JP5630361B2

JP5630361B2 - グロメットのインナ部材

Info

Publication number: JP5630361B2
Application number: JP2011082472A
Authority: JP
Inventors: 剛誠小林
Original assignee: Sumitomo Wiring Systems Ltd
Current assignee: Sumitomo Wiring Systems Ltd
Priority date: 2011-04-04
Filing date: 2011-04-04
Publication date: 2014-11-26
Anticipated expiration: 2031-04-04
Also published as: JP2012222838A

Description

本発明は、グロメットのインナ部材に関する。

特許文献１には、従来のグロメットのインナ部材が開示されている。このものは、外側からグロメットが被せられる筒部と、筒部の外周面の径方向両端から突成される撓み可能な一対のロックアームとを備えている。筒部内には、ワイヤハーネスを挿通可能な挿通孔が貫通して形成されている。ロックアームは、筒部の前方側から後方へ延びる片持ち状の形態をなし、内外に撓み変形可能とされている。

ここで、筒部はパネルの取付孔に挿入される。その挿入過程では、ロックアームが取付孔の内面を摺動して内側へ撓み変形させられる。また、正規挿入時には、ロックアームが復動して取付孔の開口縁部を係止し、これによって筒部がパネルに抜け止め状態に保持される。

特開２００７−２２７０２６号公報

ところで、上記の場合、ロックアームの係止代が大きくとられ、これによってパネルに対するインナ部材の保持力が高められている。しかし、ロックアームの係止代が大きくなると、それに伴ってロックアームの前後長も大きくなるため、ロックアームが前後方向に大型化し、ひいてはインナ部材全体も前後方向に大型化するという事情がある。

本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、パネルに対する保持力を確保しつつ大型になるのを回避したインナ部材を提供することを目的とする。

上記の目的を達成するための手段として、請求項１の発明は、グロメットの内側に装着されるインナ部材であって、パネルの取付孔に挿入されて保持され、ワイヤハーネスを挿通可能な挿通孔を有する筒部と、前記筒部の外周面に連なる基端部を支点としてシーソ状に揺動可能とされ、前記パネルの取付孔の開口縁部を弾性的に係止することで、前記パネルからの前記筒部の抜けを規制するロックアームとを備え、前記ロックアームの前記基端部が、前記筒部の外周面に対し前記取付孔への挿入方向と直交する周方向の両端を支持させた両持ち梁状をなしているところに特徴を有する。

請求項２の発明は、請求項１に記載のものにおいて、前記筒部における前記ロックアームと対応する位置には、凹部が径方向内側に凹み形成され、前記凹部の底面と前記ロックアームとの間に、前記基端部の撓み空間が形成されているところに特徴を有する。

請求項３の発明は、請求項１又は２に記載のものにおいて、前記ロックアームには、前記ロックアームが挿入過程で揺動する方向とは逆方向に突出する規制突部が形成され、前記ロックアームが前記逆方向に過度に揺動変位しようとする場合に、前記規制突部が前記筒部の外周面と当接するようになっているところに特徴を有する。

請求項４の発明は、請求項１ないし３のいずれか１項に記載のものにおいて、前記パネルの取付孔の開口縁には、バーリング加工によって曲面状のアール部が形成され、前記ロックアームが、前記パネルの取付孔の開口縁部のうち前記アール部より外側の部分を係止するようになっているところに特徴を有する。

＜請求項１の発明＞
ロックアームの基端部が筒部の外周面に対し取付孔への挿入方向と直交する周方向の両端を支持させた両持ち梁状をなしているため、ロックアームの係止代を大きくとっても、ロックアームが挿入方向に大きくならずに済む。その結果、インナ部材が大型になるのが回避される。また本発明によれば、筒部の外周面の範囲内でロックアームの基端部における周方向両端間の長さを大きく確保することができる。

＜請求項２の発明＞
筒部におけるロックアームと対応する位置には、凹部が径方向内側に凹み形成され、凹部の底面とロックアームの基端部との間に基端部の撓み空間が形成されているため、その撓み空間を大きく確保することができる。したがって、ロックアームの係止代を大きくとっても、ロックアームの挿入抵抗が格別大きくなることもなく、作業負担が軽減される。

＜請求項３の発明＞
筒部に抜け方向の力が作用すると、ロックアームが、挿入過程で揺動する方向とは逆方向に揺動変位して、パネルとの係止状態が解除され、筒部がパネルから抜け出るおそれがある。しかるに本発明によれば、ロックアームが前記逆方向に過度に揺動変位しようとすると、規制突部が筒部の外周面に当接してそれ以上の揺動動作が規制されるため、筒部がパネルから抜け出るのが防止される。

