以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態として、車両後部に設置されたリアカメラの撮影映像を俯瞰映像に変換して車室内に設置された表示装置の表示画面に表示する駐車支援装置に対して本発明を適用した例について説明する。
本実施形態の駐車支援装置の概略構成を図1に示す。この図1に示す駐車支援装置は、表示対象となる俯瞰映像を作成する画像処理ユニット10を主要な構成要素として備え、この画像処理ユニット10の入力側にリアカメラ1が接続され、出力側に表示装置2が接続された構成とされる。また、画像処理ユニット10の入力側には、リアカメラ1のほか、表示切替スイッチ3、操作入力デバイス4、車両情報取得装置5がそれぞれ接続されている。
リアカメラ1は、例えば180度程度の画角を有する広角カメラよりなり、車両後部に設置されている。そして、このリアカメラ1は、画像処理ユニット10からの指令に応じて車両後方の所定領域の映像を撮影し、撮影した映像を電気信号に変換して、例えば、コンポジット信号(アナログ形式の映像信号)として、所定のアナログ通信線を介して画像処理ユニット10に出力する。
表示装置2は、例えば車室内に設置された液晶ディスプレイ等からなり、画像処理ユニット10から出力された映像信号に基づく表示処理を行なうことで、表示画面に車両後方の俯瞰映像を表示する。なお、この表示装置2としては、本実施形態の駐車支援装置に専用の表示装置を用いてもよいが、例えば車載ナビゲーション装置など、車両に搭載されている他の装置で用いる表示装置を利用するようにしてもよい。この場合、表示切替えスイッチ3の操作によって、表示装置2の表示画面に表示する映像の切り替えが行われることになる。
表示切替えスイッチ3は、表示装置2に車両後方の俯瞰映像を表示させる際に車両乗員が操作するスイッチであり、例えば、車室内のインストゥルメントパネルなどに設置される。この表示切替えスイッチ3を用いて車両乗員が表示装置2に車両後方の俯瞰映像を表示させる旨の操作を行うと、その情報は画像処理ユニット10に入力される。
操作入力デバイス4は、車両乗員が俯瞰映像の表示開始以外の各種の指示を入力するためのものであり、例えば、コンビネーションスイッチやジョイスティック、音声入力装置など、一般的に利用されている各種入力デバイスが利用可能である。また、表示装置2としてタッチパネル式の表示画面を有するタッチパネルディスプレイを用いる場合は、表示装置2のタッチパネルも操作入力デバイス4として利用されることになる。この操作入力デバイス2を用いて車両乗員が各種の操作を行うと、その操作に応じた指示が画像処理ユニット10に入力される。
車両情報取得装置5は、車両の現在のステアリング操作角度やシフト位置などを表す各種車両情報を取得するものである。この車両情報取得装置5により取得された各種の車両情報は、画像処理ユニット10からの要求に応じて、画像処理ユニット10へと適宜入力される。
画像処理ユニット10は、リアカメラ2の撮影映像を用いて俯瞰映像を作成し、この俯瞰映像に目標駐車スペースを表す枠図形や、車両の現在位置から目標駐車スペースまでの目標軌道を表す目標軌道線、車両の現在位置からの予想軌道を表す予想軌道線などを必要に応じて重畳して、表示対象の俯瞰映像として表示装置2に出力するものであり、例えば、各種の電気・電子素子によって構成された映像処理回路や、半導体チップによって構成されたデジタル画像処理回路などによって構成されている。
特に、この画像処理ユニット10は、本発明に関わる部分として、図2に示すように、リアカメラ1から映像信号として入力された撮影映像をフレーム毎に一時的に保持する入力フレームバッファ11と、表示装置2に対して出力する表示対象の俯瞰映像をフレーム毎に一時的に保持する出力フレームバッファ12と、入力フレームバッファ11に保持されたリアカメラの撮影映像を俯瞰映像に変換して出力フレームバッファ12に書き込む視点変換処理部13とを備える。また、この画像処理ユニット10には、俯瞰映像に重畳して表示装置2に表示させる枠図形の表示位置及び方向を決定する枠図形表示位置決定部14や、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に枠図形を描画する枠図形描画部15、車両を駐車させる目標となる目標駐車スペースを特定する目標駐車スペース特定部16、車両の現在位置から目標駐車スペースまでの目標軌道を算出する目標軌道算出部17、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に目標軌道線を描画する目標軌道線描画部18、車両の現在位置からの予想軌道を算出する予想軌道算出部19、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に予想軌道線を描画する予想軌道線描画部20が設けられている。
リアカメラ1から出力された撮影映像の映像信号は、A/D変換されてRGB信号にデコードされた上で、リアカメラ1の撮影映像のフレームを構成するフレームデータとして、画像処理ユニット10の入力フレームバッファ11に格納される。そして、画像処理ユニット10の視点変換処理部13が、例えば、入力フレームバッファ11の画素毎のアドレスと出力フレームバッファ12の画素毎のアドレスとの対応関係を記載した変換マップなどを用い、入力フレームバッファ11に格納されているリアカメラ1の撮影映像を、車両上方の仮想視点から見下ろした俯瞰映像に変換する処理を行ない、変換した俯瞰映像の映像データを出力フレームバッファ12に格納する。
出力フレームバッファ12に格納された俯瞰映像の映像データ(RGB信号)は、リアカメラ1の撮影周期に同期したタイミングで、コンポジット信号にエンコードされてD/A変換された上で画像処理ユニット10から出力され、所定のアナログ通信線を介して表示装置2に出力される。そして、表示装置2がこの画像処理ユニット10からの映像信号に基づいて表示動作を行うことで、表示装置2の表示画面に、例えば図3(a)に示すような俯瞰映像が表示されることになる。なお、図3(a)に示す俯瞰映像は、車両を所定の駐車スペースに並列駐車させるシーンにおいて、リアカメラ1により撮影された図3(b)に示すような撮影映像を視点変換処理して作成したものである。
