[go: up one dir, main page]

JP4856880B2 - 反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4856880B2
JP4856880B2 JP2005023824A JP2005023824A JP4856880B2 JP 4856880 B2 JP4856880 B2 JP 4856880B2 JP 2005023824 A JP2005023824 A JP 2005023824A JP 2005023824 A JP2005023824 A JP 2005023824A JP 4856880 B2 JP4856880 B2 JP 4856880B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
refractive index
mass
index layer
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2005023824A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006208991A5 (ja
JP2006208991A (ja
Inventor
顕 池田
博之 米山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2005023824A priority Critical patent/JP4856880B2/ja
Publication of JP2006208991A publication Critical patent/JP2006208991A/ja
Publication of JP2006208991A5 publication Critical patent/JP2006208991A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4856880B2 publication Critical patent/JP4856880B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Description

本発明は、反射防止フィルム、さらには該反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは一般に光学干渉の原理を用いて反射率を低減するフィルムであり、例えば、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、反射率を低減する様、ディスプレイの最表面に配置される。
このような反射防止フィルムは、支持体上の最表面に適切な膜厚の低屈折率層、場合により支持体と低屈折率層との間に、適宜高屈折率層、中屈折率層、ハードコート層などを形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。また反射防止フィルムは最表面に用いられることから画像表示装置のディスプレイの保護膜としての機能が期待される。すなわち、汚れやほこりが付着しにくいことや、耐擦傷性が強いことが求められる。
材料の屈折率を下げるには、フッ素原子を含有する有機基をバインダーに導入する、密度を下げる(空隙を導入する)という手段がある。フッ素原子を含有する有機基をバインダーに使用する場合においては、バインダー自身の凝集力が低下しそれを補うため必要な結合基を導入することで実用的には屈折率の低下には限界があり、1.40以下にするのは困難であった。一方低屈折率層に微小空隙を導入して屈折率を低下させる方法は、1.40を下回ることが可能であるが、膜強度が弱かったり、指紋や油等の汚れが浸入しやすいという欠陥があった。
例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3にはバインダー中に微小空孔を形成させることで屈折率を低下させようという試みがある。また特許文献4には多孔質シリカを使用して屈折率を低下させる試みがある。これらはいずれも膜強度や指紋汚れ等の点で実用的に満足できるものではなかった。
また、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8及び特許文献9には、中空シリカ粒子を低屈折率層に含有した反射防止膜の記載がある。
特開平6−3501号公報 特開平9−222502号公報 特開平9−222503号公報 特開平7−48527号公報 特開2001−233611号公報 特開2002−79616号公報 特開2002−317152号公報 特開2003−202406号公報 特開2003−292831号公報
中空シリカ粒子を低屈折率層に含有した反射防止膜では、確かに従来のものに対して耐擦傷性や指紋等の汚れの付着耐性は向上したが、液晶表示装置等の画像表示装置に用いられる偏光板作成時の鹸化により膜が破壊されたり、また新たに水滴が付着した場合にその跡が残るという問題が明らかになった。反射防止膜はディスプレイの最表面に使用されるため、日常の使用で水滴が付着する場合があり、実用的な耐久性を付与する観点で、改良が必要であった。
本発明の目的は、反射率が低く、水滴の付着跡が改良され、防汚性に優れる反射防止フィルムを提供することにある。更には、そのような反射防止フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供すること、及び、そのような反射防止フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、以下の構成の反射防止フィルムとその製造方法、偏光板、及び画像表示装置により本発明の上記目標が達成できることを見出した。
<1>
透明支持体上に、吸着水量が6.1質量%以下で粒子サイズが20〜100nmである多孔質および/または中空の無機微粒子、表面自由エネルギーを低下させる化合物、及び架橋構造を有する飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーを含む低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、
該表面自由エネルギーを低下させる化合物が、分子内に活性エネルギー線硬化性の(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ含むシリコーン化合物であり、
該架橋構造を有する飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーが、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体からなり、該モノマーが以下から選ばれることを特徴とする反射防止フィルム。
多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、ビニルベンゼンおよびその誘導体、ビニルスルホン、アクリルアミド、及びメタクリルアミド
<2>
前記架橋構造を有する飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーが、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体であって、該モノマーが以下から選らばれることを特徴とする上記<1>に記載の反射防止フィルム。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン、ジビニルスルホン、メチレンビスアクリルアミド
<3>
シリコーンおよび/またはフルオロアルキル基が上記低屈折率層の表面に偏析し、上記低屈折率層の最表面と最表面から80%下層における光電子スペクトル強度比Si/Cおよび/またはF/Cが該最表面において80%下層よりも5倍以上大きいことを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の反射防止フィルム。
<4>
上記無機微粒子の表面が、酸触媒および/または金属キレート化合物を使用して下記一般式(I)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物により処理がされていることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれかに記載の反射防止フィルム。
一般式(I):(R 10 ) m Si(X) 4-m
(式中、R 10 は、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
<5>
上記<1>〜<4>のいずれかに記載の反射防止フィルムを備えたことを特徴とする偏光板。
<6>
上記<1>〜<4>のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは上記<5>に記載の偏光板を備えたことを特徴とする画像表示装置。
なお、本発明は、上記<1>〜<6>に関するものであるが、参考のため、その他の事項(例えば下記1〜14に記載の事項等)についても記載した。
1.透明支持体上に、吸着水量が6.1質量%以下で粒子サイズが20〜100nmである多孔質および/または中空の無機微粒子と表面自由エネルギーを低下させる化合物を含む低屈折率層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
2.上記表面自由エネルギーを低下させる化合物が、シリコーン化合物およびフッ素系化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする上記1.に記載の反射防止フィルム
3.上記表面自由エネルギーを低下させる化合物がシリコーン化合物であることを特徴とする上記2.に記載の反射防止フィルム。
4.上記表面自由エネルギーを低下させる化合物が、分子中にバインダーとの反応性を有する基を少なくとも1つ含むことを特徴とする上記1.〜3.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
5.上記表面自由エネルギーを低下させる化合物が、分子中に活性エネルギー線硬化性の(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ含むことを特徴とする上記1.〜4.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
6.透明支持体上に、吸着水量が6.1質量%以下で粒子サイズが20〜100nmである多孔質および/または中空の無機微粒子と表面自由エネルギー低下能を有するバインダーを含む層低屈折率を有することを特徴とする反射防止フィルム。
7.シリコーンおよび/またはフルオロアルキル基が上記低屈折率層の表面に偏析し、上記低屈折率層の最表面と最表面から80%下層における光電子スペクトル強度比Si/Cおよび/またはF/Cが該最表面において80%下層よりも5倍以上大きいことを特徴とする上記1.〜6.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
8.上記表面自由エネルギー低下能を有するバインダーがシリコーンおよび/またはフッ素を含むことを特徴とする上記6.または7.に記載の反射防止フィルム。
9.上記表面エネルギー低下能を有するバインダーが含フッ素重合体であることを特徴とする上記6.〜8.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
10.上記表面自由エネルギー低下能を有するバインダーが、活性エネルギー線硬化性の(メタ)アクリロイル基を有する重合体であることを特徴とする上記6.〜9.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
11.上記表面自由エネルギー低下能を有するバインダーが一般式1で表されることを特徴とする上記6.〜10.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
Figure 0004856880
12.上記無機微粒子の表面が、酸触媒および/または金属キレート化合物を使用して下記一般式(I)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物により処理がされていることを特徴とする上記1.〜11.のいずれかに記載の反射防止フィルム。
一般式(I):(R10)mSi(X)4-m
(式中、R10は、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
13.上記1.〜12.のいずれかに記載の反射防止フィルムを備えたことを特徴とする偏光板。
14.上記1.〜12.のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは上記13.に記載の偏光板を備えたことを特徴とする画像表示装置。
本発明の反射防止フィルムは、反射率が低く押さえられ、かつ水滴の付着跡が残りにくいとともに、防汚性にも優れる。更に、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板やディスプレイは外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
[低屈折率層]
まず、本発明の低屈折率層について説明する。
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.40であることがより好ましく、1.25〜1.38であることが特に好ましい。さらに、低屈折率層は下記数式(I)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
(mλ/4)×0.7<n11<(mλ/4)×1.3 ……数式(I)
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。なお、上記数式(I)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
本発明では、低屈折率層に、吸着水量が6.1質量%以下であり、粒子サイズが20〜100nmである多孔質および/または中空の無機微粒子と、表面自由エネルギーを低下させる化合物を含むことを特徴とする。
本発明の低屈折率層中に含有される吸着水量が6.1質量%以下であり、粒子サイズが20〜100nmである多孔質および/または中空の無機微粒子について、以下に説明する。
[空孔含有微粒子の調製方法]
これらの空孔含有微粒子(多孔質又は中空の微粒子)を使用する際に、構造・種類に制限は無いが、好ましくは多孔質又は中空の無機酸化物微粒子である。無機酸化物微粒子の場合には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化スズを主成分とする微粒子が好ましい。
中空微粒子の好ましい製造方法は、以下の工程よりなる。第1段階として後処理で除去可能なコア粒子形成、第2段階としてシェル層形成、第3段階としてコア粒子の溶解、必要に応じて第4段階として追加シェル相の形成である。具体的には中空粒子の製造は、例えば特開2001−233611号公報に記載されている中空シリカ微粒子の製造方法に準じて行うことができる。
多孔質粒子の好ましい製造方法は、第1段階としてアルコキシドの加水分解や縮合の程度、共存物質の種類や量を制御し多孔質のコア粒子を製造し、第2段階としてその表面にシェル層を形成する方法である。具体的には多孔質粒子の製造は、例えば、特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載された方法で行うことができる。
本発明においては、後述の無機微粒子の吸着水量を減らすことが好ましく、粒子サイズの変更、シェル厚の変更、水熱処理の条件等により制御することができる。また、粒子を焼成することで吸着水量を低減することもできる。
[空孔含有微粒子の吸着水量の測定]
本発明において、空孔含有微粒子の吸着水量は以下の測定法により求めることができる。粒子の粉末を、ロータリーポンプを用いて、20℃、約1hPaの条件で1時間乾燥させた。その後20℃−55%の相対湿度で1時間保存した。島津(株)製DTG−50を用い、乾燥後の試料を約10mgを白金セルに秤量し、加熱速度20℃/minで温度20℃から950℃まで上昇させた。吸着水量は200℃まで昇温した際の質量減少百分率として以下の式により算出した。
吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
(W20:昇温開始時の初期質量、W200:200℃まで昇温した時点での質量)
尚、粒子が分散液の場合には、溶媒をエバポレーター(25℃、10hPaに減圧)で留去し、残渣をメノウ乳鉢ですりつぶして粉末とした後に、上記工程で測定することができる。
本発明においては、吸着水量は6.1質量%以下が好ましく、更に好ましくは5.5質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。
層中に粒子サイズや調製条件が異なる粒子を複数種含む場合においては、それら粒子の少なくとも1種の吸着水量が6.1質量%以下であればよい。但し、吸着水量が6.1質量%以下の粒子の全粒子にしめる割合が、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
[空孔含有微粒子の粒子サイズの測定]
本発明の空孔含有微粒子のサイズの測定は、粒子を透過型電子顕微鏡で観察し、円相当径を1000個の平均で算出した。直径は20〜100nmが好ましく、更に好ましくは35〜100nm、最も好ましくは45〜80nmである。粒子径が小さ過ぎると屈折率の上昇や吸着水量の増大が認められ好ましくなく、粒子径が大きすぎると反射防止フィルムを構成した際の塗膜での散乱が大きくなり好ましくない。
本発明においては、空孔含有微粒子はサイズ分布を有していても良く、その変動係数は好ましくは60%〜5%、更に好ましくは50%〜10%である。また、平均粒子サイズの異なる2種又は3種以上の粒子を混合して用いることもできる。
[空孔含有微粒子の屈折率の測定]
本発明に好ましく用いることのできる空孔含有微粒子の屈折率は、1.15〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、最も好ましくは1.18〜1.30である。粒子の屈折率は以下の方法により求めることができる。
(1)マトリックス形成成分液の調製
テトラエトキシシラン(TEOS)(SiO2濃度28質量%)55g、エタノール200g、濃硝酸1.4gおよび水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌した。SiO2に換算したときの濃度が5質量%になるようエタノール量を調節してマトリックス形成成分を含む液(M−1)を調製した。
(2)塗膜の作製
マトリックス形成成分液(M−1)と空孔含有微粒子とを、酸化物換算の質量比[マトリックス(SiO2):空孔含有微粒子(MOx+SiO2)]が、それぞれ100:0、90:10、80:20、60:40、50:50、25:75となるように、混合した屈折率測定用塗布液を調製した。ここで、シリカ以外の無機化合物をMOxで表す。各塗布液を、表面を50℃に保ったシリコンウェハー上に300rpm、スピナー法で各々塗布し、次いで160℃で30分加熱処理した後、エリプソメーターで形成した屈折率測定用被膜の屈折率を測定した。
(3)屈折率の算出
次いで、得られた屈折率と粒子混合割合(粒子:(MOx+SiO2)/[粒子:(MOx+SiO2)+マトリックス:SiO2])をプロットし、外挿によって粒子が100%のときの屈折率を求めた。空孔含有微粒子の割合が多すぎると、測定用の被膜中に空隙が生じて被膜の屈折率を低下させることがあるため、空孔含有微粒子の割合の高いサンプルで量依存性から外れるデーターは排除した。
[空孔含有微粒子の表面処理方法]
次に空孔含有微粒子(多孔質又は中空の無機微粒子)の表面の処理方法について述べる。後述のフッ化アルキル部及び/又はジメチルシロキサン部を含有する低屈折率層用バインダーへの分散性を改良するために、無機微粒子の表面は下記一般式(I)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物により処理がされているのが好ましく、処理の際に、酸触媒および金属キレート化合物のいずれか、あるいは両者が使用されることが更に好ましい。
[オルガノシラン化合物]
本発明に用いるオルガノシラン化合物について詳細に説明する。
一般式(I)

