JP4857528B2 - シランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物、溶液組成物、コーティング膜および物品 - Google Patents
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Description
CF3O−(CF2CF2O)d−(CF2O)e−CF3・・・(i)
CF3O−(CF(CF3)CF2O)f−(CF2O)g−CF3・・・(ii)
しかし、これらの化合物は基材と化学的な結合を形成することのできる官能基を有していない。したがって、長期の使用に際しては塗布された該化合物が失われ、潤滑性などの機能が消失するという問題があった。
CF3CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)h−CF2CF2(CH2 )3 Si(OCH3)3・・・(iv)
フルオロポリエーテル基は柔軟で運動性に優れるため、表面に付着した油脂を容易にふき取ることができ、一方で撥水撥油性を保持することが出来る。しかし、化合物(iv)は炭素3原子に酸素が1原子という構造であるため、充分な性能を得るためにはhに大きな値であること、すなわち多数の繰り返し単位が必要であった。
CF3CF2CF2O−(CF(CF3)CF2O)i−CF(CF3)(CH2)3 Si(OCH3)3・・・(v)
(OCH3)3Si(CH2)3CF2O−(CF2CF2O)j−(CF2O)k−CF2(CH2)3Si(OCH3)3・・・(vi)
グされた物品、撥水撥油剤の提供を目的とする。
[1]下式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物および溶剤を含有する、表面処理用溶液組成物。
X−(Y(Z))a−X ・・・(1)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
X: 下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基、または下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基における炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペルフルオロ飽和炭化水素基であり、該基中には−OCF2O−構造は存在しない。
該化合物中のXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
RFO(CF2CF2O)b(CF2)p(CH2)o− ・・・(2)
(ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
Y: XとZを接続する基であり、2つ以上の炭素原子を有し、エーテル結合、エステル結合、およびウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の炭化水素基である。
Z: −Si(Z1)c(Z2)(3-c) ・・・(3)
Z1はイソシアネート基、ハロゲン原子、またはアルコキシ基、Z2は水素原子または、メチル基、cは1〜3の整数。
a: 1以上の整数。
[2]前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物が以下に挙げる化合物である、[1]に記載の表面処理用溶液組成物。
[4]前記化合物(B)がテトラメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびC 8 F 17 CH 2 CH 2 Si(OMe 3 ) 3 である、[3]に記載の表面処理用溶液組成物。
[5]前記溶剤が、ペルフルオロアミン類、ペルフルオロアルカン類、およびフルオロエーテル類から選択される1種以上、または、
ペルフルオロアミン類、ペルフルオロアルカン類、およびフルオロエーテル類から選択される1種以上とn−ペンタン、2−メチルブタン、および2,3−ジメチルブタンから選択される1種以上との併用である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物。
[6]前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物が表面処理用溶液組成物中に0.01〜50質量%含まれる、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物。
[7][1]〜[6]のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物から形成された塗膜を有する物品。
[8]下式で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物。
RFO(CF2CF2O)b(CF2)p(CH2)o− ・・・(2)
(ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
Zは−Si(Z1)c(Z2)(3-c)で表される基であり、Z1はエトキシ基またはメトキシ基、Z2は水素原子またはメチル基、cは1〜3の整数である。
<1> 下式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物。
X−(Y(Z))a−X ・・・(1)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
