以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。画像形成装置200は、本実施形態では、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタおよびブラック)に対応する4つの感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dを並列配置して画像形成を行う、4連タンデム型のカラープリンタで構成されている。
画像形成装置200の装置本体内には、4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、図1では右側から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの画像を順次形成する。
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する上記した感光体ドラム1a〜1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において反時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において用紙P上に一度に転写され、さらに、定着装置13において用紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12aおよびレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、主に継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。中間転写ベルト8および二次転写ローラ9は、ベルト駆動モータ(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dと同一線速で回転駆動される。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a〜1dに対して画像データに基づく露光を行う露光ユニット5と、感光体ドラム1a〜1d上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像ユニット3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a〜1d上でトナー像の転写後に残留した現像剤(トナー)を回収、除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dとが設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット5によって画像データに基づいて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像ユニット3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラ(現像剤担持体)を備え、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。
なお、後述のトナー像の形成によって各現像ユニット3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。このトナーは、現像ユニット3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット5の露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラ6a〜6dに所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。一次転写ローラ6a〜6dは、一次転写駆動モータ(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8と同一線速で回転駆動される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
中間転写ベルト8は、従動ローラ10及び駆動ローラ11に掛け渡されており、上記ベルト駆動モータによる駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、ニップ部において用紙P上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着装置13へと搬送される。
定着装置13に搬送された用紙Pは、定着ローラ対13aのニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱および加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
