ところで、上記シート装置においては、通常、全シートのシートバックが起立状態にあるとき、全シートクッションの着座面は略同じ高さ位置に設定され、全シートバックの背凭れ面はシート前後方向において略同じ位置に設定される。
しかし、シート装置が、車幅方向に並ぶ3つのシートを備えている場合、これら3つのシートのうち車幅方向の外側に位置する一対のシート(側方シート)におけるシートクッション及びシートバックの車幅方向外側端部にはサイドサポート部が形成される一方、上記一対の側方シート間のシート(中央シート)のシートクッション及びシートバックには、スペース等の観点からサイドサポート部が形成されない場合がある。また、中央シートのシートバックの車幅方向中央部に、アームレストを格納可能に構成する場合もある。このため、側方シートと中央シートとでシートクッションやシートバックの厚みが異なる可能性が高くなる。この結果、車幅方向に並ぶ全てのシートをダイブダウン収納した場合に、これらシートのシートバックの背面の高さが一致しなくなる可能性が高くなる。このため、全てのシートをダイブダウン収納したとしても、側方シートのシートバックの背面と中央シートのシートバックの背面との高さ関係によっては、それらシートのシートバックの背面の使い勝手が悪くなる可能性がある。
また、シート装置が3つのシートを備えている場合、これら全てのシートをダイブダウン収納可能に構成すると、全シートにおいて、シートバックの倒伏に連動させてシートクッションを下側へ移動させる連動機構が必要となるため、シート装置のコスト及び重量の増大を招く虞がある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両用シート装置が、車幅方向に並ぶ3つのシートを備えている場合において、このシート装置のコスト及び重量の増大を抑制しつつ、3つのシートにおける倒伏状態にあるシートバックの背面の使い勝手を向上させようとすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、車両の車室のフロアを形成するフロアパネル上に車幅方向に離間して配設された、シートクッションとシートバックとを有する一対の側方シートと、該一対の側方シート間に配設された、シートクッションとシートバックとを有する中央シートと、上記両側方シートのシートクッションを上記フロアパネル上にそれぞれ支持する2つの側方シートクッション支持部と、上記中央シートのシートクッションを上記フロアパネル上に支持する中央シートクッション支持部とを備えた車両用シート装置を対象として、上記側方シート及び中央シートのシートバックは、各々、起立状態と、該シートバックに対応するシートクッション上に倒伏した倒伏状態とに切換え可能に構成され、上記側方シートクッション支持部及び中央シートクッション支持部のうち中央シートクッション支持部のみが、シートクッションを、該シートクッションに対応するシートバックの起立状態から倒伏状態への切換えに連動して、下側へ移動させる連動機構を有しており、上記中央シートのシートバックの倒伏状態における該中央シートの上下方向厚さが、上記側方シートのシートバックの倒伏状態における該側方シートの上下方向厚さよりも厚く形成され、上記中央シートのシートクッションの上記連動機構による下側への移動量が、上記倒伏状態における中央シートと側方シートとの上下方向厚さの差分量以上に設定されている、という構成にした。
上記の構成により、中央シートのみをダイブダウン収納可能に構成すればよいので、全シートをダイブダウン収納可能に構成する場合に比べてシート装置のコスト及び重量を大幅に低減することが可能になる。また、中央シートのみを、シートバックの倒伏状態における中央シートと側方シートとの上下方向厚さの差分量以上にダイブダウン収納することで、中央シートのシートバックの背面を、側方シートのシートバックの背面に対して上方に突出するような倒伏状態にするのを防ぐことができる。このように中央シートを上記倒伏状態における中央シートと側方シートとの上下方向厚さの差分量以上にダイブダウン収納することで、シート装置のコスト及び重量の増大を抑制しつつ、倒伏状態にあるシートバックの背面の使い勝手を向上させることができる。
