以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用シート装置1の外観を示す。このシート装置1は、車両の後部に設けられた荷室72(図2、図4参照)の直前(車室71(図2、図4参照)の後端部)に配設されるものであって、該車両の車室71のフロアを形成するフロアパネル21(図2〜図5、図7参照)上に車幅方向に離間して配設された一対の側方シート2と、該一対の側方シート2間に、該一対の側方シート2に接するように配設された中央シート3とを備えている。図1に示す線Lが、側方シート2と中央シート3との境界線である。尚、各シート2,3の幅方向は車幅方向と一致し、各シート2,3の前側は車両前側であり、各シート2,3の後側は車両後側である。以下、各シート2,3及び車両についての前及び後を、それぞれ単に前及び後という。
上記各側方シート2は、シートクッション6と、このシートクッション6の後側位置で起立したシートバック7と、このシートバック7の上端部に取り付けられたヘッドレスト8とを有している。以下、各側方シート2のシートクッション6、シートバック7及びヘッドレスト8を、それぞれ、側方シートクッション6、側方シートバック7及び側方ヘッドレスト8という。各側方シートバック7は、後述の如く、起立状態と、該側方シートバック7に対応する側方シートクッション6上に倒伏した倒伏状態とに切換え可能に構成されている。
上記中央シート3も、側方シート2と同様に、シートクッション11と、このシートクッション11の後側位置で起立したシートバック12と、このシートバック12の上端部に取り付けられたヘッドレスト13とを有している。以下、中央シート3のシートクッション11、シートバック12及びヘッドレスト13を、それぞれ、中央シートクッション11、中央シートバック12及び中央ヘッドレスト13という。中央シートバック12も、後述の如く、起立状態と、該中央シートバック12に対応する中央シートクッション11上に倒伏した倒伏状態とに切換え可能に構成されている。
各側方シートクッション6の車幅方向外側の端部(中央シート3とは反対側の端部)には、着座面6aよりも上側に突出するサイドサポート部6bが形成されている。また、起立状態にある各側方シートバック7の車幅方向外側の端部には、背凭れ面7aよりも前側に突出するサイドサポート部7bが形成されている。これらサイドサポート部6b,7bは、乗員を、横揺れしないように保持するものである。
一方、中央シートクッション11及び中央シートバック12には、サイドサポート部は形成されておらず、中央シートクッション11の幅方向全体が着座面11aとされ、中央シートバック12の幅方向全体が背凭れ面12aとされている。側方シートバック7及び中央シートバック12の起立状態において、中央シートクッション11の着座面11aは、側方シートクッション6の着座面6aと略同じ高さ位置にあり、中央シートクッション11の下面は、側方シートクッション6の下面と略同じ高さ位置にある。但し、側方シートバック7及び中央シートバック12の倒伏状態においては、後述の如く、側方シートクッション6のみが下側へ移動するため、中央シートクッション11の着座面11aと側方シートクッション6の着座面6aとの高さは異なるとともに、中央シートクッション11の下面と側方シートクッション6の下面との高さも異なる。また、起立状態にある中央シートバック12の背凭れ面12aは、前後方向において、起立状態にある側方シートバック7の背凭れ面7aと略同じ位置に位置し、起立状態にある中央シートバック12の背面は、前後方向において、起立状態にある側方シートバック7の背面と略同じ位置に位置している。
尚、中央シートクッション11の幅は側方シートクッション6の幅よりも小さく、中央シートバック12の幅は側方シートバック7の幅よりも小さい。中央シートクッション11の幅と中央シートバック12の幅とは略同じであり、側方シートクッション6の幅と側方シートバック7の幅とは略同じである。
