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JP5609346B2 - 車載内燃機関の冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車室暖房装置およびポンプ制御装置を有する車載内燃機関の冷却装置に関する。
従来、車両には機関燃焼室で発生した熱によって昇温した空気を車室内に導入することにより同車室内を暖房する車室暖房装置が搭載されている。このような車室暖房装置は、冷却水が循環する循環水路の途中に設けられて熱放熱器として機能するヒータコアを有しており、このヒータコアにおいて冷却水と空気との間で熱交換を行うことによって昇温した空気を車室内に送風することにより同車室を暖房する。
ところで、近年、特許文献1に記載されるように、内燃機関の循環水路に冷却水を循環させるポンプとして、従前の機関駆動式のポンプに代えて電動回転式のポンプを採用するようにした冷却装置が提案されている。こうした冷却装置では、機関燃焼室周囲(ウォータジャケット)に滞留する冷却水の温度が低いとき、この温度が所定の温度に達するまでポンプを停止状態として内燃機関における冷却水の循環を禁止し、その冷却能力を低下させることにより、内燃機関の暖機を促進する処理(以下、「暖機促進処理」という)を実行するようにしている。そしてこれにより、機関冷間時であっても、機関燃焼室周囲に滞留する冷却水については燃焼室に発生する熱によって高温となるため、暖機を促進することができ、熱損失の低減、ひいては燃費の向上を図ることができるようになる。
しかしながら、上述したような車室暖房装置を備える車両においてこのような暖機促進処理を実行すると、以下のような問題が発生する。即ち、暖機促進処理の実行中、機関燃焼室周囲に滞留する冷却水についてはその温度が上昇するものの、ヒータコア等、他の部位に滞留する冷却水は低温状態に維持される。このため、このような暖機促進処理の実行中に車室暖房装置の暖房要求があってもヒータコアの冷却水は低温状態にあるため、このヒータコアによる昇温がなされない低温の空気が車室内に導入されてしまうようになる。
そこで、例えば、特許文献1に記載の発明では、暖機促進処理の実行中、車室暖房装置の暖房要求があると、暖機促進処理を終了してポンプを通常運転に移行させるようにし、機関燃焼室周囲で温度上昇した冷却水をヒータコアに流入させるようにしている。
特開2007−016718号公報
しかしながら、上述のように車室暖房装置の暖房要求があることをもって暖機促進処理を終了するようにすると、以下のような問題が発生する。
即ち、暖機促進処理を終了してポンプの運転を開始すると、ヒータコアには、機関燃焼室周囲で温度上昇した冷却水が流入するものの、その後、循環水路の他の部位に滞留する低温の冷却水が流入するようになる。このため、車室内には、ヒータコアにて昇温した空気が一時的に導入されるようになるものの、その後は導入される空気の温度が低下するようになる。一般に、暖房装置の送風温度が徐々に上昇する場合とは異なり、一旦送風温度が上昇した後に再び大きく低下することがあると、乗員に違和感を与えてしまうこととなる。また更に、機関燃焼室周囲で温度上昇した冷却水と循環水路の他の部位に滞留する低温の冷却水との混合が促進されるため、機関燃焼室周囲やヒータコア等を含め循環水路における冷却水の温度が均一化するようになる。このため、機関燃焼室周囲の冷却水の温度も低下し、内燃機関の暖機に要する期間が長くなって暖機促進処理を実行することによる暖機促進効果を十分に発揮することができなくなる。
本発明は、内燃機関の冷間時における車室暖房装置の暖房能力の低下を抑制し、かつ、内燃機関の暖機を促進することに貢献する車載内燃機関の冷却装置を提供することを目的としている。
〔1〕本車載内燃機関の冷却装置の独立した一形態は、次の事項を有する。車載内燃機関の冷却装置であって、前記冷却装置は、車室暖房装置およびポンプ制御装置を有し、前記車室暖房装置は、循環水路、ヒータコア、および、ポンプを有し、前記循環水路は、前記車載内燃機関のウォータジャケットを含む経路を有し、前記ヒータコアは、前記経路上に配置され、前記ポンプは、電動回転式のポンプ、または、前記車載内燃機関との接続状態を変更するクラッチを有する機関駆動式のポンプであって、前記経路上に1つだけ存在し、前記ポンプ制御装置は、前記ウォータジャケットに存在する冷却水の温度である機関水温が上限水温未満の温度範囲に属することに基づいて、前記ポンプの吐出量を制限する暖機促進処理を実行し、前記暖機促進処理を実行しているとき、かつ、車室内の暖房を要求する要求信号が前記ポンプ制御装置に入力されているとき、前記暖機促進処理に基づく前記ポンプの吐出量の制限を一時的に解除し、前記ポンプの吐出量の制限を解除している期間である中断期間が予め規定された期間であって、前記車載内燃機関の燃焼室の周囲に存在する冷却水が前記ヒータコアに移送されたことを示唆する所定期間に達したことに基づいて、前記ポンプの吐出量を再び制限する。
〔2〕本車載内燃機関の冷却装置の別の独立した一形態は、次の事項を有する。車載内燃機関の冷却装置であって、前記冷却装置は、車室暖房装置およびポンプ制御装置を有し、前記車室暖房装置は、循環水路、ヒータコア、および、ポンプを有し、前記循環水路は、前記車載内燃機関のウォータジャケットを含む経路を有し、前記ヒータコアは、前記経路上に配置され、前記ポンプは、電動回転式のポンプ、または、前記車載内燃機関との接続状態を変更するクラッチを有する機関駆動式のポンプであって、前記経路上に1つだけ存在し、前記ポンプ制御装置は、前記ウォータジャケットに存在する冷却水の温度である機関水温が上限水温未満の温度範囲に属することに基づいて、前記ポンプの吐出量を制限する暖機促進処理を実行し、前記暖機促進処理を実行しているとき、かつ、車室内の暖房を要求する要求信号が前記ポンプ制御装置に入力されているとき、前記暖機促進処理に基づく前記ポンプの吐出量の制限を一時的に解除し、前記ポンプの吐出量の制限を解除した後における前記ポンプの総吐出量である解除期間吐出量が予め規定された吐出量であって、前記車載内燃機関の燃焼室の周囲に存在する冷却水が前記ヒータコアに移送されたことを示唆する規定吐出量に達したことに基づいて、前記ポンプの吐出量を再び制限する。
