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JP5528714B2 - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、吸水性樹脂の製造方法に関する。より詳細には、表面処理された吸水性樹脂を加熱する、吸水性樹脂の製造方法に関する。
従来、生理綿、紙おむつ、あるいはその他の体液を吸収する衛生材料の一構成材料として、共重合体(吸水性樹脂)を主成分とする吸水剤が用いられている。このような吸水剤を構成する吸水性樹脂としては、例えば、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物、これらの架橋体やポリアクリル酸部分中和物架橋体等がある。これらは、いずれも内部架橋構造を有し、水に不溶である。
このような吸水性樹脂に望まれる特性として、高吸収倍率、優れた吸収速度、高いゲル強度、基材から水を吸い上げるための優れた吸引力、通液性等がある。吸水性樹脂の各種吸水特性を改良することを目的とした技術として、従来、架橋剤や重合性単量体を用いて吸水性樹脂の表面を処理する方法が提案されている。
表面処理の形態としては、例えば、吸水性樹脂の表面架橋、孔の形成、親水化、疎水化などが挙げられ、好ましくは表面架橋である。吸水性樹脂は、重合性単量体に内部架橋剤と重合開始剤を配合し、重合して製造される内部架橋を有する水不溶性のポリマーである。そして、重合後の吸水性樹脂の表面には単量体に含まれる反応性の官能基が存在する。このような官能基と反応し得る表面架橋剤を添加して官能基間に架橋を導入すれば、吸水性樹脂の表面架橋密度が増加し、加圧下でも優れた吸水特性を有する吸水性樹脂とすることができる。
これまで検討されてきた表面架橋技術として、例えば、表面架橋剤を併用する技術(特許文献1)、複数の攪拌盤を備えた回転軸からなる攪拌手段を使用した加熱装置についての技術(特許文献2)、高含水率の吸水性樹脂を表面架橋する技術(特許文献3)、吸水性樹脂と表面架橋剤とを反応させるための加熱温度の昇温制御についての技術(特許文献4)、表面架橋を二度行う技術(特許文献5)、過酸化物ラジカル開始剤を含む水性溶液を吸水性樹脂の表面部に接触させ、加熱する技術(特許文献6)が開示されている。
さらに、加熱処理に代えて紫外線等の活性エネルギー線の照射処理を施すことによって、吸水性樹脂を表面処理する技術も提案されている(特許文献7、特許文献8)。その他、吸水性樹脂の各種吸水特性を改良することを目的とした技術として、吸水性樹脂の表面を加熱処理する方法(特許文献9)、吸水性樹脂を二段階で重合させる方法(特許文献10)加熱処理装置を複数用いる技術(特許文献11)が開示されている。
米国特許第5422405号明細書 特開2004−352941号公報 米国特許第6875511号明細書 米国特許第6514615号明細書 米国特許第5672633号明細書 米国特許第4783510号明細書 国際公開第2006/62258号パンフレット 国際公開第2006/62253号パンフレット 米国特許第5206205号明細書 特開2005−213523号公報 米国特許出願公開第2007/0149760号明細書
しかし、上述した各特許文献に記載の技術を用いて吸水性樹脂を表面処理すると、得られる表面架橋された吸水性樹脂の吸水特性は必ずしも十分なものであるとは言えず、特に加圧下での吸水特性(加圧下吸収倍率)、吸収力(自由膨潤倍率)および通液性のさらなる向上が求められていた。しかし、吸水特性は架橋密度に影響を受けるため、架橋密度が大きくなるとゲル強度、通液性は増加するものの自由膨潤倍率が低下するなど、特性間の関係は必ずしも正の相関を示さない。また、表面架橋の形成されていない吸水性樹脂粒子では、粒子が液体に接した場合に、吸水が均一に行なわれず吸水性樹脂の塊になった部分を形成したり、吸水性樹脂粒子全体に水が拡散しないため吸収速度等が極端に低下したりする場合がある。このように、吸水性樹脂の加圧下吸収倍率、通液性、および自由膨潤倍率がいずれも優れる吸水性樹脂を低コストで得ることは困難であった。
そこで、本発明は、吸水性樹脂の吸水特性(特に、自由膨潤倍率、通液性)を向上させうる吸水性樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、表面架橋などの表面処理を施した後に吸水性樹脂を所定の条件で加熱を行うことで、吸水特性(特に、自由膨潤倍率、通液性)が向上した吸水性樹脂が得られうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態は、(a)吸水性樹脂を表面処理する工程、および(b)前記工程(a)で得られる含水率が1質量%以上60質量%以下の吸水性樹脂を、表面処理剤を添加せずに120℃以上250℃以下の温度で加熱する工程を含む、吸水性樹脂の製造方法である。
また、本発明の他の一形態は、(a)吸水性樹脂を表面処理する工程、および(b)前記工程(a)で得られる含水率が1質量%以上60質量%以下の吸水性樹脂を加熱する工程を含み、前記工程(b)を当該工程の前後で前記吸水性樹脂の含水率補正後の自由膨潤倍率(GV)が1(g/g)以上増加するように行うことを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法である。
さらに、本発明の他の一形態は、(a)吸水性樹脂を表面処理する工程、および(b)前記工程(a)で得られる吸水性樹脂を加熱する工程を含み、前記工程(b)を、前記吸水性樹脂の含水率補正後の自由膨潤倍率(GV)が当該工程(b)前に比して1(g/g)以上増加した後、その増加後の値から1(g/g)以上減少するまで行うことを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、吸水特性に優れる表面処理された吸水性樹脂が製造されうる。特に、本発明によれば、従来両立が困難であった自由膨潤倍率(GV)および通液性(SFC)を共に向上させることが可能である。さらに、表面処理により吸水性樹脂が受ける物理的ダメージ(加熱劣化など)を低減することができる。
図1は、食塩水流れ誘導性(SFC)の測定に用いる測定装置の概略図である。
以下、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法について説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施しうる。
なお、本発明においては、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱う。また、特記しない限り、「生理食塩水」とは0.9重量%塩化ナトリウム水溶液を意味し、「含水率」とは後述する実施例に記載の180℃/3時間の減量で規定される吸水性樹脂の含水率を意味する。なお、数値範囲に関する省略した記載「A〜B」はA以上、B以下の数値範囲を表す。
(1)吸水性樹脂(ベースポリマー)
吸水性樹脂は、含水ゲル状重合体に架橋構造が導入されてなる水膨潤性水不溶性の重合体である。本発明において「水膨潤性」とは、生理食塩水での自由膨潤倍率(GV)が2g/g以上であることを意味し、好ましくは5〜100g/g、より好ましくは10〜60g/gである。なお、本発明において、自由膨潤倍率(GV)の数値としては、後述する実施例に記載の方法により測定された値(含水率補正後の値)を採用するものとする。また、「水不溶性」とは、吸水性樹脂中の未架橋の水可溶性成分(以下、「溶出可溶分」とも称する)の含有量が0〜50質量%であることを意味し、好ましくは0〜25質量%であり、より好ましくは0〜15質量%であり、さらに好ましくは0〜12質量%である。なお、溶出可溶分の数値としては、実施例の方法により測定された値を採用するものとする。
(a)吸水性樹脂(ベースポリマー)の製造方法
(a−1)単量体成分を重合する重合工程
本発明において、吸水性樹脂(ベースポリマー)は、例えば、単量体成分を重合する重合工程により得られる。
重合工程では、まず、単量体成分を架橋剤の存在下で重合させることによって、含水ゲル状架橋重合体を得ることが好ましい。含水ゲル状架橋重合体は、架橋剤を使用しない自己架橋型のものであってもよいが、1分子中に2個以上の重合性不飽和基や、2個以上の反応性基を有する架橋剤を共重合または反応させたものであることが好ましい。このように内部架橋を施すことによって、吸水性樹脂は水不溶性となる。
(単量体)
吸水性樹脂を構成する単量体の種類について特に制限はなく、例えばエチレン性不飽和単量体などの不飽和単量体が用いられうる。エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されず、好ましくは末端に不飽和二重結合を有する単量体、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のアニオン性単量体やその塩;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等のノニオン性親水基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、等のアミノ基含有不飽和単量体やそれらの4級化物;等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。好ましくは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、これらの塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級化物、(メタ)アクリルアミドが用いられ、特に好ましくはアクリル酸および/またはその塩が用いられる。また、アクリル酸(塩)の割合は全単量体の50〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。
単量体としてアクリル酸塩を用いる場合には、吸水性樹脂の吸水性能の観点からアクリル酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩から選ばれるアクリル酸の1価塩が好ましい。より好ましくはアクリル酸アルカリ金属塩であり、特に好ましくは、アクリル酸のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩から選ばれるアクリル酸塩である。
吸水性樹脂を製造する際には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記単量体以外の他の単量体成分を用いることができる。例えば、炭素数8〜30の芳香族エチレン性不飽和単量体、炭素数2〜20の脂肪族エチレン性不飽和単量体、炭素数5〜15の脂環式エチレン性不飽和単量体、アルキル基の炭素数4〜50の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの疎水性単量体を例示することができる。これら疎水性単量体の割合は、一般に、上記エチレン性不飽和単量体100重量部に対し、0〜20重量部の範囲である。疎水性単量体が20重量部を超えると、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下する場合がある。
なお、不飽和単量体成分としては、アクリル酸等の部分中和物を重合してもよいし、アクリル酸等の酸基含有単量体を重合した後に水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム等のアルカリ化合物により重合物を中和してもよい。
以上、単量体成分としてエチレン性不飽和単量体を用いる場合を例に挙げて本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲はかような形態のみには制限されない。例えば、本発明の吸水性樹脂は、ポリアミノ酸の架橋体、多糖類の架橋体、ポリエステルの架橋体、ポリアセタールの架橋体、およびこれらの複合体などであってもよい。
(内部架橋剤)
重合工程において用いられる架橋剤(内部架橋剤)の具体例としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(エチレンオキサイド変性)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、(エチレンオキサイド変性)グリセリンアクリレートメタクリレート、3−メチル−1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N−ジアリルアクリルアミド、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ジアリルオキシ酢酸、ビス(N−ビニルカルボン酸アミド)、(エチレンオキサイド変性)テトラアリロキシエタン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの内部架橋剤は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。特に、得られる吸水性樹脂の吸水特性などを考慮すると、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を内部架橋剤として用いることが好ましい。具体的には、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(エチレンオキサイド変性)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、(エチレンオキサイド変性)グリセリンアクリレートメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましく、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(エチレンオキサイド変性)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
内部架橋剤の使用量は、吸水性樹脂を製造する際に用いる単量体成分の全量に対して好ましくは0.0001〜1モル%であり、より好ましくは0.0005〜0.5モル%であり、さらに好ましくは0.001〜0.2モル%であり、特に好ましくは0.003〜0.1モル%であり、最も好ましくは0.005〜0.05モル%である。内部架橋剤の使用量が0.0001モル%以上であれば内部架橋が導入され、内部架橋剤の使用量が1モル%以下であれば、得られる吸水性樹脂のゲル強度の過度の上昇とそれに伴う吸水特性の低下が防止されうる。上記内部架橋剤を用いて架橋構造を重合体内部に導入する場合には、上記内部架橋剤を、上記単量体の重合前あるいは重合途中、あるいは重合後、または中和後に反応系に添加するようにすればよい。
(連鎖移動剤・重合開始剤)
重合に際しては、澱粉−セルロース、澱粉−セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤を反応系に添加してもよい。重合工程における親水性高分子の使用量は、単量体成分の全量に対して好ましくは0〜50質量%であり、より好ましくは0〜30質量%であり、さらに好ましくは0〜10質量%である。また、重合工程における連鎖移動剤の使用量は、単量体成分の全量に対して好ましくは0.001〜1モル%であり、より好ましくは0.005〜0.5モル%であり、さらに好ましくは0.01〜0.3モル%である。
上記重合反応における重合開始時には、例えば、重合開始剤、あるいは放射線や電子線、紫外線、電磁線などの活性エネルギー線などが用いられうる。重合開始剤としては、特に限定されないが、熱重合開始剤や光重合開始剤が使用されうる。
熱重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;アゾニトリル化合物、アゾアミジン化合物、環状アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキルアゾ化合物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等のアゾ化合物が挙げられる。また、光重合開始剤としては、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、重合開始剤として過硫酸塩などの過酸化物を用いる場合には、たとえば、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、L−アスコルビン酸などの還元剤を併用して酸化還元(レドックス)重合を行ってもよい。
重合工程における重合開始剤の使用量は、単量体成分の全量に対して、好ましくは0.001〜2モル%であり、より好ましくは0.01〜0.5モル%である。
重合開始時の温度は、使用する重合開始剤の種類にもよるが、好ましくは15〜130℃であり、より好ましくは20〜120℃である。重合開始時の温度が上記の範囲を外れると、得られる吸水性樹脂の残存単量体が増加したり、過度の自己架橋反応が進行して吸水性樹脂の吸水性能が低下したりする虞がある。また、重合時間は通常0.1〜60分間である。
(重合方法)
重合の方法としては、水溶液重合、逆相懸濁重合、バルク重合、沈澱重合などが採用されうる。性能面や重合の制御の容易さなどを考慮すると、上記単量体および内部架橋剤などを含む単量体成分を水溶液として、水溶液重合または逆相懸濁重合を行うことが好ましく、特に水溶液重合を行うことが好ましい。
単量体成分の水溶液の濃度は、単量体として通常10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、特に好ましくは40〜60質量%のである。10質量%を下回ると、得られたゲル状重合体(ヒドロゲル)中の水分量が多いため、乾燥のための熱量や時間を必要とし、不利である。また、水溶液には、界面活性剤、ポリアクリル酸(塩)やその架橋体(吸水性樹脂)、澱粉、ポリビニルアルコール等の高分子化合物、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、L−アスパラギン酸−N、N−二酢酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエタンホスホン酸、及びそれらのアルカリ金属塩等の各種キレート剤、各種添加剤等を、前記単量体に対して0〜30質量%併用してもよい。なお、本願で水溶液とは、飽和濃度を超えた分散液も含むが、好ましくは飽和濃度以下で重合される。
かかる重合方法は、例えば、米国特許第4625001号明細書、米国特許第4769427号明細書、米国特許第4873299号明細書、米国特許第4093776号明細書、米国特許第4367323号明細書、米国特許第4446261号明細書、米国特許第4683274号明細書、米国特許第4690996号明細書、米国特許第4721647号明細書、米国特許第4738867号明細書、米国特許第4748076号明細書、米国特許第6906159号明細書などに記載されている。