X: 下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基、または下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基における炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペルフルオロ飽和炭化水素基であり、該基中には−OCF2O−構造は存在しない。
該化合物中のXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
RFO(CF2CF2O)b(CF2)p(CH2)o− ・・・(2)
(ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
Y: XとZを接続する基であり、2つ以上の炭素原子を有し、エーテル結合、エステル結合、およびウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の炭化水素基である。
Z: −Si(Z1)c(Z2)(3-c) ・・・(3)
Z1はイソシアネート基、ハロゲン原子、またはアルコキシ基、Z2は水素原子または、メチル基、cは1〜3の整数。
a: 1以上の整数。
<2> ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した分子量が400〜100万である<1>に記載の含フッ素エーテル化合物。
<3> <1>または<2>に記載の含フッ素エーテル化合物(A)を含有する溶液組成物。
<11> <10>に記載のコーティング膜を有する物品。
本発明は下記化合物(1)を提供する。
X−(Y(Z))a−X ・・・(1)
化合物(1)における各記号は以下の意味を示す。
ただし、RFは炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基である。bは3〜200の整数であり、pは1以上の整数、oは0以上の整数である。
RFが炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基である場合、挿入される酸素原子の数は1〜7個が好ましく、1〜4個がより好ましい。酸素原子が挿入される位置は、環の中もしくは直鎖中であり、酸素同士の間に含まれる炭素原子が少なくとも2つ以上である。
CF3(CF2)l− (lは0〜15の整数を示す。)
たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられ、撥水撥油性の点からは、トリフルオロメチル基が好ましく、製造工程の一つである液相直接フッ素化における収率の点からはペンタフルオロエチル基が好ましい。
CF3−O−(CF2CF2O)b−・・・(X−1)
CF3CF2−O−(CF2CF2O)b−・・・(X−2)
CF3(CF2)2−O−(CF2CF2O)b−・・・(X−3)
CF3(CF2)5−O−(CF2CF2O)b−・・・(X−4)
CyF−(CF2)m−(CyFはペルフルオロシクロヘキシル基を示し、mは0〜15の整数を示す。)、
AdF−(CF2)n−(AdFはペルフルオロアダマンタンのフッ素原子の1個が結合手となった基を示し、nは0〜15の整数を示す。)。
pは−(CF2)−単位の数を示し、1〜10の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜2の整数がより好ましい。該単位の数は用いる合成手法によって決められる。
oは−(CH2)−単位の数を示し、0〜10の整数であり、0〜5の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましい。該単位の数も用いる合成手法によって決められる。
また、Yとしての有機基は、エーテル結合、エステル結合、およびウレタン結合を含んでいてもよい。
Yは用途や原料の入手のしやすさから自由に選択できる。
−Si−(Z1)c(Z2)(3-c) …(3)
ここで、Z1は脱離による縮合が可能な基、Z2 は水素原子または不活性な一価の有機基、cは1〜3の整数を表す。
aは1以上の整数で、1〜100の整数が好ましく、1〜10の整数が機能発現の点からより好ましく、1〜5の整数が特に好ましい。
すなわち、下記化合物(a)を下記化合物(b)と反応させて下記化合物(c)を得て、該化合物(c)をペルフルオロ化して、化合物(2)である下記化合物(d)を得る。
RはRFと同一の基、またはRFのフッ素原子の一部または全部が水素原子に置換された基を示し、RFと同一の基が好ましい。
Rbは、1価の含フッ素有機基を示し、ペルフルオロアルキル基またはエーテル性酸素原子を含有するペルフルオロアルキル基が好ましい。RbFは、Rbをペルフルオロ化した基を示す。Rcはアルキル基を示す。
化合物(e)を用いる場合、従来の方法(例えば特公平7−68210号公報、もしくは、Jiang Xikui,J.Org.Chem.,1982,47,2009−2013)に示されるポリフルオロアルカノイルペルオキシドを経由する方法が利用できる。下式におけるxは1以上の整数。
ことで、ヨウ素を引き抜き、化合物(1)を得ることが出来る。
エーテル結合を介して連結基Yにペルフルオロポリエーテル基Xを導入する場合、化合物(g−1)などを用いて合成することができる。
上述したとおり、さまざまな化合物(1)を誘導でき、用途や、コストによって様々な構造が選択できる。
上述したとおり、さまざまな化合物(1)を誘導でき、用途や、コストによって様々な構造が選択できる。また、ここで示した以外の構造を持つ末端官能基に関しても、Claudio Tonelli、J.Fluorine Chemistry、1999年、第95巻、第51頁に記載の方法を用いて誘導することが可能である。
