リガンド結合性又はリガンド特異性が修飾された改良型グループH核内受容体を用いた誘導性遺伝子発現系の開発にあたり、出願人らは、そのリガンド結合ドメイン(LBD)にアミノ酸残基の置換を有するEcR置換変異体を作製した。相同性モデリング及びドッキングアプローチを使用して、EcR LBDに対するエクジステロイド及び非エクジステロイドの結合を媒介する重要な残基を予測した。これらの置換変異体EcRをリガンド結合及びトランス活性化アッセイ法で評価した。本明細書に提示した通り、出願人らの新規の核内受容体の置換変異体、及び核内受容体を用いた誘導性遺伝子の発現系におけるこれらの使用により、リガンド感受性及びトランス活性化の程度を多様な用途に応じて選択することが可能な、原核生物及び真核生物両方の宿主細胞における誘導性遺伝子の改良発現系を提供する。
出願人らは、鋭意研究の結果、リガンド感受性及びグループH核内受容体の誘導に影響を及ぼすアミノ酸残基で、グループH核内受容体リガンド結合ドメインにおけるリガンド結合に関与するアミノ酸残基に置換変異を導入してグループH核内受容体(本明細書において、「置換変異体」と称される)を構築し、更にこれらの核内受容体の置換変異体が遺伝子発現の調節に有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的には、出願人らは、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む新規核内受容体に基づく誘導性遺伝子発現系を開発した。出願人らは、このような置換変異により、リガンド結合活性若しくはリガンド感受性が増加又は減少し、リガンドがエクジステロイド又は非エクジステロイド特異的となることを見出した。したがって、本発明は、宿主細胞における目的遺伝子の発現を調節するために有用な、グループH核内受容体に基づく誘導性遺伝子発現系を提供する。特に望ましい態様において、本発明は、エクジステロイドリガンド又は非エクジステロイドリガンドのいずれかとのみ反応する、エクジソン受容体に基づく誘導性遺伝子発現系を提供する。加えて本発明は、非エクジステロイドリガンド応答性エクジソン受容体に基づく、改良された誘導性遺伝子発現系を提供する。したがって、本発明の新規な誘導性遺伝子発現系、及び宿主細胞における遺伝子発現調節方法におけるその使用により、現在利用可能な誘導発現系における制限を克服し、目的遺伝子発現のための有効な手段を当業者に提供することとなる。
本発明は、遺伝子発現レベルの制御が必要となる遺伝子療法、タンパク質及び抗体の大規模生産、細胞を用いた高スループットスクリーニングアッセイ法、直交性リガンドスクリーニングアッセイ法、機能ゲノム科学、プロテオミクス、メタボロミクス並びにトランスジェニック生物における形質の調節などの用途に有用である。本発明の利点は、遺伝子発現を調節し、使用者の要求に合うように発現レベルを適宜調節する手段を提供することである。
(定義)
本開示において、多数の用語及び略語が使用される。以下の定義は、本発明の範囲及び実施態様を理解するのに有用と考えられる。
特定の実施態様において、「約」又は「およそ」の用語は、所与の値又は範囲の20%の範囲内、好ましくは10%の範囲内、より好ましくは5%の範囲内、更に好ましくは1%の範囲内を意味する。
「実質的にない」の用語は、「A」(単一タンパク質、DNA分子、ベクター、組換え宿主細胞、その他)を含む組成物において、タンパク質、DNA、ベクター(A及びBが属する種のカテゴリに拠る)の重量の少なくとも約75%が「A」であるときに、「B」(1つ又は複数の混在するタンパク質、DNA分子、ベクター、その他)が組成物中に実質的にないという意味で用いる。好ましくは、「A」は、組成物におけるA+Bの重量の少なくとも約90%、最も好ましくは前記重量の少なくとも約99%である。実質的に混入がない組成物は、目的の活性又は特徴を有する単一分子量の種のみを含むのが好ましい。
本発明における「単離された」という用語は、その本来の環境(それが野生型環境)から除去された生物材料(核酸又はタンパク質)を示す。例えば、植物又は動物における天然の状態に存在するポリヌクレオチドは、単離されていないが、その同じポリヌクレオチドが天然において隣接している核酸から分離されたときは、「単離された」とされる。「精製された」という用語は、必ずしも絶対的に純粋な形態で存在し、その他の化合物の存在が除外された材料であることを必要としない。これはむしろ相対的な定義である。
ポリヌクレオチドは、少なくとも1オーダー、好ましくは2又は3、より好ましくは4又は5オーダー分だけ、出発材料又は天然の材料と比較し「精製された」状態である。
「核酸」は、ヌクレオチドと呼ばれるサブユニットが共有結合で連結した重合体化合物である。核酸は、ポリリボ核酸(RNA)及びポリデオキシリボ核酸(DNA)を含み、その両方とも、一本鎖又は二本鎖であってもよい。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA及び半合成DNAを含むが、これらに限定されるわけではない。DNAは、直鎖状、環状又はスーパーコイル状であってもよい。
「核酸分子」は、一本鎖の形態又は二本鎖らせん体の、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン又はシチジン;「RNA分子」)若しくはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン又はデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステル重合体、又はホスホロチオアート及びチオエステルなどのリン酸エステル類似体の形態をいう。二本鎖DNA−DNA、DNA−RNA及びRNA−RNAらせん体があり得る。核酸分子(及び、特にDNA又はRNA分子)という用語は、分子の一次及び二次構造のみをいい、任意の特定の三次構造に限定するものではない。したがって、本用語は、とりわけ、直鎖状又は環状DNA分子(例えば制限酵素断片)、プラスミド及び染色体において見いだされる二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造について論議する中で、配列は、本明細書において、DNAの転写されない鎖(すなわち、mRNAに配列相同性を有する鎖)に沿って5’から3’方向の配列のみを与える通常の慣例に従って記載してもよい。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を施されたDNA分子を指す。
「断片」という用語は、対象となる核酸と比較して長さが減少したヌクレオチド配列を意味し、また共通の部分において、対象の核酸と同一のヌクレオチド配列を含むことが理解されるであろう。このような本発明の核酸断片は、適切な位置において、成分となる大きなポリヌクレオチドに含めることができる。このような断片は、本発明の核酸の少なくとも6、8、9、10、12、15、18、20、21、22、23、24、25、30、39、40、42、45、48、50、51、54、57、60、63、66、70、75、78、80、90、100、105、120、135、150、200、300、500、720、900、1000又は1500の連続したヌクレオチド長の範囲のオリゴヌクレオチドを含み、又はそれらからなる。
本明細書における「単離された核酸断片」とは、合成、非天然若しくは変更されたヌクレオチド塩基を任意に含む、一本鎖又は二本鎖のRNA又はDNAの重合体である。DNAの重合体の形態で単離された核酸断片は、cDNA、ゲノムDNA又は合成DNAの1つ又は複数のセグメントに含まれていてもよい。
「遺伝子」は、ポリペプチドをコードするヌクレオチドの集合体をいい、cDNA及びゲノムDNAの核酸を含む。また、遺伝子は、特異的タンパク質又はポリペプチドを発現する核酸断片をいい、コード配列に先行する(5’非コード)配列及び続く(3’非コード)制御配列を含む。「天然の遺伝子」は、天然においてそれ自体の制御配列と共に存在する遺伝子をいう。「キメラ遺伝子」は、天然において一緒に見いだされない、制御配列及び/又はコード配列を含む、天然の遺伝子と異なる任意の遺伝子をいう。したがって、キメラ遺伝子は、異なる供与源に由来する制御配列及びコード配列又は同じ供与源に由来するが、天然に見いだされるものとは異なる様式で配置された制御配列及びコード配列でもよい。またキメラ遺伝子は、異なる供与源に由来するコード配列及び/又は異なる供与源に由来する制御配列を含んでいてもよい。「内因性遺伝子」とは、生物体のゲノム内のその天然の位置の天然の遺伝子をいう。「外来」遺伝子又は「異種」遺伝子とは、宿主生物において通常存在しないが、遺伝子導入によって宿主生物に導入された遺伝子をいう。外来遺伝子とは、非天然の生物体に導入された天然の遺伝子又はキメラ遺伝子であってもよい。「導入遺伝子」とは、トランスフォーメーション法によってゲノムに導入された遺伝子である。
「異種」DNAとは、天然には細胞又は細胞の染色体に存在しないDNAをいう。好ましくは、異種DNAは、細胞に対する外来遺伝子を含む。
「ゲノム」という用語には、染色体並びにミトコンドリア、葉緑体及びウイルスDNA又はRNAが含まれる。
核酸分子は、一本鎖の形態において、適切な温度条件及び溶液イオン強度下で他の核酸分子にアニールするときは、cDNA、ゲノムDNA又はRNAなどの別の核酸分子に対して「ハイブリダイズ」するという(下記のSambrookら、1989を参照)。ハイブリダイゼーション及び洗浄条件は周知であり、Sambrook, J., Fritsch, E. F. and Maniatis, T. Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor(1989)、特にその中のChapter 11及びTable 11.1(参照により本明細書に援用)に例示されている。温度条件及びイオン強度が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を規定する。
ストリンジェンシー条件は、近縁でない生物に由来する相同配列などの適度に類似する断片から、近縁の生物に由来する機能的酵素を複製する遺伝子などの高度に類似する断片まで、様々なスクリーニング条件を調節することができる。相同な核酸の予備的スクリーニングのために、55℃のTm値に対応する低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件、例えば、5×SSC、0.1%のSDS、0.25%の乳及びホルムアミドなし;又は30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%のSDS)を使用することができる。適度なストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、より高いTm値、例えば5×又は6×SCCで40%のホルムアミドに対応する。高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、最高のTm値、例えば50%のホルムアミド、5×又は6×SCCに対応する。
ハイブリダイゼーションには、2つの核酸が相補的な配列であることが必要であるが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーによっては、塩基間にミスマッチがあってもよい。「相補的」という用語は、互いにハイブリダイズすることができるヌクレオチド塩基間の関係として使用される。例えば、DNAに関して、アデノシンはチミンに対して相補であり、シトシンはグアニンに対して相補である。したがって、本発明はまた、本明細書に開示又は使用された完全な配列に対して相補的である単離された核酸断片、並びにこれらに実質的に類似する核酸配列を含む。
本発明の特定の態様において、55℃のTmでのハイブリダイゼーション工程を含むハイブリダイゼーション条件を使用し、かつ前述のような条件を応用することによって、ポリヌクレオチドを検出することができる。好ましい態様においてTmは60℃であり、より好ましい態様においてTmは63℃であり、更に好ましい態様においてTmは65℃である。
ハイブリダイゼーション後の洗浄も、ストリンジェンシー条件を規定する。一つの好ましい条件のセットは、最初は6×SSC、0.5% SDS、室温にて15分間、次いで2×SSC、0.5% SDS、45℃で30分間にて繰り返し、次いで0.2×SSC、0.5% SDS、50℃で30分間を2回繰り返す、一連の洗浄工程である。ストリンジェンシー条件のより好ましいセットは、より高い温度での洗浄であり、最後の2回の30分の0.2×SSC、0.5% SDSにおける洗浄の温度を60℃に上げ、その他は上記と同様である。高ストリンジェント条件の他の好ましいセットは、2回の最後の0.1×SSC、0.1% SDSにおける65℃での洗浄である。ハイブリダイゼーションには、2つの核酸が相補的な配列であることが必要だが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーによっては、塩基間にミスマッチがあってもよい。
ハイブリダイズする核酸の適切なストリンジェンシーは、当技術分野において周知の変数である核酸の長さ及び相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性又は相同性の程度が大きいほど、これらの配列を有する核酸のハイブリッドのTm値は大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より高いTmに対応)は、以下の順序で小さい;RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100ヌクレオチド超のハイブリッドについては、Tm値を算出するための方程式が存在する(Sambrookら、前記、9.50−0.51を参照)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションについては、ミスマッチの位置がより重要になり、またオリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrookら、前記、11.7−11.8を参照)。
本発明の特定の態様において、ポリヌクレオチドは、500mM未満の塩濃度及び少なくとも37℃におけるハイブリダイゼーション工程と、少なくとも63℃での2×SSPEにおける洗浄工程を含むハイブリダイゼーション条件により検出される。好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション工程において200mM未満の塩濃度及び少なくとも37℃である。より好ましい態様では、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション及び洗浄の両工程について、2×SSPE及び63℃を採用することである。
一つの態様において、ハイブリダイズ可能な核酸長は、少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイズ可能な核酸のための好ましい最小長は、少なくとも約15ヌクレオチドであり、より好ましくは少なくとも約20ヌクレオチドで、最も好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド長である。更に、当業者であれば、温度及び洗浄液塩濃度を、プローブの長さなどの因子により適宜調節可能であることを理解するであろう。
「プローブ」という用語は、相補的な一本鎖標的核酸と塩基対を形成し、二本鎖分子を形成することができる一本鎖核酸分子をいう。
本明細書に使用される「オリゴヌクレオチド」の用語は、一般に、ゲノムDNA分子、cDNA分子、プラスミドDNA又はmRNA分子にハイブリダイズ可能である少なくとも18ヌクレオチドの核酸をいう。オリゴヌクレオチドは、例えば32P−ヌクレオチド又はビオチンなどのラベルが共有結合したヌクレオチドで標識することができる。標識オリゴヌクレオチドは、核酸の存在を検出するためのプローブとして使用できる。オリゴヌクレオチド(その一方又は両方が標識されていてもよい)は、核酸の全長若しくは断片をクローニング、又は核酸の存在を検出するためのPCRプライマーとしても使用できる。また、オリゴヌクレオチドは、DNA分子と三重らせん体を形成させるために使用できる。一般に、オリゴヌクレオチドは好ましくは核酸合成機で合成される。それにより、チオエステル結合等の天然に存在しないリン酸エステル類似体として、オリゴヌクレオチドを調製できる。
「プライマー」とは、標的核酸配列にハイブリダイズして、適切な条件下でDNA合成のための開始点としての役割を果たし、二本鎖核酸領域を生じさせるオリゴヌクレオチドを指す。このようなプライマーは、ポリメラーゼ連鎖反応法に使用してもよい。
「ポリメラーゼ連鎖反応法」とは、PCRと省略され、特異的核酸配列を酵素的に増幅するin vitroでの方法を指す。PCRは、標的分子の鎖を分離するための鋳型核酸の変性、一本鎖PCRオリゴヌクレオチドプライマーの鋳型核酸へのアニーリング、及びアニールしたプライマーのDNAポリメラーゼによる伸張、の3つの段階を含む、一連の温度サイクルの繰り返しの反応である。PCRにより、標的分子の存在を検出し、また定量的又は半定量的条件により、核酸の開始プール内のその標的分子の相対量を決定することが可能となる。
「逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法」は、RT−PCRと省略され、RNA分子から標的cDNA分子を酵素的に産生し、続いて上記の通りに標的cDNA分子内の特異的核酸配列を酵素的に増幅させるin vitroでの方法を意味する。また、RT−PCRにより、標的分子の存在を検出し、また定量的又は半定量的条件により、核酸の開始プール内のその標的分子の相対量を決定することが可能となる。
DNAの「コード配列」とは、適切な制御配列の制御下に配置されたとき、インビトロ又はインビボで細胞においてポリペプチドに転写・翻訳される二本鎖DNA配列を指す。「適切な制御配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、内部又は下流に(3’非コード配列)に位置し、結合しているコード配列の転写、RNAプロセシング若しくは安定化、又は翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列をいう。制御配列には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位及びステムループ構造等が含まれる。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドン及び3’(カルボキシル)末端の翻訳停止コドンによって決定される。コード配列には、原核生物の配列、mRNAからのcDNA、ゲノムDNA配列及び更に合成DNAの配列が含まれるが、これに限定されない。真核細胞におけるコード配列の発現を目的とする場合、ポリアデニル化シグナル及び転写終結配列は、通常コード配列に対して3’側に位置する。
「オープンリーディングフレーム」は、ORFと省略され、ATG若しくはAUGなどの翻訳開始シグナル又は開始コドン、及び終始コドンとを含み、かつポリペプチド配列に翻訳することができるDNA、cDNA又はRNAの全長核酸配列を意味する。
「頭部に対する頭部」という用語は、本明細書において、2つのポリヌクレオチド配列相互の向きを記載するために使用される。2つのポリヌクレオチドは、一方のポリヌクレオチドのコード鎖の5’末端が、他方のポリヌクレオチドのコード鎖の5’末端と隣接するときに、頭部に対する頭部の向きに位置し、それにより、それぞれのポリヌクレオチドの転写の方向は、他方のポリヌクレオチドの5’末端から離れた位置にて行われる。「頭部に対する頭部」という用語は、(5’)〜(5’)と省略してもよく、また記号(←→)又は(3’←5’5’→3’)によって示してもよい。
「尾部に対する尾部」という用語は、本明細書において、2つのポリヌクレオチド配列相互の向きを記載するために使用される。2つのポリヌクレオチドは、一方のポリヌクレオチドのコード鎖の3’末端が、他方のポリヌクレオチドのコード鎖の3’末端と隣接するときに、尾部に対する尾部の向きに位置し、それにより、それぞれのポリヌクレオチドの転写の方向は、他方のポリヌクレオチドの方へ進行する。「尾部に対する尾部」という用語は、(3’)〜(3’)と省略してもよく、また記号(→←)又は(5’→3’3’←5’)によって示してもよい。
「尾部に対する頭部」という用語は、本明細書において、2つのポリヌクレオチド配列相互の向きを記載するために使用される。2つのポリヌクレオチドは、一方のポリヌクレオチドのコード鎖の5’末端が、他方のポリヌクレオチドのコード鎖の3’末端と隣接するときに、尾部に対する頭部の向きに位置し、それにより、それぞれのポリヌクレオチドの転写の方向は、他方のポリヌクレオチドのそれと同じ方向に進行する。「尾部に対する頭部」という用語は、(5’)〜(3’)と省略してもよく、また記号(→→)又は(5’→3’5’→3’)によって示してもよい。
「下流」という用語は、標的ヌクレオチド配列に対して3’に位置するヌクレオチド配列をいう。特に、下流ヌクレオチド配列は、一般に、転写開始点に続く配列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写開始部位の下流に位置する。
「上流」という用語は、標的ヌクレオチド配列に対して5’に位置するヌクレオチド配列をいう。特に、上流ヌクレオチド配列は、一般に、コード配列又は転写開始点の5’側に位置する配列に関する。例えば、大部分のプロモーターは、転写開始部位の上流に位置する。
「制限エンドヌクレアーゼ」及び「制限酵素」という用語は、二本鎖DNA内の特異的ヌクレオチド配列内に結合して、切断する酵素をいう。
「相同組換え」とは、別のDNA分子への外来DNA配列の挿入、例えば染色体へのベクターの挿入をいう。好ましくは、ベクターは、相同組換えに特異的な染色体部位を標的とする。特異的な相同組換えのためには、ベクターは、染色体へのベクターの相補的結合及び組み込みが可能なように、染色体の配列に対して十分に長い相同領域を含むと考えられる。より長い相同領域及びより大きな配列類似性により、相同組換えの効率を増加させることが可能となる。
当技術分野において公知の幾つかの方法は、本発明によるポリヌクレオチドを伝播するために使用してもよい。一旦、適切な宿主系及び増殖条件が確立されると、組換え発現ベクターを増殖させ、大量に調製することができる。本明細書に記載のように、使用することができる発現ベクターは、若干の例として、以下のベクター又はこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない:ワクシニアウイルス若しくはアデノウイルスなどのヒト又は動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルス、酵母ベクター、バクテリオファージ(例えばλ)ベクター並びにプラスミド及びコスミドDNAベクター。
「ベクター」は、宿主細胞に核酸を任意にクローニング及び/又は導入する手段である。ベクターは、別のDNAセグメントが付着したセグメントの複製を行うことが可能なレプリコンであってもよい。「レプリコン」は、インビボでのDNA合成の自律的ユニットとして機能し、それ自体の制御下で複製可能な遺伝因子(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)である。「ベクター」という用語は、インビトロで、エキソビボで、又はインビボで核酸を細胞に導入するためのウイルス性及び非ウイルス性の手段である。核酸を操作して遺伝子内に応答エレメント及びプロモーターを取り込む、又はその他の目的のために、当技術分野において公知の多数のベクターを使用してもよい。使用可能なベクターは、例えばλ誘導体などのバクテリオファージ又はpBR322若しくはpUCプラスミド誘導体などのプラスミド、又はBluescriptベクター等、プラスミド又は修飾されたウイルスを含む。例えば、適切なベクターへの応答エレメント及びプロモーターに対応するDNA断片の挿入は、相補付着末端を有する選択したベクターに適切なDNA断片を結合することによって行うことができる。あるいは、DNA分子の末端を酵素的に修飾してもよく、又はDNA末端にヌクレオチド配列(リンカー)を結合することによって任意の部位を作製してもよい。このようなベクターは、選択可能なマーカー遺伝子を含むように操作して、細胞ゲノムにマーカーを取り込んだ細胞の選択を可能にしてもよい。このようなマーカーにより、マーカーによってコードされるタンパク質を取り込み、発現する宿主細胞を同定及び/又は選択することができる。
ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、細胞並びに生きている動物における多種多様な遺伝子輸送に使用されてきた。使用可能なウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックス、バキュロウイルス、ワクシニア、単純ヘルペス、エプスタイン−バー、アデノウイルス、ジェミニウイルス及びカリモウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。非ウイルスベクターは、プラスミド、リポソーム、帯電した脂質(サイトフェクチン)、DNAタンパク質複合体及び生体高分子を含む。核酸に加えて、ベクターもまた、1つ若しくは複数の制御領域、及び/又は核酸導入の結果物(組織に対する導入、発現の期間等)を選抜し、測定し、及びモニターするのに有用な選択マーカーを含んでいてもよい。
「プラスミド」の用語は、細胞の中心的代謝部分ではなく、通常は環状二本鎖DNA分子の形態の遺伝子を有する余分な染色体のエレメントを指すことが多い。このようなエレメントは、任意の供与源に由来する、一本鎖若しくは二本鎖DNA又はRNAの、自己複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージ又はヌクレオチド配列、直鎖状、環状又はスーパーコイルであり、その中の多数のヌクレオチド配列が一つのコンストラクト内に連結され、そこにおいて、適切な3’非翻訳の配列を伴ってプロモーター断片及び目的の遺伝子産物をコードするDNA配列が細胞内に導入される。
「クローニングベクター」は、「レプリコン」であり、これは、核酸、好ましくはDNAを連続的に複製する単位であり、プラスミド、ファージ又はコスミドなどの複製開始点を含み、これに対して別の核酸セグメントを、複製させるために付着させてもよい。クローニングベクターは、あるタイプの細胞で複製し、別のタイプの細胞で発現させてもよい(「シャトルベクター」)。
ベクターは、当技術分野において公知の方法、例えば、トランスフェクション、電気穿孔法、微量注入、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用、又はDNAベクター輸送体によって所望の宿主細胞に導入してもよい(例えば、Wuら、1992,J.Biol.Chem.267:963−967;Wu and Wu,1988,J.Biol.Chem.263:14621−14624;及びHartmutら、1990年3月15日に出願されたカナダ特許出願第2,012,311号を参照)。
また、本発明のポリヌクレオチドは、リポフェクションによってインビボで導入することができる。過去10年間に、インビトロでの核酸のカプセル化及びトランスフェクションのためのリポソームの使用が増加した。また、リポソームを媒介したトランスフェクションで生じる困難及び危険性を減少させるようにデザインされた合成陽イオン脂質を使用し、マーカーをコードする遺伝子のインビボでのトランスフェクションに用いるリポソームを調製することができる(Felgnerら、1987,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84:7413;Mackeyら、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:8027−8031;及びUlmerら、1993,Science 259:1745−1748)。陽イオン脂質の使用は、負に荷電した核酸のカプセル化を促進し、更に負に荷電した細胞膜との融合を促進し得る(Felgner and Ringold,1989,Science 337:387−388)。核酸の導入に特に有効な脂質化合物及び組成物が、国際公開公報第95/18863号及び国際公開公報第96/17823号に、並びに米国特許第5,459,127号に記載されている。インビボで特定の器官に外来遺伝子を導入するリポフェクションの使用は一定の実用的利点がある。また特定の細胞に対するリポソームの分子ターゲティングは利益をもたらす領域とも言える。特定のタイプの細胞にトランスフェクションすることが好ましいことは、特に膵臓、肝臓、腎臓及び脳などの、細胞異種性がある組織において明白である。脂質は、ターゲティングに際し、その他の分子と化学的に結合してもよい(Mackeyら、1988、前記)。標的とされるペプチド、例えばホルモン又は神経伝達物質、並びに抗体などのタンパク質又は非ペプチド分子を化学的にリポソームに結合させることができる。
陽イオン性オリゴペプチド(例えば国際公開公報第95/21931号)、DNA結合タンパク質(例えば国際公開公報第96/25508号)に由来するペプチド又は陽イオンポリマー(例えば、国際公開公報第95/21931号)などのその他の分子も、インビボでの核酸のトランスフェクションを容易にするために有用である。
裸のDNAプラスミドとしてインビボでベクターを導入することも可能である(米国特許第5,693,622号、第5,589,466号及び第5,580,859号を参照されたい)。受容体を媒介したDNA輸送アプローチも使用することができる(Curielら、1992,Hum.Gene Ther.3:147−154;及びWu and Wu,1987,J.Biol.Chem.262:4429−4432)。
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来若しくは異種RNA又はDNAの摂取を意味する。細胞は、このようなRNA又はDNAが細胞に導入されたときに、外来若しくは異種RNA又はDNAによって「トランスフェクト」される。細胞は、トランスフェクトされたRNA又はDNAが表現型の変化に効果を及ぼすときに、外来若しくは異種RNA又はDNAによって「形質転換」される。形質転換するRNA又はDNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNAに組み込まれ(共有結合で連結され)得る。
「トランスフォーメーション」は、宿主生物のゲノムに核酸断片が導入され、遺伝的に安定な形質を生じることをいう。核酸断片を含む形質転換された宿主生物は、「トランスジェニック」生物体若しくは「組換え」生物体又は「形質転換された」生物体と称する。
「遺伝子領域」という用語は、ポリペプチドをコードする遺伝子を含む核酸分子又はヌクレオチド配列の領域をいう。
加えて、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターは、これらの増幅又は発現が目的の宿主細胞の1つ又は複数の複製開始点、マーカー又は選択マーカーを含んでいてもよい。
「選択マーカー」という用語は、マーカー遺伝子の効果、すなわち抗生物質に対する耐性、除草剤に対する耐性、比色マーカー、酵素、蛍光マーカーなどに基づいて選択することができる同定因子、通常は抗菌性又は化学耐性遺伝子を意味し、その効果により目的の核酸の遺伝を追跡し、及び/又は目的の核酸を受け継いだ細胞若しくは生物体を同定するために使用される。当技術分野において公知であり、使用される選択可能なマーカー遺伝子の例には、以下を含む。アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミド等に耐性をもたらす遺伝子、及び表現型マーカーとして使用される遺伝子、すなわちアントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子等。
「レポーター遺伝子」という用語は、レポーター遺伝子の効果に基づいて同定することができる同定因子をコードする核酸を意味し、目的の核酸の遺伝の追跡、目的の核酸を受け継いだ細胞若しくは生物体の同定及び/又は遺伝子発現誘導若しくは転写の測定に使用される。当技術分野において公知であり、使用されるレポーター遺伝子の例として、ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ(LacZ)、β−グルクロニダーゼ等(Gus)が含まれる。また、選択マーカー遺伝子をレポーター遺伝子とみなしてもよい。
