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JP5260466B2 - 紙葉類重送防止部材 - Google Patents

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JP5260466B2
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Description

本発明は、積み重ねられた複数枚の紙葉類を一枚ずつ分離させて送出するための紙葉類重送防止部材に関するものである。
例えば静電式複写機、レーザープリンタ、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機等の画像形成装置の給紙カセットや給紙トレー等には、前記給紙カセット等に積み重ねて収容された紙葉類が誤って2枚以上重なった状態で送出(重送)されるのを防止するための給紙機構が設けられる。前記給紙機構としては、少なくとも外周面をゴム等で形成した給紙ローラと、ばね等の押圧力によって前記給紙ローラの外周面に接触可能に配設された紙葉類重送防止部材とを含むものが一般的である。
前記給紙機構は、積み重ねられた2枚目以下の紙葉類が誤搬送されるのを、前記紙葉類重送防止部材の摩擦力によって抑制しながら、給紙ローラと接する1枚目の紙葉類のみを、前記給紙ローラの回転によって他の紙葉類から分離して送出する働きをする。
前記紙葉類重送防止部材としては、片面が給紙ローラや紙葉類と接触する接触面とされた平板状に形成された分離パッドや分離シート等が一般的に用いられる(特許文献1等参照)。
特開2003−321580号公報 特開2004−346139号公報 特開2006−208594号公報
前記分離パッド等の平板状の紙葉類重送防止部材として、従来は、少なくとも前記接触面、好ましくはその全体を、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、天然ゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等のゴムに架橋剤(加硫剤)を配合した組成物を平板状に成形するとともに架橋させてなる架橋物(加硫物)によって形成したものが一般的に用いられてきた。
しかし近時、熱可塑性を有するためリサイクル等が容易ないわゆる熱可塑性エラストマを用いて紙葉類重送防止部材を形成することが求められるようになってきている。
前記熱可塑性エラストマからなる紙葉類重送防止部材には、先に説明したように積み重ねられた2枚目以下の紙葉類が誤搬送されるのを摩擦力によって抑制する重送防止効果に優れるだけでなく、給紙ローラや紙葉類との摩擦によってびびり振動して異音を発するいわゆる音鳴きと呼ばれる現象を生じにくいことも求められる。
これらの特性に優れた紙葉類重送防止部材を形成しうる熱可塑性エラストマとしては、例えば熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマからなるマトリクス中で、EPDMやエチレン−プロピレンゴム(EPM)を動的架橋させた複合構造を有するエラストマ、あるいは熱可塑性ポリエステル系エラストマ等が挙げられる。
ところが、これら熱可塑性エラストマからなる紙葉類重送防止部材は、前記ゴムの架橋物からなるものに比べて耐摩耗性が十分でないという問題があった。
本発明の目的は、重送防止効果や音鳴きを防止する効果に優れる上、耐摩耗性にも優れた紙葉類重送防止部材を提供することにある。
従来のゴムの架橋物からなる紙葉類重送防止部材であれば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等の一般的なフィラーを含有させることで耐摩耗性を向上できる。しかし熱可塑性エラストマは、前記従来のフィラーを含有させても十分な補強効果が得られないことが知られている。
そこで発明者は、熱可塑性エラストマについてさらに検討した結果、エラストマ成分として、熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマとを所定の割合で配合すると、前記エラストマ成分は、
(1) 前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマ中に熱可塑性ポリエステル系エラストマの粒子が微分散した海−島構造、または
(2) 前記熱可塑性ポリエステル系エラストマ中に熱可塑性ポリウレタン系エラストマの粒子が微分散した海−島構造
