JP4985494B2 - 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
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自動車車体の軽量化と強化を同時に満たすには、剛性が問題とならない範囲で部品素材を高強度化し、板厚を低減することによる軽量化が効果的であるといわれており、最近では高強度鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。使用する鋼板の強度が高ければ高いほど、軽量化効果が大きくなるため、自動車業界では、例えば、内板および外板用のパネル用材料として、引張強さ(TS)440MPa以上の高張力鋼板を使用する動向にある。
特許文献2に記載された技術では、C:0.05〜0.15%、Si:1.50%以下、Mn:0.30〜1.50%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.020〜0.070%、N:0.0020〜0.0080%を含む鋼をAr3点以上の仕上温度と600℃以下の巻取温度で熱間圧延し、40%以下の圧下率で冷間圧延したのち、バッチ式焼鈍炉で好ましくは再結晶温度〜Ar3点の範囲で焼鈍し調質圧延したうえで、複合組織とするために連続式焼鈍プロセスで700〜800℃に加熱均熱し、該温度から焼入れ及び200〜500℃の焼戻しすることを特徴としている。しかし、特許文献2に記載された技術では、バッチ式焼鈍炉で焼鈍(箱焼鈍)を行うため、処理時間や処理効率の観点から、連続焼鈍に劣るという問題があり、また、連続焼鈍時に焼入れ焼戻しを行うため、製造コストのうえでも問題を残していた。
この発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、自動車用鋼板等の使途に有用な、引張強さ(TS)が440MPa以上の高強度でかつ1.3以上の高r値を有し、さらには延性が向上した、深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
従来から、軟鋼板において、高r値化、すなわち{111}再結晶集合組織を発達させるためには、冷間圧延および再結晶前の固溶Cを極力低減することや熱延板組織を微細化することなどが有効な手段とされてきた。一方、DP鋼板では、マルテンサイト形成のために所定量の固溶Cを確保することが必要となる。このため、DP鋼板では、母相の再結晶集合組織が発達せず、低いr値しか確保できなかった。
(1)鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗および冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍を施し冷延焼鈍板とする冷延焼鈍工程とを順次施す冷延鋼板の製造方法において、前記鋼素材を、質量%で、C:0.01〜0.05%、Si:0.01〜2.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.005〜0.1%、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下、Nb:0.01〜0.3%、Cr:0.1〜1.0%を含有し、あるいはさらにTi:0.1%以下、V:0.3%以下のうちの1種又は2種を含有し、かつ、Nb、Ti、VおよびCが下記(1)式
0.2 ≦(Nb/93+Ti*/48+V/152.7)/(C/12)≦ 0.9 ‥‥(1)
(ここで、Ti*:有効Ti量=Ti−1.5S−3.4N、Nb、Ti、V、C、S、N:各元素の含有量(質量%))
を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、前記熱間圧延工程を、前記熱間圧延が、仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施す熱間圧延であり、該熱間圧延終了後、0.5s以内に冷却を開始し、20℃/s以上の平均冷却速度で400℃以下の温度まで一旦冷却したのち、再加熱し、550℃以上720℃以下の温度で巻き取り保持、ついでコイル冷却し熱延板とする工程とし、前記冷延焼鈍工程を、前記焼鈍が、600〜700℃までの温度域における滞留時間を30s以上1000s以下とし、焼鈍温度を800℃以上950℃以下とする処理であり、該処理後、前記焼鈍温度から500℃までの温度域の平均冷却速度:5℃/s以上として冷却し、冷延焼鈍板とする工程とすることを特徴とする深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