「プロモーター」は、コード配列又は機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列をいう。一般に、コード配列は、プロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは、これらの全体が天然の遺伝子に由来しても、又は天然の異なるプロモーターに由来する異なるエレメントを含んでいても、又は更に合成DNAセグメントを含んでいてもよい。異なるプロモーターが、異なる組織又は細胞タイプの遺伝子において、異なる発生の段階にて、又は異なる環境若しくは生理学的条件に応答して発現制御されることは当業者に公知である。大部分の時間、大部分の細胞タイプにおいて発現される遺伝子のプロモーターは、一般に「構成的プロモーター」と称される。特定の細胞タイプにおいて発現される遺伝子のプロモーターは、一般に「細胞特異的プロモーター」又は「組織特異的プロモーター」と称される。発生又は細胞分化の特定の段階に発現される遺伝子のプロモーターは、一般に「発生特異的プロモーター」又は「細胞分化特異的プロモーター」と称される。プロモーターを誘導する薬剤、生体分子、化学物質、リガンド、光等による細胞の曝露又は処置後に発現される遺伝子を誘導するプロモーターは、「誘導性プロモーター」又は「調節可能なプロモーター」と一般に称される。更に、ほとんどの場合、制御配列の正確な境界が完全に規定されないため、種々の長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有し得ることが公知である。
「プロモーター配列」は、細胞においてRNAポリメラーゼに結合し、下流(3’方向)のコード配列の転写を開始するDNA制御領域である。本発明において、プロモーター配列はその3’末端にて転写開始点に連結し、上流(5’方向)に伸びてバックグラウンド以上の検出可能なレベルで転写を開始するために必要最小限の塩基又はエレメントを含む。プロモーター配列内には、転写開始点(例えばヌクレアーゼS1でのマッピングによって簡便に決定される)、並びにRNAポリメラーゼとの結合の役割を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が存在する。
コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写し、次いでこれがトランス−RNAスプライスされ(コード配列がイントロンを含む場合)、コード配列によってコードされるタンパク質に翻訳されるとき、細胞の転写及び翻訳制御配列の「制御下」にある。
「転写及び翻訳制御配列」は、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどの、宿主細胞においてコード配列を発現させるDNA制御配列である。真核細胞において、ポリアデニル化シグナルは制御配列である。
「応答エレメント」の用語は、第一のキメラ遺伝子とDNA結合ドメインとの相互作用により調節されるプロモーターに応答性を与える、1つ又は複数のシス作動性DNAエレメントを意味する。このDNAエレメントは、その配列が回文構造(完全又は不完全)、又は不定数のヌクレオチドによって分離された配列モチーフ若しくはハーフサイトで構成されていてもよい。前記のハーフサイトは、同等又は類似であることができ、直接若しくは反転されたリピートとして、又は単一のハーフサイト若しくは直列に隣接したハーフサイトの多量体のいずれかとして配置させることができる。応答エレメントは、その応答エレメントが取り込まれる細胞又は生物体の性質に応じて、種々の生物体から単離された最小のプロモーターを含んでいてもよい。第一のハイブリッドタンパク質のDNA結合ドメインは、リガンドの有無において、応答エレメントのDNA配列に結合して、この応答エレメントの制御下で下流遺伝子の転写を開始し、又は抑制する。天然のエクジソン受容体の応答エレメントのDNA配列の例は、以下のとおりである:RRGG/TTCANTGAC/ACYY(Cherbas L.,ら、(1991),Genes Dev.5,120−131を参照)、AGGTCAN(n)AGGTCA、式中N(n)は、1つ又は複数のスペーサーヌクレオチド(D’Avino PP.,ら、(1995),Mol.Cell.Endocrinol,113,1−9を参照)、及びGGGTTGAATGAATTT(Antoniewski C.,ら、(1994).Mol.CellBiol.14,4465−4474を参照)。
「作動可能に連結された」という用語は、一方の機能が他方のものに影響を受けるように、単一の核酸断片上に核酸配列が結合していることをいう。例えば、プロモーターは、そのコード配列の発現に影響を及ぼすことができる(すなわち、コード配列がプロモーターの転写調節下にある)ときに、コード配列と作動可能に連結されているという。コード配列は、制御配列に対してセンス又はアンチセンスの方向で作動可能に連結させることができる。
本明細書に使用される「発現」の用語は、核酸若しくはポリヌクレオチドに由来するセンス(mRNA)又はアンチセンスRNAの転写及び安定な蓄積をいう。また、発現とは、タンパク質又はポリペプチドへのmRNAの翻訳を指すこともある。
「カセット」、「発現カセット」及び「遺伝子発現カセット」という用語は、特異的制限部位にて、又は相同組換えによって、核酸又はポリヌクレオチドに挿入することができるDNAのセグメントをいう。前記DNAのセグメントは、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、カセット及び制限部位は、転写及び翻訳のために適した読み枠でのカセットの挿入を確実にするようにデザインされる。「トランスフォーメーションカセット」は、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドに加えて特定の宿主細胞のトランスフォーメーションを容易にするエレメントを有する特異的ベクターをいう。また、本発明のカセット、発現カセット、遺伝子発現カセット及びトランスフォーメーションカセットは、宿主細胞における目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現増強を可能にするエレメントを含んでいてもよい。これらのエレメントは、プロモーター、最小プロモーター、エンハンサー、応答エレメント、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列等が使用可能だが、これらに限定されない。
本発明の「遺伝子スイッチ」という用語は、プロモーター連結した応答エレメントとEcRに基づく系との組み合わせであり、1つ又は複数のリガンドの存在下において、応答エレメント及びプロモーターが組み込まれた遺伝子の発現を調節するものをいう。
「調節する」という用語は、核酸若しくは遺伝子発現を誘導、減少又は阻害し、タンパク質又はポリペプチド産生の誘導、減少又は阻害を生じさせることを意味する。
本発明のプラスミド又はベクターは、宿主細胞における遺伝子の発現を駆動するために適した少なくとも1つのプロモーターを更に含んでいてもよい。「発現ベクター」という用語は、宿主へのトランスフォーメーション後に挿入された核酸配列の発現を可能にするようにデザインされたベクター、プラスミド又は媒体を意味する。クローニングされた遺伝子、すなわち挿入された核酸配列は、通常プロモーター、最小プロモーター、エンハンサー等などの調節領域の制御下に配置される。所望の宿主細胞における核酸の発現を駆動するために有用である開始制御領域又はプロモーターは多種にわたり、当業者に公知である。実質的に、これらの遺伝子を発現させることができるいかなるプロモーターも本発明に使用可能であり、以下のようなものが挙げられるが、これに限定されるものではない:ウィルスプロモーター、細菌プロモーター、動物のプロモーター、哺乳類のプロモーター、合成プロモーター、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、発生特異的プロモーター、誘導性プロモーター、光制御プロモーター;CYC1、HIS3、GALl、GAL4、GAL10、ADH1、PGK、PHD5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI、アルカリホスファターゼプロモーター(サッカロミセス属の発現に有用);AOX1プロモーター(Pichiaの発現に有用);β−ラクタマーゼ、lac、ara、tet、trp、lPL、lPR、T7、tac及びtrcプロモーター(大腸菌の発現に役立つ);光制御−、種特異的、花粉特異的、卵巣特異的、病因又は疾患関連35Sカリフラワーモザイクウイルス、35S最小限CMV、カッサバ静脈モザイクウイルス(CsVMV)、葉緑素a/b結合タンパク質、リブロース1,5−ビスリン酸塩カルボキシラーゼ、芽特異性、根特異性、キチナーゼ、ストレス誘導、イネ顆粒病ウイルス(RTBV)、植物スーパープロモーター、ジャガイモ・ロイシンアミノペプチダーゼ、硝酸還元酵素、マンノピンシンターゼ、ノパリンシンターゼ、ユビキチン、ゼインタンパク質、及びアントシアニンプロモーター(植物細胞の発現に有用);動物性及び哺乳類の公知のプロモーターは、SV40初期(SV40e)プロモータードメイン、ラウス肉腫ウイルス(RSV)3’ロングターミナルリピート(LTR)、アデノウイルス(Ad)のE1Aプロモーター又は主な後期プロモーター(MLP)、サイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーター、単純疱疹ウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、バキュロウイルスIE1プロモーター、伸長因子1α(EF1)プロモーター、ホスホグリセリン酸塩キナーゼ(PGK)プロモーター、ユビキチン(Ubc)プロモーター、アルブミンプロモーター、マウスメタロチオネインLプロモーター及び転写調節ドメインの制御配列、ユビキタス(ubiquitous)プロモーター(HPRT、ビメンチン、α−アクチン、チュービュリンなど)、中間のフィラメント(デスミン、神経線維、角質、GFAP、など)のプロモーター、治療的な遺伝子(MDR、CFTR又は第8因子タイプ、など)のプロモーター、病因又は疾患関連したプロモーター;組織特性であり、トランスジェニック動物において利用されるプロモーター(膵臓腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御ドメイン、膵臓ベータ細胞において活性なインスリン遺伝子制御ドメイン、リンパ球様細胞において活性な免疫グロブリン遺伝子制御ドメイン、睾丸、胸部、リンパ及びマスト細胞において活性なマウス乳房腫瘍ウイルス制御ドメイン、肝臓において活性なアルブミン遺伝子Apo AI及びApo AIIドメイン、肝臓において活性なアルファフェトプロテイン遺伝子制御ドメイン、肝臓において活性なα1−アンチトリプシン遺伝子制御ドメイン、骨髄細胞において活性なβグロビン遺伝子制御ドメイン、脳の乏枝神経膠細胞細胞において活性なミエリン基本タンパク質遺伝子制御ドメイン、骨格筋肉において活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御ドメイン、及び視床下部において活性な性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御ドメイン、ピルビン酸塩キナーゼプロモーター、villinプロモーター、脂肪酸と結合する腸のタンパク質プロモーター、平滑筋細胞のα−アクチンのプロモーター、並びにその同種のものを含むが、これに限定されるものではない。更に、これらの発現配列は、エンハンサー又は調節配列の付加などによって修飾されていてもよい。
本発明の実施例において使用可能なエンハンサーは、以下のもの、すなわち:SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー、伸長因子1(EF1)エンハンサー、イーストエンハンサー、ウィルス遺伝子エンハンサー、などを含むが、これに限定されるものではない。
また、終結制御領域、すなわちターミネーター又はポリアデニル化配列は、好ましい宿主の天然の種々の遺伝子に由来してもよい。終結部位は含めなくともよいが、含まれる場合が最も好ましい。本発明の好ましい態様において、終結制御領域は、合成配列、合成ポリアデニル化シグナル、SV40後期ポリアデニル化シグナル、SV40ポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル、ウイルスターミネーター配列等を含むか、又はそれらに由来するのが望ましい。
「3’非コード配列」又は「3’非翻訳の領域(UTR)」という用語は、コード配列の下流(3’)に位置するDNA配列を指し、ポリアデニル化[ポリ(A)]認識配列及びmRNAプロセシング又は遺伝子発現に影響を及ぼす調節シグナルをコードする他の配列を含んでいてもよい。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸領域の付加に影響を及ぼす特徴を有する。
「制御領域」は、第二の核酸配列の発現を調節する核酸配列を意味する。制御領域は、元来特定の核酸を発現する役割を果たす配列(同種領域)を含んでいてもよく、又は異なるタンパク質若しくは更に合成タンパク質を発現する役割を果たす異なる起源の配列(異種領域)を含んでいてもよい。特に前記配列は、原核生物、真核生物又はウイルス遺伝子の配列であり、又は特異的若しくは非特異的な様式で、また誘導性若しくは非誘発性の様式で遺伝子の転写を刺激し、又は抑制する配列に由来するのがよい。制御領域は、複製開始点、RNAスプライス部位、プロモーター、エンハンサー、転写終結配列及びポリペプチドを標的細胞の分泌経路内に向けるシグナル配列を含む。
「異種供与源」由来の制御領域は、元来発現する核酸と関連しない制御領域である。異種制御領域としては、異なる種に由来する制御領域異なる遺伝子に由来する制御領域、ハイブリッド制御配列及び天然には存在せず、当業者によってデザインされた制御配列が挙げられる。
「RNA転写物」は、RNAポリメラーゼで触媒されるDNA配列の転写によって生じる産物をいう。RNA転写物は、DNA配列の完全な相補コピーであるとき一次転写産物と称され、また一次転写産物が転写後にプロセシングを受けたときは成熟RNAと称され、これも含まれる。「メッセンジャーRNA(mRNA)」は、イントロンを伴わず、細胞によってタンパク質に翻訳され得るRNAをいう。「cDNA」は、mRNAに相補的であり、それに由来する二本鎖DNAをいう。「センス」RNAは、mRNAを含み、かつ細胞によってタンパク質に翻訳され得るRNA転写物をいう。「アンチセンスRNA」は、標的一次転写産物又はmRNAの全部若しくは一部に対して相補的であり、かつ標的遺伝子の発現を遮断するRNA転写物をいう。アンチセンスRNAの相補性は、特異的遺伝子転写物の任意の部分、すなわち5’非コード配列、3’非コード配列又はコード配列であってもよい。「機能的RNA」とは、アンチセンスRNA、リボザイムRNA、又は翻訳されないが細胞プロセスに対して効果を与える他のRNAをいう。
「ポリペプチド」は、共有結合で連結されたアミノ酸残基で構成される重合体化合物である。アミノ酸は、以下の一般式の構造を有する。
アミノ酸は、側鎖Rに基づいて7つの基に分類されている。(1)脂肪族側鎖、(2)ヒドロキシル基(OH)を含む側鎖、(3)硫黄原子を含む側鎖、(4)酸性基又はアミド基を含む側鎖、(5)塩基性基を含む側鎖、(6)芳香環を含む側鎖及び(7)プロリン(側鎖がアミノ基に融合されたイミノ酸)。本発明のポリペプチドは、好ましくは少なくとも約14アミノ酸を含む。
「タンパク質」は、生細胞において構造的又は機能的な役割を果たすポリペプチドである。
「単離されたポリペプチド」又は「単離されたタンパク質」は、その天然の状態では通常それに付随している化合物(例えば、その他のタンパク質又はポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質)が実質的にないポリペプチド又はタンパク質である。ただし「単離された」という語は、他の化合物の混入、人工若しくは合成混合物、又は生物活性を妨害しない物質の存在若しくは、例えば不完全な精製や安定剤又は薬学的に許容される担体などの配合による、他の物質の存在を除外することを意味しない。
「置換変異体ポリペプチド」又は「置換変異体」は、天然型又は野生型ポリペプチドと比較して、少なくとも一つの異なるアミノ酸で野生型又は野生型アミノ酸を置換した変異体ポリペプチドを意味する。置換変異体ポリペプチドは、一つの野生型又は天然型アミノ酸置換のみを含んでいてもよく、「点変異体」又は「単一点変異体」ポリペプチドとも称され得る。あるいは、置換変異体ポリペプチドは、野生型又は野生型ポリペプチドと比較して、二つ以上の野生型又は野生型アミノ酸の置換を含んでいてもよい。本発明によれば、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインポリペプチドは、野生型又は野生型グループH核内受容体リガンド結合ドメインポリペプチドと比較して、少なくとも一つの異なるアミノ酸による置換を含む。
置換変異体ポリペプチドが、二つまたはそれ以上の野生型又は天然型アミノ酸の置換を含む場合に、この置換は、野生型又は天然型アミノ酸と同数の置換のための欠失(2つの野生型又は天然型アミノ酸が、2つの非野生型又は非天然型アミノ酸で置換)の場合、非同数の野生型アミノ酸が欠失する置換(2つの野生型アミノ酸が1つの非野生型アミノ酸で置換(置換+欠失変異)、若しくは2つの野生型アミノ酸が3つの非野生型アミノ酸で置換(置換+挿入変異))の場合を含んでいてもよい。置換変異体は、標的ポリペプチド配列内のアミノ酸残基及び置換された番号、並びに新たな置換されたアミノ酸残基を示すための省略命名法系を使用して記載してもよい。例えば、ポリペプチドの第二十番目(第20)のアミノ酸残基が置換されている置換変異体は、「x20z」と略記してもよい。この場合、式中、「x」は、置換されるアミノ酸であり、「20」は、ポリペプチド内のアミノ酸残基の位置又は数であり、かつ「z」は、新たな置換されたアミノ酸である。したがって、「E20A」又は「Glu20Ala」と交換可能に略記される置換変異体は、変異体が、ポリペプチドの位置20においてグルタミン酸(当技術分野において「E」又は「Glu」と略記)の代わりにアラニン残基(当技術分野において「A」又は「Ala」と略記)を含むことを示す。変異又は変異体は、置換、欠失、挿入又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されず、任意の変化が可能である。
置換変異は、以下を含む当技術分野において公知の変異導入のための技術によって作製してもよいが、これらに限定されるわけではない。インビトロ部位特異的変異導入(Hutchinson, C.,ら、1978,J.Biol.Chem.253:6551;Zoller and Smith,1984,DNA 3:479−488;Oliphantら、1986,Gene 44:177;Hutchinsonら、1986,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83:710)、TAB(登録商標)リンカー(Phannacia)の使用、制限エンドヌクレアーゼ消化/断片欠失及び置換、PCRを媒介した/オリゴヌクレオチド定方向変異導入など。部位特異的変異導入のためには、PCRに基づいた技術が好ましい(Higuchi,1989,“Using PCR to Engineer DNA”,in PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification,H.Erlich,ed.,Stockton Press,Chapter 6,pp.61−70を参照)。
本発明のポリペプチドの「断片」は、アミノ酸配列が標的ポリペプチドのものよりも短く、これらの標的ポリペプチドで全ての部分を通して、同一のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。このような断片は、適切な場合には、これらがその一部となる、より大きなポリペプチドに含まれていてもよい。本発明によるポリペプチドのこのような断片は、少なくとも2、3、4、5、6、8、10、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、25、26、30、35、40、45、50、100、200、240又は300アミノ酸の長さを有する。
ポリペプチド又はタンパク質の「変異体」は、ポリペプチド又はタンパク質に由来し、かつポリペプチド又はタンパク質の少なくとも1つの生物学的性質を保持する任意の類似体、断片、誘導体又は変異体である。ポリペプチド又はタンパク質の種々の変異体が、天然に存在し得る。これらの変異体は、タンパク質をコードする構造遺伝子のヌクレオチド配列の相違によって特徴づけられる形質の変異であってもよく、又は発現差スプライシング若しくは翻訳後修飾を含んでいてもよい。当業者であれば、単一又は複数のアミノ酸置換、欠失、付加又は置換を有する変異体を作製することができるであろう。これらの変異体は、とりわけ(a)1つ又は複数のアミノ酸残基が保存的又は非保存的アミノ酸で置換されている変異体、(b)1つ又は複数のアミノ酸がポリペプチド又はタンパク質に付加されている変異体、(c)1つ又は複数のアミノ酸が置換基を含む変異体、及び(d)ポリペプチド又はタンパク質が血清アルブミンなどの別のポリペプチドと融合される変異体を含む。これらの変異体を得るための、遺伝的(抑制、欠失、変異、その他)、化学的及び酵素的技術を含む技術は、当業者に公知である。変種ポリペプチドは、好ましくは少なくとも約14アミノ酸を含む。
「異種タンパク質」は、天然には細胞で産生されないタンパク質をいう。
「成熟タンパク質」は、翻訳後プロセスされたポリペプチド、すなわちポリペプチドから一次翻訳産物に存在する任意のプレ又はプロペプチドが除去されたものをいう。「前駆体」タンパク質は、mRNAの翻訳の一次生成物、すなわち未だプレ又はプロペプチドと共に存在しているものをいう。プレ又はプロペプチドは、細胞内局在化シグナルであってもよいが、これに限定されない。
「シグナルペプチド」という用語は、分泌される成熟タンパク質のアミノ末端に存在するポリペプチドをいう。シグナルペプチドは、切断されるため、成熟タンパク質には存在しない。シグナルペプチドは、分泌されるタンパク質を細胞膜を通じて透過させる機能を有する。シグナルペプチドは、シグナルタンパク質とも称される。
「シグナル配列」は、細胞表面上に発現されるタンパク質のコード配列の始めに含まれる。この配列は、成熟ポリペプチドのN末端にあり、宿主細胞においてポリペプチドを透過させるシグナルペプチドをコードする。「透過シグナル配列」という用語は、本明細書において、この種のシグナル配列をいうために使用される。透過シグナル配列は、真核生物及び原核生物で天然の種々のタンパク質に付随して存在し、たいてい両タイプの生物体において機能的である。
「相同性」という用語は、2つのポリヌクレオチド又は2つのポリペプチド部分間の同一性のパーセントをいう。1つの部分と別の部分の配列間の一致は、当技術分野に公知の技術によって決定することができる。例えば、相同性は、配列情報を整列させ、容易に利用できるコンピュータプログラムを使用し、2つのポリペプチド分子間の配列情報を直接比較することによって決定することができる。あるいは、相同性は、相同領域間で安定な二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、続く一本鎖特異的ヌクレアーゼでの消化、更に消化された断片のサイズ決定によって決定することができる。
本明細書に使用される「相同」という用語は、その文法上の形態及び綴り変化の全てにおいて、スーパーファミリー(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)に由来するタンパク質及び異なる種に由来する相同タンパク質(例えば、ミオシン軽鎖、その他)を含む、「共通の進化の起源」を有するタンパク質間の関係をいう(Reeckら、1987,Cell 50:667)。このようなタンパク質(及び、これらをコードする遺伝子)は配列相同性を有し、これらの配列類似性の程度が高い。しかしながら、一般的な用法及び本適用において、「相同」という用語は、「高度に」などの副詞で修飾されたときには、配列類似性を有し、共通の進化の起源を持たないことを指す。
したがって、「配列類似性」という用語は、その文法上の形態の全てにおいて、核酸又はタンパク質のアミノ酸配列間の同一性又は一致の程度をいい、共通の進化の起源を共有してもしなくてもよい(Reeckら、1987,Cell 50:667を参照)。
特定の態様において、DNA配列の定義されたヌクレオチド長の少なくとも約50%(好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも約90又は95%)が一致するときに、2つのDNA配列は、「実質的に相同」又は「実質的に類似」という。実質的に相同である配列は、配列データバンク、又は、例えば特定の系のために開発されたストリンジェントな条件下でのサザンブロット実験に使用される標準的ソフトウェアを使用して配列を比較することにより、同定することができる。適切なハイブリダイゼーション条件を定義することは当技術分野の技術の範囲内である(例えば、Sambrookら、1989、前記を参照)。
本明細書に使用される「実質的に類似」は、1つ又は複数のヌクレオチド塩基の変化により、1つ又は複数のアミノ酸の置換を生じるが、DNA配列によってコードされるタンパク質の機能的特性には影響を及ぼさない核酸断片をいう。また、「実質的に類似」は、1つ又は複数ヌクレオチド塩基の変化が、核酸断片がアンチセンス又は同時抑制によって遺伝子発現の変化を媒介する能力に影響を及ぼさない核酸断片をいう。また、「実質的に類似」は、生じた転写物の機能的特性に実質的に影響を及ぼさない、1つ若しくは複数のヌクレオチド塩基の欠失又は挿入などを有する本発明の核酸断片の修飾をいう。したがって、本発明は、具体的に例示する配列以上をも包含することが理解される。開示される各修飾は当技術分野のルーチン技術の範囲内であり、コードされる産物の生物活性の保持も同様である。
更に当業者は、本発明に包含される実質的に類似の配列が、ストリンジェントな条件下(0.1×SSC、0.1%のSDS、65℃及び2×SSC、0.1%のSDS、続いて0.1×SSC、0.1%のSDSでの洗浄)で本明細書に例示される配列とハイブリダイズする能力によっても定義されることを認識する。本発明の実質的に類似の核酸断片は、DNA配列が、本明細書に記載した核酸断片のDNA配列と少なくとも70%同一である核酸断片である。好ましい核酸断片は、配列が本明細書に記載した核酸断片のDNA配列と少なくとも80%同一である。より好ましい核酸断片は、本明細書に記載した核酸断片のDNA配列と少なくとも90%同一である。また本明細書に記載した核酸断片のDNA配列と少なくとも95%同一である核酸断片は更に好ましい。
アミノ酸の約40%以上同一か、又は60%以上類似する(機能的に同一)ときに、2つのアミノ酸配列は、「実質的に相同」又は「実質的に類似」する。好ましくは、類似又は相同的な配列は、例えばGCG(Genetics Computer Group,Program Manual for the GCG Package,Version 7,Madison,Wisconsin)多重パイルアッププログラムを使用した整列によって同定される。
「と一致」という用語は、本明細書において、正確な位置が、類似性又は相同性を測定する分子と同一又は異なるかどうかにかかわらず、類似又は相同的な配列である、という意味に使用される。核酸又はアミノ酸配列の整列には、スペースを含んでいてもよい。したがって、「と一致」という用語は、配列類似性を指し、アミノ酸残基又はヌクレオチド塩基の番号付けとは関係がない。
アミノ酸又はヌクレオチド配列の「実質部分」とは、当業者による配列の手動評価、又はBLASTなどのアルゴリズムを使用してコンピュータにより自動的に行う配列比較及び同定のいずれかによって、ポリペプチドのアミノ酸配列又は遺伝子のヌクレオチド配列を推定的に同定するのに十分な部分のことをいう(Basic Local Alignment Search Tool;Altschul, S. F.,ら、(1993)J.Mol.Biol.215:403−410;またwww.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/を参照)。一般に、ポリペプチド又は核酸配列を、公知のタンパク質又は遺伝子に相同と推定するためには、10以上の隣接するアミノ酸又は30以上のヌクレオチドの配列が必要である。更に、ヌクレオチド配列に関して、20〜30の隣接するヌクレオチドを含む遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを、遺伝子同定(例えば、サザンブロット法)及び単離(例えば、細菌コロニー又はバクテリオファージプラークのin situハイブリダイゼーション)などの配列依存的方法に使用してもよい。加えて、12〜15塩基の短いオリゴヌクレオチドは、プライマーを含む特定の核酸断片を得るためのPCRにおける増幅プライマーとして使用してもよい。したがって、ヌクレオチド配列の「実質部分」は、配列を含む核酸断片を特異的に同定し、及び/又は単離するのに十分な配列を含む。
「パーセント同一性」という用語は、当技術分野において公知の通り、配列を比較することによって定まる2つ以上のポリペプチド配列又は2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当技術分野において、「同一性」は、また、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味し、場合によっては、このような一続きの配列間のマッチによって定まる。「同一性」及び「類似性」は、以下に記載するような公知の方法により容易に算出することができるが、これらに限定されない。Computational Molecular Biology (Lesk,A.M.,ed.)Oxford University Press,New York(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects (Smith,D.W.,ed.)Academic Press,New York(1993);Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.)Humana Press,New Jersey(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.,ed.)Academic Press(1987);及びSequence Analysis Primer(Gribskov,M. and Devereux,J.,eds.)Stockton Press,New York(1991)。同一性を決定するための好ましい方法は、試験した配列間で最高のマッチを与えるようにデザインされている。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に利用できるコンピュータプログラムにおいて使用可能である。配列整列及びパーセント同一性の算出は、LASERGENE生物情報学コンピューティング・セット(DNASTAR Inc.,Madison,WI)のMegalignプログラムを使用して行ってもよい。複数の配列の整列は、整列のClustal法を使用してデフォルト・パラメーター(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)で行ってもよい(Higgins and Sharp(1989)CABIOS.5:151−153)。Clustal法を使用する対整列のためのデフォルト・パラメーターは、KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5及びDIAGONALS SAVED=5、より選択可能である。
「配列分析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチド又はアミノ酸配列の解析に有用な任意のコンピュータアルゴリズム又はソフトウエアをいう。「配列分析ソフトウェア」は、市販されていても、又は独自に開発してもよい。典型的な配列分析ソフトウェアは、プログラム(Wisconsin Package Version 9.0,Genetics Computer Group(GCG),Madison,WI)、BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990))及びDNASTAR(DNASTAR,Inc.1228 S.Park St.Madison,WI 53715 USA)のGCGセットを含むが、これらに限定されるわけではない。本出願において解析のために配列分析ソフトウェアが使用される場合、特に明記しない限り、解析の結果は、参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解されるであろう。本明細書に使用される「デフォルト値」は、最初に初期化したときのソフトウェアと共に元々ロードされる値又はパラメーターの任意のセットを意味する。
「合成遺伝子」は、当業者に公知の手順を使用して化学的に合成されたオリゴヌクレオチド・ビルディングブロックから構築することができる。これらのビルディングブロックを結合し、アニールして遺伝子セグメントを形成し、次いで酵素的に構築して、全ての遺伝子を構築する。DNAの配列に関して「化学的に合成された」とは、成分ヌクレオチドがインビトロで構築されたことを意味する。DNAの手動化学合成は、確立したプロトコルにより行ってもよく、又は多数の市販の機械のいずれかを使用して自動化された化学合成を行ってもよい。したがって、遺伝子は、ヌクレオチド配列の最適化に基づいて、最適な遺伝子発現のために宿主細胞のコドン・バイアスを反映するように変更することができる。当業者であれば、コドンの選択が宿主に選択されるコドンに偏る場合に、良好な遺伝子発現なされると認識する。配列情報が利用できる場合、好ましいコドンの決定は、宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づくことができる。