上記車両用シートにおいて、上記中央シートのシートクッションの上記連動機構による下側への移動量が、上記倒伏状態における中央シートと側方シートとの上下方向厚さの差分量よりも大きく設定されていて、上記側方シート及び中央シートのシートバックが倒伏状態にあるときに、中央シートのシートバックの背面が、側方シートのシートバックの背面よりも低い高さ位置に位置していることが好ましい。
このことにより、中央シートのシートバックの背面を側方シートのシートバックの背面よりも低くして、中央シートのシートバックの背面上に、特に長尺状の荷物を積載する場合に、その両側の側方シートのシートバックにより、長尺状の荷物をシート幅方向(車幅方向)に移動しないように保持することが可能になる。また、中央シートのシートバックの背面を低くすることで、幅が小さくて背の高い荷物(例えば自転車等)を容易に積載できるようになる。さらに、幅が大きい荷物の場合には、その荷物を両側方シートのシートバックの背面に跨るように積載すればよく、これら両側方シートのシートバックの背面の高さ位置が同じでありさえすれば、その高さ位置に比べて中央シートのシートバックの背面が低くても問題はない。よって、シート装置のコスト及び重量の増大を抑制しつつ、倒伏状態にあるシートバックの背面の使い勝手を向上させることができる。
上記車両用シートにおいて、上記中央シートのシートバックは、アームレストを有し、上記アームレストは、上記シートバック内に格納されかつ該格納されたアームレストの一面が該シートバックの背凭れ面の一部を形成する格納状態と、該シートバックからシート前方に突出してアームレストとして使用可能な使用状態とに切換え可能に構成されていることが好ましい。
このことで、アームレストの使用状態で、側方シートに着座する乗員がアームレストとして使用することが可能になり、その乗員の快適性を向上させることができる。そして、このように中央シートのシートバックにアームレストを設けると、中央シートのシートバックの厚みが厚くなって、全シートバックが倒伏状態にあるときに、中央シートのシートバックの背面が、側方シートのシートバックの背面に対して上方に大きく突出する。しかし、本発明では、アームレストを設けても、連動機構によって、中央シートのシートバックの背面が、側方シートのシートバックの背面に対して上方に突出するのを防ぐことができる。よって、乗員の快適性の向上と倒伏状態におけるシートバック背面の使い勝手の向上との両立を図ることができる。
上記中央シートのシートバックがアームレストを有する場合、上記側方シートのシートクッション及びシートバックの少なくとも一方における車幅方向外側には、シートクッションの着座面又はシートバックの背凭れ面よりも膨出形成されたサイドサポート部が形成されており、上記側方シートのシートバックの倒伏状態における該側方シートの上記サイドサポート部を含む上下方向厚さが、上記中央シートのシートバックの倒伏状態における該中央シートの上下方向厚さよりも薄いことが好ましい。
このことにより、車両が曲がる際に生じる遠心力に対して乗員を横揺れしないように保持することを可能になる。このようなサイドサポート部が形成されても、中央シートのシートバックにアームレストが設けられていることで、全シートバックが倒伏状態にあるときに、中央シートのシートバックの背面が、側方シートのシートバックの背面に対して上方に突出する。しかし、本発明では、連動機構によって、中央シートのシートバックの背面が、側方シートのシートバックの背面に対して上方に突出するのを防ぐことができる。よって、乗員の快適性及び保持性の向上と倒伏状態におけるシートバック背面の使い勝手の向上との両立を図ることができる。
上記車両用シートにおいて、上記側方シート及び中央シートのシートバックは、起立状態にあるときの下端部にてシート幅方向に延びる回動軸回りに回動することで、起立状態と倒伏状態とにそれぞれ切換え可能に構成されており、上記全シートバックの回動軸は、同一直線上に位置して、倒伏状態にある全シートバックの背面の後端部が略同じ高さ位置に位置していることが好ましい。
