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JP5459585B2 - 炭化珪素単結晶基板およびその製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶基板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は炭化珪素単結晶基板およびその製造方法に関し、特に、炭化珪素単結晶基板の研磨および研磨後の基板表面の評価に関する。
炭化珪素半導体は、シリコン半導体よりも絶縁破壊電界、電子の飽和ドリフト速度および熱伝導率が大きい。このため、炭化珪素半導体を用いて、従来のシリコンデバイスよりも高温、高速で動作が可能なパワーデバイスを実現する研究・開発が活発になされている。なかでも、電動二輪車、電気自動車やハイブリッドカーなどのモータを駆動するための電源に使用する高効率なスイッチング素子の開発が注目されている。このようなパワーデバイスを実現するためには、高品質な炭化珪素半導体層をエピタキシャル成長させるための炭化珪素基板が必要である。
また、高密度で情報を記録するための光源として青色レーザダイオード、および、蛍光灯や電球に替わる光源としての白色ダイオードへのニーズが高まっている。このような発光素子は窒化ガリウム半導体を用いて作製され、高品質な窒化ガリウム半導体層を形成するための基板として炭化珪素単結晶基板が使用される。
こうした用途のための炭化珪素単結晶基板には、基板の平坦度、基板表面の平滑度等において高い加工精度が要求される。しかし、炭化珪素単結晶は一般に硬度が高く、かつ、耐腐食性に優れるため、こうした基板を作製する場合の加工性は悪く、平滑度の高い炭化珪素単結晶基板を得ることは難しい。
一般に、半導体単結晶基板の平滑な面は研磨によって形成される。炭化珪素単結晶を研磨する場合、炭化珪素よりも硬いダイヤモンド等の砥粒を研磨材として表面を機械的に研磨し、平坦な面を作る。しかし、ダイヤモンド砥粒で研磨した炭化珪素単結晶基板の表面には、ダイヤモンド砥粒の粒径に応じた微小なスクラッチが導入される。また、機械的な歪みを有する加工劣化層が炭化珪素単結晶基板の表面に生じる。このため、そのままでは炭化珪素単結晶基板の表面の平滑性が十分ではなく、炭化珪素単結晶基板の表面に高品質な半導体層を形成することはできない。
半導体単結晶基板の製造では、従来、機械研磨後の半導体基板の表面を平滑にする方法として、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)が用いられる。CMPは酸化などの化学反応を利用して、被加工物を酸化物などに変え、生成した酸化物を被加工物よりもやわらかい砥粒で除去することにより、被加工物の表面を研磨する方法である。この方法は、被加工物の表面に歪みをまったく導入せずに、きわめて平滑な面を形成できるという利点を備える。特許文献1は、シリカスラリーを用いたCMPにより、機械研磨後の炭化珪素単結晶基板の表面を平滑にすることを開示している。
また、特許文献1のようにシリカスラリーのみを用いた場合、スラリーの反応性が低いために、平滑な面の形成に長時間を要するため、たとえば特許文献2は、炭化珪素単結晶基板のCMP用研磨スラリーに酸化能力の高い酸化剤を添加することを開示している。特許文献2によれば、研磨面に酸化能力の高い酸化剤が存在する状態でCMPを施すことにより、研磨速度を大きくし、炭化珪素などの硬質材料を低い加工圧力でも効率よく研磨できる。
特開2005−260218号公報 特開2001−205555号公報
特許文献1や特許文献2に記載されているようなCMPによれば、炭化珪素単結晶基板の表面を、光学顕微鏡、原子間力顕微鏡などで全くスクラッチが検出されないような平滑な鏡面に仕上げることができる。しかしながら、本願発明者らが、このような平滑な鏡面を有する炭化珪素単結晶基板に炭化珪素半導体層や窒化ガリウム半導体層をエピタキシャル成長させたところ、一部の炭化珪素単結晶基板においては、成長した半導体層の表面に凹凸やスクラッチ状の結晶欠陥が発生した。