〔3〕前記車載内燃機関の冷却装置に従属する一形態は、次の事項を有する。前記規定吐出量は、前記循環水路のうちの前記ウォータジャケットと前記ヒータコアとを接続している部分の容量、および、前記ヒータコアにおける冷却水の容量の合計以上の吐出量であり、前記解除期間吐出量が前記規定吐出量以上の大きさを示すときの前記解除期間吐出量および前記規定吐出量の関係は、前記ポンプの吐出量の制限が一時的に解除された後において、前記ウォータジャケットの冷却水が前記ヒータコアに流入したことを示唆する。
〔4〕前記車載内燃機関の冷却装置に従属する一形態は、次の事項を有する。前記ポンプ制御装置は、前記暖機促進処理、前記ポンプの吐出量の制限の解除、および、前記ポンプの吐出量の制限を含む制御サイクルを複数回にわたり実行する。
〔5〕前記車載内燃機関の冷却装置に従属する一形態は、次の事項を有する。前記ポンプ制御装置は、前記ポンプの吐出量を再び制限してからの経過期間である実行期間を計測し、前記ヒータコアに滞留している冷却水の温度の低下量が所定低下量以上の大きさであることが前記実行期間により示唆されるとき、次の前記制御サイクルを開始する。
〔6〕前記車載内燃機関の冷却装置に従属する一形態は、次の事項を有する。前記ポンプ制御装置は、前記暖機促進処理を実行しているとき、かつ、前記要求信号が前記ポンプ制御装置に入力されているとき、かつ、前記機関水温が所定温度以上のとき、前記ポンプの吐出量の制限を一時的に解除する。
〔7〕前記車載内燃機関の冷却装置に従属する一形態は、次の事項を有する。前記ポンプ制御装置は、前記ポンプの吐出量の制限を一時的に解除しているとき、前記ポンプの吐出量を基準吐出量よりも小さくする。
〔8〕前記車載内燃機関の冷却装置に従属する一形態は、次の事項を有する。前記車載内燃機関は、前記ヒータコアとは別の熱交換器を有し、前記熱交換器は、前記循環水路のうちの前記ウォータジャケットと前記ヒータコアとを接続している部分とは別の部分に接続されている。
〔9〕前記車載内燃機関の冷却装置に従属する一形態は、次の事項を有する。前記車載内燃機関は、電動機を有し、前記電動機は、前記ポンプ制御装置の制御に基づいて、前記ポンプを駆動する力を出力し、前記ポンプ制御装置は、前記機関水温が低くなるにつれて前記電動機の出力を大きくする。
〔1〕または〔2〕の冷却装置は、以下の効果を奏する。
ウォータジャケットに存在する冷却水は、燃焼室から熱を受けて温度上昇する。ポンプの吐出量の制限が解除されたとき、循環水路における冷却水の流量が大きくなる。このため、ウォータジャケットからヒータコアに流れ込む冷却水の流量が大きくなる。このため、ヒータコアにおける冷却水および車室内の空気の熱交換の速度が高められる。このため、車室内の空気の温度が上昇しやすくなる。
ポンプの吐出量の制限が解除されている場合に解除期間吐出量が規制吐出量に達したとき、ポンプの吐出量が再び制限される。このため、循環水路における冷却水の流量が小さくなる。このため、ウォータジャケットに存在する冷却水の温度が上昇しやすくなる。このため、内燃機関の暖機が促進されやすくなる。
〔3〕の冷却装置は、以下の効果を奏する。
ウォータジャケットの冷却水がヒータコアに流れ込んでいないときにポンプの吐出量が再び制限される状況が生じにくくなる。
〔4〕の冷却装置は、以下の効果を奏する。
ヒータコアの冷却水は、車室内の空気と熱交換することにより温度が次第に低下する。このため、車室暖房装置の暖房能力が次第に低下する。一方、本冷却装置によれば、上記制御サイクルが複数回にわたり繰り返されるため、車室暖房装置の暖房能力が低下しにくくなる。
〔5〕の冷却装置は、以下の効果を奏する。
ヒータコアに滞留している冷却水の温度の低下量が所定低下量以上のとき、車室暖房装置から車室に供給される空気の温度が低下したことを乗員が体感しやすくなるおそれがある。一方、本冷却装置によれば、冷却水の温度の低下量が所定低下量以上の大きさであることが示唆されるとき、次の制御サイクルが開始されるため、車室に供給される空気の温度の低下を乗員が体感するおそれが小さくなる。
〔6〕の冷却装置は、以下の効果を奏する。
機関水温が所定温度未満の大きさを取る場合、ウォータジャケットの冷却水がヒータコアに流されたとしても暖房能力が向上しにくい。また、機関水温が所定温度未満の大きさを取る場合において、ポンプの吐出量の制限が解除されたと仮定したとき、ウォータジャケットの冷却水の流量が大きくなることによる燃焼室の周囲における熱損失が増大するおそれが大きくなる。一方、本冷却装置によれば、機関水温が所定温度以上の大きさを取ることに基づいて、暖機促進処理が開始されるため、上記の問題が生じにくくなる。
〔7〕の冷却装置は、以下の効果を奏する。
ポンプの吐出量の制限は、解除期間吐出量および規定吐出量の関係に基づいて解除される。一方、ポンプ制御装置が管理する解除期間吐出量は、実際の解除期間吐出量とずれを持つことがある。このずれが存在している場合、ポンプの吐出量の制限が解除されるタイミングが適切なタイミングから乖離しやすくなる。本冷却装置によれば、ポンプの吐出量が基準吐出量よりも小さくされるため、上記ずれが大きくなりにくくなる。このため、ポンプの吐出量の制限が適切なタイミングにおいて解除されやすくなる。
〔8〕の冷却装置は、以下の効果を奏する。
ウォータジャケットの冷却水が熱交換器を介することなくヒータコアに流れ込む。このため、ウォータジャケットの冷却水が熱交換器を介してヒータコアに流れ込むと仮定した場合と比較して、ヒータコアに流れ込む冷却水の温度が高くなる。このため、車室暖房装置の暖房能力の低下が生じにくくなる。
〔9〕の冷却装置は、以下の効果を奏する。
冷却水の温度が低くなるにつれてポンプの攪拌抵抗が大きくなる。このため、ポンプの吐出量が低下しやすくなる。このため、ウォータジャケットからヒータコアに流れる冷却水の流量が小さくなるおそれがある。本冷却装置によれば、機関水温が低くなるにつれて電動機の出力が大きくなるため、機関水温の低下に起因するポンプの吐出量の低下が生じにくくなる。このため、ウォータジャケットからヒータコアに流れる冷却水の流量の不足に起因して、車室暖房装置の暖房能力が低下するおそれが小さくなる。