以上のような重合工程によって、通常は含水ゲル状架橋重合体が得られる。かかる含水ゲル状架橋重合体の固形分(含水率)は、単量体水溶液の濃度や重合時の水分蒸発などに基づき適宜決定される。
(a−2)乾燥・粉砕・分級工程
重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体をそのまま吸水性樹脂として使用することもできるが、重合工程後に乾燥工程を行うことが好ましい。本発明において、吸水性樹脂は、含水ゲル状架橋重合体のみならず、これを乾燥させたものおよび乾燥工程後に粉砕工程や分級工程等をさらに行って粒子状としたものをも包含するものとする。
(乾燥工程)
乾燥工程は、重合工程によって得られた含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程である。なお、本発明において「乾燥」とは、固形分を10質量%以上上昇させるか、含水率を25質量%以下とすることを意味する。
乾燥手段について特に制限はなく、例えば、バンド乾燥機、攪拌乾燥機、流動層乾燥機などの1種または2種以上を用いるような従来公知の乾燥手段が好適に用いられうる。乾燥後の吸水性樹脂の含水率(180℃、3時間の減量で規定)は、好ましくは1〜60質量%であり、より好ましくは5〜60質量%であり、さらに好ましくは5〜40質量であり、特に好ましくは7〜30質量%であり、最も好ましくは8〜20質量%である。
乾燥工程における乾燥温度や乾燥時間は特に限定されず、通常は70〜250℃、好ましくは90〜220℃、より好ましくは120〜210℃、さらに好ましくは150〜200℃で乾燥すればよい。なお、「乾燥温度」とは、乾燥手段における熱媒の温度であり、マイクロ波を用いて乾燥する場合などのように熱媒温度が規定できない場合には、乾燥対象である吸水性樹脂の温度で規定する。乾燥温度が70℃以上であれば、乾燥時間が必要以上に長くなることが防止される。また、乾燥温度が250℃以下であれば、乾燥時の吸水性樹脂の劣化が防止される。乾燥時間は適宜設定され、通常は1分以上5時間以下であり、好ましくは10分以上2時間以下である。
重合工程によって得られた塊状の含水ゲル状架橋重合体を粒子状にする目的で、上述した乾燥工程の前に、当該重合体を粉砕するゲル細粒化工程を行ってもよい。粒子状の含水ゲルとすることにより、ゲルの表面積が大きくなるため、上述した乾燥工程が円滑に進行しうる。粉砕は、例えばローラー型カッターや、ギロチンカッター、カッターミル、スライサー、ロールカッター、シュレッダー、ハサミなどの各種の切断手段を単独でまたは適宜組み合わせて行うことができ、特に限定されることはない。
(粉砕工程)
また、好ましい形態においては、乾燥工程後にさらに粉砕工程、分級工程を行う。粉砕工程は、乾燥工程で得られた乾燥物を粉砕機で粉砕し粒子状にする工程である。この粉砕工程で用いられる粉砕機としては、例えば、粉体工学便覧(粉体工学会編、初版)の表1.10で分類されている粉砕機種名のうちでも、剪断粗砕機、衝撃破砕機、高速回転式粉砕機に分類され、切断、剪断、衝撃、摩擦といった粉砕機構の1つ以上の機構を有するものが好ましく使用でき、それら機種に該当する粉砕機の中でも切断、剪断機構が主機構である粉砕機が特に好ましく使用できる。例えば、ロールミル、ナイフミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミルなどが挙げられ、粉砕機自体の内壁面を加熱する手段を備えていることが好ましい。
(分級工程)
分級工程は、粉砕工程で得られた乾燥物粉末を連続的に分級する工程である。分級工程は、特に制限されないが、篩分級(金属篩、ステンレス鋼製)によることが好ましい。また、好ましくは、目的とする物性および粒度を達成するため、分級工程は複数枚の篩を同時に使用し、また、分級工程は後述する表面処理工程の前、さらには前後の2ヶ所以上で行われることが好ましい。連続篩分級工程は、篩を加熱または保温しながら行うことが好ましい。
(2)表面処理工程
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、吸水性樹脂を表面処理する工程(表面処理工程)を含む。本発明において表面処理とは、吸水性樹脂の表面または表面近傍の領域が、化学的あるいは物理的に修飾されていることを意味する。ここで、化学的修飾とは、何らかの化学結合を伴った修飾の状態を意味し、物理的修飾とは化学的な結合を伴わない物理的な被覆・付着を意味する。また、「表面近傍」とは、通常、数10μm以下の厚みの表層の部分または全体の1/10以下の厚みの表層の部分を意味するが、この厚みは目的に応じて適宜決定される。表面処理の形態としては、例えば、吸水性樹脂(ベースポリマー)の表面架橋、孔の形成、親水化、疎水化などが挙げられ、好ましくは表面架橋である。本発明において、「表面架橋」とは、吸水性樹脂表面の架橋密度を増大させることを意味する。なお、表面架橋は、表面架橋工程後の吸水性樹脂(ベースポリマー)の自由膨潤倍率(含水率補正後の値)の減少により確認されうる。
通常、表面処理工程においては、表面処理剤を用いて吸水性樹脂の表面処理を行う。本明細書において、「表面処理剤」とは、吸水性樹脂の表面を改質(表面処理)する目的で添加される化合物を意味し、後述する表面架橋剤のように吸水性樹脂の表面に化学的に作用するもののみならず、ラジカル重合性化合物や通液性向上剤等のような化合物を包含する。
表面処理工程に使用される吸水性樹脂としては上述した吸水性樹脂(ベースポリマー)の製造方法により製造されたものを用いることができるが、これらに限定されるわけではなく、他の方法で調製されたものであってもよい。
(含水率)
表面処理工程に供される吸水性樹脂の含水率は特に制限されないが、表面処理工程前の吸水性樹脂の含水率は1〜60質量%程度とすることができる。吸水性樹脂の含水率が1質量%以上であれば、表面処理工程において吸水性樹脂の表面が効率的に改質され、加圧下吸収倍率や通液性を所望の程度まで向上させるのに必要な加熱処理の時間を短縮させうる。一方、吸水性樹脂の含水率が60質量%以下であれば、表面処理工程後の加熱工程において必要とされるエネルギーが過度に増大することが防止される。本発明では従来に比べて比較的高い含水率の吸水性樹脂に対して表面処理を行う。表面架橋などの表面処理は、通常、均一な架橋構造を導入するために攪拌下で行うことが多いが、表面処理される吸水性樹脂の含水率が大きい場合には、水がクッション機能(緩衝機能)を発揮し、表面架橋により吸水性樹脂が受ける物理的ダメージを低減することができる。かような観点から吸水性樹脂の含水率は、好ましくは3〜60質量%であり、より好ましくは5〜60質量%であり、さらに好ましくは5〜40質量%であり、特に好ましくは7〜30質量%であり、最も好ましくは8〜20質量%である。
なお、本発明において、「表面処理工程前の吸水性樹脂の含水率」とは、実質的に吸水性樹脂に表面処理が施される直前の吸水性樹脂の含水率を意味する。また、後述する「表面処理工程後の吸水性樹脂の含水率」も同様に、実質的に吸水性樹脂に表面処理が施された直後の吸水性樹脂の含水率を意味するものとする。例えば、後述するように、表面処理工程が表面架橋剤などを含む処理液との混合処理および加熱処理を経て進行する場合においては、加熱処理において表面処理(表面架橋)が進行する。したがって、表面処理工程前(後)の吸水性樹脂の含水率は加熱処理直前(直後)の含水率を意味する。「表面処理工程前の吸水性樹脂の含水率」とは、加熱処理前の含水率を意味し、「表面処理工程後の含水率」とは、加熱処理後の含水率を意味する。あるいは、表面処理工程が吸水性樹脂とラジカル重合性化合物を含む処理液との混合処理、および活性エネルギー線の照射および/または加熱処理を経て進行する場合においては、活性エネルギー線の照射および/または加熱処理において表面処理が進行する。したがって、「表面処理工程前の吸水性樹脂の含水率」とは、活性エネルギー線の照射および/または加熱処理前の含水率を意味し、「表面処理工程後の含水率」とは、活性エネルギー線の照射および/または加熱処理後の含水率を意味する。また、工業的な製造設備においては、表面処理反応を行う反応装置に入る際の吸水性樹脂の含水率が「表面処理工程前の含水率」に相当し、表面処理反応を行う反応装置から出る吸水性樹脂の含水率が「表面処理工程後の含水率」に相当する。
含水率の調整方法としては、例えば、吸水性樹脂の含水率が上述した範囲内の値となるように、水を添加して水溶液の濃度を調節すればよい。また、重合工程において得られた含水ゲル状架橋重合体を適宜乾燥させて当該重合体における含水率を1〜60質量%程度に調節することで、水の添加に代えることも可能である。
(粒度分布)
表面処理工程で使用される吸水性樹脂の形状は、粉末状であることが好ましい。より好ましくは150μm以上850μm未満(ふるい分級で規定)の範囲の粒径の粒子を90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%含む粉末状吸水性樹脂である。850μm以上の粒径を有する吸水性樹脂が10質量%未満であると、オムツのバックシートの破損が防止されうる点で好ましい。一方、150μm未満の粒径を有する吸水性樹脂が10質量%未満であると、微粉の飛散や製造時の配管の閉塞が防止されうる点で好ましい。また、重量平均粒径(D50)は、好ましくは150〜850μmであり、より好ましくは200〜600μmであり、さらに好ましくは300〜500μmである。重量平均粒径が150μm以上であれば、安全衛生上の観点から好ましい。一方、重量平均粒径が850μm以下であれば、オムツ装着時の肌触りが良好となる点で好ましい。また、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.23〜0.45であり、より好ましくは0.25〜0.40である。なお、重量平均粒径や粒度分布の対数標準偏差(σζ)の数値としては、後述する実施例に記載の方法により測定された値を採用するものとする。
(中和率)
表面処理工程で使用される吸水性樹脂は、酸基を含有しかつ所定の中和率(全酸基中の中和された酸基のモル%)を有するものであることが好ましい。該酸基としては、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などが挙げられる。この際、得られる吸水性樹脂の中和率は、好ましくは25〜100モル%であり、より好ましくは50〜90モル%であり、さらに好ましくは50〜80モル%であり、特に好ましくは60〜75モル%である。吸水性樹脂の中和率は、予め中和率を調整した単量体を重合することによって調整してもあるいは、例えば、酸重合後中和法(例えば、米国特許第6187872号)などによって、一旦低位の中和率を有する重合体を製造した後に当該重合体の中和率を所望の中和率になるように調整してもよい。
(a)ラジカル重合性化合物の重合による表面処理
本発明の一実施形態において、表面処理工程は、吸水性樹脂とラジカル重合性化合物を含む処理液とを混合する工程(混合工程)、および前記ラジカル重合性化合物を重合する工程(重合工程)を含む。本実施形態においては、通常、重合工程で得られた吸水性樹脂(ベースポリマー)を、ラジカル重合性化合物および水を含む水溶液(以下、「処理液」とも称する)と混合して、吸水性樹脂組成物を得る。そして、当該ラジカル重合性化合物を重合することにより、吸水性樹脂が表面処理されるのである。以下、本実施形態の表面処理工程における混合工程および重合工程について詳しく説明する。
(a−1)混合工程
本実施形態の表面処理方法では、混合工程において、吸水性樹脂と、ラジカル重合性化合物を含む処理液とを混合して吸水性樹脂組成物を得る。具体的には、ラジカル重合性化合物を水に溶解させた水溶液(処理液)の状態で吸水性樹脂と混合して吸水性樹脂組成物を得る。好ましくは、ラジカル重合性化合物を水に溶解させ、ラジカル重合性化合物を、疎水性有機溶媒の非存在下で、水溶液の形態で使用する。かような形態によれば、ラジカル重合性化合物が均一に吸水性樹脂の表面に分散されるため好ましい。後述する本実施形態の重合工程における反応系には、吸水性樹脂とともに水が存在することが必須であるが、ラジカル重合性化合物を水溶液の形態で吸水性樹脂と混合する上記形態によれば、ラジカル重合開始剤だけでなく水をも同時に反応系に添加することができる。その結果、表面処理に要する操作が簡略化されうる。なお、ラジカル重合性化合物を吸水性樹脂に直接混合する形態を採用してもよく、ラジカル重合性化合物と吸水性樹脂とを混合した後に、得られた混合物を水と混合してももちろんよい。
(ラジカル重合性化合物)
ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合による重合が可能な化合物を意味し、具体的には、例えば、上記の「吸水性樹脂」の欄において吸水性樹脂の製造に用いられるエチレン性不飽和単量体(単官能ラジカル重合性化合物)や内部架橋剤(多官能ラジカル重合性化合物)の例として挙げた化合物が好ましく用いられうる。好ましい形態においては、製造の簡便さの観点から、吸水性樹脂の製造時にエチレン性不飽和単量体および内部架橋剤として用いられた化合物が、本工程におけるラジカル重合性化合物として用いられる。なお、ラジカル重合性化合物としては、例えば単官能ラジカル重合性化合物および多官能ラジカル重合性化合物のいずれか一方のみが用いられてもよいし、これらの双方が併用されてもよい。また、ラジカル重合性化合物としては、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
好ましい形態においては、ラジカル重合性化合物は、単官能ラジカル重合性化合物および多官能ラジカル重合性化合物を含む。多官能ラジカル重合性化合物を併用することにより加圧下吸収倍率および通液性をより向上せしめることができる。
単官能ラジカル重合性化合物は、酸基を含有する単量体であることが好ましい。ラジカル重合性化合物の中でも酸基を含有する化合物(以下、単に「酸基含有ラジカル重合性化合物」とも称する)は、吸水特性の点で非常に優れる。該酸基としては、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸および/またはその塩が挙げられる。中でも、吸水特性の点で、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸がより好ましく、(メタ)アクリル酸がさらにより好ましく、アクリル酸が特に好ましい。アクリル酸の割合は全単量体の好ましくは50〜100モル%、さらに好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。酸基含有ラジカル重合性化合物は単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物で使用されてもよい。
酸基含有ラジカル重合性化合物が中和されている場合(塩の形態の場合)、当該化合物はアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩から選ばれる1価塩であることが好ましい。中でも、より好ましくはアルカリ金属塩であり、特に好ましくは、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩から選ばれる塩である。
酸基含有ラジカル重合性化合物の中和率は好ましくは0〜60モル%である。中和率がかような範囲にあると、後述する重合工程におけるラジカル重合性化合物の重合反応において反応速度が向上し、吸水特性が優れた吸水性樹脂を低温、短時間で得ることができる。従来は、中和率が、本発明の範囲よりも高いものであった。これは、吸水倍率の低下や表面処理後に残存するラジカル重合性化合物による臭気が懸念されたためである。しかしながら、従来の懸念に反して敢えて従来用いられていたラジカル重合性化合物の中和率よりも低い中和率である酸基含有ラジカル重合性化合物を用いると、意外にも表面処理が速やかに行われ、しかも得られる吸水性樹脂の各物性は、維持されることがわかった。酸基含有ラジカル重合性化合物の中和率は、より好ましくは0〜50モル%であり、さらに好ましくは0〜40モル%であり、特に好ましくは0〜30モル%であり、一層好ましくは0〜15モル%であり、最も好ましくは0〜10モル%である。上記範囲であると、従来の表面処理時間が数時間単位であったのに対して、表面処理時間が数十分程度にまで、好ましくは数分程度にまで大幅に短縮され、例えば商業スケールの1000kg/hrの大規模生産時(好ましくは連続生産時)には大きな経済効果をもたらす。
また、酸基含有ラジカル重合性化合物の中和率は、ベースポリマーとしての吸水性樹脂の中和率と同じであってもよいし、異なっていてもよいが、ベースポリマーとしての吸水性樹脂の中和率より低いことが好ましい。ここで、酸基含有ラジカル重合性化合物と吸水性樹脂との中和率の関係は、上記関係を満たす限り特に制限されない。ただし、ベースポリマーとしての吸水性樹脂の中和率に対して、混合する酸基含有ラジカル重合性化合物の中和率が0〜80モル%の数値割合であることが好ましく、0〜60モル%がより好ましく、0〜40モル%がさらに好ましく、0〜20モル%が特に好ましく、0〜10モル%が最も特に好ましい。なお、「酸基含有ラジカル重合性化合物の中和率」とは、酸基含有ラジカル重合性化合物の全酸基に対する中和された酸基の比率を指す。「酸基含有ラジカル重合性化合物の全酸基」および「中和された酸基」は、酸基含有ラジカル重合性化合物が2種以上である場合、それぞれ各酸基含有ラジカル重合性化合物中の酸基および中和された酸基の合計を指す。例えば、酸基含有ラジカル重合性化合物として、アクリル酸とアクリル酸ナトリウムとを1:1のモル比で用いた場合には、酸基含有ラジカル重合性化合物の中和率は50モル%である。
酸基含有ラジカル重合性化合物以外の単官能ラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。かような単官能ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等のノニオン性親水基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、等のアミノ基含有不飽和単量体やそれらの4級化物;等が挙げられる。このような場合の単官能ラジカル重合性化合物の量は、所望の性質によって適宜選択できるが、ラジカル重合性化合物の100質量%に対して、好ましくは0〜100質量%、より好ましくは1〜50質量%であり、さらに好ましくは2〜20質量%であり、特に好ましくは3〜10質量%である。
