はじめに、本発明で使用するアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)について説明する。
本発明で使用するアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)は、脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)とを反応させて得られるものである。
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)は、優れた耐溶剤性と耐熱性とを奏するうえで脂肪族環式構造を有することが必須である。前記脂肪族環式構造は、前記脂肪族環式構造含有ポリオールと脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートと脂肪族環式構造含有ポリアミンのいずれからも供給されることが重要である。例えば、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)中に存在する脂肪族環式構造の質量割合が同程度であっても、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートの代わりに脂肪族ポリイソシアネートを使用した樹脂組成物では、所望の耐溶剤性を備えたプリズムシートを形成できない場合がある。
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)としては、優れた耐溶剤性と耐熱性とを両立したプリズムシートを得る観点から、20〜60質量%の範囲の脂肪族環式構造を有するものを使用することが好ましい。なお、前記脂肪族環式構造の質量割合は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量に対する、前記原料中に占める脂肪族環式構造の質量の割合である。
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)は、ウレタン結合とウレア結合とを有する。ウレア結合を有さない、いわゆるウレタンアクリレートを使用した場合には、成形加工性が低く、例えば薄肉化したプリズムシートを製造しにくい場合がある。したがって、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)としては、優れた成形加工性とともに、良好な耐熱性と耐溶剤性とを両立する観点から、4〜10質量%のウレア結合を有するものを使用することが好ましく、5〜8質量%であることがより好ましく、6〜7質量%であることが特に好ましい。なお、前記ウレア結合の質量割合は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量に対する、前記原料中に占めるウレア結合構造の質量の割合である。
また、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)としては、優れた成形加工性とともに、良好な耐熱性と耐溶剤性とを両立する観点から、5〜15質量%のウレタン結合を有するものを使用することが好ましく、7〜9質量%であることがより好ましい。なお、前記ウレタン結合の質量割合は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量に対する、前記原料中に占めるウレタン結合構造の質量の割合である。
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)としては、5000〜200000の重量平均分子量を有するものを使用することが、優れた耐溶剤性と耐熱性とともに良好な成形加工性を維持するうえで好ましく、15000〜200000の範囲がより好ましい。なお、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを使用し、スチレン換算によって求めた値である。
本発明で使用するアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)は、前記アクリル化合物(D)由来のアクリロイル基の当量重量が10000〜50000の範囲であるものを使用することが、優れた耐溶剤性と耐熱性とを両立するうえで好ましく、10000〜30000がより好ましい。なお、前記アクリロイル基の当量重量とは、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を構成する脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と活性水素原子含有基を有するアクリル化合物(D)との合計質量を、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂中に存在する前記アクリル化合物(D)由来のアクリロイル基の当量で除した値を指す。
次に、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する脂肪族環式構造含有ポリオール(A)について説明する。
本発明で使用する脂肪族環式構造含有ポリオール(A)としては、水酸基価が30〜230mgKOH/gの範囲であるものを使用することが好ましく、50〜230mgKOH/gの範囲であるものを使用することがより好ましい。なお、前記ポリオール(A)の水酸基価は、JIS K0070に準拠して測定を行った値である。
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)としては、例えば脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール、脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオール、脂肪族環式構造含有ポリエーテルポリオール、脂肪族環式構造含有アクリルポリオール等を使用することができ、脂肪族環式構造含有ジオールが好ましく使用される。また、これらの中でも優れた耐溶剤性と耐熱性とを両立する観点から、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール及び脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールを使用することがより好ましく、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートジオール及び脂肪族環式構造含有ポリエステルジオールを使用することが特に好ましい。
前記脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステル及び/またはホスゲンと、後述する概ね50〜400程度の比較的低分子量の脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)とを反応させて得られるものを使用することができる。
前記炭酸エステルとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート等を使用することできる。
前記炭酸エステルやホスゲンと反応しうる脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)としては、例えば1,2−シクロブタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ〔5,2,1,0,2,6〕デカン−ジメタノール、ビシクロ〔4,3,0〕−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカンジオール、ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジメタノール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカノール、スピロ〔3,4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、水素添加ビスフェノ−ルA、1,3−アダマンタンジオール等を使用することができ、なかでも1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用することが好ましい。