一方、用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置13を通過した用紙Pの一部を一旦排出ローラ15から装置外部にまで突出させる。その後、用紙Pは排出ローラ15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着装置13に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
次に、上述した画像形成部Paの詳細について説明する。なお、画像形成部Pb〜Pdについては、基本的に画像形成部Paと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。図2は、図1における画像形成部Pa付近を拡大して示す断面図である。感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図2の反時計回り)に沿って、上述した帯電装置2a、現像ユニット3a、一次転写ローラ6a、クリーニング装置7aが配設されている。このうち、一次転写ローラ6aは、感光体ドラム1aと中間転写ベルト8を挟んで対向する位置に配置されている。
また、感光体ドラム1aと、帯電装置2aと、クリーニング装置7aとはユニット化されている。なお、画像形成部Pa〜Pdにおいて、感光体ドラムと、帯電装置と、クリーニング装置とからなるユニットを、以下では、ドラムユニット40a〜40d(図4参照)と称することとする。
帯電装置2aは、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラ21と、帯電ローラ21をクリーニングするための帯電クリーニングローラ23とを有している。現像ユニット3aは、2本の攪拌搬送スクリュー25と、磁気ローラ27と、現像ローラ29とを有する、いわゆるタッチダウン現像式であり、現像ローラ29にトナーの帯電極性と同極性(正)の現像バイアスを印加してドラム表面にトナーを飛翔させる。
クリーニング装置7aは、摺擦ローラ(研磨部材)30、クリーニングブレード31、および回収スパイラル33を有している。摺擦ローラ30は、感光体ドラム1aに所定の圧力で圧接されており、ドラムクリーニングモータ(図示せず)により感光体ドラム1aとの当接面において同一方向に回転駆動されるが、その線速は感光体ドラム1aの線速よりも速く(ここでは1.2倍)制御されている。摺擦ローラ30としては、例えば金属シャフトの周囲にローラ体としてEPDMゴム製でアスカーC硬度で55°の発泡体層を形成した構造が挙げられる。ローラ体の材質としてはEPDMゴムに限定されず、他の材質のゴムや発泡ゴム体であっても良く、アスカーC硬度が10〜90°の範囲のものが好適に使用される。
なお、アスカーCとは、日本ゴム協会標準規格に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)の一つで、硬さを測定するための測定器のことである。アスカーC硬度とは、上記の測定器で測定された硬度を指し、数値が大きいほど硬い材料であることを示す。
感光体ドラム1a表面の、摺擦ローラ30との当接面よりも回転方向下流側には、クリーニングブレード31が感光体ドラム1aに当接した状態で固定されている。クリーニングブレード31としては、例えばJIS硬度が78°のポリウレタンゴム製のブレードが用いられ、その当接点において感光体接線方向に対し所定の角度で取り付けられている。なお、クリーニングブレード31の材質および硬度、寸法、感光体ドラム1aへの食い込み量および圧接力等は、感光体ドラム1aの仕様に応じて適宜設定される。なお、JIS硬度とは、日本工業規格(JIS;Japanese Industrial Standards )で規定された硬度を指す。
摺擦ローラ30およびクリーニングブレード31によって感光体ドラム1a表面から除去された残留トナーは、回収スパイラル33の回転に伴ってクリーニング装置7a(図2参照)の外部に排出される。本発明に用いられるトナーとしては、トナー粒子表面にシリカ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等から選択される研磨剤が埋め込まれて表面に一部突出するように保持されたものや、研磨剤がトナー表面に静電的に付着しているものが用いられる。
このように摺擦ローラ30を感光体ドラム1aに対し速度差を持って回転させることで研磨剤を含む残留トナーによって感光体ドラム1aの表面を研磨し、摺擦ローラ30およびクリーニングブレード31によってドラム表面の水分や汚染物質を残留トナーと共に除去する。
