JP5133289B2 - 熱収縮性フィルム - Google Patents
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Description
特に、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体樹脂を用いた熱収縮性フィルムは、塩化ビニル樹脂のような残留モノマーや可塑剤の残留及び焼却時の塩化水素の発生等の問題も無いため、食品包装やキャップシール、ラベル等に利用されている。
このような熱収縮性フィルムに必要な特性としては、自然収縮性、低温収縮性、透明性、機械強度、包装機械適性等が挙げられ、これまで、これらの特性の向上と良好な物性バランスを得るため種々の検討がなされてきた。
特許文献2には、耐溶剤性、自然収縮性、低温収縮性、剛性等に優れ、耐ブロッキング性、耐温水融着性、低温伸び及び耐衝撃性等の物性バランスに優れ、ゲルに起因するフィッシュアイ(FE)が少ない熱収縮性フィルムを得るための、特定構造の水添共重合体が開示されている。
特許文献3には、耐溶剤性、剛性、伸び及び透明性に優れたシート・フィルム及び熱収縮性フィルムに適した、耐溶剤性、自然収縮性、低温収縮性、剛性、透明性及び伸び等の物性バランスに優れた特定構造のブロック共重合体水添物とポリオレフィン系重合体とを含み、特定の貯蔵弾性率(E')と損失弾性率(E")を有するブロック共重合体水添物組成物が開示されている。
特許文献4には、耐溶剤性、剛性、伸び及び透明性に優れたシート及び熱収縮性フィルムに適した物性バランスに優れる特定構造のブロック共重合体水添物とビニル芳香族炭化水素系重合体との組成物が開示されている。
特許文献5には、高い透明性や光沢性、優れた低温収縮性、印刷適性に優れた熱収縮性フィルムとして、オレフィン系樹脂と接着樹脂からなる層を中間層とし、特定のゴム状弾性分散スチレン系樹脂を表面層及び裏面層とした積層体が開示されている。
特許文献6には、印刷適性、寸法安定性に優れ、比重を0.960未満とする熱収縮性フィルムとして、スチレン系樹脂からなる表面層及び裏面層の間に、プロピレン系樹脂と石油系樹脂、及び接着樹脂とからなる中間層を設けた積層体が開示されている。
すなわち、本発明は以下の通りである。
ブロック共重合体水添物(I)5〜40質量%、
ブロック共重合体(II)39〜90質量%、
オレフィン系樹脂(III)5〜25質量%、
を含有する組成物からなり、
前記ブロック共重合体水添物(I)が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる
ブロック共重合体の水添物で、ビニル芳香族炭化水素含有量が55〜80質量%、ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が50〜95質量%であって、ブロック共重合体水添物(I)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が−40℃以下に少なくとも1つ存在し、前記ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体中の共役ジエン単位の二重結合の水添率が10%以上50%未満であり、
前記ブロック共重合体(II)が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体で、ビニル芳香族炭化水素含有量が85質量%を超え95質量%未満であり、前記ブロック共重合体(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が20〜95質量%であって、前記ブロック共重合体(II)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜8万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が60〜110℃に少なくとも1つ存在し、前記組成物中の、水添された共役ジエン単位の含有量が、0.5〜10質量%である熱収縮性フィルムを提供する。
ここで、重合体(IV)は、下記(i)〜(iv)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であるものとする。
(i):前記成分(I)及び前記成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物。
(ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体。
(iii)ビニル芳香族炭化水素重合体。
(iv)ゴム変性スチレン系重合体。
本実施形態の熱収縮性フィルムは、ブロック共重合体水添物(I)5〜90質量%、ブロック共重合体又はその水添物(II)5〜90質量%、オレフィン系樹脂(III)5〜90質量%を含有する組成物からなるものである。
前記ブロック共重合体水添物(I)は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体の水添物である。
ビニル芳香族炭化水素含有量が55〜85質量%、好ましくは58〜80質量%、より好ましくは60〜75質量%である。ビニル芳香族炭化水素含有量が55〜85質量%の範囲であると剛性と伸びのバランスに優れた熱収縮性フィルムが得られる。
ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率は50〜95質量%である。好ましくは55〜90質量%、より好ましくは60〜90質量%である。ビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が50〜95質量%の範囲であると、実用上十分な剛性を有し、印刷後の低温伸びの保持に優れる熱収縮性フィルムが得られる。
ランダム共重合体鎖に占めるビニル芳香族炭化水素量が多いほどブロック率は低下し、少ないほどブロック率を高くすることができる。
ビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率は、前記成分(I)の水添前のブロック共重合体を、四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(酸化分解法:I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)を適用して求められる。
この方法により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている。)を用いて、次の式から求められる。
ブロック率(質量%)=(ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重合鎖の重量/ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全重量)×100
なお、上記酸化分解法により、「ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重合鎖の重量」が求められ、「ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全重量」は、重合時の仕込み比率から、あるいはNMR等の分析により求められる。
全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万の範囲であると、最終的に目的とする熱収縮性フィルムが低収縮応力と低温収縮性に優れたものとなる。
全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量は、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量又はブロック共重合体の分子量により調整できる。
ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量を増加するか、あるいはブロック共重合体の分子量を高分子量化することにより、全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量は高分子量となる。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用の単分散ポリスチレンを用いて、GPCによりそのピークカウント数と単分散ポリスチレンの数平均分子量との検量線を作成しておき、これを用いて常法(例えば「ゲルクロマトグラフィー<基礎編>」講談社発行)に従って算出する。
動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が−40℃以下の範囲であると、印刷後の低温伸びの保持に優れた熱収縮性フィルムが得られる。
動的粘弾性測定の関数tanδは、例えば(株)レオロジ製粘弾性測定解析装置DVE・V4、東洋ボールドウイン社製レオバイブロンDDV・3型等より測定できる。具体的には、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で、厚さ0.5〜2mmの試験片を用いて測定することにより得られる。