＜請求項４の発明＞
ロックアームがパネルの取付孔の開口縁部のうちアール部より外側の部分を係止するようになっているため、ロックアームの係止高さを大きく確保する必要がある。その点、本発明によれば、ロックアームの基端部における周方向両端が筒部の外周面に支持されているため、ロックアームの係止高さを大きく確保することができる。したがって、本発明は、パネルの取付孔の開口縁にバーリング加工を施したものに好適に適用可能とされる。

本発明の実施形態１に係り、グロメットに装着されたインナ部材の斜視図である。インナ部材の正面図である。インナ部材の側面図である。インナ部材の背面図である。パネルを係止する前のロックアームをあらわす拡大断面図である。パネルを係止する途中のロックアームをあらわす拡大断面図である。パネルを係止したロックアームをあらわす拡大断面図である。規制突部が筒部の外周面に当接したロックアームをあらわす拡大断面図である。パネルに保持されたグロメットのインナ部材の斜視図である。

＜実施形態１＞
本発明の実施形態１を図１ないし図９によって説明する。本実施形態に係るインナ部材１０は合成樹脂製であって、図１に示すように、筒部２０と、筒部２０に一体に形成されたロックアーム６０とを備えている。筒部２０には後方からグロメット５０が被せ付けられる。そして、筒部２０は、図７に示すように、グロメット５０とともに平板状のパネル１００に取り付けられる。

パネル１００には、図５に示すように、円形の取付孔１０１が開口して形成されている。パネル１００の後面における取付孔１０１の開口縁には、前方から進入するポンチ（図示せず）によってバーリング加工が施されることによってバーリング部１１０が立ち上げ形成されている。また、パネル１００の前面における取付孔１０１の開口縁には、バーリング部１１０の成形に伴って曲面状のアール部１１１が形成されている。

グロメット５０はゴム製又はエラストマー製であって、図１及び図９に示すように、外側から筒部２０を抱持する円環状のフランジ部５１と、フランジ部５１より内側にあってワイヤハーネス２００に外嵌される円筒状の胴部５２と、胴部５２及びフランジ部５１の双方に連なる径方向に沿った連結部５３とを備えている。胴部５２は前後方向に細長く延びる形態とされている。フランジ部５１の前面は、図７に示すように、パネル１００の後面における取付孔１０１の開口縁部に密着させられる。また、フランジ部５１の内側には、全周に亘って嵌合溝５４が形成されている。

筒部２０は、図２及び図３に示すように、ほぼ円筒状の本体部２１と、本体部２１の後端から径方向外側に張り出す円環状の外周部２２とからなる。図７に示すように、外周部２２はグロメット５０の嵌合溝５４にその内側から嵌め入れられる。また、本体部２１の内部は挿通孔２３とされ、挿通孔２３の中心部にはグロメット５０の胴部５２が配置されるようになっている。つまり、筒部２０の挿通孔２３内にワイヤハーネス２００が挿通される。そして、筒部２０は、グロメット５０とともにパネル１００の取付孔１０１に挿入されて保持される。

また、筒部２０には、図２及び図４に示すように、周方向に延びる可撓性のヒンジ２４が形成されている。ヒンジ２４は本体部２１の一部として構成され、筒部２０におけるヒンジ２４と対応する位置ではフランジ部５１が切除されている。また、筒部２０のうち挿通孔２３の中心部を挟んでヒンジ２４と径方向反対側で対向する位置には、相互に切り離し可能な一対の係止端部２５が形成されている。筒部２０は、両係止端部２５を突き合わせた閉状態と両係止端部２５を離間させた開状態とにヒンジ２４を介して開閉可能とされている。両係止端部２５には、互いに弾性係止可能なロック部２６が形成され、両ロック部２６が互いに係止し合うことにより、筒部２０が閉状態に保持される。また、筒部２０が開状態のときには、両係止端部２５間の開口を通してワイヤハーネス２００が筒部２０内に挿入される。そして、本体部２１には、周方向に間隔をあけて複数の凹部２７が径方向内側に凹み形成されている。凹部２７は、挿通孔２３の中心部に向けて膨出するカップ状の形態をなし、前側及び外側に開口されている。