本明細書に使用される2つ以上の個々の動作可能な遺伝子調節系において、a)所与の各系の、それぞれのリガンドの選択した濃度による調節により、その系の遺伝子の発現の程度の測定可能な変化を生じ、b)前記変化が、実際の調節が同時か又は連続かにかかわらず、細胞、組織又は生物体において同時に動作可能な他の全ての系の発現変化とは統計学的に有意に異なるときに、「直交性」であるといわれる。好ましくは、個々の動作可能な遺伝子調節系は、細胞、組織又は生物体における他の全ての動作可能な系よりも少なくとも2倍以上の遺伝子発現の変化をもたらす。より好ましくは、変化は少なくとも5倍以上である。更に好ましくは、変化は少なくとも10倍以上である。更に好ましくは、変化は少なくとも100倍以上である。更に好ましくは、変化は少なくとも500倍以上である。理想的には、所与の各系の、選択したそれぞれの濃度のリガンドによる調節は、その系の遺伝子発現の程度の測定可能な変化を生じ、細胞、組織又は生物体において動作可能な他の全ての系の発現に影響を与えない。この場合、複数の誘導性遺伝子調節系が、「完全に直交性である」といわれる。本発明は、出願中の米国出願第09/965697号(その全体が参照により本明細書に援用)に記載のような直交性リガンド及び直交性受容体に基づいた遺伝子発現系を検索するために有用である。
本発明の遺伝子発現調節系
出願人らは、本明細書において、エクジソン受容体に基づいた誘導性遺伝子発現系において、リガンド感受性及び誘導の程度に影響を及ぼすグループH核内受容体のリガンド結合ドメインに含まれるアミノ酸残基を同定した。出願人らは、本明細書において、これらの重要な残基に置換変異を含むグループH核内受容体(本明細書において、「置換変異体」と称される)及びこれらの核内受容体置換変異体が、遺伝子発現を調節する方法に有用であることを記載する。本明細書に示すように、出願人の新規核内受容体置換変異体、及び核内受容体に基づく誘導性遺伝子発現系におけるこれらの使用により、原核生物及び真核生物の宿主細胞における改良された誘導性遺伝子発現系を提供し、それによりリガンド感受性及びトランス活性化の程度を用途に応じて適宜選択することが可能となる。
したがって、本発明は、新規グループH核内受容体ポリヌクレオチド及びポリペプチドの置換変異体、このような変異型のグループH核内受容体ポリヌクレオチド及びポリペプチドを含む核内受容体に基づく誘導性遺伝子発現系、及びこの核内受容体に基づいた誘導性遺伝子発現系を使用した宿主細胞における遺伝子発現調節方法に関する。
特に、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、宿主細胞にて発現可能な少なくとも1つの遺伝子発現カセットを含む遺伝子発現調節系に関する。望ましくは、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体、ユビキタス(ubiquitous)受容体、オーファン受容体1、NER−1、ステロイドホルモン核内受容体1、レチノイドX受容体に相互作用するタンパク質−15、肝臓X受容体β、ステロイドホルモン受容体様タンパク質、肝臓X受容体、肝臓X受容体α、ファルネソイドX受容体、受容体に相互作用するタンパク質14及びファルネソール受容体である。より好ましくは、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体である。
特定の態様において、遺伝子発現調節系は、トランス活性化ドメイン、その発現が調節される遺伝子と関連する応答エレメントを認識するDNA結合ドメイン、及び置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子発現カセットを含む。遺伝子発現調節系は、i)第一の遺伝子発現カセットによりコードされたポリペプチドのDNA結合ドメインによって認識される応答エレメント、ii)第一の遺伝子発現カセットによりコードされたポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター、及びiii)その発現が調節される遺伝子、を含む第二の遺伝子発現カセットを更に含んでいてもよい。
他の特定の実施態様において、遺伝子発現調節システムは、以下の遺伝子発現カセットを含む:
a)トランス活性化ドメイン(発現が調節されることになっている遺伝子と関係している応答エレメントを認識するDNA結合ドメイン)を含んでいるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;及び置換変異を含んでいるグループH核内受容体リガンド結合ドメイン、並びに;
b)2つのポリペプチド断片を含んでいる脊椎動物のレチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、Ultraspiracleタンパク質リガンド結合ドメイン及びキメラのリガンドを結合しているドメインからなる群から選択される第2の核受容体リガンドを結合しているドメインであり、そこにおいて、第1のポリペプチド断片が脊椎動物のレチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、無脊椎レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン又はUltraspiracleタンパク質リガンド結合ドメインのいずれかであり、第2のポリペプチド断片が異なる脊椎動物のレチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン又はUltraspiracleタンパク質リガンド結合ドメインである。遺伝子発現調節系は、i)第一の遺伝子発現カセットによりコードされたポリペプチドのDNA結合ドメインによって認識される応答エレメント、ii)第一の遺伝子発現カセットによりコードされたポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター、及びiii)その発現が調節される遺伝子を含む第二の遺伝子発現カセットを更に含んでいてもよい。
好ましい態様において、第一のポリペプチドは、トランス活性化ドメインが実質的になく、第二のポリペプチドはDNA結合ドメインが実質的にない。本発明の目的のためには、「実質的にない」とは、問題のタンパク質が活性化又は結合活性をもたらすために十分なドメインの配列を含まないことを意味する。遺伝子発現調節系は、i)第一の遺伝子発現カセットの第一のポリペプチドのDNA結合ドメインによって認識される応答エレメント、ii)第二の遺伝子発現カセットの第二のポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター及びiii)その発現が調節される遺伝子、を含む第三の遺伝子発現カセットを更に含んでいてもよい。
一方の核内受容体リガンド結合ドメインのみが置換変異を含むグループHリガンド結合ドメインである場合、他方の核内受容体リガンド結合ドメインは、置換変異を含むグループHリガンド結合ドメインと二量体を形成する任意の他の核内受容体に由来してもよい。例えば、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインが、置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインであるときに、他方の核内受容体リガンド結合ドメイン(「パートナー」)は、エクジソン受容体、脊椎動物レチノイドX受容体(RXR)、無脊椎動物RXR、ultraspiracleタンパク質(USP)、又は脊椎動物のRXR、無脊椎動物RXR及びRXR(同時継続出願中の国際公開公報第US01/09050号、US60/294,814号及びUS60/294,819号を参照。参照により本明細書に援用。)からなる群より選択される少なくとも2つの異なる核内受容体リガンド結合ドメインポリペプチド断片を含むキメラ核内受容体に由来してもよい。「パートナー」核内受容体リガンド結合ドメインは、切断変異、欠失変異、置換変異又は他の修飾を更に含んでいてもよい。
望ましくは、脊椎動物のRXRリガンド結合ドメインは、人間(Homo sapiens)、マウス(Mus musculus)、ラット(Rattus norvegicus)、チキン(Gallus gallus)、ブタ(Sus scrofa domestica)、カエル(Xenopus laevis)、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)、ホヤ(Polyandrocarpa misaldensis)又はクラゲ(Tripedalia cysophora)のRXRである。
望ましくは、無脊椎動物のRXRリガンド結合ドメインは、イナゴ(Locusta migratoria)のRXRポリペプチド(LmRXR)、ダニ(Amblyomma americanum)RXRホモログ1(AmaRXR1)、マダニ(Amblyomrna americanum)RXRホモログ2(AmaRXR2)、シオマネキ(Celuca pugilator)RXRホモログ(CpRXR)、カブトムシ(Tenebrio molitor)RXRホモログ(TmRXR)、ミツバチ(Apis mellifera)RXRホモログ(AmRXR)、アブラムシ(Myzus persicae)RXRホモログ(MpRXR)又は非−双翅目/非−鱗翅目RXRホモログである。
望ましくは、キメラのRXRリガンド結合ドメインは、脊椎動物RXRポリペプチド断片、無脊椎動物種RXRポリペプチド断片及び非−双翅目/非−鱗翅目無脊椎動物のRXRホモログポリペプチド断片からなる群から選択される、少なくとも2つのポリペプチド断片を含む。本発明に使用するためのキメラRXRリガンド結合ドメインは、少なくとも2つの異なる種類のRXRポリペプチド断片を含んでいてもよく、又は種が同じであるときは、2つ以上のポリペプチド断片が、その種のRXRポリペプチド断片の2つ以上の異なるアイソフォームに由来してもよい。
好ましい態様において、キメラRXRリガンド結合ドメインは、少なくとも1つの脊椎動物種のRXRポリペプチド断片及び1つの無脊椎動物種のRXRポリペプチド断片を含む。
より好ましい態様において、キメラRXRリガンド結合ドメインは、少なくとも1つの脊椎動物種のRXRポリペプチド断片及び1つの非双翅類/非鱗翅目無脊椎動物種のRXRホモログポリペプチド断片を含む。
特定の態様において、その発現が調節される遺伝子は、宿主細胞に関して相同遺伝子である。他の特定の態様において、その発現が調節される遺伝子は、宿主細胞に関して異種遺伝子である。
後述のような本発明に使用するリガンドは、核内受容体のリガンド結合ドメインと組み合わせたときに、次々に遺伝子に連結された応答エレメントに結合して、遺伝子の発現を外側から時間的に調節する役割を果たす。結合機構又は本発明の種々の成分が互いに結合する順序(すなわち、例えばリガンド結合ドメインに対するリガンド、応答エレメントに対するDNA結合ドメイン、プロモーターに対するトランス活性化ドメイン、その他)は重要ではない。
具体例としては、グループH核内受容体のリガンド結合ドメイン及びその核内受容体リガンド結合ドメインパートナーへのリガンドの結合により、遺伝子の発現又は抑制が可能になる。この機構は、グループH核内受容体(GHNR)又はそのパートナーにリガンド結合及び活性なホモ二量体複合体(例えば、GHNR+GHNR又はパートナー+パートナー)の形成を生じる可能性を除外しない。好ましくは、受容体ドメインの1つ又は複数が変更されて、ハイブリッド遺伝子スイッチが作製される。典型的には、3つのドメイン、DBD、LBD及びトランス活性化ドメインの1つ又は複数を、その他のドメインの供与源とは異なる供与源から選択してもよく、その結果、ハイブリッド遺伝子及び生じるハイブリッドタンパク質は、トランス活性化活性、リガンドの相補結合及び特異的応答エレメントの認識に関して、選択した宿主細胞又は生物体に最適化される。加えて、応答エレメント自体を修飾すること、又は酵母由来のGAL−4タンパク質(Sadowskiら、(1988),Nature,335:563−564を参照)若しくは大腸菌由来のLexAタンパク質(Brent and Ptashne(1985),Cell,43:729−736を参照)などの他のDNA結合タンパク質ドメイン又はこのような特異的相互作用のためにデザインされ、修飾され、及び選択されたタンパク質とのターゲットされた相互作用に特異的な合成応答エレメントで置換し(例えばKimら、(1997),Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,94:3616−3620を参照)、ハイブリッド受容体として適用することができる。ツーハイブリッド系の他の利点は、これらが、目的に応じて遺伝子発現を駆動するために使用するプロモーターを選択することができることである。このような二重制御は、発現のタイミング、並びに発現が生じる細胞の両方を制御することができるので、特に遺伝子療法の領域において、特に細胞障害性タンパク質が産生されるときに重要である。適切なプロモーターに作動可能に連結された遺伝子を被験体の細胞に導入したときは、外来遺伝子の発現が、本発明の系の存在下で制御される。プロモーターは、構成的若しくは誘導的に調節されてもよく、又は組織特異的(すなわち細胞の特定のタイプにのみ発現)若しくは生物体の一定の発生段階特異的であってもよい。
エクジソン受容体は、核内受容体スーパーファミリーのメンバーであり、サブファミリー1、グループH(本明細書において、「グループH核内受容体」と称される)に分類される。それぞれのグループのメンバーは、E(リガンド結合)ドメインにおいて40〜60%のアミノ酸同一性を共有する(Laudetら、A Unified Nomenclature System for the Nuclear Receptor Subfamily,1999;Cell 97:161−163)。エクジソン受容体に加えて、この核内受容体サブファミリー1であるグループHには、以下のものが含まれる:ユビキタス(ubiquitous)受容体(UR)、オーファン受容体1(OR−1)、ステロイドホルモン核内受容体1(NER−1)、レチノイドX受容体相互作用タンパク質−15(RIP−15)、肝臓X受容体β(LXRβ)、ステロイドホルモン受容体様タンパク質(RLD−1)、肝臓X受容体(LXR)、肝臓X受容体α(LXRα)、ファルネソイドX受容体(FXR)、受容体相互作用タンパク質14(RIP−14)及びファルネソール受容体(HRR−1)。
出願人らはCfEcR相同モデルを開発し、エクジステロイド及び非エクジステロイドに対する結合に関与する重要な残基を同定するために、この相同性モデルをキロノモス・テタンス(Chironomus tetans)エクジソン受容体(「CtEcR」)相同モデル(Wurtzら、2000)と共に使用した。合成の非エクジステロイドのジアシルヒドラジンは、高親和性で鱗翅目のEcRsに結合し、これらの昆虫における早熟性の不完全な脱皮を誘導することが示され(Wingら、1988)、これらの化合物の幾つかは、現在殺虫剤として市販されている。EcRsのリガンド結合空洞又は「ポケット」は、20−ヒドロキシエクジソン(20E)などのエクジステロイドの長い主鎖構造に適合するように進化してきた。ジアシルヒドラジンは、エクジステロイドと比較して緻密な構造を有し、EcR結合ポケットの下部のみを占有する。これにより、結合ポケットの最上部に少数の重要な残基が残り、エクジステロイドと接触するが、ビアシルヒドラジンなどの非エクジステロイドと接触しない。出願人らは、本明細書において、これらの結合ポケット残基に置換変異を含む変異体エクジソン受容体に関して記載し、リガンド結合及びトランス活性化特性が修飾された置換変異体エクジソン受容体の幾つかのクラスを同定した。
その他のグループH核内受容体に対するエクジソン受容体の緊密な類縁性を考慮すると、出願人の同定したエクジソン受容体リガンド結合ドメイン置換変異を、その他のグループH核内受容体のリガンド結合ドメインの類似の位置に変異を導入し、これらのリガンド結合又はリガンド感受性を修飾することが予想される。当業者であれば、配列分析、相同性モデリングを介して結合ポケットの解析及び結合アッセイ法などの当技術分野においてルーチンの方法を使用して、配列及び機能によって類似のアミノ酸位を同定することができる。出願人の新規置換変異グループH核内受容体ポリヌクレオチド及びポリペプチドは、遺伝子療法、宿主細胞における目的のタンパク質の発現、トランスジェニック生物の産生及び細胞に基づいたアッセイ法を含む種々の適用のための核内受容体に基づいた誘導性遺伝子調節系に有用である。
特に、出願人らは、本明細書において、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む新規な遺伝子発現調節系を開示する。この遺伝子発現系は、「トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン及びリガンド結合ドメインが1つのコードされたポリペプチド上にある「単一のスイッチ」に基づいた遺伝子発現系であってもよい。あるいは、前記遺伝子発現調節系は、トランス活性化ドメイン及びDNA結合ドメインが2つ別々にコードされたポリペプチド上に位置する「二重スイッチ」又は「ツーハイブリッド」に基づく遺伝子発現調節系であってもよい。出願人らは、原核生物及び真核生物の細胞におけるリガンド結合活性及び/又はリガンド特異性を修飾するために、核内受容体に基づく誘導性遺伝子発現系の成分として核内受容体の置換変異が利用可能であることを最初に証明した。本明細書に記載するように、出願人の知見は予想外かつ驚くべきものである。
本発明のエクジソン受容体に基づいた遺伝子発現調節系は、ヘテロ二量体又はホモ二量体のいずれであってもよい。機能的EcR複合体は、一般に、ステロイド受容体ファミリー、種々の昆虫から得られるエクジソン受容体タンパク質、及びultraspiracle(USP)タンパク質又は脊椎動物USPのホモログ、レチノイドX受容体タンパク質の2つのメンバーからなるヘテロ二量体タンパク質複合体をいう(Yaoら、(1993)Nature 366:476−479;Yaoら、(1992)Cell 71:63−72を参照)。しかし、下記のように、複合体はホモ二量体であってもよい。また、機能的エクジステロイド受容体複合体は、イムノフィリンとしてさらなるタンパク質を含んでいてもよい。また、転写因子として周知のタンパク質(DHR38又はβFTZ−1など)のステロイド受容体ファミリーの他のメンバーは、EcR、USP及び/又はRXRのためのリガンド依存的又は非依存的パートナーであってもよい。加えて、その他の補因子として、活性化補助因子(アダプター又はメディエーターとも呼ばれる)として公知のタンパク質を使用してもよい。これらのタンパク質は、配列特異的にDNAと結合せず、基礎転写には関与しない。これらは、活性化因子のDNA結合の刺激、クロマチン構造に影響を及ぼすこと、又は活性化因子−開始複合体相互作用を媒介することによるもの等、種々のメカニズムを介して転写活性化に効果を及ぼし得る。このような活性化補助因子の例は、RIP140、TIF1、RAP46/Bag−1、ARA70、SRC−1/NCoA−1、TIF2/GRIP/NCoA−2、ACTR/AIB1/RAC3/pCIP、並びに乱交雑活性化補助因子C応答エレメントB結合タンパク質のCBP/p300を含む(総説については、Glassら、Curr.Opin.Cell Biol.9:222−232,1997を参照)。また、補抑制体として周知のタンパク質補因子(リプレッサー、サイレンサー又はサイレンシングメディエーターとしても知られる)は、リガンドの非存在下において効率的に転写活性化を阻害するのに必要と考えられる。これらの補抑制体は、リガンドとならないエクジソン受容体と相互作用して、応答エレメントの活性をサイレンシングさせ得る。現在、リガンドの結合が受容体の高次構造を変化させ、これが補抑制体の放出及び上記した活性化補助因子の漸増を生じ、これによりこれらのサイレンシングが除去されると言われている。補抑制体の例は、N−CoR及びSMRTを含む(総説については、Horwitzら、Mol Endocrinol10:1167−1177,1996を参照)。これらの補因子は、細胞若しくは生物体内の内因性であっても、又は調節され若しくは無秩序な様式で発現される導入遺伝子として外因的に添加してもよい。また、エクジソン受容体タンパク質、USP又はRXRのホモ二量体複合体は、幾つかの環境下で機能的であり得る。
エクジソン受容体複合体は、典型的には、核内受容体スーパーファミリーのメンバーであるタンパク質を含み、全てのメンバーが、一般に、アミノ末端トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン(「DBD」)、及びヒンジ領域によってDBDから分離されたリガンド結合ドメイン(「LBD」)の存在により特徴づけられる。本明細書に使用される「DNA結合ドメイン」という用語は、DNA結合ドメインが特定の応答エレメントと結合するように機能する限り、DNA結合タンパク質の全長までの、DNA結合タンパクの最小のポリペプチド配列を含む。また、核内受容体スーパーファミリーのメンバーは、4つ又は5つのドメイン:A/B、C、D、E、及び幾つかのメンバーではFの存在によって特徴づけられる(米国特許第4,981,784号及びEvans,Science 240:889−895(1988)を参照)。「A/B」ドメインは、トランス活性化ドメインに対応し、「C」は、DNA結合ドメインに対応し、「D」は、ヒンジ領域に対応し、及び「E」は、リガンド結合ドメインに対応する。又はミリーの幾つかのメンバーは、「F」に対応するLBDのカルボキシ末端側に他のトランス活性化ドメインを有し得る。
DBDは、エクジソン応答エレメントに特異性を与える2つのアミノ酸モチーフ、P−box及びD−box間の2つのシステインZnフィンガーの存在によって特徴づけられる。これらのドメインは、天然、修飾又は異種受容体タンパク質の異なるドメインのキメラのいずれでもよい。また、EcR受容体は、ステロイド受容体ファミリーのサブセットのように、ヘテロ二量体化特性の役割を担う、十分に明確に定義されていない領域を有する。核内受容体のドメインは、事実上モジュール式であるので、LBD、DBD及びトランス活性化ドメインの交換が可能である。
エクジソン受容体複合体の成分を取り込んだ遺伝子スイッチ系が公知である。しかし、この公知の系において、EcRが使用されるときは、同じ分子上に天然又は修飾されたDNA結合ドメインとトランス活性化ドメインとが結合されている。USP又はRXRは、典型的にはサイレントパートナーとして使用される。出願人は、DNA結合ドメイン及びトランス活性化ドメインが同じ分子上にあるときにリガンド非存在下でのバックグラウンド活性が高いこと、及びDNA結合ドメイン及びトランス活性化ドメインが異なる分子上すなわちヘテロ二量体又はホモ二量体の複合体の2つのパートナーのそれぞれの上にあるときに、このような活性が激減することを以前に開示している(PCT/US01/09050号を参照)。
本発明の遺伝子発現カセット
本発明の新規核内受容体に基づいた誘導性遺伝子発現系は、宿主細胞にて発現可能な少なくとも1つの遺伝子発現カセットであって、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子発現カセットを含む。ゆえに本発明は、本発明の遺伝子発現系に使用するための新規遺伝子発現カセットを提供する。
特定の態様において、宿主細胞にて発現可能な遺伝子発現カセットは、以下からなる群より選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。a)トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン及び置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド、b)DNA−結合ドメイン及び置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド、並びにc)トランス活性化ドメイン及び置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド。
他の特定の態様において、本発明は、宿主細胞にて発現可能な遺伝子発現カセットであって、以下からなる群より選択されるハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子発現カセットを提供する。a)トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン、及び置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチド、b)DNA結合ドメイン及び置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチド、並びにc)トランス活性化ドメイン及び置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチド。本発明のハイブリッドポリペプチドは、少なくとも2つのポリペプチド断片を含み、それぞれのポリペプチド断片は、異なる供与源、すなわち異なるポリペプチド、異なる核内受容体、異なる種等に由来する。本発明のハイブリッドポリペプチドは、少なくとも2つのポリペプチドドメインを含み、それぞれのポリペプチドドメインは、異なる供与源に由来してもよい。
特異的な実施態様において、置換変異を含んでいるグループH核受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体、ユビキタス(ubiquitous)受容体、オーファン受容体1、NER−1、ステロイドホルモン核内受容体1、レチノイドX受容体相互作用タンパク質−15、肝臓X受容体β、ステロイドホルモン受容体様タンパク質、肝臓X受容体、肝臓X受容体α、ファルネソイドX受容体、受容体相互作用タンパク質14及びファルネソール受容体由来である。好ましい実施例において、グループH核受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体由来である。
したがって、本発明はまた、以下からなる群より選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子発現カセットを提供する。a)トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン、及び置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド、b)DNA結合ドメイン及び置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド、並びにc)トランス活性化ドメイン及び置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド。好ましくは、前記遺伝子発現カセットは、a)トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン及び置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチド、b)DNA結合ドメイン及び置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチド、並びにc)トランス活性化ドメイン及び置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチドからなる群より選択されるハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、コードされるハイブリッドポリペプチドは、少なくとも2つのポリペプチド断片を含み、それぞれのポリペプチド断片は、異なる供与源に由来する。
エクジソン受容体(EcR)リガンド結合ドメイン(LBD)は、無脊椎動物EcRに由来してもよく、好ましくは節足動物種EcRから選択される。好ましくは、EcRは、鱗翅目のEcR、双翅目のEcR、直翅目のEcR、同翅目のEcR及び半翅目のEcRからなる群から選択される。より好ましくは、本発明に用いられるEcRリガンド結合ドメインは、ハマキガの幼虫Choristoneura fumiferanaのEcR(CfEcR)、カブトムシTenebrio molitorのEcR(TmEcR)、Manduca sextaのEcR(MsEcR)、Heliothies virescensのEcR(HvEcR)、ユスリカChironomus tentansのEcR(CtEcR)、カイコガBombyx moriのEcR(BmEcR)、ジャノメチョウBicyclus anynanaのEcR(BanEcR)、アメリカタテハモドキJunonia coeniaのEcR(JcEcR)、ミバエショウジョウバエnzelanogasterのEcR(DmEcR)、蚊Aedes aegyptiのEcR(AaEcR)、クロバエLucilia capitata(LcEcR)、クロバエLucilia cuprinaのEcR(LucEcR)、クロバエCalliphora viciniaのEcR(CvEcR)、チチュウカイミバエCeratitis capitataのEcR(CcEcR)、イナゴLocusta migratoriaのEcR(LmEcR)、アブラムシMyzuspersicaeのEcR(MpEcR)、シオマネキCeluca pugilatorのEcR(CpEcR)、マダニAmblyomma americaizumのEcR(AmaEcR)、コナジラミBamecia argentifoliのEcR(BaEcR)又はヨコバイNephotetix cincticepsのEcR(NcEcR)由来である。より好ましくは、前記LBDは、CfEcR、DmEcR又はAmaEcR由来である。
特異的な実施態様において、前記LBDは一部切除されたEcRポリペプチドである。前記EcRポリペプチド一部切除は、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145,150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260又は265アミノ酸の欠失により生じる。好ましくは、EcRポリペプチド切断により、少なくとも部分的ポリペプチドドメインの欠失を生じる。より好ましくは、EcRポリペプチドの切除は、少なくとも全てのポリペプチドドメインの欠失である。特定の実施態様において、EcRポリペプチド切除は、少なくともA/B−ドメイン、C−ドメイン、D−ドメイン、F−ドメイン、A/B/C−ドメイン、A/B/1/2−C−ドメイン、A/B/C/D−ドメイン、A/B/C/D/F−ドメイン、A/B/F−ドメイン、A/B/C/F−ドメイン、部分的なEドメイン又は部分的なFドメインの欠失により生じる。また、幾つかの完全な及び/又は部分的なドメイン欠失の組み合わせでもよい。
特定の実施態様において、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、a)配列番号1のアミノ酸残基48、51、52、54、92、95、96、109、110、119、120、125、128、132、219、223、234又は238;b)配列番号1のアミノ酸残基96及び119;c)配列番号1のアミノ酸残基110及び128;d)配列番号1のアミノ酸残基52及び110;e)配列番号1のアミノ酸残基107,110及び127;又はf)配列番号1のアミノ酸残基52、107及び127、に変異をもたらすコドン変異を含むポリヌクレオチドによってコードされる。他の実施形態では、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸残基107及び127の置換及びアミノ酸259の挿入をもたらすコドン変異を含むポリヌクレオチドによってコードされる。好ましい実施例において、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、エクジソン受容体である。