図2〜図5に示すように、上記フロアパネル21は、側方シート2及び中央シート3に着座した各乗員の足置き場となる第1フロア部21aと、この第1フロア部21aの後側に連続して設けられ、第1フロア部21aよりも上側へ段上げされたキックアップ部21bと、このキックアップ部21bの後側に連続して設けられ、後側へ向かって上昇する傾斜部21cと、この傾斜部21cの後側に連続して設けられた第2フロア部21dとを有している。第2フロア部21dの上側(つまりシート装置1後方におけるフロアパネル21の上側)は、荷室72である。第2フロア部21d上には、不図示のフロアボードを介して、荷室72のフロアを構成する可撓性のフロア部材73が敷設されている。このフロア部材73の前端は、起立状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の下端部(倒伏状態にあるときには、後端部となる)に固定されている。フロア部材73の前端近傍部は、側方シートバック7及び中央シートバック12が起立状態にあるときには、下側に弛んでいる一方(図2参照)、側方シートバック7及び中央シートバック12が倒伏状態にあるときには、真っ直ぐに張った状態となる(図3、図4参照)。
上記側方シートクッション6及び中央シートクッション11は、フロアパネル21のキックアップ部21bの上側に配設され、側方シートバック7及び中央シートバック12は、フロアパネル21の傾斜部21cの上側に配設されている。
尚、両側方シート2の内部構成は同じであり、両側方シートクッション6をフロアパネル21上にそれぞれ支持する2つの側方シートクッション支持部23の構成も同じであるので、以下、一方の側方シート及び該側方シートを支持する側方シートクッション支持部23の構成について説明する。
図2に示すように、側方シートバック7は、上記傾斜部21cにおける側方シートバック7の両側側部に対応する位置にそれぞれ配設された左右一対の側方シートバック支持ブラケット22により、フロアパネル21上に支持されている。すなわち、側方シートバック7内には、起立状態にある側方シートバック7の上下面及び両側側面にそれぞれ沿うように略矩形枠状に形成されたシートバックフレーム7cが配設されており、このシートバックフレーム7cの両側側部の下端部に、シート幅方向外側へ延びる回動軸7dがそれぞれ一体に設けられている。そして、各回動軸7dが上記各側方シートバック支持ブラケット22にそれぞれ回動可能に支持されている。これにより、側方シートバック7は、乗員が側方シート2に着座可能な起立状態(図2に示す状態)と、該起立状態から回動軸7d回りに回動して、側方シートクッション6上に倒伏した倒伏状態(図3に示す状態)とに切換え可能となる。
側方シートクッション6は、側方シートクッション支持部23によりフロアパネル21上に支持されている。この側方シートクッション支持部23は、側方シートクッション6の前側部分をフロアパネル21上に支持する前側支持部23aと、側方シートクッション6の後側部分をフロアパネル21上に支持する後側支持部23bとを有している。すなわち、側方シートクッション6内には、側方シートクッション6の前面及び後面並びに両側側面にそれぞれ沿うように略矩形枠状に形成されたシートクッションフレーム6cが配設されており、このシートクッションフレーム6cの両側側部の前端部が前側支持部23aにより支持され、シートクッションフレーム6cの両側側部の後端部が後側支持部23bにより支持されている。
前側支持部23aは、側方シートクッション6の下側においてフロアパネル21の第1フロア部21aとキックアップ部21bとに跨って取付固定された左右一対の側方シートクッション支持ブラケット24と、該一対の側方シートクッション支持ブラケット24に、シート幅方向に延びる軸27回りに回動可能にそれぞれ支持された左右一対の回動部材25と、シートクッションフレーム6cの両側側部の前端部にそれぞれ取付固定された左右一対の取付部材26とからなる。各回動部材25は、各取付部材26に対し、シート幅方向に延びる軸28回りに回動可能にそれぞれ連結されている。尚、側方シートバック7が起立状態にあるときには、回動部材25は上下方向に延びていて、上記軸28が上記軸27に対して略真上に位置する。
後側支持部23bは、シートクッションフレーム6cとシートバックフレーム7cとを連結する左右一対の連結部材29からなっていて、シートバックフレーム7c及び側方シートバック支持ブラケット22を介して、側方シートクッション6の後側部分(シートクッションフレーム6cの両側側部の後端部)をフロアパネル21に対して支持する。一対の連結部材29の一端部は、シートクッションフレーム6cの両側側部の後端部にそれぞれ取付固定されている一方、他端部は、シートバックフレーム7cの両側側部における回動軸7dの上側かつ後側の近傍に、シート幅方向に延びる軸30回りに回動可能にそれぞれ連結されている。