(R10)m−Si(X)4-m

一般式(I)においてR10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびR2COO基(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO基、C25COO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、プロピル基、t−ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1−プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−メチル−N−オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(II)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
一般式(II)
Figure 0004856880
一般式(II)においてR1は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子または塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基またはウレア基を表す。単結合、エステル基およびアミド基が好ましく、単結合およびエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは、2価の連結鎖であり、具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、または内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基であり、なかでも、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は、一般式(I)のR10と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは、一般式(I)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
本発明に用いるオルガノシラン化合物として、下記一般式(III)で表されるものも好ましい。
一般式(III)

(Rf−L1)n−Si(X1)n-4

上記式中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは、炭素数3〜10の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜8の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。X1は一般式(I)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
次に一般式(III)で表される含フッ素シランカップリング剤の中でも、下記一般式(IV)で表される含フッ素シランカップリング剤が好ましい。
一般式(IV)

n2n+1−(CH2)m−Si(X2)3

上記式中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。nは4〜10が好ましく、mは1〜3が好ましく、X2はメトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子を表す。
一般式(I)〜一般式(IV)で表される化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式(I)〜一般式(IV)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004856880
Figure 0004856880
これらの具体例の中で、(M−1)、(M−2)、(M−5)等が特に好ましい。また、特許第3474330号公報の参考例に記載のA,B,Cの化合物も分散安定性に優れ好ましい。本発明においては、一般式(I)〜一般式(IV)で表されるオルガノシラン化合物の使用量は、特に制限はないが、無機微粒子当たり1質量%〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3質量%〜100質量%、最も好ましくは5質量%〜50質量%である。無機酸化物の表面の水酸基基準のモル濃度当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。
オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
本発明においては、上記オルガノシランを加水分解物および/またはその部分縮合物を無機微粒子表面と作用させて無機微粒子の分散性を改善することができる。
加水分解縮合反応は、加水分解性基(X、X1、X2)1モルに対して0.3〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる酸触媒または、金属キレート化合物の存在下、15〜100℃で、撹拌することにより行われることが好ましい。
[分散性の改良処理の触媒]
オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物による分散性の改良処理は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、無機酸化物微粒子液の製造安定性や保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)及び/又は金属キレート化合物が用いられる。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができる。オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。また、アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
本発明において、オルガノシランの加水分解物および/または縮合反応物による分散性の改良処理に用いる金属キレート化合物は、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基を、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiおよびAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物が好ましい。
金属キレート化合物は、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
[分散剤]
本発明において無機微粒子を粉体から溶媒中に分散して調製するには、分散剤を用いることもできる。本発明においては、アニオン性基を有する分散剤を用いることが好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ)、リン酸基(ホスホノ)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基またはその塩が好ましく、カルボキシル基、リン酸基が特に好ましい。分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することもできる。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明の反射防止フィルムの表面自由エネルギー(γsv:単位、mN/m)は、D.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13,1741(1969)を参考に、反射防止フィルム上で実験的に求めた純水H2Oとヨウ化メチレンCH22のそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から以下の連立方程式(1)、(2)より求めたγsdとγshの和で表される値γsv(=γsd+γsh)で算出される反射防止フィルムの表面張力で定義される。このγsvが小さく、低表面自由エネルギーであるほど表面のはじき性が高く、一般に防汚性に優れる。反射防止フィルムの表面自由エネルギーは25mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以下であることが特に好ましい。
(1):1+cosθH2O=2√γsd(√γH2O d/γH2O v)+2√γsh(√γH2O h/γH2O v
(2):1+cosθCH2I2=2√γsd(√γCH2I2 d/γCH2I2 v)+2√γsh(√γCH2I2 h/γCH2I2 v
*γH2O d=21.8、γH2O h=51.0、γH2O v=72.8、γCH2I2 d=49.5、γCH2I2 h=1.3、γCH2I2 v=50.8で、接触角の測定は25℃60%の条件下で1時間以上反射防止フィルムを調湿した後に同条件下において実施するものとする。
本発明に用いる表面自由エネルギーを低下させる化合物および表面自由エネルギー低下能を有するバインダーとは上記で定義した反射防止フィルムの表面自由エネルギーを各々該化合物またはバインダーを用いたことで優位に低下させる化合物またはバインダーであれば構造や組成は限定されない。一般に該化合物またはバインダーを用いた場合の表面自由エネルギーの低下は使用量に対してリニアとはならず、使用量アップに伴いやがて飽和する。例えばDPHAのようなバインダーで形成した硬化マトリックス系であらかじめ使用量に対して表面自由エネルギーの低下をプロットして求めた表面自由エネルギーの低下が飽和する点での該化合物の添加量における表面自由エネルギーの低下は、好ましくは10mN/m以上であり、より好ましくは20mN/m以上であり、25mN/m以上であることが特に好ましく、30mN/m以上であることが最も好ましい。
表面自由エネルギーを低下させる化合物としては、公知のシリコーン化合物あるいはフッ素系化合物を用いることができる。これらを添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、10000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3,−CH2(CF2)4H,−CH2(CF2)8CF3,−CH2CH2(CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF3)2,CH2CF(CF3)2,CH(CH3)CF2CF3,CH(CH3)(CF2)5CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCH2OCH2CF2CF3,CH2CH2OCH248H,CH2CH2OCH2CH2817,CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面自由エネルギーを低下させる化合物はその分子中にバインダーとの反応性を有する基を少なくとも一つ含有することが好ましい。好ましい反応性基の例としては熱硬化性の活性の水素原子、水酸基、メラミン、活性エネルギー線硬化性の(メタ)アクリロイル基、エポキシ基が挙げられ、メラミンまたは(メタ)アクリロイル基であることが特に好ましい。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層に用いることのできるバインダーについて説明する。バインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。尚、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を表す。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、活性エネルギー線の照射または加熱により行うことができる。従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後、活性エネルギー線または熱による重合反応により硬化して反射防止フィルムを形成することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
低屈折率層のバインダーとして用いられるポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、活性エネルギー線の照射または加熱により行うことができる。従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後活性エネルギー線または熱による重合反応により硬化して反射防止フィルムを形成することができる。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーを得るための二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層に用いる表面自由エネルギー低下能を有するバインダーとはDPHAに代表されるアルキルアクリレートモノマーにより硬化形成された層の表面自由エネルギーに対して該バインダーを添加することで優位に表面自由エネルギーを低下し得るようなバインダーであれば特に限定されない。該バインダーのみで硬化形成された層の表面自由エネルギーが30mN/m以下であるバインダーが特に好ましく、25mN/m以下であるバインダーがより好ましく、20mN/m以下のバインダーが特に好ましい。該バインダーは化合物中にフルオロアルキル基、ジメチルシロキサン基、ポリジメチルシロキサン(いわゆるシリコーン)化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。該バインダーは硬化前にモノマーであってもポリマーであってもよく、モノマーとポリマーの混合物であっても複数の化合物の混合物であってもよい。
低屈折率層に用いる前記表面自由エネルギー低下能を有するバインダーの好ましい例について以下に説明する。表面自由エネルギー低下能を有するバインダーは、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.15、水に対する接触角90〜120°の熱または活性エネルギー線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号の各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
本発明の低屈折率層に特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
低屈折率層に用いられる共重合体の好ましい形態として下記一般式1のものが挙げられる。
Figure 0004856880
一般式1中、Lは炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数2〜4の連結基を表し、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、また環構造を有していてもよく、O、N、およびSから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。Lの好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**,*−(CH2)2−NH−**,*−(CH2)4−O−**,*−(CH2)6−O−**,*−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**,*−CONH−(CH2)3−O−**,*−CH2CH(OH)CH2−O−**,*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