なお、装置本体内部のレイアウトは、感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8の回転方向や、用紙Pの搬送経路を適切に設定できるのであれば、適宜変更可能である。例えば、感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8の回転方向を、本実施形態とは逆にするとともに、ドラムユニット40a〜40dと現像ユニット3a〜3dとの位置関係を、本実施形態とは逆にし、これに合わせて用紙Pの搬送経路を設定することも勿論可能である。
図3は、ドラムユニット40aの外観を示す斜視図である。なお、ドラムユニット40b〜40dについては、基本的にドラムユニット40aと同様の構成であるため説明を省略する。ドラムユニット40aは、上述した感光体ドラム1a、帯電装置2a、クリーニング装置7aの他に、トナー廃棄口41aを有している。クリーニング装置7aにて回収された廃棄用のトナーは、トナー廃棄口41aから排出され、後述する廃棄トナー搬送装置100(図11参照)を介して回収容器110(図12参照)に搬送される。
図4は、上記のドラムユニット40aと併用される現像ユニット3aの外観を示す斜視図である。なお、現像ユニット3b〜3dについては、基本的に現像ユニット3aと同様の構成であるため説明を省略する。現像ユニット3aは、上述した2本の攪拌搬送スクリュー25、磁気ローラ27、現像ローラ29を内部に有しているとともに、トナーコンテナ4aからのトナーを供給するトナー供給部(図示せず)と接続されるトナー供給口50aを有している。このトナー供給口50aを介して対応する色(ここではシアン)のトナーが現像ユニット3aの内部に供給され、静電潜像の現像に供される。
また、現像ユニット3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対し現像ローラ29(図2参照)を接近させ、若しくは退避させるローラ接離機構51(図5参照)を備えており、後述する位置決め装置60の位置決め板70(図7参照)に対向する現像ユニット3a〜3dの前面には、ローラ接離機構51を構成するシャフト部材53の当接部53aが突出している。また、当接部53aの近傍には現像ユニット3a〜3d内の浮遊トナーを吸引するための吸引ダクトに連結されるダクト連結部50bが形成されている。さらに、当接部53a及びダクト連結部50bの下方には位置決め装置60の位置決めボス86a〜86d(図7参照)が嵌合する嵌合孔50cが形成されている。
図5は、ローラ接離機構の概略側面図であり、図6は、ローラ接離機構、現像ローラ、感光体ドラムの関係を軸方向(図5の右方向)から見た概略図である。図5及び図6を用いて、ローラ接離機構51による感光体ドラム1a〜1dへの現像ローラ29の接近及び退避機構について説明する。なお、ここでは現像ユニット3aのローラ接離機構51について説明するが、現像ユニット3b〜3dについても同様であるため説明を省略する。ローラ接離機構51は、アーム部材52a、52bと、シャフト部材53と、圧縮バネ54と、軸受部材55とを有している。
アーム部材52a、52bは、シャフト部材53に対し下方から当接し、バネ等の付勢手段(図示せず)により自由状態では上方向に付勢力を受けている。シャフト部材53は、所定の剛性を備えた素材を材質として形成され、現像ユニット3aの長手方向に沿って配置された棒状部材であり、軸方向(矢印AA′方向)に移動自在に配置されている。シャフト部材53は、軸方向前側の端部に位置決め板70(図7参照)に当接可能な当接部53aを有しており、シャフト部材53の外周面には、アーム部材52a、52bに対応する位置に側面視台形状の2つのリブ53bが形成されている。
圧縮バネ54は、自由状態でシャフト部材53の当接部53aが現像ユニット3aの前側から突出するよう、シャフト部材53を軸方向前側(矢印A′方向)に付勢する。軸受部材55は、アーム部材52a、52bと一体に形成され、磁気ローラ27及び現像ローラ29(図2参照)の各回転軸27a、29aの両端部を受けて両ローラ27、29を連結するリンク部材として機能し、磁気ローラ27の回転軸を中心として一体に回動するようになっている。従って、軸受部材55が回転軸27aを中心として回動すると、現像ローラ29は、軸受部材55と共に磁気ローラ27を中心として回動して感光体ドラム1aに対し接近又は退避する。なお、軸受部材55は、アーム部材52a、52bと別体の部材であっても良い。
