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JP6747207B2 - Ni基耐熱合金部材 - Google Patents

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JP6747207B2
JP6747207B2 JP2016183734A JP2016183734A JP6747207B2 JP 6747207 B2 JP6747207 B2 JP 6747207B2 JP 2016183734 A JP2016183734 A JP 2016183734A JP 2016183734 A JP2016183734 A JP 2016183734A JP 6747207 B2 JP6747207 B2 JP 6747207B2
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Description

本発明は、Ni基耐熱合金部材に関する。
近年、環境負荷軽減の観点から、発電用ボイラなどでは運転条件の高温・高圧化が世界的規模で進められており、過熱器管、再熱器管等の材料として使用されるNi基耐熱合金部材には、より優れた高温強度、具体的にはクリープ破断強度が求められている。また、従来フェライト系耐熱鋼が使用されていた、主蒸気管、再熱蒸気管等の大径かつ厚肉の部材においても、Ni基耐熱合金の適用が検討されている。
このような技術的背景のもと、種々のNi基耐熱合金に関する技術が開示されている。例えば、特許文献1〜4には、Moおよび/またはWを含有させて固溶強化を図るとともに、AlおよびTiを含有させて金属間化合物であるγ´相の析出強化を活用するNi基耐熱合金が開示されている。
また、特許文献5には、AlおよびTiの組成を調整し、γ´相を析出させることにより、クリープ強度を改善したNi基耐熱合金が開示されている。さらに、特許文献6〜9には、CrおよびMoに加えて、さらなる高強度化を目的としてCoを含有させたNi基耐熱合金が開示されている。
そして、特許文献10には、γ´相の析出強化を活用し、熱間加工時の表面欠陥を抑制するNi基耐熱合金が開示されている。
特開昭51−84726号公報 特開昭51−84727号公報 特開平7−150277号公報 特表2002−518599号公報 特開平9−157779号公報 特開昭60−110856号公報 特開平2−107736号公報 特開昭63−76840号公報 特開2001−107196号公報 特開2014−156628号公報
過熱器管、再熱器管等の材料として使用されるNi基耐熱合金部材には、より優れたクリープ破断強度を有するとともに、製造性の観点から、優れた熱間加工性を有することも求められる。一般に、より優れたクリープ破断強度と熱間加工性との両方を得ることは困難であり、特許文献1〜10のいずれにおいても、上述の課題解決には至っておらず、改善の余地が残されている。
本発明は上記の問題を解決し、クリープ破断強度および熱間加工性の両方に優れたNi基耐熱合金部材を提供することを目的とする。
本発明者らは前記した課題を解決するために、Ni基耐熱合金のクリープ破断特性と熱間加工性とを詳細に調査した結果、以下の知見を得るに至った。
(a)優れたクリープ破断強度を得るためには、結晶粒内にS原子を一定量以上存在させることが有効である。一方、合金中に含まれるS含有量が過剰であると、熱間加工性が著しく劣化する。
(b)そのため、優れたクリープ破断強度と熱間加工性とを両立させるためには、S含有量を所定の範囲に調整する必要がある。
(c)ただし、合金中のSは、Ca、MgおよびREMと化合物を形成する。化合物となった分のSは、クリープ破断強度の向上および熱間加工性の劣化に影響を与えない。したがって、S含有量は、Ca、MgおよびREM含有量との関係においても、厳密に管理する必要がある。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記のNi基耐熱合金部材を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.15%、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.0015〜0.0100%、
Ni:48.0〜58.0%、
Cr:18.0〜25.0%、
Co:8.0〜16.0%、
Mo:6.0〜12.0%、
Ti:0.05〜0.8%、
N:0.020%以下、
Al:0.05〜1.60%、
B:0.0001〜0.01%、
O:0.01%以下、
Ca:0〜0.0100%、
Mg:0〜0.0500%、
REM:0〜0.100%、
Cu:0〜1.0%、
V:0〜0.5%、
Nb:0〜0.5%、
W:0〜1.0%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式を満足する、Ni基耐熱合金部材。
0.4(3REM+2Ca+Mg)+0.0015≦S≦0.03(3REM+2Ca+Mg)+0.0050・・・(i)
但し、式中の各元素記号は、各合金部材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
(2)前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.0001〜0.0100%、
Mg:0.0001〜0.0500%、および
REM:0.0001〜0.100%、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)に記載のNi基耐熱合金部材。