このことにより、側方シート及び中央シートのシートバックが倒伏状態にあるときに、側方シートのシートバックの背面の後端部を、中央シートのシートバックの背面の後端部と略同じ高さ位置に位置させることができる。これにより、本車両用シート装置の直ぐ後方に荷室が設けられている場合に、倒伏状態にある全シートバックの背面の後端部を、荷室のフロアと略同じ高さ位置に位置させるようにすることで、幅が大きい大型の荷物を、持ち上げずに荷室のフロア上を滑らせながら、側方シートのシートバックの背面上に載せることが可能になる。また、幅が小さい荷物を、持ち上げずに荷室のフロア上を滑らせながら、中央シートのシートバックの背面上に載せることも可能になる。
上記車両用シートにおいて、少なくとも一方の上記側方シートのシートクッションの下側に、上方に開口するボックス状に形成された、物品を収納するための物品収納部が設けられていることが好ましい。
すなわち、側方シートはダイブダウン収納されないので、側方シートのシートクッションの下側には空きスペースが存在することになる。この空きスペースを物品収納部として有効に利用することができる。また、乗員の着座の邪魔にならないように、物品を物品収納部の内部に収納しておくことができ、乗員の利便性を向上させることができる。
上記車両用シートは、上記車両の荷室の直前に配設されるものであり、上記側方シート及び中央シートのシートバックが倒伏状態にあるときに、全シートバックの背面の後端部が、上記荷室のフロアと略同じ高さ位置に位置していることが好ましい。
これにより、車室及び荷室のユーティリティを向上させることができ、本発明の作用効果を有効に発揮させることができる。
以上説明したように、本発明の車両用シート装置によると、シート装置のコスト及び重量の増大を抑制しつつ、側方シート及び中央シートのシートバックが倒伏状態にあるときに、中央シートのシートバックの背面が側方シートのシートバックの背面に対して上方に突出するような状態になるのを防ぎ、これにより、これらシートバックの背面の使い勝手を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用シート装置1の外観を示す。このシート装置1は、車両の後部に設けられた荷室72(図2、図3参照)の直前(車室71(図2、図3参照)の後端部)に配設されるものであって、該車両の車室71のフロアを形成するフロアパネル21(図2〜図5、図7参照)上に車幅方向に離間して配設された一対の側方シート2と、該一対の側方シート2間に、該一対の側方シート2に接するように配設された中央シート3とを備えている。図1に示す線Lが、側方シート2と中央シート3との境界線である。尚、各シート2,3の幅方向は車幅方向と一致し、各シート2,3の前側は車両前側であり、各シート2,3の後側は車両後側である。以下、各シート2,3及び車両についての前及び後を、それぞれ単に前及び後という。
上記各側方シート2は、シートクッション6と、このシートクッション6の後側位置で起立したシートバック7と、このシートバック7の上端部に取り付けられたヘッドレスト8とを有している。以下、各側方シート2のシートクッション6、シートバック7及びヘッドレスト8を、それぞれ、側方シートクッション6、側方シートバック7及び側方ヘッドレスト8という。各側方シートバック7は、後述の如く、起立状態と、該側方シートバック7に対応する側方シートクッション6上に倒伏した倒伏状態とに切換え可能に構成されている。
上記中央シート3も、側方シート2と同様に、シートクッション11と、このシートクッション11の後側位置で起立したシートバック12と、このシートバック12の上端部に取り付けられたヘッドレスト13とを有している。以下、中央シート3のシートクッション11、シートバック12及びヘッドレスト13を、それぞれ、中央シートクッション11、中央シートバック12及び中央ヘッドレスト13という。中央シートバック12も、後述の如く、起立状態と、該中央シートバック12に対応する中央シートクッション11上に倒伏した倒伏状態とに切換え可能に構成されている。