一般式1中、Xは、水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーから導かれる繰返し単位によって構成されていても良い。
好ましいビニルモノマーの例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。
本発明の反射防止フィルムの低屈折率層に用いられる共重合体の特に好ましい形態として下記一般式2が挙げられる。
Figure 0004856880
一般式2において、X、x、yは一般式1と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1におけるAの例として説明したものが当てはまる。z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式1又は2で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に、前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に本発明で有用な共重合体の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004856880
Figure 0004856880
Figure 0004856880
Figure 0004856880
Figure 0004856880
本発明に用いられる共重合体の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行なうことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
次に低屈折率層表面へのシリコーンまたはフルオロアルキル基の偏析の測定方法について説明する。各々の反射防止フィルムついて島津製作所(株)製ESCA−3400で測定(真空度1×10-5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)された最表面のSi2p、F1s、C1sの光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(a))、F1s/C1s(=F(a))とESCA−3400に付属のイオンエッチング装置(イオンガン、電圧2kV、電流20mA)で低屈折率層をその層厚が1/5(±5%)になるまで削った表面から80%下層において測定した光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(b))、F1s/C1s(=F(b))から、エッチング前後でのそれぞれの強度比の変化、Si(a)/Si(b)、F(a)/F(b)、を求め、それぞれのSi2p/C1s比、F1s/C1s比のエッチング前後における変化(低屈折率層最上部における光電子スペクトルの強度比/低屈折率層の表面から深さ80%下層付近における光電子スペクトルの強度比)により、表面偏析度を決定できる。なおF1s、C1sはそれぞれの光電子スペクトルのピーク位置で強度を求め、Si2pはシリコーン(ポリジメチルシロキサン)のSi原子由来のピーク位置(結合エネルギーが105eV付近)における強度を上記の強度比算出に用い、無機シリカ粒子由来のSi原子と区別した。あらかじめ種々のエッチング条件で低屈折率層表面を徐々に削り進む予備実験を実施しておき、下層のハードコート層または高屈折率層に達するまでに要するエッチング条件を元に表面から深さ80%となる条件を求めてから測定する。表面の特性のみをコントロールする場合に本明細書に記載の表面偏析化合物を適宜使用することによって、必要な成分のみを選択的に表面に配置可能であり、膜の内部の特性と表面の特性を独立にコントロールすることが可能となる。
[低屈折率層の物性]
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.40であることがより好ましく、1.25〜1.38であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜120nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
[反射防止フィルムの層構成]
本発明の反射防止フィルムは、透明な基材上に、必要に応じて後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されている。反射防止フィルムは、最も単純な構成では、基材上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材またはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記構成において基材フィルムは、支持体として機能している。
・基材フィルム/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
・帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層、
光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。高屈折率層は防眩性のない光拡散性層であってもよい。
また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子または金属酸化物微粒子(例えば、ATO、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布または大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
[高(中)屈折率層]
次に、高(中)屈折率層について説明する。
本発明に高屈折率層が用いられる場合、屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層が用いられる場合、屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。
本発明の高屈折率層および中屈折率層には、屈折率の高い無機微粒子を前述のハードコート層で例示したモノマーと開始剤、有機置換されたケイ素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。無機微粒子としては、金属(例、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン)の酸化物が好ましく、屈折率の観点から、ニ酸化チタンの微粒子が最も好ましい。モノマーと開始剤を用いる場合は、塗布後に活性エネルギー線または熱による重合反応によりモノマーを硬化させることで、耐傷性や密着性に優れる中屈折率層や高屈折率層が形成できる。無機微粒子の平均粒径は、10〜100nmであることが好ましい。
上記二酸化チタンの微粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。本発明における二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
無機微粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。無機微粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明の高屈折率層および中屈折率層の耐候性を改良することができる。特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
<分散剤>
本発明の高屈折率層および中屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、分散剤を用いることができる。本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが特に好ましい。アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(及びスルホ基)、リン酸基(及びホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びその塩が好ましく、カルボキシル基及びリン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。無機微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。本発明の高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散に用いる好ましい分散剤は、アニオン性基と、架橋又は重合性官能基とを有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤である。アニオン性基と、架橋又は重合性官能基とを有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい質量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
分散剤の無機微粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
<高(中)屈折率層の形成法>
高屈折率層および中屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用する。無機微粒子の分散において、前記の分散剤の存在下で、分散媒体中に分散する。分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機微粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。無機微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層および中屈折率層を形成できる。
本発明に用いる高屈折率層および中屈折率層は、上記のようにして分散媒体中に無機微粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する活性エネルギー線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、活性エネルギー線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層および中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。このようにして作製した高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と活性エネルギー線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機微粒子を含有する高屈折率層および中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
活性エネルギー線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。尚、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」等の記載は、「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」の意味を表す。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,500,907,369,1173,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)に記載されている。市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。光重合反応は、高屈折率層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。本発明に用いる高屈折率層は、前記一般式(A)で表される化合物、及び/又は、その誘導体化合物を含有することもできる。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
高屈折率層には、前記の成分(無機微粒子、重合開始剤、光増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子、などを添加することもできる。
高屈折率層の形成において、活性エネルギー線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応は、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。高屈折率層を酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性、更には、高屈折率層と高屈折率層と隣接する層との接着性を改良することができる。好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で活性エネルギー線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
また、反射防止フィルムを液晶表示装置に適用する場合、視野角特性を改良する目的で、平均粒径が0.1〜10μmの粒子を添加したアンダーコート層を新たに構築するか、ハードコート層中に上記粒子を添加して光散乱性ハードコート層とすることができる。粒子の平均粒径は、好ましくは0.2〜5.0μm、更に好ましくは0.3〜4.0μm、特に好ましくは0.5〜3.5μmである。
粒子の屈折率は1.35〜1.80であることが好ましく、より好ましくは1.40〜1.75、さらに好ましくは1.45〜1.75である。粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の粒径分布を示すS値は下記式で表され、1.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.7以下である。
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径の積算値の10%相当粒径
D(0.5):体積換算粒径の積算値の50%相当粒径
D(0.9):体積換算粒径の積算値の90%相当粒径
また、粒子の屈折率とアンダーコート層の屈折率との屈折率の差が0.02以上であることが好ましい。より好ましくは、屈折率の差が0.03〜0.5、さらに好ましくは屈折率の差が0.05〜0.4、特に好ましくは屈折率の差が0.07〜0.3である。アンダーコート層に添加する粒子としては、防眩層で記載した無機粒子と有機粒子が挙げられる。アンダーコート層は、ハードコート層と透明支持体の間に構築することが好ましい。また、ハードコート層を兼ねることもできる。アンダーコート層に平均粒径が0.1〜10μmの粒子を添加する場合、アンダーコート層のヘイズは、3〜60%であることが好ましい。より好ましくは、5〜50%であり、さらに好ましくは7〜45%、特に好ましくは10〜40%である。
