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JP4972952B2 - 流体機械 - Google Patents

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JP4972952B2 JP2006041143A JP2006041143A JP4972952B2 JP 4972952 B2 JP4972952 B2 JP 4972952B2 JP 2006041143 A JP2006041143 A JP 2006041143A JP 2006041143 A JP2006041143 A JP 2006041143A JP 4972952 B2 JP4972952 B2 JP 4972952B2
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Description

本発明は、スクロール型流体機械に関するものである。
従来より、可動スクロールと固定スクロールとが互いのラップを噛合させてなる流体室を備えたスクロール型流体機械が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1のスクロール型流体機械は、冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮するスクロール型圧縮機であって、ケーシング内の上方から順に、圧縮機構と該圧縮機構を駆動する駆動機構を備えている。該圧縮機構は、上方から順に固定スクロールと公転スクロール(可動スクロール)とが配置されている。また、上記圧縮機構の下方には、フレームがケーシングに固定されて配置されている。上記ケーシング内は、圧縮機構の上側が高圧空間となる一方、下方が低圧空間となる。また、上記ケーシング胴部には、下部に低圧空間に開口する吸入管が設けられ、上部に高圧空間に開口する吐出管が設けられている。上記スクロール型圧縮機では、公転スクロールの下方が低圧空間となるために、公転スクロールがフレームの方向に向かって押しつけられる。そして、該公転スクロールは、スラストプレートを介してフレーム(支持部材)に支持されている。
上記スクロール型圧縮機を起動すると、駆動機構により公転スクロールがスラストプレートと摺動しながら公転する。これにより、吸入管から吸入された冷媒は、低圧空間を通って圧縮機構に導入されて圧縮され、高圧空間から吐出管から吐出される。
特開2004−60502号公報
しかしながら、上記スクロール型圧縮機においては、上記スラストプレートに何ら処理が施されていなかったために、公転スクロールとスラストプレートとの摺動性及び耐摩耗性が十分でないという問題点があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、可動スクロールがスラストプレートを介して支持部材に支持されるスクロール型流体機械において、摺動性及び耐摩耗性を向上させて、機器としての信頼性を向上させることを目的とする。
第1の発明は、固定側平板部(22a)の正面(22c)に渦巻き状の固定側ラップ(22b)が立設された固定スクロール(22)と、可動側平板部(26a)の正面(26c)に上記固定側ラップ(22b)と噛合する渦巻き状の可動側ラップ(26b)が立設された可動スクロール(26)とを備え、上記可動側平板部(26a)がスラストプレート(70)を介して支持部材(22d)に支持されているスクロール型流体機械であって、上記スラストプレート(70)には、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(71)が形成されている。さらに、上記スラストプレート(70)は、上記可動側平板部(26a)の正面(26c)全体に対応するように形成されて可動側平板部(26a)に設けられ、上記コート層(71)は、上記固定スクロール(22)と一体形成されて可動スクロール(26)を正面(26c)側で支持する支持部材(22d)及び固定側ラップ(22b)の先端に摺接するようにスラストプレート(70)の片面に形成されている。
この第1の発明では、可動側平板部(26a)の正面(26c)全体にスラストプレート(70)を設けているので、スラストプレート(70)がコート層(71)を介して固定スクロール(22)と一体形成された支持部材(22d)と摺接するので、上記スラストプレート(70)と支持部材(22d)との摺動性及び耐摩耗性が向上する。これにより、上記可動スクロール(26)がスラストプレート(70)を介して支持部材(22d)に支持されて、円滑に回転する。また、スラストプレート(70)を可動スクロール(26)と固定スクロール(22)と一体形成された支持部材(22d)の間に設けているので、特に、可動スクロール(26)の背面(26d)側が高圧空間等であることにより可動スクロール(26)が固定スクロール(22)側(背面(26d)側から正面(26c)側)に向かって押圧される流体機械においては、摺動性及び耐摩耗性がより顕著に向上する。また、固定側ラップ(22b)の先端もコート層(71)と摺接することから、固定側ラップ(22b)と可動側平板部(26a)との摺動性及び耐摩耗性をも向上する。
第2の発明は、第1の発明において、上記スラストプレート(70)のビッカース硬度は、240以上である。
