(第1実施形態)
図1、2により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクルを冷凍機に適用した例を説明する。この冷凍機は、冷却対象空間である冷凍庫内を−30〜−10℃程度の極低温まで冷却するものである。図1は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100の全体構成図である。
エジェクタ式冷凍サイクル100において、第1圧縮機11は、冷媒を吸入し、圧縮して吐出するもので、吐出容量が固定された第1圧縮手段11aを第1電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機である。第1圧縮手段11aとしては、具体的に、スクロール型圧縮手段、ベーン型圧縮手段等の各種圧縮手段を採用できる。
第1電動モータ11bは、後述する制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。そして、この回転数制御によって、第1圧縮手段11aの冷媒吐出能力が変更される。従って、本実施形態の第1電動モータ11bは、第1圧縮手段11aの冷媒吐出能力を変更する第1吐出能力変更手段を構成している。
第1圧縮機11の吐出口側には、放熱器12が接続されている。放熱器12は第1圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12aにより送風される庫外空気(外気)とを熱交換させることによって、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。冷却ファン12aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
そして、この回転数制御による送風空気量の増減に伴って、放熱器12の放熱能力も増減する。さらに、本実施形態の放熱器12は、冷却ファン12aを停止させると、ほぼ放熱能力を発揮しない状態となる。従って、本実施形態の冷却ファン12aは、放熱器12の放熱能力を調整する放熱能力調整手段を構成している。
なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用し、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。従って、放熱器12は冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。また、この冷媒には第1、第2圧縮手段11a、21aを潤滑するための液相冷媒に対して溶解性を有する冷凍機油が混入されており、冷凍機油は冷媒とともにサイクルを循環している。
放熱器12の出口側には、放熱器12から流出した高圧冷媒の流れを分岐する第1分岐部13が接続されている。第1分岐部13は、3つの流入出口を有する三方継手で構成されており、3つの流入出口のうち1つを冷媒流入口とし、2つを冷媒流出口としたものである。
このような三方継手は、管径の異なる配管を接合して構成してもよいし、金属ブロックや樹脂ブロックに通路径の異なる複数の冷媒通路を設けて構成してもよい。第1分岐部13の一方の冷媒流出口には、高圧側減圧手段としての温度式膨張弁14が接続され、他方の冷媒流出口には、後述する内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aが接続されている。
温度式膨張弁14は、第1圧縮手段11a吸入側に設けられた感温部(図示せず)を有しており、第1圧縮手段11a吸入側冷媒の温度と圧力とに基づいて、第1圧縮手段11a吸入側冷媒の過熱度を検出し、この過熱度が予め設定された所定値となるように機械的機構により弁開度(冷媒流量)を調整する可変絞り機構である。
温度式膨張弁14の出口側には、内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bが接続されている。内部熱交換器15は、高圧側冷媒流路15aを通過する第1分岐部13にて分岐された他方の冷媒と中間圧側冷媒流路15bを通過する温度式膨張弁14下流側冷媒との間で熱交換を行うものである。
より具体的には、本実施形態における温度式膨張弁14下流側冷媒は、温度式膨張弁14にて減圧膨張された冷媒のうち、後述する合流部16上流側の冷媒である。従って、第1分岐部13にて温度式膨張弁14側へ流入した冷媒は、温度式膨張弁14→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→合流部16の順に流れる。
また、内部熱交換器15の具体的構成としては、高圧側冷媒流路15aを形成する外側管の内側に中間圧側冷媒流路15bを形成する内側管を配置する二重管方式の熱交換器構成を採用している。もちろん、高圧側冷媒流路15aを内側管として、中間圧側冷媒流路15bを外側管としてもよい。さらに、高圧側冷媒流路15aと中間圧側冷媒流路15bとを形成する冷媒配管同士をろう付け接合して熱交換させる構成等を採用してもよい。
内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bの出口側には、合流部16の冷媒流入口が接続されている。合流部16は、内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bから流出した冷媒の流れと後述する第2圧縮機21の第2圧縮手段21a吐出冷媒の流れとを合流させて、第1圧縮手段11a吸入側へ流出させるものである。
この合流部16の基本的構成は、第1分岐部13と同様である。つまり、合流部16では、三方継手の3つの流入出口のうち2つを冷媒流入口とし、1つを冷媒流出口としている。
内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aの出口側には、図1に示すように、後述するエジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒を中間圧冷媒となるまで減圧膨張させるノズル前減圧手段としての、第1固定絞り17が接続されている。この第1固定絞り17としては、キャピラリチューブ、オリフィス等の固定絞り機構を採用できる。
第1固定絞り17の出口側には、第1分岐部13にて分岐された他方の冷媒の流れ、すなわち第1分岐部13にて分岐されて第1固定絞り17にて減圧膨張された冷媒の流れを分岐する第2分岐部18が接続されている。この第2分岐部18の基本的構成は、第1分岐部13と同様である。
第2分岐部18の一方の冷媒流出口には、エジェクタ19のノズル部19a入口側が接続され、他方の冷媒流出口には、後述する吸引側減圧手段としての第2固定絞り22が接続されている。エジェクタ19は、冷媒を減圧膨張させる冷媒減圧手段であるとともに、高速で噴出する冷媒流の吸引作用によって冷媒の循環を行う冷媒循環手段もある。
具体的には、エジェクタ19は、第2分岐部18にて分岐された一方の中間圧冷媒の通路面積を小さく絞って、中間圧冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるノズル部19a、ノズル部19aの冷媒噴射口と連通するように配置されて後述する吸引側蒸発器23から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口19b等を有して構成される。
さらに、ノズル部19aおよび冷媒吸引口19bの冷媒流れ下流側部位には、ノズル部19aから噴射する高速度の噴射冷媒と冷媒吸引口19bからの吸引冷媒とを混合して昇圧させるディフューザ部19cが設けられている。
ディフューザ部19cは冷媒通路面積を徐々に大きくする形状に形成されており、冷媒流れを減速して冷媒圧力を上昇させる作用、つまり、冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する作用を果たす。もちろん、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させる混合部を設け、混合された冷媒をディフューザ部19cへ流入させるようにしてもよい。
エジェクタ19の出口側(具体的には、ディフューザ部19cの出口側)には、流出側蒸発器20が接続されている。流出側蒸発器20は、エジェクタ19のディフューザ部19cから流出した冷媒と送風ファン20aによって循環送風される冷凍庫内空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。従って、流出側蒸発器20における熱交換対象流体は、冷凍庫内空気である。
流出側蒸発器20の出口側には、第2圧縮機21の吸入口が接続されている。第2圧縮機21の基本的構成は第1圧縮機11と同様である。従って、第2圧縮機21は、固定容量型の第2圧縮手段21aを第2電動モータ21bにて駆動する電動圧縮機である。さらに、本実施形態の第2電動モータ21bは、第2圧縮手段21aの冷媒吐出能力を変更する第2吐出能力変更手段を構成している。
また、前述の如く、第2圧縮機21の吐出口には、合流部16の冷媒流入口が接続され、合流部16の冷媒流出口には、第1圧縮手段11aの吸入口が接続されている。
第2分岐部18の他方の冷媒流出口には、図1に示すように、第2固定絞り22が接続されている。第2固定絞り22の基本的構成は、第1固定絞り17と同様である。この第2固定絞り22は、第2分岐部18にて分岐された他方の冷媒を減圧膨張させるもので、その出口側に接続された吸引側蒸発器23へ流入する冷媒を減圧膨張させる吸引側減圧手段としての機能を果たす。
吸引側蒸発器23は、固定絞り22にて減圧膨張された低圧冷媒と送風ファン20aから循環送風された流出側蒸発器20通過後の庫内空気とを熱交換させることによって、冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。吸引側蒸発器23の出口側には、エジェクタ19の冷媒吸引口19bが接続されている。
なお、本実施形態では、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23をフィンアンドチューブ構造の熱交換器で構成し、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23の熱交換フィンを共通化している。そして、エジェクタ19から流出した冷媒を流通させるチューブ構成と、固定絞り22から流出した冷媒を流通させるチューブ構成とを互いに独立に設けることで、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23を一体構造に構成している。
そのため、送風ファン20aにて送風された室外空気は、まず、流出側蒸発器20にて吸熱され、次に吸引側蒸発器23にて吸熱されるようになっている。もちろん、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23を一体構造とする際に、双方の蒸発器の構成部品をアルミニウムで構成し、ろう付け等の接合手段により一体構造に接合してもよい。さらに、ボルト締め等の機械的係合手段によって一体的に結合する構成を採用してもよい。
図示しない制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行って、上述の各種電気式のアクチュエータ11a、12a、20a、21a等の作動を制御する制御手段である。
従って、この制御装置は、第1吐出能力変更手段である第1電動モータ11bの作動を制御する第1吐出能力制御手段としての機能、第2吐出能力変更手段である第2電動モータ21bの作動を制御する第2吐出能力制御手段、そして、放熱能力調整手段である冷却ファン12aの作動を制御する放熱能力制御手段としての機能を兼ね備えている。
もちろん、第1吐出能力制御手段、第2吐出能力制御手段および放熱能力制御手段を異なる制御装置で構成してもよい。また、制御装置には、外気温を検出する外気センサ、庫内温度を検出する庫内温度センサ等の図示しないセンサ群の検出値や、冷凍機を作動させる作動スイッチ、等が設けられた図示しない操作パネルの各種操作信号が入力される。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図2のモリエル線図に基づいて説明する。操作パネルの作動スイッチが投入されると、制御装置が第1、第2電動モータ11b、21b、冷却ファン12a、送風ファン20aを作動させる。これにより、圧縮機10が冷媒を吸入し、高圧冷媒となるまで圧縮して吐出する(図2(a)のa2点)。
第1圧縮機11から吐出された高温高圧の気相冷媒は、放熱器12へ流入し、冷却ファン12aから送風された送風空気(外気)と熱交換して放熱して凝縮する(a2点→b2点)。放熱器12から流出した冷媒の流れは、第1分岐部13にて温度式膨張弁14側へ流出する流れと、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a側へ流出する流れとに分流される。
温度式膨張弁14へ流入した冷媒は、中間圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧膨張されて気液二相状態となる(b2点→c2点)。この際、温度式膨張弁14の弁開度は、第1圧縮機11吸入側冷媒の過熱度(e2点)が予め定めた所定値となるように調整される。温度式膨張弁14から流出した中間圧冷媒は、内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bへ流入する。
内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bへ流入した中間圧冷媒は、第1分岐部13から高圧側冷媒流路15aへ流入した高圧冷媒と熱交換して、そのエンタルピを増加させる(c2点→d2点)。中間圧側冷媒流路15bから流出した冷媒は、合流部16にて第2圧縮機21吐出冷媒(l2)と合流して(d2点→e2点)、第1圧縮機11に吸入されて再び圧縮される(e2点→a2点)。
一方、第1分岐部13から内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aへ流入した冷媒は、そのエンタルピを減少させて(b2点→f2点)、第1固定絞り17へ流入する。第1固定絞り17へ流入した冷媒は、等エンタルピ的に減圧膨張して、気液二相状態となる(f2点→g2点)。
第1固定絞り17から流出した冷媒の流れは、第2分岐部18にてエジェクタ19のノズル部19a側へ流出する流れと、第2固定絞り22側へ流出する流れとに分流される。
この際、第2分岐部18では、第2固定絞り22側へ流入する減圧手段側冷媒流量Geとノズル部19a側へ流入するノズル側冷媒流量Gnozとの流量比Gnoz/Geが、サイクル全体として高いCOPを発揮できる最適流量比となるように、第2分岐部18、ノズル部19aおよび第2固定絞り22の流量特性(圧力損失特性)が決定されている。
第2分岐部18からエジェクタ19のノズル部19aへ流入した冷媒は、ノズル部19aにて、等エントロピ的に減圧膨張する(g2点→h2点)。そして、この減圧膨張時に冷媒の圧力エネルギが速度エネルギに変換されて、冷媒がノズル部19aの冷媒噴射口から高速度となって噴射される。この噴射冷媒の冷媒吸引作用により、冷媒吸引口19bから吸引側蒸発器23流出冷媒が吸引される。
さらに、ノズル部19aから噴射された噴射冷媒と冷媒吸引口19bから吸引された吸引冷媒がエジェクタ19のディフューザ部19cにて混合され(h2点→i2点、n2点→i2点)、昇圧される(i2点→j2点)。つまり、ディフューザ部19cでは通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換されるため、冷媒の圧力が上昇する。
ディフューザ部19cから流出した冷媒は、流出側蒸発器20へ流入して、送風ファン20aにより循環送風される庫内空気から吸熱して蒸発する(j2点→k2点)。これにより、庫内送風空気が冷却される。そして、吸引側蒸発器23から流出した冷媒は、第2圧縮機21に吸入され、中間圧となるまで圧縮される(k2点→l2点)。
この際、制御装置は、第2圧縮機21の吸引作用によって、エジェクタ19の下流側から冷媒を吸入して、エジェクタ19の駆動流の流量低下を抑制して、エジェクタ19に吸引作用を発揮させることができるように、第2圧縮機21の第2電動モータ21bの作動を制御する。
さらに、第2圧縮機21の冷媒吐出能力に応じて、サイクルの高圧側冷媒圧力、すなわち第1圧縮機11の吐出冷媒圧力が不必要に上昇しないように、第1圧縮機11の第1電動モータ11bの作動を制御する。第2圧縮機21から吐出された冷媒は、前述の如く、合流部20にて内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bから流出した冷媒と合流して(l2点→e2点)、第1圧縮機11に吸入される。
一方、第2分岐部18から固定絞り22側へ流入した冷媒は、さらに低圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧膨張される(g2点→m2点)。固定絞り22にて減圧膨張された低圧冷媒は、吸引側蒸発器23へ流入し、送風ファン20aから送風された流出側蒸発器20通過後の庫内送風空気から吸熱して蒸発する(m2点→n2点)。
これにより、庫内送風空気がさらに冷却される。そして、吸引側蒸発器23から流出した冷媒は、前述の如く、冷媒吸引口19bからエジェクタ19内へ吸引される(n2点→i2点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100は、上述の如く作動するので、以下のような優れた効果を得ることができる。
(A)第2分岐部18において、流量比Gnoz/Geが最適流量比となるように、冷媒の流れを分流しているので、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23の双方へ適切に冷媒を供給できる。従って、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23の双方で同時に冷却作用を発揮できる。
この際、吸引側蒸発器23の冷媒蒸発圧力は第2固定絞り22にて減圧された後の圧力となり、流出側蒸発器20の冷媒蒸発圧力は、吸引側蒸発器23の冷媒蒸発圧力をディフューザ部19cで昇圧した後の圧力となる。従って、流出側蒸発器20の冷媒蒸発温度よりも吸引側蒸発器23の冷媒蒸発温度を低くすることができる。
そして、送風ファン20aの送風空気の流れ方向に対して、冷媒蒸発温度が高い流出側蒸発器20を上流側に配置し、冷媒蒸発温度が低い吸引側蒸発器23を下流側に配置しているので、流出側蒸発器20における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差および吸引側蒸発器23における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差を確保できる。その結果、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23の双方における熱交換効率を向上できる。
(B)エジェクタ19の駆動流が流量低下するような運転条件、すなわち、エジェクタ19の吸引能力が低下するような運転条件となっても、第2圧縮機21(第2圧縮手段21a)の吸引作用によって、エジェクタ19のディフューザ部19cの下流側から冷媒を吸入して、エジェクタ19の駆動流の流量低下を抑制できる。従って、エジェクタ19の吸引能力を補助して、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
第2圧縮機21の冷媒吐出能力を増加させたとしても、第1圧縮手段11aの冷媒吐出能力を調整することができるので、サイクルの高圧側冷媒圧力が不必要に上昇してしまうことを回避できる。従って、不必要にCOPを低下させてしまうことがない。その結果、駆動流の流量変動が生じ得る運転条件であっても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
このような効果は、高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が大きい冷凍サイクル装置、例えば、本実施形態のように、冷却対象空間である冷凍庫内温度を極低温(例えば、−30℃〜−10程度)まで低下させる冷凍サイクル装置において、極めて有効である。
(C)第1圧縮機11→放熱器12→第1分岐部13→温度式膨張弁14→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒を循環させる冷凍サイクルを、内部熱交換器15によって、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20へ流入する冷媒を冷却するために利用している。
従って、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20へ流入する冷媒のエンタルピを減少させて、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20にて発揮できる冷凍能力を増大させることができ、COPを向上させることができる。
(D)流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23といった蒸発器を通過する冷媒は、第1圧縮機11→放熱器12→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→エジェクタ19→流出側蒸発器20→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に流れ、さらに、第1圧縮機11→放熱器12→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→吸引側蒸発器23→エジェクタ19→流出側蒸発器20→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11(第1圧縮手段11a)の順に流れる。
つまり、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23といった蒸発器を通過する冷媒の流れが環状となるので、冷媒に第1、第2圧縮機11、21の潤滑用のオイル(冷凍機油)を混入させても、このオイルが流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23内等に滞留してしまうことを回避できる。その結果、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(E)第1圧縮手段11aに、合流部16にて合流した中間圧気相冷媒を吸入させることができるので、第2圧縮手段21a吐出冷媒のみを吸入させる場合に対して、第1圧縮手段11aにおいて冷媒を等エントロピ的に圧縮する際の圧縮仕事量を低減させて、より一層、COPを向上できる。
(F)第1固定絞り17にて減圧された冷媒(図2のg2点)が気液二相状態となるので、エジェクタ19のノズル部19aへ気液二相状態の冷媒を流入させることができる。従って、ノズル部19aへ液相冷媒を流入させる場合に対して、ノズル部19aにおける冷媒の沸騰を促進させることができ、ノズル効率を向上させることができる。
従って、回収エネルギ量を増加させて、ディフューザ部19cにおける昇圧量を増加させることができるので、より一層、COPを向上できる。さらに、ノズル部19aへ液相冷媒を流入させる場合に対して、ノズル部19aの冷媒通路面積を拡大することができるので、ノズル部19aの加工が容易となる。その結果、エジェクタ19の製造コストを低減して、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としての製造コストを低減できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図3の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、補助内部熱交換器25を追加するとともに、流出側蒸発器20を廃止した例を説明する。なお、図3では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
本実施形態の補助内部熱交換器25の基本的構成は、第1実施形態の内部熱交換器15と同様である。この補助内部熱交換器25は、高圧側冷媒流路25aを通過する第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒と、低圧側冷媒流路25bを通過するエジェクタ19のディフューザ部19cから流出した冷媒との間で熱交換を行うものである。
より具体的には、本実施形態における高圧側冷媒流路25aを通過する冷媒は、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a出口側から第1固定絞り17へ至る冷媒流路を流通する冷媒である。従って、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒は、内部熱交換器15→補助内部熱交換器25→第1固定絞り17の順に流れる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図4のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図4における冷媒の状態を示す符号は、図2における同様の冷媒の状態を示す符号と同一の符号を用いるとともに添字のみを変更している。このことは、以下の実施形態におけるモリエル線図においても同様である。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100作動させると、ディフューザ部19cから流出した冷媒が補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bにて蒸発して、第2圧縮機21へ吸入される冷媒のエンタルピが増加する(図4のj4点→k4点)。さらに、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒が補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25bにて放熱し、そのエンタルピが減少する(図4のf4点→f’4点)。
その他の作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態では、吸引側蒸発器23にて冷却作用を発揮できるだけでなく、第1実施形態の(B)〜(F)と同様の効果を得ることができる。さらに、補助内部熱交換器25の作用によって、吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させて、吸引側蒸発器23にて発揮できる冷凍能力を増大させることができるので、より一層、COPを向上できる。
さらに、本実施形態では、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒を内部熱交換器15→補助内部熱交換器25→第1固定絞り17の順に通過させているので、効率的に吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させることができる。その理由は、内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bを流れる中間圧冷媒に対して、補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bを流れる低圧冷媒の温度が低くなるからである。
もちろん、中間圧冷媒と低圧冷媒との温度差が小さくなる場合等には、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒を補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17の順に通過させてもよい。
(第3実施形態)
本実施形態では、図5の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、補助放熱器24を追加した例を説明する。補助放熱器24は、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した高圧冷媒と冷却ファン12aにより送風される庫外空気(外気)とを熱交換させることによって、高圧冷媒をさらに放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。
なお、図5では、図示の明確化のため、冷却ファン12aを放熱器12近傍に配置しているが、この冷却ファン12aは、補助放熱器24にも庫外空気を送風する。もちろん、放熱器12および補助放熱器24に、それぞれ独立した送風ファンから庫外空気を送風するようにしてもよい。
また、本実施形態の放熱器12は、上述の実施形態に対して、熱交換面積を縮小することによって、その熱交換能力を低下させている。さらに、図5に示すように、本実施形態では、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒は、補助放熱器24→内部熱交換器15→第1固定絞り17の順に流れる。
さらに、本実施形態の第1分岐部13は、放熱器12の熱交換能力の低下に伴って、補助放熱器24側へ流出する冷媒流量が、温度式膨張弁14側へ流出する冷媒流量よりも多くなるように構成されている。このような流量調整は、第1分岐部13内の各冷媒通路の冷媒通路面積等を調整することで行うことができる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の作動を図6のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態では、第1圧縮機11吐出冷媒(図6のa6点)が放熱器12にて放熱して凝縮し、気液二相状態となる(a6点→b6点)。これは、上述の第1実施形態に対して放熱器12の熱交換能力を低下させているからである。
放熱器12から流出した高圧冷媒は、第1分岐部13へ流入し、温度式膨張弁14側へ流出する冷媒流れと補助放熱器24側へ流出する冷媒流れとに分流される。補助放熱器24側へ流入した冷媒は、補助放熱器24→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aの順に流れて、そのエンタルピをさらに減少させる(b6点→b’6点→f6点)。
その他の作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態では、第1実施形態の(A)〜(F)と同様の効果を得ることができるとともに、補助放熱器24の作用によって、吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させて、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20にて発揮できる冷凍能力を増大させることができる。
さらに、第1分岐部13から補助放熱器24側へ流出する冷媒流量が、温度式膨張弁14側へ流出する冷媒流量より多くなるように調整されているので、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20へ供給される冷媒流量を増加させることができる。その結果、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20にて発揮される冷却能力を増加させることができる。
さらに、本実施形態では、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒を補助放熱器24→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17の順に通過させているので、効率的に吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させることができる。その理由は、内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bを流れる中間圧冷媒に対して、補助放熱器24にて冷媒と熱交換する庫外空気の温度が高くなるからである。
もちろん、中間圧冷媒と庫外空気との温度差が小さくなる場合等には、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒を内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助放熱器24→第1固定絞り17の順に通過させてもよい。
(第4実施形態)
本実施形態では、図7の全体構成図に示すように、第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第2実施形態と同様の補助内部熱交換器25を追加するとともに、流出側蒸発器20を廃止している。
従って、本実施形態では、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒は、補助放熱器24→内部熱交換器15→補助内部熱交換器25→第1固定絞り17の順に流れる。その他の構成は、第3実施形態と同様である。
次に、本実施形態の作動を図8のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態では、放熱器12から流出した高圧冷媒が、第1分岐部13にて、温度式膨張弁14側へ流出する冷媒流れと補助放熱器24側へ流出する冷媒流れとに分流される。
第1分岐部13から補助放熱器24側へ流入した冷媒は、第3実施形態と同様に、補助放熱器24→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a順に流れ、そのエンタルピをさらに減少させる(図8のb8点→b’8点→f8点)。
さらに、第2実施形態と同様に、ディフューザ部19cから流出した冷媒が補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bにて蒸発して、第2圧縮機21へ吸入される冷媒のエンタルピが増加する(j8点→k8点)。また、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒が補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25bにて冷却され、そのエンタルピが減少する(f8点→f’8点)。
