JP4878088B2 - 孔版印刷用w/o型エマルションインキ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に高温(60℃)保存安定性に優れた孔版印刷用W/O型エマルションインキに関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷方法は周知のように、孔版印刷原紙を用い、この原紙の穿孔部を介して原紙の一方の側より他方の側ヘインキを移動させることにより、紙などの被印刷物面に印刷を行なうものである。従来より用いられている孔版印刷用インキは油中水型(W/O型)のエマルションインキであるが、これは揮発性溶剤、不揮発性溶剤、樹脂、着色剤、界面活性剤、水、凍結防止剤、電解質、防腐剤等より構成されている。
【0003】
近年、輪転孔版印刷機もマイクロコンピューター等による自動化が進み、操作も簡単になり、国内外での孔版印刷の一般利用が増加している。このため、インキの流通過程での保管環境は夏期のテント内や輸出の際の船積みなど、高温(60℃)になる事が多く、その際のインキの安定性が問題となっている。
【0004】
こうした問題に対処する手段として、水相中に硫酸マグネシウムなどの電解質を含有することにより、高温(60℃)保存安定性を改善することが提案されている。ところが、従来、例えば赤色用エマルションインキの顔料としては、黄色味を帯びた赤色で着色力が大きいレーキレッドC(バリウム・トナー)が好まれて使用されているが、該顔料を硫酸マグネシウム水相系で使用した場合、硫酸バリウムの針状結晶を生成し、水分離をおこすという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記従来技術の欠点を除去し、輪転孔版印刷機にも充分使用でき、また高温(60℃)保存安定性に優れた孔版印刷用W/O型エマルシヨンインキを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成するため種々研究を行った結果、油相中に赤色顔料であるストロンチウムレッド2BとジスアゾオレンジPMPを含有すること、または油相中に赤色顔料としてブリリアントファストスカーレットとナフトールカーミンFBを含有することにより、赤色ないし金赤の色味をもち高温(60℃)保存安定性を有する孔版印刷用W/O型エマルションインキが得られ、さらにこれらに加えて、水相中に電解質である硫酸マグネシウムを含有させることにより、より高温(60℃)保存安定性に優れた孔版印刷用W/O型エマルションインキが得られることを見出した。本発明はこれに基づいてなされたものである。
【0007】
従って、本発明によれば、第一に、油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成される孔版印刷用W/O型エマルションインキであって、前記水相中に電解質を含有させるとともに、前記油相中にストロンチウムレッド2BとジスアゾオレンジPMPを含有させたことを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルションインキが提供される。
【0008】
第二に、油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成される孔版印刷用W/O型エマルションインキであって、前記水相中に電解質を含有させるとともに、前記油相中にブリリアントファストスカーレットとナフトールカーミンFBを含有させたことを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルションインキが提供される。
【0009】
第三に、前記油相中に他の顔料を含有させることを特徴とする前記第一又は第二の孔版印刷用W/O型エマルションインキが提供される。
【0010】
第四に、前記電解質が硫酸マグネシウムであることを特徴とする前記第一〜第三のいずれかに記載の孔版印刷用W/Oエマルションインキが提供される。
【0011】
上記のように、本発明のエマルションインキが高温(60℃)保存安定性にすぐれることの効果は、赤色顔料(ないしは金赤顔料)として特定の二種類の顔料が使用されることに加え、また水相中に硫酸マグネシウムを含有することにより、乳化剤の親水基は強固にW/Oエマルションの内相である水相に拘束され、親油基は油相中に相溶伸直し界面膜強度が上昇し、高温(60℃)保存安定性を向上させていると考えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の孔版印刷用エマルションインキは、油相10〜90重量%と水相90〜10重量%とからなる油中水型エマルションからなるが、前記エマルションの油相は、油成分、顔料分散剤、顔料、体質顔料、樹脂、乳化剤等により構成され、水相は、水、電解質、防黴剤、水蒸発防止剤、水溶性高分子、水中油型樹脂エマルションなどから構成される。これらの構成成分には、エマルションの形成を阻害しない公知のものが使用される。
【0013】
本発明で用いられる赤色顔料はストロンチウムレッド2BとジスアゾオレンジPMPとの併用か、ブリリアントファストスカーレットとナフトールカーミンFBとの併用である。このことにより、レーキレッドCの顔料がもつ金赤の色味をもち、さらに硫酸マグネシウム等の電解質を含んだ水相と乳化を行っても、結晶化による水分離は認められず、高温(60℃)保存安定性に優れたものとなる。ここで、ストロンチウムレッド2BとジスアゾオレンジPMPとの混合割合(重量比)は10:90〜90:10が適当である。また、ブリリアントファストスカーレットとナフトールカーミンFBとの混合割合(重量比)は10:90〜90:10が適当である。
なお、上記の顔料だけが使用されている場合はエマルションインキは赤色あるいは金赤色であるが、これに他の顔料例えば青色顔料を加えれば紺色のエマルションインキが得られる。従って、本発明においては上記の顔料以外の顔料を混ぜることは自由である。また、そのような他の顔料を混ぜた場合にも依然として高温(60℃)保存安定性は優れたものである。
【0014】
本発明で使用される油成分は、例えば、石油系溶剤、流動パラフィン、スピンドル油、マシン油、潤滑油などの鉱物油;あまに油、トール油、とうもろこし油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、やし油等の植物油等が使用される。また、本発明においては安全性、保存安定性を阻害しない範囲で合成油も併用できる。合成油を使用する場合、種々の化合物が利用できる。