実施形態の内燃機関の冷却装置を示す構成図。 実施形態のポンプの制御の手順を示すフローチャート。 実施形態のポンプの目標吐出量およびデューティ比と機関水温との関係を示 すマップ。 実施形態の機関水温および送風量と所定期間との関係を示すマップ。 実施形態における(a)機関水温およびヒータコア水温、(b)暖房装置の 運転状態、(c)ポンプの運転状態の推移の一例を示すタイミングチャート。
以下、この発明の実施形態にかかる車載内燃機関の冷却装置について図1〜5を併せ参照して説明する。
図1に示されるように、内燃機関10、具体的にはそのシリンダブロック11及びシリンダヘッド12の内部には機関燃焼室14が区画形成されている。また、これらシリンダブロック11及びシリンダヘッド12において機関燃焼室14の周囲には冷却水が循環するウォータジャケット13が形成されている。シリンダヘッド12にはウォータジャケット13の最も下流側に位置する部分に冷却水の温度を検出する水温センサ92が取り付けられている。冷却装置では、この水温センサ92により検出される冷却水の温度を機関燃焼室14の周囲、即ちウォータジャケット13に滞留する冷却水の温度(以下、「機関水温θe」という)の代替値としている。
冷却装置の循環水路20は、大きくは、このウォータジャケット13の他、同ウォータジャケット13から流出する冷却水をラジエータ25を介してサーモスタット24に戻すラジエータ通路22と、このラジエータ通路22から分岐してラジエータ25を迂回する態様でサーモスタット24に接続され、同ウォータジャケット13から流出する冷却水をサーモスタット24に直接戻す迂回通路21とにより構成されている。
サーモスタット24は、その開度に応じてラジエータ通路22を流通する冷却水の流量を調節する。即ち、サーモスタット24の感温部に接触する冷却水の温度がその開弁温度よりも低いときには、同サーモスタット24は閉弁状態となるため、ウォータジャケット13から流出した冷却水はラジエータ25に流入することなく全て迂回通路21に流入するようになる。その一方、サーモスタット24の感温部に接触する冷却水の温度がその開弁温度より高くなるとサーモスタット24は開弁状態となるため、ウォータジャケット13から流出した冷却水は迂回通路21に加え、ラジエータ25にも流入するようになる。またこのようにラジエータ25に流入した冷却水は、外気との間の熱交換を通じて冷却される。
この循環水路20の途中には同循環水路20に冷却水を循環させるためのポンプ23が設けられている。このポンプ23は、モータ(図示せず)を駆動源とする電動回転式のポンプであり、このモータの回転速度、即ちポンプ23の回転速度が高くなるほどその吐出量は多くなる。また、こうしたポンプ23の回転速度はモータの駆動信号、具体的にはモータに供給される電圧のデューティ比D(所定時間当たりにおける電圧印加時間の割合)を変更することにより制御される。従って、デューティ比Dが大きいときほど、ポンプ23の供給電力が大きくなり、ポンプ23による冷却水の吐出量も多くなる。
また、この内燃機関10には、車室暖房装置(以下、「暖房装置30」という)が設けられている。この暖房装置30は、迂回通路21の途中に設けられ、放熱器としての機能を有するヒータコア32及びこのヒータコア32に空気を送風するヒータブロア33、その送風された空気を車室内に導入するダクト(図示せず)、乗員が暖房温度や風量を設定するための各種操作部93等を有している。ヒータコア32の冷却水は、ヒータブロア33から送風される空気との間の熱交換を通じてこれを温度上昇させる。暖房装置30は、このように温度上昇した空気を車室内に導入することにより車室内を暖房する。
一方、内燃機関10には、上述した水温センサ92をはじめとした各種センサが設けられている。これらセンサの検出信号を取り込む制御装置91は、その検出結果に基づいてポンプ23及び暖房装置30の制御等々の各種制御を実行する。
また、制御装置91は、機関始動時から機関水温θeを監視し、この機関水温θeが所定温度(以下、「上限水温θc」という)未満であるときには、ポンプ23の運転を停止して循環水路20における冷却水の循環を停止する処理(以下、「暖機促進処理」という)を実行する。この上限水温θcは、内燃機関10の暖機が十分に進行しておらず、冷却水を循環させて内燃機関10を冷却する必要がない状態にあることを機関水温θeとの比較のもと判定するための値である。即ち、この上限水温θcよりも機関水温θeが低い場合には、冷却水を循環させることにより内燃機関10を冷却する必要が無いため、暖機促進処理が実行される。そしてこうした暖機促進処理が実行されることにより、冷却装置の冷却能力が低下するため、内燃機関10の暖機が促進されるようになる。
ところで、このような暖機促進処理の実行中に暖房装置30の暖房要求があった場合、ヒータブロア33を駆動すると、ヒータコア32による昇温がなされない低温の空気が車室内に導入されてしまうようになる。そこでこうした状況を回避するため、暖房装置30の暖房要求があったときには、ポンプ23を通常運転に移行させると、昇温した空気が一旦車室内に導入された後、再び低温の空気が送風されることとなり乗員に違和感を与えてしまう点については上述した。また更に、暖機促進処理を実行した場合と比較すると、ウォータジャケット13やヒータコア32等を含め循環水路20における冷却水の温度が均一化されるため、ウォータジャケット13の冷却水の温度が低下し、内燃機関10の暖機に要する期間が長くなって暖機促進処理を実行することによる暖機促進効果を十分に発揮することができなくなる点についても上述した通りである。
そこで、本実施形態では、暖機促進処理の実行中、暖房装置30の暖房要求があったときには、暖機促進処理を一時的に中断してポンプ23を運転することで、ウォータジャケット13で温度上昇した冷却水をヒータコア32に移送するようにしている。そして、こうしたヒータコア32に対する冷却水の移送が完了したことをもって、暖機促進処理を再開してポンプ23の運転を停止するようにしている。
以下、図2に示されるフローチャートを参照して、機関始動時から暖機促進処理が完了するまでの期間におけるこうしたポンプ23の制御について説明する。尚、図2に示される一連の処理は制御装置91により所定の時間周期をもって繰り返して実行される。