を呈し、前記両熱可塑性エラストマをそれぞれ単独で用いる場合に比べて、紙葉類重送防止部材の耐摩耗性を向上できる上、前記紙葉類重送防止部材の重送防止効果や音鳴きを抑制する効果をも向上できることを見出した。
なお熱可塑性ポリウレタン系エラストマは、例えば前記特許文献1の紙葉類重送防止部材のもとになる熱可塑性エラストマにおいて、前記EPDMやEPMを動的架橋させるためのマトリクスとして使用されている他、特許文献2ではブタジエンゴムを動的架橋させるためのマトリクスとしても用いられている。さらに特許文献3では、ウレタンゴムの架橋物中に低硬度粒子として微分散させるために用いられている。
しかし、前記いずれかの複合構造を有するエラストマ等を用いて紙葉類重送防止部材を形成したとしても、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマとを併用したものと同等の良好な補強効果や重送防止効果、あるいは音鳴きを防止する効果を得ることはできない。
したがって本発明は、紙葉類と接触する接触面を備えた紙葉類重送防止部材であって、少なくとも前記接触面が、熱可塑性ポリウレタン系エラストマと、熱可塑性ポリエステル系エラストマとをエラストマ成分として含有し、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマの、エラストマ成分の総量に占める割合が5質量%以上、90質量%以下であるとともに、前記エラストマ成分は、
(1) 前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマ中に熱可塑性ポリエステル系エラストマの粒子が微分散した海−島構造、または
(2) 前記熱可塑性ポリエステル系エラストマ中に熱可塑性ポリウレタン系エラストマの粒子が微分散した海−島構造
を呈することを特徴とする紙葉類重送防止部材である。
本発明によれば、重送防止効果や音鳴きを防止する効果に優れる上、耐摩耗性にも優れた紙葉類重送防止部材を提供することができる。
本発明の紙葉類重送防止部材の、実施の形態の一例を示す斜視図である。 図1の例の紙葉類重送防止部材を組み込んだ給紙機構の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施例1で製造した紙葉類重送防止部材における、熱可塑性ポリウレタン系エラストマの粒子の微分散状態を示す透過型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2で製造した紙葉類重送防止部材における、熱可塑性ポリエステル系エラストマの粒子の微分散状態を示す透過型電子顕微鏡写真である。
図1は、本発明の紙葉類重送防止部材の、実施の形態の一例を示す斜視図である。また図2は、前記例の紙葉類重送防止部材を組み込んだ給紙機構の一例を示す概略断面図である。
図2を参照して、この例の給紙機構1は、少なくとも外周面2をゴム等によって形成した給紙ローラ3と、図示していないばね等の押圧力によって前記給紙ローラ3の外周面2に接触可能に配設された紙葉類重送防止部材(分離パッド)4とを備えている。
前記紙葉類重送防止部材4は、この例では矩形平板状に形成され、その片面である図において上側の面(接触面)5を露出させた状態で支持台6によって保持されている。そして前記接触面5を給紙ローラ3の外周面2に対向させた状態で、前記支持台6を、図示していないばね等によって図中に白抜きの矢印で示すように外周面2の方向に押圧させることで、前記接触面5が外周面2に所定の圧接力で接触可能とされている。
前記給紙機構1は、画像形成装置の給紙カセットや給紙トレー等に積み重ねて収容された複数枚の紙葉類7のうち2枚目以下の紙葉類7の搬送を、前記紙葉類重送防止部材4の接触面5との摩擦力によって抑制しながら、給紙ローラ3と接する1枚目の紙葉類7のみを、前記給紙ローラ3の、図中に一点鎖線の矢印で示す方向への回転に伴って他の紙葉類7から分離して、図中に実線の矢印で示すように画像形成装置の内部に送出する働きをする。
図1を参照して、この例の紙葉類重送防止部材4は、全体が熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマとをエラストマ成分として含む組成物によって前記矩形平板状に一体形成されている。
前記のうち熱可塑性ポリウレタン系エラストマとしては、ポリウレタン構造を有するハードセグメントと、ポリエステルまたはポリエーテル構造を有するソフトセグメントとを含む種々の熱可塑性ポリウレタン系エラストマの1種または2種以上が挙げられる。