前記脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールとしては、例えば概ね50〜400程度の比較的低分子量の脂肪族環式構造含有ポリオールとポリカルボン酸とを反応させて得られるものや、低分子ポリオールと脂肪族環式構造含有ポリカルボン酸とを反応させて得られるものや、それらの一部に、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル化合物が開環重合反応して付加したものなどを使用することができる。
前記脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールの製造に使用可能な脂肪族環式構造含有ポリオールとしては、前記脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオールの製造に使用できるものとして例示した脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)と同様のものを使用することができる。
また、前記低分子量の脂肪族環式構造含有ポリオールと反応しうるポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸の脂肪族ポリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸やシクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族環式構造含有ポリカルボン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びそれらの無水物またはエステル誘導体を単独または2種以上併用して使用することができ、脂肪族ポリカルボン酸を使用することが好ましい。
前記脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールの製造に使用可能な脂肪族環式構造含有ポリカルボン酸としては、前記同様に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を使用することができる。
前記脂肪族環式構造含有ポリカルボン酸との反応に使用可能なポリオールとしては、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)の他に、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール等を使用することができる。
前記脂肪族環式構造含有ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
前記開始剤としては、例えば水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の、前記した脂肪族環式構造含有ポリオール(a1)と同様のものを使用することができる。また、必要に応じて、従来から知られるエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールを併用することもできる。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)としては、前記したような脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール、脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオールまたは脂肪族環式構造含有ポリエーテルポリオール等とともに、その他の活性水素含有の鎖伸長剤を組み合わせ使用することが、耐溶剤性や耐熱性、耐久性に優れたプリズムシートを形成できるうえで好ましい。
前記その他の活性水素含有の鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3,3’−ジメチロールへプタン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)へプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ハイドロキノンジエチロールエーテル等の多価アルコール等を単独または2種以上併用して使用することができる
本発明では、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)のほかに、必要に応じて、従来から知られる脂肪族ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリカーボネートポリオール、脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、脂肪族ポリエーテルポリオール、芳香族ポリエーテルポリオール等のその他のポリオールを組み合わせ使用することができる。
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)は、本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とアクリル化合物(D)との合計質量に対して、40〜80質量%の範囲で使用することが好ましい。
次に、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)について説明する。
前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)としては、例えばイソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナートエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を使用することができる。なかでも、本発明のプリズムシートに優れた耐溶剤性及び耐熱性を付与する観点からジイソシアネートを使用することが好ましく、イソホロンジイソシアネートや4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを使用することがより好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを使用することが特に好ましい。
また、本発明では、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)の他に、必要に応じて、フェニレンジイソシアネートやトリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等のその他のポリイソシアネートを組み合わせ使用することができる。
前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)は、得られるアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とアクリル化合物(D)との合計質量に対して、15〜50質量%の範囲で使用することが好ましい。
次に、前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)について説明する。
前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂中にウレア結合を導入するために使用する。
前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)としては、例えば、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、メチルジアミノシクロヘキサン、ビペラジン、ノルボルネンジアミン等を使用することができ、ジアミンを使用することが好ましく、特にイソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンを使用することが優れた耐熱性及び耐溶剤性に優れたプリズムシートを形成するうえで好ましい。