また、本実施形態の駐車支援装置では、画像処理ユニット10の枠図形描画部15が、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に枠図形を描画することで、表示装置2の表示画面上に、俯瞰映像に重畳して車両の外形に対応した大きさの枠図形を表示させるようにしている。また、車両を駐車させる目標となる目標駐車スペースが特定されたときには、目標軌道線描画部18が出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に目標軌道線を描画し、予想軌道線描画部20が出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に予想軌道線を描画することで、表示装置2の表示画面上に、俯瞰映像に重畳して目標軌道線や予想軌道線を表示させるようにしている。
表示装置2の表示画面上における枠図形の表示位置や方向は、画像処理ユニット10の枠図形表示位置決定部14により決定される。枠図形表示位置決定部14は、例えば、車両乗員による表示切替えスイッチ3の操作があった場合や、車両情報取得装置5で取得された車両情報(例えば、シフト位置がバックで車速が所定値以下など)に基づいて車両が駐車態勢に入ったと判定された場合など、俯瞰映像の表示開始を指示する旨の何らかのトリガを検出した場合には、まず、表示装置2の表示画面上における枠図形の表示位置及び方向を、予め定めておいた所定の基準位置及び方向に決定する。そして、枠図形描画部15が、この枠図形表示位置決定部14により決定された表示位置及び方向の情報をもとに、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に枠図形を描画することで、例えば図4(a)に示すように、表示装置2の表示画面上における所定の基準位置に所定の方向で、車両の外形に対応した大きさの枠図形Fが、俯瞰映像に重畳して表示されることになる。
なお、このような俯瞰映像の表示開始時に枠図形Fを表示させる基準位置及び方向は、例えば、車両の現在位置から所定距離だけ離れた後方の位置に車両に対して平行な向きといったように、必ず一定の表示位置及び方向となるように定めていてもよいが、例えば、頻繁に利用する駐車スペースなどで、車両が駐車態勢に入ったときの車両に対する駐車スペースの位置や向きが予め分かっている場所については、その駐車スペースの位置情報と枠図形Fの表示位置及び方向の情報とを関連付けて記憶させておき、車両がその駐車スペースに近づいて駐車態勢に入ったときは、俯瞰映像の表示開始時に、記憶している表示位置及び方向で枠図形Fを表示させるようにしてもよい。
また、本実施形態の駐車支援装置において、表示装置2の表示画面上における枠図形Fの表示位置や方向は、車両乗員がコンビネーションスイッチやジョイスティック、音声入力装置、タッチパネルなどの操作入力デバイス4を用いた操作を行うことで、任意の位置及び方向に変更できるようになっている。すなわち、俯瞰映像の表示が開始された後、車両乗員が操作入力デバイス4を用いて表示装置2の表示画面上における枠図形Fの表示位置や方向を変更する操作を行うと、その操作内容を示す情報が画像処理ユニット10の枠図形表示位置決定部14に入力される。枠図形表示位置決定部14は、操作入力デバイス4から車両乗員の操作内容を示す情報が入力されると、その操作内容に応じて、表示装置2の表示画面上における枠図形Fの表示位置や方向を決定する。そして、枠図形描画部15が、この枠図形表示位置決定部14により決定された表示位置及び方向の情報をもとに、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に枠図形Fを描画することで、表示装置2の表示画面上における枠図形Fの表示位置や方向が変更され、例えば図4(b)に示すように、車両の乗員が指定した任意の表示位置に任意の方向で、車両の外形に対応した大きさの枠図形Fが、俯瞰映像に重畳して表示されることになる。
ここで、車両乗員による枠図形Fの表示位置や方向を変更する操作は、例えば、表示装置2の表示画面に重畳表示されている枠図形Fを表示画面上で回転させたり、表示画面上の縦方向及び横方向に平行移動させることによって行われる。具体的には、図4(a)に例示した枠図形Fの表示位置及び方向を図4(b)に例示した表示位置及び方向に変更する場合、車両乗員は、例えば図5に示すように、まず、枠図形Fをその対角線の中点を中心に回転させ(図5中の矢印A)、回転させた枠図形Fを縦方向に平行移動させ(図5中の矢印B)、次に横方向に平行移動させる(図5中の矢印C)といった手順で操作すればよい。なお、枠図形Fを回転させる操作や縦方向に移動させる操作、横方向に移動させる操作の順番は任意であり、車両の乗員が操作しやすい順番とすればよい。
また、本実施形態の駐車支援装置では、車両の乗員が操作入力デバイス4を用いて、表示装置2の表示画面上における枠図形Fの表示位置及び方向を確定する旨の指示を入力すると、画像処理ユニット10の目標駐車スペース特定部16が、表示装置2の表示画面上で枠図形Fが表示されている位置に、枠図形Fが表示されている向きで、目標とする駐車スペースが存在すると認識して、そこを目標駐車スペースとして特定する。
そして、画像処理ユニット10の目標駐車スペース特定部16により目標駐車スペースが特定されると、目標軌道算出部17が、車両の現在位置から目標駐車スペースまで、例えばステアリング操作角度を一定のまま移動できる理想的な軌道を、目標軌道として算出する。そして、目標軌道線描画部18が、この目標軌道算出部17により算出された目標軌道の情報をもとに、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に目標軌道を表すラインを描画することで、例えば図6(a)に示すように、表示装置2の表示画面上に、車両を現在位置から目標駐車スペースへと移動させる際の指標となる目標軌道線L1が、俯瞰映像に重畳して表示されることになる。
また、画像処理ユニット10の目標駐車スペース特定部16により目標駐車スペースが特定されると、予想軌道算出部19が、車両情報取得装置5で取得されたステアリング操作角度の情報やシフト位置の情報から、車両の現在のステアリング操作角度と進行方向とを判定し、それに基づいて、車両を現在位置からそのままのステアリング操作角度で進行方向に沿って移動させたときの軌道を、予想軌道として算出する。そして、予想軌道線描画部20が、この予想軌道算出部19により算出された予想軌道の情報をもとに、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に予想軌道を表すラインを描画することで、例えば図6(a)に示すように、表示装置2の表示画面上に、車両を現在位置からそのまま移動させた場合の軌道を表す予想軌道線L2が、俯瞰映像に重畳して表示されることになる。
