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JP4844001B2 - 射出成形用ペレット材およびその製造方法 - Google Patents

射出成形用ペレット材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、優れた力学特性と導電特性を発現する射出成形用ペレット材に関し、例えば電気電子用部材、自動車部材、航空機部材、船舶部材、土木建材、スポーツ用具部材等に好適に用いることができる射出成形用ペレット材に関するものである。
従来より、繊維強化樹脂は強度、剛性や耐熱性に優れることから、自動車などの輸送機器用部材、土木建材、スポーツ用具部材に好適に用いられている。繊維強化樹脂に用いられる強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などが用いられるが、中でも炭素繊維は軽量、高強度、高弾性率を有するだけでなく、導電性を有するため、軽量、強度、剛性、導電性が求められる部材に、好適に用いられている。また、繊維強化樹脂の成形法は、用途に合わせて、オートクレーブ成形、プレス成形、RTM成形などの各種成形方法が用いられているが、中でも強化繊維に短繊維を用いた射出成形は、成形時間が短く、成形性に優れるため、大量生産が求められる電気電子用部材、自動車部材に好適に用いられている。
自動車部材の代表的な使用例としては、ドアモール、ドアミラーのフレーム枠、バンパーなどの外装材や、エンジンルームの内面を覆う樹脂製カバーや電機部品ハウジング、タイミングベルトカバーなどのエンジンルーム内で使用される樹脂製ケースが挙げられる。これらの自動車部材は、剛性、耐熱性の他に軽量であることが求められるため、炭素繊維などの強化繊維、ナノ無機充填剤が用いられている。特に炭素繊維などの強化繊維を用いる場合には、補強効果の観点から、繊維長が長い方が好ましい。また、通常、強化繊維を用いた射出成形においては、射出成形前に強化繊維と熱可塑性樹脂を混練、押出成形して、強化繊維含有ペレット材を準備する。上記のように、補強効果の観点から、該ペレット材に含まれる強化繊維の繊維長が長い方が好ましいが、繊維長が長いと繊維同士が絡まってしまい、所望の補強効果を発現できないなどの問題があった。一方、連続繊維からなるストランドに熱可塑性樹脂を含浸させた後、所定の長さにカットすることにより、長繊維ペレットを製造することができ、該長繊維ペレットを射出成形することにより、比較的繊維長の長い射出成型品を製造することができる。
特許文献1によれば、強化繊維とプロピレン樹脂からなる、繊維長の揃ったペレット長さ2〜200mmの長繊維ペレットを用いることにより、剛性、耐衝撃特性に優れた射出成型品を得ることができる。しかしながら、長繊維ペレットは、通常の押出機により製造する短繊維ペレットに比べて、生産性に劣ることから、ペレットの価格が高い問題があった。また、長繊維ペレットを用いたとしても、繊維と熱可塑性樹脂との接着性が十分良好でないと、所望の補強効果は発現できないため、強化繊維には接着性を向上させるための特殊な表面処理などが必要とされるものであった。
電気電子用部材の代表的な使用例としては、例えば半導体集積回路装置の収納、移送用のトレイが挙げられる。この半導体集積回路装置用トレイは、移送のために軽量であること、繰り返しの使用に耐えるために、耐衝撃性および高強度が求められると共に、半導体集積回路を静電気放電による障害から守るために、導電性が必要とされている。このため、半導体集積回路装置用トレイを構成するポリプロピレン樹脂やポリフェニレンエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂に、導電性を付与する目的で、金属粉、金属繊維、カーボンブラック、炭素繊維などの導電性充填剤を添加して使用している。しかしながら、金属粉や金属繊維は比重が大きく、成型品重量が重くなるため、移送用トレイには好適に用いられない。一方、カーボンブラックは、軽量且つ導電性に優れているが、移送などの際に半導体集積回路装置がトレイと接触摩擦して、トレイからカーボンブラックが脱落しやすく、半導体集積回路装置を汚染したり、また、カーボンブラックは補強効果が極めて小さく、トレイに求められる曲げ強度、曲げ弾性率の向上がほとんどなく、さらに添加量に伴い耐衝撃特性が著しく悪化する問題があった。そのため、脱落しにくく、補強効果の高い炭素繊維の使用が検討されているが、炭素繊維は高価であり、トレイの製造コストが上がること、またトレイに反りが生じやすいなどの問題があった。特許文献2によれば、炭素繊維の繊維長とその配合量を適切に調節することにより、耐衝撃性と導電性、反りを向上させることができる。しかしながら、導電性の指標である表面抵抗の目標値が1012Ωと比較的高く、半導体集積回路装置用トレイとして、十分な導電性を確保しているとは言えないものであった。