まず、この発明で使用する鋼素材の組成限定理由について説明する。以下、とくに断らない限り、質量%は単に%で記す。
Cは、Nbとともに本発明における重要な元素である。Cは、高強度化に有効に作用するとともに、フェライトを主相としマルテンサイトを含む第二相を有する複合組織の形成を促進する。このような複合組織を形成するためには、0.01%以上の含有を必要とする。一方、過剰な含有は、良好なr値を確保するという観点から好ましくなく、0.05%を上限とした。なお、好ましくは、0.03%以下である。
Siは、フェライト変態を促進させ未変態オーステナイト中のC含有量を上昇させてフェライトとマルテンサイトの複合組織を形成させやすくする作用を有するとともに、鋼中に固溶して鋼を強化する固溶強化作用を有する。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有を必要とする。なお、好ましくは0.05%以上である。一方、2.0%を超えてSiを含有すると、熱間圧延時に赤スケールが発生し、鋼板とした時の表面外観を低下させる。また、2.0%を超えるSiの含有は、溶融亜鉛めっきを施す際に、めっきの濡れ性を低下させ、めっきむらの発生を招き、めっき品質が劣化する。このため、Siは0.01〜2.0%に限定した。なお、好ましくは0.05〜1.0%、より好ましくは0.7%以下である。
Mnは、高強度化に有効に寄与するとともに、マルテンサイトが得られる臨界冷却速度を遅くする作用を有し、焼鈍後の冷却時にマルテンサイトの形成を促進する。このため、Mnは、要求される強度レベルや、焼鈍後の冷却速度に応じて適正範囲含有することが好ましい。また、Mnは、MnSを形成し、Sによる熱間割れを防止する、有効な元素でもある。このような効果を得るためには、1.0%以上の含有を必要とする。一方、3.0%を超える過剰な含有は、r値および溶接性を劣化させる。このため、Mnは1.0〜3.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは1.2%以上、2.2%以下である。
Pは、鋼中に固溶し鋼を強化する固溶強化作用を有する。このような効果は、0.005%以上の含有で顕著となるうえ、0.005%未満とする過度の脱Pは、精錬コストの高騰を招く。一方、O.1%を超える過剰な含有は、Pが粒界に偏析し、耐二次加工脆性および溶接性を劣化させる。また、O.1%を超えるPの過剰な含有は、溶融亜鉛めっき鋼板とする際に、溶融亜鉛めっき後の合金化処理時に、めっき層と鋼板の界面における鋼板からめっき層へのFeの拡散を抑制し、溶融亜鉛めっき層の合金化処理性を劣化させ、高温での合金化処理が必要となる。このため、得られるめっき層はパウダリング、チッピング等のめっき剥離が生じやすいものとなる。このようなことから、Pは0.005〜0.1%の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.01%以上である。
Sは、不純物であり、熱間割れの原因になるほか、鋼中では介在物として存在し鋼板の諸特性を劣化させる。このため本発明では、できるだけ低減することが好ましいが、0.01%までは許容できる。このようなことから、Sは0.01%以下に限定した。
Al:0.005〜0.1%
Alは、鋼の脱酸元素として作用するとともに、AlNとしてNを固定し、固溶Nを減少させ、耐常温時効性を向上させる作用がある。このような効果は、0.005%以上の含有で認められる。一方、0.1%を超える含有は、合金コストの高騰を招き、さらに表面欠陥を誘発する。このため、Alは0.005〜0.1%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.01〜0.06%である。
Nは、常温時効を誘起し、耐常温時効性を劣化させる元素であり、多量のAlやTiの含有を必要とするためできるだけ低減することが好ましいが、0.01%までの含有は許容できる。このため、Nは0.01%以下に限定した。なお、好ましくは0.005%以下である。
Nb:0.01〜0.3%