各側方シートクッション6の車幅方向外側の端部(中央シート3とは反対側の端部)には、着座面6aよりも上側に突出するサイドサポート部6bが形成されている。また、起立状態にある各側方シートバック7の車幅方向外側の端部には、背凭れ面7aよりも前側に突出するサイドサポート部7bが形成されている。これらサイドサポート部6b,7bは、乗員を、横揺れしないように保持するものである。尚、側方シートクッション6及び側方シートバック7のいずれか一方の車幅方向外側の端部のみにサイドサポート部を形成するようにしてもよく、いずれにも形成しないようにしてもよい。
一方、中央シートクッション11及び中央シートバック12には、サイドサポート部は形成されておらず、中央シートクッション11の幅方向全体が着座面11aとされ、中央シートバック12の幅方向全体が背凭れ面12aとされている。この中央シートバック12には、格納式のアームレスト19が設けられている。このアームレスト19は、中央シートバック12の背凭れ面12aに形成された矩形状の格納凹部12d内に格納された格納状態と、該中央シートバック12から前方に突出してアームレストとして使用可能な使用状態とに切換え可能に構成されている。このアームレスト19の格納状態では、アームレスト19の前面(使用状態の下面)が背凭れ面12aの一部を形成する。アームレスト19の使用状態では、側方シート2に着座する乗員が、アームレストとして使用することが可能になる。中央シートバック12が起立状態にありかつアームレスト19が格納状態にあるとき、背凭れ面12aは、側方シートバック7の背凭れ面7aよりも前方に突出している。この背凭れ面12aの背凭れ面7aに対する突出量は、側方シートクッション6のサイドサポート部6bの着座面6aに対する突出量と側方シートバック7のサイドサポート部7bの背凭れ面7aに対する突出量とを足した値よりも大きい。これにより、中央シートバック12が起立状態にありかつアームレスト19が格納状態にあるとき、該中央シートバック12の背凭れ面12aは、側方シートバック7の背凭れ面7aよりも前側でかつサイドサポート部7bの先端よりも前側に位置する。
側方シートバック7及び中央シートバック12の起立状態において、中央シートクッション11の着座面11aは、側方シートクッション6の着座面6aと略同じ高さ位置にあり、中央シートクッション11の下面は、側方シートクッション6の下面と略同じ高さ位置にある。但し、側方シートバック7及び中央シートバック12の倒伏状態においては、後述の如く、中央シートクッション11のみが下側へ移動するため、中央シートクッション11の着座面11aは側方シートクッション6の着座面6aよりも低くなるとともに、中央シートクッション11の下面も側方シートクッション6の下面よりも低くなる。また、起立状態にある中央シートバック12の背面は、前後方向において、起立状態にある側方シートバック7の背面と略同じ位置に位置している。
尚、中央シートクッション11の幅は側方シートクッション6の幅よりも小さく、中央シートバック12の幅は側方シートバック7の幅よりも小さい。中央シートクッション11の幅と中央シートバック12の幅とは略同じであり、側方シートクッション6の幅と側方シートバック7の幅とは略同じである。
図2〜図5に示すように、上記フロアパネル21は、側方シート2及び中央シート3に着座した各乗員の足置き場となる第1フロア部21aと、この第1フロア部21aの後側に連続して設けられ、第1フロア部21aよりも上側へ段上げされたキックアップ部21bと、このキックアップ部21bの後側に連続して設けられ、後側へ向かって上昇する傾斜部21cと、この傾斜部21cの後側に連続して設けられた第2フロア部21dとを有している。第2フロア部21dの上側(つまりシート装置1後方におけるフロアパネル21の上側)は、荷室72である。第2フロア部21d上には、不図示のフロアボードを介して、荷室72のフロアを構成する可撓性のフロア部材73が敷設されている。このフロア部材73の前端は、起立状態にある側方シートバック7及び中央シートバック12の下端部(倒伏状態にあるときには、後端部となる)に固定されている。フロア部材73の前端近傍部は、側方シートバック7及び中央シートバック12が起立状態にあるときには、下側に弛んでいる一方(図3参照)、側方シートバック7及び中央シートバック12が倒伏状態にあるときには、真っ直ぐに張った状態となる(図2、図4参照)。