また、本発明では、前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)の他に、必要に応じて、従来からエチレンジアミン等の鎖伸長剤として知られる脂肪族ポリアミン等を、本発明の効果を損なわない範囲で併用しても良い。
前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)は、得られるアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とアクリル化合物(D)との合計質量に対して、1〜20質量%の範囲で使用することが好ましい。
次に、前記活性水素原子含有基を有する(メタ)アクリル化合物(D)について説明する。
本発明で使用する活性水素原子含有基を有する(メタ)アクリル化合物(D)は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂中に(メタ)アクリロイル基を導入するうえで使用するものであって、イソシアネート基と反応しうる活性水素原子含有基を有するものを使用する。
前記活性水素原子含有基としては、例えば水酸基、カルボキシル基等が挙げられるが、水酸基であることが好ましい。
前記(メタ)アクリル化合物(D)としては、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物やカルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物等を使用できるが、水酸基を有するアクリル化合物を使用することが好ましい。
前記水酸基を有するアクリル化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アクリル酸アルキルエステル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート等を使用することができる。なかでも、耐溶剤性と耐熱性の観点から、水酸基含有アクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましく、原料入手のしやすさの観点から2−ヒドロキシエチルアクリレートや4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用すること好ましい。
前記アクリル化合物(D)は、アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造に使用する原料である脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とアクリル化合物(D)との合計質量に対して、0.05〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
また、前記アクリル化合物(D)の一部は、本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物中に、未反応の状態で存在していても良い。即ち、本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物は、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂とともに、未反応の前記アクリル化合物(D)を含有するものであってもよい。
次に、本発明で使用する溶媒(2)について説明する。
前記溶媒(2)としては、有機溶媒及び水溶媒を使用することができるが、プリズムシートの成形性をより向上できる観点から、有機溶媒を使用することがより好ましい。
前記溶媒(2)として有機溶媒を使用する場合は、特に限定されないが、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブ、酢酸セロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、メタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を使用することができ、これらは単独又は併用して使用してもよい。また、これらの有機溶媒は、使用される用途に応じて適宜選択される。
また、本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物における、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)と前記溶媒(2)の質量割合は、(1)/(2)=10〜50/90〜50であることが好ましく、15〜35/85〜65であることがより好ましい。
次に、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造方法について説明する。
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)の製造方法としては、例えば以下の製法(i)〜製法(ii)の方法が挙げられる。なかでも以下の(i)の方法によって製造することが、反応を制御しやすいため好ましい。
製法(i)は、前記溶媒(2)下で、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と、必要に応じて、前記その他の活性水素含有の鎖伸長剤とを反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、前記ウレタンプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と前記アクリル化合物(D)とを反応させることによってアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造する方法である。
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)との反応は、該脂肪族環式構造含有ポリオール(A)の有する水酸基と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基]が1.1/1.0〜5.0/1.0の範囲で行うことが好ましく、1.5/1.0〜3.0/1.0の範囲であることがより好ましい。また、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)との反応は、20〜120℃の条件下で概ね30分〜24時間程度行うことが好ましい。
前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)との反応で得られた、前記分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と前記アクリル化合物(D)との反応は、例えば、前記ウレタンプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とを一括または逐次供給し反応させることによってウレタンウレアプレポリマーを製造し、該ウレタンウレアプレポリマーと前記アクリル化合物(D)とを反応させることによってアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造することができる。その際、前記ウレタンプレポリマーの有するイソシアネート基と脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)のアミノ基との当量割合[アミノ基/イソシアネート基]は、0.70/1.0〜0.99/1.0の範囲であることが好ましい。また、前記ウレタンプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)と前記アクリル化合物(D)とを一括または逐次混合し、20〜80℃の条件下で概ね1〜3時間ほど反応させることによって製造することもできる。