ピークを示す温度とは、tanδの値の温度に対する変化量の第1次微分値が零となる温度をいう。
このtanδのピーク温度は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比、ブロック共重合体水添物の分子量、ブロック共重合体水添物中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの含有量、ブロック共重合体水添物中のビニル芳香族炭化水素単位数が1〜3の範囲である短連鎖ビニル芳香族炭化水素重合部分の含有量、共役ジエンのミクロ構造等によって調整される。
詳細には、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体部の少なくとも1つは、ビニル芳香族炭化水素含有量を50質量%以下にすること、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体部の共役ジエンの連鎖を極力少なくするために極性溶剤の添加量を最適量に調整することが必要である。
共役ジエン単位の二重結合の水添率が10%以上50%未満の範囲にあると、印刷後の低温伸びの保持に優れた熱収縮性フィルムが得られる。
水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が挙げられる。
具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用できる。
好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できる。具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格又はフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物が挙げられる。
還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物等が挙げられる。
水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPaが好ましく、より好ましくは0.2〜10MPa、さらに好ましくは0.3〜7MPaであるものとする。
また、水添反応時間は、通常3分〜10時間であるものとし、好ましくは10分〜5時間である。
水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはこれらの組み合わせのいずれでもよい。
水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により測定できる。
一般に、ビニル結合量(ブロック共重合体水添加物:成分(I)のビニル結合量)は5〜90%、好ましくは10〜80%、より好ましくは15〜75%の範囲で設定できる。
極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
なお、ビニル結合量とは、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)である。ビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)により把握できる。
ブロック共重合体又はその水添物(II)は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物である。
ビニル芳香族炭化水素含有量は、85質量%を超えて95質量%未満であり、好ましくは87〜93質量%であり、より好ましくは89〜92質量%である。
ビニル芳香族炭化水素含有量が85質量%を超えて95質量%未満の範囲であると、剛性と自然収縮性のバランスに優れた熱収縮性フィルムが得られる。
前記成分(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が、20〜95質量%の範囲であると、剛性と印刷後の低温伸びの保持に優れる熱収縮性フィルムが得られる。ブロック率の調整及び測定方法については、上述した成分(I)場合と同様の手法により行うことができる。
前記成分(II)の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜8万の範囲であると、低収縮応力と低温収縮性に優れた熱収縮性フィルムが得られる。全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量の調整及び測定方法については、上述した成分(I)の場合と同様の手法により行うことができる。
動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が60〜110℃の範囲に少なくとも1つ存在すると、低収縮応力と低温収縮性に優れた熱収縮性フィルムが得られる。動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度の調整及び測定方法については、上述した成分(I)の場合と同様の手法により行うことができる。
前記成分(II)における共役ジエン単位の二重結合の水添率が0〜50%の範囲であると、低温収縮性に優れた熱収縮フィルムが得られ、50%を超えて100%以下の範囲であると、印刷後の低温伸びの保持に優れた特性を有する熱収縮フィルムが得られる。
前記成分(II)における共役ジエン単位の二重結合の水添方法及び水添率の測定方法は前記した成分(I)の場合と同様の手法により行うことができる。
前記成分(I)及び前記成分(II)の水添前のポリマー構造(前記成分(II)のブロック共重合体も含む)は、特に制限は無いが、例えば下記一般式(1)〜(3)により表される線状ブロック共重合体又はその水添物やラジアルブロック共重合体又はその水添物、あるいはこれらのポリマー構造の任意の混合物が使用できる。
(A−B)n、A−(B−A)n 、B−(A−B)n+1 ・・・(1)
[(A−B)k]m+1−X 、[(A−B)k−A]m+1−X ・・・(2)
[(B−A)k]m+1−X 、[(B−A)k−B]m+1−X ・・・(3)
上記式(1)〜(3)において、セグメントAは、ビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる共重合体、セグメントBは共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体である。
Xは、例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
n、k及びmは、1以上の整数を表し一般的には1〜5の整数である。
また、Xに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていてもよい。
また、上記一般式(1)〜(3)で表されるラジアルブロック共重合体又はその水添物において、更にA及び/又はBが少なくとも一つXに結合していてもよい。
セグメントA中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントA中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントA中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)と、セグメントB中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントB中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントB中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)との関係は、セグメントAにおけるビニル芳香族炭化水素含有量のほうが、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素含有量より大であることが好ましい。セグメントAとセグメントBのビニル芳香族炭化水素含有量の差は5質量%以上であることが好ましい。
アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物であって、1分子中に1個のリチウムを含む化合物や1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が挙げられる。
具体的には、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物等が挙げられる。
更に、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合に要する時間は、条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には0.5〜5時間である。