ロックアーム６０は、パネル１００の前面側に弾性的に係止可能とされ、本体部２１における各凹部２７と対応する位置に形成されている。具体的にはロックアーム６０は、本体部２１の外周面に連なる基端部６１と、基端部６１に連なって前後両方向に延びるアーム本体６２とを有している。アーム本体６２は基端部６１との連結位置を支点として内外にシーソ状に揺動変位可能とされている。

基端部６１は、本体部２１の外周面に沿って周方向に延び、その延び方向の両端を凹部２７の外側開口の周方向両端に連結させた両持ち梁状の形態とされている。基端部６１の長さ方向中央部にはアーム本体６２が配置され、基端部６１はアーム本体６２の両側面と凹部２７の開口端との間に対をなして架設されている。そして、基端部６１は、アーム本体６２を中心として内外に弾性的に撓み変形可能とされている。基端部６１と凹部２７の底面との間には撓み空間８０が形成されている。基端部６１が撓み空間８０に撓み変形すると、アーム本体６２が径方向内側に沈み込むように変位する。

また、アーム本体６２は、図１及び図５に示すように、その前端から後方へ向けて次第に肉厚となる係止突部６３を有している。係止突部６３の前面は、後方へ向けて外向きに傾斜する案内面６４とされ、取付孔１０１への挿入過程では取付孔１０１の内面に摺動可能とされている。係止突部６３の後面は、略垂直に切り立つ係止面６５とされ、パネル１００の前面側に係止可能とされている。なお、係止突部６３は、前後方向に関して基端部６１と重なる位置に配置されている。また、アーム本体６２の後端部には、係止突部６３より後方に、板状の突片６６が形成されている。突片６６は、パネル１００のバーリング部１１０に当接可能とされている。

さらに、アーム本体６２の前端部には、規制突部６７が内側に突出して形成されている。規制突部６７の後面は、アーム本体６２の内面と略直交して配置されている。アーム本体６２が前方へ過度に傾斜しようとすると、規制突部６７の先端が凹部２７の底壁の内面に当接し、これによってアーム本体６２のそれ以上の傾動が規制されるようになっている。つまり、アーム本体６２の前方への傾き量（揺動量）は規制突部６７によって小さく抑えられている。

本実施形態に係るグロメット５０のインナ部材１０の構造は上述の通りであり、続いて、インナ部材１０をパネル１００に取り付ける操作について説明する。
まず、グロメット５０の胴部５２にワイヤハーネス２００を挿入保持させるとともに、インナ部材１０を閉状態として胴部５２の周りを取り囲むように配置させ、かつインナ部材１０の外周部２２にグロメット５０のフランジ部５１を嵌着させる。次いで、パネル１００の取付孔１０１に後方からインナ部材１０を挿入する。その挿入過程では、図５から図６にかけて示すように、係止突部６３の案内面６４がパネル１００の取付孔１０１の内面を摺動して、アーム本体６２が基端部６１を支点として内側へシーソ状に揺動変位する。具体的には、アーム本体６２の前端部が外側へ起き上がる向きに傾動させられる。また、こうしてアーム本体６２が揺動変位するのと同時に、基端部６１が撓み空間８０に略Ｕ字状に撓み変形させられ、それに伴ってアーム本体６２の全体位置が径方向内側へ沈み込むようにシフト変位させられる。このため、係止突部６３の突出量が大きくても、挿入抵抗が格別大きくなることはない。

パネル１００の取付孔１０１にインナ部材１０が正規挿入されると、図７に示すように、基端部６１が元の状態に弾性的に復帰するとともに、アーム本体６２の揺動状態が解除され、係止突部６３が取付孔１０１の前方へ抜け出てパネル１００の前面における取付孔１０１の開口縁部に係止可能に配置される。具体的には、係止突部６３の係止面６５の外端部が、取付孔１０１の開口縁部のうちアール部１１１より外側の部分に対向して配置される。これにより、係止突部６３と外周部２２との間にパネル１００がグロメット５０を介して挟持可能に配置されるとともに、インナ部材１０がロックアーム６０を介してパネル１００の取付孔１０１に抜け止め状態に保持される。

また、こうしてインナ部材１０がグロメット５０とともにパネル１００に取り付けられると、連結部５３及び胴部５２によって挿通孔２３内が液密にシールされるとともに、フランジ部５１がパネル１００の後面に密着することで挿通孔２３の孔周りが液密にシールされる。

