以下、本発明に係る表示パネル及びその製造方法について、実施の形態を示して詳しく説明する。ここで、以下に示す実施形態においては、表示画素を構成する発光素子として、上述した高分子系の有機材料からなる有機EL層を備えた有機EL素子を適用した場合について説明する。
<第1の実施形態>
(表示パネル)
まず、第1の実施形態に係る表示パネル(有機ELパネル)の概略構造と、表示画素の回路構成について説明する。ここでは、基板上に形成された画素駆動回路(上述した画素回路に相当する)の薄膜トランジスタや配線層を被覆するように平坦化膜が形成され、該平坦化膜上に有機EL素子が形成されたパネル構造について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る表示パネルの一例を示す概略平面図であり、図2は、本実施形態に係る表示パネルに二次元配列される各表示画素(発光素子及び画素駆動回路)の回路構成例を示す等価回路図である。ここで、図1に示す平面図においては、説明の都合上、表示パネル(絶縁性基板)を視野側から見た、各表示画素(色画素)に設けられる画素電極の配置と各配線層の配設構造との関係を主に示し、各表示画素の有機EL素子(発光素子)を発光駆動するために、各表示画素に設けられる図2に示す画素駆動回路内のトランジスタ等や、平坦化膜の表示を省略した。また、図1においては、画素電極及び各配線層の配置を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。
第1の実施形態に係る表示パネル10は、図1に示すように、ガラス基板等の絶縁性基板11の一面側(図面手前側)に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる色画素PXr、PXg、PXbが図面左右方向に繰り返し複数(3の倍数)配列されるとともに、図面上下方向に同一色の色画素PXr、PXg、PXbが複数配列されている。ここでは、隣接するRGB3色の色画素PXr、PXg、PXbを一組として一の表示画素PIXが形成されている。
各色画素PXr、PXg、又は、PXbが形成される各画素形成領域には、画素電極(例えばアノード電極)15が形成されているとともに、列方向(すなわち図面上下方向)にデータラインLdが配設され、また、当該データラインLdに直交して行方向(すなわち図面左右方向)に選択ラインLs及び供給電圧ライン(例えばアノードライン)Laが配設されている。また、絶縁性基板11上に2次元配列された複数の表示画素PIX(各画素電極15)に対して共通に単一の平面電極(べた電極)からなる対向電極(例えばカソード電極)17が形成されている。
表示画素PIXの各色画素PXr、PXg、PXbの具体的な回路構成としては、例えば図2に示すように、絶縁性基板11上に例えばアモルファスシリコン薄膜トランジスタからなる1乃至複数のトランジスタ(回路素子)等の複数の機能素子を有する画素駆動回路(駆動回路)DCと、当該画素駆動回路DCにより制御される発光駆動電流が、上記画素電極15に供給されることにより発光動作する有機EL素子(発光素子)OLEDと、を備えている。
画素駆動回路DCは、例えば図2に示すように、ゲート端子が選択ラインLsに、ドレイン端子が表示パネル10の列方向に配設されたデータラインLdに、ソース端子が接点N11に各々接続されたトランジスタ(選択トランジスタ)Tr11と、ゲート端子が接点N11に、ドレイン端子が供給電圧ラインLaに、ソース端子が接点N12に各々接続されたトランジスタ(発光駆動トランジスタ)Tr12と、トランジスタTr12のゲート端子及びソース端子間に接続されたキャパシタCsと、を備えている。
ここでは、トランジスタTr11、Tr12はいずれも薄膜トランジスタ構造を有するnチャネル型の電界効果型トランジスタが適用されている。なお、トランジスタTr11、Tr12がpチャネル型であれば、ソース端子及びドレイン端子が互いに逆になる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート−ソース間に形成される寄生容量、又は、該ゲート−ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは、これらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。
有機EL素子OLEDは、アノード端子(アノード電極となる画素電極15)が上記画素駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード端子(カソード電極となる対向電極17)が例えば所定の低電位電源に直接又は間接的に接続されている。ここで、上述したように、カソード電極となる対向電極17は、絶縁性基板11上に配列された全ての表示画素PIX(有機EL素子OLEDのカソード電極)に共通の単一の平面電極からなり、所定の低電圧(基準電圧Vss;例えば接地電位Vgnd)が共通に印加されている。
なお、図2に示した表示画素PIX(画素駆動回路DC及び有機EL素子OLED)において、選択ラインLsは、例えば図示を省略した選択ドライバに接続され、所定のタイミングで表示パネル10の行方向に配列された複数の表示画素PIX(色画素PXr、PXg、PXb)を選択状態に設定するための選択信号Sselが印加される。また、データラインLdは、図示を省略したデータドライバに接続され、上記表示画素PIXの選択状態に同期するタイミングで表示データに応じた階調信号Vpixが印加される。
供給電圧ラインLaは、例えば所定の高電位電源に直接又は間接的に接続され、各表示画素PIX(色画素PXr、PXg、PXb)に設けられる有機EL素子OLEDの画素電極(アノード電極)15に表示データに応じた発光駆動電流が流れるように、有機EL素子OLEDの対向電極17(カソード電極)に印加される基準電圧Vssより電位の高い、所定の高電圧(供給電圧Vdd)が印加される。
すなわち、各表示画素PIXにおいて、直列に接続されたトランジスタTr12と有機EL素子OLEDの組の両端(トランジスタTr12のドレイン端子と有機EL素子OLEDのカソード端子)にそれぞれ供給電圧Vddと基準電圧Vssを印加して有機EL素子OLEDに順バイアスを付与して有機EL素子OLEDが発光できる状態にし、さらに、階調信号Vpixに応じて流れる発光駆動電流の電流値をトランジスタTr12により制御している。
なお、図2においては、表示画素PIXに設けられる画素駆動回路DCとして、薄膜トランジスタを2個使用した回路構成を示したが、3個以上の複数のトランジスタを備える回路構成を有するものであってもよい。また、画素駆動回路DCとして、表示データに応じて各表示画素PIX(具体的には、画素駆動回路DCのトランジスタTr12のゲート端子;接点N11)に書き込む階調信号Vpixの電圧値を調整(指定)することにより、有機EL素子OLEDに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所望の輝度階調で発光動作させる電圧指定型の階調制御方式の回路構成を示したが、表示データに応じて各表示画素PIXに書き込む電流値を調整(指定)することにより、有機EL素子OLEDに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所望の輝度階調で発光動作させる電流指定型の階調制御方式の回路構成を有するものであってもよい。
(表示画素のデバイス構造)
次いで、上述したような回路構成を有する表示画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。ここでは、有機EL層において発光した光を、絶縁性基板を介することなく視野側(絶縁性基板の一面側)に出射するトップエミッション型の発光構造を有する表示画素について示す。
図3は、本実施形態に係る表示パネルに適用可能な表示画素のデバイス構造の一例を示す平面レイアウト図及び要部断面図である。ここでは、画素駆動回路DCの各トランジスタ及び各配線層等が形成された層を中心に示す。また、図3(b)は、図3(a)に示す表示画素PIX(各色画素PXr、PXg、PXbのうちの特定の一の色画素)におけるA1−A1線に沿った断面を示す概略断面図である。
図2に示した表示画素PIX(色画素PXr、PXg、PXb)は、具体的には、絶縁性基板11の一面側に設定された画素形成領域(各色画素PXr、PXg、PXbの形成領域;図3(a)、(b)中、Rpxと表記)において、例えば図3(a)に示すような平面レイアウトの上方及び下方の縁辺領域に行方向(図面左右方向)に延在するように選択ラインLs及び供給電圧ラインLaが各々配設されるとともに、これらのラインLs、Laに直交し、上記平面レイアウトの左方の縁辺領域に列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLdが配設されている。
ここで、例えば図3(a)、(b)に示すように、データラインLdは、選択ラインLs及び供給電圧ラインLaよりも下層側(絶縁性基板11側)に設けられ、トランジスタTr11、Tr12のゲート電極Tr11g、Tr12gを形成するためのゲートメタル層をパターニングすることによって当該ゲート電極Tr11g、Tr12gと同じ工程で形成され、その上に成膜されたゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH11を介して、トランジスタTr11のドレイン電極Tr11dに接続されている。
選択ラインLs及び供給電圧ラインLaは、データラインLdよりも上層側に設けられ、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s、ドレイン電極Tr11d、Tr12dを形成するためのソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって当該ソース電極Tr11s、Tr12s、ドレイン電極Tr11d、Tr12dと同じ工程でゲート絶縁膜12上に形成される。選択ラインLsは、トランジスタTr11のゲート電極Tr11gの一端側に位置するゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH12を介してゲート電極Tr11gに接続されている。また、供給電圧ラインLaは、トランジスタTr12のドレイン電極Tr12dと一体的に形成されている。
画素駆動回路DCは、例えば図3(a)に示すように、図2に示したトランジスタTr11が画素形成領域Rpxの左方の縁辺領域に、列方向に配設されたデータラインLdに沿って図面上下方向に延在するように配置され、トランジスタTr12が画素形成領域Rpxの右方の縁辺領域に、図面上下方向に延在するように配置されている。
ここで、各トランジスタTr11、Tr12は、周知の電界効果型トランジスタ構造を有し、各々、絶縁性基板11上に形成されたゲート電極Tr11g、Tr12gと、ゲート絶縁膜12を介して各ゲート電極Tr11g、Tr12gに対応する領域に形成された半導体層SMCと、該半導体層SMCの両端部に延在するように形成されたソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと、を有している。