その他の作動は、第3実施形態と同様である。従って、本実施形態では、吸引側蒸発器23にて冷却作用を発揮できるだけでなく、第1実施形態の(B)〜(F)と同様の効果を得ることができる。さらに、補助放熱器24および補助内部熱交換器25の作用によって、吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させて、吸引側蒸発器23にて発揮できる冷凍能力を増大させることができるので、より一層、COPを向上できる。
さらに、本実施形態では、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒を補助放熱器24→内部熱交換器15→補助内部熱交換器25→第1固定絞り17の順に通過させているので、第2、第3実施形態と同様に、効率的に吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させることができる。
(第5実施形態)
図9、10により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル200を第1実施形態と同様の冷凍機に適用した例を説明する。図9は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200の全体構成図である。なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200は、その前提となる第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、構成機器の変更およびその接続態様の変更、すなわちサイクル構成を変更したものである。
図9に示すように、本実施形態では、第2分岐部18を廃止して、第1固定絞り17から流出した冷媒の全流量をエジェクタ19のノズル部19aへ流入させる。流出側蒸発器20を廃止して、エジェクタ19のディフューザ部19cの出口側に、ディフューザ部19cから流出した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰冷媒を貯える流出側気液分離器としてのアキュムレータ26を設けている。
アキュムレータ26の気相冷媒出口には、第2圧縮機21の吸入口が接続され、液相冷媒出口には、第2固定絞り22が接続されている。また、第2固定絞り22の出口側には、吸引側蒸発器23の入口側が接続されている。さらに、本実施形態では、吸引側蒸発器23出口側と第2圧縮機21吸入口側とを接続するオイル戻し通路27が設けられている。
このオイル戻し通路27は、吸引側蒸発器23の出口側から第2圧縮機21の吸入口側へ冷凍機油を戻すための通路である。また、オイル戻し通路27には、オイル戻し通路27を開閉するオイル戻し用開閉弁27aが配置されている。このオイル戻し用開閉弁27aは、制御装置から出力される制御電圧によって、開閉作動が制御される電磁弁である。
さらに、オイル戻し用開閉弁27aが開弁した際の冷媒通路面積は、オイル戻し通路27の冷媒通路面積よりも小さく形成されている。従って、オイル戻し通路27を流通する冷媒は、オイル戻し用開閉弁27aを通過する際に減圧される。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図10のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200では、庫内を冷却する通常運転モードと庫内を冷却しながら第2圧縮機21へ冷凍機油を戻すオイル戻し運転モードとを、所定時間毎に切り替えている。なお、図10(a)は、通常運転モードのモリエル線図であり、図10(b)は、オイル戻し運転モードのモリエル線図である。
まず、通常運転モードでは、制御装置が、制御装置が第1、第2電動モータ11b、21b、冷却ファン12a、送風ファン20aを作動させる。さらに、制御装置が、オイル戻し用開閉弁27aを閉弁状態とする。
従って、第1圧縮機11吐出冷媒(図10(a)のa10a点)が、放熱器12にて冷却され、第1分岐部13にて分岐される。第1分岐部13から温度式膨張14側へ流出した冷媒は、第1実施形態と同様に、温度式膨張弁14→内部熱交換器15→合流部16→第1圧縮機11の順に流れる(b10a点→c10a点→d10a点→e10a点)。
一方、第1分岐部13から内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a側へ流出した冷媒は、第1実施形態と同様に、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17の順に流れ(b10a点→f10a点→g10a点)、第1固定絞り17から流出した冷媒の全流量がエジェクタ19のノズル部19aへ流入する。
エジェクタ19のノズル部19aへ流入した冷媒は、ノズル部19aにて、等エントロピ的に減圧膨張する(g10a点→h10a点)。そして、第1実施形態と同様に、ノズル部19aから噴射された噴射冷媒と冷媒吸引口19bから吸引された吸引冷媒がエジェクタ19のディフューザ部19cにて混合され(h10a点→i10a点、n10a点→i10a点)、昇圧される(i10a点→j10a点)。
次に、ディフューザ部19cから流出した冷媒は、アキュムレータ26にて気液分離される(j10a点→k110a点およびj10a点→k210a点)。さらに、アキュムレータ26の気相冷媒出口から流出した冷媒は、第2圧縮機21に吸入され、中間圧となるまで圧縮される(k110a点→l10a点)。
この際、制御装置は、第2圧縮機21の吸引作用によって、エジェクタ19の下流側から冷媒を吸入して、エジェクタ19の駆動流を確保できるように、第2圧縮機21の第2電動モータ21bの作動を制御する。さらに、第2圧縮機21の冷媒吐出能力に応じて、サイクルの高圧側冷媒圧力、すなわち第1圧縮機11の吐出冷媒圧力が不必要に上昇しないように、第1圧縮機11の第1電動モータ11bの作動を制御する。
さらに、第2圧縮機21から吐出された冷媒は、前述の如く、合流部20にて内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bから流出した冷媒と合流して(l10a点→e10a点)、第1圧縮機11に吸入される。
一方、アキュムレータ26の液相冷媒出口から第2固定絞り22へ流入した冷媒は、さらに低圧冷媒となるまで等エンタルピ的に減圧膨張される(k210a点→m10a点)。固定絞り22にて減圧膨張された低圧冷媒は、吸引側蒸発器23へ流入し、送風ファン20aにより循環送風される庫内送風空気から吸熱して蒸発する(m10a点→n10a点)。これにより、庫内空気が冷却される。
そして、吸引側蒸発器23から流出した冷媒は、オイル戻し用開閉弁27aが閉弁状態となっているので、その全流量が、冷媒吸引口19bからエジェクタ19内へ吸引される(n10a点→i10a点)。
次に、オイル戻し運転モードについて説明する。このオイル戻し運転モードは、通常運転モードが予め定めた第1基準時間継続された際に実行される。そして、このオイル戻し運転モードは予め定めた第2基準時間継続される。この第2基準時間は、第1基準時間に対して充分に短く設定されている。
オイル戻し運転モードでは、制御装置が、オイル戻し用開閉弁27aを開弁させ、第2圧縮機21の冷媒吐出能力を増加させる。このため、図10(b)のモリエル線図に示すように、吸引側蒸発器23から流出した冷媒の一部が、第2圧縮機21の吸引作用によって、オイル戻し通路27側へ流入する。
オイル戻し通路27へ流入した冷媒は、オイル戻し用開閉弁27aを通過する際に圧力低下して(n10b点→n’10b点)、第2圧縮機21へ吸入される(n’10b点)。これにより、冷媒とともに吸引側蒸発器23へ流入した冷凍機油が第2圧縮機21へ吸入される。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200は、上述の如く作動するので、吸引側蒸発器23にて冷却作用を発揮できるとともに、第1実施形態の(B)、(C)、(E)、(F)と同様の効果を得ることができる。
さらに、(G)オイル戻し通路27およびオイル戻し用開閉弁27aを備えているので、オイル戻し運転モードを実行することができる。その結果、冷媒に第1、第2圧縮手段11a、21aの潤滑用の冷凍機油を混入させても、冷凍機油が吸引側蒸発器23内に滞留してしまうことを回避できる。その結果、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
なお、本実施形態では、オイル戻し通路27にオイル戻し用開閉弁27aを設けた例を説明したが、オイル戻し用開閉弁27aを廃止して、吸引側蒸発器23側から第2圧縮機21側へ冷媒(冷凍機油)が流れることのみを許容するオイル戻し用逆止弁を設けてもよい。
(第6実施形態)
本実施形態では、図11の全体構成図に示すように、第5実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、第3実施形態と同様の流出側蒸発器20および補助放熱器24を追加している。
さらに、第5実施形態に対して、放熱器12の熱交換能力を低下させるとともに、第1分岐部13にて補助放熱器24側へ流出する冷媒流量が温度式膨張弁14側へ流出する冷媒流量よりも多くなるように構成されている。その他の構成は、第5実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200を作動させると、図12のモリエル線図に示すように、通常運転モードおよびオイル戻し運転モードのいずれの運転モードにおいても、第1分岐部13から補助放熱器24側へ流入した冷媒が、補助放熱器24→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a順に流れる際に、そのエンタルピを減少させる(b12a点→b’12a点→f12a点)。
さらに、ディフューザ部19cから流出した冷媒は、流出側蒸発器20へ流入して、送風ファン20aにより循環送風される庫内空気から吸熱して蒸発する(j12a点→k12a点)。これにより、庫内送風空気が冷却される。なお、図12(a)は、通常運転モードのモリエル線図であり、図12(b)は、オイル戻し運転モードのモリエル線図である。その他の作動は、第5実施形態と同様である。
従って、本実施形態では、第5実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、第3実施形態と同様に、補助放熱器24の作用によって、吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させて、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20にて発揮できる冷凍能力を増大させることができる。
さらに、第1分岐部13から補助放熱器24側へ流出する冷媒流量が、温度式膨張弁14側へ流出する冷媒流量より多くなるように調整されているので、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20へ供給される冷媒流量を増加させることができる。その結果、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20にて発揮される冷却能力を増加させることができる。
(第7実施形態)
図13、14により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル300を第1実施形態と同様の冷凍機に適用した例を説明する。図13は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300の全体構成図である。なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300は、その前提となる第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、構成機器の変更およびその接続態様の変更、すなわちサイクル構成を変更したものである。
図13に示すように、本実施形態では、第1圧縮機11の吐出口側に、第1実施形態と同様の第1分岐部13を配置している。第1分岐部13の一方の冷媒流出口には、第1放熱器121が接続され、他方の冷媒流出口には、第2放熱器122が接続されている。
第1放熱器121は、第1分岐部13の一方の冷媒流出口から流出した高圧冷媒と、冷却ファン121aにより送風される庫外空気(外気)とを熱交換させて、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。また、第2放熱器122は、第1分岐部13の他方の冷媒流出口から流出した高圧冷媒と、冷却ファン122aにより送風される庫外空気(外気)とを熱交換させて、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300では、第1放熱器121の熱交換面積を、第2放熱器122に対して縮小させることによって、第1放熱器121の熱交換能力(放熱性能)を第2放熱器122の熱交換能力よりも低下させている。冷却ファン121a、122aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。本実施形態の冷却ファン121a、122aは、それぞれ放熱器121、122の放熱能力を調整する放熱能力調整手段を構成している。
第1放熱器121の出口側には、第1実施形態と同様の高圧側減圧手段としての温度式膨張弁14が接続されている。さらに、温度式膨張弁14の出口側には、第1実施形態と同様の内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bが接続されている。内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bの冷媒流れ下流側のサイクル構成は、第1実施形態と同様である。
一方、第2放熱器122の出口側には、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aが接続されている。内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aの冷媒流れ下流側のサイクル構成は、第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の作動を図14のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態では、第1圧縮機11吐出冷媒(図14のa14点)が第1分岐部13へ流入し、第1放熱器121側へ流入する冷媒流れと第2放熱器122側へ流入する冷媒流れとに分流される。
第1放熱器121側へ流入した冷媒は、冷却ファン121aから送風された送風空気(外気)と熱交換して放熱して凝縮する(a14点→b114点)。一方、第2放熱器122側へ流入した冷媒は、冷却ファン122aから送風された送風空気(外気)と熱交換して放熱して凝縮する(a14点→b214点)。
この際、第1放熱器121の熱交換能力が、第2放熱器122の熱交換能力よりも低く設定されているので、第1放熱器121から流出した冷媒のエンタルピは、第2放熱器122から流出した冷媒のエンタルピよりも高くなる。
第1放熱器121から流出した冷媒は、温度式膨張弁14にて等エンタルピ的に減圧膨張される(b114点→c14点)。一方、第2放熱器122から流出した冷媒は、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aにて放熱して、そのエンタルピをさらに減少させる(b214点→f14点)。その他の作動は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態では、第1実施形態の(A)〜(C)、(E)、(F)と同様の効果を得ることができる。
さらに、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23といった蒸発器を通過する冷媒は、第1圧縮機11→第1分岐部13→第2放熱器122→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→エジェクタ19→流出側蒸発器20→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に流れ、さらに、第1圧縮機11→第1分岐部13→第2放熱器122→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→吸引側蒸発器23→エジェクタ19→流出側蒸発器20→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に流れる。
つまり、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23といった蒸発器を通過する冷媒の流れが環状となるので、冷媒に第1、第2圧縮機11、21の潤滑用のオイル(冷凍機油)を混入させても、このオイルが流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23内等に滞留してしまうことを回避できる。その結果、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
さらに、第1放熱器121および第2放熱器122の熱交換能力(放熱性能)を独立に変化させることができるので、例えば、第2放熱器122の熱交換能力と、吸引側蒸発器23の熱交換能力(吸熱性能)とを容易に適合させることができる。従って、エジェクタ式冷凍サイクルの作動を、より一層、安定化させやすい。
(第8実施形態)
本実施形態では、図15の全体構成図に示すように、第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第2実施形態と同様の補助内部熱交換器25を追加するとともに、流出側蒸発器20を廃止している。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300作動させると、図16のモリエル線図に示すように、ディフューザ部19cから流出した冷媒が補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bにて蒸発して、第2圧縮機21吸入冷媒のエンタルピが増加する(j16点→k16点)。
さらに、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒が、補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25aにて放熱して、そのエンタルピをさらに減少させる(f16点→f’16点)。その他の作動は、第7実施形態と同様である。
従って、本実施形態では、吸引側蒸発器23にて冷却作用を発揮できるだけでなく、第1実施形態の(B)、(C)、(E)、(F)と同様の効果を得ることができる。さらに、第7実施形態と同様に、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第9実施形態)
本実施形態は、図17に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、放熱器12出口側に、放熱器12から流出した冷媒の気液を分離して余剰冷媒を貯える高圧側気液分離器として受液器12bを設けたものである。この受液器12bは、分離された飽和液相冷媒を下流側の第1分岐部13へ導出させる。
本実施形態によれば、サイクルに負荷変動が生じても、第1分岐部13に流入する冷媒(第1実施形態の図2のb2点に対応)が、確実に飽和液相状態となるので、サイクルの作動を安定化させやすい。
(第10実施形態)
本実施形態では、図18に示すように、第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第9実施形態と同様の受液器12bを設けている。これによれば、第9実施形態と同様に、サイクルの作動を安定化させやすい。もちろん、第3、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100および第5、第6実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、第9実施形態と同様の受益器12bを設けてもよい。
(第11実施形態)
本実施形態では、図19に示すように、第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、補助放熱器24出口側に、補助放熱器24から流出した冷媒の気液を分離して余剰冷媒を貯える高圧側気液分離器として受液器24bを設けている。この受液器24bは、分離された飽和液相冷媒を下流側の内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aへ導出させる。
本実施形態によれば、サイクルに負荷変動が生じても、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aに流入する冷媒(図6のb’6点に対応)が、確実に飽和液相状態となるので、サイクルの作動を安定化させやすい。
(第12実施形態)
本実施形態では、図20に示すように、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第11実施形態と同様の受液器24bを設けている。本実施形態によれば、第11実施形態と同様に、サイクルの作動を安定化させやすい。
(第13実施形態)
本実施形態では、図21に示すように、第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第1放熱器121および第2放熱器122の出口側に、それぞれ第1、第2放熱器121、122から流出した冷媒の気液を分離して余剰冷媒を貯える高圧側気液分離器としての第1、第2受液器121b、122bを設けたものである。
この第1、第2受液器121b、122bは、分離された飽和液相冷媒を、それぞれ下流側の温度式膨張弁14および内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aへ導出させる。
本実施形態によれば、サイクルに負荷変動が生じても、第1受液器121bから温度式膨張弁14へ流入する冷媒、および、第2受液器122bから内部熱交換器15へ流入する冷媒(第7実施形態の図14のb114点およびb214点に対応)が、確実に飽和液相状態となるので、サイクルの作動を安定化させやすい。
なお、本実施形態では、第1、第2受液器121b、122bの双方を設けた例を説明したが、第1、第2受液器121b、122bのうち、いずれか一方のみを設ける構成としてもよい。
(第14実施形態)
第14実施形態では、図22に示すように、第8実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第13実施形態と同様の第1、第2受液器121b、122bを設けている。本実施形態によれば、第13実施形態と同様に、サイクルの作動を安定化させやすい。もちろん、本実施形態においても、第1、第2受液器121b、122bのうち、いずれか一方のみを設ける構成としてもよい。
(第15実施形態)
本実施形態では、図23の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、放熱器12の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態の放熱器12は、冷媒を凝縮させる凝縮部12c、凝縮部12cから流出した冷媒の気液を分離する気液分離部12d(受液部)、および、気液分離部12dから流出した液相冷媒を過冷却する過冷却部12eを有する、いわゆるサブクール型凝縮器として構成されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
本実施形態によれば、サイクルに負荷変動が生じても、第1分岐部13に流入する冷媒(第1実施形態の図2のb2点に対応)が、確実に過冷却液相状態となるので、サイクルの作動を安定化させることができる。さらに、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20へ流入する冷媒のエンタルピを低下させて、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20にて発揮できる冷媒能力を増大できる。その結果、より一層、COPを向上できる。
(第16〜18実施形態)
第16実施形態では、図24の全体構成図に示すように、第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第15実施形態と同様に、放熱器12としてサブクール型凝縮器を採用している。これによれば、第15実施形態と同様に、サイクルの作動を安定化させることができるとともに、より一層、COPを向上できる。
第17実施形態では、図25の全体構成図に示すように、第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第15実施形態と同様に、放熱器12としてサブクール型凝縮器を採用している。これによれば、第15実施形態と同様に、サイクルの作動を安定化させることができるとともに、より一層、COPを向上できる。
第18実施形態では、図26の全体構成図に示すように、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第15実施形態と同様に、放熱器12としてサブクール型凝縮器を採用している。これによれば、第15実施形態と同様に、サイクルの作動を安定化させることができるとともに、より一層、COPを向上できる。
もちろん、第5、第6実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、放熱器12としてサブクール型凝縮器を採用してもよい。
(第19実施形態)
本実施形態では、図27の全体構成図に示すように、第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第1放熱器121および第2放熱器122を、それぞれ第15実施形態と同様のサブクール型凝縮器に変更している。
より具体的には、第1放熱器121および第2放熱器122は、それぞれ冷媒を凝縮させる凝縮部121c、122c、凝縮部121c、122cから流出した冷媒の気液を分離する気液分離部121d、122d(受液部)、および、気液分離部121d、122dから流出した液相冷媒を過冷却する過冷却部121e、122eを有して構成されている。その他の構成は、第7実施形態と同様である。
本実施形態によれば、サイクルに負荷変動が生じても、第1放熱器121から温度式膨張弁14へ流入する冷媒、および、第2放熱器122から内部熱交換器15へ流入する冷媒(第7実施形態の図14のb114点およびb214点に対応)が、確実に過冷却液相状態となるので、サイクルの作動を安定化させやすい。
さらに、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20へ流入する冷媒のエンタルピを低下させて、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20にて発揮できる冷媒能力を増大できる。その結果、より一層、COPを向上できる。なお、本実施形態では、第1、第2放熱器121、122の双方をサブクール型凝縮器とした例を説明したが、第1、第2放熱器121、122のうち、いずれか一方のみをサブクール型凝縮器としてもよい。
(第20実施形態)
本実施形態では、図28の全体構成図に示すように、第8実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第1放熱器121および第2放熱器122を、それぞれ第19実施形態と同様のサブクール型凝縮器に変更している。
本実施形態によれば、第19実施形態と同様に、サイクルの作動を安定化させやすくなるとともに、より一層、COPを向上できる。もちろん、本実施形態においても、第1、第2放熱器121、122のうち、いずれか一方をサブクール型凝縮器としてもよい。
(第21実施形態)
本実施形態では、図29の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、温度式膨張弁14を廃止して、高圧側減圧手段として冷媒の圧力エネルギを機械的エネルギに変換して出力する膨張機40を設けた例を説明する。
本実施形態では具体的に、膨張機40として、スクロール型の容積型圧縮機構を採用している。もちろん、ベーン型、ローリングピストン型といった他の形式の容積型圧縮機構を採用してもよい。そして、容積型圧縮機構を圧縮機構として用いる場合の冷媒流れに対して逆流させるように冷媒を流すことで、冷媒を体積膨張させて減圧させながら、回転軸を回転させて機械的エネルギ(回転エネルギ)を出力させる。
また、膨張機40の回転軸には、発電機40aの回転軸が直結されている。発電機40aは、膨張機40が出力した機械的エネルギ(回転エネルギ)を電気エネルギに変換して出力するものである。さらに、発電機40aが出力した電気エネルギは、バッテリ40bに貯えられる。その他の構成および作動は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第1実施形態の(A)〜(F)と同様の効果を得ることができるだけでなく、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
すなわち、本実施形態では、第1実施形態の温度式膨張弁14において、冷媒が等エンタルピ的に減圧膨張する際に損失していたエネルギを膨張機40で機械的エネルギとして回収できる。そして、回収した機械的エネルギを電気エネルギに変換することによって、損失していたエネルギを有効に活用することができる。その結果、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
なお、バッテリ40bに蓄えられた電気エネルギは、エジェクタ式冷凍サイクル100の各種電気式アクチュエータ11b、21b、12a、20aに供給してもよいし、サイクル構成機器以外の外部の電気負荷に供給してもよい。
また、膨張機40にて回収された機械的エネルギを、電気エネルギに変換することなく、そのまま機械的エネルギとして利用してもよい。例えば、膨張機40の回転軸と第1、第2圧縮手段11a、21aの回転軸とを連結して、第1、第2圧縮手段11a、21aの補助動力源として利用すれば、エジェクタ式冷凍サイクル100のCOPを向上できる。
もちろん、膨張機40から出力された機械的エネルギを、外部機器の駆動源として利用してもよい。例えば、外部機器としてフライホイールを採用すれば、膨張機にて回収された機械的エネルギを運動エネルギとして蓄えることができる。また、外部機器として発条装置(ぜんまいばね)を採用すれば、膨張機から出力された機械的エネルギを弾性エネルギとして蓄えることもできる。
さらに、本実施形態では、高圧側減圧手段として膨張機40を採用した例を説明したが、もちろん、第1固定絞り17を廃止して、ノズル前減圧手段として膨張機を採用してもよいし、第2固定絞り22を廃止して、吸引側減圧手段として膨張機を採用してもよい。
(第22〜26実施形態)
第22実施形態では、図30の全体構成図に示すように、第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、温度式膨張弁14を廃止して、高圧側減圧手段として第21実施形態と同様の膨張機40、発電機40aおよびバッテリ40bを設けている。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第2実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、第21実施形態と同様にエジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
第23実施形態では、図31の全体構成図に示すように、第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、温度式膨張弁14を廃止して、高圧側減圧手段として第21実施形態と同様の膨張機40、発電機40aおよびバッテリ40bを設けている。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第3実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、第21実施形態と同様にエジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
第24実施形態では、図32の全体構成図に示すように、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、温度式膨張弁14を廃止して、高圧側減圧手段として第21実施形態と同様の膨張機40、発電機40aおよびバッテリ40bを設けている。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第4実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、第21実施形態と同様にエジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
第25実施形態では、図33の全体構成図に示すように、第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、温度式膨張弁14を廃止して、高圧側減圧手段として第21実施形態と同様の膨張機40、発電機40aおよびバッテリ40bを設けている。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第7実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、第21実施形態と同様にエジェクタ式冷凍サイクル300全体としてのエネルギ効率を向上できる。