この処理が開始されると、まず機関水温θeが上限水温θc未満であるか否かを判定する(ステップS100)。機関水温θeが上限水温θc以上であると判定した場合(ステップS100:NO)、即ち内燃機関10の暖機がほぼ完了していると判定した場合は、暖機促進処理を実行する必要がないため、ポンプ23は通常運転に移行する(ステップS101)。尚、このように通常運転に移行したときには、機関負荷及び機関回転速度等、機関運転状態に基づいてポンプ23の目標吐出量を設定し、同目標吐出量に基づいて生成されるデューティ比Dに基づいてポンプ23を制御する。
一方、機関水温θeが上限水温θc未満であると判定した場合(ステップS100:YES)、次に暖房装置30の暖房要求があるか否かを判定する(ステップS102)。
暖房装置30の暖房要求がないと判定した場合(ステップS102:NO)、上述のように暖機促進処理を実行して、即ちポンプ23の運転を停止して、内燃機関10の暖機を促進する(ステップS113)。そして、この処理を一旦終了する。尚こうした暖房装置30の暖房要求は各種操作部93の操作状態に基づいて設定される。
一方、暖房装置30の暖房要求があると判定した場合(ステップ102:YES)、次に暖機促進処理の中断期間Ta及び実行期間Tbについてそれぞれ「0」であるか否かを判定する(ステップS103)。この図2に示されるポンプ23の制御にあっては、機関水温θeが上限水温θcに達するまで、暖機促進処理の中断と実行とを所定期間毎に繰り返すことにより、暖房装置30の暖房能力を維持しつつ暖機の促進を図るようにしている。ステップS103では、このように暖機促進処理の中断と実行とを繰り返す際において同暖機促進処理が中断中若しくは実行中であるか、更に暖房装置30の状態とは関係なく暖機促進処理が実行されているかを各別に判定するようにしている。即ち、中断期間Taが「0」を上回っており且つ実行期間Tbが「0」であるときは暖機促進処理が中断中であり、中断期間Ta及び実行期間Tbがいずれも「0」を上回っているときは暖機促進処理が実行中であると判定することができる。更にこれら中断期間Ta及び実行期間Tbがいずれも「0」であるときには、上述したような暖機促進処理の中断と実行とを所定期間毎に繰り返す処理は行われていない、即ち暖房装置30の状態とは関係なく暖機促進処理が実行されていると判定することができる。
これら中断期間Ta及び実行期間Tbがいずれも「0」であると判定したとき(ステップS103:Ta,Tb=0)、次に機関水温θeが所定水温θs以上であるか否かを判定する(ステップS104)。この所定水温θsは、ウォータジャケット13の冷却水をヒータコア32に移送したときに、暖房装置30において所望の暖房能力を得ることができる程度にウォータジャケット13の冷却水の温度が上昇しているか否かを機関水温θeとの比較のもと判定するための値である。
ここで機関水温θeが所定水温θs未満であると判定した場合(ステップS104:NO)、即ち、ウォータジャケット13の冷却水の温度が低いため、これをヒータコア32に移送したとしても、暖房装置30において所望の暖房能力は得られないと判定した場合、暖機促進処理を実行する(ステップS113)。即ちこの場合は、ポンプ23の運転を停止して循環水路20における冷却水の循環を停止し、その冷却能力を低下させることにより、内燃機関10の暖機を促進する。このように暖機促進処理を実行した後、この処理を一旦終了する。
一方、機関水温θeが所定水温θs以上であると判定した場合(ステップS104:YES)、または先のステップS103において中断期間Taが「0」を上回っており且つ実行期間Tbが「0」であると判定した場合(ステップS103:Ta>0,Tb=0)、次にウォータジャケット13で温度上昇した冷却水がヒータコア32に確実に移送されるまで、即ちその冷却水の移送が完了するまで、暖機促進処理を中断してポンプ23を運転する処理(ステップS105〜S112:以下、「コア加熱処理」という)を実行する。
このコア加熱処理ではまず、暖機促進処理を一時的に中断してから経過した期間(以下、「暖機促進処理の中断期間Ta」という)が所定期間T1未満であるか否かを判定する(ステップS105)。この所定期間T1は、暖機促進処理の中断期間Taが、ウォータジャケット13に滞留する冷却水のヒータコア32に対する移送が完了するのに必要な期間に達したか否かを、この中断期間Taとの比較のもと判定するための値である。更に具体的には、暖機促進処理を一時的に中断してからのポンプ23の総吐出量が、循環水路20においてウォータジャケット13からヒータコア32に至る部分及び同ヒータコア32に滞留可能な冷却水の総量に達してヒータコア32に対するウォータジャケット13の冷却水の移送が完了したと判定できる期間となるように予め設定されている。
そして、暖機促進処理の中断期間Taが所定期間T1未満であると判定した場合(ステップS105:YES)、暖機促進処理を中断し若しくは中断された状態を維持しポンプ23を運転する(ステップS106)。
ところで、冷却水の温度が低いときには、その粘度が高くなるため、ポンプ23を回転させる際の攪拌抵抗が大きくなり、ポンプ23の実際の吐出量はその目標吐出量に対して低下するようになる。即ち、ウォータジャケット13で温度上昇した冷却水がヒータコア32に移送される際の移送速度が低下する。そこで、本実施形態では、図3に示されるマップを参照し、暖機促進処理を一時的に中断してポンプ23を運転する際のデューティ比Dを機関水温θeに基づいて補正するようにしている。
図3は、ポンプ23の目標吐出量及びポンプ23を運転する際のデューティ比Dと機関水温θeとの関係を示すマップである。同図3に示されるように、目標吐出量が多く、機関水温θeが低いときほど、デューティ比Dは大きくなるように補正される。目標吐出量が多いときほど、また、機関水温θeが低いときほど、ポンプ23の実際の吐出量は、冷却水の粘度の影響を受けて大きく低下するためである。尚、こうした機関水温θeに基づく補正は先のポンプの通常制御時(ステップS113)においても同様に行われる。
