KY−3)で示す部分構造であることがより好ましい。
一般式(KY−3)中、
Rsは、鎖状若しくは環状アルキレン基を表し、複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
Lsは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、複数ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
nsは、−(Rs−Ls)−で表される連結基の繰り返し数を表し、0〜5の整数を表す。
Lkyはアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Zkaは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、又は電子求引性基を表す。Zkaが複数存在する場合、複数のZkaは同じでも異なっていてもよく、Zka同士が連結して環を形成してもよい。
nkaは、0〜10の整数を表す。
Rkb1及びRkb2は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は電子求引性基を表し、Rkb1、Rkb2及びRky5の少なくとも2つが互いに連結して環を形成していてもよい。
nkbは、0又は1を表す。
Rky5は電子求引性基を表す。
*は、繰り返し単位の残部との結合部位を表す。
一般式(KY−3)について更に詳細に説明する。
Zka、nkaは各々、前記一般式(KA−1)と同義である。Rky5は前記式(KY−2)と同義である。
Rkb1、Rkb2、nkbは各々前記式(KB−1)におけるものと同義である。
Lkyは、上述の通り、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lkyのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Lkyは酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることが更に好ましい。
Rsは、上述の通り、鎖状若しくは環状アルキレン基を表し、複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
Lsは、上述の通り、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、複数ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
nsは、−(Rs−Ls)−で表される連結基の繰り返し数を表し、0〜5の整数を表す。nsは、好ましくは0又は1である。
繰り返し単位(c)は式(K0)で示される構造を有することが好ましい。
式中、Rk1は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を有する基を表す。
Rk2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を有する基を表す。但し、Rk1、Rk2は、全体として、極性変換基を2つ以上有する。
なお、一般式(K0)に示されている繰り返し単位の主鎖に直結しているエステル基は、前述したように、本発明における極性変換基には含まれない。
繰り返し単位(c)は、付加重合、縮合重合、付加縮合、等、重合により得られる繰り返し単位であれば限定されるものではないが、炭素−炭素2重結合の付加重合により得られる繰り返し単位であることが好ましい。例として、アクリレート系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、スチレン系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位、マレイン酸誘導体(マレイン酸無水物やその誘導体、マレイミド、等)の繰り返し単位、等を挙げることが出来、アクリレート系繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位が最も好ましい。
本発明の一形態において、樹脂(Aa)として、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有することで、レジスト表面の疎水性(水追従性)が向上し、現像残渣(スカム)が低減する。
なお、本発明の一形態において、樹脂(Aa)は極性変換基を複数有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂であり得るが、該フッ素原子は、一般式(KB−1)におけるXkb1、Xkb2の電子求引性基であってもよいし、後述する繰り返し単位(Aa−3)に含有されていてもよい。
本発明の一形態において、樹脂(Aa)に於けるフッ素原子又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
以下、繰り返し単位(c)の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。Raは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
樹脂(Aa)が繰り返し単位(c)を含有する場合、繰り返し単位(c)の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、10〜90mol%が好ましく、より好ましくは30〜85mol%、更に好ましくは50〜80mol%である。
繰り返し単位(c’)の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、10〜90mol%が好ましく、より好ましくは30〜85mol%、更に好ましくは50〜80mol%である。
繰り返し単位(c*)の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、10〜90mol%が好ましく、より好ましくは30〜85mol%、更に好ましくは50〜80mol%である。
繰り返し単位(c”)の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、10〜90mol%が好ましく、より好ましくは30〜85mol%、更に好ましくは50〜80mol%である。
<繰り返し単位(Aa3)>
本発明の一形態において、樹脂(Aa)は、フッ素原子、フッ素原子を有する基、珪素原子を有する基、炭素数が6以上のアルキル基、炭素数が5以上のシクロアルキル基、炭素数が6以上のアリール基、及び、炭素数が7以上のアラルキル基からなる群より選択される1つ以上の基を有する繰り返し単位(Aa3)を更に含んでもよい。この繰り返し単位(Aa3)は、上述した繰り返し単位(c)とは異なる繰り返し単位である。
感度の観点から、繰り返し単位(Aa3)は、フッ素原子、又は、フッ素原子を有する基を有することが好ましい。樹脂(Aa)がフッ素原子、又は、フッ素原子を有する基を有することにより、樹脂(Aa)の極紫外線に対する吸収係数が向上し、また樹脂(Aa)はレジスト膜表面に偏在する性質を有しているため、露光時に極紫外線がより強く照射される膜表面において、上記極紫外線のエネルギーを効率的に吸収することが可能となり、結果として感度が向上するものと考えられる。
フッ素原子を有する基としては、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基などが挙げられる。
フッ素原子を有するアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4のフッ素原子を有するアルキル基が挙げられ、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基としては、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、及びフッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
一般式(F2)〜(F4)中、
R57〜R68は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。但し、R57〜R61少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ、及びR65〜R68の少なくとも1つは、それぞれ独立に、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
R57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)で表される基の具体例としては、例えば、−C(CF3)2OH、−C(C2F5)2OH、−C(CF3)(CH3)OH、−CH(CF3)OH等が挙げられ、−C(CF3)2OHが好ましい。
珪素原子を有する基としては、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、環状シロキサン構造などが挙げられる。
W3〜W6についてのアルキルシリル構造、又は環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
一般式(CS−1)〜(CS−3)に於いて、
R12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。
L3〜L5は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、及びウレア結合よりなる群から選択される単独或いは2つ以上の組み合わせ(好ましくは総炭素数12以下)が挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
炭素数が6以上のアルキル基としては、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜15の直鎖又は分岐アルキル基を挙げられ、更に、置換基(ただし、フッ素原子、フッ素原子を有する基、及び、珪素原子を有する基には相当しない)を有していてもよい。
炭素数が5以上のシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5〜20、より好ましくは炭素数5〜15のシクロアルキル基が挙げられ、更に、置換基(ただし、フッ素原子、フッ素原子を有する基、及び、珪素原子を有する基には相当しない)を有していてもよい。
炭素数が6以上のアリール基としては、好ましくは、炭素数6〜20、より好ましくは、炭素数6〜15のアリール基が挙げられ、更に、置換基(ただし、フッ素原子、フッ素原子を有する基、及び、珪素原子を有する基には相当しない)を有していてもよい。
このアリール基は、少なくとも1つの炭素数3以上のアルキル基、又は、少なくとも1つの炭素数5以上のシクロアルキル基で置換されていてもよく、更にこれら以外の他の置換基(ただし、フッ素原子、フッ素原子を有する基、及び、珪素原子を有する基には相当しない)で置換されていてもよい。
上記炭素数3以上のアルキル基としては、好ましくは、炭素数3〜15、より好ましくは炭素数3〜10の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。少なくとも1個の炭素数3以上のアルキル基で置換されたアリール基において、アリール基は、1〜9個の炭素数3以上のアルキル基により置換されることが好ましく、1〜7個の炭素数3以上のアルキル基により置換されることがより好ましく、1〜5個の炭素数3以上のアルキル基により置換されることが更に好ましい。
上記炭素数5以上のシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5〜20、より好ましくは炭素数5〜15のシクロアルキル基が挙げられる。少なくとも1個の炭素数5以上のシクロアルキル基で置換されたアリール基において、アリール基は、1〜5個の炭素数5以上のシクロアルキル基により置換されることが好ましく、1〜4個の炭素数5以上のシクロアルキル基により置換されることがより好ましく、1〜3個の炭素数5以上のシクロアルキル基により置換されることが更に好ましい。
炭素数が7以上のアラルキル基としては、好ましくは、炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜15のアラルキル基が挙げられ、更に、置換基(ただし、フッ素原子、フッ素原子を有する基、及び、珪素原子を有する基には相当しない)を有していてもよい。
樹脂(Aa)は、上記繰り返し単位(Aa3)として、下記一般式(C−Ia)〜(C−Id)のいずれかで表される繰り返し単位を少なくとも1種有することが好ましい。
式中、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる。R10及びR11は、各々独立に、水素原子、又は、メチル基であることが好ましい。
W3、W5及びW6は、それぞれ独立して、フッ素原子を有する基、珪素原子を有する基、炭素数6以上のアルキル基、炭素数5以上のシクロアルキル基、炭素数6以上のアリール基、及び、炭素数7以上のアラルキル基からなる群より選択される1つ以上を有する有機基を表す。
W4は、フッ素原子を有する基、珪素原子を有する基、炭素数3以上のアルキル基、及び、炭素数5以上のシクロアルキル基からなる群より選択される1つ以上を有する有機基を表す。
Ar11は、(r+1)価の芳香環基を表す。
rは、1〜10の整数を表す。
(r+1)価の芳香環基Ar11として、rが1である場合における2価の芳香環基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基などの炭素数6〜18のアリーレン基などが挙げられる。
rが2以上の整数である場合における(r+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(r−1)個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げることができる。
W3〜W6についてのフッ素原子を有する基としては、前記したフッ素原子を有する基で挙げたものと同様である。
W3〜W6についてのフッ素原子を有する基は、前記一般式(C−Ia)〜(C−Id)で表される繰り返し単位に直接結合しても良く、更に、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びウレイレン結合よりなる群から選択される基、或いはこれらの2つ以上を組み合わせた基を介して前記一般式(C−Ia)〜(C−Id)で表される繰り返し単位に結合しても良い。
W3〜W6についての珪素原子を有する基としては、前記した珪素原子を有する基で挙げたものと同様である。
W3、W5、W6についての炭素数6以上のアルキル基、炭素数5以上のシクロアルキル基、炭素数6以上のアリール基、及び、炭素数7以上のアラルキル基は、それぞれ、前述したものと同様である。
W4についての炭素数3以上のアルキル基、及び、炭素数5以上のシクロアルキル基は、それぞれ、前記の少なくとも1個の炭素数3以上のアルキル基で置換された芳香環基における「炭素数3以上のアルキル基」、及び、前記の少なくとも1個の炭素数5以上のシクロアルキル基で置換された芳香環基における「炭素数5以上のシクロアルキル基」に関して説明したものと同様である。
露光源が極紫外線(EUV光)である場合は、上記した理由により、W3、W5及びW6は、それぞれ独立して、珪素原子を有する基、炭素数6以上のアルキル基、炭素数5以上のシクロアルキル基、炭素数6以上のアリール基、及び、炭素数7以上のアラルキル基からなる群より選択される1つ以上を有する有機基を表すことも好ましく、W4は、珪素原子を有する基、炭素数3以上のアルキル基、及び、炭素数5以上のシクロアルキル基からなる群より選択される1つ以上を有する有機基を表すことも好ましい。
W3、W5及びW6は、それぞれ独立して、フッ素原子を有する有機基、珪素原子を有する有機基、炭素数6以上のアルキル基、炭素数5以上のシクロアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は、炭素数7以上のアラルキル基であることが好ましく、露光源が極紫外線(EUV光)である場合は、上記した理由により、珪素原子を有する有機基、炭素数6以上のアルキル基、炭素数5以上のシクロアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は、炭素数7以上のアラルキル基であることも好ましい。
W4は、フッ素原子を有する有機基、珪素原子を有する有機基、炭素数3以上のアルキル基、又は、炭素数5以上のシクロアルキル基であることが好ましく、露光源が極紫外線(EUV光)である場合は、上記した理由により、珪素原子を有する有機基、炭素数3以上のアルキル基、又は、炭素数5以上のシクロアルキル基であることも好ましい。
以下、前記一般式(C−Ia)〜(C−Id)のいずれかで表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。
樹脂(Aa)は、アリール基を有することが好ましく、アリール基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。樹脂(Aa)がアリール基を有することにより、アリール基が、EUV光のアウトオブバンド光を吸収し、露光部の表面のみが、アウトオブバンド光によって感光して、パターンの表面が荒れたり(特に、EUV露光の場合)、パターンの断面形状がT−top形状や逆テーパ形状になったり、分離すべきパターンの表面同士が分離せずに、ブリッジ部が発生するという不具合をより抑制できる。
この場合、前記繰り返し単位(Aa3)がアリール基を有してもよく、あるいは、樹脂(Aa)が更に前記繰り返し単位(Aa3)以外の繰り返し単位を有するとともに、該繰り返し単位がアリール基を有していてもよい。
前記繰り返し単位(Aa3)がアリール基を有する場合における繰り返し単位(Aa3)は、下記一般式(C−II)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式中、
R12は水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、フッ素原子を表す。
W7は、フッ素原子を有する基、珪素原子を有する基、炭素数3以上のアルキル基、炭素数5以上のシクロアルキル基からなる群より選択される1つ以上を有する有機基を表す。
L1は単結合、又は、−COOL2−基を表す。L2は、単結合又はアルキレン基を表す。
nは、1〜5の整数を表す。
W7についてのフッ素原子を有する基、及び、珪素原子を有する基としては、それぞれ、前記したフッ素原子を有する基、及び、珪素原子を有する基で挙げたものと同様である。 W7についての炭素数3以上のアルキル基、及び、炭素数5以上のシクロアルキル基は、それぞれ、前記の少なくとも1個の炭素数3以上のアルキル基で置換された芳香環基における「炭素数3以上のアルキル基」、及び、前記の少なくとも1個の炭素数5以上のシクロアルキル基で置換された芳香環基における「炭素数5以上のシクロアルキル基」に関して説明したものと同様である。
W7はトリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基、トリアルキルシリル基を有するアルキル基、トリアルコキシシリル基を有するアルキル基、炭素数3以上のアルキル基、又は、炭素数5以上のシクロアルキル基であることが好ましい。
W7としてのトリアルキルシリル基、トリアルコキシシリル基、トリアルキルシリル基を有するアルキル基、及び、トリアルコキシシリル基を有するアルキル基において、珪素原子に結合するアルキル基又はアルコキシ基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
また、W7としてのトリアルキルシリル基を有するアルキル基、及び、トリアルコキシシリル基を有するアルキル基において、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基に結合するアルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
R12は水素原子またはメチル基であることが好ましい。
L2としてのアルキレン基は、炭素数1〜5のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基であることがより好ましい。L2は単結合であることが好ましい。
W7は、フッ素原子を有する有機基、珪素原子を有する有機基、炭素数3以上のアルキル基、又は、炭素数5以上のシクロアルキル基であることが好ましい。
以下に一般式(C−II)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
樹脂(Aa)が繰り返し単位(Aa3)を含有する場合、繰り返し単位(Aa3)の樹脂(Aa)の全繰り返し単位に対する含有率は、1〜95モル%であることが好ましく、3〜65モル%であることがより好ましく、5〜35モル%であることが更に好ましい。
<繰り返し単位(Aa4)>
本発明の一形態において、樹脂(Aa)は、下記一般式(Aa4)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(Aa4)」ともいう)を更に含有してもよい。樹脂(Aa)が繰り返し単位(Aa4)を含有することにより、疎水性が向上して偏在性をさらに向上させることができ、アウトバンド光の吸収を向上させることができる。
一般式(Aa4)中、
Rbは、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。
S1aは置換基を表し、複数存在する場合は各々独立である。
pは0〜5の整数を表す。
一般式(Aa4)について詳細に説明する。
式中のRbは、上述したように、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。
Rbとして、好ましくは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子が挙げられ、より好ましくは水素原子である。
S1aは、上述したように、置換基を表す。
S1aにより表される置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、珪素原子を含む有機基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基等が挙げられる。
S1aにより表される置換基は、また、上述した基が、2価の連結基に結合した基であってもよく、2価の連結基としては、例えば、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、もしくはこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