第26実施形態では、図34の全体構成図に示すように、第8実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、温度式膨張弁14を廃止して、高圧側減圧手段として第21実施形態と同様の膨張機40、発電機40aおよびバッテリ40bを設けている。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第8実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、第21実施形態と同様にエジェクタ式冷凍サイクル300全体としてのエネルギ効率を向上できる。
もちろん、第22〜第26実施形態において、第1固定絞り17を廃止して、ノズル前減圧手段として膨張機を採用してもよいし、第2固定絞り22を廃止して、吸引側減圧手段として膨張機を採用してもよい。さらに、第5、第6実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200において、温度式膨張弁14、第1、第2固定絞り17、22として膨張機を採用してもよい。
(第27実施形態)
本実施形態では、図35の全体構成図に示すように、第1実施形態の第1圧縮機11および第2圧縮機21を圧縮機10として1つの圧縮機として構成した例を説明する。具体的には、圧縮機10は、1つのハウジング10a内に第1、第2圧縮手段11a、21aの2つの圧縮手段および第1、第2圧縮手段11a、21aを駆動する第1、第2電動モータ11b、21bを収容して構成された二段昇圧式の電動圧縮機である。
この第1、第2圧縮手段11a、21aとしては、第1実施形態と同様に、スクロール型圧縮手段、ベーン型圧縮手段等の各種圧縮機構を採用できる。また、第1、第2電動モータ11b、21bは、後述する制御装置から出力される制御信号によって、それぞれ独立して、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。
そして、この回転数制御によって、第1、第2圧縮手段11a、21aの冷媒吐出能力が、それぞれ独立して変更される。従って、本実施形態の第1、第2電動モータ11b、21bは、第1実施形態と同様に、それぞれ第1、第2圧縮手段11a、21aの冷媒吐出能力を変更する第1、第2吐出能力変更手段を構成している。
ハウジング10aには、低圧冷媒を吸入する吸入ポート10b、中間圧冷媒を流入させる中間圧ポート10c、および、高圧冷媒を吐出する吐出ポート10dが設けられている。そして、これらの各ポート10b〜10dが、ハウジング10a内部で第1、第2圧縮手段11a、21aに接続されている。
具体的には、吸入ポート10bは、第2圧縮手段21aの吸入口へ接続され、中間圧ポート10cは、第2圧縮手段21aの吐出口と第1圧縮手段11aの吸入口に連通するように接続され、吐出ポート10dは、第1圧縮手段11aの吐出口へ接続される。従って、第1圧縮手段11aは、第2圧縮手段21aから吐出された冷媒と中間圧ポート10cから流入した冷媒とを混合した中間圧冷媒を吸入し圧縮して吐出することになる。
このため、図35に示すように、圧縮機10の吸入ポート10bにエジェクタ19のディフューザ部19c出口側を接続し、中間圧ポート10cに内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b出口側を接続し、吐出ポート10dに放熱器12入口側を接続することで、第1実施形態と全く同様のサイクルが構成される。さらに、本実施形態の合流部16は、圧縮機10の内部に構成される。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第1実施形態と全く同様に作動して、全く同様の効果を得ることができる。さらに、第1、第2圧縮手段11a、21aを同一のハウジング10aに収容して、圧縮機10として一体的に構成しているので、圧縮機10の小型化および低コスト化ができる。延いては、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としての小型化および低コスト化ができる。
(第28〜32実施形態)
第28実施形態では、図36の全体構成図に示すように、第27実施形態と同様に、第2実施形態の第1圧縮機11および第2圧縮機21を圧縮機10として1つの圧縮機として構成している。つまり、圧縮機10として二段昇圧式の電動圧縮機を採用することで、第2実施形態と全く同様のサイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第2実施形態と全く同様に作動して、全く同様の効果を得ることができる。さらに、圧縮機10の小型化および低コスト化ができる。
第29実施形態では、図37の全体構成図に示すように、第27実施形態と同様に、第3実施形態の第1圧縮機11および第2圧縮機21を圧縮機10として1つの圧縮機として構成している。つまり、圧縮機10として二段昇圧式の電動圧縮機を採用することで、第3実施形態と全く同様のサイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第3実施形態と全く同様に作動して、全く同様の効果を得ることができるとともに、圧縮機10の小型化および低コスト化ができる。
第30実施形態では、図38の全体構成図に示すように、第27実施形態と同様に、第4実施形態の第1圧縮機11および第2圧縮機21を圧縮機10として1つの圧縮機として構成している。つまり、圧縮機10として二段昇圧式の電動圧縮機を採用することで、第4実施形態と全く同様のサイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第4実施形態と全く同様に作動して、全く同様の効果を得ることができるとともに、圧縮機10の小型化および低コスト化ができる。
第31実施形態では、図39の全体構成図に示すように、第27実施形態と同様に、第7実施形態の第1圧縮機11および第2圧縮機21を圧縮機10として1つの圧縮機として構成している。つまり、圧縮機10として二段昇圧式の電動圧縮機を採用することで、第7実施形態と全く同様のサイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第7実施形態と全く同様に作動して、全く同様の効果を得ることができるとともに、圧縮機10の小型化および低コスト化ができる。
第32実施形態では、図40の全体構成図に示すように、第27実施形態と同様に、第8実施形態の第1圧縮機11および第2圧縮機21を圧縮機10として1つの圧縮機として構成している。つまり、圧縮機10として二段昇圧式の電動圧縮機を採用することで、第8実施形態と全く同様のサイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第8実施形態と全く同様に作動して、全く同様の効果を得ることができるとともに、圧縮機10の小型化および低コスト化ができる。
もちろん、第5、第6実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、二段昇圧式の圧縮機10を採用してもよい。
(第33実施形態)
上述の各実施形態では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用し、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成した例を説明したが、本実施形態では、冷媒として二酸化炭素を採用し、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成した例を説明する。
さらに、本実施形態では、図41の全体構成図に示すように、第1実施形態に対して、ノズル前減圧手段である第1固定絞り17を廃止している。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、図42のモリエル線図により、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100の作動を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第1圧縮機11吐出冷媒が放熱器12にて放熱して冷却される。この際、放熱器12を通過する冷媒は、凝縮することなく超臨界状態のまま放熱する(a42点→b42点)。
放熱器12から流出した冷媒は、第1分岐部13へ流入し、温度式膨脹弁14側へ流入する冷媒流れと内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a側へ流入する冷媒流れとに分流される。第1分岐部13から内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a側へ流入した超臨界状態の高圧冷媒は、超臨界状態のままさらに放熱する(b42点→f42点)。
内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a側から流出した冷媒の流れは、第2分岐部18へ流入し、エジェクタ19のノズル部19a側へ流入する冷媒流れと第2固定絞り22側へ流入する冷媒流れとに分流される。第2分岐部18からノズル部19a側へ流出した超臨界状態の高圧冷媒は、ノズル部19aで等エントロピ的に減圧膨張する(f42点→h42点)。
一方、第2分岐部18から第2固定絞り22側へ流出した超臨界状態の高圧冷媒は、第2固定絞り22にて等エンタルピ的に減圧膨張する(f42点→m42点)。以降の作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の構成においても、第1実施形態の(A)〜(E)と同様の効果を得ることができる。
さらに、超臨界冷凍サイクルでは、高圧側冷媒圧力が亜臨界冷凍サイクルよりも高くなるので、サイクルの高低圧差が拡大し、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図42では、f42点とh42点の圧力差)が増加する。これにより、ノズル部19a入口側冷媒のエンタルピとノズル部19a出口側冷媒のエンタルピとの差(回収エネルギ量)も増加するので、より一層、COPを向上できる。
(第34実施形態)
本実施形態では、図43の全体構成図に示すように、第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第33実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第1実施形態の(B)〜(E)と同様の効果を得ることができるとともに、第2実施形態と同様のCOP向上効果を得ることができる。
さらに、図44のモリエル線図に示すように、亜臨界冷凍サイクルを構成する場合よりもサイクルの高低圧差が拡大し、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図44では、f’44点とh44点の圧力差)が増加する。これにより、第33実施形態と同様に、ノズル部19a入口側冷媒のエンタルピとノズル部19a出口側冷媒のエンタルピとの差(回収エネルギ量)も増加するので、より一層、COPを向上できる。
(第35実施形態)
本実施形態では、図45の全体構成図に示すように、第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100において、第33実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第1実施形態の(A)〜(E)と同様の効果を得ることができるとともに、第3実施形態と同様のCOP向上効果、および、冷却能力増加効果を得ることができる。
さらに、図46のモリエル線図に示すように、亜臨界冷凍サイクルを構成する場合よりもサイクルの高低圧差が拡大して、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図46では、f46点とh46点の圧力差)が増加する。これにより、第33実施形態と同様に、ノズル部19a入口側冷媒のエンタルピとノズル部19a出口側冷媒のエンタルピとの差(回収エネルギ量)も増加するので、より一層、COPを向上できる。
(第36実施形態)
本実施形態では、図47の全体構成図に示すように、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100において、第33実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第1実施形態の(B)〜(E)と同様の効果を得ることができるとともに、第4実施形態と同様のCOP向上効果を得ることができる。
さらに、図48のモリエル線図に示すように、亜臨界冷凍サイクルを構成する場合よりもサイクルの高低圧差が拡大し、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図48では、f’48点とh48点の圧力差)が増加する。これにより、第33実施形態と同様に、ノズル部19a入口側冷媒のエンタルピとノズル部19a出口側冷媒のエンタルピとの差(回収エネルギ量)も増加するので、より一層、COPを向上できる。
(第37実施形態)
本実施形態では、図49の全体構成図に示すように、第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300において、第33実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300を作動させると、第1実施形態の(B)、(C)、(E)と同様の効果を得ることができる。さらに、第7実施形態と同様に、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23内等に滞留してしまうことを回避できるとともに、サイクルの作動を安定化させることができる。
さらに、図50のモリエル線図に示すように、亜臨界冷凍サイクルを構成する場合よりもサイクルの高低圧差が拡大して、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図50では、f50点とh50点の圧力差)が増加する。これにより、第33実施形態と同様に、ノズル部19a入口側冷媒のエンタルピとノズル部19a出口側冷媒のエンタルピとの差(回収エネルギ量)も増加するので、より一層、COPを向上できる。
(第38実施形態)
本実施形態では、図51の全体構成図に示すように、第8実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300において、第33実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300を作動させると、第1実施形態の(B)、(C)、(E)と同様の効果を得ることができる。さらに、第8実施形態と同様に、冷凍機油が流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23内等に滞留してしまうことを回避できるとともに、サイクルの作動を安定化させることができる。
さらに、図52のモリエル線図に示すように、亜臨界冷凍サイクルを構成する場合よりもサイクルの高低圧差が拡大し、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図52では、f’52点とh52点の圧力差)が増加する。これにより、第33実施形態と同様に、ノズル部19a入口側冷媒のエンタルピとノズル部19a出口側冷媒のエンタルピとの差(回収エネルギ量)も増加するので、より一層、COPを向上できる。
なお、第33〜第38実施形態では、第1〜第4、第7、第8実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100、300を超臨界冷凍サイクルとして構成した例を説明したが、もちろん、第5、第6実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200を超臨界冷凍サイクルとして構成してもよい。
(第39実施形態)
図53、54により本発明の第39実施形態を説明する。ところで、第1実施形態のように冷凍機に適用されるエジェクタ式冷凍サイクル100では、吸引側蒸発器23における冷媒蒸発温度が0℃よりも低くなるので、吸引側蒸発器23の着霜が懸念される。このような着霜が生じると、吸熱対象流体(庫内空気)が吸引側蒸発器に流通しにくくなり、冷媒の吸熱を妨げてしまうので、サイクルを安定して作動させることができない。
そこで、本実施形態では、図53の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、バイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用している。
バイパス通路28は、第1圧縮機11の第1圧縮手段11aから吐出された高圧冷媒を、放熱器12を迂回させて、直接、吸引側蒸発器23へ導く冷媒流路で、第1圧縮機11と放熱器12との間および可変絞り機構22aと吸引側蒸発器23との間を接続する冷媒配管によって構成されている。
開閉弁28aは、バイパス通路28を開閉する開閉手段であって、制御装置から出力される制御信号によって開閉作動が制御される電磁弁である。さらに、開閉弁28aが開弁した際の冷媒通路面積は、バイパス通路28の冷媒通路面積よりも小さく形成されている。従って、バイパス通路28を流通する冷媒は、開閉弁28aを通過する際に減圧される。
このように開閉弁28aとして、減圧機能を有する減圧機能付き開閉弁を採用する理由は、圧縮機10入口側冷媒の圧力と出口側冷媒の圧力との圧力差を確保するだけでなく、圧縮機10から吐出した高圧冷媒を直接吸引側蒸発器23へ流入させると、吸引側蒸発器23内の冷媒圧力が吸引側蒸発器23の耐圧を超えてしまうことが懸念されるからである。
そこで、本実施形態では、開閉弁28aの冷媒通路面積を小さく形成して、吸引側蒸発器23へ流入する冷媒の圧力を、吸引側蒸発器23の耐圧能力よりも低くなるまで低下させている。
従って、バイパス通路28に、減圧機能を有していない開閉弁28aを配置する場合は、バイパス通路28にバイパス通路側減圧手段を配置することが望ましい。そして、このバイパス通路側減圧手段としては、キャピラリチューブ、オリフィス等で構成される固定絞り機構を採用できる。
可変絞り機構22aは、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成されている。また、可変絞り機構22aは、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
次に、図54のモリエル線図により、本実施形態の作動を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、庫内を冷却する通常運転モードと吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行う除霜運転モードとを切り替えることができる。なお、図54(a)は、通常運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図54(b)は、除霜運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
通常運転モードでは、制御装置が開閉弁28aを閉弁状態とし、可変絞り機構22aを予め定めた絞り開度とする。これにより、通常運転モードでは、図54(a)のモリエル線図に示すように、第1実施形態の図2と同様に作動する。
一方、除霜運転モードでは、制御装置が冷却ファン12aの作動を停止させ、可変絞り機構22aを全閉状態とし、さらに、開閉弁28aを開く。これにより、第1圧縮機11から吐出された高温冷媒(図54(b)のo54点)が、バイパス通路28へ流入する。
この際、本実施形態では、第1圧縮機11→放熱器12→第1分岐部13→内部熱交換器15→第1固定絞り17→第2分岐部18→エジェクタ19→流出側蒸発器20→第2圧縮機21の順で流れる冷媒回路の圧力損失に対して、第1圧縮機11→バイパス通路28→吸引側蒸発器23→エジェクタ19→流出側蒸発器20→第2圧縮機21の順で流れる冷媒回路の圧力損失を小さく設定しているので、第1圧縮機11から吐出された冷媒の大半がバイパス通路28へ流入する。
もちろん、バイパス通路28の入口側接続部あるいは出口側接続部に、三方弁を配置して、通常運転モードでは、圧縮機10から吐出された冷媒を放熱器12側のみへ流出させ、除霜運転モードでは、圧縮機10から吐出された冷媒をバイパス通路28側のみへ流出させるように冷媒流路を切り替えてもよい。
また、バイパス通路28の入口側接続部から放熱器12入口側へ至る冷媒通路に、減圧機能を有していない通常の補助開閉弁を配置して、通常運転モードでは補助開閉弁を開弁し、除霜運転モードでは補助開閉弁を閉弁するようにして、冷媒流路を切り替えてもよい。
バイパス通路28へ流入した高温高圧冷媒は、開閉弁28aを通過する際に、等エンタルピ的に減圧膨脹する(o54点→p54点)。さらに、開閉弁28aを通過した高温低圧状態の気相冷媒は、可変絞り機構22aの絞り開度が全閉状態となっているので、可変絞り機構22a側へ流れ込むことなく、吸引側蒸発器23へ流入する。
吸引側蒸発器23へ流入した冷媒は、吸引側蒸発器23にその熱量を放熱する(p54点→Q54点)。これにより、吸引側蒸発器23の除霜がなされる。吸引側蒸発器23にて放熱した冷媒は、第2圧縮機21の吸引作用によって、エジェクタ19の冷媒吸引口19bへ流入され、エジェクタ19の内部を通過する際の圧力損失によって、その圧力が低下する(q54点→r54点)。
エジェクタ19から流出した冷媒は、流出側蒸発器20へ流入して、流出側蒸発器20にその熱量を放熱する(r54点→s54点)。これにより、流出側蒸発器20の除霜がなされる。さらに、流出側蒸発器20から流出した冷媒は、第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に流れて再び圧縮される(s54点→t54点→o54点)。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
なお、本実施形態では、吸引側減圧手段として可変絞り機構22aを採用し、除霜運転時に可変絞り機構22aの絞り開度を全閉状態としているが、もちろん、吸引側減圧手段として第2固定絞り22を採用し、さらに、吸引側減圧手段出口側とバイパス通路28の接続部との間に配置されて、吸引側減圧手段側から吸引側蒸発器23側へ冷媒が流れることのみを許容する逆止弁を設けてもよい。
また、本実施形態のように、除霜運転モード時に、制御装置が冷却ファン12aの作動を停止させる場合は、放熱器12が放熱能力を発揮しないので、例えば、放熱器12の下流側であって第1分岐部13の上流側から高圧冷媒をバイパス通路28側へ流入させるようにしてもよい。
(第40実施形態)
本実施形態では、図55に示すように、第39実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第1圧縮機11から吐出された高圧冷媒を、流出側蒸発器20へ導く補助バイパス通路28bを追加した例を説明する。
より具体的には、本実施形態の補助バイパス通路28bは、バイパス通路28のうち除霜運転モードにおける開閉弁28aの下流側、および、エジェクタ19のディフューザ部19c流出口側と流出側蒸発器20入口側との間を接続する冷媒流路である。
さらに、補助バイパス通路28bには、通常運転モード時にエジェクタ19のディフューザ部19cから流出した冷媒が、バイパス通路28側へ流れることを禁止する補助バイパス通路用逆止弁28cが配置されている。
なお、この補助バイパス通路用逆止弁28cの代わりに、補助バイパス通路28bを開閉する補助バイパス通路用開閉弁を採用してもよい。この場合は、通常運転モードでは、補助バイパス通路用開閉弁を閉弁させ、除霜運転モードでは、補助バイパス通路用開閉弁を開弁させればよい。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図56(a)のモリエル線図に示すように、第1実施形態の図2と同様に作動する。
一方、除霜運転モードでは、図56(b)のモリエル線図に示すように、第1圧縮機11から吐出された高温高圧状態の気相冷媒は、開閉弁28aが開弁状態となっているので、第39実施形態と同様に、バイパス通路28側へ流入して、開閉弁28aを通過する際に、等エンタルピ的に減圧膨脹する(o56点→p56点)。
開閉弁28aにて減圧された冷媒の流れは、吸引側蒸発器23側へ流れる冷媒流れと補助バイパス通路28b側へ流れる冷媒流れとに分流される。開閉弁28aから吸引側蒸発器23側へ流出した高温気相冷媒は、吸引側蒸発器23にその熱量を放熱する(p56点→q56点)。これにより、吸引側蒸発器23の除霜がなされる。
吸引側蒸発器23にて放熱した冷媒は、第2圧縮機21の吸引作用によって、エジェクタ19の冷媒吸引口19bへ流入され、エジェクタ19の内部を通過する際の圧力損失によって、その圧力が低下する(q56点→r56点)。
一方、開閉弁28aから補助バイパス通路28b側へ流出した高温気相冷媒は、逆止弁28cを通過する際に圧力低下して(p56点→p’56点)、エジェクタ19のディフューザ部19cから流出した冷媒と合流する(p’56点→r’56点、r56点→r’56点)。さらに、合流した冷媒は流出側蒸発器20へ流入して、流出側蒸発器20にその熱量を放熱する(r’56点→s56点)。これにより、流出側蒸発器20の除霜がなされる。
流出側蒸発器20にて放熱した冷媒は、第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に流れて再び圧縮される(s56点→t56点→o56点)。その他の作動は、第39実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
(第41実施形態)
本実施形態では、図57に示すように、第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第39実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能にしている。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図58(a)のモリエル線図に示すように、第2実施形態の図4と同様に作動する。
一方、除霜運転モードでは、図58(b)のモリエル線図に示すように、第1圧縮機11から吐出された高温高圧状態の気相冷媒は、開閉弁28aが開弁状態となっているので、第39実施形態と同様に、バイパス通路28側へ流入して、開閉弁28aを通過する際に、等エンタルピ的に減圧膨脹する(o58点→p58点)。
開閉弁28aにて減圧された高温気相冷媒は、吸引側蒸発器23へ流入して、吸引側蒸発器23にその熱量を放熱する(p58点→q58点)。これにより、吸引側蒸発器23の除霜がなされる。吸引側蒸発器23にて放熱した冷媒は、第2圧縮機21の吸引作用によって、エジェクタ19の冷媒吸引口19bへ流入され、エジェクタ19の内部を通過する際の圧力損失によって、その圧力が低下する(q58点→s58点)。
エジェクタ19から流出した冷媒は、第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に流れて再び圧縮される(s58点→t58点→o58点)。その他の作動は、第39実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23の除霜を行うことができる。
(第42実施形態)
本実施形態では、図59に示すように、第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第39実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。
本実施形態の基本的作動は、第39実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図60(a)のモリエル線図に示すように、第3実施形態の図6と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図60(b)のモリエル線図に示すように、第39実施形態の除霜運転モードの図54(b)と同様に作動する。
これにより、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
(第43実施形態)
本実施形態では、図61に示すように、第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第40実施形態と同様のバイパス通路28、開閉弁28a、補助バイパス通路28bおよび補助バイパス通路用逆止弁28cを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。
本実施形態の基本的作動は、第39実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図62(a)のモリエル線図に示すように、第3実施形態の図6と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図62(b)のモリエル線図に示すように、第40実施形態の除霜運転モードの図56(b)と同様に作動する。
これにより、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
(第44実施形態)
本実施形態では、図63に示すように、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第39実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。
本実施形態の基本的作動は、第39実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図64(a)のモリエル線図に示すように、第4実施形態の図8と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図64(b)のモリエル線図に示すように、第41実施形態の除霜運転モードの図58(b)と同様に作動する。
これにより、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
また、第39〜第45実施形態では、エジェクタ式冷凍サイクル100に対して、バイパス通路28および開閉弁28a等を追加した例を説明したが、もちろん、第5、第6実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、バイパス通路28および開閉弁28a等を追加してもよい。
(第45実施形態)
本実施形態では、図65の全体構成図に示すように、第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第39実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。
より具体的には、本実施形態のバイパス通路28は、第1分岐部13下流側かつ第2放熱器122上流側の高圧冷媒を、第1、第2放熱器121、122を迂回させて、直接、吸引側蒸発器23へ導く冷媒流路である。もちろん、バイパス通路28は、第1分岐部13下流側かつ第2放熱器122上流側の高圧冷媒、または、第1分岐部13上流側の第1圧縮機11吐出冷媒を吸引側蒸発器23へ導く冷媒流路で構成してもよい。
次に、図66のモリエル線図により、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300の作動を説明する。本実施形態の基本的作動は、第39実施形態と同様である。従って、通常運転モードでは、図66(a)のモリエル線図に示すように、第7実施形態の図14と同様に作動する。
一方、除霜運転モードでは、制御装置が第1、第2冷却ファン121a、122aの作動を停止させ、可変絞り機構22aを全閉状態とし、さらに、開閉弁28aを開く。これにより、第1圧縮機11から吐出された(図66(b)のo66点)が、バイパス通路28へ流入する。
この際、本実施形態では、第1圧縮機11→第1分岐部13→第1放熱器121→内部熱交換器15→第1固定絞り17→第2分岐部18→エジェクタ19→流出側蒸発器20→第2圧縮機21の順で流れる冷媒回路の圧力損失に対して、第1圧縮機11→第1分岐部13→バイパス通路28→吸引側蒸発器23→エジェクタ19→流出側蒸発器20→第2圧縮機21の順で流れる冷媒回路の圧力損失を小さく設定しているので、第1圧縮機11から吐出された冷媒の大半がバイパス通路28へ流入する。
従って、除霜運転モードでは、図66(b)のモリエル線図に示すように、第39実施形態の図54(b)と同様に作動する。これにより、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300では、通常運転モード時に、第7実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
また、本実施形態のように、除霜運転モード時に、制御装置が第1、第2冷却ファン121a、122aの作動を停止させる場合は、第1、第2放熱器121、122が放熱能力を発揮しない。
従って、例えば、第1放熱器121の下流側であって温度式膨張弁14の上流側から高圧冷媒をバイパス通路28側へ流入させるようにしてもよいし、第2放熱器122の下流側であって内部熱交換器15の上流側から高圧冷媒をバイパス通路28側へ流入させるようにしてもよい。
(第46実施形態)
本実施形態では、図67に示すように、第45実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第1圧縮機11から吐出された高圧冷媒を流出側蒸発器20へ導く、第40実施形態と同様の補助バイパス通路28bおよび補助バイパス通路用逆止弁28cを追加した例を説明する。
本実施形態の基本的作動は、第45実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300を作動させると、通常運転モードでは、図68(a)のモリエル線図に示すように、第7実施形態の図14と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図68(b)のモリエル線図に示すように、第40実施形態の図56(b)と同様に作動する。