また、重合系の雰囲気は窒素ガス等の不活性ガス等により置換するのが望ましい。
重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。
さらに、重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
成分(III)のオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系重合体等より選ばれた少なくとも1種の重合体、例えば、ポリエチレン、エチレン系共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体等又はその他のエチレンと不飽和脂肪酸類との共重合体系誘導体、同エチレン系アイオノマー樹脂、エチレン−αオレフィン共重合体等)、上記にカルボン酸基を付与した変性重合体、ポリブテン−1系共重合体等より少なくとも1種選ばれた成分を主体としたものが挙げられる。
特に好ましくは、ポリプロピレン系樹脂(ランダム共重合体及びこれらの脂環族飽和炭化水素系樹脂、石油樹脂、テンペン樹脂、ロジン類で変性したものも含む)、高密度ポリエチレン、リニア−低密度ポリエチレン(L・LDPE)、超低密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂(例えばエチレン系)等が挙げられる。
また、本実施形態における熱収縮フィルムとなる組成物中の水添された共役ジエン単位の含有量は0.5〜10質量%であるものとし、好ましくは0.8〜9質量%、より好ましくは1〜7質量%である。
上記のように、成分(I)、成分(II)、成分(III)の重量比が組成物全体を100としたときに、5〜90/5〜90/5〜90の範囲であって、水添された共役ジエン単位の含有量が0.5〜10質量%の範囲であると、低温伸びと印刷後の低温伸びの保持に優れたものとなる。
本実施形態の熱収縮性フィルムとなる組成物には、下記重合体(IV)を配合した組成であってもよい。
重合体(IV)は、下記の(i)〜(iv)から選ばれる少なくとも1種である。
(i)前記成分(I)及び前記成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体。
(ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体からなる共重合体。
(iii)ビニル芳香族炭化水素重合体。
(iv)ゴム変性スチレン系重合体。
(Ab−Bb)n、Ab−(Bb−Ab)n、Bb−(Ab−Bb)n+1
(上式において、nは1以上の整数、一般的には1〜5である。)で表される線状ブロック共重合体、
又は、下記一般式、
[(Ab−Bb)k]m+2−X、[(Ab−Bb)k−Ab]m+2−X、
[(Bb−Ab)k]m+2−X、[(Bb−Ab)k−Bb]m+2−X
(上式において、Abはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bbは、共役ジエンを主体とする重合体である。AbブロックとBbブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。k及びmは1〜5の整数である。)で表されるラジアルブロック共重合体、あるいは、これらのブロック共重合体の任意のポリマー構造の混合物が使用できる。
前記成分(i)の分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(ポリスチレン換算分子量)が3万〜50万であることが好ましく、5万〜50万がより好ましく、7万〜30万がさらに好ましい。
前記成分(i)は、分子量が異なる複数のブロック共重合体の混合物であってもよい。
数平均分子量は、重合に使用する触媒量により任意に調整できる。
また、脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とは、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル等の、炭素数C1〜C13好ましくはC2〜C13のアルコールとアクリル酸とのエステル誘導体、メタアクリル酸、炭素数C1〜C13好ましくはC2〜C13、より好ましくはC3〜C13のアルコールとメタアクリル酸とのエステル誘導体、α、β不飽和ジカルボン酸、例えばフマル酸、イタコン酸、マレイン酸等、又はこれらジカルボン酸とC2〜C13のアルコールとのモノ又はジエステル誘導体等からなる群より選ばれる少なくとも一種であるものとする。
また、上記脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体の中では、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル等のエステル類を主体にするものが好ましい。
アクリル酸n−ブチルとスチレンを主体とする脂肪族不飽和カルボン酸エステル−スチレン共重合体を用いた熱収縮性フィルムは低温収縮性が良好である。
ビニル芳香族系炭化水素とは、主としてスチレン系の単量体をいう。具体的にはスチレン、α−アルキル置換スチレン、例えばα−メチルスチレン類、核アルキル置換スチレン類、核ハロゲン置換スチレン類等が挙げられる。
ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、無水マレイン酸等が挙げられる。
ビニル芳香族炭化水素重合体としては、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。特に好ましいビニル芳香族炭化水素重合体としては、ポリスチレンが挙げられる。これらのビニル芳香族炭化水素重合体の重量平均分子量は、一般に50000〜500000の重合体であるものとする。また、これらのビニル芳香族炭化水素重合体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、剛性改良剤として利用できる。
重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等が一般的に行われている。
ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、共重合可能なエラストマーとしては、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム等が挙げられる。
これらのエラストマーは、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマー100質量部に対して、一般に3〜50質量部、上記ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーに溶解して、あるいはラテックス状として、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等に供される。
ゴム変性スチレン系重合体としては、耐衝撃性ゴム変性スチレン系重合体(HIPS)が特に好ましい。
ゴム変性スチレン系重合体は、剛性、耐衝撃性、滑り性の改良剤として利用できる。
これらのゴム変性スチレン系重合体としては、重量平均分子量が、一般に50000〜500000の重合体を使用できる。
ゴム変性スチレン系重合体の添加量は、透明性維持を考慮すると、上記成分(I)〜(III)の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。
また、前記(IV)と前記成分(I)〜(III)の合計との重量比は、前記成分(I)〜(III)の合計50〜99.9質量%で前記成分(IV)が0.1〜50質量%が好ましく、前記成分(I)〜(III)の合計が55〜99.5質量%で前記成分(IV)が0.5〜45質量%であることがより好ましく、前記成分(I)〜(III)の合計が60〜99質量%で前記成分(IV)が1〜40質量%であることがさらに好ましい。
前記成分(I)〜(III)の合計50〜99.9質量%で前記成分(IV)が0.1〜50質量%の範囲であると、剛性と伸びのバランスに優れた熱収縮性フィルムが得られる。
本実施形態の熱収縮性フィルムとなる組成物には、所定の滑剤を含有させてもよい。
滑剤としては、例えば、脂肪酸アミド、パラフィン、炭化水素系樹脂及び脂肪酸から選ばれる少なくとも1種を、前記組成物100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜4質量部、より好ましくは0.1〜3質量部添加することによって、熱収縮性フィルムの耐ブロッキング性が良好なものとなる。
脂肪酸アミドとしては、例えば、ステアロアミド、オレイル・アミド、エルシル・アミド、ベヘン・アミド、高級脂肪酸のモノ又はビスアミド、エチレンビス・ステアロアミド、ステアリル・オレイルアミド、N−ステアリル・エルクアミド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