上記側方シートクッション支持部23は、側方シートバック7の起立状態から倒伏状態への切換えに連動して、側方シートクッション6を前側かつ下側へ移動させるように構成されている。すなわち、側方シートバック7を、起立状態から回動軸7d回りに前側に倒伏させると、連結部材29の上記他端部も回動軸7d回りに回動して前側に移動する。これにより、回動部材25の上端部が、連結部材29及びシートクッションフレーム6cを介して前側へ押されて、回動部材25が上記軸27回りに、図2で反時計回りに回動する。この結果、側方シートクッション6(シートクッションフレーム6c)が前側かつ下側へ移動する。特に側方シートクッション6の前側部分が大きく下側へ移動する。このことで、前側支持部23a及び後側支持部23bは、側方シートバック7の起立状態から倒伏状態への切換えに連動して、側方シートクッション6を下側へ移動させる連動機構を構成することになる。このように側方シート2は、この連動機構により所謂ダイブダウン収納可能に構成されている。
そして、図3に示すように、側方シートバック7の倒伏状態では、側方シートバック7のサイドサポート部7bが側方シートクッション6のサイドサポート部6bに当接するとともに、側方ヘッドレスト8が側方シートクッション6の着座面6aの前端部に当接する。尚、基本的には、側方シートバック7のサイドサポート部7bが側方シートクッション6のサイドサポート部6bに当接するようになっており、これら当接した両サイドサポート部6b,7bの弾性変形によっては、側方ヘッドレスト8が側方シートクッション6の着座面6aの前端部に当接することになる。
図4に示すように、中央シートバック12は、側方シートバック7と同様に、フロアパネル21の傾斜部21cにおける中央シートバック12の両側側部に対応する位置にそれぞれ配設された左右一対の中央シートバック支持ブラケット40により、フロアパネル21上に支持されている。
中央シートバック12内には、側方シートバック7と同様の略矩形枠状に形成されたシートバックフレーム12bが配設されており、このシートバックフレーム12bの両側側部の下端部に、シート幅方向外側へ延びる回動軸12cがそれぞれ一体に設けられている。そして、各回動軸12cが上記各中央シートバック支持ブラケット40にそれぞれ回動可能に支持されている。これにより、中央シートバック12は、乗員が中央シート3に着座可能な起立状態(図4に二点鎖線で示す状態)と、該起立状態から回動軸12c回りに回動して、中央シートクッション11上に倒伏した倒伏状態(図4に実線で示す状態)とに切換え可能となる。尚、側方シートバック7の回動中心となる回動軸7d及び中央シートバック12の回動中心となる回動軸12cは、同一直線上に位置している。
中央シートクッション11は、中央シートクッション支持部41によりフロアパネル21上に支持されている。この中央シートクッション支持部41は、上記側方シートクッション支持部23とは構成が異なり、上記のような連動機構を有していない。すなわち、中央シートクッション支持部41は、中央シートクッション11を、中央シートバック12の倒伏状態において、フロアパネル21に対して中央シートバック12の起立状態と同じ位置に支持する。このため、中央シートバック12を倒伏しても、その倒伏に連動して中央シートクッション11が移動することはない(ダイブダウン収納されない)。したがって、側方シートクッション支持部23及び中央シートクッション支持部41のうち側方シートクッション支持部23のみが、上記連動機構を有していることになる。
具体的には、中央シートクッション支持部41は、フロアパネル21のキックアップ部21bに固定されかつ中央シートクッション11を支持する支持部材42で構成されている。この支持部材42は、図6に示すように、上方に開口する直方体形状のボックス状に形成された物品収納部42aを有している。一方、中央シートクッション11の下端部には、周縁部全周が下側へ突出した逆皿状のシートクッションパン15が固定されており、このシートクッションパン15が上記物品収納部42aの開口を塞ぐように支持部材42上に載せられている。こうして中央シートクッション11が、中央シートクッション支持部41(支持部材42)によりフロアパネル21上に支持される。このことで、中央シートクッション11の下側には、物品収納部42aが設けられていることになる。尚、物品収納部42aは必ずしも必要なものではない。また、物品収納部42aを、中央シートクッション11を支持する支持部材42とは別の部材で構成してもよい。
シートクッションパン15の周縁部におけるシート幅方向両側の前側部分には、貫通孔15aがそれぞれ形成されている。また、物品収納部42aのシート幅方向両側の側面には、貫通孔15aにそれぞれ嵌合する回動軸42bが固定されている。これにより、シートクッションパン15(中央シートクッション11)は回動軸42b回りに回動可能に構成されている。そして、物品収納部42aの内部に対して物品を出し入れする際には、中央シートバック12が起立状態にあるときに、中央シートクッション11の後端部を持ち上げて、中央シートクッション11を回動軸42b回りに図4で反時計回りに回動させることで、物品収納部42aの開口を開放させる。