本実施形態の駐車支援装置では、以上のように、表示装置2の表示画面に表示されている俯瞰映像上で目標駐車スペースが特定されたときに、目標軌道線L1及び予想軌道線L2を表示画面上に表示することで、目標駐車スペースへの車両の駐車を容易に行えるように、車両の運転者による運転操作を支援する。すなわち、車両の運転者は、例えば図6(a)のような表示装置2の表示画面を見ながら、車両の現在のステアリング操作角度を反映した予想軌道線L2が目標軌道線L1に重なるように車両のステアリングを操作し、表示装置2の表示画面に例えば図6(b)に示すような俯瞰映像が表示された状態で、車両を徐々に後退させる操作を行えば、目標駐車スペースに車両を適切に駐車させることができる。
ここで、本実施形態の駐車支援装置において、表示装置2の表示画面に俯瞰映像を表示させる際の画像処理ユニット10による一連の処理の流れについて、図7及び図8のフローチャートを参照しながら説明する。なお、図7の処理フローはリアカメラ1の撮影周期に同期して画像処理ユニット10により繰り返し実行されるメインルーチンであり、図8の処理フローは、図7のステップS13における描画処理の詳細を示すサブルーチンである。
図7の処理フローは、例えば、車両乗員による表示切替えスイッチ3の操作があった場合や、車両情報取得装置5で取得された車両情報に基づいて車両が駐車態勢に入ったと判定された場合など、俯瞰映像の表示開始を指示する旨の何らかのトリガを検出した場合に開始される。
図7の処理フローが開始されると、まず、ステップS11において、リアカメラ1により撮影された撮影映像が画像処理装置10に取り込まれ、フレームごとの映像データとして入力フレームバッファ11に格納される。次に、ステップS12において、視点変換処理部13が、変換マップなどを用いて入力フレームバッファ11に格納されているリアカメラ1の撮影映像を、車両上方の仮想視点から見下ろした俯瞰映像に変換する処理を行ない、変換した俯瞰映像の映像データを出力フレームバッファ12に格納する。
次に、ステップS13において、枠図形描画部15が出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に枠図形Fを描画する処理を行なうとともに、必要に応じて、目標軌道線描画部18が目標軌道線L1、予想軌道線描画部20が予想軌道線L2をそれぞれ描画する処理を行なう。そして、ステップS14において、出力フレームバッファ12に保持された表示対象の俯瞰映像の映像データが画像処理装置10から表示装置2へと出力される。これにより、表示装置2の表示画面には、枠図形Fや目標軌道線L1、予想軌道線L2などが重畳された車両後方の俯瞰映像が表示されることになる。
なお、この図7の処理フローは、車両の駐車が完了して、俯瞰映像の表示停止を指示する旨の何らかのトリガを検出するまで、或いは駐車支援装置の電源がオフするまで、リアカメラ1の撮影周期に同期して繰り返し行われ、俯瞰映像の表示停止の指示や駐車支援装置の電源オフなどが行われた段階で終了する。
図7のステップS13における枠図形Fや目標軌道線L1、予想軌道線L2の描画処理は、図8の処理フローに従って行われる。図8の処理フローが開始されると、まず、ステップS101において、俯瞰映像に重畳して表示装置2の表示画面上に表示された枠図形Fの表示位置及び方向を変更する旨の車両乗員による操作がなされたか否かが判断される。ここで、俯瞰映像の表示を開始した直後の処理では、車両乗員による操作はなされていない状態であるので、ステップS101では否定の判定となりステップS102に進む。
この場合、ステップS102において、枠図形表示位置決定部14が、枠図形Fの表示位置及び方向を、予め定めておいた所定の基準位置及び方向に決定する。そして、ステップS103において、枠図形描画部15が、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上の所定の基準位置に所定の方向で枠図形Fを描画する処理を行なう。これにより、表示装置2の表示画面上には、所定の基準位置に所定の方向で枠図形Fが重畳された俯瞰映像が表示されることになる。
一方、俯瞰映像の表示を開始して、表示装置2の表示画面上における所定の基準位置に所定の方向で枠図形Fを重畳した俯瞰映像を表示した後の処理周期において、車両の乗員が操作入力デバイス4を用いて、この俯瞰映像上の枠図形Fの表示位置や方向を変更させる操作を行うと、ステップS101では肯定の判定となりステップS104に進む。
この場合、ステップS104において、枠図形表示位置決定部14が、操作入力デバイス4から入力された車両乗員の操作入力の内容に応じて、枠図形Fの表示位置や方向を決定する。そして、ステップS105において、枠図形描画部15が、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上のステップS104で決定した表示位置にステップS104で決定した方向で枠図形Fを描画する処理を行なう。これにより、表示装置2の表示画面上には、車両乗員の操作に応じた位置に車両乗員の操作に応じた方向で枠図形Fが重畳された俯瞰映像が表示されることになる。
次に、ステップS106において、車両乗員の操作入力デバイス4を用いた操作により、表示装置2の表示画面上における枠図形Fの表示位置及び方向を確定する旨の指示が入力されたか否かが判断される。そして、枠図形Fの表示位置及び方向を確定する旨の指示が入力されない間は、そのまま図8の処理フローを終了する。一方、枠図形Fの表示位置及び方向を確定する旨の指示が入力された場合には、次のステップS107へと処理を移行する。
ステップS106で肯定の判定となりステップS107に進んだ場合は、ステップS107において、目標駐車スペース特定部16が、現在、表示装置2の表示画面上で枠図形Fが表示されている位置に、枠図形Fが表示されている向きで、目標とする駐車スペースが存在すると認識して、そこを目標駐車スペースとして特定する。
次に、ステップS108において、目標軌道算出部17が、車両の現在位置からステップS107で特定された目標駐車スペースまでの理想的な車両の軌道を、目標軌道として算出する。そして、ステップS109において、目標軌道線描画部18が、ステップS108で算出された目標軌道の情報をもとに、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に目標軌道線L1を描画する処理を行なう。
また、ステップS110において、予想軌道算出部19が、車両の現在のステアリング操作角度と進行方向に基づいて、車両を現在位置からそのままのステアリング操作角度で進行方向に沿って移動させたときの軌道を、予想軌道として算出する。そして、ステップS111において、予想軌道線描画部20が、ステップS110で算出された予想軌道の情報をもとに、出力フレームバッファ12に保持された俯瞰映像上に予想軌道線L2を描画する処理を行なって、図8の処理フローを終了する。