S1aにより表されるアルキル基としては、例えば、炭素原子数が1〜20個のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。更に有し得る好ましい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルキル基、水酸基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、チオフェンカルボニルオキシ基、チオフェンメチルカルボニルオキシ基、ピロリドン残基等のヘテロ環残基などが挙げられ、好ましくは、炭素数12以下の置換基である。
S1aにより表されるシクロアルキル基としては、例えば、炭素原子数が3〜10個のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルネル基、アダマンチル基等が挙げられる。シクロアルキル基は、更に置換基を有していてもよい。更に有し得る好ましい置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基が有し得る置換基に加え、アルキル基が挙げられる。
S1aにより表されるアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数が1〜10個のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基は、更なる置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基が有し得る好ましい置換基と同様の基が挙げられる。
S1aにより表されるアシル基としては、例えば、炭素原子数2〜10個のものが好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等が挙げられる。アシル基は、更なる置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基が有し得る好ましい置換基と同様の基が挙げられる。
S1aにより表されるアシルオキシ基としては、例えば、炭素原子数2〜10個のものが好ましい。アシルオキシ基におけるアシル基としては、例えば、上述したアシル基と同様の具体例が挙げられ、有し得る置換基も同様である。
S1aにより表されるアリール基としては、例えば、炭素原子数6〜10個のものが好ましく、具体的には、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。アリール基は、更なる置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基又はシクロアルキル基が有し得る好ましい置換基と同様の基が挙げられる。
S1aにより表されるアリールオキシ基、アリールチオ基としては、例えば、炭素原子数2〜10個のものが好ましい。アリールオキシ基及びアリールチオ基におけるアリール基としては、例えば、上述したアリール基と同様の具体例が挙げられ、有し得る置換基も同様である。
S1aにより表されるアラルキル基としては、例えば、炭素原子数7〜15個のものが好ましく、具体的には、ベンジル基等が挙げられる。これらの基は、更なる置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、上述したS1aとしてのアルキル基又はシクロアルキル基が有し得る好ましい置換基と同様の基が挙げられる。
S1aにより表されるアラルキルオキシ基、アラルキルチオ基としては、例えば、炭素原子数7〜15個のものが好ましい。アラルキルオキシ基及びアラルキルチオ基におけるアラルキル基としては、例えば、上述したアラルキルと同様の具体例が挙げられ、有し得る置換基も同様である。
S1aにより表されるアルキルチオ基としては、例えば、炭素原子数1〜10個のものが好ましい。アルキルチオ基におけるアルキル基としては、例えば、上述したアルキルと同様の具体例が挙げられ、有し得る置換基も同様である。
S1aにより表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられ、フッ素原子及び塩素原子が好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
S1aにより表される、珪素原子を含む有機基における有機基は、炭素原子を少なくとも1つ含む基であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)などのヘテロ原子を含んでいてもよい。この有機基は、炭素原子数が1〜30個であることが好ましい。
珪素原子を含む有機基は、一態様において、下記一般式(S)で表されることが好ましい。
式中、
R1、R2及びR3は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子を表す。
Lは単結合又は2価の連結基を表す。
R1、R2及びR3におけるアルキル基としては、例えば、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるアルケニル基としては、例えば、炭素原子数が2〜10のアルケニル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるシクロアルキル基としては、例えば、炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるアリール基としては、例えば、炭素原子数が6〜10のアリール基が好ましく、置換基を有していてもよい。
R1、R2及びR3におけるアラルキル基としては、例えば、炭素原子数が7〜15のアラルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
Lにより表される2価の連結基としては、例えば、置換又は無置換のアルキレン基、−O−、−S−、−(C=O)−、又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
S1aは、一態様において、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子又は珪素原子を含む有機基であることが好ましく、アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、又は珪素原子を含む有機基であることがより好ましく、アルキル基又は下記一般式(S−1)で表される基であることが更に好ましい。
式中、
R11、R21及びR31は、各々独立に、アルキル基を表す。
L1は単結合又は2価の連結基を表す。
R11、R21及びR31としてのアルキル基は、先に述べた一般式(S)におけるR1、R2及びR3としてのアルキル基と同義であり、L1としての2価の連結基は、一般式(S)におけるLとしての2価の連結基と同義である。
pは、上述したように、0〜5の整数を表す。pは、好ましくは1〜5の整数である。
以下に、繰り返し単位(Aa4)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではなく、また、ベンゼン環上の置換基(S1a基に対応)の位置も下記具体例に限定されるものでない。
樹脂(Aa)が繰り返し単位(Aa4)を含有する場合、繰り返し単位(Aa4)の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、1〜99mol%が好ましく、より好ましくは1〜70mol%であり、更に好ましくは1〜50mol%であり、特に好ましくは1〜30mol%である。
<酸の作用により分解する基を有する繰り返し単位>
本発明の一形態において、樹脂(Aa)は、酸の作用により分解する基(以下、「酸分解性基」という)を有する繰り返し単位を更に含有することが好ましい。
この繰り返し単位が有する酸分解性基は、酸分解後にフェノール又はカルボン酸を生成する基であることが好ましく、カルボン酸を生成する基であることが基であることがより好ましい。そして、酸分解後にフェノールを生成する酸分解性基は、アセタール基であることが好ましい。
本発明の一形態において、樹脂(Aa)が含有し得る酸分解性基を有する繰り返し単位としては、例えば、後述する樹脂(Ab)において説明する一般式(A1)、(A2)又は(A3)で表される繰り返し単位が挙げられる。
また、本発明の一形態において、酸分解後にカルボン酸を生成する酸分解性基を有する繰り返し単位は、下記一般式(Aa1)又は(Aa2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(Aa1)中、
R’は水素原子又はアルキル基を表す。
Lは単結合又は2価の連結基を表す。
R1は水素原子又は1価の置換基を表す。
R2は1価の置換基を表す。R1とR2とが互いに結合し、式中の酸素原子と共に環を形成してもよい。
R3は水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
一般式(Aa2)中、
Raは水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
L1は単結合又は2価の連結基を表す。
R1及びR2はそれぞれ独立にアルキル基を表す。
R11及びR12はそれぞれ独立にアルキル基を表し、R13は水素原子又はアルキル基を表す。R11、R12及びR13のいずれか2つは互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(Aa1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(Aa1)」ともいう。)と、一般式(Aa2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(Aa2)」ともいう。は、上述した通り、いずれも酸の作用に対する反応速度が高いが、繰り返し単位(Aa1)の方が酸の作用に対する反応速度がより高い。したがって、高感度化の観点からは、樹脂(Aa)は繰り返し単位(Aa1)を含むことがより好ましい。
以下、繰り返し単位(Aa1)及び繰り返し単位(Aa2)について詳細に説明する。
<繰り返し単位(Aa1)>
まず、一般式(Aa1)で表される繰り返し単位について説明する。
上記一般式(Aa1)において、R’のアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1又は2のアルキル基(すなわち、メチル基又はエチル基)であることが好ましい。R’のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及び、t−ブチル基などを挙げることができる。
R’は、水素原子、又は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
Lで表される2価の連結基としては、アルキレン基、芳香環基、シクロアルキレン基、−COO−L1’−、−O−L1’−、−CONH−、これらの2つ以上を組み合わせて形成される基等が挙げられる。ここで、L1’はアルキレン基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜20)、ラクトン構造を有する基、芳香環基、アルキレン基と芳香環基を組み合わせた基を表す。
Lで表される2価の連結基としてのアルキレン基としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基が挙げられる。炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基が特に好ましい。
Lで表される2価の連結基としてのシクロアルキレン基は、炭素数3〜20のシクロアルキレン基であることが好ましく、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、ノルボルニレン基又はアダマンチレン基が挙げられる。
Lで表される2価の連結基としての芳香環基は、ベンゼン環、ナフタレン環基などの炭素数6〜18(より好ましくは炭素数6〜10)の芳香環基、あるいは、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香環基を好ましい例として挙げることができ、ベンゼン環基であることが特に好ましい。
L1’が表すアルキレン基、シクロアルキレン基及び芳香環基の定義及び好ましい範囲は、Lで表される2価の連結基としてのアルキレン基、シクロアルキレン基及び芳香環基におけるものと同様である。
L1’が表すラクトン構造を有する基としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。例えば、後述のKA−1−1〜KA−1−17を挙げることができるが、KA−1−1、KA−1−4、KA−1−5、KA−1−17好ましい。
L1’が表すアルキレン基と芳香環基を組み合わせた基におけるアルキレン基及び芳香族基の定義及び好ましい範囲は、Lで表される2価の連結基としてのアルキレン基及び芳香環基におけるものと同様である。
Lは、単結合、芳香環基、ノルボルナン環基又はアダマンタン環基であることが好ましく、単結合、ノルボルナン環基又はアダマンタン環基がより好ましく、単結合又はノルボルナン環基が更に好ましく、単結合が特に好ましい。
R1の1価の置換基としては、*−C(R111)(R112)(R113)で表される基であることが好ましい。*は一般式(Aa1)で表される繰り返し単位内の炭素原子に連結する結合手を表す。R111〜R113はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表す。
R111〜R113のアルキル基は、炭素数1〜15のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることが更に好ましい。R111〜R113のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基などを挙げることができ、R111〜R113のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又はt−ブチル基であることが好ましい。
R111〜R113の少なくとも2つは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表し、R111〜R113の全てが、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表すことが好ましい。
R111〜R113のシクロアルキル基は、単環型であっても、多環型であってもよく、炭素数3〜15のシクロアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜10のシクロアルキル基であることがより好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキル基であることが更に好ましい。R111〜R113のシクロアルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、デカヒドロナフチル基、シクロデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、及び、2−ノルボルニル基などを挙げることができる。R111〜R113のシクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロペンチル基、又は、シクロヘキシル基であることが好ましい。
R111〜R113のアリール基は、炭素数6〜15のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、複数の芳香環が単結合を介して互いに連結された構造(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基)も含む。R111〜R113のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。R111〜R113のアリール基は、フェニル基、ナフチル基、又は、ビフェニル基であることが好ましい。
R111〜R113のアラルキル基は、炭素数6〜20のアラルキル基であることが好ましく、炭素数7〜12のアラルキル基であることより好ましい。R111〜R113のアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
R111〜R113のヘテロ環基は、炭素数6〜20のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数6〜12のヘテロ環基であることがより好ましい。R111〜R113のヘテロ環基の具体例としては、例えば、ピリジル基、ピラジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフェン基、ピペリジル基、ピペラジル基、フラニル基、ピラニル基、クロマニル基等が挙げられる。
R111〜R113としてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及びヘテロ環基は、置換基を更に有していてもよい。
R111〜R113としてのアルキル基が更に有し得る置換基としては、例えば、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基などが挙げられる。上記置換基同士が互いに結合して環を形成してもよく、上記置換基同士が互いに結合して環を形成するときの環は、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はフェニル基が挙げられる。
R111〜R113としてのシクロアルキル基が更に有し得る置換基としては、アルキル基、及び、R111〜R113としてのアルキル基が更に有し得る置換基の具体例として前述した各基が挙げられる。
なお、シクロアルキル基が更に有し得る置換基の炭素数は、好ましくは、1〜8である。
R111〜R113としてのアリール基、アラルキル基及びヘテロ環基が更に有し得る置換基としては、例えば、ニトロ基、フッ素原子等のハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、及びアルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)などが挙げられる。
R111〜R113の少なくとも2つは、互いに環を形成していてもよい。
R111〜R113の少なくとも2つが互いに結合して環を形成する場合、形成される環としては、例えばテトラヒドロピラン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環、ノルボルネン環、ノルボルナン環などが挙げられる。これらの環は置換基を有しても良く、有し得る置換基としては、アルキル基、及び、R111〜R113としてのアルキル基が更に有し得る置換基の具体例として前述した各基が挙げられる。
R111〜R113の全てが互いに結合して環を形成する場合、形成される環としては、例えばアダマンタン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、ビシクロ[2,2,2]オクタン環、ビシクロ[3,1,1]ヘプタン環が挙げられる。中でもアダマンタン環が特に好ましい。これらは置換基を有しても良く、有し得る置換基としては、アルキル基、及び、R111〜R113としてのアルキル基が更に有し得る置換基の具体例として前述した各基が挙げられる。
本発明の一形態において、R2の1価の置換基は、*−M−Qで表される基であることが好ましい。*は一般式(Aa1)中の酸素原子に連結する結合手を表す。Mは、単結合又は2価の連結基を表す。Qは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。本発明の一形態において、R2はフッ素原子を含まないことが好ましい。
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基又はオクチレン基)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜15のシクロアルキレン基、例えば、シクロペンチレン基又はシクロヘキシレン基)、−S−、−O−、−CO−、−CS−、−SO2−、−N(R0)−、又はこれらの2種以上の組み合わせであり、総炭素数が20以下のものが好ましい。ここで、R0は、水素原子又はアルキル基(例えば炭素数1〜8のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基等)である。
Mは、単結合、アルキレン基、又は、アルキレン基と−O−、−CO−、−CS−及び−N(R0)−の少なくとも一つとの組み合わせからなる2価の連結基が好ましく、単結合、アルキレン基、又はアルキレン基と−O−との組み合わせからなる2価の連結基がより好ましい。ここで、R0は上述のR0と同義である。
Mは置換基を更に有していてもよく、Mが更に有し得る置換基は、上述したR111〜R113のアルキル基が有し得る置換基と同様である。
Qとしてのアルキル基の具体例及び好ましい例は、例えば、上述したR111〜R113としてのアルキル基について記載したものと同様である。
Qとしてのシクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。このシクロアルキル基の炭素数は、好ましくは3〜10とする。このシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基、ボルニル基、イソボルニル基、4−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル基、8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基が挙げられる。中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−アダマンチル基、8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基が好ましい。
Qとしてのアリール基の具体例及び好ましい例は、例えば、上述したR111〜R113としてのアリール基について説明したものと同様である。
Qとしてのヘテロ環基の具体例及び好ましい例は、例えば、上述したR111〜R113としてのヘテロ環基について説明したものと同様である。
Qとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
R2は、アルキル基、シクロアルキル基で置換されたアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリールオキシアルキル基又はヘテロ環基であることが好ましく、アルキル基又はシクロアルキル基であることがより好ましい。R2としてのアルキル基、R2としての「シクロアルキル基」及び「シクロアルキル基で置換されたアルキル基」におけるシクロアルキル基、並びに、R2で表される基としての「アラルキル基(アリールアルキル基)」及び「アリールオキシアルキル基」におけるアリール基の具体例及び好ましい例は、それぞれ、Qとしてのアルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基で説明したものと同様である。