また、ウォータジャケット13の冷却水を適切にヒータコア32に移送するうえでは、上記中断期間Taを適切に管理することが望ましい。即ち、この中断期間Taを適切に管理できない場合は、ウォータジャケット13の冷却水がヒータコア32に移送される前に暖機促進処理が再開されたり、ウォータジャケット13の冷却水がヒータコア32に移送された後も更に循環水路20において冷却水の循環が継続されたりしてしまうといった不都合が懸念される。
しかしながら、この中断期間Taにおいてポンプ23の吐出量をその最大量に設定したような場合には、中断期間Taが短くなるため、これをより厳密に管理しなければならなくなる。即ち、目標となる中断期間Taに対して実際の中断期間が僅かに異なるだけで上述したような不都合が顕在化することとなる。そこで、本実施形態では中断期間Taにおけるポンプ23の吐出量をその最大量よりも少ない量、例えば最大量の「40%」に相当する量に設定している。
制御装置91は、このように設定したデューティ比Dに基づいて、ポンプ23を運転し(ステップS106)、暖機促進処理の中断期間Taをカウントアップ処理(暖機促進処理の中断期間Ta←暖機促進処理の中断期間Ta+ΔTa)した後(ステップS107)、この処理を一旦終了する。
一方、暖機促進処理の中断期間Taが所定期間T1以上であると判定した場合(ステップS105:NO)、即ちヒータコア32に対してウォータジャケット13の冷却水が移送された判定した場合、暖機促進処理を再開する。即ち、まず、暖機促進処理を再開してから経過した期間(以下、「暖機促進処理の実行期間Tb」という)が所定期間T2未満であるか否かを判定する(ステップS108)。また、先のステップS103において暖機促進処理の中断期間Ta及び実行期間Tbがいずれも「0」を上回っており、暖機促進処理が既に実行中であると判定された場合も同様に(ステップS103:Ta>0,Tb>0)、同実行期間Tbが所定期間T2未満であるか否かを判定する(ステップS108)。
上述のように、ウォータジャケット13からヒータコア32に移送された冷却水は、ヒータブロア33により送風される空気との間の熱交換を通じてその温度が徐々に低下する。即ち、暖房装置30の暖房能力は徐々に低下する。そこで、本実施形態では、ヒータコア32の冷却水の温度が、暖房装置30の暖房能力を適切に確保することのできる温度域にある期間、即ちヒータコア32の冷却水の温度低下量が上述した所定量以下である期間を所定期間T2としている。そして、この所定期間T2と暖機促進処理の実行期間Tbとの比較のもと、ヒータコア32の冷却水の温度が、暖房装置30の暖房能力を適切に確保することのできる温度域にあるか否かを判断するようにしている。この所定期間T2は、図4に示されるマップを参照して算出される。
図4は、機関水温θe、ヒータブロア33の総送風量、及び所定期間T2の関係を示したマップである。尚、ヒータブロア33の総送風量は、暖機促進処理を開始してからのヒータブロア33の送風量の積算値である。同図4に示されるように、機関水温θeが高く、ヒータブロア33の総送風量が少ないときほど、所定期間T2は長くなるように設定される。機関水温θeが高いときほど、また、ヒータブロア33の総送風量が少ないときほど、ヒータコア32の冷却水における温度低下量が小さく、暖房装置30の暖房能力低下に及ぼす影響が少なくなるためである。
この判定処理において、暖機促進処理の実行期間Tbが所定期間T2未満であると判定した場合(ステップS108:YES)、即ち、ヒータコア32の冷却水の温度は暖房装置30の暖房能力が十分に確保できていると判定した場合、暖機促進処理を実行する(ステップS109)。即ち、ポンプ23の運転を停止して、循環水路20における冷却水の循環を停止する。そして、暖機促進処理の実行期間Tbをカウントアップ処理(暖機促進処理の実行期間Tb←暖機促進処理の実行期間Tb+ΔTb)した後(ステップS110)、この処理を一旦終了する。
これに対して、暖機促進処理の実行期間Tbが所定期間T2以上であると判定した場合(ステップS108:NO)、即ち、ヒータコア32における冷却水の温度が低下することにより暖房装置30の暖房能力が無視できない程度に低下していると判定した場合、暖機促進処理の実行期間Tbを「0」としてこれをクリアする(ステップS111)。更に、暖機促進処理の中断期間Taも同様に「0」としてこれをクリアする(ステップS112)。このように暖機促進処理の実行期間Tb及び中断期間Taをそれぞれクリアした後、この処理を一旦終了する。
図5(a)は、機関始動時から暖機促進処理が完了するまでの期間においてこうしたポンプ23の制御を実行した場合における機関水温θeの推移を実線にて、ヒータコア32の冷却水の温度の推定値(以下、「ヒータコア水温θh」という)の推移を一点鎖線にて示している。また、同図(b)は、暖房装置30の運転状態、同図(c)は、ポンプ23の運転状態の推移をそれぞれ示している。尚、同図(a)には、暖房装置30の暖房要求があり、且つ機関水温θeが所定水温θs以上であるとき、暖機促進処理を終了してポンプ23が通常運転に移行するようにした場合における機関水温θe及びヒータコア水温θhの推移を二点鎖線で示している。
例えば、機関始動時からの経過時間が短いときのように、機関水温θeが低い期間は、同図(c)に示されるように、ポンプ23の運転が停止され、暖機促進処理が実行される(機関始動時〜タイミングt1)。この期間において、機関水温θeは機関燃焼室14の熱によって上昇する一方、ヒータコア水温θhは低温状態に維持される。そして、各種操作部93が操作される等して暖房装置30の暖房要求があったとき(タイミングt1)、機関水温θeは所定水温θs未満であるため、暖機促進処理が継続して実行される。従って、ポンプ23は停止状態に維持される。
このような暖機促進処理を通じて機関水温θeが上昇し、これが所定水温θsに達すると、暖機促進処理が一時的に中断され、ポンプ23の運転が開始される(タイミングt2)。このようにポンプ23の運転が開始されると、機関燃焼室14の熱で温度上昇した冷却水はウォータジャケット13から流出するため、機関水温θeは低下する。一方、ヒータコア32には、このようにウォータジャケット13で温度上昇した冷却水が流入するため、ヒータコア水温θhは上昇するようになる。