これにより、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300では、通常運転モード時に、第7実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
(第47実施形態)
本実施形態では、図69に示すように、第8実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第45実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。
本実施形態の基本的作動は、第45実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300を作動させると、通常運転モードでは、図70(a)のモリエル線図に示すように、第8実施形態の図16と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図70(b)のモリエル線図に示すように、第41実施形態の除霜運転モードの図58(b)と同様に作動する。
これにより、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300では、通常運転モード時に、第8実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23の除霜を行うことができる。
(第48実施形態)
次に、図71、72により、本発明の第48実施形態を説明する。本実施形態では、本発明のエジェクタ式冷凍サイクルを、庫内温度を低温または高温に保つ冷温保存庫に適用している。図71は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500の全体構成図である。
このエジェクタ式冷凍サイクル500は、熱交換対象流体である庫内空気を冷却する冷却運転モードと、庫内空気を加熱する加熱運転モードを切替可能に構成されている。なお、図5における実線矢印は、冷却運転モード時における冷媒の流れを示し、破線矢印は、加熱運転モードにおける冷媒の流れを示している。
ところで、冷却運転モードと加熱運転モードを切替可能に構成されたエジェクタ式冷凍サイクルでは、少なくともエジェクタを冷媒減圧手段として用いる冷媒流路に切り替えた際には、上述の実施形態と同様に、エジェクタ19の吸引能力が低下するような運転条件となっても、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることが望まれる。
そこで、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500は、以下に説明する構成になっている。まず、第1圧縮機11の吐出口に、第1電気式四方弁51が接続されている。この第1電気式四方弁51は、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される冷媒流路切替手段である。
具体的には、第1電気式四方弁51は、第1圧縮機11吐出口と室外熱交換器53との間および第2電気式四方弁52の異なる2つの流入出口間を同時に接続する冷媒流路(図71の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口と第2電気式四方弁52の1つの流入出口との間および室外熱交換器53と第2電気式四方弁52の別の1つの流入出口との間を同時に接続する冷媒流路(図71の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
図71の実線矢印で示す冷媒流路のように、冷却運転モードにおける第1圧縮機11の吐出口側には、第1電気式四方弁51を介して、室外熱交換器53が接続されている。室外熱交換器53は、その内部を通過する冷媒と送風ファン53aにより送風される室外空気とを熱交換させる熱交換器である。送風ファン53aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
冷却運転モードにおける室外熱交換器53の出口側には、第1分岐部13が接続されている。第1分岐部13の一方の冷媒流出口には、高圧側減圧手段としての電気式の可変絞り機構14aが接続され、他方の冷媒流出口には、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aが接続されている。
可変絞り機構14aは、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成されている。また、可変絞り機構14aは、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
具体的には、本実施形態の制御装置には、第1圧縮手段11a吸入側冷媒の温度を検出するための温度センサおよび圧力を検出する圧力センサ(いずれも図示せず。)が接続されている。さらに、制御装置は、これらのセンサの検出値に基づいて、予め記憶された制御マップを参照して、第1圧縮手段11a吸入側冷媒の過熱度が予め設定された所定値となるように可変絞り機構14aの弁開度を制御する。
冷却運転モードにおける可変絞り機構14aの出口側には、第1実施形態と同様に、内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bが接続され、中間圧側冷媒流路15bの出口側には、合流部16が接続されている。
冷却運転モードにおける内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aの出口側には、第1実施形態と同様に、第1固定絞り17、第2分岐部18が接続されている。第2分岐部18の一方の冷媒流出口には、第2分岐部18側からエジェクタ19のノズル部19a側へ冷媒が流れることのみを許容するノズル前逆止弁29を介して、ノズル部19a入口側が接続されている。
冷却運転モードにおけるエジェクタ19のディフューザ部19cの出口側には、補助利用側熱交換器54が接続されている。この補助利用側熱交換器54の基本的構成は、第1実施形態の流出側蒸発器20と同様である。より具体的には、補助利用側熱交換器54では、その内部を流通する冷媒と送風ファン54aから循環送風される庫内空気とを熱交換させる。なお、送風ファン54aの基本的構成は、送風ファン20aと同様である。
冷却運転モードにおける補助利用側熱交換器54の出口側には、第2電気式四方弁52が接続されている。この第2電気式四方弁52は、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される冷媒流路切替手段であり、その基本的構成は、第1電気式四方弁51と同様である。
具体的には、第2電気式四方弁52は、補助利用側熱交換器54と第2圧縮機21吸入口との間および第1電気式四方弁51の異なる2つの流入出口間を同時に接続する冷媒流路(図71の実線矢印で示す回路)と、第1電気式四方弁51の1つの流入出口と補助利用側熱交換器54との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と第2圧縮機21吸入口との間を同時に接続する冷媒流路(図71の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
また、冷却運転モードにおける第2分岐部18の他方の冷媒流出口には、第2固定絞り22を介して、利用側熱交換器25が接続されている。この利用側熱交換器55の基本的構成は、第1実施形態の吸引側蒸発器23と同様である。より具体的には、利用側熱交換器55では、その内部を流通する冷媒と送風ファン54aから循環送風されて補助利用側熱交換器54通過後の庫内空気とを熱交換させる。
さらに、利用側熱交換器55の出口側には、エジェクタ19の冷媒吸引口19bが接続されている。
次に、図72により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500では、庫内空気を冷却する冷却運転モードおよび庫内空気を加熱する加熱運転モードを切り替えることができる。なお、図72(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図72(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
冷却運転モードは、操作パネルの作動スイッチにより冷却運転モードが選択されると実行される。冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を上述の如く制御する。
さらに、制御装置が、第1圧縮機11吐出口と室外熱交換器53との間および第2電気式四方弁52の異なる2つの流入出口間を同時に接続するように第1電気式四方弁51を切り替え、補助利用側熱交換器54と第2圧縮機21吸入口との間および第1電気式四方弁51の異なる2つの流入出口間を同時に接続するように第2電気式四方弁52を切り替える。これにより、図71の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→可変絞り機構14a→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第2電気式四方弁52→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第2電気式四方弁52→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器53、利用側熱交換器55および補助利用側熱交換器54が、それぞれ第1実施形態における放熱器12、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20に対応する構成となり、図72(a)に示すように、第1実施形態の図2と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードは、操作パネルの作動スイッチにより加熱運転モードが選択されると実行される。加熱運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を全閉状態とする。
さらに、制御装置が第1圧縮機11吐出口と第2電気式四方弁52の1つの流入出口との間および室外熱交換器53と第2電気式四方弁52の別の1つの流入出口との間を同時に接続するように第1電気式四方弁51を切り替え、第1電気式四方弁51の1つの流入出口と補助利用側熱交換器54との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と第2圧縮機21吸入口との間を同時に接続するように第2電気式四方弁52を切り替える。
これにより、第1圧縮機11吐出冷媒は、第1、第2電気式四方弁51、52を介して、補助利用側熱交換器54へ流入して、送風ファン54aから循環送風された庫内空気と熱交換して放熱する(図72(b)のah72点→bh72点)。これにより庫内空気が加熱される。
補助利用側熱交換器54から流出した冷媒は、ノズル前逆止弁29の作用によって、エジェクタ19の内部を、冷却運転モードに対して逆流するように、ディフューザ部19c→冷媒吸引口19bの順に流れる。エジェクタ19に流入した冷媒は、エジェクタ19内の圧力損失によって圧力低下する(bh72点→ch72点)。
エジェクタ19の冷媒吸引口19bから流出した冷媒は、利用側熱交換器55へ流入した、送風ファン54aから循環送風されて補助利用側熱交換器54通過後の庫内空気と熱交換して放熱する(ch72点→dh72点)。これにより庫内空気がさらに加熱される。
利用側熱交換器55から流出した冷媒は、第2固定絞り22にて減圧され、第2分岐部18を介して、第1固定絞り17にて、さらに減圧される(dh72点→eh72点→fh72点)。この際、ノズル前逆止弁29の前後差圧によって第2分岐部18からノズル部19a側へ冷媒が流出することはない。
第1固定絞り17にて減圧膨張された冷媒は、内部熱交換器15および第1分岐部13を介して、室外熱交換器53へ流入する。この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、内部熱交換器15では、熱交換は行われない。さらに、第1分岐部13から可変絞り機構14a側へ冷媒が流出することはない。
室外熱交換器53へ流入した冷媒は、送風ファン53aから送風された外気と熱交換して吸熱する(fh72点→gh72点)。室外熱交換器53から流出した冷媒は、第1電気式四方弁51→第2電気式四方弁52の順に流れ、第2圧縮機21へ吸入されて圧縮される(gh72点→hh72点)。さらに、第2圧縮機21吐出冷媒は、合流部16を介して、第1圧縮機11へ吸入されて圧縮される(hh72点→ah72点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第1実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第49実施形態)
本実施形態では、図73の全体構成図に示すように、第48実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500に対して、第2実施形態と同様の補助内部熱交換器25を追加するとともに、補助利用側熱交換器54を廃止した例を説明する。
本実施形態の補助内部熱交換器25は、冷却運転モード時に、高圧側冷媒流路25aを通過する第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒と、低圧側冷媒流路25bを通過するエジェクタ19のディフューザ部19cから流出した冷媒との間で熱交換を行うものである。
従って、本実施形態の第1電気式四方弁51は、第1圧縮機11吐出口と室外熱交換器53との間および第2電気式四方弁52の異なる2つの流入出口間を同時に接続する冷媒流路(図73の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口と第2電気式四方弁52の1つの流入出口との間および室外熱交換器53と第2電気式四方弁52の別の1つの流入出口との間を同時に接続する冷媒流路(図73の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
また、本実施形態の第2電気式四方弁52は、エジェクタ19のディフューザ部19cと第1電気式四方弁51の1つの流入出口との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bとの間を同時に接続する冷媒流路(図73の実線矢印で示す回路)と、第1電気式四方弁51の1つの流入出口とエジェクタ19のディフューザ部19cとの間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bとの間を同時に接続する冷媒流路(図73の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
次に、図74により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1圧縮機11吐出口と室外熱交換器53との間および第2電気式四方弁52の異なる2つの流入出口間を同時に接続するように第1電気式四方弁51を切り替え、エジェクタ19のディフューザ部19cと第1電気式四方弁51の1つの流入出口との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bとの間を同時に接続するように第2電気式四方弁52を切り替える。これにより、図73の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→可変絞り機構14a→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器53および利用側熱交換器55が、それぞれ第2実施形態における放熱器12および吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図74(a)に示すように、第2実施形態の図4と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第1圧縮機11吐出口と第2電気式四方弁52の1つの流入出口との間および室外熱交換器53と第2電気式四方弁52の別の1つの流入出口との間を同時に接続するように第1電気式四方弁51を切り替え、第1電気式四方弁51の1つの流入出口とエジェクタ19のディフューザ部19cとの間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bとの間を同時に接続するように第2電気式四方弁52を切り替える。
これにより、第1圧縮機11吐出冷媒は、第48実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を介して、エジェクタ19の内部を逆流しながら圧力低下して(ah74点→ch74点)、利用側熱交換器55へ流入する。利用側熱交換器55へ流入した冷媒は、送風ファン54aから循環送風された庫内空気と熱交換して放熱する(ch74点→dh74点)。これにより庫内空気が、加熱される。
利用側熱交換器55から流出した冷媒は、第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25aの順に流れる(dh74点→eh74点→fh74点)。この際、ノズル前逆止弁29の前後差圧によって第2分岐部18からノズル部19a側へ冷媒が流出することはない。
補助内部熱交換器25では、高圧側冷媒流路25aを流通する冷媒と低圧側冷媒流路25bを流通する冷媒との温度差が極めて小さいため、殆ど熱交換は行われない。
補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25aから流出した冷媒は、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1分岐部13→室外熱交換器53の順に流れる。この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、第1分岐部13から可変絞り機構14a側へ冷媒が流出することはなく、内部熱交換器15では熱交換は行われない。
室外熱交換器53へ流入した冷媒は、送風ファン53aから送風された外気と熱交換して吸熱する(fh74点→gh74点)。室外熱交換器53から流出した冷媒は、第1電気式四方弁51→第2電気式四方弁52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bの順に流れる。
補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bから流出した冷媒は、第2圧縮機21へ吸入され圧縮される(gh74点→hh74点)。さらに、第2圧縮機21吐出冷媒は、合流部16を介して、第1圧縮機11へ吸入され圧縮される(hh74点→ah74点)。その他の作動は、第48実施形態と同様である。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第2実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第50実施形態)
本実施形態では、図75の全体構成図に示すように、第48実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500に対して、第3実施形態の補助放熱器24と同様の構成の補助室外熱交換器53bを追加した例を説明する。本実施形態の補助室外熱交換器53bは、その内部を流通する冷媒と送風ファン53aにより送風される庫外空気(外気)とを熱交換させるものである。
さらに、第48実施形態に対して、室外熱交換器53の熱交換能力を低下させるとともに、第1分岐部13にて補助放熱器24側へ流出する冷媒流量が温度式膨張弁14側へ流出する冷媒流量よりも多くなるように構成されている。その他の構成は、第48実施形態と同様である。
次に、図76により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態の基本的作動は、第48実施形態と同様である。従って、冷却運転モードでは、図75の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→可変絞り機構14a→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→補助室外熱交換器53b→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第2電気式四方弁52→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→補助室外熱交換器53b→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第2電気式四方弁52→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器53、補助室外熱交換器53b、補助利用側熱交換器54および利用側熱交換器55が、それぞれ第3実施形態における放熱器12、補助放熱器24、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図76(a)に示すように、第3実施形態の図6と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第48実施形態と同様に第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。
これにより、第1圧縮機11吐出冷媒は、第48実施形態と同様に、第1電気式四方弁51→第2電気式四方弁52→補助利用側熱交換器54→エジェクタ19→利用側熱交換器55の順に流れる(図76(b)のah76点→bh76点→ch76点→dh76点)。これにより庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器55から流出した冷媒は、第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17の順に流れ減圧される(dh76点→eh76点→fh76点)。第1固定絞り17にて減圧膨張された冷媒は、内部熱交換器15を介して、補助室外熱交換器53bへ流入する。補助室外熱交換器53bへ流入した冷媒は、送風ファン53aから送風された外気と熱交換して吸熱する(fh76点→f’h76点)。
補助室外熱交換器53bから流入した冷媒は、第1分岐部13を介して、室外熱交換器53へ流入する。室外熱交換器53へ流入した冷媒は、送風ファン53aから送風された外気と熱交換して吸熱する(f’h76点→gh76点)。
室外熱交換器53から流出した冷媒は、第1電気式四方弁51→第2電気式四方弁52の順に流れ第2圧縮機21へ吸入されて圧縮される(gh76点→hh76点)。さらに、第2圧縮機21吐出冷媒は、合流部16を介して、第1圧縮機11へ吸入されて圧縮される(hh76点→ah76点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第3実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第51実施形態)
本実施形態では、図77の全体構成図に示すように、第49実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500に対して、第50実施形態と同様の補助室外熱交換器53bを追加した例である。その他の構成は、第49実施形態と同様である。
次に、図78より、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態の基本的作動は、第48実施形態と同様である。従って、冷却運転モードでは、図77の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→可変絞り機構14a→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→補助室外熱交換器53b→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→補助室外熱交換器53b→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器53、補助室外熱交換器53b、利用側熱交換器55が、それぞれ第4実施形態における放熱器12、補助放熱器24および吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図78(a)に示すように、第4実施形態の図8と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第49実施形態と同様に第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。
これにより、第1圧縮機11吐出冷媒は、第49実施形態と同様に、第1電気式四方弁51→第2電気式四方弁52→エジェクタ19→利用側熱交換器55の順に流れる(図78(b)のah78点→ch78点→dh78点)。これにより庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器55から流出した冷媒は、第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17の順に流れ減圧される(dh78点→eh78点→fh78点)。第1固定絞り17にて減圧膨張された冷媒は、補助内部熱交換器25および内部熱交換器15を介して補助室外熱交換器53bへ流入する。補助室外熱交換器53bへ流入した冷媒は、送風ファン53aから送風された外気と熱交換して吸熱する(fh78点→f’h78点)。
補助室外熱交換器53bから流入した冷媒は、第1分岐部13を介して、室外熱交換器53へ流入する。室外熱交換器53へ流入した冷媒は、送風ファン53aから送風された外気と熱交換して吸熱する(f’h78点→gh78点)。
室外熱交換器53から流出した冷媒は、第1電気式四方弁51→第2電気式四方弁52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bの順に流れ第2圧縮機21へ吸入されて圧縮される(gh78点→hh78点)。さらに、第2圧縮機21吐出冷媒は、合流部16を介して、第1圧縮機11へ吸入されて圧縮される(hh78点→ah78点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第4実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第52実施形態)
図79、80により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル600を第48実施形態と同様の冷温保存庫に適用した例を説明する。図79は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600の全体構成図である。なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600は、その前提となる第48実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500に対して、構成機器の変更およびその接続態様の変更、すなわちサイクル構成を変更したものである。
図79に示すように、本実施形態では、第48実施形態と同様の第1分岐部13を、第1圧縮機11の吐出口側に配置している。第1分岐部13の一方の冷媒流出口には、第1室外熱交換器531が接続され、他方の冷媒流出口には、第2室外熱交換器532が接続されている。
第1室外熱交換器531は、第1分岐部13の一方の冷媒流出口から流出した高圧冷媒と、第1送風ファン531aにより送風される庫外空気(外気)とを熱交換させる熱交換器である。また、第2室外熱交換器532は、第1分岐部13の他方の冷媒流出口から流出した高圧冷媒と、第2送風ファン532aにより送風される庫外空気(外気)とを熱交換させる熱交換器である。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600では、第1室外熱交換器531の熱交換面積を、第2室外熱交換器532に対して縮小させることによって、第1室外熱交換器531の熱交換能力(放熱性能)を第2室外熱交換器532の熱交換能力よりも低下させている。第1、第2送風ファン531a、532aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
第1室外熱交換器531の出口側には、第48実施形態と同様に高圧側減圧手段としての可変絞り機構14aが接続されている。可変絞り機構14aの冷媒流れ下流側のサイクル構成は、第48実施形態と同様である。一方、第2室外熱交換器532の出口側には、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aが接続されている。高圧側冷媒流路15aの冷媒流れ下流側のサイクル構成は、第48実施形態と同様である。
従って、本実施形態の第1電気式四方弁51は、第1圧縮機11吐出口と第1分岐部13との間および第2電気式四方弁52の異なる2つの流入出口間を同時に接続する冷媒流路(図79の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口と第2電気式四方弁52の1つの流入出口間および第1分岐部13と第2電気式四方弁52の別の1つの流入出口との間を同時に接続する冷媒流路(図79の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
また、本実施形態の第2電気式四方弁52は、補助利用側熱交換器54と第1電気式四方弁51の1つの流入出口との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と第2圧縮機21吸入口との間を同時に接続する冷媒流路(図79の実線矢印で示す回路)と、第1電気式四方弁51の1つの流入出口と補助利用側熱交換器54との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と第2圧縮機21吸入口との間とを同時に接続する冷媒流路(図79の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
次に、図80により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態の基本的作動は、第48実施形態と同様である。
本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1圧縮機11吐出口と第1分岐部13との間および第2電気式四方弁52の異なる2つの流入出口間を同時に接続するように第1電気式四方弁51を切り替え、補助利用側熱交換器54と第1電気式四方弁51の1つの流入出口との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と第2圧縮機21吸入口との間を同時に接続するように第2電気式四方弁52を切り替える。従って、冷却運転モードでは、図79の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第1室外熱交換器531→可変絞り機構14a→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第2室外熱交換器532→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第1、第2電気式四方弁51、52→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第2室外熱交換器532→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第1、第2電気式四方弁51、52→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第1室外熱交換器531、第2室外熱交換器532、補助利用側熱交換器54および利用側熱交換器55が、それぞれ第7実施形態における第1放熱器121、第2放熱器122、流出側蒸発器20、吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図80(a)に示すように、第7実施形態の図14と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第1圧縮機11吐出口と第2電気式四方弁52の1つの流入出口間および第1分岐部13と第2電気式四方弁52の別の1つの流入出口との間を同時に接続するように第1電気式四方弁51を切り替え、第1電気式四方弁51の1つの流入出口と補助利用側熱交換器54との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と第2圧縮機21吸入口との間とを同時に接続するように第2電気式四方弁52を切り替える。
さらに、本実施形態では、制御装置が、可変絞り機構14aを全閉状態とするだけでなく、第1送風ファン531aの作動を停止させる。これにより、第1圧縮機11吐出冷媒は、第48実施形態と同様に、第1電気式四方弁51→第2電気式四方弁52→補助利用側熱交換器54→エジェクタ19→利用側熱交換器55の順に流れる(図80(b)のah80点→bh80点→ch80点→dh80点)。これにより庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器55から流出した冷媒は、第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17の順に流れて減圧される(dh80点→eh80点→fh80点)。第1固定絞り17にて減圧膨張された冷媒は、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aを介して第2室外熱交換器532へ流入する。第2室外熱交換器532へ流入した冷媒は、第2送風ファン532aから送風された外気と熱交換して吸熱する(fh80点→gh80点)。