他の特定実施例において、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、a)アミノ酸残基48に同等又は類似の位置で、配列番号1のアスパラギン、アルギニン、チロシン、トリプトファン、ロイシン又はリジンによる置換、b)配列番号1のアミノ酸残基51に同等又は類似の位置で、メチオニン、アスパラギン又はロイシン残基による置換、c)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置で、ロイシン、プロリン、メチオニン、アルギニン、トリプトファン、グリシン、グルタミン又はグルタミン酸残基による置換、d)配列番号1のアミノ酸54に同等又は類似の位置で、トリプトファン又はスレオニンによる置換、e)配列番号1のアミノ酸92に同等又は類似の位置で、ロイシン又はグルタミン酸による置換、f)配列番号1のアミノ酸残基95に同等又は類似の位置で、ヒスチジン、メチオニン又はトリプトファン残基による置換、g)配列番号1のアミノ酸残基96に同等又は類似の位置で、ロイシン、セリン、グルタミン酸又はトリプトファン残基による置換、h)配列番号1のアミノ酸109に同等又は類似の位置で、トリプトファン(プロリン)ロイシン、メチオニン又はアスパラギンによる置換、i)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置で、グルタミン酸、トリプトファン又はアスパラギン残基による置換、j)配列番号1のアミノ酸119に同等又は類似の位置で、フェニルアラニンによる置換、k)配列番号1のアミノ酸120に同等又は類似の位置で、トリプトファン又はメチオニンによる置換、l)配列番号1のアミノ酸125に同等又は類似の位置で、グルタミン酸、プロリン、ロイシン、システイン、トリプトファン、グリシン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、バリン又はアルギニンによる置換、m)配列番号1のアミノ酸128に同等又は類似の位置で、フェニルアラニンによる置換、n)配列番号1のアミノ酸132に同等又は類似の位置で、メチオニン、アスパラギン、グルタミン酸又はバリンによる置換、o)配列番号1のアミノ酸残基219に同等又は類似の位置で、アラニン、リジン、トリプトファン又はチロシン残基による置換、p)配列番号1のアミノ酸残基223に同等又は類似の位置で、リジン、アルギニン又はチロシン残基による置換、q)配列番号1のアミノ酸234に同等又は類似の位置で、メチオニン、アルギニン、トリプトファン又はイソロイシンによる置換、r)配列番号1のアミノ酸238に同等又は類似の位置で、プロリン、グルタミン酸、ロイシン、メチオニン又はチロシンによる置換、s)配列番号1のアミノ酸119に同等又は類似の位置で、フェニルアラニン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸96に同等又は類似の位置で、スレオニンによる置換、t)配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸128に同等又は類似の位置で、フェニルアラニン残基による置換、u)配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置で、バリン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、v)配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシン残基による置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸残基による置換、配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、又は、w)配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシンによる置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸による置換、並びに配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置でバリンによる置換。他の実施例では、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシン残基による置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸259に同等又は類似の位置でグリシン残基による挿入もたらすコドン変異を有するポリヌクレオチドによってコードされる。好ましい実施例において、グループH核受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体由来である。
特定の実施態様において、置換変異を含んでいるグループH核受容体のリガンド結合ドメインは、エクジソン受容体のリガンド結合ドメインであり、それは、以下の群から選択されるような置換変異をもたらすコドン変異を含むポリヌクレオチドによってコードされる:配列番号1におけるF48Y、F48W、F48L、F48N、F48R、F48K、I51M、I51N、I51L、T52M、T52V、T52L、T52E、T52P、T52R、T52W、T52G、T52Q、M54W、M54T、M92L、M92E、R95H、R95M、R95W、V96L、V96W、V96S、V96E、F109W、F109P、F109L、F109M、F109N、A110E、A110N、A110W、N119F、Y120W、Y120M、M125P、M125R、M125E、M125L、M125C、M125W、M125G、M125I、M125N、M125S、M125V、V128F、L132M、L132N、L132V、L132E、M219K、M219W、M219Y、M219A、L223K、L223R、L223Y、L234M、L234I、L234R、L234W、W238P、W238E、W238Y、W238M、W238L、N119F/V96T、V128F/A110P、T52V/A110P、V107I/Y127E/T52V及びV107I/Y127E/A110Pの置換変異。他の特定の態様において、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインは、配列番号1の置換変異V107I/Y127Eを生じるコドン変異を含むポリヌクレオチドによってコードされる置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインであり、これは、配列番号1の挿入変異G259(V107I/Y127E/G259)を更に含む。
他の特定の実施態様において、置換変異を含むグループH核受容体のリガンド結合ドメインは、エクジソン受容体のリガンド結合ドメインのポリペプチドであり、以下の群から選択される置換変異をもたらすコドン変異を含むポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる:配列番号1におけるF48Y、F48W、F48L、F48N、F48R、F48K、I51M、I51N,I51L、T52M、T52V、T52L、T52E、T52P、T52R、T52W、T52G、T52Q、M54W、M54T、M92L、M92E、R95H、R95M、R95W、V96L、V96W、V96S、V96E、F109W、F109P、F109L、F109M、F109N、A110E、A110N、A110W、N119F、Y120W、Y120M、M125P、M125R、M125E、M125L,M125C、M125W、M125G、M125I、M125N、M125S、M125V、V128F、L132M、L132N、L132V、L132E、M219K、M219W、M219Y、M219A、L223K、L223R、L223Y、L234M、L234I、L234R、L234W、W238P、W238E、W238Y、W238M、W238L、N119F/V96T、V128F/A110P、T52V/A110P、V107I/Y127E/T52V及びV107I/Y127E/A110P(ハイブリダイゼーション条件は、少なくとも37℃における500mM未満の塩溶液中でのハイブリダイゼーション工程、及び少なくとも63℃における2×SSPE溶液中での洗浄工程である)。好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション工程にて200mM未満の塩及び少なくとも37℃。他の好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション及び洗浄工程にて2×SSPE及び63℃である。
他の特定の態様において、グループH核内受容体リガンド結合ドメインは、a)配列番号1のアミノ酸残基48、51、52、54、92、95、96、109、110、119、120、125、128、132、219、223、234若しくは238、b)アミノ酸残基96及び配列番号1のうちの119、c)配列番号1のアミノ酸残基110及び128、d)配列番号1のアミノ酸残基52及び110、e)配列番号1のアミノ酸残基107、110及び127又はf)配列番号1のアミノ酸残基52、107及び127と同等又は類似の位置に置換変異を含む。他の態様において、グループH核内受容体リガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸残基107及び127に置換変異及びアミノ酸残基259の挿入を生じる置換変異を含む。好ましい態様において、グループH核内受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体に由来する。
好ましくは、前記グループHの核受容体のリガンド結合ドメインは、以下の置換を含む:a)アミノ酸残基48に同等又は類似の位置で、配列番号1のアスパラギン、アルギニン、チロシン、トリプトファン、ロイシン又はリジンによる置換、b)配列番号1のアミノ酸残基51に同等又は類似の位置で、メチオニン、アスパラギン又はロイシン残基による置換、c)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置で、ロイシン、プロリン、メチオニン、アルギニン、トリプトファン、グリシン、グルタミン又はグルタミン酸残基による置換、d)配列番号1のアミノ酸54に同等又は類似の位置で、トリプトファン又はスレオニンによる置換、e)配列番号1のアミノ酸92に同等又は類似の位置で、ロイシン又はグルタミン酸による置換、f)配列番号1のアミノ酸残基95に同等又は類似の位置で、ヒスチジン、メチオニン又はトリプトファン残基による置換、g)配列番号1のアミノ酸残基96に同等又は類似の位置で、ロイシン、セリン、グルタミン酸又はトリプトファン残基による置換、h)配列番号1のアミノ酸109に同等又は類似の位置で、トリプトファン(プロリン)ロイシン、メチオニン又はアスパラギンによる置換、i)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置で、グルタミン酸、トリプトファン又はアスパラギン残基による置換、j)配列番号1のアミノ酸119に同等又は類似の位置で、フェニルアラニンによる置換、k)配列番号1のアミノ酸120に同等又は類似の位置で、トリプトファン又はメチオニンによる置換、l)配列番号1のアミノ酸125に同等又は類似の位置で、グルタミン酸、プロリン、ロイシン、システイン、トリプトファン、グリシン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、バリン又はアルギニンによる置換、m)配列番号1のアミノ酸128に同等又は類似の位置で、フェニルアラニンによる置換、n)配列番号1のアミノ酸132に同等又は類似の位置で、メチオニン、アスパラギン、グルタミン酸又はバリンによる置換、o)配列番号1のアミノ酸残基219に同等又は類似の位置で、アラニン、リジン、トリプトファン又はチロシン残基による置換、p)配列番号1のアミノ酸残基223に同等又は類似の位置で、リジン、アルギニン又はチロシン残基による置換、q)配列番号1のアミノ酸234に同等又は類似の位置で、メチオニン、アルギニン、トリプトファン又はイソロイシンによる置換、r)配列番号1のアミノ酸238に同等又は類似の位置で、プロリン、グルタミン酸、ロイシン、メチオニン又はチロシンによる置換、s)配列番号1のアミノ酸119に同等又は類似の位置で、フェニルアラニン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸96に同等又は類似の位置で、スレオニンによる置換、t)配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸128に同等又は類似の位置で、フェニルアラニン残基による置換、u)配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置で、バリン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、v)配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシン残基による置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸残基による置換、配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、又は、w)配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシンによる置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸による置換、並びに配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置でバリンによる置換。
他の特定実施例において、置換変異を含むグループH核受容体のリガンド結合ドメインは、エクジソン受容体のリガンド結合ドメインポリペプチドであり、以下の群から選択される置換変異を含む:配列番号1における、F48Y、F48W、F48L、F48N、F48R、F48K、I51M、I51N、I51L、T52M、T52V、T52L、T52E、T52P、T52R、T52W、T52G、T52Q、M54W、M54T、M92L、M92E、R95H、R95M、R95W、V96L、V96W、V96S、V96E、F109W、F109P、F109L、F109M、F109N、A110E、A110N、A110W、N119F、Y120W、Y120M、M125P、M125R、M125E、M125L、M125C、M125W、M125G、M125I、M125N、M125S、M125V、V128F、L132M、L132N、L132V、L132E、M219K、M219W、M219Y、M219A、L223K、L223R、L223Y、L234M、L234I、L234R、L234W、W238P、W238E、W238Y、W238M、W238L、N119F/V96T、T52V/A110P、V128F/A110P、V107I/Y127E/T52V及びV107I/Y127E/A110P。他の特異的な実施態様において、前記置換変異を含むグループH核受容体のリガンド結合ドメインは、配列番号1におけるV107I/Y127Eの置換変異、更に配列番号1におけるG259の挿入変異を含む(V107I/Y127E/G259)エクジソン受容体のリガンド結合ドメインポリペプチドである。
DNA結合ドメイン(DBD)は、公知の応答エレメントを有するいかなるDNA結合ドメインであってもよく、合成及びキメラDNA結合ドメイン、又はそのアナログ、組み合わせ又はその修飾物であってもよい。DBDはGAL4のDBD、LexAのDBD、転写制御因子のDBD、グループH核内受容体メンバーのDBD、ステロイド/甲状腺ホルモン核内受容体スーパーファミリーのメンバーのDBD又は細菌LacZのDBDが望ましい。より好ましくは、DBDは、EcRのDBD(配列番号4のポリヌクレオチド又は配列番号5のポリペプチド)、GAL4のDBD(配列番号6のポリヌクレオチド又は配列番号7のポリペプチド)、又はLexAのDBD(配列番号8のポリヌクレオチド又は配列番号9のポリペプチド)である。
トランス活性化ドメイン(「AD」又は「TA」と略記)は、いかなるグループH核内受容体メンバーAD、ステロイド/甲状腺ホルモン核内受容体AD、合成又はキメラのAD、ポリグルタミンAD、塩基性又は酸性アミノ酸AD、VP16のAD、GAL4のAD、NF−κBのAD、BP64のAD、B42酸活性化ドメイン(B42AD)、p65トランス活性化ドメイン(p65AD)又はそのアナログ、組み合わせ又はその修飾体であってもよい。特定の実施態様において、前記ADは、合成又はキメラのADであるか、又はEcR、グルココルチコイド受容体、VP16、GAL4、NF−κB又はB42酸活性化ドメインADから得られる。望ましくは、前記ADは、EcRのAD(配列番号10のポリヌクレオチド、又は配列番号11のポリペプチド)、VP16のAD(配列番号12のポリヌクレオチド又は配列番号13のポリペプチド)、B42のAD(配列番号14のポリヌクレオチド、又は配列番号15のポリペプチド)、又はp65のAD(配列番号16のポリヌクレオチド、又は配列番号17のポリペプチド)である。
特定の態様において、遺伝子発現カセットは、a)配列番号4、配列番号6若しくは配列番号8の核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるDNA結合ドメイン、又はb)配列番号10、配列番号12、配列番号14若しくは配列番号16の核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるトランス活性化ドメインのいずれか、並びに本発明のポリヌクレオチドによってコードされる置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメイン、を含むハイブリッドポリペプチドをコードする。好ましくは、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインは、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインである。
他の特定の態様において、遺伝子発現カセットは、a)配列番号5、配列番号7若しくは配列番号9のアミノ酸配列を含むDNA結合ドメイン、又はb)配列番号11、配列番号13、配列番号15若しくは配列番号17のアミノ酸配列を含むトランス活性化ドメインのいずれか、並びに、本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメイン、を含むハイブリッドポリペプチドをコードする。好ましくは、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインは、本発明の置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインである。
本発明はまた、i)DNA結合ドメインを含むポリペプチドによって認識されるドメインを含む応答エレメント、ii)トランス活性化ドメインを含むポリペプチドによって活性化されるプロモーター及びiii)発現が調節される遺伝子、を含む遺伝子発現カセットを提供する。
応答エレメント(「RE」)は、公知のDNA結合ドメインを伴う任意の応答エレメントか、又はこれらの類似体、組み合わせ、若しくは修飾であってもよい。単一のREを使用してもよく、又は同じREの複数のコピー若しくは2つ以上の異なるREのいずれかの複数のREを本発明に使用してもよい。特定の態様において、REは、GAL4由来のRE(「GAL4RE」)、LexA、グループH核内受容体RE、ステロイド/甲状腺ホルモン核内受容体RE又は合成DNA結合ドメインを認識する合成REである。好ましくは、REは、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含むエクジソン応答エレメント(EcRE)、配列番号19のポリヌクレオチド配列を含むGAL4RE、又は配列番号20のポリヌクレオチド配列を含むLexA RE(オペロン、「op」)(「2×LexAopRE」)である。
本発明によるステロイド/甲状腺ホルモン核内受容体DNA結合ドメイン、活性化ドメイン又は応答エレメントは、以下の群から選択されるステロイド/甲状腺ホルモン核内受容体から得ることができる:甲状腺ホルモン受容体α(TRα)、甲状腺受容体1(c−erbA−1)、甲状腺ホルモン受容体β(TRβ)、レチノイン酸受容体α(RARα)、レチノイン酸受容体β(RARβ、HAP)、レチノイン酸受容体γ(RARγ)、γ様レチノイン酸受容体(RARD)、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体β(PPARβ)、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体γ(PPARδ、NUC−1)、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体(FFAR)、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)、甲状腺ホルモン受容体をコードしない鎖によってコードされるオーファン受容体α(REVERBα)、v−erbA関連受容体(EAR−1)、v−erb関連受容体(EAR−1、γ)、甲状腺のホルモン受容体βをコードしていない鎖によってコードされるオーファン受容体(REVERBβ)、v−erb関連受容体(EAR−1β)、オーファン核受容体BD73(BD73)、rev−erbA関連受容体(RVR)、Znフィンガータンパク質126(HZF2)、エクジソン誘導タンパク質E75(E75)、エクジソン誘導タンパク質E78(E78)、ショウジョウバエ受容体78(DR−78)、レチノイド関連オーファン受容体α(RORα)、レチノイドZ受容体α(RZRα)、レチノイド関連オーファン受容体β(RORβ)、レチノイドZ受容体β(RZRβ)、レチノイド関連オーファン受容体γ(RORγ)、レチノイドZ受容体γ(RZRγ)、レチノイド関連オーファン受容体(TOR)、ホルモン受容体3(HR−3)、ショウジョウバエホルモン受容体3(DHR−3)、スズメガホルモン受容体(MHR−3)、ハツノスツヅリガホルモン受容体3(GHR−3)、線虫核内受容体3(CNR−3)、ハマキガホルモン受容体3(CHR−3)、線虫核内受容体14(CNR−14)、エクジソン受容体(ECR)、ユビタス受容体(UR)、オーファン核内受容体(OR−1)、NER−1、受容体相互作用タンパク質15(RIP−15)、肝臓X受容体β(LXRβ)、ステロイドホルモン受容体様タンパク質(RLD−1)、肝臓X受容体(LXR)、肝臓X受容体α(LXRα)、ファルネソイドX受容体(FXR)、受容体相互作用タンパク質14(RIP−14)、HRR−1、ビタミンD受容体(VDR)、オーファン核内受容体(ONR−1)、プレグナンX受容体(PXR)、ステロイド及び生体異物受容体(SXR)、ベンゾアートX受容体(BXR)、核内受容体(MB−67)、構成的アンドロスタン受容体1(CAR−1)、構成的アンドロスタン受容体α(CARα)、構成的アンドロスタン受容体2(CAR−2)、構成的アンドロスタン受容体β(CARβ)、ショウジョウバエホルモン受容体96(DHR−96)、核内ホルモン受容体1(NHR−1)、肝細胞核内因子4(HNF−4)、肝細胞核内因子4G(HNF−4G)、肝細胞核内因子4B(HNF−4B)、肝細胞核内因子4D(HNF−4D、DHNF−4)、レチノイドX受容体α(RXRα)、レチノイドX受容体β(RXRβ)、H−2領域II結合タンパク質(H−2RIIBP)、核内受容体共レギュレーター−1(RCoR−1)、レチノイドX受容体γ(RXRγ)、Ultraspiracle(USP)、2C1核内受容体、絨毛膜因子1(CF−1)、睾丸受容体2(TR−2)、睾丸受容体2−11(TR2−11)睾丸受容体4(TR4)、TAK−1、ショウジョウバエホルモン受容体(DHR78)、Tailless(TLL)、Taillessホモログ(TLX)、XTLL、チキンオバルブミン上流プロモーター転写制御因子I(COUP−TFI)、チキンオバルブミン上流プロモーター転写制御因子A(COUP−TFA)、EAR−3、SVP−44、チキンオバルブミン上流プロモーター転写制御因子II(COUP−TFII)、チキンオバルブミン上流プロモーター転写制御因子B(COUP−TFB)、ARP−l、SVP−40、SVP、チキンオバルブミン上流プロモーター転写制御因子III(COUP−TFIII)、チキンオバルブミン上流プロモーター転写制御因子G(COUP−TFG)、SVP−46、EAR−2、エストロゲン受容体α(ERα)、エストロゲン受容体β(ERβ)、エストロゲン関連受容体1(ERR1)、エストロゲン関連受容体α(ERRα)、エストロゲン関連受容体2(ERR2)、エストロゲン関連受容体β(ERRβ)、グルココルチコイド受容体(GR)、ミネラルコルチコイド受容体(MR)、プロゲステロン受容体(PR)、アンドロゲン受容体(AR)、神経成長因子誘導化遺伝子B(NGFI−B)、Nur−77(TRS)核内受容体類似体、N10、オーファン受容体(NUR−77)、ヒト初期反応遺伝子(NAK−1)、Nurr関連因子1(NURR−1)、ヒト最初期反応遺伝子(NOT)、再生肝臓核内受容体1(RNR−1)、血液生成Znフィンガー3(HZF−3)、Nur関連タンパク質−1(TINOR)、核内オーファン受容体1(NOR−1)、NOR1関連受容体(MINOR)、ショウジョウバエホルモン受容体38(DHR−38)、線虫核内受容体8(CNR−8)、C48D5、ステロイド生成因子1(SF1)、エンドゼピン様ペプチド(ELP)、fushi tarazu因子1(FTZ−F1)、副腎の4結合タンパク質(AD4BP)、肝臓受容体ホモログ(LRH−1)、Ftz−F1関連オーファン受容体A(xFFrA)、Ftz−F1関連オーファン受容体B(xFFrB)、LRH−1(FFLR)関連核内受容体、LRH−1(PHR)関連核内受容体、フェトプロテイン転写因子(FTF)、性細胞核内因子(GCNFM)、網膜様受容体関連の精巣関連受容体(RTR)、knirps(KNI)、knirps関連(KNRL)、幼若性腺(EGON)、ショウジョウバエリガンド依存性核内受容体(EAGLE)遺伝子、trithorax(ODR7)類似核内受容体、Trithorax、投薬量感受性先天性性転換性副腎発育不全の棄却域染色体X遺伝子(DAX−1)、先天性副腎発育不全及び低性腺刺激性機能低下(ARCH)及び短いヘテロ二量体パートナー(SHP)。
本発明の目的を達成するにあたり、核内受容体及びグループH核内受容体はまた、合成及びキメラ核内受容体、並びにグループH核内受容体及びこれらのホモログとを含む。
出願人らの遺伝子発現カセットに使用する目的遺伝子は、内因性遺伝子又は異種遺伝子であってもよい。目的遺伝子若しくはタンパク質に関する核酸又はアミノ酸配列情報は、多くの公共アクセスデータベース、例えばGENBANK、EMBL、Swiss−Prot及びPIRのうちの1つにおいて、又は多くの生物学に関連した学術誌刊行物において検索することができる。したがって、当業者は実質的に全ての公知の遺伝子の核酸配列情報へのアクセスが可能である。次いで、これらの情報を使用し、本明細書に記載の方法に使用される遺伝子発現カセット内に目的遺伝子を挿入するため、適切なコンストラクトを調製することができる。
出願人らの遺伝子発現カセットに使用するための目的の遺伝子の例は、以下を含むが、これらに限定されるわけではない:モノクローナル抗体、酵素、プロテアーゼ、サイトカイン、インターフェロン、インスリン、エリスロポエチン、凝固因子、その他の血液因子若しくは成分のような、疾患、障害、機能障害、遺伝子欠損の治療に使用し得る適切なポリペプチド又は産物をコードする遺伝子、遺伝子療法のためのウイルスベクター、ワクチンのためのウイルス、創薬、機能的ゲノム科学、並びにプロテオミクス解析及びその応用など。
本発明のポリヌクレオチド
核内受容体に基づく本発明の新規な誘導性遺伝子発現系は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む少なくとも1つの遺伝子発現カセットを含む。これらの遺伝子発現カセット及びそこに含まれるポリヌクレオチド及びこれらがコードするポリペプチドは、核内受容体に基づく遺伝子発現系の成分として、宿主細胞内の遺伝子の発現を調節するために有用である。
したがって、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
特定の実施態様において、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、a)配列番号1のアミノ酸残基48、51、52、54、92、95、96、109、110、119、120、125、128、132、219、223、234又は238;b)配列番号1のアミノ酸残基96及び119;c)配列番号1のアミノ酸残基110及び128;d)配列番号1のアミノ酸残基52及び110;e)配列番号1のアミノ酸残基107、110及び127;又はf)配列番号1のアミノ酸残基52、107及び127と同等又は類似の位置において変異をもたらすコドン変異を含むポリヌクレオチドによってコードされる。他の実施形態では、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸残基107及び127の置換及びアミノ酸259の挿入をもたらすコドン変異を含むポリヌクレオチドによってコードされる。好ましい実施例において、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、エクジソン受容体である。
好ましくは、前記グループHの核受容体のリガンド結合ドメインは、以下の置換を含む:a)アミノ酸残基48に同等又は類似の位置で、配列番号1のアスパラギン、アルギニン、チロシン、トリプトファン、ロイシン又はリジンによる置換、b)配列番号1のアミノ酸残基51に同等又は類似の位置で、メチオニン、アスパラギン又はロイシン残基による置換、c)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置で、ロイシン、プロリン、メチオニン、アルギニン、トリプトファン、グリシン、グルタミン又はグルタミン酸残基による置換、d)配列番号1のアミノ酸54に同等又は類似の位置で、トリプトファン又はスレオニンによる置換、e)配列番号1のアミノ酸92に同等又は類似の位置で、ロイシン又はグルタミン酸による置換、f)配列番号1のアミノ酸残基95に同等又は類似の位置で、ヒスチジン、メチオニン又はトリプトファン残基による置換、g)配列番号1のアミノ酸残基96に同等又は類似の位置で、ロイシン、セリン、グルタミン酸又はトリプトファン残基による置換、h)配列番号1のアミノ酸109に同等又は類似の位置で、トリプトファン(プロリン)ロイシン、メチオニン又はアスパラギンによる置換、i)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置で、グルタミン酸、トリプトファン又はアスパラギン残基による置換、j)配列番号1のアミノ酸119に同等又は類似の位置で、フェニルアラニンによる置換、k)配列番号1のアミノ酸120に同等又は類似の位置で、トリプトファン又はメチオニンによる置換、l)配列番号1のアミノ酸125に同等又は類似の位置で、グルタミン酸、プロリン、ロイシン、システイン、トリプトファン、グリシン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、バリン又はアルギニンによる置換、m)配列番号1のアミノ酸128に同等又は類似の位置で、フェニルアラニンによる置換、n)配列番号1のアミノ酸132に同等又は類似の位置で、メチオニン、アスパラギン、グルタミン酸又はバリンによる置換、o)配列番号1のアミノ酸残基219に同等又は類似の位置で、アラニン、リジン、トリプトファン又はチロシン残基による置換、p)配列番号1のアミノ酸残基223に同等又は類似の位置で、リジン、アルギニン又はチロシン残基による置換、q)配列番号1のアミノ酸234に同等又は類似の位置で、メチオニン、アルギニン、トリプトファン又はイソロイシンによる置換、r)配列番号1のアミノ酸238に同等又は類似の位置で、プロリン、グルタミン酸、ロイシン、メチオニン又はチロシンによる置換、s)配列番号1のアミノ酸119に同等又は類似の位置で、フェニルアラニン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸96に同等又は類似の位置で、スレオニンによる置換、t)配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸128に同等又は類似の位置で、フェニルアラニン残基による置換、u)配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置で、バリン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、v)配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシン残基による置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸残基による置換、配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、又は、w)配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシンによる置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸による置換、並びに配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置でバリンによる置換。他の実施例では、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシン残基による置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸259に同等又は類似の位置でグリシン残基による挿入もたらすコドン変異を有するポリヌクレオチドによってコードされる。好ましい実施例において、グループH核受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体由来である。