また熱可塑性ポリエステル系エラストマとしては、例えばハードセグメントとして高融点で高結晶性の芳香族ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート等)、ソフトセグメントとしてガラス転移温度が−70℃以下程度の非晶性ポリエーテル(ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)を含むマルチブロックポリマー等の、種々の熱可塑性ポリエステル系エラストマの1種または2種以上が挙げられる。
エラストマ成分には、主に紙葉類重送防止部材4のゴム硬さ等を調整するために、例えばカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等の一般的なフィラーを含有させても良い。
本発明では、エラストマ成分の総量、すなわち熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマの合計量に占める熱可塑性ポリウレタン系エラストマの割合が、先に説明したように5質量%以上、90質量%以下である必要がある。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマの含有割合が前記範囲未満では、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマとを併用することによる、先に説明した、紙葉類重送防止部材4の重送防止効果や耐摩耗性を向上する効果が得られない。一方、前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、音鳴きを防止する効果が低下してしまう。
なお前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマの割合は、重送防止効果や耐摩耗性をさらに向上することを考慮すると、前記範囲内でも20質量%以上であるのが好ましい。また音鳴きを防止する効果をさらに向上することを考慮すると、80質量%以下であるのが好ましい。
前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマは
(1) 熱可塑性ポリウレタン系エラストマ中に熱可塑性ポリエステル系エラストマの粒子が微分散した海−島構造、または
(2) 熱可塑性ポリエステル系エラストマ中に熱可塑性ポリウレタン系エラストマの粒子が微分散した海−島構造
のいずれかのモルフォロジーを呈する
また前記(1)(2)の海−島構造において島に相当するエラストマの粒子の粒径は1μm以下であるのが好ましい。海−島構造の島の粒径が前記範囲を超える場合には前記効果、すなわち紙葉類重送防止部材4の重送防止効果や音鳴きを防止する効果を向上するとともに耐摩耗性を向上する効果が十分に得られないおそれがある。
なお前記粒子の粒径を、本発明では、走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope:SPM)を用いて撮影したエラストマ成分のDFM(位相)モルフォロジーを示す画像を画像解析して求めた値でもって表すこととする。
エラストマ成分に前記(1)(2)のいずれかの海−島構造を導入するためには、例えば前記2種のエラストマと、必要に応じてフィラー等とを所定の割合で配合した混合物を、例えば2軸押出機等を用いて加熱下で混練すればよい。
エラストマ成分が(1)(2)のいずれの海−島構造を呈するかは、主に熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマの体積比率に応じて異なる。すなわち一般的には、体積比率の多い成分からなる海の中に、体積比率の少ない成分が島として微分散されて海−島構造が形成される。
エラストマ成分に前記(1)(2)のいずれかの海−島構造を導入することにより、紙葉類重送防止部材4のさらなる性能改善を図ることができる。
例えばエラストマ成分を体積比率で熱可塑性ポリエステル系エラストマリッチの配合として、エラストマ成分を、前記(2)の熱可塑性ポリエステル系エラストマ中に熱可塑性ポリウレタン系エラストマの粒子が微分散した海−島構造とすると、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマ等のポリウレタン類が一般的に音鳴きを防止する効果の点で不利とされているにも拘らず、紙葉類重送防止部材4の重送防止効果や耐摩耗性を維持しながら、音鳴きを防止する効果を向上して、これら特性の良好なバランスを取ることができる。
また熱可塑性ポリウレタン系エラストマリッチの配合として、前記(1)の熱可塑性ポリウレタン系エラストマ中に熱可塑性ポリエステル系エラストマの粒子が微分散した海−島構造とすると、紙葉類重送防止部材4の音鳴き性能を許容範囲に維持しながら、重送防止効果や耐摩耗性を飛躍的に向上させることができる。