第2室外熱交換器532から流出した冷媒は、第1分岐部13→第1電気式四方弁51→第2電気式四方弁52の順に流れ第2圧縮機21へ吸入されて圧縮される(gh80点→hh80点)。さらに、第2圧縮機21吐出冷媒は、合流部16を介して、第1圧縮機11へ吸入されて圧縮される(hh80点→ah80点)。
この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、第1分岐部13から第1室外熱交換器531側へ冷媒が流出することはなく、内部熱交換器15では熱交換は行われない。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第7実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第53実施形態)
本実施形態では、図81の全体構成図に示すように、第52実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600に対して、第8実施形態と同様の補助内部熱交換器25を追加するとともに、補助利用側熱交換器54を廃止した例を説明する。
本実施形態の補助内部熱交換器25は、冷却運転モード時に、高圧側冷媒流路25aを通過する第2室外熱交換器532から流出した冷媒と、低圧側冷媒流路25bを通過するエジェクタ19のディフューザ部19cから流出した冷媒との間で熱交換を行うものである。
従って、本実施形態の第1電気式四方弁51は、第1圧縮機11吐出口と第1分岐部13との間および第2電気式四方弁52の異なる2つの流入出口間を同時に接続する冷媒流路(図81の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口と第2電気式四方弁52の1つの流入出口間および第1分岐部13と第2電気式四方弁52の別の1つの流入出口との間を同時に接続する冷媒流路(図81の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
また、本実施形態の第2電気式四方弁52は、エジェクタ19のディフューザ部19cと第1電気式四方弁51の1つの流入出口との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bとの間を同時に接続する冷媒流路(図81の実線矢印で示す回路)と、第1電気式四方弁51の1つの流入出口とエジェクタ19のディフューザ部19cとの間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bとの間を同時に接続する冷媒流路(図81の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
次に、図82により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態の基本的作動は、第49実施形態と同様である。
本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1圧縮機11吐出口と第1分岐部13との間および第2電気式四方弁52の異なる2つの流入出口間を同時に接続するように第1電気式四方弁51を切り替え、エジェクタ19のディフューザ部19cと第1電気式四方弁51の1つの流入出口との間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bとの間を同時に接続するように第2電気式四方弁52を切り替える。これにより、図81の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第1室外熱交換器531→可変絞り機構14a→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第2室外熱交換器532→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第2室外熱交換器532→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第1室外熱交換器531、第2室外熱交換器532および利用側熱交換器55が、それぞれ第8実施形態における第1放熱器121、第2放熱器122および吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図82(a)に示すように、第8実施形態の図16と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第1圧縮機11吐出口と第2電気式四方弁52の1つの流入出口間および第1分岐部13と第2電気式四方弁52の別の1つの流入出口との間を同時に接続するように第1電気式四方弁51を切り替え、第1電気式四方弁51の1つの流入出口とエジェクタ19のディフューザ部19cとの間および第1電気式四方弁51の別の1つの流入出口と補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bとの間を同時に接続するように第2電気式四方弁52を切り替える。
さらに、本実施形態では、制御装置が、可変絞り機構14aを全閉状態とするだけでなく、第1送風ファン531aの作動を停止させる。
これにより、第1圧縮機11吐出冷媒は、第49実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を介して、エジェクタ19の内部を逆流しながら圧力低下して(ah82点→ch82点)、利用側熱交換器55へ流入する。利用側熱交換器55へ流入した冷媒は、送風ファン54aから循環送風された庫内空気と熱交換して放熱する(ch82点→dh82点)。これにより庫内空気が、加熱される。
利用側熱交換器55から流出した冷媒は、第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17の順に流れて減圧される(dh82点→eh82点→fh82点)。第1固定絞り17にて減圧膨張された冷媒は、補助内部熱交換器25および内部熱交換器15を介して第2室外熱交換器532へ流入する。
この際、補助内部熱交換器25では、高圧側冷媒流路25aを流通する冷媒と低圧側冷媒流路25bを流通する冷媒との温度差が極めて小さいため、殆ど熱交換は行われない。第2室外熱交換器532へ流入した冷媒は、第2送風ファン532aから送風された外気と熱交換して吸熱する(fh82点→gh82点)。
第2室外熱交換器532から流出した冷媒は、第1分岐部13→第1電気式四方弁51→第2電気式四方弁52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bの順に流れ第2圧縮機21へ吸入されて圧縮される(gh82点→hh82点)。さらに、第2圧縮機21吐出冷媒は、合流部16を介して、第1圧縮機11へ吸入されて圧縮される(hh82点→ah82点)。
この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、第1分岐部13から第1室外熱交換器531側へ冷媒が流出することはなく、内部熱交換器15では熱交換は行われない。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第8実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第54実施形態)
本実施形態では、図83の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、合流部16の配置を変更している。つまり、第1実施形態では、合流部16にて、内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bから流出した冷媒と第2圧縮機21吐出冷媒を合流させているが、本実施形態では、合流部16にて、温度式膨張弁14流出冷媒と第2圧縮機21吐出冷媒を合流させている。
従って、本実施形態の内部熱交換器15では、温度式膨張弁14流出冷媒(図84のc84点)と第2圧縮機21吐出冷媒(l84点)とを合流させた合流冷媒(d84点)と、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒(b84点)とを熱交換させている。その他の構成および作動は第1実施形態と同様である。
その結果、本実施形態では、図84のモリエル線図に示すように、実質的に第1実施形態と同様に作動して、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第55〜61実施形態)
第55実施形態では、図85の全体構成図に示すように、第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第54実施形態と同様に、合流部16の配置を変更している。従って、図86のモリエル線図に示すように、実質的に第2実施形態と同様に作動して、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
第56実施形態では、図87の全体構成図に示すように、第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第54実施形態と同様に、合流部16の配置を変更している。従って、図88のモリエル線図に示すように、実質的に第3実施形態と同様に作動して、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
第57実施形態では、図89の全体構成図に示すように、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第54実施形態と同様に、合流部16の配置を変更している。従って、図90のモリエル線図に示すように、実質的に第4実施形態と同様に作動して、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
第58実施形態では、図91の全体構成図に示すように、第5実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、第54実施形態と同様に、合流部16の配置を変更している。従って、図92のモリエル線図に示すように、実質的に第5実施形態と同様に作動して、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
第59実施形態では、図93の全体構成図に示すように、第6実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、第54実施形態と同様に、合流部16の配置を変更している。従って、図94のモリエル線図に示すように、実質的に第6実施形態と同様に作動して、第6実施形態と同様の効果を得ることができる。
第60実施形態では、図95の全体構成図に示すように、第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第54実施形態と同様に、合流部16の配置を変更している。従って、図96のモリエル線図に示すように、実質的に第7実施形態と同様に作動して、第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
第61実施形態では、図97の全体構成図に示すように、第8実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第54実施形態と同様に、合流部16の配置を変更している。従って、図98のモリエル線図に示すように、実質的に第8実施形態と同様に作動して、第8実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第62〜第67実施形態)
第62実施形態は、図99の全体構成図に示すように、第54実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、放熱器12出口側に高圧側気液分離器として受液器12bを設けたものである。この受液器12bは、分離された飽和液相冷媒を下流側の第1分岐部13へ導出させる。本実施形態によれば、実質的に第9実施形態と同様に作動して、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。
第63実施形態は、図100の全体構成図に示すように、第55実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、放熱器12出口側に高圧側気液分離器として受液器12bを設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第10実施形態と同様に作動して、第10実施形態と同様の効果を得ることができる。
同様に、第55、第56実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100および第57、第58実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、第62、第63実施形態と同様の受益器12bを設けてもよい。
第64実施形態は、図101の全体構成図に示すように、第56実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、補助放熱器24出口側に高圧側気液分離器として受液器24bを設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第11実施形態と同様に作動して、第11実施形態と同様の効果を得ることができる。
第65実施形態は、図102に示すように、第57実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、補助放熱器24出口側に高圧側気液分離器として受液器24bを設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第12実施形態と同様に作動して、第12実施形態と同様の効果を得ることができる。
第66実施形態は、図103の全体構成図に示すように、第60実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第1放熱器121および第2放熱器122の出口側に、それぞれ高圧側気液分離器としての第1、第2受液器121b、122bを設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第13実施形態と同様に作動して、第13実施形態と同様の効果を得ることができる。
第67実施形態は、図104の全体構成図に示すように、第61実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第1放熱器121および第2放熱器122の出口側に、それぞれ第1、第2高圧側気液分離器としての第1、第2受液器121b、122bを設けたものである。
本実施形態によれば、実質的に第14実施形態と同様に作動して、第14実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第66、第67本実施形態では、第1、第2受液器121b、122bの双方を設けた例を説明したが、第1、第2受液器121b、122bのうち、いずれか一方のみを設ける構成としてもよい。
(第68〜第73実施形態)
第68実施形態は、図105の全体構成図に示すように、第54実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、放熱器12の構成を第15実施形態と同様のサブクール型凝縮器として構成したものである。その他の構成は、第54実施形態と同様である。本実施形態によれば、実質的に第15実施形態と同様に作動して、第15実施形態と同様の効果を得ることができる。
第69実施形態は、図106の全体構成図に示すように、第55実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、放熱器12の構成を第15実施形態と同様のサブクール型凝縮器として構成したものである。その他の構成は、第55実施形態と同様である。本実施形態によれば、実質的に第16実施形態と同様に作動して、第16実施形態と同様の効果を得ることができる。
第70実施形態は、図107の全体構成図に示すように、第56実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、放熱器12の構成を第15実施形態と同様のサブクール型凝縮器として構成したものである。その他の構成は、第56実施形態と同様である。本実施形態によれば、実質的に第17実施形態と同様に作動して、第17実施形態と同様の効果を得ることができる。
第71実施形態は、図108の全体構成図に示すように、第57実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、放熱器12の構成を第15実施形態と同様のサブクール型凝縮器として構成したものである。その他の構成は、第57実施形態と同様である。本実施形態によれば、実質的に第18実施形態と同様に作動して、第18実施形態と同様の効果を得ることができる。
もちろん、第58、第59実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、放熱器12としてサブクール型凝縮器を採用してもよい。
第72実施形態は、図109の全体構成図に示すように、第58実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第1、第2放熱器121、122の構成を第19実施形態と同様のサブクール型凝縮器として構成したものである。その他の構成は、第60実施形態と同様である。本実施形態によれば、実質的に第19実施形態と同様に作動して、第19実施形態と同様の効果を得ることができる。
第73実施形態は、図110の全体構成図に示すように、第59実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第1、第2放熱器121、122の構成を第15実施形態と同様のサブクール型凝縮器として構成したものである。その他の構成は、第61実施形態と同様である。本実施形態によれば、実質的に第20実施形態と同様に作動して、第20実施形態と同様の効果を得ることができる。
第72、第73実施形態では、第1、第2放熱器121、122の双方をサブクール型凝縮器とした例を説明したが、第1、第2放熱器121、122のうち、いずれか一方のみをサブクール型凝縮器としてもよい。
(第74〜第79実施形態)
第74実施形態は、図111の全体構成図に示すように、第54実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、温度式膨張弁14を廃止して、第21実施形態と同様の膨張機40を設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第21実施形態と同様に作動して、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
第75実施形態は、図112の全体構成図に示すように、第55実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、温度式膨張弁14を廃止して、第21実施形態と同様の膨張機40を設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第22実施形態と同様に作動して、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
第76実施形態は、図113の全体構成図に示すように、第56実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、温度式膨張弁14を廃止して、第21実施形態と同様の膨張機40を設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第23実施形態と同様に作動して、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
第77実施形態は、図114の全体構成図に示すように、第57実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、温度式膨張弁14を廃止して、第21実施形態と同様の膨張機40を設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第24実施形態と同様に作動して、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
第78実施形態は、図115の全体構成図に示すように、第60実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、温度式膨張弁14を廃止して、第21実施形態と同様の膨張機40を設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第25実施形態と同様に作動して、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
第79実施形態は、図116の全体構成図に示すように、第61実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、温度式膨張弁14を廃止して、第21実施形態と同様の膨張機40を設けたものである。本実施形態によれば、実質的に第26実施形態と同様に作動して、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としてのエネルギ効率を向上できる。
なお、第74〜第79実施形態では、高圧側減圧手段として膨張機40を採用した例を説明したが、もちろん、第1固定絞り17を廃止して、ノズル前減圧手段として膨張機を採用してもよいし、第2固定絞り22を廃止して、吸引側減圧手段として膨張機を採用してもよい。さらに、第58、第59実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200において、温度式膨張弁14、第1、第2固定絞り17、22として膨張機を採用してもよい。
(第80実施形態)
第54〜第79実施形態では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用し、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成した例を説明したが、本実施形態では、冷媒として二酸化炭素を採用し、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成した例を説明する。
さらに、本実施形態では、図117の全体構成図に示すように、第54実施形態に対して、ノズル前減圧手段である第1固定絞り17を廃止している。その他の構成は、第54実施形態と同様である。
従って、本実施形態によれば、図118のモリエル線図に示すように、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図118では、f118点とh118点の圧力差)を増加させることによるCOP向上効果を得ることができ、第33実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第81実施形態)
本実施形態では、図119の全体構成図に示すように、第55実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第80実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態によれば、図120のモリエル線図に示すように、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図120では、f’120点とh120点の圧力差)を増加させることによるCOP向上効果を得ることができ、第34実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第82実施形態)
本実施形態では、図121の全体構成図に示すように、第56実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第80実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態によれば、図122のモリエル線図に示すように、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図122では、f122点とh122点の圧力差)を増加させることによるCOP向上効果を得ることができ、第35実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第83実施形態)
本実施形態では、図123の全体構成図に示すように、第57実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第80実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態によれば、図124のモリエル線図に示すように、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図124では、f’124点とh124点の圧力差)を増加させることによるCOP向上効果を得ることができ、第36実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第84実施形態)
本実施形態では、図125の全体構成図に示すように、第60実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第80実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態によれば、図126のモリエル線図に示すように、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図126では、f126点とh126点の圧力差)を増加させることによるCOP向上効果を得ることができ、第37実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第85実施形態)
本実施形態では、図127の全体構成図に示すように、第61実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第80実施形態と同様に、第1固定絞り17を廃止して、第1圧縮機11吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。
従って、本実施形態によれば、図128のモリエル線図に示すように、エジェクタ19のノズル部19aにおける減圧量(図128では、f’128点とh128点の圧力差)を増加させることによるCOP向上効果を得ることができ、第38実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第80〜第85実施形態では、第54〜第57、第60、第61実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100、300を超臨界冷凍サイクルとして構成した例を説明したが、もちろん、第58、第59実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200を超臨界冷凍サイクルとして構成してもよい。
(第86実施形態)
図129、130により本発明の第86実施形態を説明する。ところで、第39実施形態で説明したように、冷凍機に適用されるエジェクタ式冷凍サイクル100では、吸引側蒸発器23の着霜が懸念される。
そこで、本実施形態では、図129の全体構成図に示すように、第54実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第39実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用している。その他の構成は、第54実施形態と同様である。
次に、図130のモリエル線図により、本実施形態の作動を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、第39実施形態と同様に、庫内を冷却する通常運転モードと吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行う除霜運転モードとを切り替えることができる。
なお、図130(a)は、通常運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図130(b)は、除霜運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
通常運転モードでは、制御装置が開閉弁28aを閉弁状態とし、可変絞り機構22aを予め定めた絞り開度とする。これにより、通常運転モードでは、図130(a)のモリエル線図に示すように、第54実施形態の図84と同様に作動する。
一方、除霜運転モードでは、制御装置が冷却ファン12aの作動を停止させ、可変絞り機構22aを全閉状態とし、さらに、開閉弁28aを開く。これにより、除霜運転モードでは、図130(b)のモリエル線図に示すように、第39実施形態の図54(b)と同様に作動する。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第54実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
また、本実施形態のように、除霜運転モード時に、制御装置が冷却ファン12aの作動を停止させる場合は、放熱器12が放熱能力を発揮しないので、例えば、放熱器12の下流側であって第1分岐部13の上流側から高圧冷媒をバイパス通路28側へ流入させるようにしてもよい。
(第87実施形態)
本実施形態では、図131の全体構成図に示すように、第86実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第40実施形態と同様の補助バイパス通路28bおよび補助バイパス通路用逆止弁28cを追加して、除霜運転モードを実行可能に構成している。
本実施形態の基本的作動は、第86実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図132(a)のモリエル線図に示すように、第54実施形態の図86と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図132(b)のモリエル線図に示すように、第40実施形態の図56(b)と同様に作動する。
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第54実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
(第88実施形態)
本実施形態では、図133の全体構成図に示すように、第55実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第39実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して除霜運転モードを実行可能に構成している。その他の構成は、第55実施形態と同様である。
本実施形態の基本的作動は、第86実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図134(a)のモリエル線図に示すように、第55実施形態の図86と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図134(b)のモリエル線図に示すように、第41実施形態の図58(b)と同様に作動する。
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第55実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23の除霜を行うことができる。
(第89実施形態)
本実施形態では、図135の全体構成図に示すように、第56実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第39実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して除霜運転モードを実行可能に構成している。その他の構成は、第56実施形態と同様である。
本実施形態の基本的作動は、第86実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図136(a)のモリエル線図に示すように、第56実施形態の図88と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図136(b)のモリエル線図に示すように、第42実施形態の図60(b)と同様に作動する。
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第56実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
(第90実施形態)
本実施形態では、図137の全体構成図に示すように、第56実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、バイパス通路28、開閉弁28a、補助バイパス通路28bおよび補助バイパス通路用逆止弁28cを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。その他の構成は、第56実施形態と同様である。
本実施形態の基本的作動は、第86実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図138(a)のモリエル線図に示すように、第56の図88と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図138(b)のモリエル線図に示すように、第43実施形態の除霜運転モードの図62(b)と同様に作動する。