図5及び図6に示すように、シャフト部材53の当接部53aが現像ユニット3aから突出した状態では、アーム部材52a、52bがリブ53bに乗り上げて下方に押し下げられており、現像ローラ29は感光体ドラム1aから退避した位置にある。この状態から当接部53aが現像ユニット3a内に押し込まれると、シャフト部材53が軸方向奥側(矢印A方向)に動くことで各アーム部材52a、52bがリブ53bから脱落し、各アーム部材52a、52bは矢印B方向に回動する。そして、各アーム部材52a、52bと共に軸受部材55も回転軸27aを中心として矢印B方向に回動するため、現像ローラ29が感光体ドラム1aに接近する。
さらに、再び当接部53aの押圧を解除すると、シャフト部材53が圧縮バネ54の付勢力により軸方向前側(矢印A′方向)に動くことで各アーム部材52a、52bがリブ53bに乗り上げ、各アーム部材52a、52bは矢印B′方向に回動する。そして、各アーム部材52a、52bと共に軸受部材55も回転軸27aを中心として矢印B′方向に回動するため、現像ローラ29が感光体ドラム1aから退避する。
なお、ここではシャフト部材53は、リブ53bによって手前側のアーム部材52aと奥側のアーム部材52bとを下方に同時に押し下げるようにしたが、各アーム部材52a、52bの回動タイミングが異なるようにしても良い。例えば、奥側のアーム部材52bを先に下方に押し下げてから手前側のアーム部材52aを下方に押し下げる構成としても良い。
次に、本発明の画像形成装置に用いられるドラムユニットの位置決め装置について説明する。なお、以下での説明の便宜上、方向を以下のように定義しておく。まず、上記した画像形成装置200において、感光体ドラム1a〜1dのドラム軸が並ぶ方向をX方向とし、各ドラム軸を含む平面に垂直な方向をY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(ドラム軸方向)をZ方向とする。すなわち、図1の画像形成装置200においては、X方向は左右方向に対応し、Y方向は上下方向に対応し、Z方向は前後方向に対応する。なお、X、Y、Zの各方向は、ドラムユニット位置決め装置による位置決めが完了した状態(以下、位置決め完了状態とも称する)での方向を指すものとする。なお、X、Y、Zの各方向の正負の向きは、ここでは問わない。
図7及び図8は、位置決め装置60をそれぞれドラムユニット側及び装置外側から見た斜視図であり、図9は、位置決め完了状態における位置決め板70を装置外側から見た斜視図、図10は、位置決め装置を位置決めピンの位置で切断した側面断面図である。位置決め装置60は、感光体ドラム1a〜1dを個々に有するドラムユニット40a〜40dの相互間の位置決めを行うドラムユニット位置決め装置であり、位置決め板70と、ホルダ部材80とを有している。以下、各構成の詳細について説明する。
図7に示すように、位置決め板70は、軸受孔73a、73b、73c、73d、位置決めピン74・74、凹部75a、75b、75c、75d、及び開口76a、76b、76c、76dが形成された平板部71を有している。軸受孔73a〜73dは、平板部71においてX方向に所定間隔をおいて一列に形成されているとともに、Y方向の中央よりも下側に形成されている。
位置決めピン74・74は、これらの間に軸受孔73a〜73d、凹部75a〜75d、及び開口76a〜76dが位置するように平板部71に固定されている。つまり、位置決めピン74・74は、軸受孔73a〜73dとX方向の同一直線上に位置している。この位置決めピン74・74は、各ドラムユニット40a〜40dが装填される装置本体の前側板41に形成された位置決め穴(図示せず)に嵌め込まれることによって、装置本体との位置決めを行う。
凹部75a〜75dは、平板部71において軸受孔73a〜73dからX方向にずれた位置に形成されている。ホルダ部材80の回動時には、ドラムユニット40a〜40dのトナー廃棄口41a〜41d(図9参照)が平板部71の凹部75a〜75dの内側を通ることになり、トナー廃棄口41a〜41dと平板部71との干渉が回避される。
開口76a〜76dには、現像ユニット3a〜3dの前面に形成されたダクト連結部50b(図4参照)が重なり合う。これにより、ダクト連結部50bとホルダ部材80内に形成された吸引ダクト(図示せず)とが連通される。
また、位置決め板70には、位置決め装置60を閉状態としたとき装置本体の前側板41に当接する接地バネ90が固定されている。この接地バネ90及び位置決め板70を介して感光体ドラム1a〜1dがグランドに接地される。
なお、図9に示すように、平板部71のX方向両端部を、前側板41との接触側とは反対側の方向に折り曲げることによって挿通部72が形成されている。この挿通部72は、ホルダ部材80のフック83の回動軸83aが若干の隙間を介して挿通される挿通口72aを有する。