エピタキシャル成長した半導体層の表面にこのような結晶欠陥が発生した炭化珪素単結晶基板と、発生しなかった炭化珪素単結晶基板とでは、エピタキシャル成長前には、上記のような光学顕微鏡、原子間力顕微鏡などの評価で全く違いが発見されず、双方とも微小なスクラッチが全く検出されない極めて平滑な鏡面であり、結晶欠陥が発生するか否かはエピタキシャル成長を行うまでわからなかった。このため、炭化珪素単結晶基板製造の時点、すなわちエピタキシャル成長前に、基板メーカーにおいてエピタキシャル成長後に結晶欠陥が発生する原因を基板が有しているか否かの評価ができず、必要な工程管理ができない、という問題があった。
本発明は、このような課題を解決し、上記のような結晶欠陥が発生する原因を基板が有しているか否かの評価を行って判別することにより、エピタキシャル成長した半導体層に基板が有する原因による結晶欠陥を生じない炭化珪素単結晶基板およびそれを製造する方法を提供することを目的とする。
発明者らは、種々検討の結果、上記エピタキシャル成長後の結晶欠陥の原因は、エピタキシャル成長前の炭化珪素単結晶基板の表面に通常の表面分析では検出できないほどの変質層が生成しているためではないか、と考えた。そこで、そのような極薄い変質層を検出する方法を検討したところ、基板表面を分光エリプソメトリにて評価すれば、上記結晶欠陥を生じる炭化珪素単結晶基板を判別することが可能であることがわかった。
以上のようにして成された本発明の炭化珪素単結晶基板の製造方法は、表面にエピタキシャル成長による半導体層を形成するための炭化珪素単結晶基板の製造方法であって、機械研磨が施された主面を有する炭化珪素単結晶基板を用意する工程(A)と、前記炭化珪素単結晶基板の前記主面に化学機械研磨を施す工程(B)と、前記主面を分光エリプソメトリによって測定し、前記化学機械研磨によって形成された前記半導体層の結晶欠陥の原因となる変質層の存在の有無を評価する工程(C)と、を包含することを特徴とする。
好ましい形態において、前記工程(C)は、前記主面の屈折率nまたは消衰係数kを測定することにより評価する工程である。
好ましい形態において、前記分光エリプソメトリに用いるレーザーの波長が400nm以下である。
好ましい形態において、前記分光エリプソメトリの測定スポット径が1mm以下である。
好ましい形態において、前記分光エリプソメトリは、前記化学機械研磨が施された主面内を二次元的に走査して測定する。
本発明の炭化珪素単結晶基板は、上記のいずれかに記載の製造方法によって作製され、前記工程(C)において、前記変質層が存在しないと評価された炭化珪素単結晶基板である。
本発明によれば、CMP後の炭化珪素単結晶基板表面に存在し、エピタキシャル成長後の半導体層の結晶欠陥の原因となる極薄い変質層を検出し、このような変質層を有する炭化珪素単結晶基板を判別して排除することができ、前記半導体層に前記変質層が原因である結晶欠陥を生じることのない、炭化珪素単結晶基板およびその製造方法を提供することができる。
(a)および(b)は、炭化珪素半導体層が形成された従来の炭化珪素単結晶基板の模式的な上面図および断面図である。 本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 (a)から(c)は、本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法の一実施形態における工程断面図である。 本発明の実施例において、炭化珪素単結晶基板を分光エリプソメトリにて評価した結果を示す図である。
従来、炭化珪素単結晶基板上にエピタキシャル成長した半導体層の結晶欠陥の原因としては、基板表面に存在する微小なスクラッチや、機械加工により導入された加工劣化層が挙げられてきた。これらのうち、スクラッチの検出には、光学顕微鏡による表面観察、原子間力顕微鏡、白色光干渉顕微鏡などが用いられてきており、比較的検出は容易である。また、加工劣化層の評価には、カソードルミネッセンス法やラマン分光法などが用いられており、表面近傍数百nm程度の加工劣化層の評価が可能である。