パラフィン及び炭化水素系樹脂としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、パラフィン系合成ワックス、ポリエチレン・ワックス、複合ワックス、モンタン・ワックス、炭化水素系ワックス、シリコーンオイル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の熱収縮性フィルムとなる組成物には、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有させてもよい。
紫外線吸収剤及び光安定剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダード・アミン系光安定剤から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤及び光安定剤を適用でき、これを前記組成物100質量部に対して0.05〜3質量部、好ましくは0.05〜2.5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部添加することにより、熱収縮性フィルムの耐光性の向上効果が得られる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ・ベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシ・ベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシ・ベンゾフェノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル酸,n−ヘクサデシルエステル、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン、1,6−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチル−フェニル)−5−クロロ・ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチル−フェニル)−5−クロロ・ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3',4',5',6'−テトラヒドロ・フタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール等が挙げられる。
また、ヒンダード・アミン系光安定剤としては、例えば、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ]]、ポリ[6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジル)イミノ]]、2−(3,5−ジ・tert−ブチル−4−ヒドロキジベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキシ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキシ(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4,−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボシ酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物が挙げられる。
さらにまた、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンダメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシル−メタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリシル−メタクリレート等がある。
本実施形態の熱収縮性フィルムとなる組成物には、所定の安定剤を、前記組成物100質量部に対して0.05〜3質量部、好ましくは0.1〜2質量部添加することによって、ゲル抑制効果が得られる。
安定剤の添加量が0.05質量部未満であると、ゲル抑制効果が得られず、3質量部を超えると、それ以上はゲル抑制効果に寄与しなくなる。
安定剤としては、フェノール系安定剤が挙げられる。具体的には、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの安定剤の中でも特に、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートが好ましい。
本実施形態の熱収縮性フィルムとなる組成物には、目的に応じて種々の添加剤を添加することができる。
好適な添加剤としては、例えば、クマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、オイル等の軟化剤、可塑剤が挙げられる。
また、各種の安定剤、顔料、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等も添加できる。
なお、ブロッキング防止剤、帯電防止剤としては、例えば脂肪酸アマイド、エチレンビス・ステアロアミド、ソルビタンモノステアレート、脂肪酸アルコールの飽和脂肪酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらは、上記成分(I)〜(III)の合計100質量%に対し、一般的に0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%の範囲で用いられる。
本実施形態の熱収縮性フィルムとなる組成物の製造方法は、特に限定されず、従来公知のあらゆる配合方法によって製造できる。
例えば、オープンロール、インテンシブミキサー、インターナルミキサー、コニーダー、二軸ローター付の連続混練機、押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶剤に溶解又は分散混合後溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
本実施形態の熱収縮性フィルムは、熱収縮性1軸又は2軸延伸フィルムである。
材料を通常のTダイ又は環状ダイから、フラット状又はチューブ状に、150〜250℃、好ましくは170〜220℃で押出成形し、得られた未延伸物を、実質的に1軸延伸又は2軸延伸する方法や、第1のインフレーション工程として延伸前の原反シートを作製し、第2のインフレーション工程として流体中で再度インフレーション法によって熱収縮性フィルムを得る方法等によって製造できる。
2軸延伸の場合、フィルム、シート状の場合には押出フィルム又はシートを金属ロール等で縦方向に延伸した後、テンター等で横方向に延伸し、チューブ状の場合にはチューブの押出方向及びチューブの円周方向、即ちチューブ軸と直角をなす方向にそれぞれ同時に、或いは別々に延伸する。
また、縦方向及び/又は横方向の延伸倍率は1.5〜8倍が好ましく、2〜6倍がより好ましい。
延伸温度が60℃未満であると、延伸時に破断を生じて所望の熱収縮性フィルムを作製することが困難となり、130℃を超えると、収縮特性が悪化する。
延伸倍率は、最終的に目的とする熱収縮性フィルムの用途によって必要とする収縮率に対応するように上記範囲内で選定する。延伸倍率が1.5倍未満の場合は熱収縮率が小さく熱収縮包装用として好ましくなく、一方において延伸倍率が8倍を超えると、延伸加工工程における安定生産性を確保する観点から好ましくない。
2軸延伸の場合、縦方向及び横方向における延伸倍率は同一であっても、異なっていてもよい。
熱収縮率が、上記範囲である場合、熱収縮率と自然収縮率のバランスに優れた熱収縮性フィルムが得られる。
ここで熱収縮性フィルム自体の自然収縮率とは、上記熱収縮率の範囲の熱収縮性フィルムを35℃で5日間放置し、後述する式により算出した値である。
自然収縮率(%)=(L2−L3)/L2×100
(L2は放置前の長さを示し、L3は放置後の長さを示す。)
延伸方向における引張弾性率が700MPa未満であると、収縮包装工程においてヘタリを生じ、正常な包装ができず好ましくない。
3000MPaを超えるとフィルムの伸びが低下するため好ましくない。
多層積層体としての使用形態は、例えば特公平3-5306号公報に開示されている形態が具体例として挙げられる。
このような多層フィルムとしては、熱収縮性フィルムであるフィルム層以外の層は、特に限定されることはなく、構成成分や組成等が異なる本実施形態の熱収縮性フィルムであってもよく、その他の材料よりなる熱収縮性フィルムであってもよい。
なお、本実施形態の熱収縮性フィルムを中層とする場合の外層フィルムにおいては、ビカット軟化温度は中層よりも3〜15℃、好ましくは5〜12℃高いものが好ましい。
本実施形態の熱収縮性フィルム及び熱収縮性多層フィルムの厚さは、10〜300μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、30〜100μmがさらに好ましい。