紙葉類重送防止部材4は、熱可塑性ポリウレタン系エラストマ、および熱可塑性ポリエステル系エラストマと、必要に応じてフィラー等とを所定の割合で配合し、先に説明したように2軸押出機等を用いて加熱下で混練したのち成形することで製造される。
紙葉類重送防止部材4を図1に示す矩形平板状に成形するためには、前記混練物を板状ないしはシート状に成形したのち所定の平面形状(矩形状)となるように切り出したり、前記混練物をあらかじめ型内に充てんする等して矩形平板状に成形したりすればよい。
紙葉類重送防止部材4は、研磨処理等を施して所定の表面粗さ、および厚みに調整してもよい。
紙葉類重送防止部材4の厚みは、給紙機構1に組み込むことを考慮すると、従来のものと同等程度であるのが好ましい。給紙機構1の構造や、前記給紙機構1を組み込む画像形成装置の構造等によっても異なるが、厚みは0.2mm以上、特に0.4mm以上であるのが好ましく、4mm以下、特に3.5mm以下であるのが好ましい。
また紙葉類重送防止部材4の硬さは、日本工業規格JIS K6253:2006「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方」に規定された測定方法によって求められる、温度23±1℃、相対湿度55±1%でのタイプAデュロメータ硬さで表してA60/S以上、特にA70/S以上であるのが好ましく、A95/S以下、特にA90/S以下であるのが好ましい。
紙葉類重送防止部材4の硬さが前記範囲未満では、前記紙葉類重送防止部材4の接触面5が軟らかすぎて、紙葉類との摩擦によって磨耗しやすくなるおそれがある。また硬さが前記範囲を超える場合には紙葉類重送防止部材4が硬くなって、接触面5を給紙ローラ3の外周面2に接触させた際の厚み方向の変形量が小さくなる傾向がある。そのため、前記接触面5の摩擦力によって紙葉類の重送を防止する効果が低下して、摩擦係数の異なる様々な種類の紙葉類に十分に対応して重送を確実に防止できなくなるおそれがある。
紙葉類重送防止部材4の硬さを調整するためには、例えばエラストマの種類やグレードを選択したり、フィラーの種類や量を調整したりすればよい。
紙葉類重送防止部材4は、例えば両面粘着テープ、両面接着テープ等を用いて支持台6に固定することにより、給紙機構1に組み込むことができる。
以下の実施例、比較例における紙葉類重送防止部材の製造、特性の測定、および試験を、特記した以外は温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下で実施した。
〈実施例1〉
熱可塑性ポリエステル系エラストマ〔東レ・デュポン(株)製のハイトレル(登録商標)3046〕70質量部、熱可塑性ポリウレタン系エラストマ〔BASF社製のエラストラン(登録商標)ET880〕30質量部、およびカーボンブラック〔東海カーボン(株)製の商品名シーストSO〕1質量部を配合し、2軸押出機を用いて混練し、次いで単軸押出機を用いて厚み1.35mmのシート状に押出成形したのち矩形状に切り出すとともに表面を研磨して、厚み1.0mmの矩形平板状の紙葉類重送防止部材を製造した。
前記実施例1の紙葉類重送防止部材におけるエラストマ成分のモルフォロジーを、走査型プローブ顕微鏡〔セイコーインスツル(株)製のSTI3800N〕を用いて観察したところ、図3に示すように、熱可塑性ポリエステル系エラストマ(図中の色の薄い領域)中に熱可塑性ポリウレタン系エラストマの粒子(図中の色の濃い部分)が微分散した海−島構造を呈していることが確認された。また前記図3から、画像解析によって熱可塑性ポリウレタン系エラストマの粒子の粒径を求めたところ0.5μmであった。
〈実施例2〉
熱可塑性ポリエステル系エラストマを30質量部、熱可塑性ポリウレタン系エラストマを70質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、同形状でかつ同寸法の紙葉類重送防止部材を製造した。
前記実施例2の紙葉類重送防止部材におけるエラストマ成分のモルフォロジーを、前記走査型プローブ顕微鏡を用いて観察したところ、図4に示すように、熱可塑性ポリウレタン系エラストマ(図中の色の濃い領域)中に熱可塑性ポリエステル系エラストマの粒子(図中の色の薄い部分)が微分散した海−島構造を呈していることが確認された。また前記図4から、画像解析によって熱可塑性ポリエステル系エラストマの粒子の粒径を求めたところ0.8μmであった。
なお前記図3と図4とを比較すると図3の方が海−島構造がはっきりしており、この構造の差が、後述する実施例1、2における性能のバランス、特に音鳴き防止効果の差になって現れていると考えられた。