以上のステップS107からステップS111までの処理により、表示装置2の表示画面上には、車両を現在位置から目標駐車スペースへと移動させる際の指標となる目標軌道線L1や、車両を現在位置からそのまま移動させた場合の軌道を表す予想軌道線L2が重畳された俯瞰映像が表示されることになる。したがって、車両の運転者は、表示装置2の表示画面を見ながら、予想軌道線L2が目標軌道線L1に重なるように車両のステアリングを操作して車両を徐々に後退させる操作を行うことで、目標駐車スペースに車両を適切に駐車させることができる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援装置は、リアカメラ1の撮影映像を俯瞰映像に変換して表示装置2の表示画面に表示するに際して、俯瞰映像の表示開始時には、車両の外形に対応した大きさの枠図形Fを表示画面上における所定の基準位置に所定の方向で俯瞰映像に重畳して表示し、車両乗員による操作に応じてその枠図形Fの表示位置や方向を変更できるようにして、変更した後の枠図形Fの表示位置及び方向に基づいて、車両を駐車させる目標となる目標駐車スペースを特定するようにしている。したがって、本実施形態の駐車支援装置によれば、車両の乗員は、表示装置2の表示画面に表示された枠図形Fを基準として、俯瞰映像上で車両の駐車が可能な十分な広さを有する駐車スペースを探し、駐車が可能な駐車スペースがあれば、表示画面上のその位置に枠図形Fを移動させるといった極めて単純且つ直感的な操作で目標駐車スペースを指定することができ、目標駐車スペースを指定する際の操作性の向上が実現される。
また、本実施形態の駐車支援装置によれば、表示装置2の表示画面に表示されている俯瞰映像上で目標駐車スペースが特定されたときに、車両を現在位置から目標駐車スペースへと移動させる際の指標となる目標軌道線L1や、車両を現在位置からそのまま移動させた場合の軌道を表す予想軌道線L2を、俯瞰画像に重畳して表示画面に表示するようにしているので、車両の運転者は、表示装置2の表示画面を見ながら、予想軌道線L2が目標軌道線L1に重なるように車両のステアリングを操作して車両を徐々に後退させる操作を行うことで、目標駐車スペースに車両を適切に駐車させることができ、車両駐車時における運転者の運転操作を適切に支援することができる。
なお、以上説明した本実施形態の駐車支援装置では、表示装置2の表示画面上に目標軌道線L1や予想軌道線L2を表示して、車両の運転者に、表示画面上の予想軌道線L2が目標軌道線L1に重なるように車両のステアリングを操作させることで、運転者の運転操作を支援するようにしているが、表示装置2の表示画面に表示されている俯瞰映像上で目標駐車スペースが特定されたときに、車両の現在位置から目標駐車スペースまでの目標軌道を算出して、この目標軌道に沿って車両が移動するように、車両のステアリング操作角度を自動調整することによって、車両駐車時における運転者の運転操作を支援するようにしてもよい。この場合、車両の運転者は、アクセルペダル及びブレーキペダルを適宜操作するのみで、車両を目標駐車スペースに駐車させることができるので、運転者による運転操作はより簡便なものとなる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態として、車両前方、後方、左右両側方の各領域の映像を4つの車載カメラでそれぞれ撮影し、これら4つの車載カメラで撮影された撮影画像を俯瞰映像に変換するとともに繋ぎ合わせて、車両周囲全域を車両上方の仮想視点から見下ろした様子を表す1つの連続した車両周囲俯瞰映像として車室内に設置された表示装置の表示画面に表示する駐車支援装置に対して本発明を適用した例について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成要素については、図中同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態の駐車支援装置の概略構成を図9に示す。この図9に示す駐車支援装置は、表示対象となる車両周囲俯瞰映像を作成する画像処理ユニット30を主要な構成要素として備え、この画像処理ユニット30の入力側にフロントカメラ21、リアカメラ22、右サイドカメラ23、左サイドカメラ24の4つの車載カメラがそれぞれ接続され、出力側に表示装置2が接続された構成とされる。また、画像処理ユニット10の入力側には、4つの車載カメラ21,22,23,24のほか、表示切替スイッチ3、操作入力デバイス4、車両情報取得装置5がそれぞれ接続されている。
フロントカメラ21、リアカメラ22、右サイドカメラ23、左サイドカメラ24の4つの車載カメラは、例えば180度程度の画角を有する広角カメラよりなり、これら4つの車載カメラで車両周囲を囲む全ての領域の映像を撮影できるように、車両の適所に搭載されている。具体的には、フロントカメラ21は、図10に示すように、車両前方のフロントバンパーなどに設置され、車両前方の所定の被撮影領域A1の映像を地面に対して斜めに見下ろす方向で撮影する。また、リアカメラ22は、車両後方のリアバンパーなどに設置され、車両後方の所定の被撮影領域A2の映像を地面に対して斜めに見下ろす方向で撮影する。また、右サイドカメラ23は、車両右側のサイドミラーなどに設置され、車両右側方の所定の被撮影領域A3の映像を地面に対して斜めに見下ろす方向で撮影する。さらに、左サイドカメラ24は、車両左側のサイドミラーなどに設置され、車両左側方の所定の被撮影領域A4の映像を地面に対して斜めに見下ろす方向で撮影する。そして、これら4つの車載カメラ21,22,23,24は、それぞれ画像処理ユニット30からの指令に応じて所定の被撮影領域A1,A2,A3,A4の映像を撮影し、撮影した映像を電気信号に変換して、例えば、コンポジット信号(アナログ形式の映像信号)として、所定のアナログ通信線を介して画像処理ユニット30に出力する。
画像処理ユニット30は、フロントカメラ21、リアカメラ22、右サイドカメラ23、左サイドカメラ24の4つの車載カメラの撮影映像を用いて、車両周囲全域を車両上方の仮想視点から見下ろした様子を表す車両周囲俯瞰映像を作成し、この車両周囲俯瞰映像に目標駐車スペースを表す第1枠図形や、目標駐車スペースに切り返し操作を行うことなく駐車可能な推奨駐車開始位置を示す第2枠図形、推奨駐車開始位置から目標駐車スペースまでの目標軌道を表す第2目標軌道線、推奨駐車開始位置からの予想軌道を表す第2予想軌道線などを必要に応じて重畳して、表示対象の俯瞰映像として表示装置2に出力するものであり、例えば、各種の電気・電子素子によって構成された映像処理回路や、半導体チップによって構成されたデジタル画像処理回路などによって構成されている。