多層フィルムの両表層と内層の厚みの割合は5/95〜45/55が好ましく、10/90〜35/65がより好ましい。
本実施形態における熱収縮性フィルムは、その特性を生かして種々の用途、例えば生鮮食品、菓子類の包装、衣類、文具等の包装等に利用できる。
特に好ましい用途としては、1軸延伸フィルムに文字や図案を印刷した後、プラスチック成形品や金属製品、ガラス容器、磁器等の被包装体表面に熱収縮により密着させて使用する、いわゆる熱収縮性ラベル用素材としての利用が挙げられる。
特に、本実施形態の熱収縮性フィルムは、印刷後の低温伸びの保持と低収縮応力に優れているため、高温に加熱すると変形を生じる様なプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材の他、熱膨張率や吸水性等が本発明のブロック共重合体とは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた容器の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
なお、本実施形態における熱収縮性フィルムが利用できるプラスチック容器を構成する材質としては、上記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらのプラスチック容器は2種以上の樹脂類の混合物でも積層体であってもよい。
実施例及び比較例において用いるブロック共重合体水添物A−1〜A−13を、下記方法により調製した。
水添前ブロック共重合体は、シクロヘキサン溶媒中で、n−ブチルリチウムを触媒とし、テトラメチルエチレンジアミンをランダム化剤として製造し、下記表1に示す構造、スチレン含有量(質量%)、ブロック率、ブロックスチレン数平均分子量、tanδピーク温度、及び所定の水添率を有するブロック共重合体水添物を製造した。
スチレン含有量はスチレンとブタジエンとの添加量で調整した。
ブロック率はスチレン含有量、ブロック共重合体の構造で調整した。
ブロックスチレン数平均分子量はスチレンブロックの重量又はブロック共重合体の分子量で調整した。
tanδピーク温度はブロック共重合体の構造で調整した。
なお、ブロック共重合体水添物の調製において、モノマーは、シクロヘキサンで濃度20質量%に希釈したものを使用した。
また、水添触媒は、窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた水添触媒を使用した。
なお、下記表1中の「ブロック共重合体水添物の構造」、表2中の「ブロック共重合体の構造」において、Aはポリスチレン部、Bはスチレンとブタジエンのランダム共重合体部、Cはポリブタジエン部を表すが、これらに付されている番号が異なること(例えば、A1とA2)、あるいは、番号の付されているものと無印のもの(例えばB1とB)は、これらが互いに同一のものには限られず、重量や分子量が互いに異なるものであってもよいことを示している。但し、同一であってもよい。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン26質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.121質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン7質量部と、1,3−ブタジエン42質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で65分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たり、チタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した。
その後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−1を得た。
なお、水添率は水素量で調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.100質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン3質量部と1,3−ブタジエン10質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン6質量部と1,3−ブタジエン11質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で25分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン29質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たり、チタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−2を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.110質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン12質量部と1,3−ブタジエン30質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン28質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たり、チタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−3を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン33質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.097質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部と1,3−ブタジエン37質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−4を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.351質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.2倍モル添加し、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部と1,3−ブタジエン21質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で45分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン24質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブに1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを、n−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、5分間保持した後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−5を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.116質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン25質量部と1,3−ブタジエン47質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で85分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−6を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン38質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.089質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン9質量部と1,3−ブタジエン18質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−7を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン37質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.094質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン1質量部と1,3−ブタジエン27質