なお、各トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12sとドレイン電極Tr11d、Tr12dが対向する半導体層SMC上には当該半導体層SMCへのエッチングダメージを防止するための酸化シリコン又は窒化シリコン等のチャネル保護層(ブロック層)BLが形成され、また、ソース電極Tr11s、Tr12sとドレイン電極Tr11d、Tr12dが接触する半導体層SMC上には、当該半導体層SMCとソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dとのオーミック接続を実現するための不純物層OHMが形成されている。
そして、図2に示した画素駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr11は、図3(a)、(b)に示すように、ゲート電極Tr11gがゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH12を介して選択ラインLsに接続され、同ドレイン電極Tr11dがゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH11を介してデータラインLdに接続されている。
トランジスタTr12は、図3(a)、(b)に示すように、ゲート電極Tr12gがゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH13を介して上記トランジスタTr11のソース電極Tr11sに接続され、同ドレイン電極Tr12dが供給電圧ラインLaと一体的に形成され、同ソース電極Tr12sが保護絶縁膜13及び平坦化膜14に設けられたコンタクトホールCH14を介して、平坦化膜14上に形成される有機EL素子OLEDの画素電極15に接続されている。
キャパシタCsは、ゲート絶縁膜12を介して相互に対向する一対の導電層からなり、図3(a)に示すように、ゲート絶縁膜12の下層側(絶縁性基板11側)に設けられる一方側の電極EcaがトランジスタTr12のゲート電極Tr12gと一体的に形成され、ゲート絶縁膜12の上層側(平坦化膜14側)に設けられる他方側の電極EcbがトランジスタTr12のソース電極Tr12sと一体的に形成されている。
また、平坦化膜14は、絶縁性基板11上に形成された上記画素駆動回路DCのトランジスタTr11、Tr12や各配線層による段差を極力緩和して、当該平坦化膜14の表面の平坦性への影響が小さくなるように、平坦化膜材料やその厚み等が適宜設定されている。ここで、本実施形態に適用可能な平坦化膜材料としては、熱硬化性を有する有機材料を良好に適用することができ、例えば、絶縁性基板11上への成膜後に直接パターニングが可能な感光性の有機材料としてJSR株式会社製のPC403や、段差緩和性能が高いが、絶縁性基板11上への成膜後にドライエッチングで加工する必要がある非感光性の有機材料としてナガセケムテックス株式会社製のSRK−762等を良好に適用することができる。
そして、各画素形成領域Rpxの平坦化膜14上には、図3(b)に示すように、例えばアノード電極となる画素電極15と、例えば正孔輸送層(担体輸送層)16a及び電子輸送性発光層(担体輸送層)16bを有する有機EL層(発光機能層;発光部)16と、例えばカソード電極となる対向電極17とを順次積層した有機EL素子OLEDが設けられている。
ここで、表示パネル10(有機EL素子OLED)がトップエミッション型の発光構造を有している場合には、画素電極15は少なくとも光反射特性を有する層を含むとともに、対向電極17が光透過特性を有する層により形成されている。具体的には、画素電極15は、アルミニウム(Al)等の反射金属層15a上に錫ドープ酸化インジウム(Indium Thin Oxide;ITO)や亜鉛ドープ酸化インジウム(Indium
Zinc Oxide;IZO)等からなる透明な酸化金属層15bを被覆するように積層形成した電極構造を有し、対向電極17は、透明な酸化金属層を有している。
また、上述したように、画素電極15は、下層の平坦化膜14及び保護絶縁膜13に設けられたコンタクトホールCH14を介して上述した画素駆動回路DCのトランジスタTr12のソース電極Tr12sに接続され、対向電極17は、少なくとも各画素形成領域Rpxの画素電極15に対して有機EL層16を介して共通に対向するように、単一の平面電極(べた電極)により形成されている。
すなわち、表示画素PIXは、図3に示すように、絶縁性基板11上に画素駆動回路DC(図2参照)の複数のトランジスタTr11、Tr12や、選択ラインLs及びデータラインLd、供給電圧ラインLaを含む各種配線層が設けられ、当該トランジスタTr11、Tr12及び各配線層を被覆するように順次形成された保護絶縁膜13及び平坦化膜14を介して、その上層に、画素駆動回路DCに接続されて所定の発光駆動電流が供給される画素電極(例えばアノード電極)15、正孔輸送層16aと電子輸送性発光層16bを有する有機EL層16、及び、基準電圧Vssが印加される対向電極(例えばカソード電極)17を備えた有機EL素子OLEDが形成されている。
また、相互に隣接する異なる色の表示画素PIX(有機EL素子OLEDの画素電極15)間の領域(すなわち、表示画素PIX間の境界領域)には、図3(b)に示すように、層間絶縁膜(突起部)18が形成されている。すなわち、層間絶縁膜18は、各画素形成領域Rpxに形成される画素電極15相互を隔離、絶縁するとともに、各画素電極15を露出するように形成されていることにより、層間絶縁膜18により囲まれた領域が、有機EL層16(正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16b)を形成する際の有機溶液を塗布する領域(EL素子形成領域Rel)として規定される。ここで、層間絶縁膜18は、画素形成領域Rpxの左右の縁辺領域に形成されたトランジスタTr11及びTr12を被覆する平坦化膜14上に、少なくとも当該トランジスタTr11及びTr12等の回路素子の一部が平面的に重なるように、厚さ方向に連続的に突出するように形成されている。さらに、図示を省略したが、上記画素駆動回路DC、有機EL素子OLEDが形成された絶縁性基板11上には、透明な封止樹脂層を介して、絶縁性基板11に対向するように透明な封止基板が接合されている。
そして、本実施形態に係る表示パネル10に適用される表示画素PIXにおいては、例えば図3(a)に示すように、画素形成領域Rpxの左方と右方の縁辺領域に略同等のサイズを有するトランジスタTr11及びTr12を配置し、かつ、図3(b)に示すように、これらのトランジスタTr11、Tr12を形成する電極層や半導体層等を、各々同一の製造プロセスで形成することにより各層の膜厚を略同一にして、絶縁性基板11の表面に生じる段差を略同等になるようにしたデバイス構造を有している。
すなわち、画素形成領域Rpxの左方と右方の縁辺領域に配置、形成されるトランジスタTr11、Tr12は、各チャネル幅W(図3(a)の上下方向のトランジスタTr11、Tr12の長さに相当する)が略同一になるように設定されている。ここで、トランジスタTr11、Tr12のトランジスタサイズ、すなわち、チャネル幅W及びチャネル長Lは、当該トランジスタTr11、Tr12を有して構成される画素駆動回路DCにより駆動制御される有機EL素子OLEDを、表示データに応じた適切な輝度階調で発光させることができる駆動能力(又は駆動特性)を有するように任意の数値に設定される。
より具体的には、図3(a)の平面レイアウトにおいて画素形成領域Rpx(又は表示画素PIX)の中心点Pcを通り、上下方向に延伸する中心線(第2の基準線)CL11を基準にして、また、図3(b)の断面図において上記中心点Pcを通り、上下方向に延伸する中心線CL13(実質的に上記中心線CL11と同等)を基準にして、各図面の左右領域の略対称(略線対称)となる位置に略同一の平面パターンを有する上記トランジスタTr11、Tr12及び各配線層が配置、形成されている。この対称構造に形成される領域は、画素形成領域Rpxにおける層間絶縁膜18が形成される領域に対応する領域の、有機EL層16が形成される領域に隣接する領域の全体に亘って設けられて、完全に左右対称な平面パターンとすることが好ましいが、実際には完全に左右対称な平面パターンにすることは困難である。しかしながら、画素形成領域Rpxにおける層間絶縁膜18が形成される領域に対応する領域の、有機EL層16が形成される領域に隣接する領域の少なくとも30%の領域(例えば図3(a)のS11、S12に示す領域)が、この対称構造となっていれば、平坦化膜14表面の傾斜やうねりを概ね抑えることができる。
また、このような構成に加えて、対称構造とされる領域S11、S12を、図3(a)の平面レイアウトにおいて上記中心点Pcを通り、左右方向に延伸する中心線(第1の基準線)CL12を基準にして、図面の上下領域の略対称(略線対称)となる位置に設けるようにすると、平坦化膜14表面の平坦性を更に向上させることができて、より好ましい。
ここで、本発明の概念について、上述した実施形態の各構成と対応させながら説明する。
図4は、本発明に係る表示パネルの概念を説明するための概念図である。ここでは、本発明に係る概念に対応する各領域を明確にするために便宜的にハッチングを施して示した。同一のハッチングを施した箇所は同一の概念に係る領域を示している。
すなわち、上述した実施形態に示した表示パネルは、図1に示したような絶縁性基板11上に有機EL素子(発光素子)OLEDを有する複数の表示画素PIXが行方向及び列方向にマトリクス状に配列された表示パネル10において、図4の概念図に示すように、絶縁性基板11上にマトリクス状に配列され、複数の表示画素PIXをなす複数の画素形成領域Rpxと、該各画素形成領域Rpx内に設けられる有機EL素子(発光素子)OLEDの有機EL層(発光部)16と、各画素形成領域Rpx内に設けられ、有機EL素子OLEDを駆動するための複数のトランジスタTr11、Tr12やキャパシタCs等の回路素子を含む画素駆動回路DCを構成する複数の機能素子と、行及び列の少なくとも何れか一方に沿って、少なくとも一部が各画素形成領域Rpxに跨って絶縁性基板11上に形成される複数の層間絶縁膜(突起部)18と、を備え、上記有機EL層16は、各画素形成領域Rpxにおける、上記複数の層間絶縁膜18における一対の層間絶縁膜18によって画定される凹部HLに設けられるEL素子形成領域(発光部形成領域)Relに形成され、上記複数の機能素子の少なくとも一部は、画素形成領域Rpxにおける層間絶縁膜18に対応する領域Rpjに形成され、画素形成領域Rpxの各層間絶縁膜18に対応する領域Rpjにおける、上記EL素子形成領域Relに隣接する領域Rpj-eの少なくとも30%の領域からなる上記S11、S12で示した特定の領域Rpj-xにおいて、上記機能素子によって絶縁性基板11上に形成される凹凸が、EL素子形成領域Relの中心点Pcを通る列方向の中心線(第2の基準線)CL11を基準として線対称に形成されていることを特徴とするものである。
なお、この特定の領域Rpj-x(S11、S12)は、図3(a)及び図4では、EL素子形成領域Relの中心点Pcを通る行方向の中心線CL12を基準とした線対称の位置に形成されているものとしたが、これに限るものではなく、特定の領域Rpj-xは中心線CL11を基準とした線対称の位置に形成されていれば、領域Rpj-eにおける列方向の位置は任意であってもよい。しかしながら、特定の領域Rpj-xが行方向の中心線CL12を基準とした線対称の位置、すなわち領域Rpj-eの列方向中央の位置に形成されていると、上記機能素子によって形成される凹凸の左右方向の対称性に加えて上下方向の対称性も向上させることができて、より好ましい。