特に、この画像処理ユニット30は、本発明に関わる部分として、図11に示すように、4つの車載カメラ21,22,23,24から映像信号として入力された撮影映像をフレーム毎に一時的に保持する4つの入力フレームバッファ31a,31b,31c,31dと、表示装置2に対して出力する表示対象の車両周囲俯瞰映像の映像データをフレーム毎に一時的に保持する出力フレームバッファ32と、入力フレームバッファ31a,31b,31c,31dに保持された車載カメラ21,22,23,24の撮影映像から各々必要な映像領域を切り出して俯瞰映像に変換し、1つの連続した車両周囲俯瞰映像として出力フレームバッファ32に書き込む視点変換処理部33とを備える。また、この画像処理ユニット30には、車両周囲俯瞰映像に重畳して表示装置2に表示させる第1枠図形の表示位置及び方向を決定する第1枠図形表示位置決定部34や、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に第1枠図形を描画する第1枠図形描画部35、車両を駐車させる目標となる目標駐車スペースを特定する目標駐車スペース特定部36、目標駐車スペースに切り返し操作を行うことなく駐車可能な推奨駐車開始位置を算出する推奨駐車開始位置算出部37、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に推奨駐車位置を示す第2駐車枠を描画する第2枠図形描画部38、推奨駐車開始位置から目標駐車スペースまでの目標軌道を算出する第2目標軌道算出部39、出力フレームバッファ12に保持された車両周囲俯瞰映像上に第2目標軌道線を描画する第2目標軌道線描画部40、推奨駐車開始位置からの予想軌道を算出する第2予想軌道算出部41、出力フレームバッファ12に保持された車両周囲俯瞰映像上に第2予想軌道線を描画する第2予想軌道線描画部42が設けられている。
フロントカメラ21、リアカメラ22、右サイドカメラ23、左サイドカメラ24の4つの車載カメラから出力された撮影映像の映像信号は、それぞれA/D変換されてRGB信号にデコードされた上で、各車載カメラ21,22,23,24の撮影映像のフレームを構成するフレームデータとして、画像処理ユニット30の入力フレームバッファ31a,31b,31c,31dにそれぞれ格納される。そして、画像処理ユニット30の視点変換処理部33が、例えば、入力フレームバッファ31a,31b,31c,31dの画素毎のアドレスと出力フレームバッファ32の画素毎のアドレスとの対応関係を記載した変換マップなどを用い、入力フレームバッファ31a,31b,31c,31dに格納されている各車載カメラ21,22,23,24の撮影映像から必要な映像領域を取り出して、車両上方の仮想視点から見下ろした俯瞰映像に変換する処理を行なうとともにこれらを繋ぎ合わせて、車両周囲全域を現す一連の車両周囲俯瞰映像として、その映像データを出力フレームバッファ32に格納する。
出力フレームバッファ32に格納された車両周囲俯瞰映像の映像データ(RGB信号)は、各車載カメラ21,22,23,24の撮影周期に同期したタイミングで、コンポジット信号にエンコードされてD/A変換された上で画像処理ユニット30から出力され、所定のアナログ通信線を介して表示装置2に出力される。そして、表示装置2がこの画像処理ユニット30からの映像信号に基づいて表示動作を行うことで、表示装置2の表示画面に、例えば図12に示すように、車両周囲全域を車両上方の仮想視点から見下ろした様子を表す車両周囲俯瞰映像が表示されることになる。なお、この図12に例示した車両周囲俯瞰映像において、映像領域B1がフロントカメラ21の撮影映像の一部を切り出して視点変換した映像であり、映像領域B2がリアカメラ22の撮影映像の一部を切り出して視点変換した映像であり、映像領域B3が右サイドカメラ23の撮影映像の一部を切り出して視点変換した映像であり、映像領域B4が左サイドカメラ24の撮影映像の一部を切り出して視点変換した映像である。また、この図12に例示した車両周囲俯瞰映像では、各映像領域の境界にマスク線Mを描画し、その部分が映像の繋ぎ目であることを車両乗員に認識させるようにしている。また、図12に例示した車両周囲俯瞰映像において、映像中央部に表示される画像Cは車両の位置を表す自車画像であり、コンピュータグラフィックス等で作成されて車両周囲俯瞰映像上に重畳されている。
また、本実施形態の駐車支援装置では、画像処理ユニット30の第1枠図形描画部35が、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に第1枠図形を描画することで、表示装置2の表示画面上に、車両周囲俯瞰映像に重畳させて車両の外形に対応した大きさの第1枠図形を表示させるようにしている。また、車両を駐車させる目標となる目標駐車スペースが特定されたときには、第2枠図形描画部38が、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に1つ又は複数の第2枠図形を描画することで、表示装置2の表示画面上に、車両周囲俯瞰映像に重畳して1つ又は複数の推奨駐車開始位置を示す第2枠図形を表示させるようにしている。さらに、本実施形態の駐車支援装置では、車両が第2枠図形で示される推奨駐車開始位置に移動したときには、第2目標軌道線描画部40が出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に第2目標軌道線を描画し、第2予想軌道線描画部42が出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に第2予想軌道線を描画することで、表示装置2の表示画面上に、車両周囲俯瞰映像に重畳して第2目標軌道線や第2予想軌道線を表示させるようにしている。
表示装置2の表示画面上における第1枠図形の表示位置や方向は、画像処理ユニット30の第1枠図形表示位置決定部34により決定される。第1枠図形表示位置決定部34は、例えば、車両乗員による表示切替えスイッチ3の操作があった場合や、車両情報取得装置5で取得された車両情報に基づいて車両が駐車態勢に入ったと判定された場合など、車両周囲俯瞰映像の表示開始を指示する旨の何らかのトリガを検出した場合には、まず、表示装置2の表示画面上における第1枠図形の表示位置及び方向を、予め定めておいた所定の基準位置及び方向に決定する。そして、第1枠図形描画部35が、この第1枠図形表示位置決定部34により決定された表示位置及び方向の情報をもとに、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に第1枠図形を描画することで、例えば図13(a)に示すように、表示装置2の表示画面上における所定の基準位置に所定の方向で、車両の外形に対応した大きさの第1枠図形F1が、車両周囲俯瞰映像に重畳して表示されることになる。