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第56実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
(第91実施形態)
本実施形態では、図139の全体構成図に示すように、第57実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第39実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。その他の構成は、第57実施形態と同様である。
本実施形態の基本的作動は、第86実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図140(a)のモリエル線図に示すように、第57実施形態の図90と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図140(b)のモリエル線図に示すように、第44実施形態の除霜運転モードの図64(b)と同様に作動する。
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、通常運転モード時に、第57実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23の除霜を行うことができる。
また、第86〜第91実施形態では、第54〜第57実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、バイパス通路28および開閉弁28a等を追加した例を説明したが、もちろん、第58、第59実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、バイパス通路28および開閉弁28a等を追加してもよい。
(第92実施形態)
本実施形態では、図141の全体構成図に示すように、第60実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第39実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。
より具体的には、本実施形態のバイパス通路28は、第1分岐部13下流側かつ第2放熱器122上流側の高圧冷媒を、第1、第2放熱器121、122を迂回させて、直接、吸引側蒸発器23へ導く冷媒流路である。
もちろん、バイパス通路28は、第1分岐部13下流側かつ第2放熱器122上流側の高圧冷媒、または、第1分岐部13上流側の第1圧縮機11吐出冷媒を吸引側蒸発器23へ導く冷媒流路で構成してもよい。その他の構成は、第60実施形態と同様である。
本実施形態の基本的作動は、第86実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、通常運転モードでは、図142(a)のモリエル線図に示すように、第60実施形態の図96と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図142(b)のモリエル線図に示すように、第45実施形態の除霜運転モードの図66(b)と同様に作動する。
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300では、通常運転モード時に、第60実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
また、本実施形態のように、除霜運転モード時に、制御装置が第1、第2冷却ファン121a、122aの作動を停止させる場合は、第1、第2放熱器121、122が放熱能力を発揮しない。
従って、例えば、第1放熱器121の下流側であって温度式膨張弁14の上流側から高圧冷媒をバイパス通路28側へ流入させるようにしてもよいし、第2放熱器122の下流側であって内部熱交換器15の上流側から高圧冷媒をバイパス通路28側へ流入させるようにしてもよい。
(第93実施形態)
本実施形態では、図143の全体構成図に示すように、第60実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、バイパス通路28、開閉弁28a、補助バイパス通路28bおよび補助バイパス通路用逆止弁28cを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。その他の構成は、第60実施形態と同様である。
本実施形態の基本的作動は、第86実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300を作動させると、通常運転モードでは、図144(a)のモリエル線図に示すように、第60実施形態の図96と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図144(b)のモリエル線図に示すように、第46実施形態の図68(b)と同様に作動する。
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300では、通常運転モード時に、第60実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
(第94実施形態)
本実施形態では、図145の全体構成図に示すように、第61実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第69に示すように、第8実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第45実施形態と同様のバイパス通路28および開閉弁28aを追加し、吸引側減圧手段として電気式の可変絞り機構22aを採用して、除霜運転モードを実行可能に構成している。その他の構成は、第61実施形態と同様である。
本実施形態の基本的作動は、第86実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300を作動させると、通常運転モードでは、図146(a)のモリエル線図に示すように、第61実施形態の図98と同様に作動する。一方、除霜運転モードでは、図146(b)のモリエル線図に示すように、第47実施形態の除霜運転モードの図70(b)と同様に作動する。
これにより、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300では、通常運転モード時に、第61実施形態と同様の効果を得ることができ、除霜運転モード時に、吸引側蒸発器23の除霜を行うことができる。
(第95実施形態)
次に、図147、148により、本発明の第95実施形態を説明する。本実施形態では、本発明のエジェクタ式冷凍サイクルを、第48実施形態と同様の冷温保存庫に適用している。図147は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500の全体構成図である。本実施形態では、図147の全体構成図に示すように、第48実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500に対して、合流部16の配置を変更している。
つまり、第48実施形態では、合流部16にて内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bから流出した冷媒と第2圧縮機21吐出冷媒を合流させているが、本実施形態では、冷却運転モード時に、合流部16にて温度式膨張弁14流出冷媒と第2圧縮機21吐出冷媒を合流させている。その他の構成は第48実施形態と同様である。
次に、図148により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。なお、図148(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図148(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を予め定めた開度となるように制御し、さらに、第48実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。これにより、図147の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→可変絞り機構14a→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第2電気式四方弁52→第2圧縮機21→合流部16→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第2電気式四方弁52→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器53、利用側熱交換器55および補助利用側熱交換器54が、それぞれ第54実施形態における放熱器12、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20に対応する構成となり、図148(a)に示すように、第54実施形態の図84と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を全閉状態とし、さらに、第48実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。
これにより、図147の破線矢印に示すように、第1圧縮機11→第1、2電気式四方弁51、51→補助利用側熱交換器54→エジェクタ19のディフューザ部19c→エジェクタ19の冷媒吸引口19b→利用側熱交換器55→第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1分岐部13→室外熱交換器53→第1、2電気式四方弁51、52→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、第1分岐部13から可変絞り機構14a側へ冷媒が流出することはなく、内部熱交換器15では熱交換は行われない。つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、図148(b)に示すように、実質的に第48実施形態の図72(b)と同様に作動して庫内空気を加熱できる。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第54実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第96実施形態)
本実施形態では、図149の全体構成図に示すように、第49実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500に対して、合流部16の配置を第95実施形態と同様に変更している。
なお、本実施形態の補助内部熱交換器25は、冷却運転モード時に、高圧側冷媒流路25aを通過する第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒と、低圧側冷媒流路25bを通過するエジェクタ19のディフューザ部19cから流出した冷媒との間で熱交換を行うものである。その他の構成は、第49実施形態と同様である。
次に、図150により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。まず、冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を予め定めた開度となるように制御し、さらに、第49実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。これにより、図149の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→可変絞り機構14a→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器53および利用側熱交換器55が、それぞれ第55実施形態における放熱器12および吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図150(a)に示すように、第55実施形態の図86と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を全閉状態とし、さらに、第49実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。
これにより、図149の破線矢印に示すように、第1圧縮機11→第1、2電気式四方弁51、51→エジェクタ19のディフューザ部19c→エジェクタ19の冷媒吸引口19b→利用側熱交換器55→第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1分岐部13→室外熱交換器53→第1、2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25a→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、第1分岐部13から可変絞り機構14a側へ冷媒が流出することはなく、内部熱交換器15では熱交換は行われない。また、補助内部熱交換器25では、高圧側冷媒流路25aを流通する冷媒と低圧側冷媒流路25bを流通する冷媒との温度差が極めて小さいため、殆ど熱交換は行われない。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、図150(b)に示すように、実質的に第49実施形態の図74(b)と同様に作動して庫内空気を加熱できる。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第55実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第97実施形態)
本実施形態では、図151の全体構成図に示すように、第50実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500に対して、合流部16の配置を第95実施形態と同様に変更している。
次に、図152により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。まず、冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を予め定めた開度となるように制御し、さらに、第50実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。これにより、図151の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→可変絞り機構14a→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→補助室外熱交換器53b→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第2電気式四方弁52→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→補助室外熱交換器53b→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第2電気式四方弁52→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器53、補助室外熱交換器53b、補助利用側熱交換器54および利用側熱交換器55が、それぞれ第56実施形態における放熱器12、補助放熱器24、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図152(a)に示すように、第56実施形態の図88と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を全閉状態とし、さらに、第50実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。
これにより、第1圧縮機11吐出冷媒は、図151の破線矢印に示すように、第1圧縮機11→第1、2電気式四方弁51、51→補助利用側熱交換器54→エジェクタ19のディフューザ部19c→エジェクタ19の冷媒吸引口19b→利用側熱交換器55→第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助外部熱交換器53b→第1分岐部13→室外熱交換器53→第1、2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25a→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、第1分岐部13から可変絞り機構14a側へ冷媒が流出することはなく、内部熱交換器15では熱交換は行われない。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、図152(b)に示すように、実質的に第50実施形態の図76(b)と同様に作動して庫内空気を加熱できる。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第56実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第98実施形態)
本実施形態では、図153の全体構成図に示すように、第51実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500に対して、合流部16の配置を第95実施形態と同様に変更している。
次に、図154により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。まず、冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を予め定めた開度となるように制御し、さらに、第51実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。これにより、図153の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→可変絞り機構14a→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→補助室外熱交換器53b→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→室外熱交換器53→第1分岐部13→補助室外熱交換器53b→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器53、補助室外熱交換器53b、利用側熱交換器55が、それぞれ第57実施形態における放熱器12、補助放熱器24および吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図154(a)に示すように、第57実施形態の図90と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン53a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を全閉状態とし、さらに、第51実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。
これにより、図153の破線矢印に示すように、第1圧縮機11→第1、2電気式四方弁51、51→エジェクタ19のディフューザ部19c→エジェクタ19の冷媒吸引口19b→利用側熱交換器55→第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1分岐部13→室外熱交換器53→第1、2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25a→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、第1分岐部13から可変絞り機構14a側へ冷媒が流出することはなく、内部熱交換器15では熱交換は行われない。また、補助内部熱交換器25では、高圧側冷媒流路25aを流通する冷媒と低圧側冷媒流路25bを流通する冷媒との温度差が極めて小さいため、殆ど熱交換は行われない。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、図154(b)に示すように、実質的に第51実施形態の図78(b)と同様に作動して庫内空気を加熱できる。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル500は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第57実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第99実施形態)
本実施形態では、図155の全体構成図に示すように、第52実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600に対して、合流部16の配置を第95実施形態と同様に変更している。
次に、図156により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。まず、冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン531a、532a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を予め定めた開度となるように制御し、さらに、第52実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。
これにより、冷却運転モードでは、図155の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第1室外熱交換器531→可変絞り機構14a→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第2室外熱交換器532→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第1、第2電気式四方弁51、52→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第2室外熱交換器532→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→補助利用側熱交換器54→第1、第2電気式四方弁51、52→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第1室外熱交換器531、第2室外熱交換器532、補助利用側熱交換器54および利用側熱交換器55が、それぞれ第60実施形態における第1放熱器121、第2放熱器122、流出側蒸発器20、吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図156(a)に示すように、第60実施形態の図96と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第52実施形態と同様に第1、第2電気式四方弁51、52を切り替え、可変絞り機構14aを全閉状態とし、第1送風ファン531aの作動を停止させる。
これにより、図155の破線矢印に示すように、第1圧縮機11→第1、2電気式四方弁51、51→補助利用側熱交換器54→エジェクタ19のディフューザ部19c→エジェクタ19の冷媒吸引口19b→利用側熱交換器55→第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第2室外熱交換器532→第1分岐部13→第1、2電気式四方弁51、52→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、第1分岐部13から可変絞り機構14a側へ冷媒が流出することはなく、内部熱交換器15では熱交換は行われない。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、図156(b)に示すように、実質的に第52実施形態の図80(b)と同様に作動して庫内空気を加熱できる。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第60実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第100実施形態)
本実施形態では、図157の全体構成図に示すように、第53実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600に対して、合流部16の配置を第95実施形態と同様に変更している。
次に、図158により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。まず、冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン531a、532a、54aを作動させ、可変絞り機構14aの絞り開度を予め定めた開度となるように制御し、さらに、第53実施形態と同様に、第1、第2電気式四方弁51、52を切り替える。
これにより、冷却運転モードでは、図155の実線矢印に示すように、以下の冷媒回路が構成される。
第1の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第1室外熱交換器531→可変絞り機構14a→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第2の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第2室外熱交換器532→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→ノズル前逆止弁29→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
第3の冷媒回路として、第1圧縮機11→第1電気式四方弁51→第1分岐部13→第2室外熱交換器532→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路15a→第1固定絞り17→第2分岐部18→第2固定絞り22→利用側熱交換器55→エジェクタ19→第1、第2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第1室外熱交換器531、第2室外熱交換器532および利用側熱交換器55が、それぞれ第61実施形態における第1放熱器121、第2放熱器122および吸引側蒸発器23に対応する構成となり、図158(a)に示すように、第61実施形態の図98と同様に作動して庫内空気を冷却できる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第53実施形態と同様に第1、第2電気式四方弁51、52を切り替え、可変絞り機構14aを全閉状態とし、第1送風ファン531aの作動を停止させる。
これにより、図157の破線矢印に示すように、第1圧縮機11→第1、2電気式四方弁51、51→エジェクタ19のディフューザ部19c→エジェクタ19の冷媒吸引口19b→利用側熱交換器55→第2固定絞り22→第2分岐部18→第1固定絞り17→補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25a→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第2室外熱交換器532→第1分岐部13→第1、2電気式四方弁51、52→補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25b→第2圧縮機21→合流部16→内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b→第1圧縮機11の順に冷媒が循環する回路が構成される。
この際、可変絞り機構14aが全閉状態となっているので、第1分岐部13から可変絞り機構14a側へ冷媒が流出することはなく、内部熱交換器15では熱交換は行われない。さらに、補助内部熱交換器25では、高圧側冷媒流路25aを流通する冷媒と低圧側冷媒流路25bを流通する冷媒との温度差が極めて小さいため、殆ど熱交換は行われない。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、図158(b)に示すように、実質的に第53実施形態の図82(b)と同様に作動して庫内空気を加熱できる。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600は、上述の如く作動するので、冷却運転モードでは、庫内空気を冷却することができ、加熱運転モードでは、庫内空気を加熱することができる。さらに、エジェクタ19を冷媒減圧手段として用いる冷却運転モードにおいて、第61実施形態と同様に、エジェクタ19の駆動流の流量変動が生じても、COPを低下させることなく、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(第101実施形態)
本実施形態では、図159に示すように、第1実施形態の第2分岐部18を廃止して、第2分岐部18aを採用した例を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、第2分岐部18aを採用することで、減圧手段側冷媒流量Geに対するノズル側冷媒流量Gnozの流量比Gnoz/Geが、サイクルの負荷の変動に応じて調整されるようになっている。
なお、減圧手段側冷媒流量Geは、第2分岐部18aから第2固定絞り22側へ流出する冷媒流量であり、ノズル側冷媒流量Gnozは、第2分岐部18aからエジェクタ19のノズル部19a側へ流出する冷媒流量である。
第2分岐部18aは、その内部に第1固定絞り17から流入した冷媒に旋回流れを生じさせる内部空間が形成された遠心分離器構造のもので、この冷媒の旋回流れによって生じる遠心力の作用によって、内部空間内の冷媒に乾き度分布を生じさせるようになっている。そして、内部空間から所望の乾き度の冷媒を取り出せるように、ノズル部19a側および第2固定絞り22側へ冷媒を流出させる冷媒出口が設けられている。
より具体的には、本実施形態の第2分岐部18aの内部空間は、その軸方向が略鉛直方向に延びる円柱状に形成され、内部空間の下方側にノズル部19a側へ冷媒を流出させる冷媒出口を配置し、ノズル部19a側への冷媒出口よりも上方側に第2固定絞り22側へ冷媒を流出させる冷媒出口を配置している。
これにより、サイクルの負荷の変動に応じて、ノズル部19a側へ流出する冷媒の乾き度と第2固定絞り22側へ流出する冷媒の乾き度とを変化させて、流量比Gnoz/Geを調整するようになっている。
例えば、通常運転時よりもサイクルの負荷が低下する低負荷運転時には、サイクルを循環する冷媒流量が低下して、内部空間の上方側に対して下方側に乾き度の低い冷媒が分布するので、減圧手段側冷媒流量Geに対してノズル側冷媒流量Gnozの質量流量が増加して、流量比Gnoz/Geが通常運転時よりも増加する。
一方、通常運転時よりもサイクルの負荷が増加する高負荷運転時には、サイクルを循環する冷媒流量の増加に伴って、内部空間の上方側にも乾き度の低い冷媒が分布するので、第2分岐部18aから第2固定絞り22側へ流出する冷媒の乾き度が、第2分岐部18aからノズル部19a側へ流出する冷媒の乾き度に近づき、流量比Gnoz/Geが通常運転時よりも低下する。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の作動を図160のモリエル線図を用いて説明する。なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100の基本的作動は、第1実施形態と同様である。そこで、図160では、低負荷運転時の冷媒の状態を破線で示すとともに、高負荷運転時の冷媒の状態を実線で示している。
さらに、図160では、低負荷運転時の冷媒の状態を示す符号に添字として160Lを記載し、高負荷運転時の冷媒の状態を示す符号に添字として160Hを記載している。また、図示の明確化のために、図2に示すモリエル線図に対して、縦軸(圧力軸)の縮尺を変更している。
まず、低負荷運転時には、第1実施形態と同様に、第1固定絞り17にて減圧膨張された中間圧冷媒の流れ(図160のg160L点)は、第2分岐部18aにてノズル部19a側へ流出する冷媒流れと、第2固定絞り22側へ流出する冷媒流れとに分流される。この際、第2分岐部18aの内部空間では、サイクルを循環する冷媒流量が低下するため、内部空間の上方側に対して下方側に乾き度の低い冷媒が分布する。
従って、第2分岐部18aからノズル部19a側へ流出する冷媒の乾き度(図160に白丸で示すX1L)が、第2分岐部18aから第2固定絞り22側へ流出する冷媒の乾き度(図160に白丸で示すX2L)よりも低くなる。そのため、減圧手段側冷媒流量Geに対してノズル側冷媒流量Gnozの質量流量が増加して、流量比Gnoz/Geが通常運転時よりも増加する。その他の作動は、第1実施形態と同様である。
次に、高負荷運転時には、第1実施形態と同様に、第1固定絞り17にて減圧膨張された中間圧冷媒の流れ(図160のg160H点)は、第2分岐部18aにてノズル部19a側へ流出する冷媒流れと、第2固定絞り22側へ流出する冷媒流れとに分流される。この際、第2分岐部18aの内部空間では、サイクルを循環する冷媒流量が増加するため、内部空間の上方側にも下方側と同様に乾き度の低い冷媒が分布する。
従って、第2分岐部18aからノズル部19a側へ流出する冷媒の乾き度(図160に白丸で示すX1H)と第2分岐部18aから第2固定絞り22側へ流出する冷媒の乾き度(図160に白丸で示すX2H)が近づく。そのため、流量比Gnoz/Geが通常運転時よりも低下する。その他の作動は、第1実施形態と同様である。