Nbは、本発明において最も重要な元素であり、再結晶の遅延効果を有し、熱延板組織を微細化する作用、および熱延板中にNbCとしてCを析出固定する作用を有する元素であり、これらの作用を介し、鋼板の高r値化に寄与する。このような効果は、0.01%以上の含有で認められる。一方、過剰の含有は、焼鈍後の冷却過程でマルテンサイトを形成させるために必要な固溶C量を低減するため、上限を0.3%に限定した。このため、この発明ではNbは0.01〜0.3%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.03〜0.12%である。
0.2 ≦(Nb/93+Ti*/48+V/152.7)/(C/12)≦ 0.9 ‥‥(1)
(ここで、Ti*:有効Ti量=Ti−1.5S−3.4N、Nb、Ti、V、C、S、N:各元素の含有量(質量%))
を満足させることが必要となる。なお、選択元素であるTi、Vを含有しない場合は、(1)式におけるTi*、Vは零として、(1)式の中央値を計算するものとする。また、Ti*が負となる場合には、Ti*は零として計算するものとする。
Crは、Mnと同様に、マルテンサイトが得られる臨界冷却速度を遅くする作用を有し、焼鈍後の冷却時にマルテンサイトの形成を促進させ、強度レベル向上に効果がある元素である。また、さらに熱延後の冷却、再加熱の制御により、Cr系炭化物(析出物)として析出して、Cを析出固定させ熱延板の固溶C量を低減するとともに、焼鈍時に溶解して固溶C量を増加させ冷却時にマルテンサイトを形成し、高r値化とマルテンサイト形成に寄与する元素でもある。このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超える過剰の含有は、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利となる。このため、Crは0.1〜1.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.6%以下である。
Ti:0.1%以下、V:0.3%以下のうちの1種又は2種
Ti、Vはいずれも、Nbと同様に、熱延板組織を微細化させ、また熱延板中に炭化物としてCを析出固定させる作用を有し、鋼板の高r値化に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種を含有できる。このような効果は、Ti、Vとも0.005%以上の含有で顕著となる。一方、この発明では焼鈍後の冷却過程でマルテンサイトを形成させるための固溶Cを必要とするが、Nb添加鋼にさらに、過剰のTi、Vの含有は、これを妨げることになる。このため、Ti:0.1%以下、V:0.3%以下とすることが好ましい。なお、熱延板組織の微細化に及ぼすTiの効果はNbのそれより小さいため、この発明ではTiは、Nb含有量の一部を代替する程度の含有とすることが好ましい。また、Vは、Nb、Tiに比べて、Cを固定する能力が小さいため、その分を考慮した含有量とすることが好ましい。
Ti*=Ti−1.5×S−3.4×N
(ここで、Ti,S,N:各元素の含有量(質量%))
で定義される有効Ti量(Ti*)を用いるものとする。なお、Tiを含有しない場合には、有効Ti量(Ti*)は零とすることは言うまでもない。また、Ti*が負(−)の場合にはTi*は零として扱うものとする。
Ni、Cuは、いずれも固溶強化により鋼の強度を増加させる元素であり、必要に応じて選択して含有することができる。このような効果を得るためには、それぞれ0.05%以上、0.05%以上含有することが望ましいが、Ni:1.0%、Cu:1.0%をそれぞれ超える含有は、延性、r値を低下させる。このため、含有する場合には、Ni:1.0%以下、Cu:1.0%以下に限定することが好ましい。なお、合金コストやr値低下の観点から、Ni:0.5%以下、Cu:0.6%以下とすることがより好ましい。
なお、B、Ca、REM等を、通常の鋼組成範囲内であれば含有しても何ら問題はない。例えば、Bは、鋼の焼入性を向上する作用を有する元素であり、必要に応じて含有できる。しかし、その含有量が、0.003%を超えると、効果が飽和し、経済的に不利となる。また、CaおよびREMは、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、この作用を介し、鋼板の各種特性の劣化を防止する。CaおよびREMの合計量で0.01%を超える含有は、上記した効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。
この発明では、まず、上記した組成の鋼素材に、加熱し粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延を行い熱延板とする熱間圧延工程を施す。