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−8を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.090質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン34質量部と1,3−ブタジエン37質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で85分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−9を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.114質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン20質量部と1,3−ブタジエン25質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液を65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン20質量部と1,3−ブタジエン25質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−10を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン75質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.077質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で85分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部と1,3−ブタジエン8質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部と1,3−ブタジエン7質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−11を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.110質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン12質量部と1,3−ブタジエン30質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン28質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
その後、水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加し、次に安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物A−12を得た。
なお、水添率は、水素量により調整した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.110質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン12質量部と1,3−ブタジエン30質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン28質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−13を得た。
後述する実施例及び比較例において用いるブロック共重合体又はその水添物B−1〜B−11を、下記方法により調製した。
下記表2に示した構造、スチレン含有量(質量%)、ブロック率、ブロックスチレン数平均分子量、tanδピーク温度を有するブロック共重合体を製造した。
スチレン含有量は、スチレンとブタジエンの添加量で調整した。
ブロック率はスチレン含有量、ブロック共重合体の構造で調整した。
ブロックスチレン数平均分子量は、スチレンブロックの重量又はブロック共重合体の分子量で調整した。
tanδピーク温度は、ブロック共重合体の構造で調整した。
なお、ブロック共重合体の作製において、モノマーはシクロヘキサンで濃度20質量%に希釈したものを使用した。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、1,3−ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.036質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン59質量部と1,3−ブタジエン10質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で80分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン14質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−1を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.033質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン44質量部と1,3−ブタジエン7質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で60分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン24質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−2を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン16質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.035質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン20質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン36質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン16質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−3を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.113質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で25分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン52質量部と1,3−ブタジエン10質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で70分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン18質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で25分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブに1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを、n−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加した後、n−ブチルリチウムに対してメタノールを1.0倍モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−4を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン12質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.034質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.2倍モル添加し、65℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン59質量部と1,3−ブタジエン18質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で85分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン11質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で15分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