この第2の発明では、上記スラストプレート(70)のビッカース硬度が240以上であるので、該スラストプレート(70)にダイヤモンドライクカーボンからなるコート層(71)が確実に密着する。また、ここでいう該ビッカース硬度240以上とは、ビッカース硬さ試験(JIS Z2244−1998による)によって測定された測定値に限られず、他の硬さ試験の測定値であって、換算するとビッカース硬度240以上に該当するものであればよく、具体的に、硬さ換算表(SAE J 417による)により、ブルネル硬度(JIS Z2243−1998によるブルネル硬さ試験の測定値)が230以上やロックウェル硬度(JIS Z2245−1998によるロックウェル硬さ試験の測定値)が20以上のものを含む意味している。
第3の発明は、第1の発明において、上記スラストプレート(70)の板厚は、0.1mm以上かつ0.6mm以下である。
この第3の発明では、上記スラストプレート(70)は、板圧が0.1mm以上であるので、プレートとしての適度な強度が確保されると共に、0.6mm以下であるので、可動スクロール(26)の回転による撓みに伴って撓む柔軟性を有している。これにより、可動スクロール(26)が回転しても、スラストプレート(70)が割れることがなく、かつ、可動スクロール(26)の回転に伴って安定的に回転するので、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(71)が剥離することがない。
上記第1の発明によれば、可動側平板部(26a)の正面(26c)全体にスラストプレート(70)を設けたために、上記スラストプレート(70)と支持部材(22d)との摺動性及び耐摩耗性が向上することから、可動側平板部(26a)が、スラストプレート(70)を介して支持部材(22d)に支持されて円滑に回転することができる。また、特に、可動スクロール(26)が固定スクロール(22)側に向かって押圧される流体機械においては、摺動性及び耐摩耗性を著しく向上させることができる。さらに、上記コート層(71)が固定側ラップ(22b)と摺接して、該固定側ラップ(22b)の摺動性及び耐摩耗性をも向上させることができることから、可動スクロール(26)は、スラストプレート(70)を介して固定スクロール(22)に支持されて、より円滑に回転することができる。
また、上記第2の発明によれば、上記スラストプレート(70)のビッカース硬度を240以上としたために、該スラストプレート(70)に、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(71)を確実に密着させることができる。これにより、可動スクロール(26)の回転により、コート層(71)が剥離して欠落することを防止することができことから、長時間安定的な運転を行うことができる。
また、上記第3の発明によれば、上記スラストプレート(70)の板圧を0.1mm以上0.6mm以下としたために、スラストプレート(70)が、プレートとしての適度な強度が確保することができると共に、可動スクロール(26)の回転による撓みに伴って撓むことができる。これにより、可動スクロール(26)の回転により、スラストプレート(70)が割れることを防止することができると共に、可動スクロール(26)の回転に伴って安定的に回転することができるので、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(71)が剥離して欠落することがないことから、長時間安定的な運転を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。そこで、本発明の実施形態の前提技術を説明した後、本発明の実施形態を説明する。
《前提技術》
前提技術は、図1に示すスクロール型圧縮機(1)である。該スクロール型圧縮機(1)は、冷凍装置において、冷媒ガスが循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられ、冷媒ガスを圧縮するものである。
図1に示すように、スクロール型圧縮機(1)は、密閉ドーム型の圧力容器により構成されたケーシング(10)を備えている。該ケーシング(10)の内部には、上方から順に、冷媒ガスを圧縮する圧縮機構(15)と、該圧縮機構(15)を駆動する圧縮機モータ(16)と、下部軸受(39)とが収容されている。上記圧縮機構(15)と圧縮機モータ(16)とは、上下方向に延びる駆動軸(17)で連結されている。
上記圧縮機構(15)の下部には、フレーム(24)が設けられている。該フレーム(24)は、鉄系材料から構成され、中央に溝部(31)が形成される一方、該溝部(31)の下面中央に上部軸受(32)が形成されている。上記フレーム(24)の外周面は全周に亘ってケーシング(10)の内周面と密着して接合されている。そして、ケーシング(10)の内部はフレーム(24)の下方の高圧空間(28)とフレーム(24)の上方の低圧空間(29)とに区画されている。
また、上記ケーシング(10)の頂部には、冷媒回路の冷媒を圧縮機構(15)に導く吸入管(19)が接合され、胴部には、ケーシング(10)内の冷媒をケーシング(10)外に吐出させる吐出管(20)が接合されている。上記吸入管(19)は、後述する圧縮機構(15)の圧縮室(40)に開口している。一方、上記吐出管(20)は、上記高圧空間(28)に開口している。
上記駆動軸(17)は、上記上部軸受(32)及び下部軸受(39)に回転自在に支持されている。該駆動軸(17)の上端には、偏心部(18)が形成されている。該偏心部(18)は、駆動軸(17)の軸心から所定量偏心している。一方、駆動軸(17)の下端には、ケーシング(10)の底部に溜まった冷凍機油を汲み上げる給油ポンプ(49)が設けられている。該給油ポンプ(49)は、駆動軸(17)の上下方向に貫通形成された給油路(51)を経由して冷凍機油を圧縮機構(15)の各摺動部などに供給する。