ここで、エジェクタ19は、ノズル部19aから噴射される噴射冷媒によって生じる負圧によって冷媒吸引口19bから冷媒を吸引している。さらに、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の速度エネルギを、ディフューザ部19cにて圧力エネルギに変換している。従って、エジェクタ19のノズル部19aへ供給される冷媒、すなわち駆動流を確保できなければ、冷媒吸引作用も冷媒昇圧作用も発揮することができない。
つまり、エジェクタ19は駆動流を充分に確保できなければ、エジェクタ19の昇圧作用を発揮することができず、第2圧縮機21吸引冷媒の圧力を上昇させて第2圧縮機21の駆動力を低減することができない。一方、吸引側蒸発器23では、サイクルの負荷に応じた液相冷媒あるいは気液二相冷媒が供給されることによって、要求される冷凍能力を発揮できる。
そこで、本実施形態では、サイクル内を循環する冷媒流量が少なくなるとともに、吸引側蒸発器23に要求される冷凍能力が低くなる低負荷運転時に、流量比Gnoz/Geを通常運転時よりも増加させているので、エジェクタ19のノズル部19aに駆動流として要求される流量の冷媒を充分に供給した上で、吸引側蒸発器23に要求される冷凍能力を発揮できる程度の流量の冷媒を供給できる。
また、サイクル内を循環する冷媒流量が多くなるとともに、吸引側蒸発器23に要求される冷凍能力が高くなる高負荷運転時に、流量比Gnoz/Geを通常運転時よりも低下させているので、ノズル部19aに駆動流として要求される流量の冷媒を充分に供給できるだけでなく、吸引側蒸発器23にも要求される冷凍能力を発揮するために充分な流量の冷媒を供給できる。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、運転条件によらず高いCOPを発揮させることができる。すなわち、駆動流の流量変動が生じ得る運転条件のみならず、サイクルに高いCOPを発揮させることができる。
本実施形態では、遠心分離器構造の第2分岐部18aを採用した例を説明しているが、第2分岐部18aの構成は、これに限定されない。例えば、第2分岐部18aとして、サイクルの負荷の変動に応じて、ノズル部19a側へ流出する冷媒の乾き度と第2固定絞り22側へ流出する冷媒の乾き度とを変化させることのできる構成の流量分配器等を採用できる。
なお、本実施形態の第2分岐部18aは、第3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、40、42、43、45、46、48、50、52、54、56、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、85、86、89、90、92、93、95、97、99実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに適用可能である。
特に、第39、40、42、43、45、46、86、89、90、92、93実施形態では、通常運転モードにて、COP向上効果を発揮させるようにすればよい。また、第48、50、52、95、97、99実施形態では、冷却運転モードにて、COP向上効果を発揮させるようにすればよい。
(第102実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図161の全体構成図に示すように、第1固定絞り17を廃止して、第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に電気式の第1可変絞り機構17aを配置し、さらに、第2固定絞り22を廃止して、第39実施形態と同様の可変絞り機構22aを配置した例を説明する。
なお、第1可変絞り機構17aの基本的構成は、可変絞り機構22aと同様である。従って、第1可変絞り機構17aは、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。また、以下の説明では、2つの可変絞り機構17a、22aの相違を明確にするために、可変絞り機構22aを第2可変絞り機構22aと記載する。
次に、図162により、本実施形態の電気制御系について説明する。図162は、本実施形態の電気制御系を示すブロック図である。なお、本実施形態の制御装置60の基本的構成は、第1実施形態と同様である。
この制御装置60の入力側には、流出側蒸発器20入口冷媒温度、流出側蒸発器20出口冷媒温度、吸引側蒸発器23入口冷媒温度、吸引側蒸発器23出口冷媒温度、内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15b入口冷媒温度、中間圧側冷媒流路15b出口冷媒温度、第1圧縮機11回転数、第2圧縮機21回転数等の冷媒側のサイクル負荷に相関を有する物理量を検出する冷媒側負荷検出手段、並びに、外気温、冷凍庫内温度等の空気側のサイクル負荷に相関を有する物理量を検出する空気側負荷検出手段が接続されている。
一方、制御装置60の出力側には、第1、第2可変絞り機構17a、22a、第1、第2電動モータ11b、21b、操作パネル61等が接続されている。従って、本実施形態の制御装置60は、第1実施形態の制御装置に加えて、第1可変絞り機構17aの作動を制御する第1絞り能力制御手段60aおよび第2可変絞り機構22aの作動を制御する第2絞り能力制御手段60bとしての機能を兼ね備えている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態の作動を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100の基本的作動は、第1実施形態と同様である。従って、制御装置60による第1、第2可変絞り機構17a、22aの制御の詳細について説明する。
本実施形態では、制御装置60が上述の各検出手段の検出した検出値に基づいて、サイクルの負荷状況に応じて目標流量比を決定し、流量比Gnoz/Geが目標流量比に近づくように、第1、第2可変絞り機構17a、22aの作動を制御する。
具体的には、低負荷運転時には、サイクルの負荷の低下に伴って流量比Gnoz/Geが通常運転時よりも増加するように制御し、高負荷運転時には、サイクルの負荷の増加に伴って流量比Gnoz/Geが通常運転時よりも低下するように制御する。
このような制御は、例えは、制御装置60が、第2圧縮機21吸入冷媒の過熱度が予め定めた所定値となるように第1可変絞り機構17aの作動(弁開度)を制御し、さらに、第1可変絞り機構17aの弁開度を維持した状態で、流量比Gnoz/Geが目標流量比に近づくように第2可変絞り機構22aの作動(弁開度)を制御することで実現できる。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100によれば、第101実施形態と同様に、サイクルの負荷の変動に応じて流量比Gnoz/Geを調整することができるので、駆動流の流量変動が生じ得る運転条件のみならず、サイクルに高いCOPを発揮させることができる。
なお、本実施形態では、高圧側減圧手段として温度式膨張弁14を採用しているが、高圧側減圧手段として第48実施形態と同様の電気式の可変絞り機構14aを採用して、制御手段60が、第1、第2可変絞り機構17a、22aに加えて可変絞り機構14aの作動を制御するようにしてもよい。
この場合は、第1圧縮機11吸入冷媒の過熱度が予め定めた所定値となるように可変絞り機構14aの作動(弁開度)を制御し、第2圧縮機21吸入冷媒の過熱度が予め定めた所定値となるように第1可変絞り機構17aの作動を制御する。そして、可変絞り機構14aおよび第1可変絞り機構17aの弁開度を維持した状態で、流量比Gnoz/Geが目標流量比に近づくように第2可変絞り機構22aの作動を制御すればよい。
さらに、本実施形態では、第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に第1可変絞り機構17aを配置しているが、第1可変絞り機構17aを内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a出口側と第2分岐部18入口側との間に配置してもよい。
また、本実施形態の可変絞り機構14a、17a、22aの開度制御による流量比Gnoz/Geの調整は、第3、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、40、42、43、45、46、48、50、52、54、56、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、85、86、89、90、92、93、95、97、99実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに適用可能である。
特に、第39、40、42、43、45、46、86、89、90、92、93実施形態では、通常運転モードにて、COP向上効果を発揮させるようにすればよい。また、第48、50、52、95、97、99実施形態では、冷却運転モードにて、COP向上効果を発揮させるようにすればよい。
(第103実施形態)
本実施形態では、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100において、適切な流量比Gnoz/Geを実現する手段として、第1固定絞り17、第2固定絞り22およびエジェクタ19のノズル部19aの流量特性を規定した例を説明する。
ここで、本発明者らは、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100のように、第1固定絞り17、第2固定絞り22およびノズル部19aといった減圧手段が、冷媒通路面積(絞り通路面積)を変化させることのできない固定絞りとして形成されている場合の第1固定絞り17およびノズル部19aの出入口圧力差とCOPとの関係を調査した。
図163は、その調査結果を示す説明図である。なお、以下の説明では、第1固定絞り17の入口側冷媒圧力をPdei、ノズル部19aの入口側冷媒圧力をPnozi、ノズル部19aの出口側冷媒圧力をPnozoとする。ます、ノズル部19a入口側冷媒圧力Pnoziは、各固定絞り17、22、19aの流量特性(圧力損失特性)によって決定される。
より詳細には、第1固定絞り17を流通して第2分岐部18へ流入する冷媒流量Gが、減圧手段側冷媒流量Geとノズル側冷媒流量Gnozとの合計値に等しくなるように、ノズル部19a入口側冷媒圧力Pnoziが決定される。この際、ノズル部19aは固定絞りとして形成されているので、ノズル部19aの出入口冷媒の圧力差(Pnozi−Pnozo)には、ノズル効率を最も向上させるピーク点が存在する。
なお、ノズル効率とは、ノズル部19aにて冷媒の圧力エネルギが速度エネルギに変換される際のエネルギ変換効率である。従って、ノズル効率がピーク点近傍となるPnoziにおいて、流量比Gnoz/Geが適切となるように第2固定絞り22の流量特性(圧力損失特性)を決定すれば、Pnoziを適切に制御するだけで、サイクルに高いCOPを発揮させることができる。
そこで、本発明者らは、第2固定絞り22の流量特性を上記の如く決定した上で、第1固定絞り17入口側の冷媒圧力Pdeiとノズル部19a入口側の冷媒圧力Pnoziとの第1圧力差(Pdei−Pnozi)、第1固定絞り17入口側の冷媒圧力Pdeiとノズル部19a出口側の冷媒圧力Pnozoとの第2圧力差(Pdei−Pnozo)、および、COPの関係を調査した。
その結果、図163に示すように、以下式F1に示す関係を満たす時に高いCOPを発揮できることが判った。
0.1≦(Pdei−Pnozi)/(Pdei−Pnozo)≦0.6…(F1)
その理由は、(Pdei−Pnozi)/(Pdei−Pnozo)が0.1より小さくなると、ノズル側冷媒流量Gnozが増加し過ぎてノズル効率が悪化し、一方、Pdei−Pnozi)/(Pdei−Pnozo)が0.6よりも大きくなると、ノズル側冷媒流量Gnozが低下してエジェクタ19の駆動流を充分に確保できなくなるからと考えられる。
以上の知見から、本実施形態では、適切な流量比Gnoz/Geを実現する具体的な手段として、第1圧力差Pdei−Pnoziを、第2圧力差Pdei−Pnozoに0.1以上0.6以下の値を乗じた値となるように、第1固定絞り17、第2固定絞り22およびエジェクタ19のノズル部19aの流量特性を適切に設定している。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、駆動流の流量変動が生じ得る運転条件のみならず、運転条件によらずサイクルに高いCOPを発揮させることができる。
また、本実施形態のような第1固定絞り17、第2固定絞り22およびエジェクタ19のノズル部19aの流量特性の規定による流量比Gnoz/Geの調整は、第2〜32、39〜79、86〜100実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに適用可能である。特に、第39〜46、86〜94実施形態では、通常運転モードにて、COP向上効果を発揮させるようにすればよい。また、第48〜53、95〜100実施形態では、冷却運転モードにて、COP向上効果を発揮させるようにすればよい。
(第104実施形態)
本実施形態では、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100において、適切な流量比Gnoz/Geを実現する手段として、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒の乾き度を規定した例を説明する。
ここで、ノズル部19aおよび第2固定絞り22の流量特性が決まっていても、サイクルの負荷の変動に応じて流量比Gnoz/Geが変化してしまう原因の一つとして、第2分岐部18から流出する気液二相冷媒が一様の乾き度となっておらず、液相冷媒と気相冷媒が偏在する不均質な状態になっていることが考えられる。
そこで、本発明者らは、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒の乾き度X0とCOPとの関係を調査した。図164は、その調査結果を示すグラフである。図164によれば、以下式F1に示す関係を満たす時に、高いCOPを発揮できることが判った。
0.003≦X0≦0.14…(F2)
その理由は、上述の第101実施形態のように、サイクルの負荷の変動に応じてノズル部19aへ流入する冷媒の乾き度を調整しなくても、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒の乾き度が所定の範囲であれば、第2分岐部18にて分岐される冷媒のうち液相冷媒と気相冷媒との偏在を抑制しながら、第2分岐部18からノズル部19a側と第2固定絞り22側へ同様の乾き度の冷媒を流出させることができるからである。
以上の知見から、本実施形態では、適切な流量比Gnoz/Geを実現する具体的な手段として、第1固定絞り17として、ノズル部19aへ流入する冷媒の乾き度X0が0.003以上0.14以下となるように冷媒を減圧膨張させるものを採用している。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、駆動流の流量変動が生じ得る運転条件のみならず、運転条件によらずサイクルに高いCOPを発揮させることができる。
また、本実施形態の乾き度X0の規定による流量比Gnoz/Geの調整は、第2〜32、39〜79、86〜100実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに適用可能である。特に、第39〜46、86〜94実施形態では、通常運転モードにて、COP向上効果を発揮させるようにすればよい。また、第48〜53、95〜100実施形態では、冷却運転モードにて、COP向上効果を発揮させるようにすればよい。
(第105実施形態)
本実施形態では、図165の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第2補助内部熱交換器35を追加した例を説明する。この第2補助内部熱交換器35の基本的構成は、第1実施形態の内部熱交換器15あるいは第2実施形態の補助内部熱交換器25と同様である。
第2補助内部熱交換器35は、高圧側冷媒流路35aを通過する第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒と、低圧側冷媒流路35bを通過する吸引側蒸発器23から流出してエジェクタ19の冷媒吸引口19bへ吸引される冷媒との間で熱交換を行うものである。
より具体的には、本実施形態における高圧側冷媒流路35aを通過する冷媒は、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a出口側から第1固定絞り17へ至る冷媒流路を流通する冷媒である。従って、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した高圧冷媒は、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a→第2補助内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35a→第1固定絞り17の順に流れる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図166のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、吸引側蒸発器23から流出した冷媒は、第2補助内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bにて、そのエンタルピを増加させる(図166のn166点→n’166点)。そして、低圧側冷媒流路35bから流出した冷媒は、エジェクタ19の冷媒吸引口19bからエジェクタ19の内部へ吸引される(図166のn’166点→i166点)。
また、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒は、第2補助内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35aへ流入して、そのエンタルピをさらに減少させる(図166のf166点→f’166点)。さらに、高圧側冷媒流路35aから流出した冷媒の流れは、第1固定絞り17にてさらに等エンタルピ的に減圧膨張されて(図166のf’166点→g166点)、第2分岐部18へ流入する。
その他の作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、第2補助内部熱交換器35の作用によって、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させて、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23にて発揮できる冷凍能力を増大させることができる。従って、より一層、COPを向上できる。
さらに、本実施形態では、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した高圧冷媒を内部熱交換器15→第2補助内部熱交換器35→第1固定絞り17の順に通過させているので、効率的に流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させることができる。その理由は、内部熱交換器15の中間圧側冷媒流路15bを流れる中間圧冷媒に対して、第2補助内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bを流れる低圧冷媒の温度が低くなるからである。
もちろん、中間圧冷媒と低圧冷媒との温度差が小さくなる場合等には、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した高圧冷媒を第2補助内部熱交換器35→内部熱交換器15→第1固定絞り17の順に通過させるように、第2補助内部熱交換器35を配置してもよい。
なお、本実施形態の第2補助内部熱交換器35は、第2〜47、54〜94、101〜104実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにも適用可能である。
特に、第2、4、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、41、44、47、55、57、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、88、91、94実施形態のように、補助内部熱交換器25(以下、第2補助内部熱交換器35との相違を明確化するため第1補助内部熱交換器25という)を有するサイクルに適用する場合は、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒を内部熱交換器15→第1補助内部熱交換器25→第2補助内部熱交換器35→第1固定絞り17の順に通過させることで、効率的に吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させることができる。
また、本実施形態の第2補助内部熱交換器35を第48〜53、95〜100実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに適用すれば、加熱運転モード時には加熱能力を低下させてしまうことがあるものの、冷却運転モード時に上述のCOP向上効果を得ることができる。
(第106実施形態)
本実施形態では、図167の全体構成図に示すように、第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、流出側蒸発器20を追加した例を説明する。換言すると、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100は、第1実施形態のサイクルに対して補助内部熱交換器25を追加したものと表現することもできる。
本実施形態の補助内部熱交換器25は、高圧側冷媒流路25aを通過する第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒(より具体的には、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒)と、低圧側冷媒流路25bを通過するエジェクタ19から流出した冷媒(より具体的には、流出側蒸発器20から流出した冷媒)との間で熱交換を行うものである。その他の構成は、第2実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図168のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、ディフューザ部19cから流出した冷媒は、流出側蒸発器20にて送風ファン20aにより循環送風される庫内空気から吸熱して蒸発する(図168のj168点→k168点)。これにより、庫内送風空気が冷却される。
さらに、流出側蒸発器20から流出した冷媒は、補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bにてさらに吸熱して、そのエンタルピをさらに増加させる(図168のk168点→k’168点)。
また、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒は、補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25bへ流入して、そのエンタルピを減少させる(図168のf168点→f’168点)。さらに、高圧側冷媒流路25aから流出した冷媒は、第1固定絞り17にて等エンタルピ的に減圧膨張される(図168のf’168点→g168点)。
その他の作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、補助内部熱交換器25の作用によって、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させて、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23にて発揮できる冷凍能力を増大させることができる。従って、より一層、COPを向上できる。
さらに、本実施形態では、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒を内部熱交換器15→補助内部熱交換器25→第1固定絞り17の順に通過させているので、第105実施形態と同様に、効率的に流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させることができる。
もちろん、中間圧冷媒と低圧冷媒との温度差が小さくなる場合等には、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した高圧冷媒を補助内部熱交換器25→内部熱交換器15→第1固定絞り17の順に通過させてもよい。
なお、第4、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、41、44、47、55、57、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、88、91、94実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに対して流出側蒸発器20を追加した場合も、本実施形態と同様に、COPの向上を図りながら流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23の双方で冷凍能力を発揮できる。
換言すると、第3、6、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、40、42、43、45、46、54、56、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、87、89、90、92、94、101〜104実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに対して補助内部熱交換器25を追加しても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第5、58実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに対して流出側蒸発器20を追加するとともに補助内部熱交換器25を追加する場合は、補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bに、流出側蒸発器20から流出してアキュムレータ26へ流入する冷媒あるいはアキュムレータ26から流出した気相冷媒を流通させるようにすればよい。第6、59実施形態に補助内部熱交換器25を追加する場合も同様である。
また、第49、51、53、96、98、100実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに対して、本実施形態の流出側蒸発器20に対応する構成としての補助利用側熱交換器54を追加すれば、加熱運転モード時には加熱能力を低下させてしまうことがあるものの、冷却運転モード時に上述の効果を得ることができる。
(第107実施形態)
本実施形態では、図169の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aと第2分岐部18との配置を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置した例を説明する。
具体的には、第2分岐部18が第1分岐部13から流出した直後の冷媒の流れを分岐するように配置されている。そして、第2分岐部18にて分岐された一方の冷媒が第1固定絞り17へ流入し、他方の冷媒が内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aへ流入するようになっている。
従って、本実施形態の内部熱交換器15は、高圧側冷媒流路15aを通過する第2分岐部18から第2固定絞り22側へ流出した冷媒と、中間圧側冷媒流路15bを通過する温度式膨張弁14下流側冷媒との間で熱交換を行うものである。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図170のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、第1分岐部13にて内部熱交換器15側へ分岐された他方の高圧冷媒の流れが、第2分岐部18へ流入してさらに分岐される。
なお、本実施形態では、第1、第2分岐部13、18は近接配置されており、第1分岐部18から第2分岐部18へ至る冷媒の圧力損失および温度変化については、無視できる。従って、図170のモリエル線図上では、第1分岐部13(b170点)と第2分岐部18(g170点)が一致している。
第2分岐部18にて第1固定絞り17側へ分岐された一方の冷媒は、第1固定絞り17へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張して、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する(図170のb170点(g170点)→g’170点)。
また、第2分岐部18にて分岐された他方の冷媒は、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aへ流入し、中間圧側冷媒流路15bへ流入した中間圧冷媒と熱交換して、そのエンタルピを減少させる(図170のb170点(g170点)→f170点)。高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒は、第2固定絞り22へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張する(図170のf170点→m170点)。その他の作動は第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、内部熱交換器15の作用によって第2分岐部18から内部熱交換器15側へ流出した冷媒のエンタルピが減少する。これにより、吸引側蒸発器23の入口側冷媒のエンタルピと出口側冷媒のエンタルピとのエンタルピ差を拡大させて、吸引側蒸発器23が発揮する冷凍能力を増大させることができる。
この際、内部熱交換器15では、第2分岐部18から第1固定絞り17側へ流出した冷媒、すなわちエジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に減少させない。これにより、更なるCOP向上効果を得ることができる。その理由は、ノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に減少させないことで、ノズル部19aにおける回収エネルギ量を増大できるからである。
このことをより詳細に説明すると、ノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピが増加するに伴って、モリエル線図上の等エントロピ線の傾きが緩やかになる。そのため、ノズル部19aにて、同じ圧力分だけ等エントロピ膨張させた場合、ノズル部19a入口側冷媒のエンタルピが高いほど、ノズル部19a入口側冷媒のエンタルピとノズル部19a出口側冷媒のエンタルピとの差(回収エネルギ量)を大きくすることができる。
従って、ノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピが増加するに伴って、ノズル部19aにおける回収エネルギ量が増大する。そして、この回収エネルギ量の増大に伴って、ディフューザ部19cにおける昇圧量(図170ではi170点とj170点との圧力差に相当)を増大させることができる。その結果、第2圧縮機21吸入冷媒を上昇させて、更なるCOP向上効果を得ることができる。
なお、本実施形態の如く、内部熱交換器15と第2分岐部18の位置関係を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置することは、第2、3、9〜12、15〜18、21〜24、27〜30、33〜36、39〜44、54〜57、62〜65、68〜71、74〜77、80〜83、86〜91実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにも適用可能である。
特に、第3実施形態のように、補助放熱器24を有するサイクルでは、第1分岐部13にて分岐された他方の冷媒を、補助放熱器24→第2分岐部18→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aの順に流通させてもよいし、第2分岐部18→補助放熱器24→内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aの順に流通させてもよい。
また、第1分岐部13と第2分岐部18とを一体的に構成してもよい。これにより本実施形態の構成を容易に実現できる。具体的には、第1分岐部13と第2分岐部18とを四方継手で構成し、4つの流入出口のうち1つを冷媒流入口として、放熱器12の出口側に接続し、残りの3つを冷媒流出口として、それぞれ温度式膨張弁14入口側、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a入口側、第1固定絞り17入口側に接続すればよい。
(第108実施形態)
本実施形態では、図171の全体構成図に示すように、第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、第107実施形態と同様に、内部熱交換器15と第2分岐部18の位置関係を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置している。