このように、挿通口72aの内面と回動軸83aの外面との間に隙間が存在することにより、位置決め板70(特に平板部71)は、多少の変位が可能な状態でホルダ部材80(特に回動軸83a)に保持される。つまり、位置決め板70はホルダ部材80に完全に固定されるわけではなく、ホルダ部材80に対し多少のぐらつき(変位)が生じるように保持される。なお、平板部71の変位には、平板部71の回動軸83a方向への平行移動も含まれるし、回動軸83aを揺動軸とする平板部71の傾きの変化も含まれる。
ホルダ部材80は、回動軸80aを中心に位置決め板70を保持しながら回動することにより、位置決め板70の軸受孔73a〜73dに対して、ドラム軸1a1、1b1、1c1、1d1を相対的に挿抜させる保持部材である。このホルダ部材80は、回動軸80aの両端部と本体81とを連結部82・82で連結して構成されるとともに、フック83・83と、レバー84とを有している。
本体81は、全体としてX方向に長尺状であり、回動軸80aに垂直な断面内での形状が、位置決め完了状態において前側板41に近い側が開口した凹状となっている。上記した位置決め板70の平板部71は、本体81の上記の開口に位置する。位置決め板70は、上述したように挿通部72・72を介して回動軸83aに変位可能に保持されている。
本体81には、平板部71の凹部75a〜75dと対応する凹部85a、85b、85c、85dが形成されている。これにより、ホルダ部材80の回動時には、ドラムユニット40a〜40dのトナー廃棄口41a〜41dが本体81の凹部85a〜85dの内側を通過すことになり、トナー廃棄口41a〜41dとホルダ部材80との干渉が避けられる。また、本体81の下端部には各現像ユニット3a〜3dの嵌合孔50cに嵌合する位置決めボス86a〜86dが突設されている。
回動軸80aは、ドラムユニット40a〜40dのドラム軸1a1〜1d1が並ぶX方向に平行に位置し、かつ、ドラム軸1a1〜1d1よりも上方に位置するように装置本体に支持される。回動軸80aがドラム軸1a1〜1d1よりも上方に位置することは、図7において、ドラム軸1a1〜1d1が嵌め込まれる軸受孔73a〜73dよりもY方向上側に回動軸80aが位置していることから明らかである。従って、位置決め装置60は、装置本体の正面に対して下開きとなるように回動軸80aを支点として回動することが可能となる。
フック保護部89・89は、それぞれ、回動軸80aに垂直な面内でフック83・83を覆うように、本体81からX方向にややはみ出るように設けられており、フック83・83を保護している。フック保護部89・89は前側板41に近い側が開口しており、フック83・83と前側板41との係合が可能となっている。
フック83・83は、各ドラムユニット40a〜40dが装填される装置本体(前側板41)の穴部(図示せず)と係合する係合部材であり、本体81に支持された回動軸83aの両端に設けられており、この回動軸83aを支点として一体で回動する。フック83・83は、図示しないバネにより、装置本体と係合する回動方向に付勢されている。なお、フック83・83の回動軸83aは、ホルダ部材80の回動軸80aと平行(X方向)に設けられている。
レバー84は、フック83・83の回動軸83aのX方向中央部に固定されており、回動軸83aを支点として装置本体と係合する回動方向とは逆方向にフック83・83を回動させることにより、フック83・83の装置本体との係合を解除する。
フック83・83の回動軸83aの一方には引っ張りバネ91の一端が連結されており、引っ張りバネ91の他端は装置本体内に固定されている。そして、引っ張りバネ91の付勢力が位置決め装置60の回動操作を補助する方向に作用するように引っ張りバネ91の固定位置と位置決め装置60の回動支点(ホルダ部材80の回動軸80a)との関係が決定される。具体的には、引っ張りバネ91は装置本体内において、位置決め装置60の回動角度が所定角度以上のとき位置決め装置60が開方向に付勢され、位置決め装置60の回動角度が所定角度よりも小さいとき位置決め装置60が閉方向に付勢される位置に固定されている。引っ張りバネ91の固定位置の詳細については後述する。
また、図10に示すように、ホルダ部材80の本体81から位置決め板70の平板部71が離れる方向に、平板部71を付勢するコイルバネ92が、本体81の内壁面と平板部71との間に設けられている。コイルバネ92は、ホルダ部材80の回動軸80a(図8参照)に垂直な断面内で、平板部71の中央からずれた位置を付勢している。具体的には、コイルバネ92は2つの位置決めピン74に対応して2つ設けられており、それぞれ位置決めピン74をプレート74aとともに後端から前側板41側へ付勢している。
なお、本体81から平板部71が離れる方向に平板部71を付勢できるのであれば、コイルバネに限定されるわけではなく、例えば板バネであってもよいし、ゴム状の弾性体であってもよい。