多官能ラジカル重合性化合物としては、特に制限されないが、例えば、吸水性樹脂の製造で使用される内部架橋剤として例示した単量体のうち、2個以上の重合性不飽和基を有する単量体(架橋性不飽和単量体)が好ましく挙げられる。架橋性不飽和単量体としては、平均エチレンオキサイド数が2〜50のポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルエチルコハク酸、エトキシ化グリセリントリアクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、グリセリンアクリレートメタクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートなどが好ましく使用され、グリセリンアクリレートメタクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートがより好ましく使用される。多官能ラジカル重合性化合物が吸水性樹脂表面において単官能ラジカル重合性化合物と効率よく重合するためには、吸水性樹脂との混合工程における多官能ラジカル重合性化合物および単官能ラジカル重合性化合物の吸水性樹脂への拡散挙動が類似していることが望ましい。このためには多官能ラジカル重合性化合物が、分子量や親水性の面で、用いる単官能ラジカル重合性化合物と類似していることが望ましい。用いる架橋性不飽和単量体の量は、所望の性質によって適宜選択できるが、ラジカル重合性化合物の100質量%に対して、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、最も好ましくは0.5〜5質量%である。
なお、かような形態において用いられる単官能ラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性化合物との使用量のモル比は、吸水性樹脂の製造時におけるエチレン性不飽和単量体と内部架橋剤とのモル比と同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、吸水性樹脂製造時の組成と比較して、多官能ラジカル重合性化合物を多めに用いるとよい。多官能ラジカル重合性化合物の使用量は単官能ラジカル重合性化合物の全量に対して好ましくは0.001〜100モル%であり、より好ましくは0.01〜50モル%であり、更に好ましくは0.05〜30モル%であり、特に好ましくは0.1〜20モル%であり、最も好ましくは0.2〜10モル%である。かような形態によれば、吸水性樹脂表面の架橋密度を効率的に向上させるという点で有利である。
混合工程において吸水性樹脂と混合されるラジカル重合性化合物の量は、吸水性樹脂100重量部(固形分100質量%に換算したもの)に対し、好ましくは0.1〜50重量部であり、より好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜15重量部、最も好ましくは3〜10重量部である。ラジカル重合性化合物の量が0.1質量%以上であれば、吸水性樹脂の加圧下吸収性能が十分な値に維持されうる。一方、ラジカル重合性化合物の量が50質量%以下であれば、表面処理された吸水性樹脂の吸収倍率の低下が防止されうる。
混合工程において吸水性樹脂と混合される水の量は、吸水性樹脂100重量部(固形分100質量%に換算したもの)に対し、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは4〜20重量部、最も好ましくは5〜10重量部である。水をかような範囲で混合すると、後述する重合工程における重合反応の速度が高まり、また重合工程後の加熱工程で多くのエネルギーを必要とせず、さらに吸水性樹脂が分解するおそれが低いため、好ましい。
なお、吸水性樹脂とラジカル重合性化合物を含む処理液とを含む吸水性樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、水および/または親水性溶媒のほか、他の溶媒や他の成分(例えば、ラジカル重合開始剤や後述する混合助剤など)を含んでいてもよい。
(ラジカル重合開始剤)
吸水性樹脂およびラジカル重合性化合物の混合工程において、好ましくはラジカル重合開始剤を添加する。ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、具体的には熱分解性ラジカル重合開始剤や光重合開始剤が挙げられる。
熱分解性ラジカル重合開始剤とは、加熱によりラジカルを発生する化合物であり、中でも10時間半減期温度が0℃以上120℃以下のものが好ましく、20℃以上100℃以下のものがより好ましく、活性エネルギー線を照射する温度条件等を考慮すると、40℃以上80℃以下のものが特に好ましい。10時間半減期温度が0℃(下限値)未満では、貯蔵時に不安定であり、120℃(上限値)を超えると化学的に安定過ぎて反応性が低くなる場合がある。
熱分解性ラジカル重合開始剤は、光重合開始剤として市販されている化合物と比べて比較的安価で、厳密な遮光が必ずしも必要でないため製造プロセス、製造装置を簡略化できる。代表的な熱分解性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−2(−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。中でも、10時間半減期温度が40〜80℃である、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、および2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−2(−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)などのアゾ化合物が好ましい。これらの中でも、特に過硫酸塩を使用すると、加圧下吸収倍率、通液性、自由膨潤倍率がいずれも優れる点で好ましい。過硫酸塩は1種類だけでなく対イオンの異なる2種類以上を併用できる。
本実施形態においては、油溶性のベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体などの光重合開始剤、また油溶性のケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシカルボネートなどの油溶性有機過酸化物を使用してもよい。かかる光重合開始剤は市販品でもよく、チバ・スペシャルティケミカルズの商品名イルガキュア(登録商標)184(ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)、イルガキュア(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)などが例示できる。使用される光重合開始剤は、吸水性樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部であることが好ましく、0.005〜0.5重量部であることがより好ましく、0.01〜0.1重量部であることがさらに好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、油溶性と水溶性のいずれも用いることができる。油溶性ラジカル重合開始剤は、水溶性ラジカル重合開始剤と比較して分解速度がpHやイオン強度の影響を受けにくいという特徴がある。しかし、吸水性樹脂は親水性なので、吸水性樹脂への浸透性を考慮すると、水溶性のラジカル重合開始剤を使用することがより好ましい。なお、水溶性とは、水(25℃)に1質量%以上溶解するものを指し、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上溶解するものである。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、好ましくは、過硫酸塩、過酸化水素、およびアゾ化合物からなる選択されるラジカル重合開始剤が挙げられる。具体的には、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−2(−イミダゾリン−2−イル)プロパン]2塩酸塩等の水溶性アゾ化合物等が挙げられる。これらの中でも、特に過硫酸塩を使用すると、表面処理後の吸水性樹脂の加圧下吸収倍率、通液性、自由膨潤倍率がいずれも優れる点で好ましい。
上記のラジカル重合開始剤に加えて、または上記のラジカル重合開始剤に代えて、過炭酸ナトリウムなどの過炭酸塩;過酢酸、過酢酸ナトリウムなどの過酢酸塩などを、さらに使用してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量に制限はないが、本発明では、吸水性樹脂100重量部に対し、0.01〜20重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜10重量部の範囲、さらに好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。ラジカル重合開始剤がかような範囲にあれば、吸水特性に優れる吸水性樹脂が得られるとともに、表面処理反応速度が向上するため、生産性に優れる。また、ラジカル重合開始剤は、1種単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
本実施形態で必要により熱分解性ラジカル重合開始剤と光重合開始剤などそれ以外のラジカル重合開始剤を併用する場合、後者の使用量は吸水性樹脂100重量部に対して0〜20重量部、好ましくは0〜15重量部、特には0〜10重量部であり、その使用比率は該熱分解性ラジカル重合開始剤よりも少ない量、例えば該熱分解性ラジカル重合開始剤の重量比の1/2以下、更には1/10以下、特には1/50以下である。
(混合条件)
上述した各成分(吸水性樹脂、ラジカル重合性化合物、水、必要に応じて、ラジカル重合開始剤、混合助剤)を混合する場合の混合条件は、特に制限されない。例えば、ラジカル重合性化合物および水(必要に応じてラジカル重合開始剤、混合助剤)を含む処理液を吸水性樹脂に噴霧または滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。吸水性樹脂は吸水特性を有するため、かような形態で混合することで、ラジカル重合性化合物やラジカル開始剤を吸水性樹脂の表面に均一に分散させ、吸水性樹脂と均一に混合することができる。噴霧する方法の場合には、噴霧される液滴の大きさは、平均粒径で0.1〜300μmの範囲内が好ましく、0.1〜200μmの範囲がより好ましい。
混合工程における混合温度は、0℃以上120℃未満、10〜100℃、20〜80℃、30〜70℃の順で好ましい。この際、混合温度が0℃以上であれば、水の結露による問題を抑制でき、安定に運転することができる。一方、120℃未満であれば、吸水性樹脂と表面処理剤とを均一に混合することができる。なお、混合工程を高温で行なう場合には、ラジカル重合開始剤が熱により少ない照射量でも作用でき、好ましい。このため、このような場合には、混合/照射系を密閉などすることにより水蒸気の過剰な漏れを抑えることが好ましい。また、混合工程前の吸水性樹脂及び水の温度もまた特に制限されないが、例えば、混合工程前の吸水性樹脂の温度は、0℃以上120℃未満、10〜100℃、20〜80℃、30〜70℃の順で好ましい。0℃以上であれば、水の結露による問題を抑制でき、安定に運転することができる。一方、120℃未満であれば、水が過度に蒸発することなく、吸水性樹脂との混合を良好に行うことができる。また、混合時間は均一な混合が実現される限り制限されない。具体的には、混合時間は、好ましくは0.1秒〜60分、より好ましくは1秒〜30分、更により好ましくは2秒〜20分、最も好ましくは5秒〜10分である。この際、0.1秒以上であれば、吸水性樹脂、水及びラジカル重合性化合物等が均一に混合されうる。逆に、混合時間が60分以下であれば、吸水性樹脂内部への過剰な水の浸透を防止し、表面処理を良好に進行させることができる。
また、混合手段は、吸水性樹脂組成物に含まれる各成分を均一にかつ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。かような混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、粉砕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、タービュライザー、バッチ式レディゲミキサー、連続式レディゲミキサー等が好適である。これらの中でも閉塞せずに安定的に連続運転できるという点から、連続式レディゲミキサー、タービュライザーが好ましい。
(a−2)重合工程
本実施形態では、ラジカル重合性化合物の重合工程において、吸水性樹脂に添加したラジカル重合性化合物を吸水性樹脂の表面もしくは表面近傍で重合する。ここで、「重合」とは、吸水性樹脂に対してラジカル重合性化合物が行なう全ての物理的または化学的作用を含む。
なお、本実施形態では、当該重合工程において吸水性樹脂が表面処理される。したがって、本実施形態において「表面処理の温度」とは重合工程における温度を意味する。例えば、後述する活性エネルギー線の照射および/または加熱により重合工程が行われる場合には、当該活性エネルギー線の照射および/または加熱の際の温度が「表面処理の温度」となる。
本実施形態において、ラジカル重合性化合物を重合する工程は、疎水性有機溶媒の非存在下において行われることが好ましい。ラジカル重合性化合物の重合工程において疎水性有機溶媒が存在すると、処理液の一部が吸水性樹脂に吸収されずに疎水性有機溶媒中に分散してしまい、表面処理が進行しにくくなるためである。
吸水性樹脂へのラジカル重合性化合物の重合方法は、特に制限されない。好ましくは、ラジカル重合性化合物の重合工程は、上記混合工程で得られた混合物(吸水性樹脂組成物)に活性エネルギー線を照射する工程、および/または上記混合工程で得られた混合物(吸水性樹脂組成物)を加熱する工程を含む。詳細には、吸水性樹脂に混合したラジカル重合性化合物を、活性エネルギー線の照射および/または加熱といったラジカル発生手段を用いて、好ましくは吸水性樹脂の表面および/またはその近傍で重合する。
上記重合により、吸水性樹脂の表面近傍が改質され、加圧下吸収倍率、通液性など吸水性樹脂の実使用時に望まれる特性が高くなる。以下、混合物(吸水性樹脂組成物)に活性エネルギー線を照射する工程、および混合物を加熱する工程について説明する。ただし、本実施形態は、下記形態に限定されない。
(a−2−1)活性エネルギー線の照射
本実施形態では、ラジカル重合性化合物の存在と活性エネルギー線の照射とによって、吸水性樹脂の表面処理を行うことができ、吸水特性に優れる吸水性樹脂を得ることができる。このような表面処理により吸水性樹脂の表面が改質されると考えられる。
活性エネルギー線の照射は、吸水性樹脂、水、ラジカル重合性化合物および必要であればラジカル重合開始剤の混合中に行なってもよく、これらの2つ以上を混合した後に照射してもよい。しかしながら、均一な表面処理を行える点で、好ましくは、吸水性樹脂、水、ラジカル重合性化合物および必要であればラジカル重合開始剤を含む吸水性樹脂組成物を得た後、得られた吸水性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射する。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、ガンマー線の1種または2種以上が挙げられる。好ましくは、紫外線、電子線である。活性エネルギー線の人体への影響を考慮すると、紫外線がより好ましく、更に好ましくは波長300nm以下、特に好ましくは波長180〜290nmの紫外線である。照射条件は、紫外線を用いる場合には、好ましくは、照射強度が3〜1000mW/cm、照射量が0.1〜100J/cmである。
紫外線を照射する装置としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を例示することができる。紫外線が照射される限り、好ましくは300nm以下の紫外線が照射される限り、他の放射線や波長を含んでもよく、その手法は特に限定されるものではない。なお、電子線を用いる場合には、好ましくは加速電圧を50〜800kV、吸収線量が0.1〜100Mradとする。活性エネルギー線を照射する時間は、処理する吸水性樹脂の量に依存するが、後述する実施例に記載の方法の場合、好ましくは0.1分以上60分未満でよく、より好ましくは0.5分以上40分以下、さらに好ましくは0.5分以上30分以下、特に好ましくは1分以上20分以下である。従来の、表面架橋剤を使用する場合には60分を越えることもあるなど、同一架橋密度で比較すると、表面処理時間を短縮することができる。
活性エネルギー線を照射して表面処理する際には、加温する必要はない。ただし、該活性エネルギー線の照射を、加熱下で行なうこともできる。これによって、吸水特性に優れる吸水性樹脂が得られる。加熱温度は、好ましくは0℃以上120℃未満、より好ましくは50℃以上120℃未満、さらに好ましくは50〜100℃、特に好ましくは50〜95℃、最も好ましくは50〜90℃の範囲である。なお、活性エネルギー線を照射すると輻射熱が発生する場合がある。この場合には、活性エネルギー線の照射が加熱下に行なわれている。本実施形態では、活性エネルギー線を照射して表面処理を行うため、加熱は補助的なものであり、したがって、従来の表面処理温度よりも処理温度を低く設定することができる。なお、加熱する方法としては、活性エネルギー線照射装置内に加熱された気体を導入する方法、活性エネルギー線照射装置の周りをジャケット等で加熱する方法、活性エネルギー照射線を照射する際の輻射熱により加熱する方法、予め加熱された吸水性樹脂に活性エネルギー照射線を照射する方法が挙げられる。
活性エネルギー線の照射の際には、吸水性樹脂を撹拌することが好ましい。撹拌によってラジカル重合開始剤と吸水性樹脂との混合物(吸水性樹脂組成物)に、活性エネルギー線を均一に照射することができる。好ましくは均一な攪拌を実現するために、5〜1000rpmの条件で攪拌を行う。活性エネルギー線の照射の際に吸水性樹脂を撹拌できる装置としては、振動型混合機、振動フィダー、リボン型混合機、円錐型リボン型混合機、スクリュー型混合押出機、気流型混合機、バッチ式ニーダー、連続式ニーダー、パドル型混合機、高速流動式混合機、浮上流動式混合機、バッチ式レディゲミキサー、連続式レディゲミキサー等が挙げられる。
また、筒状または箱状などの形状を有する装置中で吸水性樹脂組成物を流動させ、当該装置の周囲から活性エネルギー線を照射してもよい。この際、吸水性樹脂組成物を流動させるためには、粉体の空気輸送に用いられるように空気などの気体の圧力を利用してもよい。空気を利用する場合には、吸水性樹脂組成物の乾燥を防ぐために空気を加湿することが好ましい。活性エネルギー線の照射は、多方向から行うと短時間で均一に表面処理することができる。なお、上記装置を構成する材料は、吸水性樹脂組成物への活性エネルギー線の照射を阻害しない材料であれば特に制限されないが、例えば、石英ガラスなどが例示される。
一般に、ラジカルを活性種とする反応は、酸素によって阻害されることが知られている。しかし、本実施形態の製造方法においては、系中に酸素が存在していても表面処理された吸水性樹脂の物性は低下しなかった。このことから、活性エネルギー線の照射の際には、雰囲気を不活性雰囲気にすることを必須としない。
(a−2−2)加熱
上述した通り、吸水性樹脂に対して混合するラジカル重合性化合物を加熱により重合することができる。重合を加熱単独で行う場合、活性エネルギー線の照射装置を別途設けることが不要となり、製造装置の設計面において優れる。また、低コストで、かつ安全な手法により、得られる表面処理された吸水性樹脂の吸水特性(特に、加圧下吸収倍率・通液性)を向上させることが可能となる。