また、本実施形態の駐車支援装置において、表示装置2の表示画面上における第1枠図形F1の表示位置や方向は、車両乗員が操作入力デバイス4を用いた操作を行うことで、任意の位置及び方向に変更できるようになっている。すなわち、車両周囲俯瞰映像の表示が開始された後、車両乗員が操作入力デバイス4を用いて表示装置2の表示画面上における第1枠図形F1の表示位置や方向を変更する操作を行うと、その操作内容を示す情報が画像処理ユニット10の第1枠図形表示位置決定部34に入力される。第1枠図形表示位置決定部34は、操作入力デバイス4から車両乗員の操作内容を示す情報が入力されると、その操作内容に応じて、表示装置2の表示画面上における第1枠図形F1の表示位置や方向を決定する。そして、第1枠図形描画部35が、この第1枠図形表示位置決定部34により決定された表示位置及び方向の情報をもとに、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に第1枠図形F1を描画することで、表示装置2の表示画面上における第1枠図形F1の表示位置や方向が変更され、例えば図13(b)に示すように、車両の乗員が指定した任意の表示位置に任意の方向で、車両の外形に対応した大きさの第1枠図形F1が、車両周囲俯瞰映像に重畳して表示されることになる。
また、本実施形態の駐車支援装置では、車両の乗員が操作入力デバイス4を用いて、表示装置2の表示画面上における第1枠図形F1の表示位置及び方向を確定する旨の指示を入力すると、画像処理ユニット30の目標駐車スペース特定部36が、表示装置2の表示画面上で第1枠図形F1が表示されている位置に、第1枠図形F1が表示されている向きで、目標とする駐車スペースが存在すると認識して、そこを目標駐車スペースとして特定する。
そして、画像処理ユニット30の目標駐車スペース特定部36により目標駐車スペースが特定されると、推奨駐車開始位置算出部37が、予め記憶されている車両の最小回転半径を表す情報に基づいて、目標駐車スペースに切り返し操作を行うことなく駐車可能な車両周囲俯瞰映像上の位置を、推奨駐車開始位置として算出する。このとき、推奨駐車開始位置算出部37は、車両周囲俯瞰映像上で少なくとも1つの推奨駐車開始位置を算出すればよいが、例えば、目標駐車スペース近傍に車両の軌道の妨げとなるような障害物が存在する場合もあることを考慮すると、車両周囲俯瞰映像上で複数の推奨駐車開始位置を算出することが望ましい。そして、第2枠図形描画部38が、この推奨駐車開始位置算出部37で算出された推奨駐車開始位置の情報をもとに、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に1つ又は複数の第2枠図形を描画することで、例えば図14に示すように、表示装置2の表示画面上に、推奨駐車開始位置を示す第2枠図形F2が、車両周囲俯瞰映像に重畳して表示されることになる。なお、図14では、推奨駐車開始位置算出部37で3つの推奨駐車開始位置が算出され、第2枠図形描画部38が、これら推奨駐車開始位置を示す3つの第2枠図形F2を描画した例を示している。
また、本実施形態の駐車支援装置では、表示装置2の表示画面を参照した車両の運転者の運転操作により、車両周囲俯瞰映像上で第2枠図形F2として示されている推奨駐車開始位置に車両が移動したときには、第2目標軌道算出部39が、車両の現在位置である推奨駐車開始位置から目標駐車スペースまで、例えばステアリング操作角度を一定のまま移動できる理想的な軌道を、目標軌道として算出する。そして、第2目標軌道線描画部40が、この第2目標軌道算出部39により算出された目標軌道の情報をもとに、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に目標軌道を表すラインを描画することで、例えば図15(a)に示すように、表示装置2の表示画面上に、車両を推奨駐車開始位置から目標駐車スペースへと移動させる際の指標となる第2目標軌道線L11が、車両周囲俯瞰映像に重畳して表示されることになる。なお、車両が推奨駐車開始位置へと移動させたときに、車両周囲俯瞰映像をそのままの縮尺で表示装置2の表示画面に表示すると、目標駐車スペースが表示画面から外れてしまうような場合には、表示装置2の表示画面に表示する車両周囲俯瞰映像の縮尺を変更して、目標駐車スペースが表示画面内に収まるようにすることが望ましい。
また、車両周囲俯瞰映像上で第2枠図形F2として示されている推奨駐車開始位置に車両が移動すると、第2予想軌道算出部41が、車両情報取得装置5で取得されたステアリング操作角度の情報やシフト位置の情報から、車両の現在のステアリング操作角度と進行方向とを判定し、それに基づいて、車両を推奨駐車開始位置からそのままのステアリング操作角度で進行方向に沿って移動させたときの軌道を、予想軌道として算出する。そして、第2予想軌道線描画部42が、この第2予想軌道算出部41により算出された予想軌道の情報をもとに、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に予想軌道を表すラインを描画することで、例えば図15(a)に示すように、表示装置2の表示画面上に、車両を推奨駐車開始位置からそのまま移動させた場合の軌道を表す第2予想軌道線L12が、車両周囲俯瞰映像に重畳して表示されることになる。
本実施形態の駐車支援装置では、以上のように、表示装置2の表示画面に表示されている車両周囲俯瞰映像上で目標駐車スペースが特定されたときに、推奨駐車開始位置を示す第2枠図形を表示画面上に表示し、車両が推奨駐車開始位置へと移動したときには、第2目標軌道線L11及び第2予想軌道線L12を表示画面上に表示することで、目標駐車スペースへの車両の駐車を容易に行えるように、車両の運転者による運転操作を支援する。すなわち、車両の運転者は、例えば図14のような表示装置2の表示画面を見ながら車両を推奨駐車開始位置に移動させた後、例えば図15(a)のような表示装置2の表示画面を見ながら、車両の現在のステアリング操作角度を反映した第2予想軌道線L12が第2目標軌道線L11に重なるように車両のステアリングを操作し、表示装置2の表示画面に例えば図15(b)に示すような車両周囲俯瞰映像が表示された状態で、車両を徐々に後退させる操作を行えば、目標駐車スペースに車両を適切に駐車させることができる。
ここで、本実施形態の駐車支援装置において、表示装置2の表示画面に車両周囲俯瞰映像を表示させる際の画像処理ユニット30による一連の処理の流れについて、図16及び図17のフローチャートを参照しながら説明する。なお、図16の処理フローは4つの車載カメラ21,22,23,24の撮影周期に同期して画像処理ユニット30により繰り返し実行されるメインルーチンであり、図17の処理フローは、図16のステップS23における描画処理の詳細を示すサブルーチンである。