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。本発明の反射防止フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等の手段によりディスプレイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は、偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
<透明基材>
反射防止膜をCRT画像表示面やレンズ表面に直接設ける場合を除き、反射防止膜は透明基材(透明支持体)を有することが好ましい。透明基材の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明基材のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明基材の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。透明基材としてはガラス板よりもプラスチックフィルムの方が好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましい。特に、液晶表示装置に用いる場合、セルロースアシレートフィルムが好ましく、セルロースからエステル化してセルロースアシレートが作製される。特に好ましい前述のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、リンター、ケナフ、パルプを精製して用いられる。
本発明において、セルロースアシレートとはセルロースの脂肪酸エステルのことであるが、特に、低級脂肪酸エステルが好ましい。更には、セルロースの脂肪酸エステルフィルムが好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数が2乃至4のセルロースアシレートが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることも好ましい。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。又、セルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至5.0であることが好ましい。より好ましくは、1.0〜3.0であり、特に好ましくは1.0〜2.0である。本発明の透明基材としては、酢化度が55.0乃至62.5%であるセルロースアシレートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0乃至62.0%であることがさらに好ましく、59.0乃至61.5%が特に好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアシレート等の試験法)におけるアシル化度の測定および計算によって求められる。
セルロースアシレートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるセルロースアシレートでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度または多い方が好ましい。2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30乃至40%であることが好ましく、31乃至40%であることがさらに好ましく、32乃至40%であることが最も好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、以下「公開技報2001−1745号」と略す)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
透明基材には、フィルムの機械的特性(膜の強度、カール、寸度安定性、滑り性等)、耐久性(耐湿熱性、耐候性等)等の特性を調整するために各種の添加剤を用いることが出来る。例えば、可塑剤(リン酸エステル類、フタル酸エステル類、ポリオールと脂肪酸とのエステル類等)、紫外線防止剤(例えば、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物等)、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、微粒子(例えばSiO2、Al23、TiO2、BaSO4、CaCO3、MgCO3、タルク、カオリン等)、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等が挙げられる。これらの詳細は、公開技報2001−1745号,p.17−22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
添加剤の使用量は、透明基材の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
透明基材に、表面処埋を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。具体的には、例えば、公開技報2001−1745号,p.30−31に記載の内容、特開2001−9973号公報に記載の内容等が挙げられる。好ましくは、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理、更に好ましくはグロー放電処理と紫外線処理が挙げられる。
本発明の反射防止フィルムでは、膜強度を向上させる目的で適宜各層に無機フィラーを添加することが好ましい。各層に添加する無機フィラーはそれぞれ同じでも異なっていても良く、各層の屈折率、膜強度、膜厚、塗布性などの必要性能に応じて、種類、添加量等は適宜調節されることが好ましい。本発明に使用する無機フィラーの形状は特に制限されるものではなく、例えば、球状、板状、繊維状、棒状、不定形、中空等のいずれも好ましく用いられるが、球状が分散性がよくより好ましい。また、無機フィラーの種類についても特に制限されるものではないが、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物が特に好ましい。
上記金属酸化物の金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNi等が挙げられる。無機フィラーの平均粒子径は、透明な硬化膜を得るためには、0.001〜0.2μmの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1μm、さらに好ましくは0.001〜0.06μmである。ここで、粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。本発明における無機フィラーの使用方法は特に制限されるものではないが、例えば、乾燥状態で使用することができるし、あるいは水もしくは有機溶媒に分散した状態で使用することもできる。本発明において、無機フィラーの凝集、沈降を抑制する目的で、分散安定化剤を併用することも好ましい。分散安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ポリアミド、リン酸エステル、ポリエーテル、界面活性剤およびシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を使用することができる。特にシランカップリング剤が硬化後の皮膜が強いため好ましい。分散安定化剤としてのシランカップリング剤の添加量は特に制限されるものではないが、例えば、無機フィラー100質量部に対して、1質量部以上の値とするのが好ましい。また、分散安定化剤の添加方法も特に制限されるものではないが、予め加水分解したものを添加することもできるし、あるいは、分散安定化剤であるシランカップリング剤と無機フィラーとを混合後、さらに加水分解および縮合する方法を採ることができるが、後者の方がより好ましい。各層に適する無機フィラーについてはそれぞれ後述する。
[ハードコート層]
本発明の反射防止フィルムのハードコート層について以下に説明する。
ハードコート層は、ハードコート性を付与するためのバインダー、必要に応じて防眩性を付与するためのマット粒子、および高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーから形成される。バインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキサントリオールトリアクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、活性エネルギー線の照射または加熱により行うことができる。従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後活性エネルギー線または熱による重合反応により硬化して反射防止フィルムを形成することができる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、活性エネルギー線の照射または加熱により行うことができる。従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後活性エネルギー線または熱による重合反応により硬化して反射防止フィルムを形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層には、必要に応じて平均粒径が1〜10μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有される。上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子が好ましい。マット粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できる。また、異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは30〜100mg/m2となるように防眩性ハードコート層に含有される。また、特に好ましい態様は、マット粒子として架橋スチレン粒子を用い、ハードコート層の膜厚の2分の1よりも大きい粒径の架橋スチレン粒子が、該架橋スチレン粒子全体の40〜100%を占める態様である。ここで、マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
ハードコート層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.001〜0.2μm以下、好ましくは0.001〜0.1μm、より好ましくは0.001〜0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。ハードコート層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。これらの無機フィラーの添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明のハードコート層のバインダーおよび無機フィラーの混合物の合計の屈折率は、1.57〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.60〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
ハードコート層の膜厚は1〜10μmが好ましく、1.2〜6μmがより好ましい。
このようにして形成された本発明の反射防止フィルムは、ヘイズ値が3〜20%、好ましくは4〜15%の範囲にあり、そして450nmから650nmの平均反射率が1.8%以下、好ましくは1.5%以下である。本発明の反射防止フィルムが上記範囲のヘイズ値及び平均反射率であることにより、透過画像の劣化を伴なわずに良好な防眩性および反射防止性が得られる。
本発明の偏光板は、偏光層の2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に上記反射防止フィルムを用いてなる。本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。また、本発明の偏光板において反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねることで、製造コストを低減できる。
[塗布方式]
本発明の反射防止フィルムを塗布する方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法が好ましく、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。更に、構成を後述のように工夫したダイを使用して塗布を行うことが最も好ましい。
[ダイコーターの構成]
図1は、本発明の実施の際に使用したスロットダイを用いたコーターの断面図である。コーター10はバックアップロール11に支持されて連続走行するウェブWに対して、スロットダイ13から塗布液14をビード14aにして塗布することにより、ウェブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部にはポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、たとえば、図Aに示されるような略円形でもよいし、又は半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。
ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、又はスロット開口部16aとは反対側の面の中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている。
スロット16は、ポケット15からウェブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さの幅になるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェブ走行方向の接線とのなす角は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は、先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェブWの走行方向の上流側を上流側リップランド18a、下流側を下流側リップランド18bと称する。
[画像表示装置]
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の反射防止フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内の本発明の反射防止フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
調製例1[無機微粒子(P−1)の調製]
テトラエトキシシラン(TEOS、SiO2濃度28質量%)360gとメタノール530gを混合し、この混合液に25℃において、イオン交換水100gとアンモニア水(28%アンモニア含有)をそれぞれ滴下し、24時間攪拌し熟成した。オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換して固形分濃度20質量%の無機微粒子(P−1)の分散液を調製した。透過電子顕微鏡観察により多孔質の粒子であることが確認された。
