発明の詳細な説明
関連出願の引照
本出願は、米国仮特許出願no. 60/518,166(2003年11月7日出願)の優先権を主張する。
発明の背景
以前にはB細胞刺激因子、すなわちBSF−1として知られていたインターロイキン−4(IL−4)は、当初はそれが表面免疫グロブリンに対する低濃度の抗体に応答してB細胞の増殖を刺激する能力を特徴としていた。IL−4は、T細胞、マスト細胞、顆粒球、巨核球および赤血球の成長副刺激を含めた、はるかに広い生物活性スペクトルをもつことが示されている。さらに、IL−4は幾つかのIL−2−およびIL−3−依存性細胞系の増殖を刺激し、休止B細胞におけるクラスII主要組織適合性複合体分子の発現を誘導し、刺激されたB細胞によるIgEおよびIgG1イソ型の分泌を高める。IL−4はTH2細胞により分泌されるサイトカインのひとつであって、TH2−タイプの免疫応答と関連する。
ネズミおよびヒトIL−4が同定および特性解明された;これにはIL−4 cDNAsのクローニング、ならびにヌクレオチド配列およびコードされるアミノ酸配列の決定が含まれる。参照:Yokota et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:5894; Noma et al., 1986, Nature 319:640; Grabstein et al., 1986, J. Exp. Med. 163:1405;およびU.S.P. 5,017,691。
IL−4は特定の表面受容体に結合し、その結果、種々の免疫エフェクター細胞などの細胞へ生物信号が伝達される。IL−4受容体は記載されており、DNAおよびアミノ酸の配列情報が提示されている;Mosley et al., 1989, Cell 59:335−48(ネズミIL−4R); Idzerda et al., 1990, J. Exp. Med. 171:861−73(ヒトIL−4R);およびU.S.P. 5,599,905。これらの刊行物に記載されているIL−4受容体は、時にはIL−4Rアルファと呼ばれる。
ある細胞タイプにおいては他のタンパク質がIL−4Rアルファと結合しており、マルチサブユニットIL−4受容体複合体の成分であると報告された。そのようなサブユニットのひとつはIL−2Rガンマであり、IL−2Rガンマcとしても知られている。Sato et al., 1994, Current Opinion in Cell Biology, 6:174−79中のIL−4R複合体についての考察を参照。IL−4Rアルファは特定のマルチサブユニットIL−13受容体複合体の成分であることも報告された。参照: Zurawski et al., 1995, J. Biol. Chem. 270:13869; de Vries, 1998, J. Allergy Clin. Immunol. 102:165;およびCallard et al., 1996, Immunology Today, 17:108。
IL−4は多数の障害に関与することが示唆されており、その例はアレルギーおよび喘息である。
発明の概要
本発明は、IL−4Rアルファを結合する新規なIL−4Rアンタゴニスト、特に抗体および抗体誘導体に関連する方法および組成物を提供する。
1観点において、本発明は下記の抗体を提供する:L鎖可変ドメインは下記によってのみSEQ ID NO:4と異なるアミノ酸配列を含む:S28T、S30N、S30G、S31N、S32D、S32N、A52T、S54Y、T57P、T57S、G93D、S94H、S94R、P96A、P97G、およびT99Mよりなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換、ならびに場合によりE1D、L4M、S7T、G9A、K40R、F50Y、S68F、S77T、V86I、K105R、V106L、およびE107Dよりなる群から選択される1以上のアミノ酸置換、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインは下記によってのみSEQ ID NO:16と異なるアミノ酸配列を含む: N58S、Y101W、F102Y、D103T、D103N、D103P、Y104H、Y104N、Y104W、およびY104Rよりなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換、ならびに場合によりQ6E、H13Q、G24A、R86S、およびM90Tよりなる群から選択される1以上のアミノ酸置換;この抗体はIL−4受容体アルファに結合する。1態様において、L鎖CDR1は、SEQ ID NO:6の残基24〜35、SEQ ID NO:8の残基24〜35、SEQ ID NO:10の残基24〜35、SEQ ID NO:12の残基24〜35、およびSEQ ID NO:14の残基24〜35よりなる群から選択される配列を含み、L鎖CDR2は、SEQ ID NO:4の残基51〜57、SEQ ID NO:6の残基51〜57、SEQ ID NO:10の残基51〜57、およびSEQ ID NO:12の残基51〜57よりなる群から選択される配列を含み、L鎖CDR3は、SEQ ID NO:4の残基90〜99、SEQ ID NO:6の残基90〜99、SEQ ID NO:8の残基90〜99、およびSEQ ID NO:14の残基90〜99よりなる群から選択される配列を含み、H鎖CDR1は、SEQ ID NO:16の残基31〜35を含み、H鎖CDR2は、SEQ ID NO:16の残基50〜65、およびSEQ ID NO:18の残基50〜65よりなる群から選択される配列を含み、および/またはH鎖CDR3は、SEQ ID NO:16の残基98〜104、SEQ ID NO:18の残基98〜104、SEQ ID NO:20の残基98〜104、SEQ ID NO:22の残基98〜104、SEQ ID NO:24の残基98〜104、SEQ ID NO:26の残基98〜104、SEQ ID NO:30の残基98〜104、およびSEQ ID NO:34の残基98〜104よりなる群から選択される配列を含む。他の態様において、L鎖L鎖FR1は、SEQ ID NO:4の残基1〜23、SEQ ID NO:10の残基1〜23、SEQ ID NO:12の残基1〜23、およびSEQ ID NO:14の残基1〜23よりなる群から選択される配列を含み、L鎖FR2は、SEQ ID NO:4の残基36〜50、およびSEQ ID NO:14の残基36〜50よりなる群から選択される配列を含み、L鎖FR3は、SEQ ID NO:4の残基58〜89、SEQ ID NO:10の残基58〜89、およびSEQ ID NO:12の残基58〜89よりなる群から選択される配列を含み、L鎖FR4は、SEQ ID NO:4の残基100〜109、SEQ ID NO:8の残基100〜109、およびSEQ ID NO:12の残基100〜109よりなる群から選択される配列を含み、H鎖FR1は、SEQ ID NO:16の残基1〜30、およびSEQ ID NO:42の残基1〜30よりなる群から選択される配列を含み、H鎖FR2は、SEQ ID NO:16の残基36〜49の配列を含み、H鎖FR3は、SEQ ID NO:16の残基66〜97、SEQ ID NO:18の残基66〜97、およびSEQ ID NO:42の残基66〜97よりなる群から選択される配列を含み、および/またはH鎖FR4は、SEQ ID NO:16の残基105〜115の配列を含む。
他の観点において、本発明は下記を含む抗体を提供する:SEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含むL鎖可変ドメイン、ただしL鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4の配列を含まない、ならびに/あるいはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列と少なくとも80%同一である配列を含むH鎖可変ドメイン、ただしH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16を含まない;この抗体はIL−4受容体アルファに結合する。1態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列と少なくとも85%同一である配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列と少なくとも85%同一である配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列を含む。
他の観点において、本発明は下記の抗体を提供する:L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列の少なくとも15個の連続したアミノ酸の配列を含み、ただしL鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4の配列を含まない、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列の少なくとも15個の連続したアミノ酸の配列を含み、ただしH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16を含まない;この抗体はIL−4受容体アルファに結合する。1態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列の少なくとも20個の連続したアミノ酸の配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列の少なくとも20個の連続したアミノ酸の配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列の少なくとも25個の連続したアミノ酸の配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列の少なくとも25個の連続したアミノ酸の配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列の少なくとも35個の連続したアミノ酸の配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列の少なくとも35個の連続したアミノ酸の配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列の少なくとも50個の連続したアミノ酸の配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列の少なくとも50個の連続したアミノ酸の配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列の少なくとも75個の連続したアミノ酸の配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列の少なくとも75個の連続したアミノ酸の配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4、6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列の少なくとも100個の連続したアミノ酸の配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列の少なくとも100個の連続したアミノ酸の配列を含む。
他の観点において、本発明は下記を含む抗体を提供する:SEQ ID NO:3、5、7、9、11および13よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも80%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むL鎖可変ドメイン、ならびに/あるいはSEQ ID NO:15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59および61よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも80%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むH鎖可変ドメイン;ただしこの抗体は、SEQ ID NO:4のL鎖可変ドメイン配列とSEQ ID NO:16のH鎖可変ドメイン配列の両方を含むことはなく、この抗体はIL−4受容体アルファに結合する。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:3、5、7、9、11および13よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59および61よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも85%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:3、5、7、9、11および13よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59および61よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:3、5、7、9、11および13よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59および61よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:3、5、7、9、11および13よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも98%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59および61よりなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも98%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む。他の態様において、L鎖可変ドメインはSEQ ID NO:3、5、7、9、11および13よりなる群から選択されるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択されるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む。
他の観点において、本発明は下記を含む抗体を提供する:中等度にストリンジェントな条件下でSEQ ID NO:3、5、7、9、11および13よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むL鎖可変ドメイン、ならびに/あるいは中等度にストリンジェントな条件下でSEQ ID NO:15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59および61よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むH鎖可変ドメイン;ただしこの抗体は、SEQ ID NO:4のL鎖可変ドメイン配列とSEQ ID NO:16のH鎖可変ドメイン配列の両方を含むことはなく、この抗体はIL−4受容体アルファに結合する。1態様において、L鎖可変ドメインはストリンジェントな条件下でSEQ ID NO:3、5、7、9、11および13よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、ならびに/あるいはH鎖可変ドメインはストリンジェントな条件下でSEQ ID NO:15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59および61よりなる群から選択されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む。
他の観点において本発明は、抗体のL鎖可変部がSEQ ID NO:6、8、10、12および14よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離された抗体を提供し、この抗体はIL−4受容体アルファに結合する。
他の観点において本発明は、抗体のH鎖可変部がSEQ ID NO:16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離された抗体を提供し、この抗体はIL−4受容体アルファに結合する。
他の観点において本発明は、L2H1、L3H1、L4H1、L5H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H4、L2H12、L2H13、L2H14、L6H1、L2H2、L2H3、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、およびL2H11よりなる群から選択される抗体を提供する。
他の観点において本発明は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体を提供する。
他の観点において本発明は、モノクローナル抗体を提供する。
他の観点において本発明は、IgD、IgE、IgM、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、およびH鎖内ジスルフィド結合抗体の形成傾向を軽減する少なくとも1つの変異をヒンジ部内に有するIgG4よりなる群から選択される抗体を提供する。
他の観点において本発明は、本発明の抗体のIL−4受容体結合部分を含む、単離されたポリペプチドを提供する。1態様において、ポリペプチドはFab、F(ab')2、scFv、二量体抗体(diabodyy)、三量体抗体(triabody)、または四量体抗体(tetrabody)を含む。
他の観点において本発明は、本発明の抗体のL鎖本発明の抗体のH鎖または本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸を提供する。
他の観点において本発明は、本発明の単離された核酸を含むベクターを提供する。他の態様において、ベクターは発現ベクターである。
他の観点において本発明は、本発明の核酸を含む単離された細胞を提供する。1態様において、細胞はハイブリドーマである。他の態様において、細胞はトランスジェニック細胞である。
他の観点において本発明は、本発明の抗体を含む細胞を提供する。1態様において、細胞はハイブリドーマである。他の態様において、細胞はトランスジェニック細胞である。
他の観点において本発明は、本発明のポリペプチドを含む細胞を提供する。1態様において、細胞はトランスジェニック細胞である。
他の観点において本発明は、本発明の抗体の製造方法であって、抗体のL鎖をコードする核酸および抗体のH鎖をコードする核酸を含む細胞を、該細胞が該L鎖および該H鎖を発現しかつ該L鎖および該H鎖を組み立てて該抗体にすることができる条件下でインキュベートし、細胞から抗体を単離することを含む方法を提供する。1態様において、細胞はハイブリドーマである。他の態様において、細胞はトランスジェニック細胞である。
他の観点において本発明は、IL−4受容体を阻害する方法であって、IL−4受容体アルファを発現する細胞を、本発明の抗体または本発明のポリペプチドがIL−4受容体アルファに結合できる条件下で、本発明の抗体またはポリペプチドと接触させることを含む方法を提供する。1態様において、細胞はヒト細胞である。他の態様において、ヒト細胞はヒト内にある。
他の観点において本発明は、対象においてある状態を処置する方法であって、対象にその状態の処置に有効な量の本発明の抗体または本発明のポリペプチドを投与することを含む方法を提供する。1態様において、その状態は炎症性または癌性の状態である。他の態様において、炎症性または癌性の状態は免疫性の状態である。他の態様において、その状態は喘息、敗血症性関節炎、疱疹状皮膚炎、慢性特発性じんま疹、潰瘍性大腸炎、強皮症、過形成性瘢痕、ホウィップル病、良性前立腺過形成、IL−4受容体が関係する肺障害、IL−4受容体仲介による上皮バリヤー破壊が関係する状態、IL−4受容体が関係する消化器系障害、医薬に対するアレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球病、チャーグ−ストラウス症候群、グレーブス病、子癇前症、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、嚢胞性線維症、アレルギー性気管支肺真菌症、慢性閉塞性肺疾患、ブレオマイシン誘発性の肺障害および線維症、放射線誘発肺線維症、肺胞蛋白症、成人呼吸窮迫症候群、サルコイドーシス、高IgE症候群、特発性過好酸性症候群、自己免疫性水疱性疾患、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、重症筋無力症、慢性疲労症候群、またはネフローゼである。
他の観点において本発明は、本発明の抗体または本発明のポリペプチド、および賦形剤、希釈剤または緩衝剤を含む、医薬組成物を提供する。
発明の詳細な記述
本発明は、抗IL−4受容体(IL−4R)抗体に関連する組成物および方法を提供する。これには、インビボで、IL−4Rが仲介する特定の状態を処置する方法、ならびにインターロイキン−4 (IL−4)およびインターロイキン−13 (IL−13)の生物活性を阻害する方法が含まれる。本発明の組成物には、たとえば本発明の抗IL−4R抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、本発明の抗体、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを発現する細胞、および医薬組成物が含まれ、その例を後記に示す。
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、一文字または三文字略号を用いて示される。別途指示しない限り、ポリペプチド配列はそれらのアミノ末端が左に、それらのカルボキシ末端が右にあり、一本鎖核酸配列、および二本鎖核酸配列の上鎖は、それらの5'末端が左に、それらの3'末端が右にある。個々のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、それが基準配列とどのように異なるかを説明することによっても記述できる。たとえば、”S28TにおいてSEQ ID NO:4と異なるポリペプチド配列”という句は、SEQ ID NO:4の位置28においてセリン残基がトレオニン残基で交換された以外はSEQ ID NO:4と同一であるポリペプチド配列を記載する。
個々のL鎖およびH鎖可変部のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を、それぞれ図2および3に示す;図中、それらをたとえばL1("L鎖可変部1")、H1("H鎖可変部1")などと表示する。図3のL鎖およびH鎖を含む抗体は、そのL鎖可変部の名称とH鎖可変部の名称を組み合わせて示される。たとえば"L4H7"は、L鎖可変部配列L4およびH鎖可変部配列H7を含む抗体を示す。
”L鎖可変ドメイン(または可変部)”、”H鎖可変ドメイン(または可変部)”、”CDR1、2および3”、および”FR1、2、3および4”は、Kabat et.al, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH, NIH Publication no. 91−3242, 1991のスキームに従って決定される。
2つのポリヌクレオチド配列または2つのポリペプチド配列の”同一率%”は、GAPコンピュータープログラム(GCG Wisconsin Package、バージョン10.3 (Accelrys、カリフォルニア州サンディエゴ)の一部)で、そのデフォルトパラメーターを用いてそれらの配列を比較することにより決定される。
生体分子(たとえばポリペプチド、抗体または核酸)は、それが標準実験プロトコル(たとえば結合アッセイまたはハイブリダイゼーションアッセイ)に使用するのに十分なほど、他の生体分子、細胞屑または他の物質が除かれている場合、”単離”または”実質的に精製”されている。ポリペプチド、抗体および核酸を実質的に精製する方法は当技術分野で周知である。
用語”ペプチド”、”ポリペプチド”および”タンパク質”は全体において互換性をもって用いられ、互いにペプチド結合により結合した2個以上のアミノ酸残基を含む分子を表わす。
用語”ポリヌクレオチド”、”オリゴヌクレオチド”および”核酸”は全体において互換性をもって用いられ、DNA分子(たとえばcDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(たとえばmRNA)、ヌクレオチド類似体(たとえばペプチド核酸および非天然ヌクレオチド類似体)を用いて調製したDNA類似体またはRNA類似体、およびそのハイブリッドを含む。核酸分子は一本鎖または二本鎖であってよい。1態様において本発明の核酸分子には、本発明の抗体をコードする連続オープンリーディングフレーム、またはそのフラグメント、誘導体、変異体もしくはバリアントが含まれる。
2つの一本鎖核酸分子は、ギャップを導入せずに、かついずれかの配列の5'側または3'側に非対合ヌクレオチドの無い状態で、一方の配列中の各ヌクレオチドが他方の配列中の相補的ヌクレオチドに対向するようにそれらの配列を逆平行方向にアラインさせることができる場合、互いに”相補体”である。あるヌクレオチド配列に”相補的な”核酸分子は、中等度にストリンジェントな条件下でそのヌクレオチド配列にハイブリダイズできるのに十分なほど、そのヌクレオチド配列に相補的なものである。したがって、ある核酸はそれの相補体ではない他の核酸に相補的となる可能性がある。
”ベクター”は、それに結合した他の核酸を細胞に導入するために使用できる核酸である。ベクターのタイプの1つは”プラスミド”であり、これは追加の核酸セグメントをライゲートできる線状または環状の二本鎖DNA分子を表わす。他のタイプのベクターはウイルスベクター(たとえば複製欠損型のレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)であり、そのウイルスゲノムに追加の核酸セグメントを導入できる。あるベクターは、それらを導入した宿主細胞内で自律複製することができる(たとえば、細菌の複製起点を含む細菌ベクターおよびエピソーム型の哺乳動物ベクター)。他のベクター(たとえば非エピソーム型の哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入した際に宿主細胞のゲノムに組み込まれることにより宿主ゲノムと共に複製される。”発現ベクター”は、選択したポリヌクレオチドの発現を指令できるタイプのベクターである。
調節配列がヌクレオチド配列の発現(たとえば発現のレベル、タイミングまたは部位)に影響を及ぼす場合、そのヌクレオチド配列はその調節配列に”作動可能な状態で結合している”。”調節配列”は、核酸の発現(たとえば発現のレベル、タイミングまたは部位)に影響を与える核酸である。調節配列は、たとえば調節される核酸に直接に、または1以上のポリペプチド(たとえば、その調節配列および/またはその核酸に結合するポリペプチド)の作用を介して、その影響を及ぼすことができる。調節配列の例には、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(たとえばポリアデニル化シグナル)が含まれる。調節配列の他の例は、たとえばGoeddel, 1990, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, カリフォルニア州サンディエゴ、およびBaron et al., 1995, Nucleic Acids Res. 23:3605−06に記載されている。
”宿主細胞”は、核酸、たとえば本発明の核酸の発現に使用できる細胞である。宿主細胞は、原核細胞、たとえば大腸菌(E. coli)であってもよく、あるいは真核細胞、たとえば単細胞性真核細胞(たとえば酵母または他の真菌)、植物細胞(たとえばタバコまたはトマト植物細胞)、動物細胞(たとえばヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、または昆虫細胞)またはハイブリドーマであってもよい。宿主細胞の例には下記のものが含まれる:サル腎細胞COS−7系(ATCC CRL 1651) (参照:Gluzman et al., 1981, Cell 23:175)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはその誘導体、たとえばVeggie CHO、および無血清培地で増殖する関連細胞系(参照:Rasmussen et al., 1998, Cytotechnology 28:31)、またはDHFRを欠損するCHO株DX−B11(参照:Urlaub et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−20)、HeLa細胞、BHK (ATCC CRL 10)細胞系、アフリカミドリザル腎細胞系CV1由来のCV1/EBNA細胞系(ATCC CCL 70) (参照:McMahan et al., 1991, EMBO J. 10:2821)、ヒト胎児腎細胞、たとえば293、293 EBNAまたはMSR 293、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、トランスフォームした他の霊長類細胞系、正常な二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養から得た細胞系、一次外植体、HL−60、U937、HaKまたはジャーカット細胞。一般に、宿主細胞はポリペプチドをコードする核酸でトランスフォーメーションまたはトランスフェクションすることができる培養細胞であり、次いでそれを宿主細胞において発現させることができる。”組換え宿主細胞”という句は、発現させるべき核酸でトランスフォーメーションまたはトランスフェクションした宿主細胞を表わすために使用できる。宿主細胞は、核酸を含むが、調節配列をその核酸と作動可能な状態で結合するように宿主細胞に導入しない限りそれを目的レベルで発現しない細胞であってもよい。宿主細胞という用語はその対象細胞だけでなく、その細胞の後代または潜在後代をも表わすと理解される。継代に際して変異または環境の影響のためある修飾が起きる可能性があるので、そのような後代は事実上は親細胞と同定できない場合があるが、それでもなお本明細書中で用いるこの用語の範囲に含まれる。