【0015】
代表的な合成ビヒクルには、ポリイソブチレン類、水素化ポリデセン類、トリメチロールプロパンエステル類、ネオペンチルエステル及びペンタエリトリトールエステル、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジブチルフタレート、フルオロカーボン類、珪素エステル類、シラン類、リン含有酸類のエステル類、液体尿素、フェロセン誘導体類、水素化合成油類、鎖状ポリフェニル類、シロキサン類及びシリコン類(ポリシロキサン類)、ブチル置換ビス(p−フェノキシフェニル)エーテル類に代表されるアルキル置換ジフェニルエーテル類、フェノキシフェニルエーテル類などが挙げられる。
【0016】
本発明で使用されるパラフィン系オイルは、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックシリーズ、日本石油社製の日石スパーオイルシリーズ、出光興産社製のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ等があげられる。
【0017】
ナフテン系オイルは、環分析によるナフテン成分の炭素含有量(CN)が30%以上、かつ芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%以下かつパラフイン成分の炭素含有量(CP)が55%以下である鉱物油であって、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックオイル155および300ID、ガーゴオイルアークティックオイルライト及びガーゴオイルアークティックオイルCヘビー、出光興産社製のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ、日本サン石油社製のサンセンオイルシリーズ等が挙げられる。
【0018】
安全性の高い石油系溶剤としては、エクソン化学社製のアイソパーシリーズ及びエクソール、日本石油社製のAFソルベントシリーズ等があげられる。
【0019】
これらの油成分は安定性を考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が3重量%未満のものを使用する事が望ましい。
【0020】
さらに、変異原性指数MIが1.0未満、アロマ分(%CA)が20〜55%、アニリン点が100℃以下であって、かつオイル全重量基準でベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール、ジベンゾ[a,e]ピレン等の多環芳香族の含有量がそれぞれ個々に10重量ppm以下であり、含有量の合計量が50重量ppm以下である、安全性の高いアロマー系オイル(特開平11−80640号公報)も必要であれば使用しても良い。これらの油は単独でも2種類以上混合して使用してもよい。
【0021】
本発明で用いられる乳化剤は、油中水型のエマルションを形成する目的で使用され、好ましくは非イオン系界面活性剤であり、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び高級アルコール等があげられる。これらは、単独あるいはこれらのHLBの異なるものを2種類以上あわせて安定性の高いエマルションを調整する。添加量はインキ重量の1〜8重量%、好ましくは2〜5.5重量%とすればよい。
【0022】
油相に添加される樹脂は、ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂;ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂;ロジン変性フェノール樹脂等のロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴムなどのゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;アルキド樹脂;重合ひまし油等を1種または2種以上を混合して添加して良い。
【0023】
油相中に樹脂を添加する場合の樹脂使用量は、インキのコストおよび印刷適正から油相の2〜50重量%、より好ましくは5〜20重量%である。また、樹脂の重量平均分子量が低い場合及び添加量が少ない場合には定着性への効果が小さいこと、また重量平均分子量が高すぎたり、樹脂の添加量が多い場合にはインキの塑性粘度が高くなり、ドラム後端からインキが漏れるなどの印刷適性の問題が生じる。
【0024】
アルキド樹脂は油脂と多塩基酸と多価アルコールから構成されるが、油脂としてはヤシ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、米糠油、綿実油等のヨウ素価80以下の不乾性油あるいは半乾性油およびこれらの脂肪酸が挙げられるが、大豆油、アマニ油、キリ油等の乾性油もアルキド樹脂のヨウ素価が80以下の範疇では一部使用しても良い。多塩基酸としては無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸等の飽和多塩基酸、およびマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和多塩基酸があげられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビット等があげられる。
【0025】
アルキド樹脂の油長は油脂中の脂肪酸がトリグリセライドで存在したときの樹脂中の重量%で示される。アルキド樹脂は分散安定性、および皮膜形成による版胴スクリーンの目詰まり等の問題から、油長60〜90、ヨウ素価80以下であることが好ましい。アルキド樹脂の重量平均分子量は好ましくは3万未満、より好ましくは1万以下である。
【0026】
油相に使用する着色剤分散剤としてはエマルションの形成を阻害しない物が使用でき、前記の乳化剤用非イオン性界面活性剤及び水溶性高分子も使用することができる。
この他、着色剤分散剤としてはアルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン−無水マレイン酸系共重合高分子化合物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、及びアルキド樹脂などの不溶性着色剤分散能を有する樹脂などもあげられる。この他にもインキの保存安定性を阻害しない範囲であればイオン性界面活性剤、両性界面活性剤なども挙げられる。