R2としての「シクロアルキル基で置換されたアルキル基」、「アラルキル基(アリールアルキル基)」及び「アリールオキシアルキル基」におけるアルキル部位の具体例及び好ましい例は、それぞれ、Mとしてのアルキレン基で説明したものと同様である。
R2としてのヘテロ環基の具体例及び好ましい例は、Qとしてのヘテロ環基で説明したものと同様である。
R2が表す置換基には、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルエチル基、2−アダマンチル基、8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ベンジル基、2−フェネチル基、2−フェノキシエチレン基等が挙げられる。
R1とR2とは互いに結合し、式中の酸素原子と共に環(含酸素複素環)を形成してもよい。含酸素複素環構造としては、単環、多環又はスピロ環のいずれであっても良く、好ましくは、単環の含酸素複素環構造であり、その炭素数は好ましくは3〜10、より好ましくは4又は5である。
また、上記したように、Mが2価の連結基である場合、Qは単結合又は別の連結基を介してMに結合し、環を形成しても良い。上記別の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基)が挙げられ、形成される環は、5又は6員環であることが好ましい。
R3は、水素原子、又は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本発明の一形態において、R1及びR3の一方は、炭素原子を2以上含む基であることが好ましい。
一般式(Aa1)で表される繰り返し単位は、下記一般式(Aa1−1)〜(Aa1−4)のいずれか1つで表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(Aa1−1)中、
R’1は水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
R11、R12及びR13の各々は、上記一般式(Aa1)におけるR1、R2及びR3と同義である。
一般式(Aa1−2)中、
R’2は水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
R21、R22及びR23の各々は、上記一般式(Aa1)におけるR1、R2及びR3と同義である。
一般式(Aa1−3)中、
R’3は水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
R31、R32及びR33の各々は、上記一般式(Aa1)におけるR1、R2及びR3と同義である。
一般式(Aa1−4)中、
L’は単結合、又は2価の連結基を表す。L’の2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、芳香環基、シクロアルキレン基、−COO−L1’−、−O−L1’−、−CONH−、これらの2つ以上を組み合わせて形成される基等が挙げられる。ここで、L1’はアルキレン基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜20)、芳香環基、アルキレン基と芳香環基を組み合わせた基を表す。L’は、単結合であることが好ましい。
R41、R42及びR43の各々は、上記一般式(Aa1)におけるR1、R2及びR3と同義である。
本発明の一態様において、一般式(Aa1)で表される繰り返し単位は、一般式(Aa1−1)〜(Aa1−4)のいずれかで表される繰り返し単位であることが好ましく、一般式(Aa1−1)〜(Aa1−3)のいずれかで表される繰り返し単位であることがより好ましく、一般式(Aa1−1)又は(Aa1−3)で表される繰り返し単位であることが更に好ましく、一般式(Aa1−1)で表される繰り返し単位であることが特に好ましい。
一般式(Aa1)で表される繰り返し単位は、下記(Aa1−a)〜(Aa1−f)のいずれかで表される繰り返し単位であることも好ましい。
一般式(Aa1−a)中、
Ra’、La、R2a及びR1aの各々は一般式(Aa1)におけるR’、L、R2及びR1と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(Aa1―b)中、
Rb’、Lb、R2b及びR3bの各々は一般式(Aa1)におけるR’、L、R2及びR3と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(Aa1−c)中、
Rc’、Lc、R2c及びR3cの各々は一般式(Aa1)におけるR’、L、R2及びR3と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
R1a’は一般式(Aa1)におけるR111と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(Aa1―d)中、
Rd’、Ld、R2d及びR3dの各々は一般式(Aa1)におけるR’、L、R2及びR3と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
R2a’及びR2b’の各々は、一般式(Aa1)におけるR111及びR112と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(Aa1−e)中、
Re’、Le、R2e及びR3eの各々は一般式(Aa1)におけるR’、L、R2及びR3と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
R3a’、R3b’及びR3c’の各々は、一般式(Aa1)におけるR111、R112及びR113と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(Aa1―f)中、
Rf’及びLfは一般式(Aa1)におけるR’及びLと同様であり、また好ましい範囲も同様である。
R3fは、一般式(Aa1)におけるR3と同様であり、また好ましい範囲も同様である。
R4fは、式中の炭素原子及び酸素原子とともに含酸素複素環を形成するのに必要な原子団を表す。R4fが炭素原子及び酸素原子とともに形成する含酸素複素環構造としては、好ましくは、単環の含酸素複素環構造であり、含酸素複素環の炭素数は好ましくは3〜10、より好ましくは4又は5である。
本発明の一態様において、一般式(Aa1)で表される繰り返し単位は、一般式(Aa1−c)〜(Aa1−f)のうちいずれか1つで表される繰り返し単位であることがより好ましく、一般式(Aa1−e)又は(Aa1−f)で表される繰り返し単位であることが更に好ましい。
上記一般式(Aa1)における、各部分構造及び各基の好ましい具体例を以下に示す。
上記一般式(Aa1)における、下記一般式(Aa1’)で表される部分構造の好ましい具体例は以下の通りである。一般式(Aa1’)及び具体例中、*は上記一般式(Aa1)におけるR1及びR3が結合した炭素原子に連結する結合手を表し、R’及びLは各々、一般式(Aa1)中のR’及びLを表す。
上記一般式(Aa1)におけるR1の1価の置換基の具体例としては、以下のものが挙げられる。*は一般式(Aa1)中の炭素原子に連結する結合手を表す。
上記一般式(Aa1)におけるR2の具体例を示す。以下の具体例中、*は、一般式(Aa1)における酸素原子に結合する結合手を表す。
上記一般式(Aa1)で表される繰り返し単位が、上記一般式(Aa1−f)で表される繰り返し単位である場合における、R4fが、式中の炭素原子及び酸素原子と共に形成する含酸素複素環の具体例を以下に示す。*は、一般式(Aa1−f)における酸素原子に連結する結合手を表す。R3fは、一般式(Aa1−f)におけるものと同様である。
以下に、上記一般式(Aa1)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
樹脂(Aa)における上記一般式(Aa1)で表される繰り返し単位の含有率(複数種類含有する場合はその合計)は、前記樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対して5〜80モル%であることが好ましく、5〜60モル%であることがより好ましく、10〜40モル%であることが更に好ましい。
<繰り返し単位(Aa2)>
次に、一般式(Aa2)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
一般式(Aa2)おいて、R1、R2、R11〜R13としてのアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基などが挙げられる。
R1及びR2についてのアルキル基としては、本発明の効果をより確実に達成する観点から、炭素数2〜10のアルキル基であることがより好ましく、R1及びR2のいずれもがエチル基であることが更に好ましい。
R11及びR12についてのアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
R13としては水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
上述したように、R11及びR12は互いに連結して環を形成してもよく、R11及びR13は互いに連結して環を形成してもよい。形成される環としては、例えば、単環又は多環の脂環式炭化水素基が好ましく、特にR11及びR12が互いに結合して単環又は多環の脂環式炭化水素基を形成することが好ましい。
R11及びR12が連結して形成する環としては、3〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
R11及びR13が連結して形成する環としては、3〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
R11及びR12、もしくは、R11及びR13が連結して形成する環としては、一般式(Aa2−1)のXとして後述する脂環式基であることが更に好ましい。
R1、R2及びR11〜R13としてのアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。このような置換基としては、例えば、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基などが挙げられる。
本発明の一形態において、R1およびR2の少なくとも一方のアルキル基が有する炭素数は2以上であることが好ましい。
また、R11及びR12が連結して形成する環、並びに、R11及びR13が連結して形成する環は、置換基を更に有していてもよく、そのような置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、パーフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)等)、及び、R1、R2及びR11〜R13としてのアルキル基が更に有し得る置換基の具体例として上述した各基が挙げられる。
上記置換基同士が互いに結合して環を形成してもよく、上記置換基同士が互いに結合して環を形成するときの環は、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はフェニル基が挙げられる。
Raは、上述したように、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
Raについてのアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、置換基を有していてもよい。
Raのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
Raのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
Raとして、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)であることが好ましく、樹脂(A)のガラス転移点(Tg)を向上させ、解像力、スペースウィズスラフネスを向上させる観点からメチル基であることが特に好ましい。
ただし、以下に説明するL1がフェニレン基の場合、Raは水素原子であることも好ましい。
L1は、上述したように、単結合又は2価の連結基を表す。
L1で表される2価の連結基としては、アルキレン基、2価の芳香環基、−COO−L11−、−O−L11−、これらの2つ以上を組み合わせて形成される基等が挙げられる。ここで、L11はアルキレン基、シクロアルキレン基、2価の芳香環基、アルキレン基と2価の芳香環基を組み合わせた基を表す。
L1及びL11についてのアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基が挙げられる。炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基が特に好ましい。
L11についてのシクロアルキレン基は、炭素数3〜20のシクロアルキレン基であることが好ましく、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、ノルボルニレン基又はアダマンチレン基が挙げられる。
L11についてのシクロアルキレン基は、環を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)は、カルボニル炭素であってもよく、酸素原子等のヘテロ原子であってもよく、エステル結合を含有しラクトン環を形成していても良い。
L1及びL11についての2価の芳香環基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基等のフェニレン基、1,4−ナフチレン基が好ましく、1,4−フェニレン基がより好ましい。
L1は、単結合、2価の芳香環基、ノルボルニレン基を有する2価の基又はアダマンチレン基を有する2価の基であることが好ましく、単結合であることが特に好ましい。
L1についての2価の連結基として好ましい具体例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の一形態において、前記一般式(Aa2)で表される繰り返し単位は、下記一般式(Aa2−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式(Aa2−1)中、
Xは、脂環式基を表す。
R1、R2、Ra及びL1は、それぞれ、一般式(Aa2)におけるR1、R2、Ra及びL1と同義であり、具体例、好ましい例についても一般式(Aa2)におけるR1、R2、Ra及びL1と同様である。
Xとしての脂環式基は、単環、多環、有橋式であってもよく、好ましくは炭素数3〜25の脂環式基を表す。
また、脂環式基は置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、R11及びR12が連結して形成する環が有し得る置換基として前述した置換基と同様のものを挙げることができる。
Xは、好ましくは炭素数3〜25の脂環式基を表し、より好ましくは炭素数5〜20の脂環式基を表し、特に好ましくは炭素数5〜15のシクロアルキル基である。
また、Xは3〜8員環の脂環式基又はその縮合環基であることが好ましく、5又は6員環又はその縮合環基であることが更に好ましい。
以下に、Xとしての脂環基の構造例を示す。
上記脂環式基の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基であることがより好ましく、シクロヘキシル基、シクロペンチル基であることが更に好ましく、シクロヘキシル基であることが特に好ましい。
以下に、上記一般式(Aa2)又は(Aa2−1)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
樹脂(Aa)における上記一般式(Aa2)で表される繰り返し単位の含有率(複数種類含有する場合はその合計)は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対して5〜80モル%であることが好ましく、5〜60モル%であることがより好ましく、10〜40モル%であることが更に好ましい。
<繰り返し単位(Aa5)>
本発明の一形態において、樹脂(Aa)は、下記一般式(aa1−1)で表されるモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位(Aa5)を更に含有してもよい。
一般式(aa1−1)中、
Q1は、重合性基を含む有機基を表す。
L1及びL2は、各々独立して、単結合または2価の連結基を表す。
Rfはフッ素原子を有する有機基を表す。
式中のQ1により表される重合性基を含む有機基は、重合性基を含む基であれば特に限定されるものではない。重合性基として、例えば、アクリル基、メタクリル基、スチリル基、ノルボルネニル基、マレイミド基、ビニルエーテル基等が挙げられ、アクリル基、メタクリル基、及びスチリル基が特に好ましい。
L1及びL2により表される2価の連結基としては、例えば、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−CO−、又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば、炭素数が6〜14個のものが好ましく、具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基等が挙げられる。
アルキレン基及びシクロアルキレン基としては、例えば、炭素数が1〜15のものが好ましく、具体例としては、次に挙げる直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基中の水素原子を1個引き抜いた形式のものが挙げられる:メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、アダマンチル基。
上記アリーレン基、アルキレン基及びシクロアルキレン基が有し得る置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、フッ素原子等が挙げられる。
本発明の一態様において、L1は、単結合、フェニレン基、エーテル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基がより好ましく、L2は、アルキレン基、エーテル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基がより好ましい。
Rfとしてのフッ素原子を有する有機基における有機基は、炭素原子を少なくとも1つ含む基であり、炭素−水素結合部分を含む有機基が好ましい。Rfは、例えば、フッ素原子で置換されたアルキル基又はフッ素原子で置換されたシクロアルキル基である。
繰り返し単位(Aa5)は、一態様において、下記一般式(aa1−2−1)又は(aa1−3−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(aa1−2−1)及び(aa1−3−1)中、
Ra1及びRa2は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Ra1及びRa2は、好ましくは、水素原子又はメチル基である。
L21及びL22は、各々独立に、単結合または2価の連結基を表し、先に説明した一般式(aa1−1)におけるL2と同義である。
Rf1及びRf2は、各々独立に、フッ素原子を有する有機基を表し、一般式(aa1−1)におけるRfと同義である。
また、繰り返し単位(Aa5)は、一態様において、下記一般式(aa1−2−2)又は(aa1−3−2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(aa1−2−2)及び(aa1−3−2)中、
Ra1及びRa2は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。
m1及びm2は、各々独立に、0〜5の整数を表す。
Rf1及びRf2は、各々独立に、フッ素原子を有する有機基を表す。
Ra1及びRa2は、好ましくは、水素原子又はメチル基である。
R1、R2、R3及びR4により表されるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。このアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
m1及びm2は、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0又は1であり、最も好ましくは1である。
Rf1及びRf2としてのフッ素原子を有する有機基は、一般式(aa1−1)におけるRfと同義である。
また、繰り返し単位(Aa5)は、一態様において、下記一般式(aa1−2−3)又は(aa1−3−3)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(aa1−2−3)及び(aa1−3−3)中、
Ra1は水素原子又はメチル基を表す。
Rf1及びRf2は、各々独立に、フッ素原子を有する有機基を表し、一般式(aa1−1)におけるRfと同義である。
以下に、繰り返し単位(Aa5)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
樹脂(Aa)が繰り返し単位(Aa5)を含有している場合、繰り返し単位(Aa5)の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、10〜90mol%であることが好ましく、より好ましくは30〜85mol%であり、更に好ましくは50〜80mol%である。
<繰り返し単位(Aa6)>
本発明の一形態において、樹脂(Aa)は、下記一般式(ca−1)又は(cb−1)で表される重合性化合物に対応する繰り返し単位を更に含有していてもよい。
一般式(ca−1)及び(cb−1)において、Aは、置換基を有していてもよいメタクリル基、置換基を有していてもよいアクリル基又は置換基を有していてもよいノルボルネン基を表す。
Z1は、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合(−O−)、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。qが2以上の場合、Z1で表される複数の基は、同一であっても異なっていてもよい。
Z2は、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキレン基を表す。qが2以上の場合、Z2で表される複数の基は、同一であっても異なっていてもよい。