他の特定実施例において、置換変異を含むグループH核受容体のリガンド結合ドメインは、エクジソン受容体のリガンド結合ドメインポリペプチドであり、以下の群から選択される置換変異を含む:配列番号1における、F48Y、F48W、F48L、F48N、F48R、F48K、I51M、I51N、I51L、T52M、T52V、T52L、T52E、T52P、T52R、T52W、T52G、T52Q、M54W、M54T、M92L、M92E、R95H、R95M、R95W、V96L、V96W、V96S、V96E、F109W、F109P、F109L、F109M、F109N、A110E、A110N、A110W、N119F、Y120W、Y120M、M125P、M125R、M125E、M125L、M125C、M125W、M125G、M125I、M125N、M125S、M125V、V128F、L132M、L132N、L132V、L132E、M219K、M219W、M219Y、M219A、L223K、L223R、L223Y、L234M、L234I、L234R、L234W、W238P、W238E、W238Y、W238M、W238L、N119F/V96T、T52V/A110P、V128F/A110P、V107I/Y127E/T52V及びV107I/Y127E/A110P。他の特異的な実施態様において、前記置換変異を含むグループH核受容体のリガンド結合ドメインは、配列番号1におけるV107I/Y127Eの置換変異、更に配列番号1におけるG259の挿入変異を含む(V107I/Y127E/G259)エクジソン受容体のリガンド結合ドメインポリペプチドである。他の態様において、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインは、配列番号1の置換変異V107I/Y127Eを生じるコドン変異を含むポリヌクレオチドによってコードされる置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインであり、これは、配列番号1の挿入変異G259を更に含む(V107I/Y127E/G259)。
他の特定実施例において、置換変異を含むグループH核受容体のリガンド結合ドメインは、エクジソン受容体のリガンド結合ドメインのポリペプチドであり、以下の群から選択される置換変異をもたらすコドン変異を含むポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる:配列番号1におけるF48Y、F48W、F48L、F48N、F48R、F48K、I51M、I51N、I51L、T52M、T52V、T52L、T52E、T52P、T52R、T52W、T52G、T52Q、M54W、M54T、M92L、M92E、R95H、R95M、R95W、V96L、V96W、V96S、V96E、F109W、F109P、F109L、F109M、F109N、A110E、A110N、A110W、N119F、Y120W、Y120M、M125P、M125R、M125E、M125L,M125C、M125W、M125G、M125I、M125N、M125S、M125V、V128F、L132M、L132N、L132V、L132E、M219K、M219W、M219Y、M219A、L223K、L223R、L223Y、L234M、L234I、L234R、L234W、W238P、W238E、W238Y、W238M、W238L、N119F/V96T、V128F/A110P、T52V/A110P、V107I/Y127E/T52V及びV107I/Y127E/A110P(ハイブリダイゼーション条件は、少なくとも37℃における500mM未満の塩溶液中でのハイブリダイゼーション工程、及び少なくとも63℃における2×SSPE溶液中での洗浄工程である)。好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション工程にて200mM未満の塩及び少なくとも37℃である。他の好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション及び洗浄工程にて2×SSPE及び63℃である。
また、本発明は、以下からなる群より選択されるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。a)トランス活性化ドメイン、DNA−結合ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド、b)DNA結合ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド、並びにc)トランス活性化ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド。
特定の態様において、単離されたポリヌクレオチドは、以下からなる群より選択されるハイブリッドポリペプチドをコードする。a)トランス活性化ドメイン、DNA−結合ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチド、b)DNA結合ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチド、並びにc)トランス活性化ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むハイブリッドポリペプチド。
また、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、置換変異は、グループH核内受容体リガンド結合ドメインのリガンド結合活性又はリガンド感受性に影響を及ぼす単離されたポリヌクレオチドに関する。
他の特定の態様において、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、置換変異は、グループH核内受容体リガンド結合ドメインの非エクジステロイドジアシルヒドラジン結合活性又は非エクジステロイドジアシルヒドラジン感受性を減少させる単離されたポリヌクレオチドに関する。好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1のアミノ酸残基48、51、52、54、92、95、96、109、120、125、219、223、234若しくは238と同等又は類似の位置にアミノ酸残基の置換を生じるコドン変異を含む。より好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、以下の置換変異をもたらすコドン変異を含む:a)配列番号1のアミノ酸残基48又は109に同等又は類似の位置のアスパラギン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基51、92、96又は238に同等又は類似の位置のロイシン残基への置換、c)配列番号1のアミノ酸残基52、92、96、125又は238に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基への置換、d)配列番号1のアミノ酸残基54、95、96、120、219又は234に同等又は類似の位置のトリプトファン残基への置換、e)配列番号1のアミノ酸残基51,52、120、234又は238に同等又は類似の位置のメチオニン残基への置換、f)配列番号1のアミノ酸残基219に同等又は類似の位置のアラニン残基への置換、g)配列番号1のアミノ酸残基48、219又は223に同等又は類似の位置のリジン残基への置換、h)配列番号1のアミノ酸残基234に同等又は類似の位置のイソロイシン、アルギニン又はトリプトファン残基への置換、i)配列番号1のアミノ酸残基219又は238に同等又は類似の位置のチロシン残基への置換、j)配列番号1のアミノ酸残基125に同等又は類似の位置のバリン残基への置換、k)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置でグリシン又はグルタミン残基への置換、又は、l)配列番号1のアミノ酸残基52又は223に同等又は類似の位置のアルギニン残基への置換。更により好ましくは、前記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1のF48N、F48K、I51L、I51M、T52E、T52M、T52R、T52G、T52Q、M54W、M92L、M92E、R95W、V96W、V96E、V96L、F109N、Y120M、Y120W、M125E、M125V、M219A、M219K、M219W、M219Y、L223K、L223R、L234M、L234I、L234R、L234W、W238E、W238Y、W238L又はW238Mの置換変異をもたらすコドン変異を含む。
加えて、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、前記置換変異は、グループH核内受容体リガンド結合ドメインのリガンド結合活性又はリガンド感受性を増強するものである。
特定の態様において、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、置換変異は、一般にグループH核内受容体リガンド結合ドメインのエクジステロイド結合活性又はエクジステロイド感受性を増強する単離されたポリヌクレオチドに関する。好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基96又はb)配列番号1のアミノ酸残基96及び119と同等又は類似の位置にアミノ酸残基の置換を生じるコドン変異を含む。より好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基96と同等若しくは類似の位置にセリン残基か、又はb)配列番号1のアミノ酸残基96と同等若しくは類似の位置にスレオニン残基及び配列番号1のアミノ酸残基119と同等又は類似の位置にフェニルアラニン残基の置換を生じるコドン変異を含む。更に好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1のV96T又はN119F/V96Tの置換変異もたらすコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、前記置換変異は、一般にグループH核内受容体リガンド結合ドメインの非エクジステロイドジアシルヒドラジン結合活性又は非エクジステロイドジアシルヒドラジン感受性を増強するものである。望ましくは、前記単離されたポリヌクレオチドは;a)配列番号1のアミノ酸残基48、52、54、109,110、125、132若しくは223、又はb)配列番号1のアミノ酸残基52及び110、と同等又は類似の位置でアミノ酸残基の置換をもたらすコドン変異を含む。より好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、以下のような置換をもたらすコドン変異を含む:a)配列番号1のアミノ酸残基48に同等又は類似の位置のチロシン、トリプトファン、アルギニン又はロイシン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置のロイシン残基への置換、c)配列番号1のアミノ酸残基54に同等又は類似の位置のスレオニン残基への置換、d)配列番号1のアミノ酸残基109に同等又は類似の位置のメチオニン残基への置換、e)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置のプロリン、グルタミン酸又はアスパラギン残基への置換、f)配列番号1のアミノ酸残基125に同等又は類似の位置のイソロイシン、アスパラギン又はグリシン残基への置換、g)配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基、h)配列番号1のアミノ酸残基223に同等又は類似の位置でチロシン残基への置換、又はi)配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置のバリン残基及び配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置のプロリン残基への置換。更により好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1の中でF48Y、F48W、F48L、F48R、T52L、M54T、F109M、A110P、A110E、A110N、M125I、M125G、M125N、L132E、L223Y又はT52V/A110Pの置換変異をもたらすコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、前記置換変異は、一般に非エクジステロイドジアシルヒドラジン及び非エクジステロイドテトラヒドロキノリン結合活性又はグループH核内受容体リガンド結合ドメインの非エクジステロイドジアシルヒドラジン及び非エクジステロイドテトラヒドロキノリン感受性を増強する。好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基107及び127と同等若しくは類似の位置にアミノ酸残基、又はb)配列番号1のアミノ酸残基107、110及び127の置換を生じるコドン変異を含む。より好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基107と同等若しくは類似の位置にイソロイシン残基及び配列番号1のアミノ酸残基127と同等若しくは類似の位置にグルタミン酸残基、又はb)配列番号1のアミノ酸残基107と同等若しくは類似の位置にイソロイシン残基、配列番号1のアミノ酸残基110と同等若しくは類似の位置にプロリン残基及び配列番号1のアミノ酸残基127と同等又は類似の位置にグルタミン酸残基の置換を生じるコドン変異を含む。更に好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1のV107I/Y127E又はV107I/Y127E/A110Pの置換変異を生じるコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、前記置換変異は、一般にグループHリガンド結合ドメインのエクジステロイド結合活性又はエクジステロイド感受性及び非エクジステロイドジアシルヒドラジン結合活性又は非エクジステロイドジアシルヒドラジン感受性を増強する。好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基109、132若しくはW238P、b)配列番号1のアミノ酸残基52、107及び127又はc)配列番号1のアミノ酸残基107及び127と同等又は類似の位置にアミノ酸残基の置換、並びに配列番号1のアミノ酸259の挿入を生じるコドン変異を含む。より好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、以下の置換をもたらすコドン変異を含む:a)配列番号1のアミノ酸残基109に同等又は類似の位置のトリプトファン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置のバリン又はメチオニン残基への置換、c)配列番号1のアミノ酸残基238に同等又は類似の位置のプロリン残基への置換、d)配列番号1のアミノ酸残基107に同等又は類似の位置でのイソロイシン残基への置換、配列番号1のアミノ酸残基127に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基への置換及び配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置でのバリン残基への置換、e)配列番号の1アミノ酸107に同等又は類似の位置のイソロイシン残基への置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基への置換、及び配列番号1のアミノ酸259に同等又は類似の位置のグリシン残基の挿入。更に好ましくは、前記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1のF109W、L132M、L132V、W238P、V1071/Y127E/T52V又はV107I/Y127E/259Gの置換変異をもたらすコドン変異を含む。他の態様において、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1の置換変異V107I/Y127Eを生じるコドン変異を含み、配列番号1の挿入変異G259を更に含む(V107I/N127E/G259)。
他の特定の態様において、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、前記置換変異は、一般にグループH核内受容体リガンド結合ドメインの非エクジステロイドテトラヒドロキノリン結合活性又は非エクジステロイドテトラヒドロキノリン感受性を増強する。好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基110若しくは128と同等若しくは類似の位置のアミノ酸残基、又はb)配列番号1のアミノ酸残基110及び128と同等若しくは類似の位置のアミノ酸残基の置換を生じるコドン変異を含む。より好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは;a)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置のトリプトファン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基128に同等又は類似の位置でフェニルアラニン残基への置換、又はc)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置のプロリン残基への置換、及び配列番号1のアミノ酸残基128に同等又は類似の位置のフェニルアラニン残基への置換、をもたらすコドン変異を含む。更に好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1の置換変異Al10W、V128F又はV128F/A110Pを生じるコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、前記置換変異は、特異的に非エクジステロイドジアシルヒドラジンリガンドに応答する。望ましくは、前記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1のアミノ酸残基52、95、109、125又は132に同等又は類似の位置でアミノ酸残基の置換をもたらすコドン変異を含む。より好ましくは、前記単離されたポリヌクレオチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置のプロリン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基95に同等又は類似の位置のヒスチジン又はメチオニン残基への置換、c)配列番号1のアミノ酸残基109に同等又は類似の位置のロイシン残基への置換、d)配列番号1のアミノ酸残基125に同等又は類似の位置のロイシン、トリプトファン、アルギニン、システイン又はプロリン残基への置換、又はe)配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置のメチオニン残基への置換、をもたらすコドン変異を含む。更により好ましくは、前記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1において置換変異T52P、T52W、R95H、R95M、F109L、M125L、M125W、M125R、M125C、M125P又はL132Mをもたらすコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインをコードする単離されたポリヌクレオチドであって、置換変異は、特異的に非エクジステロイドジアシルヒドラジンリガンドに応答する単離されたポリヌクレオチドに関する。より好ましくは、前記単離されたポリヌクレオチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基48に同等又は類似の位置のリジン又はアルギニン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置のグリシン、グルタミン、メチオニン、アルギニン又はトリプトファン残基への置換、c)配列番号1のアミノ酸残基125に同等又は類似の位置のイソロイシン、グリシン、アスパラギン、セリン又はバリン残基への置換、d)配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基への置換、e)配列番号1のアミノ酸残基219に同等又は類似の位置のリジン、トリプトファン又はチロシン残基への置換、f)配列番号1のアミノ酸残基223に同等又は類似の位置でアルギニン又はチロシン残基への置換、又はg)配列番号1のアミノ酸残基238に同等又は類似の位置のロイシン又はメチオニン残基への置換、をもたらすコドン変異を含む。更に好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1において置換変異F48K、F48R、T52G、T52Q、T52M、T52R、T52W、M125I、M125G、M125N、M125S、M125V、L132E、M219K、M219W、M219Y、L223R、L223Y、W238L又はW238Mをもたらすコドン変異を含む。
加えて、本発明は、機能的に転写調節エレメントに連結された本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関する。好ましくは、置換変異を含む核内受容体リガンド結合ドメインをコードするポリヌクレオチドは、発現応答能のある宿主細胞における核内受容体リガンド結合ドメインの発現を可能にする発現制御配列と機能的に連結される。発現制御配列は、発現が望まれる宿主細胞において機能的であるプロモーターを含んでいてもよい。ベクターは、プラスミドDNA分子又はウイルスベクターであってもよい。好ましいウイルスのベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノウイルス随伴ウイルス、ヘルペスウイルス及びワクシニアウイルスを含む。本発明は、更に、そのゲノムに、上記の通りの置換変異を含む核内受容体リガンド結合ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む複製欠陥組換えウイルスに関する。したがって、本発明は、また、転写調節エレメントが宿主細胞において機能的である、このような発現ベクターを含む単離された宿主細胞にも関する。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる単離されたポリペプチドにも関する。
本発明のポリペプチド
本発明の新規の核内受容体に基づいた誘導性遺伝子発現系は、置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む少なくとも1つの遺伝子発現カセットを含む。したがって、本発明はまた、本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドを提供する。
他の特定の態様において、グループH核内受容体リガンド結合ドメインは、a)配列番号1のアミノ酸残基48、51、52、54、92、95、96、109、110、119、120、125、128、132、219、223、234若しくは238、b)配列番号1のアミノ酸残基96及び119、c)配列番号1のアミノ酸残基110及び128、d)配列番号1のアミノ酸残基52及び110、e)配列番号1のアミノ酸残基107、110及び127、又はf)配列番号1のアミノ酸残基52、107、及び127と同等又は類似の位置の置換変異を含む。他の態様において、グループH核内受容体リガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸残基107及び127と同等又は類似の位置の置換変異、並びにアミノ酸259の挿入を含む。好ましい態様において、グループH核内受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体に由来する。
好ましくは、前記グループHの核受容体のリガンド結合ドメインは、以下の置換を含む:a)アミノ酸残基48に同等又は類似の位置で、配列番号1のアスパラギン、アルギニン、チロシン、トリプトファン、ロイシン又はリジンによる置換、b)配列番号1のアミノ酸残基51に同等又は類似の位置で、メチオニン、アスパラギン又はロイシン残基による置換、c)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置で、ロイシン、プロリン、メチオニン、アルギニン、トリプトファン、グリシン、グルタミン又はグルタミン酸残基による置換、d)配列番号1のアミノ酸54に同等又は類似の位置で、トリプトファン又はスレオニンによる置換、e)配列番号1のアミノ酸92に同等又は類似の位置で、ロイシン又はグルタミン酸による置換、f)配列番号1のアミノ酸残基95に同等又は類似の位置で、ヒスチジン、メチオニン又はトリプトファン残基による置換、g)配列番号1のアミノ酸残基96に同等又は類似の位置で、ロイシン、セリン、グルタミン酸又はトリプトファン残基による置換、h)配列番号1のアミノ酸109に同等又は類似の位置で、トリプトファン、プロリン、ロイシン、メチオニン又はアスパラギンによる置換、i)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置で、グルタミン酸、トリプトファン又はアスパラギン残基による置換、j)配列番号1のアミノ酸119に同等又は類似の位置で、フェニルアラニンによる置換、k)配列番号1のアミノ酸120に同等又は類似の位置で、トリプトファン又はメチオニンによる置換、l)配列番号1のアミノ酸125に同等又は類似の位置で、グルタミン酸、プロリン、ロイシン、システイン、トリプトファン、グリシン、イソロイシン、アスパラギン、セリン、バリン又はアルギニンによる置換、m)配列番号1のアミノ酸128に同等又は類似の位置で、フェニルアラニンによる置換、n)配列番号1のアミノ酸132に同等又は類似の位置で、メチオニン、アスパラギン、グルタミン酸又はバリンによる置換、o)配列番号1のアミノ酸残基219に同等又は類似の位置で、アラニン、リジン、トリプトファン又はチロシン残基による置換、p)配列番号1のアミノ酸残基223に同等又は類似の位置で、リジン、アルギニン又はチロシン残基による置換、q)配列番号1のアミノ酸234に同等又は類似の位置で、メチオニン、アルギニン、トリプトファン又はイソロイシンによる置換、r)配列番号1のアミノ酸238に同等又は類似の位置で、プロリン、グルタミン酸、ロイシン、メチオニン又はチロシンによる置換、s)配列番号1のアミノ酸119に同等又は類似の位置で、フェニルアラニン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸96に同等又は類似の位置で、スレオニンによる置換、t)配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸128に同等又は類似の位置で、フェニルアラニン残基による置換、u)配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置で、バリン残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、v)配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシン残基による置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸残基による置換、配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置で、プロリン残基による置換、又は、w)配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシンによる置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸による置換、並びに配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置でバリンによる置換。他の実施例では、グループH核受容体のリガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置で、イソロイシン残基による置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置で、グルタミン酸残基による置換、並びに配列番号1のアミノ酸259に同等又は類似の位置でグリシン残基による挿入もたらすコドン変異を有するポリヌクレオチドによってコードされる。好ましい実施例において、グループH核受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体由来である。
他の特定の実施態様において、置換変異を含むグループHの核受容体のリガンド結合ドメインは、置換変異を含むエクジソン受容体のリガンド結合ドメインポリペプチドであり、その置換変異は、以下の群から選択される:配列番号1において置換変異F48Y、F48W、F48L、F48N、F48R、F48K、I51M、I51N、I51L、T52M、T52V、T52L、T52E、T52P、T52R、T52W、T52G、T52Q、M54W、M54T、M92L、M92E、R95H、R95M、R95W、V96L、V96W、V96S、V96E、F109W、F109P、F109L、F109M、F109N,A110E、A110N、A110W、N119F、Y120W、Y120M、M125P、M125R、M125E、M125L、M125C、M125W、M125G、M125I、M125N、M125S、M125V、V128F、L132M、L132N、L132V、L132E、M219K、M219W、M219Y、M219A、L223K、L223R、L223Y、L234M、L234I、L234R、L234W、W238P、W238E、W238Y、W238M、W238L、N119F/V96T、V128F/A110P、T52V/A110P、V107I/Y127E/T52V及びV107I/Y127E/A110P。他の実施態様において、置換変異を含むグループHの核受容体のリガンド結合ドメインは、エクジソン受容体のリガンド結合ドメインポリペプチドであり、配列番号1においてV107I/Y127Eの置換変異、更に配列番号1において挿入変異G259を含む(V107I/Y127E/G259)。
また、本発明は、以下からなる群より選択される単離されたポリペプチドを提供する。a)トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン、及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチド、b)DNA結合ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチド、並びにc)トランス活性化ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチド。好ましい態様において、グループH核内受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体に由来する。
また、本発明は、以下からなる群より選択される単離されたハイブリッドポリペプチドを提供する。a)トランス活性化ドメイン、DNA結合ドメイン、及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたハイブリッドポリペプチド、b)DNA結合ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたハイブリッドポリペプチド、並びにc)トランス活性化ドメイン及び本発明の置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたハイブリッドポリペプチド。好ましい態様において、グループH核内受容体リガンド結合ドメインは、エクジソン受容体に由来する。
本発明は、また、グループH核内受容体リガンド結合ドメインのリガンド結合活性又はリガンド感受性に影響を及ぼす置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドを提供する。
特に、本発明は、グループH核内受容体リガンド結合ドメインのリガンド結合活性又はリガンド感受性を減少させる置換変異を含むリガンド結合ドメインを含む単離されたグループH核内受容体ポリペプチドに関する。