具体的には、まず、上記混合工程において、吸水性樹脂を、ラジカル重合性化合物、水、および必要に応じてラジカル重合開始剤を含む水溶液(処理液)と混合して、混合物である吸水性樹脂組成物を得る。そして、当該吸水性樹脂組成物に加熱処理を施す。これにより、吸水性樹脂の表面が改質されると推測される。ただし、かような形態のみに本発明の技術的範囲が制限されることはなく、加熱処理を施しながらこれらを吸水性樹脂(ベースポリマー)に添加してもよいなど、吸水性樹脂組成物を構成する成分の添加順序や、各成分の添加と加熱処理とのタイミングに特に制限はない。また、吸水性樹脂組成物は、上述した活性エネルギー線の照射時と同様の条件で調製すればよく、ラジカル重合開始剤は必須成分ではない。
加熱処理の温度は、好ましくは50℃以上120℃未満、より好ましくは50〜100℃であり、さらに好ましくは60〜100℃、特に好ましくは70〜100℃である。加熱処理の温度が50℃以上であれば、効率的に表面処理が進行する。一方、加熱処理の温度が100℃以下であれば、熱による吸水性樹脂の劣化が防止されうる。このように吸水性樹脂を加熱することで、低コストで、かつ安全な手法により、吸水特性(特に、加圧下吸収倍率・通液性)に優れる表面処理された吸水性樹脂を製造することが可能となる。
加熱処理時の雰囲気の具体的な条件について特に制限はないが、比較的高湿度の雰囲気下において加熱を行うことが好ましい。具体的には、飽和水蒸気中および/または過熱水蒸気中で加熱を行うことが好ましい。100℃以上の温度で加熱する場合の雰囲気は過熱水蒸気で満たされていることが好ましく、過熱水蒸気を用いて直接吸水性樹脂を加熱することがより好ましい。また、加熱処理時の雰囲気の圧力は、減圧・常圧・加圧のいずれでもよく、特に制限されないが、好ましくは1013〜43030hPaであり、より好ましくは1013〜14784hPaであり、さらに好ましくは1013〜10498hPaであり、特に好ましくは1013〜4906hPaである。さらに、雰囲気の相対湿度は、好ましくは50〜100%RHであり、より好ましくは70〜100%RHであり、さらに好ましくは90〜100%RHであり、特に好ましくは95〜100%RHであり、最も好ましくは100%RH(飽和水蒸気)である。また、加熱処理時の雰囲気中の酸素濃度は、好ましくは0〜25体積%であり、より好ましくは0〜15体積%であり、さらに好ましくは0〜10体積%であり、さらにより好ましくは0〜5体積%であり、特に好ましくは0〜1体積%であり、最も好ましくは0〜0.5体積%である。このように雰囲気中の酸素濃度が比較的低濃度に調節されると、加熱時の吸水性樹脂の酸化劣化が防止されうるため、好ましい。
加熱処理を行う際の加熱時間も特に制限されないが、好ましくは1〜90分間であり、より好ましくは2〜60分間であり、さらに好ましくは3〜40分間、特に好ましくは5〜30分である。加熱時間が1分間以上であれば、吸水性樹脂の表面が改質され、一方、加熱時間が90分間以下であれば、加熱による吸水性樹脂の劣化が防止されうる。
加熱処理により吸水性樹脂を表面処理する場合の加熱処理に用いられる装置に特に制限はなく、公知の乾燥機が用いられうる。例えば、伝導伝熱型、輻射伝熱型、熱風伝熱型、誘電加熱型の乾燥機が好ましく用いられ、具体的には、ベルト式、溝型撹拌式、流動層式、気流式、回転型、捏和型、赤外線型、電子線型の乾燥機が好ましく用いられうる。
加熱処理の際には、吸水性樹脂を撹拌することが好ましい。撹拌によってラジカル重合開始剤と吸水性樹脂との混合物に、均一に熱を加えることができる。好ましくは均一な攪拌を実現するために、5〜1000rpmの条件で攪拌を行う。加熱処理の照射の際に吸水性樹脂を撹拌できる装置としては、振動型混合機、振動フィダー、リボン型混合機、円錐型リボン型混合機、スクリュー型混合押出機、気流型混合機、バッチ式ニーダー、連続式ニーダー、パドル型混合機、高速流動式混合機、浮上流動式混合機、バッチ式レディゲミキサー、連続式レディゲミキサー等が挙げられる。
なお、上記表面処理工程を行なう場合には、混合/表面処理系を密閉などすることにより水蒸気の過剰な漏れを抑えることが好ましい。かような形態によれば、簡便な方法により含水率を一定に維持した状態で吸水性樹脂が表面処理される。具体的には、ビニール袋などの密閉式容器中で混合および/または表面処理を行えばよい。
上記表面処理工程により、吸水性樹脂の表面が改質されうる。上記の表面処理工程は、一回でもよく、複数回行ってもよい。
(b)表面架橋剤を用いた表面処理
本発明の他の一実施形態において、表面処理工程は、表面架橋剤の存在下で行われる。表面処理工程において、表面架橋剤が存在すると、樹脂表面にある官能基と表面架橋剤とが化学的に強固に結合し、これによって安定な表面架橋構造を樹脂表面に導入することができる。また、表面架橋剤の鎖長を適宜選択することで表面架橋距離を容易に調整することができ、配合量を調整すれば架橋密度を制御することができる。その結果、吸水特性に優れる吸水性樹脂が製造されうる。
表面架橋剤を用いた表面架橋は、種々の手法で行うことができるが、通常、重合工程で得られた吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する工程(混合工程)と、混合により得られる吸水性樹脂組成物に加熱処理を施す工程(加熱工程)とを含む。かような形態は吸水性樹脂の表面に、より短時間で効率的に架橋構造が導入されうるという利点がある。以下、本実施形態の表面処理工程における混合工程および加熱工程について詳しく説明する。なお、本発明の技術的範囲は下記の形態のみに制限されるわけではなく、反応系に存在する各成分の添加順序や、各成分の添加と加熱処理とのタイミングに特に制限はない。例えば、加熱処理を施しながら表面架橋剤などの各成分を吸水性樹脂に添加してもよい。
(b−1)混合工程
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する方法としては、表面架橋剤を吸水性樹脂に直接混合する形態でもよいが、表面架橋剤を水および/または親水性有機溶媒に溶解させた水溶液(処理液)の状態で吸水性樹脂と混合する形態が好ましく採用される。以下に詳述するが、表面処理工程後の加熱工程は疎水性有機溶媒の非存在下で行うことが好ましい。このため、当該工程においても表面架橋剤を疎水性有機溶媒の非存在下で水溶液の形態で使用することが好ましい。吸水性樹脂は吸水特性を有するため、表面架橋剤を水溶液の形態で混合することで、表面架橋剤を吸水性樹脂の表面に均一に分散させ、吸水性樹脂と均一に混合することができる。
(表面架橋剤)
表面架橋剤としては、種々の有機架橋剤または無機架橋剤を例示することができるが、物性や取り扱い性の観点から、カルボキシル基と反応し得る架橋剤が好ましい。具体的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、モノ,ジまたはポリオキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、およびオキセタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、エポキシ化合物、多価アミン化合物、モノ,ジまたはポリオキサゾリジノン化合物がより好ましい。
具体的には、米国特許第6228930号、米国特許第6071976号、米国特許第6254990号等に例示されている化合物を挙げることができる。例えば、モノ,ジ,トリ,テトラまたはポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物;2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン化合物;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート化合物;モノ,ジまたはポリオキセタンなどのオキセタン化合物;2−イミダゾリジノンのような環状尿素化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの表面架橋剤は単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂100重量部(質量部)に対して、0.001重量部〜10重量部の範囲内が好ましく、0.01重量部〜5重量部の範囲内がより好ましい。
水の使用量は、吸水性樹脂100重量部に対し、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。また、親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部の範囲である。親水性有機溶媒としては、後述する混合助剤として使用されうる親水性有機溶媒を好ましく使用することができる。
なお、吸水性樹脂と表面架橋剤を含む処理液とを含む吸水性樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、水および/または親水性溶媒のほか、他の溶媒や他の成分(例えば、後述する混合助剤など)を含んでいてもよい。
(混合条件)
上述した各成分(吸水性樹脂、表面架橋剤、必要に応じて、水、親水性有機溶媒、混合助剤)を混合する場合の混合条件は、特に制限されない。例えば、表面架橋剤を水および/または親水性有機溶媒と予め混合した溶液(処理液)を調製し、この処理液を吸水性樹脂に噴霧または滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。噴霧する方法の場合には、噴霧される液滴の大きさは、平均粒径で0.1〜300μmの範囲内が好ましく、0.1〜200μmの範囲がより好ましい。
混合工程における混合温度は、0℃以上120℃未満、10〜100℃、20〜80℃、30〜70℃の順で好ましい。この際、混合温度が0℃以上であれば、水の結露による問題を抑制でき、安定に運転することができる。一方、120℃未満であれば、吸水性樹脂と表面処理剤とを均一に混合することができる。また、混合時間は均一な混合が実現される限り制限されない。具体的には、混合時間は、好ましくは0.1秒〜60分、より好ましくは1秒〜30分、更により好ましくは2秒〜20分、最も好ましくは5秒〜10分である。この際、0.1秒以上であれば、吸水性樹脂、水及びラジカル重合性化合物等が均一に混合されうる。逆に、混合時間が60分以下であれば、吸水性樹脂内部への過剰な水の浸透を防止し、表面処理を良好に進行させることができる。
また、混合手段には、吸水性樹脂組成物に含まれる各成分を均一にかつ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。かような混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、粉砕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、タービュライザー、バッチ式レディゲミキサー、連続式レディゲミキサー等が好適である。これらの中でも混合性と処理量の点から連続式レディゲミキサー、シュギミキサー(高速攪拌型混合機)が好ましい。
(b−2)加熱工程
上述した各成分を含む吸水性樹脂組成物は、好ましくは加熱処理され、必要によりその後に冷却処理される。このように吸水性樹脂組成物を加熱することで、低コストで、かつ安全な手法により、吸水性樹脂が表面架橋され、吸水特性(特に、加圧下吸収倍率・通液性)に優れる表面処理された吸水性樹脂を製造することが可能となる。
なお、本実施形態では、当該加熱工程において吸水性樹脂の表面架橋反応が進行する。したがって、本実施形態において「表面処理の温度」とは加熱工程における温度を意味する。
加熱温度は、好ましくは50℃以上120℃未満、より好ましくは50〜100℃、さらに好ましくは60℃〜100℃、特に好ましくは70〜100℃である。50℃以上であれば表面処理を短時間で十分に進行させることができる。一方、120℃未満であれば吸水性樹脂の熱劣化を抑制しうる。加熱処理を行う際の加熱時間も特に制限されないが、好ましくは1〜90分間であり、より好ましくは2〜60分間であり、さらに好ましくは3〜60分間、特に好ましくは5〜30分である。加熱時間が1分間以上であれば、吸水性樹脂の表面に架橋構造が導入され、一方、加熱時間が90分間以下であれば、加熱による吸水性樹脂の劣化が防止されうる。
また、本実施形態の表面処理工程において、上述した加熱処理に加えて、放射線や電子線、紫外線、電磁線などの活性エネルギー線を照射する処理を併用してもよい。
加熱処理により吸水性樹脂を表面処理する場合の加熱処理に用いられる装置に特に制限はなく、公知の乾燥機が用いられうる。例えば、伝導伝熱型、輻射伝熱型、熱風伝熱型、誘電加熱型の乾燥機が好ましく用いられ、具体的には、ベルト式、溝型撹拌式、流動層式、気流式、回転型、捏和型、赤外線型、電子線型の乾燥機が好ましく用いられうる。
なお、上記表面処理工程を行なう場合には、混合/表面処理系を密閉などすることにより水蒸気の過剰な漏れを抑えることが好ましい。かような形態によれば、簡便な方法により含水率を一定に維持した状態で吸水性樹脂が表面処理される。具体的には、ビニール袋などの密閉式容器中で混合および/または表面処理を行えばよい。
上記表面処理工程により、吸水性樹脂の表面に架橋構造が導入されうる。上記の表面処理工程は、一回でもよく、複数回行ってもよい。
(c)混合助剤
上記表面処理工程においては、吸水性樹脂とともに表面処理剤(表面架橋剤やラジカル重合性化合物)が表面処理の反応系に存在するが、反応系に存在するこれらの混合性を向上させる目的で、反応系に混合助剤がさらに存在することが好ましい。「混合助剤」とは、ラジカル重合開始剤およびラジカル重合性化合物以外の水溶性または水分散性の化合物であり、吸水性樹脂の水による凝集を抑制し、水溶液と吸水性樹脂との混合性を向上できるものであれば特に制限されない。ただし、混合助剤として、水は含まない。混合助剤を添加することによって、吸水性樹脂の水による凝集が抑制され、水溶液と吸水性樹脂とが均一に混合される。その結果、後述するラジカル重合性化合物の重合処理などの表面処理が吸水性樹脂に対して均等になされ、吸水性樹脂全体を均一に表面処理することが可能となる。
混合助剤の具体例としては、例えば、界面活性剤、水溶性高分子、親水性有機溶媒、水溶性無機化合物、無機酸(塩)、および有機酸(塩)が挙げられる。なお、本明細書において、水溶性の化合物とは、室温で水100gに対する溶解度が1g以上、好ましくは10g以上のものをいう。水以外の混合助剤を添加することによって、吸水性樹脂の水による凝集を抑制して、水溶液と吸水性樹脂とが均一に混合できるため、次工程で活性エネルギー線照射処理及び加熱処理する際に、活性エネルギー線を吸水性樹脂に均等にかつまんべんなく照射することができ、吸水性樹脂全体を均一に表面処理することが可能になる。
界面活性剤としては、HLBが7以上の非イオン性界面活性剤またはアニオン系界面活性剤からなる群から選択される1種または2種以上の界面活性剤が挙げられる。例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアシルエステル、ショ糖脂肪酸エステル、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルポリオキシエチレンサルフェート塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が例示される。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく用いられうる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの数平均分子量は、好ましくは200〜100,000であり、より好ましくは500〜10,000である。混合助剤として用いられるポリオキシエチレンアルキルエーテルの数平均分子量が200以上であれば、混合助剤としての効果を効果的に得ることができる。一方、当該数平均分子量が100,000以下であれば、水への溶解度が十分に確保され、かつ、反応系としての溶液の粘度の上昇も抑制され、吸水性樹脂を含めた反応系の混合性が十分に確保されうる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、デンプン等を挙げることができる。中でも、ポリエチレングリコールが好ましい。これらの水溶性高分子の数平均分子量は、好ましくは200〜100,000であり、より好ましくは500〜10,000である。
親水性有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、アルコキシ(ポリ)エチレングリコール、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類;などが挙げられる。
水溶性無機化合物としては、塩化ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩、塩化アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、塩化カルシウム、アルコキシチタン、炭酸ジルコニウムアンモニウム、酢酸ジルコニウムなどの多価金属塩、および炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩などの非還元性アルカリ金属塩pH緩衝剤などが挙げられる。
無機酸(塩)としては、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、およびこれらの塩(例えば、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)が挙げられる。また、有機酸(塩)としては、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸およびこれらの塩(例えば、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)が例示される。
上記例示のうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(特に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)、ポリエチレングリコール、水溶性多価金属塩、塩化ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸および塩酸が、混合助剤として好ましく用いられる。
これらの混合助剤は、1種のみが単独で使用されてもよいし、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、混合助剤の添加量は、吸水性樹脂の水による凝集を抑制し、表面処理剤と吸水性樹脂との混合性を向上できる形態であれば特に制限されないが、例えば、吸水性樹脂の量(固形分換算で100質量%)に対して、好ましくは0.0001〜40質量%であり、より好ましくは0.001〜10質量%であり、特に好ましくは0.005〜5質量%であり、最も好ましくは0.01〜1質量%である。