そして、暖機促進処理の中断期間Taが所定期間T1に達したとき、即ちヒータコア32に対するウォータジャケット13の冷却水の移送が完了したとき、暖機促進処理が再開される(タイミングt3)。即ち、同図(c)に示されるように、ポンプ23の運転が停止される。このように、暖機促進処理が再開されると、機関水温θeは再度上昇するようになる。一方、ヒータコア32にあっては、冷却水と空気との間で熱交換がなされるため、ヒータコア水温θhは徐々に低下する。そして、暖機促進処理の実行期間Tbが所定期間T2に達すると、再度、暖機促進処理が中断され、ポンプ23の運転が開始される(タイミングt4)。これにより、上述した場合と同様に、機関水温θeは低下する一方、ヒータコア水温θhは上昇するようになる。そして、再び冷却水の移送が完了したとき、即ち暖機促進処理を一時的に中断してから所定期間T1が経過したとき、ポンプ23の運転が停止され、暖機促進処理が再開される(タイミングt5)。
そして、このように暖機促進処理が再開されることで、上述した場合と同様に機関水温θeが上昇し、これが上限水温θcに達したとき(タイミングt6)、同図(c)に示されるように、暖機促進処理が終了されポンプ23は通常運転に移行するようになる。この際、同図(a)に示されるように、機関水温θeは、循環水路20に滞留する低温の冷却水がウォータジャケット13に流入するため一旦低下するものの、機関燃焼室14の熱によって再度上昇する。因みに、先の図2に示すステップS100の処理では、機関水温θe≧上限水温θcの関係が一旦満たされた場合には、その後にこの関係が満たされないようになっても常にステップS102の処理に移行するようにしている。
本実施形態に対する比較例として、暖房装置30の暖房要求があり、且つ機関水温θeが所定水温θs以上であるとき、暖機促進処理をその時点で終了してポンプ23を通常運転に移行させる場合について説明する。この場合にあっては、暖機促進処理が終了されてポンプ23が通常運転に移行されるため、暖機促進処理を実行した場合と比較すると、ウォータジャケット13やヒータコア32等を含め循環水路20における冷却水の温度が均一化される。
従って、同図(a)に二点鎖線で示されるように、機関水温θeは徐々に低下する(タイミングt3〜)。一方、ヒータコア水温θhは、ウォータジャケット13で温度上昇した冷却水が移送されたときに一旦上昇するものの、その後、大きく低下するようになる。そして、機関燃焼室14で発生する熱により、機関水温θe及びヒータコア水温θhはいずれも徐々に上昇するようになる。但し、ヒータコア水温θhは、ヒータブロア33から送風される空気との熱交換によって機関水温θeよりも低い温度となる。更に、これら機関水温θe及びヒータコア水温θhはいずれも上述したコア加熱処理を実行した場合よりも低い温度となる。即ち、この比較例にあっては、暖房装置30の暖房能力が低下し、内燃機関10の暖機促進効果も低下することとなる。
以上説明したように本実施形態によれば、以下に記載の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、暖機促進処理の実行中に暖房装置30の暖房要求があるとき、暖機促進処理を一時的に中断してポンプ23を運転することにより、ウォータジャケット13で機関燃焼室14の熱により温度上昇した冷却水をヒータコア32に移送するようにしている。このため、ヒータコア32では、その温度上昇した冷却水の熱を用いて車室内に導入する空気を昇温することができる。またこうしたヒータコア32に対する冷却水の移送が完了したことをもって暖機促進処理を再開するようにしている。このため、ウォータジャケット13やヒータコア32を含め循環水路20における冷却水が混合されてその温度が均一化してしまうことがなく、ウォータジャケット13における冷却水の温度が必要以上に低下してしまうこともない。従って、機関冷間時にその暖房能力を確保しつつ、内燃機関の暖機を促進することができるようになる。
(2)また、暖機促進処理を一時的に中断してからのポンプ23の総吐出量が、循環水路20においてウォータジャケット13からヒータコア32に至る部分及び同ヒータコア32に滞留可能な冷却水の総量に達したことに基づいてヒータコア32に対するウォータジャケット13の冷却水の移送が完了したことを判定するようにしているため、こうした冷却水の移送が完了したことを高い精度をもって判定することができる。
(3)また、ヒータコア32に滞留する冷却水は、ヒータブロア33から送風される空気との熱交換がなされることに伴って、その温度が徐々に低下する。このため、暖房装置30の暖房能力は徐々に低下するようになる。この点、本実施形態によれば、暖機促進処理を一時的に中断してから再開するまでの一連の処理を繰り返し実行するようにしているため、ヒータコア32の冷却水の温度が一旦低下しても、機関燃焼室14の熱で温度上昇したウォータジャケット13の冷却水が再びヒータコア32に移送される。従って、暖房装置30の暖房能力を適切に維持することができるようになる。
(4)また、機関水温θe、及び暖機促進処理を開始してからのヒータブロア33の総送風量に基づいて、所定期間T2を可変設定するようにしている。このため、暖機促進処理が再開された後にヒータコア32に滞留する冷却水の温度低下量が所定量に達する期間、即ち暖房装置30の暖房能力が低下するタイミングを適切に推定することができ、暖房装置30の暖房能力をより適切に確保することができるようになる。
(5)また、ウォータジャケット13の冷却水の温度が低いため、これをヒータコア32に移送したとしても、所望の暖房能力が得られず、むしろウォータジャケット13の冷却水の温度が低下することに伴う熱損失の増大等が懸念されるときには、暖機促進処理の中断からその再開にかかる一連の処理を禁止するようにしている。このため、暖機促進処理が不要に中断されて、暖機促進処理の効果が低下することを回避することができるようになる。
(6)また、暖機促進処理を一時的に中断してポンプ23の吐出量の制限を解除する際、ポンプ23の吐出量をその最大量よりも少ない所定量となるように設定しているため、ウォータジャケット13の冷却水がヒータコア32に移送されるまでの期間を長くして、この期間を適切に管理することができるようになる。