”キメラ抗体”は、H鎖および/またはL鎖の一部が特定の種に由来する抗体と同一もしくは相同であり、またはそれに由来し、あるいは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属し、一方、その(それらの)鎖の残部は他の種に由来する抗体(1以上)と同一もしくは相同であり、またはそれに由来し、あるいは他の抗体クラスまたはサブクラスに属する、抗体である。それらの抗体のフラグメントであって目的とする生物活性(すなわちIL−4受容体を特異的に結合する能力)を示すものも含まれる。参照:U.S.P. No. 4,816,567、およびMorrison, 1985, Science 229:1202−07。
”CDRグラフト抗体”は、特定の種の抗体またはイソ型に由来する1以上のCDRおよび同一種もしくは異種の他の抗体またはイソ型の枠組み構造を含む抗体である。
”多特異性抗体”は、1以上の抗原上にある1より多いエピトープを認識する抗体である。このタイプの抗体のサブクラスは、同一または異なる抗原上にある2つの異なるエピトープを認識する”二特異性抗体”である。
ポリペプチド(たとえば抗体)の”バリアント”は、そのアミノ酸配列において、他のポリペプチド配列と比較して1個以上のアミノ酸残基を挿入、欠失および/または置換したアミノ酸配列を含む。本発明のバリアントには、融合タンパク質が含まれる。
ポリペプチドの”誘導体”は、挿入、欠失または置換バリアントとは異なる何らかの様式で、たとえば他の化合物部分への結合により、化学的に修飾したポリペプチド(たとえば抗体)である。別途指示しない限り、用語”抗体”には、2つの全長H鎖および2つの全長L鎖を含む抗体のほかに、その誘導体、バリアント、フラグメントおよび変異体が含まれる。その例を後記に示す。
ある分子(たとえば抗体)は、その分子がIL−4受容体と無関係なポリペプチドに結合するより少なくとも10倍高い親和性でIL−4受容体またはそのフラグメントに結合する場合、”IL−4受容体を特異的に結合する”。
”抗原結合ドメイン”または”抗原結合領域”は、抗原と相互作用して抗原に対する特異性または親和性を抗体に付与するアミノ酸残基(または他の化合物部分)を含有する抗体分子部分である。
”エピトープ”は、抗体が結合する分子部分である。エピトープは、分子の不連続部分を含んでもよい(たとえばポリペプチドの場合、そのポリペプチド配列中において互いに連続してはいないが、その分子に関して一緒になって、抗体が結合するアミノ酸残基)。
適応症
1態様において本発明は、疾患、障害、状態または疾病を治療、予防、治癒、軽減または改善する方法を提供する。本発明に従って処置される状態には、喘息、敗血症性/反応性関節炎、疱疹状皮膚炎、慢性特発性じんま疹、強皮症、過形成性瘢痕、ホウィップル病、良性前立腺過形成、IL−4受容体が関係する肺障害、IL−4誘発性上皮バリヤー破壊が関係する状態、IL−4受容体が関係する消化器系障害(炎症性腸疾患、および消化管における他の炎症状態を含む)、医薬に対するアレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球病(鎌状赤血球発症を含む)、チャーグ−ストラウス症候群、グレーブス病、子癇前症、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核およびネフローゼが含まれる;後記に詳述する。IL−4Rアンタゴニストは、アレルギー免疫療法のアジュバントとして、またワクチンアジュバントとしても有用である。
これらの状態の処置に適した抗体の例を以下に記載する。これには、たとえばIL−4Rを結合し、これにIL−4が結合するのを阻害する抗体が含まれる。特に有用な抗体は、IL−13受容体(IL−13R)へのIL−13の結合も阻害する。本発明の具体的な態様には、新規な抗体、ならびに抗体の誘導体、フラグメント、変異体およびバリアント、ポリペプチド、核酸分子、細胞、これらを調製する方法、IL−4Rαの阻害方法、ならびに対象の処置方法が含まれる。その例を以下に記載する。
1観点において本発明は、抗IL−4Rα抗体を対象に投与することを含む方法を提供する。1態様において、対象は、IL−4Rαの活性により直接的または間接的に起因、誘発、仲介、増強、増悪、その他の影響を受ける状態(たとえば疾病、感染症、傷害、疾患、または障害を含む)に罹患しており、または発症のリスクをもつ。そのような状態には、たとえばIL−4および/またはIL−13により直接的または間接的に起因、誘発、仲介、増強、増悪、その他の影響を受ける状態が含まれる。他の因子またはサイトカインがそのような状態に関係する可能性もある。
IL−4の生物活性は、インターロイキン−4受容体(IL−4R)と呼ばれる特異的な細胞表面受容体への結合により仲介される。IL−4により誘発される状態には、IL−4が細胞表面の天然IL−4受容体に結合することにより生じる生体応答から起きるものが含まれる。すなわち、それらはIL−4がIL−4受容体に結合するのを阻止することにより阻害または抑制できる。処置できる状態には、IL−4の、またはIL−4RもしくはIL−13Rの1以上の成分の、異常な発現を特徴とする病的障害(たとえば、特定の組織もしくは細胞タイプにおける過剰発現、不適正発現、または特定の発生段階での不適正発現を含む)、あるいはIL−4産生に対する異常な宿主応答を特徴とする障害が含まれるが、これらに限定されない。他の例は、IL−4誘発性の抗体産生または特定の細胞タイプの増殖もしくは流入が関係する状態である。IL−4により誘発される障害には、IL−4がIL−4受容体のアップレギュレーションまたは疾患に関係する他のタンパク質(たとえば他のサイトカイン)の産生増加を誘発する障害が含まれる。
それらの病的障害をもつ哺乳動物(ヒト対象を含む)を処置する方法は、抗IL−4R抗体またはその誘導体を哺乳動物に投与するか、あるいは他の形で(たとえばex vivo法で)哺乳動物のIL−4Rをその抗体または誘導体と接触させることが含まれる。本発明により処置できる状態は、たとえばUSSN 09/847,816(2001年5月1日出願)に記載されており、その関連する開示内容を本明細書に援用する。それらの状態には、下記のものが含まれるが、これらに限定されない:喘息、敗血症性/反応性関節炎、疱疹状皮膚炎、じんま疹(特に慢性特発性じんま疹)、潰瘍、胃炎、粘膜炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、IL−4が関係する他の消化器系障害(たとえば消化管の一部のIL−4誘発炎症)、IL−4誘発性のバリヤー破壊が関係する状態(たとえば、肺または消化管の上皮バリヤー機能低下を特徴とする状態)、強皮症、過形成性瘢痕、ホウィップル病、良性前立腺過形成、IL−4誘発性の肺状態(後記に挙げるものを含む)、医薬に対するアレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球病または鎌状赤血球発症、チャーグ−ストラウス症候群、グレーブス病、子癇前症、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、ネフローゼ、尋常性天疱瘡または水疱性類天疱瘡(自己免疫性水疱性疾患)、および重症筋無力症(自己免疫性筋疾患)。
抗IL−4R抗体およびその誘導体は、アレルギー免疫療法のアジュバントとして、またワクチンアジュバントとしても有用である。したがって、抗IL−4R抗体をアレルギー免疫療法のアジュバントとして使用できる。抗IL−4R抗体は、さらにワクチンアジュバントとして、たとえば癌ワクチンおよび感染症ワクチンのアジュバントとして有用である。特にTH1応答に対する免疫応答を目標とする場合に、IL−4アジュバントの使用が問題の疾患の治療または予防に有益であろう。
敗血症性/反応性関節炎
抗IL−4R抗体は、敗血症性関節炎(反応性関節炎または細菌性関節炎としても知られる)の処置に使用できる。敗血症性関節炎は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、エルシニア菌(Yersinia)、たとえばエルシニア−エンテロコリチカ(Y. enterocolitica)、サルモネラ菌(Salmonella)、たとえば腸炎菌(S. enteritidis)、赤痢菌(Shigella)およびカンピロバクター菌(Campylobacter)などの微生物の感染により誘発される(感染により起きる、または感染に続いて発症する)可能性がある。黄色ブドウ球菌は敗血症性関節炎の主要なヒト病原体であり、大部分の症例に関与していると報告されている。
IL−4およびIL−4依存性Th2応答が、敗血症性関節炎の促進に関係する。本発明に従って、敗血症性関節炎を伴う患者または敗血症性関節炎を発症するリスクのある患者において、IL−4の阻害およびTh2応答の抑制のために抗IL−4R抗体を使用できる。
IL−4は、細菌のクリアランスを阻害することにより、関節における細菌負荷および細菌存続を高める。反応性関節炎に関連する細菌のクリアランスを補助し、これにより関節腫張などの臨床発現を低下させるために、抗IL−4R抗体を使用できる。敗血症性関節炎に罹患しているヒト対象に、IL−4仲介による関節の炎症を軽減するために抗IL−4R抗体を投与することができる。1方法では、関節内へ、たとえば膝の滑液中へ、アンタゴニストを注射する。
抗IL−4R抗体の使用は、感染症に対するTH2応答の抑制およびTH1応答の促進により、敗血症性関節炎を伴う(またはそのリスクのある)対象に有益となることができる。TH2サイトカインは関節における細菌の存続を助長すると思われ、これに対しTH1応答は細菌の排除に関係する。
本発明の抗体は、前記に挙げた細菌その他の微生物に感染した対象に、敗血症性関節炎の発症を予防するために投与することができる。たとえばそれらの感染が診断された後、ただし敗血症性関節炎の臨床症状が発現する前に、抗体を投与することができる。
ホウィップル病
ホウィップル病(腸リポジストロフィーおよび脂肪貪食肉芽腫症としても知られる)の病原菌はトロフェリマ−ホウィップリ(Tropheryma whippelii)である。この疾患は、脂肪性下痢、しばしば全身性のリンパ節腫脹、関節炎、発熱および咳を特徴とする。ホウィップル病患者には、空腸固有層に多数の”泡沫状”マクロファージ、および電子顕微鏡検査で杆菌状に見える過ヨウ素酸−シッフ反応陽性粒子を含むリンパ節がみられることも報告されている(Steadman's Medical Dictionary, 第26版, Williams & Wilkins, メリーランド州ボルチモア, 1995)。
抗IL−4R抗体の使用は、患者の免疫応答のTH1要素とTH2要素の正常バランスを回復することにより、ホウィップル病を伴う(または発症するリスクのある)対象に有益となることができる。IL−4(TH2タイプのサイトカイン)の産生増加および特定のTH1タイプのサイトカインのレベル低下がホウィップル病と関連づけられた。TH2サイトカインは細菌の存続を助長すると思われ、これに対しTH1応答は病原菌の排除に関係する。その対象がホウィップル病の臨床症状を示しているかどうかに関係なく、トロフェリマ−ホウィップリに感染した対象にIL−4Rアンタゴニストを投与することができる。
疱疹状皮膚炎
疱疹状皮膚炎(デューリング病としても知られる)は、水疱状の皮膚病変、皮膚IgA沈着および痒みを特徴とする慢性皮膚状態である。患者にはグルテン過敏性腸疾患を伴う免疫水疱性の皮膚障害があり、これはTh2免疫応答により仲介される。IL−4およびTh2応答を阻害し、これにより現存する病変の治癒を促進し、かつ伸展部体表の水疱形成を軽減または予防するために、本発明に従って抗IL−4R抗体を投与する。
過形成性瘢痕
過形成性瘢痕を伴う対象または発症しやすい対象に、本発明に従って抗IL−4R抗体を投与する。本発明により提供される1方法においては、火傷傷害を伴う対象に抗IL−4R抗体を投与する。火傷その他の傷害に対する免疫応答が、過形成性瘢痕の発病に関係すると考えられる。過形成性瘢痕を伴う火傷患者において、IL−4を含めたTH2タイプのサイトカインの産生増加、および特定のTH1タイプのサイトカインレベルの低下が報告されている。抗IL−4R抗体の使用は、TH2タイプ免疫応答の抑制により、過形成性瘢痕を伴う(または発症するリスクのある)対象に有益となることができる。
じんま疹
じんま疹、特にその慢性形態、たとえば慢性特発性じんま疹(CIU)は、本発明に従って抗IL−4R抗体で処置することができる。CIU患者は血清IL−4濃度が対照より高く、主にTH2タイプのサイトカインプロフィールをもつ可能性がある。マスト細胞およびTh2タイプT細胞が慢性じんま疹の主要エフェクター細胞であることが示唆されている。IL−4はマスト細胞増殖を刺激する。マスト細胞の脱顆粒によりヒスタミンが放出され、続いて紅斑、好酸球増加症、皮膚発赤および痒みが起きる。IL−4を阻害し、TH2タイプの応答を低下させ、これにより対象のじんま疹の抑制を補助するために、抗IL−4R抗体を投与する。
潰瘍性大腸炎;他の消化管障害
IL−4は潰瘍性大腸炎の発病に関与することが示唆されている。この障害を伴う患者の結腸粘膜においては、IL−4を含めたTh2タイプのサイトカインが主体である可能性がある。TH2応答を抑制するための抗IL−4R抗体の使用により、この状態を軽減することができる。
潰瘍性大腸炎のほか、消化管または消化器系の他の障害を抗IL−4R抗体で処置することができる。そのような障害の例には炎症性腸疾患(IBD)(潰瘍性大腸炎およびクローン病はIBDの形態である)、胃炎、潰瘍、および粘膜炎症が含まれるが、これらに限定されない。
IL−4が関係するいかなる消化器状態も、本発明に従って抗IL−4R抗体で処置することができる。たとえば、消化管の一部のIL−4誘発炎症を伴う状態を、抗IL−4R抗体で処置することができる。具体的な態様は、消化管の慢性炎症状態の処置に関する。
他の態様は、IL−4誘発性のバリヤー破壊が関係する状態、たとえば消化管の少なくとも一部における上皮バリヤー機能の低下を特徴とする状態に関する。それらの状態は、たとえば直接的または間接的にIL−4により誘発される上皮損傷を伴う可能性がある。
腸上皮は、内腔と粘膜下組織の間に比較的不透過性のバリヤーを形成している。上皮バリヤーの破壊には、炎症性腸疾患などの状態が関連する。Youakim, A. and M. Ahdieh (Am. J. Physiol. 276 (Gastrointest. Liver Physiol. 39):G1279−G1288, 1999)中の考察を参照;その全体を本明細書に援用する。損傷を受けた、すなわち”漏洩性”のバリヤーは、抗原がバリヤーを通過するのを可能にし、これにより免疫応答が惹起され、これがさらに消化器組織の損傷を引き起こす可能性がある。それらの免疫応答には、たとえば好中球またはT細胞の動員を含めることができる。望ましくない免疫応答刺激を阻止するために、抗IL−4R抗体を投与することができる。
肺障害
IL−4誘発肺障害の処置方法が本発明により提供される。それらの障害には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:慢性線維性肺疾患を含めた肺線維症、肺におけるIL−4誘発性の線維芽細胞増殖またはコラーゲン蓄積を特徴とする他の状態、TH2タイプ免疫応答が関係する肺状態、肺のバリヤー機能低下を特徴とする状態(たとえばIL−4誘発上皮損傷により起きるもの)、または炎症反応にIL−4が関係する状態(たとえば喘息)。
嚢胞性線維症は、粘液の過剰産生および慢性感染症の発症を特徴とする。IL−4およびTh2応答の阻害により、粘液の産生が減少し、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)などの感染症の抑制が補助されるであろう。
アレルギー性気管支肺真菌症は、主に嚢胞性線維症または喘息を伴う患者に起き、この場合はTh2免疫応答が優勢である。IL−4およびTh2応答の阻害により、これらの感染症の排除および抑制が補助されるであろう。
慢性閉塞性肺疾患は、粘液の過剰分泌および線維症を伴う。IL−4およびTh2応答の阻害により、粘液の産生および線維症の発症が減少し、これにより呼吸機能が改善され、疾患の進行が遅延するであろう。
ブレオマイシン誘発性の肺障害および線維症、ならびに放射線誘発性の肺線維症は、肺線維症を特徴とする障害であり、Th2、CD4+細胞およびマクロファージの流入が顕著となり、これによりIL−4が産生され、これが線維症の発症を仲介する。IL−4およびTh2応答の阻害により、これらの障害が軽減し、発症が予防されるであろう。
肺胞性蛋白症は、サーファクタントのクリアランスの撹乱を特徴とする。IL−4はサーファクタント産物を増加させる。抗IL−4R抗体を使用するとサーファクタントの産生が減少し、全肺洗浄の必要性が少なくなるであろう。
成人呼吸窮迫症候群(ARDS)は多数の要因による可能性があり、そのひとつは有毒化学物質の被曝である。ARDSを発症しやすい患者集団のひとつは、人工呼吸器を使用中の重症患者である。ARDSは、それらの患者に頻度の高い合併症である。抗IL−4R抗体処置は、炎症および接着分子の減少によりARDSを軽減することができるが、本発明に従ってそれらの対象を処置する方法は特定の作用機序に限定されない。ARDSの予防または治療に抗IL−4R抗体を使用できる。
サルコイドーシスは肉芽腫性病変を特徴とする。本発明には、サルコイドーシス、特に肺サルコイドーシスを処置するための抗IL−4R抗体の使用が含まれる。
IL−4誘発性のバリヤー破壊が関係する状態(たとえば肺の上皮バリヤー機能低下を特徴とする状態)を、抗IL−4R抗体で処置できる。肺の上皮バリヤーの損傷は、直接的または間接的にIL−4により誘発される可能性がある。肺の上皮は、肺腔内容物が粘膜下組織へ進入するのを阻止する選択的バリヤーとして機能する。損傷を受けた、すなわち”漏洩性”のバリヤーは、抗原がバリヤーを通過するのを可能にし、これにより免疫応答が惹起され、これがさらに肺組織の損傷を引き起こす可能性がある。それらの免疫応答には、たとえば好酸球またはマスト細胞の動員を含めることができる。そのような望ましくない免疫応答刺激を抑制するために、抗IL−4R抗体を投与することができる。
肺上皮の治癒を促進し、これによりバリヤー機能を回復させるために、抗IL−4R抗体を使用できる。たとえば喘息患者において肺上皮の治癒を促進するために、抗IL−4R抗体を使用できる。あるいは、肺上皮に対するIL−4誘発損傷を阻止するために、予防の目的で本発明のアンタゴニストを投与する。
結核
結核(TB)患者においてはTH2タイプの免疫応答が組織損傷(たとえば組織の壊死)の発生に関係することが示唆されている。IL−4レベルの上昇がTBに関連する。空洞性結核ではIL−4産生が特に増加する可能性がある(たとえば肺空洞が発生したTB患者において;これは胸部X線撮影などの方法で検出/視覚化できる)。
抗IL−4R抗体は、TH2タイプの免疫応答を抑制することによりTB患者(特に空洞性結核患者)に有益となることができる。ただし、本発明に従ってそれらの対象を処置する方法は特定の作用機序に限定されない。有利には、患者の免疫応答のTH1要素とTH2要素の望ましいバランスを回復し、IL−4誘発性の組織損傷を軽減する量で、抗IL−4R抗体を投与する。
チャーグ−ストラウス症候群
チャーグ−ストラウス症候群(アレルギー性肉芽腫性脈管炎としても知られる)は、喘息またはアレルギーの病歴をもつ者の血管の炎症、および好酸球増加を特徴とする。この症候群を伴う対象において炎症を軽減するために、抗IL−4R抗体を投与することができる。TH2タイプの免疫応答を抑制し、好酸球増加症に対処するために、抗IL−4R抗体の使用が対象に有益であろう。
子癇前症
子癇前症は、後期妊娠中毒症である。この状態は、妊娠第3期の著しい血圧上昇を特徴とし、一般に浮腫および蛋白尿症を伴う。
TH1タイプおよびTH2タイプの免疫応答の増大がこの状態に関係する可能性がある。本発明による1方法は、子癇前症を発症した妊娠女性に抗IL−4R抗体を投与することを含む。IL−4(またはTH2タイプのサイトカイン全体)のレベルを妊娠中の正常値と考えられるレベルに低下させるのに十分な量の抗IL−4R抗体を、それに十分な期間、投与する。一般に妊娠期間を通して、抗IL−4R抗体を反復投与する。
強皮症
強皮症を伴う対象に、本発明に従って抗IL−4R抗体を投与する。本発明の抗体は、患者において線維芽細胞によるIL−4誘発コラーゲン合成を低下させる。強皮症患者において線維症が起きる皮膚および肺組織ならびに他の組織の線維症を予防または軽減し、それらの組織におけるコラーゲン合成を抑制し、また強皮症関連肺疾患を処置するのに、本発明の抗体を使用できる。
良性前立腺過形成
良性前立腺過形成(BPH)(良性前立腺肥大としても知られる)を、抗IL−4R抗体で処置できる。特定の作用機序に固執するつもりはないが、抗IL−4R抗体の投与は、IL−4誘発炎症の抑制またはTH2タイプ免疫応答の抑制により、BPHを伴う対象に有益となることができる。
グレーブス病
甲状腺機能亢進を特徴とするグレーブス病には、チロトロピン受容体に対する抗体が関係する。グレーブス病患者のサイトカイン産生の研究により、TH2タイプのサイトカイン応答への移行が示されている。TH2タイプ免疫応答を抑制し、抗体産生を抑制するために抗IL−4R抗体を使用することは、グレーブス病患者に有益であろう。
鎌状赤血球病
鎌状赤血球病患者には、一般にクリーゼと呼ばれる間欠性の急激な増悪期間があり、このクリーゼは貧血性または血管閉塞性として分類される。特に、IL−4レベルの高い対象または免疫応答がTH2タイプ応答へ移行している対象において、鎌状赤血球クリーゼの治療または予防に抗IL−4R抗体が有用である。鎌状赤血球病(特に鎌状赤血球クリーゼ)は、細菌感染症を含めた感染性疾患に対する感受性増大を伴う。鎌状赤血球病患者への抗IL−4R抗体の投与は、患者が感染性疾患に対する免疫応答を獲得するのを補助することができる。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群または乾燥症候群として知られる自己免疫疾患には、一般に乾性眼および口腔乾燥と、結合組織障害、たとえばリウマチ性関節炎、狼瘡、強皮症または多発性筋炎が混在する。ほとんどの患者が中年(または高齢)の女性である。シェーグレン症候群は腺(たとえば涙腺および唾液腺)および他の身体組織の炎症性疾患である。この症候群は、一般に自己抗体産生を伴う。
それらの対象の炎症反応(たとえば、涙腺を含めた腺の炎症)を軽減するために、抗IL−4R抗体を投与できる。抗IL−4R抗体は、TH2タイプ免疫応答の抑制によりシェーグレン症候群患者に有益となることができる。ただし、本発明に従って対象を処置する方法は、具体的な作用機序により限定されない。
自己免疫性リンパ増殖性症候群
自己免疫性リンパ増殖性症候群の症状には、リンパ増殖および自己抗体産生が含まれる。この症候群を伴う患者は先天性アポトーシス欠陥をもつと報告されている。抗IL−4R抗体は、TH2タイプ免疫応答の抑制により、この症候群を伴う対象に有益となることができる。ただし、本発明に従ってそれらの対象を処置する方法は、具体的な作用機序により限定されない。
自己免疫性溶血性貧血
IL−4分泌過剰およびTH1タイプのサイトカインの欠乏が自己免疫性溶血性貧血の発病に関与することが示唆されている。本発明に従って抗IL−4R抗体を投与すると、自己抗体産生を低下させ、かつ免疫応答のTH1要素とTH2要素のより正常なバランスを回復することにより、患者に有益となる。
自己免疫性ブドウ膜炎
ブドウ膜炎はブドウ膜(一般に紅彩、毛様体、および脈絡膜を含むとみなされ、合わせたものとして考慮する)の炎症を伴う。視覚を脅かすこの眼疾患の発病に過剰のIL−4分泌が関係することが示唆されている。本発明に従って、ブドウ膜炎を伴う(または発症のリスクがある)対象に抗IL−4R抗体を投与する。1態様においては、自己免疫性ブドウ膜炎を伴う個体に抗IL−4R抗体を投与する。
川崎病
粘膜皮膚リンパ節症候群としても知られる川崎病(KD)は、主に小児が罹患する。この疾患は、唇や口を内張りする粘膜の特定の変化、および圧痛のあるリンパ腺肥大を特徴とする。症状には、一般に発熱、結膜炎、唇や口腔粘膜の炎症、頸部リンパ腺腫脹、および手足一面の発疹が含まれ、手足の皮膚が硬化、腫脹および剥脱する。川崎病(KD)を伴う小児には、動脈の炎症(血管炎)が発症する場合がある。この疾患が血管系に及ぼす影響のため、KDは小児の後天性心臓疾患の主因であると報告されている。
川崎病を伴う対象に抗IL−4R抗体を投与することができる。IL−4分泌過剰およびTH1タイプのサイトカインの欠乏がこの疾患の発病に関与する。
バレット食道
バレット食道は、下部食道を内張りする上皮組織の細胞の変化(刺激に続いて起きる)を特徴とする状態である。胃内容物が長期間にわたって頻繁に食道へ逆流すると、バレット食道を発症する可能性がある。バレット食道患者は、食道癌(たとえば腺癌)を発現するリスクをもつ。特定の作用機序に固執するつもりはないが、抗IL−4R抗体の投与は、TH2タイプ免疫応答の抑制により、バレット食道を伴う対象に有益となることができる。1態様においては、食道炎を伴う対象にバレット食道への進行を阻止するために抗IL−4R抗体を投与する。
ネフローゼ
ネフローゼ(ネフローゼ症候群としても知られる)は、非炎症性および非悪性の腎疾患である。微小病変ネフローゼとして知られるこの状態では、糸球体損傷(糸球体内臓上皮細胞の構造変化により起きると考えられる)の結果、蛋白尿を含めた異常が生じる。TH2タイプ免疫応答(特にTH2タイプのサイトカインIL−4およびIL−13の分泌)が微小病変ネフローゼの発病に関係することが示唆されている。
他の適応症
本発明により処置できる状態の他の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない。抗IL−4R抗体は、過IgE症候群、特発性過好酸球性症候群、医薬に対するアレルギー反応、自己免疫性水疱性疾患(たとえば尋常性天疱瘡または水疱性類天疱瘡)、重症筋無力症(自己免疫性筋疾患)および慢性疲労症候群の治療または予防に使用できる。抗IL−4R抗体は、GVHDの処置に使用できる;他の療法薬と組み合わせたGVHDの具体的な処置方法を後記に述べる。抗IL−4R抗体は、ジクロフェナク(diclofenac)(非ステロイド系抗炎症薬)などの薬物により誘発される肝毒性の治療または予防に有用である。
抗IL−4R抗体は、アレルギー免疫療法のアジュバントとして使用できる。抗IL−4R抗体はさらに、ワクチンアジュバント、たとえば癌ワクチンおよび感染症ワクチンのアジュバントとして有用である。抗IL−4R抗体の使用は、ワクチンを投与する状態の予防または治療に際してTH1タイプ免疫応答が好ましい場合に特に有利である。抗IL−4R抗体は、抗体仲介免疫応答の低下および/またはT細胞仲介免疫応答の促進が目標である場合に使用できる。
抗IL−4R抗体
1態様において本発明は、IL−4受容体アルファ(たとえばヒトIL−4受容体アルファ)に結合する抗体、ならびにそのフラグメント、誘導体、変異体およびバリアントを提供する。
本発明に従って使用できる抗IL−4R抗体には、IL−4の生物活性を阻害する抗体が含まれる。それらの生物活性の例には、他の受容体成分(たとえばIL−2RガンマまたはIL−13Rアルファ)との会合、信号伝達分子(たとえばIL−4またはIL−13)の結合(単独で、または多量体型の受容体複合体の一部として)、および信号伝達分子の結合に応答した信号伝達が含まれる。
異なる抗IL−4R抗体はIL−4Rの異なるドメインまたはエピトープに結合し、あるいは異なる作用機序により作用する可能性がある。その例には、IL−4RへのIL−4の結合を妨害する抗体または信号伝達を阻害する抗体が含まれるが、これらに限定されない。作用部位は、たとえば細胞内(たとえば細胞内信号伝達カスケードの妨害による)または細胞外であってよい。本発明に有用であるためには、抗体は必ずしも完全にIL−4誘発活性を阻害する必要はなく、IL−4の特定の活性を低下させる抗体も有用であると考えられる。
特定の疾患の処置に際しての抗IL−4R抗体の特定の作用機序についての前記の考察は説明のためのものにすぎず、本発明により提供される方法はそれにより拘束されない。抗IL−4R抗体が疾患を軽減する作用機序は、前記に述べたものに限定されない。
抗IL−4R抗体は、免疫応答または炎症応答に伴うIL−4仲介による細胞流入を阻害することができる。抗体は、たとえば特定の細胞タイプの増殖、活性化、移動、流入または蓄積を低下させることにより、あるいは特定の細胞タイプに直接的または間接的に起因する生体応答を阻害することにより、作用することができる。特定の細胞タイプの例は、線維芽細胞、マスト細胞および好酸球である。