これにより、絶縁性基板11上に平坦化膜14を形成する前の絶縁性基板11表面の段差は、上記中心線CL11、CL13を基準にして左右方向で略同等となり、また、上記中心線CL12を基準にして上下方向で略同等となるので、絶縁性基板11上に例えば有機材料を含有する溶液(有機溶液)を塗布、乾燥させて平坦化膜14を形成する場合であっても、上記中心線CL11、CL12を基準にした画素形成領域Rpxの左右、上下方向で平坦化膜14表面の傾斜(勾配)やうねりを抑制して、平坦化膜14の表面高さを略均一にすることができ、平坦化膜14表面の平坦性を向上させることができる。
このような表示パネル10においては、例えば、表示パネル10の下層側(平坦化膜14の絶縁性基板11側)に設けられたトランジスタTr11、Tr12等の回路素子、選択ラインLsやデータラインLd、供給電圧ラインLa等の各種配線層を有する画素駆動回路DCにおいて、データラインLdを介して供給された表示データに応じた階調信号Vpixに基づいて、所定の電流値を有する発光駆動電流がトランジスタTr12のドレイン−ソース間に流れ、当該トランジスタTr12(ソースTr12s)からコンタクトホールCH14を介して、有機EL素子OLEDの画素電極15に供給されることにより、各表示画素PIX(各色画素PXr、PXg、PXb)の有機EL素子OLEDが表示データに応じた所定の輝度階調で発光動作する。
このとき、本実施形態に示した表示パネル10においては、画素電極15が光反射特性を有し、対向電極17が光透過特性を有することにより(すなわち、有機EL素子OLEDがトップエミッション型のデバイス構造を有していることにより)、各表示画素PIX(各色画素PXr、PXg、PXb)の有機EL層16において発光した光は、光透過特性を有する対向電極17を介して直接、あるいは、光反射特性を有する画素電極15で反射して、絶縁性基板11(表示パネル)の一面側(図3(b)の図面上方)に出射される。
(表示パネルの製造方法)
次に、上述した表示パネルの製造方法について説明する。
図5、図6は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。ここでは、図3(b)に示したA1−A1断面のパネル構造の製造工程について説明する。
上述した表示パネルの製造方法は、まず、図5(a)に示すように、ガラス基板等の絶縁性基板11の一面側(図面上面側)に設定された表示画素PIX(各色画素PXr、PXg、PXb)の形成領域(画素形成領域)Rpxごとに、上述した画素駆動回路(図2参照)DCのトランジスタTr11、Tr12や、選択ラインLs、データラインLd、供給電圧ラインLa等の各種配線層を形成する(図3(a)参照)。具体的には、絶縁性基板11上に、ゲート電極Tr11g、Tr12g、ゲート電極Tr12gと一体的に形成されるキャパシタの一方側の電極Eca、及び、データラインLdを同一のゲートメタル層をパターニングすることによって同時に形成する。
次いで、絶縁性基板11の全域にゲート絶縁膜12を被覆形成した後、当該ゲート絶縁膜12をエッチングして、上記データラインLd、ゲート電極Tr11g及びキャパシタの一方側の電極Eca(又はゲート電極Tr12g)の上面が露出するコンタクトホールCH11、CH12及びCH13を形成する。
次いで、ゲート絶縁膜12上の各ゲート電極Tr11g、Tr12gに対応する領域に、例えばアモルファスシリコンやポリシリコン等を有する半導体層SMC、及び、酸化シリコン又は窒化シリコン等のチャネル保護層(ブロック層)BLを形成した後、当該半導体層SMCの両端部にオーミック接続のための不純物層OHMを介して、ソース電極Tr11s、Tr12s、ドレイン電極Tr11d、Tr12d、及び、ソース電極Tr12sと一体的に形成されるキャパシタの他方側の電極Ecbを同一のソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって同時に形成する。このとき、同一のソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって選択ラインLs、及び、ドレイン電極Tr12dと一体的に形成される供給電圧ラインLaも同時に形成する。
ここで、ドレイン電極Tr11dは、コンタクトホールCH11上に延在する平面パターンを有して形成され、当該コンタクトホールCH11を介してデータラインLdに接続され、また、選択ラインLsは、コンタクトホールCH12上に延在する平面パターンを有して形成され、当該コンタクトホールCH12を介してゲート電極Tr11gに接続され、また、ソース電極Tr11sは、コンタクトホールCH13上に延在する平面パターンを有して形成され、当該コンタクトホールCH13を介してキャパシタの一方側の電極Eca(又はゲート電極Tr12g)に接続される。
このようにして形成されたトランジスタTr11、Tr12は、図3(a)、(b)に示したように、ゲート電極Tr11gとTr12g、ソース電極Tr11sとTr12s、及び、ドレイン電極Tr11dとTr12dの各電極層、並びに、データラインLd、選択ラインLs、供給電圧ラインLaの各配線層が、画素形成領域Rpxの中心点Pcを通る各中心線CL11〜CL13に対して、略線対称となる位置に、略同等の平面寸法(長さや幅)を有して配置、形成されるとともに、上記各電極層や配線層の断面寸法(膜厚)が略同一になるように形成される。すなわち、特定の中心線に対して画素形成領域Rpxの左方と右方(又は/及び上方と下方)の縁辺領域に略同等のサイズを有するトランジスタTr11及びTr12、各種配線層を配置し、かつ、これらのトランジスタTr11、Tr12を形成する電極層や半導体層、各配線層等を、相互に共通する(同一の)製造プロセスで形成することにより各層の膜厚を略同一になるようにしたデバイス構造を有している。
なお、上述したトランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d、データラインLd、選択ラインLs、供給電圧ラインLaは、配線抵抗を低減し、かつ、マイグレーションを低減する目的で、例えばアルミニウム合金層と遷移金属層を有する積層配線構造を有しているものであってもよい。
次いで、図5(b)に示すように、上記トランジスタTr11、Tr12、データライン、選択ラインLs及び供給電圧ラインLaを含む絶縁性基板11の一面側全域を被覆するように、窒化シリコン(SiN)等を有する保護絶縁膜(パッシベーション膜)13、及び、有機材料等を有する平坦化膜14を順次形成した後、当該平坦化膜14及び保護絶縁膜13をエッチングして、トランジスタTr12のソース電極Tr12sの上面が露出するコンタクトホールCH14を形成する。
ここで、上述したように、絶縁性基板11上に形成される画素駆動回路DCの各トランジスタTr11、Tr12や各種配線層は、特定の中心線に対して略線対称となる位置に配置、形成され、かつ、これらを形成する電極層や半導体層、各配線層等を、相互に共通する製造プロセスで形成することにより各層の膜厚を略同一になるようにしたデバイス構造を有していることにより、絶縁性基板11表面の段差は、上記中心線を基準にして左右、上下方向で略同等となるので、平坦化膜14表面の傾斜(勾配)やうねりを抑制して、平坦化膜14の表面高さを略均一にすることができ、平坦化膜14表面の平坦性を向上させて、絶縁性基板11に対して略平行な面を形成することができる。
次いで、例えば無電解メッキ法等によって上記コンタクトホールCH14に金属材料を有するコンタクトメタルを埋め込んだ後、図5(c)に示すように、各画素形成領域Rpx(各色画素PXr、PXg、PXbの形成領域)ごとに、上記コンタクトメタルを介して電気的に接続された画素電極15を平坦化膜14上に形成する。
ここで、画素電極15は、具体的には、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銀(Ag)、パラジウム銀(AgPd)系の合金等の光反射特性を有する反射金属膜を薄膜形成し、所定の形状にパターニングすることにより上記コンタクトメタルに電気的に接続された反射金属層15aを形成する。その後、当該反射金属層15aを含む平坦化膜14上にITOやIZO等の透明電極材料を有する(光透過特性を有する)酸化金属膜を薄膜形成し、上記反射金属層15aの上面や端面が露出しないようにパターニングすることにより導電性の酸化金属層15bを形成する。
このように、上層側に形成される酸化金属膜をパターニングする際に、下層側の反射金属層15aが露出しないようにすることにより、酸化金属膜と反射金属層15aとの間で電池反応を引き起こさないようにすることができるとともに、下層側の反射金属層15aがオーバーエッチングされたり、エッチングダメージを受けたりすることを防止することができる。
次いで、反射金属層15a及び酸化金属層15bを有する上記画素電極15を含む絶縁性基板11の一面側全域を被覆するように、化学気相成長法(CVD法)等を用いて、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機の絶縁性材料を有する絶縁層を形成した後パターニングすることにより、図3(a)、(b)、図6(a)に示すように、各画素形成領域Rpxにおいて画素電極15の上面が露出する開口部を有する層間絶縁膜18を形成する。この層間絶縁膜18により、各表示画素PIX間の領域(すなわち、隣接する表示画素PIXとの境界領域)が電気的に絶縁される。
次いで、絶縁性基板11を純水で洗浄した後、例えば酸素プラズマ処理やUVオゾン処理等を施すことにより、上記層間絶縁膜18から露出する画素電極15(酸化金属層15b)表面を親液化処理して、後述する高分子系の有機化合物含有液(有機溶液)が画素電極15表面に馴染んで均一に広がりやすくする。さらに、層間絶縁膜18に対して撥液化処理を施して、後述する高分子系の有機化合物含有液(有機溶液)が層間絶縁膜18に着滴した場合に充分にはじくようにしてもよい。
次いで、各表示画素PIXの画素形成領域Rpxに対して(層間絶縁膜18から露出する画素電極15上に)、互いに分離した複数の液滴を所定位置に吐出するインクジェット法や、連続した溶液を吐出するノズルプリンティング法等を適用して、正孔輸送材料の溶液又は分散液(有機溶液)を連続的に塗布した後、加熱乾燥させて正孔輸送層16aを形成する。続いて、インクジェット法又はノズルプリンティング法等を適用して、上記正孔輸送層16a上に電子輸送性発光材料の溶液又は分散液(有機溶液)を塗布した後、加熱乾燥させて電子輸送性発光層16bを形成する。これにより、図6(b)に示すように、画素電極15上に正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16bを有する有機EL層(発光機能層)16が積層形成される。