他の特定の態様において、本発明は、グループH核内受容体リガンド結合ドメインの非エクジステロイドジアシルヒドラジン結合活性又は非エクジステロイドジアシルヒドラジン感受性を減少させる置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドに関する。望ましくは、前記単離されたポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基48、51、52、54、92、95、96、109、120、125、219、223、234又は238に同等又は類似の位置で、アミノ酸残基の置換を含む。より好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基48又は109に同等又は類似の位置のアスパラギン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基51、92、96又は238に同等又は類似の位置のロイシン残基への置換、c)配列番号1のアミノ酸残基52、92、96、125又は238に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基への置換、d)配列番号1のアミノ酸残基54、95、96、120又は219に同等又は類似の位置のトリプトファン残基への置換、e)配列番号1のアミノ酸残基51、52、120、234又は238に同等又は類似の位置のメチオニン残基への置換、f)配列番号1のアミノ酸残基219に同等又は類似の位置のアラニン残基への置換、g)配列番号1のアミノ酸残基48,219又は223に同等又は類似の位置のリジン残基への置換、h)配列番号1のアミノ酸残基234に同等又は類似の位置のイソロイシン、アルギニン又はトリプトファン残基への置換、i)配列番号1のアミノ酸残基219又は238に同等又は類似の位置のチロシン残基への置換、j)配列番号1のアミノ酸残基52又は223に同等又は類似の位置のアルギニン残基への置換、k)配列番号1のアミノ酸残基125に同等又は類似の位置でバリン残基への置換、又はl)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置のグリシン又はグルタミン残基への置換、をもたらすコドン変異を含む。更により好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、配列番号1においてF48N、I51L、T51M、T52E、T52M、T52R、T52G、T52Q、M54W、M92L、M92E、R95W、V96W、V96E、V96L、F109N、Y120M、Y120W、M125E、M125V、M219A、M219K、M219W、M219Y、L223K、L223R、L234M、L234I、L234W、L234R、W238E、W238L、W238M又はW238Yの置換変異をもたらすコドン変異を含む。
加えて、本発明は、また、グループH核内受容体リガンド結合ドメインのリガンド結合活性又はリガンド感受性を増強する置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドにも関する。
特定の実施態様において、本発明は一般に、グループH核内受容体リガンド結合ドメインのエクジステロイド結合活性又はエクジステロイド感受性を増強する置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドに関する。好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基96又はb)配列番号1のアミノ酸残基96及び119と同等又は類似の位置のアミノ酸残基の置換を含む。より好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、a)配列番号:の1アミノ酸残基96と同等若しくは類似の位置のセリン残基又はb)配列番号1のアミノ酸残基96と同等若しくは類似の位置のスレオニン残基及び配列番号1のアミノ酸残基119と同等若しくは類似の位置のフェニルアラニン残基の置換を生じるコドン変異を含む。更に好ましくは、単離されたポリペプチドは、配列番号1のV96T又はN119F/V96Tの置換変異を生じるコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は一般に、グループH核内受容体リガンド結合ドメインのジアシルヒドラジン結合活性又はジアシルヒドラジン感受性を増強する置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドに関する。望ましくは、前記単離されたポリペプチドは、a)配列番号1におけるアミノ酸残基48、52、54、109、110、125、132若しくは223、又はb)配列番号1におけるアミノ酸残基52及び110に同等又は類似の位置で、アミノ酸残基の置換を含む。より好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基48に同等又は類似の位置のチロシン、トリプトファン、アルギニン又はロイシン残基による置換、b)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置のロイシン残基による置換、d)配列番号1のアミノ酸残基54に同等又は類似の位置のスレオニン残基による置換、e)配列番号1のアミノ酸残基109に同等又は類似の位置のメチオニン残基への置換、f)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置のプロリン、グルタミン酸又はアスパラギン残基による置換、g)配列番号1のアミノ酸残基125に同等又は類似の位置のイソロイシン、グリシン又はアスパラギン残基による置換、h)配列番号1のアミノ酸52に同等又は類似の位置のバリン残基への置換、及び配列番号1のアミノ酸110に同等又は類似の位置のプロリン残基への置換、i)配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基への置換、又はj)配列番号1のアミノ酸残基223に同等又は類似の位置のチロシン残基への置換をもたらすコドン変異を含む。更により好ましくは、単離されたポリペプチドは、配列番号1におけるF48Y、F48W、F48L、F48R、T52L、M54T、F109M,A110P、A110E、A110N,M125I、M125G、M125N、L132E、L223Y又はT52V/A110Pの置換変異をもたらすコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は一般に、グループHリガンド結合ドメインのエクジステロイド結合活性又はエクジステロイド感受性及び非エクジステロイドジアシルヒドラジン結合活性又は非エクジステロイドジアシルヒドラジン感受性を増強する置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドに関する。望ましくは、前記単離されたポリペプチドは、以下の位置と同等又は類似の位置;a)配列番号1のアミノ酸残基109、132又はW238P、b)配列番号1のアミノ酸残基52、107及び127、又はc)配列番号1のアミノ酸残基107及び127の置換、並びに配列番号1のアミノ酸259の位置における挿入を含む。より好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基109に同等又は類似の位置のトリプトファン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置のバリン又はメチオニン残基への置換、c)配列番号1のアミノ酸残基238に同等又は類似の位置のプロリン残基への置換、d)配列番号1のアミノ酸残基107に同等又は類似の位置のイソロイシン残基への置換、配列番号1のアミノ酸残基127に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基への置換、及び配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置のバリン残基への置換、e)配列番号1のアミノ酸107に同等又は類似の位置のイソロイシン残基への置換、配列番号1のアミノ酸127に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基への置換、及び配列番号1のアミノ酸259に同等又は類似の位置のグリシン残基の挿入、をもたらすコドン変異を含む。更により好ましくは、単離されたポリペプチドは、配列番号1におけるF109W、L132M、L132V、W238P又はV107I/Y127E/T52Vの置換変異をもたらすコドン変異を含む。他の実施形態では、前記単離されたポリペプチドは配列番号1の置換変異V107I/Y127Eをもたらすコドン変異、更に配列番号1の挿入変異G259(V107I/Y127E/G259)を含む。
他の特定の態様において、本発明は一般に、グループH核内受容体リガンド結合ドメインのジアシルヒドラジン及びテトラヒドロキノリン結合活性又はジアシルヒドラジン及びテトラヒドロキノリン感受性を増強する置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドに関する。好ましくは、単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基107及び127と同等若しくは類似の位置のアミノ酸残基又はb)配列番号1のアミノ酸残基107、110及び127に置換を生じる置換変異を含む。より好ましくは、単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基107と同等若しくは類似の位置のイソロイシン残基及び配列番号1のアミノ酸残基127と同等又は類似の位置のグルタミン酸残基又はb)配列番号1のアミノ酸残基107と同等若しくは類似の位置のイソロイシン残基、配列番号1のアミノ酸残基110と同等若しくは類似の位置のプロリン残基、及び配列番号1のアミノ酸残基127と同等若しくは類似の位置のグルタミン酸残基の置換を生じるコドンを変異含む。更により好ましくは、単離されたポリペプチドは、配列番号1のV107I/Y127E又はV107I/Y127E/A110Pの置換変異を生じるコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は、一般にグループH核内受容体リガンド結合ドメインの非エクジステロイドテトラヒドロキノリン結合活性又は非エクジステロイドテトラヒドロキノリン感受性を増強する置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドに関する。望ましくは、前記単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基110又は128に同等又は類似の位置でアミノ酸残基の置換、又はb)配列番号1のアミノ酸残基110及び128に同等又は類似の位置でアミノ酸残基の置換、をもたらすコドン変異を含む。より好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置のトリプトファン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基128に同等又は類似の位置でフェニルアラニン残基への置換、又はc)配列番号1のアミノ酸残基110に同等又は類似の位置のプロリン残基への置換、及び配列番号1のアミノ酸残基128に同等又は類似の位置のフェニルアラニン残基への置換、をもたらすコドン変異を含む。更に好ましくは、単離されたポリペプチドは、配列番号1の置換変異A110W、V128F又はV128F/A110Pを生じるコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は、特異的に非エクジステロイドジアシルヒドラジンリガンドと応答する置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドに関する。好ましくは、単離されたポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基52、95、109、125若しくは132と同等又は類似の位置のアミノ酸残基の置換を生じるコドン変異を含む。より好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置のプロリン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基95に同等又は類似の位置のヒスチジン又はメチオニン残基への置換、c)配列番号1のアミノ酸残基109に同等又は類似の位置のロイシン残基への置換、d)配列番号1のアミノ酸残基125に同等又は類似の位置のロイシン、トリプトファン、アルギニン、システイン又はプロリン残基への置換、又はe)配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置のメチオニン残基への置換、をもたらすコドン変異を含む。更により好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、配列番号1の置換変異T52P、R95H、R95M、F109L、M125L、M125W、M125R、M125C、M125P又はL132Mをもたらすコドン変異を含む。
他の特定の態様において、本発明は、特異的に非エクジステロイドジアシルヒドラジンリガンドに反応する置換変異を含むグループH核内受容体リガンド結合ドメインを含む単離されたポリペプチドに関する。より好ましくは、単離されたポリペプチドは、a)配列番号1のアミノ酸残基48に同等又は類似の位置のリジン又はアルギニン残基への置換、b)配列番号1のアミノ酸残基52に同等又は類似の位置のグリシン、グルタミン、メチオニン、アルギニン又はトリプトファン残基への置換、c)配列番号1のアミノ酸残基125に同等又は類似の位置のイソロイシン、グリシン、アスパラギン、セリン又はバリン残基への置換、d)配列番号1のアミノ酸残基132に同等又は類似の位置のグルタミン酸残基への置換、e)配列番号1のアミノ酸残基219に同等又は類似の位置のリジン、トリプトファン又はチロシン残基への置換、f)配列番号1のアミノ酸残基223に同等又は類似の位置でアルギニン又はチロシン残基への置換、又はg)配列番号1のアミノ酸残基238に同等又は類似の位置のロイシン又はメチオニン残基への置換、をもたらすコドン変異を含む。更に好ましくは、前記単離されたポリペプチドは、配列番号1における置換変異F48K、F48R、T52G、T52Q、T52M、T52R、T52W、M125I、M125G、M125N、M125S、M125V、L132E、M219K、M219W、M219Y、L223R、L223Y、W238L又はW238Mをもたらすコドン変異を含む。
本発明は、本発明の単離されたポリペプチドを含む組成物にも関する。
本発明の遺伝子発現を調節する方法
また、本発明は、前記の遺伝子発現調節系を使用して宿主細胞における遺伝子発現を調節する方法にも関する。具体的には、本発明は、a)本発明の遺伝子発現調節系を宿主細胞に導入する工程、及びb)リガンドを宿主細胞に導入する工程、を含む宿主細胞における遺伝子発現調節方法であって、調節される遺伝子が、i)遺伝子発現系のDNA結合ドメインによって認識されるドメインを含む応答エレメント、ii)遺伝子発現系のトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター及びiii)発現が調節される遺伝子、を含む遺伝子発現カセットの成分である、方法を提供する。これにより、宿主細胞へのリガンドの導入、遺伝子の発現が調節される。
また、本発明は、a)本発明の遺伝子発現調節系を宿主細胞に導入する工程、b)本発明の遺伝子発現カセットを宿主細胞に導入する工程、及びc)リガンドを宿主細胞に導入する工程、を含む宿主細胞における遺伝子発現調節方法であって、遺伝子発現カセットが、i)遺伝子発現系に由来するDNA結合ドメインによって認識されるドメインを含む応答エレメント、ii)遺伝子発現系のトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター及びiii)発現が調節される遺伝子、を含む、方法を提供する。これにより、宿主細胞へのリガンドの導入、遺伝子の発現が調節される。
また、出願人らの発明は、遺伝子発現調節系の第一のハイブリッドポリペプチドに由来するDNA結合ドメインが結合するドメインを含む応答エレメントを含む遺伝子発現カセット、遺伝子発現調節系の第二のハイブリッドポリペプチドのトランス活性化ドメインによって活性化されるプロモーター及び発現が調節される遺伝子を含む宿主細胞における遺伝子発現調節方法であって、a)本発明の遺伝子発現調節系を宿主細胞に導入する工程及びb)リガンドを宿主細胞に導入する工程、を含む、方法を提供する。これにより、宿主細胞へのリガンドの導入、遺伝子の発現が調節される。
出願人らの方法を使用して宿主細胞で発現させる目的遺伝子は、内因性遺伝子又は異種遺伝子であってもよい。目的遺伝子若しくはタンパク質の核酸又はアミノ酸配列情報は、多くの公共データベース、例えばGENBANK、EMBL、Swiss−Prot及びPIRのいずれか、又は多くの生物学に関連した学術誌刊行物において検索することができる。したがって、当業者は実質的に全ての公知の遺伝子に関する核酸配列情報へのアクセスが可能である。次いで、このような情報を使用して、本明細書に記載した方法に使用される遺伝子発現カセット内に目的遺伝子を挿入した適切なコンストラクトの構築が可能となる。
出願人らの方法を使用して、宿主細胞にて目的遺伝子を発現させる例は、以下を含むが、これらに限定されない。ワクチンとして植物で産生される抗原、酵素様αアミラーゼ、フィターゼ、グルカン、キシラーゼ及びキシラナーゼや、昆虫、線虫、真菌、細菌、ウイルス及び非生物的ストレスに対する耐性のための遺伝子や、栄養補助食品、医薬、ビタミンや、アミノ酸含量、除草剤耐性、冷却、乾燥及び耐熱性を修飾するための遺伝子や、工業製品、油、タンパク質、炭水化物、抗酸化剤、雄性生殖不能植物、花、燃料、その他の出力形質や、モノクローナル抗体、酵素、プロテアーゼ、サイトカイン、インターフェロン、インスリン、エリスロポエチン、凝固因子、その他の血液因子又は成分などの状態、疾患、障害、機能障害、遺伝子欠損を治療するために使用し得る治療的に望ましいポリペプチド又は産物をコードする遺伝子や、遺伝子療法のためのウイルスベクター、ワクチンのためのウイルス、創薬、機能的ゲノム科学、及びプロテオミクス解析、並びにそれらの応用など。
許容されるリガンドは、リガンドの存在下における本発明の遺伝子発現系のDNA結合ドメインの応答エレメントに対する結合により、遺伝子の発現の活性化又は抑制を生じるときに、遺伝子の発現を調節する任意のものである。好適なリガンドは、エクジステロイド(例えばエクジソン、20−ヒドロキシエクジソン、ポナステロンA、ムリステロンAなど)、9−シスレチノイン酸、レチノイン酸の合成類似体、米国特許No.6,013,836、5,117,057、5,530,028、5,378,726及び米国特許出願番号第10/775,883号及び10/787,906において開示されるN,N’−ジアシルヒドラジン;ヨーロッパ特許出願番号第461,809号において開示されるジベンゾイルアルキルシアノヒドラジン;米国特許番号5,225,443において開示されるN−アルキルN,N’−ジアリロイルヒドラジン;ヨーロッパ特許出願番号第234,994号において開示されるN−アシルN−アルキルカルボニルヒドラジン;米国特許番号4,985,461に記載されているN−アロイル−N−アルキル−N’−アロイルヒドラジン;国際特許出願番号第PCT/US03/00915号において開示されるテトラヒドロキノリン;上記の各々は本願明細書に引用により援用され、また3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシN−イソブチルベンズアミド、8−O−アセチルハルパジド、オキシステロール、22(R)ヒドロキシコレステロール、24(S)ヒドロキシコレステロール、25−エポキシコレステロール、T0901317、5α−6−α−エポキシコレステロール−3−硫酸塩(ECHS)、7−ケトコレステロール−3−硫酸塩、ファルネソール、胆汁酸、1,1−ビスホスホン酸塩エステル類、幼若ホルモンIIIなどの他の類似体も含まれる。
好ましい態様において、出願人らの遺伝子発現調節方法に使用するリガンドは、以下の式の化合物である。
(ここで、
Eは、三級炭素を含む分枝の(C
4−C
12)アルキル若しくは分枝の(C
4−C
12)アルキル、又は三級炭素を含むシアノ(C
3−C
12)アルキルであり、
R
1は、H、Me、Et、i−Pr、F、ホルミル、CF
3、CHF
2、CHCl
2、CH
2F、CH
2Cl、CH
2OH、CH
2OMe、CH
2CN、CN、C
0CH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、OH、OMe、OEt、シクロプロピル、CF
2CF
3、CH=CHCN、アリル、アジド、SCN、又はSCHF
2であり、
R
2は、H、Me、Et、n−Pr、i−Pr、ホルミル、CF
3、CHF
2、CHCl
2、CH
2F、CH
2Cl、CH
2OH、CH
2OMe、CH
2CN、CN、C
0CH、1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、Ac、F、Cl、OH、OMe、OEt、O−n−Pr、OAc、NMe
2、NEt
2、SMe、SEt、SOCF
3、OCF
2CF
2H、COEt、シクロプロピル、CF
2CF
3、CH=CHCN、アリル、アジド、OCF
3、OCHF
2、O−i−Pr、SCN、SCHF
2、SOMe、NH−CNであるか、又は、R
3並びにR
2とR
3とが付着するフェニル炭素と連結して、エチレンジオキシ、フェニル炭素に隣接した酸素を伴ってジヒドロフリル環若しくはフェニル炭素に隣接した酸素を伴ってジヒドロピリル環を形成し、
R
3はH、Etか、又は、R
2並びにR
2とR
3とが付着するフェニル炭素と連結して、エチレンジオキシ、フェニル炭素に隣接した酸素を伴ってジヒドロフリル環若しくはフェニル炭素に隣接した酸素を伴ってジヒドロピリル環を形成し、
R
4、R
5及びR
6は、独立してH、Me、Et、F、Cl、Br、ホルミル、CF
3、CHF
2、CHCl
2、CH
2F、CH
2Cl、CH
2OH、CN、C
0CH,1−プロピニル、2−プロピニル、ビニル、OMe、OEt、SMe又はSEtである)
他の好ましい態様において、出願人らの遺伝子発現調節方法に使用するリガンドは、以下の式の化合物である。
式中:
他の好ましい態様において、出願人らの遺伝子発現調節方法に使用するためのリガンドは、以下の式の化合物である。
式中:
更に好ましい態様において、出願人らの遺伝子発現調節方法に使用するためのリガンドは、以下の式の化合物である。
式中:
他の望ましい実施態様において、出願人らの遺伝子発現調節方法に使用するリガンドは、エクジソン、20−ヒドロキシエクジソン、ポナステロンA、ムリステロンA、オキシステロール、22(R)ヒドロキシコレステロール、24(S)ヒドロキシコレステロール、25−エポキシコレステロール、T0901317,5α−6−α−エポキシコレステロール−3−サルフェート(ECHS)、7−ケトコレステロール−3−サルフェート、ファルネソール、胆汁酸、1,1−ビホスホナートエステル又は幼若ホルモンIIIである。
他の好ましい態様において、出願人らの遺伝子発現調節方法において上述した第一のリガンドに加えて、第二のリガンドを使用してもよい。好ましくは、この第二のリガンドは、9−シス−レチノイン酸又はレチノイン酸の合成類似体である。
本発明の宿主細胞及び非ヒト生物体
上述の通り、本発明の遺伝子発現調節系は、宿主細胞における遺伝子発現を調節するために使用することができる。トランスジェニック宿主細胞における発現は、目的の種々の遺伝子の発現のために有用であり得る。出願人らの発明は、原核生物及び真核生物の宿主細胞における遺伝子発現の調節を提供する。トランスジェニック宿主細胞の発現は、ワクチンとして植物において生産される抗原、アルファアミラーゼ、フィターゼ、グルカナーゼ、キシラーゼ及びキシラナーゼのような酵素、昆虫、線虫、菌類、バクテリア、ウイルス及び非生物的なストレスに対する耐性のための遺伝子、抗原、機能性食品、医薬、ビタミン、アミノ酸含有量、除草剤、寒さ、干ばつ及び熱への耐性を高めるための遺伝子、産業生産物、油、タンパク質、炭水化物、酸化防止剤、雄性の実を結ばない植物、花、燃料、他の特徴、治療的なポリペプチド、経路中間体等(これらに限定された)の様々な目的ポリペプチドの発現;これまで宿主を用いて制御不可能であった、既にホストの中に存在している新製品合成のための経路の調節;細胞ベースの分析;機能ゲノミクス分析、バイオ医薬に用いるタンパク質の産生、プロテオミクス分析などに役立つ。更に、遺伝子製品は、宿主の成長速度を高めるため、又は代替的な成長モードの利用を可能にするために利用してもよい。
したがって、出願人らの発明は、本発明の遺伝子発現系を含む単離された宿主細胞を提供する。また、本発明は、本発明の遺伝子発現カセットを含む単離された宿主細胞を提供する。また、出願人らの発明は、本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチドを含む単離された宿主細胞を提供する。また、本発明は、本発明の発現ベクターをトランスフェクトした宿主細胞に関する。宿主細胞は、細菌細胞、真菌の細胞、線虫細胞、昆虫細胞、魚細胞、植物細胞、トリ細胞、動物細胞又は哺乳類細胞であってもよい。更に他の態様において、本発明は、置換変異を含む核内受容体リガンド結合ドメインを産生するための方法であって、置換変異を含む核内受容体リガンド結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの発現が可能にする条件下で培地において上記の通りに宿主細胞を培養する工程、及び培養から置換変異を含む核内受容体リガンド結合ドメインを単離する工程を含む方法に関する。
特定の態様において、単離された宿主細胞は、原核生物宿主細胞又は真核生物宿主細胞である。他の特定の態様において、単離された宿主細胞は、無脊椎動物宿主細胞又は脊椎動物宿主細胞である。望ましくは、宿主細胞は、細菌細胞、菌類細胞、酵母細胞、線虫細胞、昆虫細胞、魚細胞、植物細胞、鳥細胞、動物性細胞及び哺乳類の細胞からなる群から選択される。より好ましくは、宿主細胞は、酵母細胞、線虫細胞、昆虫細胞、植物細胞、ゼブラフィッシュ細胞、ニワトリ細胞、ハムスター細胞、マウス細胞、ラット細胞、ウサギ細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ウシ細胞、ヤギ細胞、ウシ細胞、ブタ細胞、ウマ細胞、ヒツジ細胞、霊長類細胞、サル細胞、チンパンジ細胞又はヒト細胞である。好適な宿主細胞の実施例は、アスペルギルス、トリコデルマ、サッカロミセス、ピキア、キャンディダ、ハンセヌラのような菌類又は酵母細胞、シネコシスティス、シネココッカス、サルモネラ、バチルス、アシネトバクター、ロドコッカス、ストレプトマイセス、エシェリチア、シュードモナス、メチロモナス、メチロバクター、アルカリゲネス、シネコシスティス、アナベナ、チオバチルス、マタノバクテリウム及びクレブシエラ属の細菌細胞;リンゴ、シロイヌナズナ、パールミレット、バナナ、オオムギ、豆、ビート、ケツルアズキ、ヒヨコマメ、唐辛子、キュウリ、ナス、ソラマメ、トウモロコシ、メロン、雑穀、緑豆、オート麦、オクラ、キビ、パパイア、南京豆、エンドウ、コショウ、木豆、パイナップル、インゲンマメ、ジャガイモ、カボチャ、米、モロコシ、大豆、スカッシュ、サトウキビ、サトウダイコン、ヒマワリ、サツマイモ、お茶、トマト、タバコ、スイカ及び小麦からなる群から選択される植物の細胞;動物細胞;並びに哺乳動物宿主細胞、を含むが、これに限定されるものではない。
特定の実施態様において、宿主細胞は、サッカロミセス、ピキア及びキャンディダ属からなる群から選択される酵母細胞である。
他の特定の実施態様において、前記宿主細胞は線虫細胞である。
他の特定の実施態様において、前記宿主細胞は昆虫細胞である。
他の特定実施例において、宿主細胞は、リンゴ、シロイヌナズナ、パールミレット、バナナ、オオムギ、豆、ビート、ケツルアズキ、ヒヨコマメ、唐辛子、キュウリ、ナス、ソラマメ、トウモロコシ、メロン、雑穀、緑豆、オート麦、オクラ、キビ、パパイア、南京豆、エンドウ、コショウ、木豆、パイナップル、インゲン豆、ジャガイモ、カボチャ、米、モロコシ、大豆、スカッシュ、サトウキビ、サトウダイコン、ヒマワリ、サツマイモ、お茶、トマト、タバコ、スイカ及び小麦細胞からなる群から選択される植物細胞である。
他の特定実施例において、宿主細胞は、ゼブラフィッシュ細胞である。
他の特定実施例において、宿主細胞は、チキン細胞である。
他の特定実施例において、宿主細胞は、ハムスター細胞、マウス細胞、ネズミ細胞、ウサギ細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ウシ細胞、ヤギ細胞、ウシ細胞、ブタ細胞、ウマ細胞、ヒツジ細胞、サル細胞、チンパンジ細胞及びヒト細胞からなる群から選択される哺乳類の細胞である。
宿主細胞トランスフォーメーションは、当技術分野において周知であり、電気穿孔法、ウイルス感染、プラスミド/ベクタートランスフェクション、非ウイルスのベクターを媒介したトランスフェクション、アグロバクテリウムを媒介したトランスフォーメーション、微粒子銃等を含むが、これらに限定されない種々の方法によって行うことができる。所望の遺伝子産物の発現は、形質転換された宿主細胞を適切な条件下で培養する工程、及び形質転換された遺伝子の発現を誘導する工程を含む。原核生物及び真核生物細胞における培養条件及び遺伝子発現プロトコルは、当技術分野において周知である(実施例の一般的方法の節を参照)。細胞を収集してもよく、遺伝子産物に特異的なプロトコルに従って遺伝子産物を単離してもよい。
加えて、挿入されたポリヌクレオチドの発現を調節し、又は望まれる特定の様式でポリペプチド産物を修飾し、プロセシングする宿主細胞を選択してもよい。種々の宿主細胞が、タンパク質の翻訳及び翻訳後プロセシング並びに修飾(例えば、グリコシル化(例えば、シグナル配列)、切断)に対して特異的な特徴及び機構を有する。発現される外来タンパク質の所望の修飾及びプロセシングを保証するために、適切な株化細胞又は宿主系を選択することができる。例えば、非グリコシル化コアタンパク質産物を産生するために、細菌における発現を使用することができる。しかし、細菌において発現されるポリペプチドは、適切に折りたたまれていない。酵母における発現により、グリコシル化された産物を産生することができる。真核細胞における発現により、異種タンパク質の「天然の」グリコシル化及び折りたたみの可能性を増加させることができる。更に、哺乳動物細胞における発現により、ポリペプチドの活性を再構成し、又は構成するためのツールを提供することができる。更にまた、種々のベクター/宿主発現系が、異なる範囲でタンパク分解性の切断などのプロセシング反応に影響を及ぼし得る。
また、出願人らの発明は、本発明の単離された宿主細胞を含む非ヒト生物体に関する。特定の態様において、非ヒト生物体は、原核生物又は真核生物である。他の特定の態様において、非ヒト生物体は、無脊椎動物又は脊椎動物である。
望ましくは、人間以外の生物体は、バクテリア、真菌、イースト、線虫、昆虫、魚、植物、鳥、動物及び哺乳類からなる群から選択される。より好ましくは、人間以外の生物体は、イースト、線虫、昆虫、植物、ゼブラフィッシュ、ニワトリ、ハムスター、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヤギ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、霊長類、サル又はチンパンジーである。
特定の態様において、非ヒト生物体はサッカロマイセス、ピキア及びカンディダからなる群より選択される酵母である。
他の特定の態様において、非ヒト生物体は線虫である。
他の特異的な実施態様において、人間以外の生物体は、リンゴ、シロイヌナズナ、パールミレット、バナナ、オオムギ、豆、ビート、ケツルアズキ、ヒヨコマメ、唐辛子、キュウリ、ナス、ソラマメ、トウモロコシ、メロン、雑穀、緑豆、オート麦、オクラ、キビ、パパイア、南京豆、エンドウ、コショウ、木豆、パイナップル、インゲンマメ属、ジャガイモ、カボチャ、米、モロコシ、大豆、スカッシュ、サトウキビ、サトウダイコン、ヒマワリ、サツマイモ、お茶、トマト、タバコ、スイカ及び小麦からなる群から選択される植物である。
他の特定の態様において、非ヒト生物体は、マウスである。
遺伝子発現/転写の測定
本発明の方法の1つの有用性は、RNA、好ましくはmRNA種の同一性及び存在量を含む細胞の転写状態の測定において顕れる。このような測定は、望ましくは既存の遺伝子発現技術のいずれかによって、cDNA量を測定することによって行われる。
核酸アレイ技術は、mRNA特異的を解析するための有用な技術である。このような技術は、例えば、オリゴヌクレオチドチップ及びDNAマイクロアレイを含む。これらの技術は、種々の遺伝子又はcDNAに対応するDNA断片又はオリゴヌクレオチドに依存し、それは固体支持体上に固定され、細胞、組織又は生物体全体に由来する総mRNAプール又は変換されたcDNAから調製されたプローブとハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドチップは、写真平板技術を使用して基質上に合成されたオリゴヌクレオチドのアレイである。1700個までの遺伝子を解析することができるチップが作製されている。DNAマイクロアレイは、DNA試料、典型的には顕微鏡スライド上にロボットにより印刷されるPCR産物のアレイである。それぞれの遺伝子は、全長又は部分長標的DNA配列によって解析される。10,000個までの遺伝子をもつマイクロアレイが、現在産業的にルーチン的に製造されている。これらの2つの技術間の主な相違は、オリゴヌクレオチドチップが典型的には25merオリゴヌクレオチドを利用して短いDNA分子の分取が可能であるのに対し、マイクロアレイではより大きなDNA標的(約1000塩基対)を利用して複雑なDNA混合物から高感度に分取することが可能である。