上記圧縮機構(15)は、鉄系材料からなる固定スクロール(22)と可動スクロール(26)とを備えている。上記固定スクロール(22)は、固定側平板部(22a)と固定側ラップ(22b)と周縁部(22d)と吐出孔(45)とを備えている。固定側平板部(22a)は円板状に形成されている。上記固定側ラップ(22b)は、該固定側平板部(22a)の正面(22c)の中央に渦巻き状に立設される一方、上記吐出孔(45)は、上記固定側平板部(22a)の固定側ラップ(22b)の中心部を貫通することにより形成されている。また、上記周縁部(22d)は、固定側平板部(22a)の正面(22c)の外周部から立設して設けられ環状に形成されている。一方、可動スクロール(26)は、可動側平板部(26a)と可動側ラップ(26b)とを備えている。該可動側平板部(26a)は円板状に形成されている。上記可動側ラップ(26b)は、該可動側平板部(26a)の正面(26c)の中心部に上記固定スクロール(22)の固定側ラップ(22b)と噛合する渦巻き状に立設されている。そして、圧縮機構(15)では、上記各平板部(22a,26a)及び各ラップ(22b,26b)との間に圧縮室(40)が区画形成される。
上記固定スクロール(22)は、周縁部(22d)が、上記フレーム(24)に締結されている。つまり、固定スクロール(22)は、フレーム(24)を介してケーシング(10)に固定されている。また、該固定スクロール(22)の固定側平板部(22a)には、背面側に凸部(22e)が形成され、該凸部(22e)を介してカバー部材(41)が設けられている。これにより、上記固定側平板部(22a)とカバー部材(41)との間には、第1吐出通路(42)が形成されている。また、上記周縁部(22d)には、第2吐出通路(43)が形成されている。そして、吐出孔(45)は、第1吐出通路(42)及び第2吐出通路(43)を介して高圧空間(28)に連通している。
上記可動スクロール(26)の可動側平板部(26a)の背面(26d)中央には、軸受部(34)が設けられ、該軸受部(34)に上記駆動軸(17)の偏心部(18)が嵌入されている。また、上記可動スクロール(26)は、フレーム(24)にオルダムリング(38)を介して連結されている。このオルダムリング(38)は、可動スクロール(26)の自転防止機構を構成している。以上のようにして、可動スクロール(26)は、駆動軸(17)の駆動により該駆動軸(17)に対して偏心して公転するように構成されている。
上記軸受部(34)の溝部(31)の内周面には、環状のシール部材(36)が密着するように配設されている。該溝部(31)は、図示しない通路を介して高圧空間(28)と連通している。これにより、溝部(31)の上記シール部材(36)に囲まれた空間(37b)は、高圧の冷媒ガスで満たされている。
上記可動スクロール(26)の軸受部(34)内には、偏心部(18)と可動側平板部(26a)との間に油室(52)が形成されている。この油室(52)は、上述した給油路(51)と連通しており、給油ポンプ(49)で汲み上げられた冷凍機油で満たされている。
このように、上記可動スクロール(26)には、上記油室(52)の冷凍機油や上記溝部(31)の空間(37b)の高圧冷媒の圧力が作用して、可動スクロール(26)が固定スクロール(22)側に向かって軸方向に押し付られるように構成されている。
上記可動スクロール(26)は、上記可動側平板部(26a)の正面(26c)の外周部に、図1及び図2に示すように、円環状の凹部(72)が形成され、該凹部(72)に円環状のスラストプレート(70)が嵌合されている。そして、可動スクロール(26)は上記スラストプレート(70)を介して固定スクロール(22)の周縁部(22d)に支持されている。つまり、該周縁部(22d)は、固定スクロール(22)と一体形成された支持部材に構成されている。上記スラストプレート(70)は、可動スクロール(26)の荷重を受けて固定スクロール(22)の周縁部(22d)と摺接するように構成されている。
そこで、本発明の特徴として、上記スラストプレート(70)の表面には、ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCという)のコート層(71)が、上記固定スクロール(22)の周縁部(22d)と摺接するように配置されている。具体的に、上記スラストプレート(70)は、例えば、ビッカース硬度(JIS Z2244−1998のビッカース硬さ試験による)が540で、板厚が0.457mmに形成され、表面粗さRa(JIS B 0601−2001に規定されている輪郭曲線の算術平均高さRa)0.2未満となるように処理された表面に、プラズマCVD法により製造された水素濃度30at%程度のDLCのコート層(71)が層厚3μmで形成されている。なお、上記スラストプレート(70)は、板厚が0.1mm以上かつ0.6mm以下であるものが好ましく、硬度がビッカース硬度240以上であるものが好ましく、さらにビッカース硬度が400以上であるものがより好ましい。また、DLCの製法及び種類、コート層(71)の層厚は例示であって、特に限定されない。
なお、可動スクロール(26)の凹部(72)の深さは、上記スラストプレート(70)の板厚と上記コート層(71)の層厚とを合わせた厚み0.46mmと同じ大きさとなるように形成されている。これにより、図1及び図2(b)に示すように、可動側ラップ(26b)の先端と固定側平板部(22a)の正面(22c)とが当接し、固定側ラップ(22b)の先端と可動側平板部(26a)の正面(26c)とが当接し合って、ラップ(22b,26b)先端部からの流体の漏れを防止している。
−運転動作−