また、前記製法(ii)は、前記溶媒(2)下で、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)とを反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーを得、次いで、該ポリウレアプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記アクリル化合物(D)と、必要に応じて、前記その他の活性水素含有の鎖伸長剤とを反応させることによってアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造する方法である。
前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)との反応は、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)の有するアミノ基との当量割合[イソシアネート基/アミノ基]が1.1/1.0〜5.0/1.0の範囲で行うことが好ましい。また、前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)との反応は、20〜80℃の条件下で概ね30分〜1時間程度行うことが好ましい。
前記脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート(B)と前記脂肪族環式構造含有ポリアミン(C)との反応で得られた、前記分子末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーと、前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記アクリル化合物(D)との反応は、例えば、前記ポリウレアプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)とを一括または逐次供給し反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマーを製造し、該ウレタンウレアプレポリマーと前記アクリル化合物(D)を反応させることによってアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造することができる。また、前記ポリウレアプレポリマーと前記脂肪族環式構造含有ポリオール(A)と前記アクリル化合物(D)とを一括または逐次混合し反応させることによって製造することもできる。
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)を製造する際には、前記製法(i)及び(ii)のいずれの場合であっても、必要に応じて三級アミン触媒や有機金属系触媒を使用して反応を促進することができる。
以上の方法によって得られたアクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)及び溶媒(2)を含有する本発明のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物は、必要に応じて硬化剤や硬化促進剤を含んでいても良い。
前記硬化剤としては、例えば紫外線硬化剤や電子線硬化剤等の光硬化剤、熱硬化剤を使用することができる。
前記紫外線硬化剤は、光増感性物質であり、例えばベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系;ベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系;ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系;2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物を使用することができる。
前記電子線硬化剤としては、例えばハロゲン化アルキルベンゼン、ジサルファイド系化合物等を使用することができる。
その他の光硬化剤としては、例えば、ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、アルキルチオキサントン系化合物、スルホニウム塩系化合物等を使用することができる。
前記熱硬化剤としては、有機過酸化物を使用することができ、具体的には、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系化合物等を使用することができる。
前記硬化剤の使用量は、使用する種類によって異なるが、通常、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂(1)100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜5質量部の範囲で使用することがより好ましい。
また、前記硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト等の有機金属塩、アミン系、β−ジケトン類等を使用することができる。
本発明で使用するアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物は、前記したものの他に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の添加剤を含んでいても良い。
前記その他の添加剤としては、例えば、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多価アルコール類のアリルエーテル化合物等を使用することもできる。
また、前記その他の添加剤としては、得られるプリズムシートの耐熱性や耐久性を向上させる観点から、アクリル化合物を使用することができる。
前記アクリル化合物としては、例えば前記アクリル化合物(D)として例示したものと同様のものや、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能アクリル化合物を使用することができる。
また、前記その他の添加剤としては、例えば、充填材や顔料、染料、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、接着性付与剤、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤、成膜助剤、安定剤、難燃剤や賦形剤等、従来知られている各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
次に、本発明のプリズムシートの製造方法について説明する。
前記プリズムシートの製造方法は、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を賦形基材に塗工し、塗布基材を乾燥後、前記賦形基材から剥離することを特徴とする。
前記賦形基材としては、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物の塗布物にプリズム列を付与できるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、プリズム状突起列が直線状の三角形プリズム、もしくは直線状の三角形プリズムのプリズム先端角度が丸められている擬似三角形プリズム、もしくはかまぼこ形プリズム、ピラミッド状の三角錘もしくは四角錘形プリズムを片面に有する基材等が挙げられ、前記基材の材質としては、ガラス、ゴム、石英、セラミック、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属や各種プラスチック等を例示することができる。
前記プラスチックとしては、例えば、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、TAC(トリアセチルセルロース)等が挙げられる。
また、前記賦形基材のプリズム列は、連続的に形成されていればよく、隣接するプリズム列は適宜離れていてもよく、その距離(三角上のプリズムのピッチ)としては、概ね1〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることが好ましい。