前記に述べたように、ある状態はTH2タイプの免疫応答の抑制により処置できる。IL−4RはTH2応答と関連があり、タイプ2ヘルパーT細胞(TH2細胞)により分泌されるサイトカインの1種である。TH2タイプ免疫応答を低下させるために、抗IL−4R抗体を投与することができる。IL−4R抗体はTH2細胞の増殖を低下させ、TH2応答を抑制し、免疫応答をTH1応答へ移行させ、あるいはTH1タイプ応答を優先させると言える。他のTH2タイプのサイトカイン、たとえばIL−5、IL−10、またはIL−13のレベル上昇を伴う障害をもつ対象には、それらのアンタゴニストを追加投与してもよい。対象における、たとえば対象の血清中におけるそれらのサイトカインの量を測定する技術は周知である。
本発明の1態様は、IL−4仲介による上皮バリヤー破壊が関係する状態を伴う対象または発症するリスクがある対象に抗IL−4R抗体を投与することを含む、上皮に対するIL−4誘発損傷を抑制する方法に関する。
本発明により提供される方法の具体的な態様は、消化管または肺の上皮に対するIL−4誘発損傷を抑制するために抗IL−4R抗体を投与することを含む。それらの方法は、上皮損傷を予防し、または上皮バリヤー機能を回復する(たとえば上皮の修復または治癒を促進する)ために採用できる。抗IL−4R抗体が上皮に対するIL−4誘発損傷を抑制する能力は、多数の適切なアッセイ法のいずれか、たとえば本明細書に記載する方法により確認できる。
感染に伴う(またはそれに続いて起きる)炎症も、抗IL−4R抗体で処置できる。たとえば消化管の微生物感染により起きる炎症反応のIL−4誘発性要素を阻害するために、本発明の抗体を投与することができる。
2種類以上の抗体もしくは抗体誘導体の組合わせ、または抗体もしくは抗体誘導体と他の1種類以上のIL−4、IL−13、IL−4Rおよび/またはIL−13Rのアンタゴニスト(たとえばUSP 5,599,905、5,840,869、5,856,296、5,767,065、5,717,072、6,391,581、5,710,023、Idzerda et al.,1990, J. Exp. Med. 171:861−73、およびMosley et al., 1989, Cell 59:335−48に記載;それらの全体を本明細書に援用する)との組合わせを、本発明の方法および組合わせに使用できる。
オリゴヌクレオチド指向性の部位特異的変異誘発法を用いて、特定のコドンを必要な置換、欠失または挿入により変更した変異遺伝子を得ることができる。それらの変異を形成する技術の例は、Walder et al., 1986,Gene 42:133; Bauer et al.1985, Gene 37:73; Craik, BioTechniques, 1985年1月, 12−19; Smith et al., 1981, Genetic Engineering: Principles and Methods, Plenum Press; ならびにU.S.P. No. 4,518,584および4,737,462に記載されている。これらの方法および他の方法を用いて、たとえば誘導体化していない抗体と比較して、たとえばIL−4Rに対する親和性、アビディティーまたは特異性の増大した抗IL−4R抗体の誘導体を作製することができる。
本発明の範囲に含まれる抗IL−4R抗体の他の誘導体には、たとえば抗IL−4R抗体ポリペプチドのN末端またはC末端に融合したヘテロロガスポリペプチドを含む組換え融合タンパク質の発現による、抗IL−4R抗体またはそのフラグメントと他のタンパク質またはポリペプチドとの共有結合体または凝集結合体が含まれる。たとえば、結合ペプチドはヘテロロガスシグナル(またはリーダー)ポリペプチド、たとえば酵母アルファ因子リーダー、またはエピトープタグなどのペプチドであってよい。抗IL−4R抗体を含有する融合タンパク質は、抗IL−4R抗体の精製または同定を容易にするために付加したペプチド(たとえばポリ−His)を含むことができる。抗IL−4R抗体ポリペプチドを、FLAGペプチドAsp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys (DYKDDDDK) (SEQ ID NO:69)に結合させることもできる; Hopp et al., Bio/Technology 6:1204, 1988、およびU.S.P. 5,011,912に記載。FLAGペプチドは抗原性が高く、特異的モノクローナル抗体(mAb)が可逆的に結合するエピトープを提示するので、発現した組換えタンパク質を迅速にアッセイし、かつ容易に精製することができる。FLAGペプチドを特定のポリペプチドに融合させたタンパク質を調製するのに有用な試薬は市販されている(Sigma、ミズーリ州セントルイス)。
1以上の抗IL−4R抗体ポリペプチドを含有するオリゴマーを、IL−4Rアンタゴニストとして使用できる。オリゴマーは、共有結合または非共有結合した二量体、三量体、またはより高次のオリゴマーであってもよい。2以上の抗IL−4R抗体ポリペプチドを含むオリゴマーの使用を考慮することができ、一例はホモ二量体である。他のオリゴマーには、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体などが含まれる。
1態様は、抗IL−4R抗体ポリペプチドに融合したペプチド部分間の共有結合または非共有相互作用により結合した、複数の抗IL−4R抗体ポリペプチドを含むオリゴマーに関する。それらのペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)、またはオリゴマー形成を促進する特性をもつペプチドであってよい。ロイシンジッパー、および抗体由来のある種のポリペプチドは、それに結合したIL−4Rポリペプチドのオリゴマー形成を促進しうるペプチドに含まれる;後記に詳述する。
具体的な態様において、オリゴマーは2〜4つの抗IL−4R抗体ポリペプチドを含む。オリゴマーの抗IL−4R抗体部分は、前記のいずれかの形、たとえばバリアントまたはフラグメントであってもよい。好ましくは、オリゴマーはIL−4R結合活性をもつ抗IL−4R抗体ポリペプチドを含む。
1態様において、オリゴマーは免疫グロブリン由来のポリペプチドを用いて調製される。抗体由来のポリペプチドの種々の部分(Fcドメインを含めて)に融合した特定のヘテロロガスポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、たとえば下記に記載されている:Ashkenazi et al., 1991, PNAS USA 88:10535; Byrn et al., 1990, Nature 344:677; およびHollenbaugh et al., 1992 ”免疫グロブリン融合タンパク質の構築”, Current Protocols in Immunology, Suppl. 4, p. 10.19.1 − 10.19.11。
本発明の1態様は、抗IL−4R抗体のIL−4R結合フラグメントを抗体のFc部に融合させることにより作製された、2つの融合タンパク質を含む二量体に関する。この二量体はたとえば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を適切な発現ベクターに挿入し、この組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞において遺伝子融合体を発現させ、発現した融合タンパク質を抗体分子に類似したものに組み立てさせることにより作製でき、その際、鎖間ジスルフィド結合がFc部分間に形成されて二量体が得られる。
本明細書中で用いる用語”Fcポリペプチド”には、抗体のFc部に由来する天然形および変異形のポリペプチドが含まれる。二量体形成を促進するヒンジ部を含むそれらのトランケート形ポリペプチドも含まれる。Fc部分を含む融合タンパク質(およびそれから形成されたオリゴマー)は、プロテインAまたはプロテインGカラム上でのアフィニティークロマトグラフィーによって容易に精製できるという利点をもつ。
適切なFcポリペプチドのひとつ、PCT出願WO 93/10151(本明細書に援用する)に記載されるものは、ヒトIgG1抗体のFc部のN末端ヒンジ部から天然C末端までの範囲の一本鎖ポリペプチドである。他の有用なFcポリペプチドは、U.S.P. 5,457,035およびBaum et.al, 1994 ,EMBO J. 13: 3992−4001に記載されたFc変異体である。この変異体のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変更され、アミノ酸20がLeuからGluに変更され、アミノ酸22がGlyからAlaに変更された以外は、WO 93/10151に示された天然Fc配列と同一である。この変異体は、Fc受容体に対する親和性の低下を示す。
他の態様においては、抗IL−4R抗体のH鎖および/またはL鎖の可変部をある抗体のH鎖および/またはL鎖の可変部に置換することができる。
あるいはオリゴマーは、複数の抗IL−4R抗体ポリペプチドを含み、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)を含む、または含まない、融合タンパク質である。適切なペプチドリンカーには、U.S.P. 4,751,180および4,935,233に記載のものが含まれる。
オリゴマー形の抗IL−4R抗体誘導体を調製する他の方法は、ロイシンジッパーの使用を伴う。ロイシンジッパードメインは、それらが結合しているタンパク質のオリゴマー形成を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、元来幾つかのDNA結合性タンパク質中に同定され(Landschulz et al., 1988, Science 240:1759)、それ以来、多様なタンパク質中に見いだされた。既知のロイシンジッパーには、二量体または三量体を形成する天然ペプチドおよびその誘導体が含まれる。可溶性オリゴマータンパク質を調製するのに適切なロイシンジッパードメインの例がPCT出願WO 94/10308に記載され、肺サーファクタントタンパク質D(SPD)由来のロイシンジッパーがHoppe et al., 1994, FEBS Letters 344 :191に記載されている;これらを本明細書に援用する。それに融合したヘテロロガスタンパク質を安定に三量体形成させることができる修飾ロイシンジッパーの使用は、Fanslow et al., 1994, Semin. Immunol. 6:267−78に記載されている。1方法では、ロイシンジッパーペプチドに融合した抗IL−4R抗体フラグメントまたは誘導体を含む組換え融合タンパク質を適切な宿主細胞において発現させ、生成する可溶性オリゴマー形の抗IL−4R抗体フラグメントまたは誘導体を培養上清から回収する。
本明細書に記載する抗IL−4R抗体ポリペプチドおよび融合タンパク質は、多数の常法のいずれかにより調製できる。たとえば、抗IL−4R抗体ポリペプチドは当技術分野で既知のいずれかの技術により、それを自然に発現する細胞から精製でき、あるいは組換え発現系において産生させることができる。
本発明の組換えポリペプチドを作製するためには、当技術分野で既知のいずれかの発現系を使用できる。一般に、目的とする抗IL−4R抗体ポリペプチドをコードするDNAを含む組換え発現ベクターで、宿主細胞を形質転換する。使用できる宿主細胞には、原核細胞、酵母またはより高等な真核細胞が含まれる。原核細胞には、グラム陰性またはグラム陽性生物、たとえば大腸菌または桿菌が含まれる。より高等な真核細胞には、昆虫細胞、および哺乳動物由来の樹立細胞系が含まれる。適切な哺乳動物宿主細胞系には、下記のものが含まれる:サル腎細胞COS−7系(ATCC CRL 1651) (Gluzman et al., 1981, Cell 23:175)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK (ATCC CRL 10)細胞系、およびアフリカミドリザル腎細胞CVI由来のCVI/EBNA細胞系(ATCC CCL 70):McMahan et al., 1991, EMBO J. 10: 2821に記載。細菌、真菌、酵母および哺乳動物の細胞宿主と共に用いるのに適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、Pouwels et al. (Cloning Vectors: A Laboratory Manual, Elsevier, ニューヨーク, 1985)に記載されている。
形質転換した細胞を、抗IL−4R抗体ポリペプチドの発現を促進するのに適切な条件下で培養し、一般的なタンパク質精製法によりポリペプチドを回収する。そのような精製法のひとつには、たとえばIL−4Rの全体または一部(たとえば細胞外ドメイン)を結合させたマトリックス上でのアフィニティークロマトグラフィーの使用が含まれる。本発明に用いるためのポリペプチドには、内因性物質が実質的に混入していない実質的に均質な組換え哺乳動物抗IL−4R抗体ポリペプチドが含まれる。
1観点において本発明は、IL−4受容体へのIL−4の結合を妨害する抗体を提供する。それらの抗体(本明細書において阻止抗体と呼ぶ)を、IL−4Rまたはそのフラグメント、バリアントまたは誘導体に対して産生させ、一般的なアッセイ法でIL−4受容体へのIL−4の結合を妨害する能力をスクリーニングすることができる。適切なアッセイ法の例は、抗体がIL−4Rを発現する細胞へのIL−4の結合を阻害する能力を試験するアッセイ法、または抗体が細胞表面IL−4受容体へのIL−4の結合により生じる生物応答または細胞応答を低下させる能力を試験するアッセイ法である。
IL−4Rアルファはある種の多サブユニットIL−13受容体複合体の成分であると報告されている(Zurawski et al., 1995, J. Biol. Chem. 270: 13869; de Vries, 1998, J. Allergy Clin. Immunol. 102:165; およびCallard et al., 1996, Immunology Today, 17:108;それぞれを本明細書に援用する)。したがって1態様においては、細胞へのIL−4およびIL−13の結合を阻止する抗体が提供される。これらの抗体は、IL−4誘発性の生物活性を阻害し、かつIL−4誘発性の活性をも阻害し、したがって一方または両方のサイトカインにより誘発される状態の処置に使用できる。それらの状態の例には、IgE仲介による状態、喘息、アレルギー状態、アレルギー性鼻炎、およびアトピー性皮膚炎を含めた皮膚炎が含まれるが、これらに限定されない。
IL−4Rアルファに結合する抗体は、それらがIL−4Rアルファを含有するIL−13受容体複合体へのIL−13の結合を妨害するかを判定するための種々の一般的なアッセイ法でスクリーニングできる。抗体は、たとえば結合アッセイ法でスクリーニングするか、あるいはIL−IL−13誘発による生物活性を阻害する能力を試験することができる。適切なアッセイ法の一例を後記の実施例2に示す。
IL−4Rアルファに特異的な抗体は、当技術分野で既知のいずれかの技術を用いて調製できる。たとえばMonoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, Kennet et al. (編者), Plenum Press, ニューヨーク(1980); およびAntibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Land (編者), Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(1988)を参照。
本発明の抗体の抗原結合性フラグメントは、常法により調製できる。それらのフラグメントの例にはFabおよびF(ab')2が含まれるが、これらに限定されない。遺伝子工学的技術により調製した抗体フラグメントおよび誘導体も考慮される。別途明記しない限り、本明細書中で用いる用語”抗体”および”モノクローナル抗体”には、全抗体とその抗原結合性フラグメントおよび/または誘導体が共に含まれる。
他の態様には、キメラ抗体、たとえばヒト化型のネズミモノクローナル抗体が含まれる。そのようなヒト化抗体は既知の技術で調製でき、それらの抗体をヒトに投与した際に免疫原性が低いという利点をもつ。1態様においてヒト化モノクローナル抗体は、ネズミ抗体の可変ドメイン(またはその抗原結合部位の全体もしくは一部)およびヒト抗体由来の定常ドメインを含む。あるいはヒト化抗体フラグメントは、ネズミモノクローナル抗体の抗原結合部位およびヒト抗体由来の可変ドメインフラグメント(抗原結合部位を欠如するもの)を含むことができる。キメラ抗体および工学的に作製された他のモノクローナル抗体の調製方法には、Riechmann et al., 1988, Nature 332:323, Liu et al., 1987、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 84:3439、Larrick et al., 1989, Bio/Technology 7:934、およびWinter et al., 1993, TIPS 14:139に記載される方法が含まれる。1態様において、キメラ抗体はCDRグラフト抗体である。
ヒト抗体または部分ヒト抗体をヒト以外の動物において産生させる方法が開発された。たとえば、1以上の内因性免疫グロブリン遺伝子を多様な手段で不活性化したマウスが作製された。ヒト免疫グロブリン遺伝子をこのマウスに導入して、不活性化されたマウス遺伝子を置換した。この動物において産生される抗体は、その動物に導入されたヒト遺伝子材料によりヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖を取り込む。1態様においては、ヒト以外の動物、たとえばトランスジェニックマウスを、IL−4Rポリペプチドで免疫化し、これによりIL−4Rポリペプチドに対する抗体をその動物において産生させる。適切な免疫原の一例は、可溶性ヒトIL−4R、たとえばSEQ ID NO:2のタンパク質の細胞外ドメインを含むポリペプチド、またはSEQ ID NO:2のタンパク質の他の免疫原フラグメントである。
ヒト抗体または部分ヒト抗体を産生させるためのトランスジェニック動物の作製および使用のための技術の例は、U.S.P. 5,814,318、5,569,825および5,545,806に記載されている。
他の観点において、本発明はIL−4受容体に結合するモノクローナル抗体を提供する。モノクローナル抗体は、当技術分野で既知のいずれかの技術により、たとえば免疫化操作の終了後にトランスジェニック動物から採取した脾細胞を不死化することにより調製できる。脾細胞は、当技術分野で既知のいずれかの技術により、たとえばそれらを骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを作製することにより不死化できる。ハイブリドーマ作製のための融合法に用いる骨髄腫細胞は、抗体を産生せず、高い融合効率をもち、かつ目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持する特定の選択培地中での増殖を不可能にする酵素をもたないことが好ましい。マウス融合体に用いるのに適切な細胞系の例には、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag 4 1、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG 1.7およびS194/5XX0 Bulが含まれる;ラット融合体に用いる細胞系の例には、R210.RCY3、Y3−Ag 1.2.3、IR983Fおよび4B210が含まれる。細胞融合に有用な他の細胞系は、U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2およびUC729−6である。
1態様において、ハイブリドーマ細胞系は下記により作製される:動物(たとえば、ヒト免疫グロブリン配列をもつトランスジェニック動物)をIL−4R免疫原で免疫化し;免疫化した動物から脾細胞を採取し;採取した脾細胞を骨髄腫細胞系に融合させることによりハイブリドーマ細胞を作製し;これらのハイブリドーマ細胞からハイブリドーマ細胞系を樹立し、IL−4Rポリペプチドを結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を同定する。これらのハイブリドーマ細胞系、およびそれから産生される抗IL−4Rモノクローナル抗体は、本発明に含まれる。
ハイブリドーマ細胞系により分泌されるモノクローナル抗体は、当技術分野で既知のいずれかの技術を用いて精製できる。ハイブリドーマまたはmAbをさらにスクリーニングして、特定の特性、たとえばIL−4および/またはIL−13により誘発される活性を阻止する能力をもつmAbを同定することができる。そのようなスクリーニング法の例を実施例2、3および4に示す。
ヒトIL−4に対する抗体(モノクローナル抗体を含む)を調製する方法、阻止抗体を同定するアッセイ法、およびヒト化または遺伝子工学的に作製した抗IL−4抗体の誘導体を調製する技術の他の例は、U.S.P. 5,041,381、5,863,537、5,928,904および5,676,940に記載されており、これらを本明細書に援用する。IL−4アンタゴニストとして使用できる抗体の他の例は、WO 91/09059に記載されており、これらも本明細書に援用する。
他の観点において本発明は、IL−4Rを結合するヒト抗体を提供する。本発明の1態様において、トランスジェニックマウスを用いる技術により産生された、IL−4Rアルファに対するヒト抗体は、細胞へのIL−4およびIL−13の結合を阻止する。そのような抗体はIL−4アンタゴニストであり、さらにIL−13アンタゴニストとして機能する。
本発明の抗体は、当技術分野で既知のいずれかの定常部を含むことができる。L鎖定常部は、たとえばカッパ型またはラムダ型L鎖定常部、たとえばヒトカッパ型またはラムダ型L鎖定常部であってよい。H鎖定常部は、たとえばアルファ−、デルタ−、イプシロン−、ガンマ−またはミュー−型H鎖定常部、たとえばヒトアルファ−、デルタ−、イプシロン−、ガンマ−またはミュー−型H鎖定常部であってよい。1態様において、L鎖またはH鎖定常部は天然定常部のフラグメント、誘導体、バリアントまたは変異体である。
IL−4Rに対する抗体は、たとえばインビボまたはインビトロでIL−4Rポリペプチドの存在を検出するアッセイに使用できる。これらの抗体は、イムノアフィニティークロマトグラフィーによりIL−4Rタンパク質を精製する際にも使用できる。さらにIL−4RへのIL−4の結合を阻止しうる抗体は、この結合により生じる生物活性を阻害するのに使用できる。阻止抗体は本発明方法に有用である。IL−4アンタゴニストとして機能するそれらの抗体は、いずれかのIL−4誘発性の状態に使用でき、これには喘息およびアレルギー、たとえばアレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎およびアトヒー性皮膚炎が含まれるが、これらに限定されない。1態様においては、トランスジェニックマウスの免疫化を伴う方法により産生したヒト抗IL−4Rモノクローナル抗体をそれらの状態の処置に使用する。
これらの抗体は、IL−4誘発性の生物活性を阻害するために、インビトロ法で使用でき、あるいはインビボで投与することができる。したがって、IL−4と細胞表面IL−4受容体の相互作用により(直接的または間接的に)発症または増悪する障害(それらの例を前記に示した)を処置できる。1態様において本発明は、IL−4および/またはIL−13阻止抗体を、その必要がある哺乳動物に、IL−4および/またはIL−13誘発性の生物活性を低下させるのに有効な量でインビボ投与することを含む療法を提供する。
本発明の抗体には、IL−4の生物活性を阻害し、かつIL−13の生物活性をも阻害する、部分ヒトおよび完全ヒトモノクローナル抗体が含まれるが、これらに限定されない。1態様は、細胞へのIL−4の結合を少なくとも部分的に阻止し、かつ細胞へのIL−13の結合を少なくとも部分的に阻止する、ヒトモノクローナル抗体に関する。1態様において抗体は、トランスジェニックマウスをIL−4受容体免疫原で免疫化することにより産生される。他の態様において、免疫原はヒトIL−4受容体ポリペプチドである。こうして免疫化したマウスに由来するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供され、その際ハイブリドーマはIL−4Rを結合するモノクローナル抗体を分泌する。
ヒト抗体、部分ヒト抗体、またはヒト化抗体は、多くの用途、特にその抗体をヒト対象に投与することを伴う用途に適切であるが、他のタイプの抗体は他の用途に適切であろう。本発明の非ヒト抗体は、たとえばいずれかの抗体産生動物、たとえばマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ロバ、またはヒト以外の霊長類(たとえばサル(たとえばカニクイザルまたはアカゲザル)または類人猿(たとえばチンパンジー))から得ることができる。本発明の非ヒト抗体は、たとえばインビトロおよび細胞培養ベースの用途、あるいは本発明の抗体に対する免疫応答が起きない、もしくは有意でない、阻止できる、問題でない、または望ましい、他のいずれかの用途に使用できる。1態様において、本発明の非ヒト抗体はヒト以外の対象に投与される。他の態様において、非ヒト抗体はヒト以外の対象に免疫応答を惹起しない。他の態様において、非ヒト抗体はヒト以外のその対象と同一種に由来する;たとえば本発明のマウス抗体をマウスに投与する。特定の種に由来する抗体は、たとえば下記により作製できる:その種の動物を、目的とする免疫原(たとえば可溶性IL−4受容体ポリペプチド)で免疫化する、あるいはその種の抗体を産生するための人工系(たとえば、特定の種の抗体を産生させるための細菌またはファージディスプレイベースの系)を用いる、あるいはある種に由来する抗体を他の種に由来する抗体に変換する:これは、たとえば抗体の定常部を他の種に由来する定常部で置換するか、または抗体の1以上のアミノ酸残基をその抗体が他の種に由来する抗体の配列にさらに類似するように置換することによる。1態様において、抗体は2以上の異なる種からの抗体に由来するアミノ酸配列を含むキメラ抗体である。
他の態様において本発明は、L1〜L6よりなる群から選択されるL鎖可変部および/またはH1〜H24よりなる群から選択されるH鎖可変部を含む抗体、そのフラグメント、誘導体、変異体およびバリアントを提供する(図2および3を参照)。それらの抗体は、命名法"LxHy"を用いて表わされる;ここでxは図3に表示したL鎖可変部の番号に対応し、yはH鎖可変部の番号に対応する。たとえばL4H17は、図3に示すL4のアミノ酸配列を含むL鎖可変部とH17のアミノ酸配列を含むH鎖可変部を含む抗体を表わす。図2および3には、これらの可変ドメイン配列それぞれのCDRおよび枠組み構造領域の位置も指示する。本発明の抗体には、たとえばL2H1、L3H1、L4H1、L5H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H4、L2H12、L2H13、L2H14、L6H1、L2H2、L2H3、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、およびL2H11が含まれる。他の抗体可変部配列、たとえばヒト抗体可変部配列も使用できる。たとえばSblattero et al., 1998, Immunotechnology 3:271−78、de Haard et al., 1999, J. Biol. Chem. 274:18218−30を参照。
1態様において本発明は、1以上の残基(L2〜L6の配列はいずれも、これらにおいてL1の配列と異なる)のみにおいてL1の配列と異なるアミノ酸配列を含むL鎖可変ドメインを含む抗体を提供する(たとえばその抗体のその配列は残基1、4、7などにおいてL1の配列と異なる)。他の態様において、L鎖可変ドメインの配列は、L2〜L6のいずれかの配列がL1の配列と異なる位置に、そのいずれかの配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を含む(たとえばE1D、L4M、S7Tなど)。他の態様において、その配列は少なくとも1つのCDR(たとえばCDR1、CDR2またはCDR3)においてL1の配列と異なる。他の態様において、その配列は少なくとも1つのFR(たとえばFR1、FR2、FR3またはFR4)においてL1の配列と異なる。他の態様において本発明は、1以上の残基(H2〜H24の配列はいずれも、これらにおいてH1の配列と異なる)のみにおいてH1の配列と異なるアミノ酸配列を含むH鎖可変ドメインを含む抗体を提供する(たとえばその抗体のその配列は残基6、13、24などにおいてH1の配列と異なる)。他の態様において、H鎖可変ドメインの配列は、H2〜H24のいずれかの配列がH1の配列と異なる位置に、そのいずれかの配列の少なくとも1つのアミノ酸残基を含む(たとえばQ6E、H13Q、G24Aなど)。他の態様において、その配列は少なくとも1つのCDR(たとえばCDR2またはCDR3)においてH1の配列と異なる。他の態様において、その配列は少なくとも1つのFR(たとえばFR1またはFR3)においてH1の配列と異なる。