〈実施例3〉
熱可塑性ポリエステル系エラストマを93質量部、熱可塑性ポリウレタン系エラストマを7質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、同形状でかつ同寸法の紙葉類重送防止部材を製造した。
〈実施例4〉
熱可塑性ポリエステル系エラストマを15質量部、熱可塑性ポリウレタン系エラストマを85質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、同形状でかつ同寸法の紙葉類重送防止部材を製造した。
〈比較例1〉
熱可塑性ポリウレタン系エラストマを100質量部として熱可塑性ポリエステル系エラストマを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、同形状でかつ同寸法の紙葉類重送防止部材を製造した。
〈比較例2〉
熱可塑性ポリエステル系エラストマを100質量部として熱可塑性ポリウレタン系エラストマを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、同形状でかつ同寸法の紙葉類重送防止部材を製造した。
〈比較例3〉
熱可塑性ポリエステル系エラストマを97質量部、熱可塑性ポリウレタン系エラストマを3質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、同形状でかつ同寸法の紙葉類重送防止部材を製造した。
〈比較例4〉
熱可塑性ポリエステル系エラストマを7質量部、熱可塑性ポリウレタン系エラストマを93質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、同形状でかつ同寸法の紙葉類重送防止部材を製造した。
〈比較例5〉
EPDM〔住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)E505〕70質量部、ポリプロピレン〔日本ポリプロ(株)製のノバテック(登録商標)MG05ES〕30質量部、カーボンブラック〔前出のシーストSO〕1質量部、および樹脂架橋剤〔田岡化学工業(株)製のタッキロール(登録商標)250−III〕5.6質量部を配合し、混練してEPDMを動的架橋させて、前記ポリプロピレン中にEPDMの架橋物が分散されたエラストマ組成物を調製した。
次いで前記エラストマ組成物を、単軸押出機を用いて厚み1.35mmのシート状に押出成形したのち矩形状に切り出すとともに表面を研磨して、厚み1.0mmの矩形平板状の紙葉類重送防止部材を製造した。
〈硬さ測定〉
前記実施例、比較例で製造した紙葉類重送防止部材のタイプAデュロメータ硬さを、前出のJIS K6253:2006に規定された測定方法に則って測定した。
〈摩擦係数の測定〉
前記実施例、比較例で製造した紙葉類重送防止部材の表面の、測定紙としての普通紙〔キヤノン(株)製のプロパーボンド紙(PB PAPER)〕に対する摩擦係数を、表面性状測定機〔新東科学(株)製のトライボギア(登録商標) タイプ HEIDON(ヘイドン(登録商標)−14DR〕を用いて測定した。測定の条件は、紙葉類重送防止部材の面方向のサイズ:10mm×30mm、荷重:1.96N(200gf)、速度:600mm/分とした。
〈耐摩耗性試験〉
前記実施例、比較例で製造した紙葉類重送防止部材の初期質量を測定後、前記紙葉類重送防止部材をモノクロレーザープリンタ〔キヤノン(株)製のLBP−1420〕の純正の分離パッドに代えて装着した。
そしてPPC用紙を3000枚連続して通紙させた後の質量を測定し、前記初期質量との差を摩耗量(mg)として求めて耐摩耗性を評価した。
〈音鳴き評価〉
前記耐摩耗性試験においてPPC用紙を連続して通紙させている間に音鳴きが発生したか否かを、下記の基準で評価した。
◎:音鳴きは全く発生しなかった。
○:音鳴きがわずかに発生したが、許容レベルであると判断した。
△:音鳴きが頻繁ではないが時折発生し、改善が必要と判断した。
×:音鳴きが頻繁に発生した。
〈重送の有無〉
前記耐摩耗性試験においてPPC用紙を連続して通紙させている間に、2枚以上のPPC用紙の重送が発生したか否かを下記の基準で評価した。
○:重送は全く発生しなかった。
△:1回以上、数回程度の重送が発生した。
×:重送が頻繁に発生した。
以上の結果を表1に示す。
表より、従来の、ポリプロピレン中にEPDMの架橋物を分散させたエラストマ組成物からなる比較例5の重送防止部材は、摩擦係数が小さく重送を生じやすい上、摩耗量が大きく耐摩擦性が不十分であり、しかも音鳴きを生じやすいことが判った。