調製例2[無機微粒子(P−2)の調製]
調製例1で作製した無機微粒子(P−1)分散液100.0gに対してイオン交換水を900g及びエタノール800gを加えた混合液を30℃に加温した後、テトラエトキシシラン(SiO2濃度28質量%)360gと28%アンモニア水626gを添加し、粒子表面にテトラエトキシシランの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の無機微粒子(P−2)の分散液を調製した。
調製例3[無機微粒子(P−3)の調製]
無機微粒子(P−2)の調製工程において、テトラエトキシシラン(SiO2濃度28質量%)の添加量を360gから470gに変更した以外は無機微粒子(P−2)の調製工程と同様にして無機微粒子(P−3)を調製した。
調製例4[無機微粒子(P−4)の調製]
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル90gとイオン交換水1710gとを混合して反応母液を調製し、95℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.5質量%のケイ酸ナトリウム水溶液24,900gと、Al23として0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液36,800gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を91℃に保持した。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23コア粒子の分散液(A)を調製した。(第1調製工程)
次いで、このコア粒子の分散液(A)500gを採取し、イオン交換水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)2,100gを添加してコア粒子表面にシリカ保護膜を形成した。得られたシリカ保護膜を有するコア粒子の分散液を、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%に調整したのち、コア粒子の分散液500gにイオン交換水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行ったのち、pH3の塩酸水溶液10Lとイオン交換水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、粒子前駆体分散液を調製した。(第2調製工程)
上記粒子前駆体分散液1500gと、イオン交換水500gおよびエタノール1,750gとの混合液を30℃に加温した後、テトラエトキシシラン(SiO228質量%)40gと28%アンモニア水626gを速度を制御しながら添加し、粒子前駆体表面にテトラエトキシシランの加水分解重縮合物でシリカ外殻層を形成することによって、外殻層内部に空洞を有する粒子を作製した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、4時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ微粒子ゾル(空孔含有無機微粒子)(P−4)の分散液を調製した。(第3調製工程)
調製例5[無機微粒子(P−5)の調製]
無機微粒子(P−4)の第3調製工程において、テトラエトキシシラン(SiO228質量%)の添加量を60gに変更した以外は無機微粒子(P−4)の調製工程と同様にして中空シリカ微粒子ゾル(P−5)を調製した。
調製例6[無機酸化物粒子(P−6)の調製]
無機酸化物粒子(P−4)の第3調製工程において、テトラエトキシシラン(SiO228質量%)の添加量を70gに変更した以外は無機微粒子(P−4)の調製工程と同様にして中空シリカ微粒子ゾル(P−6)を調製した。
調製例7[無機微粒子(P−7)の調製]
無機微粒子(P−4)の第3調製工程において、テトラエトキシシラン(SiO228質量%)の添加量を160gに変更した以外は無機微粒子(P−4)の調製工程と同様にして中空シリカ微粒子ゾル(P−7)を調製した。
無機酸化物粒子(P−4)の調製において、以下の工程を調節することで粒子サイズ、吸着水量、屈折率の異なる粒子(P−8)〜(P−11)を作製した。
[粒子サイズの変更]
第1調製工程において、平均粒径5nmのシリカゾルの添加量を変えることで粒子サイズの変更を行った。
[吸着水量の変更]
第2調製工程において、ケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)の量を変更又は、第3調製工程において、テトラエトキシシラン量、アンモニア量、添加タイミング、温度、時間等を適宜変更して粒子を形成した。
[無機微粒子の評価]
この様にして得られた粒子を用い以下の評価を行った。
(評価1)粒子サイズ測定
分散液を希釈してグリッド上にすくい取り透過型電子顕微鏡で観察した。1000個の粒子の平均の粒子サイズを求めた。
(評価2)吸着水量
分散液をエバポレーターで乾燥し粉末化した後に、200℃まで昇温した際の質量減少百分率として以下の式により算出した。
吸着水量(%)=100×(W20−W200)/W200
(W20:昇温開始時の初期質量、W200:200℃まで昇温した時点での質量)
(評価3)粒子屈折率
本文に記載の方法で粒子をマトリックス中に含量を変えて塗膜を形成した。膜の屈折率を測定し、無機微粒子100%時の屈折率を外挿して粒子屈折率とした。
評価(1)〜(3)の結果は表1に示す。
Figure 0004856880
[実施例1]
以下に示す多層の反射防止フィルムを作製した。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(商品名、ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
(分散液A−6の調製)
調製例6で作製した中空シリカ微粒子ゾル(P−6)の500部(シリカ濃度20質量%、エタノール分散液)に対して、ほぼシリカの含量が一定となるようにイソプロピルアルコールを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。このようにして得られたシリカ分散液(シリカ濃度20%)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート(商品名、ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液(A−6)のイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
各調製例で調製した他の無機微粒子(P−1)〜(P−5)、(P−7)〜(P−11)について、分散液(A−6)の調製に準じて処理を行い、対応する分散液(A−1)〜(A−5)、(A−7)〜(A−11)を調製した。
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)[例示フッ素ポリマー:P−1]の合成)
Figure 0004856880
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
(ハードコート層用塗布液Aの調製)
PETA 50.0質量部
イルガキュア184 2.0質量部
SX−350(30%) 1.7質量部
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.3質量部
FP−132 0.75質量部
KBM−5103 10.0質量部
トルエン 38.5質量部
(ハードコート層用塗布液Bの調製)
デソライトZ7404 100質量部
(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:JSR(株)製)
DPHA (UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製) 31質量部
KBM−5103 10質量部
KE−P150 (1.5μmシリカ粒子:日本触媒(株)製) 8.9質量部
MXS−300 (3μm架橋PMMA粒子:綜研化学(株)製) 3.4質量部
MEK(メチルエチルケトン) 29質量部
MIBK(メチルイソブチルケトン) 13質量部
(ハードコート層用塗布液Cの調製)
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA:ビスコート#295、日本化薬(株)製)750.0質量部に、質量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)50.0質量部を添加して攪拌した。
上記塗布液AおよびBは孔径30μm、Cは孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層の塗布液を調製した。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製、TiO2:Co34:Al23:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5質量比)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤41.1質量部、およびシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
分散剤
Figure 0004856880
(中屈折率層用塗布液Aの調製)
上記の二酸化チタン分散液99.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)68.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.6質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.2質量部、メチルエチルケトン279.6質量部およびシクロヘキサノン1049.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
(高屈折率層用塗布液Aの調製)
上記の二酸化チタン分散液A469.8質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)40.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.3質量部、光増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン526.2質量部、およびシクロヘキサノン459.6質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
(低屈折率層用塗布液Aの調製)
JTA−113(6%) 941.7質量部
MEK−ST−L(30%) 100.0質量部
ゾル液a 46.6質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が3対97となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Bの調製)
JTA−113(6%) 941.7質量部
調製粒子分散液:A−4(20%) 195.0質量部
ゾル液a 15.6質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Cの調製)
JTA−113(6%) 783.3質量部
調製粒子分散液:A−4(20%) 195.0質量部
MEK−ST−L(30%) 30.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Dの調製)
DPHA 50.0質量部
調製粒子分散液:A−4(20%) 195.0質量部
Irg−907 3.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Eの調製)
DPHA 50.0質量部
調製粒子分散液:A−6(20%) 195.0質量部
Irg−907 3.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Fの調製)
DPHA 50.0質量部
調製粒子分散液:A−6(20%) 195.0質量部
RMS−033 3.0質量部
Irg−907 3.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Gの調製)
DPHA 5.0質量部
例示フッ素ポリマー:P−1 45.0質量部
調製粒子分散液:A−4(20%) 195.0質量部
Irg−907 3.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Hの調製)
DPHA 5.0質量部
例示フッ素ポリマー:P−1 45.0質量部
調製粒子分散液:A−6(20%) 195.0質量部
Irg−907 3.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Iの調製)
DPHA 5.0質量部
例示フッ素ポリマー:P−1 45.0質量部
調製粒子分散液:A−6(20%) 195.0質量部
RMS−033 3.0質量部
Irg−907 3.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Jの調製)
例示フッ素ポリマー:P−1 93.0質量部
RMS−033 3.0質量部
Irg−907 4.0質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Kの調製)
テトラメトキシシラン30質量部とメタノール240質量部を4つ口反応フラスコに入れ、液温を30℃に保ちながら攪拌し、次いで、これに水6質量部に硝酸2質量部を加えた水溶液を加えて30℃で5時間攪拌し、シロキサンオリゴマーのアルコール溶液(溶液A)を得た。シロキサンオリゴマーのGPCによるエチレングリコール/ポリエチレンオキサイド換算の相対分子量は950であった。
別途、4つ口反応フラスコにメタノールを300質量部入れた後、シュウ酸30質量部を攪拌しながら混合した。この溶液を加熱し還流させながらテトラメトキシシラン30質量部及びトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン8質量部を滴下し5時間還流下で加熱した後、冷却し、フルオロアルキル構造及びポリシロキサン構造を有するフッ素化合物の溶液(溶液B)を得た。
溶液A30質量部及び溶液B100質量部を攪拌混合して、混合塗工液中の固形分濃度が1質量%となるように酢酸ブチルにて希釈を行い低屈折率層用塗布液Kを得た。
(低屈折率層用塗布液Lの調製)
溶液Aおよび溶液Bの調製は低屈折率層用塗布液Kと同様に行い、溶液A30質量部及び溶液B100質量部に更に水素末端ポリジメチルシロキサンDMS−H21(Gelest製)を1質量部、前述の粒子分散液A−4(20.0%)を80質量部加えて攪拌混合して、混合塗工液中の固形分濃度が1質量%となるように酢酸ブチルにて希釈を行い低屈折率層用塗布液Lを得た。
(低屈折率層用塗布液Mの調製)
JTA−113(6%) 783.3質量部
調製粒子分散液:A−5(20%) 195.0質量部
MEK−ST−L(30%) 30.0質量部
RMS−033 3.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Nの調製)
JTA−113(6%) 783.3質量部