−5を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液にn−ブチルリチウムを0.033質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で45分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン25質量部と1,3−ブタジエン3質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液を65℃で45分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−6を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン4質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.038質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で10分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン76質量部と1,3−ブタジエン15質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で100分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液を65℃で10分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−7を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン46質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.034質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン3質量部と1,3−ブタジエン5質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で15分間連続供給して重合を行った。
次にスチレン46質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−8を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン2質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.038質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で8分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン41質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン2質量部を含むシクロヘキサン溶液を65℃で8分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン42質量部と1,3−ブタジエン5質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン2質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で8分間連続供給して重合を行った。その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−9を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン43質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.033質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン24質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、65℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン23質量部と1,3−ブタジエン6質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−10を得た。
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.035質量部、テトラメチルエチレンジアミンを、n−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、65℃で30分間連続供給して重合を行った。
次に、1,3−ブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で7分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン32質量部と1,3−ブタジエン4質量部とを含むシクロヘキサン溶液を65℃で45分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液を、65℃で45分間連続供給して重合を行った。
その後、10分間保持した後、オートクレーブにメタノールをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを共重合体100質量部に対して0.6質量部を加えた。
その後、脱溶媒してブロック共重合体B−11を得た。
オレフィン系樹脂C−1:サンテック−HD J240(旭化成ケミカルズ(株)社製)
オレフィン系樹脂C−2:サンテック−LD M1820(旭化成ケミカルズ(株)社製)
オレフィン系樹脂C−3:サンアロマーPF621S(サンアロマー(株)社製)
〔共重合体D−1〕
PSJポリスチレン475D(PSジャパン(株)社製)
〔共重合体D−2〕
PSJポリスチレン685(PSジャパン(株)社製)
〔共重合体D−3〕
タフプレン126(日本エラストマー(株)社製、スチレン含量40質量%)
〔共重合体D−4〕
アクリル酸n−ブチル−スチレン共重合体であるD−4は、撹拌器付き10Lオートクレーブに、スチレン15質量部とアクリル酸n−ブチル85質量部の比率で、5kg添加し、同時にエチルベンゼン0.3kgと、分子量を調整するため1,1ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを所定量仕込み、110〜150℃で2〜10時間重合した後、ベント押出機で未反応スチレン、アクリル酸n−ブチル、エチルベンゼンを回収して製造した。
なお、共重合体D−4の数平均分子量は216000であった。
〔(1)ブロック率〕
四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)で測定でき、該方法により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている。)を用いて、次の式から求めた。
なお、上記酸化分解法により、「ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重合鎖の重量」が求められ、「ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全重量」は、重合時の仕込み比率から、あるいはNMR等の分析により求められる。
ブロック率(質量%)=(ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック重合鎖の重量/ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の全重量)×100〕
ペレットを加熱プレスで圧縮成形した厚さ約1mmの試験片を用い、株式会社ユービーエム製粘弾性測定解析装置DVE−V4により、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で、温度−100℃〜150℃の範囲を測定し、tanδのピーク温度を求めた。
GPC装置(HLC8220GPC;東ソー(株)製)を用い、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、カラム温度40℃で測定した。
数平均分子量は、重量平均分子量と数平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線から求めた。
ブロックスチレン数平均分子量については、(1)で得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分を試料として測定した。
試験片としては、延伸フィルムからMD及びTD方向に幅を10mm、標線間を100mmとする長さに短冊状に切り出したものを用いた。