具体的には、第2分岐部18は、第2放熱器122から流出した直後の冷媒の流れを分岐するように配置されている。そして、第2分岐部18にて分岐された一方の冷媒は第1固定絞り17へ流入し、他方の冷媒は内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aへ流入するようになっている。その他の構成は、第7実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図172のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300を作動させると、第2放熱器122から流出した高圧冷媒の流れが、第2分岐部18にて分岐される(図172のb2172点)。第2分岐部18にて分岐された一方の冷媒は、第1固定絞り17へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張し(図172のb2172点→g’172点)、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する。
また、第2分岐部18にて分岐された他方の冷媒は、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aへ流入し、中間圧側冷媒流路15bへ流入した中間圧冷媒と熱交換して、そのエンタルピを減少させる(図172のb2172点→f172点)。高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒は、第2固定絞り22へ流入して等エントロピ的に減圧膨張する(図172のf172点→m172点)。
その他の作動は第7実施形態と同様である。従って、本実施形態では、第7実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、第107実施形態と同様に、吸引側蒸発器23にて発揮される冷凍能力の増大効果、および、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に減少させないことによるCOP向上効果を得ることができる。
なお、本実施形態の如く、内部熱交換器15と第2分岐部18の位置関係を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置することは、第8、13、14、19、20、25、26、31、32、37、38、45、46、47、60、61、66、67、72、73、78、79、84、85、92〜94実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにも適用可能である。
(第109実施形態)
本実施形態では、図173の全体構成図に示すように、第105実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、第2補助内部熱交換器35と第2分岐部18との配置を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置した例を説明する。
具体的には、第2分岐部18が内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した直後の冷媒の流れを分岐するように配置されている。そして、第2分岐部18にて分岐された一方の冷媒が第1固定絞り17へ流入し、他方の冷媒が第2補助内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35aへ流入するようになっている。
従って、本実施形態の第2補助内部熱交換器35は、高圧側冷媒流路35aを通過する第2分岐部18から第2固定絞り22側へ流出した冷媒と、低圧側冷媒流路35bを通過する吸引側蒸発器23から流出してエジェクタ19の冷媒吸引口19bへ吸引される冷媒との間で熱交換を行うものである。その他の構成は、第105実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図174のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、吸引側蒸発器23から流出した冷媒は、第2補助内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bにて、そのエンタルピを増加させる(図174のn174点→n’174点)。
そして、低圧側冷媒流路35bから流出した冷媒は、エジェクタ19の冷媒吸引口19bからエジェクタ19の内部へ吸引される(図174のn’174点→i174点)。また、第2分岐部18にて分岐された一方の冷媒は、第1固定絞り17へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張されて(図174のf174点→g174点)、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する。
第2分岐部18にて分岐された他方の冷媒は、第2補助内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35aへ流入して、エンタルピを減少させる(図174のf174点→f’174点)。高圧側冷媒流路35aから流出した冷媒は、第2固定絞り22へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張される(図174のf’174点→m174点)。
その他の作動は、第105実施形態と同様である。従って、本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、第105実施形態と同様に、第2補助内部熱交換器35の作用によって、吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させて、吸引側蒸発器23にて発揮できる冷凍能力を増大させることができる。
この際、第2補助内部熱交換器35では、第2分岐部18から第1固定絞り17側へ流出した冷媒、すなわちエジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に減少させない。これにより、第107実施形態と同様に、更なるCOP向上効果を得ることができる。
なお、本実施形態の如く、第2補助内部熱交換器35と第2分岐部18との配置を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置することは、第105実施形態に例示した第2補助内部熱交換器35を適用可能な実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルに対して、第2補助内部熱交換器35を適用したサイクルにも適用することができる。
さらに、これらの第2補助内部熱交換器35を適用したサイクルにおいて、第2分岐部18を第1分岐部13と内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aとの間に配置してもよい。これによれば、内部熱交換器15においても、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に減少させることがない。
特に、第2実施形態のように、第1補助内部熱交換器25を有するサイクルに適用する際には、第2分岐部18を第1補助内部熱交換器25と第2補助内部熱交換器35との間に配置して、第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した高圧冷媒を内部熱交換器15→第1補助内部熱交換器25→第2補助内部熱交換器35の順に通過させてもよい。
また、第3実施形態のように、補助放熱器24を有するサイクルでは、第2分岐部18を、第1分岐部13の冷媒流出口と補助放熱器24の入口側との間に配置してもよいし、補助放熱器24の出口側と内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a入口側との間に配置してもよい。
(第110実施形態)
本実施形態では、図175の全体構成図に示すように、第106実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、補助内部熱交換器25と第2分岐部18との配置を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置した例を説明する。
具体的には、第2分岐部18が内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した直後の冷媒の流れを分岐するように配置されている。そして、第2分岐部18にて分岐された一方の冷媒が第1固定絞り17へ流入し、他方の冷媒が補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25aへ流入するようになっている。
従って、本実施形態の補助内部熱交換器25は、高圧側冷媒流路25aを通過する第1分岐部13から内部熱交換器15側へ流出した冷媒(具体的には、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒)と、低圧側冷媒流路25bを通過するエジェクタ19から流出した冷媒(具体的には、流出側蒸発器20から流出した冷媒)との間で熱交換を行うものである。その他の構成は、第106実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図176のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、流出側蒸発器20から流出した冷媒は、補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bにて吸熱して、そのエンタルピを増加させる(図176のk176点→k’176点)。
また、内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aから流出した冷媒の流れは、第2分岐部18にて分岐される。第2分岐部18にて分岐された一方の冷媒は、第1固定絞り17へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張され(図176のf176点→g176点)、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する。
第2分岐部18にて分岐された他方の冷媒は、補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25aへ流入して、そのエンタルピを減少させる(図176のf176点→f’176点)。高圧側冷媒流路25aから流出した冷媒は、第2固定絞り22へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張される(図176のf’176点→m176点)。
その他の作動は、第106実施形態と同様である。従って、本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、第106実施形態と同様に、補助内部熱交換器25の作用によって、吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させて、吸引側蒸発器23にて発揮できる冷凍能力を増大させることができる。
この際、補助内部熱交換器25では、第2分岐部18から第1固定絞り17側へ流出した冷媒、すなわちエジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に減少させない。これにより、第107実施形態と同様に、更なるCOP向上効果を得ることができる。
なお、本実施形態の如く、補助内部熱交換器25と第2分岐部18との配置を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置することは、第106実施形態にて例示した流出側蒸発器20を追加可能な実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルで、流出側蒸発器20を追加したサイクルにも適用可能である。
さらに、これらの流出側蒸発器20を追加したサイクルにおいて、第2分岐部18を第1分岐部13と内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aとの間に配置してもよい。これによれば、内部熱交換器15においても、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に減少させることがない。
また、第4実施形態のように、補助放熱器24を有するサイクルでは、第2分岐部18を、第1分岐部13と補助放熱器24との間に配置してもよいし、補助放熱器24と内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aとの間に配置してもよい。
(第111実施形態)
本実施形態では、図177の全体構成図に示すように、第106実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、流出側蒸発器20を廃止し、さらに、補助内部熱交換器25と第2分岐部18との配置を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置している。
換言すると、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100は、第2実施形態のサイクルに対して、補助内部熱交換器25と第2分岐部18との配置を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置したものと表現することもできる。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図178のモリエル線図に基づいて説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、ディフューザ部19cから流出した冷媒が補助内部熱交換器25の低圧側冷媒流路25bにて蒸発して、第2圧縮機21へ吸入される冷媒のエンタルピが増加する(図178のj178点→k178点)。
さらに、第2分岐部18にて分岐された他方の冷媒は、補助内部熱交換器25の高圧側冷媒流路25aへ流入して、エンタルピを減少させる(図178のf176点→f’176点)。その他の作動は、第106実施形態と同様である。
従って、本実施形態では、第2実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、第106実施形態と同様に、補助内部熱交換器25の作用によって、吸引側蒸発器23流入冷媒のエンタルピを減少させて、吸引側蒸発器23にて発揮できる冷凍能力を増大させることができる。
この際、補助内部熱交換器25では、第2分岐部18から第1固定絞り17側へ流出した冷媒、すなわちエジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に減少させない。これにより、第107実施形態と同様に、更なるCOP向上効果を得ることができる。
なお、本実施形態の如く、流出側蒸発器20を設けることなく、補助内部熱交換器25と第2分岐部18との配置を変更するとともに、第1固定絞り17を第2分岐部18とエジェクタ19のノズル部19a入口側との間に配置することは、第106実施形態にて例示した流出側蒸発器20を追加可能な実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにも適用可能である。
さらに、これらのサイクルにおいて、第2分岐部18を第1分岐部13と内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aとの間に配置してもよい。これによれば、内部熱交換器15においても、エジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に減少させることがない。
また、第4実施形態のように、補助放熱器24を有するサイクルでは、第2分岐部18を、第1分岐部13と補助放熱器24との間に配置してもよいし、補助放熱器24と内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aとの間に配置してもよい。
(第112実施形態)
本実施形態では、第39実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、バイパス通路28の接続態様を変更した例を説明する。本実施形態のバイパス通路28は、図179に示すように、第1圧縮機11の第1圧縮手段11aから吐出された高圧冷媒のうち、放熱器12通過後の冷媒を吸引側蒸発器23へ導くように接続されている。
より具体的には、放熱器12出口側と第1分岐部13との間および可変絞り機構22aと吸引側蒸発器23との間を接続する冷媒配管によってバイパス通路28を構成している。その他のサイクル構成については、第39実施形態と同様である。
次に、図180により、本実施形態の電気制御系について説明する。図180は、本実施形態の電気制御系を示すブロック図である。なお、本実施形態の制御装置60の基本的構成は、第39実施形態と同様である。制御装置60の入力側には、第102実施形態と同様の各種検出手段、および通常運転モードと除霜運転モードとの切り替えを選択する切替スイッチを有する操作パネル61が接続されている。
一方、制御装置60の出力側には、第1、第2電動モータ11b、21b、冷却ファン12a、可変絞り機構22a、開閉弁28a等が接続されている。従って、制御装置60は、放熱能力調整手段としての冷却ファン12aの作動を制御する放熱能力制御手段60cとしての機能を有している。
次に、本実施形態の作動を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、切替スイッチを操作することによって、第39実施形態と同様に、庫内を冷却する通常運転モードと吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行う除霜運転モードとを切り替えることができる。
通常運転モードでは、制御装置60が開閉弁28aを閉弁状態とし、可変絞り機構22aを予め定めた絞り開度とする。これにより、通常運転モードでは、第39実施形態の図54(a)のモリエル線図と同様に作動して、庫内を冷却することができる。
一方、除霜運転モードでは、制御装置60の放熱能力制御手段60cが冷却ファン12aの作動を停止させ、可変絞り機構22aを全閉状態とし、さらに、開閉弁28aを開く。これにより、第39実施形態の図54(b)のモリエル線図と同様に作動して、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
つまり、本実施形態のように、バイパス通路28へ流入する冷媒が放熱器12を通過する構成であっても、放熱能力制御手段60cが冷却ファン12aを停止させて放熱器12の放熱能力を低下させることができるので、バイパス通路28へ流入する冷媒の温度が不必要に低下してしまうことがない。従って、第39実施形態と全く同様に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
なお、本実施形態では、バイパス通路28の入口側を、放熱器12出口側と第1分岐部13との間に配置しているが、バイパス通路28の入口側を、第1分岐部13と内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aとの間に配置してもよいし、第1分岐部13と温度式膨張弁14との間に配置してもよい。
また、上記の如く、バイパス通路28の入口側の配置を変更することは、第40〜44、第86〜91実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにも適用可能である。特に、第42施形態のように補助放熱器24を有するサイクルでは、除霜運転モード時に、冷却ファン12aを停止させるので、補助放熱器24の放熱能力も低下する。従って、バイパス通路28の入口側を、放熱器12出口側から内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15aへ至る範囲のいずれに配置してもよい。
(第113実施形態)
本実施形態では、第45実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、バイパス通路28の接続態様を変更した例を説明する。本実施形態のバイパス通路28は、図181に示すように、第1圧縮機11の第1圧縮手段11aから吐出された高圧冷媒のうち、第2放熱器122通過後の冷媒を吸引側蒸発器23へ導くように接続されている。
より具体的には、放熱器12出口側と第1分岐部13との間および可変絞り機構22aと吸引側蒸発器23との間を接続する冷媒配管によってバイパス通路28を構成している。その他のサイクル構成については、第45実施形態と同様である。
次に、図182により、本実施形態の電気制御系について説明する。図182は、本実施形態の電気制御系を示すブロック図である。なお、本実施形態の制御装置60の基本的構成は、第45実施形態と同様である。制御装置60の入力側には、第102実施形態と同様の各種検出手段、および通常運転モードと除霜運転モードとの切り替えを選択する切替スイッチを有する操作パネル61が接続されている。
一方、制御装置60の出力側には、第1、第2電動モータ11b、21b、第1、第2冷却ファン121a、122a、可変絞り機構22a、開閉弁28a等が接続されている。従って、制御装置60は、放熱能力調整手段としての第1、第2冷却ファン121a、122aの作動を制御する第1、第2放熱能力制御手段60d、60eとしての機能を有している。
次に、本実施形態の作動を説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、切替スイッチを操作することによって、第39実施形態と同様に、庫内を冷却する通常運転モードと吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行う除霜運転モードとを切り替えることができる。
通常運転モードでは、制御装置60が開閉弁28aを閉弁状態とし、可変絞り機構22aを予め定めた絞り開度とする。これにより、通常運転モードでは、第45実施形態の図66(a)のモリエル線図と同様に作動して、庫内を冷却することができる。
一方、除霜運転モードでは、制御装置60の第2放熱能力制御手段60eが第2冷却ファン122aの作動を停止させ、可変絞り機構22aを全閉状態とし、さらに、開閉弁28aを開く。これにより、第45実施形態の図66(b)のモリエル線図と同様に作動して、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
つまり、本実施形態のように、バイパス通路28へ流入する冷媒が第2放熱器122を通過する構成であっても、放熱能力制御手段60eが第2冷却ファン122aを停止させて放熱器12の放熱能力を低下させることができるので、バイパス通路28へ流入する冷媒の温度が不必要に低下してしまうことがない。従って、第45実施形態と全く同様に、吸引側蒸発器23および流出側蒸発器20の除霜を行うことができる。
なお、本実施形態では、バイパス通路28の入口側を、第2放熱器122出口側と内部熱交換器15の高圧側冷媒流路15a入口側との間に配置しているが、バイパス通路28の入口側を、第1放熱器121出口側と温度式膨張弁14との間に配置してもよい。また、上記の如く、バイパス通路28の入口側の配置を変更することは、第46、47、92〜94実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにも適用可能である。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、エジェクタ19に吸引作用を発揮させることができるように、第2圧縮機21の冷媒吐出能力を制御し、これに応じて第1圧縮機11吐出冷媒圧力が不必要に上昇しないように、第1圧縮機11の第2圧縮機21の冷媒吐出能力を制御することを説明しているが、さらに、第1、第2圧縮手段11a、21aの昇圧量が略同等となるように制御することが望ましい。
その理由は、第1、第2圧縮手段11a、21aの昇圧量が略同等となるように制御することで、第1、第2圧縮手段11a、21aの機械効率を向上させて、エジェクタ式冷凍サイクルのCOPを向上させることができるからである。
なお、圧縮効率とは、第1、第2圧縮機11、21にて冷媒が等エントロピ圧縮された際の冷媒のエンタルピの増加量をΔH1としたときに、この増加量ΔH1を、実際に第1、第2圧縮機11、21にて冷媒が昇圧された際の冷媒のエンタルピ増加分ΔH2で除した値である。
さらに、上述の実施形態では、第1、第2圧縮機11、21として、それぞれ別体で構成された圧縮機を採用した例を説明したが、第1、第2圧縮機11、21を一体化して第1圧縮手段11aおよび第2圧縮手段21aを共通する電動モータで駆動するようにしてもよい。
(2)上述の各実施形態では、第1、第2圧縮機11、21として、電動圧縮機を採用した例を説明したが、第1、第2圧縮機11、21の形式はこれに限定されない。
例えば、エンジン等を駆動源として、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整できる可変容量型圧縮機を採用してもよい。この場合は、吐出容量変更手段が、吐出能力変更手段となる。また、電磁クラッチの断続により駆動源との接続を断続的に変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機を使用してもよい。この場合は、電磁クラッチが、吐出能力変更手段となる。
さらに、第1、第2圧縮機11、21に、同一の形式の圧縮手段を採用してもよいし、異なる形式の圧縮手段を採用してもよい。
また、同一の形式の圧縮手段を採用する場合、例えば、第27〜第32実施形態のように第1、第2圧縮機11、21を圧縮機10として一体的に構成する場合、単一の圧縮機構(例えば、スクロール型圧縮機構)の圧縮工程の途中に冷媒を流入させる流入ポートを設け、吸入口から流入ポート至る圧縮行程を第2圧縮機21に相当する構成とし、流入ポートから吐出口に至る圧縮行程を第1圧縮機11に相当する構成としてもよい。
(3)上述の各実施形態では、エジェクタ19としてノズル部19aの絞り通路面積が固定された固定式のエジェクタ19を採用しているが、ノズル部の絞り通路面積を変更可能に構成された可変エジェクタを採用してもよい。
例えば、第48〜第53、第95〜第100実施形態において、可変エジェクタを採用し、加熱運転モード時に可変エジェクタの絞り通路を全閉状態とすれば、エジェクタのディフューザ部からノズル部へ冷媒が逆流することを防止できるので、ノズル前逆止弁29を廃止することができる。
さらに、上述の第48〜第53、第95〜第100実施形態では、加熱運転モード時に、可変絞り機構14aを全閉としているが、もちろん開弁状態としてもよい。従って、高圧側減圧手段として固定絞りを採用してもよい。
さらに、上述の各実施形態では、ノズル前減圧手段として第1固定絞り17を採用しているが、ノズル前減圧手段として可変絞り機構を採用してもよい。例えば、第2圧縮機21吸入冷媒の過熱度が予め定めた範囲となるように絞り開度を調整する温度式膨張弁や電気式膨張弁を採用してもよい。
さらに、上述の各実施形態では、吸引側減圧手段として第2固定絞り22、電気式の可変絞り機構22aを採用した例を説明したが、例えば、吸引側蒸発器23出口側冷媒の過熱度が予め定めた範囲となるように絞り開度を調整する温度式膨張弁を採用してもよい。
(4)上述の第1〜第47、第54〜第94実施形態では、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23にて同一の冷却対象空間を冷却する例を説明したが、それぞれの蒸発器20、23で、異なる冷却対象空間を冷却してもよい。例えば、吸引側蒸発器23を冷凍庫内空間冷却用とし、吸引側蒸発器23よりも冷媒蒸発温度の高い流出側蒸発器20を冷蔵庫内空間冷却用あるいは室内空調用に適用してもよい。
さらに、第1〜第47、第54〜第94実施形態では、流出側蒸発器および吸引側蒸発器を第33〜第38、第80〜第85実施形態における利用側熱交換器として、放熱器12、第1、第2放熱器121、122を大気側へ放熱する室外熱交換器として構成しているが、逆に、流出側蒸発器20および吸引側蒸発器23を大気等の熱源から吸熱する室外側熱交換器として構成し、放熱器12を空気あるいは水等の被加熱冷媒を加熱する利用側熱交換器として構成するヒートポンプサイクルとしてもよい。
(5)上述の第33〜第38、第80〜第85実施形態では、冷媒として二酸化炭素を採用し、超臨界冷凍サイクルを構成した例を説明したが、この実施形態において、ノズル前減圧手段を設けてもよい。例えば、放熱器12または第2放熱器122出口側冷媒の温度に基づいてCOPが略最大となるように決定される目標高圧に近づくように、高圧側冷媒圧力を調整する圧力制御弁を採用してもよい。
このような圧力制御弁としては、具体的に、放熱器12または第2放熱器122出口側に設けられた感温部を有し、この感温部の内部に放熱器12出口側の高圧冷媒の温度に対応した圧力を発生させ、感温部の内圧と放熱器12出口側の冷媒圧力とのバランスで弁開度を機械的機構により調整する構成を採用できる。
(6)上述の第39〜第47、第86〜第94、第112、第113実施形態では、操作パネルの切替スイッチの操作信号に基づいて、通常運転モードと除霜運転モードとの切り替えを行っているが、通常運転モードと除霜運転モードとの切り替えはこれに限定されない。
例えば、制御装置が、通常運転モードと除霜運転モードとを所定時間毎に交互に切り替えるようにしてもよい。つまり、通常運転モードが予め定めた第1基準時間以上継続された場合に、除霜運転モードへ切り替え、さらに、除霜運転モードが予め定めた第2基準時間以上継続された場合に、通常運転モードへ切り替えるようにしてもよい。
(7)上述の各実施形態に記載された手段は、他の実施形態に適用することができる。例えば、第1〜第6、第12〜第14実施形態は、流出側蒸発器20を設けていないが、これらの実施形態において、流出側蒸発器20を設けてもよい。この場合は、流出側蒸発器20を冷蔵庫内の冷却用に用いることができる。
例えば、第7〜第40実施形態において、第2実施形態と同様に、吸引側減圧手段として、可変絞り機構22aおよび逆止弁19bを採用してもよいし、減圧機構一体型の逆止弁を採用してもよい。
さらに、流出側気液分離器および吸引側気液分離器を設けていない各実施形態に対して、流出側気液分離器および吸引側気液分離器を追加してもよい。さらに、第7〜第25実施形態では、高圧側減圧手段を、第2分岐部18出口側からエジェクタ19のノズル部19a入口側へ至る冷媒通路に配置してもよい。
(8)上述の実施形態で説明した内部熱交換器15(補助内部熱交換器25)としては、高圧側冷媒流路における冷媒流れ方向と中間圧側冷媒流路(低圧側冷媒流路)における冷媒流れ方向が異なる方向となる対向流型の熱交換器を採用してもよいし、高圧側冷媒流路における冷媒流れ方向と低圧側冷媒流路における冷媒流れ方向が同一方向となる並向流型の熱交換器を採用してもよい。
(9)上述の第103実施形態では、第1固定絞り17、第2固定絞り22およびエジェクタ19のノズル部19aを固定絞りとして、Pdei、PnoziおよびPnozoが式F1を満たすように各固定絞り17、22、19aの流量特性を決定した例を説明したが、第1固定絞り17、第2固定絞り22およびノズル部19aは固定絞りに限定されない。
例えば、第102実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100において、各可変絞り機構14a、17a、22aの開度制御によって、式F1を満たすようにPdei、PnoziおよびPnozoを調整してもよい。さらに、第1固定絞り17のみを可変絞り機構へ変更して、この可変絞り機構の開度制御によって、式F1を満たすようにしてもよい。
さらに、上述の第104実施形態では、第1固定絞り17、第2固定絞り22およびエジェクタ19のノズル部19aを固定絞りとして、乾き度X0が式F2を満たすように、各固定絞り17、22、19aの流量特性を決定した例を説明したが、第1固定絞り17、第2固定絞り22およびノズル部19aは固定絞りに限定されない。
例えば、第102実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100において、各可変絞り機構14a、17a、22aの開度制御によって、式F2を満たすようにX0を調整してもよい。さらに、第1固定絞り17のみを可変絞り機構へ変更して、この可変絞り機構の開度制御によって、式F2を満たすようにしてもよい。
(10)上述の各実施形態では、エジェクタ式冷凍サイクル100〜300の冷媒として、フロン系冷媒および二酸化炭素を採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、炭化水素系冷媒等を採用してもよい。
(11)上述の各実施形態では、放熱器12、121、122、流出側蒸発器20、吸引側蒸発器23、利用側熱交換器55、補助利用側熱交換器54といった各種の熱交換器を単一の構成として説明しているが、これらの熱交換器の構成はこれに限定されない。例えば、小型の熱交換器を複数個、冷媒流れに対して、直列あるいは並列に配置してもよい。これにより、単一の熱交換器として構成する場合に対して、小型な熱交換器の組み合わせで同等の熱交換性能を達成できるとともに、その搭載性を向上できる。
(12)上述の各実施形態では、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル100〜300を冷凍機に適用した例を説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。例えば、エジェクタ式冷凍サイクルを、空調装置、冷蔵装置、自動販売機用冷却装置等の定置型の冷凍サイクル装置あるいは車両用空調装置、車両用冷凍装置等の車両用冷凍サイクル装置等に適用してもよい。
(13)第39〜47、86〜94、112、113実施形態では、各冷却ファン12a、121a、122aを停止させることで、各放熱器12、121、122の放熱能力を低下させた(放熱能力を0とした)例を説明したが、各放熱器12、121、122の放熱能力を低下させる手段はこれに限定されない。
例えば、冷却ファン12aと放熱器12との間に冷却ファン12aから放熱器12へ向かって流れる冷却風の流れを遮断する遮断手段を設け、除霜運転モード時にこの遮断手段によって、冷却風が放熱器12へ向かって流れないようにすればよい。