中央シートクッション11は、中央シートバック12の倒伏に連動して下側へ移動しないので、側方シートバック7及び中央シートバック12の倒伏状態において、中央シートクッション11は側方シートクッション6よりも高い位置に位置する(図5及び図7参照)。また、中央シートクッション11は、中央シートバック12の倒伏に連動して前側にも移動しないので、中央シートクッション11が中央ヘッドレスト13の回動軌跡上に位置せず、中央シートクッション11と中央ヘッドレスト13とが干渉することはない。これにより、中央シートバック12の倒伏状態で、中央ヘッドレスト13が中央シートクッション11の着座面11aの前端部に当接することはなく、中央シートバック12の背凭れ面12aにおける中央ヘッドレス13近傍部が中央シートクッション11の着座面11aの前端部に当接する。
本実施形態では、側方シートバック7及び中央シートバック12の倒伏状態において、全シートバック7,12の背面(上面)が略同じ高さ位置に位置するように、中央シートクッション11が側方シートクッション6よりも薄く形成されているとともに、中央シートバック12が側方シートバック7よりも薄く形成されている。すなわち、中央シートクッション11の厚みは、側方シートクッション6の厚みよりも、側方シートクッション6のサイドサポート部6bの突出量(図7に示すD2)の分だけ薄く、中央シートバック12の厚みは、側方シートバック7の厚みよりも、側方シートバック7のサイドサポート部7bの突出量(図7に示すD1)の分だけ薄くなっている。このため、倒伏状態にある中央シートバック12の背面は、側方シートクッション6が下側へ移動しないと仮定した場合の倒伏状態にある側方シートバック7の背面よりも、D1+D2(倒伏状態における側方シート2と中央シート3との上下方向の厚さの差)と略同じ量だけ低い位置に位置することになる。しかし、実際には、側方シートクッション6が下側へ移動する(D1+D2と略同じ量だけ移動するようになされている)ので、側方シートバック7の背面及び中央シートバック12の背面は略同じ高さ位置に位置することになる(図5、図7及び図8参照)。これにより、倒伏状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の背面が車幅方向全体に亘って連続した面を形成する。また、倒伏状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の背面の後端部は、フロア部材73の上面と略同じ高さ位置にある。本実施形態では、倒伏状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の背面は水平に近く、該背面の略全体(元々突出形成されている前端部を除く)がフロア部材73の上面と略同じ高さ位置にあるといえる。尚、倒伏状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の背面が、フロア部材73の上面と異なる高さ位置にあってもよく、この場合、フロア部材73の上面よりも低い高さ位置にあることが好ましい。
ここで、中央シートクッション11と中央シートバック12との長さ関係によっては、中央シートクッション11が中央ヘッドレスト13の回動軌跡上に位置する場合があり、この場合には、中央シートバック12の倒伏状態で、中央ヘッドレスト13が中央シートクッション11の着座面11aの前端部に当接することになり、倒伏状態にある中央シートバック12の背面が倒伏状態にある側方シートバック7の背面よりも高くなってしまう。そこで、このような場合には、中央シートクッション11における着座面11aを含む部分(特に前端部)の厚みを、側方シートクッション6における該部分に対応する部分の厚みよりも薄くすることで、側方シートバック7及び中央シートバック12が起立状態にあるときにおいて、中央シートクッション11における着座面11aの前端部の高さ位置を側方シートクッション6における着座面6aの前端部の高さ位置よりも低くしておき、これにより、倒伏状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の背面を略同じ高さ位置に位置させることが可能になる。但し、側方シートバック7及び中央シートバック12の起立状態において、中央シートクッション11の着座面11aの高さ位置が側方シートクッション6の着座面6aの高さ位置とは異なることになり、乗員に対し多少の違和感を与えることになる(後述の実施形態4では、このような違和感を防止できる)。