特開2002−226605号公報 特開2001−59056号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、優れた力学特性と導電特性を発現する射出成形用ペレット材、つまり、補強効果、軽量化および導電性付与の効果が高く、生産性にも優れ、成形コストを抑えることができる射出成形用ペレット材およびその製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の射出成形用ペレット材は、炭素繊維と熱硬化性樹脂から構成される炭素繊維強化プラスチック材と熱可塑性樹脂を必須材料としており、かつ、該炭素繊維強化プラスチック材の長さLが1mm以上15mm以下であり、前記炭素繊維強化プラスチック材に含まれる炭素繊維の体積含有率が40vol%以上70vol%以下であることを特徴とするものである。
また、かかる本発明の射出成形用ペレット材の製造方法は、連続繊維である炭素繊維と熱硬化性樹脂から構成される炭素繊維強化プラスチックを、パンチング直径が3mm以上15mm以下のパンチングスクリーンが取り付けられた粉砕機により粉砕した後、目開きが1mm以上10mm以下のスクリーンメッシュが取り付けられたふるい機によりふるい分けをして、スクリーンメッシュを通過して得られた炭素繊維強化プラスチック材と熱可塑性樹脂を押出機により混合、押出すことを特徴とするものである。
本発明によれば、生産性に優れ、成形コストを抑えることができ、且つ補強効果、軽量化および導電性付与の効果が高い射出成形用ペレット材を提供することができる。特に本発明によれば、高力学特性が要求される自動車用部材の樹脂製ケースや、導電特性が要求される電気電子用部材の半導体集積回路用トレイなどに好適に用いることができる、射出成形用ペレット材を提供することができる。
本発明は、前記課題、つまり優れた力学特性と導電特性を発現する射出成形用ペレット材について、鋭意検討し、かかるペレット材として特定な長さを有するもののみに制御して、かかる特定なペレット材と熱可塑性樹脂を用いて射出成形してみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
本発明の射出成形用ペレット材は、炭素繊維と熱硬化性樹脂から構成される炭素繊維強化プラスチック材と熱可塑性樹脂を必須材料として構成されるものであるところに特徴を有するものである。
通常、長繊維に切断された炭素繊維と熱可塑性樹脂を混練すると、炭素繊維同士が絡まり、分散性に優れたペレット材を製造することが困難である。また、分散性を向上させるために、混練時間を長くすると、長繊維で入れた炭素繊維が、混練により切断されて、結局は短繊維になってしまい、十分な補強効果を発現することができないペレット材となってしまうため好ましくない。
一方、本発明の射出成形用ペレット材は、炭素繊維束が熱硬化性樹脂により結合されている炭素繊維強化プラスチックで構成されているので、繊維密度を高くして混練機に投入することができ、かつ、炭素繊維強化プラスチックの形態であるため、繊維同士が絡まることなく、射出成形することができたものである。しかも、本発明の射出成形用ペレット材は、該炭素繊維強化プラスチック材の長さLが1mm以上15mm以下であるところに特徴を有するものである。
ここで炭素繊維強化プラスチック材の長さLとは、炭素繊維強化プラスチック材の面積をすべて覆うことができる最小面積の矩形の長辺のことである。図1に、炭素繊維強化プラスチック材1の長さLの定義を示す。炭素繊維強化プラスチック材1の面積を覆う最小面積の矩形2の長辺Lを、該炭素繊維強化プラスチック材の長さとする。
炭素繊維強化プラスチック材の長さLを上記特定な範囲のものとすることにより、熱可塑性樹脂との混練、押出成形性を向上させることができるため、射出成形用ペレット材を生産性良く製造することが可能であると同時に、強化繊維である炭素繊維の繊維長のバランスがよくて、補強効果を大きくすることができるので、射出成型品を高剛性化、高強度化することができる。