混合助剤を使用する場合の、混合助剤の使用形態は特に制限されず、粉末の形態で使用されてもあるいは溶液中に溶解、分散若しくは懸濁させて使用してもよいが、好ましくは水溶液の形態で使用される。混合助剤の添加順序もまた特に制限されず、吸水性樹脂に予め混合助剤を加えた後、これに表面処理剤を含む処理液を添加して混合する方法、および混合助剤を処理液に溶解して吸水性樹脂と同時に混合する方法などのような方法も使用できる。
(d)表面処理された吸水性樹脂
上記表面処理工程を吸水性樹脂に行うことで、表面処理された吸水性樹脂を製造することができ、得られた吸水性樹脂の吸水特性が向上する。
(含水率)
表面処理工程後の吸水性樹脂の含水率は、好ましくは1〜60質量%であり、より好ましくは1〜50質量%であり、さらに好ましくは3〜40質量%であり、特に好ましくは5〜30質量%、最も好ましくは7〜20質量%である。また、表面処理工程前後での含水率の増加量[=(表面処理工程後の含水率)−(表面処理工程前の含水率)]は特に制限されないが、好ましくは−20〜40質量%であり、より好ましくは−10〜30質量%であり、さらに好ましくは−5〜20質量%であり、特に好ましくは−3〜10質量%である。表面処理された吸水性樹脂の含水率や含水率の増加量が上記範囲の下限値以上であれば、本発明の作用効果が十分に発揮され、加圧下吸収倍率や通液性等の吸水性能に優れた表面処理された吸水性樹脂が得られる。一方、これらの値が上記範囲の上限値以下であれば、含水率の増加に伴う吸水特性の低下が防止されうる。
(粒度分布)
表面処理工程によって得られる吸水性樹脂の形状は、処理前の吸水性樹脂の形状などの処理条件や、処理後の造粒・成形などによって適宜調整できるが、一般には粉末状である。かかる粉末は、重量平均粒子径(ふるい分級で規定)が10〜1,000μm、好ましくは200〜600μmの粉末状であり、好ましくは150〜850μmの含有量が、吸水性樹脂に対して、90〜100重量%、更に好ましくは95〜100重量%である。また、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.23〜0.45であり、より好ましくは0.25〜0.35である。かような形態によれば、オムツ中で用いた際に優れた吸水特性を発揮するため好ましい。
本発明のラジカル重合性化合物の重合による表面処理工程では、吸水性樹脂の製造時に発生する微粉を造粒する効果がある。このため、表面処理前の吸水性樹脂に微粉が含まれていても、得られる表面処理された吸水性樹脂に含まれる微粉量を低減させることができる。得られる表面処理された吸水性樹脂の粒度分布は表面処理前の吸水性樹脂と比較して高粒度側へシフトする。ただし、シフトする割合は、ラジカル重合開始剤の種類や量、さらにこれらを水溶液とした場合は水の比率、活性エネルギー線の照射条件、照射時の流動のさせ方などにより変化する。
(自由膨潤倍率GV)
表面処理工程後の自由膨潤倍率(GV)(含水率補正後)は、好ましくは5〜1000(g/g)であり、より好ましくは10〜500(g/g)であり、さらに好ましくは15〜100(g/g)、特に好ましくは18〜70(g/g)、最も好ましくは20〜50(g/g)である。
(食塩水流れ誘導性SFC)
表面処理工程後の食塩水流れ誘導性(SFC)は、好ましくは10〜500(単位:10−7・cm・s・g−1)であり、より好ましくは20〜400(単位:10−7・cm・s・g−1)であり、さらに好ましくは30〜300(単位:10−7・cm・s・g−1)であり、特に好ましくは50〜200(単位:10−7・cm・s・g−1)である。かような範囲にあれば、十分な通液性が確保される。
(加圧下吸収倍率AAP)
表面処理工程後の加圧下吸収倍率(AAP)(含水率補正後)は、好ましくは10g/g以上、より好ましくは15g/g以上、さらに好ましくは18g/g以上、特に好ましくは20g/g以上、最も好ましくは22g/g以上である。また、上限値は特に制限されないが、50g/g以下が好ましい。
表面処理された吸水性樹脂の特性(粒度分布、自由膨潤倍率、食塩水流れ誘導性、加圧下吸収倍率)が上記範囲に含まれていれば、本発明の作用効果が十分に発揮され、加圧下吸収倍率や通液性等の吸水性能に優れた表面処理された吸水性樹脂が得られる。
上記の表面処理工程により、吸水性樹脂においては、内部より表面近傍の架橋密度が高い、好ましくは吸水性樹脂表面全体にわたって均一かつ架橋密度の高い表面架橋が形成され、得られる吸水性樹脂は優れた特性を有するが、当該表面処理工程の後に後述する加熱工程(空焼き工程)を行うことで吸水性樹脂に望まれる特性(特に、自由膨潤倍率、食塩水流れ誘導性)を飛躍的に向上させることができる。
(3)加熱工程(空焼き工程)
加熱工程は上記表面処理工程で得られる吸水性樹脂を加熱する工程である。本発明では従来注目されてこなかった「表面処理後の加熱が吸水性樹脂の吸水特性に与える影響」に着目し、表面架橋などの表面処理の後に吸水性樹脂を所定の条件で加熱を行うことで、吸水特性(特に、自由膨潤倍率、通液性)が向上した吸水性樹脂が得られうることを見出した。以下、表面処理後の加熱工程を表面処理工程における加熱工程と区別する意味で、「空焼き工程」とも称する。本工程では、上記表面処理工程で得た吸水性樹脂を加熱することにより、表面処理された吸水性樹脂が加熱乾燥される。
本発明において、空焼き工程は表面処理剤を添加することなく行われる。すなわち、空焼き工程は、ラジカル重合性化合物や表面架橋剤が実質的に不存在である環境下で行われる。このため、空焼き工程では実質的な表面架橋反応は進行しない。したがって、本発明において空焼き工程は上述した表面処理工程における活性エネルギー線の照射や加熱、表面架橋剤の存在下における加熱工程、従来の表面架橋における温度調節工程(昇温過程など)などとは明確に区別される。ただし、反応系には上記表面処理工程の後に微量の表面架橋剤や単量体などの表面処理剤が残存しうるが、吸水性樹脂の吸水特性に影響を及ぼす量を含まないことが好ましい。具体的には、「表面処理剤が実質的に不存在である」とは、表面処理剤の反応性にもよるが表面処理工程の後に反応系に存在する未反応の表面処理剤の量が、前記吸水性樹脂の量(100質量部)に対して好ましくは0〜1000質量ppmであり、より好ましくは0〜700質量ppmであり、さらに好ましくは0〜500質量ppmであり、特に好ましくは0〜100質量ppmであり、最も好ましくは0〜10質量ppmである。また、「反応系に存在する未反応の前記表面処理剤」とは、空焼き工程に供される吸水性樹脂中に存在する未反応の表面処理剤を意味する。かような未反応の表面処理剤の量は後述する実施例の方法により測定された値を採用するものとする。表面処理剤の量が上記の上限値を超える場合には、表面処理(表面架橋反応)が進行し、吸水性樹脂の吸水特性が低下するおそれがあるため好ましくない。なお、上述した表面処理工程において表面処理剤を十分に反応させ、表面処理工程後に吸水性樹脂に残存する未反応の表面処理剤の量が上記範囲であることが好ましいが、表面処理工程後においても反応系に未反応の表面処理剤が過剰に存在する場合には、例えば、溶媒洗浄などの方法によって表面の余分な表面架橋剤を取り除けばよい。
空焼き工程は、疎水性有機溶媒の量が吸水性樹脂の量(100質量部)に対して好ましくは0〜20質量%であり、特に好ましくは疎水性有機溶媒の非存在下(0〜1000質量ppm)において行われるのが好ましい。疎水性有機溶媒が存在すると、加熱の効率が低下する可能性があるためである。なお、本発明において「疎水性有機溶媒」とは、水(20℃)への溶解度が5g/100g以下の有機溶媒を意味する。疎水性有機溶媒としては、例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。
(含水率)
本発明においては、空焼き工程前の吸水性樹脂の含水率は、好ましくは1〜60質量%であり、より好ましくは1〜50質量%であり、さらに好ましくは3〜40質量%であり、特に好ましくは5〜30質量%、最も好ましくは7〜20質量%である。
(粒度分布)
空焼き工程に供する吸水性樹脂の形状は、粉末状であることが好ましく、より好ましくは150μm以上850μm未満(ふるい分級で規定)の範囲の粒径の粒子を90〜100重量%、特に好ましくは95〜100重量%含む粉末状吸水性樹脂である。850μm以上の粒径を有する吸水性樹脂が10重量%未満である場合には、均一な加熱が達成され、かつ、オムツのバックシートの破損が防止されるため好ましい。一方、150μm未満の粒径を有する吸水性樹脂が10重量%未満である場合には、微粉の飛散や製造時における配管の閉塞が防止されうるため好ましい。また、重量平均粒子径(ふるい分級で規定)が好ましくは150〜850μm、より好ましくは200〜800μm、特に好ましくは300〜600μmである。重量平均粒径が150μm以上であれば、安全衛生上の観点から好ましい。なお、上記の重量平均粒子径に近い粒度を持つ粒子の集合体の中に粒度が850μm以上の吸水性樹脂粒子が存在すると、大きい粒子は固形分上昇が遅いので、粒子間で不均一な乾燥となりやすい。そのため、粒度が850μm以上の粒子の含有量は、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%であることが望ましい。また、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.23〜0.45であり、より好ましくは0.25〜0.40である。
従来、吸水性樹脂の表面架橋を形成すると、圧力をかけた状態でも吸液を維持できる能力、すなわち加圧下吸収倍率(AAP)および通液性(SFC)は向上するが、自由膨潤倍率(GV)は低下することが知られている。本発明の方法によれば、ラジカル重合性化合物の重合などの表面処理工程後に空焼き工程を行うことで、加圧下吸収倍率(AAP)および通液性(SFC)を一定水準に維持もしくは向上させつつ、自由膨潤倍率(GV)、通液性(SFC)を共に向上させることができる。
(自由膨潤倍率GV)
本発明の一形態において、空焼き工程を当該空焼き工程の前後で前記吸水性樹脂の自由膨潤倍率(GV)(含水率補正後)が1(g/g)以上増加するように行う。自由膨潤倍率(GV)の増加量はより好ましくは、1〜20(g/g)であり、さらに好ましくは2〜15(g/g)であり、特に好ましくは3〜10(g/g)である。空焼き工程による吸水性樹脂の自由膨潤倍率(GV)の増加量が上記範囲の下限値を下回る場合には、本発明の作用効果が十分に発揮できないおそれがある。一方、空焼きによる吸水性樹脂の自由膨潤倍率の増加量は大きいほど好ましいが、自由膨潤倍率を一定以上に高めると、加圧下吸収倍率(AAP)や通液性(SFC)の低下を招くおそれがある。かような観点から、自由膨潤倍率の増加量は上記範囲にあることが好ましい。
本発明の他の一形態において、空焼き工程を、吸水性樹脂の自由膨潤倍率(GV)(含水率補正後)が空焼き工程前に比して1(g/g)以上増加した後、その増加後の値から1(g/g)以上減少するまで行う。より具体的には、自由膨潤倍率(GV)が、空焼き工程開始時の自由膨潤倍率(GV)値に比べて、好ましくは1〜20(g/g)、より好ましくは2〜10(g/g)、さらに好ましくは3〜8(g/g)が好ましく、特に好ましくは4〜7(g/g)増加した後に、その増加後の自由膨潤倍率(GV)値に比べて、好ましくは1〜10(g/g)、より好ましくは1〜5(g/g)、さらに好ましくは2〜4(g/g)減少するように、空焼き工程を行うことが好ましい。空焼き工程における、自由膨潤倍率(GV)の経時的変化を上記範囲に制御することで、さらなる吸収特性の改善を達成する。特に、自由膨潤倍率(GV)を一旦増加させた後に減少させることにより、食塩水流れ誘導性(SFC)を顕著に向上させることができる。自由膨潤倍率(GV)の経時変化を制御する方法としては、例えば、自由膨潤倍率(GV)の値を加熱時間に対してプロットすることで、加熱時間とGV値との関係を予め把握し、GVが上記のように変化する条件を適用すればよい。
なお、本発明において、空焼き工程前(空焼き工程開始時)の自由膨潤倍率(GV)は好ましくは10〜50(g/g)であり、より好ましくは15〜45(g/g)であり、さらに好ましくは18〜40(g/g)であり、特に好ましくは20〜35(g/g)である。空焼き工程前の自由膨潤倍率が上記範囲の下限値以上であれば、空焼きの後にオムツなどの衛生材料の使用に適した自由膨潤倍率(GV)が達成されうる。一方、空焼き工程前の自由膨潤倍率が上記範囲の上限値以下であれば加圧下吸収倍率(AAP)や通液性(SFC)の低下が抑制されうる。
(食塩水流れ誘導性SFC)
本発明の一実施形態において、空焼き工程は、当該空焼き工程の前後で前記吸水性樹脂の食塩水流れ誘導性(SFC)が5(単位:10−7・cm・s・g−1)以上増加するように行われる。食塩水流れ誘導性(SFC)の増加量は、より好ましくは10(単位:10−7・cm・s・g−1)以上であり、さらに好ましくは15(単位:10−7・cm・s・g−1)以上であり、特に好ましくは20(単位:10−7・cm・s・g−1)以上であり、最も好ましくは30(単位:10−7・cm・s・g−1)以上である。空焼きによる吸水性樹脂の食塩水流れ誘導性(SFC)の増加量が上記範囲の下限値を下回る場合には、本発明の作用効果が十分に発揮できないおそれがある。一方、空焼きによる吸水性樹脂の食塩水流れ誘導性は高いほど好ましいが、食塩水流れ誘導性を一定以上に高めると、大幅なコストアップや自由膨潤倍率(GV)や加圧下吸収倍率(AAP)の低下を招くおそれがある。このため、食塩水流れ誘導性(SFC)の増加量は200(単位:10−7・cm・s・g−1)以下が好ましい。
より具体的には、空焼き前の食塩水流れ誘導性(SFC)は好ましくは10〜500(単位:10−7・cm・s・g−1)であり、より好ましくは20〜400(単位:10−7・cm・s・g−1)であり、さらに好ましくは30〜300(単位:10−7・cm・s・g−1)であり、特に好ましくは50〜200(単位:10−7・cm・s・g−1)である。空焼き前の食塩水流れ誘導性が上記範囲の下限値以上であれば空焼き後にオムツなどの衛生材料の使用に適した食塩水流れ誘導性(SFC)が達成されうる。一方、空焼き前の食塩水流れ誘導性が上記範囲の上限値以下であれば自由膨潤倍率(GV)や加圧下吸収倍率(AAP)の低下が抑制されうる。なお、食塩水流れ誘導性(SFC)の値としては、後述する実施例に記載の方法により測定される値を採用するものとする。
(加圧下吸収倍率AAP)
空焼き工程における吸水性樹脂の加圧下吸収倍率(AAP)の増加量は、好ましくは0.5g/g以上、より好ましくは1.0g/g以上、さらに好ましくは2.0g/g以上であることが好ましい。加圧下吸水倍率の値は、実施例に記載の方法で測定される値(含水率補正後の値)を採用するものとする。
(加熱条件)
加熱方法としては、加熱乾燥、温風乾燥、熱風乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。乾燥を温風乾燥または熱風乾燥にて行う場合には、使用する乾燥方法として静置状態で乾燥を行う方法、攪拌状態で乾燥を行う方法、振動状態で乾燥を行う方法、流動状態で乾燥を行う方法、気流で乾燥を行う方法等がある。中でも、吸水性樹脂への物理的ダメージを低減する目的で、流動状態や静置状態で温風乾燥または熱風乾燥を行うことが好ましい。
加熱の装置としては、吸水性樹脂粒子を加熱することのできる通常の乾燥機であればよく、回分式あるいは連続式でも、直接加熱式および/または間接加熱式でも、公知の加熱方法のいずれを用いてもよい。例えば、ベルト式静置乾燥機、通気竪型乾燥機、円筒攪拌乾燥機、溝型攪拌乾燥機、回転乾燥機、水蒸気管付き回転乾燥機、通気回転乾燥機、流動層乾燥機、円錐型乾燥機、振動流動層乾燥機、気流乾燥機等が挙げられる。中でも、流動層乾燥機を用いることが望ましい。流動層乾燥機を用いた場合には、攪拌羽根などを用いた攪拌装置を伴う乾燥に比べて穏和な条件で乾燥が行われる。このため、攪拌による物理的ダメージを防ぎつつ均一な乾燥を行うことが可能となる。さらに好ましくは、吸水性樹脂粒子を効率よく加熱するために伝熱管を用いることである。工業的には、複数の乾燥室を持つ連続流動層乾燥機を用いるのが望ましい。また、流動層乾燥を用いることにより気流分級を行うことができる。すなわち、乾燥に用いられる熱風の風量を調節することにより、製品として好ましい粒度以下の微粒子を風で飛ばし、粒度制御を行うことができる。また、加熱時の雰囲気は、吸水性樹脂の製造時における乾燥工程と同様、吸水性樹脂の着色を抑えるため、酸素分圧を低くすることが望ましい。
加熱温度は、好ましくは120℃以上250℃以下であり、より好ましくは150℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは160℃以上220℃以下であり、最も好ましくは170℃以上200℃以下の範囲である。120℃以上であれば、熱効率が良好となり、乾燥速度が遅くなるため乾燥機が大きくなるという問題を解決でき、また、吸水性樹脂の吸水特性を有意に向上させることができる。一方、250℃以下であれば、吸水性樹脂の熱劣化が低減される。
加熱時間は、吸水性樹脂の吸水特性(特に、自由膨潤倍率および食塩水流れ誘導性)や含水率が所望の値となるように設定されるが、乾燥方法により熱のかかり方が不均一な場合や、連続式加熱乾燥機において粒子間に滞留時間のばらつきが大きい場合には、さらに加熱を続けることにより、粒子間で物性の揃った吸水性樹脂を得ることができる。
例えば、表面処理工程において加熱処理を行わなかった場合、本工程における加熱時間は、好ましくは5〜600分間であり、より好ましくは10〜300分間であり、さらに好ましくは15〜180分間であり、特に好ましくは20〜120分間である。
空焼き工程において加熱を行う際、表面架橋剤等の表面処理剤は添加されないが、加熱の均一性を向上させる目的、またはプロセスダメージによる微粉の増加を防ぐ目的で、流動補助剤等の添加物を加えてもよい。使用される流動補助剤の例としては、界面活性剤、金属石鹸などが挙げられる。また、流動補助剤の使用量は吸水性樹脂(100質量部)あたり、3質量%以下程度である。
加熱後の吸水性樹脂粒子は高温となっているので、適宜冷却室を設けて冷風や冷却伝面などの冷媒と接触させる等により冷却してもよい。また、空焼き工程の後に分級工程を経てもよく、空焼き工程の前に分級が行われなかった場合や、空焼き工程で吸水性樹脂がプロセスダメージを受け、新たに微粉が発生した場合等に有効である。
空焼き工程において吸水性樹脂の物性が向上するメカニズムは不明であるが、空焼きによって、吸水性樹脂内部の架橋構造の変化が生じ、これにより飛躍的な物性向上を達成すると推定される。そして、本発明における空焼き工程は、大きな攪拌を伴わない穏和な条件で行われるので、吸水性樹脂の内部の架橋構造に変化が生じた場合でも粒子形状が維持されると考えられる。また、空焼き工程では、表面処理剤が実質的に存在しないため、加熱時の過度な表面架橋密度の増加による物性悪化が避けられて、目的とする物性へのコントロールが容易となる。なお、上述したメカニズムはあくまでも推測に基づくものに過ぎず、実際は異なるメカニズムによって本発明の作用効果が得られていたとしても、本発明の技術的範囲は何ら影響を受けることはない。