化合物(1)により処理する対象である基材の材質及び形状は特に限定されず、例えば、金属、ガラスなどの無機材料、重合成型物などの有機材料、より具体的には、インプリンティング用金型の表面コートおよび金型、射出成型用金型、採光部材、光学部材、光ファイバ、鏡、太陽電池、光ディスク、タッチパネル、感光および定着ドラム、フィルムコンデンサ、ガラス窓用反射防止フィルムなどの各種フィルムなどが挙げられる。
レンズなどの光学材料に塗布した場合、化合物(1)由来のコーティング膜によって表面に優れた油脂の除去性を付与することができる。金型や容器などでは、剥離性が向上し、あるいは耐薬品性を改善する等の用途に用いることができる。
化合物(1)を含有する溶液組成物の調製に使用する溶剤としては、含フッ素有機溶剤が好ましく、例えば、ペルフルオロトリプロピルアミン、トリブチルアミン等のペルフルオロアミン類やフロリナート(3M社製)、バートレル(デュポン社製)などのペルフルオロアルカン類、更には1,1,2,2−テトラフルオロエチル−1,2,2−トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパンなどのフルオロエーテル類を用いるのが好ましい。含フッ素有機溶剤は1種でも2種以上併用してもよい。
他の有機溶剤の好ましい例としては、含フッ素有機溶剤と相溶性を有する有機溶剤が好ましく、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、およびハロゲン化炭化水素類からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。有機溶剤としての炭化水素類は、炭素数5〜15の鎖状または環状の飽和または不飽和炭化水素類が好ましく、具体的にはn−ペンタン、2−メチルブタン、2,3−ジメチルブタンなどが挙げられる。
また、溶剤は、上述したものの中から選ばれ、コーティング(たとえばディップコート工程におけるコーティング)に適した沸点を持つ溶剤を用いるのが好ましい。
化合物(B)としては、化合物(1)におけるのと同様の縮合性官能基、すなわちシランカップリング基を持つ縮合性化合物を挙げることができ、例えば、テトラメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。シラン化合物は得られる膜の特性、たとえば硬度や耐湿性などを改良し、エポキシ系シランカップリング剤は、体積抵抗率、曲げ強度ともに優れた性能を付与する効果がある。また、C8F17CH2CH2Si(OCH3)3などの含フッ素シランカップリング剤を挙げることができる。
他の成分としては、白金触媒類が挙げられ、シランカップリング基の縮合を促進する必要がある場合は含まれていてもよい。
また、塗膜の耐久性、特性の持続性を高めるためには、上述したように他のシリコン化
合物、及びその部分加水分解生成物を加えることが有効である。具体的には、テトラメトキシシランなどが挙げられる。
更に他の化合物、例えばシリカゾルあるいは酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの超微粒子金属酸化物、さらにはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の各種樹脂の添加も可能である。また、組成物の塗膜形成性(作業性)を高めるために界面活性剤の添加も有用である。
すなわち、化合物(1)自体の状態で物品に塗布、もしくは金型に注入し、コーティング膜とした上で縮合操作を行う手法、および、あらかじめ縮合を行って得た高分子量体を熱、もしくは溶媒で溶解して成型を行う手法がある。
また、あらかじめ化合物(1)の一部を縮合し、得られた縮合生成物を溶媒に希釈して同様にコーティングすることでも薄膜を形成することができる。この場合も縮合生成物を溶液組成物として用いるのが好ましい。溶液組成物やその濃度などに関しては上述の化合物(1)を塗布する場合と同様のことが言える。
有する。該薄膜の膜厚は、通常0.001〜50μmが好ましい。
また、平均分子量は数平均分子量(Mn)で表し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCと記す。)によって測定した。
(例1−1)含フッ素有機基を導入したポリオキシエチレン化合物の製造例
市販のポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテル(CH3O[CH2CH2O]nH(n=8.3(平均値))の25g、AK−225の20g、NaFの1.2g、ピリジンの1.6gをフラスコに入れ、内温を10℃以下に保ちながら激しく撹拌して、窒素をバブリングさせた。そこにFCOCF(CF3)OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF3の46.6gを、内温を5℃以下に保ちながら3.0時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃にて12時間、その後室温にて24時間撹拌して、粗液を回収した。さらに粗液を減圧濾過し、その後、回収液を真空乾燥機(50℃、5.0torr)で12時間乾燥した。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−79.5,−80.0,−82.5〜−85.0,−128.0〜−129.2,−131.5,−144.5.