具体的には、有機高分子系の正孔輸送材料(担体輸送性材料)を含む有機化合物含有液として、例えばポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水溶液(PEDOT/PSS;導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェンPEDOTと、ドーパントであるポリスチレンスルホン酸PSSを水系溶媒に分散させた分散液)を、上記画素電極15(酸化金属層15b)上に塗布した後、絶縁性基板11を載置しているステージを100℃以上の温度条件で加熱乾燥処理を行って溶媒を除去することにより、当該画素電極15上に有機高分子系の正孔輸送材料を定着させて、担体輸送層である正孔輸送層16aを形成する。
ここで、画素電極15(酸化金属層15b)の表面は、上述した酸素プラズマ処理により上記有機化合物含有液(PEDOT/PSS)に対して親液性を有しているので、塗布された有機化合物含有液は画素電極15上に充分馴染んで広がる。一方、層間絶縁膜18の表面は、画素電極15表面に比較して上記有機化合物含有液(PEDOT/PSS)に対して撥液性を有しているので、塗布された有機化合物含有液がはじかれて定着しない。
また、有機高分子系の電子輸送性発光材料(担体輸送性材料)を含む有機化合物含有液として、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む発光材料を、テトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒或いは水に溶解した溶液を、上記正孔輸送層16a上に塗布した後、窒素雰囲気中でステージ及び/又はステージ上の雰囲気を加熱乾燥処理して溶媒を除去することにより、正孔輸送層16a上に有機高分子系の電子輸送性発光材料を定着させて、担体輸送層であり発光層でもある電子輸送性発光層16bを形成する。
この場合においても、上述した正孔輸送層16aと同様に、画素電極15上の正孔輸送層16aの表面は、上記有機化合物含有液に対して親液性を有しているので、層間絶縁膜18の開口部内(正孔輸送層16a上)に充分馴染んで広がる。
この有機EL層16(正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16b)の形成工程においては、上述したように、平坦化膜14の表面高さを略均一にして平坦性を向上させることができるので、該平坦化膜14上に形成された画素電極15上に有機溶液を塗布して有機EL層16(正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16b)を形成する場合であっても、有機溶液の広がり具合を略均一化することができ、略均一な膜厚を有する発光機能層を形成することができる。
その後、図3(b)に示したように、少なくとも上記有機EL層16(正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16b)が形成された各画素形成領域Rpxを含む絶縁性基板11上に光透過性を有し、各画素形成領域Rpxの有機EL層16を介して各表示画素PIXの画素電極15に対向する共通の対向電極(例えばカソード電極)17を形成する。ここで、対向電極17は、例えば蒸着法やスパッタリング法等により電子注入層となるバリウム、マグネシウム、リチウム等の金属材料やその合金を有する薄膜を形成した後、その上層にスパッタ法等によりITO等の透明電極層又はアルミニウム等の薄膜を積層形成した、厚さ方向に透明な膜構造を適用することができる。また、対向電極17は、図1、図3(b)に示したように、上記画素電極15に対向する領域のみならず、各画素電極15間の領域(境界領域)に形成された層間絶縁膜18上にまで延在する単一の導電層(べた電極)として形成される。
次いで、上記対向電極17を形成した後、絶縁性基板11の一面側全域に、図示を省略したシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等を有する封止層を、CVD法等を用いて形成し、さらに、UV硬化又は熱硬化接着剤を用いて、ザグリ加工された封止蓋や平板状の封止基板を接合することにより、本実施形態に係るパネル構造を有する表示パネル10が完成する。
(比較検証)
次に、上述した実施形態に係る表示画素及び表示パネルに特有の作用効果について、比較例を示して具体的に説明する。ここでは、説明を簡明にするために、図3(a)に示した平面レイアウトにおいて、各配線層の配置は変更せず、トランジスタTr11、Tr12のチャネル幅Wのみを異なるように変更した場合との比較検証を行う。
図7は、本実施形態の比較対象に係る表示画素のデバイス構造の一例を示す概略図であり、図7(a)は平面レイアウト図、図7(b)は図7(a)に示す表示画素におけるB1−B1線に沿った断面を示す要部断面図である。ここで、図3に示した表示画素のデバイス構造と同等の構成についてはその説明を簡略化又は省略する。
比較対象に係る表示画素のデバイス構造は、図7(a)、(b)に示すように、画素形成領域Rpxの左方及び右方の縁辺領域に配置、形成されるトランジスタTr11及びTr12のトランジスタサイズ(具体的には、チャネル幅W)が図3(a)に示した場合のように略同等ではなく、トランジスタTr12に対してトランジスタTr11のチャネル幅Wが極端に短くなるように設定されている。
すなわち、トランジスタTr11とTr12は、画素形成領域Rpxの中心点Pcを通り、図面上下方向に延伸する中心線CL11x及びCL13x、並びに、上記中心点Pcを通り、図面左右方向に延伸する中心線CL12xを基準にして、各々、線対称となる位置に配置、形成されていない。換言すれば、トランジスタTr11、Tr12の電極層や半導体層等が非対称となる位置に配置、形成されている。このようなデバイス構造においては、図7(a)に示すように、上記図3に示した領域S11、S12に対応する左右の縁辺領域の特定の領域S11x、S12xに形成されている積層構造が、図7(b)に示すように、中心線CL13x(実質的に中心線CL11x)に対して略対称(略線対称)となるようには形成されていない。
このようなデバイス構造を有する表示画素PIXについて、発明者が種々検討した結果、画素駆動回路DCが形成された絶縁性基板11表面の細かい(小さな)段差は平坦化膜14により緩和されて、当該平坦化膜14表面の段差にほとんど影響を与えることはないものの、積層構造を有し、絶縁性基板11からの突出が比較的大きいトランジスタTr11、Tr12が形成された領域と、これらが形成されていない領域とでは、平坦化膜14表面の段差に大きく影響を与えることになる。そのため、図7(b)に示すように、チャネル幅Wが長いトランジスタTr12が形成された画素形成領域Rpxの右方領域と、チャネル幅Wが短いトランジスタTr11が形成された(換言すると、トランジスタTr11が形成されていない)画素形成領域Rpxの左方領域との間で、平坦化膜14表面になだらかな傾斜(勾配)やうねりが生じていることがシミュレーション実験により判明した。
すなわち、基板上に画素駆動回路DC(トランジスタや各配線層等)を形成し、その上層に発光層を形成するデバイス構造においては、トランジスタ等の形成により生じた基板表面の段差を緩和させるために平坦化膜(層)を介在させることが必要不可欠であり、このような基板表面の表面段差を緩和させる平坦化膜材料として、一般に熱硬化性を有する有機材料が適用されている。ここで、平坦化膜材料としては、上述したように、基板上に成膜後に直接パターニングが可能な感光性の有機材料や、比較的段差緩和性能が高い非感光性の有機材料が現在市販されているが、発明者が各種検証した結果、上述したように、基板表面の比較的大きな段差の場合、いずれの平坦化膜材料も当該段差を完全に緩和させることは不可能であり、平坦化膜14表面の平坦性が、基板表面の形状(段差)の影響を大きく受けることが判明した。
そのため、上述した比較対象に係る表示画素の場合のように、トランジスタ等が非対称(不均一)に配置、形成された絶縁性基板11上に平坦化膜14を形成した場合には、画素形成領域Rpx内に著しく突出した構造が存在することになり、その突出した構造に対応する領域を中心になだらかな傾斜やうねりが生じる。
これにより、後工程で各画素形成領域Rpxの平坦化膜14上に画素電極15を形成し、その上に有機溶液を塗布、乾燥させて有機EL層16を形成する際に、有機EL層16の膜厚が平坦化膜14の傾斜やうねりの度合いに応じて不均一になり、表示データに応じた適切な輝度で発光する面積が減少して発光特性が劣化し表示画質が低下したり、有機EL層16の膜厚の薄い領域に電流が集中して発光素子(発光寿命)の劣化が著しくなり表示パネルの信頼性が低下したりするという可能性があった。
そこで、本実施形態に係る表示画素PIXにおいては、例えば図3(a)、(b)に示したように、画素形成領域の中心点を通る中心線CL11、CL12、CL13に対して、略線対称となるように、左右の領域(上記特定の領域S11、S12)、さらには上下の領域で略同等の平面サイズ及び膜厚を有するトランジスタや各配線層を配置、形成することにより、絶縁性基板11の表面に生じる段差を略同等になるようにして、その上に形成される平坦化膜14表面の傾斜やうねりを緩和したデバイス構造を有している。
これにより、各画素形成領域Rpx内の絶縁性基板11表面の段差は、上記中心線CL11、CL13を基準にして左右方向で略同等となり、上記中心線CL12を基準にして上下方向で略同等となるので、平坦化膜14表面の傾斜(勾配)やうねりを抑制して絶縁性基板11面と略平行な面を形成することができ、該平坦化膜14上に有機溶液を塗布して有機EL層16を形成する場合であっても、膜厚を略均一化することができる。したがって、発光面積を拡大して発光特性を向上させることができるとともに、発光寿命の劣化を抑制することができる。
なお、上述した実施形態においては、画素電極15として光反射特性を有する金属層(反射金属層15a)を含み、有機EL層16において発光した光を、絶縁性基板11を介することなく視野側(絶縁性基板11の一面側)に出射するトップエミッション型の発光構造を有する表示画素PIXについて説明したが、画素電極15を、光透過特性を有する導電性材料のみで形成し、対向電極17を、光反射特性を有する金属層を含む電極構造として、有機EL層16において発光した光を、絶縁性基板11を介して絶縁性基板11の他面側に出射するボトムエミッション型の発光構造を有するものであってもよい。なお、この場合には、図3に示したデバイス構造において、有機EL素子OLED(又は画素電極15)の直下に形成されているトランジスタTr12のソース電極Tr11sを、トランジスタTr11のソース電極Tr11sと同程度に図面左右方向の幅を狭くするか、光透過特性を有する導電性材料を用いて形成すればよい。