また、前記賦形基材の断面三角状のプリズム列の先端角度としては、特に限定されるものではないが、概ね160°以下のものを使用することが好ましく、40〜130°の範囲であることがより好ましい。
前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を前記賦形基材に塗工する方法としては、特に限定されないが、例えば、カーテンフローコーター法やダイコーター法等のスリットコーター法、ナイフコーター法、ロールコーター法等によって塗工する方法が挙げられる。
前記塗工の際のアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物の塗布量としては、特に限定はないが、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物を前記賦形基材に塗工したのちに、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物に含まれる溶媒(2)を乾燥して除去し、得られるプリズムシートの厚み(突起列を含むプリズムシートの厚み)が10〜500μmとなるように塗布することが好ましい。前記プリズムシートの厚みが10μmを下回ると十分な耐熱性を付与することができず、反対に500μmを上回ると、フィルムの厚みが目立ってしまう。
前記塗工基材を乾燥する方法しては、前記溶媒(2)が実用上除去できればよく、常温下で自然乾燥でも良いし、加熱乾燥させることもできる。なかでも、乾燥時間を短縮できる観点から、加熱乾燥させることが好ましく、前記加熱乾燥は、通常、40〜250℃、好ましくは60〜150℃で、1〜600秒程度、好ましくは1〜30分程度の時間で行うことが好ましい。
また、前記塗工基材を乾燥した後においては、前記アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物由来の(メタ)アクリロリル基同士の架橋率を向上させ、耐熱性を向上できる観点から、紫外線を照射することが好ましい。
前記紫外線を照射する方法としては、例えば、前記紫外線硬化剤を使用したアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物は、メタルハライドランプ、水銀ランプ、紫外線LEDランプ等の一般的な紫外線光照射装置を用いて所定の紫外線を照射することができる。
また、前記紫外線の照射は、好ましくは50〜5000mJ/cm2、より好ましくは、100〜3000mJ/cm2、300〜1500mJ/cm2の範囲であることがよい。なお、紫外線の照射量は、UVチェッカーUVR−N1(GSユアサ(株))を用いて300〜390nmの波長域において測定した値を基準とした。
前記塗工基材を乾燥した後、または必要に応じて前記紫外線を照射した後には、プリズムシートが形成されているため、前記賦形基材から剥離することで簡便にプリズムシートを得ることができる。
以上の方法によって得られたプリズムシートは、耐溶剤性及び耐熱性に優れ、また、一体的に、且つ簡便に製造することができるものである。
[合成例1]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1447.2質量部と、トルエンの543.1質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの73.6質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを8.1質量部とsec−ブタノールを241.2質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(I)(アクリロイル基の当量重量;1.15×104、重量平均分子量;21000、不揮発分;25質量%)を得た。
[合成例2]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1445.9質量部と、トルエンの542.4質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの75.2質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを5.8質量部とsec−ブタノールを241.0質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(II)(アクリロイル基の当量重量;1.61×104、重量平均分子量;39000、不揮発分;25質量%)を得た。
[合成例3]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1444.6質量部と、トルエンの541.7質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを240.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(III)(アクリロイル基の当量重量;2.66×104、重量平均分子量;64000、不揮発分;25質量%)を得た。
[合成例4]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを262.4質量部、トルエンを190.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1516.8質量部と、トルエンの567.8質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを252.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(IV)(アクリロイル基の当量重量;2.80×104、重量平均分子量;128000、不揮発分;25質量%)を得た。
[合成例5]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを262.4質量部、トルエンを190.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1549.3質量部と、トルエンの584.1質量部とを混合した後、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンの94.9質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを258.2質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(V)(アクリロイル基の当量重量;2.86×104、重量平均分子量;172000、不揮発分;25質量%)を得た。
[合成例6]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とを反応させて得られた脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオール(水酸基価:112.2)500.0質量部を仕込み、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを262.4質量部、トルエンを190.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1516.8質量部と、トルエンの567.8質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを252.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(VI)(アクリロイル基の当量重量;2.80×104、重量平均分子量;157000、不揮発分;25質量%)を得た。
[比較合成例1]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1442.6質量部と、トルエンの540.7質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの79.2質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、sec−ブタノールの240.4質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、ウレタンウレア樹脂組成物(VII)(アクリロイル基の当量重量;−、重量平均分子量;70000、不揮発分;25質量%)を得た。