他の態様において本発明は、下記よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗体を提供する:3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるL鎖相補性決定領域(CDR)1:SEQ ID NO:6の残基24〜35、その際、残基8のNはSで置換されない;SEQ ID NO:8の残基24〜35、その際、残基5のTはSで置換されず、および/または残基7のNはSで置換されず、および/または残基9のDはSで置換されない;SEQ ID NO:10の残基24〜35、その際、残基9のDはSで置換されない;SEQ ID NO:12の残基24〜35、その際、残基7のNはSで置換されず、および/または残基9のNはSで置換されない;ならびにSEQ ID NO:14の残基24〜35、その際、残基7のGはSで置換されない;3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるL鎖CDR2:SEQ ID NO:6の残基51〜57、その際、残基7のPはTで置換されない;SEQ ID NO:10の残基51〜57、その際、残基7のSはTで置換されない;ならびにSEQ ID NO:12の残基51〜57、その際、残基2のTはAで置換されず、および/または残基4のYはSで置換されない;3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるL鎖CDR3:SEQ ID NO:6の残基90〜99、その際、残基4のDはGで置換されず、残基5のHはSで置換されず、残基7のAはPで置換されず、および/または残基8のGはPで置換されない;SEQ ID NO:8の残基90〜99、その際、残基5のRはSで置換されない;ならびにSEQ ID NO:14の残基90〜99、その際、残基10のMはTで置換されない;3個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるH鎖CDR2:SEQ ID NO:18の残基50〜65、その際、残基9のSはNで置換されない;ならびに3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるH鎖CDR3:SEQ ID NO:18の残基98〜104、その際、残基6のTはDで置換されず、および/または残基7のHはYで置換されない;SEQ ID NO:20の残基98〜104、その際、残基4のWはYで置換されず、残基5のYはFで置換されず、残基6のNはDで置換されず、および/または残基7のNはYで置換されない;SEQ ID NO:22の残基98〜104、その際、残基6のPはDで置換されず、および/または残基7のWはYで置換されない;SEQ ID NO:24の残基98〜104、その際、残基6のTはDで置換されず、および/または残基7のRはYで置換されない;SEQ ID NO:26の残基98〜104、その際、残基5のYはFで置換されない;SEQ ID NO:30の残基98〜104、その際、残基4のWはYで置換されない;ならびにSEQ ID NO:34の残基98〜104、その際、残基4のWはYで置換されず、および/または残基5のYはFで置換されない;この抗体はIL−4受容体アルファに結合する。
他の態様において、本発明の抗体はIL−4受容体へのIL−4の結合を阻害する。他の態様において、本発明の抗体はIL−13受容体へのIL−13の結合を阻害する。他の態様において、本発明の抗体はIL−4受容体へのIL−4の結合を阻害し、かつIL−13受容体へのIL−13の結合を阻害する。他の態様において、本発明の抗体はIL−4受容体アルファを結合する。
他の態様において、本発明の抗体は2または3つの前記のL鎖相補性決定領域(CDR)を含む。
他の態様において、本発明の抗体は2または3つの前記のH鎖相補性決定領域を含む。
他の態様において、本発明の抗体はさらに下記よりなる群から選択される配列を含む枠組み構造領域(FR)を含む:3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるL鎖枠組み構造セグメント(FR)1:SEQ ID NO:4の残基1〜23;SEQ ID NO:10の残基1〜23;SEQ ID NO:12の残基1〜23;およびSEQ ID NO:14の残基1〜23;3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるL鎖FR2:SEQ ID NO:4の残基36〜50;SEQ ID NO:6の残基36〜50;およびSEQ ID NO:14の残基36〜50;3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるL鎖FR3:SEQ ID NO:4の残基58〜89;SEQ ID NO:10の残基58〜89;およびSEQ ID NO:12の残基58〜89;3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるL鎖FR4:SEQ ID NO:4の残基100〜109;SEQ ID NO:8の残基100〜109;およびSEQ ID NO:12の残基100〜109;3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるH鎖FR1:SEQ ID NO:16の残基1〜30;およびSEQ ID NO:42の残基1〜30;3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、SEQ ID NO:16の残基36〜49の配列と異なるH鎖FR2;3, 2, 1または0個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、下記よりなる群から選択される配列と異なるH鎖FR3:SEQ ID NO:16の残基66〜97;SEQ ID NO:18の残基66〜97;およびSEQ ID NO:42の残基66〜97;3個を超えないアミノ酸残基の挿入、欠失または置換により、SEQ ID NO:16の残基105〜115の配列と異なるH鎖FR4。
他の態様において抗体は、SEQ ID NO:6、8、10、12および14よりなる群から選択される配列と少なくとも80、85、90、95または100%同一である配列を含むL鎖可変ドメインを含み、ただしL鎖可変ドメインはSEQ ID NO:4の配列を含まない。
他の態様において抗体は、SEQ ID NO:18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60および62よりなる群から選択される配列と少なくとも80、85、90、95または100%同一である配列を含むH鎖可変ドメインを含み、ただしH鎖可変ドメインはSEQ ID NO:16を含まない。
他の態様において本発明は前記の抗体のフラグメントを提供し、その際、フラグメントはIL−4受容体アルファに結合する。
1態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H1;L2H1と交差反応性である抗体;L2H1と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H1と競合する抗体;L2H1の生物活性をもつ抗体;およびL2H1の抗原結合性フラグメント(組換え手段により得られたものを含む)。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H1の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H1の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H1のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H1のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
特定の抗体の相補性決定領域(CDR)は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH, NIH Publication no. 91−3242, 1991に記載のシステムを用いて同定できる。本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H1のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H1のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL2H1のL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H1のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:16の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
L2H1のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H1のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:15に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:16に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:16を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L3H1;L3H1と交差反応性である抗体;L3H1と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL3H1と競合する抗体;L3H1の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL3H1の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L3H1の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L3H1のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち、かつL3H1のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L3H1由来のIgG4抗体を本発明において提供する。他の態様は、L3H1由来のIgM抗体に関する。抗体のサブクラスまたはイソ型を切り換える(変更する)方法は関連分野で知られている。それらの方法はたとえば組換えDNA技術を伴うものであってよく、これにより親抗体の対応するポリペプチド鎖をコードするDNAを、目的サブクラスを与える抗体ポリペプチド鎖をコードするDNAで置換する。
L3H1のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:7に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:8に示す。L3H1のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:15に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:16に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:8の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:16の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L3H1のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L3H1のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:8のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L3H1のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:16の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L4H1;L4H1と交差反応性である抗体;L4H1と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL4H1と競合する抗体;L4H1の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL4H1の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L4H1の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L4H1のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL4H1のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L4H1のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:9に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:10に示す。L4H1のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:15に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:16に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:10の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:16の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L4H1のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L4H1のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:10のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L4H1のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:16の残基31〜35; 残基50〜65; および残基99〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L5H1;L5H1と交差反応性である抗体;L5H1と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL5H1と競合する抗体;L5H1の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL5H1の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L5H1の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L5H1のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL5H1のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L5H1のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:11に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:12に示す。L5H1のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:15に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:16に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:12の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:16の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L5H1のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L5H1のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:12のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L5H1のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:16の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H2;L1H2と交差反応性である抗体;L1H2と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H2と競合する抗体;L1H2の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H2の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H2の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H2のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H2のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H2のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H2のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:17に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:18に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:18の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H2のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H2のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H2のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:18の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H3;L1H3と交差反応性である抗体;L1H3と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H3と競合する抗体;L1H3の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H3の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H3の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H3のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H3のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H3のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H3のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:19に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:20に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:20の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H3のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H3のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H3のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:20の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H4;L1H4と交差反応性である抗体;L1H4と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H4と競合する抗体;L1H4の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H4の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H4の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H4のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H4のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H4のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H4のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:21に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:22に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:22の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H4のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H4のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H4のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:22の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H5;L1H5と交差反応性である抗体;L1H5と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H5と競合する抗体;L1H5の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H5の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H5の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H5のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H5のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H5のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H5のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:23に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:24に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:24の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H5のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H5のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H5のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:24の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H6;L1H6と交差反応性である抗体;L1H6と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H6と競合する抗体;L1H6の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H6の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H6の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H6のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H6のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H6のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H6のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:25に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:26に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:26の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H6のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H6のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H6のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:26の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H7;L1H7と交差反応性である抗体;L1H7と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H7と競合する抗体;L1H7の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H7の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H7の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H7のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H7のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H7のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H7のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:27に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:28に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:28の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H7のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H7のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H7のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:28の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H8;L1H8と交差反応性である抗体;L1H8と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H8と競合する抗体;L1H8の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H8の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H8の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H8のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