図16の処理フローは、例えば、車両乗員による表示切替えスイッチ3の操作があった場合や、車両情報取得装置5で取得された車両情報に基づいて車両が駐車態勢に入ったと判定された場合など、車両周囲俯瞰映像の表示開始を指示する旨の何らかのトリガを検出した場合に開始される。
図16の処理フローが開始されると、まず、ステップS21において、フロントカメラ21、リアカメラ22、右サイドカメラ23、左サイドカメラ24の4つの車載カメラにより各々撮影された撮影映像が画像処理装置30に取り込まれ、フレームごとの映像データとして入力フレームバッファ31a,31b,31c,31dにそれぞれ格納される。次に、ステップS22において、視点変換処理部33が、変換マップなどを用いて入力フレームバッファ31a,31b,31c,31dに格納されている各車載カメラ21,22,23,24の撮影映像から必要な映像領域を取り出して、車両上方の仮想視点から見下ろした俯瞰映像に変換する処理を行なうとともにこれらを繋ぎ合わせて、車両周囲全域を現す一連の車両周囲俯瞰映像として、その映像データを出力フレームバッファ32に格納する。
次に、ステップS23において、第1枠図形描画部35が出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に第1枠図形F1を描画する処理を行なうとともに、必要に応じて、第2枠図形描画部38が第2枠図形F2、第2目標軌道線描画部40が第2目標軌道線L11、第2予想軌道線描画部42が第2予想軌道線L12をそれぞれ描画する処理を行なう。そして、ステップS24において、出力フレームバッファ32に保持された表示対象の車両周囲俯瞰映像の映像データが画像処理装置30から表示装置2へと出力される。これにより、表示装置2の表示画面には、第1枠図形F1や第2枠図形F2、第2目標軌道線L11、第2予想軌道線L12などが重畳された車両周囲俯瞰映像が表示されることになる。
なお、この図16の処理フローは、車両の駐車が完了して、車両周囲俯瞰映像の表示停止を指示する旨の何らかのトリガを検出するまで、或いは駐車支援装置の電源がオフするまで、4つの車載カメラ21,22,23,24の撮影周期に同期して繰り返し行われ、車両周囲俯瞰映像の表示停止の指示や駐車支援装置の電源オフなどが行われた段階で終了する。
図16のステップS23における第1枠図形F1や第2枠図形F2、第2目標軌道線L11、第2予想軌道線L12の描画処理は、図17の処理フローに従って行われる。図17の処理フローが開始されると、まず、ステップS201において、車両周囲俯瞰映像に重畳して表示装置2の表示画面上に表示された第1枠図形F1の表示位置及び方向を変更する旨の車両乗員による操作がなされたか否かが判断される。ここで、車両周囲俯瞰映像の表示を開始した直後の処理では、車両乗員による操作はなされていない状態であるので、ステップS201では否定の判定となりステップS202に進む。
この場合、ステップS202において、第1枠図形表示位置決定部34が、第1枠図形F1の表示位置及び方向を、予め定めておいた所定の基準位置及び方向に決定する。そして、ステップS203において、第1枠図形描画部35が、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上の所定の基準位置に所定の方向で第1枠図形F1を描画する処理を行なう。これにより、表示装置2の表示画面上には、所定の基準位置に所定の方向で第1枠図形F1が重畳された車両周囲俯瞰映像が表示されることになる。
一方、車両周囲俯瞰映像の表示を開始して、表示装置2の表示画面上における所定の基準位置に所定の方向で第1枠図形F1を重畳した車両周囲俯瞰映像を表示した後の処理周期において、車両の乗員が操作入力デバイス4を用いて、この車両周囲俯瞰映像上の第1枠図形F1の表示位置や方向を変更させる操作を行うと、ステップS201では肯定の判定となりステップS204に進む。
この場合、ステップS204において、第1枠図形表示位置決定部34が、操作入力デバイス4から入力された車両乗員の操作入力の内容に応じて、第1枠図形F1の表示位置や方向を決定する。そして、ステップS205において、第1枠図形描画部35が、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上のステップS204で決定した表示位置にステップS204で決定した方向で第1枠図形F1を描画する処理を行なう。これにより、表示装置2の表示画面上には、車両乗員の操作に応じた位置に車両乗員の操作に応じた方向で第1枠図形F1が重畳された車両周囲俯瞰映像が表示されることになる。
次に、ステップS206において、車両乗員の操作入力デバイス4を用いた操作により、表示装置2の表示画面上における第1枠図形F1の表示位置及び方向を確定する旨の指示が入力されたか否かが判断される。そして、第1枠図形F1の表示位置及び方向を確定する旨の指示が入力されない間は、そのまま図17の処理フローを終了する。一方、第1枠図形F1の表示位置及び方向を確定する旨の指示が入力された場合には、次のステップS207へと処理を移行する。
ステップS206で肯定の判定となりステップS207に進んだ場合は、ステップS207において、目標駐車スペース特定部36が、現在、表示装置2の表示画面上で第1枠図形F1が表示されている位置に、第1枠図形F1が表示されている向きで、目標とする駐車スペースが存在すると認識して、そこを目標駐車スペースとして特定する。
次に、ステップS208において、推奨駐車開始位置算出部37が、車両の最小回転半径を表す情報に基づいて、ステップS207で特定された目標駐車スペースに切り返し操作を行うことなく駐車可能な車両周囲俯瞰映像上の位置を、推奨駐車開始位置として算出する。そして、ステップS209において、第2枠図形描画部38が、ステップS208で算出された推奨駐車開始位置の情報をもとに、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に、推奨駐車開始位置を示す第2枠図形F2を描画する処理を行なう。これにより、表示装置2の表示画面上には、切り返し操作を行うことなく駐車可能な推奨駐車開始位置に第2枠図形F2が重畳された車両周囲俯瞰映像が表示されることになる。
次に、ステップS210において、例えば、車両情報取得装置5により取得された各種車両情報や、車載ナビゲーション装置などの位置検出機能で検出された車両の現在位置情報などをもとに、ステップS208で算出した推奨駐車開始位置に車両が移動したか否かが判断される。そして、推奨駐車開始位置に車両が移動していない間は、そのまま図17の処理フローを終了する。一方、推奨駐車開始位置に車両が移動した場合には、次のステップS211へと処理を移行する。