したがって、本発明では表面処理工程後に、表面処理とは異なる穏和な条件で加熱される点を特徴とし、特許文献4のように表面架橋の昇温過程を制御する場合、特許文献5のように2度の表面架橋を行う場合、または特許文献9のように単純な加熱処理を行う場合には本発明で達成されるような物性が得られない。
(空焼きされた吸水性樹脂の特性)
本発明では、上述した処理を吸水性樹脂に対して施すことで、吸水性樹脂に望まれる特性、例えば、吸収倍率、吸収速度、ゲル強度、吸引力を極めて高いレベルとすることができる。特に、本発明の方法によれば、加圧下吸収倍率、自由膨潤倍率、食塩水流れ誘導性のいずれにも優れる吸水性樹脂を得ることができる。
(含水率)
空焼き工程後の吸水性樹脂の含水率は、好ましくは0質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上4質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上3質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以上2質量%以下、最も好ましくは0.2質量%以上1質量%以下である。空焼き工程後の吸水性樹脂の含水率が5質量%以下であれば、本発明の作用効果が十分に発揮され、加圧下吸収倍率や通液性等の吸水性能に優れた表面処理された吸水性樹脂が得られる。なお、下限として0%は、長時間を要し、吸水性樹脂の劣化を伴う場合があるため、下限は0.1%程度でよい。
(粒度分布)
空焼き工程後に得られる吸水性樹脂の形状は、処理前の吸水性樹脂の形状などの処理条件や、処理後の造粒・成形などによって適宜調整できるが、一般には粉末状である。かかる粉末は、重量平均粒子径(ふるい分級で規定)が、通常10〜1000μm、好ましくは200〜600μmであり、好ましくは150〜850μmの含有量が、吸水性樹脂に対して、90〜100重量%、更に好ましくは95〜100重量%である。また、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.23〜0.45であり、より好ましくは0.25〜0.35である。
(自由膨潤倍率GV)
空焼き後の自由膨潤倍率(GV)(含水率補正後の値)は好ましくは10〜60(g/g)であり、より好ましくは15〜50(g/g)であり、さらに好ましくは20〜40(g/g)である。空焼き後の自由膨潤倍率が60g/g以下であれば、十分なゲル強度が確保され、通液性に優れる吸水性樹脂が得られる。一方、10g/g以上であればオムツなどの衛生材料の使用に十分適する吸水性樹脂が得られる。
(食塩水流れ誘導性SFC)
空焼き後の食塩水流れ誘導性(SFC)は好ましくは10〜500(単位:10−7・cm・s・g−1)であり、より好ましくは20〜400(単位:10−7・cm・s・g−1)であり、さらに好ましくは30〜300(単位:10−7・cm・s・g−1)であり、特に好ましくは50〜200(単位:10−7・cm・s・g−1)である。空焼き後の食塩水流れ誘導性(SFC)の値が10(単位:10−7・cm・s・g−1)以上であれば、十分な通液性が確保され、吸収体に液を十分に行き渡らせることができ、使用時における尿等の排泄液を確実に吸収することができる。空焼き後の食塩水流れ誘導性(SFC)の値が500(単位:10−7・cm・s・g−1)以下であれば、自由膨潤倍率(GV)低下によるオムツの大幅なコストアップを防止することができる。
(加圧下吸収倍率AAP)
空焼き後の吸水性樹脂の加圧下吸収倍率(AAP)(含水率補正後の値)は、好ましくは20g/g以上、より好ましくは21g/g以上、さらに好ましくは22g/g以上、特に好ましくは23g/g以上である。上限は特に問わないが、製造の困難によるコストアップから40g/g程度で十分である場合もある。
(4)通液性向上剤
本発明の製造方法では、表面処理工程および空焼き工程の後、得られた吸水性樹脂に対して、通液性向上剤を混合する工程をさらに含むことが好ましい。通液性向上剤を添加することにより、上記吸水性樹脂は、通液性向上剤層を有することになる。これにより、得られた吸水性樹脂は、さらに通液性(液透過性)に優れる。
通液性向上剤としては、ポリアミン、多価金属塩、水不溶性微粒子が例示でき、米国特許第7179862号、欧州特許第1165631号明細書、米国特許第7157141号明細書、米国特許第6831142号明細書、米国特許出願公開第2004/176557号明細書、米国特許出願公開第2006/204755号明細書、米国特許出願公開第2006/73969号明細書、特許出願公開第2007/106013号明細書に記載の技術が適用される。なお、ポリアミンや水不溶性微粒子は、国際公開第2006/082188号パンフレット、国際公開第2006/082189号パンフレット、国際公開第2006/082197号パンフレットなどに例示される。これらの中でも、多価金属塩を用いることが好ましく、水溶性多価金属塩または水不溶性多価金属塩のいずれを使用してもよいが、水溶性多価金属塩を使用することがより好ましい。水溶性多価金属塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、塩化カルシウム、アルコキシチタン、炭酸ジルコニウムアンモニウム、および酢酸ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。また、水不溶性多価金属塩としては、水酸化アルミニウム、乳酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、炭酸バリウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化第一鉄、リン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、炭酸第一鉄、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、塩化第一銅、水酸化マンガン、硫酸マンガン、水酸化ニッケル、リン酸ニッケル、硫酸鉛、酸化亜鉛、リン酸鉛、水酸化亜鉛、ピロリン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
通液性向上剤の使用量は、吸水性樹脂100重量部に対して、0.001重量部〜5重量部の範囲内が好ましく、0.01重量部〜1重量部の範囲内がより好ましい。通液性向上剤の使用量が、上記範囲内であれば、吸水性樹脂の加圧下吸収倍率(AAP)、生理食塩水流れ誘導性(SFC)を向上させることができる。
上記通液性向上剤は、水に溶けるものは水溶液で、溶けないものは粉末やスラリーで添加することができる。例えば、必要により水および/または親水性有機溶媒と予め混合した後、吸水性樹脂に噴霧あるいは滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。
本発明により得られる吸水性樹脂は、吸収倍率、通液性、吸収速度、ゲル強度、吸引力など吸水性樹脂に望まれる特性(特に、食塩水流れ誘導性、自由膨潤倍率、加圧下吸収倍率)が極めて高いレベルにある。したがって、本発明によって得られる吸水性樹脂は、生理綿、紙おむつ、生理用品、失禁パッド、またはその他の体液を吸収する衛生材料、医療用品等の医療分野、土壌保水剤等の農園芸用分野、鮮度保持等の食品分野、結露防止材や保冷材等の産業分野等の、様々な分野に好適に用いられ、目的や機能に応じてシリカ、ゼオライト、酸化防止剤、界面活性剤、シリコーンオイル、キレート化剤、消臭剤、香料、薬剤、植物生育助剤、殺菌剤、防かび剤、発泡剤、顔料、染料、繊維状物(親水性短繊維、パルプ、合成繊維など)、肥料等の他の添加剤が添加されうる。他の添加剤の添加量は、種々の用途での製品全重量に対して、好ましくは0.001〜10質量%程度である。
以下、実施例および比較例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されない。以下では、便宜上、「質量%」を単に「%」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、特に条件を記載しない限り、室温(23±1℃)、湿度30%RHの条件下で作業を行った。実施例および比較例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
(1)粒度分布:質量平均粒径(D50)および粒度分布の対数標準偏差(σζ)
吸水性樹脂10.0gを、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるい(THE IIDA TESTING SIEVE:径8cm)に仕込み、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES−65型、SER.No.0501)により、5分間、分級を行ない、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした。そして、R=50重量%に相当する粒子径を重量平均粒径(D50)として読み取った。
また、R=84.1重量%およびR=15.9重量%に対応する粒径をそれぞれX1およびX2として、粒度分布の対数標準偏差(σζ)を下記式に従って算出した。すなわち、σζの値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
Figure 0005528714
(2)含水率
底面の直径が4cm、高さ2cmのアルミ製カップに、吸水性樹脂1.00gをアルミニウム製カップの底面に均一に広げ、この吸水性樹脂入りアルミニウム製カップの重量W1(g)を測定した。これを180℃に調温した乾燥機(EYELA、東京理化器械株式会社製定温恒温乾燥器(ナチュラルオーブン)NDO−450)中に3時間放置し、熱風乾燥機から取り出した直後(少なくとも1分以内)の吸水性樹脂入りアルミニウム製カップの重量W2(g)を測定した。そして、これらW1、W2から、次式に従って含水率(質量%)を算出した。
Figure 0005528714
(3)自由膨潤倍率(GV)(遠心分離機保持容量(CRC))
吸水性樹脂0.200gを不織布製の袋(南国パルプ工業株式会社製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22、大きさ:85mm×60mmに均一に入れてヒートシールした後、室温にて大過剰(約500mL)の生理食塩水中に浸漬させた。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン製、型式:H−122)を用いてedena ABSORBENCY II 441.1−99に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の重量W3(g)を測定した。また、吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、その際の重量W4(g)を測定した。そして、これらW3およびW4の値から、下記数式に従って自由膨潤倍率(GV)(g/g)を算出した。
Figure 0005528714
(5)食塩水流れ誘導性(SFC)
食塩水流れ誘導性(SFC)は吸水性樹脂の膨潤時の液透過性を示す値である。SFCの値が大きいほど高い液透過性を有することを示している。
SFCの測定は、米国特許第5849405号明細書記載の食塩水流れ誘導性(SFC)試験に準じて行った。
具体的には、まず、図1に示す装置を準備した。図1を参照して当該装置を説明すると、タンク31には、ガラス管32が挿入されており、ガラス管32の下端は、0.69質量%塩化ナトリウム水溶液33をセル41中の膨潤ゲル44の底部から、5cm上の高さに維持できるように配置した。タンク31中の0.69質量%塩化ナトリウム水溶液33は、L字管34を通じてセル41へ供給された。L字管34にはコック35が設置されていた。セル41の下には、通過した液を捕集する捕集容器48が配置されており、捕集容器48は上皿天秤49の上に設置されていた。セル41の内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)42が設置されていた。ピストン46の下部には液が通過するのに十分な穴47があり、底部には吸水性樹脂あるいはその膨潤ゲルが、穴47へ入り込まないように透過性の良いガラスフィルター45が取り付けてあった。セル41は、セルを乗せるための台の上に置かれ、セルと接する台の面は、液の透過を妨げないステンレス製金網43の上に設置した。
この装置を用い、容器40に均一に入れた吸水性樹脂(0.900g)を人工尿中で0.3psi(2.07kPa)の加圧下、60分間膨潤させ、ゲル44のゲル層の高さを記録した。なお、この人工尿は、塩化カルシウムの2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウムの6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、リン酸2水素アンモニウム0.85g、リン酸水素2アンモニウム0.15g、および、純水994.25gを加えたものである。次に、0.3psi(2.07kPa)の加圧下、0.69質量%塩化ナトリウム水溶液33を、一定の静水圧でタンク31から膨潤したゲル層を通液させた。このSFCの測定は室温(20〜25℃)で行った。コンピュータおよび天秤を用い、時間の関数として20秒間隔でゲル層を通過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル44(の主に粒子間)を通過する流速Fs(T)は増加質量(g)を増加時間(s)で割ることにより[g/s]の単位で決定した。一定の静水圧および安定した流速が得られた時間をTsとし、Tsと10分間の間に得たデータだけを流速計算に使用して、Tsと10分間の間に得た流速を使用してFs(T=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。Fs(T=0)はFs(T)対時間の最小2乗法の結果をT=0に外挿することにより計算した。
Figure 0005528714
(5)加圧下吸収倍率(AAP)
内径60mmのプラスチックの支持円筒の底に、ステンレス製400メッシュの金網(目開きの大きさ38μm)を融着させ、室温(25±2℃)、湿度50RH%の条件下で、金網上に吸水性樹脂0.900gを均一に散布し、その上に、外径が60mmよりわずかに小さく、吸水性樹脂に対して4.83kPaの荷重を均一に加えることができ、支持円筒の内壁面との間に隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないよう調整された、ピストンと荷重とをこの順に載置して、この測定装置一式の重量W5(g)を測定した。
直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mmのガラスフィルター(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100〜120μm)を置き、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)(20〜25℃)をガラスフィルターの上面と同じレベルになるように加えた。その上に、直径90mmの濾紙1枚(アドバンテック東洋株式会社製、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
測定装置一式を前記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で所定時間吸収させた。この吸収時間は、測定開始から算出して、1時間とした。具体的には、1時間後、測定装置一式を持ち上げ、その重量W6(g)を測定した。この質量測定はできるだけすばやく、かつ振動を与えないように行わなくてはならない。そして、W5、W6から、次式によって加圧下吸収倍率(AAP)(g/g)を算出した。
Figure 0005528714
(6)溶出可溶分の測定
250mL容量の蓋付きプラスチック容器(直径6cm×高さ9cm)に、生理食塩水184.3gを量り取り、その中に吸水性樹脂1.00gを加え、16時間、直径8mm、長さ25mmの磁気撹拌子を用いて500rpmの回転数で撹拌することにより、樹脂中の溶出可溶分を抽出する。この抽出液を濾紙(アドバンテック東洋株式会社製、品名:JIS P 3801、No.2、厚さ:0.26mm、保留粒子径:5μm)1枚を用いて濾過し、得られた濾液の50.0gを量り取り、測定溶液とする。
はじめに生理食塩水のみを、まず、0.1N水酸化ナトリウム水溶液でpH10まで滴定を行い、その後、0.1N塩酸でpH2.7まで滴定して空滴定量(それぞれ、[bNaOH]、[bHCl]と称する)を得る。同様の滴定操作を測定溶液についても行うことにより、滴定量(それぞれ、[NaOH]、[HCl]と称する)を得る。
例えば、既知量のアクリル酸およびそのナトリウム塩からなる吸水性樹脂の場合、当該単量体の平均分子量および上記操作により得られた滴定量をもとに、吸水性樹脂中の溶出可溶分を下記数式に従って算出する。未知量の場合は滴定により下記数式に従って得られる中和率を用いて単量体の平均分子量を算出する。
Figure 0005528714
Figure 0005528714
(7)反応系に存在する未反応の表面処理剤の量の測定
表面処理剤としてのラジカル重合性化合物の残存量(質量ppm対吸水性樹脂)は、上記(6)において得られた濾液を、UV検出器を備えた液体クロマトグラフィーで分析することで測定できる。なお、ベースポリマーとしての吸水性樹脂中の残存単量体量も同様の方法で測定できる。
また、表面処理剤としての表面架橋剤の残存量(質量ppm対吸水性樹脂)は、例えば米国特許第5981070号明細書、特開2003−313446号公報に記載の方法を用いて測定できる。
(製造例1)
48.5質量%水酸化ナトリウム水溶液を13.3g/秒、アクリル酸を45.5g/秒、および水を19.8g/秒の混合溶液を連続的に作製した。この混合溶液(流量:78.6g/秒)、48.5質量%水酸化ナトリウム水溶液(流量:23.3g/秒)、および20質量%ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)(流量:0.199g/秒)を連続的にミキサーに供給することによって、単量体水溶液(中和率:70.3モル%)を調整した。この際、単量体水溶液の温度は95〜100℃であった。