調製粒子分散液:A−5(20%) 195.0質量部
MEK−ST−L(30%) 30.0質量部
X22−163C 3.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
(低屈折率層用塗布液Oの調製)
JTA−113(6%) 783.3質量部
調製粒子分散液:A−5(20%) 195.0質量部
MEK−ST−L(30%) 30.0質量部
KF−6003 3.0質量部
ゾル液a 17.2質量部
塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサノンとMEKの質量比率が10対90となるようにシクロヘキサノンとMEKで希釈した。
上記溶液を攪拌後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
それぞれ使用した化合物(文中で詳細な説明を省略したものについて)を以下に示す。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
イルガキュア184:重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散後使用)
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm(屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液)
FP−132:フッ素系表面改質剤
Figure 0004856880
KBM−5103:シランカップリング剤(信越化学工業(株)製)。
JTA−113:熱架橋性含フッ素ポリマー(屈折率1.44、固形分濃度6%、JSR(株)製)「オプスターJTA−113:商品名」
P−1:パーフルオロオレフィン共重合体(1)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
MEK−ST−L:シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)
KF96−1000CS:ストレートシリコーン(信越化学工業(株)製)
KF−6003:カルビノール変性シリコーン(信越化学工業(株)製)
X22−164C:メタクリロキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製)
X22−163C:エポキシ変性シリコーン(信越化学工業(株)製)
RMS−033:メタクリロキシ変性シリコーン(Gelest(株)製)
R−2020:フルオロアルキルアクリレートモノマー(ダイキン(株)製)
FMS−121:フルオロアルキルシリコーン(Gelest(株)製)
Irg−907:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
(1−1)ハードコート層Aおよびハードコート層Cの塗設
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して直接、上記のハードコート層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、ハードコート層Aは照射量250mJ/cm2、ハードコート層Cは照射量300mJ/cm2の紫外線照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後、ハードコート層Aは厚さが6μmとなるようにハードコート層Cは厚さが8μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
(1−2)ハードコート層Bの塗設
支持体としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して直接、上記のハードコート層用塗布液を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後、ハードコート層の厚さが3.6μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
(2)中屈折率層Aの塗設
ハードコート層まで塗設したトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)を再び巻きだして、中屈折率層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて塗布した。乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。塗布後の厚さ67nmになるようにグラビアロールの回転数を調節しながら中屈折率層を形成し、巻き取った。硬化後の中屈折率層は屈折率1.630であった。
(3)高屈折率層Aの塗設
中屈折率層まで塗設したトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)を再び巻きだして、高屈折率層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて塗布した。乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。塗布後の厚さ107nmになるようにグラビアロールの回転数を調節しながら高屈折率層を形成し、巻き取った。硬化後の高屈折率層は屈折率1.905であった。
(4−1)低屈折率層の塗設「塗布硬化方式A」
ハードコート層もしくは高屈折率層まで塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒で前乾燥の後、更に140℃で8分、後乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmになるようにグラビアロールの回転数を調節しながら低屈折率層を形成し、巻き取った。
(4−2)低屈折率層の塗設「塗布硬化方式B」
後乾燥を省いた以外は「塗布硬化方式A」と同様にした。
(4−3)低屈折率層の塗設「塗布硬化方式C」
上記で調製した低屈折率層用塗布液をワイヤーバーを用いて硬化後の厚みが約100nmとなるように塗工し、90℃で1時間加熱硬化して反射防止層を形成した。
(4−4)低屈折率層の塗設「塗布硬化方式D」
ハードコート層まで塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液をダイコート法により塗布した。120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
(反射防止フィルム試料の作成)
表2〜表4に示すように上記方法により反射防止フィルム試料を作成した。
表2及び5において、試料004〜008、011、012、014、015、018〜021は「本発明」とあるのを「参考例」に読み替えるものとする。
表3及び6において、試料109〜116は「本発明」とあるのを「参考例」に読み替えるものとする。
表4及び7において、試料203、206、及び207は「本発明」とあるのを「参考例」に読み替えるものとする。
Figure 0004856880
Figure 0004856880
Figure 0004856880
(反射防止フィルムの鹸化処理)
製膜後、試料016〜018を除く前記試料について以下の処理を行った。
1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止フィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
(反射防止フィルムの評価)
前記の鹸化処理後に得られたフィルム試料について、以下の項目の評価を行った。ただし試料016〜018については鹸化処理を行なわないフィルム試料について、同様に以下の項目の評価を行った。
(1)水付着跡の△Eの測定
フィルム、偏光板、又は画像表示装置の反射防止フィルムの最表面を水平に設置した。25℃−55%の相対湿度に30分間以上放置した後に、イオン交換水2.0mlをピペット(エッペンドルフ社製)で約2秒かけて滴下した。反射防止膜の表面により広がりやすさが異なるが、水滴を直径約1.5〜2.5cmの円状に広げた。15分間放置後、ベンコット(旭化成(株)製)で水滴を拭き取った。水滴を滴下する前後で反射防止フィルムの反射スペクトルを測定した。測定は日本分光(株)製 Model V−550UV/Vis Spectorphotometerを用い、D65標準光源下でのCIE1976L***色空間における色度変化(△E)を決定した。
(2)平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの平均反射率を用いた。
(3)マジック拭き取り性
反射防止フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃60RH%の条件下で黒マジック「マッキー極細(商品名:ZEBRA製)」のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねたベンコット(商品名、旭化成(株))でベンコットの束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。マジック跡が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数を求めた。上記テストを4回繰り返し、平均して下記4段階で評価した。
◎:10回以上拭き取り可能。
○:数回〜10回未満拭き取れる。
△:1回だけ拭き取れる。
×:1回も拭き取れない
(4)シリコーン(Si原子)、フルオロアルキル(F原子)の表面偏析度評価
島津製作所(株)製ESCA−3400で各々の反射防止フィルムついて測定(真空度1×10-5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)された最表面のSi2p、F1s、C1sの光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(a))、F1s/C1s(=F(a))とESCA−3400に付属のイオンエッチング装置(イオンガン、電圧2kV、電流20mA)で低屈折率層をその層厚が1/5(±5%)になるまで削った表面から80%下層において測定した光電子スペクトルの強度比Si2p/C1s(=Si(b))、F1s/C1s(=F(b))から、エッチング前後でのそれぞれの強度比の変化、Si(a)/Si(b)、F(a)/F(b)、を求め、それぞれのSi2p/C1s比、F1s/C1s比のエッチング前後における変化(低屈折率層最上部における光電子スペクトルの強度比/低屈折率層の表面から深さ80%下層付近における光電子スペクトルの強度比の変化)を以下4段階で評価した。上記測定を同一膜面上で互いに少なくとも2cm以上離れた場所3箇所で行った。
◎:エッチング後の強度比が5倍以上が1箇所以上。
○:エッチング後の強度比が5倍未満、3倍以上が1箇所以上。
△:エッチング後の強度比が3倍未満、1.5倍以上が1箇所以上。
−:エッチング後の強度比が1.5倍未満
なお、F1s、C1sはそれぞれの光電子スペクトルのピーク位置で強度を求め、Si2pは結合エネルギーが105eV付近のシリコーン(ポリジメチルシロキサンのSi原子)由来のピーク位置における強度を上記の強度比算出に用い、無機シリカ粒子由来のSi原子と区別した。種々のエッチング条件で低屈折率層表面を徐々に削り進む予備実験を実施しておき、下層のハードコート層または高屈折率層に達するまでに要するエッチング条件から表面から深さ80%となる条件を求めてから測定した。
Figure 0004856880
Figure 0004856880
Figure 0004856880
表5から表7に示される結果より、以下のことが明らかである。
本発明の反射防止フィルムは、水滴付着後の色味変化が小さく、反射率、マジック拭き取り性にも優れ、反射防止フィルムとして性能が向上している。本発明の試料は比較試料001に対していずれも低反射化と水滴付着後の色味変化抑制を達成でき、比較試料101に対してシリコーンやフルオロアルキル化合物を添加した試料103〜106などは水滴付着後の色味変化抑制に加えてマジック拭き取り性が向上する。更にシリコーンとフッ素バインダーを併用する試料110〜113などは水滴付着後の色味変化抑制に優れ、更に一段高いマジック拭き取り性を発現した。
[実施例2]
次に、本発明試料フィルム004、006,015、110を偏光板と貼り合わせて反射防止付き偏光板を作製した。この偏光板を用いて反射防止層を最表層に配置した液晶表示装置を作製したところ、外光の映り込みが少なく、反射像が目立たず優れた視認性を有していた。また実使用形態において問題となる水滴付着後の水あと、防汚性等は満たされていた。
[実施例3]
1.5mol/l、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)と、実施例2で使用した本発明試料塗設置したトリアセチルセルロースフィルムに、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光膜の両面を接着、保護して偏光板を作製した。このようにして作製した偏光板を、反射防止膜側が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のD−BEFをバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
[実施例4]
実施例2で使用した本発明試料を貼りつけた透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルム、およびバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムとして、ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有する視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA−12B、富士写真フイルム(株)製)を用いたところ、明室でのコントラストに優れ、且つ上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
[実施例5]
実施例2で使用した本発明試料を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ視認性が高く、指紋やホコリに対する汚染に対しても十分に耐え得る表示装置が得られた。
[実施例6]
実施例2で使用した本発明試料を用いて、片面反射防止フィルム付き偏光板を作製し、偏光板の反射防止膜を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、反射防止膜側が最表面になるように、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、表面反射および、表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示が得られた。
本発明の実施の際に使用したスロットダイを用いたコーターの断面図である。
符号の説明
10 コーター
11 バックアップロール
W ウェブ
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
17 先端リップ
18 ランド
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド

Claims (6)

  1. 透明支持体上に、吸着水量が6.1質量%以下で粒子サイズが20〜100nmである多孔質および/または中空の無機微粒子表面自由エネルギーを低下させる化合物、及び架橋構造を有する飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーを含む低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、
    該表面自由エネルギーを低下させる化合物が、分子内に活性エネルギー線硬化性の(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ含むシリコーン化合物であり、
    該架橋構造を有する飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーが、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体からなり、該モノマーが以下から選ばれることを特徴とする反射防止フィルム。
    多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、ビニルベンゼンおよびその誘導体、ビニルスルホン、アクリルアミド、及びメタクリルアミド
  2. 前記架橋構造を有する飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーが、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体であって、該モノマーが以下から選らばれることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
    エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン、ジビニルスルホン、メチレンビスアクリルアミド
  3. シリコーンおよび/またはフルオロアルキル基が上記低屈折率層の表面に偏析し、上記低屈折率層の最表面と最表面から80%下層における光電子スペクトル強度比Si/Cおよび/またはF/Cが該最表面において80%下層よりも5倍以上大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止フィルム。
  4. 上記無機微粒子の表面が、酸触媒および/または金属キレート化合物を使用して下記一般式(I)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物により処理がされていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の反射防止フィルム。
    一般式(I):(R10)mSi(X)4-m
    (式中、R10は、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の反射防止フィルムを備えたことを特徴とする偏光板。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは請求項に記載の偏光板を備えたことを特徴とする画像表示装置。
JP2005023824A 2005-01-31 2005-01-31 反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置 Expired - Lifetime JP4856880B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005023824A JP4856880B2 (ja) 2005-01-31 2005-01-31 反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005023824A JP4856880B2 (ja) 2005-01-31 2005-01-31 反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2006208991A JP2006208991A (ja) 2006-08-10
JP2006208991A5 JP2006208991A5 (ja) 2007-08-30
JP4856880B2 true JP4856880B2 (ja) 2012-01-18