本発明の方法の他の有用性は、当技術分野において周知のプロセスを使用して細胞に存在する構成タンパク質の存在量を測定することによって細胞の翻訳状態を解析する際に顕れる。
種々の生理機能と関連する遺伝子の同定が望まれるときは、細胞増殖、アポトーシス、老化、分化、接着、特定の分子に対する結合、別の細胞に対する結合、細胞組織、器官形成、細胞内輸送、輸送促進、エネルギー転換、代謝、筋形成、神経形成及び/又は血球新生などの機能の変化を測定するアッセイが必要となる。
加えて、出願人らの発明を使用して遺伝子発現調節を測定するために、選択可能なマーカー又はレポーター遺伝子発現系を使用してもよい。
遺伝子発現産物を検出する他の方法は、当技術分野において周知であり、サザンブロット(DNA検出)、ドット又はスロットブロット(DNA、RNA)、ノーザンブロット(RNA)、RT−PCR(RNA)、ウエスタンブロット(ポリペプチド検出)及びELISA(ポリペプチド)解析を含む。あまり好ましくないが、標識されたタンパク質を、これがハイブリダイズする特定の核酸を検出するために使用することができる。
場合によっては、核酸配列の量を増幅することが必要である。これは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、リガーゼ連鎖反応法(LCR)、鎖置換増幅法(SDA)、転写に基づいた増幅等を含む多数の適切な方法の1つ又は複数を使用してもよい。PCRは、公知の技術に従って実施され、例えば、核酸試料を熱安定DNAポリメラーゼの存在下において、ハイブリダイズする条件下で、1対のオリゴヌクレオチドプライマーと共に、検出する特定の配列の一方の鎖(鋳型)にハイブリダイズする1つのプライマーと共に処置する。プライマーは、これにハイブリダイズする特異的配列のそれぞれの鋳型鎖に対して十分に相補である。それぞれのプライマーの伸長産物が合成され、それがハイブリダイズする核酸鋳型鎖に対して相補である。それぞれのプライマーから合成される伸長産物は、同じプライマーを使用して伸長産物のさらなる合成のための鋳型としても役立ち得る。伸長産物の合成における十分な数のラウンドに続いて、試料を上記の通りに解析して、検出される配列が存在するかどうかを判断してもよい。
リガンドをスクリーニングするアッセイ法
また、本発明は、核内受容体リガンド結合ドメインを候補分子と接触させること、及びリガンドの存在下においてレポーター遺伝子活性を検出することにより、細胞内に置換変異を含む核内受容体リガンド結合ドメインのトランス活性化を誘導又は抑制する化合物をスクリーニングする方法に関する。候補化合物は、核内受容体リガンド結合ドメインのアゴニスト又はアンタゴニストのいずれかであってもよい。好ましい態様において、核内受容体リガンド結合ドメインを細胞内にてポリヌクレオチドから発現させ、トランス活性化(レポーター遺伝子の発現又は抑制)又は化合物結合活性を測定する。
したがって、核内受容体リガンド結合ドメインの構造に基づいたアゴニスト及びアンタゴニストの合理的デザインに加えて、本発明は、当技術分野において公知の種々のスクリーニングアッセイ法を使用して、核内受容体リガンド結合ドメインの特異的リガンドを同定する代替法を想定する。
グループH核内受容体リガンド結合ドメインアゴニスト又はアンタゴニストをスクリーニングするために、当技術分野において公知の任意のスクリーニング技術を使用することができる。例えば、本発明の核内受容体に基づく遺伝子発現系を含む適切な株化細胞には、誘導又は抑制可能なプロモーターに機能的に連結されたマーカー遺伝子をコードする遺伝子発現カセットをトランスフェクトすることができる。次いで、トランスフェクトした細胞を候補アゴニスト又はアンタゴニスト化合物を含む試液に曝露し、次いで、マーカー遺伝子の発現又は抑制を解析する。試液に曝露されていない対照細胞と比較して、より多くマーカー遺伝子発現が存在することが、試液中にアゴニスト化合物が存在することの指標である。逆に、試液に曝露されていない対照細胞と比較して、より少ないマーカー遺伝子発現が存在することが、試液中にアンタゴニスト化合物が存在することの指標である。
本発明は、小分子リガンド又はリガンド類似体及び擬態のスクリーニング、並びにインビボにおいて本発明のグループH核内受容体リガンド結合ドメインに結合及びアゴナイズ、又はアンタゴナイズする天然のリガンドのスクリーニングを想定する。例えば、核内受容体に基づいた遺伝子発現系活性をアゴナイズ、又はアンタゴナイズする分子について、本発明のアッセイ法を使用して天然物ライブラリーをスクリーニングすることができる。
アンタゴニストの同定及びスクリーニングは、例えば構造決定のためのX線結晶解析、中性子回折、核磁気共鳴分析法及びその他の技術を使用してタンパク質の構造を決定することによって更に容易になる。これらの技術は、アゴニスト及びアンタゴニストの合理的設計又は同定を可能にする。
他の方法は、組換えバクテリオファージを使用して多量のライブラリーを構築することである。ファージ技術(Scott and Smith、1990,Science 249:386−390(1990);Cwirlaら、Proc.Natl.Acad.Sci.,87:6378−6382(1990);Devlinら、Science,249:404−406(1990))を使用して、多量のライブラリーを構築することができる(106〜108の分子数)。第2の方法は、主に化学的方法を使用することである。それについて、Geysen法(Geysenら、Molecular Immunology 23:709−715(1986);Geysenら、J.Immunologic Method 102:259−274(1987))、またフォーダーらの方法(Science 251:767−773(1991))が例として挙げられる。Furkaらによる14th International Congress of Biochemistry,Volume 5,Abstract FR:013(1988)、FurkaによるInt.J.Peptide Protein Res.37:487−493(1991)、Houghtonによる米国特許番号4,631,211(登録日1986年12月)及びRutterらによる米国特許番号5,010,175(登録日1991年4月23日)では、アゴニスト又はアンタゴニストとして試験に使用可能なペプチドの混合物を生じる方法に関して開示している。
別の態様においては、合成ライブラリー(Needelsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10700−4(1993);Ohlmeyerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10922−10926(1993);Lamら、国際公開番号WO92/00252;Kocisら、国際公開番号WO94/28028、これらの内容は、本願発明において参照により援用)等を、本発明の候補リガンドの検出に使用することができる。
スクリーニングは、本発明の核内受容体リガンド結合ドメインを発現する組換え細胞又は精製されたタンパク質を用いて行うことができ、例えば上記の通りに組換えで産生することができる。例えば、前述の参照に記載されるように、ライブラリーのスクリーニングにおいて標識された可溶性の核内受容体リガンド結合ドメインを使用することができる。
一つの態様において、本発明のグループH核内受容体リガンド結合ドメインは、直接標識されていてもよい。他の態様において、本発明の核内受容体リガンド結合ドメインの標的分子の、例えば固相支持体に付着された分子に対する結合を検出するため、標識された二次試薬が使用可能である。結合は、酵素ラベルによる発色団のin situでの形成により検出可能である。適切な酵素は、アルカリホスファターゼ及び西洋ワサビペルオキシダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。更なる態様において、2つの発色基質を、異なる2つの目的受容体分子上に標識された酵素と組み合わせて二色アッセイ法を行ってもよい。二色アッセイ法で交差反応及び単独反応を呈するリガンドの同定が可能となる。
本発明に使用する他の標識には、有色ラテックスビーズ、磁気ビーズ、蛍光ラベル(例えば、フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、テキサスレッド(TR)、ローダミン、遊離又はキレート化されたランタノイド塩、特にEu3+等のフルオロフォア)、化学発光分子、放射性同位元素又は磁気共鳴イメージング標識が挙げられる。二色アッセイ法は、2色以上の着色されたラテックスビーズ又は異なる波長にて発光するフルオロフォアで行うことができる。標識分子又は細胞は、視覚的又は機械的/光学的手段によって検出することができる。機械的/光学的手段は、例えば蛍光活性化ソーティング、すなわちFACS類似法、及びマイクロマニピュレーター除去法である。
本発明は、本発明の例証として開示される以下の非限定的な実施例を参照することにより、より明確に理解することが可能となる。
(実施例)
出願人らはCfEcR相同性モデルを開発して、エクジステロイド及び非エクジステロイドとの結合に関与する重要な残基を同定するために、この相同性モデルをキロノモス・テタンス(Chironomus tetans)エクジソン受容体(「CtEcR」)相同性モデル(Wurtzら、2000)と共に使用した。合成の非エクジステロイドのジアシルヒドラジンは、高親和性で鱗翅目のEcRsに結合し、これらの昆虫における早熟性の不完全な脱皮を誘導することが示され(Wingら、1988)、これらの化合物の幾つかは、現在殺虫剤として市販されている。EcRsのリガンド結合空洞は、20Eなどのエクジステロイドの長い主鎖構造に適合するように進化してきた。ジアシルヒドラジンは、エクジステロイドと比較して緻密な構造を有し、EcR結合ポケットの下部のみを占有する。これにより、結合ポケットの最上部に少数の重要な残基が残される形となり、エクジステロイドとは接触するが、ジアシルヒドラジンなどの非エクジステロイドと接触しない。出願人らは、エクジステロイド及び/又は非エクジステロイドと接触する残基の置換変異体を作製し、リガンド結合に対する変異の効果を決定した。出願人らは、本明細書において、これらの残基の幾つかにおける置換変異を記載し、これらの結合及びトランス活性化作用に基づいて置換変異受容体の幾つかのクラスを同定した。出願人らの新規な置換変異核内受容体ポリヌクレオチド及びポリペプチドは、遺伝子療法、宿主細胞における目的のタンパク質の発現、トランスジェニック生物の産生及び細胞を用いたアッセイ法などの、核内受容体に基づく誘導性遺伝子調節系に適用可能である。
一般的方法
本明細書に使用される標準的組換えDNA及び分子クローン技術は、当技術分野において周知であり、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)(Maniatis)、T.J.Silhavy,M.L.Bennan, and L.W.Enquist,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1984)、及びAusubel,F.M.ら、Current Protocolsin Molecular Biology,Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience(1987)において記載が存在する。
細菌培養及び増殖に適した材料及び方法は、当技術分野において周知である。以下の実施例に適した技術は、Manual of Methods for General Bacteriology (Phillipp Gerhardt,R.G.E.Murray,Ralph N.Costilow,Eugene W.Nester,Willis A.Wood,Noel R.Krieg and G.Briggs Phillips,eds),American Society for Microbiology,Washington,DC.(1994))、又はThomas D.Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition,Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA(1989)において記載が存在する。宿主細胞の増殖及び維持に使用される全ての試薬、制限酵素及び材料は、特に明記しない限り、Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI),DIFCO Laboratories(Detroit,MI),GIBCO/BRL(Gaithersburg,MD),又はSigma Chemical Company(St.Louis,MO)から得た。
遺伝子配列の操作は、Genetics Computer Group Inc.(Wisconsin Package Version 9.0,Genetics Computer Group (GCG),Madison,WI)から入手可能なプログラムのセットを使用してもよい。GCGプログラム「パイルアップ」が使用される場合、12のギャップ作成デフォルト値及び4のギャップ伸長デフォルト値を使用してもよい。CGC「Gap」又は「Bestfit」プログラムが使用される場合、50のデフォルト・ギャップ作成ペナルティー及び3のデフォルト・ギャップ伸長ペナルティーを使用してもよい。GCGプログラム・パラメータが、これら又は他の何らかのGCGプログラムにおいて促さない場合は、デフォルト値を使用してもよい。
略語の意味は、以下の通りである:「h」は時間を意味し、「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「d」は日を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「μM」はマイクロモル濃度を意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「A」はアデニン又はアデノシンを意味し、「T」はチミン又はチミジンを意味し、「G」はグアニン又はグアノシンを意味し、「C」はシチジン又はシトシンを意味し、「×g」は重力倍を意味し、「nt」はヌクレオチドを意味し、「aa」はアミノ酸を意味し、「bp」は塩基対を意味し、「kb」はキロベースを意味し、「k」はキロを意味し、「μ」はマイクロを意味し、及び「℃」は摂氏温度を意味する。
<実施例1>
本実施例において、核内受容体に基づいた誘導性遺伝子発現系に使用する、本発明の新規置換変異グループH核内受容体ポリヌクレオチド及びポリペプチドを含む幾つかの遺伝子発現カセットの構築について記載する。出願人らは、トウヒノシントメハマキのコリストレウラ・フミフェラナ(Choristoneura fumiferana)EcR(「CfEcR」)を用いて遺伝子発現カセットを構築した。調製した受容体構築物は、EcR又はヒトRXRβ−LmRXRのキメラのいずれかのリガンド結合ドメインと、GAL4 DNA結合ドメイン(DBD)又はVP16トランス活性化ドメイン(AD)とを含む。レポーター構築物は、GAL4 DBDが結合するGAL4応答エレメントを含む合成プロモーター構築物に対して作動可能に連結されたレポーター遺伝子ルシフェラーゼを含む。これらの受容体及びレポーター構築物の種々の組み合わせを、下記の実施例2〜5に記載のように哺乳動物細胞に同時トランスフェクトした。
遺伝子発現カセット:
エクジソン受容体に基づいた遺伝子発現カセット(スイッチ)は、当技術分野において利用可能な標準的クローニング方法を使用し、以下の通り構築した。以下は、本明細書に記載した実施例に使用する各スイッチの調製及び組成に関する簡単な説明である。
1.1− GAL4CfEcR−DEF/VP16−βRXREF−LmRXREF:
トウヒノシントメハマキのコリストレウラ・フミフェラナEcR(「CfEcR−DEF」;配列番号21)をGAL4 DNA結合ドメインに融合し(「Gal4DNABD」又は「Gal4DBD」;配列番号6)、CMVプロモーターの制御下に配置した(配列番号2)。ヒトRXRβ由来のEFドメインのらせん体1〜8(「HsRXRβ−EF」;配列番号3のヌクレオチド1〜465)及びロカスタ・ミグラトリア(Locusta migratoria)のultraspiracleタンパク質のEFドメインのらせん体9〜12(「LmRXR−EF」;配列番号23のヌクレオチド403〜630)をVP16由来のトランス活性化ドメイン(「VP16AD」;配列番号12)に融合し、SV40eプロモーター(配列番号22)の制御下に配置した。5つのコンセンサスGAL4応答エレメント結合部位(「5XGAL4RE」;配列番号19を含むGAL4REの5コピーを含む)合成TATA最小プロモーターに融合し(配列番号24)、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に配置した(配列番号25)。
1.2− GAL4/変異CfEcR−DEF/VP16−βRXREF−LmRXREF:
この構築物は、野生型CfEcR−DEFが、下記の表4から選択される置換変異を含むリガンド結合ドメインを含む変異体CfEcR−DEFと置換されたこと以外は、上記のスイッチ1.1と同様に調製した。
表4.コリストレウラ・フミフェラナエクジソン受容体(「CfEcR」)リガンド結合ドメイン(LBD)の置換変異体。
置換変異を含むエクジソン受容体リガンド結合ドメインの構築:
EcRリガンド結合の解析を試みるにあたり、分子モデリング解析に基づきリガンド結合に重要であると予測されるEcRリガンド結合ドメインの残基を、3つの異なる生物体のクラス由来のEcRにおいて変異させた。表4は、CfEcR(鱗翅目EcR)のリガンド結合ドメインのアミノ酸残基を示し(配列番号1)、これを変異させ、エクジステロイド及び非エクジステロイド結合の変化を解析した。
表4の一覧表に記載された各アミノ酸置換変異は、PCRを用いた部位特異的変異導入により、EcR cDNAに導入した。作製した多くの単一の点変異に加えて、2種類の二重点変異CfEcR(一つは、V128F及びA110P置換(V128F/A110P)、もう一つはN119F及びV96T置換(N119F/V96T))を作製した。また3つの三重点変異体CfEcR(第一は、V107I、Y127E及びA110P置換(V107I/Y127E/A110P)、第二はV107I、Y127E及びT52V置換(V107I/Y127E/T52V)、第三はV107I及びY127E置換及びグリシン(G)挿入(V107I/YI27E/259G)(配列番号1))も作製した。
PCR部位特異的変異導入は、以下の反応条件及びサイクリング・パラメーターによりQuikchange部位特異的変異導入キット(Stratagene,La Jolla,CA)を使用して行った。PCR部位特異的変異導入は、1×反応緩衝液(同社の供給)、50ngのdsDNA鋳型、125ngのフォワードプライマー(FP)、125ngのリバース相補プライマー(RCP)及び1μLのdNTP配合(同社の供給)を使用し、最終50μLで行った。それぞれのEcR変異体を得るために使用したフォワードプライマー及びリバース相補プライマーを表5に示す。使用したサイクリング・パラメーターは、95℃ 30秒間の変性を1サイクル、続いて95℃ 30秒間の変性、55℃ 1分間のアニーリング、68℃ 22分間の伸長を16サイクルにて行った。
表5.CfEcRのリガンド結合ドメインの置換変異体の作製に用いたPCRプライマー。
次いで、生じる変異EcRリガンド結合ドメインをコードするPCR産物を、それぞれ上記の実施例1.2に記載のようにGAL4 DNA結合ドメインに連結した。GAL4/変異EcR受容体構築物は、種々のリガンドの存在下においてVP16/βRXREF−LmRXREF及びpFRLucと共にNIH3T3細胞内にトランスフェクトし、活性を試験した。
Gal4−CfEcR−DEF(VYG)変異体は、PCRを用い、EcR置換変異体V107I/Y127E[CfEcR(VY)]のC末端に余分のグリシンを挿入して作製した。主に以下の2工程で作製した:CfEcR−DEF(VYG)のPCR増幅工程;及びPCR増幅されたCfEcR−DEF(VYG)による、ベクターGAL4−CfEcR DEF(VY)pBIND1−9上のCfEcR(VY)の置換工程。CfEcR−DEF領域(余分のグリシンを含む)は、鋳型としてベクターGAL4−CfEcR DEF(VY)pBIND 1−9、及び以下のPCRプライマーを使用して増幅した。
5EcR−wt
GGAATTCCCGGGGATCCGGCCTGAGTGCGTAGTACCC(配列番号175)
3EcR−gly
CTCTCTGCGGCCGCCTATCCGAGATTCGTGGGGGACTCGAGGATAG(配列番号176)
PCR産物を単離して、NotI(3’末端の切断;3’側PCRプライマー中)及びXmaI(5’末端の切断;5’側PCRプライマー中)で処理した。この産物を、調製したベクターに以下のとおり結合した。すなわち、GAL4−CfEcR DEF(VY)pBIND 1−9をXmaI及びNotIで処理した(ベクターからCfEcR−DEF(VY)断片を分離)。生じた断片を1%アガロースゲルで分離し、より遅い移動度のベクターDNAを精製した。ベクター及び上記したCfEcR−DEF(VYG)断片とをライゲーションし、その後ライゲーション産物を用いて細菌を形質転換した。陽性コロニーを、前述のプライマーを使用したコロニーPCRにより選抜した。選抜されたクローンにおけるVYG変異をシーケンシングにより確認した。
<実施例2>
本実施例は、エクジステロイド(リガンド)に対する応答において、活性の増加を示す、エクジステロイドに感受性のCfEcRリガンド結合ドメインの置換変異体の同定に関する。エクジステロイドリガンドによる活性を増加させるCfEcRの置換変異を同定する試みにおいて、出願人らは、エクジステロイド結合のために重要であると予測されるアミノ酸残基を変異させ、部位特異的変異導入キットを使用し、PCRにより、上記の実施例1に記載のようなGAL4/変異体CfEcR−DEF cDNA遺伝子発現カセットを作製した。実施例において上で概説した種々のスイッチ構築物に対応する変異cDNA及び野生型cDNAを作製し、後述するようにGAL4駆動ルシフェラーゼレポーターッセイ法で試験した。
トランスフェクション:
DNAを、以下の通りにマウスNIH3T3細胞(ATCC)にトランスフェクトした:標準的な細胞の培養及び維持を行った。細胞を収集し、96ウェルプレートをプレートに、ウェルあたり2,500個の細胞にて、10%のウシ胎児血清(FBS)を含む50μLの増殖培地中に分配した。24時間後に、細胞をジメチルスルホキシド(DMSO;対照)又はリガンドのDMSO溶液のいずれかを含む35μLの無血清増殖培地で処置した。次いで、Superfect(商標)(Qiagen Inc.)トランスフェクション試薬を使用して細胞をトランスフェクトした。各ウェルに対して0.625μLのSuperfect(商標)を、14.2μLの無血清の増殖培地と共に混合した。次に0.16μgのレポーター構築物及び0.04μgのそれぞれの受容体構築物をトランスフェクション用混合試薬に添加した。トランスフェクション用混合試薬をボルテックスミキサーで混合し、室温に30分間静置させた。インキュベーション終了後、15μLのトランスフェクション混合物を細胞に添加した。これらの細胞を37℃、5%のCO2条件にて、5%のFBS中で48時間維持した。
リガンド:
エクジステロイドのリガンドであるポナステロンA及び20−ヒドロキシエクジソンは、Sigma Chemical社及びInvitrogen社から購入した。非エクジステロイドのジアシルヒドラジンリガンドであるN−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)−N’−(3,5−ジメチルベンゾイル)−N’−tert−ブチルヒドラジン(RG−102240、GS(登録商標)−E リガンド)は、Rohm and Haas社にて合成された安定なエクジエクジステロイド・リガンドである。非エクジステロイドのジアシルヒドラジンリガンドRG−101691、RG−102362、RG−115840、RG−115853、RG−115855、RG−115859及びRG−115898は、Rheo Gene社によって合成された。RG−101691、RG−102362、RG−115840、RG−115859及びRG−115898の合成は、下記のとおりである。RG−115853及びRG−115855の合成は、出願中の米国特許出願第10/775,883号に記載されている。非エクジステロイドのテトラヒドロキノリン・リガンドRG−120499及びRG−120500は、Rheo Gene社によって合成され、出願中の米国特許出願第10/460,820号に記載されている。全てのリガンドは、DMSOに溶解して用いた。
リガンド合成: 3,5−ジメチル−安息香酸N−tert−ブチル−N’−(3−エチル−2−メチル−ベンゾイル)−ヒドラジド(RG−101691)の調製
3−アミノ−2‐メチル安息香酸(6.16g)を濃HBr中で30分間還流させながら加熱した。混合物を0℃に冷却し、0℃にてNaNO
2の溶液(5.6mLのH
2Oに2.8g溶解)で処置した。生じるジアゾニウム塩溶液を、予熱(60〜70℃)したCuBr(3.8g)の3.2mLの濃HBr溶液に徐々に添加した。添加後、混合物を室温で一晩撹拌し、濾過した。回収した濾過ケークを最初に水、次いで10%のHClで洗浄し、空気中で乾燥させ、明るい紫色の粉末状固体として6.93gの3−ブロモ−2−メチル安息香酸を得た。この材料を酢酸エチルに溶解し、5%のHClで2回洗浄し、Na
2SO
4を通して乾燥させ、最初に室温、次いで冷蔵条件下にて4:1のヘキサン:酢酸エチルから再結晶させた。
1H NMR(DMSO,200MHz),δ(ppm):7.72(dd,2H),7.2(t,1H),2.5(s,3H)。
3−ブロモ−2−メチル安息香酸(7.03g、32.7mmol)を10mLのSOCl
2(98mmol)及びDMFの液滴により3時間還流した。過剰なSOCl
2を真空中で除去した。残渣を20mLのCH
2Cl
2に溶解し、2−アミノ−2−メチル−プロパン−1−オール(8.74g、9.36mL)の20mL CH
2Cl
2の氷冷溶液に添加した。混合物を室温で18時間撹拌し、溶媒を真空中で除去し、油性残渣を得た。SOCl
2(7.4mL、100mL、3eq.)を1時間にわたってこの残渣に添加し、混合物を更に30分撹拌し、次いで150mLのエーテルに添加した。油の存在しない相を形成させ、エーテル部分を除去した。油を100mLの20%のNaOH溶液と混合し、3×150mLのエーテル部分で抽出した。エーテル抽出物を回収し、MgSO
4を通して乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、黄色の油状物を得た。ヘキサン:エーテル(4:1)溶液を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーにより、無色油状物として4.87gの2−(3−ブロモ−2−メチル−フェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾールを得た。(Rf=0.25(ヘキサン:エーテル(4:1))。
1H NMR(CDCl
3,200MHz),δ(ppm):7.62(m,2H),7.1(t,1H),4.1(s,2H),2.6(s,3H),1.4(s,6H)。
2−(3−ブロモ−2−メチル−フェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール(3.4g、12.7mmol)を、マグネチックスターラー撹拌器、温度計及び還流冷却器を備えた100mLの丸底フラスコにおいて、窒素雰囲気下で30mLのエチルエーテルに溶解させた。Ni(dppp)Cl
2(100mg)を添加し、混合物を氷浴中で0℃に冷却した。エチルマグネシウムブロミド(5.5mL、3Mのエーテル溶液)を添加し、反応混合物を0℃で30分間、室温にて2時間半、最後に還流において2時間撹拌した。次いで、混合物を0℃に冷却し、飽和NH
4Cl溶液でクエンチングした。有機層を除去し、水層をエーテル抽出した。有機相を回収し、MgSO
4を通して乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、2.84gの2−(3−エチル−2−メチル−フェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾールを得た。
1H NMR(CDCl
3,200MHz),δ(ppm):7.5(d,2H),7.2(m,2H),4.1(s,2H),2.7(m,2H),2.45(s,3H),1.4(s,6H),1.2(t,3H)、Rf=0.25(ヘキサン:エーテル(4:1))、約5%のアリールブロミドを含む。オキサゾリンを100mLの6N HClに懸濁し、激しく撹拌しながら5時間還流した。混合物を室温にて冷却し、3−エチル−2−メチル安息香酸を結晶化させた:1.74g、m.p.96から98℃。
1H NMR(CDC1
3,200MHz),δ(ppm):7.85(d,1H),7.4(d,1H),7.22(t,1H),2.7(q,2H),2.6(s,3H),1.21(t,3H)。水相のエーテル抽出によって更に110mgを回収した。
3−エチル−2−メチル安息香酸(0.517g)を塩化チオニル中で数時間3mLのDMFの液滴により還流した。塩化チオニルを真空中で除去し、0.89g(4.48mmol)の3−エチル−2−メチルベンゾイルクロライドを得た。酸クロリドを5mLのCH2Cl2に溶解し、徐々に、5mLのNaOH水溶液(0.30g、7.5mmol)と同時に、しかし別々に、−5℃に予備冷却した10mLのCH2Cl2に3,5−ジメチル−安息香酸N−tert−ブチル−ヒドラジド(0.96g、4.36mmol)を溶解させた溶液に添加した。添加の間、温度を5℃以下に維持した。混合物を徐々に室温まで加温し、一晩撹拌した。有機層を除去し、水層をCH2Cl2で抽出した。有機抽出物を回収し、乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、1.5gの粗生成物を得た。この残渣を還流下で100mLのヘキサンで抽出し、加熱抽出物を油状残渣からデカントし、室温にて冷却し、3,5−ジメチル−安息香酸N−tert−ブチル−N’−(3−エチル−2−メチル−ベンゾイル)−ヒドラジドを結晶化させた(0.56g,m.p.167から169℃,1H NMR(CDCl3,200MHz),δ(ppm):7.43(s,1H),7.18(m,1H),7.1(s,2H),7.03(s,1H),7.0(m,1H),6.35(d,1H),2.58(q,2H),2.3(s,6H),1.95(s,3H),1.6(s,9H),1.15(t,3H)。油状残渣の溶解及び結晶化により、十分純粋でない二次生成物を得た(0.21g)。
3,5−ジメチル−安息香酸N−tert−ブチル−N’−(3−イソプロピル−2−メチル−ベンジル)−ヒドラジド(RG−102362)の調製
マグネチックスターラーを備え、窒素雰囲気下で乾燥させた3首の250mL丸底フラスコに5.0gの2−(3−ブロモ−2−メチル−フェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール、60mLのTHF無水物及び100mgのNi(dppp)Cl
2を充填した。混合物を15℃に冷却し、イソプロピルマグネシウムクロライド(11mL、2Mのエチルエーテル溶液)を添加した。軽く発熱し、混合物がわずかに暗色化した。室温で一晩撹拌して反応させ、このとき
1H NMRは、50%完了を示した。約75mgのNi(dppp)Cl
2の添加、及び3時間の還流により、反応を更に進行させなかった。混合物を15℃に冷却し、更に13mLのイソプロピルマグネシウムクロライド(2Mのエチルエーテル溶液)及び100mgのニッケル触媒を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応を飽和NH
4Cl水溶液でクエンチングし、有機層を除去し、水層を抽出し、有機相を回収し、乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、黄色の油状物として3.84gの粗生成物を得た。溶出剤としてヘキサン:エーテル(4:1)混合液を使用したシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより、無色油状物として0.79gの2−(3−イソプロピル−2−メチル−フェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾールを得た。
1H NMR(CDCl
3,200MHz),δ(ppm):7.5(d,1H),7.37(d,1H),7.22(t,1H),4.13(s,2H),3.23(m,1H),2.5(s,3H),1.45(s,6H),1.22(d,6H)。オキサゾリンを34mLの6N HClに懸濁し、油浴中で6時間還流した。混合物を冷却し、CH