H8のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H8のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H8のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:29に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:30に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:30の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H8のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H8のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H8のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:30の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H9;L1H9と交差反応性である抗体;L1H9と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H9と競合する抗体;L1H9の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H9の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H9の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H9のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H9のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H9のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H9のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:31に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:32に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:32の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H9のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H9のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H9のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:32の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H10;L1H10と交差反応性である抗体;L1H10と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H10と競合する抗体;L1H10の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H10の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H10の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H10のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H10のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H10のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H10のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:33に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:34に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:34の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H10のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H10のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H10のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:34の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L1H11;L1H11と交差反応性である抗体;L1H11と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL1H11と競合する抗体;L1H11の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL1H11の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L1H11の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L1H11のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL1H11のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L1H11のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:3に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:4に示す。L1H11のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:35に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:36に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:4の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:36の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L1H11のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L1H11のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:4のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L1H11のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:36の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H4;L2H4と交差反応性である抗体;L2H4と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H4と競合する抗体;L2H4の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H4の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H4の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H4のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H4のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H4のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H4のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:21に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:22に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:22の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H4のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H4のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H4のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:22の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H12;L2H12と交差反応性である抗体;L2H12と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H12と競合する抗体;L2H12の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H12の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H12の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H12のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H12のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H12のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H12のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:37に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:38に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:38の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H12のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H12のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H12のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:38の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H13;L2H13と交差反応性である抗体;L2H13と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H13と競合する抗体;L2H13の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H13の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H13の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H13のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H13のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H13のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H13のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:39に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:40に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:40の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H13のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H13のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H13のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:40の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H14;L2H14と交差反応性である抗体;L2H14と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H14と競合する抗体;L2H14の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H14の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H14の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H14のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H14のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H14のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H14のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:41に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:42に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:42の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H14のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H14のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H14のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:42の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L6H1;L6H1と交差反応性である抗体;L6H1と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL6H1と競合する抗体;L6H1の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL6H1の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L6H1の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L6H1のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL6H1のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L6H1のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:13に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:14に示す。L6H1のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:15に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:16に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:14の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:16の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L6H1のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L6H1のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:14のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L6H1のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:16の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H2;L2H2と交差反応性である抗体;L2H2と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H2と競合する抗体;L2H2の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H2の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H2の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H2のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H2のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H2のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H2のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:17に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:18に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:18の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H2のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H2のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H2のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:18の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H3;L2H3と交差反応性である抗体;L2H3と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H3と競合する抗体;L2H3の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H3の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H3の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H3のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H3のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H3のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H3のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:19に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:20に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:20の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H3のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H3のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H3のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:20の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H6;L2H6と交差反応性である抗体;L2H6と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H6と競合する抗体;L2H6の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H6の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H6の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H6のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H6のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H6のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H6のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:25に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:26に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:26の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H6のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H6のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H6のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:26の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H7;L2H7と交差反応性である抗体;L2H7と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H7と競合する抗体;L2H7の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H7の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H7の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H7のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H7のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H7のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H7のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:27に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:28に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:28の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H7のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H7のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H7のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:28の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H8;L2H8と交差反応性である抗体;L2H8と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H8と競合する抗体;L2H8の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H8の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H8の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H8のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H8のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H8のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H8のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:29に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:30に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:30の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H8のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H8のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H8のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:30の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H9;L2H9と交差反応性である抗体;L2H9と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H9と競合する抗体;L2H9の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H9の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H9の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H9のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H9のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H9のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H9のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:31に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:32に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:32の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H9のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H9のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H9のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:32の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H10;L2H10と交差反応性である抗体;L2H10と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H10と競合する抗体;L2H10の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H10の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H10の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H10のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H10のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H10のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H10のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:33に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:34に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:34の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H10のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H10のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H10のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:34の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