[比較合成例2]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール(日本ポリウレタン工業(株)製の「ニッポラン981」、水酸基価:112.2)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1444.6質量部と、トルエンの541.7質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを240.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(VIII)(アクリロイル基の当量重量;2.66×104、重量平均分子量;61000、不揮発分;25質量%)を得た。
[比較合成例3]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、脂肪族環式構造含有ポリカーボネートポリオール(宇部興産(株)製のUC−100、水酸基価:116.4)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1355.1質量部と、トルエンの497.0質量部とを混合した後、エチレンジアミンの27.1質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを225.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(IX)(アクリロイル基の当量重量;2.50×104、重量平均分子量;59000、不揮発分;25質量%)を得た。
[比較合成例4]
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール(水酸基価:112.2)500.0質量部を仕込み、イソホロンジイソシアネートを222.2質量部、トルエンを180.6質量部加え、発熱を抑制しながら、80℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのトルエン溶液を得た。
次いで、40℃まで冷却した前記トルエン溶液と、N、N−ジメチルホルムアミドの1444.6質量部と、トルエンの541.7質量部とを混合した後、イソホロンジアミンの76.8質量部と混合し、60℃で3時間反応させることによって分子末端にイソシアネート基を有するウレタンウレアプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンウレアプレポリマー溶液と、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.5質量部とsec−ブタノールを240.8質量部とを混合し、70℃で1時間程反応させることによって、アクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物(X)(アクリロイル基の当量重量;2.66×104、重量平均分子量;64000、不揮発分;25質量%)を得た。
[アクリル変性ウレタンウレア樹脂の重量平均分子量の測定方法]
上記実施例及び比較例で得られたアクリル変性ウレタンウレア樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算により求めた。得られたアクリル変性ウレタンウレア樹脂組成物の固形分0.4gをテトラヒドロフラン100gに溶解して測定試料とした。
測定装置は、東ソー(株)製高速液体クロマトグラフHLC−8220型を用いた。カラムは、東ソー(株)製カラムTSK−GEL(HXL−H、G5000HXL、G4000HXL、G3000HXL、G2000HXL)を組み合わせて使用した。
測定条件として、カラム温度は40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/min、試料注入量500μLとし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いた。
[実施例1]
上記合成例1で得られた樹脂組成物の固形分100質量部に対してイルガキュア184(チバ・ジャパン(株)製、光重合開始剤)2質量部を混合し、10分間攪拌することによって塗工液を得た。
次いで、前記塗工液を、断面三角状の直線プリズム列を有するアクリルプレート(ピッチ50μm、先端角度90°)上に、塗工した後、熱風乾燥機を用いて100℃で20分間乾燥した後、コンベアタイプの紫外線照射装置(株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション製のCSOT−40)を用い1000mJ/cm2を照射し、前記断面三角状の直線プリズム列を有するアクリルプレートから剥離することにより、プリズムシートの厚み(突起列を含むプリズムシートの厚み)が50μmのプリズムシートを得た。
[実施例2〜6、比較例1〜4]
使用する樹脂組成物を表1〜2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして
膜厚が50μmのプリズムシートを得た。
[耐溶剤性の評価方法]
前記方法で作成したプリズムシートを縦50mm×横50mmの大きさに裁断することで試験シートを得た。次いで、前記試験シートを、内寸が縦40mm×横40mmの枠に張力がかからないように固定したものを試験片とした。
次に、前記試験片を、温度23℃及び相対湿度50%の環境下でテトラヒドロフラン(THF)中に1分間浸漬した。
前記浸漬後、前記試験片を前記テトラヒドロフラン中から取り出し、前記試験シートの形状等を目視で評価した。
◎;試験シートは浸漬前の形状を保持しており、その表面にピンホールや白化も発生していなかった。
○;試験シートは浸漬前の形状を保持しているものの、その表面にはピンホールや白化が確認された。
△;試験シートの一部(フィルム面積の約30%未満)が溶解した。
×;試験シートの全面積の50%以上が溶解し、浸漬前のシート形状をほとんど保持していなかった。
[耐熱性の評価方法]
前記方法で作成したプリズムシートの流動開始温度を、島津フローテスター CFT500D−1(株式会社島津製作所製)を用い、測定開始温度;40℃、昇温速度;3.0℃/分、昇温法、シリンダ圧力;9.807×105Pa、ダイス;1mm×1mmL、荷重;98N、ホールド時間;600秒の条件で測定した。
前記流動開始温度が概ね180℃以上であるものは、耐熱性に優れるものと評価した。
表1〜2中の略称について説明する。
「CH−PC」は、宇部興産(株)製のUC−100(1,4−シクロヘキサンジメタノール系ポリカーボネートポリオール、水酸基価:116.4)である。
「HG-PC」は、日本ポリウレタン工業(株)製の「ニッポラン981」(1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール、水酸基価:112.2)である。
「BG−AA」は、1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール(水酸基価:112.2)である。
「CH−AA」は、1,4−シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とを反応させて得られた脂肪族環式構造含有ポリエステルポリオール(水酸基価:112.2)である。
「IPDI」は、イソホロンジイソシアネートである。
「H12MDI」は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
「IPDA」はイソホロンジアミンである。
「EDA」はエチレンジアミンである。
「H12MDA」は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンである。
「HEA」は2−ヒドロキシエチルアクリレートである。