2Cl
2で抽出した。抽出物をNa
2SO
4を通して乾燥させ、0.76gの3−イソプロピル−2−メチル−安息香酸を得た(次の工程に最適な程度で純粋)。
1H NMR(CDC1
3,300MHz),δ(ppm):7.8(d,1H),7.48(d,1H),7.3(t,1H),3.3(m,1H),2.55(s,3H),1.2(d,6H)。
3−イソプロピル−2−メチル安息香酸(0.75g)を、約3mLの塩化チオニル中でDMFの液滴を行いながら数時間還流し、塩化チオニルを真空中で除去して、3−イソプロイル−2−メチル−ベンゾイルクロライドを得た。酸クロリドを5mLのCH2Cl2に溶解し、徐々に、5mLのNaOH水溶液(0.265g、6.6mmol)と同時に、しかし別々に、事前に−5℃に冷却した10mLのCH2Cl2に3,5−ジメチル−安息香酸N−tert−ブチル−ヒドラジド(0.973g、4.4mmol)を溶解させた溶液に添加した。添加の間、温度を5℃以下に保持した。混合物を徐々に室温まで加温し、一晩撹拌した。有機層を除去し、水層をCH2Cl2で抽出した。有機抽出物を回収し、乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、黄色の油状物として1.61gの粗生成物を得た。この材料を、ヘキサン:酢酸エチル(4:1)を溶出剤として使用してシリカゲルでクロマトグラフし、その後、60℃の真空オーブン中でエーテルを困難の末除去した後、ヘキサン:エーテル(1:1)を除去して粉末にし、3,5−ジメチル−安息香酸N−tert−ブチル−N’−(3−イソプロイル−2−メチル−ベンゾイル)−ヒドラジドを得た。1H NMR(CDC13,200MHz),δ(ppm):7.6(s,1H),7.25(d,1H),7.1(s,2H),7.05(s,1H),7.0(m,1H),6.3(d,1H),3.1(m,1H),2.3(s,6H),1.95(s,3H),1.6(s,9H),1.18(m,6H)。
3,5−ジメチル−安息香酸N’−(5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニル)−N−(1−エチル−2,2−ジメチル−プロピル)−ヒドラジド(RG−115858)の調製
2.38g(18mmol)のt−ブチルカルバザートを250mLの丸底フラスコ内で50mLのCH
2Cl
2に溶解し、0℃に冷却した。K
2CO
3水溶液(4.15gのK
2CO
3/35mLのH
2O)を調製し、反応混合物に添加し、これを0℃に再び冷却した。3.63g(16mmol)の5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニルクロライドを、40mLのCH
2Cl
2に溶解し、分液漏斗から15分以上にわたって液滴で添加した。反応混合物を室温で3日間撹拌した。反応混合物をCH
2Cl
2及びH
2Oと共に分液漏斗へ移した。水相をCH
2Cl
2で完全に抽出した。次いで、CH
2Cl
2抽出物を0.5N HClで抽出し、乾燥させ、蒸発させた。残渣を真空オーブン中で更に乾燥させ、5.15gの褐色固体のN’−(5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニル)−ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルエステルを得た。TLC(酢酸エチル:ヘキサン(1:1))により、Rf=0.43の単一スポットを得、NMRでは非常に純粋な生成物として示された:
1H NMR(CDCl
3,500MHz)δ(ppm):7.5(br,1H),7.0(br,1H),6.75(d,2H),4.28(br,4H),2.76(m,2H),1.5(s,9H),1.18(t,3H)。
5.15g(16mmol)のN’−(5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニル)−ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルエステルを200mLの丸底フラスコに添加した。約20mLのトリフルオロ酢酸を添加し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、約40mLの水を添加し、酸が中和される(pH〜14)まで撹拌しながら冷却10% NaOH/H
2Oを徐々に添加した。反応混合物を分液漏斗へ移し、穏やかに振盪しながら酢酸エチルで抽出した(注意:気体発生)。酢酸エチル抽出物を乾燥させ、蒸発させ、5.51gの弱い粘稠性の黄色の半固体を得た。次いで、材料を50℃の真空オーブン内に約1時間置き、4.62gの5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸ヒドラジドを得た。t−Boc切断は純粋なトリフルオロ酢酸で最も好適に進行し、一方純粋でない溶媒を使用すると常に非常に低い収率であった。
1H NMR(CDC1
3,500MHz)δ(ppm):7.0(br,1H),6.83(m,1H),6.71(m,1H),4.28(br s,4H),2.76(m,2H),1.6(br,2H),1.17(t,3H)。
1.12g(5.1mmol)の5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸ヒドラジド、1.37g(12mmol)の2,2−ジメチルペンタノン−3、30mLのエタノール及び20滴の氷酢酸を6時間還流し、5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸(1−エチル−2,2−ジメチル−プロピリデン)−ヒドラジドを生成させ、これをin situで使用した。冷却した反応混合物に、3mLの氷酢酸及び0.63g(10mmol)のNaCNBH
3を添加した。反応を室温で24時間撹拌した。25mLの水を添加し、大部分のアルコールを回転乾燥機で除去した。次いで、10%のNaOH/H
2Oを、反応混合物が塩基性になるまで添加した。生成物を酢酸エチルで抽出し、次いでこれを乾燥させ、蒸発させ、1.61gの残渣を得た。25%の酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーにより、純粋な5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸N’−(1−エチル−2,2−ジメチル−プロピル)−ヒドラジド(約0.77g)を得た。TLC:Rf=0.53、酢酸エチル:ヘキサン(1:1))。
1H NMR(CDC1
3,500MHz)δ(ppm):7.1(br s,1H),6.8(d,1H),6.7(d,1H),4.27(m,4H),2.8(m,2H),2.4(m,1H),1.7(m,1H),1.3(m,1H),1.2(t,3H),1.15(t,3H),0.97(s,9H)。
0.214g(0.70mmol)の5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸N’−(1−エチル−2,2−ジメチル−プロピル)−ヒドラジド、151mg(0.9mmol)の3,5−ジメチルベンゾイルクロライド、7mLの25% K2CO3/H2O及び7mLのCH2Cl2を20mLのバイアルに添加し、室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗へ移し、薄いNaHCO3及びCH2Cl2を添加した。CH2Cl2層を分離して、水層をCH2Cl2で2回抽出した。CH2Cl2抽出物を、MgSO4を通して乾燥させ、蒸発させ、0.59gの白い残渣を得た。カラムクロマトグラフィー及び15mLの20%の酢酸エチル/ヘキサンでの溶出による精製により、約350mgの3,5−ジメチル−安息香酸N’−(5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニル)−N−(1−エチル−2,2−ジメチル−プロピル)−ヒドラジドを得た(TLCによって95%純粋:Rf=0.56、酢酸エチル:ヘキサン(1:1))。1H NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm):7.05(s,1H),7.0(s,2H),6.6(d,1H),6.27(d,1H),4.65(d,1H),4.25(s,4H),2.9(m,1H),2.3(s,6H),2.0(m,1H),1.55−1.7(m,2H),1.25(m,3H),0.9−1.2(3s,9H),0.9(t,3H)。
3,5−ジメトキシ−4−メチル−安息香酸N−(1−tert−ブチル−3,4,4−トリメチル−ペント−2−エニル)−N’−(5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニル)−ヒドラジド(RG115898)の調製
2.38g(18mmol)のt−ブチルカルバザートを250mLの丸底フラスコ内の50mLのCH
2Cl
2に溶解して、0℃に冷却した。K
2CO
3水溶液(4.15gのK
2CO
3/35mLのH
2O)を調製し、反応混合物に添加し、これを0℃に再び冷却した。3.63g(16mmol)の5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニルクロライドを40mLのCH
2Cl
2に溶解して、分液漏斗から、15分以上にわたって液滴で添加した。反応混合物を室温で3日間撹拌した。反応混合物をCH
2Cl
2及びH
2Oと共に分液漏斗へ移した。水相をCH
2Cl
2で完全に抽出した。次いで、CH
2Cl
2抽出物を0.5N HClで抽出し、乾燥させ、蒸発させた。残渣を真空オーブン中で更に乾燥させて、5.15gの褐色固体のN’−(5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニル)−ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルエステルを得た。TLC(酢酸エチル:ヘキサン(1:1))により、Rf=0.43の単一スポットを得て、NMRでは、非常に純粋な生成物を示した。
1H NMR(CDCl
3,500MHz)δ(ppm):7.5(br,1H),7.0(br,1H),6.75(d,2H),4.28(br,4H),2.76(m,2H),1.5(s,9H),1.18(t,3H)。
5.15g(16mmol)のN’−(5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニル)−ヒドラジンカルボン酸tert−ブチルエステルを200mLの丸底フラスコに添加した。約20mLのトリフルオロ酢酸を添加して、反応混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、約40mLの水を添加し、続いて、酸が中和される(pH〜14)まで、撹拌しながら冷却10%のNaOH/H
2Oをゆっくりと添加した。反応混合物を分液漏斗へ移して、穏やかに振盪することによって酢酸エチルで抽出した(注意:気体発生)。酢酸エチル抽出物を乾燥させて、蒸発させ、5.51gの弱い粘稠性の黄色の半固体を得た。次いで、材料を50℃の真空オーブン内に約1時間置き、4.62gの5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸ヒドラジドを得た。t−Boc切断は、純粋なトリフルオロ酢酸で最高に達成され、付随した溶媒を使用すると、常に非常に低い収率を生じた。
1H NMR(CDC1
3,500MHz)δ(ppm):7.0(br,1H),6.83(m,1H),6.71(m,1H),4.28(br s,4H),2.76(m,2H),1.6(br,2H),1.17(t,3H)。
2,2,5,6,6−ペンタメチル−ヘプト−4−エン−3−オン(1.48g、8.1mmol)をn−ブチルアルコール(20mL)に溶解した。次いで、5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸ヒドラジド(1.80g、8.1mmol)及び10滴の氷酢酸を添加した。反応混合物を20時間還流して完全に反応させ、TLCによってモニターした。中間体5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸(1−tert−ブチル−3,4,4−トリメチル−ペント−2−エニリデン)−ヒドラジドに、1.8mLの氷酢酸及び1.02g(16.2mmol)のナトリウムシアノボロハイドライドを添加した。反応を3時間還流した。反応を冷却し、反応が塩基性(pH=約14)になるまで、50mLの10%NaOH水溶液を添加した。大部分のアルコールを回転乾燥機で除去し、残渣をEtOAcで抽出した。水抽出液を乾燥させて、一定重量となるまで濃縮し、4gの粘稠な物質を得た。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより、2.3gの純粋な5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸N’−(1−tert−ブチル−3,4,4−トリメチル−ペント−2−エニル)−ヒドラジドを得た(黄色の油状物、R
f=0.30、25%のEtOAcのn−ヘキサン溶液、収量73%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ(ppm):7.42(br,1H),6.80(d,J=8.4Hz,1H),6.71(d,J=8.4Hz,1H),6.17(br,1H),5.30(dd,J=0.8,10Hz,1H),4.33−4.29(m,4H),3.68(d,J=10Hz,1H),2.80(m,2H),1.72(s,3H),1.21(s,3H),1.12(s,9H),1.05(s,9H)。
5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボン酸N’−(1−tert−ブチル−3,4,4−トリメチル−ペント−2−エニル)−ヒドラジド(150mg、0.39mmol)及び3,5−ジメトキシ−4−メチルベンゾイルクロライド(83mg、0.39mmol)を5mLのCH2Cl2に溶解した。5mLの25% K2CO3を添加し、反応混合物を室温にて一晩撹拌した。反応をTLCによりモニターした。相を分離し、操作を補助するために更にCH2Cl2及び/又は水を添加した。CH2Cl2層を乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、210mgの粗生成物を形成させた。この材料をシリカゲルカラムクロマトグラフィによって10〜25%の酢酸エチルのヘキサン溶液の濃度勾配により溶出させて精製し、3,5−ジメトキシ−4−メチル−安息香酸N−(1−tert−ブチル−3,4,4−トリメチル−ペント−2−エニル)−N’−(5−エチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−カルボニル)−ヒドラジドRG115898を得た(83mg、Rf=0.19の25%酢酸エチルのn−ヘキサン溶液、収率38%)。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ(ppm):10.19(s,1H),6.75(d,J=8.0Hz,1H),6.69(s,2H),6.61(d,J=8.0Hz,1H),5.43(d,J=10.0Hz,1H),5.41(d,14.4Hz,1H),4.30−4.20(m,4H),3.80(s,6H),2.21−2.15(m,1H),2.01(s,3H),1.81(m,1H),1.76−1.64(m,1H),1.06(s,9H),1.00(s,9H),0.70(t,J=7.6Hz,3H)。
3,5−ジメチル−安息香酸N−(1−tert−ブチル−ペンチル)−N’−(4−エチル−ベンゾイル)−ヒドラジド(RG−115840)の調製
2,2−ジメチル−ヘプタン−3−オール(0.23mol)を、マグネチックスターラーを用いて500mLの丸底フラスコ内の350mLのCH
2Cl
2に溶解した。フラスコを氷で部分的に冷却した。76.6g(0.355mol)のピリジニウムクロロクロマートを添加し、激しく撹拌した。反応物が黒く変色し、温度が若干上昇した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶液を黒いスラリーからデカントして分離し、更にヘキサンですすいだ。有機抽出物を回収し、シリカゲルで直接クロマトグラフした。(注:シリカだけが、還元された未反応のクロム化合物をトラップし、除去することを見いだした)。生成物の2,2−ジメチル−ヘプタン−3−オンをCH
2Cl
2/ヘキサンで溶出し、その後10%の酢酸エチル/ヘキサンに分取し、88%の収率で29.19gの生成物を得た。
1H NMR(CDCl
3,500MHz)δ(ppm):2.48(t,2H),1.54(m,2H),1.28(m,2H),1.13(s,9H),0.90(m,3H)。
4−エチル−安息香酸N’−(1−tert−ブチル−ペンチル)−ヒドラジドの調製
4−エチル−安息香酸ヒドラジド(1.64g、10mmol)を12.5mLのメタノールに溶解した。次いで、1滴の酢酸、及び1.55gの2,2−ジメチル−ヘプタン−3−オンを添加した。混合物を室温で数日間撹拌し、その際2.1mLの酢酸及び667mgのNaBH
3CNを添加した。約7時間の撹拌後、メタノールを真空中で除去した。残留する生成物を約20mLの水で希釈し、塩化メチレンで抽出した。抽出物を、MgSO
4を通して乾燥し、固体から濾過し、溶媒を真空中で除去し、1.8gの粗生成物を形成させた。この材料を、100%のヘキサン〜100%のエチルエーテル勾配で溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。4−エチル−安息香酸N’−(1−tert−ブチル−ペンチル)−ヒドラジドを45%の収率(1.32g)で回収した。
4−エチル−安息香酸N’−(1−tert−ブチル−ペンチル)−ヒドラジド(145.2mg、0.5mmol)を5mLの塩化メチレンに溶解し、1.5mmolのPS−NMM(804mg、a−SO2NH(CH2)3−モルホリンで官能性をもたせた、Argonaut Technologies社より入手可能なポリスチレン樹脂)を添加した。混合物を3mlの塩化メチレンで希釈し、撹拌可能な懸濁液を作製した。3,5−ジメチルベンゾイル塩化物(0.5mmol、74mL)を添加し、混合物を一晩撹拌した。次の日、1mmol(775mg)のAP−NCO樹脂(Argonaut Technologies社から入手可能なイソシアネート官能性をもたせた樹脂)及び1mmol(401.6mg)のAP−トリスアミン(Argonaut Technologies社から入手可能なポリスチレン−CH2NHCH2CH2NH(CH2CH2NH2)2樹脂)を3mLの塩化メチレンと共に添加し、残りの出発材料を除去した。混合物を4時間撹拌し、樹脂を濾過により除去し、濾液を乾燥させて、191mgの粗生成物を形成した。TLC解析の結果、1点を示した。この材料を、100%のヘキサン−100%のエチルエーテルの濃度勾配にて、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィにより精製した。収率:50mg(約23%)3,5−ジメチル安息香酸N−(1−tert−ブチル−ペンチル)−N’−(4−エチル−ベンゾイル)−ヒドラジド。1H NMR(CDCl3,400MHz)δ(ppm):7.8+7.5(br/br,1H),7.4−6.9(m,7H),4.7+3.6(m/m,1H),2.65(m,2H),2.38+2.28(s/s,6H),1.9+1.75(br,2H),1.4−1.2(br,m,7H),1.1(br s,9H),0.95(br s,3H)。
レポーターッセイ:
リガンド添加後、40時間において細胞を収集した。125μLの受動溶解バッファー(Promega社からのDual−luciferase(登録商標)レポーターッセイ系の一部)を24ウェル・プレートの各ウェルに添加した。プレートを回転振盪機上に15分間置いた。20μLの溶解液をアッセイした。ルシフェラーゼ活性は、Promega社のDual−luciferase(登録商標)レポーターッセイ系のプロトコルに従い測定した。活性比(FI)は、リガンド処置した細胞における比較光量単位(RLU)をDMSO溶液で処置した細胞(未処置の対照)のRLUで除算することにより算出した。
<実施例3>
本実施例において、エクジステロイドに反応して活性増加を示す、エクジステロイド応答性CfEcRリガンド結合ドメインの置換変異体の同定について開示する。CfEcRのエクジステロイドによる活性を増加させる置換変異を同定する試みにおいて、出願人らは、部位特異的変異導入キットを使用してPCRにより、上記の実施例1に記載されているようにアミノ酸残基を変異させ、GAL4/変異体CfEcR−DEF cDNA遺伝子発現カセットを作製した。実施例1.1及び1.2において開示した種々のスイッチ構築物に対応する変異cDNA及び野生型cDNAを作製し、実施例2に開示のようにGAL4駆動ルシフェラーゼレポーターッセイ法により試験した。
置換により、エクジステロイドリガンド応答活性が増加した変異エクジソン受容体を生じる、特定のアミノ酸残基が同定された。表6に、配列番号1のアミノ酸残基119の置換による、変異CfEcR−DEF受容体の活性への効果を、Gal4/野生型CfEcR−DEF(WT)スイッチ活性に対する倍数として示す。表7に、配列番号1のアミノ酸残基96のアミノ酸置換、並びにアミノ残基96及び119の二重アミノ酸置換の、変異CfEcR−DEF受容体の活性への効果を、EC50及び最大誘導倍数(FI)として示す。EC50は、3パラメーターの論理モデルを使用し、用量反応のデータから算出した。最大FIは、ある濃度のGS(登録商標)−Eリガンド(RG−102240;3,5−ジメチル安息香酸N−tert−ブチル−N’−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)−ヒドラジド)による最大誘導倍数と比較した、ある濃度の試験リガンド(本発明の態様)による最大誘導倍数として算出した。
表6.エクジステロイド活性の増加を示すCfEcR−DEF変異体。表中の数値は、野生型に対する増加率を表す。
表7.エクジステロイド活性の増加を示すCfEcR−DEF変異体。
表6及び7に示したように、エクジステロイドの活性は、CfEcRリガンド結合ドメインを配列番号1のアミノ酸残基96又は119にて変異させたとき、並びに配列番号1のアミノ酸残基96及び119にて二重変異させたとき、有意に増加し、これらの残基がCfEcRのリガンド結合ポケットにおいて重要な残基であることが示された。
<実施例4>
本実施例において、ジアシルヒドラジンリガンド応答活性の増加を示し、更に非エクジステロイドジアシルヒドラジン応答性の、CfEcRリガンド結合ドメイン置換変異体の同定について開示する。ジアシルヒドラジンリガンド活性を増加させるCfEcRの置換変異を同定する試みにおいて、出願人らは、部位特異的変異導入キットを使用し、PCRにより上記の実施例1に記載のように、エクジステロイドの結合に重要と予測されるアミノ酸残基を変異させ、GAL4/変異体CfEcR−DEF cDNA遺伝子発現カセットを作製した。実施例1.1及び1.2において記載した種々のスイッチ構築物に対応する変異cDNA及び野生型cDNAを作製し、実施例2に記載のようにGAL4駆動ルシフェラーゼレポーターッセイ法により試験した。
置換により、非エクジステロイドリガンド応答活性の増加を示す変異体エクジソン受容体を生じる、特定のアミノ酸残基を同定した。配列番号1のアミノ酸残基48、52、54、109、110、125、132及び223のアミノ酸置換、並びに配列番号1のアミノ酸残基52及び110の二重置換の、変異CfEcR−DEF受容体の活性に対する効果を表4a及び4bに、EC50及び最大誘導倍数として示してある。EC50は、3−パラメーターの論理的モデルを使用して、用量反応のデータから算出した。相対的な最大FIは、任意の濃度にて観察されたGS(登録商標)−Eリガンド(3,5−ジメチル安息香酸N−tert−ブチル−N’−(2−エチル−3−メトキシベンゾイル)−ヒドラジド)の最大誘導倍数と比較した、任意の濃度にて観察される試験リガンド(本発明の態様)の任意の濃度にて観察された最大誘導倍数として決定した。
表8.ジアシルヒドラジンリガンド活性の増加を示すCfEcR変異体。
表9.ジアシルヒドラジンリガンド活性の増加を示すCfEcR変異体。
表8及び9に示すように、CfEcRリガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸残基48、52、54、109、110、125、132及び223にて変異させたとき、並びに配列番号1のアミノ酸残基52及び110にて二重変異させたときに、ジアシルヒドラジンによる活性が有意に増加し、これらの残基がCfEcRのリガンド結合ポケットにおいて重要な残基であることが示された。
<実施例5>
本実施例において、ジアシルヒドラジンリガンド及びエクジステロイド応答活性の増加を示す、ジアシルヒドラジン及びエクジステロイド応答性である、CfEcRリガンド結合ドメイン置換変異体の同定に関して開示する。ジアシルヒドラジンリガンド活性及びエクジステロイドリガンド活性を増加させるCfEcRの置換変異を同定する試みにおいて、出願人らは、部位特異的変異導入キットを使用し、PCRにより、上記の実施例1に記載のようにアミノ酸残基を変異させ、GAL4/変異体CfEcR−DEF cDNA遺伝子発現カセットを作製した。実施例1.1及び1.2において記載した種々のスイッチ構築物に対応する変異cDNA及び野生型cDNAを作製し、実施例2に記載のようにGAL4駆動ルシフェラーゼレポーターアッセイ法により試験した。配列番号1のアミノ酸残基109、132、238のアミノ酸置換又は配列番号1のアミノ酸残基52、107及び127の置換、又は配列番号1の107、127及び終わりのグリシン付加による、変異CfEcR−DEF受容体の活性に対する効果を表10に示す。
表10.ジアシルヒドラジン及びエクジステロイド活性の増加を示すCfEcR変異体。
表5に示したように、CfEcRリガンド結合ドメインは、アミノ酸残基48、51、52、54、96、120、125、128、132、234及び238に変異を導入したとき、ジアシルヒドラジン及びエクジステロイド活性が増加し、これらの残基がCfEcRのリガンド結合ポケットにおいて重要な残基であることが示された。
<実施例6>
本実施例において、ジアシルヒドラジン及びテトラヒドロキノリンリガンド応答活性の増加を示す、ジアシルヒドラジン及びテトラヒドロキノリン応答性の、CfEcRリガンド結合ドメイン置換変異体の同定について開示する。ジアシルヒドラジンリガンド活性及びテトラヒドロキノリンリガンド活性を増加させるCfEcRの置換変異を同定する試みにおいて、出願人らは、部位特異的変異導入キットを使用して、PCRにより、実施例1に記載のように、予測されるアミノ酸残基を変異させ、GAL4/変異体CfEcR−DEF cDNA遺伝子発現カセットを作製した。実施例1.1及び1.2において記載した種々のスイッチ構築物に対応する変異cDNA及び野生型cDNAを作製し、実施例2に記載のようにGAL4駆動ルシフェラーゼレポーターッセイ法により試験した。配列番号1のアミノ酸残基107、110及び127の三重変異、並びに配列番号1の107及び127の二重変異の、変異CfEcR−DEF受容体の活性に対する効果を表11に示す。
表11.ジアシルヒドラジン及びテトラヒドロキノリン活性の増加を示すCfEcR変異体。
表6に示したように、CfEcRリガンド結合ドメインは、アミノ酸残基107、110及び127、並びに107及び127にて変異導入されたとき、非エクジステロイド、ジアシルヒドラジン及びテトラヒドロキノリン活性の両方を増加させ、これらの残基がCfEcRのリガンド結合ポケットにおいて重要な残基であることが示された。
<実施例7>
表12は、種々の濃度のジアシルヒドラジンGS(商標)−Eリガンド及びDMSO対照を用いた、種々のCfEcR変異体の最大誘導倍数への効果を示す。
表12.ジアシルヒドラジンGS(商標)−Eリガンド及びDMSO対照を用いた、CfEcR変異体の最大誘導倍数への効果。
<実施例8>
本実施例において、ジアシルヒドラジンリガンド応答活性の減少を示す、CfEcRリガンド結合ドメイン置換変異体の同定に関して開示する。ジアシルヒドラジンリガンド活性を減少させるCfEcRの置換変異を同定する試みにおいて、出願人らは、部位特異的変異導入キットを使用し、PCRによって実施例1に記載のように、ジアシルヒドラジン結合において重要と予測されるアミノ酸残基を変異導入し、GAL4/変異体CfEcR−DEF cDNA遺伝子発現カセットを作製した。実施例1.1及び1.2において記載した種々のスイッチ構築物に対応する変異cDNA及び野生型cDNAを作製し、実施例2に記載のようにGAL4駆動ルシフェラーゼレポーターッセイ法により試験した。配列番号1のアミノ酸残基48、51、52、54、92、95、96、109、120、125、219、223、234又は238のアミノ酸置換による、変異CfEcR−DEF受容体の活性に対する効果を表13及び14に示す。
表13.ジアシルヒドラジン活性の減少を示すCfEcR変異体。
表14.ジアシルヒドラジン活性の減少を示すCfEcR変異体。
表13及び14に示したように、CfEcRリガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸残基48、51、52、54、92、95、96、109、120、125、219、223、234又は238にて変異導入されたとき、ジアシルヒドラジンによる活性が有意に減少し、これらの残基がCfEcRのリガンド結合ポケットにおいて重要な残基であることが示された。
<実施例9>
本実施例において、一般にテトラヒドロキノリンリガンド応答活性の増加を示す、テトラヒドロキノリン応答性であるCfEcRリガンド結合ドメイン置換変異体の同定に関して開示する。テトラヒドロキノリンリガンド活性を増加させるCfEcRにおける置換変異を同定する試みにおいて、出願人らは、部位特異的変異導入キットを使用し、PCRにより、実施例1に記載のように、特定のアミノ酸残基を変異導入し、GAL4/変異体CfEcR−DEF cDNA遺伝子発現カセットを作製した。上記実施例1.1及び1.2において記載した種々のスイッチ構築物に対応する変異cDNA及び野生型cDNAを作製し、実施例2に記載のようにGAL4駆動ルシフェラーゼレポーターッセイ法により試験した。配列番号1のアミノ酸残基110若しくは128のアミノ酸置換又は配列番号1のアミノ酸残基110及び128の二重アミノ酸置換の、変異CfEcR−DEF受容体の活性に対する効果を表15に示してある。
表15.テトラヒドロキノリン活性の増加を示すCfEcR変異体。
表15に示すように、CfEcRリガンド結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸残基110若しくは128にて変異導入されたとき、又は配列番号1のアミノ酸残基110及び128にて二重変異されたとき、テトラヒドロキノリンの活性が有意に増加した。これらの残基がCfEcRのリガンド結合ポケットにおいて重要な残基であることが示された。
<実施例10>
本実施例において、ジアシルヒドラジンリガンドの濃度に応じて応答する、CfEcRリガンド結合ドメイン置換変異体の同定に関して開示する。これらの変異体は、ジアシルヒドラジン活性の減少を示し、特定のジアシルヒドラジンリガンドに対して特異的に応答する。CfEcRの置換変異を同定する試みにおいて、出願人らは、部位特異的変異導入キットを使用し、PCRにより、実施例1に記載のように、特定のアミノ酸残基を変異導入し、GAL4/変異体CfEcR−DEF cDNA遺伝子発現カセットを作製した。上記実施例1.1及び1.2において記載した種々のスイッチ構築物に対応する変異cDNA及び野生型cDNAを作製し、実施例2に記載のようにGAL4駆動ルシフェラーゼレポーターッセイ法により試験した。配列番号1のアミノ酸残基52、95、109、125又は132のアミノ酸置換の、変異CfEcR DEF受容体の活性に対する効果を表16及び17に示す。
表16.ジアシルヒドラジンRG−115855に応答するジアシルヒドラジン活性の減少及び増加を示すCfEcR変異体。
表17.その他のジアシルヒドラジンに応答するRG−102240ジアシルヒドラジン活性の減少及び増加を示すCfEcR変異体。
表16及び17に示したように、CfEcRリガンド結合ドメインは配列番号1のアミノ酸残基52、95、109、125又は132にて変異導入されたとき、ジアシルヒドラジンの活性が特異的に影響を受け、これらの残基がCfEcRのリガンド結合ポケットの重要な残基であることが示された。
本発明は、本明細書に記載された特定の態様による範囲に限定されるわけではない。実際に、本明細書に記載したものに加えて、本発明の種々の変更が、前述の明細書及び添付の図面から当業者に明らかとなる。このような変更は、当然ながら添付の特許請求の範囲内である。
所与の核酸又はポリペプチドに関して、全ての塩基サイズ若しくはアミノ酸サイズ、及び全ての分子量若しくは分子重量は概算としての数値であり、明細書の記載ために便宜上示してあることが更に理解されるであろう。