(3)前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.01〜1.0%、
V:0.01〜0.5%、
Nb:0.01〜0.5%、および、
W:0.01〜1.0%
から選択される1種以上を含有する、上記(1)または(2)に記載のNi基耐熱合金部材。
本発明のNi基耐熱合金部材は、長時間クリープ破断強度と熱間加工性との両方に優れる。このため、本発明のNi基耐熱合金部材は、発電用ボイラの過熱器管、再熱器管等の材料として使用されるのに好適である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
1.化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.01〜0.15%
Cは、オーステナイトを安定にするとともに粒界に微細な炭化物を形成し、高温でのクリープ破断強度を向上させる。この効果を十分に得るためには、C含有量は0.01%以上とする必要がある。しかしながら、Cが過剰に含有された場合には、炭化物が粗大となり、かつ多量に析出するので、粒界の延性が低下し、さらに、靱性およびクリープ破断強度の低下も生じる。したがって、C含有量は0.01〜0.15%とする。C含有量は0.03%以上であるのが好ましく、0.04%以上であるのがより好ましく、0.05%以上であるのがさらに好ましい。また、C含有量は0.12%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましい。
Si:1.0%以下
Siは、脱酸作用を有するとともに、高温での耐食性および耐酸化性の向上に有効な元素である。しかしながら、Siが過剰に含有された場合にはオーステナイトの安定性が低下して、靱性およびクリープ破断強度の低下を招く。そのため、Si含有量は1.0%以下とする。Si含有量は0.8%以下であるのが好ましく、0.6%以下であるのがより好ましい。
なお、Si含有量について特に下限を設ける必要はない。しかし、Si含有量を極端に低減すると、脱酸効果が十分に得られず、合金の清浄度が大きくなって、清浄性が劣化する。また高温での耐食性および耐酸化性の向上効果が得難くなり、製造コストも増加する。そのため、Si含有量は0.02%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましい。
Mn:2.0%以下
Mnは、Siと同様、脱酸作用を有するだけでなく、オーステナイトの安定化にも寄与する元素である。しかしながら、Mn含有量が過剰になると脆化を招き、さらに、靱性およびクリープ延性の低下も生じる。そのため、Mn含有量は2.0%以下とする。Mn含有量は1.8%以下であるのが好ましく、1.5%以下であるのがより好ましい。
なお、Mn含有量についても特に下限を設ける必要はない。しかし、Mn含有量を極端に低減すると、脱酸効果が十分に得られず合金の清浄性を劣化させる。また、オーステナイト安定化効果が得難くなり、製造コストも増加する。そのため、Mn含有量は0.02%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましい。
P:0.03%以下
Pは、不純物として合金中に含有され、多量に含まれる場合には、熱間加工性および溶接性を著しく低下させ、さらに、長時間使用後のクリープ延性も低下させる。そのため、P含有量は0.03%以下とする。P含有量は、0.025%以下であるのが好ましく、0.02%以下であるのが好ましい。
なお、P含有量は可能な限り低減することが好ましいが、極度の低減は製造コストの増大を招く。そのため、P含有量は0.0005%以上とするのが好ましく、0.0008%以上とするのがより好ましい。
S:0.0015〜0.0100%
Sは、結晶粒内に存在することによって、クリープ破断強度を向上させる効果を有する。この効果を十分に得るためには、S含有量を0.0015%以上とする必要がある。しかしながら、Sが多量に含まれる場合には、熱間加工性および溶接性が著しく低下し、さらに、長時間使用後のクリープ延性も低下する。したがって、S含有量は0.0015〜0.0100%とする。S含有量は0.0018%以上であるのが好ましく、0.0020%以上であるのがより好ましい。また、S含有量は0.0095%以下であるのが好ましく、0.0090%以下であるのがより好ましい。
Ni:48.0〜58.0%
Niは、オーステナイトを得るために有効な元素であり、長時間使用時の組織安定性を確保するために必須の元素である。さらにNiは、AlまたはTiと結合して微細な金属間化合物相(γ´相)を形成し、クリープ破断強度を高める作用を有する。本発明のCr含有量の範囲で十分な効果を得るためには、Ni含有量は48.0%以上とする必要がある。しかしながら、Niは高価な元素であり、多量に含有させるとコストの増大を招く。したがって、Ni含有量は48.0〜58.0%とする。Ni含有量は49.0%以上であるのが好ましく、50.0%以上であるのがより好ましい。また、Ni含有量は56.0%以下であるのが好ましく、55.0%以下であるのがより好ましい。
Cr:18.0〜25.0%
Crは、高温での耐酸化性および耐食性の確保のために必須となる元素である。本発明のNi含有量の範囲で、上記の効果を得るためには、Cr含有量を18.0%以上とする必要がある。しかしながら、Cr含有量が25.0%を超えると、高温でのオーステナイトの安定性が劣化してクリープ破断強度の低下を招く。したがって、Cr含有量は18.0〜25.0%とする。Cr含有量は18.5%以上であるのが好ましく、19.0%以上であるのがより好ましい。また、Cr含有量は24.5%以下であるのが好ましく、24.0%以下であるのがより好ましい。