この調製された単量体水溶液(流量:102.1g/秒)に、さらに、46質量%ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム水溶液(流量:0.0278g/秒)および4.0質量%過硫酸ナトリウム水溶液(流量:0.635g/秒)を添加した。その後、得られた単量体水溶液を、7m/分の速度で走行するエンドレスベルト上に、連続的に供給した。ベルト上に連続的に供給された単量体水溶液は速やかに重合を開始した。これにより、帯状の含水ゲルシートを得た。
この含水ゲルシートを直径8mmのスクリーンを有するカッターミル(商品名:「RC450」、吉工製)を用いて連続的に粗解砕(細分化)し、約1〜3mmの大きさの粒子状含水架橋重合体(a)を得た。このとき、粒子状含水架橋重合体(a)の含水率は29.0質量%であった。
粒子状含水架橋重合体(a)を280kg/時の流量で、流動層乾燥機(商品名:「CT−FBD−0.91m2」、株式会社奈良機械製作所、流動床長さ800mm/流動床幅550mm=1.45)に連続的に投入して乾燥させた。なお、流動層の内部は、2枚の仕切り板で長さ方向を区切り、3室構成(長さ方向に約2:1:1)とした。熱風の温度は投入口に近い1室目で130℃、投入口から遠い2、3室目で190℃に設定した。乾燥機の熱風の風速は2.4m/秒とし、乾燥機の出口は流動部の上部および下部に設けており、粒子状含水架橋重合体(a)の滞留量は乾燥機の上部出口にある堰の高さにより制御した。乾燥中の流動層高は約900mm、粒子状含水架橋重合体(a)が乾燥機内を滞留する平均時間は約50分とした。
得られた乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き710μmの篩と目開きが150μmの篩とを用いて分級することにより、ベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(A)を得た。
得られたベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(A)の粒度分布を下記の表1に示し、各種評価結果を下記の表2に示す。
(製造例2)
20質量%ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)の流量を0.133g/秒に変更したこと以外は製造例1と同様にして、粒子状含水架橋重合体(b)および粒子状吸水性樹脂(B)を得た。粒子状含水架橋重合体(b)およびベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(B)の含水率はそれぞれ28.8質量%、9.2質量%であった。
得られたベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(B)の粒度分布を下記の表1に示し、各種評価結果を下記の表2に示す。
(製造例3)
20質量%ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)の流量を0.232g/秒に変更したこと以外は製造例1と同様にして、粒子状含水架橋重合体(c)およびベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(C)を得た。
粒子状含水架橋重合体(c)及びベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(C)の含水率はそれぞれ29.3質量%、9.6質量%であった。
得られたベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(C)の粒度分布を下記の表1に示し、各種評価結果を下記の表2に示す。
(製造例4)
20質量%ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)の流量を0.265g/秒に変更したこと以外は製造例1と同様にして、粒子状含水架橋重合体(d)及びベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(D)を得た。
粒子状含水架橋重合体(d)及びベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(D)の含水率はそれぞれ29.1質量%、9.6質量%であった。
得られたベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(D)の粒度分布を下記の表1に示し、各種評価結果を下記の表2に示す。
Figure 0005528714
Figure 0005528714
[ラジカル重合性化合物の重合による表面処理]
(実施例A1−1)
(1)混合工程
ベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(A)250gを5L レディゲミキサー(Loedige社製、型式M5R)に加え、300rpmで撹拌下、NKエステル701A(新中村化学株式会社製、グリセリンアクリレートメタクリレート)0.25g、アクリル酸10.0g、水17.5g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(数平均分子量 約2,000)0.025g、およびイルガキュア2959(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)0.025gを予め混合した処理液を室温で噴霧した。なお、処理液の噴霧には16秒かかった。処理液の噴霧開始から9分間、室温で撹拌混合を行った。なお、混合工程後の吸水性樹脂の含水率は15.0質量%であった。
(2)ラジカル重合性化合物の重合工程
処理液の噴霧開始から9分後、攪拌を一時停止した。開口部に厚さ3mmの石英製のガラス板を乗せた後、300rpmで撹拌を再開し(再開までの所要時間は1分間であった)、1kWメタルハライドランプ(ウシオ電機製、UVL−1500M2−N1)を取り付けた紫外線照射装置(同、UV−152/1MNSC3−AA06)を、ランプの中心と石英板との距離が8cmになるように設置して、室温で3分間紫外線を照射し(照度計:ウシオ電機株式会社製 紫外線積算光量計 UIT−150,受光器タイプ:UDV−S254、照射量:27J/cm、照明強度:150mW/cm)、粒子状吸水性樹脂に表面処理を施した。これにより、表面処理された吸水性樹脂(含水率:13.9質量%、残存アクリル酸量:360質量ppm)を得た。
(3)加熱工程(空焼き工程)
次に、紫外線照射後の表面処理された吸水性樹脂200gを、予め熱風温度を190℃に設定した流動層乾燥機(商品名:スプレードライヤー Pulvis GB−22、ヤマト製)に投入し、10分間加熱乾燥することにより加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−1)を得た。なお、この乾燥機の流動層部のガラスセルにはマントルヒーターを取り付け、予め200℃に設定しておいた。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−1)の各種評価結果を下記の表3に示す。なお、表3の「処理液」の欄における各成分の量は、ベースポリマーとしての吸水性樹脂(A)の量(500g)に対する質量%(wt%)である。
なお、下記表3および表4に示す「含水率補正後のGV」および「含水率補正後のAAP」は、以下に示す計算式によって算出した。ここで、下記式において、「含水率補正前のGV」とは、上記(2)の含水率を測定する前の吸水性樹脂の自由膨潤倍率(GV)であり、また、「含水率補正前のAAP」とは、上記(2)の含水率を測定する前の吸水性樹脂の加圧下吸収倍率(AAP)である。
Figure 0005528714
Figure 0005528714
(実施例A1−2)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を20分間としたこと以外は、実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−2)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−2)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A1−3)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を30分間としたこと以外は、実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−3)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−3)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A1−4)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を60分間としたこと以外は、実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−4)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−4)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A1−5)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を90分間としたこと以外は、実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−5)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−5)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A1−6)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を120分間としたこと以外は、実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−6)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−6)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A1−7)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を150分間としたこと以外は、実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−7)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−7)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A1−8)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を180分間としたこと以外は、実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−8)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−8)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A1−9)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を240分間としたこと以外は、実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−9)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A1−9)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(比較例A1)
表面処理工程後に加熱工程を行わないこと以外は、実施例A1−1と同様の手法により、比較吸水性樹脂(A1)を得た。得られた比較吸水性樹脂(A1)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A2−1)
ベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(B)250gを使用したこと以外は、上述した実施例A1−1と同様の手法により表面処理された吸水性樹脂(含水率:14.4質量%、残存アクリル酸量:420質量ppm)を得た。なお、処理液の混合(混合工程)後の吸水性樹脂の含水率は14.8質量%であった。
この表面処理された吸水性樹脂を用いたこと以外は、上述した実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−1)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−1)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A2−2)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を30分間としたこと以外は、実施例A2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−2)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−2)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A2−3)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を60分間としたこと以外は、実施例A2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−3)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−3)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A2−4)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を120分間としたこと以外は、実施例A2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−4)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−4)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A2−5)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を240分間としたこと以外は、実施例A2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−5)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A2−5)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(比較例A2)
表面処理工程後に加熱工程を行わないこと以外は、実施例A2−1と同様の手法により、比較吸水性樹脂(A2)を得た。
得られた比較吸水性樹脂(A2)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A3−1)
ベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(C)250gを使用したこと以外は、上述した実施例A1−1と同様の手法により表面処理された吸水性樹脂(含水率:14.5質量%、残存アクリル酸量:350質量ppm)を得た。なお、処理液の混合(混合工程)後の吸水性樹脂の含水率は15.4質量%であった。
この表面処理された吸水性樹脂を用いたこと以外は、上述した実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A3−1)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A3−1)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A3−2)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を30分間としたこと以外は、実施例A3−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A3−2)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A3−2)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A3−3)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を60分間としたこと以外は、実施例A3−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A3−3)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A3−3)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A3−4)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を120分間としたこと以外は、実施例A3−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A3−4)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A3−4)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(比較例A3)
表面処理工程後に加熱工程を行わないこと以外は、実施例A3−1と同様の手法により、比較吸水性樹脂(A3)を得た。
得られた比較吸水性樹脂(A3)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A4−1)
ベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(D)250gを使用したこと以外は、上述した実施例A1−1と同様の手法により表面処理された吸水性樹脂(含水率:14.2質量%、残存アクリル酸量:400質量ppm)を得た。なお、処理液の混合(混合工程)後の吸水性樹脂の含水率は15.5質量%であった。