また、炭素繊維は導電性に優れているため、補強材としての利用だけでなく、射出成型品に導電性を付与することにより、電磁波シールド特性、静電除去特性を付与することも可能となる。このように導電性物質を配合して、射出成型品に導電性を付与し、電磁波シールド特性、静電除去特性を付与するためには、該導電性物質が射出成型品内において、導電パスを形成する必要がある。そのため、炭素繊維強化プラスチック材の長さLを上記特定範囲とすることにより、特定な繊維長の炭素繊維を射出成型品に配合することができるため、効率よく導電特性を付与することができ、すなわち電磁波シールド特性もしくは静電除去特性を付与することができたものである。かかる炭素繊維強化プラスチック材の長さLが、1mmよりも短いと、補強効果が小さいだけでなく、該炭素繊維強化プラスチック材が嵩張ることにより、混練、押出成形性が悪化する傾向が出てくるので好ましくない。一方、15mmよりも長いと、炭素繊維強化プラスチック材が大きすぎるために、混練、押出成形時間が長くなるか、もしくは押出成形時に押出成型器のノズルに詰まり易くなり、押出成形性が悪化する傾向が出てくる。このような理由から、炭素繊維強化プラスチック材の長さLは1mm以上10mm以下であることがより好ましい。
本発明の射出成形用ペレット材を構成する炭素繊維強化プラスチック材は連続繊維から構成されている事が好ましい。炭素繊維強化プラスチック材の最長長さLの方向は、必ずしも炭素繊維の配向方向と一致するとは限らないが、原料となる炭素繊維強化プラスチック材が連続繊維から構成されており、該炭素繊維プラスチック材を粉砕することによって、本発明の射出成形用ペレット材に用いる炭素繊維強化プラスチック材を製造する場合には、該炭素繊維強化プラスチック材の最長方向は、繊維配向方向と一致しやすく、該炭素繊維強化プラスチック材の最長長さLは、該炭素繊維強化プラスチック材を構成する炭素繊維の繊維長そのもの、もしくはその指標となるため好ましい。
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック材の原料となる炭素繊維強化プラスチックは、SMC(Sheet Molding Compound)材もしくはBMC(Bulk Molding Compound)材などの不連続繊維を用いたものであっても構わない。
炭素繊維強化プラスチックの製造方法は、従来用いられているいかなる製造方法であっても構わない。例えば、本発明の炭素繊維強化プラスチックは、炭素繊維に予めマトリックス樹脂が含浸されているプリプレグを所定の積層構成に積層した後、オートクレーブ成形もしくはプレス成形により製造されたものを使用することができる。また、マトリックス樹脂を付着させた炭素繊維をマンドレルに巻き付けて成形するフィラメントワインディング成形により製造されたものを使用することも可能である。さらに、炭素繊維からなる織物などの強化繊維基材を所定の積層構成に積層した後、マトリックス樹脂を強化繊維基材に注入して成形するレジントランスファー成形により製造されたものを使用することも可能である。
また、本発明で使用する炭素繊維強化プラスチック材は、製品寿命を終えて廃棄された炭素繊維強化プラスチックを粉砕して使用することも可能である。
また、本発明の射出成形用ペレット材は、炭素繊維プラスチック材を粉砕する手段で製造するので、使用済みの炭素繊維強化プラスチックでも、これを粉砕すれば、使用することができることから、低コストで環境調和型の射出成形用ペレット材を製造することができる利点がある。
本発明の射出成形用ペレット材を構成する炭素繊維強化プラスチック材に使用する熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂であるのが好ましい。エポキシ樹脂は接着性が良好であるため、炭素繊維束がエポキシ樹脂で被覆されていることにより、炭素繊維強化プラスチック材と熱可塑性樹脂との接着性を向上する効果を有するので好ましい。また、混練、押出、射出成形の各工程において、炭素繊維強化プラスチック材が粉砕されることにより、炭素繊維強化プラスチック材の一部が繊維状物の形態で熱可塑性樹脂内に配合されている場合においても、炭素繊維状物の表面がエポキシ変性されており、熱可塑性樹脂との接着性が向上すると考えられるため好ましい。
かかる炭素繊維強化プラスチック材の炭素繊維の体積含有率は、40vol%以上70vol%以下の範囲内にあることが必要である。すなわち、該体積含有率が40vol%未満であると、炭素繊維の含有率が少なすぎるために、かかる炭素繊維強化プラスチック材を用いた射出成形用ペレット材では、十分な補強効果や導電性向上効果を発現させることができない。また、逆に70vol%よりも高いと、炭素繊維の含有率が高すぎるために、かかる炭素繊維強化プラスチック材を用いた射出成形用ペレット材では、炭素繊維強化プラスチック材自体に繊維状物の形態のものが多くなり、混練、押出成形時に該炭素繊維強化プラスチック材が嵩張ることとなり、成形性が悪化する結果を招くこととなる。補強効果と成形性の観点から、該体積含有率は、50vol%以上60vol%以下であれば好ましい。