Co:8.0〜16.0%
Coは、Niと同様にオーステナイト生成元素であり、相安定性を高めてクリープ破断強度の向上に寄与する。この効果を十分に得るためには、Co含有量は8.0%以上とする必要がある。しかしながら、Coは極めて高価な元素であるため、Coの過剰の含有は大幅なコストの増加を招く。そのため、Co含有量は8.0〜16.0%とする。Co含有量は8.5%以上であるのが好ましく、9.0%以上であるのがより好ましい。また、Co含有量は15.5%以下であるのが好ましく、15.0%以下であるのがより好ましい。
Mo:6.0〜12.0%
Moは、マトリックスに固溶して高温でのクリープ破断強度および引張強さの向上に大きく寄与する元素である。この効果を十分に発揮させるためには、Mo含有量は6.0%以上とする必要がある。しかしながら、Moを過剰に含有させても上記効果は飽和し、却って粗大な析出相を生成し、クリープ破断強度を低下させる。さらに、Moは高価な元素であるため、過剰に含有させるとコストの増大を招く。そのため、Mo含有量は6.0〜12.0%とする。Mo含有量は6.5%以上であるのが好ましく、7.0%以上であるのがより好ましい。また、Mo含有量は11.5%以下であるのが好ましく、11.0%以下であるのがより好ましい。
Ti:0.05〜0.8%
Tiは、Niと結合して微細な金属間化合物(γ´相)として粒内に析出し、高温でのクリープ破断強度および引張強さの向上に寄与する。その効果を得るためには、Ti含有量は0.05%以上とする必要がある。しかしながら、Tiの含有量が過剰になると金属間化合物相が多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、Tiの含有量は0.05〜0.8%とする。Ti含有量は0.07%以上であるのが好ましく、0.1%以上であるのがより好ましい。また、Ti含有量は0.7%以下であるのが好ましく、0.6%以下であるのがより好ましい。
N:0.02%以下
Nは、オーステナイトを安定にするのに有効な元素であるものの、過剰に含有されると、高温での使用中に多量の微細窒化物が粒内に析出してクリープ延性および靱性の低下を招く。そのため、N含有量は0.02%以下とする。N含有量は0.018%以下であるのが好ましく、0.015%以下であるのがより好ましい。
なお、Nの含有量について特に下限を設ける必要はない。しかし、N含有量を極端に低減するとオーステナイトを安定にする効果が得難くなるだけでなく、製造コストも大きく増加する。そのため、N含有量は0.0005%以上とするのが好ましく、0.0008%以上とするのがより好ましい。
Al:0.05〜1.60%
Alは、Tiと同様、Niと結合して微細な金属間化合物(γ´相)として粒内に析出し、高温でのクリープ破断強度および引張強さの向上に寄与する。また、Alは、脱酸作用を有する元素である。その効果を得るためには、Al含有量は0.05%以上とする必要がある。しかしながら、Al含有量が過剰になると金属間化合物相が多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招くとともに、合金の清浄性が著しく劣化して、熱間加工性および延性が低下する。そのため、Al含有量は0.05〜1.60%とする。Al含有量は0.10%以上であるのが好ましく、0.30%以上であるのがより好ましい。また、Al含有量は1.50%以下であるのが好ましく、1.40%以下であるのがより好ましい。
B:0.0001〜0.01%
Bは、粒界炭化物を微細分散させることにより、クリープ破断強度を向上させるとともに、粒界に偏析して粒界を強化するのに有効な元素である。この効果を得るためには、B含有量を0.0001%以上とする必要がある。しかしながら、Bの含有量が過剰になると、溶接性が劣化することに加えて、熱間加工性が劣化する。したがって、B含有量は0.0001〜0.01%とする。B含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのが好ましい。また、B含有量は0.008%以下であるのが好ましく、0.006%以下であるのがより好ましい。
O:0.01%以下
O(酸素)は、不純物として合金中に含まれ、その含有量が過剰になると熱間加工性が低下し、さらに靱性および延性の劣化を招く。このため、O含有量は0.01%以下とする。O含有量は0.008%以下であるのが好ましく、0.005%以下であるのがより好ましい。
なお、O含有量について特に下限を設ける必要はないが、極端な低減は製造コストを増加させる。そのため、O含有量は0.0005%以上とするのが好ましく、0.0008%以上とするのがより好ましい。
本発明のNi基耐熱合金部材は、上述の各元素を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するものである。
なお、「不純物」とは、Ni基耐熱合金部材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップまたは製造環境などから混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明のNi基耐熱合金には、さらに、Ca、Mg、REM、Cu、V、NbおよびWから選択される1種以上の元素を含有させてもよい。
Ca:0〜0.0100%
