JP5346649B2 - 時効後の耐クリープ性にすぐれたNb含有オーステナイト系耐熱鋼 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、鋳造後の高温加熱時にシリサイドの生成が可及的に抑制されるNb含有オーステナイト系耐熱鋼を提供することである。
P=28.2×C+4.06×Si+0.49×Cr+0.28×Ni+6.21×Nb-48.3×(Ce+La+Nd)
で表されるパラメータPの値が30〜43の範囲である。なお、上記式中、各元素の数値は質量%である。
本発明の鋳鋼品を構成する耐熱鋼の成分限定理由は次の通りである。なお、「%」は、全て質量%で表している。
Cは、凝固時において、結晶粒界に炭化物としてCr7C3やNbCを形成してクリープ破断強度を高める。900℃以上の高温用途でのクリープ破断強度を確保するために、0.3%以上は必要である。0.7%を超えると室温引張延性の低下が大きくなるため、上限を0.7%に規定する。なお、Cの含有量は、0.4〜0.6%がより望ましい。
Siは溶鋼の流動性を高め、耐浸炭性を向上させる元素である。Siは、含有量の増加と共に耐浸炭性の向上に有効であるが、含有量があまり多くなると、高温使用中にシリサイドの生成を助長し、クリープ伸びを増大させるため、2.5%を上限とする。なお、Siの含有量は、1.0〜2.0%がより望ましい。
MnはSを固定して溶接性を向上させる。また、Siと同様に脱酸作用を有する。Mnが2.5%を超えると高温でのクリープ破断強度が低下するため、上限を2.5%にする。なお、Mnの含有量は、0.8〜1.6%がより望ましい。
Crは、含有量の増加と共に耐酸化性が向上する。900℃以上の使用温度において耐酸化性を確保するためには少なくとも23%以上含有させる必要がある。一方、含有量が40%を超えるとクリープ伸びが増大するため、上限を40%に規定する。なお、Crの含有量は23〜35%がより望ましい。
Niはオーステナイト相を安定にし、耐酸化性及び高温強度を向上させる。900℃以上の使用温度を考慮すると、少なくとも23%以上含有させる必要がある。しかし、50%を超えて含有しても高温強度の向上は望めないため、50%を上限とする。なお、Niの含有量は28〜45%がより望ましい。
Nbは、クリープ破断強度の向上に寄与するので、少なくとも0.1%以上含有させる。一方、Nbは、含有量が多くなると、高温においてシリサイド生成に関与して、クリープ破断強度の低下及びクリープ伸びの増加につながるので上限を1.5%に規定する。なお、Nbの含有量は0.5〜1.5%がより望ましい。
希土類元素とは、周期律表のLaからLuに至る15種類のランタン系列に、YとScを加えた17種類の元素を意味するが、本発明の耐熱鋼に用いる希土類元素は、Ce、La、Ndが主体であり、これら3元素が約80%以上を占め、好ましくは約90%以上を占める。
Ce、La、Ndは、高温においてNiやSiの粒界への移動を抑制する働きがあり、これによってNb−Ni−Si系シリサイドの生成が抑制される。この効果を得るために、Ce、La、Ndを主体として含む希土類元素を0.06%以上含有させる。しかし、0.4%を超えて含有すると、クリープ伸びの増加を招く。また、鋳造時に酸化物を生成して鋼の清浄度を大きく低下させることになる。このため、上限は0.4%とする。
Wはマトリックスに固溶してクリープ破断強度の向上に寄与するので、必要に応じて含有させることができる。なお、含有量が3.0%を超えるとクリープ伸びが大きくなるので、上限は3.0%とする。
Ti、Zrは、脱酸作用を有し、希土類元素の歩留まり向上に寄与し、クリープ破断強度の向上効果を有する。このため、必要に応じて、0.01%以上含有させることができる。なお、含有量が0.3%を超えると延性が低下するので、上限は0.3%とする。なお、両元素を含有する場合でも、合計含有量は0.3%以下とすることが好ましい。
本発明のオーステナイト系耐熱鋼は、次式で表されるパラメータPの値が30〜43である。
式:P=28.2×C+4.06×Si+0.49×Cr+0.28×Ni+6.21×Nb-48.3×(Ce+La+Nd)
なお、上記式中、C、Si、Cr、Ni、Nb、Ce、La、Ndには、各元素の質量%の数値を代入する。
Nb含有オーステナイト系耐熱鋼は、鋳造の際、NbCが一次結晶粒界に晶出する。
このNbCは、高温に加熱されると、比較的短時間のうちにNbとCに分解される。Cはオーステナイト相に放出され、Cr炭化物(Cr23C6)を形成するが、Nbは粒内に移動することなくその場にとどまる。そこへオーステナイト中のNiやSiが移動してくるため、時間の経過と共に安定なNb−Ni−Si系シリサイドが生成されることになる。