また、上述した実施形態においては、図3(b)に示した断面図では、相互に隣接する異なる色の表示画素PIX(色画素)の画素電極15間の領域(すなわち、表示画素PIX間の境界領域)に層間絶縁膜18を形成したデバイス構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、平坦化膜14表面から連続的に突出し、上記層間絶縁膜18よりも膜厚が厚く(表面高さが高く)形成され、かつ、各画素形成領域Rpxを取り囲んで画定するバンク(隔壁)が設けられているものであってもよい。これによれば、各発光色に対応した発光材料を含む有機溶液を各画素形成領域に塗布する際に、隣接する異なる色の画素形成領域に有機溶液がはみ出さないように塗布することができるので、表示画素(色画素)間の発光色の混色を防止して良好な表示品質を実現することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る表示パネルの第2の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態においては、画素駆動回路DCに設けられる複数(2個)のトランジスタTr11、Tr12を中心線CL11、CL12、CL13に対して、左右及び上下の領域で略線対称になる位置に配置、形成するために、トランジスタサイズ(チャネル幅W及びチャネル長L)を適宜設定する場合について説明したが、トランジスタTr11、Tr12のトランジスタサイズは、上述したように、少なくとも、当該トランジスタTr11、Tr12を有する画素駆動回路DCにより駆動制御される有機EL素子OLEDを、表示データに応じた適切な輝度階調で発光させることができる駆動能力(又は駆動特性)を有するように設定する必要がある。
そのため、第1の実施形態(図3参照)に示したように、複数のトランジスタサイズを略同等に設定した場合、所望の駆動能力(又は駆動特性)や画素駆動回路の動作特性が得られない場合も発生する。そこで、第2の実施形態においては、任意のトランジスタサイズ(つまり異なるトランジスタサイズ)に設定したトランジスタTr11、Tr12に加え、上記各中心線に対して略線対称になるように、有機EL素子OLEDの発光駆動に関与しない擬似的な薄膜トランジスタ構造を有する素子部(以下、便宜的に「ダミートランジスタ」と記す)を配置、形成したデバイス構造(パネル構造)を有している。
図8は、第2の実施形態に係る表示パネルに適用可能な表示画素のデバイス構造の一例を示す概略図であり、図8(a)は平面レイアウト図、図8(b)は図8(a)に示す表示画素におけるA2−A2線に沿った断面を示す要部断面図である。ここで、上述した第1の実施形態(図3参照)と同等のデバイス構造についてはその説明を簡略化又は省略する。
第2の実施形態に係る表示パネル10は、図8(a)に示すような平面レイアウトの画素形成領域Rpxの左方の縁辺領域に、列方向(図面上下方向)に配設されたデータラインLdに沿って、画素駆動回路DCのトランジスタTr11と、当該トランジスタTr11と略同等の積層構造を有する擬似的なトランジスタ(ダミートランジスタ;擬似素子)D−Trと、が同一線上に配置、形成されている。また、トランジスタTr12は、上述した第1の実施形態(図3参照)と同様に、画素形成領域Rpxの右方の縁辺領域に、図面上下方向に延在するように配置されて、上記トランジスタTr11及びダミートランジスタD−Trと、トランジスタTr12とは、画素形成領域Rpxの中心点Pcを通り、図面上下方向に延伸する中心線CL21を基準にして、略線対称となる位置に配置、形成されている。
ここで、ダミートランジスタD−Trは、トランジスタTr11及びTr12と同一の製造プロセスにより同時に形成される。また、ダミートランジスタD−Trは、ソース電極とドレイン電極が単一の電極層からなるソース−ドレイン一体電極D−Trdsにより形成されている。具体的には、トランジスタTr11及びTr12のゲート電極Tr11g、Tr12gを形成するためのゲートメタルをパターニングすることにより絶縁性基板11上にダミートランジスタD−Trのゲート電極D−Trgが、トランジスタTr11のゲート電極Tr11gと一体的に形成され、トランジスタTr11及びTr12のソース電極Tr11s、Tr12s、ドレイン電極Tr11d、Tr12dを形成するためのソース、ドレインメタルをパターニングすることにより、ゲート絶縁膜12上にダミートランジスタD−Trのソース−ドレイン一体電極D−Trdsが形成される。
このとき、ソース−ドレイン一体電極D−Trdsは、ゲート絶縁膜12に設けられた開口部CH25を介して、ゲート電極D−Trgに電気的に接続されるように形成される。これにより、ダミートランジスタD−Trのゲート電極D−Trgとソース−ドレイン一体電極D−Trdsとの間に静電容量や浮遊容量が生じないようにすることができる。
そして、このようなデバイス構造を有する表示パネルによれば、上述した第1の実施形態(図3参照)に示した場合と同様に、図8(a)、(b)の中心点Pcを通り、上下及び左右方向に延伸する中心線CL21、CL22、CL23を基準にして、各図面の左右領域及び上下領域が略線対称となる位置に上記トランジスタTr11及びダミートランジスタD−Trと、トランジスタTr12が配置されることになるので、画素形成領域Rpxに設けられるトランジスタTr11とTr12のトランジスタサイズを略同等にする必要がなく、トランジスタTr11、Tr12の駆動能力や画素駆動回路DCの動作特性に応じて、トランジスタTr11及びTr12を任意のサイズ(すなわち異なるトランジスタサイズ)に設定することができる。
ここで、本実施形態において、トランジスタTr11側に設けられるダミートランジスタD−TrとトランジスタTr12とが、図8(a)の中心点Pcを通り、上下方向に延伸する中心線(第2の基準線)CL21を基準にして、図面の左右領域で対称構造に形成される領域は、上述した第1の実施形態と同様に、画素形成領域Rpxにおける層間絶縁膜18が形成される領域に対応する領域(図4の領域Rpj)の、有機EL層16が形成される領域(図4のEL素子形成領域Rel)に隣接する領域(図4の領域Rpj-e)の全体に亘って設けられて、完全に左右対称な平面パターンとすることが好ましいが、実際には完全に左右対称な平面パターンにすることは困難である。しかしながら、画素形成領域Rpxにおける層間絶縁膜18が形成される領域に対応する領域(領域Rpj)の、有機EL層16が形成される領域(EL素子形成領域Rel)に隣接する領域(領域Rpj-e)の少なくとも30%の領域(図4の領域Rpj-x;例えば図8(a)のS21、S22に示す領域)が、この対称構造となっていれば、平坦化膜14表面の傾斜やうねりを概ね抑えることができる。
また、このような構成に加えて、対称構造とされる領域S21、S22を、図8(a)の中心点Pcを通り、左右方向に延伸する中心線(第1の基準線)CL22を基準にして、図面の上下領域で略対称(略線対称)となる位置に設けることにより、平坦化膜14表面の平坦性を更に向上させることができて、より好ましい。
したがって、所望のトランジスタTr11、Tr12の駆動能力や画素駆動回路DCの動作特性を実現しつつ、上述した第1の実施形態と同様に、図8(b)に示すように、画素駆動回路DC(トランジスタTr11、Tr12及びダミートランジスタD−Tr等)が形成された絶縁性基板11表面の段差を左右方向で略同等にすることができるので、平坦化膜14表面の傾斜(勾配)やうねりを抑制して絶縁性基板11面と略平行な面を形成することができ、後工程において膜厚が略均一化された有機EL層16を有する有機EL素子OLEDを形成することができる。
なお、図8(a)、(b)に示した表示画素PIXのデバイス構造においては、画素駆動回路DCのトランジスタTr11のゲート電極Tr11gとダミートランジスタD−Trのゲート電極D−Trgとを一体的に形成したデバイス構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、トランジスタTr11のゲート電極Tr11gとダミートランジスタD−Trのゲート電極D−Trgとを電気的に離間させて、トランジスタTr11及びダミートランジスタD−Trを電気的に完全に独立した個別のトランジスタとして配置、形成するものであってもよい。
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る表示パネル及びその製造方法の第3の実施形態について説明する。
上述した第1及び第2の実施形態においては、画素駆動回路DC(トランジスタや各配線層)が形成された絶縁性基板11上に、有機材料からなる平坦化膜14を形成し、その上に反射金属層15aを含む画素電極15、有機EL層16、透明な酸化金属層からなる対向電極17を順次積層したトップエミッション型の発光構造を有する表示画素PIX(有機EL素子OLED)のデバイス構造を示したが、第3の実施形態においては、画素駆動回路DCが形成された絶縁性基板11上に、平坦化膜を有さず、絶縁性基板11表面から連続的に突出し、格子状(ボックス状)又は柵状(ストライプ状)に形成されたバンク(隔壁)により画定された領域(EL素子形成領域)に有機EL素子OLEDが形成され、有機EL層16において発光された光を、絶縁性基板11を介して絶縁性基板11の他面側に出射するボトムエミッション型の発光構造を有している。
図9は、第3の実施形態に係る表示パネルの一例を示す概略平面図である。図10は、本実施形態に係る表示パネルに適用可能な表示画素のデバイス構造の一例を示す平面レイアウト図及び要部断面図であり、図10(b)は図10(a)に示す表示画素PIXにおけるA3−A3線に沿った断面を示す要部断面図である。ここで、図9に示す平面図においては、説明の都合上、表示パネル(絶縁性基板)の一面側(表示画素の形成側)から見た、各表示画素(色画素)に設けられる画素電極の配置と各配線層の配設構造との関係、及び、各表示画素の形成領域を画定するバンクとの配置関係を主に示し、各表示画素に設けられる画素駆動回路内のトランジスタ等の表示を省略した。また、図9においては、画素電極及び各配線層、バンクの配置を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。なお、上述した第1及び第2の実施形態と同等のデバイス構造についてはその説明を簡略化又は省略する。
第3の実施形態に係る表示パネルは、図9に示すように、ガラス基板等の絶縁性基板11の一面側(図面手前側)に、赤(R)、緑(G)、青(B)の色画素PXr、PXg、PXbが繰り返し配列されるとともに、絶縁性基板11の一面側に突出し、格子状(ボックス状)の平面パターンを有して連続的に配設されたバンク(突起部、隔壁)19により、各表示画素PIX(色画素PXr、PXg、PXb)の有機EL素子OLEDの形成領域(EL素子形成領域)Relが画定される。EL素子形成領域Relには、上述した実施形態と同様に、画素電極15(例えばアノード電極)が形成されているとともに、各表示画素PIX(画素電極15)に対して共通の対向電極17が形成されている。また、各画素形成領域Rpxの列方向にはデータラインLdが配設され、行方向には選択ライン及び供給電圧ラインLaが配設されている。
また、表示画素PIX(各色画素PXr、PXg、PXb)は、例えば図2に示したような2個のトランジスタを有する画素駆動回路DCと、当該画素駆動回路DCにより制御される発光駆動電流により発光動作する有機EL素子OLEDと、を有している。ここで、画素駆動回路DCの各トランジスタTr11、Tr12と各配線層(データラインLd、選択ラインLs、供給電圧ラインLa)との接続関係は上述した第1の実施形態と同等であるのでその説明を省略する。