3000mLのハステロイ製オートクレーブに、R−113の1560gを加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−20℃に保持した冷却器を直列に設置した。なお、−20℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで10モル%に希釈したフッ素ガス(以下、10%フッ素ガスと記す。)を、流速24.8L/hで1時間吹き込んだ。
つぎに、10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、R−113溶液を12mL注入した。この際、内温を40℃に変更した。つづけて、ベンゼンを1wt%溶解したR−113溶液を6mL注入した。さらに、10%フッ素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):−54.9,−77.5〜−80.0,−81.5,−82.2,−84.5,−87.5,−89.7,−91.5,−129,−131.5,−135.0〜−139.0,−144.5.
スターラーチップを投入した50mLのナスフラスコを充分に窒素置換した。該ナスフラスコに1,1,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンの5.0g、KFの0.05gおよび、例1−2で得た生成物の2.0gを加えて激しく撹拌し、120℃に保った。ナスフラスコ出口には、20℃に保持した冷却器、およびドライアイス−エタノール冷却管を直列に設置し、窒素シールを行った。
分析の結果、例1−2で得た生成物のエステル結合の総数の99%がフッ素原子に置換された、CF3O[CF2CF2O]n-1CF2COFで表される化合物が主たる生成物であることを確認した。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):12.7,−54.9, −78.1,−87.5,−89.7,−135.0〜−139.0.
ナスフラスコに3,4−ジヒドロキシ−1−ブテンの2.0g、AK−225の100g、およびNaFの2.0gを投入し、内温を10℃以下に保ちながら激しく撹拌した。 そこに例1−3と同様の手法で得たCF3O[CF2 CF2O]n-1CF2COF(45.3g)を内温を10℃以下に保ちながらゆっくりと滴下した。
分析の結果、投入した3,4−ジヒドロキシ−1−ブテンの99%の水酸基が酸フルオリドによってエステル化された、CF3O[CF2 CF2O]n-1CF2C(O)OCH2CH(OC(O)CF2[CF2 CF2O]n-1OCF3)CH=CH2で表される化合物が主たる生成物であることを確認した。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm): −54.9, −77.8,−78.1,−87.5,−89.7,−135.0〜−139.0.
PTFE製の内袋を備えた50mLのステンレス鋼製耐圧反応容器に、合成例1−4で得られた化合物の15.0g、トリエトキシシランの3.3g、Pt触媒の50mgおよびビストリフルオロメチルベンゼン(セイミケミカル社製)の50gを入れ、100℃で1.5時間反応を行い、反応粗液を得た。得られた反応粗液から溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーによって精製を行い、化合物の15.98gを得た。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm): −54.9, −77.8,−78.1,−87.5,−89.7,−135.0〜−139.0.