他の態様において本発明の具体的な抗体は、下記よりなる群から選択される:L2H11;L2H11と交差反応性である抗体;L2H11と同一エピトープに結合する抗体;ヒトIL−4Rを発現する細胞への結合に対してL2H11と競合する抗体;L2H11の生物活性をもつ抗体;および以上のいずれかの抗体の抗原結合性フラグメント。1態様において抗体は、ヒトIL−4Rに対するL2H11の結合親和性と実質的に同等な結合親和性をヒトIL−4Rに対してもつ。これらの抗体のいずれかを産生するハイブリドーマ細胞系も本発明により提供される。
L2H11の生物活性の一例は、IL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストの両方として機能する能力である。1態様において本発明の抗体は、L2H11のものと実質的に同等なIL−4阻止活性をもち;かつL2H11のものと実質的に同等なIL−13阻止活性をもつ。それらの活性は、いずれか適切な一般的アッセイ法により測定できる(たとえば実施例2に記載したCD23発現アッセイにおいて測定)。
L2H11のL鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:5に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:6に示す。L2H11のH鎖可変ドメインのDNA配列をSEQ ID NO:35に示し、コードされるアミノ酸配列をSEQ ID NO:36に示す。本発明の抗体には、それらのL鎖中にSEQ ID NO:6の残基1〜109を含む抗体;およびさらに、または代わりに、それらのH鎖中にSEQ ID NO:36の残基1〜115を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
本発明抗体の具体的な態様は、それらのL鎖可変ドメイン内に、L2H11のL鎖にある少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、または超可変部を含む。L2H11のCDRについては実施例5に述べる。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをL鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:6のアミノ酸残基24〜35; 残基51〜57; および残基90〜99。本発明において提供する具体的な抗体は、それらのH鎖可変ドメイン内に、L2H11のH鎖にある少なくとも1つのCDRを含む。したがって本発明において提供する抗体には、下記の配列のうち1つないし3つすべてをH鎖可変ドメイン中に含むものが含まれる:SEQ ID NO:36の残基31〜35; 残基50〜65; および残基98〜104。
核酸
1態様において本発明は、単離された核酸分子を提供する。これらの核酸には、たとえば本発明の抗体またはそのフラグメント、誘導体、変異体もしくはバリアントをコードするポリヌクレオチド;ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの同定、分析、変異誘発または増殖のためのハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマーまたは配列決定用プライマーとして使用するのに十分なポリヌクレオチド;ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸;およびこれらの相補的配列が含まれる。これらの核酸は、いかなる長さであってもよい。それらは、たとえば5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、3,000、5,000もしくはそれ以上のヌクレオチド長さであってよく、および/または1以上の追加配列、たとえば調節配列を含むことができ、および/またはより長い核酸の一部、たとえばベクターの一部であってもよい。これらの核酸は一本鎖または二本鎖であってよく、RNAおよび/またはDNAヌクレオチド、ならびにその人工バリアント(たとえばペプチド核酸)を含むことができる。
抗体ポリペプチド(たとえばH鎖またはL鎖の可変ドメインのみ、または全長)をコードするDNAを、IL−4Rで免疫化したマウスのB細胞から単離することができる。DNAは常法、たとえばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により単離できる。ファージディスプレイ法は、抗体の誘導体を調製できる既知技術の他の例である。1方法においては、目的抗体の成分であるポリペプチドをいずれか適切な組換え発現系で発現させ、発現したポリペプチドを組み立てさせて抗体分子を形成させる。
図2は、図3に示したH鎖およびL鎖可変部の可変部をコードする核酸配列を示す。遺伝子コードの縮重のため、図3の各ポリペプチド配列は他の多数の核酸配列によってもコードされる。本発明は、本発明の各抗体をコードする縮重ヌクレオチド配列それぞれを提供する。
本発明はさらに、他の核酸(たとえば図2のヌクレオチド配列を含む核酸)に、特定のハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸を提供する。核酸をハイブリダイズさせる方法は当技術分野で周知である。たとえばCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, ニューヨーク(1989), 6.3.1−6.3.6を参照。本発明において定める中等度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、下記を用いる:予備洗浄液:5×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%のSDS、1.0 mMのEDTA (pH 8.0)を含有;ハイブリダイゼーション緩衝液:約50%のホルムアミド、6×SSC;およびハイブリダイゼーション温度55℃(またはこれに類似する他のハイブリダイゼーション溶液、たとえば約50%のホルムアミドを含有するもの、およびハイブリダイゼーション温度42℃);ならびに0.5×SSC、0.1%のSDS中、60℃の洗浄条件。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件:6×SSC中、45℃、続いて0.1×SSC、0.2%のSDS中、68℃。さらに当業者は、ハイブリダイゼーション条件および/または洗浄条件を操作して、少なくとも互いに65、70、75、80、85、90、95、98または99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が一般に互いにハイブリダイズした状態を維持するように、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増減させることができる。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を及ぼす基本パラメーターおよび適切な条件を設定するための指針は、Sambrook, Fritsch, and Maniatis (1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー, 9および11章; ならびにCurrent Protocols in Molecular Biology, 1995, 編者Ausubel et al., John Wiley & Sons, Inc., セクション2.10および6.3−6.4)に示されており、当業者がたとえばDNAの長さおよび/または塩基組成に基づいて容易に決定できる。
変異により核酸に変更を導入し、これによりそれがコードするポリペプチド(たとえば抗体)のアミノ酸配列を変化させることができる。変異は標準法、たとえば部位特異的変異誘発およびPCRによる変異誘発により導入できる。好ましくは、1以上の推定非必須アミノ酸残基において保存的アミノ酸置換を行う。あるいは、たとえば飽和変異誘発によりコード配列全体または一部にランダムに変異を導入し、得られた変異体を生物活性についてスクリーニングして、活性(たとえばIL−4受容体への結合性)を保持している変異体を同定することができる。変異誘発の後、コードされるタンパク質を組換え発現させ、タンパク質の活性を測定することができる。核酸がコードするペプチドの生物活性を有意に変化させることなく、変異を核酸に導入することができる。たとえば非必須アミノ酸残基においてアミノ酸置換するヌクレオチド置換を行うことができる。1態様においては、図2に示したヌクレオチド配列またはその目的とするフラグメント、バリアントもしくは誘導体を変異させ、これにより、図3に示した1以上のアミノ酸残基を欠失または置換して2以上の配列を異なるものにする残基を含むアミノ酸配列をコードする。他の態様においては、変異誘発により、図3に示した1以上のアミノ酸残基に隣接して2以上の配列を異なるものにするアミノ酸を挿入する。あるいは、それがコードするポリペプチドの生物活性(たとえばIL−4受容体の結合、IL−4および/またはIL−13の阻害など)を選択的に変化させる変異を核酸に導入することができる。たとえば、変異により生物活性を定量的または定性的に変化させることができる。定量的変化の例には、活性の増強、低下または排除が含まれる。定性的変化の例には、抗体の抗原特異性の変化が含まれる。
他の観点において本発明は、本発明の核酸配列を検出するためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに適切な核酸分子を提供する。本発明の核酸分子は、本発明の全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部のみを含むことができる:たとえばプローブもしくはプライマーとして使用できるフラグメント、または本発明のポリペプチドの活性部分(たとえばIL−4受容体結合部分)をコードするフラグメント。
本発明の核酸の配列に基づくプローブを用いて、本発明の核酸または類似の核酸、たとえば本発明のポリペプチドをコードする転写体を検出できる。プローブは、標識基、たとえば放射性同位体、蛍光性化合物、酵素、または酵素補因子を含むことができる。それらのプローブを用いて、本発明のポリペプチドを発現する細胞を同定することができる。
他の態様において本発明は、本発明のポリペプチドまたはその一部をコードする核酸を含むベクターを提供する。ベクターの例には、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム型の哺乳動物ベクターおよび発現ベクター、たとえば組換え発現ベクターが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適切な形で本発明の核酸を含むことができる。組換え発現ベクターは、発現に用いる宿主細胞に基づいて選択した1以上の調節配列を含み、これは発現すべき核酸配列に作動可能な状態で結合している。調節配列には下記のものが含まれる:多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成性発現を指令するもの(たとえばSV40初期遺伝子エンハンサー、ラウス肉腫ウイルスプロモーターおよびサイトメガロウイルスプロモーター)、特定の宿主細胞においてのみそのヌクレオチド配列の発現を指令するもの(たとえば組織特異的調節配列、Voss et al., 1986, Trends Biochem. Sci. 11:287、Maniatis et al., 1987, Science 236:1237を参照;それらの全体を本明細書に援用する)、および特定の処理または条件に応答してヌクレオチド配列の誘導発現を指令するもの(たとえば、哺乳動物細胞におけるメタロチオニンプロモーター、ならびに原核細胞系および真核細胞系の両方におけるtet−応答性および/またはストレプトマイシン応答性プロモーター(前掲を参照))。発現ベクターの設計が形質転換すべき宿主細胞の選択、目的とするタンパク質の発現レベルなどの要因に依存する可能性があることは当業者には自明であろう。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入し、これにより、本明細書に記載する核酸がコードするタンパク質またはペプチド(融合したタンパク質またはペプチドを含めて)を産生させることができる。
他の態様において本発明は、本発明の組換え発現ベクターを導入した宿主細胞を提供する。宿主細胞は、原核細胞(たとえば大腸菌)または真核細胞(たとえば酵母、昆虫または哺乳動物細胞(たとえばCHO細胞))のいずれであってもよい。ベクターDNAを、一般的な形質転換技術またはトランスフェクション技術により原核細胞または真核細胞に導入することができる。哺乳動物細胞の安定トランスフェクションに関して、使用する発現ベクターおよびトランスフェクション技術によっては外来DNAをそれらのゲノムに組み込むことができるのはごく一部の細胞であることが知られている。これらの組込み体を同定および選択するために、一般に選択マーカー(たとえば抗生物質耐性について)をコードする遺伝子を目的遺伝子と一緒に宿主細胞に導入する。好ましい選択マーカーには、薬物、たとえばG418、ハイグロマイシンおよびメトトレキセートに対する耐性を付与するものが含まれる。導入した核酸で安定にトランスフェクションされた細胞を、特に薬物選択により同定できる(たとえば選択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存し、一方、他の細胞は死滅する)。
抗体の誘導体、フラグメントおよび変異体
多数の既知技術のいずれかにより、IL−4Rに対する抗体の誘導体を調製し、目的特性についてスクリーニングすることができる。ある技術は、目的とする抗体のポリペプチド鎖(またはその一部)をコードするDNAを単離し、そのDNAを組換えDNA技術により操作することを伴う。このDNAを他の目的DNAに融合させ、あるいはたとえば1以上のアミノ酸残基を付加、欠失または置換するように変更する(たとえば変異誘発その他の常法による)ことができる。
1態様において本発明は、本発明の抗体の抗原結合性フラグメントを提供する。それらのフラグメントは、全体が抗体由来の配列からなるか、あるいは追加配列を含むことができる。抗原結合性フラグメントの例には、FabおよびF(ab')2が含まれる。他の例は、Lunde et al., 2002, Biochem. Soc. Trans. 30:500−06に示されている。
一本鎖抗体は、H鎖およびL鎖の可変ドメイン(Fv部)フラグメントをアミノ酸架橋(短かいペプチドリンカー)により結合させて一本鎖ポリペプチドを得ることにより形成できる。それらの一本鎖Fv (scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(VLおよびVH)をコードするDNA間にペプチドリンカーをコードするDNAを融合させることにより調製された。得られたポリペプチドは、2つの可変ドメイン間のフレキシブルリンカーの長さに応じて、自然に折りたたまれて抗原結合性モノマーを形成し、あるいは多量体(たとえば二量体、三量体または四量体)を形成することができる(Kortt et al., 1997, Prot. Eng. 10:423; Kortt et al., 2001, Biomol. Eng. 18:95−108)。種々のVLおよびVH−含有ポリペプチドを組み合わせることにより、種々のエピトープに結合する多量体scFvを形成できる(Kriangkum et al., 2001, Biomol. Eng. 18:31−40)。一本鎖抗体の調製のために開発された技術には、U.S.P. No. 4,946,778; Bird, 1988, Science 242:423; Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879; Ward et al., 1989, Nature 334:544; de Graaf et al., 2002, Methods Mol Biol. 178:379−87に記載のものが含まれる。本発明により提供される抗体に由来する一本鎖抗体(可変ドメインの組合わせL2H1、L3H1、L4H1、L5H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H4、L2H12、L2H13、L2H14、L6H1、L2H2、L2H3、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、およびL2H111を含むscFvが含まれるが、これらに限定されない)は、本発明に含まれる。
目的とする抗体から異なるサブクラスまたはイソ型の抗体を誘導する技術、すなわちサブクラス変更法は既知である。たとえばIgG抗体をIgM抗体から誘導でき、逆も可能である。そのような技術により、特定の抗体(親抗体)の抗原結合特性をもつが、親抗体とは異なる抗体イソ型またはサブクラスに関連する生物学的特性をも示す、新規な抗体を作製することができる。組換えDNA技術も採用できる。特定の抗体ポリペプチドをコードするクローン化DNA、たとえば目的とするイソ型抗体の定常ドメインをコードするDNAを、そのような方法に使用できる。Lantto et al., 2002, Methods Mol. Biol.178:303−16も参照されたい。
したがって本発明の抗体には、たとえば目的とするイソ型(たとえばIgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgE、およびIgD)をもつ可変ドメインの組合わせL2H1、L3H1、L4H1、L5H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H4、L2H12、L2H13、L2H14、L6H1、L2H2、L2H3、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、およびL2H11を含むもの、ならびにそのFabまたはF(ab')2フラグメントが含まれる。さらに、IgG4が目的である場合、Bloom et al., 1997, Protein Science 6:407(本明細書に援用する)に記載されるようにヒンジ部に点変異(CPSCP→CPPCP)を導入して、IgG4抗体の不均質性を生じやすいH鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を少なくすることも望ましい。
さらに、異なる特性をもつ抗体を誘導する(たとえばそれらが結合する抗原に対する親和性を変化させる)技術も既知である。そのような技術のひとつである連鎖シャフリングと呼ばれる技術は、免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパトアを繊維状バクテリオファージの表面に提示することを伴い、しばしばファージディスプレイと呼ばれる。連鎖シャフリングは、ハプテン2−フェニルオキサゾール−5−オンに対する高親和性抗体を調製するために用いられた;Marks et al., 1992, BioTechnology, 10:779に記載。
抗体結合部位の中心にある相補性決定領域(CDR)の分子進化を利用して、親和性の増大した抗体、たとえばc−erbB−2に対する親和性の増大した抗体も単離された;Schier et al., 1996, J. Mol. Biol. 263:551に記載。したがって、これらの技術はIL−4Rに対する抗体を調製するのに有用である。
具体的な態様において、本発明の抗体はIL−4Rに対して少なくとも1×108の結合親和性(Ka)をもつ。他の態様において、本発明の抗体は少なくとも1×109、少なくとも1×1010または少なくとも1×1011のKaを示す。
本発明にはさらに、多特異性抗体、たとえば二特異性抗体、たとえばIL−4Rの2つの異なるエピトープ、またはIL−4RのエピトープとIL−13Rのエピトープに、2つの異なる抗原結合部位または領域により結合するものが含まれる。さらに、本明細書に開示する二特異性抗体は、本明細書に記載する抗体の1つに由来する抗原結合部位と本明細書に記載する他の抗体に由来する第2の抗原結合領域を含むことができる。あるいは二特異性抗体は、本明細書に記載する抗体の1つに由来する抗原結合部位と当技術分野で既知の他のIL−4R抗体(または既知の方法で調製できるもの)に由来する第2の抗原結合部位を含むことができる。
二特異性抗体を調製するための多数の方法が当技術分野で知られており、米国特許出願09/839.632(2001年4月20日出願)(本明細書に援用する)に考察されている。それらの方法には下記のものが含まれる:ハイブリッド−ハイブリドーマの使用:Milstein et al., 1983, Nature 305:537その他(U.S.P. 4,474,893, U.S.P. 6,106,833)に記載;および抗体フラグメントの化学結合(Brennan et al.,1985, Science 229:81; Glennie et al.,1987, J. Immunol. 139:2367; U.S.P. 6,010,902)。さらに、二特異性抗体は組換え手段で、たとえばロイシンジッパー部分(すなわち、FosおよびJunタンパク質由来のもので、ヘテロ二量体を優先的に形成する;Kostelny et al., 1992, J. Immnol. 148:1547)または他の鍵と鍵穴相互作用ドメイン構造体(U.S.P. 5,582,996に記載)を用いて調製できる。他の有用な技術には、Kortt et al., 1997, 前掲; U.S.P. 5,959,083; およびU.S.P. 5,807,706に記載のものが含まれる。
他の態様において、本発明は抗体の誘導体を提供する。誘導体化した抗体は、抗体に目的特性、たとえば特定の使用における半減期の延長を付与する、いずれかの分子または物質を含むことができる。誘導体化した抗体は、たとえば下記のものを含むことができる:検出可能な(または標識)部分(たとえば放射性、比色測定用、抗原性または酵素性の分子、検出可能なビーズ(たとえば磁性ビーズまたは金ビーズ)、または他の分子に結合する分子(たとえばビオチン))、療法用または診断用の部分(たとえば放射性、細胞毒性または医薬活性の部分)、または特定の用途(たとえば、ヒト対象などの対象への投与、または他のインビボもしくはインビトロ用途)に対する抗体の適性を高める分子。抗体を誘導体化するために使用できる分子の例は、アルブミン(たとえばヒト血清アルブミン)およびポリエチレングリコール(PEG)である。抗体のアルブミン結合誘導体およびPEG化誘導体は、当技術分野で周知の技術を用いて調製できる。1態様においては、抗体をトランスチレチン(TTR)またはTTRバリアントに結合その他の形で連結させる。TTRまたはTTRバリアントは、たとえば下記のものよりなる群から選択される化学物質で化学修飾することができる:デキストラン、ポリ(n−ビニルピューロリドン)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリビニルアルコール。米国特許出願No. 20030195154。
療法および抗体投与法
本発明により提供される方法は、IL−4R抗体を対象に投与し、これにより特定の状態に関係するIL−4誘発性の生体反応を低下させることを含む。具体的な態様において本発明方法は、内因性IL−4Rと抗IL−4R抗体を、たとえばex vivo法で接触させることを伴う。
処置には、障害の少なくとも1つの症状の軽減もしくは予防、または疾患重症度の低下が含まれる。有用な療法薬であるためには、抗体が必ずしも疾患を完全に”治癒”させ、またはそのあらゆる症状もしくは発現を根絶する必要はない。関連分野で認識されているように、療法薬として用いる薬物が有用な療法薬とみなされるためには、特定の疾病状態の重症度を低下させることができればよく、必ずしもその疾患のあらゆる発現を排除する必要はない。本発明の1態様は、その障害の重症度を反映する指標のベースラインを上回る持続的な改善を誘発するのに十分な量のIL−4Rアンタゴニストを、それに十分な期間、患者に投与することを含む方法に関する。
細胞へのIL−4およびIL−13の結合を両方とも阻害する抗体を本明細書に述べる。ヒトにおいてIL−4誘発性およびIL−13誘発性の活性を抑制する方法は、有効量のそのような抗体を投与することを含む。こうして、IL−4もしくはIL−13または両サイトカインにより誘発される状態を処置できる。
関連分野で理解されているように、その適応症に適切な様式で抗体を対象に投与する。抗体はいずれか適切な手法で投与でき、これには非経口、局所または吸入によるものが含まれるが、これらに限定されない。注射する場合、本発明の抗体をたとえば関節内、静脈内、筋肉内、病巣内、腹腔内または皮下経路で、ボーラス注射または連続注入により投与できる。たとえば疾患または傷害の部位への局所投与が考察され、経皮送達および埋込み剤からの持続放出も考察される。吸入による送達には、たとえば経鼻または経口吸入、ネブライザーの使用、エアゾル剤形のアンタゴニストの吸入などが含まれる。他の別法には、点眼剤;丸剤、シロップ剤、トローチ剤またはチューインガムを含めた経口製剤;ならびに局所製剤、たとえばローション剤、ゲル剤、スプレー剤および軟膏剤が含まれる。
ex vivo法での抗IL−4R抗体の使用も考察される。たとえば患者の血液その他の体液を、IL−4Rを結合する抗体とex vivoで接触させることができる。抗体を適切な不溶性マトリックスまたは固体支持剤に結合させてもよい。
有利には、少なくとも1種類の抗IL−4R抗体、および1種類以上の他の成分、たとえば生理的に許容できるキャリヤー、賦形剤または希釈剤を含む組成物の形で、抗体を投与する。本発明は、本発明方法に使用するための、有効量の抗IL−4R抗体を含むそれらの組成物を提供する。
本発明の組成物は、抗IL−4R抗体(1種類以上)をたとえば本明細書に記載するいずれかの剤形中に含有する。抗体は全抗体であってもよく、あるいはその抗原結合性フラグメントまたは工学的に作製した誘導体であってもよい。
組成物は、たとえば緩衝剤、酸化防止剤、たとえばアスコルビン酸、低分子量ポリペプチド(たとえば10個未満のアミノ酸をもつもの)、タンパク質、アミノ酸、炭水化物、たとえばブドウ糖、ショ糖またはデキストリン、キレート化剤、たとえばEDTA、グルタチオン、ならびに他の安定剤および賦形剤と共に、抗体を含むことができる。中性緩衝化した塩類溶液または同種血清アルブミンと混合した塩類溶液は、適切な希釈剤の例である。適切な工業基準に従って、保存剤、たとえばベンジルアルコールを添加してもよい。適切な賦形剤溶液(たとえばショ糖)を希釈剤として用い、本発明の組成物を凍結乾燥品として調製することもできる。適切な成分は、用いる用量および濃度でレシピエントに無毒性である。医薬組成物中に使用できる成分の他の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第16版, Mack Publishing Company, ペンシルベニア州イーストン, 1980に示されている。
医師が使用するためのキットは、抗IL−4R抗体、および本明細書に述べた状態のいずれかの処置における使用に関するラベルその他の指示書を含む。キットは、好ましくは1種類以上の抗IL−4R抗体の無菌製剤を含み、これは前記に開示した組成物の形であってもよく、あるいは1本以上のバイアル中にあってもよい。