上記側方シートクッション6及び中央シートクッション11は、フロアパネル21のキックアップ部21bの上側に配設され、側方シートバック7及び中央シートバック12は、フロアパネル21の傾斜部21cの上側に配設されている。
尚、両側方シート2の内部構成は同じであり、両側方シートクッション6をフロアパネル21上にそれぞれ支持する2つの側方シートクッション支持部23の構成も同じであるので、以下、一方の側方シート及び該側方シートを支持する側方シートクッション支持部23の構成について説明する。
図2に示すように、側方シートバック7は、上記傾斜部21cにおける側方シートバック7の両側側部に対応する位置にそれぞれ配設された左右一対の側方シートバック支持ブラケット22により、フロアパネル21上に支持されている。すなわち、側方シートバック7内には、起立状態にある側方シートバック7の上下面及び両側側面にそれぞれ沿うように略矩形枠状に形成されたシートバックフレーム7cが配設されており、このシートバックフレーム7cの両側側部の下端部に、シート幅方向外側へ延びる回動軸7dがそれぞれ一体に設けられている。そして、各回動軸7dが上記各側方シートバック支持ブラケット22にそれぞれ回動可能に支持されている。これにより、側方シートバック7は、乗員が側方シート2に着座可能な起立状態(図2に二点鎖線で示す状態)と、該起立状態から回動軸7d回りに回動して、側方シートクッション6上に倒伏した倒伏状態(図2に実線で示す状態)とに切換え可能となる。
側方シートクッション6は、側方シートクッション支持部23によりフロアパネル21上に支持されている。この側方シートクッション支持部23は、フロアパネル21のキックアップ部21bに固定されかつ側方シートクッション6を支持する支持部材31で構成されている。この支持部材31は、図6に示すように、上方に開口する直方体形状のボックス状に形成された物品収納部31aを有している。一方、側方シートクッション6の下端部には、周縁部全周が下側へ突出した逆皿状のシートクッションパン15が固定されており、このシートクッションパン15が上記物品収納部31aの開口を塞ぐように支持部材31上に載せられている。こうして側方シートクッション6が、側方シートクッション支持部23(支持部材31)によりフロアパネル21上に支持される。このことで、両側方シートクッション6の下側には、物品収納部31aが設けられていることになる。尚、物品収納部31aは必ずしも必要なものではない。また、一方の側方シートクッション6のみの下側に物品収納部31aを設けるようにしてもよい。さらに、物品収納部31aを、側方シートクッション6を支持する支持部材31とは別の部材で構成してもよい。
側方シートクッション6のシートクッションパン15の周縁部におけるシート幅方向両側の前側部分には、貫通孔15aがそれぞれ形成されている。また、物品収納部31aのシート幅方向両側の側面には、貫通孔15aにそれぞれ嵌合する回動軸31bが固定されている。これにより、シートクッションパン15(側方シートクッション6)は回動軸31b回りに回動可能に構成されている。そして、物品収納部31aの内部に対して物品を出し入れする際には、側方シートバック7が起立状態にあるときに、側方シートクッション6の後端部を持ち上げて、側方シートクッション6を回動軸31b回りに図2で反時計回りに回動させることで、物品収納部31aの開口を開放させる。
図3に示すように、中央シートバック12は、側方シートバック7と同様に、フロアパネル21の傾斜部21cにおける中央シートバック12の両側側部に対応する位置にそれぞれ配設された左右一対の中央シートバック支持ブラケット40により、フロアパネル21上に支持されている。