側方シートバック7及び中央シートバック12は、起立状態にあるときに、車室71と荷室72とを区画している。各シートバック7,12はそれぞれ独立に倒伏状態にすることができるので、乗員の人数や荷室72に積み込む荷物の大きさ等に応じて種々のシートアレンジが可能になり、車室71及び荷室72のユーティリティが向上する。そして、側方シートバック7及び中央シートバック12の倒伏状態において、全シートバック7,12の背面が略同じ高さ位置に位置する(連続した面を形成する)ので、倒伏状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の背面の使い勝手が向上する。しかも、倒伏状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の背面が、フロア部材73の上面と略同じ高さ位置にあるので、特に幅が大きい大型の荷物を、持ち上げずにフロア部材73上を滑らせながら、全シートバック7,12の背面上に載せることが可能になる。
また、側方シート2及び中央シート3のうち側方シート2のみをダイブダウン収納可能に構成したので、全シート2,3をダイブダウン収納可能に構成する場合に比べてコスト及び重量を低減することができる。
(実施形態2)
図9〜図11は、本発明の実施形態2を示し、中央シートクッション支持部41に、中央シートクッション11の一部を持上げて上昇させることを可能にするための持上げ機構52を設けるようにしたものである。
すなわち、本実施形態では、中央シートクッション11が前側分割部11Aと後側分割部11Bとに2分割されており、前側分割部11A及び後側分割部11Bの下端部に、上記実施形態1におけるシートクッションパン15と同様の形状をなす前側シートクッションパン16及び後側シートクッションパン17がそれぞれ設けられている。
中央シートクッション支持部41は、上記前側分割部11Aを支持する前側支持部45と、上記後側分割部11Bを支持する後側支持部46とを有している。後側支持部46は、フロアパネル21のキックアップ部21bと後側シートクッションパン17とに固定された複数の支持部材47で構成され、これら支持部材47により中央シートクッション11の後側分割部11Bがフロアパネル21上に支持される。
一方、前側支持部45は、フロアパネル21のキックアップ部21bに固定された、上記実施形態1における支持部材42と同様に物品収納部51aを有する支持部材51と、上記前側分割部11Aを持上げて上昇させることを可能にするための持上げ機構52とを備えている。この持上げ機構52は、前側シートクッションパン16と支持部材51とを接続する左右一対の前側リンク部材53及び左右一対の後側リンク部材54で構成されている。すなわち、一対の前側リンク部材53の一端部が、前側シートクッションパン16の周縁部におけるシート幅方向両側の前側部分(貫通孔16a)に、シート幅方向に延びる軸55回りに回動可能に連結され、他端部が、支持部材51のシート幅方向両側の側面の前側部分に、シート幅方向に延びる軸56回りに回動可能に連結されている。また、一対の後側リンク部材54の一端部が、前側シートクッションパン16の周縁部におけるシート幅方向両側の後側部分(貫通孔16b)に、シート幅方向に延びる軸57回りに回動可能に連結され、他端部が、支持部材51のシート幅方向両側の側面の後側部分に、シート幅方向に延びる軸58回りに回動可能に連結されている。乗員が中央シート3に着座可能な通常状態(図9に二点鎖線で示す状態)では、前側及び後側リンク部材53,54が略水平に延びた状態にあり、前側シートクッションパン16が支持部材51の物品収納部51aの開口を塞いでいる。ここで、前側及び後側リンク部材53,54は、略水平に延びた状態から上記軸56,58回りに図9で反時計回りに回動不能になされている。これにより、中央シートクッション11の前側分割部11Aがフロアパネル21上に支持される。