Family

ID=36965889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005023824A Expired - Lifetime JP4856880B2 (ja) 2005-01-31 2005-01-31 反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4856880B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009066965A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd 透明被膜付基材および透明被膜形成用塗料
JP5441056B2 (ja) * 2008-11-28 2014-03-12 日東電工株式会社 ハードコート層形成用組成物、ハードコートフィルム、光学素子および画像表示装置
KR20130128469A (ko) 2009-07-08 2013-11-26 닛토덴코 가부시키가이샤 투명 도전성 필름, 전자 기기 및 터치 패널
JP2015501449A (ja) * 2011-10-25 2015-01-15 ユニピクセル ディスプレイズ,インコーポレーテッド ディスプレイデバイス用のフレキシブルな耐スクラッチ性フィルム
JP2018205598A (ja) * 2017-06-07 2018-12-27 メルク、パテント、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツングMerck Patent GmbH 感光性シロキサン組成物、およびそれを用いて形成した硬化膜

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002197996A (ja) * 2000-12-26 2002-07-12 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 陰極線管
US7371439B2 (en) * 2002-08-15 2008-05-13 Fujifilm Corporation Antireflection film, polarizing plate and image display device
JP2005232934A (ja) * 2004-02-23 2005-09-02 Sumitomo Forestry Co Ltd 締着ナット部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006208991A (ja) 2006-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5114438B2 (ja) 光学フィルム、その製造方法、偏光板および画像表示装置
JP2005186568A (ja) 反射防止フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP5049542B2 (ja) 反射防止フイルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置
JP4990665B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP5450708B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP4990005B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP5046482B2 (ja) 無機酸化物微粒子分散物の製造方法、無機酸化物微粒子分散物、コーティング組成物、光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2007249191A (ja) 光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2007293313A (ja) 塗布組成物、光学フィルム、偏光板、画像表示装置、及び光学フィルムの製造方法
JP2011059699A (ja) 反射防止フィルム、その製造方法、偏光板、及び画像表示装置
JP4895343B2 (ja) 反射防止フィルム、その製造方法、偏光板、及び画像表示装置
JP4393232B2 (ja) 反射防止フィルムの製造方法
JP2007196164A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置
KR20070064601A (ko) 경화성 조성물, 반사방지 필름, 이의 제조 방법, 편광판 및영상 표시 장치
JP2007119310A (ja) 無機微粒子、これを用いた分散液、コーティング組成物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP2006048025A (ja) 反射防止フィルムおよびその製造方法
JP2006293329A (ja) 反射防止フィルム及びその製造方法、並びにそのような反射防止フィルムを用いた偏光板、及びそのような反射防止フィルム又は偏光板を用いた画像表示装置。
JP4914585B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置
JP4914564B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2006268031A (ja) 反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
JP2005301241A (ja) 反射防止フィルム、その製造方法、偏光板、及び画像表示装置
JP2007102206A (ja) 光学フィルム、反射防止フィルム、偏光板およびそれらを用いた画像表示装置
JP4856880B2 (ja) 反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置
JP2007199409A (ja) 光学フイルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置
JP2005148623A (ja) 反射防止フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070711

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070711

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071108

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071115

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101102

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111004

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111031

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141104

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4856880

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250