中央シートバック12内には、側方シートバック7と同様の略矩形枠状に形成されたシートバックフレーム12bが配設されており、このシートバックフレーム12bの両側側部の下端部に、シート幅方向外側へ延びる回動軸12cがそれぞれ一体に設けられている。そして、各回動軸12cが上記各中央シートバック支持ブラケット40にそれぞれ回動可能に支持されている。これにより、中央シートバック12は、乗員が中央シート3に着座可能な起立状態(図3に示す状態)と、該起立状態から回動軸12c回りに回動して、中央シートクッション11上に倒伏した倒伏状態(図4に示す状態)とに切換え可能となる。
中央シートバック12のシートバックフレーム12bの後部には、バックプレート12eが、該シートバックフレーム12bの枠状開口部を覆うように設けられている。このバックプレート12eにおける回動軸12cの上側近傍に、左右一対のアームレスト支持部材12fがアームレスト19の両側に位置するように取付固定されている。このアームレスト支持部材12fに、格納状態のアームレスト19の下端部が、シート幅方向に延びる軸12g回りに回動可能に支持されている。これにより、アームレスト19は、格納状態(図3に実線で示す状態)と使用状態(図3に二点鎖線で示す状態)とに切換え可能となる。
中央シートクッション11は、中央シートクッション支持部41によりフロアパネル21上に支持されている。この中央シートクッション支持部41は、中央シートクッション11の前側部分をフロアパネル21上に支持する前側支持部41aと、中央シートクッション11の後側部分をフロアパネル21上に支持する後側支持部41bとを有している。すなわち、中央シートクッション11内には、中央シートクッション11の前面及び後面並びに両側側面にそれぞれ沿うように略矩形枠状に形成されたシートクッションフレーム11bが配設されており、このシートクッションフレーム11bの両側側部の前端部が前側支持部41aにより支持され、シートクッションフレーム11bの両側側部の後端部が後側支持部41bにより支持されている。
前側支持部41aは、中央シートクッション11の下側においてフロアパネル21の第1フロア部21aとキックアップ部21bとに跨って取付固定された左右一対の中央シートクッション支持ブラケット32と、該一対の中央シートクッション支持ブラケット32に、シート幅方向に延びる軸35回りに回動可能にそれぞれ支持された左右一対の回動部材33と、シートクッションフレーム11bの両側側部の前端部にそれぞれ取付固定された左右一対の取付部材34とからなる。各回動部材33は、各取付部材34に対し、シート幅方向に延びる軸36回りに回動可能にそれぞれ連結されている。尚、中央シートバック12が起立状態にあるときには、回動部材33は上下方向に延びていて、上記軸36が上記軸35に対して略真上に位置する。
後側支持部41bは、シートクッションフレーム11bとシートバックフレーム12bとを連結する左右一対の連結部材37からなっていて、シートバックフレーム12b及び中央シートバック支持ブラケット40を介して、中央シートクッション11の後側部分(シートクッションフレーム11bの両側側部の後端部)をフロアパネル21に対して支持する。一対の連結部材37の一端部は、シートクッションフレーム11bの両側側部の後端部にそれぞれ取付固定されている一方、他端部は、シートバックフレーム12bの両側側部における回動軸12cの上側かつ後側の近傍に、シート幅方向に延びる軸38回りに回動可能にそれぞれ連結されている。
上記中央シートクッション支持部41は、中央シートバック12の起立状態から倒伏状態への切換えに連動して、中央シートクッション11を前側かつ下側へ移動させるように構成されている。すなわち、中央シートバック12を、起立状態から回動軸12c回りに前側に倒伏させると、連結部材37の上記他端部も回動軸12c回りに回動して前側に移動する。これにより、回動部材33の上端部が、連結部材37及びシートクッションフレーム11bを介して前側へ押されて、回動部材33が上記軸35回りに、図3で反時計回りに回動する。この結果、中央シートクッション11(シートクッションフレーム11b)が前側かつ下側へ移動する。特に中央シートクッション11の前側部分が大きく下側へ移動する。このことで、前側支持部41a及び後側支持部41bは、中央シートバック12の起立状態から倒伏状態への切換えに連動して、中央シートクッション11を下側へ移動させる連動機構を構成することになる。このように中央シート3は、この連動機構により所謂ダイブダウン収納可能に構成されている。