冷凍装置の冷媒回路では、冷媒が循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。その際、上記スクロール型圧縮機(1)は、蒸発器から低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、圧縮後の高圧のガス冷媒を凝縮器へ送り出す。
具体的に、上記スクロール型圧縮機(1)では、圧縮機モータ(16)で発生した駆動力は、駆動軸(17)を介して可動スクロール(26)へ伝達される。圧縮機構(15)では、可動スクロール(26)の公転に伴って圧縮室(40)の容積が変化する。その結果、吸入管(19)を通って圧縮室(40)へ吸入された冷媒ガスが圧縮される。そして、この際、スラストプレート(70)は可動スクロール(26)に伴って公転するので、該スラストプレート(70)のDLCのコート層(71)は、固定スクロール(22)の周縁部(22d)と摺動する。圧縮された冷媒ガスは、吐出孔(45)から吐出通路(42,43)を通って高圧空間(28)へ流入し、その後に吐出管(20)を通ってケーシング(10)の外部へ送り出される。
−スラストプレートの評価試験−
次に、上記スクロール型圧縮機(1)のスラストプレート(70)の硬度及び板厚の最適基準を設定するために行った評価試験について説明する。
〈硬度評価試験〉
上述したように、上記スラストプレート(70)に形成されたDLCのコート層(71)は、固定スクロール(22)と摺動するために、スラストプレート(70)とDLCのコート層(71)との結合強度が弱い場合は、この摺動によってDLCのコート層(71)が剥離して欠落してしまう虞がある。そこで、DLCのコート層(71)と適度な結合強度を有するスラストプレート(70)の硬度の基準を設定するために、硬度評価試験を行った。
本試験は、図3(a)に示すリング/ディスク試験片を用いて行った。この試験では、リングが固定スクロール(22)に対応し、ディスクがスラストプレート(70)に対応している。つまり、ディスクには、DLCのコート層が3μmで形成されている。
試験条件は、リングを0.5m/sの一定速度で回転させ、該リングにその回転軸方向に沿ってディスクを押し付けた。そして、このディスクを押し付ける荷重を、0.1MPaずつ5分毎に段階的に上昇させながら、各荷重におけるリングとディスクとの摺動面における摩擦係数を測定し、摩擦係数が急上昇したときの荷重を、DLCのコート層が剥離する限界面圧とした。つまり、この限界面圧が大きいほど、DLCのコート層が剥離しにくいということなので、結合強度が高いと評価する。なお、本試験は、大気中で潤滑油を介在させずに行った。
本試験では、図3(b)に示す4つのサンプルについて比較評価を行った。4つのサンプルでは、リングは、全てFC250(JIS G5501−1995による)を用いた。一方、ディスクの基材として、サンプルAでは、ブルネル硬度(JIS Z2243−1998のブルネル硬さ試験による測定値)が130のS25C(JIS G4051−2005による)の焼きならしを用い、サンプルBでは、ブルネル硬度が230のFC250を用い、サンプルCがビッカース硬度が400のS45C(JIS G4051−2005による)の焼入れ焼戻しを用い、サンプルDがSKH51(JIS G4403−2000による)の焼入れ焼戻しを用いた。また、上記サンプルA及びBのブルネル硬度は、ビッカース硬度を換算表(SAE J 417による)により換算すると、それぞれ約140及び約240となる。つまり、サンプルA、B、C、Dの順にビッカース硬度が低くなっている。
試験結果は、サンプルAが0.5MPa、サンプルBが1.2MPa、サンプルCが1.4MPa、サンプルDが1.4MPaとなった。これにより、ビッカース硬度が高くなるにつれて、限界面圧が高くなっていることがわかる。また、ブルネル硬度230(ビッカース硬度240)以上では、限界面圧の上昇は緩やかとなった。このように、スラストプレート(70)のビッカース硬度が高くすることによりコート層(71)との結合強度が徐々に高くなり、特に、ビッカース硬度が240以上となると、限界面圧は1.2MPaを超え、適度な結合強度が確保されるということがわかった。また、ビッカース硬度400以上では、限界面圧1.4MPaとなり、結合強度が非常に強いということがわかった。よって、スラストプレート(70)の硬度基準として、ビッカース硬度240以上と設定し、さらに、最適硬度基準として、ビッカース硬度400以上と設定した。
なお、ディスクの基材には、硬度がブルネル硬度及びビッカース硬度によって表される基材を用いたが、ロックウェル硬度(JIS Z2245−1998によるロックウェル硬さ試験の測定値)で表されるものであってもよく、その場合は、ビッカース硬度240以上に対応するロックウェル硬度が20以上であるものを用いることが好ましい。
〈板厚評価試験〉
上述したように、上記スラストプレート(70)は、可動スクロール(26)の公転に伴って回転するので、板厚が薄い場合は、可動スクロール(26)の公転に伴う撓みに対応して安定的に回転するが、機械的強度が弱くなるために割れてしまう場合がある。一方、板厚が厚い場合は、機械的強度が強くなるために割れることはないが、可動スクロール(26)の公転に伴う撓みに対応できないために、可動スクロール(26)と歪みが生じて、可動スクロール(26)の回転の信頼性が低下する虞がある。そこで、適度な機械的強度及び可動スクロール(26)の公転に伴う撓みに対応できる適度な柔軟性を有するスラストプレート(70)の板厚の基準を設定するために、板厚評価試験を行った。