次いで、得られたシートバーに、引き続き、仕上圧延出側温度FT:800℃以上とする仕上圧延を施して熱延板とする。仕上圧延出側温度FT:800℃以上とする仕上圧延を施すのは、冷間圧延および再結晶焼鈍後に優れた深絞り性が得られる微細な熱延板組織を得るためである。仕上圧延出側温度FTが800℃未満では、熱間圧延時の圧延負荷が高くなるとともに、得られる熱延板組織が加工組織を有し、冷延焼鈍後に{111}再結晶集合組織が発達しない。一方、仕上圧延出側温度FTが980℃を超えると、熱延板組織が粗大化し、冷延焼鈍後に{111}再結晶集合組織の形成およびその発達が妨げられ、高r値化が達成できない。このため、仕上圧延出側温度FTは800℃以上、好ましくは980℃以下に限定した。
熱間圧延終了後の冷却開始時間が、0.5sを超えて遅くなると、再結晶が開始し、変態前組織が高r値化に好適な組織とならない。このため、熱間圧延終了後の冷却開始時間を0.5s以内に限定した。また、冷却開始温度から冷却停止温度までの平均で、冷却速度が20℃/s未満では、その後の再加熱、巻取り保持においてCr系析出物(炭化物)の析出が難しくなる。このため、冷却速度は平均で20℃/s以上に限定した。この発明では、熱延終了後、一旦400℃以下の温度まで冷却する必要がある。一旦400℃以下の温度まで冷却しないと、Cr系析出物の核生成が起こりにくく、その後の再加熱、巻取り保持において、Cr系析出物の成長が不十分となる。このため、冷却停止温度は400℃以下に限定した。
酸洗は、常用の方法で行えばよく、とくに限定されない。また、冷間圧延は、所望の寸法形状の冷延板とすることができればよく、とくにその条件は限定されない。一般に、高r値化のためには、冷間圧延の圧下率は高いほうが有利であり、少なくとも40%以上とすることが好ましい。圧下率が40%未満では、{111}再結晶集合組織が発達せず、優れた深絞り性を得ることが困難となる。なお、より好ましくは50%以上である。一方、圧下率が90%までの範囲では、圧下率が高くするほどr値が上昇するが、90%を越えるとその効果が飽和するうえ、圧延時のロールへの負荷が高くなる。このため、冷間圧延の圧下率は90%以下とすることが好ましい。
冷延焼鈍工程における焼鈍においては、まず変態する前に、再結晶を完了させることが必要となる。このため、焼鈍温度は800℃以上とすることが肝要となる。一方、焼鈍温度が950℃を超えるような高温では、再結晶粒が著しく粗大化する。このため、焼鈍温度は800℃以上950℃以下に限定した。
本発明では、上記した冷延板焼鈍工程の後に、電気めっき処理、あるいは溶融めっき処理などのめっき処理を施し、鋼板表面にめっき層を形成しても良い。めっき処理としては例えば、自動車用鋼板に多く用いられる溶融亜鉛めっき処理を行う場合には、上記した冷延焼鈍工程の焼鈍を、連続溶融めっきラインにて行い、焼鈍後の冷却に引き続いて溶融亜鉛めっき浴に浸漬して、表面に溶融亜鉛めっき層を形成すればよい。あるいはさらにめっき層の合金化処理を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板としてもよい。その場合、溶融めっき浴から出たのち、あるいはさらに合金化処理したのちの冷却においても、300℃までの平均冷却速度が5℃/s以上になるように冷却することが好ましい。
この発明になる冷延鋼板は、上記した組成を有し、フェライト相を主相とし、主相と、面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む第二相とからなる複合組織を有する。ここでいう「主相」とは、面積率で50%以上を占める組織をいうものとする。フェライト相が少なくなり、面積率で50%未満となると、良好な深絞り性を確保することが困難となり、プレス成形性が低下する傾向となる。なお、フェライト相は、好ましくは面積率で70%以上である。また、複合組織の利点を利用するため、フェライト相は99%以下とするのが好ましい。ここでいう「フェライト相」とは、ポリゴナルフェライト相に加えて、オーステナイト相から変態した転位密度の高いベイニチックフェライト相をも含むものとする。フェライト相以外の第二相は、少なくとも面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む相とする。マルテンサイト相が1%未満では、所望の良好な強度−延性バランスを確保することが難しくなる。なお、マルテンサイト相は、好ましくは面積率で3%以上10%以下である。第二相は、マルテンサイト以外に、面積率で15%以下のパーライト、ベイナイトあるいは残留γ等を含んでもよい。