次に、画像形成装置200が備える廃棄トナー搬送装置について説明する。図11は、廃棄トナー搬送装置100をドラムユニット側の下方から見た構成を示す斜視図であり、図12は、廃棄トナー搬送装置100及びトナー回収容器を含む廃棄トナー搬送機構を装置前側の上方から見た斜視図である。なお、図12では廃棄トナー搬送装置100の接続口101a〜101d及び搬送部102のみを図示している。
廃棄トナー搬送装置100は、各ドラムユニット40a〜40dのトナー廃棄口41a〜41dと着脱され、各クリーニング装置7a〜7d(図1参照)で回収されてトナー廃棄口41a〜41dから排出されるトナーを回収容器110(図12参照)に搬送する装置である。この廃棄トナー搬送装置100は、回動軸100aと、接続口101a〜101dと、搬送部102と、凸部103と、フック104・104と、レバー105とを有している。
回動軸100aは、ドラムユニット40a〜40dのトナー廃棄口41a〜41dが並ぶX方向に平行に位置するように装置本体に支持されている。この回動軸100aは、接続口101a〜101dよりもY方向下側に位置しており、それゆえ、接続口101a〜101dと接続されるトナー廃棄口41a〜41dよりもY方向下側に位置している。このように回動軸100aが位置していることにより、廃棄トナー搬送装置100は、装置本体の正面に対して上開きとなるように回動軸100aを支点として回動することが可能となる。
接続口101a〜101dは、各ドラムユニット40a〜40dのトナー廃棄口41a〜41dと着脱される部分である。なお、図12では、便宜上、ドラムユニット40a〜40dのうち、ドラムユニット40aのみを図示している。トナー廃棄口41a〜41dから上記の接続口101a〜101dを介して内部に搬送された廃棄用のトナーは、搬送部102によってX方向に沿って搬送され、排出口102aを介して回収容器110に排出される。
凸部103は、装置本体の前側板41の穴部44(図14参照)に嵌め込まれ、装置本体に対する廃棄トナー搬送装置100の位置決めを行う。図11に示すように、接続口101a〜101dおよび凸部103は、X方向の同一直線上に位置している。
フック104・104は、装置本体の前側板41の穴部45・45(図14参照)と係合する係合部材であり、廃棄トナー搬送装置100の側面部を貫通する回動軸104aの両端に設けられており、この回動軸104aを支点として一体で回動する。フック104・104は、図示しないバネにより、装置本体と係合する回動方向に付勢されている。なお、フック104・104の回動軸104aは、廃棄トナー搬送装置100の回動軸100aと平行に設けられているとともに、回動軸100aよりもY方向上方に設けられている。
レバー105は、フック104・104と連動するように設けられており、レバー105を引くと、回動軸104aを支点として、穴部45・45と係合する回動方向とは逆方向にフック104・104が回動する。これにより、フック104・104による装置本体との係合が解除され、廃棄トナー搬送装置100を回動させることができる。
上述した構成の廃棄トナー搬送装置100は、位置決め装置60に対して、各ドラムユニット40a〜40dとは反対側に設けられている。すなわち、各ドラムユニット40a〜40dのZ方向外側(装置前側)に位置決め装置60が位置し、さらにそのZ方向外側に廃棄トナー搬送装置100が位置している。従って、廃棄トナー搬送装置100を先に回動させて開かなければ、次に位置決め装置60を回動させて開くことができず、逆に、位置決め装置60を先に回動させて閉じなければ、廃棄トナー搬送装置100を回動させて閉じることができない構成となっている。
次に、位置決め装置60、及び廃棄トナー搬送装置100の操作も含めた、各現像ユニット3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dの交換作業の手順について説明する。図13は、装置本体に対する位置決め装置60、及び廃棄トナー搬送装置100の初期状態での位置を示す斜視図である。
図13の状態、すなわち、各現像ユニット3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dの装置本体への装填状態では、図9に示したように、各ドラムユニット40a〜40dのドラム軸1a1〜1d1が位置決め装置60の平板部71の軸受孔73a〜73dに嵌め込まれており、各ドラムユニット40a〜40d相互間の位置決めが適切になされている。また、位置決め装置60の位置決めピン74・74は、装置本体の前側板41の穴部に嵌め込まれており、廃棄トナー搬送装置100の凸部103も前側板41の穴部44に係合しているため、装置本体に対する位置決め装置60及び廃棄トナー搬送装置100の位置決めも適切になされている。