【0027】
これらの着色剤分散剤は単独または2種類以上混合して添加すれば良く、高分子及び樹脂以外の着色剤分散剤の添加量は着色剤全重量の40重量%以下、好ましくは2〜35重量%とすれば良い。
【0028】
なお、アルキド樹脂は高分子量の樹脂を添加するときに不溶性着色剤の分散安定性に特に効果があるが、アルキド樹脂を単独または他の着色剤分散剤と併用して使用する場合のアルキド樹脂の添加量は、不溶性着色剤1重量部に対して0.05重量部以上であることが好ましい。
【0029】
ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、流動性を向上させる役割をもち、本発明のインキに添加されるゲル化剤としては油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。このような化合物を例示すると、Li,Na,K,Al,Ca,Co,Fe,Mn,Mg,Pb,Zn,Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等であり、具体的にはオクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテート等の有機キレート化合物等が挙げられる。
これらのゲル化剤は、1種または2種類以上を油相に添加すれば良く、その添加量は油相中の樹脂の15重量%以下、好ましくは5〜10重量%である。
【0030】
油相に添加される酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール等であり、これらの添加によって油相中のバインダー樹脂等の酸化を防ぎ、これによってインキの粘度の上昇等が防止される。また、その添加量はインキ中の油の2重量%以下、好ましくは0.1〜1.0重量%である。なお酸化防止剤は単独でも2種類以上を混合して使っても良い。
【0031】
またインキ中には滲み防止、あるいは粘度調整のために体質顔料も添加できる。インキ中に添加される体質顔料としては白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等の無機微粒子、およびポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の有機微粒子またはこれらの共重合体からなる微粒子が挙げられる。
これらは油相、水相また両相に添加しても良く、添加量はインキに対して0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
【0032】
本発明において、エマルションの高温(60℃)保存安定性を高めるために水相に添加される電解質としては特に硫酸マグネシウムの使用が好ましいものである。従って、電解質により影響を受ける材料が水相に存在しない場合に使用するのが望ましい。その添加量は水相の0.1から2重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%である。
【0033】
本発明に使用される電解質は、上記の硫酸マグネシウム以外に保存安定性などを阻害しない範囲で他の電解質を併用してもよい。その併用されてもよい電解質はクエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等の陰イオンあるいはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなどを含む電解質であることが好ましい。従って添加される電解質としては、硫酸マグネシウム以外に、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が好ましい。
【0034】
また、エマルションインキの水相には、保湿や増粘及び不溶性着色剤、体質顔料の分散および固着のために、水溶性高分子やO/W樹脂エマルションを添加しても良い。
【0035】
水溶性高分子としては具体的には下記の天然または合成高分子が添加される。例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、ブルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の天然高分子;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子;アクリル酸樹脂およびポリアクリル酸ナトリウムなどの中和物、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリN−アクリロイルピロリジンやポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのポリN−アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体及びこれらをアルキル基で部分的に疎水した高分子、またアクリルアミド系ポリマーおよびアクリル系のポリマーに関しては置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーでも良い。またポリエチレンとポリプロピレンまたはポリブチレンとのブロックコポリマーを用いることができる。
これらの水溶性高分子は単独でも2種類以上混合しても良く、インキに含まれる水の25重量%以下、好ましくは0.5〜15重量%が添加される。
【0036】
O/W樹脂エマルションとしては合成高分子でも天然高分子でもよい。高分子としてはポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン等が挙げられる。天然のものとしては油相に添加できる高分子等が挙げられる。これらは油中水型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれば2種類以上を併用してもよく、また分散方法も分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成した物でも良い。これらのO/W樹脂エマルションの最低造膜温度は40℃以下であることが望ましく、インキに含まれる水の30重量%以下、好ましくは0.2〜15重量%が添加される。
【0037】