本実施形態に係る表示画素PIX(色画素PXr、PXg、PXb)のデバイス構造は、具体的には、図10(b)に示すように絶縁性基板11の一面側に設定された画素形成領域Rpxにおいて、例えば図10(a)に示すような平面レイアウトの上方及び下方の縁辺領域に行方向(図面左右方向)に延在するように選択ラインLs及び供給電圧ラインLaが各々配設されるとともに、これらのラインLs、Laに直交するように、上記平面レイアウトの左方の縁辺領域に列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLdが配設されている。また、上記平面レイアウトにおいて上下左右方向に配置される隣接する表示画素PIXとの間の領域(境界領域)には、絶縁性基板11表面から突出するようにバンク(突起部)19が連続的に配設されている。
ここで、データラインLd、選択ラインLs及び供給電圧ラインLaが形成される各層の上下関係は、上述した第1の実施形態と同様に、データラインLdが選択ラインLs及び供給電圧ラインLaよりも下層側に設けられている。ここで、各表示画素PIX(画素駆動回路DC)に設けられるトランジスタTr11は、ゲート電極Tr11gがゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH22を介して選択ラインLsに接続され、同ドレイン電極Tr11dがゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH21を介してデータラインLdに接続され、また、トランジスタTr12は、ゲート電極Tr12gがゲート絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH23を介して上記トランジスタTr11のソース電極Tr11sに接続され、同ドレイン電極Tr12dが供給電圧ラインLaと一体的に形成され、同ソース電極Tr12sが有機EL素子OLEDの画素電極15に直接接続されている。
特に、本実施形態に係る表示パネル10に適用される表示画素PIXにおいては、図8(a)に示すように、画素形成領域Rpxの左方から上方の縁辺領域に、チャネル(チャネル幅W方向)が延在するトランジスタTr11と、画素形成領域Rpxの右方から下方の縁辺領域に、チャネル(チャネル幅W方向)が延在するトランジスタTr12を配置し、かつ、これらのトランジスタTr11、Tr12を形成する電極層(各配線層を含む)や半導体層を各々同一の製造プロセスで形成する。
バンク19は、表示パネル10に2次元配列される各表示画素PIX(各色画素PXr、PXg、PXb)相互の境界領域に配設されるとともに、図10(a)、(b)に示すように、隣接する各画素形成領域Rpxに形成される画素電極15の四方の周縁部を覆うように形成されていることにより、バンク19により囲まれた領域が、有機EL層16(正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16b)を形成する際の有機溶液を塗布する領域(EL素子形成領域Rel)として規定される。
ここで、バンク19は、画素形成領域Rpxの四方の縁辺領域に形成されたトランジスタTr11及びTr12等の回路素子を被覆し、各画素形成領域Rpxに形成される画素電極15相互の層間絶縁膜としての機能を果たす保護絶縁膜13上に、絶縁性基板11表面から厚さ方向に連続的に突出するように、例えば感光性のポリイミド系の有機材料を有する樹脂層を積層することにより形成されている。なお、バンク19は、少なくとも上記有機溶液に対して撥液性を有するように表面処理が施されている。
有機EL素子OLEDは、図10(b)に示すように、上記トランジスタTr11、Tr12のゲート絶縁膜12上に設けられるとともに、トランジスタTr12のソース電極Tr12sに直接接続されて、所定の発光駆動電流が供給される画素電極(例えばアノード電極)15と、絶縁性基板11上に格子状に配設されたバンク19により画定されたEL素子形成領域Rel(バンク19の開口部から露出する画素電極15の露出領域)に形成された、例えば正孔輸送層16aと電子輸送性発光層16bからなる有機EL層(発光機能層)16と、各表示画素PIX(画素電極15)に共通に設けられた単一の電極層(べた電極)からなる対向電極17と、が順次積層されている。
ここで、本実施形態に係る表示パネル10においては、ボトムエミッション型の発光構造を有しているので、画素電極15がITO等の透明な電極材料により形成されて光透過特性を有するとともに、対向電極17が光反射特性を有している。なお、対向電極17は、各EL素子形成領域Relだけでなく、当該EL素子形成領域Relを画定するバンク19上にも延在するように設けられている。
なお、図示を省略したが、上記画素駆動回路DC、有機EL素子OLED、バンク19が形成された絶縁性基板11上には、透明な封止樹脂層を介して、絶縁性基板11に対向するように透明な封止基板が接合されている。
このような表示パネル10においては、データラインLdを介して供給された表示データに応じた階調信号Vpixに基づいて、所定の電流値を有する発光駆動電流がトランジスタTr12のドレイン−ソース間に流れ、当該トランジスタTr12(ソースTr12s)から画素電極15に直接供給されることにより、有機EL素子OLEDが表示データに応じた所定の輝度階調で発光動作する。
このとき、本実施形態に示した表示パネル10においては、画素電極15が光透過特性を有し、対向電極17が光反射特性を有することにより(すなわち、有機EL素子OLEDがボトムエミッション型のデバイス構造を有していることにより)、各表示画素PIXの有機EL層16において発光した光は、光透過特性を有する画素電極15を介して直接、あるいは、光反射特性を有する対向電極17で反射して、絶縁性基板11(表示パネル)の他面側(図10(b)の図面下方)に出射される。
上述したように、本実施形態に係る表示パネル10に適用される表示画素PIXにおいては、図10(a)に示すように、各画素形成領域Rpxの中心点Pcを通る中心線CL31、CL32に対して、略線対称となるように、左右、及び、上下の領域で略同等の位置に略同一の平面パターンを有するトランジスタTr11、Tr12の電極層や配線層が配置、形成されるとともに、図10(b)に示すように、中心線CL33に対して、略線対称となるように、左右の領域で略同等の膜厚を有するトランジスタTr11、Tr12や各配線層が形成され、絶縁性基板11の表面に生じる段差を略同等になるようにしたデバイス構造が実現される。
ここで、本実施形態において、画素形成領域Rpxの四方の縁辺領域に延在して設けられたトランジスタTr11とトランジスタTr12とが、図10(a)の中心点Pcを通り、上下方向に延伸する中心線(第2の基準線)CL31を基準にして、図面の左右領域で対称構造に形成される領域、又は、中心点Pcを通り、左右方向に延伸する中心線(第1の基準線)CL32を基準にして、図面の上下領域で対称構造に形成される領域は、画素形成領域Rpxにおけるバンク(図4の突起部に相当する)19が形成される四方の縁辺領域に対応する領域(左右の縁辺領域では図4の領域Rpj)の、有機EL層16が形成される領域(図4のEL素子形成領域Rel)に隣接する領域(左右の縁辺領域では図4の領域Rpj-e)の全体に亘って設けられて、完全に上下左右対称な平面パターンとすることが好ましいが、実際には完全に上下左右対称な平面パターンにすることは困難である。しかしながら、画素形成領域Rpxにおけるバンク19が形成される領域に対応する領域(領域Rpj)の、有機EL層16が形成される領域(EL素子形成領域Rel)に隣接する領域(領域Rpj-e)の、左右又は上下の縁辺領域の少なくとも30%の領域(左右の縁辺領域では図4の領域Rpj-x;例えば図10(a)のS31、S32に示す領域、又は、S33、S34に示す領域)が、この対称構造となっていれば、平坦化膜14表面の傾斜やうねりを概ね抑えることができる。
特に、対称構造とされる領域S31、S32及びS33、S34を、図10(a)に示すように、各々中心線(第2、第1の基準線)CL31、CL32を基準にして、左右領域及び上下領域の双方で略対称(略線対称)となる位置に設けることにより、平坦化膜14表面の平坦性を更に向上させることができて、より好ましい。
したがって、絶縁性基板11上にバンク19を形成する前の絶縁性基板11表面の段差は、上記中心線CL31、CL33を基準にして左右方向で略同等となり、また、上記中心線CL32を基準にして上下方向で略同等となるので、絶縁性基板11上に所定の膜厚(高さ)のバンク19を形成した場合であっても、上記中心線CL31、CL32を基準にした左右、上下方向でバンク19の表面高さを略均一にすることができ、有機EL層16の形成のために塗布された有機溶液の隣接する表示画素PIX(EL素子形成領域Rel)への乗り越えや、バンク側面への有機溶液の迫り上がり量に起因する有機EL層16の膜厚の偏りを抑制することができる。
(表示パネルの製造方法)
次に、上述した表示パネルの製造方法について説明する。
図11、図12は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。ここでは、図10(b)に示したA3−A3断面のパネル構造の製造工程について説明する。なお、上述した製造方法と同等の製造工程についてはその説明を簡略化する。
上述した表示パネルの製造方法は、まず、図11(a)、(b)に示すように、ガラス基板等の絶縁性基板11の一面側(図面上面側)に設定された表示画素PIX(各色画素PXr、PXg、PXb)の画素形成領域Rpxごとに、上述した画素駆動回路(図2参照)DCのトランジスタTr11、Tr12や、選択ラインLs、データラインLd、供給電圧ラインLa等の各種配線層を形成するとともに、有機EL素子OLEDのアノード電極となる画素電極15を形成する。
具体的には、図11(a)に示すように、透明な絶縁性基板11上に成膜した同一のゲートメタル層をパターニングすることによって、ゲート電極Tr11g、Tr12g、及び、データラインLdを同時に形成し、その後、絶縁性基板11の全域にゲート絶縁膜12、半導体層SMCとなるアモルファスシリコンやポリシリコン等の半導体膜、及び、チャネル保護層BLとなる窒化シリコン等の絶縁膜を積層形成する。
次いで、上記絶縁膜、半導体膜を適宜パターニングしてゲート絶縁膜12上の各ゲート電極Tr11g及びTr12gに対応する領域に、チャネル保護層BL、半導体層SMCを順次形成し、その後、当該半導体層SMCの両端部にオーミック接続のための不純物層OHMを形成する。
次いで、図11(b)に示すように、上記ゲート絶縁膜12上であって、各表示画素PIXの画素形成領域Rpxの略中央領域(図10(a)に示した平面レイアウトにおいてトランジスタTr11、Tr12や各種配線層が配置、形成された縁辺部を除く領域)に矩形状の平面パターンを有し、ITO等の透明な電極材料からなる(光透過特性を有する)画素電極15を形成する。この後、図10(a)に示したように、ゲート絶縁膜12をエッチングして、上記データラインLd、ゲート電極Tr11g及びTr12gの上面が露出するコンタクトホールCH31、CH32及びCH33を形成する。
次いで、トランジスタTr11、Tr12の各半導体層SMCの両端部に上記不純物層OHMを介して、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dを同一のソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって同時に形成する。このとき、同一のソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって選択ラインLs、及び、ドレイン電極Tr12dと一体的に形成される供給電圧ラインLaも同時に形成する。