具体的に、上記スクロール型圧縮機(1)とほぼ同じ構成であって、図4(a)に示すように、スラストプレート(70)の板厚がそれぞれ異なる2つの圧縮機A及びBを用いて比較評価を行った。上記圧縮機Aには、板厚0.457mmのスラストプレート(70)を用い、上記圧縮機Bには、板厚0.635mmのスラストプレート(70)を用いた。また、圧縮機A及びBのスラストプレート(70)は、日立金属株式会社製のPK材(鉄98%以上、炭素約1%を含む高炭素鋼であって、ビッカース硬度が485〜630である)から構成され、表面粗さRaが0.2未満となるように処理され、DLCのコート層(71)が3μmの厚みで形成されている。
試験は、上記圧縮機A及びBを上記スクロール型圧縮機(1)と同じ運転動作で運転させ、冷媒回路の冷媒としてR410Aを用い、潤滑油としてエーテル油を用いて行った。また、圧縮機の吸入圧力を1.2MPa、吐出圧力を4.2MPa、吐出温度60〜80℃とし、駆動軸の回転数25rpmで10分間運転した後10分間運転を停止し、この運転の発停の繰り返しを計400時間行った。
図4(a)は、本試験の試験結果を示した表である。ここで、圧縮機入力は、従来のDLCのコート層(71)のないスラストプレート(70)を備えた圧縮機の入力に対する入力比を示している。圧縮機入力は、圧縮機A及びBともに95%となった。これにより、DLCのコート層(71)を設けたことにより、スラストプレート(70)と固定スクロール(22)との摺動性が向上して可動スクロール(26)の公転運動が円滑になったことがわかる。
一方、圧縮機Aにおいては、スラストプレート(70)のDLCのコート層(71)の剥離が確認されなかったが、圧縮機Bは部分的に剥離が確認された。図4(b)は、本試験後の圧縮機Bのスラストプレート(70)をDLCのコート層(71)側から撮影した拡大写真であるが、DLCのコート層(71)が部分的に剥離し、スラストプレート(70)の表面が露出していることが確認される。このように、スラストプレート(70)の板厚が0.6mmを超えるとDLCのコート層(71)の剥離が生じるのは、板厚が厚くなることにより可動スクロール(26)の公転運動に伴って柔軟に撓むことができなくなるので、結果的に固定スクロール(22)の周縁部(22d)との摺動が安定しなくなるためであると考えられる。
なお、本試験では、圧縮機Bの圧縮機入力は、圧縮機Aと共に95%であったが、本試験をさらに長時間継続すれば、スラストプレート(70)のコート層(71)が完全に剥がれると考えられ、その場合は、圧縮機の入力は100%となって摺動性向上の効果を示さなくなると考えられる。
このように、スラストプレート(70)の板厚は0.6mm以下であることが好ましい。一方、スラストプレート(70)の板厚は、可動スクロール(26)の回転に耐えうる機械的強度を有している必要があり、そのためには、0.1mm以上であることが好ましい。以上より、板厚の基準は、0.1mm以上であり、0.6mm以下であることが好ましい。
−DLCの摺動性評価試験−
次に、スラストプレート(70)に形成したDLCのコート層(71)の摺動性の評価試験について説明する。
本試験は、上記硬度評価試験と同様に、図3(a)に示すリング/ディスク試験片を用いて行った。この試験においても、リングが固定スクロール(22)に対応してFC250からなり、ディスクがスラストプレート(70)に対応している。
試験条件は、リングを1m/sの一定速度で回転させ、該リングにその回転軸方向に沿ってディスクを荷重0.9MPaで押し付けた。これにより、図3(a)において、リングの上部とディスクの下部とが摺動する。そして、該リングにかかる摩擦トルクから、該リングとディスクとの摺動面における摩擦係数を測定した。なお、本試験は、冷媒R410Aと潤滑油である出光興産株式会社製のFVC46D(エーテル油)とを65:35に混合した雰囲気中で行った。
ディスクには、図5に示すように、サンプルa、b、cの3つのサンプルを用いた。具体的に、サンプルaは、FC250からなるものを用い、サンプルbが、FC250からなる基材にDLCのコート層を層厚3μmとなるように形成したものを用い、サンプルcが、SKH51からなる基材にDLCのコート層を層厚3μmとなるように形成したものを用いた。つまり、サンプルaは、スラストプレート(70)にDLCのコート層(71)が形成されていない従来のスクロール型圧縮機に対応し、サンプルb及びサンプルcは、スラストプレート(70)にDLCのコート層(71)が形成された本発明のスクロール型圧縮機(1)に対応している。なお、サンプルbの基材であるFC250は、ブルネル硬度が230であり、サンプルcの基材であるSKH51は、ビッカース硬度が800であり、何れもビッカース硬度が240以上である。
試験結果は、図5に示すように、サンプルaが0.06、サンプルb及びサンプルcが0.03となった。これにより、DLCのコート層を設けることにより、摺動性が向上することがわかった。
−前提技術の効果−
上記スクロール型圧縮機(1)は、可動側平板部(26a)の正面(26c)の外周部に設けた凹部(72)にスラストプレート(70)を配置し、該スラストプレート(70)に固定スクロール(22)の周縁部(22d)と摺接するようにコート層(71)を形成したために、スラストプレート(70)とコート層(71)を介して摺接する固定スクロール(22)の周縁部(22d)との摺動性及び耐摩耗性が向上する。これにより、可動スクロール(26)が、スラストプレート(70)を介して固定スクロール(22)の周縁部(22d)に支持されて円滑に公転運動を行うことができるので、機器としての信頼性が向上する。
また、上記スクロール型圧縮機(1)では、可動スクロール(26)が固定スクロール(22)側に向かって押圧されるために、可動スクロール(26)のスラストプレート(70)と固定スクロール(22)とが、厳しい摺動条件で摺動することから、この摺動性及び耐摩耗性がより顕著に向上する。