また、かかる炭素繊維強化プラスチック材の炭素繊維の弾性率は200GPa以上であることが好ましい。すなわち、該弾性率が、200GPa未満であると、炭素繊維の弾性率が低すぎるために、かかる炭素繊維強化プラスチック材を用いた射出成形用ペレット材を用いた射出成形用ペレット材では、十分な補強効果を発現させることができない場合がある。特に、本発明に用いる繊維長の強化繊維を用いた射出成形品に関する技術分野においては、強化繊維による射出成形品の剛性向上が重要な役割の一つであるが、かかる炭素繊維の弾性率が200GPa未満であると、得られる射出成型品の剛性向上効果が小さくなる傾向がでてくる。
本発明で使用する熱可塑性樹脂の例として、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、PPS系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリアミド系樹脂を挙げることができる。中でもポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂やPPS系樹脂は、耐熱特性、力学特性に優れているため、高温の熱履歴がかかる半導体集積回路用トレイなどに好適に用いることができる。
また、ポリプロピレン系樹脂は、比重が小さく、力学特性のバランスに優れるため、車両用の部材に好適に用いることができる。さらにまた、ABS系樹脂、ポリアミド系樹脂は、成形性、力学特性とりわけ耐衝撃特性に優れているため、パソコン筐体などに好適に用いることができる。しかし、これらの熱可塑性樹脂に限定されるものではなく、必要に応じて他の樹脂を使用することも可能である。
本発明の射出成形用ペレット材の製造方法は、連続繊維である炭素繊維と熱硬化性樹脂から構成される炭素繊維強化プラスチック材を、パンチング直径が3mm以上15mm以下のパンチングスクリーンが取り付けられた粉砕機により粉砕した後、目開きが1mm以上10mm以下のスクリーンメッシュが取り付けられたふるい機によりふるい分けをして、このスクリーンメッシュを通過して得られた炭素繊維強化プラスチック材と熱可塑性樹脂を押出機により混合、押し出して、射出成形用ペレット材を製造する手段を採用することを特徴とするものである。
本発明に用いる長さLが1mm以上15mm以下の炭素繊維強化プラスチック材は、いかなる方法により準備されても構わないが、炭素繊維強化プラスチック材は、高強度、高弾性率を有する材料であることが要求されるため、切断などによる加工は極めて困難であることが懸念される。一方、炭素繊維強化プラスチック材に限らず、繊維強化プラスチックは一般的に対衝撃特性が低いために、粉砕機により比較的簡単に粉砕することが可能である。そのため、本発明で用いる炭素繊維強化プラスチック材は、原料である炭素繊維強化プラスチックを粉砕機により粉砕することにより、効率よく製造することが可能である。特に剪断式の粉砕機は、効率よく粉砕することができるため好ましく使用される。
本発明で使用する炭素繊維強化プラスチック材の長さLは1mm以上15mm以下であるが、原料である炭素繊維強化プラスチックをこの範囲の長さLに調整するために、粉砕機に、パンチング直径が3mm以上15mm以下のパンチングスクリーンを取り付ける。原料である炭素繊維強化プラスチックを、このパンチングスクリーンの穴を通り抜けるまで粉砕することによって、本発明で使用することができる炭素繊維強化プラスチック材を得ることができる。さらに、該炭素繊維強化プラスチック材を目開きが1mm以上10mm以下のスクリーンメッシュが取り付けられたふるい機によりふるい分けることにより、所望の長さLの炭素繊維強化プラスチック材を得ることが可能である。
すなわち、混練、押出成形性を向上させるために、比較的長さの短い炭素繊維強化プラスチック材を得たい場合には、目開きが1mm以上5mm以下のスクリーンメッシュを用いることにより、選択的に得ることができる。一方、補強効果、導電性付与の効果を期待して、比較的長さの長い炭素繊維強化プラスチック材を得たい場合には、目開きが5mm以上10mm以下のスクリーンメッシュを用いることにより、選択的に得ることができる。このようにして、得られた炭素繊維強化プラスチック材と熱可塑性樹脂を押出機により、混練、押出すことにより、本発明の射出成形用ペレット材を製造することができる。