ステップS210で肯定判定となりステップS211に進んだ場合は、ステップS211において、第2目標軌道算出部39が、車両が移動した推奨駐車開始位置からステップS207で特定された目標駐車スペースまでの理想的な車両の軌道を、目標軌道として算出する。そして、ステップS212において、第2目標軌道線描画部40が、ステップS212で算出された目標軌道の情報をもとに、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に第2目標軌道線L11を描画する処理を行なう。
また、ステップS213において、第2予想軌道算出部41が、車両の現在のステアリング操作角度と進行方向に基づいて、車両を推奨駐車開始位置からそのままのステアリング操作角度で進行方向に沿って移動させたときの軌道を、予想軌道として算出する。そして、ステップS214において、第2予想軌道線描画部42が、ステップS213で算出された予想軌道の情報をもとに、出力フレームバッファ32に保持された車両周囲俯瞰映像上に第2予想軌道線L12を描画する処理を行なって、図17の処理フローを終了する。
以上のステップS211からステップS214までの処理により、表示装置2の表示画面上には、車両を推奨駐車開始位置から目標駐車スペースへと移動させる際の指標となる第2目標軌道線L11や、車両を推奨駐車開始位置からそのまま移動させた場合の軌道を表す第2予想軌道線L12が重畳された車両周囲俯瞰映像が表示されることになる。したがって、車両の運転者は、表示装置2の表示画面を見ながら、第2予想軌道線L12が第2目標軌道線L11に重なるように車両のステアリングを操作して車両を徐々に移動させる操作を行うことで、目標駐車スペースに車両を適切に駐車させることができる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援装置は、4つの車載カメラ21,22,23,24の撮影画像を俯瞰映像に変換するとともに繋ぎ合わせて車両周囲俯瞰映像として表示装置2の表示画面に表示するに際して、車両周囲俯瞰映像の表示開始時には、車両の外形に対応した大きさの第1枠図形F1を表示画面上における所定の基準位置に所定の方向で車両周囲俯瞰映像に重畳して表示し、車両乗員による操作に応じてその第1枠図形F1の表示位置や方向を変更できるようにして、変更した後の第1枠図形F1の表示位置及び方向に基づいて、車両を駐車させる目標となる目標駐車スペースを特定するようにしている。したがって、本実施形態の駐車支援装置によれば、車両の乗員は、表示装置2の表示画面に表示された第1枠図形F1を基準として、車両周囲俯瞰映像上で車両の駐車が可能な十分な広さを有する駐車スペースを探し、駐車が可能な駐車スペースがあれば、表示画面上のその位置に第1枠図形F1を移動させるといった極めて単純且つ直感的な操作で目標駐車スペースを指定することができ、目標駐車スペースを指定する際の操作性の向上が実現される。
また、本実施形態の駐車支援装置によれば、表示装置2の表示画面に表示されている車両周囲俯瞰映像上で目標駐車スペースが特定されたときに、切り返し操作を行うことなく目標駐車スペースへ駐車することが可能な推奨駐車開始位置を第2枠図形F2として車両周囲俯瞰映像に重畳して表示画面に表示させるようにしているので、車両の運転者は、表示装置2の表示画面を見ながら適切な駐車開始位置へと車両を移動させることができ、車両駐車時における運転者の運転操作を適切に支援することができる。
さらに、本実施形態の駐車支援装置によれば、推奨駐車開始位置に車両が移動したときには、車両を推奨駐車開始位置から目標駐車スペースへと移動させる際の指標となる第2目標軌道線L11や、車両を推奨駐車開始位置からそのまま移動させた場合の軌道を表す第2予想軌道線L12を、車両周囲俯瞰画像に重畳して表示画面に表示するようにしているので、車両の運転者は、表示装置2の表示画面を見ながら、第2予想軌道線L12が第2目標軌道線L11に重なるように車両のステアリングを操作して車両を徐々に移動させる操作を行うことで、目標駐車スペースに車両を適切に駐車させることができ、車両駐車時における運転者の運転操作を適切に支援することができる。
さらに、本実施形態の駐車支援装置では、車両周囲全域を車両上方の仮想視点から見下ろした様子を表す1つの連続した車両周囲俯瞰映像を表示装置2の表示画面に表示し、車両の乗員が、この車両周囲俯瞰映像上で第1枠図形F1を所望の位置に移動させる操作を行うことで目標駐車スペースを指定できるようにしているので、例えば図18に示すように、目標駐車スペースとして指定したい場所に車両を横付けした状態で、駐車スペースを指定する操作を行うことが可能となる。これにより、例えば、高速道路のサービスエリアなどのように、走行路を挟んで左右両側に並列駐車可能な駐車スペースが並ぶ駐車エリアで車両を駐車させるシーンにおいて、走行路を塞がない位置に車両を停車させた状態で、後続車両の走行を妨げることなく目標駐車スペースを指定する操作を行うことができる。また、目標駐車スペースを設定する操作を行っている間に、目標駐車スペースとして指定したい場所を他の車両が先に駐車してしまうという事態も未然に防止できる。
なお、以上説明した本実施形態の駐車支援装置では、表示装置2の表示画面上に第2目標軌道線L11や第2予想軌道線L12を表示して、車両の運転者に、表示画面上の第2予想軌道線L12が第2目標軌道線L11に重なるように車両のステアリングを操作させることで、運転者の運転操作を支援するようにしているが、表示装置2の表示画面に表示されている車両俯瞰映像上で目標駐車スペースが特定されたときに、車両の現在位置から目標駐車スペースまでの目標軌道を算出し、或いは、目標駐車スペースが特定されて車両が推奨駐車開始位置に移動したときに、この推奨駐車開始位置から目標駐車スペースまでの目標軌道を算出して、これらの目標軌道に沿って車両が移動するように、車両のステアリング操作角度を自動調整することによって、車両駐車時における運転者の運転操作を支援するようにしてもよい。この場合、車両の運転者は、アクセルペダル及びブレーキペダルを適宜操作するのみで、車両を目標駐車スペースに駐車させることができるので、運転者による運転操作はより簡便なものとなる。
以上、本発明の実施形態としての駐車支援装置について具体的に説明したが、以上説明した駐車支援システムは、本発明の一適用例を例示したものであり、本発明の技術的範囲は、以上の実施形態の説明で開示した内容に限定されるものではなく、これらの開示から容易に導き得る様々な代替技術も含まれることは勿論である。