測定温度は23℃とし、引張速度は10mm/minで行い、定法により引張弾性率を求めた。
なお、MD及びTD方向の平均値を引張弾性率の値とした。
試験片としては、延伸フィルムからMD及びTD方向に幅を10mm、測定長を60mmとする長さに短冊状に切り出したものを用いた。
試験片の一端を固定し、もう一方の端に荷重検知器を取り付け、80℃湯浴中に浸し、30秒間の荷重変化を測定した。
このうち最大荷重f[dyne]のとき次式に従い最大熱収縮応力を算出した。
なお、d[μm]は、試験片の最初の厚みであり、最大収縮応力とはフィルム面内各方向の熱収縮応力を測定したうちの最大値である。
熱収縮応力(Pa)=103 ×f/d
収縮応力は、値が小さい方が好ましい。
試験片としては、延伸フィルムからMD方向に幅を15mm、標線間を40mmとする長さに短冊状に切り出したものを用いた。
測定温度は−5℃、引張速度は100mm/minで行った。
また、印刷後2日経過後、−5℃伸びを同様に測定し、さらには製膜直後の測定値との比較における保持率(%)を算出した。
−5℃伸びは、値が大きい方が好ましく、保持率は高い方が好ましい。
延伸フィルム(TD方向)を80℃の温水中に10秒間浸漬し、次式により算出した。
80℃熱収縮率(%)=(L−L1)/L×100
ここで、Lは収縮前の長さを示し、L1は収縮後の長さを示す。
80℃収縮率は、一般的には値が大きい(よく縮む)方が好ましい。
延伸フィルム(TD方向)を35℃で5日間放置し、次式により算出した。
自然収縮率(%)=(L2−L3)/L2×100
ここで、L2は放置前の長さを示し、L3は放置後の長さを示す。
自然収縮率が小さいほど、自然収縮性は優れていると判断した。
下記表4〜表6に、実施例1〜9、比較例1〜18の熱収縮性フィルムの配合処方を示した。
この配合処方に従い、40mm押出機を用いて、200℃で厚さ0.25mmのシート状に成形した。その後延伸温度を85℃として、テンターを用いて横軸に延伸倍率を5倍に1軸延伸して厚さ約50μmの熱収縮性フィルムを得た。
この熱収縮性フィルムのフィルム性能を下記表4〜表6に示した。
比較例1〜8は、成分(I)の配合量が本発明から外れているため、自然収縮率(良好な値は2.7%以下)、80℃収縮率(良好な値は36%以上)、引張弾性率(良好な値は1340MPa以上)、−5℃の伸び(良好な値は200%以上)、印刷後2日後の−5℃の伸びの保持率(良好な値は80%以上)、収縮応力(良好な値は3.3Mpa以下)のいずれかにおいて、実用上十分な評価が得られなかった。
比較例9〜11は配合組成が本発明から外れているため、比較例9、11は延伸できず、比較例10においては、−5℃の伸びにおいて、実用上十分な評価が得られなかった。
比較例12〜18は、ブロック共重合体(II)の種類が本発明から外れているため、
引張弾性率と−5℃の伸びの保持率の何れかにおいて、実用上十分な評価が得られなかった。
Claims (11)
- ブロック共重合体水添物(I)5〜40質量%、
ブロック共重合体(II)39〜90質量%、
オレフィン系樹脂(III)5〜25質量%、
を含有する組成物からなり、
前記ブロック共重合体水添物(I)が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなる
ブロック共重合体の水添物で、ビニル芳香族炭化水素含有量が55〜80質量%、ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が50〜95質量%であって、ブロック共重合体水添物(I)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が−40℃以下に少なくとも1つ存在し、前記ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体中の共役ジエン単位の二重結合の水添率が10%以上50%未満であり、
前記ブロック共重合体(II)が、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体で、ビニル芳香族炭化水素含有量が85質量%を超え95質量%未満であり、前記ブロック共重合体(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が20〜95質量%であって、前記ブロック共重合体(II)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜8万であり、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が60〜110℃に少なくとも1つ存在し、
前記組成物中の、水添された共役ジエン単位の含有量が、0.5〜10質量%である熱
収縮性フィルム。 - 前記ブロック共重合体水添物(I)におけるビニル芳香族炭化水素の含有量が58〜8
0質量%、
前記ブロック共重合体水添物(I)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロッ
ク率が55〜90質量%であって、
ブロック共重合体水添物(I)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分
子量が、0.5万〜5万である請求項1に記載の熱収縮性フィルム。 - 前記ブロック共重合体(II)は、ビニル芳香族炭化水素含有量が87〜93質量%であり、
前記ブロック共重合体(II)に含有されるビニル芳香族炭化水素重合体のブロック率が30〜85質量%であって、
前記ブロック共重合体(II)中の全ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が0.5万〜6万で、動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が70〜105℃に少なくとも1つ存在する請求項1又は2に記載の熱収縮性フィルム。 - 前記組成物中の、水添された共役ジエン単位の含有量が、0.8〜9質量%である請求
項1乃至3のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルム。 - 前記組成物に、下記重合体(IV)がさらに含有されている請求項1乃至4のいずれか
一項に記載の熱収縮フィルム。
ここで、重合体(IV)は、下記(i)〜(iv)からなる群から選ばれる少なくとも
1種の重合体であるものとする。
(i):前記成分(I)及び前記成分(II)とは異なるビニル芳香族炭化水素と共役ジ
エンとからなるブロック共重合体又はその水添物。
(ii)ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体とからなる共重合体。
(iii)ビニル芳香族炭化水素重合体。
(iv)ゴム変性スチレン系重合体。 - 前記(I)〜(III)の合計60〜99.9質量%と、前記(IV)0.1〜40質量%とを含有する組成物からなる請求項5に記載の熱収縮性フィルム。
- 脂肪酸アミド、パラフィン、炭化水素系樹脂、及び脂肪酸よりなる群から選ばれる少な
くとも1種を含有する滑剤を、
前記(I)、(II)及び(III)の合計100質量部に対して、0.01〜5質量
部、さらに含有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルム。 - 脂肪酸アミド、パラフィン、炭化水素系樹脂、及び脂肪酸よりなる群から選ばれる少な
くとも1種を含有する滑剤を、
前記(I)、(II)、(III)及び(IV)の合計100質量部に対して、0.0
1〜5質量部含有する請求項5又は6に記載の熱収縮性フィルム。 - ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダード・ア
ミン系光安定剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を、
前記成分(I)、(II)(III)の合計100質量部に対して、0.01〜3質量
部含有する請求項1乃至4、7のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルム。 - ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダード・ア
ミン系光安定剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を、
前記成分(I)、(II)、(III)及び(IV)の合計100質量部に対して、0
.01〜3質量部含有する請求項5、6、8のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルム。 - 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の熱収縮性フィルムを具備する多層フィルム。
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