さらに、押出機のシリンダーの温度は、炭素繊維強化プラスチック材を構成する熱硬化性樹脂の熱分解温度よりも低い温度であることが好ましい。熱分解温度とは、熱重量分析により重量の損失を測定した際に、1%重量損失した時の温度、もしくは5%重量損失したときの温度のことを意味する。より好ましくは1%重量損失時の温度である。熱硬化性樹脂は、熱分解温度以上に曝されると、ガス化して重量損失が起こる。混練、押出成形時の温度が、炭素繊維強化プラスチック材を構成している熱硬化性樹脂の熱分解温度よりも高いと、該熱硬化性樹脂が熱分解してガスを発生するため、射出成形用ペレット内にボイドなどの気泡が含まれる可能性があるし、また、熱分解により発生した熱硬化性樹脂の残さが射出成形用ペレット材に含まれるので好ましくない。当然のことであるが、同じ理由により、射出成形用ペレット材を用いて射出成形する場合の、射出成型器のシリンダー温度は、該熱硬化性樹脂の熱分解温度よりも低い温度であることが好ましい。混練、押出および射出成形時の温度を、該熱硬化性樹脂の熱分解温度よりも低くすることにより、ボイドなどの欠陥の少ない射出成形用ペレット材、射出成型品を製造することができる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
実施例に使用する射出成形用ペレット材の原料である炭素繊維強化プラスチック材の製造方法を説明する。
該炭素繊維強化プラスチック材の原料となる炭素繊維強化プラスチックは、東レ(株)製炭素繊維T700SとビスフェノールA型エポキシ樹脂から構成されている。すなわち、炭素繊維T700SをビスフェノールA型エポキシ樹脂に含浸させながら、外径70mmのマンドレルに、厚みが7mmになる巻き付けた後、マンドレルを回転させながら温度180℃にて6時間加熱して、エポキシ樹脂を硬化させた。エポキシ樹脂が硬化した後、マンドレルを引き抜くことによって、筒状の炭素繊維強化プラスチックを準備した。
この炭素繊維T700Sは引張弾性率230GPaであり、該炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維含有率は60vol%に調整されている。該エポキシ樹脂の熱分解温度は、5%の重量損失時で320℃でる。
この炭素繊維強化プラスチックを、(株)ホーライ製V480型一軸剪断式粉砕機を用いて粉砕した後、3段のスクリーンメッシュを取り付け可能な(株)ダルトン製振動ふるい器1003c−sにより、ふるい分けして、射出成形用ペレット材の原料となる炭素繊維強化プラスチック材を製造した。
粉砕機にパンチング直径が5mmのパンチングスクリーンを取り付け、振動ふるい器に上から目開きが10mm、5.6mm、1.0mmのスクリーンメッシュを取り付けて、炭素繊維強化プラスチックを粉砕、ふるい分けすることにより、炭素繊維強化プラスチック材を製造した。1.0mmのスクリーンメッシュを通過した炭素繊維強化プラスチック材を粉砕片A、5.6mmのスクリーンメッシュを通過し、1.0mmのスクリーンメッシュにてふるい分けされた炭素繊維強化プラスチック材を粉砕片B、10mmのスクリーンメッシュを通過し、5.6mmのスクリーンメッシュにてふるい分けされた炭素繊維強化プラスチック材を粉砕片Cと呼ぶこととする。
50個の粉砕片Aの長さLを測定して、平均値を求めた結果、3.4mmであった。
50個の粉砕片Bの長さLを測定して、平均値を求めた結果、9.9mmであった。
50個の粉砕片Cの長さLを測定して、平均値を求めた結果、21.0mmであった。
(実施例1)
粉砕片Aを、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%の配合となるように、それぞれポリフェニレンエーテル樹脂に配合し、タンブラーミキサーで混合した後、二軸押出機のシリンダー温度を280〜300℃に設定し、混練、押出成形することにより、射出成形用ペレット材を製造した。
混練、押出工程において、粉砕片Aは嵩張って混練しにくい、もしくは押出機のノズルに詰まるなどの不具合はなく、取り扱い性は非常に良好であった。
該射出成形用ペレット材を100℃で5時間乾燥後、射出成型機のシリンダー温度を310℃、金型温度を140℃に設定して、JIS K 7139 A型に基づき、引張、曲げの各試験片を成形した。引張試験はJIS K 7162、曲げ試験はJIS K 7171に基づき、測定を行った。
また、同様に120×120×2mmの平板状の表面抵抗測定用試験片を成形した。該成型品の片面上の9カ所に間隔が1cmになるように、5×10mmの面積に銀ペーストを塗布して電極とし、該電極間に250Vの印加電圧をかけ、試験片中9カ所の抵抗値を測定し、その値を表面抵抗とした。