この表面処理された吸水性樹脂を用いたこと以外は、上述した実施例A1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A4−1)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A4−1)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A4−2)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を30分間としたこと以外は、実施例A4−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A4−2)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A4−2)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A4−3)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を60分間としたこと以外は、実施例A4−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A4−3)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A4−3)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(実施例A4−4)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を120分間としたこと以外は、実施例A4−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(A4−4)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(A4−4)の各種評価結果を下記の表3に示す。
(比較例A4)
表面処理工程後に加熱工程を行わないこと以外は、実施例A4−1と同様の手法により、比較吸水性樹脂(A4)を得た。
得られた比較吸水性樹脂(A4)の各種評価結果を下記の表3に示す。
Figure 0005528714
本発明の吸水性樹脂(A1−1)〜(A4−4)は、比較的短時間で所望のGVおよびAAP値を満たす吸水性樹脂が得られた。
より詳細には、表3に示す結果から、加圧下吸収倍率(AAP)は加熱に伴い上昇したのちに、ほとんど一定の値となり、加圧下吸収倍率が高い値で維持されることが確認される。また、表面処理された吸水性樹脂の加熱とともに、GVは上昇し、その後低下することが確認される。一方、通液性(SFC)は加熱初期に低下するが、次第に上昇に転じることが確認される。
これらの知見に基づくと、所望の特性を有する吸水性樹脂を得ることができる。例えば、加熱時間を調整することで、AAPに加えてGVおよびSFCの両方が増加した吸水性樹脂を得ることができる。例えば、実施例(A1−5)〜(A1−8)、実施例(A2−5)では加熱工程によりAAP、GV、SFCの全てが向上した吸水性樹脂が得られた。
[表面架橋剤を用いた表面処理]
(実施例B1−1)
(1)表面処理工程
ベースポリマーとしての粒子状吸水性樹脂(A)500gを、25℃、湿度50%RH下で、5L レディゲミキサー(Loedige社製、型式M5R)に加え、300rpmで撹拌下、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX−810)0.5g(粒子状吸水性樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部)、水12.5g(粒子状吸水性樹脂(A)100質量部に対して2.5質量部)、およびイソプロパノール5g(粒子状吸水性樹脂(A)100質量部に対して1.0質量部)を予め混合した処理液を噴霧した。その後、室温で1分間撹拌混合を続けた後、攪拌を一時停止させ、得られた混合物をポリエチレン性ビニール袋の中に入れた。混合後の吸水性樹脂の含水率は11.3質量%であった。ビニール袋を密閉させた後、80℃で30分間加熱することにより、表面処理を行った。
上記処理により得られた吸水性樹脂をビニール袋から取り出し、目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで粉砕することにより、表面処理された吸水性樹脂(含水率:10.4質量%)を得た。
吸水性樹脂中に残存する未反応の表面架橋剤(エチレングリコールジグリシジルエーテル)の量は1質量ppm未満であった。
(2)加熱工程(空焼き工程)
次に、上記で得た表面処理された吸水性樹脂200gを、予め熱風温度を200℃に設定した流動層乾燥機(商品名:スプレードライヤー Pulvis GB−22、ヤマト科学社製)に投入し、10分間加熱乾燥することにより加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−1)を得た。なお、この乾燥機の流動層部のガラスセルにはマントルヒーターを取り付け、予め200℃に設定しておいた。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−1)の各種評価結果を下記の表4に示す。なお、表4の「処理液」の欄における各成分の量は、ベースポリマーとしての吸水性樹脂(A)の量(500g)に対する質量%(wt%)である。
(実施例B1−2)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を20分間としたこと以外は、上述した実施例B1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−2)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−2)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B1−3)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を40分間としたこと以外は、上述した実施例B1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−3)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−3)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B1−4)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を80分間としたこと以外は、上述した実施例B1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−4)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−4)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B1−5)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を100分間としたこと以外は、上述した実施例B1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−5)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−5)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B1−6)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を120分間としたこと以外は、上述した実施例B1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−6)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−6)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B1−7)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を180分間としたこと以外は、上述した実施例B1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−7)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B1−7)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(比較例B1)
表面処理工程後に加熱乾燥工程を行わないこと以外は、上述した実施例B1−1と同様の手法により、比較吸水性樹脂(B1)を得た。得られた比較吸水性樹脂(B1)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B2−1)
表面処理工程における処理液として、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX−810)0.5g(粒子状吸水性樹脂(A)100質量部に対して0.1質量部)、水12.5g(粒子状吸水性樹脂(A)100質量部に対して2.5質量部)、イソプロパノール5g(粒子状吸水性樹脂(A)100質量部に対して1.0質量部)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(MeOPEG2000)(数平均分子量約2,000)0.1g(粒子状吸水性樹脂(A)100質量部に対して0.02質量部)を予め混合した液を使用したこと以外は、上述した実施例B1−1と同様の手法により表面処理された吸水性樹脂(含水率:11.6質量%)を得た。なお、処理液の混合後の吸水性樹脂の含水率は12.0質量%であった。
この表面処理された吸水性樹脂を用いたこと以外は、上述した実施例B1−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−1)を得た。
得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−1)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B2−2)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を20分間としたこと以外は、上述した実施例B2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−2)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−2)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B2−3)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を40分間としたこと以外は、上述した実施例B2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−3)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−3)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B2−4)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を80分間としたこと以外は、上述した実施例B2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−4)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−4)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B2−5)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を120分間としたこと以外は、上述した実施例B2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−5)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−5)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B2−6)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を180分間としたこと以外は、上述した実施例B2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−6)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−6)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B2−7)
表面処理後の吸水性樹脂の流動層乾燥機中での加熱乾燥時間を240分間としたこと以外は、上述した実施例B2−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−7)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B2−7)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(比較例B2)
表面処理工程後に加熱乾燥工程を行わないこと以外は、上述した実施例B2−1と同様の手法により、比較吸水性樹脂(B2)を得た。得られた比較吸水性樹脂(B2)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B3−1)
上述した実施例B2−5と同様の手法により加熱乾燥された吸水性樹脂を得た。この加熱乾燥された吸水性樹脂100質量部に対して、多価金属塩としての硫酸アルミニウム水和物(13〜14水和物)1.0質量部を10分間均一に混合し、加熱乾燥された吸水性樹脂(B3−1)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B3−1)の各種評価結果を下記の表4に示す。
(実施例B3−2)
上述した実施例B2−6と同様の手法により加熱乾燥された吸水性樹脂を得た。この加熱乾燥された吸水性樹脂を用いること以外は実施例B3−1と同様の手法により、加熱乾燥された吸水性樹脂(B3−2)を得た。得られた加熱乾燥された吸水性樹脂(B3−2)の各種評価結果を下記の表4に示す。
Figure 0005528714
本発明の吸水性樹脂(B1−1)〜(B3−2)は、比較吸水性樹脂(B1)〜(B2)と比較して短時間で所望のGVおよびAAP値を満たす吸水性樹脂が得られた。
より詳細には、表4に示す結果から、加圧下吸収倍率(AAP)は加熱に伴い上昇したのちに、ほとんど一定の値となり、加圧下吸収倍率が高い値で維持されることが確認される。また、表面処理された吸水性樹脂の加熱とともに、GVは上昇し、その後低下することが確認される。一方、通液性(SFC)は加熱初期に低下するが、次第に上昇に転じることが確認される。
これらの知見に基づくと、所望の特性を有する吸水性樹脂を得ることができる。例えば、加熱時間を調整することで、AAPに加えてGVおよびSFCの両方が増加した吸水性樹脂を得ることができる。
また、加熱後に多価金属塩(硫酸アルミニウム水和物)を添加することにより、表面処理された吸水性樹脂の吸水特性(GVおよびSFC)がより一層向上しうることが確認される。
31 タンク、
32 ガラス管、
33 0.69質量%塩化ナトリウム水溶液、
34 L字管、
35 コック、
40 容器、
41 セル、
42、43 ステンレス製金網、
44 膨潤ゲル、
45 ガラスフィルター、
46 ピストン、
47 穴、
48 捕集容器、
49 上皿天秤。

Claims (10)

  1. 吸水性樹脂の製造方法であって、
    (a)含水率7〜60質量%の吸水性樹脂を表面処理する工程、および
    (b)前記工程(a)で得られる含水率が7質量%以上60質量%以下の吸水性樹脂を、表面処理剤を添加せずに120℃以上250℃以下の温度で加熱する工程を含み、
    前記工程(a)は、吸水性樹脂とラジカル重合性化合物を含む処理液とを混合し、前記ラジカル重合性化合物を重合する工程である、または、
    前記工程(a)は、表面架橋剤の存在下で行われる、吸水性樹脂の製造方法。
  2. 吸水性樹脂の製造方法であって、
    (a)含水率7〜60質量%の吸水性樹脂を表面処理する工程、および
    (b)前記工程(a)で得られる含水率が7質量%以上60質量%以下の吸水性樹脂を加熱する工程を含み、
    前記工程(b)を当該工程の前後で前記吸水性樹脂の含水率補正後の自由膨潤倍率(GV)が1(g/g)以上増加するように行い、
    前記工程(a)は、吸水性樹脂とラジカル重合性化合物を含む処理液とを混合し、前記ラジカル重合性化合物を重合する工程である、または、
    前記工程(a)は、表面架橋剤の存在下で行われる、吸水性樹脂の製造方法。
  3. 前記工程(b)は、反応系に存在する未反応の表面処理剤の量が1000質量ppm以下で行われる、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  4. 前記工程(b)を、吸水性樹脂の含水率が5質量%以下まで減少するように行うことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  5. 前記工程(b)を当該工程の前後で前記吸水性樹脂の食塩水流れ誘導性(SFC)が5(単位;10−7・cm・s・g−1)以上増加するように行うことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  6. 前記工程(b)における加熱の温度が150℃以上250℃以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  7. 前記工程(a)の表面処理の温度が50℃以上120℃未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  8. 前記工程(b)における加熱時間が5〜600分間であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  9. 前記工程(b)を疎水性有機溶媒の非存在下で行う、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  10. 前記工程(b)の後に、
    前記工程(b)で得られる吸水性樹脂に対して、多価金属塩を混合する工程をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
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