このように、シリサイドの生成には、一次炭化物を生成するC、Cr、Nb及びオーステナイト中に含まれるNi、Siが深く関わっている。
なお、パラメータP値の範囲を30〜43に規定したのは、後記する実施例において、パラメータPの値が30.1〜42.7の範囲内のときに、シリサイドの生成は観察されず、その結果としてすぐれた耐クリープ性を具備できることがわかったためである。
なお、希土類元素については、Ce、La、Ndが合計量で90%以上含まれるものを使用し、表1には、Ce、La、Ndの合計量のみを記載した。
シリサイドの有無を調べるために、前記供試管から試験片(幅20mm、長さ30mm、厚さ10mm)を作製し、1150℃、500時間の時効処理を施した後、10N(規定)のKOH溶液中で電解腐食を行ない、シリサイド生成の有無を光学顕微鏡で観察した。試験結果を表1に示している。
クリープ伸びを調べるために、前記供試管から、平行部径6mm、標点間距離24mmの試験片を作製した。各試験片について、1100℃、1500時間の時効処理を行なった後、JISZ2271に準拠して、1100℃、16.5MPaの試験条件にてクリープ伸び試験を実施した。試験結果を表1に示している。
No.1〜No.7にはシリサイドの生成は観察されなかった。クリープ伸びは、最大のNo.3でも23%であり、良好な耐クリープ性を示した。
No.101〜No.105は、希土類元素を含まず、パラメータPの値が本発明の規定から外れる例であり、シリサイドの生成が観察された。これら比較例のクリープ伸びは最小のNo.101でも34%であり、発明例よりも大きい。
No.106は、パラメータPの値は本発明の規定の範囲内であるが、Cが本発明の規定より少なく、希土類元素を含まない例である。シリサイドの生成が観察され、クリープ伸びは発明例よりも大きい。
No.107は、Nbが本発明の規定より多く、希土類元素を含まず、パラメータPの値が本発明の規定から外れる例である。シリサイドが生成され、クリープ伸びも大きい。
No.108は、Siが本発明の規定より多く、希土類元素を含まず、パラメータPの値が本発明の規定から外れる例である。シリサイドが生成され、クリープ伸びも大きい。
No.109及びNo.110は、パラメータPの値のみが本発明の規定から外れる例である。シリサイドが生成され、クリープ伸びも大きい。
No.111は、パラメータPの値は本発明の規定の範囲内にあるが、希土類元素が本発明の規定より多い例である。シリサイドは生成されなかったが、クリープ伸びが35%もあり、発明例よりも大きい。
KOH溶液中での電解腐食により、シリサイドは着色されるが、炭化物は着色されないので、シリサイドと炭化物との識別が可能である。写真中、濃く現れている部分がシリサイド(Nb−Ni−Si系)であり、細長く又は楕円形状で比較的薄く現れている部分が一次Cr炭化物(Cr23C6)である。また、オーステナイト中に細かく分散している粒子は加熱によって析出した二次Cr炭化物(Cr23C6)である。
本発明の耐熱鋼は、高温で時効された後、シリサイドは生成されることなく、すぐれた耐クリープ性を享受することができる。また、マトリックス中に残存するNi、Si、Nb、Crが時間の経過を経て二次Cr炭化物や二次Nb炭化物を析出するので、時効後におけるクリープ変形抵抗がより一層高められる。
Claims (3)
- 質量%にて、C:0.3〜0.7%、Si:1.0〜2.5%、Mn:2.5%以下、Cr:23〜40%、Ni:23〜50%、Nb:0.1〜1.5%、希土類元素:0.06〜0.4%、残部Fe及び不可避的不純物からなり、
前記希土類元素は、Ce、La及びNdの和が80%以上であり、式:
P=28.2×C+4.06×Si+0.49×Cr+0.28×Ni+6.21×Nb−48.3×(Ce+La+Nd)
で表されるパラメータPの値が30〜43の範囲である、時効後の耐クリープ性にすぐれたオーステナイト系耐熱鋼。 - W:3.0%以下を含有している請求項1のオーステナイト系耐熱鋼。
- Ti:0.01〜0.3%及び/又はZr:0.01〜0.3%を含有している請求項1又は請求項2のオーステナイト系耐熱鋼。
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JP2009084624A JP5346649B2 (ja) | 2009-03-31 | 2009-03-31 | 時効後の耐クリープ性にすぐれたNb含有オーステナイト系耐熱鋼 |
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