Caは、Sと化合物を形成してマトリックス中のS量を低減し、熱間加工性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Ca含有量が過剰になると、クリープ破断強度向上に寄与する合金中のS量が低下するとともに、Oと結合して、清浄性を著しく低下させ、かえって熱間加工性を劣化させる。したがって、Ca含有量は0.0100%以下とする。Ca含有量は0.0080%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合は、Ca含有量を0.0001%以上とするのが好ましく、0.0002%以上とするのがより好ましく、0.0003%以上とするのがさらに好ましい。
Mg:0〜0.0500%
Mgは、Caと同様にSと化合物を形成してマトリックス中のS量を低減し、熱間加工性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mg含有量が過剰になると、クリープ破断強度向上に寄与する合金中のS量が低下するとともに、Oと結合して、清浄性を著しく低下させ、かえって熱間加工性を劣化させる。したがって、Mg含有量は0.0500%以下とする。Mg含有量は0.0450%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合は、Mg含有量を0.0001%以上とするのが好ましく、0.0002%以上とするのがより好ましく、0.0003%以上とするのがさらに好ましい。
REM:0〜0.100%
REMは、Caと同様にSと化合物を形成してマトリックス中のS量を低減し、熱間加工性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、REM含有量が過剰になると、クリープ破断強度向上に寄与する合金中のS量が低下するとともに、Oと結合して、清浄性を著しく低下させ、かえって熱間加工性を劣化させる。したがって、REM含有量は0.100%以下とする。REM含有量は0.080%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合は、REM含有量を0.0001%以上とするのが好ましく、0.0002%以上とするのがより好ましく、0.0003%以上とするのがさらに好ましい。
なお、REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REM含有量は、REMのうちの1種以上の元素の合計含有量を指す。また、REMについては一般的にミッシュメタルに含有される。このため、例えば、ミッシュメタルの形で添加して、REMの量が上記の範囲となるように調整してもよい。
Cu:0〜1.0%
Cuは、クリープ破断強度を向上させる作用を有する。すなわち、Cuは、NiおよびCoと同様オ−ステナイト生成元素であり、相安定性を高めてクリープ破断強度の向上に寄与する。そのため、Cuを含有させてもよい。しかしながら、Cuが過剰に含有された場合には熱間加工性の低下を招く。したがって、Cu含有量は1.0%以下とする。Cu含有量は0.8%以下であるのが好ましい。一方、上記の効果を得たい場合は、Cu含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
V:0〜0.5%
Vは、クリープ破断強度を向上させる作用を有する。すなわち、Vは、CまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物を形成し、クリープ破断強度を向上させる作用を有する。そのため、Vを含有させてもよい。しかしながら、Vが過剰に含有された場合、炭化物または炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性の低下を招く。したがって、V含有量は0.5%以下とする。V含有量は0.4%以下であるのが好ましい。一方、上記の効果を得たい場合は、V含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Nb:0〜0.5%
Nbは、Vと同様にCまたはNと結合して微細な炭化物または炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ破断強度向上に寄与する。そのため、Nbを含有させてもよい。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると炭化物または炭窒化物として多量に析出し、クリープ延性および靱性の低下を招く。したがって、Nb含有量は0.5%以下とし、0.4%以下であるのが好ましい。一方、上記の効果を得たい場合は、Nb含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
W:0〜1.0%
Wは、クリープ強度を向上させる作用を有する。すなわち、Wは、マトリックスに固溶して高温でのクリープ破断強度を向上させる作用を有する。そのため、Wを含有させてもよい。しかしながら、Wが過剰に含有された場合、オーステナイト相の安定性が低下して、却ってクリープ破断強度の低下を招く場合がある。さらに、Wは高価な元素であるため、過剰に含有させるとコストの増大を招く。したがって、W含有量は1.0%以下とする。W含有量は0.8%以下であるのが好ましい。上記効果を得たい場合には、W含有量は0.01%以上であるのが好ましい。
上記のCu、V、NbおよびWは、そのうちのいずれか1種以上を含有させることができる。これらの元素を複合して含有させる場合の合計量は、3.0%であってもよい。