Ta及びTbは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、カルボキシ基、ニトリル基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアミド基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Taが複数個ある場合には、Ta同士が結合して、環を形成しても良い。
Tbが複数個ある場合には、Tb同士が結合して、Tbが置換するベンゼン環とともに、ヘテロ原子を含んでいてもよい縮合環を形成しても良い。
Tcは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアミド基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Lはカルボニル基、カルボニルオキシ基又はエーテル結合(−O−)を表す。rが2以上の整数である場合には、(L)rは、Lがr個で組み合わされてなる基を示し、複数のLは同一であっても、異なっていてもよい。
mは、1〜28の整数を表す。
nは、0〜11の整数を表す。
pは、0〜5の整数を表す。
qは、0〜5の整数を表す。
rは、0〜5の整数を表す。
一般式(ca−1)及び(cb−1)で表される重合性化合物の好ましい形態、製造方法、並びに、具体例については、特開2010−159413号公報の段落[0026]〜[0053]の記載を参照することができる。
樹脂(Aa)が繰り返し単位(Aa6)を含有している場合、繰り返し単位(Aa6)の含有率は、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、10〜90mol%であることが好ましく、より好ましくは30〜85mol%であり、更に好ましくは50〜80mol%である。
樹脂(Aa)は、一形態において、更に下記(x)〜(z)の群から選ばれる基の少なくとも1つを有していてもよい。
(x)アルカリ可溶性基、
(y)アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基、
(z)酸の作用により分解する基。
(x)〜(z)の基については、特開2011−118318号公報の段落[0323]〜[0358]の記載を参照することができる。
樹脂(Aa)がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有率は、樹脂(Aa)の分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位が、樹脂(Aa)中の全繰り返し単位に対し、10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
樹脂(Aa)が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有率は、樹脂(Aa)の分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、樹脂(Aa)の全繰り返し単位に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
樹脂(Aa)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000で、より好ましくは1,000〜50,000、更により好ましくは2,000〜20,000である。
樹脂(Aa)がフッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位を含有する場合、感活性光線性又は感放射線性樹脂膜表層に樹脂(Aa)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、感活性光線性又は感放射線性樹脂膜とした際の水に対するレジスト膜表面の後退接触角を向上させ、液浸水追随性を向上させることができる。
感活性光線性又は感放射線性樹脂膜の後退接触角は露光時の温度、通常室温23±3℃、湿度45±5%において60°〜90°が好ましく、より好ましくは65°以上、更に好ましくは70°以上である。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の樹脂(Aa)の含有率は、感活性光線性又は感放射線性樹脂膜の後退接触角が前記範囲になるよう適宜調整して使用できるが、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、0.01〜30質量%であることが好ましく、0.01〜20質量%であることがより好ましく、0.01〜10質量%であることが更に好ましく、特に好ましくは0.1〜5質量%である。樹脂(Aa)は前述のように界面に遍在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
液浸露光工程に於いては、露光ヘッドが高速でウエハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウエハ上を動く必要があるので、動的な状態に於けるレジスト膜に対する液浸液の接触角が重要になり、液滴が残存することなく、露光ヘッドの高速なスキャンに追随する性能がレジストには求められる。
樹脂(Aa)は、後述する樹脂(Ab)と同様、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量%、0〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のないレジスト組成物が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜3の範囲が好ましく、より好ましくは1〜2、更に好ましくは1〜1.8、最も好ましくは1〜1.5の範囲である。
樹脂(Aa)は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合又はアニオン重合)合成することができる。例えば、後述する樹脂(Ab)において記載する樹脂(Ab)の一般的な合成方法と同様の方法で合成することが可能である。
以下に樹脂(Aa)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
[2]酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂(Ab)
本発明に係る組成物は、後掲の一般式(A)で表される繰り返し単位を有し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する樹脂(Ab)を含有する。
樹脂(Ab)は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するする樹脂であり、具体的には、酸の作用により、アルカリ現像液に対する溶解度が増大し、あるいは、有機溶剤を主成分とする現像液に対する溶解度が減少する。
樹脂(Ab)は好ましくはアルカリ現像液に不溶又は難溶性である。
樹脂(Ab)は、フェノール性水酸基を有する、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する。
上記一般式中、
R21、R22及びR23は、各々独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R22はAr2と結合して環を形成していてもよく、その場合のR22は単結合又はアルキレン基を表す。
X2は、単結合、−COO−、又は−CONR30−を表し、R30は、水素原子又はアルキル基を表す。
L2は、単結合又はアルキレン基を表す。
Ar2は、(n+1)価の芳香環基を表し、R22と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
上記一般式(A)におけるR21、R22及びR23のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基、特に好ましくは炭素数3以下のアルキル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R21、R22及びR23におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
Ar2は、(n+1)価の芳香環基を表す。nが1である場合における2価の芳香環基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基などの炭素数6〜18のアリーレン基、あるいは、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール等のヘテロ環を含む芳香環基を好ましい例として挙げることができる。
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n−1)個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げることができる。
(n+1)価の芳香環基は、更に置換基を有していても良い。
X2により表わされる−CONR30−(R30は、水素原子、アルキル基を表す)におけるR30のアルキル基としては、R21〜R23のアルキル基と同様のものが挙げられる。
X2としては、単結合、−COO−、−CONH−が好ましく、単結合、−COO−がより好ましい。
L2におけるアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
Ar2としては、置換基を有していても良い炭素数6〜18の芳香環基がより好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、ビフェニレン環基が特に好ましい。
この繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン構造を備えていることが好ましい。即ち、Ar2は、ベンゼン環基であることが好ましい。
以下に、一般式(A)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。式中、aは1又は2を表す。
一般式(A)で表される繰り返し単位は、下記式(Ab1)又は(Ab2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。本発明の一形態において、式(Ab1)であることが好ましい。
式(Ab2)中、R23は、一般式(A)におけるR23と同義である。
樹脂(Ab)は、一般式(A)で表される繰り返し単位を2種類以上含んでいてもよい。
樹脂(Ab)は、一態様において、下記一般式(Ab3)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
式中、nは1〜5の整数を表し、mは1≦m+n≦5なる関係を満足する0〜4の整数を表す。nは、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。mは、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
S1は置換基を表す。mが2以上の場合、複数のS1は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
S1により表される置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基が挙げられる。
たとえばアルキル基、シクロアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などの炭素数1〜20個の直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基が好ましい。これらの基は更に置換基を有していても良い。
更に有し得る好ましい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、チオフェンカルボニルオキシ基、チオフェンメチルカルボニルオキシ基、ピロリドン残基等のヘテロ環残基などが挙げられ、好ましくは、炭素数12以下の置換基である。
置換基を有するアルキル基として、例えばシクロヘキシルエチル基、アルキルカルボニルオキシメチル基、アルキルカルボニルオキシエチル基、シクロアルキルカルボニルオキシメチル基、シクロアルキルカルボニルオキシエチル基、アリールカルボニルオキシエチル基、アラルキルカルボニルオキシエチル基、アルキルオキシメチル基、シクロアルキルオキシメチル基、アリールオキシメチル基、アラルキルオキシメチル基、アルキルオキシエチル基、シクロアルキルオキシエチル基、アリールオキシエチル基、アラルキルオキシエチル基、アルキルチオメチル基、シクロアルキルチオメチル基、アリールチオメチル基、アラルキルチオメチル基、アルキルチオエチル基、シクロアルキルチオエチル基、アリールチオエチル基、アラルキルチオエチル基等が挙げられる。
これらの基におけるアルキル基、シクロアルキル基は特に限定されず、更に前述のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有してもよい。
上記アルキルカルボニルオキシエチル基、シクロアルキルカルボニルオキシエチル基の例としては、シクロヘキシルカルボニルオキシエチル基、t−ブチルシクロヘキシルカルボニルオキシエチル基、n−ブチルシクロヘキシルカルボニルオキシエチル基等を挙げることができる。
アリール基も特に限定されないが、一般的にフェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の炭素数6〜14のものが挙げられ、更に前述のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有してもよい。
上記アリールオキシエチル基の例としては、フェニルオキシエチル基、シクロヘキシルフェニルオキシエチル基等を挙げることができる。これらの基はさらに置換基を有していても良い。
アラルキルも特に限定されないが、ベンジル基などを挙げることができる。
上記アラルキルカルボニルオキシエチル基の例としては、ベンジルカルボニルオキシエチル基等を挙げることができる。これらの基はさらに置換基を有していても良い。
一般式(Ab3)により表される繰り返し単位としては、例えば、以下のものが挙げられる。
樹脂(Ab)における一般式(A)で表される繰り返し単位の含有率(複数種類含有する場合はその合計)は、高い解像力、感度、PEB温度依存性及びドライエッチング耐性、並びに良好なパターン形状をより確実に達成する観点から、前記樹脂(Ab)中の全繰り返し単位に対して10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、15モル%以上70モル%以下であることがより好ましく、20モル%以上65モル%以下であることが更に好ましい。
樹脂(Ab)における、一般式(Ab3)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(Ab)中の全繰り返し単位に対し、0〜90mol%が好ましく、より好ましくは5〜80mol%であり、更に好ましくは10〜70mol%であり、特に好ましくは20〜60mol%である。
樹脂(Ab)においては、下記一般式で表される繰り返し単位を有することも好ましい。下記一般式中、jは0〜3の整数を表し、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
これら一般式により表される繰り返し単位として、以下の具体例が挙げられる。
樹脂(Ab)は、更に、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
酸分解性基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基等のアルカリ可溶性基の水素原子が、酸の作用により脱離する基で保護された基を挙げることができる。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。R01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
樹脂(Ab)は、一態様において、下記一般式(A1)及び(A2)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を含有することが好ましい。
一般式(A1)中、
nは1〜5の整数を表し、mは1≦m+n≦5なる関係を満足する0〜4の整数を表す。
S1は、置換基(水素原子を除く)を表し、mが2以上の場合には、複数のS1は互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
A1は、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、少なくとも1つのA1は酸の作用により脱離する基を表す。n≧2の場合には、複数のA1は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
一般式(A2)中、
Xは、水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基又はアラルキル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
A2は、酸の作用により脱離する基を表す。
まず、一般式(A1)により表される繰り返し単位について説明する。
nは、上述したように、1〜5の整数を表し、好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
mは、上述したように、1≦m+n≦5なる関係を満足する0〜4の整数を表し、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
S1は、上述したように、置換基(水素原子を除く)を表す。この置換基としては、例えば、上述した一般式(Ab3)におけるS1について説明する置換基と同様のものが挙げられる。
A1は、上述したように、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表し、少なくとも1つのA1は酸の作用により脱離する基である。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、t−ブチル基及びt−アミル基等の3級アルキル基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、並びに、式−C(L1)(L2)−O−Z2により表されるアセタール基が挙げられる。
以下、式−C(L1)(L2)−O−Z2により表されるアセタール基について説明する。式中、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。Z2は、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を表す。なお、Z2とL1とは、互いに結合して、5員又は6員環を形成していてもよい。
アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
直鎖アルキル基としては、炭素数が1〜30のものが好ましく、炭素数が1〜20のものがより好ましい。このような直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デカニル基が挙げられる。
分岐鎖アルキル基としては、炭素数が3〜30のものが好ましく、炭素数が3〜20のものがより好ましい。このような分岐鎖アルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、tヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、iノニル基及びt−デカノイル基が挙げられる。
これらアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、水酸基;フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;アミド基;スルホンアミド基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基等のアシル基;アセトキシ基及びブチリルオキシ基等のアシロキシ基、並びにカルボキシ基が挙げられる。
アルキル基としては、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシルエチル基、フェニルメチル基又はフェニルエチル基が特に好ましい。
シクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。後者の場合、シクロアルキル基は、有橋式であってもよい。即ち、この場合、シクロアルキル基は、橋かけ構造を有していてもよい。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
単環型のシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のものが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。
多環型のシクロアルキル基としては、例えば、ビシクロ、トリシクロ又はテトラシクロ構造を有する基が挙げられる。多環型のシクロアルキル基としては、炭素数が6〜20のものが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、 α−ピナニル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。
L1、L2及びZ2におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基及びフェネチル基等の炭素数が7〜15のものが挙げられる。
これらアラルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、好ましくは、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基が挙げられる。置換基を有するアラルキル基としては、例えば、アルコキシベンジル基、ヒドロキシベンジル基及びフェニルチオフェネチル基が挙げられる。なお、これらアラルキル基が有し得る置換基の炭素数は、好ましくは12以下である。
Z2とL1とが互いに結合して形成し得る5員又は6員環としては、例えば、テトラヒドロピラン環及びテトラヒドロフラン環が挙げられる。これらのうち、テトラヒドロピラン環が特に好ましい。
Z2は、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。これにより、本発明の効果が一層顕著になる。
以下に、一般式(A1)により表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