また、可動側平板部(26a)の表面(26c)に上記凹部(72)を形成したために、該凹部(72)にスラストプレート(70)が嵌合して安定的に支持されるので、可動スクロール(26)の回転中に、スラストプレート(70)の位置がずれることがない。また、この凹部(72)の深さを、スラストプレート(70)の板厚とコート層(71)の層厚とを合わせた厚さである0.46mmとしているので、ラップ(22b,26b)先端部からの冷媒の漏れを防止することができる。
また、上記スラストプレート(70)は、ビッカース硬度240以上であるために、ダイヤモンドライクカーボンからなるコート層(71)を、スラストプレート(70)に確実に密着させることができるので、可動スクロール(26)の公転時に、コート層(71)が剥離して欠落することを防止することができる。
また、上記スラストプレート(70)は、板厚が0.1mm以上でかつ0.6mm以下であるために、プレートとしての適度な強度と可動スクロール(26)の公転による撓みに対応できる柔軟性を有しているので、可動スクロール(26)の公転により、スラストプレート(70)が割れることなく安定的に回転することができることから、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(71)が剥離して欠落することがない。
−前提技術の変形例1−
前提技術の変形例1は、上記前提技術が可動側平板部(26a)の正面(26c)の外周部に円環状の凹部(72)を形成し、該円環状の凹部(72)に円環状のスラストプレート(70)を設けたことに代わり、図6(a)に示すように、可動側平板部(26a)の正面(26c)において、外周部から可動側ラップ(26b)の最外周部近傍に対応する位置に環状のスラストプレート(70)を設け、該スラストプレート(70)にコート層(71)を形成したものである。つまり、前提技術よりスラストプレート(70)は大きく形成されている。また、可動側平板部(26a)には、該スラストプレート(70)に対応する凹部(72)が形成されている。
このように、スラストプレート(70)をより大きく形成したことにより、スラストプレート(70)が可動スクロール(26)の荷重をより確実に支持することができると共に、固定スクロール(22)の周縁部(22d)と摺接するDLCのコート層(71)の面積も大きくなるので、摺動性及び耐摩耗性がさらに向上する。
その他の構成、作用及び効果は、前提技術と同じである。
《実施形態1》
次に、本発明の実施形態1について説明する。
実施形態1は、図6(b)に示すように、可動側平板部(26a)の正面(26c)全体にスラストプレート(70)を設けたものである。つまり、該スラストプレート(70)は、可動側平板部(26a)に対応する円板状に形成される一方、可動側ラップ(26b)を貫通させる渦巻き状の孔部(70a)を備えている。そして、該孔部(70a)に可動側ラップ(26b)を貫通させて可動側平板部(26a)に載置されている。また、本実施形態では、可動側平板部(26a)に、スラストプレート(70)を嵌合させるための凹部(72)が設けられていない。
本実施形態では、上記スラストプレート(70)が、DLCのコート層(71)を介して固定スクロール(22)の周縁部(22d)に加えて固定側ラップ(22b)の先端とも摺接するので、スラストプレート(70)と固定スクロール(22)の摺動性及び耐摩耗性がさらに向上し、可動スクロール(26)は、より円滑に公転することができる。また、スラストプレート(70)は、孔部(70a)に可動側ラップ(26b)を貫通させることにより、可動側ラップ(26b)に固定されて、可動スクロール(26)の公転運動中に位置がずれることがない。
その他の構成、作用及び効果は、前提技術と同じである。
《前提技術の変形例2》
前提技術の変形例2は、図7に示すように、可動側平板部(26a)には、スラストプレート(70)を設けず、固定スクロール(22)の周縁部(22d)の正面(22f)に環状の凹部(72)を形成し、該凹部(72)にスラストプレート(70)を設けたものである。そして、スラストプレート(70)には、可動側平板部(26a)の正面(26c)と摺接するようにコート層(71)が形成されている。
本変形例では、スラストプレート(70)とコート層(71)を介して摺接する可動スクロール(26)の可動側平板部(26a)との摺動性及び耐摩耗性が向上する。これにより、上記可動スクロール(26)は、上記スラストプレート(70)を介して固定スクロール(22)に支持されて円滑に公転する。
なお、該凹部(72)及びスラストプレート(70)は、円環状に形成されていてもよいし、周縁部(22d)の正面(22f)全体に形成してもよい。
その他の構成、作用及び効果は、前提技術と同じである。
前提技術の変形例3
前提技術の変形例3は、図8に示すように、固定スクロール(22)及び可動スクロール(26)の両方に、スラストプレート(70)を設けたものである。
具体的に、固定スクロール(22)には、前提技術の変形例2のように、周縁部(22d)にDLCのコート層(71)を備えたスラストプレート(70)が設けられている。一方、可動スクロール(26)には、前提技術のように、可動側平板部(26a)にDLCのコート層(71)を備えたスラストプレート(70)が設けられている。つまり、各コート層(71)は、各スラストプレート(70)の摺接面に形成され、固定スクロール(22)のスラストプレート(70)と可動スクロール(26)のスラストプレート(70)とは、互いのコート層(71)を介して摺接する。