そして、乗員が中央シートクッション11の前側分割部11Aを持ち上げて上昇させると、前側及び後側リンク部材53,54が上記軸56,58回りに図9で時計回りにそれぞれ回動し、前側分割部11Aが後側かつ上側へ移動する。前側及び後側リンク部材53,54が約90°(90°よりも僅かに大きい角度)回動したところで、前側及び後側リンク部材53,54の回動が規制されて、上昇状態(図9に実線で示す状態)が保持される。このとき、前側分割部11Aの上昇量がほぼ最大となり、物品収納部51aの開口が開放されて、物品収納部51aの内部に対して物品を出し入れすることが可能になる。また、この上昇状態では、図11に示すように、中央シートクッション11の前側分割部11Aが、中央シート3の左右両側に位置する側方シート2に着座する乗員用のアームレストとして使用可能な高さに位置していて、アームレストとして機能する。
本実施形態で説明した構成以外は、上記実施形態1と同様であって、側方シート2及び中央シート3のうち側方シート2のみをダイブダウン収納可能である点や、側方シートバック7及び中央シートバック12が倒伏状態にあるときに、全シートバック7,12の背面が略同じ高さ位置に位置する点等は、上記実施形態1と同様である。
したがって、本実施形態では、上記実施形態1と同様の作用効果が得られるとともに、中央シートクッション11の前側分割部11Aを、側方シートに着座する乗員用のアームレストとして使用することができ、その乗員の利便性を向上させることができる。また、持上げ機構52により、物品収納部51aの内部に対する物品の出し入れが容易に行えるようになる。
尚、上記実施形態2では、持上げ機構52により中央シートクッション11の前側分割部11Aを持上げて上昇させることを可能にしたが、持上げ機構52により中央シートクッション11の全体を持上げて上昇させることを可能にしてもよく、例えば中央シートクッション11を左側分割部と右側分割部とに分割して、これらを独立に持上げて上昇させることを可能にしてもよい。この場合、左側分割部は、中央シート3の左側に位置する側方シート2に着座する乗員用のアームレストとして使用可能となり、右側分割部は、中央シート3の右側に位置する側方シート2に着座する乗員用のアームレストとして使用可能となる。
(実施形態3)
図12は、本発明の実施形態3を示し、中央シートバック12の幅を中央シートクッション11の幅よりも大きくしたものであり、その他の構成は上記実施形態2と同様である。
すなわち、本実施形態では、中央シートクッション11の幅W1は上記実施形態1における中央シートクッション11の幅と略同じであるが、中央シートバック12の幅W2は上記実施形態1における中央シートバック12の幅よりも大きくされている。これにより、中央シートバック12の幅W2が中央シートクッション11の幅W1よりも大きくなっている。これに対応して、側方シートバック7の幅は、側方シートクッション6の幅よりも、(W2−W1)/2だけ小さくなっている。尚、中央シートバック12の幅W2を上記実施形態1における中央シートバック12の幅と略同じにして、中央シートクッション11の幅W1を上記実施形態1における中央シートクッション11の幅よりも小さくすることで、中央シートバック12の幅W2を中央シートクッション11の幅W1よりも大きくするようにしてもよい。
このように中央シートバック12の幅を大きくすることによって、中央シートバック12を倒伏状態にすることで、長尺状の荷物の積載が容易になるとともに、幅が大きい長尺状の荷物を積載することが可能になる。一方、中央シートバック12の幅が大きいと、側方シート2に着座する乗員の本来の着座位置が中央シート3(アームレストとしての中央シートクッション11)から離れる傾向にあり、このため、中央シートクッション11をアームレストに利用する場合に、その利用が難しくなる可能性がある。しかし、本実施形態では、側方シートバック7の背凭れ面7a及び中央シートバック12の背凭れ面12aが連続しているので、側方シート2に着座する乗員は中央シート3(アームレスト)寄りに着座することができ、中央シートクッション11をアームレストとして利用することは十分に可能である。
尚、中央シートバック12の幅を中央シートクッション11の幅よりも大きくする構成を、上記実施形態1に適用してもよい。
(実施形態4)
図13は、本発明の実施形態4を示し、起立状態にある中央シートバック12の背面を、起立状態にある側方シートバック7の背面よりも前側に位置させるようにしたものである。
すなわち、本実施形態では、起立状態にある中央シートバック12の背凭れ面12aが、前後方向において、起立状態にある側方シートバック7の背凭れ面7aと略同じ位置に位置する点は上記実施形態1と同様であるが、中央シートバック12の厚みが上記実施形態1における中央シートバック12の厚みよりも薄くなっており、この結果、起立状態にある中央シートバック12の背面が、起立状態にある側方シートバック7の背面よりも前側に位置している。これにより、中央シートバック12の厚みと側方シートバック7の厚みとの差は、D2よりも大きくなっている。尚、上記実施形態1と同様に、側方シートバック7及び中央シートバック12の起立状態において、中央シートクッション11の着座面11aは、側方シートクッション6の着座面6aと略同じ高さ位置にあり、中央シートクッション11の下面は、側方シートクッション6の下面と略同じ高さ位置にある。