一方、側方シートクッション支持部23は、上記の如く、そのような連動機構を有していない。すなわち、側方シートクッション支持部23は、側方シートクッション6を、側方シートバック7の倒伏状態において、フロアパネル21に対して中央シートバック12の起立状態と同じ位置に支持する。このため、側方シートバック7を倒伏しても、その倒伏に連動して側方シートクッション6が移動することはない(ダイブダウン収納されない)。したがって、側方シートクッション支持部23及び中央シートクッション支持部41のうち中央シートクッション支持部41のみが、上記連動機構を有していることになる。
そして、図4に示すように、中央シートバック12の倒伏状態(アームレスト19は格納状態となっている)では、中央シートバック12の背凭れ面12aが中央シートクッション11の着座面11aに当接するとともに、ヘッドレスト13が中央シートクッション11の着座面11aの前端部にそれぞれ当接する。尚、基本的には、中央シートバック12の背凭れ面12aが中央シートクッション11の着座面11aに当接するようになっており、こられ当接した部分の弾性変形によっては、ヘッドレスト13が中央シートクッション11の着座面11aの前端部に当接することになる。この倒伏状態で中央シートバック12の背面(上面)は略水平状態になっている。
一方、側方シートクッション6は、中央シートクッション11のように、側方シートバック7の倒伏に連動して前側へ移動しないので、側方シートクッション6が側方ヘッドレスト8の回動軌跡上に位置せず、このため、側方シートバック7の倒伏状態では、側方ヘッドレスト8が側方シートクッション6の着座面6aの前端部に当接することはなく、側方シートバック7のサイドサポート部7bが側方シートクッション6のサイドサポート部6bに当接することになる。この倒伏状態で、側方シートクッション6が中央シートクッション11と同じ量だけ下側へ移動したと仮定すると、中央シートバック12の背面(上面)は側方シートバック7の背面(上面)に対して上方に突出することになる。すなわち、側方シートバック7の倒伏状態における側方シート2のサイドサポート部6bを含む上下方向厚さが、中央シートバック12の倒伏状態における中央シート3の上下方向厚さよりも薄いために、該中央シート3の上下方向厚さが該側方シート2の上下方向厚さよりも厚い、つまり倒伏状態にある中央シートバック12の背面が倒伏状態にある側方シートバック7の背面よりも高い高さ位置に位置することになる。しかし、側方シートクッション6は、側方シートバック7の倒伏に連動して下側へ移動せず、中央シートクッション6のみが下側に移動し、その移動量は、上記倒伏状態における中央シート3と側方シート2との上下方向厚さの差分量よりも大きく設定されている。この結果、側方シートバック7及び中央シートバック12が倒伏状態にあるときに、中央シートバック12の背面が、側方シートバック7の背面よりも低い高さ位置に位置する(図5、図7及び図8参照)。倒伏状態にある両側方シートバック7の背面の高さ位置は略同じである。また、倒伏状態にある中央シートバック12の背面は、フロア部材73の上面と略同じ高さ位置にある。尚、倒伏状態にある中央シートバック12の背面は、倒伏状態にある側方シートバック7の背面よりも低い高さ位置にありさえすれば、フロア部材73の上面と異なる高さ位置にあってもよく、この場合、フロア部材73の上面よりも低い高さ位置にあることが好ましい。
ここで、側方シートバック7の回動中心となる回動軸7d及び中央シートバック12の回動中心となる回動軸12cは、同一直線上に位置している。これにより、側方シートバック7及び中央シートバック12が倒伏状態にあるときに、側方シートバック7の背面の後端部が、中央シートバック12の背面の後端部(本実施形態では、該背面の全体)と略同じ高さ位置に位置する(図5参照)。これにより、倒伏状態にある側方シートバック7の背面は、基本的には、フロア部材73の上面よりも高くなっているが、該背面の後端部は、フロア部材73の上面と略同じ高さ位置にある。