ここで、ドレイン電極Tr11dは、コンタクトホールCH31上に延在する平面パターンを有して形成され、当該コンタクトホールCH31を介してデータラインLdに接続され、また、選択ラインLsは、コンタクトホールCH32上に延在する平面パターンを有して形成され、当該コンタクトホールCH32を介してゲート電極Tr11gに接続され、また、ソース電極Tr11sは、コンタクトホールCH33上に延在する平面パターンを有して形成され、当該コンタクトホールCH33を介してゲート電極Tr12gに接続される。また、ソース電極Tr12sは、上記画素電極15の縁辺領域上にまで延在する平面パターンを有して形成され、画素電極15と直接接続される。
このようにして形成されたトランジスタTr11、Tr12は、図10(a)、(b)に示したように、ゲート電極Tr11gとTr12g、ソース電極Tr11sとTr12s、及び、ドレイン電極Tr11dとTr12dの各電極層、並びに、データラインLd、選択ラインLs、供給電圧ラインLaの各配線層が、画素形成領域Rpxの中心点Pcを通る各中心線CL31〜CL33に対して、略線対称となる位置に、略同等の平面寸法(長さや幅)を有して配置、形成されるとともに、上記各電極層や配線層の断面寸法(膜厚)が略同一になるように形成される。すなわち、特定の中心線に対して画素形成領域Rpxの左方と右方、及び、上方と下方の縁辺領域に略同等のサイズを有するトランジスタTr11及びTr12、各種配線層を配置し、かつ、これらのトランジスタTr11、Tr12を形成する電極層や半導体層、各配線層等を、相互に共通する(同一の)製造プロセスで形成することにより各層の膜厚を略同一になるようにしたデバイス構造を有している。
次いで、図11(c)に示すように、上記トランジスタTr11、Tr12、画素電極15、データライン、選択ラインLs及び供給電圧ラインLaを含む絶縁性基板11の一面側全域を被覆するように、窒化シリコン(SiN)等からなる絶縁膜を形成した後、当該絶縁膜をパターニングして、上記トランジスタTr11、Tr12、選択ラインLs及び供給電圧ラインLaを被覆するとともに、各表示画素PIXの画素電極15の上面が露出する開口部を有する保護絶縁膜13を形成する。
次いで、図12(a)に示すように、上記保護絶縁膜13を被覆し、隣接する表示画素PIXとの境界領域に、例えばポリイミド系やアクリル系等の感光性の樹脂材料からなるバンク19を形成する。具体的には、上記保護絶縁膜13を含む絶縁性基板11の一面側全域を被覆するように、例えば1〜5μmの膜厚を有して形成された感光性樹脂層に対して、露光、現像処理を施すことにより、行方向(図9の左右方向)及び列方向(図9の上下方向)に隣接する表示画素PIXとの境界領域(画素電極15の四方の周縁部を取り囲む領域)に格子状の平面パターン(図9参照)を有するバンク19を形成する。ここで、樹脂材料としては、例えば東レ株式会社製のポリイミドコーティング材「フォトニースPW−1030」等を良好に適用することができる。これにより、各画素形成領域Rpxのバンク19に囲まれた領域(EL素子形成領域Rel)に画素電極15の上面が露出する。
ここで、上述したように、絶縁性基板11上に形成される画素駆動回路DCの各トランジスタTr11、Tr12や各種配線層は、特定の中心線に対して略線対称となる位置に配置、形成され、かつ、これらを形成する電極層や半導体層、各配線層等を、相互に共通する製造プロセスで形成することにより各層の膜厚を略同一になるようにしたデバイス構造を有していることにより、絶縁性基板11表面の段差は、上記中心線を基準にして左右、上下方向で略同等となるので、バンク19の表面高さを略均一にすることができる。
次いで、絶縁性基板11を純水で洗浄した後、例えば酸素プラズマ処理やUVオゾン処理等を施すことにより、上記バンク19から露出する画素電極15の表面を、後述する高分子系の有機化合物含有液(有機溶液)に対して親液化処理し、さらに、絶縁性基板11を例えばフッ素系(フッ素化合物)の撥液処理溶液に浸漬して、バンク19の表面に撥液性の薄膜(被膜)を形成し、有機化合物含有液(有機溶液)に対して撥液化処理する。これにより、画素電極15表面においては、有機化合物含有液(有機溶液)が馴染んで均一に広がりやすくなり、バンク19表面においては、有機化合物含有液(有機溶液)が着滴した場合であっても充分にはじかれる。
次いで、上述した第1の実施形態に示した製造方法と同様に、各表示画素PIXのEL素子形成領域Relに対して(バンク19から露出する画素電極15上に)、インクジェット法やノズルプリンティング法等を適用して、正孔輸送材料の溶液又は分散液を連続的に塗布した後、加熱乾燥させて正孔輸送層16aを形成し、続いて、上記正孔輸送層16a上に電子輸送性発光材料の溶液又は分散液を塗布した後、加熱乾燥させて電子輸送性発光層16bを形成することにより、図12(b)に示すように、画素電極15上に正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16bを有する有機EL層(発光機能層)16が積層形成される。
この有機EL層16(正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16b)の形成工程においては、上述したように、画素電極15の四方の周縁部を覆うように形成されたバンク19の表面高さが略均一に形成されているので、塗布された有機溶液の隣接するEL素子形成領域Relへの乗り越えや、バンク19側面への有機溶液の迫り上がり量の違い起因する有機EL層16(正孔輸送層16aや電子輸送性発光層16b)の膜厚の偏りを抑制することができる。
次いで、図10(b)に示したように、少なくとも上記有機EL層16(正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16b)が形成された各画素形成領域Rpxを含む絶縁性基板11上に光反射特性を有し、各EL素子形成領域Relの有機EL層16を介して各画素電極15に対向する共通の対向電極(例えばカソード電極)17を形成する。ここで、対向電極17は、図9、図10(b)に示したように、各表示画素PIXの上記画素電極15に対向する領域(EL素子形成領域Rel)のみならず、各画素電極15間の領域(境界領域)に形成されたバンク19上にまで延在するように形成される。
次いで、上記対向電極17を形成した後、絶縁性基板11の一面側全域に図示を省略した封止層を形成し、さらに、封止蓋や封止基板を接合することにより、本実施形態に係るパネル構造を有する表示パネル10が完成する。
(比較検証)
次に、上述した実施形態に係る表示画素及び表示パネルに特有の作用効果について、比較例を示して具体的に説明する。ここでは、上述した第1の実施形態と同様に、図8(a)に示した平面レイアウトにおいて、トランジスタTr11、Tr12のチャネル幅Wのみを異なるように変更した場合との比較検証を行う。
図13は、本実施形態の比較対象に係る表示画素のデバイス構造の一例を示す概略図であり、図13(a)は平面レイアウト図、図13(b)は図13(a)に示す表示画素におけるB2−B2線に沿った断面を示す要部断面図である。ここで、図10に示した表示画素のデバイス構造と同等の構成についてはその説明を簡略化又は省略する。
比較対象に係る表示画素のデバイス構造は、図13(a)、(b)に示すように、画素形成領域Rpxに配置、形成されるトランジスタTr11及びTr12のトランジスタサイズ(具体的には、チャネル長L)が図10(a)に示した場合のように、画素形成領域Rpxの上下、左右の縁辺部に沿って延在し、略同等の平面形状を有しているのではなく、トランジスタTr11が画素形成領域Rpxの左方の縁辺領域に配置され、トランジスタTr12が画素形成領域Rpxの下方の縁辺領域に配置されるとともに、トランジスタTr12に対してトランジスタTr11のチャネル幅Wが極端に短くなるように設定されている。
すなわち、トランジスタTr11とTr12は、画素形成領域Rpxの中心点Pcを通り、図面上下方向に延伸する中心線CL31x及びCL33x、並びに、上記中心点Pcを通り、図面左右方向に延伸する中心線CL32xを基準にして、各々、線対称となる位置に配置、形成されていない。このようなデバイス構造においては、図13(a)に示すように、上記図3に示した領域S11、S12に対応する左右の縁辺領域の特定の領域S31x、S32x、及び、上下の縁辺領域の特定の領域S33x、S34xに形成されている積層構造が、図13(b)に示すように、中心線CL33x(実質的に中心線CL31x)及び中心線CL32xに対して略対称(略線対称)となるようには形成されていない。
このようなデバイス構造を有する表示画素PIXについて、発明者が種々検討した結果、画素駆動回路DCが形成された絶縁性基板11表面の細かい(小さな)段差は、各画素形成領域Rpxにおいて画素電極15が露出するように形成されたバンク19により緩和されるものの、積層構造を有し、絶縁性基板11からの突出が比較的大きいトランジスタTr11、Tr12が形成された領域と、これらが形成されていない領域とでは、バンク19表面の高さや段差に大きく影響を与えることになる。例えば図13(b)に示すように、トランジスタTr11が配置、形成された画素形成領域Rpxの左方領域と、トランジスタが形成されていない画素形成領域Rpxの右方領域とでは、バンク19表面の高さH1、H2に明確な差(H1>H2)が生じていることがシミュレーション実験により判明した。
すなわち、カラー表示に対応したパネル構造を有する表示パネルにおいては、各表示画素(色画素)の発光色を設定する発光層を形成する際に塗布される有機溶液が隣接する異なる色の表示画素の形成領域に混入しないようにすることが必要不可欠であり、そのために各表示画素(EL素子形成領域)間の境界領域に有機材料からなるバンクを設けたデバイス構造が適用されている。
ここで、上述した比較対象に係る表示画素の場合のように、トランジスタTr11、Tr12等が非対称(不均一)に配置、形成された絶縁性基板11上にバンク19を形成した場合には、画素形成領域Rpx内のトランジスタTr11、Tr12が配置された領域に著しく突出した構造が存在することになり、その領域上のバンク19の表面高さが、トランジスタTr11、Tr12が配置されていない他の領域よりも高くなる。
そのため、後工程で各EL素子形成領域Relに露出する画素電極15上に、有機EL層16を形成するための有機溶液を塗布した際に、当該有機溶液の塗布状態がバンク19の表面高さの偏りに起因して不均一になったり、隣接する表示画素PIX(EL素子形成領域Rel)への有機溶液の乗り越えが生じたりすることが、発明者による各種検証の結果、判明した。
具体的には、バンク19の表面高さに偏りがあると、塗布された有機溶液のバンク壁面への迫り上がりや集散の度合いに差が生じ、バンク表面の親疎水性や有機溶液の種類等にもよるが、一例として表面高さが高い方に有機溶液がより多く凝集し、低い方への有機溶液の凝集が抑制(分散)されるため、有機溶液の乾燥後に画素電極15上に成膜される有機EL層16の膜厚に差が生じて、発光特性が劣化し表示画質が低下したり、発光素子(発光寿命)の劣化が著しくなり表示パネルの信頼性が低下したり、バンク19の表面高さが低い側の隣接画素への有機溶液の乗り越えが生じやすくなるため、発光色の混色が生じたりするという可能性があった。