次に、一般式(A2)により表される繰り返し単位について説明する。
Xは、上述したように、水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基又はアラルキル基を表す。
Xとしてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、直鎖、分岐のいずれでもよい。直鎖アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、さらに好ましくは1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。分岐アルキル基としては、好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは3〜20であり、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、i−ノニル基、t−デカノイル基等が挙げられる。
Xとしてのアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数1〜8の上記アルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
Xとしてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Xとしてのアシル基は、置換基を有していてもよく、例えば炭素数2〜8個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
Xとしてのアシロキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜8のアシロキシ基であり、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチルリオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
Xとしてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよく、有橋式であってもよい。例えば、シクロアルキル基は橋かけ構造を有していてもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピナニル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
Xとしてのアリール基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14であり、例えば、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
Xとしてのアルキルオキシカルボニル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基を挙げることができる。
Xとしてのアルキルカルボニルオキシ基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基を挙げることができる。
Xとしてのアラルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜16のアラルキル基である、例えば、ベンジル基を挙げることができる。
Xとしてのアルキル基、アルコキシ基、アシル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アラルキル基が更に有していてもよい置換基としては、水酸基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基又はアラルキル基などが挙げられる。
Tは、上述したように、単結合又は2価の連結基を表す。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基、−(CH2)3−基がより好ましい。
A2は、上述したように、酸の作用により脱離する基を表す。即ち、一般式(A2)により表される繰り返し単位は、酸分解性基として、「−COOA2」により表される基を備えている。A2としては、例えば、先に一般式(A1)におけるA1について説明したのと同様のものが挙げられる。
A2は炭化水素基(好ましくは炭素数20以下、より好ましくは4〜12)であることが好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、脂環構造を有する炭化水素基(例えば、脂環基自体、及び、アルキル基に脂環基が置換した基)がより好ましい。
A2は、3級のアルキル基又は3級のシクロアルキル基であることが好ましい。
脂環構造は、単環でも、多環でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環構造を有する炭化水素基は置換基を有していてもよい。
脂環構造の例としては、上掲の樹脂(Aa)において、一般式(KA−1)中のZkaのシクロアルキル基の例として挙げた脂環構造(1)〜(50)が挙げられる。また、好ましい脂環構造の具体例、並びに、脂環構造が有し得る置換基の具体例としても、一般式(KA−1)中のZkaとしての脂環構造において説明した具体例と同様の例が挙げられる。
脂環構造を有する酸分解性基としては、下記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される基が好ましい。
上記一般式(pI)〜(pV)中、
R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(pI)〜(pV)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
R11〜R25における脂環式炭化水素基或いはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、先に脂環構造として述べたものが挙げられる。
一般式(A2)で表される繰り返し単位は、一形態において、下式で表される繰り返し単位である場合が好ましい。
また、一般式(A2)で表される繰り返し単位は、他の形態において、以下に示す一般式(A3)で表される繰り返し単位である場合も好ましい。
一般式(A3)中、
ARは、アリール基を表す。
Rnは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。RnとARとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。
Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキルオキシカルボニル基を表す。
一般式(A3)により表される繰り返し単位について詳細に説明する。
ARは、上述したようにアリール基を表す。ARのアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又は、フルオレン基等の炭素数6〜20のものが好ましく、炭素数6〜15のものがより好ましい。
ARがナフチル基、アントリル基又はフルオレン基である場合、Rnが結合している炭素原子とARとの結合位置には、特に制限はない。例えば、ARがナフチル基である場合、この炭素原子は、ナフチル基のα位に結合していてもよく、β位に結合していてもよい。或いは、ARがアントリル基である場合、この炭素原子は、アントリル基の1位に結合していてもよく、2位に結合していてもよく、9位に結合していてもよい。
ARとしてのアリール基は、1以上の置換基を有していてもよい。このような置換基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及びドデシル基等の炭素数が1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基、これらアルキル基部分を含んだアルコキシ基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、これらシクロアルキル基部分を含んだシクロアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、チオフェンカルボニルオキシ基、チオフェンメチルカルボニルオキシ基、及びピロリドン残基等のヘテロ環残基が挙げられる。この置換基としては、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、これらアルキル基部分を含んだアルコキシ基が好ましく、パラメチル基又はパラメトキシ基がより好ましい。
ARとしてのアリール基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基のうちの少なくとも2つが互いに結合して環を形成しても良い。環は、5〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。また、この環は、環員に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。
更に、この環は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、Rnが有していてもよい更なる置換基について後述するものと同様のものが挙げられる。
また、一般式(A3)により表される繰り返し単位は、ラフネス性能の観点から、2個以上の芳香環を含有ことが好ましい。この繰り返し単位が有する芳香環の個数は、通常、5個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。
また、一般式(A3)により表される繰り返し単位において、ラフネス性能の観点から、ARは2個以上の芳香環を含有することがより好ましく、ARがナフチル基又はビフェニル基であることが更に好ましい。ARが有する芳香環の個数は、通常、5個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。
Rnは、上述したように、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Rnのアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。このアルキル基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基及びドデシル基等の炭素数が1〜20のものが挙げられる。Rnのアルキル基は、炭素数1〜5のものが好ましく、炭素数1〜3のものがより好ましい。
Rnのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数が3〜15のものが挙げられる。
Rnのアリール基としては、例えば、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基及びアントリル基等の炭素数が6〜14のものが好ましい。
Rnとしてのアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の各々は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、チオフェンカルボニルオキシ基、チオフェンメチルカルボニルオキシ基、及びピロリドン残基等のヘテロ環残基が挙げられる。中でも、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基及びスルホニルアミノ基が特に好ましい。
Rは、上述したように、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキルオキシカルボニル基を表す。
Rのアルキル基及びシクロアルキル基としては、例えば、先にRnについて説明したのと同様のものが挙げられる。これらアルキル基及びシクロアルキル基の各々は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、先にRnについて説明したのと同様のものが挙げられる。
Rが置換基を有するアルキル基又はシクロアルキル基である場合、特に好ましいRとしては、例えば、トリフルオロメチル基、アルキルオキシカルボニルメチル基、アルキルカルボニルオキシメチル基、ヒドロキシメチル基、及びアルコキシメチル基が挙げられる。
Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。中でも、フッ素原子が特に好ましい。
Rのアルキルオキシカルボニル基に含まれるアルキル基部分としては、例えば、先にRのアルキル基として挙げた構成を採用することができる。
RnとARとが互いに結合して非芳香族環を形成することが好ましく、これにより、特に、ラフネス性能をより向上させることができる。
RnとARとは互いに結合して形成しても良い非芳香族環としては、5〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
非芳香族環は、脂肪族環であっても、環員として酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。
非芳香族環は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Rnが有していてもよい更なる置換基について先に説明したのと同様のものが挙げられる。
以下に、一般式(A2)により表される繰り返し単位に対応したモノマーの具体例、及び、該繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
以下に、一般式(A3)により表される繰り返し単位の構造の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
中でも、下記に示す繰り返し単位がより好ましい。
一般式(A2)により表される繰り返し単位は、一形態において、t−ブチルメタクリレート又はエチルシクロペンチルメタクリレートの繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(A2)で表される繰り返し単位に対応するモノマーは、THF、アセトン、塩化メチレン等の溶媒中、(メタ)アクリル酸クロリドとアルコール化合物を、トリエチルアミン、ピリジン、DBU等の塩基性触媒存在下でエステル化させることにより合成することができる。なお、市販のものを用いてもよい。
樹脂(Ab)は、更に、下記一般式(A5)で表される繰り返し単位を含有していてもよい。
式(A5)中、
Xは、水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、又はアラルキル基を表し、一般式(A2b)に於けるXと同様のものである。
A4は、酸の作用により脱離しない炭化水素基を表す。
一般式(A5)に於ける、A4の酸の作用により脱離しない炭化水素基としては、上記の酸分解性基以外の炭化水素基が挙げられ、例えば、酸の作用により脱離しないアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、酸の作用により脱離しないシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、酸の作用により脱離しないアリール基(好ましくは炭素数6〜15)等を挙げることができる。
A4の酸の作用により脱離しない炭化水素基は、更に、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等で置換されていてもよい。
樹脂(Ab)は、更に一般式(A6)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
一般式(A6)中、
R2は、水素原子、メチル基、シアノ基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のペルフルオロ基を表す。
R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基又はアシル基を表す。
qは、0〜4の整数を表す。
Arは、q+2価の芳香環を表す。
Wは、酸の作用により分解しない基又は水素原子を表す。
Arにより表される芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
Wは酸の作用により分解しない基(酸安定基ともいう)を表すが、上記の酸分解性基以外の基が挙げられ、具体的にはハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルキルアミド基、アリールアミドメチル基、アリールアミド基等が挙げられる。酸安定基としては、好ましくはアシル基、アルキルアミド基であり、より好ましくはアシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基である。
Wの酸安定基において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。Wはベンゼン環上のどの位置にあってもよいが、好ましくはスチレン骨格のメタ位かパラ位であり、特に好ましくはパラ位である。
以下に、一般式(A6)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるがこれらに限定するものではない。
樹脂(Ab)は、更に酸の作用により分解しない(メタ)アクリル酸誘導体からなる繰り返し単位を有することも好ましい。以下に具体例を挙げるがこれに限定するものではない。
樹脂(Ab)における酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、5〜95モル%が好ましく、より好ましくは10〜60モル%であり、特に好ましくは15〜50モル%である。
樹脂(Ab)における一般式(A1)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、0〜90モル%が好ましく、より好ましくは10〜70モル%であり、特に好ましくは20〜50モル%である。
樹脂(Ab)における一般式(A2)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、0〜90モル%が好ましく、より好ましくは5〜75モル%であり、特に好ましくは10〜60モル%である。
樹脂(Ab)における一般式(A3)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、0〜90モル%が好ましく、より好ましくは5〜75モル%であり、特に好ましくは10〜60モル%である。
樹脂(Ab)における一般式(A5)で表される繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位中、0〜50モル%が好ましく、より好ましくは0〜40モル%であり、特に好ましくは0〜30モル%である。
樹脂(Ab)は、更に一般式(A6)で表される繰返し単位を有していてもよく、膜質向上、未露光部の膜減り抑制等の観点から好ましい。一般式(A5)で表される繰り返し単位の含有率は、それぞれの全繰り返し単位中、0〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは0〜40モル%であり、特に好ましくは0〜30モル%である。
また、樹脂(Ab)は、アルカリ現像液に対する良好な現像性を維持するために、アルカリ可溶性基、例えばフェノール性水酸基、カルボキシル基が導入され得るように適切な他の重合性モノマーが共重合されていてもよいし、膜質向上のためにアルキルアクリレートやアルキルメタクリレートのような疎水性の他の重合性モノマーが共重合されてもよい。
一般式(A2)で表される繰り返し単位に対応するモノマーは、THF、アセトン、塩化メチレン等の溶媒中、(メタ)アクリル酸クロリドとアルコール化合物を、トリエチルアミン、ピリジン、DBU等の塩基性触媒存在下でエステル化させることにより合成することができる。なお、市販のものを用いてもよい。
一般式(A1)で表される繰り返し単位に対応するモノマーは、THF、塩化メチレン等の溶媒中、ヒドロキシ置換スチレンモノマーとビニルエーテル化合物を、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩等の酸性触媒存在下でアセタール化させること、または、二炭酸t−ブチルを用いてトリエチルアミン、ピリジン、DBU等の塩基性触媒存在下でt−Boc保護化する事により合成することができる。なお、市販のものを用いてもよい。
樹脂(Ab)の重量平均分子量(Mw)は、それぞれ1000〜200,000の範囲であることが好ましい。樹脂自体のアルカリに対する溶解速度、感度の点から200,000以下が好ましい。分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0であることが好ましく、より好ましくは1.0〜2.5、特に好ましくは、1.0〜2.0である。
その中で、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜200,000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1,000〜100,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜50,000の範囲であり、最も好ましくは1,000〜25,000の範囲である。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。詳細には、樹脂(Ab)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8120(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSK gel Multipore HXL−M(東ソー(株)製、7.8mmID×30.0cmを、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いることによって求めることができる。
(Ab)は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合又はアニオン重合法)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、更には後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
樹脂(Ab)は、公知のアニオン重合法またはラジカル重合法などで重合することが好ましい。
アニオン重合法は、アルカリ金属又は有機アルカリ金属を重合開始剤として、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、−100〜90℃の温度で行なわれる。そして、共重合においては、モノマー類を反応系に逐次添加して重合することによりブロック共重合体が、また、各モノマー類の混合物を反応系に添加して重合することによりランダム共重合体が得られる。