水相に添加される防腐・防かび剤は、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションを長期保存する場合は防腐・防かび剤を添加するのが望ましい。その添加量は、インキ中に含まれる水の3重量%以下、好ましくは0.1〜1.2重量%とするのが良い。また防腐・防かび剤としてはサリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物およびその塩素化合物のほか、ソルビン酸やデヒドロ酢酸等が使用され、これらは単独でも2種類以上混合して使っても良い。
【0038】
水の蒸発防止剤と凍結防止剤は兼用可能であり、これらの目的で添加される薬品はエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブイタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール;グリセリンやソルビトール等の多価アルコール等である。
これらの薬品は1種または2種以上を添加すれば良く、その添加量はインキ中の水重量の15重量%以下、好ましくは4〜12重量%である。
【0039】
水相に添加されるpH調整剤は、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等であり、必要時にはこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、増粘剤用水溶性高分子が添加されている場合にはその効果が損なわれる等の問題がある。
【0040】
上記のほか、本発明の孔版印刷用油中水型エマルションインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離を良くするため、或いは印刷用紙の巻き上がり防止のために、油相にワックスを添加することができる。また、水相にはトリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等を添加して、水溶性高分子添加による高粘度化を更に増進させることができる。さらに、水相に防錆剤や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止することができる。これらの添加剤は、孔版印刷用インキに添加されている公知品を必要に応じて添加すれば良く、その添加量は従来品の場合と同程度でよい。
【0041】
本発明のエマルションインキは、従来のエマルションインキ製造時と同様にして油相及び水相液を調製し、この両方を公知の乳化機内で乳化させてインキとすればよい。すなわち、着色剤、乳化剤及び必要に応じて添加される樹脂等の添加物を良く分散させた油相を調製し、これに着色剤、防腐、防かび剤や水溶性高分子等が必要に応じて添加されている水溶液を徐々に添加して乳化すれば良い。
【0042】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、ここでの部は重量基準である。
【0043】
(実施例1、参考例2及び比較例1)下表1に示される処方の原料を用いて孔版印刷用W/O型エマルションインキを調製した。ここで、油相に顔料を含有するW/O型エマルションインキは、顔料、オイル、顔料分散剤を3本ロールで練肉することで顔料分散体の調整を行い、この顔料分散体に乳化用界面活性剤、オイルと樹脂等のワニスを加え油相とし、これに水、凍結防止剤、抗菌剤、電解質あるいは水溶性樹脂などからなる水相を加え乳化することにより孔版印刷機用エマルジョンインキとした。必要に応じ体質顔料などの他の成分を加えても良い。インキの粘度は撹拌条件によっても調節可能であり、システムにあった粘度であれば良く特に規定はないが、23℃でずり速度20l/sの時の粘度が3〜40Pa・sが望ましく、好ましくは10〜30Pa・sであることが望ましい。
【0044】
実施例、参考例及び比較例で使用している材料は、ストロンチウムレッド2Bが東洋インキ社製のLINOL RED CPA、レーキレッドCが東洋インキ社製のLINOL RED C−FG3100、ジスアゾオレンジPMPが東洋インキ社製のLINOL ORANGE B、ブリリアントファストスカーレットが東洋インキ社製のORIENTAL RED CONC、ナフトールカーミンFBが東洋インキ社製のORIENTAL RED FB、フタロシアニンブルーが東洋インキ社のCYANINE BLUE PRPL、顔料分散剤が味の素社製のプレーンアクトAL−M、乳化剤(ソルビタンオレエート)が市販のソルビタンセスキオレエート、パラフィン系オイルがモービル社製のガーゴオイルアークティックシリーズ(1010、1046)、その他エチレングリコール、硫酸マグネシウム、p−オキシ安息香酸メチルは市販品を使用した。
【0045】
【表1】
【0046】
続いて、これらのエマルションインキの評価を行ったところ、下表2の結果が得られた。この評価結果から、本発明のエマルションインキが高温(60℃)保存安定性を有していることが判る。
【0047】
(エマルションインキの評価)
インキの高温(60℃)保存安定性は、5日間60℃で保存し、針状結晶を生成したものを×、しないものを○として評価した。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】
請求項1、2及び3記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキは、良好な色調を有し、高温(60℃)保存安定性に優れたものである。
請求項4記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキは良好な色調を有し、硫酸マグネシウムを含有した水相系でも結晶の生成が認められず、さらに高温(60℃)保存安定性に優れたものである。
Claims (2)
- 油相10〜90重量%および水相90〜10重量%によって構成される孔版印刷用W/O型エマルションインキであって、前記水相中に電解質を含有させるとともに、前記油相中にストロンチウムレッド2BとジスアゾオレンジPMPを含有させたことを特徴とする孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
- 前記電解質が硫酸マグネシウムであることを特徴とする請求項1に記載の孔版印刷用W/O型エマルションインキ。
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