またエラストマ成分として熱可塑性ポリウレタン系エラストマのみを用いて形成した比較例1の紙葉類重送防止部材、および熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマとを併用したものの、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマの割合を93質量%とした比較例4の紙葉類重送防止部材は、いずれも前記比較例5のものよりも摩擦係数が大きく重送防止効果に優れるとともに、摩耗量が小さく耐摩耗性にも優れているものの、依然として音鳴きを生じることが判った。
またエラストマ成分として熱可塑性ポリエステル系エラストマのみを用いて形成した比較例2の紙葉類重送防止部材、および熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマとを併用したものの、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマの割合を3質量%とした比較例3の紙葉類重送防止部材は、いずれも音鳴きを全く生じないものの、前記比較例1、4と比べて摩擦係数がごくわずか小さい分だけ重送を生じやすく、また摩耗量が大きく耐摩耗性が不十分であることが判った。
これに対し、熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマとを併用するとともに、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマの、エラストマ成分の総量に占める割合を5質量%以上、90質量%以下とした実施例1〜4の紙葉類重送防止部材は、いずれも摩擦係数が大きく重送防止効果に優れているとともに、摩耗量が小さく耐摩耗性にも優れており、その上、音鳴きが許容範囲内であることが判った。
特に、エラストマ成分として熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマとを併用するとともに、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマの割合を30質量%、熱可塑性ポリエステル系エラストマの割合を70質量%(熱可塑性ポリエステル系エラストマリッチ)として、先に説明したようにそのモルフォロジーを、熱可塑性ポリエステル系エラストマ中に熱可塑性ポリウレタン系エラストマの粒子が微分散した図3の海−島構造とした実施例1の紙葉類重送防止部材は、摩擦係数が大きく重送防止効果に優れているとともに、摩耗量が小さく耐摩耗性にも優れており、その上、音鳴きを全く生じないことが判った。
またエラストマ成分として熱可塑性ポリウレタン系エラストマと熱可塑性ポリエステル系エラストマとを併用するとともに、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマの割合を70質量%、熱可塑性ポリエステル系エラストマの割合を30質量%(ポリウレタン系エラストマリッチ)として、先に説明したようにそのモルフォロジーを、熱可塑性ポリウレタン系エラストマ中に熱可塑性ポリエステル系エラストマの粒子が微分散した図4の海−島構造とした実施例2の紙葉類重送防止部材は、音鳴きがわずかに発生したものの許容レベルであり、また摩擦係数が大きく重送防止効果に優れている上、摩耗量が大幅に小さく耐摩耗性に特にすぐれていることが判った。
1 給紙機構
2 外周面
3 給紙ローラ
4 紙葉類重送防止部材
5 接触面
6 支持台
7 紙葉類

Claims (2)

  1. 紙葉類と接触する接触面を備えた紙葉類重送防止部材であって、少なくとも前記接触面が、熱可塑性ポリウレタン系エラストマと、熱可塑性ポリエステル系エラストマとをエラストマ成分として含有し、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマの、エラストマ成分の総量に占める割合が5質量%以上、90質量%以下であるとともに、前記エラストマ成分は、
    (1) 前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマ中に熱可塑性ポリエステル系エラストマの粒子が微分散した海−島構造、または
    (2) 前記熱可塑性ポリエステル系エラストマ中に熱可塑性ポリウレタン系エラストマの粒子が微分散した海−島構造
    を呈することを特徴とする紙葉類重送防止部材。
  2. 海−島構造の島に相当するエラストマの粒子の粒径が1μm以下である請求項に記載の紙葉類重送防止部材。
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