一方、インナ部材１０がパネル１００に取り付けられた状態で、電線が後方へ引っ張られる等してインナ部材１０に後方への引き抜き力が作用すると、基端部６１の撓み動作を伴いながらアーム本体６２が取付孔１０１への挿入時とは逆方向に揺動変位して、係止突部６３がパネル１００との係止代を減少させ、ひいては係止突部６３とパネル１００との係止状態が解離させられて、インナ部材１０がパネル１００から抜け出るおそれがある。しかるに本実施形態によれば、図８に示すように、アーム本体６２が挿入時と逆方向に過剰に揺動変位しようとすると、規制突部６７の先端が本体部２１の外周面における凹部２７の底面に当接して、アーム本体６２のそれ以上の揺動動作が規制される。このため、係止突部６３とパネル１００との係止状態が確実に保持され、インナ部材１０がパネル１００から不用意に抜け出るようなことはない。

以上説明したように本実施形態によれば、ロックアーム６０の基端部６１が筒部２０の外周面に対し取付孔１０１への挿入方向と直交する周方向の両端を支持させた両持ち梁状をなしているため、ロックアーム６０の係止代を大きくとっても、ロックアーム６０が挿入方向（前後方向）に大きくならずに済む。その結果、インナ部材１０が大型になるのが回避される。また、このような構成であれば、筒部２０の外周面の範囲内でロックアーム６０の基端部６１における周方向両端間の長さを大きく確保することができる。

また、筒部２０におけるロックアーム６０と対応する位置には、凹部２７が径方向内側に凹み形成され、凹部２７の底面とロックアーム６０の基端部６１との間に基端部６１の撓み空間８０が形成されているため、その撓み空間８０を大きく確保することができる。したがって、ロックアーム６０の係止代を大きくとっても、ロックアーム６０の挿入抵抗が格別大きくなることもなく、挿入作業性に優れる。しかも、係止突部６３の係止面６５の高さを大きくできるため、パネル１００の前面にアール部１１１が形成されているという事情があっても、パネル１００の前面における取付孔１０１の開口縁部のうちアール部１１１より外側の部分において、パネル１００に対する所定の係止代を確保することができる。

また、ロックアーム６０が取付孔１０１への挿入時とは逆方向に過度に揺動変位しようとすると、規制突部６７が筒部２０の外周面に当接してそれ以上の揺動動作が規制されるため、筒部２０がパネル１００から抜け出るのが防止される。

＜他の実施形態＞
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
（１）基端部は筒部の外周面から外側へ立ち上がる脚部を有していてもよい。この場合、基端部の撓み動作が脚部の長さ範囲でなされるものであれば、筒部から凹部を省略することができる。
（２）ロックアームの形状、形成位置及び個数は任意であって上記実施形態のものから変更することができる。
（３）グロメットの形状は任意であって上記実施形態のものから変更することができる。

１０…インナ部材
２０…筒部
２３…挿通孔
２７…凹部
５０…グロメット
６０…ロックアーム
６１…基端部
６２…アーム本体
６３…係止突部
６７…規制突部
８０…撓み空間
１００…パネル
１０１…取付孔
１１１…アール部
２００…ワイヤハーネス

Claims

グロメットの内側に装着されるインナ部材であって、
パネルの取付孔に挿入されて保持され、ワイヤハーネスを挿通可能な挿通孔を有する筒部と、
前記筒部の外周面に連なる基端部を支点としてシーソ状に揺動可能とされ、前記パネルの取付孔の開口縁部を弾性的に係止することで、前記パネルからの前記筒部の抜けを規制するロックアームとを備え、
前記ロックアームの前記基端部が、前記筒部の外周面に対し前記取付孔への挿入方向と直交する周方向の両端を支持させた両持ち梁状をなしていることを特徴とするグロメットのインナ部材。
前記筒部における前記ロックアームと対応する位置には、凹部が径方向内側に凹み形成され、前記凹部の底面と前記ロックアームとの間に、前記基端部の撓み空間が形成されていることを特徴とする請求項１記載のグロメットのインナ部材。
前記ロックアームには、前記ロックアームが挿入過程で揺動する方向とは逆方向に突出する規制突部が形成され、前記ロックアームが前記逆方向に過度に揺動変位しようとする場合に、前記規制突部が前記筒部の外周面と当接するようになっていることを特徴とする請求項１又は２記載のグロメットのインナ部材。
前記パネルの取付孔の開口縁には、バーリング加工によって曲面状のアール部が形成され、前記ロックアームが、前記パネルの取付孔の開口縁部のうち前記アール部より外側の部分を係止するようになっていることを特徴とする請求項１ないし３のいずれか１項記載のグロメットのインナ部材。