0.4(3REM+2Ca+Mg)+0.0015≦S≦0.03(3REM+2Ca+Mg)+0.0050 ・・・(i)
但し、式中の各元素記号は、合金部材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
上述のように、本発明において、当該Ni基耐熱合金部材の熱間加工性および長時間クリープ破断強度の両方を得るためには、S含有量を適切に制御する必要がある。
ここで、合金部材中に含まれるSのうち、Ca、MgおよびREMと化合物を形成した分のSは、合金部材の熱間加工性および長時間クリープ破断強度の変化に寄与しなくなる。そのため、Sの含有量を上述の範囲内にするとともに、Ca、MgおよびREMの含有量との関係において、上記(i)式を満足するように調整する必要がある。
合金中のS量が(i)式における下限未満の場合、熱間加工性は良好であるが、優れたクリープ破断強度を得ることができない。一方、S量が(i)式における上限を超える場合、優れたクリープ破断強度は得られるものの、熱間加工性が劣化する。
2.製造方法
本発明のNi基耐熱合金部材の製造方法については特に制限はないが、例えば、上述の化学組成を有する鋼塊または鋳片に、熱間加工を施すことによって製造することができる。また、当該熱間加工の後に、必要に応じて熱間押出等の異なる方法の熱間加工をさらに施してもよい。
さらに上記の工程の後、部位ごとの金属組織および機械的性質のばらつきを抑制し、高いクリープ破断強度を保持するために、1100〜1250℃の温度範囲まで加熱して保持する最終熱処理を施してもよい。加熱保持後は、合金部材を水冷することが望ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有するNi基耐熱合金1〜18およびA〜Dを実験室溶解してインゴットを作製した。そして、上記インゴットに対して熱間での鍛造および圧延による成形を行った後、最終熱処理を施し、試験材を得た(試験No.1〜22)。
Figure 0006747207
次に、各試験材の肉厚中央部から、直径が10mmで長さが130mmの円柱状の引張試験片を切り出した。各引張試験片について、引張速度(ひずみ速度)10/sで引張試験を実施し、熱間加工性を評価した。本発明においては、引張試験後の絞りが、800℃において60%以上を合格(○)、60%未満を不合格(×)とした。
また、各合金板の肉厚中央部から、直径6mm、標点距離30mmの丸棒クリープ破断試験片を採取して、750℃、130MPaの条件でクリープ破断試験を行った。なお、クリープ破断時間が、1000h以上となるものを合格(○)とし、1000h未満のものを不合格(×)とした。
それらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 0006747207
表2に示すように、S含有量が本発明の規定範囲内であるとともに(i)式を満足する試験No.1〜18は、熱間加工性およびクリープ破断強度ともに良好な結果を示した。これに対して、S含有量が(i)式左辺値未満となり、本発明の規定から外れる合金AおよびBを用いた試験No.19および20は、十分なクリープ破断強度が得られなかった。また、S含有量が(i)式右辺値を超え、本発明の規定から外れる合金CおよびDを用いた試験No.21および22は、十分な熱間加工性が得られなかった。
本発明のNi基耐熱合金部材は、熱間加工性と長時間クリープ破断強度との両方に優れる。このため、本発明のNi基耐熱合金部材は、発電用ボイラの過熱器管や再熱器管の材料として使用されるのに好適である。

Claims (2)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.01〜0.15%、
    Si:1.0%以下、
    Mn:2.0%以下、
    P:0.03%以下、
    S:0.0015〜0.0100%、
    Ni:48.0〜58.0%、
    Cr:18.0〜25.0%、
    Co:8.0〜16.0%、
    Mo:6.0〜12.0%、
    Ti:0.05〜0.8%、
    N:0.020%以下、
    Al:0.05〜1.60%、
    B:0.0001〜0.01%、
    O:0.01%以下
    Cu:0〜1.0%、
    V:0〜0.5%、
    Nb:0〜0.5%、
    W:0〜1.0%、を含み、
    Ca:0.0001〜0.0100%、
    Mg:0.0001〜0.0500%、および
    REM:0.0001〜0.100%、
    から選択される1種以上を含有し、
    残部:Feおよび不純物であり、
    下記(i)式を満足する、Ni基耐熱合金部材。
    0.4(3REM+2Ca+Mg)+0.0015≦S≦0.03(3REM+2Ca+Mg)+0.0050・・・(i)
    但し、式中の各元素記号は、各合金部材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Cu:0.01〜1.0%、
    V:0.01〜0.5%、
    Nb:0.01〜0.5%、および
    W:0.01〜1.0%
    から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載のNi基耐熱合金部材。
JP2016183734A 2016-09-21 2016-09-21 Ni基耐熱合金部材 Active JP6747207B2 (ja)

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