そこで、本実施形態に係る表示画素PIXにおいては、例えば図10(a)、(b)に示したように、画素形成領域の中心点を通る中心線CL31、CL32、CL33に対して、略線対称となるように、左右の領域(上記特定の領域S31、S32)、さらには上下の領域(上記特定の領域S33、S34)で略同等の平面サイズ及び膜厚を有するトランジスタや配線層を配置、形成することにより、絶縁性基板11の表面に生じる段差を略同等になるようにして、画素形成領域Rpxの四方の縁辺領域に形成されるバンク19の表面高さを略均一にしたデバイス構造を有している。
これにより、画素形成領域Rpxの四方の縁辺領域、すなわち、画素電極15を取り囲む領域に形成されるバンク19の表面高さを略均一にすることができるので、塗布された有機溶液のバンク壁面への迫り上がりや集散の度合いを略同等にして、画素電極15上に略均一な膜厚の有機EL層16を形成することができ、発光特性を向上させることができるとともに、発光寿命の劣化を抑制することができる。また、バンク19の表面高さを略均一にすることができるので、隣接画素への有機溶液の乗り越えを抑制して発光色の混色を防止することができ、製造歩留まりを向上させることができる。
なお、本実施形態においては、各表示画素PIXのEL素子形成領域Relを画定するためのバンク19として、各表示画素PIXの画素電極15の四方の周縁部を覆うように樹脂層を格子状(ボックス状)に形成したものを示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図9に示した表示パネル10において、列方向(図面上下方向)に配列された同一色の複数の表示画素(色画素)のEL素子形成領域(又は画素電極)を含むように柵状(ストライプ状)のバンクを形成するものであってもよい。
<第4の実施形態>
次に、本発明に係る表示パネルの第4の実施形態について説明する。
上述した第3の実施形態においては、画素駆動回路DCに設けられる2個のトランジスタTr11、Tr12を、各々画素形成領域Rpxの左方及び上方の縁辺領域、右方及び下方の縁辺領域に延在するようにチャネル幅Wを設定し、中心線CL31、CL32、CL33に対して、左右及び上下の領域で略線対称になる位置にトランジスタが配置、形成されるようにした場合について説明したが、第4の実施形態においては、上述した第2の実施形態と同様に、形成されるトランジスタTr11、Tr12の駆動能力(又は駆動特性)や画素駆動回路DCの動作特性の面で、所望のトランジスタサイズを設定できない場合であっても、上記各中心線に対して略線対称になるように、擬似的な薄膜トランジスタ構造を有する素子部(ダミートランジスタ)を配置、形成したデバイス構造(パネル構造)を有している。
図14は、第4の実施形態に係る表示パネルに適用可能な表示画素のデバイス構造の一例を示す概略図であり、図14(a)は平面レイアウト図、図14(b)は図14(a)に示す表示画素におけるA4−A4線に沿った断面を示す要部断面図である。ここで、上述した第3の実施形態(図10参照)と同等のデバイス構造についてはその説明を簡略化又は省略する。
第4の実施形態に係る表示パネル10は、図14(a)に示すような平面レイアウトの画素形成領域Rpxの左方の縁辺領域に、列方向(図面上下方向)に配設されたデータラインLdに沿って、画素駆動回路DCのトランジスタTr11と、当該トランジスタTr11と略同等の積層構造を有するダミートランジスタD−Tr1と、が同一線上に配置、形成され、一方、画素形成領域Rpxの上方の縁辺領域に、行方向(図面左右方向)に配設された選択ラインLsに沿って、上記トランジスタTr11と略同等の積層構造を有するダミートランジスタD−Tr2が配置、形成されている。
また、表示パネル10は、画素形成領域Rpxの下方の縁辺領域に、行方向(図面左右方向)に配設された供給電圧ラインLaに沿って、画素駆動回路DCのトランジスタTr12と、画素形成領域Rpxの右方の縁辺領域に、図面上下方向に延在するように、上記トランジスタTr12と略同等の積層構造を有するダミートランジスタD−Tr3と、が配置、形成されている。
トランジスタTr11及びダミートランジスタD−Tr1と、ダミートランジスタD−Tr3とは、図14(a)、(b)に示すように、画素形成領域Rpxの中心点Pcを通り、図面上下方向に延伸する中心線CL41、CL43を基準にして、図面の左右領域が略線対称となる位置に配置、形成され、上記中心点Pcを通り、左右方向に延伸する中心線CL12を基準にして、図面の上下領域が略対称(略線対称)となる位置に上記トランジスタTr11、Tr12及び各配線層が配置、形成されて、また、ダミートランジスタD−Tr2と、トランジスタTr12とは、図14(a)に示すように、上記中心点Pcを通り、図面左右方向に延伸する中心線CL42を基準にして、図面の上下領域が略線対称となる位置に配置、形成されている。
ここで、各ダミートランジスタD−Tr1〜D−Tr3は、トランジスタTr11及びTr12と同一の製造プロセスにより同時に形成される。また、各ダミートランジスタD−Tr1〜D−Tr3は、ソース電極とドレイン電極が単一の電極層からなるソース−ドレイン一体電極D−Tr1ds〜D−Tr3dsにより形成されている。具体的には、ダミートランジスタD−Tr1〜D−Tr3のゲート電極D−Tr1g〜D−Tr3gは、絶縁性基板11上に形成されるトランジスタTr11、Tr12のゲート電極Tr11g、Tr12gと同層に形成され、ダミートランジスタD−Tr1〜D−Tr3のソース−ドレイン一体電極D−Tr1ds〜D−Tr3dsは、ゲート絶縁膜12上に形成されるトランジスタTr11及びTr12のソース電極Tr11s、Tr12s、ドレイン電極Tr11d、Tr12dと同層に形成される。
このとき、ソース−ドレイン一体電極D−Tr1ds〜D−Tr3dsは、上述した第2の実施形態と同様に、ゲート絶縁膜12に設けられた各開口部CH44〜CH46を介して、ゲート電極D−Tr1g〜D−Tr3gに電気的に接続されるように形成される。これにより、各ダミートランジスタD−Tr1〜D−Tr3のゲート電極D−Tr1g〜D−Tr3gとソース−ドレイン一体電極D−Tr1ds〜D−Tr3dsとの間に静電容量や浮遊容量が生じないようにすることができる。
そして、このようなデバイス構造を有する表示パネルによれば、上述した第3の実施形態(図10参照)に示した場合と同様に、図14(a)、(b)の中心点Pcを通り、上下及び左右方向に延伸する中心線CL41、CL42、CL43を基準にして、各図面の左右領域及び上下領域が略線対称となる位置に上記トランジスタTr11及びダミートランジスタD−Tr1とダミートランジスタD−Tr3とが配置され、トランジスタTr12とダミートランジスタD−Tr2とが配置されることになるので、画素形成領域Rpxに設けられるトランジスタTr11とTr12のトランジスタサイズを略同等に設定することなく、トランジスタTr11、Tr12の駆動能力や画素駆動回路DCの動作特性に応じて任意のサイズ(すなわち異なるトランジスタサイズ)に設定することができる。
ここで、本実施形態において、トランジスタTr11側に設けられるダミートランジスタD−Tr1とダミートランジスタD−Tr3とが、図14(a)の中心点Pcを通り、上下方向に延伸する中心線(第2の基準線)CL41を基準にして、図面の左右領域で対称構造に形成される領域、及び、トランジスタTr12とダミートランジスタD−Tr32が、中心点Pcを通り、左右方向に延伸する中心線(第1の基準線)CL42を基準にして、図面の上下領域で対称構造に形成される領域は、上述した第3の実施形態と同様に、画素形成領域Rpxにおけるバンク(図4の突起部に相当する)19が形成される四方の縁辺領域に対応する領域(左右の縁辺領域では図4の領域Rpj)の、有機EL層16が形成される領域(図4のEL素子形成領域Rel)に隣接する領域(左右の縁辺領域では図4の領域Rpj-e)の全体に亘って設けられて、完全に上下左右対称な平面パターンとすることが好ましいが、実際には完全に上下左右対称な平面パターンにすることは困難である。しかしながら、画素形成領域Rpxにおけるバンク19が形成される領域に対応する領域(領域Rpj)の、有機EL層16が形成される領域(EL素子形成領域Rel)に隣接する領域(領域Rpj-e)の、左右又は上下の縁辺領域の少なくとも30%の領域(左右の縁辺領域では図4の領域Rpj-x;例えば図14(a)のS41、S42に示す領域、又は、S43、S44に示す領域)が、この対称構造となっていれば、平坦化膜14表面の傾斜やうねりを概ね抑えることができる。
特に、対称構造とされる領域S41、S42及びS43、S44を、図14(a)に示すように、各々中心線(第2、第1の基準線)CL41、CL42を基準にして、左右領域及び上下領域の双方で略対称(略線対称)となる位置に設けることにより、平坦化膜14表面の平坦性を更に向上させることができて、より好ましい。
したがって、所望のトランジスタTr11、Tr12の駆動能力や画素駆動回路DCの動作特性を実現しつつ、上述した第3の実施形態と同様に、図14(b)に示すように、画素駆動回路DC(トランジスタTr11、Tr12及びダミートランジスタD−Tr1〜D−Tr3等)が形成された絶縁性基板11表面の段差を左右方向(上下方向も同じ)で略同等にすることができるので、バンク19の表面高さを略均一にすることができ、後工程において膜厚が略均一化された有機EL層16を有する有機EL素子OLEDを形成することができるとともに、隣接する画素への異なる色の有機溶液の混入を抑制して発光色の混色を防止することができる。
なお、図14(a)、(b)に示した表示画素PIXのデバイス構造においては、画素駆動回路DCのトランジスタTr11のゲート電極Tr11gとダミートランジスタD−Tr1のゲート電極D−Tr1gとを一体的に形成したデバイス構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、トランジスタTr11のゲート電極Tr11gとダミートランジスタD−Tr1のゲート電極D−Tr1gとを電気的に離間させて個別のトランジスタとして配置、形成するものであってもよい。また、画素形成領域Rpxの上方及び右方の縁辺領域に配置されるダミートランジスタD−Tr2、D−Tr3を個別のトランジスタとして形成したデバイス構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ダミートランジスタD−Tr2、D−Tr3を一体的に形成して、単一のダミートランジスタとして配置、形成するものであってもよい。
なお、上述した各実施形態においては、有機EL層16が正孔輸送層16a及び電子輸送性発光層16bを有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば正孔輸送兼電子輸送性発光層のみでもよく、正孔輸送性発光層及び電子輸送層でもよく、また、間に適宜担体輸送層が介在してもよく、その他の担体輸送層の組合せであってもよい。
また、上記実施形態では、画素電極15をアノードとしたが、これに限らずカソードとしてもよい。このとき、有機EL層16は、画素電極15に接する担体輸送層が電子輸送性の層であればよい。