しかしながら、上記の方法によりスクラッチや加工劣化層が全く確認されなかった炭化珪素単結晶基板に半導体層をエピタキシャル成長した場合でも、半導体層上に結晶欠陥が発生するものがあった。これは、上記結晶欠陥の原因が従来から挙げられてきたスクラッチや加工劣化層ではない可能性が極めて高いことを意味する。したがって、従来取られてきた上記スクラッチや加工劣化層評価手段では、半導体層の結晶欠陥の要因を評価することはできず、これらの評価手段だけでは、炭化珪素単結晶基板を評価する手法としては不十分であると考えられた。そこで発明者らは、上記結晶欠陥が生じる原因を詳細に検討した。
図1(a)は、エピタキシャル成長した半導体層に前記結晶欠陥が発生している炭化珪素単結晶基板の表面を模式的に示しており、図1(b)は、その断面の状態を推察した模式図を示している。図1(a)および(b)に示すように、炭化珪素単結晶基板51の主面51Sに半導体層61が形成されている。炭化珪素半導体層61を顕微鏡で観察したところ、炭化珪素単結晶基板51の結晶方位とは無関係な方向に伸びるスクラッチ状の結晶欠陥61aが見られた。
しかし、半導体層61の成長前に炭化珪素単結晶基板51の主面51Sを光学顕微鏡観察やX線光電子分光法など通常の表面分析方法によって分析したところ、スクラッチ状の結晶欠陥61aの原因となるスクラッチや異物、変質層などを検出することはできなかった。
発明者らは、半導体層61のこのような結晶欠陥は、半導体層61が形成される主面51Sの状態を反映していると考え、CMPによる研磨後に、炭化珪素単結晶基板51の主面51Sに、通常の表面分析では検出できないほど薄い変質層52が部分的に生成または残留し、半導体層61のエピタキシャル成長を阻害しているのが原因ではないかと考えた。
このような変質層52の成分は、変質層52が通常の表面分析では検出不可能であるため、未だ不明である。しかし、主面51Sに変質層52が存在しているか否かさえ判別できれば、後のエピタキシャル成長工程にて結晶欠陥が生じる基板であるかそうでないかの判別は可能である。
そこで発明者らは、このような非常に薄い変質層52が実際に存在しているのであれば、薄膜試料の評価方法として知られている分光エリプソメトリにて評価すれば、その存在の有無を判別できるのではないかと考え、基板表面を短波長レーザーを用いた分光エリプソメトリにより評価したところ、上記半導体層の表面にこのような結晶欠陥が発生した炭化珪素単結晶基板と、発生しなかった炭化珪素単結晶基板とで明らかな違いが検出された。これにより、実際に結晶欠陥の原因となる変質層52は存在し、分光エリプソメトリにて検出可能であることがわかった。
分光エリプソメトリは、薄膜試料の特性を評価する手法として古くから知られており、薄膜試料の表面に斜上方から光を入射し、その反射光の偏光解析を行うことによって試料の膜厚および屈折率を求める手法である。つまり分光エリプソメトリでは、電界が入射面に平行な偏光成分(p偏光)の反射率(Rp)と、電界が入射面に垂直な偏光成分(s偏光)の反射率(Rs)の比を測定することになる。それぞれの偏光成分の反射率は一般には複素数であり、ρ=Rp/Rs=tan(Ψ)×exp(jΔ)と表すことができる。ここで、ΨおよびΔはエリプソパラメータまたはエリプソメトリ角と呼ばれるものであり、薄膜試料からの反射光(被測定光)の振幅強度比と位相差、つまり反射光の偏光状態を表す量である。このρは薄膜の光学定数(屈折率:n、消衰係数:k)や膜厚によって変化する値であるため、測定によりΨとΔの値を知ることができれば、逆にn、kの値を算出することが可能となる。
変質層52が存在する部分を分光エリプソメトリにて評価する場合、入射光は変質層52を透過して炭化珪素単結晶基板51にまで到達するので、得られるn、kは、変質層52、炭化珪素単結晶基板51の両者の物性値が混ざった値となる。長い波長の入射光を用いると、サンプルへの侵入深さが深いために、炭化珪素単結晶基板51の影響が支配的なn、kとなり、短い波長の入射光を用いるとサンプルへの侵入深さが浅いので、変質層52の影響が支配的なn、kとなる。