上記重合開始剤のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられ、有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物およびアリール化物が使用することができ、具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1、1−ジフェニルヘキシルリチウム、1、1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等を挙げることができる。
ラジカル重合法は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、等の有機化酸化物のような公知のラジカル重合開始剤を用い、必要に応じて、1−ドデカンチオール等の公知の連鎖移動剤を併用して、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、50〜200℃の温度で行なわれる。
有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコール誘導体類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミド等の通常アニオン重合において使用される有機溶媒を挙げることができ、これらは単独溶媒又は二種以上の混合溶媒として使用される。より好ましい溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンが挙げられる。
ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。反応の濃度は通常5〜50質量%であり、好ましくは30〜50質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。アゾ系重合開始剤を用いてラジカル重合を行うことで分散度2.0以下の樹脂(Ab)を合成することができる。さらに好ましい分散度1.0〜1.5の樹脂(Ab)は例えばリビングラジカル重合によって合成可能である。
反応終了後、室温まで放冷し、精製する。精製は、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外濾過等の溶液状態での精製方法や、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈澱法やろ別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等の通常の方法を適用できる。たとえば、上記樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒(貧溶媒)を、該反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより樹脂を固体として析出させる。
ポリマー溶液からの沈殿又は再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿又は再沈殿溶媒)としては、該ポリマーの貧溶媒であればよく、ポリマーの種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿又は再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)又は水を含む溶媒が好ましい。
沈殿又は再沈殿溶媒の使用量は、効率や収率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、ポリマー溶液100質量部に対して、100〜10000質量部、好ましくは200〜2000質量部、更に好ましくは300〜1000質量部である。
沈殿又は再沈殿する際の温度としては、効率や操作性を考慮して適宜選択できるが、通常0〜50℃程度、好ましくは室温付近(例えば20〜35℃程度)である。沈殿又は再沈殿操作は、攪拌槽などの慣用の混合容器を用い、バッチ式、連続式等の公知の方法により行うことができる。
沈殿又は再沈殿したポリマーは、通常、濾過、遠心分離等の慣用の固液分離に付し、乾燥して使用に供される。濾過は、耐溶剤性の濾材を用い、好ましくは加圧下で行われる。乾燥は、常圧又は減圧下(好ましくは減圧下)、30〜100℃程度、好ましくは30〜50℃程度の温度で行われる。
なお、一度、樹脂を析出させて、分離した後に、再び溶媒に溶解させ、該樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒と接触させてもよい。即ち、上記ラジカル重合反応終了後、該ポリマーが難溶あるいは不溶の溶媒を接触させ、樹脂を析出させ(工程a)、樹脂を溶液から分離し(工程b)、改めて溶媒に溶解させ樹脂溶液Aを調製(工程c)、その後、該樹脂溶液Aに、該樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒を、樹脂溶液Aの10倍未満の体積量(好ましくは5倍以下の体積量)で、接触させることにより樹脂固体を析出させ(工程d)、析出した樹脂を分離する(工程e)ことを含む方法でもよい。
また、本発明のポジ型レジストをArFエキシマレーザーで露光する際には、ArFエキシマレーザーに対する透明性の観点から、樹脂(Ab)として芳香環を有さない樹脂を用いることが好ましい。ArFエキシマレーザー露光に好適な樹脂(Ab)としては、例えば、特開2013−15590号公報の段落0446〜0477に記載の樹脂(A‘)を用いることができる。
樹脂(Ab)は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
樹脂(Ab)の添加量は、総量として、本発明の組成物の全固形分に対し、通常10〜99質量%であり、好ましくは20〜99質量%であり、特に好ましくは30〜99質量%である。
以下に樹脂(Ab)の具体例を以下に示すがこれらに限定するものではない。
樹脂(Ab)が酸発生繰り返し単位(B)を含有しない場合は、フッ素原子を含む繰り返し単位の含有率は1モル%以下であることが好ましく、フッ素原子は含有しないことがより好ましい。樹脂(Ab)が繰り返し単位(B)を有する場合は、繰り返し単位(B)以外の繰り返し単位であって、フッ素原子を含む繰り返し単位の含有率は1モル%以下であることが更に好ましく、フッ素原子は含有しないことが最も好ましい。
[3]活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有する。
酸発生剤としては、公知のものであれば特に限定されないが、活性光線又は放射線の照射により、有機酸、例えば、スルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)イミド、又はトリス(アルキルスルホニル)メチドの少なくともいずれかを発生する化合物が好ましい。
より好ましくは下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(ZI)において、
R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
Z−は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この具体例としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
また、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、互いに結合して環構造を形成してもよい。これにより、酸強度が増加する。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF6 −)、弗素化硼素(例えば、BF4 −)、弗素化アンチモン(例えば、SbF6 −)等を挙げることができる。
非求核性アニオンとしては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくはパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン(更に好ましくは炭素数4〜8)、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが−1以下であることが、感度向上のために好ましい。
また、非求核性アニオンとしては、以下の一般式(AN1)で表されるアニオンも好ましい態様として挙げられる。
式中、
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基を表し、複数存在する場合のR1、R2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状の有機基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
一般式(AN1)について、更に詳細に説明する。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜4である。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfとして好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Xfの具体的としては、フッ素原子、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9、CH2CH2C4F9が挙げられ、中でもフッ素原子、CF3が好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
R1、R2のアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。R1、R2の置換基を有するアルキル基の具体例としては、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9、CH2CH2C4F9が挙げられ、中でもCF3が好ましい。
R1、R2としては、好ましくはフッ素原子又はCF3である。
xは1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。
zは0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
Lの2価の連結基としては特に限定されず、―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO―、―SO2−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基又はこれらの複数が連結した連結基などを挙げることができ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。このなかでも―COO−、−OCO−、−CO−、−O−が好ましく、―COO−、−OCO−がより好ましい。
Aの環状の有機基としては、環状構造を有するものであれば特に限定されず、脂環基、アリール基、複素環基(芳香族性を有するものだけでなく、芳香族性を有さないものも含む)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等の炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、露光後加熱工程での膜中拡散性を抑制でき、MEEF向上の観点から好ましい。
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、アントラセン環が挙げられる。
複素環基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環由来のものが挙げられる。中でもフラン環、チオフェン環、ピリジン環由来のものが好ましい。
また、環状の有機基としては、ラクトン構造も挙げることができ、具体例としては、前述の樹脂(P)が有していてもよい一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表されるラクトン構造を挙げることができる。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基等が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であっても良い。
R201、R202及びR203の有機基としては、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基などが挙げられる。
R201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、三つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。R201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基等を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等を挙げることができる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。その置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成する場合、以下の一般式(A1)で表される構造であることが好ましい。
一般式(A1)中、
R1a〜R13aは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。
R1a〜R13aのうち、1〜3つが水素原子でないことが好ましく、R9a〜R13aのいずれか1つが水素原子でないことがより好ましい。
Zaは、単結合又は2価の連結基である。
X−は、一般式(ZI)におけるZ−と同義である。
R1a〜R13aが水素原子でない場合の具体例としては、ハロゲン原子、直鎖、分岐、環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基が例として挙げられる。
R1a〜R13aが水素原子でない場合としては、水酸基で置換された直鎖、分岐、環状のアルキル基であることが好ましい。
Zaの2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ基、ジスルフィド基、−(CH2)n−CO−、−(CH2)n−SO2−、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基、アミノスルホニルアミノ基等が挙げられる(nは1〜3の整数)。
なお、R201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0046、0047、0048、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、米国特許出願公開第2003/0224288A1号明細書に式(I−1)〜(I−70)として例示されている化合物、米国特許出願公開第2003/0077540A1号明細書に式(IA−1)〜(IA−54)、式(IB−1)〜(IB−24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
一般式(ZII)、(ZIII)中、
R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基として説明したアリール基と同様である。
R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
Z−は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ−の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物も挙げられる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
R208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
Ar3、Ar4、R208、R209及びR210のアリール基の具体例としては、上記一般式(ZI)におけるR201、R202及びR203としてのアリール基の具体例と同様のものを挙げることができる。
R208、R209及びR210のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例としては、それぞれ、上記一般式(ZI)におけるR201、R202及びR203としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様のものを挙げることができる。
Aのアルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基など)を、Aのアルケニレン基としては、炭素数2〜12のアルケニレン基(例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)を、Aのアリーレン基としては、炭素数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)を、それぞれ挙げることができる。
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、光酸発生剤の含有率は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜45質量%であり、更に好ましくは1〜40質量%である。
[4]酸の作用により分解して酸を発生する化合物
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物は、更に、酸の作用により分解して酸を発生する化合物(以下、酸増殖剤とも表記する)を1種又は2種以上含んでいてもよい。酸増殖剤が発生する酸は、スルホン酸、メチド酸又はイミド酸であることが好ましい。酸増殖剤の含有量としては、組成物の全固形分を基準として、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1.0〜20質量%であることが更に好ましい。
酸増殖剤と酸発生剤との量比(組成物中の全固形分を基準にした酸増殖剤の固形分量/組成物中の全固形分を基準にした酸発生剤の固形分量)としては、特に制限されないが、0.01〜50が好ましく、0.1〜20がより好ましく、0.2〜1.0が特に好ましい。
以下に本発明に用いることができる化合物の例を示すが、これらに限定されるものではない。
[5]溶剤
本発明の組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、各成分を溶解するものである限り特に限定されないが、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)など)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;1−メトキシ−2−プロパノール)など)、乳酸アルキルエステル(乳酸エチル、乳酸メチルなど)、環状ラクトン(γ−ブチロラクトンなど、好ましくは炭素数4〜10)、鎖状又は環状のケトン(2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなど、好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、カルボン酸アルキル(酢酸ブチルなどの酢酸アルキルが好ましい)、アルコキシ酢酸アルキル(エトキシプロピオン酸エチル)などが挙げられる。その他使用可能な溶媒として、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425A1号明細書の[0244]以降に記載されている溶剤などが挙げられる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。
水酸基を有する溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、水酸基を有しない溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートが好ましい。
[6]塩基性化合物
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、塩基性化合物を更に含んでいてもよい。塩基性化合物は、好ましくは、フェノールと比較して塩基性がより強い化合物である。また、この塩基性化合物は、有機塩基性化合物であることが好ましく、含窒素塩基性化合物であることが更に好ましい。
使用可能な含窒素塩基性化合物は特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(7)に分類される化合物を用いることができる。
(1)一般式(BS−1)により表される化合物
一般式(BS−1)中、
Rは、各々独立に、水素原子又は有機基を表す。但し、3つのRのうち少なくとも1つは有機基である。この有機基は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、単環若しくは多環のシクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
Rとしてのアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常1〜20であり、好ましくは1〜12である。
Rとしてのシクロアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常3〜20であり、好ましくは5〜15である。
Rとしてのアリール基の炭素数は、特に限定されないが、通常6〜20であり、好ましくは6〜10である。具体的には、フェニル基及びナフチル基等が挙げられる。
Rとしてのアラルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常7〜20であり、好ましくは7〜11である。具体的には、ベンジル基等が挙げられる。
Rとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、水素原子が置換基により置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基及びアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
なお、一般式(BS−1)により表される化合物では、Rのうち少なくとも2つが有機基であることが好ましい。