この状態から、各現像ユニット3a〜3d、各ドラムユニット40a〜40dを交換する際には、まず、装置本体の図示しないフロントカバーを開いた後、廃棄トナー搬送装置100のレバー105(図11参照)を引いてフック104・104と前側板41の穴部45・45との係合を解除し、回動軸100aを支点として廃棄トナー搬送装置100を回動させる。
このとき、回動軸100aとトナー廃棄口41a〜41dとの上述した位置関係から、廃棄トナー搬送装置100は装置本体の正面に対して上開きとなって回動する。廃棄トナー搬送装置100を回動させると、図14に示すように、それよりも内側の位置決め装置60が露出する。
図15は、現像ユニット及び位置決め装置の初期状態の位置を図14の左方向から見た側面図である。なお、以下の図15、図17、及び図20では、現像ユニット3aと位置決め装置60との関係について説明するが、現像ユニット3b〜3dと位置決め装置60との関係についても全く同様に説明される。
図15に示すように、位置決め装置60は位置決め板70が現像ユニット3a〜3dの前面に対向する位置(第1の位置)に配置されており、各現像ユニット3a〜3dの現像ローラ29を離接させるシャフト部材53の当接部53aは、位置決め板70の平板部71により現像ユニット3a〜3d内に押し込まれている。これにより、現像ユニット3a〜3dの現像ローラ29(図2参照)はそれぞれ対応するドラムユニット40a〜40d内の感光体ドラム1a〜1dに近接して配置されている。
また、位置決め装置60が第1の位置にあるとき、引っ張りバネ91の本体側の支点93とホルダ部材80の回動軸80aとを通る直線Lが、引っ張りバネ91よりも上側に位置するように支点93の位置が設定されている。そのため、位置決め装置60には現像ユニット3a〜3dに圧接する方向(図の白矢印方向)の付勢力が作用している。
この引っ張りバネ91から作用する付勢力は、圧縮バネ54(図5参照)から当接部53aを介して作用する開方向の付勢力を緩和する方向に働くため、フック83・83に加わる負荷が軽減される。従って、フック83の強度を高めることなく変形や破損を抑制することができる。
次に、位置決め装置60のホルダ部材80に設けられたレバー84を操作して、回動軸83aを支点としてフック83・83を回動させ、フック83・83と装置本体(前側板41)との係合を解除する。図16は、位置決め装置のフックを解除した現像ユニット及び位置決め装置の正面図であり、図17は、現像ユニット及び位置決め装置を図16の左方向から見た側面図である。
シャフト部材53に作用する圧縮バネ54(図5参照)の付勢力は、各現像ユニット3a〜3dでの付勢力を合わせると位置決め部材60に作用する引っ張りバネ91の付勢力に比べて強い。そのため、フック83・83と装置本体との係合が解除されると、圧縮バネ54の付勢力によりシャフト部材53の当接部53aが現像ユニット3aから3dの前面から突出し、図17に示すように、位置決め装置60は図15の位置から所定角度だけ上方向(図17の反時計方向)に回動した位置(第2の位置)で保持される。このとき、軸受孔73a〜73dへのドラム軸1a1〜1d1の嵌め込み、及び前側板41への位置決めピン74・74の嵌め込みも解除される。
この第2の位置においても、引っ張りバネ91の本体側の支点93とホルダ部材80の回動軸80aとを通る直線Lが、引っ張りバネ91よりも上側に位置しているため、位置決め装置60には現像ユニット3a〜3dに圧接する方向(図の白矢印方向)の付勢力が作用している。そのため、位置決め装置60が勢いよく開いて手をぶつける心配がなくなる。
なお、第2の位置では第1の位置に比べて直線Lと引っ張りバネ91とのなす角度が小さいため、引っ張りバネ91から位置決め装置60に作用する白矢印方向の付勢力は第1の位置よりも小さくなっている。そのため、位置決め装置60を後述する第3の位置まで回動させる際に、手に掛かる負荷が大きくなりすぎるおそれもない。
次に、ホルダ部材80の回動軸80aを支点として、位置決め装置60を第2の位置からさらに所定角度だけ上方向に回動した位置(第3の位置)まで開放する。図18は、位置決め装置を第3の位置まで開放した状態を示す正面図、図19は、図18におけるドラムユニット及び現像ユニット付近の拡大図、図20は、現像ユニット及び位置決め装置を図18の左方向から見た側面図である。
位置決め装置60を第3の位置まで開放することにより、図18に示すように、現像ユニット3a〜3d及びドラムユニット40aから40dの前方が広く開放される。また、現像ユニット3a〜3dの現像ローラ29は感光体ドラム1a〜1dから退避しているため、図21に示すように、例えばドラムユニット40dを取り出して交換することが可能となる。また、他のドラムユニット40a〜40c、及び現像ユニット3a〜3dについても図18の状態で同様に交換することが可能となる。