炭化珪素についてはn、kの値が判明している。もし、変質層52が存在しないなら、入射光が短波長であっても炭化珪素のn、kに近い値となるが、変質層52が存在していると、その厚みに応じてn、kは炭化珪素のn、kから離れていく。したがって、変質層52が存在する炭化珪素単結晶基板51と存在しない炭化珪素単結晶基板51とでは、n、kが異なることになり、分光エリプソメトリで変質層52の存在の有無が判別可能であることがわかる。
分光エリプソメトリは原理的に厚み数オングストロームの極薄膜も検出することができるために、研磨後に残存する変質層の検出には有効である。
従来の分光エリプソメトリにおいては、測定時の空間分解能は数mm程度であった。このため、試料表面の変質層の微細な場所分布を測定することができなかった。微小スポットでの測定は原理的には可能であったが、データの信号/ノイズ比が悪化するために、信頼性のあるデータを得るためには膨大な測定、解析時間が必要となり現実的ではなかった。
しかし、近年の計算機の能力とレーザーの輝度の大幅な向上により、微小スポットのエリプソメトリ測定が可能となりつつある。これにより、基板面内の変質層の存在分布を詳細に評価できるようになった。
本発明で用いる分光エリプソメトリのスポット径は、1mm以下が望ましく、100μm以下がより望ましい。スポット径が大きいと、基板上の広い範囲の変質層分布を平均化したデータのみが得られるために、基板内の詳細な変質層の存在場所を同定することができない恐れがあるからである。
本発明で用いる分光エリプソメトリのレーザーの波長は、400nm以下が望ましく、300nm以下がより望ましい。長波長のレーザーを用いると、炭化珪素単結晶内部へ入射光が透過してしまうために、基板自体の品質のばらつきの影響を受けてしまい、表面の変質層を正しく評価できない恐れがあるからである。
本発明において、分光エリプソメトリの評価の対象となる変質層は、基板表面に局所的に存在していると考えられる為、本発明で用いる分光エリプソメトリでは、基板内を二次元的にスキャンしながら表面を測定することが望ましい。
本発明において、エピタキシャル成長後に結晶欠陥を生じる原因となるような変質層を有する炭化珪素単結晶基板を判別するには、例えば以下のような方法がある。まず、複数の炭化珪素単結晶基板について、400nm以下において入射光の波長をスキャンさせながら、分光エリプソメトリによる評価を行う。その後、それぞれの基板について半導体層をエピタキシャル成長させる。そこで結晶欠陥が生じるものと生じないものとでは、先に測定した上記n、kの値に明らかな差が生じるので、結晶欠陥が生じないもののn、kを良品の標準とし、良品のn、kと一致しないものは、上記変質層を有する基板として判別される。良品は変質層が全く存在しないか、存在してもエピタキシャル成長した半導体層に全く影響を与えない程度の厚みであると考えられ、そのn、kは、多くの場合、炭化珪素のn、kに近い値となる。なお、n、kは、nとkのどちらか片方を評価すればよい。以下、本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法の実施形態を詳細に説明する。
図2は、本発明による炭化珪素単結晶基板の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。また、図3(a)から(c)は、炭化珪素単結晶基板の製造工程における工程断面図を示している。まず、工程S11および図3(a)に示すように、機械研磨が施された炭化珪素単結晶基板10を用意する。炭化珪素単結晶基板10は少なくとも鏡面に仕上げられる主面10Sを備える。主面10Sの表面には機械的研磨によって応力が生じている加工劣化層11が生じている。加工劣化層11の表面11Sの表面粗度Raは1μm程度以下であることが好ましい。通常、加工劣化層11は表面粗度と同程度の厚さを有しており、加工劣化層11の厚さはたとえば1μm以下である。