一般式(BS−1)により表される化合物の具体例としては、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリイソデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、メチルジオクタデシルアミン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、及び2,4,6−トリ(t−ブチル)アニリンが挙げられる。
また、一般式(BS−1)により表される好ましい塩基性化合物として、少なくとも1つのRがヒドロキシ基で置換されたアルキル基であるものが挙げられる。具体的には、例えば、トリエタノールアミン及びN,N−ジヒドロキシエチルアニリンが挙げられる。
なお、Rとしてのアルキル基は、アルキル鎖中に酸素原子を有していてもよい。即ち、オキシアルキレン鎖が形成されていてもよい。オキシアルキレン鎖としては、−CH2CH2O−が好ましい。具体的には、例えば、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン、及び、US6040112号明細書のカラム3の60行目以降に例示されている化合物が挙げられる。
一般式(BS−1)で表される塩基性化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(2)含窒素複素環構造を有する化合物
この含窒素複素環は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。また、窒素原子を複数有していてもよい。更に、窒素以外のヘテロ原子を含有していてもよい。具体的には、例えば、イミダゾール構造を有する化合物(2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなど)、ピペリジン構造を有する化合物〔N−ヒドロキシエチルピペリジン及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなど〕、ピリジン構造を有する化合物(4−ジメチルアミノピリジンなど)、並びにアンチピリン構造を有する化合物(アンチピリン及びヒドロキシアンチピリンなど)が挙げられる。
また、環構造を2つ以上有する化合物も好適に用いられる。具体的には、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン及び1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エンが挙げられる。
(3)フェノキシ基を有するアミン化合物
フェノキシ基を有するアミン化合物とは、アミン化合物が含んでいるアルキル基のN原子と反対側の末端にフェノキシ基を備えた化合物である。フェノキシ基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基及びアリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。
この化合物は、より好ましくは、フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン鎖を有している。1分子中のオキシアルキレン鎖の数は、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン鎖の中でも−CH2CH2O−が特に好ましい。
具体例としては、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミン、及び、US2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)が挙げられる。
フェノキシ基を有するアミン化合物は、例えば、フェノキシ基を有する1級又は2級アミンとハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得られる。また、フェノキシ基を有するアミン化合物は、1級又は2級アミンと、末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルとを加熱して反応させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル及びクロロホルム等の有機溶剤で抽出することによって得ることもできる。
(4)アンモニウム塩
塩基性化合物として、アンモニウム塩も適宜用いることができる。アンモニウム塩のアニオンとしては、例えば、ハライド、スルホネート、ボレート及びフォスフェートが挙げられる。これらのうち、ハライド及びスルホネートが特に好ましい。
ハライドとしては、クロライド、ブロマイド及びアイオダイドが特に好ましい。
スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、例えば、炭素数1〜20のアルキルスルホネート及びアリールスルホネートが挙げられる。
アルキルスルホネートに含まれるアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アルコキシ基、アシル基及びアリール基が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的には、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート及びノナフルオロブタンスルホネートが挙げられる。
アリールスルホネートに含まれるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。これらアリール基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基及び炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。具体的には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル及びシクロヘキシル基が好ましい。他の置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基及びアシロキシ基が挙げられる。
このアンモニウム塩は、ヒドロキシド又はカルボキシレートであってもよい。この場合、このアンモニウム塩は、炭素数1〜8のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−(n−ブチル)アンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドであることが特に好ましい。
好ましい塩基性化合物としては、例えば、グアニジン、アミノピリジン、アミノアルキルピリジン、アミノピロリジン、インダゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、プリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルフォリン及びアミノアルキルモルフォリンが挙げられる。これらは、置換基を更に有していてもよい。
好ましい置換基としては、例えば、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基及びシアノ基が挙げられる。
特に好ましい塩基性化合物としては、例えば、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン及びN−(2−アミノエチル)モルフォリンが挙げられる。
(5)プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物(PA)
本発明に係る組成物は、塩基性化合物として、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する化合物〔以下、化合物(PA)ともいう〕を更に含んでいてもよい。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基或いは電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基や、 π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味
する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記一般式に示す部分構造を有する窒素原子である。
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、1〜3級アミン、ピリジン、イミダゾール、ピラジン構造などを挙げることができる。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここで、プロトンアクセプター性の低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(PA)とプロトンからプロトン付加体が生成する時、その化学平衡に於ける平衡定数が減少することを意味する。
以下、化合物(PA)の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
また、本発明においては、一般式(PA−1)で表される化合物を発生する化合物以外の化合物(PA)も適宜選択可能である。例えば、イオン性化合物であって、カチオン部にプロトンアクセプター部位を有する化合物を用いてもよい。より具体的には、下記一般式(7)で表される化合物などが挙げられる。
式中、Aは硫黄原子又はヨウ素原子を表す。
mは1又は2を表し、nは1又は2を表す。但し、Aが硫黄原子の時、m+n=3、Aがヨウ素原子の時、m+n=2である。
Rは、アリール基を表す。
RNは、プロトンアクセプター性官能基で置換されたアリール基を表す。
X−は、対アニオンを表す。
X−の具体例としては、上述した一般式(ZI)におけるX−と同様のものが挙げられる。
R及びRNのアリール基の具体例としては、フェニル基が好ましく挙げられる。
RNが有するプロトンアクセプター性官能基の具体例としては、前述の式(PA−1)で説明したプロトンアクセプター性官能基と同様である。
本発明の組成物において、化合物(PA)の組成物全体中の配合率は、全固形分中0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜8質量%である。
(6)グアニジン化合物
本発明の組成物は、下式で表される構造を有するグアニジン化合物を更に含有していてもよい。
グアニジン化合物は3つの窒素によって共役酸のプラスの電荷が分散安定化されるた
め、強い塩基性を示す。
本発明のグアニジン化合物(A)の塩基性としては、共役酸のpKaが6.0以上であることが好ましく、7.0〜20.0であることが酸との中和反応性が高く、ラフネス特性に優れるため好ましく、8.0〜16.0であることがより好ましい。
このような強い塩基性のため、酸の拡散性を抑制し、優れたパターン形状の形成に寄与することができる。
なお、ここで「pKa」とは、水溶液中でのpKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載のものであり、この値が低いほど酸強度が大きいことを示している。水溶液中でのpKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測することができ、また、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示している。
ソフトウェアパッケージ1:AdvancedChemistryDevelopment(ACD/Labs)SoftwareV8.14forSolaris(1994−2007ACD/Labs)。
本発明において、logPとは、n−オクタノール/水分配係数(P)の対数値であり、広範囲の化合物に対し、その親水性/疎水性を特徴づけることのできる有効なパラメータである。一般的には実験によらず計算によって分配係数は求められ、本発明においては、CSChemDrawUltraVer.8.0softwarepackage(Crippen’sfragmentationmethod)により計算された値を示す。
また、グアニジン化合物(A)のlogPが10以下であることが好ましい。上記値以下であることによりレジスト膜中に均一に含有させることができる。
本発明におけるグアニジン化合物(A)のlogPは2〜10の範囲であることが好ましく、3〜8の範囲であることがより好ましく、4〜8の範囲であることが更に好ましい。
また、本発明におけるグアニジン化合物(A)はグアニジン構造以外に窒素原子を有さないことが好ましい。
以下、グアニジン化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
(7) 窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物
本発明の組成物は、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(以下において、「低分子化合物(D)」又は「化合物(D)」ともいう)を含有することができる。低分子化合物(D)は、酸の作用により脱離する基が脱離した後は、塩基性を有することが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては特に限定されないが、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、ヘミアミナールエーテル基であることが特に好ましい。
酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(D)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が特に好ましい。
化合物(D)としては、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体が好ましい。
化合物(D)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有しても良い。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d−1)で表すことができる。
一般式(d−1)において、
R’は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状又は分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はアルコキシアルキル基を表す。R’は相互に結合して環を形成していても良い。
R’として好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。より好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基である。
このような基の具体的な構造を以下に示す。
化合物(D)は、塩基性化合物と一般式(d−1)で表される構造を任意に組み合わせることで構成することも出来る。
化合物(D)は、下記一般式(D)で表される構造を有するものであることが特に好ましい。
なお、化合物(D)は、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物であるかぎり、前記の塩基性化合物に相当するものであってもよい。
一般式(D)において、Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。また、n=2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に結合して、2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数20以下)若しくはその誘導体を形成していてもよい。
Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基を示す。但し、−C(Rb)(Rb)(Rb)において、1つ以上のRbが水素原子のとき、残りのRbの少なくとも1つはシクロプロピル基、1−アルコキシアルキル基又はアリール基である。
少なくとも2つのRbが結合して脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体を形成していてもよい。
nは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、n+m=3である。
一般式(D)において、Ra及びRbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
前記Ra及び/又はRbのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、上記官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい)としては、
例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等の直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、これらのアルカンに由来する基を、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ノルボルナン、アダマンタン、ノラダマンタン等のシクロアルカンに由来する基、これらのシクロアルカンに由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物に由来する基、これらの芳香族化合物に由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、インドール、インドリン、キノリン、パーヒドロキノリン、インダゾール、ベンズイミダゾール等の複素環化合物に由来する基、これらの複素環化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルキル基或いは芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基、直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基・シクロアルカンに由来する基をフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基等或いは前記の置換基がヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基で置換された基等が挙げられる。
また、前記Raが相互に結合して、形成する2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20)若しくはその誘導体としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、ホモピペラジン、4−アザベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、5−アザベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,4,7−トリアザシクロノナン、テトラゾール、7−アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、(1S,4S)−(+)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デック−5−エン、インドール、インドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノリン、1,5,9−トリアザシクロドデカン等の複素環式化合物に由来する基、これらの複素環式化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、シクロアルカンに由来する基、芳香族化合物に由来する基、複素環化合物に由来する基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(D)を具体的に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
一般式(D)で表される化合物は、特開2007−298569号公報、特開2009−199021号公報などに基づき合成することができる。
本発明において、低分子化合物(D)は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の組成物は、低分子化合物(D)を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、化合物(D)の含有量は、上述した塩基性化合物と合わせた組成物の全固形分を基準として、通常、0.001〜20質量%、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。
また、本発明の組成物が酸発生剤を含有する場合、酸発生剤と化合物(D)の組成物中の使用割合は、酸発生剤/[化合物(D)+下記塩基性化合物](モル比)=2.5〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比が2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。酸発生剤/[化合物(D)+上記塩基性化合物](モル比)は、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
その他、本発明に係る組成物に使用可能なものとして、特開2002−363146号公報の実施例で合成されている化合物、及び特開2007−298569号公報の段落0108に記載の化合物等が挙げられる。
塩基性化合物として、感光性の塩基性化合物を用いてもよい。感光性の塩基性化合物としては、例えば、特表2003−524799号公報、及び、J.Photopolym.Sci&Tech.Vol.8,P.543−553(1995)等に記載の化合物を用いることができる。
塩基性化合物の分子量は、通常は100〜1500であり、好ましくは150〜1300であり、より好ましくは200〜1000である。
これらの塩基性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る組成物が塩基性化合物を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.01〜8.0質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることがより好ましく、0.2〜4.0質量%であることが特に好ましい。
塩基性化合物の光酸発生剤に対するモル比は、好ましくは0.01〜10とし、より好ましくは0.05〜5とし、更に好ましくは0.1〜3とする。このモル比を過度に大きくすると、感度及び/又は解像度が低下する場合がある。このモル比を過度に小さくすると、露光と加熱(ポストベーク)との間において、パターンの細りを生ずる可能性がある。より好ましくは0.05〜5、更に好ましくは0.1〜3である。なお、上記モル比における光酸発生剤とは、上記樹脂の繰り返し単位(B)と上記樹脂が更に含んでいてもよい光酸発生剤との合計の量を基準とするものである。