この第3の位置においては、図20に示すように、引っ張りバネ91の本体側の支点93とホルダ部材80の回動軸80aとを通る直線Lが、引っ張りバネ91よりも下側に位置しているため、位置決め装置60には現像ユニット3a〜3dから離間する方向(図の白矢印方向)の付勢力が作用している。これにより、位置決め装置60は引っ張りバネ91の付勢力により重力に抗して第3の位置に保持されるため、位置決め装置60を手で支えておく必要がなく、ドラムユニット40a〜40d、現像ユニット3a〜3dの交換作業性が向上する。
現像ユニット3a〜3dまたはドラムユニット40a〜40dの交換後は、図20の状態から上記と逆の手順によって位置決め装置60を下向きに回動させて閉じていくと、位置決め装置60は図18に示した第2の位置に配置される。このとき、前述したように位置決め装置60には閉方向(図18の白矢印方向)の付勢力が作用しており、位置決め装置60は当接部53aに接触した状態で保持されるため、位置決め部材60を把持している手を離して、力を掛けやすい位置に容易に持ち替えることができる。
そして、図18の状態から位置決め装置60に力を加えて図15に示した第1の位置まで押し込むことで、当接部53aが現像ユニット3a〜3d内に押し込まれ、再び各現像ユニット3a〜3dの現像ローラ29が感光体ドラム1a〜1dに圧接される。ここで、引っ張りバネ91の付勢力は閉方向に作用しているため、位置決め装置60を装着する際に手に掛かる荷重を軽減することができる。最後に、廃棄トナー搬送装置100を上向きに回動させて閉じることで、図13の状態に戻すことができる。
以上のように、本実施形態の構成によれば、廃棄トナー搬送装置100及び位置決め装置60を開放するだけで、感光体ドラム1a〜1dと現像装置3a〜3dの現像ローラ29との押圧を解除することができる。従って、各現像ユニット3a〜3d、或いはドラムユニット40a〜40dのうち、任意のユニットの抜き出し、或いは挿入が順序を問わず可能となり、各現像ユニット3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dの交換時の作業性を格段に向上させることができる。
また、引っ張りバネ91の支点93の位置を調整することにより、シャフト部材53の当接部53aに接触した第2の位置で位置決め装置60に作用する付勢力を閉方向としたので、フック83・83を解除したときに位置決め装置60が勢いよく開いて手にぶつかる心配がなくなり、第2の位置から位置決め装置60を第1の位置まで装着する際の負荷も軽減することができる。
また、第1の位置では引っ張りバネ91の付勢力が閉方向に作用するため、当接部53aからフック83に掛かる開方向の負荷を低減することができ、フック83の耐久性も向上する。さらに、第3の位置では引っ張りバネ91の付勢力が開方向に作用するため、各現像ユニット3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dの交換を両手で容易に行うことができる。
なお、引っ張りバネ91の支点93の位置によって、付勢力の方向が変わる変化点の位置だけでなく、第1〜第3の位置における引っ張りバネ91の付勢力の大きさも調整できる。引っ張りバネ91の付勢力の大きさは引っ張りバネ91の弾性係数の選択によっても調整できる。
また、図19に示すように、シャフト部材53の当接部53aは、ドラム軸1a1〜1d1を通る直線上(ドラム軸1a1〜1d1と同一の高さ)に設けられており、フック83・83を解除したときに、位置決め板70は当接部53aによりドラム軸1a1〜1d1(位置決めピン74)と同一の高さの位置を押圧される。
図10に示したように、位置決め板70はコイルバネ92によりホルダ部材80から離れる方向に付勢されており、位置決めピン74は軸受孔73a〜73d(ドラム軸1a1〜1d1)とX方向の同一直線上に設けられている。そのため、当接部53aから位置決め板70に作用する押圧力の方向と、コイルバネ92から位置決め板70に作用する付勢力の方向とがちょうど反対方向となる。従って、押圧された位置決め板70がドラム軸1a1〜1d1に対して傾きにくくなり、ドラム軸1a1〜1d1と軸受孔73a〜73dとのこじりを抑制できるため、位置決め装置60を円滑に開放することができる。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は、図1に示したようなカラープリンタ以外にも、複写機、ファクシミリ、複合機(コピー、ファクシミリ、スキャナ、プリンタ等の諸機能を併せ持つもので、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ばれる)などの他の画像形成装置にも適用可能である。