投与量および投与頻度は、投与経路、使用する具体的な抗体、処置すべき疾患の性質および重症度、その状態が急性か慢性か、ならびに対象の体格および全身状態などの要因に従って異なる可能性がある。適切な投与量は、関連分野で既知の方法、たとえば臨床試験により決定でき、これは用量漸増試験を伴ってもよい。
抗体をたとえば1回、またはそれ以上、たとえばある期間にわたって規則的な間隔で、投与することができる。具体的な態様において、抗体は少なくとも1カ月間、またはそれ以上、たとえば1、2もしくは3カ月間にわたって投与され、あるいは不定期間にわたってすら投与される。慢性状態を処置するためには、長期処置が一般に最も効果的である。しかし急性状態については、より短期間、たとえば1〜6週間の投与で十分であろう。一般に、選択した指標(1以上)についてベースラインを上回る疾病関連改善度を患者が示すまで、抗体を投与する。
本発明の具体的な態様は、対象の体重kg当たり1日につき抗体約1 ng ("1ng/kg/日")ないし約10 mg/kg/日、より好ましくは約500 ng/kg/日ないし約5 mg/kg/日、最も好ましくは約5μg/kg/日ないし約2 mg/kg/日の用量で、抗体を対象に投与することを伴う。他の態様においては、IL−4および/またはIL−13が仲介する疾患、状態または障害、たとえば本明細書に開示する病的障害を処置するために、抗体を成人に週1回、週2回、または週3回以上投与する。注射する場合、成人1回当たりの抗体の有効量は1〜20 mg/m2、好ましくは約5〜12 mg/m2であろう。あるいは一律量を投与してもよい;その量は5〜100 mg/回であってよい。一律量のためのある範囲は、約20〜30 mg/回である。本発明の1態様においては、25 mg/回の一律量を注射により反復投与する。注射以外の投与経路を採用する場合、医療標準法に従って用量を適宜調整する。療法方式の一例は、約20〜30 mgの量の抗IL−4R抗体を週1〜3回、少なくとも3週間にわたって注射することを伴う。ただし、目的の改善度をもたらすために、より長期間の処置が必要な場合もある。小児(4〜17歳)に適切な方式の一例は、0.4 mg/kgないし最大量25 mgの抗体を週2回または3回、皮下注射により投与することを伴う。
本発明により提供される方法の具体的な態様は、0.5〜10 mg、好ましくは3〜5 mgの抗IL−4R抗体を週1回または2回、皮下注射することを伴う。他の態様は、3 mg以上の抗体を週1回、肺投与(たとえばネブライザーによる)することに関する。
本発明により提供される療法方式の例は、抗IL−4R抗体を週1回、1.5〜3 mgの量で、喘息、肺サルコイドーシス、微少変化ネフローゼ、自己免疫性ブドウ膜炎、鎌状赤血球発症、チャーグ−ストラウス症候群、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、子癇前症、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、グレーブス病、川崎病および空洞性結核の処置のために皮下注射することを含む。週1回の抗IL−4R抗体投与を、目的結果が得られるまで、たとえば対象の症状が沈静するまで継続する。必要に応じて処置を再開し、あるいは維持量を投与することができる。
他の態様においては、処置すべき障害の重症度を反映する少なくとも1つの指標の改善、好ましくは持続的改善をもたらすのに十分な量の抗体を、それに十分な期間、対象に投与する。量および処置時間が十分であるかを判定するために、対象の疾病、疾患または状態の程度を反映する種々の指標を評価することができる。そのような指標には、たとえば問題の疾患について臨床的に認識された疾患重症度指標、症状、または障害の発現が含まれる。大部分の場合、対象が2〜4週間置いて少なくとも2回の改善を示せば、改善が持続しているとみなされる。改善度は一般に医師により判定され、医師は徴候または症状に基づいてこの判定を行うことができ、対象に対して行うアンケート、たとえばその疾患について作成した生活の質に関するアンケートを採用してもよい。
一例として、良性前立腺過形成を処置する際には、瘢痕の退縮または完全治癒に有効な量の抗IL−4R抗体を、それに有効な期間、対象に投与する。必要に応じて、維持量を投与し、あるいは処置を再開することができる。
IL−4レベルの増大は、前記に述べた多数の障害と関連する。特定の障害をもつ対象をスクリーニングし、IL−4レベルの増大している個体を同定し、あるいはTH2タイプ免疫応答が増大している個体を同定し、これにより抗IL−4R抗体処置で最も利益を受ける可能性のある対象を同定することができる。したがって本発明により提供される方法は、場合により対象のIL−4レベルを測定する第1段階を含む。IL−4レベルが正常より増大している対象に抗IL−4R抗体を投与することができる。あるいは、またはさらに、1以上のTH2タイプのサイトカインに対する抗体(1以上)および/またはアンタゴニスト(1以上)を投与する前に、対象のTH2タイプ免疫応答が増大しているかを判定するために、対象を予備スクリーニングすることができる。
抗IL−4R抗体による処置の途中および/または後に対象のIL−4(および場合により他のTH2タイプのサイトカイン)のレベルをモニターして、それらのサイトカインのレベルの低下を検出することができる。ある障害については、疾患の段階またはその疾患の具体的な形態などの要因に従って、IL−4レベル増大の発生率およびTH1タイプ免疫応答とTH2タイプ免疫応答のバランスが変化する可能性がある。たとえば対象の血清中のIL−4レベルの測定、およびH2タイプ免疫応答の評価には、既知の技術を採用できる。血液試料中のサイトカインレベルは、たとえばELISAにより、またはLUMINEX(商標)multi−plexサイトカインアッセイ(Luminex Corporation、テキサス州オースチン)もしくはDELFIA(登録商標)(PerkinElmer LifeSciences, Wallac Oy.、フィンランド、トゥルク)により測定できる。
本発明の方法および組成物の具体的な態様は、抗IL−4R抗体および1種類以上の追加のIL−4Rアンタゴニストの使用、たとえば2種類以上の本発明の抗体もしくは抗体誘導体、または本発明の抗体もしくは抗体誘導体と1種類以上の他のIL−4Rアンタゴニストの使用を伴う。他の態様においては、抗IL−4R抗体を単独で、または患者が罹患している状態の処置に有用な他の薬剤と組み合わせて投与する。そのような薬剤の例には、タンパク質系および非タンパク質系の薬物が共に含まれる。複数の療法薬を共投与する場合、関連分野で認識されているように、それに応じて投与量を調整することができる。”共投与”および併用療法は同時投与に限定されず、少なくとも1種類の他の療法薬を患者に投与する処置コース中にIL−4R抗体を少なくとも1回投与する処置方式を含む。
IL−4R抗体と共投与できる他の薬剤の例は、他の抗体、サイトカイン、またはサイトカイン受容体であり、それらは処置すべき個々の状態に従って選択される。あるいは、前記に述べた個々の状態のいずれかの処置に有用な非タンパク質系の薬物をIL−4Rアンタゴニストと共投与することができる。
IgE仲介状態を処置するために、抗IL−4R抗体をIgEアンタゴニストと共投与することができる。一例は抗IgE抗体、たとえばXOLAIR(登録商標)(Genentech, カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)である。ヒト化抗IgEモノクローナル抗体は、たとえばPresta et al., 1993, J. Immunol. 151:2623−32、およびAdelroth et al., 2000, J. Allergy Clin. Immunol. 106:253−59に記載されている。
抗IL−4R抗体をIL−5アンタゴニストと共投与することができる;これは、IL−5受容体へのIL−5の結合を妨害する分子、たとえば抗IL−5R抗体もしくは抗IL−5抗体(たとえばヒトまたはヒト化抗IL−5または抗IL−5Rモノクローナル抗体)、または受容体、たとえば可溶性ヒトIL−5受容体ポリペプチドであってよい。IL−5はアレルギー反応の仲介に関係することが示唆されている。したがって、IL−4RおよびIL−5のアンタゴニストの投与は、アレルギー反応の処置として考慮され、これにはアレルギー性喘息が含まれるが、これらに限定されない。
IL−4R抗体と併用できる薬剤の他の例には、下記のものが含まれる:抗IL−4抗体、IL−4変異体、IL−4RのIL−4結合性誘導体(たとえばU.S.P. 5,840,869、5,599,905、5,856,296、5,767,065、5,717,072、6,391,581、6,548,655、6,472,179、および5,844,099に記載のもの)、IL−13のIL−13結合性誘導体、IL−4RおよびIL−13RのIL−4および/またはIL−13結合性キメラ誘導体、IL−13変異体、ならびに下記のもののアンタゴニスト:CD23(たとえば抗CD23抗体、たとえばIDEC−152(商標)(IDEC Pharmaceuticals、カリフォルニア州サンディエゴ)、ホスホジエステラーゼ4(たとえばROFLUMILAST(登録商標)、Byk Gulden Pharmaceuticals、ドイツ、コンスタンツ)、インテグリン(たとえばR411(商標)、Roche、ニュージャージー州ナットリー)、TIM、Gob5、STAT6、ならびにロイコトリエン。
喘息を処置するために、IL−4R抗体を他の抗喘息薬、たとえば吸入コルチコステロイド、ベータアゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、キサンチン類、フルチカゾン(fluticasone)、サルメテロール(salmeterol)、アルブテロール(albuterol)、非ステロイド薬、たとえばクロモリン(cromolyn)などと共投与することができる。アレルギー反応を処置するために、IL−4R抗体を他の抗アレルギー薬と共投与することができる。
本発明の1態様は、喘息などの障害を処置するために、本発明の抗体または抗体誘導体とフルチカゾンおよび/またはサルメテロールを共投与することに関する。本発明の抗体または抗体誘導体、フルチカゾンおよびサルメテロールを含む組成物が、本発明により提供される。ADVAIR DISKUS(登録商標)(GlaxoSmithKline、ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク)は、プロピオン酸フルチカゾンおよびキシナホ酸サルメテロールを含む。ADVAIR DISKUS(登録商標)および本発明の抗体または抗体誘導体を、特定の疾患、障害、傷害または状態の治療または予防に有効ないずれかの投与経路で、たとえば喘息の処置のために吸入により、送達することができる。
併用療法の他の例は、本発明の抗体または抗体誘導体とIL−9アンタゴニストを喘息患者に共投与することを含む。いずれか適切なIL−9アンタゴニスト、たとえばIL−9受容体(たとえばその可溶性形)、細胞表面受容体へのIL−9の結合を妨害する抗体(たとえばIL−9またはIL−9受容体ポリペプチドに結合する抗体)、またはIL−9誘発性の生物活性を阻害する他の化合物を使用できる。IL−9受容体には、WO 93/18047ならびにU.S.P. 5,789,237および5,962,269に記載のものが含まれ、これらを本明細書に援用する。
併用療法の他の態様において、潰瘍性大腸炎を処置するための方法は、本発明の抗体または抗体誘導体と少なくとも1種類のIR−1アンタゴニストを共投与することを含む。IR−1アンタゴニストの例には、I型IL−1受容体、II型IL−1受容体、IL−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)、IL−1に対する拮抗性(阻止)抗体、およびIL−1受容体に対する拮抗性抗体が含まれる。種々の形態の受容体、たとえばフラグメント、バリアントおよび融合体、たとえば可溶性形のII型IL−1受容体が含まれる;U.S.P. 5,350,683に記載され、これを本明細書に援用する。
本発明の1方法は、本発明の抗体または抗体誘導体を単独で、またはIL−13アンタゴニスト(1以上)と組み合わせて、微少変化ネフローゼ患者に、たとえばこの疾患の重症度を低下させるために共投与することを含む。
本発明により提供される他の方法は、本発明の抗体または抗体誘導体とIL−13アンタゴニスト(1以上)を共投与することを含む、種々のアレルギー性炎症状態を処置する方法である。喘息、アレルギー、ならびに慢性肺疾患、たとえば嚢胞性線維症および慢性閉塞性肺疾患などの状態をこの方法で処置する。
いずれか適切なIL−13アンタゴニストを使用でき、これにはIL−13受容体(好ましくはその可溶性形)、IL−13受容体アンタゴニスト、IL−13またはIL−13Rに対する抗体、IL−13RへのIL−13の結合を妨害する他のタンパク質、およびIL−13仲介による信号伝達を阻害する化合物が含まれるが、これらに限定されない。IL−13受容体、およびその成分としてIL−13Rポリペプチドを含むヘテロ二量体を前記に述べた。IR−4Rに対して産生された抗体を、前記に述べたように、IL−13アンタゴニストとしても機能する能力についてスクリーニングすることができる。
上皮バリヤー機能が低下した状態を治療または予防する方法は、本発明の抗体または抗体誘導体と1種類以上のIL−13アンタゴニストを共投与することを含む。そのような状態については前記に述べた。1態様において、その状態は喘息である。具体的な態様は、肺上皮バリヤー機能または腸上皮機能の低下を伴い、そのバリヤー機能低下にIL−4とIL−13の両方が関係している状態の患者に、本発明の抗体または抗体誘導体と1種類以上のIL−13アンタゴニストを共投与することに関する。IL−13が肺および腸の上皮バリヤー機能に及ぼす有害な作用は、たとえば実施例3に記載するアッセイ法により確認できる。Zund et al., 1996, J. Biol. Chem. 271:7460−64も参照されたい。
本発明により提供される他の方法は、肺上皮バリヤー機能の低下を伴う状態の患者に、本発明の抗体または抗体誘導体とインターフェロン−γ(IFN−γ)を共投与することを含む。場合により、この方法はさらに1種類以上のIL−13アンタゴニストを共投与することを含む(すなわち、本発明の抗体または抗体誘導体、IFN−γ、およびIL−13アンタゴニストの共投与)。1態様において、患者は喘息を伴う。本発明の抗体または抗体誘導体、IFN−γ、およびIL−13アンタゴニストを、特定の疾患、障害、状態または傷害の治療または予防に有効ないずれかの送達方法で、たとえば喘息の処置のために吸入または注射により、投与できる。
喘息を処置するための本発明の1方法は、本発明の抗体または抗体誘導体およびインターフェロン−γを喘息患者に投与することを含む。喘息を処置するための他の方法は、本発明の抗体または抗体誘導体、IFN−γ、およびIL−13アンタゴニストを喘息患者に共投与することを含む。1態様においては、IL−4およびIL−13両方のアンタゴニストとして機能する抗体と一緒に、IFN−γを喘息患者に共投与する。それらの抗体の例は本明細書の他の箇所に記載されている。
前記に述べたように、単一の本発明抗体または抗体誘導体がIL−4アンタゴニストおよびIL−13アンタゴニストとして機能する場合がある。そのような薬剤の例として、IL−4Rαに対して産生されたある抗体は、IL−4受容体複合体およびIL−13受容体複合体の結合を両方とも妨害することができる;これは、それらの多サブユニット受容体複合体中にIL−4Rα成分が共有されているためである(前記に述べた)。したがって、単一の本発明抗体または抗体誘導体をバリヤー機能低下の抑制方法に使用できる。
アレルギー性炎症性疾患などの障害、たとえば喘息およびアレルギーを処置するために、本発明の抗体または抗体誘導体を1種類以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストと共投与することができる。ロイコトリエン受容体アンタゴニストの例には、モンテルカスト(montelukast)(たとえばSINGULAIR(登録商標)、Merck & Co.、ニュージャージー州ホワイトハウス)、プランルカスト(pranlukast)(たとえばONON(登録商標)、小野薬品、日本、大阪)、およびザフィルルカスト(zafirlukast)(たとえばACCOLATE(登録商標)、AstraZeneca、デラウェア州ウィルミントン)が含まれるが、これらに限定されない。喘息を処置するために、5−リポキシゲナーゼ阻害薬として機能する薬物をIL−4Rアンタゴニストと共投与することができる。
本発明により提供される方法は、本発明の抗体または抗体誘導体および1種類以上の下記のものを、チャーグ−ストラウス症候群患者に投与することを含む:IL−4Rアンタゴニスト(1以上)、IL−5アンタゴニスト(1以上)、IL−13アンタゴニスト(1以上)、およびIgEアンタゴニスト(1以上)。そのような方法の一例は、本発明の抗体または抗体誘導体とIL−5アンタゴニスト(1以上)を、チャーグ−ストラウス症候群患者に共投与することを伴う。他の態様においては、本発明の抗体または抗体誘導体とIgEアンタゴニスト(1以上)を上記の患者に共投与する。さらに他の態様においては、本発明の抗体または抗体誘導体とIL−13アンタゴニスト(1以上)を上記の患者に共投与する。
強皮症(全身性強皮症)、特発性肺線維症、または肺線維症を特徴とする他のいずれかの障害、たとえば前記に述べた肺線維症を伴う状態を処置するために、ホルモンであるレラキシン(relaxin)を本発明の抗体または抗体誘導体と共投与することができる。ヒトの処置に使用するためには、組換えヒトレラキシンが好ましい。
良性前立腺過形成の処置方法は、本発明の抗体または抗体誘導体と1種類以上の他の抗炎症薬を共投与することを含む。炎症を抑制する薬剤の例には、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニストおよびIL−17アンタゴニストが含まれる。
いずれか適切なIL−17アンタゴニストを使用でき、これにはIL−17受容体(好ましくはその可溶性形)、IL−17受容体アンタゴニスト、IL−17またはIL−17受容体に対する抗体、IL−17受容体へのIL−17の結合を妨害する他のタンパク質、およびIL−17仲介による信号伝達を阻害する化合物が含まれるが、これらに限定されない。IL−17受容体(その可溶性形およびオリゴマーを含む)はWO 96/29408に記載されており、これを本明細書に援用する。本発明により提供される別法は、良性前立腺過形成を伴う患者を処置するためにIL−17アンタゴニストを投与する。
同様にいずれか適切なTNFアンタゴニストを使用でき、これにはTNF受容体(好ましくはその可溶性形)、TNF受容体を含む(またはTNF受容体のTNF結合性部分を含む)融合タンパク質、TNF受容体アンタゴニスト、TNFまたはTNF受容体に対する抗体、TNF受容体へのTNFの結合を妨害する他のタンパク質、およびTNF仲介による信号伝達を阻害する化合物が含まれるが、これらに限定されない。TNF阻害薬の他の例は薬物サリドマイド(thalidomide)およびペントキシフィリン(pentoxyfylline)である。好ましくは、p75またはp80 TNF−Rとして知られるTNF受容体タンパク質を使用する。好ましいTNFアンタゴニストは、二量体形の可溶性ヒトTNF受容体(sTNF−R)、たとえばsTNF−R/Fc融合タンパク質の二量体である。そのような二量体のひとつは、エタネルセプト(etanercept)(ENBREL(登録商標)、Immunex Corporation、ワシントン州シアトル)である。p75/p80 TNF−R(その可溶性形および他の形を含む)はWO 91/03553に記載されており、これを本明細書に援用する。
したがって本発明の1態様においては、望ましくないIL−4R仲介性およびTNF誘発性の免疫応答が関係するいずれかの状態、たとえば炎症を処置するために、本発明の抗体または抗体誘導体をTNFアンタゴニストと共投与する。本発明により提供される1方法は、本発明の抗体または抗体誘導体とTNFアンタゴニストを、炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎を伴う患者に共投与することを含む。他の態様は、本発明の抗体または抗体誘導体とTNFアンタゴニストを、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性ブドウ膜網膜炎、自己免疫性リンパ増殖性症候群、シェーグレン症候群、慢性疲労症候群、またはジクロフェナク(diclofenac)などの薬物により誘発される肝毒性を伴う患者に共投与することを含む方法に関する。
本発明により提供される他の方法は、本発明の抗体または抗体誘導体とTNFアンタゴニストを、子癇前症を発症した妊娠女性に共投与することを含む。1態様においては、妊娠期間中、本発明の抗体または抗体誘導体およびTNFアンタゴニストの投与を継続する。
エタネルセプトの適切な剤形は、関連分野で認識されているように、処置すべき疾患の性質、疾患の重症度、患者の体格(たとえば成人か小児か)その他の要因に従って異なるであろう。本発明により提供される方法の1態様においては、ENBREL(登録商標)を週2回、1〜25 mgの用量で皮下注射により投与する。小児用量の1態様は0.4 mg/kgである。本発明により提供される具体的方法は、本発明の抗体または抗体誘導体とENBREL(登録商標)を、自己免疫性リンパ増殖性症候群またはシェーグレン症候群を伴う患者に共投与することを含み、その際ENBREL(登録商標)を1〜25 mgの用量で皮下注射により投与する。
移植片対宿主疾患("GVHD")を処置するために、本発明の抗体または抗体誘導体を少なくとも1種類の下記の薬剤と共投与する:TNFアンタゴニスト、IL−1アンタゴニスト、ステロイド、またはコルチコステロイド。1態様において、TNF阻害薬はENBREL(登録商標)である。他の態様において、IL−1アンタゴニストは可溶性形のII型IL−1受容体、たとえばU.S.P.5,350,683に記載のものである。他の態様において、GVHDは骨髄移植に関連する(たとえば、その後に発症する)ものである。移植された細胞、組織および/またはアロ抗原に対する免疫応答を抑制する方法において、本発明の抗体または抗体誘導体を少なくとも1種類の前記薬剤と併用することができる。
多数のサイトカインアンタゴニストおよび他の薬剤/薬物を、特定の疾患の処置に際しての併用療法(たとえば本発明の抗体または抗体誘導体との共投与)に有用なものとして本明細書に開示した。それらのアンタゴニスト、薬剤または薬物はそれらの疾患の処置に際して単一薬剤としても有用であることを理解すべきである。疾患を処置するために特定のサイトカインに対するアンタゴニストの投与を伴う方法の開示は、別途明記しない限り、そのサイトカインに対する1種類のアンタゴニストの投与を含み、かつ2種類以上の異なるアンタゴニストの投与をも含むことも理解すべきである。
実施例1:モノクローナル抗体の調製
この実施例は、ヒトIL−4受容体を認識するモノクローナル抗体の調製方法を示す。
モノクローナル抗体を常法、たとえばU.S.P. 5,599,905(その全体を本明細書に援用する)に記載の技術により調製する際に、IL−4受容体ポリペプチドを免疫原として使用できる。種々の形態のポリペプチド、たとえば全長タンパク質、そのフラグメント、その融合タンパク質、たとえばFc融合体、細胞表面に組換えタンパク質を発現する細胞などを免疫原として使用できることは認識されている。
そのような方法の一例を要約する:完全フロイントアジュバントに乳化したIL−4R免疫原をLewisラットに10〜100μlの量で皮下注射する。2週間後、免疫化した動物を不完全フロイントアジュバントに乳化した免疫原でさらに追加免疫し、その後3週間毎に追加免疫する。ドットブロットアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、またはIL−4R発現細胞抽出物への125I−IL−4結合の阻害により試験するために、眼窩後採血または尾先端切開により血清試料を定期的に採取する。適宜な抗体力価検出の後、陽性動物に塩類溶液中の抗原を最後に静脈内注射する。3〜4日後、動物を殺し、脾細胞を採集し、ネズミ骨髄腫細胞系AG8653に融合させる。得られたハイブリドーマ細胞系を複数のマイクロタイタープレート内でHAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン)中において培養し、融合していない細胞、骨髄腫ハイブリッド、および脾細胞ハイブリッドの増殖を阻害する。
こうして作製したハイブリドーマクローンを、IL−4Rとの反応性についてスクリーニングする。ハイブリドーマ上清の初期スクリーニングには、部分精製した125I−IL−4受容体の抗体捕獲および結合を利用する。このスクリーニング法で陽性のハイブリドーマを改変抗体捕獲法により試験して、阻止抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を検出する。IL−4R発現細胞への125I−IL−4結合を阻害しうるモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを、こうして検出する。次いでそれらのハイブリドーマをヌードマウスの腹腔内に注射して、高濃度(>1 mg/ml)の抗IL−4Rモノクローナル抗体を含有する腹水を産生させる。得られたモノクローナル抗体を、硫酸アンモニウム沈降、続いてゲル排除クロマトグラフィー、および/またはプロテインGへの抗体結合に基づくアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。
トランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を産生させる方法は記載されており、当技術分野で周知である。たとえば下記を参照されたい:Chen et al., 1993, lnternat. Immunol. 5: 647−56; Chen et al., 1993, EMBO J. 12: 821−30; Choi et al., 1993, Nature Genetics 4: 117−23; Fishwild et al., 1996, Nature Biotech. 14: 845−51; Harding et al., 1995, Annals New York Acad. Sci.; Lonberg et al., 1994, Nature 368: 856−59; Lonberg, 1994, Handbook Exper.l Pharmacol. 113: 49−101; Lonberg et al., 1995, Internal Rev. Immunol. 13: 65−93; Morrison, S, 1994, Nature 368: 812−13; Neuberger, 1996, Nature Biotech. 14: 826; Taylor et al., 1992, Nuc. Acids Res. 20: 6287−95; Taylor et al., 1994, lnternat. Immunol. 6: 579−91; Tomizuka et al., 1997, Nature Genetics 16: 133−43; Tomizuka et al., 2000, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 97: 722−27; Tuaillon et al., 1993, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90: 3720−24; Tuaillon et al., 1994, J. Immunol. 152: 2912−20; Russel et al., 2000, Infection and Immunity April 2000: 1820−26; Gallo et al., 2000, Eur. J. Immunol. 30: 534−40; Davis et al., 1999, Cancer Metastasis Rev. 18:421−25; Green, 1999, J. Immunol. Methods 231:11−23; Jakobovits, 1998, Advanced Drug Delivery Rev. 31:33−42; Green et al., 1998, J. Exp. Med. 188: 483−95; Jakobovits, 1998, Exp. Opin. Invest. Drugs 7: 607−14; Tsuda et al., 1997, Genomics 42: 413−21; Mendez et al., 1997, Nature Genetics 15: 146−56; Jakobovits, 1996, Weir's Handbook of Experimental Immunology, The Integrated Immune System Vol. IV, 194.1−194.7; Mendez et al.,1995, Genomics 26: 294−307; Jakobovits, 1994, Current Biol. 4: 761−63; Arbones, 1994, Immunity 1: 247−60; Green et. al., 1994, Nature Genetics 7: 13−21; Jakobovits et al., 1993, Nature 362: 255−58; Jakobovits et al., 1993, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90: 2551−55。