変形例3では、コート層(71)同士が摺接するために、可動スクロール(26)は、2つのスラストプレート(70)を介して支持部材(22d,24)に支持されて、さらに円滑に公転することができる。
なお、上記固定スクロール(22)のスラストプレート(70)は、周縁部(22d)の正面(22f)全体に設けてもよい。また、上記可動スクロール(26)のスラストプレート(70)は、前提技術の変形例1のような環状に形成してもよいし、実施形態1のように可動側平板部(26a)の正面(26c)全体に設けてもよい。
その他の構成、作用及び効果は、前提技術と同じである。
《参考例》
参考例は、図9に示すスクロール型圧縮機(1)である。該スクロール型圧縮機(1)は、前提技術と同様に、冷凍装置の冷媒回路に設けられて、流体であるガス冷媒を圧縮するために用いられる。
図9に示すように、スクロール型圧縮機(1)のケーシング(10)内部には、上方より順に、圧縮機構(15)と圧縮機モータ(16)と下部軸受(39)とが収容されている。上記圧縮機構(15)と圧縮機モータ(16)とは、上下方向に延在する駆動軸(17)で連結されている。また、上記圧縮機構(15)は、その下部にフレーム(24)を備えている。
本参考例では、上記前提技術と異なり、ケーシング(10)内の下方が低圧空間(29)となり、上方が高圧空間(28)となる。該低圧空間(29)及び高圧空間(28)は、後述するように、固定スクロール(22)によって区画されている。また、ケーシング(10)の胴部下方には、吸入管(19)が、低圧空間(29)に開口して接合され、ケーシングの胴部上方には、吐出管(20)が、高圧空間(28)に開口して接合されている。
駆動軸(17)は、主軸部(17a)と鍔部(47)と偏心部(18)とを備えている。鍔部(47)は、主軸部(17a)の上端に形成されており、主軸部(17a)よりも大径の円板状に形成されている。一方、偏心部(18)は、鍔部(47)の上面に突設されている。この偏心部(18)は、主軸部(17a)よりも小径の円柱状となっており、その軸心が主軸部(17a)の軸心に対して偏心している。
駆動軸(17)の主軸部(17a)は、圧縮機構(15)のフレーム(24)を貫通し、ころ軸受(48)を介してフレーム(24)の上部軸受(32)に支持されている。また、駆動軸(17)の鍔部(47)及び偏心部(18)は、フレーム(24)よりも上方に位置している。
駆動軸(17)には、スライドブッシュ(25)が取り付けられている。スライドブッシュ(25)は、円筒部(21)とバランスウェイト部(27)とを備え、鍔部(47)の上に載置られている。スライドブッシュ(25)の円筒部(21)には、駆動軸(17)の偏心部(18)が軸受メタルで(80)を介して回転自在に挿入されている。
下部軸受(39)は、ケーシング(10)内の下方に位置している。また、下部軸受(39)は、ボルトによってフレーム(24)に固定されている。そして、下部軸受(39)は、玉軸受(46)を介して駆動軸(17)の主軸部(17a)を支持している。
圧縮機構(15)は、固定スクロール(22)と可動スクロール(26)とを備えている。
可動スクロール(26)は、可動側平板部(26a)、可動側ラップ(26b)、及び軸受部(34)を備えている。該軸受部(34)には、スライドブッシュ(25)の円筒部(21)が挿入されている。つまり、可動スクロール(26)は、スライドブッシュ(25)を介して駆動軸(17)の偏心部(18)に係合している。
可動スクロール(26)は、スラストプレート(70)を介してフレーム(24)の上に載置されている。つまり、上記可動スクロール(26)は、スラストプレート(70)を介してフレーム(24)に支持され、該フレーム(24)は支持部材に構成されている。上記スラストプレート(70)は、円環状に形成されて、フレーム(24)の上面(24a)に形成された円環状の凹部(72)に設けられ、上面が可動側平板部(26a)の背面(26d)に摺接している。
固定スクロール(22)は、固定側平板部(22a)と、固定側ラップ(22b)と、周縁部(22d)とを備えている。上記固定スクロール(22)は、周縁部(22d)が、固定側平板部(22a)の周縁部分から下方へ向かって延びる壁状に形成され、該周縁部(22d)の下端がフレーム(24)に当接する状態でボルトによってフレーム(24)に固定されている。さらに、上記固定スクロール(22)は、その周縁部(22d)がケーシング(10)と密着することで、ケーシング(10)内を高圧空間(28)と低圧空間(29)とに仕切っている。
そして、圧縮機構(15)では、上記各平板部(22a,26a)及び各ラップ(22b,26b)との間に圧縮室(40)が区画形成されている。このようにして、可動側平板部(26a)の上方には、圧縮室(40)が形成される一方、可動側平板部(26a)の背面(26d)側は、低圧空間となり、可動スクロール(26)の可動側平板部(26a)には、フレーム(24)側に向かって押し付けられるように構成されている。これにより、可動スクロール(26)は、上記スラストプレート(70)を介してフレーム(24)に支持されて、該スラストプレート(70)の上面と摺接しながら公転運動を行うように構成されている。
そこで、上記スラストプレート(70)の上面には、可動側平板部(26a)の背面(26d)と摺接するように、DLCのコート層(71)が形成されている。
本参考例では、上記スラストプレート(70)が、DLCのコート層(71)を介して上記可動側平板部(26a)の背面(26d)と摺接するようにしたために、上記スラストプレート(70)と上記可動側平板部(26a)との摺動性及び耐摩耗性が向上する。これにより、可動スクロール(26)が、スラストプレート(70)を介してフレーム(24)に支持されて円滑に公転動作を行うことができるので、スクロール型圧縮機(1)の機器としての信頼性が向上する。また、本参考例では、可動スクロール(26)がフレーム(24)側に向かって押圧される圧縮機であるので、この摺動性及び耐摩耗性をより顕著に向上させることができる。