[7]界面活性剤
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。この界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製のメガファックF176及びメガファックR08、OMNOVA社製のPF656及びPF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、並びに、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341が挙げられる。
フッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。この界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。
その他、公知の界面活性剤を適宜使用することができる。使用可能な界面活性剤としては、例えば、米国特許2008/0248425A1号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に係る組成物が界面活性剤を更に含んでいる場合、その使用量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.0001〜2質量%とし、より好ましくは0.001〜1質量%とする。
[8] その他の添加剤
本発明の組成物は、上記に説明した成分以外にも、カルボン酸、カルボン酸オニウム塩、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)等に記載の分子量3000以下の溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、酸化防止剤などを適宜含有することができる。
特にカルボン酸は、性能向上のために好適に用いられる。カルボン酸としては、安息香酸、ナフトエ酸などの、芳香族カルボン酸が好ましい。
カルボン酸の含有量は、組成物の全固形分濃度中、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%である。
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、解像力向上の観点から、膜厚10〜250nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、膜厚20〜200nmで使用されることが好ましく、更に好ましくは30〜100nmで使用されることが好ましい。組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の固形分濃度は、通常1.0〜10質量%であり、好ましくは、2.0〜5.7質量%、更に好ましくは2.0〜5.3質量%である。固形分濃度を前記範囲とすることで、レジスト溶液を基板上に均一に塗布することができ、更にはラインウィズスラフネスに優れたレジストパターンを形成することが可能になる。その理由は明らかではないが、恐らく、固形分濃度を10質量%以下、好ましくは5.7質量%以下とすることで、レジスト溶液中での素材、特には光酸発生剤の凝集が抑制され、その結果として、均一なレジスト膜が形成できたものと考えられる。
固形分濃度とは、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の総重量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の重量の重量百分率である。
本発明における感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。フィルター濾過においては、例えば特開2002−62667号公報のように、循環的な濾過を行ったり、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ったりしてもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理などを行ってもよい。
<パターン形成方法>
本発明は、上記した本発明の組成物を用いて形成された感活性光線性又は感放射線性膜に関する。また、本発明のパターン形成方法は、上記感活性光線性又は感放射線性膜を、露光、現像する工程を有している。
本発明に係る組成物は、典型的には、以下のようにして用いられる。即ち、本発明に係る組成物は、典型的には、基板等の支持体上に塗布されて、膜を形成する。この膜の厚みは、0.02〜0.1μmが好ましい。基板上に塗布する方法としては、スピン塗布が好ましく、その回転数は1000〜3000rpmが好ましい。
この組成物は、例えば、精密集積回路素子やインプリント用モールドなどの製造等に使用される基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆、窒化シリコン及びクロム蒸着された石英基板など)上に、スピナー及びコーター等を用いて塗布される。その後、これを乾燥させて、感活性光線性又は感放射線性の膜(以下、レジスト膜ともいう)を形成する。なお、公知の反射防止膜を予め塗設することもできる。
次いで、上記の感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(通常80〜150℃、より好ましくは90〜130℃)を行った後、現像する。ベークを行うことにより、更に良好なパターンを得ることが可能となる。
活性光線又は放射線としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、及び電子線が挙げられる。これら活性光線又は放射線としては、例えば250nm以下、特には220nm以下の波長を有したものがより好ましい。このような活性光線又は放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、及び電子線が挙げられる。好ましい活性光線又は放射線としては、例えば、KrFエキシマーレーザー、電子線、X線及びEUV光が挙げられる。より好ましくは、電子線、X線及びEUV光である。
すなわち、本発明は、KrFエキシマーレーザー、電子線、X線又はEUV光用(より好ましくは電子線、X線又はEUV光用)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物にも関する。
現像工程では、通常、アルカリ現像液を用いる。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及びアンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン及びn−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン及びジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン及びメチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、又は、ピロール及びピヘリジン等の環状アミン類を含んだアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ現像液には、適当量のアルコール類及び/又は界面活性剤を添加してもよい。
アルカリ現像液の濃度は、通常は0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpH
は、通常は10.0〜15.0である。
本発明の組成物は、塗布、製膜、露光した後に、有機溶剤を主成分とする現像液を用いて現像し、ネガ型パターンを得るプロセスにも用いることができる。このようなプロセスとしては例えば特開2010−217884号公報に記載されているプロセスを用いることができる。
有機系現像液としては、エステル系溶剤(例えば、酢酸ブチル、酢酸エチルなど)、ケトン系溶剤(例えば、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなど)、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。有機系現像液全体としての含水率は10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
有機系現像液は塩基性化合物を有していてもよく、塩基性化合物として具体的には本発明の樹脂組成物が含みうる塩基性化合物として記載した化合物が挙げられる。有機溶剤現像とアルカリ現像を組み合わせた二重現像プロセスを行ってもよい。
なお、本発明に係る組成物を用いてインプリント用モールドを作製してもよく、その詳細については、例えば、特許第4109085号公報、特開2008−162101号公報、及び「ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開―ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦(フロンティア出版)」を参照されたい。
以下、本発明の態様を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
〔合成例1:樹脂(Aa−2)〕
樹脂(Aa−2)を、下記のスキームに従って合成した。
0.54gの化合物(1)と、19.77gの化合物(2)と、0.69gの重合開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)とを、92.09gのシクロヘキサノンに溶解させた。反応容器中に23.02gのシクロヘキサノンを入れ、窒素ガス雰囲気下、85℃の系中に4時間かけて滴下した。反応溶液を2時間に亘って加熱撹拌した後、これを室温まで放冷した。
上記反応溶液を、1350gのヘプタン/酢酸エチル=8/2中に滴下し、ポリマーを沈殿させ、ろ過した。400gのヘプタン/酢酸エチル=8/2を用いて、ろ過した固体のかけ洗いを行なった。その後、洗浄後の固体を減圧乾燥に供して、9.55gの樹脂(樹脂(Aa−2))を得た。
この樹脂(Aa−2)について、GPC(東ソー株式会社製;HLC−8120;Tsk gel Multipore HXL−M)を用い、溶媒としてTHFを使用して重量平均分子量及び分散度を測定した。また、NMR(ブルカー・バイオスピン株式会社製;AVANCEIII400型)を用い、1H−NMR又は13C−NMRで組成比を算出した。その結果を表1に示す。
〔その他の樹脂(Aa)〕
先に挙げた樹脂(Aa−1)、(Aa−3)〜(Aa−36)を、合成例1で述べた方法と同様の方法で合成した。更に、比較用として、以下に示す樹脂(Aa´−1)及び(Aa´−2)を合成した。また、これら樹脂について、合成例1で述べた方法と同様の方法で重量平均分子量、分散度及び組成比を測定した。その結果を表1に示す。
〔合成例2:樹脂(Ab−289)〕
46.50gの化合物(6)を263.5gのn−ヘキサンに溶解させ、87.19gのシクロヘキサノール、46.50gの無水硫酸マグネシウム、4.81gの10−カンファースルホン酸を加えて、室温で6時間攪拌した。10.49gのトリエチルアミンを加えて、10分間攪拌した後、ろ過して固体を取り除いた。400gの酢酸エチルを加えて、有機層を200gのイオン交換水で5回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して、化合物(7)含有溶液を116.27g得た。
化合物(7)含有溶液41.19gに、8.80gの塩化アセチルを加えて、室温で2時間攪拌して、化合物(8)含有溶液を49.99g得た。
7.40gの化合物(9)を79.93gの脱水テトラヒドロフランに溶解させ、7.40gの無水硫酸マグネシウム、60.89gのトリエチルアミンを加えて、窒素雰囲気下で攪拌した。0℃に冷却し、49.99gの化合物(8)含有溶液を滴下し、室温で3時間攪拌した後、ろ過して固体を取り除いた。400gの酢酸エチルを加えて、有機層を200gのイオン交換水で5回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーで単離精製し、23.91gの化合物(10)を得た。
6.61gの化合物(11)(50.00質量%シクロヘキサノン溶液)と、6.31gの化合物(10)と、0.35gの重合開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)とを、32.10gのシクロヘキサノンに溶解させた。反応容器中に19.07gのシクロヘキサノンを入れ、窒素ガス雰囲気下、85℃の系中に4時間かけて滴下した。反応溶液を2時間に亘って加熱撹拌した後、これを室温まで放冷した。
上記反応溶液を、450gのヘプタン/酢酸エチル=9/1(質量比)中に滴下し、ポリマーを沈殿させ、ろ過した。200gのヘプタン/酢酸エチル=9/1(質量比)を用いて、ろ過した固体のかけ洗いを行なった。その後、洗浄後の固体を減圧乾燥に供して、4.90gの樹脂(Ab−289)を得た。
〔その他の樹脂(Ab)〕
先に挙げた樹脂(Ab−1)〜(Ab−312)の中から、表2に示す樹脂の各々を、合成例2で述べた方法と同様の方法で合成した。更に、比較用として、以下に示す樹脂(Ab’−1)を合成した。また、これら樹脂について、合成例1で述べた方法と同様の方法で重量平均分子量、分散度及び組成比を測定した。その結果を表2に示す。
〔光酸発生剤〕
光酸発生剤としては先に挙げた酸発生剤z1〜z143から適宜選択して用いた。
〔塩基性化合物〕
塩基性化合物としては、下記化合物(N−1)〜(N−10)の何れかを用いた。
なお、上記化合物(N−7)は、上述した化合物(PA)に該当するものであり、特開2006−330098号公報の[0354]の記載に基づいて合成した。
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、下記W−1〜W−4を用いた。
W−1:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−2:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製;シリコン系)
W−3:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製;フッ素系)
W−4:PF6320(OMNOVA社製;フッ素系)
<電子線(EB)露光>(実施例1A〜42A、比較例1A〜4A)
(1)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の塗液調製及び塗設
下表に示した組成を有する固形分濃度3質量%の塗液組成物を0.1μm孔径のメンブレンフィルターで精密ろ過して、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)溶液を得た。
この感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を、予めヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した6インチSiウェハ上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いて塗布し、100℃、60秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚100nmのレジスト膜を得た。
(2)EB露光及び現像
上記(1)で得られたレジスト膜が塗布されたウェハを、電子線描画装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50KeV)を用いて、パターン照射を行った。この際、1:1のラインアンドスペースが形成されるように描画を行った。電子線描画後、ホットプレート上で、100℃で90秒間加熱した後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスした。その後、4000rpmの回転数で30秒間ウェハを回転させた後、95℃で60秒間加熱を行うことにより、線幅100nmの1:1ラインアンドスペースパターンのレジストパターンを得た。
(3)レジストパターンの評価
(3−1)感度
線幅100nmのライン/スペース=1:1のパターンを解像する時の照射エネルギーを感度(Eop)とした。この値が小さいほど性能が良好であることを示す。
(3−2)パターン形状
上記感度を示す露光量における線幅100nmのライン:スペース=1:1のパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察し、下記5段階評価を行った。
A:ブリッジなし
B:AとCの間
C:ややブリッジ
D:CとEの間
E:ブリッジ
(3−3)膜ベリ
下式により膜べりを評価した。膜ベリ率(%)が小さいほど、パターンの残膜が良好で、解像性が優れていることを意味する。
膜ベリ率(%)=(塗布膜厚100nm−パターン高さ)/塗布膜厚100nm×100
A:5.0%未満
B:5.0%以上10.0%未満
C:10.0%以上15.0%未満
D:15.0%以上20.0%未満
E:20.0%以上
(3−4)LER
上記100nmラインパターン(ライン:スペース=1:1)を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9260)を用いて観察した。そして、その長さ方向50μmに含まれる等間隔の30点について、エッジがあるべき基準線と実際のエッジとの間の距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。そして、この3σを「LER(nm)」とした。
<極紫外線(EUV)露光>(実施例1B〜42B、比較例1B〜4B)
(1)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の塗液調製及び塗設
下表に示した組成を有する固形分濃度1.5質量%の塗液組成物を0.05μm孔径のメンブレンフィルターで精密ろ過して、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)溶液を得た。
この感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を、予めヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した6インチSiウェハ上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いて塗布し、100℃で60秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚50nmのレジスト膜を得た。
(2)EUV露光及び現像
上記(1)で得られたレジスト膜の塗布されたウェハを、EUV露光装置(Exitech社製 Micro Exposure Tool、NA0.3、Quadrupole、アウターシグマ0.68、インナーシグマ0.36)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を使用して、パターン露光を行った。露光後、ホットプレート上で、100℃で90秒間加熱した後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスした。その後、4000rpmの回転数で30秒間ウェハを回転させた後、95℃で60秒間ベークを行なうことにより、線幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターンのレジストパターンを得た。
(3)レジストパターンの評価
(3−1)感度
線幅50nmのライン/スペース=1:1のパターンを解像する時の照射エネルギーを感度(Eop)とした。この値が小さいほど性能が良好であることを示す。
(3−2)パターン形状
上記感度を示す露光量における線幅50nmのライン:スペース=1:1のパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察し、下記5段階評価を行った。
A:ブリッジなし
B:AとCの間
C:ややブリッジ
D:CとEの間
E:ブリッジ
(3−3)膜ベリ
下式により膜べりを評価した。膜ベリ率(%)が小さいほど、パターンの残膜が良好で、解像性が優れていることを意味する。
膜ベリ率(%)=(塗布膜厚50nm−パターン高さ)/塗布膜厚50nm×100
A:5.0%未満
B:5.0%以上10.0%未満
C:10.0%以上15.0%未満
D:15.0%以上20.0%未満
E:20.0%以上
(3−4)LER
上記50nmラインパターン(ライン:スペース=1:1)を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9260)を用いて観察した。そして、その長さ方向50μmに含まれる等間隔の30点について、エッジがあるべき基準線と実際のエッジとの間の距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。そして、この3σを「LER(nm)」とした。
<現像欠陥>(実施例1C〜42C、比較例1C〜4C)
上記のように調製したポジ型レジスト液を東京エレクトロン製スピンコーターMark8を利用して、60nmの反射防止膜(ブリューワーサイセンス製DUV44)を塗布した基板上に均一に塗布し、130℃で60秒間加熱乾燥を行い、平均膜厚60nmのポジ型レジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C波長248nm)を用いて、ウェハー全面を15mm角の面積でオープンフレームの露光部と未露光部を交互に露光するチェッカーフラッグ露光した(露光条件:NA=0.80、σ=0.89、20mJ)。照射後に110℃、60秒間ベークし、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。得られたパターンを下記の方法で評価した。
また、レジスト膜の膜厚がゼロとなる感度E0を測定した。
上記の実効感度E
0において、マスクサイズ0.15μmのパターンをウエハ面内78箇所露光した。この得られたパターン付きウエハをケーエルエー・テンコール(株)製KLA−2360により現像欠陥数を測定した。この際の検査面積は計205cm
2、ピクセルサイズ0.25μm、スレッシュホールド=30、検査光は可視光を用いた。得られた数値を検査面積で割った値を欠陥数(個/cm
2)として評価した。値が1.0未満のものをA、1.0以上3.0未満のものをB、3.0以上5.0未満のものをC、5.0以上10.0未満のものをD、10.0以上のものをEとした。値が小さいほど良好な性能であることを示す。結果を表5に示した。