(7)また、機関水温θeが低いときほど目標吐出量が増大する態様にてデューティ比Dを補正するようにしている。このため、冷却水の粘度が異なる場合であってもウォータジャケット13で温度上昇した冷却水を適切にヒータコア32に移送することができるようになり、ひいては所望の暖房装置30の暖房能力を確保することができるようになる。
尚、本発明の実施態様は、上記各実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示されるように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例を適宜組み合わせた態様にて実施することもできる。
・ポンプ23の目標吐出量に対応するデューティ比Dを算出する際、これを機関水温θeに応じて補正するようにしたが、上述したコア加熱処理は基本的に機関水温θeが所定水温θs以上となったことをもって実行されることから、同コア加熱処理の実行中における機関水温θeの温度変化領域は限られたものとなる。このため、こうした機関水温θeの温度変化による冷却水の粘度変化、即ちポンプ23の吐出量の変化が無視できる程度の範囲である場合には、こうした機関水温θeに基づくデューティ比Dの補正を省略することもできる。
・上記実施形態では、熱交換器としてヒータコア32のみを例示したが、一般に、車両にはこうしたヒータコア32以外にもEGRクーラや排熱回収器等々の熱交換器が搭載される場合も少なくない。こうした場合にあっては、ヒータコア32を除くこれら熱交換器は、同ヒータコア32の下流側に設けるようにするのが望ましい。これにより循環水路20において、ウォータジャケット13とヒータコア32との間の距離を極力短くすることができ、しかもウォータジャケット13の冷却水がヒータコア32に至るまでの間に他の熱交換器による熱交換の影響を受けて温度変化することを抑制することができる。このため、暖房装置30の暖房要求があり、ウォータジャケット13で温度上昇した冷却水がヒータコア32に移送されるときにこれが温度低下することを抑制することができ、ひいては暖房装置30の暖房能力の低下を抑制することができるようになる。また、暖機促進処理を一時的に中断することに起因して機関水温θeが大きく温度低下してしまうことを回避でき、暖機促進機能の低下を抑制することができる。
・更に、暖機促進処理を一時的に中断してポンプ23の吐出量の制限を解除する際、ポンプ23の吐出量をその最大量よりも少ない所定量となるように設定した。しかしながら、例えば、循環水路20においてウォータジャケット13とヒータコア32との間に滞留する冷却水及びヒータコア32に滞留する冷却水の量が多いとき、或いはポンプ23の吐出量にかかる最大量が少ないとき等、上記移送期間がある程度長く確保されるような場合であればポンプ23の吐出量を最大量に設定するようにしてもよい。
・また、冷却装置では暖房装置30のヒータブロア33やポンプ23を制御装置91により統括して制御するようにしたが、この制御装置91とは別の制御装置を設け、同制御装置により暖房装置30を制御するようにしてもよい。そしてこの場合、水温センサ92により検出される機関水温θeが所定温度(例えば所定水温θs)以上であり且つ各種操作部93が車室の暖房が必要とされる操作状態にあることを条件に図2に示す一連の処理を実行するようにしてもよい。但しこの場合には、ステップS102及びステップS104、並びにステップS113の各処理は省略されることとなる。従って、暖房装置30の制御装置からの暖房要求がない場合には、暖機促進処理が実行されることとなる。因みにこの場合、ステップS103の判定処理においては、暖機促進処理が中断中であると判定した場合(ステップS103:Ta>0,Tb=0)、暖房装置30の状態とは関係なく暖機促進処理が実行されていると判定した場合(ステップS103:Ta,Tb=0)はいずれもステップS105の処理を実行することとなる。
・所定期間T2は、暖房装置30の暖房機能を確保することのできる期間であれば、予め実験等により定められた固定値であってもよい。
・本実施形態及び上記変形例においては、コア加熱処理を機関水温θeが上限水温θcに達するまで、即ち暖機促進処理が完了するまで繰り返し実行するようにした。これに対して、例えば所定水温θsが比較的高い温度に設定されている場合等、ウォータジャケット13の冷却水をヒータコア32に一旦移送することにより長期間にわたって暖房装置30の暖房能力が確保できるような場合であれば、必ずしもコア加熱処理を繰り返して実行しなくてもよい。
・ヒータコア32に水温センサを取り付け、ヒータコア水温θhを直接検出するようにしてもよい。この場合は、暖機促進処理を一時的に中断してポンプ23の運転を開始した時の機関水温θeとヒータコア水温θhの乖離度合が小さくなったことをもって、ウォータジャケット13で温度上昇した冷却水のヒータコア32への移送が完了したと判定し、暖機促進処理を再開することができる。本変形例によれば、ウォータジャケット13で温度上昇した冷却水のヒータコア32への移送が完了した旨、正確に判定することができるようになる。
・また、暖機促進処理を一時的に中断してポンプ23の運転を開始すると、ウォータジャケット13の冷却水がヒータコア32に移送されるため、ウォータジャケット13の温度、換言すれば水温センサ92により検出される機関水温θeが一時的に低下するようになる。このため、機関水温θeが所定水温θsよりも所定量だけ低下したことをもって、上述した冷却水の移送が完了した旨判定するようにしてもよい。
・上述した例では、その吐出量を可変設定するために電動回転式のポンプ23を採用するようにしたが、例えば従前から用いられている機関駆動式のポンプを採用することもできる。但し、この場合には、内燃機関10における出力軸の回転速度にかかわらずその吐出量を変更できる機構を別途設けるようにする。例えば、内燃機関10の出力軸にクラッチを介してその回転軸が駆動連結され、このクラッチを係合/遮断することにより冷却水を吐出する状態と吐出を停止した状態に切り替えるポンプを採用することもできる。その他、内燃機関10の出力軸からの動力伝達を断接することができれば、例えば、ポンプの回転軸に取り付けられたプーリ(図示せず)を出力軸の回転に伴って走行するベルトに対して押圧/離間することにより動力伝達を断接する等、その他の断接機構によりこれを行うようにしてもよい。