例1−5で得た化合物の0.1g、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンの2g、イソプロピルアルコールの0.5gを混合し、よく撹拌した。これに1%HCl水溶液1.0gを徐々に滴下した。滴下終了後25℃に保温し7日間放置してコーティング溶液を調製した。そして、あらかじめフッ化セリウムで洗浄した50mm四方のガラス片上にスピンコートにてコーティング溶液を塗布した。スピン回転速度は1500rpmであった。塗布後のガラス片を100℃の恒温槽に入れて12時間保持し、試験片を作製した。
蒸留水とn−ヘキサンを使用した。蒸留水接触角は107°、オレイン酸接触角は68°、蒸留水転落角は14°であり、コーティングによって撥水撥油性が付与されたことが明らかとなった。
また、基材表面に油性ペン(マジックインキ:細書き用No.500)を用いて、長さ1cmの直線を書き、その付き易さあるいは目立ち易さを目視判定を行ったところ、油性ペンが表面で球状にはじかれていることが確認された。さらに、基材表面に付着した油性ペンをセルロース製不織布(ベンコットM−3:旭化成(株)製)でふき取ったところ、油性ペンを完全にふき取ることが出来た。
窒素雰囲気(100mL/min)下、10℃/minの割合で25℃から500℃まで昇温した際の、実施例1の例1−5で得た化合物(25mg)の質量減少を示差熱天秤上で測定する方法でペルフルオロポリエーテル部分の安定性試験を行った結果、質量減少プロフィールは一定であり、優れた安定性を示した。
さらに、γ−アルミナ微粉(0.5g、日揮化学社製、N−611N)を存在させた場合の、標記化合物(25mg)の安定性試験を行った場合でも、質量減少プロフィールは一定であり、優れた安定性を示した。
実施例−2の比較例として公知のペルフルオロポリエーテル(アウジモント社製、フォンブリンZ DiOL4000)を用いて、同様の方法で安定性試験を行った結果、該エーテルはγ−アルミナが存在すると250℃で全量が一瞬に分解し、低分子量化合物となって気化した。
本発明の含フッ素エーテル化合物は上記以外の他の用途にも有用に用いうる。たとえば、電線被覆材、撥インク剤(たとえば塗装用、インクジェットなどの印刷機器用)、半導体素子用接着剤(たとえばLOC(リードオンチップ)テープ用接着剤、光学分野に用いる薄膜(たとえばペリクル膜等)への添加剤、ディスプレイ用反射防止膜の潤滑剤、レジスト用反射防止膜)等が挙げられる。
Claims (8)
- 下式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物および溶剤を含有する、表面処理用溶液組成物。
X−(Y(Z))a−X ・・・(1)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
X: 下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基、または下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基における炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペルフルオロ飽和炭化水素基であり、該基中には−OCF2O−構造は存在しない。
該化合物中のXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
RFO(CF2CF2O)b(CF2)p(CH2)o− ・・・(2)
(ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
Y: XとZを接続する基であり、2つ以上の炭素原子を有し、エーテル結合、エステル結合、およびウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の炭化水素基である。
Z: −Si(Z1)c(Z2)(3-c) ・・・(3)
Z1はイソシアネート基、ハロゲン原子、またはアルコキシ基、Z2は水素原子または、メチル基、cは1〜3の整数。
a: 1以上の整数。 - 前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物が以下に挙げる化合物である、請求項1に記載の表面処理用溶液組成物。
- 前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物とシランカップリング基を持つ縮合性化合物である化合物(B)とを共縮合させて得られた化合物をさらに含む、請求項1または2に記載の表面処理用溶液組成物。
- 前記化合物(B)がテトラメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびC8F17CH2CH2Si(OMe3)3である、請求項3に記載の表面処理用溶液組成物。
- 前記溶剤が、ペルフルオロアミン類、ペルフルオロアルカン類、およびフルオロエーテル類から選択される1種以上、または、
ペルフルオロアミン類、ペルフルオロアルカン類、およびフルオロエーテル類から選択される1種以上とn−ペンタン、2−メチルブタン、および2,3−ジメチルブタンから選択される1種以上との併用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物。 - 前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物が表面処理用溶液組成物中に0.01〜50質量%含まれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物から形成された塗膜を有する物品。
- 下式で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物。
RFO(CF2CF2O)b(CF2)p(CH2)o− ・・・(2)
(ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
Zは−Si(Z1)c(Z2)(3-c)で表される基であり、Z1はエトキシ基またはメトキシ基、Z2は水素原子またはメチル基、cは1〜3の整数である。
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