炭化珪素単結晶基板10の主面10Sの面方位に特に制限はなく、どのような方位の炭化珪素単結晶基板でも、本実施形態の方法を好適に用いることができる。具体的には、炭化珪素単結晶基板10の炭化珪素単結晶は六方晶構造を備え、2H−SiC、4H−SiC、6H−SiCなどであることが好ましく、4H−SiCまたは6H−SiCであることが特に好ましい。
炭化珪素単結晶基板10の主面10Sの(0001)面のC軸に対するオフ角θは10°以下であり、炭化珪素単結晶基板10の上に形成される半導体の種類によって適切に選定される。炭化珪素単結晶基板は六方晶構造のもの以外であってもよく、例えば立方晶構造のものにも適用できる。具体的には炭化珪素単結晶基板は3C−SiCであってもよい。
次に、工程S12に示すように、CMPによって加工劣化層11を除去し、炭化珪素単結晶基板10の主面10Sを鏡面に仕上げる。なお、本実施形態では炭化珪素単結晶基板10の一方の主面10Sのみを鏡面に仕上げるが、他の主面10Rも鏡面に仕上げてもよい。研磨スラリーに含まれる砥粒としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化チタンなどを用いることができる。このうち、砥粒が上述の溶液に均一に分散しやすいという点でコロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどの酸化珪素砥粒を用いることが好ましい。また、スラリーには、研磨能率を向上させるために酸化剤を添加しても良い。
溶媒には通常水が用いられる。このほか、適度な反応性を示すように溶液のpHを調整するため、塩酸や酢酸などの酸、水酸化ナトリウムなどのアルカリを研磨スラリーの溶液に添加してもよい。
上述した研磨スラリーを用意し、炭化珪素単結晶基板10の主面10S側をたとえば50g重/cm〜1000g重/cmの研磨面圧力で研磨定盤に押し付け、研磨定盤を回転させ、研磨スラリーをたとえば1ml/min程度の割合で研磨定盤上に供給しながら、炭化珪素単結晶基板10の主面10Sの研磨を行う。研磨スラリーの供給量は研磨定盤の大きさ、研磨すべき炭化珪素単結晶基板10の大きさや基板の枚数に依存する。研磨を数時間から十数時間行うことにより、主面10Sに生成していた加工劣化層11が研磨スラリー中の酸化剤によって酸化され、生成した酸素、炭素および珪素を含む酸化物が砥粒によって機械的に削られる。これにより、加工劣化層11が完全に除去され、かつ、主面10Sが平坦化されて鏡面に仕上げられた炭化珪素単結晶基板10が得られる。図3(b)に示すように、このとき、加工劣化層11は完全に除去されるが、表面観察では確認できない酸素、炭素および珪素を含む酸化物の薄い変質層52が部分的に残存している可能性がある。
しかし、全体として主面10Sは高い平坦度および平滑度を有しており、原子レベルの段差である炭化珪素単結晶に由来するステップ構造10dが主面10Sの表面に現れる。CMPによって鏡面に仕上げられた炭化珪素単結晶基板10の主面10Sの表面粗度Raは、1nm以下であることが好ましい。
工程S12後はそのまま工程S13を行っても良いが、特願2009−23581に開示されているように、CMP後の主面10Sに対してさらに気相エッチングを施し、主面10Sの少なくとも一部を除去してもよい。(図2に不図示。)主面10S上に変質層52が存在していても、この気相エッチングで除去することが可能である。
次に工程S13に示すように、鏡面に仕上げられた主面10Sに対して、分光エリプソメトリによる評価を行い、CMP後の炭化珪素単結晶基板が図3(b)に示すように変質層52を有するものであるか、図3(c)に示すように変質層52を有しないものであるかを評価する。分光エリプソメトリによって、主面10S上に変質層52が存在しないと評価された炭化珪素単結晶基板は、そのまま次工程で半導体層をエピタキシャル成長させることができる。主面10S上に変質層が存在すると評価された炭化珪素単結晶基板は、次工程に移す炭化珪素単結晶基板からは排除し、再度工程S12に戻してCMPを行ってもよいし、上述の気相エッチングのみを行っても良い。また、工程S11に戻して再度機械研磨から行っても良い。