その他の構成、作用及び効果は、前提技術と同じである。
−参考例の変形例−
上記参考例では、スラストプレート(70)をフレーム(24)の凹部(72)に設けたが、スラストプレート(70)を可動側平板部(26a)の背面(26c)に設け、該スラストプレート(70)にフレーム(24)の上面(24a)と摺接するようにDLCのコート層(71)を形成してもよい。つまり、上記スラストプレート(70)は、可動スクロール(26)と共に公転運動を行う。そして、スラストプレート(70)とコート層(71)を介して摺接するフレーム(24)との摺動性及び耐摩耗性が向上する。これにより、可動スクロール(26)は、可動側平板部(26a)がスラストプレート(70)を介してフレーム(24)に支持されて円滑に公転動作を行うことができることから、機器としての信頼性が向上する。また、本参考例では、可動スクロール(26)がフレーム(24)側に向かって押圧される圧縮機であるので、この摺動性及び耐摩耗性をより顕著に向上させることができる。
また、上記参考例の可動側平板部(26a)の背面(26d)及びフレーム(24)の上面(24a)の両方にスラストプレート(70)を設け、各スラストプレート(70)の摺接面にDLCのコート層(71)を形成してもよい。これにより、可動側平板部(26a)が2つのスラストプレート(70)を介してフレーム(24)に支持されて、可動スクロール(26)の公転動作がさらに円滑に行われるので、機器としての信頼性がさらに向上する。
その他の構成、作用及び効果は、前提技術と同じである。
《その他の実施形態》
記実施形態は、以下のような構成としてもよい。
記実施形態は、スクロール型圧縮機(1)の構成は、特に限定されず、例えば、圧縮機構(15)と圧縮機モータ(16)とが横方向に延びる駆動軸(17)で連結された横置き型のスクロール型圧縮機であってもよい。さらに、スクロール型流体機械は、上記実施形態に示すスクロール型圧縮機(1)に限定されず、流体を吸入して膨張してから吐出するスクロール型膨張機であってもよい。
また、スラストプレート(70)を配置する支持部材(22d,24)及び可動スクロール(26)は鉄系材料から構成されるものに限定されず、アルミニウム合金など鉄以外の金属であってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、スクロール型流体機械について有用である。
前提技術に係るスクロール型圧縮機の縦断面図である。 (a)は、前提技術に係る可動スクロールの上面視であり、(b)は、前提技術に係る圧縮機構の要部拡大断面図である。 (a)は、前提技術に係る硬度評価試験及び摺動性評価試験の方法を示す概略構成図であり、(b)は、前提技術の硬度評価試験の結果を示す表である。 (a)は、前提技術に係る板厚評価試験の結果を示す表であり、(b)は、前提技術に係る板厚評価試験後の圧縮機Bのスラストプレートのコート層を備えた面の拡大写真である。 前提技術に係る摺動性評価試験の結果を示す表である。 (a)は、前提技術の変形例1に係る可動スクロールの上面視であり、(b)は、実施形態1に係る可動スクロールの上面視である。 (a)は、前提技術の変形例2に係る固定スクロールの上面視であり、(b)は、前提技術の変形例2に係る圧縮機構の要部拡大断面図である。 前提技術の変形例3に係る圧縮機構の要部拡大断面図である。 参考例に係るスクロール型圧縮機の縦断面図である。
1 スクロール型圧縮機(スクロール型流体機械)
22 固定スクロール
22a 固定側平板部
22b 固定側ラップ
22c 正面
22d 周縁部(支持部材)
22f 正面(表面)
26 可動スクロール
26a 上記可動側平板部
26b 可動側ラップ
26c 正面
26d 背面
24 フレーム(支持部材)
24a 上面(表面)
70 スラストプレート
71 コート層
72 凹部

Claims (3)

  1. 固定側平板部(22a)の正面(22c)に渦巻き状の固定側ラップ(22b)が立設された固定スクロール(22)と、可動側平板部(26a)の正面(26c)に上記固定側ラップ(22b)と噛合する渦巻き状の可動側ラップ(26b)が立設された可動スクロール(26)とを備え、上記可動側平板部(26a)がスラストプレート(70)を介して支持部材(22d)に支持されているスクロール型流体機械であって、
    上記スラストプレート(70)には、ダイヤモンドライクカーボンのコート層(71)が形成され、
    上記スラストプレート(70)は、上記可動側平板部(26a)の正面(26c)全体に対応するように形成されて可動側平板部(26a)に設けられ、
    上記コート層(71)は、上記固定スクロール(22)と一体形成されて可動スクロール(26)を正面(26c)側で支持する支持部材(22d)及び固定側ラップ(22b)の先端に摺接するようにスラストプレート(70)の片面に形成されている
    ことを特徴とするスクロール型流体機械。
  2. 請求項1において、
    上記スラストプレート(70)のビッカース硬度は、240以上である
    ことを特徴とするスクロール型流体機械。
  3. 請求項1において、
    上記スラストプレート(70)の板厚は、0.1mm以上かつ0.6mm以下である
    ことを特徴とするスクロール型流体機械。
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