また、本実施形態では、図14に示すように、中央シートバック12の倒伏状態で、中央ヘッドレスト13が中央シートクッション11の着座面11aの前端部に当接するようになっている。このため、中央シートバック12の厚みが上記のように薄くなっていないと仮定すると、上記実施形態1で説明したように、倒伏状態にある中央シートバック12の背面が、倒伏状態にある側方シートバック7の背面よりも高くなってしまう。しかし、本実施形態で、中央シートクッション11の着座面11aの前端部を側方シートクッション6の着座面6aの前端部よりも低くしないで、中央シートバック12の厚みを上記の如く薄くしている。これにより、倒伏状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の背面を略同じ高さ位置に位置させることが可能になる。尚、本実施形態で説明した構成以外は、上記実施形態1〜3のいずれか1つと同様である。
したがって、本実施形態では、中央シートバック12の倒伏状態で、中央ヘッドレスト13が中央シートクッション11の着座面11aの前端部に当接する場合に、中央シートバック12の厚みを薄くすることで、倒伏状態にある中央シートバック12の背面を低くして、倒伏状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の背面を略同じ高さ位置に位置させることができる。また、側方シートバック7及び中央シートバック12が起立状態にあるときに、全シートバック7,12の背凭れ面7a,12aがシート前後方向において略同じ位置に位置しかつ全シートクッション6,11の着座面6a,11aが略同じ高さ位置に位置するので、乗員に対し違和感を与えることはない。
さらに、全シートバック7,12が起立状態にあるときの荷室72の前後長さが、車幅方向中央付近で長くなり、全シートバック7,12の起立状態での荷室72の容積を出来る限り拡大することができる。
尚、上記実施形態1〜4では、中央シートバック12が側方シートバック7よりも薄く形成されかつ中央シートクッション11が側方シートクッション6よりも薄く形成されているが、中央シートバック12が側方シートバック7よりも薄く形成されているだけか、又は、中央シートクッション11が側方シートクッション6よりも薄く形成されているだけであってもよい。すなわち、側方シートクッション6の下側への移動量を考慮して、側方シートバック7及び中央シートバック12が倒伏状態にあるときに、全シートバック7,12の背面が略同じ高さ位置に位置するようにできれば、いずれを選択してもよい。また、着座時の違和感を防止するために、側方シートバック7及び中央シートバック12の起立状態において、側方シートクッション6の着座面6aと中央シートクッション11の着座面11aとが略同じ高さ位置にあり、かつ、側方シートバック7の背凭れ面7aと中央シートバック12の背凭れ面12aとが、前後方向において略同じ位置にあるようにしたが、側方シートバック7及び中央シートバック12が倒伏状態にあるときに、全シートバック7,12の背面が略同じ高さ位置に位置するようにできれば、着座面6aと着座面11aとの間又は背凭れ面7aと背凭れ面12aとの間に段差が生じてもよい。さらに、側方シート2のサイドサポート部6b,7bは、共になくてもよく、又は、サイドサポート部6bのみか若しくはサイドサポート部7bのみであってもよい。要するに、側方シートバック7及び中央シートバック12が倒伏状態にあるときに、全シートバック7,12の背面が略同じ高さ位置に位置するように、該倒伏状態における中央シート3の上下方向厚さが、該倒伏状態における側方シート2の上下方向厚さよりも薄く形成されていればよい。
また、上記実施形態1〜4では、中央シート3がその両側の側方シート2に接した状態にあるが、中央シート3とその両側の側方シート2とは必ずしも接している必要はなく、車幅方向に離間して配設されていてもよい。
さらに、上記実施形態1〜4では、シート装置1は、車両の荷室72の直前(車室71の後端部)に配設されるものとしたが、これには限られず、例えば前後3列シートの中央の列に配設されるものであってもよい。