(実施例1)
単結晶炭化珪素基板に対してCMPを施したサンプルを2種類用意した(サンプル1、サンプル2と名づける)。サンプル1、サンプル2に対して同一のCMPスラリーを用いたが、荷重、回転数などの加工条件を変更して加工を行った(サンプルのn数=4)。これらに対して分光エリプソメトリにより評価を行ったところ、図4に示すようにレーザー波長が短い側においてサンプルによる屈折率nの違いが見られた。サンプルのうち2枚は炭化珪素の理論値とほぼ同等な値が得られた(こちらをサンプル1と名づける)のに対して、サンプルのうち2枚の値はややずれており、変質層が存在すると推察された(こちらをサンプル2と名づける)。
これらのサンプル上に化学気相堆積法により半導体層をエピタキシャル成長させたところ、サンプル1上には結晶欠陥がほとんど見られなかったのに対して、サンプル2上には結晶欠陥が観察された。
これらの結果から、結晶欠陥発生の原因は基板表面に存在する変質層であると推察され、分光エリプソメトリによりエピタキシャル成長で結晶欠陥が発生するか否かの評価が可能であることが明らかとなった。
本発明によれば、CMP後の炭化珪素単結晶基板表面に存在する、半導体層の結晶欠陥の原因となる、極薄い変質層を検出することができ、この変質層が原因となって前記半導体層に結晶欠陥を生じることがない、炭化珪素単結晶基板およびその製造方法を提供することができる。
10、51 炭化珪素単結晶基板
10d ステップ構造
10S、10R 主面
11 加工劣化層
52 変質層
61 炭化珪素半導体層
61a スクラッチ

Claims (5)

  1. 表面にエピタキシャル成長による半導体層を形成するための炭化珪素単結晶基板の製造方法であって、
    機械研磨が施された主面を有する炭化珪素単結晶基板を用意する工程(A)と、
    前記炭化珪素単結晶基板の前記主面に化学機械研磨を施す工程(B)と、
    前記主面を分光エリプソメトリによって測定し、前記化学機械研磨によって形成された前記半導体層の結晶欠陥の原因となる変質層の存在の有無を、波長が300nm以下のレーザーを用いて、前記主面の屈折率nまたは消衰係数kを測定することにより評価する工程(C)と、
    を包含する炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  2. 前記分光エリプソメトリの測定スポット径が1mm以下である、請求項に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  3. 前記分光エリプソメトリの測定スポット径が100μm以下である、請求項2に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  4. 前記分光エリプソメトリは、前記化学機械研磨が施された主面内を二次元的に走査して測定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  5. 前記炭化珪素単結晶基板の表面にスクラッチや加工劣化層が存在しない基板であって、
    前記主面を分光エリプソメトリによって測定し、前記化学機械研磨によって形成された前記半導体層の結晶欠陥の原因となる変質層の存在の有無を、波長が300nm以下のレーザーを用いて、前記主面の屈折率nまたは消衰係数kを測定することにより評価する工程(C)より後の工程において、前記基板の表面に前記半導体層をエピタキシャル成長させる工程を有し、前記半導体層には結晶欠陥を生じることがないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
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