・上述した変形例を含め各実施形態では、暖機促進処理としてポンプ23の運転を停止して循環水路20における冷却水の循環を停止する処理を例示したが、本発明における暖機促進処理には、ポンプ23を駆動するものの、例えば、ウォータジャケット13において冷却水の局所的な沸騰が発生しない最小量の冷却水を循環水路20に循環させる等、その吐出量を所定量以下に制限するものも含まれる。
10…内燃機関、11…シリンダブロック、12…シリンダヘッド、13…ウォータジャケット、14…機関燃焼室、20…循環水路、21…迂回通路、22…ラジエータ通路、23…ポンプ、24…サーモスタット、25…ラジエータ、30…暖房装置、32…ヒータコア、33…ヒータブロア、91…制御装置(ポンプ制御装置)、92…水温センサ、93…各種操作部。

Claims (9)

  1. 車載内燃機関の冷却装置であって、
    前記冷却装置は、車室暖房装置およびポンプ制御装置を有し、
    前記車室暖房装置は、循環水路、ヒータコア、および、ポンプを有し、
    前記循環水路は、前記車載内燃機関のウォータジャケットを含む経路を有し、
    前記ヒータコアは、前記経路上に配置され、
    前記ポンプは、電動回転式のポンプ、または、前記車載内燃機関との接続状態を変更するクラッチを有する機関駆動式のポンプであって、前記経路上に1つだけ存在し、
    前記ポンプ制御装置は、
    前記ウォータジャケットに存在する冷却水の温度である機関水温が上限水温未満の温度範囲に属することに基づいて、前記ポンプの吐出量を制限する暖機促進処理を実行し、
    前記暖機促進処理を実行しているとき、かつ、車室内の暖房を要求する要求信号が前記ポンプ制御装置に入力されているとき、前記暖機促進処理に基づく前記ポンプの吐出量の制限を一時的に解除し、前記ポンプの吐出量の制限を解除している期間である中断期間が予め規定された期間であって、前記車載内燃機関の燃焼室の周囲に存在する冷却水が前記ヒータコアに移送されたことを示唆する所定期間に達したことに基づいて、前記ポンプの吐出量を再び制限する
    車載内燃機関の冷却装置。
  2. 車載内燃機関の冷却装置であって、
    前記冷却装置は、車室暖房装置およびポンプ制御装置を有し、
    前記車室暖房装置は、循環水路、ヒータコア、および、ポンプを有し、
    前記循環水路は、前記車載内燃機関のウォータジャケットを含む経路を有し、
    前記ヒータコアは、前記経路上に配置され、
    前記ポンプは、電動回転式のポンプ、または、前記車載内燃機関との接続状態を変更するクラッチを有する機関駆動式のポンプであって、前記経路上に1つだけ存在し、
    前記ポンプ制御装置は、
    前記ウォータジャケットに存在する冷却水の温度である機関水温が上限水温未満の温度範囲に属することに基づいて、前記ポンプの吐出量を制限する暖機促進処理を実行し、
    前記暖機促進処理を実行しているとき、かつ、車室内の暖房を要求する要求信号が前記ポンプ制御装置に入力されているとき、前記暖機促進処理に基づく前記ポンプの吐出量の制限を一時的に解除し、前記ポンプの吐出量の制限を解除した後における前記ポンプの総吐出量である解除期間吐出量が予め規定された吐出量であって、前記車載内燃機関の燃焼室の周囲に存在する冷却水が前記ヒータコアに移送されたことを示唆する規定吐出量に達したことに基づいて、前記ポンプの吐出量を再び制限する
    車載内燃機関の冷却装置。
  3. 前記規定吐出量は、前記循環水路のうちの前記ウォータジャケットと前記ヒータコアとを接続している部分の容量、および、前記ヒータコアにおける冷却水の容量の合計以上の吐出量であり、
    前記解除期間吐出量が前記規定吐出量以上の大きさを示すときの前記解除期間吐出量および前記規定吐出量の関係は、前記ポンプの吐出量の制限が一時的に解除された後において、前記ウォータジャケットの冷却水が前記ヒータコアに流入したことを示唆する
    請求項2に記載の車載内燃機関の冷却装置。
  4. 前記ポンプ制御装置は、前記暖機促進処理、前記ポンプの吐出量の制限の解除、および、前記ポンプの吐出量の制限を含む制御サイクルを複数回にわたり実行する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の車載内燃機関の冷却装置。
  5. 前記ポンプ制御装置は、前記ポンプの吐出量を再び制限してからの経過期間である実行期間を計測し、前記ヒータコアに滞留している冷却水の温度の低下量が所定低下量以上の大きさであることが前記実行期間により示唆されるとき、次の前記制御サイクルを開始する
    請求項4に記載の車載内燃機関の冷却装置。
  6. 前記ポンプ制御装置は、前記暖機促進処理を実行しているとき、かつ、前記要求信号が前記ポンプ制御装置に入力されているとき、かつ、前記機関水温が所定温度以上のとき、前記ポンプの吐出量の制限を一時的に解除する
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の車載内燃機関の冷却装置。
  7. 前記ポンプ制御装置は、前記ポンプの吐出量の制限を一時的に解除しているとき、前記ポンプの吐出量を基準吐出量よりも小さくする
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の車載内燃機関の冷却装置。
  8. 前記車載内燃機関は、前記ヒータコアとは別の熱交換器を有し、
    前記熱交換器は、前記循環水路のうちの前記ウォータジャケットと前記ヒータコアとを接続している部分とは別の部分に接続されている
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の車載内燃機関の冷却装置。
  9. 前記車載内燃機関は、電動機を有し、
    前記電動機は、前記ポンプ制御装置の制御に基づいて、前記ポンプを駆動する力を出力し、
    前記ポンプ制御装置は、前記機関水温が低くなるにつれて前記電動機の出力を大きくする
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の車載内燃機関の冷却装置。
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