その結果、引張弾性率、引張強度は共に、粉砕片Aの配合量に伴い向上し、配合量20wt%において、それぞれ粉砕片を配合していないブランク対比2.0倍,1.6倍に向上することがわかった。
また、曲げ弾性率、曲げ強度は共に、粉砕片Aの配合量に伴い向上し、配合量20wt%において、それぞれ粉砕片を配合していないブランク対比3.0倍,1.4倍に向上することがわかった。
表面抵抗値は、粉砕片Aの配合量に伴い低下し、配合量20wt%において、4×10Ωであった。
また、粉砕片Aを5〜20wt%配合した射出成形板には、ボイドなどの欠陥は見られず、表面品位は良好であった。
(実施例2)
粉砕片Aの代わりに粉砕片Bを用いる以外は、実施例1と同様にして、射出成形用ペレット材を製造した。
混練、押出工程において、粉砕片Aは嵩張って混練しにくい、もしくは押出機のノズルに詰まるなどの不具合はなく、取り扱い性は非常に良好であった。
また、実施例1と同様に、引張、曲げ、表面抵抗用試験片を成形し、それぞれ測定を行った。
その結果、引張弾性率、引張強度は共に、粉砕片Bの配合量に伴い向上し、配合量20wt%において、それぞれ粉砕片を配合していないブランク対比2.2倍,1.7倍に向上することがわかった。
また、曲げ弾性率、曲げ強度は共に、粉砕片Bの配合量に伴い向上し、配合量20wt%において、それぞれ粉砕片を配合していないブランク対比3.5倍,1.7倍に向上することがわかった。
表面抵抗値は、粉砕片Bの配合量に伴い低下し、配合量20wt%において、3.5×10Ωであった。
また、粉砕片Bを5〜20wt%配合した射出成形板には、ボイドなどの欠陥は見られず、表面品位は良好であった。
(比較例1)
粉砕片Aの代わりに粉砕片Cを用いる以外は、実施例1と同様にして、射出成形用ペレット材を製造した。
混練、押出工程において、粉砕片Cは、炭素繊維強化プラスチック材の長さLが大きすぎるために、押出機のノズルに詰まるなどの不具合が発生し、ペレット材を製造することが困難であり、各試験片を作製することができなかった。
この図は、本発明の炭素繊維強化プラスチック材の一例を示す概略図である。
符号の説明
1:炭素繊維強化プラスチック材
2:炭素繊維強化プラスチック材の面積を覆う最小面積の矩形

Claims (7)

  1. 炭素繊維と熱硬化性樹脂から構成される炭素繊維強化プラスチック材と熱可塑性樹脂を必須材料としており、かつ、該炭素繊維強化プラスチック材の長さLが1mm以上15mm以下であり、前記炭素繊維強化プラスチック材に含まれる炭素繊維の体積含有率が40vol%以上70vol%以下であることを特徴とする射出成形用ペレット材。
  2. 前記炭素繊維強化プラスチック材の長さLが1mm以上10mm以下である請求項1に記載の射出成形用ペレット材。
  3. 前記炭素繊維強化プラスチック材を構成する熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求項1または2のいずれかに記載の射出成形用ペレット材。
  4. 前記炭素繊維強化プラスチック材に含まれる炭素繊維の弾性率が200GPa以上である請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形用ペレット材。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、PPS系樹脂、ABS系樹脂およびポリアミド系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の射出成形用ペレット材。
  6. 連続繊維である炭素繊維と熱硬化性樹脂から構成される炭素繊維強化プラスチックを、パンチング直径が3mm以上15mm以下のパンチングスクリーンが取り付けられた粉砕機により粉砕した後、目開きが1mm以上6mm以下のスクリーンメッシュが取り付けられたふるい機によりふるい分けをして、該スクリーンメッシュを通過して得られた炭素繊維強化プラスチック材と熱可塑性樹脂を押出機により混合、押出すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の射出成形用ペレット材の製造方法。
  7. 前記押出機のシリンダーの温度が、射出成形用ペレット材を構成する熱硬化性樹脂の熱分解温度よりも低い温度であることを特徴とする請求項6に記載の射出成形用ペレット材の製造方法。
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