実施例2:阻止活性を評価するためのアッセイ法
この実施例は、IL−4および/またはIL−13依存性のCD23発現を低下させる抗体を同定するために使用できるアッセイ法を示す。このアッセイ法は、IL−4およびIL−13の両方が、ヒトB細胞の活性化関連表面抗原CD23の発現を高める能力に基づく。
ヒトIL−4R (huIL−4R)に対して産生された抗体を、ハイブリドーマ上清または精製タンパク質の形で試験する。抗体を培養物に添加する前に、Centriconフィルターデバイス(Amicon)(10kDaのカットオフ)を用いる遠心分離により、緩衝液を培地(RPMI 1640プラス10%の熱不活性化ウシ胎仔血清)で交換する。
ヒト末梢血B細胞を先の記載に従って精製する(Morris et al., 1999, J. Biol. Chem. 274:418−23)。培地中のB細胞(3×105/ウェル)を96ウェル丸底マイクロタイタープレートに入れ、室温で30分間、指示した最終濃度の被験抗体と共にプレインキュベートする。次いで、指示した最終濃度の組換えヒトIL−4またはIL−13を培養物に添加し、細胞を37℃、5% CO2の加湿雰囲気で20〜24時間、培養する。培養期間の終了時に細胞を96ウェル培養プレート内でPBS + 0.02% NaN3により1回洗浄し、阻止緩衝液(PBS + NaN3中、2%の正常ウサギ血清 + 1%の正常ヤギ血清)に再懸濁する。次いでフィコエリトリン(PE)結合−CD23モノクローナル抗体(mAb)またはPE結合−イソ型対照mAb (両方ともPharmingenから)を、細胞に最終希釈度1:10で添加する。細胞を4℃で30分間インキュベートし、PBS + NaN3中で3回洗浄し、FacScan (Becton Dickinson)でCD23発現について分析する。
ハイブリドーマ増殖培地またはイソ型適合した非阻止ヒト抗hIL−4R抗体と共に培養した細胞を、陰性対照として含める。hIL−4およびhIL−13の両方の結合および機能を阻止することがこれまでに示されている抗huIL−4RネズミmAb (MAB 230、R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を、IL−4およびIL−13によるCD23誘導の中和に関する陽性対照として使用する。
実施例3:バリヤー機能損失を測定するためのアッセイ法
この実施例は、IL−4誘発性の上皮組織損傷および上皮バリヤー機能損失をIL−4アンタゴニストが抑制する能力の評価方法を示す。
1態様において本発明は、上皮(肺上皮または腸上皮が含まれるが、これらに限定されない)に対するIL−4誘発損傷を抑制するためにIL−4アンタゴニストを使用する方法を提供する。上皮に対する損傷は、バリヤー機能の損失により起きる可能性がある。以下は、IL−4誘発性の上皮組織損傷および上皮バリヤー機能損失をIL−4アンタゴニストが抑制する能力を評価するのに使用できる手法の例である(限定ではない)。
上皮(上皮バリヤー)のインビトロモデルを作製するのに使用できる細胞は既知である。たとえばCalu−3ヒト肺上皮細胞は、バリヤー機能の試験に使用するのに適切である(Ahdieh et al., 2001, Am. J. Physiol. Cell Physiol. 281:C2029−38)。他の適切な細胞系は、T84と表示されるヒト腸上皮細胞系である。T84細胞を、透過性支持体上に上皮細胞の単層が形成される条件下で培養する;Madara et al., 1985, J. Cell Biol., 101:2124−33、Madara et al., 1989, J. Clin. Invest. 83:724−27、およびYouakim et al., 1999, Am. J. Physiol. 276 (Gastrointest. Liver Physiol. 39):G1279−88に記載。こうして形成された上皮単層は腸上皮バリヤーを模倣する。
無傷の上皮を損傷のある上皮から識別できる特性(たとえば受動的な経上皮イオン流に対する抵抗)について、この培養単層を試験する。そのようなアッセイ法のひとつは、特定の放射性化合物が上皮単層を通過できるかを判定する。放射性化合物が単層から漏出することは、バリヤーが無傷ではなく透過性であることを示す。たとえばマンニトール流入分析法を用い、単層を通過する放射性マンニトール(たとえば3Hマンニトール)の移動を評価することにより、上皮損傷を検出できる(参照:Madara and Stafford, 前掲)。
上皮の状態を評価する方法の他の例には、イメージング法(たとえば前掲のMadara and Staffordに述べられたもの)、および経上皮電気抵抗測定法(たとえば前掲のYouakim and Ahdiehに述べられたもの)が含まれる。
U.S.P. 6,033,688("'688特許")(その全体を本明細書に援用する)にも、バリヤー透過性の試験に採用できる方法が記載されている;たとえばその特許の実施例1および4を参照。経上皮電気抵抗を示す単層が得られる条件下で、ヒト気管上皮細胞を培養する。経上皮抵抗(無傷のバリヤーの指標)を電圧計で測定する。単層に物質または処理を施し、次いでイオン輸送活性をUssingチャンバーで測定することにより、この上皮単層に対するその物質または処理の効果を評価する(8欄, 40〜56行)。他のタイプの細胞、たとえば嚢胞性線維症のヒト患者由来の気管上皮細胞から形成した単層を用いて、同様な操作を行うことができる('688特許、例4、11欄を参照)。
このように、上皮層にIL−4およびある物質または処理を施し、上皮層の状態を評価し、その上皮層の状態をこの物質または処理の不存在下でIL−4に曝露した上皮層の状態と比較することにより、その物質または処理がIL−4誘発性の上皮層バリヤー機能低下を抑制する能力を評価することができる。物質または処理を施した上皮層の状態がその物質または処理を施さない上皮層と比較して改善されると、その物質または処理がIL−4誘発性の上皮組織損傷および上皮バリヤー機能損失をを抑制することを示す。
そのようなアッセイ法のひとつにおいては、前記のようにT84細胞を腸上皮バリヤーのインビトロモデルとして用いる。分極させた上皮細胞の基底外側に添加したIL−4は、処理後48〜72時間以内にバリヤー機能を70%低下させることが認められた。細胞外ドメインからなる可溶性IL−4受容体ポリペプチドをIL−4と同時に添加すると、バリヤー機能の低下は抑制され、バリヤーは非処理(対照)細胞と同じレベルに維持された。
このアッセイ操作を、肺上皮バリヤーのインビトロモデルとして作用する肺上皮細胞由来の単層についても実施した。分極させた肺上皮細胞の基底外側に添加したIL−4は、処理後48〜72時間以内にバリヤー機能を50%低下させることが認められた。IL−4受容体ポリペプチドをIL−4と同時に添加すると、バリヤー機能の低下は抑制され、バリヤーは非処理(対照)細胞と同じレベルに維持された。
実施例4:結合活性を測定するアッセイ法
この実施例は、抗IL−4R抗体の結合活性を評価する方法を示す。
huIL−4R(またはそのバリアント、誘導体、もしくはフラグメント)を固相クロラミン−T類似体(IODOGEN(登録商標)、Pierce、ミズーリ州セントルイス)または他の適切な放射性標識法により、125Iで約3×1016 cpm/mmolの比放射能に放射性標識する。結合阻害その他の生物阻害アッセイを対応する非標識タンパク質と比較することにより、生物活性の損失を評価する。あるいは、抗huIL−4R(またはそのバリアントもしくはフラグメント)による放射性標識IL−4結合の阻害を測定してもよい。IL−4R発現細胞における平衡結合アッセイを96ウェルマイクロタイタートレー内で、実質的にIdzerda, et al., 1990, J. Exp. Med. 171:3 861−73の記載に従って実施する。要約すると、結合培地(RPMI 1640, 2.5% BSA, 20 mM HEPES, 0.02%ナトリウムアジド, pH 7.2;0.5 mg/mlのヒトIgGおよび5%のヒト血清を補充)中の放射性標識タンパク質系列希釈液を、細胞(2.5×106個/ウェル)と共に4℃で2時間、総体積150μlでインキュベートする。遊離放射性標識検体と結合放射性標識検体を、分離用フタレート−油混合物を通した微量遠心分離により分離し、ガンマ計数器で計数する。阻害アッセイには、0.5 nMの一定濃度の放射性標識タンパク質を潜在阻害薬の存在下または不存在下で用いる。非特異的結合を100倍過剰の非標識タンパク質の存在下で測定する。Dower et al., 1984, J Immunol. 132:751の記載に従って、単一部位競合阻害モデルに基づく理論曲線をデータに当てはめる。阻害率%を方程式I(%) = [100 Ki(I)/[1+ Ka(L) + Ki(I)]に従って計算する;式中のIは阻害薬のモル濃度、Lは放射性標識タンパク質のモル濃度、KiおよびKaはそれぞれ阻害薬およびタンパク質の親和定数(結合定数)である。
平衡結合および競合結合の等温線も、抗ヒトFcポリクローナル抗体(または他の適切な抗ヒトFc抗体)により捕獲したIL−4R/Fcまたは対照Fcタンパク質でコーティングした96ウェルマイクロタイタープレートにおいて測定することができる。要約すると、プレートをPBS中5μg/mlの抗ヒトFcと共に4℃でインキュベートし、PBSで2回洗浄し、次いでIL−4R/Fcまたは対照Fcタンパク質と共に、PBS/0.01% Tween 20中、4℃で12時間インキュベートし、再びPBSで2回洗浄する。平衡結合等温線には結合培地中における125I標識−結合タンパク質の系列希釈液を用い、阻害アッセイには一定の0.5 nM 125I標識−抗huIL−4Rを前記の非標識−潜在競合阻害薬の存在下または不存在下で用いる。4℃で2時間後、プレートをPBS中で2回洗浄し、特異的に結合したタンパク質を50 mMシトレート(pH 3.0)またはSDS処理により放出させ、放出された125I標識−抗huIL−4Rをガンマ計数器で測定する。データをDower et al.(前掲)に従って処理する。
結合活性は、BIACORE(登録商標)バイオセンサー(BIAcore International AB、スウェーデン、ウプサラ)を用いて表面プラズモン共鳴により評価することもできる。要約すると、ガンマ鎖特異的ヤギ抗ヒトIgG (または他の適切なガンマ鎖特異的抗体; GHFC)を、標準アミン結合法および製造業者の指示に従った試薬により、バイオセンサーチップに共有結合させる。この固定化したGHFC上に抗huIL−4R抗体または対照抗体を注入し、種々の量のIL−4Rを個別にGHFCコーティングチップ(陰性対照)および抗huIL−4Rコーティングチップ上に通す。チップの再生は、1パルス10μlで10μl/分の100 mMリン酸により達成される。すべての結合をHBS (10 mM HEPES, 0.15 M NaCl, 3.4 mM EDTA, 0.02 % NaN3, 0.005 %界面活性剤P2O, pH 7.4)中で実施する。
実施例5:IL−4受容体結合性抗体
この実施例は、huIL−4Rに結合する抗体および抗体誘導体のH鎖およびL鎖可変ドメインのアミノ酸配列およびそれらをコードするヌクレオチド配列を示す。
L鎖可変部L1およびH鎖可変部H1を含む完全ヒトIgG4抗体を、WO 01/92340 (2001年12月6日公開)(その全体を本明細書に援用する)の実施例8の記載に従って単離した。
H鎖可変部H1は、抗体L1H1を産生するハイブリドーマ細胞系から、下記のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるcDNAクローニングにより単離された:
増幅生成物をSal I/Apa IフラグメントとしてpGem−T easy (Promega、ワイオミング州マディソン)に挿入した。開裂を向上させるために、天然H1リーダー配列をVH3−30リーダー配列(Matsuda et al., 1993, Nature Genetics 3:88−94)で置き換えた。
H鎖可変ドメインH1のオリゴヌクレオチドをベースとする変異誘発を用いて、図3に示すH鎖可変ドメイン配列H2〜H14を作製した。これらのH鎖可変ドメイン配列それぞれは、L鎖可変ドメイン配列L1と組み合わせた状態でIL−4受容体アルファに結合することが酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)により示された。
ナイーブヒトL鎖可変部遺伝子をヒトB細胞からPCRにより作製して、可変部cDNA遺伝子ライブラリーの構築に用いた。これらをH鎖可変部H1と組み合わせて、ヒトIL−4受容体への結合についてスクリーニングした。この方法でL鎖可変部L2〜L6を同定した。それらのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をそれぞれ図2および3に示す。それらにおいて各鎖のCDR領域を太字で示し、L1中に下線を施した。枠組み構造(FR)領域も示す。
ヒトカッパ定常部をクローニングするために、ヒトカッパL鎖を発現するネズミハイブリドーマ細胞系から、RNAをRNeasy Miniキット(Qiagen、カリフォルニア州バレンシア)により単離した。このRNAをFirst−Strand cDNA合成キット(Amersham Pharmacia Biotech、ニュージャージー州ピスカッタウェイ)により逆転写した。このヒトカッパL鎖核酸をBsw I/Not IカセットとしてのcDNAから、下記のプライマーを用いてPCRにより増幅した:
L鎖可変部L1およびL2を別個に、下記に従ってヒトカッパL鎖定常部に結合させた:Nhe I/Bsi WI DNAフラグメント(L鎖可変部L1をコードする)およびBsi WI/Not I DNA フラグメント(ヒトカッパ定常部をコードするDNAフラグメント)を同時に、pDC409哺乳動物発現ベクター(n Giri et al., 1994, EMBO J. 13:2822−30およびUSP. No. 6,642,358に記載、それらの全体を本明細書に援用する)中へ、VkIIIリーダー配列を用いてサブクローニングした。VkIIIリーダー配列は、Sal I/Nhe Iカセットとして、KozakのPCR増幅法(Kozak, 1989, J Cell Biol. 108:229−41)およびVkIII A27 (Straubinger et al., 1988, J Mol Biol. 199:23−34)リーダー配列により、下記のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて構築された:
天然VkIII A27リーダー中の最後の6個のヌクレオチドを、Nhe I部位をコードするヌクレオチドで置き換えた。その結果、トレオニンからグリシンへ、およびアラニンからセリンへのアミノ酸変化が起きたが、開裂部位には影響がなかった。
各H鎖可変部H1、H4およびH14を下記に従ってヒトIgG4定常部に結合させた:Sal I/Apa I DNAフラグメント(H鎖可変部H1をコードする)およびApa I/Not I DNAフラグメント(ヒトIgG4定常部をコードする)(SEQ ID NO:77)を同時に、Sal I/Not I消化した哺乳動物発現ベクターpDC409 (Giri et al., 1994, EMBO J. 13:2822−30に記載)中へ、3'末端がNhe I部位をコードするように改変したVH5aリーダー配列を用いて挿入した:
この変化の結果、最後の2個のアミノ酸はアラニンおよびセリンとなった;これに対し野生型VH5aの最後の2個のアミノ酸はシステインおよびアラニンである。H4−IgG4をコードする構築体に対する部位特異的変異誘発により、H鎖可変部H12およびH13を含む構築体を作製した。H1〜H14のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をそれぞれ図2および3に示す。それらにおいて各鎖のCDR領域を太字で示し、H1中に下線を施した。枠組み構造(FR)領域も示す。
可変ドメインの組合わせL1H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H1、L2H2、L2H3、L2H4、L2H5、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、L2H11、L2H12、L2H13、L2H14、L3H1、L4H1、L5H1、およびL6H1を含む抗体および/または抗体誘導体を、生化学的結合アッセイ法および実施例2の方法により試験して、IL−4受容体に結合することが認められた。
実施例6:抗体の種特異性および配列特異性
この実施例は、IL−4受容体に結合する抗体の種特異性および配列特異性を判定する方法を示す。
蛍光活性化セルソーター(FACS)結合アッセイ法を用いて、IL−4受容体抗体の種特異性および/または配列特異性を評価することができる。IL−4受容体の細胞外ドメインは、サイトカイン受容体ドメイン(ドメインI)およびフィブロネクチンIII型ドメイン(ドメインII)を含む(Hage et al., 1999, Cell 97:271−81)。ヒトIL−4受容体ドメインIおよび/またはII、ネズミIL−4受容体ドメインIおよび/またはII、ヒトおよびネズミIL−4受容体ドメインIおよび/またはIIの組合わせ、あるいはヒトまたはネズミIL−4受容体ドメインIおよび/またはIIのフラグメントを含む構築体を、ニワトリアビジンと読み枠の一致した融合体のC末端として発現させる(ネズミIL−4受容体配列は、たとえばSchulte et al., 1997, J. Exp. Med. 186:1419−29、Wrighton et al., 1992, Growth Factors 6:103−18、Harada et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:857−61、Mosley et al., 1989, Cell 59:335−48に示されている)。この融合タンパク質発現ベクターを個別に293T細胞中へ一過性トランスフェクションする。コンディショニングした培地を精製せずに融合タンパク質源として用いる。IL−4受容体構築体のアビジンタグをビオチンコーティングしたビーズにより溶液から捕獲する。FITC標識した抗アビジン抗体を用いて、融合構築体のアビジン部分を検出する。抗IL−4受容体抗体をビオチン捕獲したLIL−4受容体構築体と共にインキュベートする。FITC標識したマウスF(ab')2抗ヒトIgGを検出のための二次抗体として用いる。このビーズ−抗体混合物をBecton Dickinson Bioscience FACScan (BD、ニュージャージー州フランクリン・レイクス)でFACS分析する。
前記方法を用いて、本明細書に記載する幾つかの抗IL−4受容体抗体は、ヒトIL−4受容体のドメインIおよびIIを含む構築体に良好に結合するが、ネズミIL−4受容体のドメインIおよびIIを含む構築体には結合しないことが見いだされた。これらの抗体は、ヒトIL−4受容体のドメインIを含む(ただし、ドメインIIを含まない)構築体には弱く結合するが、ヒトIL−4受容体のドメインIIを含む(ただし、ドメインIを含まない)構築体には全く結合しなかった。さらに、これらの抗体はヒトIL−4受容体のドメインIおよびネズミIL−4受容体のドメインIIを含む構築体には良好に結合することが見いだされた。
以上の例は実施例および想定例とも限定ではなく、本発明の具体的な態様を説明するために示したものである。本明細書に引用したすべての参考文献の全体を本明細書に援用する。
図1A〜1Cは、ヒトIL−4受容体アルファcDNAのコード領域のヌクレオチド配列を示す。そのcDNAがコードするアミノ酸配列も示す。ヒトT細胞T22由来のcDNAライブラリーからこのcDNAクローンを単離した。コードされるタンパク質は(N末端からC末端へ)、N末端シクナルペプチド、続いて細胞外ドメイン、膜貫通領域(下線を施した)、および細胞質ドメインを含む;PCT 公開WO 01/92340 A3に詳述。図1A〜1Cの配列は、それぞれSEQ ID NO:1および2にも示される。
図1A〜1Cは、ヒトIL−4受容体アルファcDNAのコード領域のヌクレオチド配列を示す。そのcDNAがコードするアミノ酸配列も示す。ヒトT細胞T22由来のcDNAライブラリーからこのcDNAクローンを単離した。コードされるタンパク質は(N末端からC末端へ)、N末端シクナルペプチド、続いて細胞外ドメイン、膜貫通領域(下線を施した)、および細胞質ドメインを含む;PCT 公開WO 01/92340 A3に詳述。図1A〜1Cの配列は、それぞれSEQ ID NO:1および2にも示される。
図1A〜1Cは、ヒトIL−4受容体アルファcDNAのコード領域のヌクレオチド配列を示す。そのcDNAがコードするアミノ酸配列も示す。ヒトT細胞T22由来のcDNAライブラリーからこのcDNAクローンを単離した。コードされるタンパク質は(N末端からC末端へ)、N末端シクナルペプチド、続いて細胞外ドメイン、膜貫通領域(下線を施した)、および細胞質ドメインを含む;PCT 公開WO 01/92340 A3に詳述。図1A〜1Cの配列は、それぞれSEQ ID NO:1および2にも示される。
図2A〜2Dは、L鎖可変部をコードするポリヌクレオチド配列:L1 (SEQ ID NO:3)、L2 (SEQ ID NO:5)、L3 (SEQ ID NO:7)、L4 (SEQ ID NO:9)、L5 (SEQ ID NO:11)、およびL6 (SEQ ID NO:13)、ならびにH鎖可変部をコードするポリヌクレオチド配列:H1 (SEQ ID NO:15)、H2 (SEQ ID NO:17)、H3 (SEQ ID NO:19)、H4 (SEQ ID NO:21)、H5 (SEQ ID NO:23)、H6 (SEQ ID NO:25)、H7 (SEQ ID NO:27)、H8 (SEQ ID NO:29)、H9 (SEQ ID NO:31)、H10 (SEQ ID NO:33)、H11 (SEQ ID NO:35)、H12 (SEQ ID NO:37)、H13 (SEQ ID NO:39)、H14 (SEQ ID NO:41)、H15 (SEQ ID NO:43)、H16 (SEQ ID NO:45)、H17 (SEQ ID NO:47)、H18 (SEQ ID NO:49)、H19 (SEQ ID NO:51)、H20 (SEQ ID NO:53)、H21 (SEQ ID NO:55)、H22 (SEQ ID NO:57)、H23 (SEQ ID NO:59)、およびH24 (SEQ ID NO:61)を示す。これらの配列は一文字ヌクレオチド略号を用いて示してある。各配列についてCDR1、CDR2およびCDR3領域に対応する配列を太字で示し、L1およびH1中に下線を施した。FR1、FR2、FR3およびFR4に対応する配列を普通の文字で示す。
図2A〜2Dは、L鎖可変部をコードするポリヌクレオチド配列:L1 (SEQ ID NO:3)、L2 (SEQ ID NO:5)、L3 (SEQ ID NO:7)、L4 (SEQ ID NO:9)、L5 (SEQ ID NO:11)、およびL6 (SEQ ID NO:13)、ならびにH鎖可変部をコードするポリヌクレオチド配列:H1 (SEQ ID NO:15)、H2 (SEQ ID NO:17)、H3 (SEQ ID NO:19)、H4 (SEQ ID NO:21)、H5 (SEQ ID NO:23)、H6 (SEQ ID NO:25)、H7 (SEQ ID NO:27)、H8 (SEQ ID NO:29)、H9 (SEQ ID NO:31)、H10 (SEQ ID NO:33)、H11 (SEQ ID NO:35)、H12 (SEQ ID NO:37)、H13 (SEQ ID NO:39)、H14 (SEQ ID NO:41)、H15 (SEQ ID NO:43)、H16 (SEQ ID NO:45)、H17 (SEQ ID NO:47)、H18 (SEQ ID NO:49)、H19 (SEQ ID NO:51)、H20 (SEQ ID NO:53)、H21 (SEQ ID NO:55)、H22 (SEQ ID NO:57)、H23 (SEQ ID NO:59)、およびH24 (SEQ ID NO:61)を示す。これらの配列は一文字ヌクレオチド略号を用いて示してある。各配列についてCDR1、CDR2およびCDR3領域に対応する配列を太字で示し、L1およびH1中に下線を施した。FR1、FR2、FR3およびFR4に対応する配列を普通の文字で示す。
図2A〜2Dは、L鎖可変部をコードするポリヌクレオチド配列:L1 (SEQ ID NO:3)、L2 (SEQ ID NO:5)、L3 (SEQ ID NO:7)、L4 (SEQ ID NO:9)、L5 (SEQ ID NO:11)、およびL6 (SEQ ID NO:13)、ならびにH鎖可変部をコードするポリヌクレオチド配列:H1 (SEQ ID NO:15)、H2 (SEQ ID NO:17)、H3 (SEQ ID NO:19)、H4 (SEQ ID NO:21)、H5 (SEQ ID NO:23)、H6 (SEQ ID NO:25)、H7 (SEQ ID NO:27)、H8 (SEQ ID NO:29)、H9 (SEQ ID NO:31)、H10 (SEQ ID NO:33)、H11 (SEQ ID NO:35)、H12 (SEQ ID NO:37)、H13 (SEQ ID NO:39)、H14 (SEQ ID NO:41)、H15 (SEQ ID NO:43)、H16 (SEQ ID NO:45)、H17 (SEQ ID NO:47)、H18 (SEQ ID NO:49)、H19 (SEQ ID NO:51)、H20 (SEQ ID NO:53)、H21 (SEQ ID NO:55)、H22 (SEQ ID NO:57)、H23 (SEQ ID NO:59)、およびH24 (SEQ ID NO:61)を示す。これらの配列は一文字ヌクレオチド略号を用いて示してある。各配列についてCDR1、CDR2およびCDR3領域に対応する配列を太字で示し、L1およびH1中に下線を施した。FR1、FR2、FR3およびFR4に対応する配列を普通の文字で示す。
図2A〜2Dは、L鎖可変部をコードするポリヌクレオチド配列:L1 (SEQ ID NO:3)、L2 (SEQ ID NO:5)、L3 (SEQ ID NO:7)、L4 (SEQ ID NO:9)、L5 (SEQ ID NO:11)、およびL6 (SEQ ID NO:13)、ならびにH鎖可変部をコードするポリヌクレオチド配列:H1 (SEQ ID NO:15)、H2 (SEQ ID NO:17)、H3 (SEQ ID NO:19)、H4 (SEQ ID NO:21)、H5 (SEQ ID NO:23)、H6 (SEQ ID NO:25)、H7 (SEQ ID NO:27)、H8 (SEQ ID NO:29)、H9 (SEQ ID NO:31)、H10 (SEQ ID NO:33)、H11 (SEQ ID NO:35)、H12 (SEQ ID NO:37)、H13 (SEQ ID NO:39)、H14 (SEQ ID NO:41)、H15 (SEQ ID NO:43)、H16 (SEQ ID NO:45)、H17 (SEQ ID NO:47)、H18 (SEQ ID NO:49)、H19 (SEQ ID NO:51)、H20 (SEQ ID NO:53)、H21 (SEQ ID NO:55)、H22 (SEQ ID NO:57)、H23 (SEQ ID NO:59)、およびH24 (SEQ ID NO:61)を示す。これらの配列は一文字ヌクレオチド略号を用いて示してある。各配列についてCDR1、CDR2およびCDR3領域に対応する配列を太字で示し、L1およびH1中に下線を施した。FR1、FR2、FR3およびFR4に対応する配列を普通の文字で示す。
L鎖可変部のアミノ酸配列:L1 (SEQ ID NO:4)、L2 (SEQ ID NO:6)、L3、(SEQ ID NO:8)、L4 (SEQ ID NO:10)、L5 (SEQ ID NO:12)、およびL6 (SEQ ID NO:14)、ならびにH鎖可変部のアミノ酸配列: H1 (SEQ ID NO:16)、H2 (SEQ ID NO:18)、H3 (SEQ ID NO:20)、H4 (SEQ ID NO:22)、H5 (SEQ ID NO:24)、H6 (SEQ ID NO:26)、H7 (SEQ ID NO:28)、H8 (SEQ ID NO:30)、H9 (SEQ ID NO:32)、H10 (SEQ ID NO:34)、H11 (SEQ ID NO:36)、H12 (SEQ ID NO:38)、H13 (SEQ ID NO:40)、H14 (SEQ ID NO:42)、H15 (SEQ ID NO:44)、H16 (SEQ ID NO:46)、H17 (SEQ ID NO:48)、H18 (SEQ ID NO:50)、H19 (SEQ ID NO:52)、H20 (SEQ ID NO:54)、H21 (SEQ ID NO:56)、H22 (SEQ ID NO:58)、H23 (SEQ ID NO:60)、およびH24 (SEQ ID NO:62)を示す。L1およびH1可変部の配列は一文字アミノ酸略号を用いて示してある。他のL鎖およびH鎖可変部配列は、それらがL1またはH1と同一である場合は長点で、それらがL1またはH1と異なる場合は適切な一文字アミノ酸略号で示してある。各配列についてCDR1、CDR2およびCDR3領域に対応する配列を太字で示し、L1およびH1中に下線を施した。FR1、FR2、FR3およびFR4に対応する配列を普通の文字で示す。