ここで、r0:引張方向が板面の圧延方向に対し平行となるように採取した試験片を用いて得られた塑性ひずみ比
r45:引張方向が板面の圧延方向に対し45°方向となるように採取した試験片を用いて得られた塑性ひずみ比
r90:引張方向が板面の圧延方向に対し90°方向となるように採取した試験片を用いて得られた塑性ひずみ比
本発明になる冷延鋼板は、電気めっき、あるいは溶融亜鉛めっきなどの表面処理を施した、いわゆるめっき鋼板をも含むものである。ここでいう「めっき」には、純亜鉛めっきのほか、亜鉛を主成分として合金元素を添加した亜鉛系合金めっき、あるいはAlめっきやAlを主成分として合金元素を添加したAl系合金めっきなど、従来から、表面に施されているめっきをも含むものとする。
(1)微視組織観察
各冷延焼鈍板から、組織観察用試験片を採取し、圧延方向に平行な断面(L断面)について光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて、微視組織を撮像し、画像解析装置で主相であるフェライト相の面積率と、第二相の種類とその面積率を求めた。
各冷延焼鈍板から、引張方向が圧延方向に対して90°方向(C方向)となるように、JIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して、クロスヘッド速度:10mm/minで引張試験を行い、降伏応力(YS)、引張強さ(TS)、伸び(EL)を求めた。
(3)r値測定試験
各冷延焼鈍板から、引張方向が、圧延方向(L方向)、圧延方向に対し45°方向(D方向)、圧延方向に対し90°方向(C方向)となるように、JIS 5号引張試験片を採取した。これらの試験片に10%の単軸引張歪を付与した時の各試験片の幅歪と板厚歪を求め、JIS Z 2254の規定に準拠して平均r値(平均塑性歪比)を算出し、これをr値とした。なお、平均r値の算出は上記した(2)式によった。
Claims (2)
- 鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に酸洗および冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍を施し冷延焼鈍板とする冷延焼鈍工程とを順次施す冷延鋼板の製造方法において、
前記鋼素材を、質量%で、
C:0.01〜0.05%、 Si:0.01〜2.0%、
Mn:1.0〜3.0%、 P:0.005〜0.1%、
S:0.01%以下、 Al:0.005〜0.1%、
N:0.01%以下、 Nb:0.01〜0.3%、
Cr:0.1〜1.0%
を含有し、あるいはさらにTi:0.1%以下、V: 0.3%以下のうちの1種又は2種を含有し、かつ、Nb、Ti、VおよびCが下記(1)式を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材とし、
前記熱間圧延工程を、前記熱間圧延が、仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施す熱間圧延であり、該熱間圧延終了後、0.5s以内に冷却を開始し、20℃/s以上の平均冷却速度で400℃以下の温度まで一旦冷却したのち、再加熱し、550℃以上720℃以下の温度で巻き取り保持、ついでコイル冷却し熱延板とする工程とし、
前記冷延焼鈍工程を、前記焼鈍が、600〜700℃までの温度域における滞留時間を30s以上1000s以下とし、焼鈍温度を800℃以上950℃以下とする処理であり、該処理後、前記焼鈍温度から500℃までの温度域の平均冷却速度:5℃/s以上として冷却し、冷延焼鈍板とする工程とすることを特徴とする深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
記
0.2 ≦(Nb/93+Ti*/48+V/152.7)/(C/12)≦ 0.9 ‥‥(1)
ここで、Ti*:有効Ti量=Ti−1.5S−3.4N、
Nb、Ti、V、C、S、N:各元素の含有量(質量%) - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:1.0%以下、Cu:1.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記載の高強度冷延鋼板の製造方法。
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