側方シートバック7及び中央シートバック12は、起立状態にあるときに、車室71と荷室72とを区画している。各シートバック7,12はそれぞれ独立に倒伏状態にすることができるので、乗員の人数や荷室72に積み込む荷物の大きさ等に応じて種々のシートアレンジが可能になり、車室71及び荷室72のユーティリティが向上する。そして、側方シートバック7及び中央シートバック12が倒伏状態にあるときに、中央シートバック12の背面が、側方シートバック7の背面よりも低い高さ位置に位置しているので、中央シートバック12の背面上に、特に長尺状の荷物を積載する場合に、その両側の側方シートバック7により、長尺状の荷物をシート幅方向(車幅方向)に移動しないように保持することが可能になる。また、中央シートバック12の背面を低くすることで、幅が小さくて背の高い荷物(例えば自転車等)を積載し易くなり、また、その荷物を側方シートを利用して保持することもできるので、背の高い荷物を安定して積載することができる。さらに、幅が大きい荷物の場合には、その荷物を両側方シートバック7の背面に跨るように積載すればよく、倒伏状態にある両側方シートバック7の背面の高さ位置が同じでありさえすれば、その高さ位置に比べて中央シートバック12の背面が低くても問題はない。しかも、倒伏状態にある全シートバック7,12の背面の後端部が、フロア部材73の上面と略同じ高さ位置にあるので、幅が大きい大型の荷物を、持ち上げずにフロア部材73上を滑らせながら、両側方シートバック7の背面上に載せることが可能になる。また、幅が小さい荷物を、持ち上げずに荷室のフロア上を滑らせながら、中央シートバック12の背面上に載せることも可能になる。よって、倒伏状態にあるシートバック7,12の背面の使い勝手を向上させることができる。
また、側方シート2及び中央シート3のうち中央シート3のみをダイブダウン収納可能に構成したので、全シート2,3をダイブダウン収納可能に構成する場合に比べてコスト及び重量をかなり低減することができる。
尚、上記実施形態では、中央シート3がその両側の側方シート2に接した状態にあるが、中央シート3とその両側の側方シート2とは必ずしも接している必要はなく、車幅方向に離間して配設されていてもよい。
また、上記実施形態では、全シートバック7,12の倒伏状態において、中央シートバック12の背面が側方シートバック7の背面よりも低い高さ位置に位置するように、中央シートクッション11を下側に移動させたが、図9に示すように、中央シートバック12の背面が側方シートバック7の背面と略同じ高さ位置に位置するように、中央シートクッション11を下側に移動させるようにしてもよい。この場合、中央シートクッション11の下側への移動量は、シートバック7,12の倒伏状態における中央シート3と側方シート2との上下方向厚さの差分量と略同じになる。これにより、倒伏状態にある中央シートバック12の背面が倒伏状態にある側方シートバック7の背面に対して突出するのを防ぐことができ、倒伏状態におけるシートバック7,12の背面の使い勝手を向上させることができる。ここで、倒伏状態にある全シートバック7,12の背面を略同じ高さ位置に位置させる場合も、全シートバック7,12の背面の後端部を、フロア部材73の上面と略同じ高さ位置に位置させることが好ましく、該背面の略全体(元々突出形成されている前端部を除く)を略水平状態にして、該背面の略全体をフロア部材73の上面と略同じ高さ位置に位置させることがより一層好ましい。
さらに、上記実施形態では、中央シートバック12にアームレスト19を設けることで、中央シートバック12の厚みが厚くなり、中央シートバック12の倒伏状態における中央シート3の上下方向厚さが、側方シートバック7の倒伏状態における側方シート2の上下方向厚さよりも厚くなったが、アームレスト19は必須のものではなく、該中央シート3の上下方向厚さが該側方シート2の上下方向厚さよりも厚くありさえすればよい。
また、上記実施形態では、シート装置1は、車両の荷室72の直前(車室71の後端部)に配設されるものとしたが、これには限られず、例えば前後3列シートの中央の列に配設されるものであってもよい。